JP5835051B2 - アレイ基板、液晶表示素子およびアレイ基板の製造方法 - Google Patents

アレイ基板、液晶表示素子およびアレイ基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アレイ基板、液晶表示素子およびアレイ基板の製造方法に関する。
液晶表示素子は、一対の基板に液晶が挟持された構造を有する。これらの基板の表面には、液晶の配向を制御する目的で配向膜を設けることができる。基板間に電界を印加すると、液晶に配向変化が起こり、光を部分的に透過したり、遮蔽したりするようになる。液晶表示素子では、こうした特性を利用して画像を表示している。かかる液晶表示素子には、従来のCRT方式の表示装置に比較して、薄型化や軽量化が図れるといった利点がある。
開発当初の液晶表示素子は、キャラクタ表示等を中心とする電卓や時計の表示素子として利用された。その後、単純マトリクス方式の開発によって、ドットマトリクス表示が容易となったことにより、ノートパソコンの表示素子等へと用途を拡大した。次いで、アクティブマトリクス方式の開発によって、コントラスト比や応答性能の優れた良好な画質を実現できるようになり、さらに、高精細化、カラー化および視野角拡大等の課題も克服したことによって、デスクトップコンピュータのモニター用等にも用いられるようになった。最近では、より広い視野角、液晶の高速応答化および表示品位の向上等が実現され、大型で薄型のテレビ用表示素子として利用されるに至っている。
液晶表示素子では、液晶の初期配向状態や配向変化動作の異なる多様な液晶モードが知られている。例えば、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In−Planes Switching)(FFS(Fringe Field Switching))、VA(Vertical Alignment)またはOCB(Optically Compensated Birefringence)等の液晶モードがある。
上記液晶モードのうちで、IPSモードは、広い視野角、速い応答速度および高いコントラスト比を有することから、近年特に注目されているモードの1つである。尚、本明細書で言うところのIPSモードとは、後述するように、液晶がそれを挟持する基板の面内でスイッチング動作する液晶モードを示しており、所謂横電界方式の他、斜め電界を用いて液晶の面内スイッチングを実現するFFSモードも含む概念である。
FFSモードを含むIPSモード(以下、単にIPSモードと言う。)の液晶表示素子では、一対の基板間に挟持された液晶が基板に対してほぼ平行となるように、液晶の初期配向状態が制御される。これらの基板のうちの一方に配置された画素電極と共通電極の間に電圧を印加することによって、基板平面に平行な成分を主とする電界(所謂、横電界や斜め電界)が形成され、液晶の配向状態が変化する。それ故、IPSモードでは、電界印加による液晶の配向変化は、その名称の通り、基板平面と平行な面内における液晶分子の回転が主となる。
こうしたことから、IPSモードは、平行配向する液晶が電界の印加によって立ち上がり動作をするTNモード等と異なり、液晶を挟持する基板に対する液晶のチルト角の変化が小さい。このため、IPSモード液晶表示素子では、電圧印加に伴うリタデーションの実効値の変化が小さくなり、視野角が広くて高画質の画像表示が可能となる。
上記のようなIPSモード液晶表示素子では、透明なベタ状の電極(例えば、共通電極)上に無機材料からなる無機絶縁膜を積層し、その上に櫛歯状の電極(例えば、画素電極)を重畳させる電極構造の開発が進められている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。この構造によれば、画素の開口率が向上し、高輝度での画像表示が実現される。
特開2011−48394号公報 特開2011−59314号公報
IPSモード液晶表示素子については、近年、動画を表示するテレビや、高密度表示が必要とされるスマートフォン等の携帯電子機器のディスプレイに対応するべく、さらなる高画質化、特に高精細化が求められている。
IPSモード液晶表示素子では、液晶を挟持する一対の基板のうちの一方の基板上に、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transister)等のスイッチングのための能動素子が配置される。そして、画素電極と、共通電極と、それらに接続する配線等が配置されて、アレイ基板が構成される。このため、IPSモード液晶表示素子では、アレイ基板上に配置される構成部材が多くなり、アレイ基板上での電極構造や配線の配置構造は、TNモード等の他の液晶モードに比べて複雑なものとなる。こうしたことから、さらなる高精細化を進めようとすると、画素内での画素電極の面積が減少し、画素の開口率が低下して表示の輝度を低下させる懸念があった。
特許文献2には、無機材料からなる絶縁膜(以下、無機絶縁膜とも言う。)を介して、ベタ状の共通電極の上に櫛歯状に形成された部分を有する画素電極(以下、櫛歯状の画素電極とも言う。)を配置するアレイ基板において、共通電極と配線との間に、有機材料からなる絶縁膜(以下、有機絶縁膜とも言う。)を設ける技術が開示されている。これによれば、画素電極と配線との間のカップリング容量の増大を抑制しつつ、開口率を向上できるとされる。
しかしながら、特許文献2の構造の場合、アレイ基板上に積層する各膜間での剥離が問題となる。具体的には、アレイ基板上に有機絶縁膜を形成し、さらにその上に例えば、ITO(Indium Tin Oxide:錫をドープした酸化インジュウム)からなる共通電極を形成する。次いで、その共通電極を覆うように、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の製造プロセスにより無機絶縁膜を形成し、さらにその上に画素電極を形成する。このように、有機絶縁膜上に共通電極と無機絶縁膜と画素電極とをこの順で順次積層して形成しようとすると、画素電極形成時の加熱工程で、無機絶縁膜と共通電極との間に剥離が発生することがある。
こうしたアレイ基板上での膜の剥離は、それを用いたIPSモード等の液晶表示素子の信頼性を低下させ、ひいては液晶表示素子の画質を低下させることになる。そのため、アレイ基板や、これを用いた液晶表示素子においては、剥離を生じ難い電極間の層間絶縁膜の開発が求められている。
その場合、剥離し難い層間絶縁膜は、CVD等を用いた製造プロセスを必要とせず、例えば、塗布法等を用いて簡便に形成でき、アレイ基板や液晶表示素子の生産性を向上できるものであることが望ましい。
一方、省エネルギーの観点から、液晶表示素子の製造工程における加熱処理の低温化が求められている。このため、アレイ基板の製造工程においても、その構成部材の硬化工程等を低温にすることが求められている。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、画素の高開口率化に有効であって、剥離が生じ難い絶縁膜を有するアレイ基板を提供することにある。そして、本発明の目的は、高輝度化に好適な画素構造を有し、高い信頼性を備えた液晶表示素子を提供することにある。
また、その絶縁膜形成に用いられる感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、剥離が生じ難い絶縁膜を有するアレイ基板の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様は、能動素子と、
その能動素子の上に設けられた第1の絶縁膜と、
第1の絶縁膜の上に設けられた共通電極および画素電極とを有するアレイ基板であって、
共通電極と画素電極の間に第2の絶縁膜を有し、その第2の絶縁膜が有機絶縁膜であることを特徴とするアレイ基板に関する。
本発明の第1の態様において、第2の絶縁膜は、
[X]アルカリ可溶性樹脂、
[Y]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子、
[Z]多官能アクリレート、
[W]感放射線性重合開始剤
を含有する感放射線性樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。
本発明の第1の態様において、酸化物粒子は、チタン酸塩の粒子であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、[X]アルカリ可溶性樹脂が、(X1)芳香環を有する構成単位および(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む重合体であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、[X]アルカリ可溶性樹脂中の(X1)芳香環を有する構成単位の含有量は、[X]アルカリ可溶性樹脂全体の20mol%〜90mol%であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、共通電極と画素電極とが、第1の絶縁膜の上にこの順に設けられており、
画素電極は、櫛歯形状を有し、第1の絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して能動素子と電気的に接続することが好ましい。
本発明の第1の態様において、第2の絶縁膜は、波長633nmの屈折率が1.55〜1.85であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、第2の絶縁膜は、波長400nmの光透過率が85%以上であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様のアレイ基板を有することを特徴とする液晶表示素子に関する。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様のアレイ基板の第2の絶縁膜の形成に用いられる感放射線性樹脂組成物であって、
[X]アルカリ可溶性樹脂
[Y]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子、
[Z]多官能アクリレート、
[W]感放射線性重合開始剤
を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物に関する。
本発明の第3の態様において、酸化物粒子は、チタン酸塩の粒子であることが好ましい。
本発明の第4の態様は、能動素子と、
その能動素子の上に設けられた第1の絶縁膜と、
第1の絶縁膜の上に、いずれか一方が共通電極であって他方が画素電極である第1の電極および第2の電極と、その第1の電極と第2の電極との間に配置された第2の絶縁膜とを有するアレイ基板の製造方法であって、
第1の絶縁膜を形成する工程は、少なくとも以下の工程[1]〜工程[4]を有し、
第2の絶縁膜を形成する工程は、少なくとも以下の工程[5]〜工程[7]を有することを特徴とするアレイ基板の製造方法に関する。
[1]カルボキシル基を有する構成単位と、重合性基を有する構成単位とを含む重合体を含有する第1感放射線性樹脂組成物の塗膜を、能動素子の形成された基板上に形成する工程、
[2]その第1感放射線性樹脂組成物の塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
[3]工程[2]で放射線が照射された塗膜を現像してコンタクトホールを形成する工程、および
[4]工程[3]で得られた塗膜を熱硬化する工程。
[5]工程[1]〜工程[4]を用いて形成された第1の絶縁膜を有する基板上に、
[X](X1)芳香環を有する構成単位、(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む重合体、
[Y]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子、
[Z]多官能アクリレート、および
[W]感放射線性重合開始剤を含有する第2感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、
[6]工程[5]で形成された第2感放射線性樹脂組成物の塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
[7]工程[6]で放射線を照射された塗膜を現像する工程。
本発明の第4の態様において、酸化物粒子は、チタン酸塩の粒子であることが好ましい。
本発明の第4の態様において、第1感放射線性樹脂組成物は、熱酸発生剤を含有することが好ましい。
本発明の第1の態様によれば、画素の高開口率化に有効であって剥離を生じ難い絶縁膜を有するアレイ基板が得られる。
本発明の第2の態様によれば、高輝度化に好適な画素構造を有し、高い信頼性を備えた液晶表示素子が得られる。
本発明の第3の態様によれば、剥離を生じ難い絶縁膜をアレイ基板に形成するための感放射線性樹脂組成物が得られる。
本発明の第4の態様によれば、画素の高開口率化に有効であって剥離を生じ難い絶縁膜を有するアレイ基板の製造方法が得られる。また、この一態様によれば、絶縁膜の加熱処理工程を200℃以下とすることが可能である。
本実施の形態のアレイ基板の画素部分を模式的に示す平面図である。 図1のA−A’線に沿った断面構造を模式的に示す図である。 本実施の形態の液晶表示素子の模式的な断面図である。
特許文献2に記載のIPSモード液晶表示素子の有機絶縁膜は、感光性アクリル樹脂等から形成されている。また、有機絶縁膜上に配置される共通電極はITOからなり、有機絶縁膜と共通電極の上に配置される無機絶縁膜は、窒化ケイ素(SiN)等からなる。この場合、有機絶縁膜と、その上に形成される無機絶縁膜等とでは、熱膨張係数が異なる。このため、アレイ基板上に有機絶縁膜を形成し、さらにその上に共通電極と無機絶縁膜と画素電極とを順次積層して形成しようとすると、画素電極形成の際の加熱工程で、共通電極や無機絶縁膜に大きなストレスが加わる。
ここで、有機絶縁膜上に配置される共通電極は、上述の通りITOからなるので、有機絶縁膜との間の接着力が強く、それらの間で剥離は生じ難い。しかしながら、無機絶縁膜とITO膜との間の接着力は弱いため、上述のストレスにより、無機絶縁膜と共通電極との間で剥離が発生してしまう。
そこで、本発明者は、加熱による伸縮の小さい有機材料からなる有機絶縁膜(以下、単に第1の絶縁膜と言う。)を開発し、この第1の絶縁膜上に共通電極等を形成することで、共通電極等に加わるストレスの低減を図る。本実施形態において、この有機材料からなる第1の絶縁膜は、第1感放射線性樹脂組成物を用いて形成される。第1感放射線性樹脂組成物は、感放射線性であって、ポジ型およびネガ型のいずれも可能であるが、ポジ型、ネガ型ともカルボキシル基を有する構成単位と重合性基を有する構成単位を含む重合体を有する。第1感放射線性樹脂組成物から形成された塗膜に放射線照射しパターン形成後、さらに加熱によって硬化することで、重合性基を有する樹脂同士が、重合性基が加熱で反応することで架橋し、高度に架橋ネットワークを形成した硬化膜を形成することができる。このような硬化膜は、その後さらに加熱されることがあっても、膜の伸縮が小さいために、この上に形成される膜に与えるストレスを最小限にすることができる。
さらに、本発明者は、従来の無機絶縁膜に代えて、有機材料を用いた有機絶縁膜(以下、第2の絶縁膜とも言う。)を用いる。そして、それを共通電極と画素電極との間に配置して、アレイ基板および液晶表示素子を構成する。有機材料を用いた第2の絶縁膜は、上述の有機材料からなる絶縁膜と同様の熱膨張特性を有し、またITO等からなる共通電極等との接着力が強く、第2の絶縁膜と共通電極の間の剥離を生じ難くすることができる。
このとき、その有機材料を用いた第2の絶縁膜は、CVD等の成膜方法によらず、塗布法により成膜可能な塗布型の層間絶縁膜とすることが望ましい。そうすることにより、成膜工程のスループットを向上させ、アレイ基板および液晶表示素子の生産性を向上させることができる。
また、その有機材料を用いた第2の絶縁膜は、高屈折率化のための成分を含有して屈折率の調整が可能なものであることが望ましく、従来の有機材料を用いた有機膜に比べて高い屈折率を有することが望ましい。本実施形態のアレイ基板の第2の絶縁膜がこうした屈折率特性を有することにより、それを用いた液晶表示素子においては、画面上で電極が目立って見える、所謂「骨見え」の問題を低減することができる。
以下では、上記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を用いて形成されるアレイ基板および液晶表示素子と、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜の形成に好適な感放射線性樹脂組成物と、それら感放射線性樹脂組成物を用いて上記第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を形成して製造するアレイ基板の製造方法とについて述べる。
まず、本発明の実施形態のアレイ基板およびそれを用いて構成される液晶表示素子について説明する。
尚、本発明において、露光に際して照射される「放射線」には、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線および荷電粒子線等が含まれる。
<液晶表示素子>
本実施の形態の液晶表示素子は、本実施の形態のアレイ基板を用いて構成されたIPSモードのカラー液晶表示素子である。
この液晶表示素子は、アクティブマトリクス型のIPSモードのカラー液晶表示素子とすることができる。
また、液晶表示素子は、スイッチングに用いられる能動素子、電極および絶縁膜等が形成されたアレイ基板と、着色パターンを有して構成されたカラーフィルタ基板とが、液晶層を介して対向する構造とすることができる。そして、複数の画素がドットマトリクス状に配置された表示領域を有する。
図1は、本実施の形態のアレイ基板について、画素部分の要部構造を模式的に示す平面図である。
図2は、図1のA−A’線に沿った断面構造を模式的に示す図である。
図1および図2において、アレイ基板1は、透明な基板4の一方の面に、能動素子8が配置された構造を有する。能動素子8は、基板4上に配置された走査信号線7の一部をなすゲート電極7aと、ゲート電極7aの上にゲート絶縁膜31を介して配置された半導体層8aと、半導体層8aに接続する第1のソース−ドレイン電極6と、映像信号線5の一部をなして半導体層8aに接続する第2のソース−ドレイン電極5aとを有し、全体としてTFT(Thin Film Transistor)素子を構成している。半導体層8aは、例えば、a−Si(アモルファス−シリコン)または微結晶シリコンを用いて形成することができる。ゲート電極7aを覆うように配置されたゲート絶縁膜31は、例えば、SiO(二酸化ケイ素)等の金属酸化物やSiN(窒化ケイ素)等の金属窒化物から形成することができる。
能動素子8の上には、能動素子8を被覆するように、後述する第1の絶縁膜および第2の絶縁膜と異なる、第3の絶縁膜である無機絶縁膜32が設けられる。無機絶縁膜32は、例えば、SiO等の金属酸化物やSiN等の金属窒化物から形成することができる。無機絶縁膜32は、半導体層8aが湿度によって影響されるのを防ぐために設けられる。尚、本実施の形態のアレイ基板では、この第3の絶縁膜である無機絶縁膜32を設けず、能動素子8の上に、後述する第1の絶縁膜である絶縁膜12を配置する構造とすることも可能である。
能動素子8の上には、無機絶縁膜32を覆うようにして、第1の絶縁膜である絶縁膜12が配置される。絶縁膜12は、後に詳述する本発明の実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を用いて形成される絶縁膜であり、有機材料を用いて形成される有機絶縁膜である。絶縁膜12は、平坦化膜としての機能を備えていることが好ましく、この観点から厚く形成される。例えば、一般的な構造の能動素子8の場合、絶縁膜12は、1μm〜6μmの膜厚で形成することができる。
後述する画素電極9と第1のソース−ドレイン電極6とを接続するため、絶縁膜12には、絶縁膜12を貫通するコンタクトホール17が形成されている。コンタクトホール17は、絶縁膜12の下層にある無機絶縁膜32も貫通するように形成される。絶縁膜12は、感放射線性の樹脂組成物である本発明の実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を用いて形成される。したがって、例えば、絶縁膜12に放射線を照射して貫通孔を形成した後、この絶縁膜12をマスクとして無機絶縁膜32に対してドライエッチングを行うことにより、コンタクトホール17を形成することができる。尚、アレイ基板1が無機絶縁膜32を有しない構造の場合、絶縁膜12に放射線を照射して形成される貫通孔がコンタクトホール17になる。
絶縁膜12の上面は平坦であり、この上に共通電極14が設けられている。共通電極14は、コンタクトホール17を避けて配置される。
共通電極14は、例えば、ITO等の透明導電材料からなる膜を、スパッタリング法等を利用して成膜する。そして、フォトリソグラフィ法等を利用してパターニングを行い、コンタクトホール17を囲むように開口部を設ける。これにより、図2の構造の共通電極14を形成することができる。
絶縁膜12と共通電極14の上には、これらを被覆するようにして、第2の絶縁膜としての有機材料を用いた層間絶縁膜33が設けられている。また、層間絶縁膜33は、絶縁膜12のコンタクトホール17と同じ位置に開口部を有している。このため、絶縁膜12のコンタクトホール17は、層間絶縁膜33によって塞がれることは無く、後述する層間絶縁膜33上の画素電極9と、半導体層8aに接続する第1のソース−ドレイン電極6との間の電気的な接続を可能とする。このとき、コンタクトホール17は、上部と底部が開口して絶縁膜12を貫通する状態が保持されればよく、コンタクトホール17の内壁の少なくとも一部が層間絶縁膜33によって被覆されていてもよい。
層間絶縁膜33は、有機材料を用いて構成される膜である。層間絶縁膜33は、後に詳述する本発明の実施形態の第2感放射線性樹脂組成物を用いて塗布による塗膜形成を行い、フォトリソグラフィ法等を利用して所定のパターニングがなされた塗布型の層間絶縁膜である。本発明の実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、本実施形態のアレイ基板1の層間絶縁膜33において、所望とする屈折率特性をを実現できるように、組成の最適化がなされている。そして、層間絶縁膜33は、絶縁膜12のコンタクトホール17を塞ぐことがないようにパターニングされるとともに、共通電極14を覆うように配置される。
