JP5833436B2 - シールドコネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、接続されるシールド電線のインピーダンスとの調整を容易に図ることが可能なシールドコネクタに関する。
車載のテレビ、ラジオ、カーナビゲーション等の電気機器の制御基板に高周波信号を伝送させるため、高周波対応のシールド電線が用いられる。このシールド電線は、複数の素線を撚り合わせた芯線と、絶縁体からなる内皮を介して芯線の外周を被覆した編組線からなるシールド部材と、シールド部材の外周を覆う絶縁体の外皮とによって形成された同軸ケーブルとなっている。
シールドコネクタはこのようなシールド電線相互の接続を行うために用いられる。シールドコネクタはシールド電線の芯線に接続されるインナー端子と、シールド電線のシールド部材に接続されるアウター端子と、インナー端子を内部に収容するインナーハウジングとによって形成されている。
インナーハウジングは絶縁樹脂からなり、インナー端子を収容した状態でアウター端子に組み込まれる。アウター端子に組み込まれたインナーハウジングに対し相手コネクタ側のインナー端子が先端側から挿入され、この挿入によってインナーハウジング内部のインナー端子と相手コネクタのインナー端子とが接触して電気的に接続される。
アウター端子はインナーハウジングを覆った状態で収容する円筒部と、シールド電線のシールド部材を外周側から覆うように加締められてシールド部材を固定するシールド部材接続部とを有している。又、アウター端子にはインナーハウジングを加締めて固定する端子本体部が円筒部とシールド部材接続部との間に形成されている。このようなアウター端子は円筒部がインナーハウジングの外周を覆い、シールド部材接続部がシールド電線のシールド部材の外周を覆い、端子本体部がこれらの間でインナーハウジングを加締めて固定する。
以上の構造の従来のシールドコネクタとしては、例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。
特開2011−34773号公報 特開2011−65882号公報
従来のシールドコネクタにおいては、アウター端子の円筒部がインナーハウジングを覆い、シールド部材接続部がシールド電線のシールド部材を覆っているのに対し、これらの間の端子本体部はインナーハウジングを十分に覆うものとはなっていない。このため円筒部及びシールド部材接続部の間の繋ぎ部分に十分に覆われない開放部分が構造上、発生する。このような開放部分では、インピーダンスが局部的に高くなってインピーダンスが乱れるため、シールド電線が伝送する信号の高周波性能が劣化する。この高周波信号の劣化を防止するためには、カバー等によって繋ぎ部分を覆う必要がある。このためには、シールドコネクタとしての部品が追加となる。これにより部品点数が増えるばかりでなく、シールドコネクタの組み立てが面倒となる問題を有している。
そこで本発明は、部品の追加を必要とすることなくシールド電線とのインピーダンスの調整を可能とすることにより高周波性能を向上させることが可能なシールドコネクタを提供することを目的とする。
請求項記載の発明は、芯線の外周が絶縁体を介してシールド部材で被覆されたシールド電線の該芯線の端末に接続される圧着バレル部と、相手端子と電気接続される電気接続部とを備えたインナー端子と、前記インナー端子が収容される絶縁性のインナーハウジングと、前記インナーハウジングに前記インナー端子が収容された状態で前記インナーハウジングが組み込まれる端子本体部と、前記シールド部材が接続されるシールド部材接続部と、前記インナー端子の電気接続部が位置すると共に相手コネクタと嵌合する円筒部とを備えたアウター端子とを有し、前記インナー端子の前記電気接続部と前記圧着バレル部との間にインピーダンス調整部が設けられているシールドコネクタであって、前記インナーハウジングには前記インナー端子を収容する収容凹部が形成され、この収容凹部に前記インピーダンス調整部が上側から収容されて嵌合される大きさの嵌合溝部が形成されており、前記インピーダンス調整部が前記嵌合溝部に上側から収容されて嵌合されること前記インナー端子が前記インナーハウジング位置決めがなされた状態で固定されていることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載のシールドコネクタであって、前記インピーダンス調整部は、前記電気接続部と前記圧着バレル部とに連続する底板部と、この底板部の両側部から立ち上がる側板部とによって形成されていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、相手端子と電気接続されるインナー端子の電気接続部とシールド電線の芯線が接続される圧着バレル部との間にインピーダンス調整部が設けられているため、インナー端子側でシールドコネクタ全体のインピーダンスを調整する。