以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るカラープリンター100の構成を示す概略図である。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、ここではアルミドラムの外周面にa−Si感光層が形成されたa−Si感光体が用いられている。さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラー9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。例えば感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、感光体ドラム1aに対し中間転写ベルト8の回転方向上流側には中間転写ベルト8を挟んでテンションローラー11に対向するベルトクリーニングユニット19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置5a〜5dが設けられている。
以下、図2を用いて画像形成部Paについて詳細に説明するが、画像形成部Pb〜Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。図2に示すように、感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図1の反時計回り方向)に沿って帯電器2a、現像装置3a、クリーニング装置5aが配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラー6aが配置されている。
帯電装置2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラー22と、帯電ローラー22をクリーニングするための帯電クリーニングローラー23とを有している。帯電ローラー22は、金属製のシャフトの外周面に、エピクロルヒドリンゴム等の導電性材料で形成されたローラー体が形成された構成である。
現像装置3aは、2本の攪拌搬送スクリュー24と、磁気ローラー25と、現像ローラー26とを有しており、現像ローラー26にトナーと同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。
クリーニング装置5aは、クリーニングローラー27、クリーニングブレード28、及び回収スクリュー29を有している。クリーニングローラー27は感光体ドラム1aに所定の圧力で圧接されており、図示しない駆動手段により感光体ドラム1aとの当接面において同一方向に回転駆動されるが、その周速は感光体ドラム1aの周速よりも速く(ここでは1.2倍)制御されている。クリーニングローラー27としては、例えば金属シャフトの周囲にローラー体としてEPDMゴム製でアスカC硬度55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラー体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカC硬度が10〜90°の範囲のものが好適に使用される。
感光体ドラム1a表面の、クリーニングローラー27との当接面よりも回転方向下流側には、クリーニングブレード28が感光体ドラム1aに当接した状態で固定されている。クリーニングブレード28としては、例えばJIS硬度が78°のポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード28の材質及び硬度、寸法、感光体ドラム1aへの食い込み量及び圧接力等は、感光体ドラム1aの仕様に応じて適宜設定される。
クリーニングローラー27及びクリーニングブレード28によって感光体ドラム1a表面から除去された残留トナーは、回収スクリュー29の回転に伴ってクリーニング装置5aの外部に排出され、トナー回収容器(図示せず)に搬送されて貯留される。本発明に用いられるトナーとしては、トナー粒子表面に研磨剤としてシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨剤がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。
ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラーを備え、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dの現像ローラー26により感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置5a〜5dにより除去され、除電ランプ(図示せず)によって残留電荷が除去される。