尚、フォトリソグラフィ法には、加工や処理を受ける基板の表面に、レジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成する工程、光や電子線を照射して所定のレジストパターンを露光することによりレジストパターン潜像を形成する露光工程、必要に応じ加熱処理する工程、次いでこれを現像して所望の微細パターンを形成する現像工程、および、この微細パターンをマスクとして基板に対してエッチングなどの加工を行う工程が含まれる。
層間絶縁膜33の上には、画素電極9が設けられている。画素電極9は、透明電極であって、櫛歯状に形成された部分を有する(以下、単に「櫛歯状」または「櫛歯状の」と称する。)。櫛歯状の形状(以下、単に「櫛歯形状」と称することがある。)の画素電極9は、コンタクトホール17を介して、半導体層8aに接続する第1のソース−ドレイン電極6と接続する。こうした構造とすることにより、画素の開口率を向上させ、高輝度な画素構造を実現でき、アレイ基板1を用いる液晶表示素子の高輝度化を実現することができる。
画素電極9は、次のようにして形成され得る。例えば、ITO(Indium Tin Oxide:錫をドープした酸化インジュウム)等の透明導電材料からなる膜を、スパッタリング法等を利用して成膜する。次いで、フォトリソグラフィ法等を利用してパターニングを行い、櫛歯形状の電極を形成する。
画素電極9の上には、画素電極9を覆うように、配向膜10を設けることが可能である。配向膜10は、液晶層の配向を制御する。より具体的には、配向膜10は液晶層を構成する液晶分子の配向を制御し、ひいては液晶層の配向を制御する。
アレイ基板1では、映像信号線5と走査信号線7とがマトリクス状に配設される。能動素子8は、映像信号線5と走査信号線7の交差部近傍に設けられており、それらは、アレイ基板1上で区画された各画素を構成する。
本実施の形態のアレイ基板1の第1の絶縁膜である絶縁膜12は、映像信号線5等と能動素子8とが形成された基板4上に、本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を塗布し、コンタクトホール17の形成等の必要なパターニングをした後、加熱硬化して形成される。
絶縁膜12の形成に用いられる本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物は、ポジ型またはネガ型のいずれとすることもできる。例えば、ポジ型の第1感放射線性樹脂組成物を用いた絶縁膜12では、放射線に感応すると現像液への溶解性が増大して感応部分が除去される。したがって、ポジ型の第1感放射線性樹脂組成物を使用する場合、絶縁膜12のコンタクトホール17の形成部分に感放射線を照射することにより、比較的容易に所望とするコンタクトホール17を形成することができる。
ネガ型の第1感放射線性樹脂組成物を用いた絶縁膜12では、放射線に感応すると現像液への溶解性が低下するため、非感応部分が除去される。したがって、ネガ型の第1感放射線性樹脂組成物を使用する場合、絶縁膜12のコンタクトホール17の形成部分以外に放射線を照射することにより、所望とするコンタクトホール17を形成することができる。ポジ型に比較して、コンタクトホール17の形状制御が難しくなる短所があるが、得られる絶縁膜12の透明性や耐熱性などの点で、長所がある。
本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物は、ポジ型、ネガ型とも、例えば、カルボキシル基を有する構成単位と重合性基を有する構成単位を含む重合体等である、アルカリ可溶性樹脂を含有する。その場合、第1感放射線性樹脂組成物から形成された塗膜に放射線照射しパターン形成後、さらに加熱によって硬化することで、重合性基を有する樹脂同士が、重合性基が加熱で反応することで架橋し、高度に架橋ネットワークを形成した硬化膜を形成することができる。このような硬化膜は、その後さらに加熱されることがあっても、膜の伸縮が小さいために、この上に形成される膜に与えるストレスを最小限にすることができる。したがって、絶縁膜12を形成した後、この上に設けられる他の膜の硬化工程で、絶縁膜12がさらに加熱処理を受けても、それによる絶縁膜12のサイズの変動は最小限に抑えられる。これにより、絶縁膜12上の共通電極14や層間絶縁膜33に加わるストレスを小さくすることができる。
絶縁膜12の加熱による膜の伸縮が小さいことによって、ITO等からなる共通電極14とその上に配置される層間絶縁膜33との間の接着力が弱い場合があっても、共通電極14と層間絶縁膜33との間で剥離が発生するのを防止することができる。
本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物は、その組成を最適化することで、200℃以下の低温の加熱により硬化させることができる。したがって、アレイ基板1の製造工程における低温熱処理を可能とし、省エネルギーの観点からも好適な絶縁膜12を形成できる。
また、本実施形態のアレイ基板1の第2の絶縁膜である層間絶縁膜33の形成に用いられる本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、その成分組成が、層間絶縁膜33の形成用として最適化されたものである。特に、本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、層間絶縁膜33において、高屈折率化を実現できるように、高屈折率粒子として、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子を含有して構成される。そして、第2感放射線性樹脂組成物は、併せて、優れたパターニング性を実現できるように、その他の成分についても最適な設計がなされている。本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物については、後に詳細に説明する。
その結果、アレイ基板1では、液晶表示素子において骨見えの問題を低減できるように、層間絶縁膜33の屈折率の調整がなされている。層間絶縁膜33の屈折率はそれぞれ、1.55〜1.85の範囲内とされることが好ましい。そして、骨見えの低減とパターニング性との両立を考慮した場合、層間絶縁膜33の屈折率はそれぞれ、1.60〜1.80の範囲内とされることがより好ましい。また、骨見えの低減とパターニング性とのより高レベルでの両立を考慮した場合、層間絶縁膜33の屈折率はそれぞれ、1.65〜1.75の範囲内とされることがさらに好ましい。
層間絶縁膜33の膜厚は特に限定されないが、共通電極14と画素電極9との間の絶縁性を確保するとともに、アレイ基板1における骨見えの問題を低減するのに好適な厚みであることが好ましい。層間絶縁膜33の膜厚は、好ましくは0.1μm〜8μm、より好ましくは0.1μm〜6μm、さらに好ましくは0.1μm〜4μmである。本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物から形成された層間絶縁膜33は、後述する実施例からも明らかにされるように、透明性および密着性を備えている。
また、層間絶縁膜33は、絶縁膜12、共通電極14および画素電極9と同様、アレイ基板1を構成する構成要素として、優れた可視光透過性が求められる。層間絶縁膜33は、波長400nmの光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
またさらに、本実施形態のアレイ基板1では、画素電極9を形成した後、液晶配向用の配向膜10を設けることが可能である。配向膜10は、後述するように、(1)光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤、または、(2)光配向性基を有さないポリイミドを含む液晶配向剤を用いて得ることができる。(1)の樹脂組成物は、絶縁膜12の形成に用いられる第1感放射線性樹脂組成物や層間絶縁膜33の形成に用いられる第2感放射線性樹脂組成物とは異なるものであるが、200℃以下の低温熱処理で硬化する。また、(2)は、溶媒可溶型のポリイミドであり、(1)と同様に、200℃以下の加熱処理で硬化する。したがって、これらの材料によって配向膜10を形成することにより、配向膜10の形成工程における加熱によって引き起こされる絶縁膜12の伸縮を最小限にすることができる。また、200℃以下での加熱処理が可能となることで、省エネルギーの観点からも好ましいアレイ基板の製造方法を提供することができる。
図3は、本実施の形態のアレイ基板を用いた液晶表示素子の模式的な断面図である。
図3に示すように、液晶表示素子41は、図1および図2に示したアレイ基板1と、カラーフィルタ基板22とからなる、アクティブマトリクス型のIPSモードのカラー液晶表示素子である。液晶表示素子41は、基板4および基板11に対して平行に配向する液晶層23を介して、アレイ基板1とカラーフィルタ基板22とが対向する構造を有する。
アレイ基板1は、図3に示すように、透明な基板4の液晶層23の側の面に、スイッチングに用いられる能動素子8を有する。能動素子8は、上述したように、ゲート電極7aと、ゲート絶縁膜31と、半導体層8aと、第1のソース−ドレイン電極6と、第2のソース−ドレイン電極5aとを有し、全体としてTFT素子を構成している。そして、アレイ基板1上では、第2のソース−ドレイン電極5aに接続する映像信号線5(図3では図示されない。)と、ゲート電極7aに接続する走査信号線7(図3では図示されない。)とがマトリクス状に配設される。能動素子8は、映像信号線5と走査信号線7の交差部近傍に設けられており、それらによって、アレイ基板1上で区画された各画素を構成している。
能動素子8の上には、第3の絶縁膜である無機絶縁膜32を設けることができ、無機絶縁膜32を覆うようにして第1の絶縁膜である絶縁膜12が配置される。絶縁膜12は、上述した本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を用いて形成され、平坦化膜としての機能も備えるように厚く形成されている。
絶縁膜12の上には、共通電極14が、コンタクトホール17を避けて配置される。共通電極14および絶縁膜12の上には、第2の絶縁膜である層間絶縁膜33が配置される。
層間絶縁膜33の上には、透明電極であって、櫛歯状に形成された部分を有する画素電極9が配置される。また、絶縁膜12には、絶縁膜12を貫通し、さらにその下層の無機絶縁膜32も貫通するコンタクトホール17が形成されている。画素電極9は、コンタクトホール17を介して、半導体層8aに接続する第1のソース−ドレイン電極6と接続する。画素電極9の上には、液晶層23の配向を制御する配向膜10が設けられる。
カラーフィルタ基板22は、透明な基板11の液晶層23の側の面に設けられる。また、カラーフィルタ基板22は、着色パターン15と、ブラックマトリクス13とが配置されて構成される。着色パターン15は、赤色、緑色および青色の各微小なパターンが、格子状等の規則的な形状をとって配列される。尚、着色パターン15の色については、上記の赤色、緑色および青色の3色に限られるわけではなく、他の色を選択することや、他に黄色を加えて4色の着色パターンとすることも可能である。これら各色のパターンを配列して、カラーフィルタ基板を構成することができる。
カラーフィルタ基板22において、その液晶層23と接する面には、アレイ基板1と同様の配向膜10が設けられている。尚、配向膜10とカラーフィルタ基板22との間に、カラーフィルタ基板22の表面の凹凸を平坦化する目的で、平坦化膜を形成することも可能である。
上記の通り、本実施の形態においては、アレイ基板1とカラーフィルタ基板22の各液晶層23と接する面に配向膜10が設けられる。配向膜10は、必要な場合にラビング等の配向処理が施され、アレイ基板1とカラーフィルタ基板22との間に挟持された液晶層23の均一な平行配向を実現する。
液晶層23を介して対向する、アレイ基板1とカラーフィルタ基板22との間の距離は、スペーサ(図示されない)によって所定の値に保持されており、通常、2μm〜10μmである。また、アレイ基板1とカラーフィルタ基板22は、これらの周辺部に設けられたシール材(図示されない)によって互いに固定されている。
アレイ基板1とカラーフィルタ基板22において、液晶層23に接する側と反対の側には、それぞれ偏光板28が配置されている。
図3において、符号27は、液晶表示素子41の光源となるバックライトユニット(図示されない)から液晶層23に向けて照射されたバックライト光である。
バックライトユニットとしては、例えば、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の蛍光管と、散乱板とが組み合わされた構造のものを用いることができる。また、白色LEDを光源とするバックライトユニットを用いることもできる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと、緑色LEDと、青色LEDとを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、赤色LEDと、緑色蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、YAG系蛍光体との混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと、橙色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと、赤色発光蛍光体と、緑色発光蛍光体と、青色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
以上述べたように、本実施形態の液晶表示素子41は、本実施形態のアレイ基板1と、カラーフィルタ基板22とによって、液晶層23を挟持した構成を有する。アレイ基板1では、絶縁膜12および無機絶縁膜32を貫通して設けられたコンタクトホール17を介して、画素電極9と第1のソース−ドレイン電極6との電気的接続が実現される。そして、画素電極9に対して映像信号線5による信号電圧が印加され、共通電極14との間に発生する横電界によって、液晶層23の液晶分子を基板4、11の平面と平行な面内において回転動作させる。これを利用して、液晶表示素子41は、画素毎に液晶層23の光の透過特性を制御して画像を形成する。ここで、液晶表示素子41はIPSモードの素子であり、液晶分子の動作が従来のTNモード等と異なっている。このため、液晶表示素子41は、液晶層を挟持する基板4、11に対する液晶分子のチルト角の変化が少ない。したがって、広い視角特性を実現して、高画質化の画像表示が可能となる。
また、本実施の形態の液晶表示素子41は、共通電極14の上に層間絶縁膜33が設けられ、さらに層間絶縁膜33の上に櫛歯形状の画素電極9が配置される構造を有する。この構造によれば、画素の開口率が向上し、高輝度での画像表示が実現される。
さらに、液晶表示素子41では、絶縁膜12が、後に詳述する本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を用いて形成されている。このため、絶縁膜12は、放射線照射後の加熱硬化による形成の後、さらに加熱されることがあっても、熱収縮率が小さいために膜の伸縮率が小さいという特徴を備える。したがって、絶縁膜12の形成の後に、例えば、その他の構成部材を形成するための加熱工程があっても、加熱による絶縁膜12のサイズの変動は小さいため、絶縁膜12上にある共通電極14や層間絶縁膜33に加わるストレスを最小限にすることができる。
以上のことから、本実施の形態の液晶表示素子41では、ITO等からなる共通電極14とその上に配置される層間絶縁膜33との間の接着力が弱い場合でも、共通電極14と無機絶縁膜33との間で剥離が発生するのを防止することができる。これにより、高輝度化の可能な画素構造を有し、高い信頼性を有する液晶表示素子41とすることができる。
そして、液晶表示素子41において、層間絶縁膜33は、後に詳述する本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物を用いて形成された、有機材料からなる塗布型の層間絶縁膜である。すなわち、層間絶縁膜33は、ITO等からなる共通電極14等との接着力が強く、それらの間の剥離を生じ難くすることができる。そして、層間絶縁膜33は、塗布法による塗膜の形成とフォトリソグラフィ法を用いたパターニングによるが可能であり、高スループットの成膜を可能とし、高い生産性を実現することができる。また、液晶表示装置41は、有機材料を用いた層間絶縁膜33において、屈折率を高めるための成分設計がなれており、骨見えの問題を低減することができる。
以上のように、本実施の形態の液晶表示素子は、優れた画質と高い信頼性を備えるが、こうした性能の実現において、本実施の形態のアレイ基板の主要な構成要素となる、第1の絶縁膜である絶縁膜および第2の絶縁膜である層間絶縁膜の特性が重要となる。すなわち、本実施の形態のアレイ基板において、電極と配線との間には、本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を用いて形成された絶縁膜が配置され、電極間には本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物を用いて形成された層間絶縁膜が配置されるが、この絶縁膜および層間絶縁膜が、本実施の形態の液晶表示素子の優れた画質と高い信頼性の実現に大きく寄与している。上記の第1感放射線性樹脂組成物を用いて形成された絶縁膜は、有機材料を用いて構成されるが、膜となった後に熱履歴を受けても、膜の伸縮率が小さいという特徴を備える。上記の第2感放射線性樹脂組成物を用いて形成された層間絶縁膜は、有機材料を用いて構成され、ITO等からなる電極との接着力に優れるとともに、望ましい屈折率特性を有するという特徴を備える。
次に、絶縁膜を形成するための、本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物について詳しく説明する。
<第1感放射線性樹脂組成物>
本実施形態のアレイ基板において、その構成部材の1つである絶縁膜の製造に用いられる第1感放射線性樹脂組成物は、ポジ型、ネガ型とも、[A]アルカリ可溶性樹脂を必須成分とし、ポジ型感放射線性樹脂組成物の場合、[B]キノンジアジド化合物をさらに必須成分として含有し、ネガ型感放射線性樹脂組成物の場合は、[C]重合性化合物、および[D]感放射線性重合開始剤を含有する。
第1感放射線性樹脂組成物は、ポジ型およびネガ型とも、[E]熱酸発生剤を含有することができ、さらに、後述する[F]硬化促進剤を含有することができる。また、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。
以下、本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
<[A]アルカリ可溶性樹脂>
[A]アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像性を有する樹脂であれば、限定されない。
そして、[A]アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する構成単位と重合性基を有する構成単位とを含む樹脂、または、ポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得られるポリイミド樹脂が好ましい。
以下では、まず、[A]アルカリ可溶性樹脂の例である、カルボキシル基を有する構成単位と重合性基を有する構成単位とを含むアクリル系樹脂について説明する。
カルボキシル基を有する構成単位と重合性基を有する構成単位とを含むアクリル系樹脂について、重合性基を有する構成単位とは、エポキシ基を有する構成単位および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構成単位であることが好ましい。[A]アルカリ可溶性樹脂が、上記特定構成単位を含むことで、優れた表面硬化性および深部硬化性を有する硬化膜、すなわち、本実施の形態の絶縁膜を形成することができる。
上述の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位は、例えば、共重合体中のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させる方法、共重合体中のカルボキシル基にエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させる方法、共重合体中の水酸基にイソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させる方法、共重合体中の酸無水物部位に(メタ)アクリル酸を反応させる方法等により形成することができる。これらのうち特に、共重合体中のカルボキシル基にエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させる方法が好ましい。
カルボキシル基を有する構成単位と、重合性基としてエポキシ基を有する構成単位とを含む[A]アルカリ可溶性樹脂は、(A1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選択される少なくとも1種(以下、「(A1)化合物」とも称する。)と、(A2)エポキシ基含有不飽和化合物(以下、「(A2)化合物」とも称する。)とを共重合して合成することができる。この場合、[A]アルカリ可溶性樹脂は、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種から形成される構成単位並びにエポキシ基含有不飽和化合物から形成される構成単位を含む共重合体となる。
[A]アルカリ可溶性樹脂は、例えば、溶媒中で重合開始剤の存在下、カルボキシル基含有構成単位を与える(A1)化合物と、エポキシ基含有構成単位を与える(A2)化合物とを共重合することによって製造できる。また、ポジ型とする場合には、(A3)水酸基含有構成単位を与える水酸基含有不飽和化合物(以下、「(A3)化合物」とも称する。)をさらに加えて、共重合体とすることもできる。さらに、[A]アルカリ可溶性樹脂の製造においては、上記(A1)化合物、(A2)化合物および(A3)化合物と共に、(A4)化合物(上記(A1)、(A2)および(A3)化合物に由来する構成単位以外の構成単位を与える不飽和化合物)をさらに加えて、共重合体とすることもできる。以下、各化合物を詳述する。
[(A1)化合物]
