JP2012167202A - 複合樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の複合樹脂組成物は、平均直径が3〜400nmであるセルロースナノファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂組成物であって、前記樹脂の屈折率と前記セルロースナノファイバーの屈折率の差の絶対値が0.02以下であることを特徴とする。本発明の成形体は、先に記載の複合樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
かかる機械的強度に加えて、近年では透明性を有する樹脂構造体が求められている。
(2)本発明の複合樹脂組成物は、さらに1種以上の着色剤を含有することが好ましい。
(3)本発明の複合樹脂組成物は、前記1種以上の着色剤のうち、少なくとも1種は光沢粒子であることが好ましい。
(4)本発明の複合樹脂組成物は、前記セルロースナノファイバーの水酸基が修飾基により化学修飾されていることが好ましい。
(5)本発明の複合樹脂組成物は、前記セルロースナノファイバーは、θの範囲を0〜30とするX線回折パターンが、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークと、20≦θ≦24に1つのピークとを有し、他にはピークを有さないことが好ましい。
(6)本発明の複合樹脂組成物は、前記樹脂がポリカーボネート樹脂、又はアクリル樹脂であるであることが好ましい。
(7)本発明の複合樹脂組成物は、前記樹脂がポリカーボネート樹脂であり、さらに光沢粒子を含有することが好ましい。
(8)本発明の成形体は、先に記載の複合樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明の成形体によれば、環境負荷が小さく、従来にない透明化度と強度との両立が可能となる。
前記(B)セルロースナノファイバーは、射出成形時に無駄になった樹脂を油化、リペレット化して再利用することができる。一方、ガラスファイバーや炭素ファイバーを含有する樹脂においては、性能劣化してしまうため再利用することが困難であり、油化時に残渣として残り処理が問題となっていた。
このように、前記(B)セルロースナノファイバーを含有することは、二酸化炭素排出量の削減にもつながり、環境に負荷をかけない点で優れている。
アスペクト比が上記範囲内の場合、前記セルロースナノファイバーは、分子同士の絡まりや網目構造が強固となり、成形体の機械的強度がより向上する。
セルロースの化学的処理としては、N-メチルモルフォリン-N-オキシド(NMMO)法、銅アンモニア溶液法、イオン液体法等を利用することができる。
イオン液体のみで繊維原料を解繊処理することも出来るが、溶解力が高すぎで微細繊維まで溶解してしまうおそれがある場合、有機溶媒を添加して使用することが好ましい。
添加する有機溶媒種はイオン液体との相溶性、セルロースとの親和性、混合溶媒の溶解性、粘度などを考慮し適宜選択すればよいが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキサイド、アセトニトリル、メタノール、エタノールの内のいずれかの一種以上を使用することが好ましい。これらの有機溶媒の共存により(B)セルロースナノファイバーの結晶化度を調節しやすく、屈折率を制御しやすい。
前記(B)セルロースナノファイバー中の全体の水酸基のうち、修飾基により化学修飾される割合は、0.01%〜50%であることが好ましく、10%〜20%であることがより好ましい。
エーテル化剤としては、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化アルキル;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸ジアルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の硫酸ジアルキル;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等が好ましい。また、アルキルエーテル化に限定されるものではなく、ベンジルブロマイド等によるエーテル化やシリルエーテル化等も好ましい。例えばシリルエーテル化剤としては、アルコキシシランが挙げられ、より具体的にはn−ブトキシトリメチルシラン、tert−ブトキシトリメチルシラン、sec−ブトキシトリメチルシラン、イソブトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、オクチルジメチルエトキシシラン又はシクロヘキシルオキシトリメチルシランのようなアルコキシシラン;ブトキシポリジメチルシロキサンのようなアルコキシシロキサン;ヘキサメチルジシラザンやテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザンのようなシラザンが挙げられる。また、トリメチルシリルクロライド、ジフェニルブチルクロライド等のシリルハライド;t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート等のシリルトリフルオロメタンスルホネートも使用できる。
エステル化剤としては、ヘテロ原子を含んでも良いカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物が挙げられ、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体が好ましく、酢酸、無水酢酸、無水酪酸がより好ましい。
エーテル化、エステル化の中でも、アルキルエーテル化、アルキルシリル化、アルキルエステル化が、樹脂への分散性を向上させるために好ましい。