中間転写ベルト8は、従動ローラー10、駆動ローラー11を含む複数の懸架ローラーに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、中間転写ベルト8と二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)において転写紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラー対15を逆回転させることにより分岐部14で反転搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラー対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
次に、本発明の画像形成装置の制御経路について説明する。図3は、本発明の第1実施形態のカラープリンター100に用いられる制御手段の一実施形態を説明するためのブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分について重点的に説明する。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、カラープリンター100本体内部の任意の場所に配置可能である。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。カウンター95は、印字枚数をカウントする。なお、カウンター95を別途設けなくても、例えばRAM93で印字枚数を記憶するようにしてもよい。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や、入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。本実施形態における制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光ユニット4、一次転写ローラー6a〜6d、定着部7、二次転写ローラー9、画像入力部40、バイアス制御回路41、操作部50等が挙げられる。
画像入力部40は、パーソナルコンピューター等からカラープリンター100に送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、転写バイアス電源44、及びクリーニングバイアス電源45と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源42〜45を作動させるものである。これらの各電源42〜45は、バイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電バイアス電源42は帯電装置2a〜2d内の帯電ローラー22に、現像バイアス電源43は現像装置3a〜3d内の磁気ローラー27及び現像ローラー29に、転写バイアス電源44は一次転写ローラー6a〜6d及び二次転写ローラー9に、クリーニングバイアス電源45はクリーニング装置5a〜5d内のクリーニングローラー27に、それぞれ所定のバイアスを印加する。
操作部50には、液晶表示部51、各種の状態を示すLED52が設けられており、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパーソナルコンピューターのプリンタードライバーから行われる。
その他、操作部50には、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
機内温度センサー97aは、カラープリンター100内部の温度、特に感光体ドラム1a〜1dの表面若しくは周辺の温度を検知するものであり、画像形成部Pa〜Pdの近傍に配置される。機外温度センサー97bは、カラープリンター100外部の温度を検知するものであり、機外湿度センサー98は、カラープリンター100外部の湿度を検知するものである。機外温度センサー97b、機外湿度センサー98は、例えば発熱部分の影響を受けにくい図1の用紙カセット16側方の吸気ダクト(図示せず)近辺に設置されるが、カラープリンター100外部の温度或いは湿度を正確に検出可能な他の場所に設置することもできる。
本実施形態のカラープリンター100は、非画像形成時、例えば、カラープリンター100を電源オフ状態やスリープ(省電力)モードから印字開始状態まで立ち上げる際に、感光体ドラム1a〜1dに接触する帯電ローラー22に交流(AC)バイアスを印加して感光体ドラム1a〜1dの表面を昇温させる昇温モードを実行可能としている。
帯電ローラー22を構成する金属製のシャフトとエピクロルヒドリンゴム等の導電性材料で形成されたローラー体とは電気抵抗の差が大きい。そのため、帯電ローラー22に交流バイアスを印加することで、シャフトとローラー体との間、或いはローラー体内部で発熱が生じる。帯電ローラー22で発生した熱は感光体ドラム1a〜1dに伝導され、感光体ドラム1a〜1dの表面を昇温させる。
