JP5838868B2 - セルロースナノファイバーフィルム - Google Patents

セルロースナノファイバーフィルム Download PDF

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Description

本発明は、セルロースナノファイバーフィルムに関する。
樹脂に各種繊維状強化材を配合することで、その強度、剛性を大幅に向上させた繊維強化複合材料は、電気・電子、機械、自動車、建材等の産業分野で広く用いられている。この繊維強化複合材料に配合される繊維状強化材としては、優れた強度と軽量性を有するガラス繊維が主に用いられている。しかし、ガラス繊維強化材料では、高剛性化は達成されるが比重が大きくなる為、軽量化に限界があった。
これに対し、繊維状強化材としてポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維といった有機材料からなる繊維強化材が検討されてきたが、これら強化材を配合した繊維強化材料は軽量性やサーマルリサイクル性については確保できるものの、機械的補強効果が十分でないという問題があった。
一方、近年、カーボンニュートラルの観点からバイオマス材料の中でも植物由来材料を利用した高機能材料が注目される。この植物繊維を解繊してフィブリル化したセルロース繊維を樹脂に混合した繊維複合材料が提案されている。
特許文献1には、セルロースとシリカ微粒子の複合フィルムが記載されている。この複合フィルムは、セルロースを溶解してシリカ微粒子と混合するため、セルロースの結晶性が落ち、熱線膨張が大きく劣る。また、この複合フィルムは、セルロースとシリカ微粒子が結合していないため、表面のシリカ微粒子の脱落がおこり易く、屋外使用時には、有機物であるセルロースが表面に露出するため、黄変色をおこす。また無機粒子(シリカ微粒子)を含有することでフィルムが脆くなるという欠点がある。
特許文献2には、シリカ系無機粒子とエステル化の置換度が2.5〜3のセルロースアセテートプロピオネート(以下「CAP」とも称する)を有する熱可塑性セルロースエステル組成物が記載されている。エステル化されたセルロースは非晶質のため、セルロース同士の水素結合がなく、さらに繊維間の結合がなく、線膨張が悪い。また、特許文献2に記載の熱可塑性セルロースエステル組成物は、セルロースとシリカ微粒子が結合していないため、表面のシリカ微粒子の脱落がおこり易く、屋外使用時には、有機物であるセルロースが表面に露出するため、黄変色をおこす。また無機粒子(シリカ微粒子)を含有することでフィルムが脆くなる。
特許文献3には、ガラス繊維の中に溶解したセルロース及びシリカを含侵した複合多孔材料が記載されている。特許文献3に記載されている含侵法では生産性が悪く、また、前記複合多孔材料は、ガラス繊維が多孔質であるため透明性は大きく劣り、屋外使用時には、靱性も劣る。
特許文献4は、セルロースナノファイバーと樹脂との一般的なコンポジット方法である樹脂含侵法により製造されたミクロフィブリル化セルロースに関する記載がある。前記ミクロフィブリル化セルロースは、シリカ微粒子がないため耐候性が悪く、樹脂含侵法のため生産性も悪い。
このようにセルロース繊維の結晶構造を維持したまま、低熱線膨張かつ耐候性に優れ、かつ靱性も良く、透明性も良いセルロースナノファイバーフィルムはなかった。
特開2006−316128号公報 特開2004−196932号公報 特開2011−80171号公報 特開2008−266630号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、透明性があり、極めて低い熱線膨張の特性を保ったまま、耐候性に優れ、かつ靱性も良いセルロースナノファイバーフィルムを提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.平均繊維径が2nm〜200nmのセルロースナノファイバーと、表面修飾されたシリカ微粒子と、を有するセルロースナノファイバーフィルムにおいて、前記セルロースナノファイバーと、前記表面修飾されたシリカ微粒子とが結合されている、セルロースナノファイバーフィルム。
2.前記セルロースナノファイバーの水酸基の一部がエステル化されている、前記1に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
3.前記セルロースナノファイバーのエステル化の置換度が0.5〜2.5であり、かつ結晶化度が30〜90%である、前記2に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
4.前記表面修飾されたシリカ微粒子の円換算平均粒子径が5nm以上100nm以下である、前記1から3のいずれか1つに記載のセルロースナノファイバーフィルム。
5.前記表面修飾されたシリカ微粒子がシランカップリング剤により表面修飾されている、前記1から4のいずれか1つに記載のセルロースナノファイバーフィルム。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、透明性があり、極めて低い熱線膨張の特性を保ったまま、耐候性に優れ、かつ靱性も良いセルロースナノファイバーフィルムを提供することができる。