(A1)化合物としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸の無水物、多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸の無水物としては、例えば、上記ジカルボン酸として例示した化合物の無水物等が挙げられる。
多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステルとしては、例えば、コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられる。
これらの(A1)化合物のうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が共重合反応性、アルカリ水溶液に対する溶解性および入手の容易性からより好ましい。
これらの(A1)化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(A1)化合物の使用割合は、(A1)化合物並びに(A2)化合物(必要に応じて任意の(A3)化合物および(A4)化合物)の合計に基づいて、5質量%〜30質量%が好ましく、10質量%〜25質量%がより好ましい。(A1)化合物の使用割合を5質量%〜30質量%とすることによって、[A]アルカリ可溶性樹脂のアルカリ水溶液に対する溶解性を最適化するとともに、放射線性感度に優れる絶縁膜が得られる。
[(A2)化合物]
(A2)化合物は、ラジカル重合性を有するエポキシ基含有不飽和化合物である。エポキシ基としては、オキシラニル基(1,2−エポキシ構造)またはオキセタニル基(1,3−エポキシ構造)等が挙げられる。
オキシラニル基を有する不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、アクリル酸3,4−エポキシブチル、メタクリル酸3,4−エポキシブチル、アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロへキシルメチル等が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等が、共重合反応性および絶縁膜等の耐溶媒性等の向上の観点から好ましい。
オキセタニル基を有する不飽和化合物としては、例えば、
3−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン等のアクリル酸エステル;
3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2,2−ジフルオロオキセタン等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
これらの(A2)化合物のうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタンが好ましい。これらの(A2)化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(A2)化合物の使用割合は、(A1)化合物並びに(A2)化合物(必要に応じて任意の(A3)化合物および(A4)化合物)の合計に基づいて、5質量%〜60質量%が好ましく、10質量%〜50質量%がより好ましい。(A2)化合物の使用割合を5質量%〜60質量%とすることによって、優れた硬化性等を有する硬化膜、すなわち、本実施の形態の絶縁膜を形成することができる。
[(A3)化合物]
(A3)化合物としては、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、フェノール性水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシスチレンが挙げられる。
水酸基を有するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等が挙げられる。
水酸基を有するメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有するアクリル酸エステルとしては、アクリル酸2−ヒドロキシフェニル、アクリル酸4−ヒドロキシフェニル等が挙げられる。フェノール性水酸基を有するメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシフェニル、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル等が挙げられる。
ヒドロキシスチレンとしては、o−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレンが好ましい。これらの(A3)化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
(A3)化合物の使用割合は、(A1)化合物、(A2)化合物並びに(A3)化合物(必要に応じて任意の(A4)化合物)の合計に基づいて、1質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜25質量%がより好ましい。
[(A4)化合物]
(A4)化合物は、上記の(A1)化合物、(A2)化合物および(A3)化合物以外の不飽和化合物であれば、特に制限されるものではない。(A4)化合物としては、例えば、メタクリル酸鎖状アルキルエステル、メタクリル酸環状アルキルエステル、アクリル酸鎖状アルキルエステル、アクリル酸環状アルキルエステル、メタクリル酸アリールエステル、アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン、テトラヒドロフラン骨格等をもつ不飽和化合物およびその他の不飽和化合物等が挙げられる。
メタクリル酸鎖状アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸n−ステアリル等が挙げられる。
メタクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシエチル、メタクリル酸イソボロニル等が挙げられる。
アクリル酸鎖状アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸n−ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸n−ステアリル等が挙げられる。
アクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシエチル、アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。
メタクリル酸アリールエステルとしては、例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシベンジル)マレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等が挙げられる。
不飽和芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等が挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
テトラヒドロフラン骨格を含有する不飽和化合物としては、例えば、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、2−メタクリロイルオキシ−プロピオン酸テトラヒドロフルフリルエステル、3−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフラン−2−オン等が挙げられる。
その他の不飽和化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル等が挙げられる。
これらの(A4)化合物のうち、メタクリル酸鎖状アルキルエステル、メタクリル酸環状アルキルエステル、メタクリル酸アリールエステル、マレイミド化合物、テトラヒドロフラン骨格、不飽和芳香族化合物、アクリル酸環状アルキルエステルが好ましい。これらのうち、特に、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、p−メトキシスチレン、アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルが、共重合反応性およびアルカリ水溶液に対する溶解性の点から好ましい。
これらの(A4)化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(A4)化合物の使用割合としては、(A1)化合物、(A2)化合物並びに(A4)化合物(および任意の(A3)化合物)の合計に基づいて、10質量%〜80質量%が好ましい。
<カルボキシル基を有する構成単位と重合性基としてエポキシ基を有する構成単位とを含む[A]アルカリ可溶性樹脂の合成方法1>
[A]アルカリ可溶性樹脂は、例えば、溶媒中で重合開始剤の存在下、上記(A1)化合物並びに(A2)化合物(任意の(A3)化合物および(A4)化合物)を共重合することによって製造できる。かかる合成方法によれば、少なくともエポキシ基含有構成単位を含む共重合体を合成することができる。
[A]アルカリ可溶性樹脂を製造するための重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、アルコール、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、ケトン、エステル等が挙げられる。
[A]アルカリ可溶性樹脂を製造するための重合反応に用いられる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用できる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
[A]アルカリ可溶性樹脂を製造するための重合反応においては、分子量の調整を目的として、分子量調整剤を使用することができる。
分子量調整剤としては、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
[A]アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1000〜30000が好ましく、5000〜20000がより好ましい。[A]アルカリ可溶性樹脂のMwを上記範囲とすることで、第1感放射線性樹脂組成物の放射線に対する感度および現像性を高めることができる。尚、本明細書における重合体のMwおよび数平均分子量(Mn)は、下記の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803およびGPC−KF−804を結合
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<カルボキシル基を有する構成単位と重合性基として(メタ)アクリル基を有する構成単位とを含む[A]アルカリ可溶性樹脂の合成方法2>
[A]アルカリ可溶性樹脂は、例えば、上述の(A1)化合物を1種以上使用して合成できる共重合体(以下、「特定共重合体」とも称する。)と、上記(A2)化合物とを反応させて合成できる。かかる合成方法によれば、少なくとも(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む共重合体を合成することができる。
[A]アルカリ可溶性樹脂が含む(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位は、共重合体中のカルボキシル基にエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られ、反応後の(メタ)アクリル基を有する構成単位は、下記式(1)で表される。この構成単位は、(A1)化合物に由来する特定共重合体中のカルボキシル基と(A2)化合物のエポキシ基とが反応し、エステル結合を形成して得られる。
Figure 0005835051
上記式(1)中、R10およびR11は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。cは、1〜6の整数である。R12は、下記式(2−1)または下記式(2−2)で表される2価の基である。
Figure 0005835051
上記式(2−1)中、R13は、水素原子またはメチル基である。上記式(2−1)および上記式(2−2)中、*は、酸素原子と結合する部位を示す。
上記式(1)で表される構成単位について、例えば、カルボキシル基を有する共重合体に、(A2)化合物としてメタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル等の化合物を反応させた場合、式(1)中のR12は、式(2−1)となる。一方、(A2)化合物としてメタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等の化合物を反応させた場合、式(1)中のR12は、式(2−2)となる。
特定共重合体の合成に際しては、(A1)化合物以外の化合物、例えば、上述の(A3)化合物、(A4)化合物等を共重合成分として用いてもよい。これらの化合物としては、共重合反応性の点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、スチレン、p−メトキシスチレン、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、1,3−ブタジエンが好ましい。
特定共重合体の共重合の方法としては、例えば、(A1)化合物、および必要に応じて(A3)化合物等を、溶媒中ラジカル重合開始剤を使用して重合する方法が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、上述の[A]アルカリ可溶性樹脂の項で例示したものと同様のものが挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性不飽和化合物100質量%に対して、通常0.1質量%〜50質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%である。
特定共重合体は、重合反応溶液のまま[A]アルカリ可溶性樹脂の製造に供してもよく、共重合体を一旦溶液から分離した後に[A]アルカリ可溶性樹脂の製造に供してもよい。
また、特定共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、5.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましい。
分子量分布(Mw/Mn)を5.0以下とすることで、得られるパターンの形状を良好に保つことができる。また、上記特定範囲の分子量分布(Mw/Mn)を有する特定共重合体を含む絶縁膜は、高度な現像性を有する。すなわち、現像工程において、現像残りを生じることなく、容易に所定パターンを形成することができる。
特定共重合体の(A1)化合物に由来する構成単位の含有率は、5質量%〜60質量%が好ましく、7質量%〜50質量%がより好ましく、8質量%〜40質量%が特に好ましい。
特定共重合体の(A1)化合物以外の(A3)化合物、(A4)化合物等の化合物に由来する構成単位の含有率は、10質量%〜90質量%、20質量%〜80質量%である。
特定共重合体と(A2)化合物との反応においては、必要に応じて適当な触媒の存在下において、好ましくは重合禁止剤を含む共重合体の溶液に、エポキシ基を有する不飽和化合物を投入し、加温下で所定時間攪拌する。上記触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。上記重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール等が挙げられる。反応温度は、70℃〜100℃が好ましい。反応時間は、8時間〜12時間が好ましい。
(A2)化合物の使用割合は、共重合体中の(A1)化合物に由来するカルボキシル基に対して、5質量%〜99質量%が好ましく、10質量%〜97質量%がより好ましい。(A2)化合物の使用割合を上記範囲とすることで、共重合体との反応性、絶縁膜の硬化性等がより向上する。(A2)化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
次に、[A]アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミド樹脂(以下、単にポリイミドとも言う。)について説明する。
ポリイミドは、ポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得られる。このようなポリアミック酸は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができ、具体的には、特開2010−97188号公報に記載される方法にしたがって得ることができる。
[A]アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよい。
[A]アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミドは、そのイミド化率が30%以上であることが好ましく、50%〜99%であることがより好ましく、65%〜99%であることがさらに好ましい。但し、この場合のイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部はイソイミド環であってもよく、これは、例えば、特開2010−97188号公報に記載されるようにして得ることができる。
<[B]キノンジアジド化合物>
本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物は、[A]アルカリ可溶性樹脂を必須の成分として含有するとともに、[B]キノンジアジド化合物を含有することができる。これにより、ポジ型の第1感放射線性樹脂組成物として使用することが可能である。
[B]キノンジアジド化合物は、放射線の照射によってカルボン酸を発生するキノンジアジド化合物である。[B]キノンジアジド化合物としては、フェノール性化合物またはアルコール性化合物(以下、「母核」と称する。)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を用いることができる。
上述の母核としては、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、その他の母核等が挙げられる。
トリヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
テトラヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ペンタヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ヘキサヒドロキシベンゾフェノンとしては、例えば、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
(ポリヒドロキシフェニル)アルカンとしては、例えば、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン等が挙げられる。
その他の母核としては、例えば、2−メチル−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシクロマン、1−[1−(3−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}−4,6−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−3−(1−(3−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}−4,6−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、4,6−ビス{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}−1,3−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
これらの母核のうち、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノールが好ましく用いられる。
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましい。1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとしては、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド等が挙げられる。これらのうち、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドがより好ましい。
フェノール性化合物またはアルコール性化合物(母核)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合反応においては、フェノール性化合物またはアルコール性化合物中のOH基数に対して、好ましくは30mol%〜85mol%、より好ましくは50mol%〜70mol%に相当する1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドを用いることができる。縮合反応は、公知の方法によって実施することができる。
また、[B]キノンジアジド化合物としては、上記に例示した母核のエステル結合をアミド結合に変更した1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド類、例えば、2,3,4−トリアミノベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸アミド等も好適に使用される。
これらの[B]キノンジアジド化合物は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物におけるキノンジアジド化合物の使用割合は、[A]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、5質量部〜100質量部が好ましく、10質量部〜50質量部がより好ましい。キノンジアジド化合物の使用割合を上述の範囲とすることで、現像液となるアルカリ水溶液に対する放射線の照射部分と未照射部分との溶解度の差を大きくして、パターニング性能を向上させることができる。また、この感放射性樹脂組成物を用いて得られる絶縁膜の耐溶媒性を良好なものとすることもできる。