また、感光体ドラム1a〜1dの表面が昇温する原理については以下のようも考えられる。帯電ローラー22及び感光体ドラム1a〜1dは誘電体である。これらの関係は、図4に示すようなコンデンサーと抵抗の等価回路で表される。誘電体に電界を印加すると、誘電体内部に存在する電子やイオンなどが分極して正負の極性双極子が電界の方向に向きを揃えようとする。1秒間に何百万回も極性が入れ替わる数Hz〜数百MHzの高周波交流の電界中では、電界の反転に追従しようとする双極子の激しい運動による摩擦が発熱を生みだす。
例えば、図4のような感光体ドラム1a〜1dと帯電ローラー22の等価回路において、印加する交流バイアスをE、周波数をf、系全体の抵抗をR、静電容量をCとすると、印加バイアスEと同位相であるIrについて、P=E×Irの発熱が起こる。
ここで角周波数ω=2πf、|Ir(jω)|/|Ic(jω)|=tanδとおくと、tanδ=1/(2πf・CR)、1/R=2πf・C・tanδとなる。従って、発熱する電力P=E・|Ir(jω)|=E^2/R=E^2・(2πf・C・tanδ)となる。このことより、昇温は印加バイアスEの2乗、周波数f、静電容量Cに比例するといえる。
この構成により、感光体ドラム1a〜1d自体が昇温するので、感光体ドラム1a〜1dの内部や外部にヒーターを配置する方法に比べて、感光体ドラム周辺の雰囲気(空気)など余分なものまで加熱するエネルギーが不要であり、効率的な昇温が可能となる。なお、帯電ローラー22に印加するバイアスが直流(DC)バイアスである場合は昇温効果がないか、或いは極めて小さいため、交流バイアスを印加する必要がある。
次に、感光体ドラム1a〜1dの回転駆動の有無と感光体ドラム1a〜1dの昇温効果との関係について調査した。図1に示したようなタンデム型のカラープリンター100において、感光体ドラム1a〜1dとして外径30mm、厚さ2mmのアルミ素管の表面にa−Si感光層を積層したa−Si感光体を用い、外径12mm、肉厚2mmの帯電ローラー22を接触させた。このときの感光体ドラム−帯電ローラー系全体の静電容量Cは600pF、抵抗Rは1.3MΩであった。
また、昇温モード中に帯電ローラー22に印加する帯電バイアスとして、350Vの直流バイアス(Vdc)に、ピークツーピーク値(Vpp)=1600Vの交流バイアスを重畳したバイアスを設定した。なお、印字動作中に帯電ローラー22に印加する帯電バイアスとして、400Vの直流バイアス(Vdc)に、ピークツーピーク値(Vpp)=1200V、周波数2300Hzの交流バイアスを重畳したバイアスを設定した。
そして、28℃、80%RHの環境下、感光体ドラム1a〜1dを印字動作中と同一線速(157mm/sec)で回転駆動させた状態と、感光体ドラム1a〜1dを印字動作中の1/2の線速(78.5mm/sec)で回転駆動させた状態と、感光体ドラム1a〜1dを停止させた状態とで昇温モードを実行したときの、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量の変化を測定した。結果を図5に示す。
図5に示すように、感光体ドラム1a〜1dを停止させた状態で昇温モードを実行した場合(図5の太線)は、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量は5分間で4.0deg以上であった。一方、感光体ドラム1a〜1dを印字動作中の1/2の線速で回転させた状態で昇温モードを実行した場合(図5の破線)は、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量は5分間で2.5degであり、感光体ドラム1a〜1dを印字動作中と同一線速で回転させた状態で昇温モードを実行した場合(図5の実線)は、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量は5分間で1.5degであった。これは、感光体ドラム1a〜1dを回転させながら帯電ローラー22に交流バイアスを印加すると、感光体ドラム1a〜1d周りに発生する気流により感光体ドラム1a〜1dが冷却されてしまい昇温効率が低下するためであると考えられる。
しかし、感光体ドラム1a〜1dの回転を停止した状態で帯電ローラー21にバイアスを印加すると、感光体ドラム1a〜1d表面の帯電ローラー21に接触する部分に放電が集中することにより、画像形成時にその部分の電位が他の部分と比べて電位の低い状態となる。その結果、出力画像に感光体ドラム1a〜1dの軸方向の筋が発生して画像不良となるおそれがある。