SP値が8〜13の有機溶媒としては、酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、キシレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、ジブチルフタレート、アセトン、2−プロパノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、エタノール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、二硫化炭素、ピリジン、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ブタノール、ニトロメタン等が挙げられる。
0.1質量%以上とすることで、樹脂の機械的強度がより向上し、90質量%以下とすることで、流動性がより向上する。
ポリカーボネート樹脂は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、前記芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を重合して得られる重合体と他の重合体との共重合体であってもよい。
前記ポリカーボネート樹脂は、従来公知の方法で製造できる。例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法などの種々の方法が挙げられる。
無機顔料としては、ルチル型、アナターゼ型、又は含水金属酸化物、若しくは有機化合物による表面処理などが施された酸化チタン(二酸化チタン);カルサイト・アラゴナイト・バテライトなどの結晶構造を持つ炭酸カルシウム;カーボンブラック;アルミフレーク;雲母(マイカ);カドミウムレッド;カドミウムイエロ−等の硫化物系顔料;群青等の珪酸塩系顔料;亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロ−、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリ−ン、コバルトグリ−ン、コバルトブル−、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデ−トオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青等のフェロシアン系顔料等が挙げられる。
また、有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニンブル−、銅フタロシアニングリ−ン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロ−等のアゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料等が挙げられる。
かかる光沢粒子は、着色剤におけるメタリック調成分である。該光沢粒子としては、マイカ、金属粒子、金属硫化物粒子、表面を金属若しくは金属酸化物で被覆された粒子、又は表面を金属若しくは金属酸化物で被覆されたガラスフレークを挙げることができる。
金属粒子の具体例としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属粉末を挙げることができる。
表面を金属若しくは金属酸化物で被覆された粒子の具体例としては、酸化チタンで被覆された雲母チタン、三塩化ビスマスで被覆された雲母のような金属酸化被膜雲母系のものを挙げることができる。
金属硫化物粒子の具体例としては、硫化ニッケル、硫化コバルト、硫化マンガン等の金属硫化物粉末を挙げることができる。
表面を金属若しくは金属酸化物で被覆したガラスフレークに用いられる金属としては、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、銅、クロム、錫、チタン、ケイ素等を挙げることができる。
光沢粒子の体積平均粒径は0.1μm〜300μm程度が好ましい。
上記光沢粒子の配合量は、(A)樹脂と(B)セルロースナノファイバーとの総量100質量%に対して、0.01〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5.0質量%である。光沢粒子の配合量を0.01質量%以上とすることにより、メタリック調外観がより明確に形成され、10質量%以下とすることにより、光沢粒子自身の表面に浮き出る量が多くなるのを防止し、前記外観がより良好となる。
フィラーとしては、例えばカーボン繊維、ガラスファイバー、セルロースナノファイバー以外のセルロース繊維、クレー、酸化チタン、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、マイカ、モンモリロナイト、硫酸バリウム、バルーンフィラー、ビーズフィラー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
尚、上記酸化チタン、炭酸カルシウム、マイカ等は、着色剤を兼ねて用いてもよい。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、窒素系難燃剤、金属水酸化物、リン系難燃剤、有機アルカリ金属塩、有機アルカリ土類金属塩、シリコーン系難燃剤、膨張性黒鉛などを使用できる。
難燃助剤としては、ポリフルオロオレフィン、酸化アンチモン等などを使用できる。
酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤などを使用できる。
離型剤としては、高級アルコール、カルボン酸エステル、ポリオレフィンワックス及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
分散剤としては、(B)セルロースナノファイバーが樹脂に分散できるものであればよく、アニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性の界面活性剤、高分子型分散剤、並びにこれらの併用が挙げられる。
また、本発明の成形体は、前記(B)セルロースナノファイバーを含有するため、耐熱性においても優れている。前記成形体としては特に限定されないが、医療機器、音響機器等に用いられる。特に強度が求められるカメラ用鏡体、鏡枠に好適に用いられる。