<[C]重合性化合物>
本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物は、[A]アルカリ可溶性樹脂を必須の成分として含有するとともに、上述した[B]キノンジアジド化合物に代えて、[C]重合性化合物と後述する[D]感放射線性重合開始剤を含有することができる。これにより、ネガ型の第1感放射線性樹脂組成物として使用することが可能である。
本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物に含有される[C]重合性化合物としては、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート等の他、直鎖アルキレン基および脂環式構造を有しかつ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有しかつ3個〜5個の(メタ)アクリロイロキシ基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
[C]重合性化合物は、単独または2種以上を混合して使用できる。
第1感放射線性樹脂組成物における[C]重合性化合物の含有割合は、[A]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して20質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜160質量部がより好ましい。[C]重合性化合物の使用割合を上記範囲とすることで、密着性に優れ、低露光量においても十分な硬度を有する硬化膜、すなわち、絶縁膜とすることができる。
<[D]感放射線性重合開始剤>
本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物に、[C]重合性化合物とともに含有される[D]感放射線性重合開始剤は、放射線に感応して[C]重合性化合物の重合を開始し得る活性種を生じる成分である。このような[D]感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
O−アシルオキシム化合物としては、例えば、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
これらのうち、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)またはエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
アセトフェノン化合物としては、例えば、α−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
α−アミノケトン化合物としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、α−アミノケトン化合物が好ましく、特に、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましい。
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールまたは2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、そのうち、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールがより好ましい。
[D]感放射線性重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。[D]感放射線性重合開始剤の含有割合は、[A]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、1質量部〜40質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。[D]感放射線性重合開始剤の使用割合を1質量部〜40質量部とすることで、第1感放射線性樹脂組成物は、低露光量であっても、高い耐溶媒性、高い硬度および高い密着性を有する絶縁膜を形成できる。
<[E]熱酸発生剤>
本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物は、[E]熱酸発生剤を含有することができる。ここで、熱酸発生剤は、熱をかけることによって[A]アルカリ可溶性樹脂を硬化させる際の触媒として作用する酸性活性物質を放出することができる化合物と定義される。このような[E]熱酸発生剤を用いることは、特に200℃以下の硬化温度を可能とする点から好適である。すなわち、[E]熱酸発生剤の使用により、第1感放射線性樹脂組成物の現像後の加熱工程における[A]アルカリ可溶性樹脂の硬化反応をより促進し、表面硬度および耐熱性に優れた硬化膜、すなわち、本実施形態の絶縁膜を形成することができる。したがって、後の工程で熱履歴を受けても、膜の伸縮率を小さくすることが可能となる。かかる効果は、後述する[F]硬化促進剤との組み合わせによって発現しやすくなる。
[E]熱酸発生剤には、イオン性化合物および非イオン性化合物が含まれる。
イオン性化合物としては、重金属やハロゲンイオンを含まないものが好ましい。
イオン性の熱酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウム、1−ジメチルチオナフタレン、1−ジメチルチオ−4−ヒドロキシナフタレン、1−ジメチルチオ−4,7−ジヒドロキシナフタレン、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−アセチルフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム、これらのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ヘキサフルオロホスホン酸塩等が挙げられる。
非イオン性の[E]熱酸発生剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、スルホンベンゾトリアゾール化合物等が挙げられる。これらのうち、特にスルホンイミド化合物が好ましい。
スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド(商品名「SI−105」、みどり化学社)、N−(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド(商品名「SI−106」、みどり化学社)、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド(商品名「SI−101」、みどり化学社)、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド(商品名「PI−105」、みどり化学社)、N−(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(フェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−100」、みどり化学社)、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−101」、みどり化学社)、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−105」、みどり化学社)、N−(ノナフルオロブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−109」、みどり化学社)、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(商品名「NDI−106」、みどり化学社)、N−(カンファスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−105」、みどり化学社)、N−(カンファスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−106」、みどり化学社)、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−101」、みどり化学社)、N−(フェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−100」、みどり化学社)、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ペンタフルオロエチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプタフルオロプロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−109」、みどり化学社)、N−(エチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(プロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(商品名「NAI−1004」、みどり化学社)、N−(ペンチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘキシルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(オクチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド等が挙げられる。
その他の[E]熱酸発生剤としては、例えば、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート等のテトラヒドロチオフェニウム塩が挙げられる。
これらの[E]熱酸発生剤のうち、[A]アルカリ可溶性樹脂の硬化反応の触媒作用の点から、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミドがより好ましい。
[E]熱酸発生剤の使用量は、[A]アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。[E]熱酸発生剤の使用量を上記範囲とすることで、第1感放射線性樹脂組成物の感度を最適化し、透明性を維持しつつ表面硬度が高い硬化膜すなわち、絶縁膜を形成することができる。
<[F]硬化促進剤>
本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物は、[F]硬化促進剤を含有することができる。[F]硬化促進剤は、硬化を促進する機能を果たす化合物であり、200℃以下の低温硬化を実現する点から好適である。
[F]硬化促進剤は、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−アミノベンゼンスルホン酸エチル、3,5−ビストリフルオロメチル−1,2−ジアミノベンゼン、4−アミノニトロベンゼン、N,N−ジメチル−4−ニトロアニリン等の分子中に電子吸引性基とアミノ基を有する化合物、3級アミン化合物、アミド化合物、チオール化合物、ブロックイソシアネート化合物およびイミダゾール環含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である。
第1感放射線性樹脂組成物が、その特定の化合物群から選択される[F]硬化促進剤を含有することで、第1感放射線性樹脂組成物の硬化が促進され、絶縁膜の低温硬化、具体的には200℃以下での硬化を実現することができる。これにより、後の工程で熱履歴を受けても、膜の伸縮率を小さくすることが可能となる。かかる効果は、[E]熱酸発生剤との組み合わせで発現しやすくなる。さらに、[F]硬化促進剤を用いることで、第1感放射線性樹脂組成物の保存安定性を向上させることもできる。
<その他の任意成分>
本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物は、[A]アルカリ可溶性樹脂と[B]キノンジアジド化合物、あるいは[A]アルカリ可溶性樹脂と[C]重合性化合物および[D]感放射線性重合開始剤に加え、[E]熱酸発生剤または[F]硬化促進剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、界面活性剤、保存安定剤、接着助剤、耐熱性向上剤等のその他の任意成分を含有できる。これらの各任意成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。以下、各成分について記載する。
[界面活性剤]
界面活性剤は、第1感放射線性樹脂組成物の塗膜形成性をより向上させる目的で使用することができる。界面活性剤としては、例えば、後述する第2感放射線性樹脂組成物に使用可能な、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他の界面活性剤が挙げられる。
[保存安定剤]
保存安定剤としては、例えば、硫黄、キノン類、ヒドロキノン類、ポリオキシ化合物、アミン、ニトロニトロソ化合物等が挙げられ、より具体的には、4−メトキシフェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム等が挙げられる。
[接着助剤]
接着助剤は、本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物から得られる絶縁膜と、その下にある層や基板等との接着性をさらに向上させる目的で使用することができる。接着助剤としては、カルボキシル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、オキシラニル基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましく用いられ、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
<第1感放射線性樹脂組成物の調製方法>
本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物は、[A]アルカリ可溶性樹脂と、[B]キノンジアジド化合物あるいは[C]重合性化合物および[D]感放射線性重合開始剤との他に、[E]熱酸発生剤、[F]硬化促進剤、または必要に応じて添加されるその他の任意成分を均一に混合することによって調製される。この第1感放射線性樹脂組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状で用いられる。溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物の調製に用いられる溶媒としては、必須成分および任意成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。このような溶媒としては、上述した[A]アルカリ可溶性樹脂を製造するために使用可能な溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。
溶媒の含有量は特に限定されないが、得られる第1感放射線性樹脂組成物の塗布性、安定性等の観点から、第1感放射線性樹脂組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5質量%〜50質量%となる量が好ましく、10質量%〜40質量%となる量がより好ましい。第1感放射線性樹脂組成物の溶液を調製する場合、実際には、上記濃度範囲において、使用目的や所望の膜厚の値等に応じた固形分濃度(組成物溶液中に占める溶媒以外の成分)が設定される。さらに好ましくは、基板上への塗膜の形成方法に応じて設定されるが、これについては後述する。
このようにして調製された溶液状の組成物は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後に絶縁膜の形成に使用することが好ましい。
上記の成分と調整方法によって得られる第1感放射線性樹脂組成物によれば、熱履歴後の伸縮率が小さい絶縁膜を形成することができる。また、この第1感放射線性樹脂組成物は、低温効果、具体的には、200℃以下の硬化温度でかかる絶縁膜を形成することが可能である。さらに、場合により、樹脂基板上での形成により好適な180℃以下の硬化温度であっても絶縁膜を形成することが可能である。
次に、本実施形態のアレイ基板および液晶表示素子の層間絶縁膜を形成するための、本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物について詳しく説明する。
<第2感放射線性樹脂組成物>
本発明の実施形態のアレイ基板の層間絶縁膜は、上述したように、有機材料からなる塗布型の層間絶縁膜であり、共通電極と画素電極との間に配置される。本発明の実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、この層間絶縁膜の形成に好適な感放射線性の樹脂組成物である。
本発明の実施形態である第2感放射線性樹脂組成物は、[X]アルカリ可溶性樹脂、[Y]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子、[Z]多官能アクリレート、および[W]感放射線性重合開始剤を含有して構成される。[X]アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ現像性を有する樹脂であれば限定されない。第2感放射線性樹脂組成物の場合、[X]アルカリ可溶性樹脂について、以下、単に[X]重合体とも言う。
[X]重合体としては、上述した第1感放射線性樹脂組成物に記載のアクリル系樹脂またはポリイミドを用いることができる。そして、[X]重合体は、それら中でも特に、(X1)芳香環を有する構成単位および(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む重合体とすることができる。
また、本発明の実施形態である第2感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の任意成分を含有してもよい。
以下、本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
<[X]重合体>
[X]重合体は、上述したように、(X1)芳香環を有する構成単位、(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む重合体とすることができる。[X]重合体は、アルカリに可溶なアルカリ可溶性樹脂である。ここでは特に、(X1)芳香環を有する構成単位および(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む重合体である、[X]重合体について説明する。
(X1)芳香環を有する構成単位は、下記式(3)で示される構成単位である。(X1)芳香環を有する構成単位を含むことによって、得られる硬化膜の屈折率を向上することができ、さらに硬化膜の耐熱性も向上することができる。
Figure 0005835051
上記式(3)中、R21は、炭素数1〜12のアルキル基、水酸基、炭素数1〜12のアルコキシル基、ハロゲンを示す。R22は、単結合、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基を示す。R23は、単結合、エステル結合を示す。R24は水素原子、メチル基を示す。
(X1)芳香環を有する構成単位を形成するための具体的な重合性化合物としては、以下のものがあげられる。
スチレン、p−ヒドロキシスチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−メトキシスチレン、p−(t−ブトキシ)スチレン、
アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸4−ヒドロキシフェニル、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル等が挙げられる。
これらのうち特に、スチレン、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジルが重合性の観点から望ましい。
[X]重合体における(X1)芳香環を有する構成単位の含有量は、[X]重合体全成分のうちの20mol%以上90mol%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、50mol%以上80mol%以下である。
20mol%より少ない含有量の場合、得られる保護膜の屈折率を十分に向上させることが難しく、耐熱性も十分でない。また、90mol%を超える含有量の場合、現像時の現像不良の原因となり、現像残渣が発生しやすくなる。
(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位は、重合体中のカルボキシル基にエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られる。反応後の(メタ)アクリル基を有する構成単位は、本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物に含有される[A]アルカリ可溶性樹脂が有することのできる、上記式(1)で表された、(メタ)アクロイルオキシ基を有する構成単位と同様の構成単位であることが望ましい。
上述した重合体中のカルボキシル基とエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和化合物との反応においては、必要に応じて適当な触媒の存在下において、好ましくは重合禁止剤を含む重合体の溶液に、エポキシ基を有する不飽和化合物を投入し、加温下で所定時間攪拌する。上記触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。上記重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール等が挙げられる。反応温度は、70℃〜100℃が好ましい。反応時間は、8時間〜12時間が好ましい。
[X]重合体における(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位の含有量は、[X]重合体全成分のうちの10mol%〜70mol%であることが好ましく、20mol%〜50mol%であることがより好ましい。