そこで、昇温モード中に感光体ドラム1a〜1dを画像形成時よりも低速で回転させながら帯電ローラー21にバイアスを印加することで、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温効率を低下させることなく、筋状の画像不良の発生も抑制することができる。昇温モード中における感光体ドラム1a〜1dの回転速度は、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温効率を極力低下させないようにするために、画像形成時よりも十分に低速であることが好ましい。
次に、帯電ローラー22に印加する交流バイアスのファクターと感光体ドラム1a〜1dの昇温効果との関係について調査した。カラープリンター100の感光体ドラム1a〜1d、帯電ローラー22の仕様は上記と同様とした。また、昇温モード中及び印字動作中に帯電ローラー22に印加する帯電バイアスも上記と同様とした。
そして、28℃、80%RHの環境下、感光体ドラム1a〜1dを停止させた状態で昇温モードを実行し、帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを2400〜5000Hzの範囲で変化させたときの感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量の変化を測定した。結果を図6に示す。なお、図6中、周波数fが2400Hzの昇温量を実線で、周波数fが3000Hzの昇温量を破線で、周波数fが4000Hzの昇温量を点線で、周波数fが5000Hzの昇温量を太線でそれぞれ示す。
図6から明らかなように、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量は帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fが高くなるほど大きくなる。画像流れの発生しない相対湿度は70%以下であることが知られており、28℃、80%RH環境下で相対湿度を70%以下に下げるためには、感光体ドラム1a〜1dの表面温度を30.2℃以上に昇温する必要がある。
そこで、昇温量の目標値を(30.2−28.0)=2.2(deg)と設定すると、昇温の所要時間は、図6から周波数fが5000Hzのとき2.8分、4000Hzのとき4.2分、3000Hz以下のとき5分以上であることがわかる。通常、カラープリンター100のウォームアップの所要時間は5分程度に設定されるため、28℃、80%RH環境下では周波数fを4000Hz以上とすることで感光体ドラム1a〜1dの表面温度をウォームアップの所要時間内に画像流れの発生しない温度まで昇温させることができる。
また、画像流れの防止に必要な感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量は、カラープリンター100の周囲環境(温湿度)によって変化する。そのため、予め周囲環境に対応した最適なバイアス印加時間を設定した環境補正テーブルをROM92(或いはRAM93)に記憶しておき、昇温モード実行時には感光体ドラム1a〜1d表面の水分を除去するのに必要最低限の時間だけ交流バイアスの印加を継続することにより、ユーザーの待ち時間を極力短縮して画像形成効率を最大限に高めることができる。
なお、ここでは記載しないが、周波数fを印字動作中と同様の2300Hzに設定した場合は十分な昇温効果が認められなかった。この結果より、帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを印字動作中よりも高くすることで感光体ドラム1a〜1dを効果的に昇温できることが確認された。
ところで、カラープリンター100で実行される昇温モードは、前述したように帯電ローラー22に交流バイアスを印加する状態が印字動作中とは異なり、感光体ドラム1a〜1dは印字動作中に比べて低速で回転している状態であり、放電領域が感光体ドラム1a〜1d表面の一定の範囲に集中し易い。その結果、帯電ローラー22に過度な交流バイアスを印加してしまうと、放電電荷の授受による感光層の静電破壊(絶縁破壊)が進行し、色点や色筋などの画像不良を引き起こしてしまうおそれがある。また、帯電ローラー22を形成する導電性材料の変質や劣化につながるおそれもある。従って、帯電ローラー22には適切な交流バイアスを印加する必要が生じる。
帯電ローラー22に印加する適切な交流バイアスのピークツーピーク値(Vpp)を設定するために、図5と同様の試験条件で、帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを3000Hzと5000Hzに変化させるとともに、Vppを1000〜1600Vの範囲で変化させたときの感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量の変化を測定した。結果を図7に示す。なお、図7中、周波数fを3000Hzとし、Vppを1000Vとしたときの昇温量を実線、1200Vとしたときの昇温量を点線、1600Vとしたときの昇温量を破線で示す。また、周波数fを5000Hzとし、Vppを1200Vとしたときの昇温量を一点鎖線で、1600Vとしたときの昇温量を太線で示す。