本発明者の鋭意検討により、セルロースナノファイバー(以下、「CNF」とも称する)に、表面修飾されたシリカ微粒子を結合させることにより、CNF単独のフィルムより極めて低い熱線膨張の特性が得られた。これは、シリカ微粒子がCNFに結合しているため屋外で使用された場合でもシリカ粒子の脱落が起こらず、最表面のシリカ微粒子が紫外光を反射し、内部のCNFの樹脂成分を傷めることなく耐候性が向上したと考えている。また、無機微粒子(シリカ微粒子)を含有させたフィルムは脆くなる性質があるが、本発明は、CNF間にシリカ微粒子を固定化させており、繊維の絡み合いのため靱性の劣化もなく、本発明の課題を達成することができた。
以下、本発明とその構成要素、および本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
(1.セルロースナノファイバーについて)
本発明のセルロースナノファイバーは、セルロース由来の繊維を平均繊維径が2nm以上200nm以下の状態まで解繊されている。さらに繊維表面を化学修飾、あるいは物理修飾により表面処理されたものであれば、さらに好ましい。化学修飾とは、例えば、セルロースナノファイバーのエステル化等が挙げられる。
本発明に用いる原料セルロース繊維としては、植物由来のパルプ、木材、コットン、麻、竹、綿、ケナフ、ヘンプ、ジュート、バナナ、ココナツ、海草、お茶葉等の植物繊維から分離した繊維、海産動物であるホヤが産生する動物繊維から分離した繊維、あるいは酢酸菌より産生させたバクテリアセルロース等が挙げられる。これらの中で、植物繊維から分離した繊維を好ましく用いることができるが、より好ましくはパルプ、コットン等の植物繊維から得られる繊維である。
本発明においては、これらの繊維をホモジナイザーやグラインダー等を用いて解繊処理し、微細化したミクロフィブリル状のセルロースナノファイバーとするが、含有されるセルロースが繊維状態を保持している限りにおいては、その解繊維処理方法について何ら制限はない。また木材のような硬いものは、ホモジナイザーで直接処理できない場合、プレ解砕として乾式粉砕機で粉体化する必要があるものもある。
具体例をあげると、パルプ等のセルロース繊維を水に入れた分散容器に0.1〜3質量%となるように投入し、これを高圧ホモジナイザーで解繊処理して平均繊維径0.1〜10μm程度のミクロフィブリルに解繊されたセルロース繊維の水分散液を得る。更にグラインダー等で繰り返し磨砕処理することで、平均繊維径2〜200nm程度のナノオーダーのセルロース繊維を得ることができる。
上記磨砕処理に用いられるグラインダーとしては、例えば、ピュアファインミル(栗田機械製作所社製)等が挙げられる。また、別の方法として、セルロース繊維の分散液を一対のノズルから250MPa程度の高圧でそれぞれ噴射させ、その噴射流を互いに高速で衝突させることによってセルロース繊維を粉砕する、高圧式ホモジナイザーを用いる方法が知られている。用いられる装置としては、例えば、三和機械社製の「ホモジナイザー」、スギノマシン(株)製の「アルテマイザーシステム」、等が挙げられる。
このようにして解繊処理して得られるセルロースナノファイバーの平均繊維径としては、好ましくは2nm以上、200nm以下であり、より好ましくは2nm以上、150nm以下、更に好ましくは2nm以上、100nm以下である。
本発明において、セルロースナノファイバーの平均繊維径が200nmを超えると、繊維複合材料の強度が不十分となる恐れがある。さらに透明樹脂と混合した際に、樹脂の透明性に悪影響を与える。
ナノファイバーの長さについては特に限定されないが、平均繊維長で50nm以上が好ましく、更に好ましくは100nm以上が好ましい。かような範囲であれば、繊維の絡み合いが良好で補強効果が高く、熱膨張の増大が抑制されうる。
本発明において、「平均繊維径」、「平均繊維長」は、ナノファイバーを透過型電子顕微鏡(TEM)(例えば、H−1700FA型(日立製作所社製))を用いて10000倍の倍率で観察した画像から無作為に繊維を100本選び、画像処理ソフト(例えば、WINROOF)を用いて一本毎の繊維径(直径)および繊維長を解析し、これらの単純な数平均値として算出される。
(2.表面修飾されたシリカ微粒子について)
(2−1.シリカ微粒子)
表面修飾されたシリカ微粒子は、シリカ微粒子の表面に、表面処理が施された微粒子である。
表面修飾されたシリカ微粒子の1次粒子の円換算平均粒子径は1nm以上500nm以下であることが好ましく、1nm以上100nm以下であるのがさらに好ましい。
円換算平均粒子径が上記範囲の場合は、光線透過率のさらなる向上が見られるため、好ましい。
透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積から得られる1次粒子の円換算平均粒子径の測定方法は、各シリカ微粒子の直径の数平均値により求めることができる。すなわちシリカ微粒子の透過型電子顕微鏡観察から、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できるシリカ微粒子をランダムに200個以上観察し、各シリカ微粒子の粒径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。ここで、本発明に係る円換算平均粒子径とは、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できるシリカ微粒子の外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。
