JP2008058722A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光ドラムに接触させた帯電ローラに、DC電圧とAC電圧とを重畳させた帯電バイアスを印加することで、感光ドラム表面を所定の極性・電位に均一に帯電させる帯電装置において、低温低湿環境での帯電の均一性を確保し、高温高圧環境での感光ドラムの絶縁破壊を防止する。
【解決手段】制御手段のメモリに、温度湿度と、DC電圧及びDutyとを関係付けるテーブルを格納しておく。温・湿度センサの検知結果に基づいて、制御手段は、これらのテーブルからDC電圧及びDutyを選択する。低温低湿環境では、Dutyを上げることで、帯電時間を長くして帯電均一性を確保する。高温高湿環境では、Dutyを下げることで、絶縁破壊を防止する。
【選択図】図4
【解決手段】制御手段のメモリに、温度湿度と、DC電圧及びDutyとを関係付けるテーブルを格納しておく。温・湿度センサの検知結果に基づいて、制御手段は、これらのテーブルからDC電圧及びDutyを選択する。低温低湿環境では、Dutyを上げることで、帯電時間を長くして帯電均一性を確保する。高温高湿環境では、Dutyを下げることで、絶縁破壊を防止する。
【選択図】図4
Description
本発明は、被帯電体に接触させた帯電部材に、DC電圧にAC電圧を重畳させた帯電バイアスを印加して被帯電体を帯電させる帯電装置を備えた画像形成装置に関する。
複写機,プリンタ,ファクシミリ等の画像形成装置において、感光体(被帯電体)の表面を均一に帯電するための帯電装置が使用される。この帯電装置として、従来から使用されてきた非接触方式のコロナ帯電装置に代わって、近時、接触方式のローラ帯電装置が利用されるようになってきた。ローラ帯電装置は、感光体に接触させた帯電ローラに帯電バイアスを印加することで感光体を帯電させるものであり、コロナ帯電装置と比較して、オゾンの発生量が少なく、また、帯電バイアス電源の低電圧化が図れるなどの利点がある。
この反面、ローラ帯電装置は、コロナ帯電装置に比べて、帯電ローラの表面性や抵抗ムラや環境変化に起因して帯電後の感光体に帯電ムラが発生しやすいという欠点がある。
この欠点を解消する方法の1つとして、帯電ローラに対して、DC電圧だけでなく、これにAC電圧を重畳させた帯電バイアスを印加する技術が知られている。この技術は、感光体の帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有するAC電圧を帯電ローラに印加するものである。これにより、帯電ローラと感光体との間で電荷が何度も往復移動するため、感光体の表面の帯電ムラが解消される。
ところが、上述のようなAC電圧を印加すると、感光体の寿命を短くすることが知られている。帯電ローラは感光体の表面に接触されて入るものの、実際の帯電は、接触部分近傍の極めて狭いニップ部(非接触部)における空中放電(コロナ放電)によるものが支配的であるため、コロナ流の衝撃や帯電生成物の付着によって感光体の劣化、低寿命化が助長されるためである。なお、帯電ローラ自体に起因する帯電ムラを解消するためには、上述のAC電圧のピーク間電圧をあらかじめ高めに設定しておくことが有効ではあるが、この場合には、さらに感光体の劣化、低寿命化を助長してしまうことになる。
また、ミクロな帯電ムラを少なくし、感光体への局部的な電界集中を防止する目的で、帯電ローラを、イオン系導電剤を用いた材料で構成する場合がある。
ところが、このイオン系の帯電ローラは、画像形成の高速化への対応が問題となる。すなわち、導電形態がイオンの移動に関連するため、低温低湿(L/L)環境では、帯電ローラ内の電荷の移動が遅くなり、AC電圧の周波数を高くした場合に帯電電位が低下する現象が発生する。一方、帯電を均一にするためには、感光体が帯電ニップを通過する際に、帯電ローラと感光体との間で、電荷を必要最低限、往復移動させる必要があるので高速化に伴い、周波数は高くなる傾向にある。この結果、特にイオン系の帯電ローラを用いた場合には、帯電ローラから感光体へ移動する往路の時間が十分に取れなくなり帯電電位の低下を招いてしまう。
この対策として、特許文献1では、接触帯電方式において、AC電圧を変化させてDC電流を検知し、DC電流を一定の飽和状態にするAC電圧によって、AC電圧値を決定する方法が提案されている。
しかしながら、上述の特許文献1におけるAC電圧の決定方法、すなわち、DC電流の飽和状態に応じてAC電圧を決定する方法には、以下のような問題があった。