図7から明らかなように、帯電ローラー22に印加する交流バイアスのVppによって感光体ドラム1a〜1d表面の昇温特性は変化し、Vppが1200Vの交流バイアスを印加することで、Vppが1600Vの交流バイアスを印加した場合と同様の昇温効果を得ることができる。一方、Vppが1000Vの交流バイアスを印加した場合、昇温効果はほとんど現れていないことがわかる。このとき、昇温効果が認められた1200VのVppは、帯電ローラー22と感光体ドラム1a〜1dとの間の放電開始電圧Vthの2倍となっている。
なお、本明細書中でいう「放電開始電圧」とは、帯電ローラー22に直流バイアスを印加し、直流バイアスの電圧値を徐々に増加させたとき、帯電ローラー22と感光体ドラム1a〜1dとの間に放電が発生する電圧値を指すものとする。
即ち、放電開始電圧Vthの2倍以上のVppを有する交流バイアスを帯電ローラー22に印加する交流バイアス値として設定することによって、感光体ドラム1a〜1dの昇温を行うことができる。特に、交流バイアスのVppを放電開始電圧Vthの2倍に設定することで、安定した放電状態を維持しながら感光体ドラム1a〜1dの昇温を行うことができる。その結果、過度な電圧を印加することによる感光層へのダメージを最小限に抑えつつ、画像流れの発生を効果的に抑制することができる。
以上の結果をまとめると、昇温モードの実行時に、印字動作中よりも高い周波数を有し、且つ帯電ローラー22と感光体ドラム1a〜1dとの間の放電開始電圧Vthの2倍以上のVppを有する交流バイアスを帯電ローラー22に印加すれば良いことがわかる。
ここで、放電開始電圧Vthは、カラープリンター100の設置環境や帯電ローラー22の抵抗等によっても変化するため、感光体ドラム1a〜1dの昇温効率を一定に保つために、所定期間毎に放電開始電圧Vthを測定し、測定された放電開始電圧Vthに基づいて帯電ローラー22に印加する交流バイアスのVppを決定することが好ましい。また、Vppが同じであっても、周波数fが大きいほど感光体ドラム1a〜1dの昇温効果は高くなるため、周波数fを高めに設定して昇温時間(交流バイアス印加時間)を短縮し、感光層のダメージを低減することが好ましい。
放電開始電圧Vthは、例えば次のような方法によって測定される。交流バイアスのVppを増加させながら放電電流を測定すると、図8に示すように、放電電流はVppに比例して増加し、所定のVppまで達すると増加が止まり、放電電流値はほぼ一定値を示す。この放電電流の回折点となるVppが、放電開始電圧Vthの2倍となる。図8に示したような傾向は、放電電流値だけでなく、感光体ドラム1a〜1dの表面電位等でも同様の傾向を示すため、感光体ドラム1a〜1dの表面電位の変化に基づいて放電開始電圧Vthを測定することもできる。
なお、上記実施形態では、帯電ローラー22に交流バイアスを印加して昇温モードを実行しているが、交流バイアスを印加する部材は帯電ローラー22に限らず、感光体ドラム1a〜1dに接触する導電部材であれば良い。このような導電部材としては、クリーニングローラー27等が挙げられる。クリーニングローラー27への交流バイアスの印加はクリーニングバイアス電源45によって行われる。
また、帯電ローラー22のように印字動作中にバイアスを印加して使用する導電部材に印字動作中以外においてもバイアスを印加すると、導電部材の劣化が促進され、耐用期間を縮めるおそれがあるが、印字動作以外にバイアスを印加する導電部材として、クリーニングローラー27のように印字動作中にバイアスを印加しない部材を用いると、バイアスの印加による耐用期間の短縮を考慮する必要がなくなる。
ところで、感光体ドラム1a〜1dに接触している導電部材、例えば帯電ローラー22やクリーニングローラー27等は、金属製のシャフトに導電性材料で形成されたローラー体を接着剤で固定している場合が多く、高周波数の交流バイアスを印加すると接着剤が部分的に剥れ、帯電ムラを生じるおそれがある。そこで、金属製のシャフトとローラー体との固定に接着剤を用いていない帯電ローラー22やクリーニングローラー27を用いるようにすれば、高周波数の交流バイアスを印加したときに導電性材料とシャフトが剥れることなく、短時間で感光体ドラム1a〜1dを昇温させることができる。接着剤を用いずに金属製のシャフトとローラー体とを固定する方法としては、例えばローラー体にシャフトを圧入固定する方法が挙げられる。
次に、本発明の第2実施形態に係るカラープリンター100について説明する。カラープリンター100の構成や制御経路については図1〜図3に示した第1実施形態と同様である。本実施形態のカラープリンター100は、昇温モードにおいて帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを、カラープリンター100の使用環境(温湿度)に応じて変更する。