(2−2.シリカ微粒子作成方法)
シリカ微粒子の作製方法としては、熱分解法(原料を加熱分解して微粒子を得る方法。噴霧乾燥法、火炎噴霧法、プラズマ法、気相反応法、凍結乾燥法、加熱ケロシン法、加熱石油法)、沈殿法(共沈法)、加水分解法(塩水溶液法、アルコキシド法、ゾルゲル法)、水熱法(沈殿法、結晶化法、水熱分解法、水熱酸化法)などが挙げられる。このうち、熱分解法や、沈殿法、加水分解法は、小粒径でかつ均一なシリカ微粒子を作製する観点で好ましい手法である。当該シリカ微粒子の作製にあたっては、これらの手法を複数組み合わせてもよい。
(2−3.表面修飾工程)
表面修飾の方法としては、湿式加熱法、湿式濾過法、乾式攪拌法、インテグルブレンド法、造粒法等が挙げられる。例えば、円換算平均粒子径が100nm以下の均一のシリカ微粒子の表面に対し表面修飾を施す場合、粒子が凝集するのを抑制の観点と粒子への表面吸着剤が均一に吸着するという観点から乾式攪拌方法より湿式攪拌方法が好ましい。
湿式攪拌方法の溶媒としては、非極性溶媒はヘキサン、ヘプタンが好ましく、極性溶媒は、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、水、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK) MIBK 1,4−ジオキサン、このほかにはエーテル系かケトン系が好ましい。
シリカ微粒子の表面に対する表面修飾の方法としては、カップリング剤等による表面処理などが挙げられる。
シリカ微粒子の表面に対する表面修飾に用いられる試薬としては、セルロースナノファイバーと結合するものならよく、シラン系カップリング剤等が挙げられる。これらは特に限定されず、適宜選択することが可能である。また、各種表面修飾を二つ以上同時又は異なる時に行ってもよい。
具体的には、例えば、シリカ微粒子の表面修飾剤としては、シランカップリング剤類:ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等が適用可能である。
他にも、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル基を末端に有するシランカップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基を末端に有するシランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基を末端に有するシランカップリング剤、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を末端に有するシランカップリング剤が挙げられる。これらの中で、末端にエポキシ基、あるいはアミノ基を有するものが好ましく用いられる。これらの官能基は1種、あるいは2種以上が導入されていても良い。
またこれらの表面修飾剤はヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、水等で適宜希釈して用いてもよい。
表面修飾剤の割合は特に限定されるものではないが、表面処理後のシリカ微粒子に対して、表面修飾剤の割合が10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、30質量%以上98質量%以下であることがより好ましい。
(3.セルロースナノファイバーのエステル化について)
本発明におけるセルロースナノファイバーのエステル化とは、セルロースナノファイバーを構成するセルロースのグルコース単位の2位、3位および/または6位の水酸基(−OH)の一部が化学修飾によって炭素数1〜8のアシル基で置換されたものが好ましい。
本発明のエステル化されたセルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーの表面の水酸基がアシル基に置換されており、結晶性のナノファイバー成分がコアに、非晶性の修飾したセルロースエステル成分(アシル基成分)がシェルになったコアシェル形の断面を有するファイバーになっていると考えられる。
エステル化されたセルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、上述したセルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長の規定と同様である。
炭素数1〜8のアシル基は特に制限されず、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブタノイル基(ブチリル基)、イソブタノイル基(イソブチリル基)、バレリル基、イソバレリル基、2−メチルバレリル基、3−メチルバレリル基、4−メチルバレリル基、t−ブチルアセチル基、ピバロイル基、カプロイル基、2−エチルヘキサノイル基、2−メチルヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数2〜4のアシル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましく、プロピオニル基が特に好ましい。プロピネート成分は他のアシル基成分に比べて流動性等が良好であるため、透明性および平滑性が向上しうる。なお、セルロースナノファイバーの水酸基は、単一種のアシル基によって置換されていてもよいし、複数のアシル基によって置換されていてもよい。