この調整によってインピーダンスの乱れを抑制するため、シールド電線が伝送する信号の高周波性能を向上させることができる。このような請求項1記載の発明によれば、インナー端子によってインピーダンスの乱れを抑制するため、インピーダンスの乱れ抑制のための別部品の追加が不要となり、部品点数が多くなることがなく、シールドコネクタの組み立てが容易となる。
特に、請求項記載の発明によれば、インナー端子をインナーハウジングに収容する際にインナーハウジングの嵌合溝部にインナー端子のインピーダンス調整部が上側から収容されて嵌合される。このことによりインナー端子をインナーハウジングに容易に位置決めすることができ、しかもインナー端子をインナーハウジングに確実に固定することができる。
請求項記載の発明によれば、インピーダンス調整部に底板部及び側板部が形成されることにより、インピーダンス調整部がシールド電線の芯線を確実に覆う構造となるため、インピーダンスの乱れを容易に抑制することができる。又、インピーダンス調整部の底板部が電気接続部と圧着バレル部とに連続しているため、インピーダンス調整部をインナー端子に容易に形成することができる。
本発明の一実施形態のシールドコネクタの組み付け状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態のシールドコネクタにおけるインナー端子の斜視図である。 本発明の一実施形態のシールドコネクタにおけるインナーハウジングを示す斜視図である。 本発明の一実施形態のシールドコネクタのアウター端子を相手コネクタ側のアウター端子と接続させる状態を示す斜視図である。 図4の状態の内部を示す断面図である。 相手コネクタとの接続を説明する断面図である。 相手コネクタとの接続を説明する断面図である。 本発明の一実施形態のシールドコネクタにおけるインナーハウジングをアウター端子に組み込んだ状態を示す斜視図である。 本発明の一実施形態のシールドコネクタにおける相手コネクタとの接続状態を示す斜視図である。 (A)は本発明の一実施形態のシールドコネクタを相手コネクタに接続した状態を示す断面図、(B)は(A)に対応したインピーダンス特性を示すグラフである。
図1〜図10は本発明の一実施形態のシールドコネクタ1であり、図1はシールドコネクタ1の組み付け状態を示し、図2はインナー端子3を示し、図3はインナーハウジング4を示し、図4は相手コネクタ11側のアウター端子15と接続させる状態を示し、図5は図4の状態の内部を示している。図6及び図7は相手コネクタ11との接続を説明する断面図であり、図8はインナーハウジング4をアウター端子5に組み込んだ状態を示す斜視図、図9は相手コネクタ11との接続状態を示す斜視図である。図10はシールドコネクタ1を相手コネクタ11に接続した状態を示している。
図1に示すように、シールドコネクタ1にはシールド電線2が接続される。シールド電線2は図1及び図10に示すように、導線性の複数の素線を撚り合わせた中心部分の芯線21と、絶縁樹脂からなり芯線21の外周を覆うように設けられた内皮22と、内皮22の外周を覆うように設けられた導電性の編組線からなるシールド部材23と、絶縁樹脂からなりシールド部材23の外周を覆う外皮24とよって形成された同軸構造となっている。この内、芯線21は高周波信号を伝送し、シールド部材23は電磁波をシールドする。このようなシールド電線2は外皮24を皮剥きしてシールド部材23を露出させると共に、内皮22を皮剥きして芯線21を露出させた状態としてシールドコネクタ1との接続に用いられる。
図1及び図10に示すようにシールドコネクタ1は、インナー端子3と、インナーハウジング4と、アウター端子5とによって形成されている。インナー端子3及びアウター端子5は全体が導電性金属によって形成されており、インナーハウジング4は絶縁性樹脂によって形成されている。インナー端子3はシールド電線2の芯線21が接続され、アウター端子5はシールド電線2のシールド部材23が接続される。
