JP5838868B2 - セルロースナノファイバーフィルム - Google Patents
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Description
1.平均繊維径が2nm〜200nmのセルロースナノファイバーと、表面修飾されたシリカ微粒子と、を有するセルロースナノファイバーフィルムにおいて、前記セルロースナノファイバーと、前記表面修飾されたシリカ微粒子とが結合されている、セルロースナノファイバーフィルム。
2.前記セルロースナノファイバーの水酸基の一部がエステル化されている、前記1に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
3.前記セルロースナノファイバーのエステル化の置換度が0.5〜2.5であり、かつ結晶化度が30〜90%である、前記2に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
4.前記表面修飾されたシリカ微粒子の円換算平均粒子径が5nm以上100nm以下である、前記1から3のいずれか1つに記載のセルロースナノファイバーフィルム。
5.前記表面修飾されたシリカ微粒子がシランカップリング剤により表面修飾されている、前記1から4のいずれか1つに記載のセルロースナノファイバーフィルム。
本発明のセルロースナノファイバーは、セルロース由来の繊維を平均繊維径が2nm以上200nm以下の状態まで解繊されている。さらに繊維表面を化学修飾、あるいは物理修飾により表面処理されたものであれば、さらに好ましい。化学修飾とは、例えば、セルロースナノファイバーのエステル化等が挙げられる。
(2−1.シリカ微粒子)
表面修飾されたシリカ微粒子は、シリカ微粒子の表面に、表面処理が施された微粒子である。
シリカ微粒子の作製方法としては、熱分解法(原料を加熱分解して微粒子を得る方法。噴霧乾燥法、火炎噴霧法、プラズマ法、気相反応法、凍結乾燥法、加熱ケロシン法、加熱石油法)、沈殿法(共沈法)、加水分解法(塩水溶液法、アルコキシド法、ゾルゲル法)、水熱法(沈殿法、結晶化法、水熱分解法、水熱酸化法)などが挙げられる。このうち、熱分解法や、沈殿法、加水分解法は、小粒径でかつ均一なシリカ微粒子を作製する観点で好ましい手法である。当該シリカ微粒子の作製にあたっては、これらの手法を複数組み合わせてもよい。
表面修飾の方法としては、湿式加熱法、湿式濾過法、乾式攪拌法、インテグルブレンド法、造粒法等が挙げられる。例えば、円換算平均粒子径が100nm以下の均一のシリカ微粒子の表面に対し表面修飾を施す場合、粒子が凝集するのを抑制の観点と粒子への表面吸着剤が均一に吸着するという観点から乾式攪拌方法より湿式攪拌方法が好ましい。
本発明におけるセルロースナノファイバーのエステル化とは、セルロースナノファイバーを構成するセルロースのグルコース単位の2位、3位および/または6位の水酸基(−OH)の一部が化学修飾によって炭素数1〜8のアシル基で置換されたものが好ましい。
X線回折強度を測定し、下記数式(1)に基づき結晶化度CrIを算出した。なお、I8は2θ=8°回折ピーク強度を、I18は2θ=18°の回折ピーク強度を示す。
(4−1.混合工程)
混練工程では、エステル化セルロースナノファイバーに対して表面修飾シリカ微粒子を添加・混練することでセルロースナノファイバーフィルムを作製する製造方法や、溶媒に溶解したエステル化セルロースナノファイバーと表面修飾シリカ微粒子とを混合して、その後に有機溶媒を除去することでフィルムを作製する製造方法が好ましい態様である。
表面修飾シリカ微粒子の表面の反応性基がセルロースの水酸基と反応をおこし結合するには、フィルム形成後、加熱することにより可能である。加熱温度としては、60℃〜200℃、好ましくは70℃〜140℃である。加熱時間としては、好ましくは5秒〜24時間程度、更に好ましくは10秒〜2時間程度である。
X線源 :CuKα
出力 :50kV/300mA
1stスリット:0.04mm
2ndスリット:0.03mm
受光スリット:0.1mm
〈計数記録装置〉
2θ/θ :連続スキャン
測定範囲 :2θ=2〜45°
サンプリング :0.02°
積算時間 :1.2秒
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(製造例1 セルロースAの製造)
針葉樹から得られた亜硫酸漂白パルプを、純水に1.0質量%となるように添加し、株式会社 日本精機製作所製 エクセルオートホモジナイザーを用いて3000回転/分で15分、セルロース繊維を解繊した。この水分散液をセルロースAとした。得られたセルロースは透過型電子顕微鏡により、平均繊維径250nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
製造例1で作成したセルロースAを、乾燥質量で1g相当分と0.0125gのTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)および0.125gの臭化ナトリウムを水100mlに分散させた後、次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を5回繰り返し、セルロースナノファイバーが0.1質量%になるよう水で希釈した。さらに超音波分散機にて1時間処理をし、CNF−Aを得られた、平均繊維径4nmであった。
製造例1で作成したセルロースAを増幸産業製グラインダーで2回処理した。セルロースナノファイバーが1質量%となるよう水で調整し、CNF−Bを得た。得られたセルロース繊維は平均繊維径50nmであった。
製造例1で作成したセルロースAを増幸産業製グラインダーで1回処理した。セルロースナノファイバーが1質量%となるよう水で調整し、CNF−Cを得た。得られたセルロース繊維は平均繊維径150nmであった。
(C2,C3位の水酸基のプロピオネート化)