イオン系の帯電ローラは、体積抵抗率の環境依存性が大きいため、環境条件によっては、体積抵抗率が高くなる。また、イオン系以外の帯電ローラであっても、長期間使用した場合には、体積抵抗率が高くなる。このような帯電ローラを使用して、感光体を帯電させると、DC電流を飽和させるためにAC電圧が強くなり過ぎて感光体が絶縁破壊しやすくなる。また、感光体が、a−Si(アモルファスシリコン)感光体のように、ダイオード特性を持った感光体である場合には、一律にAC電圧を高める方法は、絶縁破壊を招くおそれがある。なお、上述では、帯電部材が帯電ローラである場合を説明したが、同様の問題は、帯電部材が帯電ローラである場合に限らず、ブレード状やブロック状の帯電部材である場合についても同様に発生する。
そこで、本発明は、環境条件、帯電部材の抵抗、被帯電体の耐圧等に基づいて、帯電バイアスのDC電圧とAC電圧のDutyを変化させることにより、AC電圧を過剰に高めることなく、被帯電体を所定の電位に帯電させることができ、また、AC電圧のピーク間電圧を抑制して被帯電体や帯電部材の長寿命化を図ることができる画像形成を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る発明は、被帯電体に接触させた帯電部材に、DC電圧とAC電圧とを重畳させた帯電バイアスを印加することにより前記被帯電体を帯電させる帯電装置を備えた画像形成装置に関する。この発明に係る画像形成装置は、環境条件、前記帯電部材の抵抗、前記被帯電体の耐圧又は膜厚のうちの少なくとも1つの情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した情報に基づいて、DC電圧の電圧値とAC電圧のDutyとを変更する制御手段と、を備える、ことを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る画像形成装置において、前記情報取得手段として、環境条件である温度湿度を検出する温・湿度センサを備え、前記制御手段は、前記温・湿度センサが低温低湿環境を検知したときには、Dutyを上げる、ことを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1に係る画像形成装置において、前記情報取得手段として、環境条件である温度湿度を検出する温・湿度センサを備え、前記制御手段は、前記温・湿度センサが高温高湿環境を検知したときには、Dutyを下げる、ことを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1に係る画像形成装置において、前記情報取得手段として、前記帯電部材の抵抗を検知する抵抗検知手段を備え、前記制御手段は、抵抗検知手段が検知する前記帯電部材の抵抗が大きいほど、Dutyを上げる、ことを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に係る画像形成装置において、前記帯電部材が、イオン系導電剤を用いて抵抗調整した帯電ローラである、ことを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に係る画像形成装置において、前記被帯電体がa−Si感光体である、ことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、DC電圧とDutyとを変化させることにより、AC電圧を過剰に高めることなく所定の帯電電位得ることができ、また、被帯電体の耐圧を超えないようにピーク間電圧を制御して被帯電体や帯電部材の長寿命化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、低温低湿環境の場合に、Dutyを上げることにより、AC電圧を不要に高くすることなく、帯電の安定性を確保することができる。
請求項3の発明によれば、高温高湿環境の場合に、Dutyを下げることにより、AC電圧のピーク間電圧を下げることができる。これにより、例えば、被帯電体の帯電極性がプラスである場合に、絶対値の大きいマイナスの電圧が印加されることに起因する被帯電体の絶縁破壊を防止することができる。なお、帯電極性がマイナスの被帯電体を使用する場合には、電圧の正負の関係がいずれも逆になる。
請求項4の発明によれば、帯電部材と被帯電体との間に、過剰な電圧を印加することなく、被帯電体を所定の電位に帯電することができる。
請求項5の発明によれば、イオン系の帯電ローラを使用した場合に、帯電の安定性を確保するとともに、被帯電体の絶縁破壊を防止することができる。