図2はインナー端子3を示し、相手コネクタ11のインナー端子13と接続される電気接続部31が軸方向の先端側に設けられ、シールド電線2の芯線21と接続される圧着バレル部32が軸方向の基端側に設けられている。電気接続部31は先細りの円筒状となって軸方向に延びており、この電気接続部31が相手コネクタ11のインナー端子13内に侵入して接触することにより相手コネクタ11のインナー端子13と導通する(図10参照)。従って、この実施形態のシールドコネクタ1は雄コネクタとなっており、相手コネクタ11は雌コネクタとなっている。
圧着バレル部32は底片33と、底片33の両側から立ち上がる矩形板状の一対の圧着片34とからなり、上部が開放された略U字形状に形成されている。皮剥きによって露出したシールド電線2の芯線21は端末が電気接続部31に接触状態で挿入される。又、これに続く端末部分が圧着バレル部32の底片33に接触する。そして、底片33に接触した状態で圧着片34を折り曲げて芯線21に加締めることにより芯線21がインナー端子3に固定される。以上によりシールド電線2の芯線21がインナー端子3との電気的な接続状態でインナー端子3に固定される。
インナー端子3にはインピーダンス調整部35が設けられている。インピーダンス調整部35は電気接続部31と圧着バレル部32との間に設けられるものであり、電気接続部31と圧着バレル部32の底片33との間でこれらに連続する底板部36を有し、さらに底板部36の両側から略直立するように立ち上がった矩形板状の一対の側板部37を有した略U字形状となっている。この場合、一対の側板部37は圧着バレル部32における一対の圧着片34よりも外側に突出した位置となるように形成されている。すなわち底板部36は圧着バレル部32の底片33よりも大きな幅となっており、この大きな幅の底板部36の両側に一対の側板部37が設けられることにより矩形板状の側板部37が圧着バレル部32の圧着片34よりも外側に位置するものである。このように側板部37が外側に位置していることにより、インピーダンス調整部35はインナーハウジング4(後述するインナーハウジング4の嵌合溝42)に嵌合し、この嵌合によりインピーダンス調整部35はインナーハウジング4に対するインナー端子3の位置決めを行うように作用する。なお、インピーダンス調整部35の側板部37は、基端側の圧着バレル部32の圧着片34と切り欠き部38を介した隣接位置に設けられている。
インピーダンス調整部35においては、電気接続部31から圧着バレル部32にかけて配置されたシールド電線2の芯線21が底板部36に接触し、この接触状態で側板部37が芯線21を左右から包囲する。従ってインピーダンス調整部35形成部分ではインピーダンスが低くなり、シールドコネクタ1の他の部位にインピーダンスが高い部分があってもシールドコネクタ1全体のインピーダンスを平均化するように調整する。このため高周波性能を向上させることができる。このようにインピーダンス調整部35をインナー端子3に設けることにより、インピーダンスを平均化させるための他の部品をシールドコネクタ1に追加する必要がないため、シールドコネクタ1の部品点数が増えることがないと共に組み立て容易となる。
以上のインナー端子3はインナーハウジング4に収容され、インナー端子3の収容状態のインナーハウジング4がアウター端子5に組み付けられる。
図3に示すようにインナーハウジング4は軸方向に延びる略円柱状に形成されている。インナーハウジング4には、収容凹部41が軸方向に沿って形成されている。収容凹部41は上部が開放されており、開放された上部(上側)からインナー端子3が収容凹部41に落とし込まれる。この落とし込みにより、インナー端子3がインナーハウジング4に収容される。インナー端子3のインナーハウジング4への収容状態では、インナー端子3の電気接続部31はインナーハウジング4の先端から相手端子12の方向に突出しており、相手端子12との接触が可能となっている(図6及び図10参照)。
収容凹部41にはインピーダンス調整部35が上側から収容されて嵌合される大きさの嵌合溝42が形成されている。即ち、嵌合溝42は矩形状となって収容凹部41の長さ方向の中間部分両側に形成されており、インナー端子3におけるインピーダンス調整部35の側板部37が嵌合する。側板部37が嵌合することにより、インナー端子3はインナーハウジング4に対する位置決めがなされた状態でインナーハウジング4に固定される。これによりインナー端子3をインナーハウジング4の定位置に確実に収容することができる。