また、本発明のおけるセルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーの水酸基の一部をアシル基で置換することにより、ファイバーの表層を非晶化(樹脂化)することができ、セルロースナノファイバー成分の絡み合いを維持しつつ、結晶性のセルロースナノファイバーに柔軟性を付与できる。
これにより、マトリックス樹脂と混合しない場合であっても、成形加工性に優れ、均一な製膜が可能となる。さらに、ファイバーの表層を非晶化(樹脂化)することにより、透明性および表面平滑性を向上しうる。
セルロースナノファイバーのアシル基の置換度は、0.5〜2.5であることが好ましい。置換度が0.5以上であればファイバー表面の樹脂成分(アシル成分)が多くなり、製膜性および透明性が向上し、さらに欠陥を低減できるため好ましい。置換度が2.5以下であれば、結晶性ナノファイバー部分(コア部)が多くなり、ナノファイバーの絡み合いが増大して、熱線膨張性が優れるため好ましい。より好ましくは、置換度が0.5〜2.0である。なお、本発明において「〜」なる記号は、以上及び以下の間の数値を意味する。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基(−OH)を有している。「セルロースナノファイバーのアシル基の置換度」とは、1グルコース単位あたりのアシル基の平均数を示し、1グルコース単位の2位、3位および6位の水酸基のいずれかがアシル基に置換されている割合を示す。すなわち、2位、3位および6位の水酸基がすべてアシル基で置換されたとき置換度(最大の置換度)は3.0となる。アシル基は、グルコース単位の2位、3位、6位に平均的に置換していてもよいし、分布をもって置換していてもよい。
置換度は、ASTM−D817−96(2010)に規定の方法により求められる。
エステル化されたセルロースナノファイバーの結晶化度は、30〜90%であることが好ましい。結晶化度が30%以上であれば、ナノファイバーの熱線膨張特性の劣化およびこれに伴うフィルムの熱線膨張特性の劣化が抑制されうる。一方、90%以下であれば、製膜性、透明性および表面平滑性の低下が抑制されうる。より好ましくは、結晶化度は50〜90%であり、さらに好ましくは、40〜80%である。
結晶化度は以下に記載の方法にて算出できる。
[結晶化度の算出方法]
X線回折強度を測定し、下記数式(1)に基づき結晶化度CrIを算出した。なお、Iは2θ=8°回折ピーク強度を、I18は2θ=18°の回折ピーク強度を示す。
回折ピーク強度は樹脂により異なるが、各スペクトルのピークの強度からベースラインの強度を差し引くことにより算出することができる。
(4.表面修飾されたシリカとセルロースナノファイバーの混合)
(4−1.混合工程)
混練工程では、エステル化セルロースナノファイバーに対して表面修飾シリカ微粒子を添加・混練することでセルロースナノファイバーフィルムを作製する製造方法や、溶媒に溶解したエステル化セルロースナノファイバーと表面修飾シリカ微粒子とを混合して、その後に有機溶媒を除去することでフィルムを作製する製造方法が好ましい態様である。
混練において、有機溶剤の使用も可能である。その場合、混練後に脱気を行い、エステル化セルロースナノファイバー中から有機溶剤を除去することが好ましい。
混練に用いることのできる装置としては、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のような密閉式混練装置またはバッチ式混練装置を挙げることができる。また、単軸押出機、二軸押出機等のように連続式の混練装置を用いて製造することもできる。
混練工程の処理態様として混練機を用いる場合、エステル化セルロースナノファイバーと表面修飾シリカ微粒子を一括で添加し混練してもよいし、段階的に分割添加して混練してもよい。この場合、押出機などの混練装置では、段階的に添加する成分をシリンダーの途中から添加することも可能である。混練プロセスでは、出来るだけ後の工程で耐光安定剤を添加することが好ましい。そのため耐光安定剤の少なくとも一部は表面修飾シリカ微粒子の添加後に加えられる。
混練によりエステル化セルロースナノファイバーと表面修飾シリカ微粒子との複合化を行う場合、表面修飾シリカ微粒子は粉体ないし凝集状態のまま添加することが可能である。あるいは、表面修飾シリカ微粒子は液中に分散した状態で添加することも可能である。表面修飾シリカ微粒子を液中に分散した状態で添加する場合は、混練後に脱気を行うことが好ましい。
表面修飾シリカ微粒子を液中に分散した状態で添加する場合、あらかじめ凝集粒子を一次粒子に分散して添加することが好ましい。分散には各種分散機が使用可能であるが、特にビーズミルが好ましい。ビーズは各種の素材があるがその大きさは小さいものが好ましく、特に直径0.001〜0.1mmのものが好ましい。
溶媒キャスト法での製膜の場合、上記表面修飾シリカ微粒子分散液にエステル化セルロースナノファイバーを添加し、溶媒を除去する方法が好ましい。
(5.フィルム形成方法)
表面修飾シリカ微粒子の表面の反応性基がセルロースの水酸基と反応をおこし結合するには、フィルム形成後、加熱することにより可能である。加熱温度としては、60℃〜200℃、好ましくは70℃〜140℃である。加熱時間としては、好ましくは5秒〜24時間程度、更に好ましくは10秒〜2時間程度である。