請求項6の発明によれば、被帯電体がa−Si感光体である場合、その帯電の安定性を確保することができるとともに、感光体の絶縁破壊を防止することができる。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
図1を参照して、本発明に係る画像形成装置1について説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を模式的に示す図である。
図1を参照して、本発明に係る画像形成装置1について説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、被帯電体として感光ドラム10を備えている。感光ドラム10の周囲には、その回転方向(矢印R10方向)に沿って上流側からほぼ順に、帯電装置11、露光装置12、現像装置13、転写装置14、クリーニング装置15、除電装置16等が配設されている。また、画像が形成される記録媒体としてのシートS(普通紙、透明フィルム等)の搬送路P(二点鎖線で図示)における、搬送方向(矢印Ks方向)に沿って上流側から順に、給紙カセット20、給紙ローラ21、搬送ローラ対22、レジストローラ対23、定着装置24、排紙ローラ対25、排紙トレイ26等が配設されている。
この画像形成装置1は、帯電装置11、露光装置12、現像装置13によって感光ドラム10の表面(外周面)にトナー像を形成し、このトナー像を転写装置14でシートSの表面に転写し、定着装置24によって定着するものである。以下、感光ドラム10から順に説明する。
本実施形態では、被帯電体としてドラム形のa−Si感光体(感光ドラム10)を使用している。感光ドラム10は、最内側にはアースされた導電性のドラム基体27を有している。ドラム基体27は、例えば、アルミニウムシリンダによって構成することができる。本実施形態では、感光ドラム10は、このドラム基体27の表面をP+層28で覆い、さらに、このP+層28の表面にSiH層30及びSiC層31を設けることで構成されている。この例では、P+層28とSiH層30とSiC層31によって感光層が形成されている。この感光ドラム10は、ダイオード特性を有していて、表面に正電荷を帯びた場合には、P+層28がドラム基体27からの負電荷の注入を阻止するため、SiC層31に正電荷を保持することができる。これに対し、表面に負電荷を帯びた場合には、この表面の負電荷は、正電荷がドラム基体27からP+層28を通過してSiC層31まで到達するため、この正電荷と結合して消滅する。つまり、本実施形態では、感光ドラム10は、正の帯電特性を有している。感光ドラム10は、画像形成装置本体Mによって回転自在に支持されており、駆動手段(不図示)によって矢印R10方向に所定のプロセススピード(例えば、307mm/sec)で駆動回転される。
感光ドラム10は、帯電装置11によって帯電される。帯電装置11は、感光ドラム10に接触させた帯電部材としての帯電ローラ33と、これに帯電バイアスを印加する帯電バイアス電源34とを備えている。帯電ローラ33は、金属性の芯金35と、この芯金35の外周面を覆うローラ部36とを有しており、ローラ部36は、イオン系導電材によって形成されている。帯電ローラ33は、その表面に、ブラシクリーナ37が表面に接触されている。画像形成に伴って、感光ドラム10の表面に付着した紙粉やトナーの外添剤が、後述するクリーニング装置15のクリーニングブレード45をすり抜けて帯電ローラ33の表面に付着することがある。特に、帯電ローラ33が劣化して、表面の凹凸が多くなった場合には、付着しやすい。ブラシクリーナ37は、このような紙粉やトナーの外添剤を除去することにより、帯電ローラ33、ひいては感光ドラム10の寿命を延ばすようにしている。帯電ローラ33は、その芯金34に、帯電バイアス電源34によって、帯電バイアスが印加される。この帯電バイアスは、DC電圧にAC電圧が重畳されたものであり、これらDC電圧やAC電圧のON/OFF、及び電圧の大きさ等は制御手段38によって制御される。帯電装置11は、帯電バイアス電源34によって帯電ローラ33に印加された帯電バイアスに基づいて感光ドラム10の表面を所定の極性・電位に均一に帯電する。
帯電後の感光ドラム10の表面は、露光装置12によって静電潜像が形成される。露光装置12としては、例えば、画像情報に基づいてON/OFF制御されるレーザスキャナ(不図示)が使用される。レーザスキャナから発振されたレーザ光は、ポリゴンミラー(不図示)の回転により感光ドラム10の表面をぼせんに沿って主走査し、また、感光ドラム10の回転により副走査することによって、帯電後の感光ドラム10の表面を画像情報に基づいて露光する。この露光走査によって露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