図1に示すようにアウター端子5は、円筒部51と、端子本体部52と、シールド部材接続部53とが軸方向の先端側から基端側に向かって連続的に形成されることにより構成されている。
基端側のシールド部材接続部53は対向状態で立ち上がる矩形板状の一対の加締め片54を長さ方向に沿って2組有して形成されている。シールド部材接続部53は外皮24が皮剥きされることにより露出したシールド電線2のシールド部材23を固定するものである。この固定はインナー端子3を収容したインナーハウジング4を端子本体部52にセットした後、インナーハウジング4の基端側に抜け出ている皮剥き状態のシールド部材23に対し、加締め片54を加締めることによりなされる。これによりシールド電線2のシールド部材23とアウター端子5とが導通状態となる。
端子本体部52はシールド部材接続部53よりも軸方向の先端側に位置しており、対向して立ち上がる一対の矩形板状の本体片55を有している。インナー端子3を収容したインナーハウジング4は、この本体片55の間に位置するように端子本体部52に組み込まれる。インナーハウジング4の組み込み状態に対し、本体片55はインナーハウジング4の両側でインナーハウジング4の外側を覆うことによりインナーハウジング4の露出量を少なくするように作用する。
円筒部51は端子本体部52の軸方向のさらに先端側に設けられることにより相手コネクタ11側に位置している。円筒部51は全体が円筒の外形となっており、図8に示すように略円柱状のインナーハウジング4が挿入され。又、図6及び図10に示すように、円筒部51の内部には、インナーハウジング4の先端から抜け出ているインナー端子3の電気接続部31が位置する。図5,図7及び図10に示すように、円筒部51は相手コネクタ11と嵌合するものであり、この嵌合によって雄雌コネクタの接続が行われる。
円筒部51は上下に位置した第1半円筒壁56及び第2半円筒壁57によって形成されている。第1半円筒壁56には長さ方向に沿ってスリット58が形成されている(図1及び図8参照)。スリット58が形成されることにより第1半円筒壁56は2つの分割片56a、56bを有した状態となっている。このような構造では、各分割片56a、56bに撓み可能及び復元可能な弾性が付与される。分割片56a、56bに弾性が付与されることにより、相手コネクタ11との嵌合時に第1半円筒壁56が撓むため、円筒部51が相手コネクタ11と容易に嵌合することができる。
第2半円筒壁57は第1半円筒壁56と上下で対向するように形成されている。第2半円筒壁57の先端には、コネクタ拾い突起59が形成されている。コネクタ拾い突起59は相手コネクタ11との嵌合時に相手コネクタ11の拾い作用を行う。これにより雌雄コネクタ1,11の嵌合が容易且つ確実となる。
以上に加えて、円筒部51には図5及び図9に示すようにストッパ部60が形成される。ストッパ部60は第1半円筒壁56の各分割片56a、56bにおける端面から小片状となって突出するように形成されている。ストッパ部60は相手コネクタ11との嵌合時に相手コネクタ11のストッパ部15gと相互に噛み合うものであり、この噛み合いによってシールドコネクタ1と相手コネクタ11の嵌合の際の上下のズレを防止するようになっている。
以上の構造のシールドコネクタ1は雄コネクタであり、この雄側のシールドコネクタ1は雌側のシールドコネクタを相手コネクタ11とし、これらの雌雄コネクタが相互に嵌合することによりコネクタ相互の接続が行われる。
雌コネクタとなる相手コネクタ11はシールドコネクタ1と同様にシールドコネクタであり、その構造は雄側のシールドコネクタ1と同形状となっている。すなわち、相手コネクタ11は雄側のシールドコネクタ1のインナー端子3と同形状のインナー端子13と、雄側のシールドコネクタ1のインナーハウジング4と同形状のインナーハウジング14と、雄側のシールドコネクタ1のアウター端子5と同形状のアウター端子15とを有している。
図10に示すように雌側の相手コネクタ11のインナー端子13は、シールド電線2の芯線21に加締められることにより芯線21に接続される圧着バレル部13aと、芯線21の端末が接続される電気接続部13bと、雄側のシールドコネクタ1のインピーダンス調整部35と同形状のインピーダンス調整部13cとを有している。