フィルム形成方法は、溶融製膜法でもよく溶媒キャスト法でもよい。溶融製膜の場合、混練機を用いて一度ペレットを作成してから、再度、混練機に入れて溶融製膜してもよく、日本製鋼製TEXの2軸押し出し機、及び多段ベント方式による脱水しながら溶融製膜できる混練機を用いて一度に製膜してもよい。
溶融製膜の場合、エステル化セルロースナノファイバーと表面修飾シリカ微粒子の溶液を事前に溶媒を除去することが好ましく、溶媒の除去は、その効率を考慮し、減圧条件で行うことが好ましい。また、溶媒除去温度は溶媒の沸点、減圧条件等を考慮して適宜選択することができる。溶媒除去工程では、前述の密度差によってエステル化セルロースナノファイバーがやや沈降しやすいことを考慮し、なるべく短時間で工程を終わらせることが好ましい。このため、混合液を薄く広範囲に広げ短時間で溶媒を除去する方法が有利である。また、溶媒量が少ないと混合液がゲル状となり、撹拌後の密度ムラが生じにくくなるため好ましい。
溶媒除去工程で溶媒が除去されると、表面修飾シリカ微粒子とエステル化セルロースナノファイバーが分散したゲル状の樹脂が得られる。この混合物を混練することなく成形材料として使用することも可能であるが、混練して得られる混練物を成形材料として使用する方が得られる成形物の弾性率及び強度が高い。混練工程は樹脂を混練する分野で使用されている方法を利用することができる。例えば、単軸、二軸又は多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、スクリュープレス、ディスパーザーなどを使用できる。混練温度は樹脂によって異なるが、樹脂のガラス転移点以上溶融点以下であり、通常80〜220℃、好ましくは100〜200℃、混練時間は通常1分〜3時間、好ましくは5分〜30分である。
混練機を用いた場合は、混錬中に前記表面修飾シリカ微粒子の表面の反応性基がセルロースの水酸基と反応をおこし結合可能な温度を加えているため、特別に結合のための温度をかけなくとも表面修飾シリカ微粒子をセルロースナノファイバーは結合する。
溶融成膜法もしくは、溶媒キャスト製膜法を用いる場合の、フィルム形成方法としては、支持体の上に塗布する方式が好ましい、支持体としては、例えばステンレススチール、アルミなどの金属板、ガラス板が好ましく挙げられ、特にステンレススチール板やステンレススチールベルトが好ましい。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
また、塗布された膜は溶媒が除去できる温度なら良く、加熱温度は、60℃〜200℃、好ましくは70℃〜140℃である。塗布後の乾燥時間は、好ましくは5秒〜24時間程度、更に好ましくは10秒〜2時間程度である。溶媒キャスト法でフィルムを作成した場合、上記温度をかけることで表面修飾シリカ微粒子の表面の反応性基がセルロースの水酸基と反応をおこし結合する。
また、乾燥膜を場合によってアニール処理してもよくアニール温度は、好ましくは60℃〜200℃、更に好ましくは70℃〜160℃である。アニール時間は、好ましくは5秒〜24時間程度、更に好ましくは10秒〜2時間程度である。
また、実施例において、置換度は、ASTM−D817−96(2010)に規定の方法により、結晶化度は下記装置を用いて、X線回折法により測定した回折ピーク強度から算出した。
X線発生装置 :理学電機製RINT TTR2
X線源 :CuKα
出力 :50kV/300mA
1stスリット:0.04mm
2ndスリット:0.03mm
受光スリット:0.1mm
〈計数記録装置〉
2θ/θ :連続スキャン
測定範囲 :2θ=2〜45°
サンプリング :0.02°
積算時間 :1.2秒
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
<CNF分散液の調整>
(製造例1 セルロースAの製造)
針葉樹から得られた亜硫酸漂白パルプを、純水に1.0質量%となるように添加し、株式会社 日本精機製作所製 エクセルオートホモジナイザーを用いて3000回転/分で15分、セルロース繊維を解繊した。この水分散液をセルロースAとした。得られたセルロースは透過型電子顕微鏡により、平均繊維径250nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
(製造例2 CNF−Aの製造)
製造例1で作成したセルロースAを、乾燥質量で1g相当分と0.0125gのTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)および0.125gの臭化ナトリウムを水100mlに分散させた後、次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を5回繰り返し、セルロースナノファイバーが0.1質量%になるよう水で希釈した。さらに超音波分散機にて1時間処理をし、CNF−Aを得られた、平均繊維径4nmであった。
(製造例3 CNF−Bの製造)
製造例1で作成したセルロースAを増幸産業製グラインダーで2回処理した。セルロースナノファイバーが1質量%となるよう水で調整し、CNF−Bを得た。得られたセルロース繊維は平均繊維径50nmであった。
(製造例4 CNF−Cの製造)
製造例1で作成したセルロースAを増幸産業製グラインダーで1回処理した。セルロースナノファイバーが1質量%となるよう水で調整し、CNF−Cを得た。得られたセルロース繊維は平均繊維径150nmであった。