静電潜像は、現像装置13によって現像される。本実施形態では、1成分ジャンピング現像を採用した。現像装置13は、現像剤(トナー)を収納する現像容器40と、感光ドラム10の表面に対向配置されるとともに現像容器40によって回転自在に支持された現像ローラ41と、この現像ローラ41に現像バイアスを印加する現像バイアス電源42とを有している。現像剤としては、スチレンアクリル系の粉砕トナーが使用され、この現像剤に対し、感光ドラム10の表面研摩剤として酸化チタンが、また、帯電制御剤として複数のシリカが外添されている。現像バイアスとしては、現像バイアス電源42から現像ローラ41に対して、DC電圧にAC電圧を重畳した現像バイアスを印加した。このときのAC電圧は、周波数2.5kHz、ピーク間電圧1.7kV、Duty60%である。現像装置13は、現像剤を現像ローラ41の表面に層状に担持し、現像ローラ41の矢印R41方向の回転によって感光ドラム10の表面に対向する現像位置Dに搬送し、現像ローラ41に現像バイアスを印加することによって、感光ドラム10の表面の静電潜像に付着させる。これにより、感光ドラム10の表面の静電潜像をトナー像(現像剤像)として現像する。
こうして、感光ドラム10上に形成されたトナー像は、転写装置14によって転写される。転写装置14は、感光ドラム10に接触配置されて感光ドラム10との間に転写ニップ部Tを構成する転写ローラ43と、この転写ローラ43に転写バイアスを印加する転写バイアス電源44とを有している。本実施形態では、転写ローラ43は、材質がEPDMのものを使用し、全体の抵抗が107〜107.5Ωとなるようにした。感光ドラム10上のトナー像は、感光ドラム10の矢印R10方向の回転によって転写ニップ部Tに向けて搬送される。一方、給紙カセット内20に収納されていたシートSは、給紙ローラ21によって給紙され、搬送ローラ対22によって停止中のレジストローラ対23に突き当てられて斜行が矯正される。このシートSは、上述の感光ドラム10上のトナー像が転写ニップ部Tに供給されるタイミングに合わせて、レジストローラ対23が回転することにより転写ニップ部Tに供給される。このとき、転写バイアス電源44によって転写ローラ43に転写バイアスが印加され、これにより、感光ドラム10上のトナー像がシートSの表面に転写される。
転写ニップ部Tにおけるトナー像の転写時に、シートSに転写されないで感光ドラム10上に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置15によって除去される。クリーニング装置15は、感光ドラム10の表面に当接された、弾性を有するクリーニングブレード45を有しており、感光ドラム10の表面に付着している転写残トナーを払拭して、クリーニング容器46内に掻き落とす。こうして、転写残トナーが除去された感光ドラム10は、除電装置16によって電荷が除去され、次の画像形成に供される。
一方、トナー像が転写されたシートSは、定着装置24に搬送される。定着装置24は、定着ローラ47とこれに圧接された加圧ローラ48とを有している。定着ローラ47は、厚さが0.35mmの鉄製シリンダに30μmのPFAコートを施したものを使用した。一方、加圧ローラ48は、PFAチューブで被覆したシリコーンゴムローラを使用した。この加圧ローラ48を上述の定着ローラ47に圧接させて、定着ニップ部Nを構成した。定着ローラ47をこれに内蔵されたヒータ(不図示)によって定着温度に加熱し、定着ニップ部Nにて、未定着トナー像を担持したシートSを加熱して、シートSの表面に定着させる。定着温度は、サーミスタの検出温度に基づいて制御される。定着ローラ47における通紙領域の中央には、非接触サーミスタ(不図示)が、また、非通紙領域には接触サーミスタ(不図示)が配設されていて、これらサーミスタが検知する温度に基づいて、温度制御が行われるようになっている。トナー像定着後のシートSは、排出ローラ対25等によって排紙トレイ26上に排出される。これにより、1枚のシートSの片面に対する画像形成が終了する。
本実施形態においては、上述の制御手段38は、感光ドラム10の表面を均一に帯電させ(帯電の安定性を確保し)、また感光ドラム10の絶縁破壊を防止するために、帯電バイアスにおけるDC電圧の電圧値、及びAC電圧のDutyを制御するようにしている。以下詳述する。