無水プロピオン酸/ピリジン(モル比1/1)溶液500質量部に、凍結乾燥により乾燥した、製造例3で得られたCNF−Bの10質量部を添加して分散させ、室温で3時間攪拌した。次に分散した繊維を濾過し、500質量部の水で3回水洗した後、200質量部のエタノールで2回洗浄した。さらに、500質量部の水で2回水洗を行った後、固形分濃度が2質量%になるように純水で調整することで、C2,C3位の水酸基のプロピオネート化したセルロースナノファイバーを製造した。このように、CNF−BのC2,C3位の水酸基をプロピオネート化したセルロースナノファイバーをCNF−B1(ゲル状)とした。
表1記載の試料No.18、19をメチルエチルケトン溶媒へ膜分離方法で徐々に置換してセルロースナノファイバーの濃度が2質量%になるように溶媒置換をおこなった。
(1.1)表面修飾シリカ微粒子1の作製
平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200(A−200)を大気下で200℃、1時間加熱した。加熱後に得られた粉体30gを乾燥窒素下で攪拌しながら、その粉体に対しテトラエトキシシランを12g加えた。その後、ヘキサメチルジシラザンを加えた粉体を200℃で30分間加熱し、これに引き続き室温まで冷却し、シリカ「表面修飾シリカ微粒子1」を得た。
テトラエトキシシラン30gをエタノール2700gと水300gの混合溶液に添加し、攪拌を行った。そこに酢酸15gを添加し、10分攪拌した。この混合溶液に平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200(A−200)を15g添加し、室温で1時間攪拌した後、100℃で1時間、還流攪拌した。この混合溶液を8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。回収した粒子は、さらにエタノール1000gで酢酸、未反応のテトラエトキシシランを洗浄し、もう一度8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。この操作を3回繰り返し、酢酸、未反応のテトラエトキシシランをよく洗浄できたら、回収した粒子を150℃、2時間オーブンで乾燥し、これに引き続き室温まで冷却した。その結果、「表面修飾シリカ微粒子2」を得た。
セルロースの水酸基と反応するアミノ基を有するシランカップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシラン30gをエタノール2700gと水300gの混合溶液に添加し、攪拌を行った。そこに酢酸15gを添加し、10分攪拌した。この混合溶液に平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200を15g添加し、室温で1時間攪拌した後、100℃で1時間、還流攪拌した。この混合溶液を8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。回収した粒子は、さらにエタノール1000gで酢酸、未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシランを洗浄し、もう一度8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。この操作を3回繰り返し、酢酸、未反応の3−アミノプロピルトリエトキシシランをよく洗浄できたら、回収した粒子を150℃、2時間オーブンで乾燥し、これに引き続き室温まで冷却した。その結果、「表面修飾シリカ微粒子3」を得た。
セルロースの水酸基と反応するエポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキピロピルトリメトキシシラン30gをエタノール2700gと水300gの混合溶液に添加し、攪拌を行った。そこに酢酸15gを添加し、10分攪拌した。この混合溶液に平均粒径12nmのアエロジル社製シリカAEROSIL200を15g添加し、室温で1時間攪拌した後、100℃で1時間、還流攪拌した。この混合溶液を8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。回収した粒子は、さらにエタノール1000gで酢酸、未反応の3−グリシドキピロピルトリメトキシシランを洗浄し、もう一度8000rpm30分で遠心分離し、沈降した粒子を回収した。この操作を3回繰り返し、酢酸、未反応の3−グリシドキプロピルトリメトキシシランをよく洗浄できたら、回収した粒子を150℃、2時間オーブンで乾燥し、これに引き続き室温まで冷却した。その結果、「表面修飾シリカ微粒子4」を得た。
〈溶融製膜方法(試料No.1〜No.17)〉
表1に示したセルロース繊維の固形分で100質量部を、(株)松井製作所製除湿熱風式乾燥機により熱風温度150℃、露点−36℃で乾燥したあと、可塑剤P−1:8質量部、酸化防止剤A−1:1質量部、A−2:0.5質量部、シリカ微粒子を有する場合は、さらに表1記載のシリカ微粒子:20質量部と一緒にV型タンブラーで30分間混合した。
(酸化防止剤)A−1:IRGANOX−1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
A−2:スミライザーGP(住友化学(株))
引き続き、下記のカレンダー処理を行った。
得られたフィルムまたは不織布シートを、由利ロール社製ロールプレス装置を使用して、カレンダー処理を施した。上部下部ともに金属ロールで、ロール温度として200℃に設定して、線圧0.5トンで2m/minの走行速度でカレンダー処理を行った。
製造例3で得たCNF−A1 100質量部(固形分)をメチルエチルケトン(MEK)で1質量%になるように希釈し、表1記載の表面修飾シリカ微粒子20質量部を添加し、よく撹拌した。