(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位の含有量が10mol%より少ない場合、第2感放射線性樹脂組成物の放射線への感度が低下する傾向にあり、得られる硬化膜の耐熱性も十分でない。また、70mol%より多く含有する場合では、現像時の現像不良の原因となり、現像残渣が発生しやすくなる。
重合体中のカルボキシル基は、以下に示すカルボキシル基を有する不飽和単量体を重合することで導入することができる。
そのような不飽和単量体としては、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸の無水物、多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸の無水物としては、例えば、上記ジカルボン酸として例示した化合物の無水物等が挙げられる。
多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステルとしては、例えば、コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられる。
これらのうち、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が共重合反応性、アルカリ水溶液に対する溶解性および入手の容易性からより好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
使用割合は、(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位の使用割合よりも5mol%〜20mol%多いことが望ましい。カルボキシル基の全てをエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルと反応させてしまうと、アルカリ現像液に対する現像性が損なわれてしまうためである。そこで、5mol%以上90mol%以下の範囲であることが好ましく、15mol%以上70mol%以下の範囲であることがより好ましい。
[X]重合体は、(X1)芳香環を有する構成単位(以下、単に(X1)構成単位と言うことがある。)、(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有するの構成単位(以下、単に(X2)構成単位と言うことがある。)、および上述のカルボキシル基を有する構成単位(以下、(X3)構成単位と言う。)以外に、以下の不飽和単量体由来の構成単位(以下、(X4)構成単位と言う。)を有してもよい。
(X4)構成単位としては、以下のオキセタニル基を有する構成単位等を挙げることができる。
オキセタニル基を有する構成単位を形成する不飽和単量体としては、例えば、
3−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−アクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン等のアクリル酸エステル;
3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン、3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2,2−ジフルオロオキセタン等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
(X4)構成単位であるアルキル基を有する構成単位を形成する不飽和単量体としては、例えば、
メタクリル酸鎖状アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸n−ステアリル等が挙げられる。
また、メタクリル酸環状アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシエチル、メタクリル酸イソボロニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸n−ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸n−ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシエチル、アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。
(X4)構成単位であるマレイミド骨格を有する構成単位を形成する不飽和単量体としては、
マレイミド化合物としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシベンジル)マレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等が挙げられる。
テトラヒドロフラン骨格を含有する構成単位を形成する不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、2−メタクリロイルオキシ−プロピオン酸テトラヒドロフルフリルエステル、3−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフラン−2−オン等が挙げられる。
(X4)構成単位を構成する不飽和単量体のうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ラウリル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルが、共重合反応性およびアルカリ水溶液に対する溶解性の点から好ましい。
これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
使用割合としては、(X1)構成単位、(X2)構成単位、カルボキシル基を有する構成単位((X3)構成単位)、(X4)構成単位との合計に基づいて、10質量%〜80質量%が好ましい。
[X]重合体は、例えば、溶媒中で重合開始剤の存在下、上記(X1)構成単位を形成するための化合物(以下、(X1)化合物とも言う。)並びに(X2)構成単位を形成するための化合物(以下、(X2)化合物とも言う。)(任意の(X3)構成単位を形成するための化合物(以下、(X3)化合物とも言う。)化合物および(X4)構成単位を形成するための不飽和単量体(以下、(X4)化合物とも言う。))を共重合することによって製造できる。
[X]重合体を製造するための重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、アルコール、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、メチル−3−メトキシプロピオネート、ケトン、エステル等が挙げられる。
[X]重合体を製造するための重合反応に用いられる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用できる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。
[X]重合体を製造するための重合反応においては、分子量の調整を目的として、分子量調整剤を使用することができる。
分子量調整剤としては、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
[X]重合体の重量平均分子量(Mw)は、1000〜30000が好ましく、5000〜20000がより好ましい。[X]重合体のMwを上記範囲とすることで、第2感放射線性樹脂組成物の放射線に対する感度および現像性を高めることができる。尚、重合体[X]のMwおよび数平均分子量(Mn)は、上述した条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
<[Y]金属酸化物粒子>
[Y]金属の酸化物粒子(以下、単に金属酸化物粒子とも言う。)は、本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物中に含有されることで、得られる層間絶縁膜の屈折率を向上させることができる。
[Y]金属酸化物粒子は、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属の酸化物粒子であり、この中でもジルコニウム、チタニウムまたは亜鉛の酸化物粒子が好ましく、ジルコニウムまたはチタニウムの酸化物粒子がより好ましい。そして、チタン酸塩を用いることも可能である。
これらの金属酸化物粒子は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、[Y]金属酸化物粒子としては、上記例示の金属の複合酸化物粒子であってもよい。この複合酸化物粒子としては例えば、ATO(Antimony−Tin Oxide)、ITO、IZO(Indium−Zinc Oxide)等が挙げられる。これらの金属酸化物粒子としては、市販のものを使用することができる。例えば、シーアイ化成(株)によるナノテック等を使用することができる。そして、チタン酸塩の粒子を用いることもできる。
[Y]金属酸化物粒子の形状は、特に限定されず、球状でも不定形のものでもよく、中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。
また、動的光散乱法で求めた[Y]金属酸化物粒子の数平均粒子径は5nm以上200nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下がより好ましく、10nm以上80nm以下がさらに好ましい。[Y]金属酸化物粒子の数平均粒子径が5nm未満であると、硬化膜の硬度が低下するおそれがあり、200nmを超えると硬化膜のヘイズが高くなるおそれがある。
[Y]金属酸化物粒子において、より好ましい金属であるジルコニウムやチタニウムの酸化物を用いた場合は、さらに高い屈折率を得ることができる。ジルコニウムやチタニウムを用いることでさらに屈折率が高まる理由としては定かではないが、電気陰性度の低さから、粒子内の分極が高く、その結果、屈折率が向上することなどが考えられる。従って、[Y]金属酸化物粒子としては、電気陰性度1.7以下の金属の酸化物粒子が好ましく、電気陰性度1.6以下の金属の酸化物粒子がより好ましい。
また、チタン酸塩の粒子を用いる場合、チタン酸塩は、高屈折率化に加え、高誘電率化も達成できる点で好ましい。このようなチタン酸塩としては、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、チタン酸アルミニウム、チタン酸リチウム等が挙げられる。これのうち、特に、高誘電率化の観点から、チタン酸バリウムおよびチタン酸ストロンチウムが好ましい
[Y]金属酸化物粒子は、分散剤とともに分散媒に分散させ、金属酸化物粒子分散液として第2感放射線性樹脂組成物に用いられることが望ましい。このようにすることで、分散剤を含有することにより均一に[Y]金属酸化物粒子を分散させ、塗布性を高めることができ、得られる硬化膜の密着性を高め、屈折率を偏り無く一様に高めることができる。
分散剤としては、ノニオン系分散剤、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤等を挙げることができるが、ポジ型の感放射線特性およびパターニング性の向上の観点からは、ノニオン系分散剤が好ましい。このノニオン系分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、エチレンジアミンPO−EO縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたは脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましい。
分散媒としては、[Y]金属酸化物粒子を均一に分散可能であれば、特に限定されない。分散媒は、分散剤を効果的に機能させ、[Y]金属酸化物粒子を均一に分散させることができる。
分散媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート等のエステル類;ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネートがより好ましい。分散媒は1種また2種以上を混合して用いることができる。
分散液の金属酸化物粒子は、好ましくは5%〜50%、さらに好ましくは10%〜40%であることが望ましい。
[Y]金属酸化物粒子の配合量としては、特に限定されないが、[X]重合体100質量部に対して、0.1質量部〜1500質量部が好ましく、1質量部〜1000質量部がより好ましい。[Y]金属酸化物粒子の配合量が0.1質量部より少ないと、得られる硬化膜の屈折率を向上させる効果が十分に得られない。逆に、金属酸化物粒子の配合量が1500質量部を超えると、第2感放射線性樹脂組成物の塗布性が低下し、また、得られる硬化膜のヘイズが高くなるおそれがある。
[Y]金属酸化物粒子の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、10m/g〜1000m/gが好ましく、100m/g〜500m/gがより好ましい。尚、[X]重合体にオキシラニル基等のカチオン重合性の高い重合性基が存在する場合、[Y]金属酸化物粒子に上記のものを用いることで、紫外線等の放射線の照射によって[Y]金属酸化物粒子の表面が光触媒的に作用し、[X]重合体の架橋反応を触媒的に促進する場合がある。その場合、[Y]金属酸化物粒子の比表面積が上記範囲であることで、上記光触媒的な作用が効果的に発現し、さらに高い所望の感放射線特性が発揮される。
<[Z]多官能アクリレート>
本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、多官能アクリレートとして、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物を含有する。この重合性化合物の機能の一つとしては、第2感放射線性樹脂組成物に放射線である光が照射された際に、重合して高分子量化することや架橋構造を形成することが挙げられる。こうした重合性化合物の含有により、第2感放射線性樹脂組成物の塗膜全体を硬化させることができる。そして、光照射部分とそうでない部分のコントラストを向上させ、現像時の剥離の防止と残渣の形成を抑制することができる。
尚、ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基またはメタアクリロイル基のことを指し、「分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する」とは、その分子内に存在するアクリロイル基およびメタアクリロイル基の合計が2以上であることを指す。その場合、それら基の合計数が2以上であればよく、アクリロイル基およびメタアクリロイル基のいずれかが存在しなくてもよい。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物の例としては、以下のものを挙げることができる。
分子内に2つの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フルオレンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
分子内に3つの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等が挙げられる。
分子内に4つの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
分子内に5つの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
分子内に6つの(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
[Z]多官能アクリレートは、7つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物であってもよい。また、[Z]多官能アクリレートは、上述の重合性化合物のうち、水酸基を有する(メタ)アクリレート類、およびこれらの水酸基へのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類であってもよい。さらに、[Z]多官能アクリレートとしては、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、オリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、およびオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を用いることができる。
[Z]多官能アクリレートとしては、これらの中では、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、フルオレンジ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート(デンドリマー(メタ)アクリレート)が、重合性に優れる点でより好ましい。
以上で[Z]多官能アクリレートとして例示された重合性化合物の市販品については、例えば、東亞合成株式会社製アロニックス(登録商標)M−400、M−404、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−313、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、TO−1450、TO−1382、日本化薬株式会社製KAYARAD(登録商標) D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学株式会社製ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A、大阪有機化学工業株式会社製ビスコート#802;トリペンタエリスリトールオクタアクリレートおよびトリペンタエリスリトールヘプタアクリレートの混合物等を挙げることができる。
本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物における[Z]多官能アクリレートの含有量は、第2感放射線性樹脂組成物全体に対して、1質量%〜20質量%が好ましい。また、本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物が、有機溶剤を含有する場合、第2感放射線性樹脂組成物における[Z]多官能アクリレート重合性化合物の含有量は、有機溶剤を除く成分の合計に対して5質量%〜50質量%以下の範囲内とすることが好ましく、10質量%〜40質量%の範囲内であることがより好ましい。[Z]多官能アクリレートが上記範囲で含有されることで、第2感放射線性樹脂組成物から、高い硬度の硬化膜を得ることができる。
<[W]感放射線性重合開始剤>
本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、[Z]多官能アクリレートとともに[W]感放射線性重合開始剤を含有する。[W]感放射線性重合開始剤は、放射線に感応して[Z]多官能アクリレートの重合を開始し得る活性種を生じる成分である。[W]感放射線性重合開始剤は、例えば、光ラジカル重合開始剤である。このような[W]感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられ、上述した本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物に、[C]重合性化合物とともに含有される[D]感放射線性重合開始剤と同様のものを挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
[W]感放射線性重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
[W]感放射線性重合開始剤の含有量は、[X]重合体100質量部に対して、1質量部〜40質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。[W]感放射線性重合開始剤の含有量を1質量部〜40質量部とすることで、第2感放射線性樹脂組成物は、低露光量であっても、高い耐溶媒性、高い硬度および高い密着性を有する層間絶縁膜を形成できる。
<任意成分>
本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、[X]重合体、[Y]金属酸化物粒子、[Z]多官能アクリレートおよび[W]感放射線性重合開始剤に加え、[Y]金属酸化物粒子とともに使用される分散剤および分散媒の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、界面活性剤等のその他の任意成分を含有できる。任意成分は、2種以上を混合して使用してもよい。以下、各成分について記載する。
[界面活性剤]
本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物に含有される界面活性剤は、第2感放射線性樹脂組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。好ましい界面活性剤の例としては、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル等のフルオロエーテル類;パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム;1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン等のフルオロアルカン類;フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類;フルオロアルキルオキシエチレンエーテル類;フルオロアルキルアンモニウムヨージド類;フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル類;パーフルオロアルキルポリオキシエタノール類;パーフルオロアルキルアルコキシレート類;フッ素系アルキルエステル類等を挙げることができる。