<セルロースC2,C3、C6位の置換基の調整>
(C2,C3位の水酸基のプロピオネート化)
無水プロピオン酸/ピリジン(モル比1/1)溶液500質量部に、凍結乾燥により乾燥した、製造例3で得られたCNF−Bの10質量部を添加して分散させ、室温で3時間攪拌した。次に分散した繊維を濾過し、500質量部の水で3回水洗した後、200質量部のエタノールで2回洗浄した。さらに、500質量部の水で2回水洗を行った後、固形分濃度が2質量%になるように純水で調整することで、C2,C3位の水酸基のプロピオネート化したセルロースナノファイバーを製造した。このように、CNF−BのC2,C3位の水酸基をプロピオネート化したセルロースナノファイバーをCNF−B1(ゲル状)とした。
またCNF−Aを用いて上記CNF−B1と同じ方法でC2,C3位の水酸基のプロピオネート化したセルロースナノファイバーをCNF−A1(ゲル状)とした。反応時間を変更して置換度、結晶化度を変更した表1記載のサンプルを作成した。
(溶媒置換)
表1記載の試料No.18、19をメチルエチルケトン溶媒へ膜分離方法で徐々に置換してセルロースナノファイバーの濃度が2質量%になるように溶媒置換をおこなった。
<表面修飾シリカ微粒子の調整>
(1.1)表面修飾シリカ微粒子1の作製
平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200(A−200)を大気下で200℃、1時間加熱した。加熱後に得られた粉体30gを乾燥窒素下で攪拌しながら、その粉体に対しテトラエトキシシランを12g加えた。その後、ヘキサメチルジシラザンを加えた粉体を200℃で30分間加熱し、これに引き続き室温まで冷却し、シリカ「表面修飾シリカ微粒子1」を得た。
TEM観察の結果、表面修飾シリカ微粒子1の円換算平均粒子径は110nmであった。
(1.2)表面修飾シリカ微粒子2の作製
テトラエトキシシラン30gをエタノール2700gと水300gの混合溶液に添加し、攪拌を行った。そこに酢酸15gを添加し、10分攪拌した。この混合溶液に平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200(A−200)を15g添加し、室温で1時間攪拌した後、100℃で1時間、還流攪拌した。この混合溶液を8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。回収した粒子は、さらにエタノール1000gで酢酸、未反応のテトラエトキシシランを洗浄し、もう一度8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。この操作を3回繰り返し、酢酸、未反応のテトラエトキシシランをよく洗浄できたら、回収した粒子を150℃、2時間オーブンで乾燥し、これに引き続き室温まで冷却した。その結果、「表面修飾シリカ微粒子2」を得た。
TEM観察の結果、表面修飾シリカ微粒子2の円換算平均粒子径は20nmであった。
(1.3)表面修飾シリカ微粒子3の作製
セルロースの水酸基と反応するアミノ基を有するシランカップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン30gをエタノール2700gと水300gの混合溶液に添加し、攪拌を行った。そこに酢酸15gを添加し、10分攪拌した。この混合溶液に平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200を15g添加し、室温で1時間攪拌した後、100℃で1時間、還流攪拌した。この混合溶液を8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。回収した粒子は、さらにエタノール1000gで酢酸、未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシランを洗浄し、もう一度8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。この操作を3回繰り返し、酢酸、未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシランをよく洗浄できたら、回収した粒子を150℃、2時間オーブンで乾燥し、これに引き続き室温まで冷却した。その結果、「表面修飾シリカ微粒子3」を得た。
TEM観察の結果、表面修飾シリカ微粒子3の円換算平均粒子径は30nmであった。
(1.4)表面修飾シリカ微粒子4の作製
セルロースの水酸基と反応するエポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキピロピルトリメトキシシラン30gをエタノール2700gと水300gの混合溶液に添加し、攪拌を行った。そこに酢酸15gを添加し、10分攪拌した。この混合溶液に平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200を15g添加し、室温で1時間攪拌した後、100℃で1時間、還流攪拌した。この混合溶液を8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。回収した粒子は、さらにエタノール1000gで酢酸、未反応の3−グリシドキピロピルトリメトキシシランを洗浄し、もう一度8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。この操作を3回繰り返し、酢酸、未反応の3−グリシドキプロピルトリメトキシシランをよく洗浄できたら、回収した粒子を150℃、2時間オーブンで乾燥し、これに引き続き室温まで冷却した。その結果、「表面修飾シリカ微粒子4」を得た。