本実施形態では、上述の帯電ローラ33として、エピクロルヒドリンを用いたイオン系の導電材料に表面処理を施した構成のものを使用した。また、感光ドラム10の表面近傍に、情報取得手段として、環境条件である温度湿度を検出する温・湿度センサ50を配設し、その検出結果を制御手段38に送出するようにした。
一方、制御手段38には、そのメモリ(不図示)に図2,図3に示すようなテーブルがあらかじめ格納されている。図2に示すテーブルは、温度湿度とDC電圧との対応関係を示すテーブルである。このテーブルの最左欄には、温度T(℃)がとってあり、下欄から上欄に移動するに連れて温度が高くなっていく。また、最上欄には湿度(相対湿度)RH(%)がとってあり、左欄から右欄に移動するに連れて湿度が高くなっていく。最左欄及び最上欄以外の欄には、DC電圧がボルトの単位の数値で表示されている。このテーブルは、あらかじめ、制御手段38のメモリに格納されている。制御手段38は、上述の温・湿度センサ50が検知する温度湿度に対応するDC電圧を選択するようになっている。
図3(a)に示すテーブルは、温度湿度とDutyとの対応関係を示すテーブルである。このテーブルの最左欄、最上欄は、上述の図2に示すテーブルと同様、それぞれ温度T(℃)、湿度RH(%)がとってある。そして、温度Tは、下欄から上欄に移動するに連れて温高くなっており、湿度RHは、左欄から右欄に移動するに連れて高くなっていく。最左欄及び最上欄以外の欄には、Dutyがパーセント(%)の数値で表示されている。このテーブルも、あらかじめ、制御手段38のメモリに格納されている。制御手段38は、上述の温・湿度センサ50が検知する温度湿度に対応するDutyを選択するようになっている。
図3(b)に示すテーブルは、湿度及びDutyと、DC電圧との対応関係を示すテーブルである。このテーブルの最左欄、最上欄は、それぞれDuty(%)、湿度RH(%)がとってある。そして、Dutyは、上欄から下欄に移動するに連れて高くなっており、湿度RHは、左欄から右欄に移動するに連れて高くなっていく。最左欄及び最上欄以外の欄には、DC電圧がボルト(V)の数値で表示されている。このテーブルも、あらかじめ、制御手段38のメモリに格納されている。制御手段38は、図3(a)のテーブルに基づいて選択したDutyと、湿度とに基づいて、図3(b)のテーブルからDC電圧を決定する。
図2の温度湿度とDC電圧との関係を示すテーブルから明らかなように、DC電圧は、湿度が一定であれば温度が低いほど小さく、また、温度が一定であれば湿度が高いほど小さくなるように設定されている。また、図3(a)に示す温度湿度とDutyとの関係を示すテーブルから明らかなように、Dutyは、湿度が一定であれば温度が低いほど小さく、また、温度が一定であれば湿度が高いほど小さくなるように設定されている。また、図3(b)に示す湿度及びDutyとDC電圧との関係を示すテーブルから明らかなように、DC電圧は、湿度が一定であればDutyが高いほど小さく、また、Dutyが一定であれば、湿度が高いほど小さくなるように設定されている。
ここで、例えば、低温低湿環境(L/L)の一例として温度が10℃で湿度が20%の場合、また、常温常湿環境(N/N)の一例として温度が23℃で湿度が50%の場合、また、高温高湿環境(H/H)の一例として温度が33℃で湿度が80%の場合を例に説明する。
図4(a),(b),(c)に、Dutyが異なる場合のAC電圧の波形を模式的に示す。図4(a)はDutyが20%、図4(b)は50%、図4(c)は80%の場合を示している。Dutyは、AC電圧の1周期Tに対する帯電時間tの割合(t/T×100%)で表される。本実施形態の場合、感光ドラム10の帯電極性がプラスであるため、帯電時間tは、DC電圧Vdcを基準として、AC電圧がプラス側となる時間、つまりプラスの電荷が帯電ローラ33から感光ドラム10に移動する往路の時間であり、感光ドラム10の表面を帯電する時間でもある。一方、AC電圧が、DC電圧Vdcを基準として、マイナス側となる時間は、プラスの電荷が感光ドラム10から帯電ローラ33に戻される復路の時間であり、感光ドラム10の表面の過剰な電荷を帯電ローラ33に戻す時間である。図4(a),(b),(c)における帯電時間tをこの順に、ta,tb,tcとすると、図4(a)におけるDuty20%とは、(ta/T)×100=20(%)となることである。同様に、図4(b)におけるDuty50%とは、(tb/T)×100=50(%)となることであり、図4(c)におけるDuty80%とは、(tc/T)×100=80(%)となることである。