これらのフッ素系界面活性剤の市販品としては、エフトップ(登録商標)EF301、303、352(新秋田化成(株)製)、メガファック(登録商標)F171、172、173(DIC(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG(登録商標)710(旭硝子(株)製)、サーフロン(登録商標)S−382、SC−101、102、103、104、105、106(AGCセイミケミカル(株)製)、FTX−218((株)ネオス製)等を挙げることができる。
シリコーン系界面活性剤の例としては、市販されている商品名で、SH200−100cs、SH28PA、SH30PA、ST89PA、SH190、SH 8400 FLUID(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
任意成分として界面活性剤を使用する場合、その含有量は、[X]重合体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上5質量部以下である。界面活性剤の使用量を0.01質量部以上10質量部以下とすることによって、第2感放射線性樹脂組成物の塗布性を最適化することができる。
<第2感放射線性樹脂組成物の調製>
本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物は、[X]重合体、[Y]金属酸化物粒子、[Z]多官能アクリレート、[W]感放射線性重合開始剤、さらに必要に応じて界面活性剤を混合して調製される。このとき、分散液状態の第2感放射線性樹脂組成物を調製するため、有機溶剤を用いることができる。有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
有機溶剤の機能としては、第2感放射線性樹脂組成物の粘度等を調節して、例えば、基板等への塗布性を向上させることの他、操作性、成形性を向上させること等が挙げられる。有機溶剤等の含有によって実現される第2感放射線性樹脂組成物の粘度としては、例えば、0.1mPa・s〜50000mPa・s(25℃)が好ましく、より好ましくは、0.5mPa・s〜10000mPa・s(25℃)である。
第2感放射線性樹脂組成物に使用可能な有機溶剤としては、他の含有成分を溶解または分散させるとともに、他の含有成分と反応しないものを挙げることができる。
例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート等のエステル類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。
本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物において用いられる有機溶剤の含有量は、粘度等を考慮して適宜決めることができる。
分散液状態の第2感放射線性樹脂組成物を調製する際の分散方法としては、ペイントシェーカ、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等を用いて通常周速5m/s〜15m/sで、粒径の低下が観察されなくなるまで継続する方法によって行われるとよい。この継続時間としては、通常数時間である。また、この分散の際に、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ等の分散ビーズを用いることが好ましい。このビーズ径は特に限定されないが、好ましくは0.05mm〜0.5mm、より好ましくは0.08mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.08mm〜0.2mmである。
次に、本実施形態のアレイ基板に適用可能な配向膜について述べる。かかる配向膜は、本実施形態の液晶配向剤を用いて形成される。そこで、この配向処理剤について、特にその主要な成分を以下で説明する。
<液晶配向剤>
本実施形態の液晶配向剤は、
光配向性基を有する[L]感放射線性重合体、または、
光配向性基を有さない[M]ポリイミド
を主要な成分として含有する。これらはいずれも、例えば、200℃以下等の低温加熱で硬化させることが可能である。特に、光配向性基を有する[L]感放射線性重合体を含有する液晶配向剤は、より低温での配向膜形成が可能である。
このように、本実施形態の液晶配向剤は、低温加熱による配向膜形成が可能であるので、下層の絶縁膜や層間絶縁膜に対して、高温での熱履歴を与えずに済む。
本実施形態の液晶配向剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、[N]その他の成分を含有することができる。以下、それらの成分について説明する。
[[L]感放射線性重合体]
[L]感放射線性重合体は、光配向性基を有する重合体であって、本実施形態の液晶配向剤に含有することができる。[L]感放射線性重合体の光配向性基は、光照射により膜に異方性を付与する官能基であり、本実施の形態では、特に、光異性化反応および光二量化反応の少なくともいずれかを生じることにより膜に異方性を与える基である。
光配向性基は、具体的には、アゾベンゼン、スチルベン、α−イミノ−β−ケトエステル、スピロピラン、スピロオキサジン、桂皮酸、カルコン、スチルバゾール、ベンジリデンフタルイミジン、クマリン、ジフェニルアセリレンおよびアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物由来の構造を有する基である。これらの中でも、桂皮酸由来の構造を有する基が光配向性基として特に好ましい。
[L]感放射線性重合体は、上述の光配向性基が直接または連結基を介して結合された重合体であることが好ましい。そのような重合体としては、例えば、ポリアミック酸およびポリイミドの少なくともいずれかの重合体に上述の光配向性基が結合したもの、ポリアミック酸およびポリイミドとは別の重合体に上述の光配向性基が結合したものが挙げられる。後者の場合、光配向性基を有する重合体の基本骨格としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリオレフィン、ポリオルガノシロキサン等を挙げることができる。
また、[L]感放射線性重合体は、ポリアミック酸、ポリイミドまたはポリオルガノシロキサンを基本骨格とするものが好ましい。これらの中でも、ポリオルガノシロキサンが特に好ましく、これは、例えば、国際公開(WO)第2009/025386号パンフレットに記載された方法により得ることができる。
[[M]ポリイミド]
[M]ポリイミドは、光配向性基を有さないポリイミドであって、本実施形態の液晶配向剤に含有することができる。
[M]ポリイミドは、光配向性基を有さないポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得られる。このようなポリアミック酸は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができ、具体的には、特開2010−97188号公報に記載される方法にしたがって得ることができる。
[M]ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造が併存する部分イミド化物であってもよい。
[M]ポリイミドは、そのイミド化率が30%以上であることが好ましく、50%〜99%であることがより好ましく、65%〜99%であることがさらに好ましい。但し、この場合のイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部はイソイミド環であってもよく、これは、例えば、特開2010−97188号公報に記載されるようにして得ることができる。
[[N]その他の成分]
本実施形態の液晶配向剤は、光配向性基を有する感放射線性重合体および光配向性基を有さないポリイミド以外の[N]その他の成分を含有することができる。[N]その他の成分としては、例えば、光配向性基を有する[L]感放射線性重合体および光配向性基を有さない[M]ポリイミド以外の重合体、硬化剤、硬化触媒、硬化促進剤、エポキシ化合物、官能性シラン化合物、界面活性剤、光増感剤等を挙げることができる。
次に、本実施形態の絶縁膜、配向膜およびアレイ基板の製造方法について説明する。
<絶縁膜、層間絶縁膜、配向膜およびアレイ基板の製造方法>
本実施形態のアレイ基板の製造工程においては、上述した本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を用いて絶縁膜を形成する工程、および、本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物を用いて層間絶縁膜を形成する工程が、主要な工程として含まれる。絶縁膜の形成工程では、絶縁膜にコンタクトホールが形成される。また、層間絶縁膜の形成工程では、層間絶縁膜のパターニングが行われる。
また、本実施形態のアレイ基板の製造工程においては、アレイ基板上に配向膜を形成するために、上述した本実施形態の液晶配向剤から配向膜を形成する工程が含まれる。以下、絶縁膜、層間絶膜膜および配向膜を有する本実施形態のアレイ基板の製造方法について説明する。
本実施形態のアレイ基板の製造方法では、基板上に絶縁膜が形成されるように、少なくとも下記の工程[1]〜工程[4]を下記の順で含むことが好ましい。そして、絶縁膜の形成された基板上で、共通電極と画素電極との間に層間絶縁膜が形成されるように、少なくとも下記の工程[5]〜工程[7]を下記の順で含むことが好ましい。さらに、アレイ基板上に配向膜を形成するため、工程[7]の後に、工程[8]を含むことが好ましい。工程[1]〜工程[8]は、以下のとおりである。
[1]カルボキシル基を有する構成単位と、重合性基を有する構成単位とを含む重合体を含有する第1感放射線性樹脂組成物の塗膜を、スイッチングに用いられる能動素子の形成された基板上に形成する工程(以下、「工程[1]」と称することがある。)。尚、基板上には、電極等が形成されていてもよい。以下では、能動素子と電極等(既に説明した半導体層、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース−ドレイン電極、映像信号線、および走査信号線等を意味する。)を併せて「能動素子等」と総称することがある。
[2]工程[1]で形成された第1感放射線性樹脂組成物の塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(以下、「工程[2]」と称することがある。)。
[3]工程[2]で放射線が照射された塗膜を現像する工程(以下、「工程[3]」と称することがある。)。
[4]工程[3]で現像された塗膜を硬化して絶縁膜を形成する工程(以下、「工程[4]」と称することがある。)。
[5]本発明の実施形態の第2感放射線性樹脂組成物の塗膜を、工程[1]〜工程[4]を経て形成された絶縁膜を有する基板に形成する工程(以下、「工程[5]」と称することがある。)。
[6]工程[5]で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(以下、「工程[6]」と称することがある。)。
[7]工程[6]で放射線を照射された塗膜を現像する工程(以下、「工程[7]」と称することがある。)。
[8]液晶配向剤の塗膜を、工程[1]〜工程[4]を経て形成された絶縁膜と、工程[5]〜工程[7]を経て形成された絶縁膜を有する基板に形成し、その塗膜を200℃以下で加熱して配向膜を形成する工程(以下、「工程[8]」と称することがある。)。
上記工程[4]と工程[5]の間には、工程[4]で形成された絶縁膜の上に共通電極を設ける工程を有することが好ましい。そして、上記工程[7]と工程[8]の間には、工程[7]で形成された層間絶縁膜の上に櫛歯形状の画素電極を設ける工程を有することが好ましい。これら上記工程[4]と工程[5]の間および上記工程[7]と工程[8]の間の各工程では、公知の技術を利用して、共通電極および画素電極を形成することができる。
工程[1]〜工程[4]によれば、本実施形態の第1感放射線性樹脂組成物を用いて、能動素子等の形成された基板上に絶縁膜を形成することができる。基板上に形成される絶縁膜は、コンタクトホールを有する。また、この絶縁膜は、その後の加熱処理による膜の伸縮率が低減されたものである。
そして、工程[5]〜工程[7]によれば、本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物を用いて、能動素子等、絶縁膜、共通電極等の形成された基板上に層間絶縁膜を形成することができる。形成された層間絶縁膜は、塗布法等による簡便な成膜が可能な塗布型の層間絶縁膜であって、有機材料を用いて構成され、ITO等からなる共通電極との間で優れた接着力を示す。
また、工程[8]によれば、本実施形態の液晶配向剤を用い、低温硬化によって基板上に配向膜を形成することができる。
したがって、工程[1]〜工程[8]によれば、所定の位置にコンタクトホールが設けられ、加熱による膜の伸縮率が低減された絶縁膜と、有機材料を用いて構成された接着力に優れる塗布型の層間絶縁膜とを有する本実施の形態のアレイ基板が製造される。このアレイ基板の製造方法は、絶縁膜と層間絶縁膜と配向膜を低温の加熱により形成できることから、省エネルギーの観点から加熱工程の低温化が望まれる場合に好適である。
以下、上述の工程[1]〜工程[4]、工程[5]〜工程[7]および工程[8]についてより詳細に説明する。
[工程[1]]
本工程では、本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する。この基板には、スイッチングに用いるための能動素子および電極等が形成されている。これら能動素子等は、基板上で、通常の半導体膜成膜および公知の絶縁層形成等と、フォトリソグラフィ法によるエッチングを繰り返すなどして公知の方法にしたがって形成されたものである。尚、基板として、スイッチング能動素子等の上に、例えば、SiO等の金属酸化物やSiN等の金属窒化物からなる無機絶縁膜が形成されたものを用いることも可能である。
上記基板において、能動素子等が形成された面に、第1感放射線性樹脂組成物を塗布した後、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。
基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラスおよび無アルカリガラス等のガラス基板、シリコン基板、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミドおよびポリイミド等の樹脂基板等が挙げられる。また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の前処理を施しておくこともできる。
第1感放射線性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法またはスピンナ法と称されることもある。)、スリット塗布法(スリットダイ塗布法)、バー塗布法、インクジェット塗布法等の適宜の方法が採用できる。これらのうち、均一な厚みの膜を形成できる点から、スピンコート法またはスリット塗布法が好ましい。
上述のプレベークの条件は、第1感放射線性樹脂組成物を構成する各成分の種類、配合割合等によって異なるが、70℃〜120℃の温度で行うのが好ましく、時間は、ホットプレートやオーブンなどの加熱装置によって異なるが、おおよそ1分間〜15分間程度である。塗膜のプレベーク後の膜厚は、0.5μm〜10μmが好ましく、1.0μm〜7.0μm程度がより好ましい。
[工程[2]]
次いで、工程[1]で形成された塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜の一部にのみ照射するには、例えば、所望のコンタクトホールの形成に対応するパターンのフォトマスクを介して行う。
照射に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線等が挙げられる。このうち波長が200nm〜550nmの範囲にある放射線が好ましく、365nmの紫外線を含む放射線がより好ましい。
放射線照射量(露光量とも言う。)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.製)により測定した値として、10J/m〜10000J/mとすることができ、100J/m〜5000J/mが好ましく、200J/m〜3000J/mがより好ましい。
本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物は、従来知られている絶縁膜形成のための組成物と比較して、放射線感度が高い。例えば、上記放射線照射量が700J/m以下、さらには600J/m以下であっても、所望の膜厚、良好な形状、優れた密着性および高い硬度の絶縁膜を得ることができる。
[工程[3]]
次に、工程[2]の放射線照射後の塗膜を現像して不要な部分を除去し、所定の形状のコンタクトホールが形成された塗膜を得る。
現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリや、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩や、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の水溶液が使用できる。上述のアルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を適当量添加して使用することもできる。さらに、界面活性剤をそれのみで、または、上述の水溶性有機溶媒の添加とともに、適当量添加して使用することもできる。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、シャワー法、スプレー法等のいずれでもよく、現像時間は、常温で5秒間〜300秒間とすることができ、好ましくは常温で10秒間〜180秒間程度である。現像処理に続いて、例えば、流水洗浄を30秒間〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素で風乾することによって、所望のパターンが得られる。
[工程[4]]
次いで、工程[3]で得られた塗膜を、ホットプレート、オーブン等の適当な加熱装置により硬化(ポストベークとも言う。)する。これにより、硬化膜としての本実施形態の絶縁膜が得られる。硬化後の絶縁膜の膜厚は、1μm〜5μmが好ましい。絶縁膜には、[3]工程により、所望の位置に配置されたコンタクトホールが形成されている。
本実施の形態の第1感放射線性樹脂組成物によれば、硬化温度を200℃以下とすることが可能である。さらに、樹脂基板上での形成により好適な180℃以下であっても十分な特性の絶縁膜が得られる。具体的には、硬化温度を100℃〜200℃とすることが好ましく、低温硬化と耐熱性を高いレベルで両立させようとする場合、150℃〜180℃とすることがより好ましい。硬化時間は、例えば、ホットプレート上では5分間〜30分間とすることが好ましく、オーブン中では30分間〜180分間とすることが好ましい。
第1感放射線性樹脂組成物は、上述の[E]熱酸発生剤と[F]硬化促進剤を含有することで、上記の低温硬化を進めることができる。これはまた、硬化後の膜に対して加熱処理を行った場合に生じる膜伸縮の低減にも有効である。さらに、これらの化合物を含有することで、保存安定性が向上するとともに、充分な放射線感度および解像度が得られる。
工程[4]で絶縁膜を形成した後は、絶縁膜の上に、第1の電極として、透明電極である共通電極を設ける工程を有することが好ましい。例えば、スパッタリング法等を利用して、絶縁膜の上に、ITOからなる透明導電層を形成することができる。次いで、フォトリソグラフィ法を利用してこの透明導電層をエッチングし、絶縁膜上のコンタクトホールが配置されない領域に、透明電極としてベタ状の共通電極を形成することができる。
[工程[5]]
本工程では、工程[4]で得られた絶縁膜付きの基板を用い、その基板上に本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物を塗布する。次いで、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)し、塗膜に溶剤が含有される場合にその溶剤を除去して、塗膜を形成する。
第2感放射線性樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されない。例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスピンコート法またはスリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、好ましくは70℃〜120℃で1分間〜10分間程度とすることができる。
[工程[6]]
次いで、本工程では、工程[5]で形成された基板上の塗膜の少なくとも一部に、放射線を照射する。この場合、塗膜の一部に放射線を照射する際には、所定のパターンを有するフォトマスクを介して行うことが好ましい。放射線の照射に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190nm〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
工程[6]における放射線の照射量は、放射線の波長365nmにおける強度を、照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100J/m〜10000J/m、より好ましくは500J/m〜6000J/mである。
[工程[7]]
次いで、本工程では、工程[6]で得られた放射線照射後の塗膜を現像することにより、不要な部分(第2感放射線性樹脂組成物の塗膜がネガ型の場合は、放射線の非照射部分。)を除去して、所定のパターンを形成する。
工程[7]の現像工程に使用される現像液としては、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液からなるアルカリ現像液の使用が好ましい。アルカリの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
また、このようなアルカリ現像液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ現像液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下とすることができる。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、第2感放射線性樹脂組成物の組成によって異なるが、好ましくは10秒間〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば、流水洗浄を30秒間〜90秒間行った後、例えば、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