TEM観察の結果、表面修飾シリカ微粒子4の円換算平均粒子径は50nmであった。
(フィルムの作成)
〈溶融製膜方法(試料No.1〜No.17)〉
表1に示したセルロース繊維の固形分で100質量部を、(株)松井製作所製除湿熱風式乾燥機により熱風温度150℃、露点−36℃で乾燥したあと、可塑剤P−1:8質量部、酸化防止剤A−1:1質量部、A−2:0.5質量部、シリカ微粒子を有する場合は、さらに表1記載のシリカ微粒子:20質量部と一緒にV型タンブラーで30分間混合した。
次いで、テクノベル(株)製二軸押出し機に120kg/hrで供給した。スクリューデザインはニーディングディスクを少なめにして、樹脂の混練発熱を抑えるようにした。バレルの温度設定は180℃から250℃で、先端近傍にはベント口を設け、揮発分を除去した。押出し機下流にフィルター、ギヤポンプ、フィルターを配置し、コートハンガー型Tダイから押出し、120℃に温調した2本のクロムメッキ鏡面ロールの間に落として引取り、3本ロール間を通し、エッヂをスリットした後ワインダーに巻き取った。巻き取ったフィルムの厚みが125μmになるように押出し量と引取りロールの回転速度を調整した。
(可塑剤)P−1:トリメチロールプロパントリベンゾエート
(酸化防止剤)A−1:IRGANOX−1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
A−2:スミライザーGP(住友化学(株))
引き続き、下記のカレンダー処理を行った。
(カレンダー処理)
得られたフィルムまたは不織布シートを、由利ロール社製ロールプレス装置を使用して、カレンダー処理を施した。上部下部ともに金属ロールで、ロール温度として200℃に設定して、線圧0.5トンで2m/minの走行速度でカレンダー処理を行った。
(溶液キャスト(試料No.18〜No.19))
製造例3で得たCNF−A1 100質量部(固形分)をメチルエチルケトン(MEK)で1質量%になるように希釈し、表1記載の表面修飾シリカ微粒子20質量部を添加し、よく撹拌した。
これを、ベルト流延装置を用い、装置内温度を温度35℃とし30℃のステンレスベルト支持体上に均一に流延した。その後、剥離可能な範囲まで流涎した組成を乾燥させた後、ステンレスベルト支持体上からウェブを剥離した。このときのウェブの残留溶媒量は80質量%であった。
(延伸処理)
上記で得たウェブを、85℃の乾燥ゾーンをロール搬送しながら乾燥させ、残留溶媒量が35質量%未満となったところで、予熱後、ロール速度差によりフィルム搬送方向に延伸(長手延伸)し、次いでテンター式延伸機に導き、フィルム搬送方向に直交する方向に延伸(幅手延伸)した。延伸倍率は長手延伸1.5倍、幅手延伸1.5倍とした。
上記工程により、表1記載のフィルム試料を得た。
(試料No.20、比較例)
セルロース10重量%、NH 6.5重量%、Cu3.6重量%を含むセルロースの銅アンモニア原液に、セルロース濃度が3.3重量%、セルロースのグルコース1残基に対し、2.7残基のシリカ含量(セルロース100重量部とシリカ20重量部)になるように14%アンモニア水、水ガラス(SiOとして、約35%)を混合して調節した。
これらシリカ含量の混合調整液をガラス板上にキャストし、5分間、80℃で乾燥後、室温で、水、アセトン、テトラヒドロフラン、1−ブタノール、トルエンの各液に2分間浸漬後、風乾し、次いで、2%硫酸にて中和・再生後、水洗、乾燥して膜を得た。
(試料No.21、比較例)
〈アセチル化セルロースとシリカ微粒子〉
下記のアセチル化セルロースを原料ポリマーとして用いた。
C−1:セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.5、プロピオニル基置換度1.2、分子量Mn=70000、分子量Mw=220000、Mw/Mn=3)
〈添加剤〉
添加剤として下記材料を使用した。
(可塑剤)
P−1:トリメチロールプロパントリベンゾエート
(酸化防止剤)
A−1:IRGANOX−1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
A−2:スミライザーGP(住友化学(株))
〈セルロースナノファイバーを含有するマスターバッチの作製〉
上記アセチル化セルロースC−1:100質量部、可塑剤P−1:8質量部、酸化防止剤A−1:1質量部、A−2:0.5質量部、
多孔質シリカ粒子として平均粒径2.8μm、細孔容積Vが0.9ml/g、20質量部をV型タンブラーで30分間混合したあと、オートマチック社二軸スクリュー混練押出し機ZCM53/60の第1供給口から100kg/hrで供給した。C−1は130℃で12時間真空乾燥してから使用した。上記セルロースナノファイバーCNF−Cを同混練押出し機の第2供給口(第1供給口より下流側にある)から23kg/hrで供給した。スクリューデザインはニーディングディスクを多めにして混練効果が強く出るようにした。スクリュー回転数は500rpm、バレルからダイまでの温度設定は180℃から250℃で、先端近傍にはベント口を設け、揮発分を除去した。ダイはストランドダイで、吐出したストランドは冷却水中に誘導し、ペレタイザーでカットして、径3mm、長さ3mm程度のペレットに成形した。このペレットを前記溶融製膜方法で製膜した。