前述したように、交流バイアスの周波数fを大きくするほど感光体ドラム1a〜1dの昇温効果も高くなる。一方、周波数fを大きくすると、感光体ドラム1a〜1dの表面へ放電生成物が付着し易くなる。その結果、感光体ドラム1a〜1d表面の摩擦係数μが上昇し、クリーニングブレード28の捲れや摩擦音が発生する。
しかし、高温高湿環境下等の画像流れが発生しやすい環境においては、感光体ドラム1a〜1dを十分に昇温させて画像流れを抑制するとともに、ユーザーの待ち時間を短縮して利便性を向上させる必要がある。そこで、カラープリンター100内部の温度(機内温度)及び湿度(機内湿度)に基づいて帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを変更する。
図9は、相対湿度が60%、65%、70%、80%、90%、及び100%における機内温度(℃)と絶対湿度(g/cm3)との関係を示すグラフ(飽和水蒸気曲線)である。例えば、カラープリンター100が30℃、相対湿度80%の環境下に設置されているとすると、カラープリンター100内部の感光体ドラム1a〜1d付近も同様の環境になっていると考えられる。図9から、機内温度30℃、相対湿度80%での絶対湿度は24.3g/cm3である。
ここで、絶対湿度は空気中の水分量を表すから、機内温度が変化しても絶対湿度は変化しないものとすると、感光体ドラム1a〜1dの表面温度が上昇すると、図9の矢印で示すように相対湿度は低下する。例えば、感光体ドラム1a〜1dの表面温度が33.9℃まで上昇すると、相対湿度は65%となり、画像流れは発生しない。
機内温度をIT[℃]、機内相対湿度をIH[%RH]、感光体ドラム1a〜1dの表面温度をPT[℃]、感光体ドラム1a〜1d表面付近の相対湿度をPH[%RH]とすると、機内飽和水蒸気圧e(IT)、機内飽和水蒸気量a(IT)、機内絶対湿度A(IH)、感光体ドラム1a〜1d付近の飽和水蒸気圧e(PT)は、それぞれ次の式で表される。
e(IT)=6.1078*107.5*IT/(IT+237.3) [hPa]
a(IT)=217*e(IT)/(IT+273.15)[g/m3]
A(IH)=a(IT)*IH/100[g/m3]
e(PT)=6.1078*107.5*PT/(PT+237.3) [hPa]
図10は、感光体ドラム1a〜1d付近の相対湿度を65%以下に下げるのに必要な感光体ドラム1a〜1dの表面温度の昇温量を示すグラフである。なお、図10中、機内温度が10℃のときの必要昇温量を◇のデータ系列、20℃のときの必要昇温量を□のデータ系列、30℃のときの必要昇温量を△のデータ系列、40℃のときの必要昇温量を○のデータ系列で示す。
図10から明らかなように、機内温湿度条件によって必要昇温量が変わり、機内温度、機内相対湿度が高いほど必要昇温量は増加する。従って、図6に示したように、カラープリンター100の設置環境に応じて周波数fを変えるのが効果的である。具体的には、高温高湿環境下では周波数fを大きくすることで、感光体ドラム1a〜1dの昇温効果を高めるとともに、ユーザーの待ち時間を短縮することができる。一方、低温低湿環境下では周波数fを小さくすることで、感光体ドラム1a〜1d表面の摩擦係数μの上昇を抑制することができる。
機内温度は、機内温度センサー97aによって所定の時間毎に常に検出される。また、機内相対湿度は、機外と機内の絶対水分量(温度により決まる)が同じものであると見なした上で、機外湿度センサー98によって所定の時間毎に常に検出される機外湿度と機内温度から算出される。
なお、昇温モードにおける周波数の変更は、なるべく実行直前の検出温度及び湿度を用いて行うことが好ましいが、他のタイミングで検出した温湿度を用いて行ってもよい。また、所定の回数温湿度の検出を行い、各検出値の平均値を用いることもできる。
次に、本発明の第3実施形態に係るカラープリンター100について説明する。カラープリンター100の構成や制御経路については図1〜図3に示した第1実施形態と同様である。本実施形態のカラープリンター100は、昇温モードにおいて帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを、感光体ドラム1a〜1dの使用開始時からの累積印字枚数に応じて変更する。
一般に、a−Si感光体ドラムは、長期間の使用により感光層が酸化され、水分子や放電生成物をより吸着しやすくなる。また、帯電ローラー22中の配合剤も漏出してくる。そのため、感光体ドラム1a〜1dを含むドラムユニットの使用期間が長くなるにつれて画像流れの発生が顕著になり、使用初期に比べて画像流れの解消に時間を要する。