上記で得たウェブを、85℃の乾燥ゾーンをロール搬送しながら乾燥させ、残留溶媒量が35質量%未満となったところで、予熱後、ロール速度差によりフィルム搬送方向に延伸(長手延伸)し、次いでテンター式延伸機に導き、フィルム搬送方向に直交する方向に延伸(幅手延伸)した。延伸倍率は長手延伸1.5倍、幅手延伸1.5倍とした。
セルロース10重量%、NH3 6.5重量%、Cu3.6重量%を含むセルロースの銅アンモニア原液に、セルロース濃度が3.3重量%、セルロースのグルコース1残基に対し、2.7残基のシリカ含量(セルロース100重量部とシリカ20重量部)になるように14%アンモニア水、水ガラス(SiO2として、約35%)を混合して調節した。
〈アセチル化セルロースとシリカ微粒子〉
下記のアセチル化セルロースを原料ポリマーとして用いた。
〈添加剤〉
添加剤として下記材料を使用した。
P−1:トリメチロールプロパントリベンゾエート
(酸化防止剤)
A−1:IRGANOX−1010(チバスペシャルティケミカルズ社製)
A−2:スミライザーGP(住友化学(株))
〈セルロースナノファイバーを含有するマスターバッチの作製〉
上記アセチル化セルロースC−1:100質量部、可塑剤P−1:8質量部、酸化防止剤A−1:1質量部、A−2:0.5質量部、
多孔質シリカ粒子として平均粒径2.8μm、細孔容積Vが0.9ml/g、20質量部をV型タンブラーで30分間混合したあと、オートマチック社二軸スクリュー混練押出し機ZCM53/60の第1供給口から100kg/hrで供給した。C−1は130℃で12時間真空乾燥してから使用した。上記セルロースナノファイバーCNF−Cを同混練押出し機の第2供給口(第1供給口より下流側にある)から23kg/hrで供給した。スクリューデザインはニーディングディスクを多めにして混練効果が強く出るようにした。スクリュー回転数は500rpm、バレルからダイまでの温度設定は180℃から250℃で、先端近傍にはベント口を設け、揮発分を除去した。ダイはストランドダイで、吐出したストランドは冷却水中に誘導し、ペレタイザーでカットして、径3mm、長さ3mm程度のペレットに成形した。このペレットを前記溶融製膜方法で製膜した。
水酸化リチウム4.6wt%と尿素15wt%とを含む水溶液100gを−12℃に冷却し、これにろ紙パルプ(純粋なセルロース:アドバンテック東洋製)2g、平均粒径2.8μm、細孔容積Vが0.9ml/gの多孔質シリカ粒子2gを加えて攪拌するとセルロースは速やかに溶解し透明な溶液を得た。
製造例3で得られたセルロースナノファイバーBのC2,C3位の水酸基をプロピオネート化したCNF−B1を、120℃、2MPaで3分ホットプレスし、厚さ約50μmの、BCシート(含水率0重量%)を得た。
下記に記載の測定方法で、フィルムの光線透過率、熱線膨張係数、黄変色、破断伸度を評価した。
(1)光線透過率の測定(透明性評価)
分光光度計UV−2500PC:島津製作所製を用いて可視光線の入射光量に対する全透過光量を測定した。その550nmの測定結果を下記表1に示す。
成形体について、40〜200℃の範囲内で温度を変化させ、熱線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツルメンツ)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いた。試験片は、長さは2cm、幅2mmで行った。
温度可変式引張試験機(「島津オートグラフAGS−100D」;島津製作所製)を用い、幅10mmに切り取った試験片を、23℃、チャック間距離50mm、引張速度50mm/分の条件で引っ張って、破断に至るまでの伸び率を求めた。岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスター(SUV−W151)を用いてメタハラ(紫外線)強制劣化テスト(温度:63℃、湿度:50%、照射強度:100mW/cm2、連続200時間投入)後の結果を劣化後/劣化前×100%で表1に記載した。
黄変色の評価は、バリアフィルム試験片について、岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスター(SUV−W151)を用いてメタハラ強制劣化テスト(温度:63℃、湿度:50%、照射強度:100mW/cm2、連続200時間投入)後、紫外線による劣化を目視で確認して行った。
下記の基準で評価した。
△:やや黄色みを帯びている
×:黄色である
試料1〜23の評価結果を表1に示す。
Claims (4)
- 平均繊維径が2nm〜200nmのセルロースナノファイバーと、表面修飾されたシリカ微粒子と、を有するセルロースナノファイバーフィルムにおいて、
前記表面修飾されたシリカ微粒子が、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基およびアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種を末端に有するシランカップリング剤により表面修飾されており、
前記セルロースナノファイバーと、前記表面修飾されたシリカ微粒子とが結合されている、セルロースナノファイバーフィルム。 - 前記セルロースナノファイバーの水酸基の一部がエステル化されている、請求項1に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
- 前記セルロースナノファイバーのエステル化の置換度が0.5〜2.5であり、かつ結晶化度が30〜90%である、請求項2に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
- 前記表面修飾されたシリカ微粒子の円換算平均粒子径が5nm以上100nm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーフィルム。
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