ろ紙をハサミで3mm角に切断したもの2gを200mlのフラスコビーカーに入れ、さらにN,N−ジメチルアセトアミド50mlとイオン液体塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム50gを加え、攪拌した。次にこれをろ過し、セルロースナノファイバー(CNF)を得た。このCNFをエステル化剤として無水酢酸を用いてアセチル化し、アセチル化CNFを得た(A−CNF)。このとき得られたA−CNFの平均直径は50nmであり、修飾率は10%、屈折率1.57であった。次に、予めジクロロメタンに溶解させたポリカーボネート(PC;帝人化成株式会社製:パンライト L−1225L、屈折率1.58)と、A−CNFとをジクロロメタン中に混合し、乾燥させ、A−CNFを含有するPC複合樹脂組成物を得た。
攪拌時間を半分とした以外は実施例1と同様の手順でA−CNFを作製した。このとき得られたA−CNFの平均直径は250nmであり、修飾率は10%、屈折率1.56であった。次に、実施例1と同様の方法により、A−CNFを含有するPC複合樹脂組成物を得た。
無水酢酸の代わりに、シリルエーテル化剤としてヘキサメチルジシラザンを加えた以外は、実施例1と同様の手順でシリル化CNFを得た(S−CNF)。このとき得られたS−CNFの平均直径は50nmであり、修飾率は18%、屈折率1.58であった。次に、実施例1と同様の方法により、S−CNFを含有するPC複合樹脂組成物を得た。
ナタデココ(株式会社フジッコ製、平均重合度:3000以上、平均直径:70nm)を乾燥して得られたバクテリアセルロースを使用し、無水酢酸にてアセチル化し、A−CNFを得た。このとき得られたA−CNFの修飾率は10%、屈折率1.56であった。次に、実施例1と同様の方法により、A−CNFを含有するPC複合樹脂組成物を得た。
攪拌時間を1/4、イオン液体塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムの量を60gとした以外は実施例1と同様の手順でA−CNFを作製した。このとき得られたA−CNFの平均直径は400nmであり、修飾率は10%、屈折率1.51であった。次に、予めジクロロメタンに溶解させたアクリル樹脂(PMMA;三菱レイヨン株式会社製:アクリペット MD001、屈折率1.49)と、A−CNFとをジクロロメタン中に混合し、乾燥させ、A−CNFを含有するPMMA複合樹脂組成物を得た。
攪拌時間を1/4、イオン液体塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムの量を50gとしたとした以外は実施例1と同様の手順でA−CNFを作製した。このとき得られたA−CNFの平均直径は900nmであり、修飾率は10%、屈折率1.55であった。次に、実施例1と同様の方法により、A−CNFを含有するPC複合樹脂組成物を得た。
ガラス繊維(GF;平均直径10μm、屈折率1.55)を使用し、実施例1と同様の手順でGFを含有するPC複合樹脂組成物を得た。
(1)屈折率
JIS K 7142に規定された方法に従って測定した。
各実施例及び各比較例の平均直径についてSEM解析により評価した。
詳細には、各種ファイバー分散液をウェーハ上にキャストしてSEM観察し、得られた1枚の画像当たり20本以上の繊維について直径を読み取り、これを少なくとも3枚の重複しない領域の画像について行い、最低30本の繊維の直径の情報を得た。
以上により得られた繊維の直径のデータから平均直径を算出した。
複合樹脂組成物を用いて、厚さ20μm、セルロースナノファイバー(比較例2についてはGFを)2wt%含有の樹脂フィルムを作製し、株式会社島津製作所製のUV3600を用いて600nmにおける透過率を測定した。
各実施例及び各比較例のファイバーの結晶構造を粉末X線回折装置Rigaku Ultima IVを用いて分析した。X線回折パターンが、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークと、20≦θ≦24に1つのピークとを有し、他にはピークを有さない場合には○、そうでない場合には×と判定した。
水酸基の修飾率は元素分析により得られた炭素、水素、酸素の元素割合から、修飾率を算出した。
JIS K 7017に規定された方法に従って測定した。
(1) 成形性
得られたセルロースナノファイバー含有複合樹脂組成物を熱溶融させ成形し、成形状態を目視で判断した。成形性が良い場合には○、成形性が悪い場合には×と判定した。
(2) 表面外観
光沢粒子着色剤(アルミニウム)添加後の樹脂性形体の表面外観を目視観察して本発明の目的とする銀河調またはメタリック調外観であるか、そうでない(石目調外観)かを判断した。メタリック調外観の場合には○、石目調外観の場合には×と判定した。
Claims (8)
- 平均直径が3〜400nmであるセルロースナノファイバーを樹脂中に含有する複合樹脂組成物であって、前記樹脂の屈折率と前記セルロースナノファイバーの屈折率の差の絶対値が0.02以下であることを特徴とする複合樹脂組成物。
- さらに1種以上の着色剤を含有する請求項1に記載の複合樹脂組成物。
- 前記1種以上の着色剤のうち、少なくとも1種は光沢粒子である請求項2に記載の複合樹脂組成物。
- 前記セルロースナノファイバーの水酸基が修飾基により化学修飾されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記セルロースナノファイバーは、θの範囲を0〜30とするX線回折パターンが、14≦θ≦18に1つ又は2つのピークと、20≦θ≦24に1つのピークとを有し、他にはピークを有さない請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記樹脂がポリカーボネート樹脂、又はアクリル樹脂である請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記樹脂がポリカーボネート樹脂であり、さらに光沢粒子を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
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