本実施形態では、カウンター95(図3参照)でカウントされた感光体ドラム1a〜1dの使用開始時からの累積印字枚数(耐久枚数)に応じて帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数を変化させることとした。これにより、ドラムユニットの耐用期間の終期においても短時間で画像流れを解消することができる。
通常、カラープリンター100のウォームアップ時間は5分程度に設定される。そこで、28℃、80%RHの環境下、帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを変化させて昇温モードを実行し、感光体ドラム1a〜1dの使用開始時からの各通電時間(累積印字枚数)に対して、5分以内に画像流れを解消できるか否かを調査した。
カラープリンター100の感光体ドラム1a〜1d、帯電ローラー22の仕様は第1実施形態と同様とした。また、昇温モード中に帯電ローラー22に印加する帯電バイアスは、第1実施形態と同様に直流バイアス(Vdc)を350V、交流バイアスのピークツーピーク値(Vpp)を1800Vとし、印字動作中に帯電ローラー22に印加する帯電バイアスも、第1実施形態と同様に直流バイアス(Vdc)を400V、交流バイアスのピークツーピーク値(Vpp)を1200V、周波数を2300Hzとした。結果を表1に示す。
表1に示すように、累積印字枚数が50k枚(50,000枚)までは周波数4000Hzの交流バイアスを印加することで5分以内に画像流れが解消された。その後、累積印字枚数が100k枚(100,000枚)、300k枚(300,000枚)、600k枚(600,000枚)と増加するにつれて、5分以内に画像流れを解消するために必要な交流バイアスの周波数も5000Hz、6000Hz、7000Hzに上昇した。
この結果より、感光体ドラム1a〜1dの使用初期においては周波数を小さく(4000Hz以下に)設定しておき、累積印字枚数の増加に応じて周波数を段階的に大きくすることで、感光体ドラム1a〜1dの耐用期間全体に亘って画像流れの発生を効果的に抑制しつつ、感光体ドラム1a〜1d表面の摩擦係数μの上昇を抑制し、且つウォームアップ時間を短縮することができる。
次に、本発明の第4実施形態に係るカラープリンター100について説明する。カラープリンター100の構成や制御経路については図1〜図3に示した第1実施形態と同様である。本実施形態のカラープリンター100は、昇温モードの実行時に、帯電ローラー22と感光体ドラム1a〜1dとの間で放電が発生しない高周波数の交流バイアスを帯電ローラー22に印加する。
図11は、帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを0〜12kHzまで変化させたときの感光体ドラム1a〜1dの表面電位V0の変化を示すグラフである。その他の試験条件は図5及び図6と同様とした。
また、交流バイアスの周波数fを4kHz〜10kHzまで変化させたときに感光体ドラム1a〜1d表面が目標温度(ここでは30.2℃)に到達するまでの時間と、感光体ドラム1a〜1d及び帯電ローラー22へのダメージとの関係を表2に示す。表2において、感光体ドラム1a〜1d及び帯電ローラー22へのダメージは、ハーフ画像出力時のローラー筋の発生レベルを目視により観察し、ローラー筋の発生が顕著であり実用上問題のあるレベルを×、ローラー筋の発生が認められるが実用上問題のないレベルを△、ローラー筋の発生が認められないレベルを○とした。
図11に示すように、帯電ローラー21に印加する交流バイアスの周波数fが1kHz〜8kHzまでは表面電位V0が230〜250Vと高く、周波数fが8kHz以上になるとV0が急激に低下していることがわかる。この理由は、帯電ローラー21を構成する導電性材料にはイオン導電剤が使用されており、交流バイアスの周波数fをある一定以上の高周波数に設定すると、導電性材料中のイオンが周波数fに追従して振動できなくなり、放電が発生しなくなるためである。
また、表2に示すように、周波数fが高くなるにつれて感光体ドラム1a〜1d表面の昇温スピードは速くなり、8kHz以上になると感光体1a〜1d及び帯電ローラー22へのダメージも低減されることが確認された。
そこで、本実施形態では、上記の周波数特性を利用して、帯電ローラー22と感光体ドラム1a〜1dとの間で放電が発生しない高周波数の交流バイアスを帯電ローラー22に印加することによって、電子やイオンの振動のみを引き起こして感光体ドラム1a〜1dの昇温を行うことができる。その結果、バイアスが一定箇所に集中することによる感光層へのダメージを最小限に抑えつつ、画像流れの発生を効果的に抑制することができる。