図4(a)〜(c)に示すように、Dutyについては、AC電圧の1周期TにおけるAC電圧のプラス側の面積S+と、マイナス側の面積S−とは等しくなるという関係がある。したがって、Dutyが上がる(大きくなる)ほど、プラス側のバイアスは小さくなり、これに伴って、マイナス側の時間が短くなるとともに、マイナス側の逆バイアスが大きくなる。一方、Dutyが下がる(小さくなる)ほど、プラス側のバイアスは大きくなり、これに伴って、マイナス側の時間が長くなるとともに、マイナス側の逆バイアスが小さくなる。
本実施形態においては、上述の温・湿度センサ50が検出する温度湿度に基づいて、低温低湿環境が検知された場合には、常温常湿環境と比較して、DC電圧を下げるとともに、Dutyを上げるようにした。一方、高温高湿環境が検知された場合には、常温常湿環境と比較して、DC電圧を上げるとともに、Dutyを下げるようにした。具体的には、図2,図3のテーブルに基づいて、低温低湿環境ではDC電圧Vdcが230V、Dutyが80%、また、常温常湿環境ではDC電圧Vdcが369V、Dutyが50%、また、高温高湿環境ではDC電圧Vdcが389V、Dutyが20%となるようにした。
上述のイオン系の帯電ローラ33においては、帯電の均一性を確保するために、AC電圧の周波数を高める必要があり、周波数を高めた場合、特に低温低湿環境では、その周波数にイオンが追従できないため、帯電電位が低下する傾向にある。
この対応策として、特許文献1では、DC電流を一定の飽和状態にするAC電圧によってAC電圧値を決定するようにしていた。
しかしながら、この方法によると、低温低湿環境で帯電ローラ33の抵抗が高くなった場合には、DC電流を飽和させるためにAC電圧が高くなりすぎて感光ドラム10を絶縁破壊させるおそれがあった。
そこで、本実施形態では、低温低湿環境では、上述のように、Dutyを上げるようにした。これにより、AC電圧の1周期Tにおける帯電時間tを長く取ることができるので、低温低湿環境で高抵抗化した帯電ローラ33に、過剰な電圧を印加することなく、感光ドラム10の表面を均一に帯電することができる。なお、Dutyを上げると、図4(c)に示すように、マイナス側の逆バイアスが低くなる(絶対値は大きくなる)が、図5を参照して後述するように、低温低湿環境では、マイナス側の耐圧A−の絶対値が比較的大きいので、特に、絶縁破壊を起こすようなおそれはない。
これに対して、高温高湿環境では、上述のように、Dutyを下げるようにした。この理由は以下のとおりである。高温高湿環境では、感光ドラム10は、後に図5を参照して説明するように、マイナス側の耐圧A−の絶対値が小さいため、絶縁破壊を起こしやすい。すなわち、感光ドラム10がプラスの帯電極性のa−Si感光体によって構成されているため、表面にマイナスの電荷を帯びる逆バイアス状態では、SiC層の破壊が発生しやすい。このため、図4(a)に示すように、Dutyを下げることで、マイナス側の逆バイアスを小さくし、かつDC電圧を上げることで、その分、電圧の最小値をプラス側にシフトさせることができる。
図5に、感光ドラム10の耐圧と、本実施形態における帯電バイアス設定との関係を示す。同図の帯電バイアスは、DC電圧とAC電圧とが重畳された状態を示している。同図中の横軸は環境を示し、左側ほど極端な低温低湿(L/L)を示し、また、右側ほど極端な高温高湿(H/H)を示す。両者の中間が常温常湿(N/N)となる。プラス側の耐圧A+は、L/L側で最大(約2.2kV)となり、H/H側で最小(約1.4kV)となり、これら最大と最小との間においては、緩やかに下側に凸状に湾曲して、H/H側に近づくに従って漸減するカーブを描く。感光ドラム10は、このプラス側の耐圧A+よりも、大きい帯電バイアスが印加されると絶縁破壊を起こす。
これに対し、マイナス側の耐圧A−は、L/L側で最小(約−1.8kV:ただし絶対値は最大)となり、H/H側で最大(約−0.6kV:ただし、絶対値は最小))となり、これら最小と最大との間においては、緩やかに上側に凸状に湾曲して、H/H側に近づくに従って漸増するカーブを描く。感光ドラム10は、このマイナス側の耐圧A−よりも、小さい(絶対値は大きい)帯電バイアスが印加されると絶縁破壊を起こす。
同図中のプラス側の耐圧A+とマイナス側の耐圧A−とを比較すると、全体的に、マイナス側の耐圧A−の絶対値は、プラス側の耐圧A+の絶対値よりも小さいことがわかる。この傾向は、特に、H/H側において顕著である。これは、感光ドラム10は、全体的にマイナス側の耐圧A−が、プラス側の耐圧A+よりも低いことを意味し、特に、H/Hにおいてはその傾向が顕著であることを意味している。