この場合、電気接続部13bには雄側のシールドコネクタ1の電気接続部31が侵入することによりシールドコネクタ1の電気接続部31と接触して導通する。この侵入を可能とするため、電気接続部13bは円筒形状に形成されている。インピーダンス調整部13cは圧着バレル部13aと電気接続部13bとの間に設けられている。インピーダンス調整部13cを設けることにより、インピーダンス調整部13cの形成部分では雄側のシールドコネクタ1と同様にインピーダンスが低くなるように作用する。これにより雄側のシールドコネクタ1と同様に相手コネクタ11全体のインピーダンスを平均化するため、相手コネクタ11の高周波性能を向上させることが可能となっている。
相手コネクタ11のインナーハウジング14には雄側のシールドコネクタ1のインナーハウジング4と同様にインナー端子13が収容される。この収容を行うため、インナーハウジング14には雄側のシールドコネクタ1と同様に収容凹部(図示省略)が形成されている。かかるインナー端子13の収容においては、円筒形状の電気接続部13bが雄側のシールドコネクタ1側に突出した状態となる。又、インナーハウジング14には、雄側のシールドコネクタ1と同様にインナー端子13のインピーダンス調整部13cが嵌合してインナー端子13の位置決め及び固定を行う嵌合溝部(図示省略)が形成されている。
相手コネクタ11のアウター端子15は図10に示すように、雄側のシールドコネクタ1の円筒部51と同形状の円筒部15aと、雄側のシールドコネクタ1の端子本体部52と同形状の端子本体部15bと、雄側のシールドコネクタ1のシールド部材接続部53と同形状のシールド部材接続部15cとが軸方向沿って連続して形成されている。端子本体部15bにはインナー端子13が収容されたインナーハウジング14が組み付けられ、シールド部材接続部15cには外皮24が皮剥きされて露出したシールド部材23に加締められて接続される。
円筒部15aは先細りとなっている雄側のシールドコネクタ1の円筒部51が嵌合する。図5に示すように、この円筒部15aは雄側のシールドコネクタ1の円筒部51と同様にスリット(図示省略)が形成されることにより撓み可能な弾性が付与された第1半円筒壁15dと、第1半円筒壁15dと上下で対向する第2半円筒壁15eとによって形成されている。又、第2半円筒壁15eの先端にはシールドコネクタ1側のコネクタ拾い突起59と同様なコネクタ拾い突起15fが形成され、第1半円筒壁15dには、シールドコネクタ1側のストッパ部60と同様なストッパ部15gが形成されている。
以上のような相手コネクタ11のアウター端子15は雄側のシールドコネクタ1のアウター端子5と同形状となっており、相手コネクタ11及びシールドコネクタ1の間で共用可能となっている。この場合、雌雄のコネクタ1,11を上下反転した状態とし、上下反転した状態で相互の嵌合が行われる。すなわち、雌側の相手コネクタ11においては、雄側のシールドコネクタ1のアウター端子5に対してアウター端子15が上下反転した状態となり、この上下反転した状態で雄側のシールドコネクタ1のアウター端子5と嵌合するものである(図4及び図5参照)。
このように相互に嵌合するアウター端子5及び15が同形状であり上下反転した状態で嵌合可能な構造とすることにより、雌雄コネクタ1及び11の間でアウター端子5,15を共用することができる。このため相互に嵌合させるためにアウター端子5及び15を別形状とする必要がなく、別形状のアウター端子5,15を製造する必要がなくなる。これにより製造のための金型を別個に作製する必要がなくなり、製造コストを低減させることができる。
次に、雌雄のコネクタ1,11を嵌合して接続する場合について説明する。
図6は嵌合前の雄側のシールドコネクタ1の内部を示す。アウター端子5の内部には、インナー端子3が収容されたインナーハウジング4が組み込まれている。図6に示すように嵌合前においては、アウター端子5の中心軸Aと、インナー端子3の中心軸Bとが上下にずれた状態となっている。
図5は雌雄のコネクタ1,11を嵌合させるための突き合わせ状態を示す。雄側のシールドコネクタ1のアウター端子5に対し、雌側の相手コネクタ11のアウター端子15が上下反転した状態となって突き合わせが行われる。すなわち、雄側のシールドコネクタ1の円筒部51における第1半円筒壁56が雌側の相手コネクタ11の円筒部15aにおける第2半円筒壁15eに臨み、雄側のシールドコネクタ1の円筒部51における第2半円筒壁57が雌側の相手コネクタ11の円筒部15aにおける第1半円筒壁15dに臨むように突き合わせが行われる。