次に、本発明の第5実施形態に係るカラープリンター100について説明する。カラープリンター100の構成や制御経路については図1〜図3に示した第1実施形態と同様である。本実施形態のカラープリンター100は、昇温モードの実行時に、交流バイアスに加えて、帯電ローラー22と感光体ドラム1a〜1dとの間の放電開始電圧Vth以下の直流バイアスを帯電ローラー22に印加する。
図12及び図13は、それぞれ帯電ローラー22に印加する交流バイアスの周波数fを3000Hz、Vppを1600Vに固定し、直流バイアスVdcを0、350V、500Vの3段階に変化させたときの感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量の変化、及び耐久印字後の帯電ローラー22の体積抵抗値の変化を示すグラフである。その他の試験条件は図5及び図6と同様とした。
図12に示すように、感光体ドラム1a〜1d表面の昇温量は、交流バイアスの周波数f、Vppが一定であれば、直流バイアスVdcに係わらずほぼ一定であることが確認された。昇温量の目標値を(30.2−28.0)=2.2(deg)と設定すると、昇温の所要時間は直流バイアスVdcが0、350V、500Vのいずれの場合であっても約6分であることがわかる。
また、図13に示すように、直流バイアスVdcが高くなるにつれて耐久印字後の帯電ローラー22の体積抵抗値は上昇し、直流バイアスVdcを0とした場合は300k枚(300,000枚)印字後においても帯電ローラー22の体積抵抗値はほとんど上昇しないことが確認された。
印字動作中においては、所定の抵抗、及び誘電率を有する帯電ローラー22に直流バイアスVdcを印加することで、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を所望の値となるように帯電させている。一方、昇温モードにおいては、前述したように周期性を有する交流バイアスを印加することで帯電ローラー22を発熱させるものであり、直流バイアスは帯電ローラー22を発熱させるために必ずしも必要ではない。
その上、直流バイアスVdcを印加すると、帯電ローラー22内の配合剤等が感光体ドラム1a〜1d側に流出してしまい、帯電ローラー22の体積抵抗値が上昇する。その結果、帯電ローラー22の耐用期間が短くなる。また、感光体ドラム1a〜1d表面の帯電ローラー22が接触する部分に放電生成物が付着したり、絶縁破壊によりリークが発生したりするという問題もある。
そこで、本実施形態では、昇温モードの実行時に帯電ローラー22に印加する直流バイアスをなるべく低くすることで、帯電ローラー22の劣化を抑制することとした。具体的には、帯電ローラー22に印加する直流バイアスを放電開始電圧Vth以下とすることで、帯電ローラー22の耐用期間を確保しつつ、感光体ドラム1a〜1d表面への放電生成物の付着や、絶縁破壊によるリークの発生も抑制することができる。
また、昇温モードの実行時に帯電ローラー22に印加する直流バイアスを0とすれば、帯電ローラー22及び感光体ドラム1a〜1dの劣化をより一層抑制することができる。さらに、昇温モードの実行時に、印字動作中に印加する直流バイアス(ここでは正)と逆極性(ここでは負)の直流バイアスを帯電ローラー22に印加すれば、偏極イオンを戻すことができるため、帯電ローラー22の耐用期間を延ばすこともできる。
次に、本発明の第6実施形態に係るカラープリンター100について説明する。カラープリンター100の構成や制御経路については図1〜図3に示した第1実施形態と同様である。本実施形態のカラープリンター100は、非画像形成時に、感光体ドラム1a〜1dに接触する帯電ローラー22、クリーニングローラー27に交流バイアスを印加して感光体ドラム1a〜1dの表面を昇温させる昇温モードを実行可能としている。
本実施形態の構成によれば、感光体ドラム1a〜1dに接触する複数の導電部材(ここでは帯電ローラー22、クリーニングローラー27)に交流バイアスを印加することで、帯電ローラー22のみに交流バイアスを印加する第1実施形態に比べて感光体ドラム1a〜1d表面の昇温時間が短くなるため、ユーザーの待ち時間を短縮することができる。
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記各実施形態においては、感光体ドラム1a〜1dとしてa−Si感光体を用いた例について説明したが、有機感光体やセレン砒素感光体を用いた場合についても全く同様に説明される。
また、本発明は図1に示したような中間転写方式のカラープリンター100に限られるものではなく、直接転写方式のカラー複写機及びプリンター、モノクロ複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の、種々の画像形成装置に適用できる。直接転写方式の場合、感光体ドラムには導電性の転写ローラーが接触して転写ニップ部を形成する。そのため、転写ローラーに交流バイアスを印加して昇温モードを実行することができる。