本実施形態では、帯電ローラ33が感光ドラム10に印加する帯電バイアスのプラス側のバイアスB+は、L/L側で最小(約0.7kV)となり、H/H側で最大(約1.2kV)となり、これら最小と最大との間においては、緩やかに上側に凸状に湾曲して、H/H側に近づくに従って漸増するカーブを描く。バイアスB+は、もちろん、プラス側の耐圧A+よりも小さく設定されている。
これに対して、マイナス側のバイアスB−は、L/L側で最小(約−1.3kV:ただし絶対値は最大)となり、H/H側で最大(約−0.2kV:ただし、絶対値は最小))となり、これら最小と最大との間においては、緩やかに上側に凸状に湾曲して、H/H側に近づくに従って漸増するカーブを描く。バイアスB−は、もちろん、マイナス側の耐圧A−よりも大きく(絶対値は小さく)設定されている。
参考までに、同図中に従来の帯電バイアスのプラス側のバイアスC+、マイナス側のバイアスC−を示す。バイアスC+は、L/L側で最大(約1.6kV)となり、H/H側で最小(約0.8kV)となり、これら最大と最小との間においては、緩やかに下側に凸状に湾曲して、H/H側に近づくに従って漸減するカーブを描く。一方、バイアスC−は、L/L側からH/H側までほぼ一定(約0.5〜0.7kV)となる。
ここで、本実施形態に係るプラス側のバイアスB+と、従来のプラス側のバイアスC+とを比較すると、L/L側において、バイアスB+は、バイアスC+よりも小さい。また、バイアスB+は、H/H側に向かって漸増するのに対し、バイアスC+は漸減し、両者は、N/Nにおいて交差する。そして、H/Hにおいては、バイアスB+は、バイアスC+よりも大きな値をとっている。
以上のように、本実施形態では、AC電圧の振幅の基準となるDC電圧を、低温低湿環境では下げる一方、高温高湿環境では上げている。そして、このDC電圧に重畳するAC電圧は、低温低湿環境ではDutyを上げる一方、高温高湿環境ではDutyを下げている。これにより、DC電圧やAC電圧のピーク間電圧を不要に上げることなく、あらゆる環境において、感光ドラム10の表面を均一に帯電し、また絶縁破壊を防止することができる。
すなわち、低温低湿環境下においては、イオン系の帯電ローラ33の欠点であるイオンの移動度の遅さをDutyを上げることで補って、AC電圧のピーク間電圧やDC電圧を必要以上に(不要に)上げることなく、所定の帯電電位を得ることができる。一方、高温高湿環境下では、感光ドラム10の絶縁破壊を発生させることなく、必要最低限の電圧で、所定の帯電電位を得ることができる。
<比較例>
上述と同じ構成、すなわちイオン系の帯電ローラ33とa−Si感光体からなる感光ドラム10を使用し、AC電圧のDutyを50%に固定して各環境特性と耐久特性とを調べた。この結果、画像形成枚数が増加するとともに、特に低温低湿環境で帯電電位の低下に起因するかぶりが発生した。このためDC電圧及びピーク間電圧を高くしたところ、一時的に所定の帯電電位が得られたが、耐久試験の結果、過剰なピーク間電圧の影響により100000枚以内に帯電ローラ33に汚染が発生し、局部的な帯電ムラが激しくなった。また、過剰な電圧を印加したため、感光ドラム10のSiC層32(図1参照)に局部的な絶縁破壊が生じ、高湿環境下で、画像流れ現象や黒点現象が発生した。
上述と同じ構成、すなわちイオン系の帯電ローラ33とa−Si感光体からなる感光ドラム10を使用し、AC電圧のDutyを50%に固定して各環境特性と耐久特性とを調べた。この結果、画像形成枚数が増加するとともに、特に低温低湿環境で帯電電位の低下に起因するかぶりが発生した。このためDC電圧及びピーク間電圧を高くしたところ、一時的に所定の帯電電位が得られたが、耐久試験の結果、過剰なピーク間電圧の影響により100000枚以内に帯電ローラ33に汚染が発生し、局部的な帯電ムラが激しくなった。また、過剰な電圧を印加したため、感光ドラム10のSiC層32(図1参照)に局部的な絶縁破壊が生じ、高湿環境下で、画像流れ現象や黒点現象が発生した。
<実施形態2>
上述の実施形態1では、図1に示す温・湿度センサ50が検知する温度湿度に基づいて、制御手段38が、帯電ローラ33に印加するDC電圧及びDutyを変化させるようにした。
上述の実施形態1では、図1に示す温・湿度センサ50が検知する温度湿度に基づいて、制御手段38が、帯電ローラ33に印加するDC電圧及びDutyを変化させるようにした。