(試料No.22、比較例)
水酸化リチウム4.6wt%と尿素15wt%とを含む水溶液100gを−12℃に冷却し、これにろ紙パルプ(純粋なセルロース:アドバンテック東洋製)2g、平均粒径2.8μm、細孔容積Vが0.9ml/gの多孔質シリカ粒子2gを加えて攪拌するとセルロースは速やかに溶解し透明な溶液を得た。
該セルロース溶液に、日本板硝子(株)製ガラスペーパー(厚さ:50μm、繊維径:0.5μm、密度:約0.14g/cm、空隙率:90%以上、平均孔径:2〜5μm、最大孔径:10〜15μmを浸漬し、付着液を除去してからメタノールに浸漬し、十分に水洗してセルロースをゲル化させてセルロースヒドロゲル含有ガラスペーパーを得た。
該複合ゲルの含有液を水→エタノール→フッ素系溶剤(日本ゼオン(株)製ゼオローラH)と置換し、該ゲルを液体窒素に浸漬して凍結し、ヤマト科学(株)製フリーズドライヤDC−800により凍結乾燥して、ガラスペーパー担持セルロースエアロゲルを得た。
(試料No.23、比較例)
製造例3で得られたセルロースナノファイバーBのC2,C3位の水酸基をプロピオネート化したCNF−B1を、120℃、2MPaで3分ホットプレスし、厚さ約50μmの、BCシート(含水率0重量%)を得た。
このBCシートを、透明エポキシ樹脂(ダイセル化学社製「セロサイド2021」)に減圧下(0.08MPa)で12時間浸漬処理して、繊維強化複合材料を製造した。この繊維強化複合材料の繊維含有率は50質量%であった。
また、この繊維強化複合樹脂材料をマトリックス樹脂の液状前駆体の硬化方法に従って硬化させて直径50mm、厚さ125μmの試料を作製後、測定のためにそれぞれフィルム状に切り出し、この硬化物について表1記載の物性測定を行った。
(評価)
下記に記載の測定方法で、フィルムの光線透過率、熱線膨張係数、黄変色、破断伸度を評価した。
(フィルムの評価方法)
(1)光線透過率の測定(透明性評価)
分光光度計UV−2500PC:島津製作所製を用いて可視光線の入射光量に対する全透過光量を測定した。その550nmの測定結果を下記表1に示す。
(2)熱線膨張係数の測定(耐熱性評価)
成形体について、40〜200℃の範囲内で温度を変化させ、熱線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツルメンツ)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いた。試験片は、長さは2cm、幅2mmで行った。
(3)破断伸度の測定(靱性評価)
温度可変式引張試験機(「島津オートグラフAGS−100D」;島津製作所製)を用い、幅10mmに切り取った試験片を、23℃、チャック間距離50mm、引張速度50mm/分の条件で引っ張って、破断に至るまでの伸び率を求めた。岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスター(SUV−W151)を用いてメタハラ(紫外線)強制劣化テスト(温度:63℃、湿度:50%、照射強度:100mW/cm、連続200時間投入)後の結果を劣化後/劣化前×100%で表1に記載した。
(4)黄変色の評価(耐候性評価)
黄変色の評価は、バリアフィルム試験片について、岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスター(SUV−W151)を用いてメタハラ強制劣化テスト(温度:63℃、湿度:50%、照射強度:100mW/cm、連続200時間投入)後、紫外線による劣化を目視で確認して行った。
下記の基準で評価した。
○:劣化前同等の透明性がある
△:やや黄色みを帯びている
×:黄色である
試料1〜23の評価結果を表1に示す。
表から明らかなように本発明の複合フィルムは透明性が良好で、かつ極めて低い熱線膨張であり耐候性も良く、靱性も良いことがわかる。

Claims (4)

  1. 平均繊維径が2nm〜200nmのセルロースナノファイバーと、表面修飾されたシリカ微粒子と、を有するセルロースナノファイバーフィルムにおいて、
    前記表面修飾されたシリカ微粒子が、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を末端に有するシランカップリング剤により表面修飾されており、
    前記セルロースナノファイバーと、前記表面修飾されたシリカ微粒子とが結合されている、セルロースナノファイバーフィルム。
  2. 前記セルロースナノファイバーの水酸基の一部がエステル化されている、請求項1に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
  3. 前記セルロースナノファイバーのエステル化の置換度が0.5〜2.5であり、かつ結晶化度が30〜90%である、請求項2に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
  4. 前記表面修飾されたシリカ微粒子の円換算平均粒子径が5nm以上100nm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
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