以上のように、工程[5]〜工程[7]により形成された基板上の層間絶縁膜は、透明性が高く、また、高い屈折率を有している。本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物から形成される層間絶縁膜は、各成分の配合比等によって異なるが、1.50以上、さらには1.55以上の高い値の屈折率を有している。
層間絶縁膜の膜厚としては、好ましくは0.1μm〜8μm、より好ましくは0.1μm〜6μm、さらに好ましくは0.1μm〜4μmである。本実施形態の第2感放射線性樹脂組成物から形成された層間絶縁膜は塗布型であり、後述する実施例からも明らかにされるように、透明性および密着性を備えている。
上述したように、層間絶縁膜を形成した後は、その層間絶縁膜の上に、第2の電極として、櫛歯形状の画素電極を設ける工程を有することが好ましい。例えば、スパッタリング法等を利用して、層間絶縁膜の上に、ITOからなる透明導電層を形成することができる。次いで、フォトリソグラフィ法を利用してこの透明導電層をエッチングし、上述した層間絶縁膜上に透明電極として櫛歯形状の画素電極を形成することができる。画素電極は、絶縁膜のコンタクトホールを介することによって、基板上のスイッチング能動素子との電気的接続を可能にする。
尚、共通電極および画素電極は、ITOの他、可視光に対する高い透過率と導電性を有する透明な材料を用いて構成することができる。例えば、IZO(Indium Zinc Oxide)や、ZnO(酸化亜鉛)や、酸化スズ等を用いて構成することができる。
[工程[8]]
工程[7]で得られた絶縁膜および層間絶縁膜付きの基板を用い、上述のように共通電極上の層間絶縁膜の上に画素電極を形成した後、画素電極上に、本実施形態の液晶配向剤を塗布する。塗布方法としては、例えば、ロールコーター法、スピンナ法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
次いで、液晶配向剤の塗布された基板をプレベークし、その後、ポストベークすることにより塗膜を形成する。
プレベーク条件は、例えば、40℃〜120℃で0.1分間〜5分間である。ポストベーク条件の温度は、好ましくは120℃〜230℃であり、より好ましくは150℃〜200℃であり、さらに好ましくは150℃〜180℃である。また、ポストベークの時間は、ホットプレートやオーブンなどの加熱装置によって異なるが、通常は、好ましくは5分間〜200分間であり、より好ましくは10分間〜100分間である。ポストベーク後の塗膜の膜厚は、好ましくは0.001μm〜1μmであり、より好ましくは0.005μm〜0.5μmである。
液晶配向剤を塗布する際に使用される液晶配向剤の固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性等を考慮して適宜に選択されるが、好ましくは、1重量%〜10重量%である。
液晶配向剤として、光配向性基を有する[L]感放射線性重合体を含む液晶配向剤を用いる場合は、上述の塗膜に、直線偏光もしくは部分偏光された放射線、または、非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する。こうした偏光放射線の照射は、配向膜の配向処理に対応する。
ここで、放射線としては、例えば、150nm〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができる。特に、放射線として、300nm〜400nmの波長の光を含む紫外線を用いることが好ましい。使用する放射線が直線偏光または部分偏光している場合には、照射は基板面に垂直の方向から行っても、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向である必要がある。
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m以上10000J/m未満であり、より好ましくは10J/m〜3000J/mである。
液晶配向剤として、光配向性基を有さない[M]ポリイミドを含む液晶配向剤を用いる場合は、ポストベーク後の塗膜を配向膜として使用することも可能である。そして、必要に応じて、ポストベーク後の塗膜に対し、例えば、ナイロン、レーヨン、コットン等の繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦る処理(ラビング処理)を施して、液晶配向能を付与することが可能である。
以上のように、アレイ基板上に配向膜を形成する場合、上述の液晶配向剤を使用し、200℃以下の加熱温度、場合に応じて、樹脂基板上での形成により好適な180℃以下の加熱温度で配向膜を形成することが可能である。配向膜形成工程での硬化温度をかかる低温とすることにより、上述した工程[1]〜工程[4]で形成された絶縁膜および工程[5]〜工程[7]で形成された層間絶縁膜が、配向膜の形成工程で高温の状態に晒されるのを避けることができる。
以下、実施例に基づき本発明の実施形態を詳述するが、この実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
<第1感放射線性樹脂組成物の調製>
合成例1
[[A]アルカリ可溶性樹脂(A−I)の合成]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸13質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン10質量部、スチレン10質量部、テトラヒドロフルフリルメタクリレート12質量部、N−シクロヘキシルマレイミド15質量部およびn−ラウリルメタクリレート10質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(A−I)を含有する溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は31.9質量%であり、共重合体(A−I)のMwは、8000、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。尚、固形分濃度とは重合体溶液の全質量に占める共重合体質量の割合を意味する。
合成例2
[[A]アルカリ可溶性樹脂(A−II)の合成]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル300質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸23質量部、スチレン10質量部、メタクリル酸ベンジル32質量部およびメタクリル酸メチル35質量部、並びに分子量調節剤としてのα−メチルスチレンダイマー2.7質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を4時間保持した後、100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより共重合体を含有する溶液を得た(固形分濃度=24.9%)。得られた共重合体のMwは、12500であった。次いで、この共重合体を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド1.1質量部、重合禁止剤としての4−メトキシフェノール0.05質量部を加え、空気雰囲気下90℃で30分間攪拌後、メタクリル酸グリシジル16質量部を入れて90℃のまま10時間反応させることにより、共重合体(A−II)を得た(固形分濃度=29.0%)。共重合体(A−II)のMwは、14200であった。
合成例3
[重合性基を有しないアルカリ可溶性樹脂(a−I)の合成]
後述する比較例に用いるように、重合性基を有しないアルカリ可溶性樹脂(a−I)を以下のようにして合成した。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸20質量部、メタクリル酸ベンジル50質量部、メタクリル酸メチル20質量部、スチレン10質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(a−I)を含有する溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は31.0質量%であり、共重合体(a−I)のMwは、10000、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。
実施例1
[ポジ型の第1感放射線性樹脂組成物の調製]
[A]成分(アルカリ可溶性樹脂)として、合成例1の共重合体(A−I)を含有する溶液を、共重合体100質量部(固形分)に相当する量、および[B]成分(キノンジアジド化合物)として4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)30質量部、および[E]成分(熱酸発生剤)としてベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート2質量部を混合し、固形分濃度が30質量%となるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルに溶解させた後、口径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、第1感放射線性樹脂組成物を調製した。
実施例2
[ネガ型の第1感放射線性樹脂組成物の調製]
[A]成分として、合成例1の共重合体(A−I)を含有する溶液を、共重合体10質量部(固形分)に相当する量、合成例2の共重合体(A−II)を含有する溶液を、共重合体100質量部(固形分)に相当する量、および[C]成分(重合性化合物)としてジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(KAYARAD(登録商標) DPHA(以上、日本化薬社)100質量部、および[D]成分としてエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、BASF社)を5質量部、および[F]硬化促進剤として4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを混合し、固形分濃度が30質量%となるように、それぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタで濾過することにより、第1感放射線性樹脂組成物を調製した。
比較例1
[ネガ型の感放射線性樹脂組成物の調製]
[A]成分として、重合性基を有しないアルカリ可溶性樹脂である、合成例3の共重合体(a−I)を含有する溶液を、共重合体100質量部(固形分)に相当する量および[C]成分としてジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(KAYARAD(登録商標) DPHA(以上、日本化薬社)100質量部、および[D]成分としてエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、BASF社)5質量部を混合し、固形分濃度が30質量%となるように、それぞれプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えた後、孔径0.5μmのミリポアフィルタで濾過することにより、比較例である感放射線性樹脂組成物を調製した。
<絶縁膜の形成と評価>
実施例3
[ポジ型の第1感放射線性樹脂組成物から形成された絶縁膜]
無アルカリガラス基板上に、実施例1で調製した第1感放射線性樹脂組成物をスピンナにより塗布した後、100℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量1000J/mとして放射線照射を行い、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、80秒間現像を行った。次いで、オーブン中で230℃の硬化温度および30分間の硬化時間でポストベークすることにより絶縁膜を形成した。
実施例4
[ネガ型の第1感放射線性樹脂組成物から形成された絶縁膜]
無アルカリガラス基板上に、実施例2で調製した第1感放射線性樹脂組成物の溶液をスピンナにより塗布した後、90℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量700J/mとして放射線照射を行い、23℃の0.40質量%水酸化カリウム水溶液を現像液で現像を行った。次いで、オーブン中で180℃の硬化温度および30分間の硬化時間でポストベークすることにより絶縁膜を形成した。
比較例2
[ネガ型の感放射線性樹脂組成物から形成された絶縁膜]
無アルカリガラス基板上に、比較例1で調製した感放射線性樹脂組成物の溶液をスピンナにより塗布した後、90℃のホットプレート上で2分間プレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて露光量1200J/mとして放射線照射を行い、23℃の0.40質量%水酸化カリウム水溶液を現像液として現像を行った。次いで、オーブン中で230℃の硬化温度および60分間の硬化時間でポストベークすることにより絶縁膜を形成した。
実施例5
[耐熱性の評価]
実施例3の形成方法による絶縁膜について、さらにオーブン中、230℃で20分加熱し、この加熱前後での膜厚を触針式膜厚測定機(アルファステップIQ、KLAテンコール社)で測定した。そして、残膜率(処理後膜厚/処理前膜厚×100)を算出し、この残膜率を耐熱性とした。残膜率は99%であり、耐熱性は良好と判断した。
同様に実施例4の形成方法による絶縁膜について、さらにオーブン中、230℃で20分加熱し、この加熱前後での膜厚を触針式膜厚測定機(アルファステップIQ、KLAテンコール社)で測定した。そして、残膜率(処理後膜厚/処理前膜厚×100)を算出し、この残膜率を耐熱性とした。残膜率は99%であり、耐熱性は良好と判断した。
同様に比較例2の形成方法による絶縁膜について、さらにオーブン中、230℃で20分加熱し、この加熱前後での膜厚を触針式膜厚測定機(アルファステップIQ、KLAテンコール社)で測定した。そして、残膜率(処理後膜厚/処理前膜厚×100)を算出し、この残膜率を耐熱性とした。残膜率は80%であり、耐熱性は不良と判断した。
実施例6
[耐光性の評価]
実施例3の形成方法による絶縁膜について、さらに、UV照射装置(UVX−02516S1JS01、ウシオ社)を用いて、130mWの照度で800000J/mの紫外光を照射して、照射後の膜減り量を調べた。膜減り量は2%以下であり、耐光性は良好と判断した。
同様に、実施例4の形成方法による絶縁膜について、さらに、UV照射装置(UVX−02516S1JS01、ウシオ社)を用いて、130mWの照度で800000J/mの紫外光を照射して、照射後の膜減り量を調べた。膜減り量は2%以下であり、耐光性は良好と判断した。
同様に、比較例2の形成方法による絶縁膜について、さらに、UV照射装置(UVX−02516S1JS01、ウシオ社)を用いて、130mWの照度で800000J/mの紫外光を照射して、照射後の膜減り量を調べた。膜減り量は5%以上であり、耐光性は不良と判断した。
以上の評価結果から、実施例1および実施例2で調製した第1感放射線性樹脂組成物を用いて製造された絶縁膜は、液晶表示素子のアレイ基板の絶縁膜として好適に用いることができることがわかった。
<第2感放射線性樹脂組成物の調製>
合成例4
[共重合体(α)の合成]
第2感放射線性樹脂組成物の成分となる[X]重合体である共重合体(α)の合成を、以下に従い行った。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸55質量部、メタクリル酸ベンジル45質量部、並びに分子量調節剤としてのα−メチルスチレンダイマー2質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を4時間保持した後、100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより共重合体を含有する溶液を得た。次いで、この共重合体を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド1.1質量部、重合禁止剤としての4−メトキシフェノール0.05質量部を加え、空気雰囲気下90℃で30分間攪拌後、メタクリル酸グリシジル74質量部を入れて90℃のまま10時間反応させることにより、共重合体(α)を得た(固形分濃度=35.0%)。共重合体(α)のMwは、9000であった。
このとき、H−NMR、FT−IRから求めた、共重合体(α)中の、上述した(X1)構造単位の含有率は、37.5mol%であった。
合成例5
[共重合体(β)の合成]
[X]重合体である共重合体(β)の合成を、以下に従い行った。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸85質量部、メタクリル酸ベンジル15質量部、並びに分子量調節剤としてのα−メチルスチレンダイマー2質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を4時間保持した後、100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより共重合体を含有する溶液を得た。次いで、この共重合体を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド1.1質量部、重合禁止剤としての4−メトキシフェノール0.05質量部を加え、空気雰囲気下90℃で30分間攪拌後、メタクリル酸グリシジル74質量部を入れて90℃のまま10時間反応させることにより、共重合体(β)を得た(固形分濃度=35.5%)。共重合体(β)のMwは、10000であった。
このとき、H−NMR、FT−IRから求めた、共重合体(β)中、(X1)構造単位の含有率は、8.5mol%であった。
合成例6
[エポキシ基を有する樹脂(γ)の合成]
比較例を構成するために、エポキシ基を有する樹脂である共重合体(γ)の合成を、以下に従い行った。
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込んだ。引き続き、メタクリル酸10質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、メタクリル酸メチル50質量部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、共重合体(γ)を含有する溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は31.9質量%であり、共重合体(γ)のMwは、9000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
実施例7
[第2感放射線性樹脂組成物の調製]
分散剤としてポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル3質量部、分散媒としてメチルエチルケトン90質量部を混合し、ホモジナイザーで撹拌しながら[Y]成分(金属酸化物粒子)としてジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子)7質量部を約10分間にわたって徐々に加えた。ジルコニウム酸化物粒子の添加の後、約15分撹拌した。得られたスラリーをSCミルを用いて分散し、ZrO粒子分散液を得た。
[X]重合体として合成例4で合成した共重合体(α)を含む溶液(共重合体100質量部(固形分)に相当する量)に、上記ZrO粒子分散液415質量部、[Z]成分(多官能アクリレート)である多官能アクリレート1としてコハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成(株)製の「アロニックス(登録商標)TO−756」)100質量部、[W]成分(感放射線性重合開始剤)として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)907)3質量部、シリコン系の界面活性剤としてSH8400 FLUID(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.3質量部を加え、第2感放射線性樹脂組成物を調製した。
実施例8
[第2感放射線性樹脂組成物の調製]
本実施例8では、[Y]成分(金属酸化物粒子)として、ジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子)に代えて、チタニウム酸化物粒子のTiO粒子を用いた以外は、実施例7と同様にしてTiO粒子分散液を調整した。次いで、このTiO粒子分散液を用い、[Z]成分(多官能アクリレート)として多官能アクリレート2であるMAX−3510(日本化薬(株)製)を用いた以外は実施例6と同様にして、第2感放射線性樹脂組成物を調製した。
実施例9
[第2感放射線性樹脂組成物の調製]
本実施例9では、[Y]成分(金属酸化物粒子)として、ジルコニウム酸化物粒子(ZrO粒子)に代えて、チタン酸塩であるチタン酸バリウム粒子を用いた以外は、実施例7と同様にしてチタン酸バリウム粒子分散液を調整した。次いで、このチタン酸バリウム粒子分散液を用い、[Z]成分(多官能アクリレート)として多官能アクリレート2であるMAX−3510(日本化薬(株)製)を用いた以外は実施例7と同様にして、第2感放射線性樹脂組成物を調製した。
実施例10
[第2感放射線性樹脂組成物の調製]
本実施例10では、実施例7と同様の方法で得られたZrO粒子分散液を用いた。
[X]重合体として合成例5で合成した共重合体(β)を含む溶液(共重合体100質量部(固形分)に相当する量)に、上記ZrO粒子分散液415質量部、[Z]成分(多官能アクリレート)である多官能アクリレート2としてMAX−3510(日本化薬(株)製)100質量部、[W]成分(感放射線性重合開始剤)として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)907)3質量部、シリコン系の界面活性剤としてSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、第2感放射線性樹脂組成物を調製した。