これに対して、本実施形態では、図6に示すように、帯電ローラ33の抵抗値を測定し、その測定値に基づいて、DC電圧及びDutyを変化させるようにした。ここで、帯電ローラ33の抵抗は、例えば、帯電ローラ33の芯金35とローラ部36の表面との間に電圧を印加し、そのとき流れる電流に基づいて検知することができる。同図では、帯電ローラ33の抵抗は、Ω・cmの単位で測定した抵抗ρvの常用対数をとって表示している。同図に示すように、抵抗が5、6、7、8と増加するのに対応して、Dutyを50、60、70、80と増加させるとともに、DC電圧を366、344、319、294と低減させている。本実施形態における、抵抗に対するDC電圧及びDutyの傾向は、上述の実施形態1の図2,図3に示す、温度湿度に対するDC電圧及びDutyの傾向と一致している。
したがって、本実施形態は、上述の実施形態1における効果において、「低温低湿環境」を「抵抗が大きい場合」、また「高温高湿環境」を「抵抗が小さい場合」に置き換えた効果を奏することができる。
以上の説明では、帯電装置11の帯電部材がローラ状の帯電ローラ33である場合を例に説明したが、本発明は帯電ローラ33に限定されるものではなく、例えば、ブレード状の帯電ブレードを使用することもできる。
また、被帯電体としての感光ドラム10がプラスの帯電極性のa−Si感光体によって形成された場合を例に説明したが、この外に例えば、プラスの帯電極性のアモルファスセレン感光体等を使用することができる。また、マイナスの帯電極性を有するOPC(有機光半導体)感光体等を使用することもできる。ただし、この場合には、上述の説明文中の極性のプラスとマイナスとが逆になる。
上述では、本発明に係る画像形成装置が単色である場合を例に説明したが、本発明は、感光体を有し、その表面をDC電圧とAC電圧とが重畳された帯電バイアスで帯電させるものであれば、単色であるか複数色であるか、あるいはフルカラーであるかを問わず、あらゆる画像形成装置に対して広く適用することができる。
1……画像形成装置、10……感光ドラム(被帯電体,a−Si感光体)、11……帯電装置、33……帯電ローラ(帯電部材)、38……制御手段、50……温・湿度センサ(情報取得手段)、
Claims (6)
- 被帯電体に接触させた帯電部材に、DC電圧とAC電圧とを重畳させた帯電バイアスを印加することにより前記被帯電体を帯電させる帯電装置を備えた画像形成装置において、
環境条件、前記帯電部材の抵抗、前記被帯電体の耐圧又は膜厚のうちの少なくとも1つの情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した情報に基づいて、DC電圧の電圧値とAC電圧のDutyとを変更する制御手段と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記情報取得手段として、環境条件である温度湿度を検出する温・湿度センサを備え、
前記制御手段は、前記温・湿度センサが低温低湿環境を検知したときには、Dutyを上げる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記情報取得手段として、環境条件である温度湿度を検出する温・湿度センサを備え、
前記制御手段は、前記温・湿度センサが高温高湿環境を検知したときには、Dutyを下げる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記情報取得手段として、前記帯電部材の抵抗を検知する抵抗検知手段を備え、
前記制御手段は、抵抗検知手段が検知する前記帯電部材の抵抗が大きいほど、Dutyを上げる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記帯電部材が、イオン系導電剤を用いて抵抗調整した帯電ローラである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記被帯電体がa−Si感光体である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006236703A JP2008058722A (ja) | 2006-08-31 | 2006-08-31 | 画像形成装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015165271A (ja) * | 2014-03-03 | 2015-09-17 | 株式会社リコー | 帯電装置および画像形成装置 |
-
2006
- 2006-08-31 JP JP2006236703A patent/JP2008058722A/ja active Pending
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