比較例3
[感放射線性樹脂組成物の調製]
本比較例3では、実施例7と同様の方法で得られたZrO粒子分散液を用いた。
[X]重合体として合成例6で合成した共重合体(γ)を含む溶液(共重合体100質量部(固形分)に相当する量)に、上記ZrO粒子分散液415質量部、[Z]成分(多官能アクリレート)である多官能アクリレート1としてコハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成(株)製の「アロニックス(登録商標)TO−756」)100質量部、[W]成分(感放射線性重合開始剤)として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)907)3質量部、シリコン系の界面活性剤としてSH8400 FLUID(東レダウコーニングシリコーン(株)製)0.3質量部を加え、比較例である感放射線性樹脂組成物を調製した。
比較例4
[感放射線性樹脂組成物の調製]
本比較例4では、[Y]成分(金属酸化物粒子)を含有せずに感放射線性樹脂組成物を調製した。
[X]重合体として合成例4で合成した共重合体(α)を含む溶液(共重合体100質量部(固形分)に相当する量)に、[Z]成分(多官能アクリレート)である多官能アクリレート1としてコハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成(株)製の「アロニックス(登録商標)TO−756」)100質量部、[W]成分(感放射線性重合開始剤)として2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)907)3質量部、シリコン系の界面活性剤としてSH8400 FLUID(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.3質量部を加え、比較例である感放射線性樹脂組成物を調製した。
実施例11
[硬化膜の評価]
実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例3〜比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を使用し、以下のように硬化膜を形成し、特性の評価を行った。
(透過率の評価)
ガラス基板(「コーニング(登録商標)7059」(コーニング社製))に、実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例3〜比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を、スピンナを用いて塗布した後、ホットプレート上で90℃にて2分間プレベークして塗膜を形成した。次いで、キヤノン(株)製PLA(登録商標)−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い放射線の照射(以下、露光とも言う。)を行い、0.05質量%とした水酸化カリウム水溶液を用いて現像を行った。乾燥後、この硬化膜が形成されたガラス基板について、分光光度計「150−20型ダブルビーム」((株)日立製作所製)を用いて波長400nm〜800nmの範囲の光透過率を測定し、各ガラス基板について、波長400nm〜800nmの範囲の光透過率の最低値(以下、最低光透過率とも言う。)を評価した。そして、波長400nmでの光透過率を評価の基準とし、波長400nmの光透過率が85%以上の場合、光透過率特性が特に良好であると判断した。評価結果は、「硬化膜の透過率(%)」として、後述する表1にまとめて示した。
実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を用いて得られた硬化膜は、いずれも波長400nmでの光透過率が90%以上であり、光透過率特性は特に良好であった。比較例3で調製した感放射線性樹脂組成物を用いて得られた硬化膜は、波長400nmでの光透過率が83%であり、良好な光透過率特性は得られなかった。
(屈折率の評価)
アッベ屈折計を用いて、実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例3〜比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を用い、上述の(透過率の評価)の方法によって得られた硬化膜の25℃、633nmの光線における屈折率を測定した。評価結果は、「硬化膜の屈折率(633nm)」として、後に示す表1にまとめて示した。
(パターニング性の評価)
実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例3〜比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を用い、それぞれについて上述の(透過率の評価)と同様にして塗膜を形成した。次いで、得られたガラス基板上の塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA(登録商標)−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、5cm×8cmのパターンを有するマスクを介して露光を行った。その後、0.05質量%の水酸化カリウム水溶液にて25℃、60秒間、現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、パターニングされた硬化膜を形成した。
パターニングされた各硬化膜の端部分を光学顕微鏡で観察し、現像残渣がなく、パターンが直線状に形成されている場合をパターニング性良好と判断した。
一方、パターンの端部分に現像残渣がある場合、パターニング性不良と判断した。評価結果は、「パターニング性」として、後に示す表1にまとめて示した。尚、表1においては、パターニング性良好と判断した場合に○印を付し、不良と判断した場合に×印を付した。
(誘電率の評価)
実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例3〜比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を用い、上述の(透過率の評価)の方法によってSUS基板上に硬化膜を作製し、さらにその上にアルミニウム蒸着により電極を作製した。その電極付き基板を用いて、LCRメータにて誘電率を測定した。評価結果は、「硬化膜の誘電率(1kHz)」として、後に示す表1にまとめて示した。
Figure 0005835051
表1には、実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例3〜比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物の組成を示すとともに、それらを用いて製造された硬化膜の評価結果をまとめて示している。尚、表1の組成欄中の「−」は該当する成分を使用しなかったことを表す。
表1に示すように、実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、それぞれ優れたパターニング性を有する。一方、比較例3で調製した感放射線性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、パターニング性が不良であった。
また、実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物および比較例3で調製した感放射線性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、いずれも1.6以上の高い屈折率を示した。比較例4で調製した感放射線性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、1.55を超える屈折率は得られなかった。
以上から、実施例7〜実施例10で調製した第2感放射線性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、液晶表示素子のアレイ基板の層間絶縁膜として好適に用いることができることがわかった。
<アレイ基板の製造>
実施例12
実施例1により得られた第1感放射線性樹脂組成物の溶液を使用し、能動素子や電極等の形成された基板上にスリットダイコーターで塗布した。
この基板には、能動素子等(半導体層、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース−ドレイン電極、映像信号線、および走査信号線等)が形成されている。これら能動素子等は、基板上で、通常の半導体膜成膜および公知の絶縁層形成等と、フォトリソグラフィ法によるエッチングを繰り返すなどして、公知の方法に従って形成されたものである。
次に、実施例3の形成方法により、コンタクトホールの形成された絶縁膜を形成した。
次いで、絶縁膜が形成された基板に対し、スパッタリング法を用いて、絶縁膜の上にITOからなる透明導電層を形成した。次に、フォトリソグラフィ法を利用して透明導電層をエッチングして、絶縁膜上にベタ状の共通電極を形成した。
その後、実施例7で調製した第2感放射線性樹脂組成物を用い、絶縁膜の上にベタ状の共通電極が形成された基板の表面に、上述の実施例11の硬化膜の(透過率の評価)と同様の方法にしたがって塗膜を形成した。次いで、得られた基板上の塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA(登録商標)−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、所定のパターンを有するマスクを介して露光を行った。その後、0.05質量%の水酸化カリウム水溶液にて25℃、60秒間、現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、共通電極の形成された基板の表面にパターニングされた層間絶縁膜を形成した。
次に、スパッタリング法を用いて、層間絶縁膜の上に、ITOからなる透明導電層を形成した。次いで、フォトリソグラフィ法を利用してこの透明導電層をエッチングし、無機絶縁膜の上に櫛歯形状の画素電極を形成した。
以上のようにして、本実施例のアレイ基板を製造した。得られた本実施例のアレイ基板では、絶縁膜の所望の位置に所望のサイズのコンタクトホールが形成されており、画素電極と能動素子のソース−ドレイン電極との電気的な接続が実現されていた。
実施例13
実施例2により得られた第1感放射線性樹脂組成物の溶液を使用し、実施例12と同様の能動素子や電極等の形成された基板上にスリットダイコーターで塗布した。
次に、実施例4の形成方法により、コンタクトホールの形成された絶縁膜を形成した。
次いで、絶縁膜が形成された基板に対し、スパッタリング法を用いて、絶縁膜の上にITOからなる透明導電層を形成した。次に、フォトリソグラフィ法を利用して透明導電層をエッチングして、絶縁膜上にベタ状の共通電極を形成した。
その後、実施例7で調製した第2感放射線性樹脂組成物を用い、絶縁膜の上にベタ状の共通電極が形成された基板の表面に、上述の実施例11の硬化膜の(透過率の評価)と同様の方法にしたがって塗膜を形成した。次いで、得られた基板上の塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA(登録商標)−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、所定のパターンを有するマスクを介して露光を行った。その後、0.05質量%の水酸化カリウム水溶液にて25℃、60秒間、現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、共通電極の形成された基板の表面にパターニングされた層間絶縁膜を形成した。
次に、スパッタリング法を用いて、層間絶縁膜の上に、ITOからなる透明導電層を形成した。次いで、フォトリソグラフィ法を利用してこの透明導電層をエッチングし、無機絶縁膜の上に櫛歯形状の画素電極を形成した。
比較例5
比較例1により得られたネガ型の感放射線性樹脂組成物の溶液を使用し、実施例12と同様のスイッチング能動素子や電極等の形成された基板上にスリットダイコーターで塗布した。
次に、比較例2の形成方法により、コンタクトホールの形成された絶縁膜を形成した。
次いで、絶縁膜が形成された基板に対し、スパッタリング法を用いて、絶縁膜の上にITOからなる透明導電層を形成した。次に、フォトリソグラフィ法を利用して透明導電層をエッチングして、絶縁膜上にベタ状の共通電極を形成した。
その後、共通電極の上に、CVDによりSiN膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法等を利用した所望のパターニングを行って無機絶縁膜として層間絶縁膜を形成した。
次に、スパッタリング法を用いて、層間絶縁膜の上に、ITOからなる透明導電層を形成した。次いで、フォトリソグラフィ法を利用してこの透明導電層をエッチングし、無機絶縁膜の上に櫛歯形状の画素電極を形成した。
以上のように、実施例12、実施例13および比較例5のようにしてアレイ基板を製造した。得られた本実施例のアレイ基板ではいずれも、絶縁膜の所望の位置に所望のサイズのコンタクトホールが形成されており、画素電極とスイッチング能動素子のソース−ドレイン電極との電気的な接続が実現されていた。
実施例14
<アレイ基板における共通電極と無機絶縁膜間の剥がれの評価>
実施例12、実施例13、および比較例5により製造されたアレイ基板について、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った後、アレイ基板の
断面構造のSEM(走査電子顕微鏡)で観察した。これらのアレイ基板は、図2で示した構造を有しており、図2で示した共通電極14と層間絶縁膜33の間の剥がれの有無をSEMで観察した。
SEM観察の結果、実施例12および実施例13のアレイ基板では、上述の剥がれが確認できなかったが、比較例5のアレイ基板では剥がれが確認された。
実施例15
[光配向膜を有するアレイ基板の製造(1)]
実施例12で得られたアレイ基板を用い、光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤を用いて光配向膜を形成した。
まず、実施例12のアレイ基板の透明電極の上に、光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤として、国際公開(WO)2009/025386号パンフレットの実施例6に記載の液晶配向剤A−1をスピンナにより塗布する。次いで、80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、内部を窒素置換したオーブン中、180℃で1時間加熱して膜厚80nmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線200J/mを、基板表面に垂直な方向に対して40°傾いた方向から照射し、光配向膜を有するアレイ基板を製造した。
実施例16
[光配向膜を有するアレイ基板の製造(2)]
実施例13で得られたアレイ基板を用い、実施例15と同様の光配向性基を有する感放射線性重合体を含む液晶配向剤を用い、実施例15と同様にして光配向膜を形成し、光配向膜を有するアレイ基板を製造した。
<液晶表示素子の製造>
実施例17
まず、公知の方法により製造されたカラーフィルタ基板を準備した。このカラーフィルタ基板は、透明基板上に、赤色、緑色および青色の3色の微小な着色パターンと、ブラックマトリクスとが格子状に配置されている。
次に、カラーフィルタ基板の着色パターンとブラックマトリクスの上に、実施例15でアレイ基板上に形成したのと同様の光配向膜を形成した。得られた光配向膜付きカラーフィルタ基板と、実施例15で得られたアレイ基板とによって、液晶層を挟持してカラー液晶表示素子を製造した。液晶層としては、ネマチック液晶からなり、基板面に平行に配向するものを用いた。この液晶表示素子は、上述した図3に示す液晶表示素子41と同様の構造を有し、優れた動作特性と表示特性と信頼性を示した。
実施例18
実施例17と同様のカラーフィルタ基板を準備した。次に、このカラーフィルタ基板の着色パターンとブラックマトリクスの上に、実施例16でアレイ基板上に形成したのと同様の光配向膜を形成した。得られた光配向膜付きカラーフィルタ基板と、実施例16で得られたアレイ基板とによって、実施例17と同様に、液晶層を挟持してカラー液晶表示素子を製造した。この液晶表示素子は、実施例17と同様に、上述した図3に示す液晶表示素子41と同様の構造を有し、優れた動作特性と表示特性と信頼性を示した。
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
例えば、本実施形態のアレイ基板は、能動素子としてボトムゲートタイプのTFT素子を使用するが、ボトムゲートタイプに限られるわけではなく、トップゲートタイプのTFT素子を適用して使用することも可能である。
本発明のアレイ基板は、低温加熱処理により製造でき、また、このアレイ基板を用いて製造された液晶表示素子は高い信頼性を有する。したがって、本発明のアレイ基板と液晶表示素子は、優れた画質と信頼性が求められる大型液晶テレビ等の用途に好適である。
1 アレイ基板
4、11 基板
5 映像信号線
5a 第2のソース−ドレイン電極
6 第1のソース−ドレイン電極
7 走査信号線
7a ゲート電極
8 能動素子
8a 半導体層
9 画素電極
10 配向膜
12 絶縁膜
13 ブラックマトリクス
14 共通電極
15 着色パターン
17 コンタクトホール
22 カラーフィルタ基板
23 液晶層
27 バックライト光
28 偏光板
31 ゲート絶縁膜
32 無機絶縁膜
33 層間絶縁膜
41 液晶表示素子

Claims (11)

  1. 能動素子と、
    前記能動素子の上に設けられた第1の絶縁膜と、
    前記第1の絶縁膜の上に設けられた共通電極および画素電極とを有するアレイ基板であって、
    前記共通電極と前記画素電極の間に第2の絶縁膜を有し、前記第2の絶縁膜が
    [X]アルカリ可溶性樹脂、
    [Y]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子、
    [Z]多官能アクリレート、
    [W]感放射線性重合開始剤
    を含有する感放射線性樹脂組成物を用いて形成される有機絶縁膜であることを特徴とするアレイ基板。
  2. 前記酸化物粒子は、チタン酸塩の粒子であることを特徴とする請求項1に記載のアレイ基板。
  3. [X]アルカリ可溶性樹脂が、(X1)芳香環を有する構成単位および(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載のアレイ基板。
  4. [X]アルカリ可溶性樹脂中の(X1)芳香環を有する構成単位の含有量は、[X]アルカリ可溶性樹脂全体の20mol%〜90mol%であることを特徴とする請求項に記載のアレイ基板。
  5. 前記共通電極と前記画素電極とが、前記第1の絶縁膜の上にこの順に設けられており、 前記画素電極は、櫛歯形状を有し、前記第1の絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して前記能動素子と電気的に接続することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアレイ基板。
  6. 前記第2の絶縁膜は、波長633nmの屈折率が1.55〜1.85であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアレイ基板。
  7. 前記第2の絶縁膜は、波長400nmの光透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアレイ基板。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアレイ基板を有することを特徴とする液晶表示素子。
  9. 能動素子と、
    前記能動素子の上に設けられた第1の絶縁膜と、
    前記第1の絶縁膜の上に、いずれか一方が共通電極であって他方が画素電極である第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された第2の絶縁膜とを有するアレイ基板の製造方法であって、
    前記第1の絶縁膜を形成する工程は、少なくとも以下の工程[1]〜工程[4]を有し、
    前記第2の絶縁膜を形成する工程は、少なくとも以下の工程[5]〜工程[7]を有することを特徴とするアレイ基板の製造方法。
    [1]カルボキシル基を有する構成単位と、重合性基を有する構成単位とを含む重合体を含有する第1感放射線性樹脂組成物の塗膜を、前記能動素子の形成された基板上に形成する工程、
    [2]前記第1感放射線性樹脂組成物の塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
    [3]工程[2]で放射線が照射された前記塗膜を現像してコンタクトホールを形成する工程、および
    [4]工程[3]で得られた塗膜を熱硬化する工程。
    [5]工程[1]〜工程[4]を用いて形成された前記第1の絶縁膜を有する基板上に、
    [X](X1)芳香環を有する構成単位、(X2)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構成単位を含む重合体、
    [Y]アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物粒子、
    [Z]多官能アクリレート、および
    [W]感放射線性重合開始剤を含有する第2感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する工程、
    [6]工程[5]で形成された前記第2感放射線性樹脂組成物の塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
    [7]工程[6]で放射線を照射された塗膜を現像する工程。
  10. 前記酸化物粒子は、チタン酸塩の粒子であることを特徴とする請求項9に記載のアレイ基板の製造方法。
  11. 前記第1感放射線性樹脂組成物は、熱酸発生剤を含有することを特徴とする請求項9または10に記載のアレイ基板の製造方法。
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