この場合、円筒部51、15aの板厚分、それぞれのアウター端子5,15の中心軸A,Cを上下にずらして突き合わせを行う。そして、この状態で雌雄のコネクタ1,11を嵌合する。このとき雄側のシールドコネクタ1の円筒部51の第2半円筒壁57におけるコネクタ拾い突起59が雌側の相手コネクタ11の円筒部15aの第1半円筒壁15dを拾い、雌側の相手コネクタ11の円筒部15aの第2半円筒壁15eにおけるコネクタ拾い突起15fが雄側のシールドコネクタ1の円筒部51の第1半円筒壁56を拾って嵌合が行われる。これにより雌雄のコネクタ1,11を容易且つ確実に嵌合させることができる。
上記嵌合により雄側のシールドコネクタ1の第1半円筒壁56は雌側の相手コネクタ11のアウター端子15における第2半円筒壁15eの内側に位置し、雌側の相手コネクタ11のアウター端子15における第1半円筒壁15dは雄側のシールドコネクタ1の第2半円筒壁57の内側に位置する。このことによりアウター端子5、15の中心軸A、Cが同軸となるように一致する。又、雌雄のコネクタ1,11の嵌合により図7に示すように、雄側のシールドコネクタ1においては、インナー端子3の中心軸Bがアウター端子5の中心軸A(アウター端子5の内径Dの中心)と一致する。このように嵌合時に中心軸B及びAが一致することにより、雄側のシールドコネクタ1の高周波性能を維持することができる。
図4及び図9は以上のように雌雄のコネクタ1,11のアウター端子5、15aを上下反転して嵌合した状態を示す。アウター端子5、15aの嵌合状態においては、それぞれの円筒部51、15aに形成されているストッパ部60、15gが噛み合うため、アウター端子5、15aの上下のズレを阻止することができる。これにより嵌合状態の精度を維持することができる。
これに加えて、それぞれの円筒部51、15aの第1半円筒壁56、15dに形成されているスリットが嵌合相手の第2半円筒壁57、15eによって覆われた状態となる。このため、スリットが形成されていても高周波性能を維持することができる。
図10は雄側のシールドコネクタ1及び雌側の相手コネクタ11における円筒部51,15aを相互に嵌合させた状態を示す。雌雄のコネクタ1,11においては、シールド電線2のシールド部材23部分に開放部分が形成されることにより、この部分ではインピーダンスが高くなる(図10におけるM部分)。しかしながら、いずれのコネクタ1,11においても、インピーダンス調整部35,13cがインナー端子3,13に形成されており、インピーダンスが高くなった部分Mの近くでインピーダンスを低くするように作用する(図10におけるN部分)。これにより全体のインピーダンスを平均化することができるため高周波性能を向上させることができる。かかるインピーダンス調整部35は面積を増減させることにより、インピーダンス調整量を調整することができ、インピーダンス調整を簡単に行うことができる。
以上説明したように、この実施形態によれば、インピーダンスを平均化して高周波性能を向上させるインピーダンス調整部35をインナー端子3に設けているため、インピーダンスの平均化のための別部品を追加する必要がない。これにより部品点数が多くなることがない簡単な構造でインピーダンス調整を行うことができるため、シールドコネクタ1の組み立てが容易となる。
又、インナー端子3のインピーダンス調整部35がインナーハウジング4の嵌合溝42に嵌合することによりインナー端子3の位置決めがなされるため、インナー端子3の位置決めを容易に行うことができる。
又、インピーダンス調整部35が底板部36及び底板部36から立ち上がる側板部37によって形成されるため、簡単な構造であり、インピーダンス調整部35を容易に形成することができる。
上記実施形態においては雌側の相手コネクタ11のインナー端子13、インナーハウジング14及びアウター端子15が雄側のシールドコネクタのインナー端子3,インナーハウジング4及びアウター端子5と同形状としているが、これらを別の形状としても良い。この場合、雄側のシールドコネクタ1だけでなく、雌側の相手コネクタ11の高周波性能を向上させる場合においては、雌側の相手コネクタ11にインピーダンス調整部13cが形成される。
1 シールドコネクタ
2 シールド電線
インナー端子
インナーハウジング
アウター端子
11 相手コネクタ
21 芯線
22 内皮(絶縁体)
23 シールド部材
電気接続部
圧着バレル部
インピーダンス調整部
36 底板部
37 側板部
41 収容凹部
42 嵌合溝部
円筒部
端子本体部
シールド部材接続

Claims (2)

  1. 芯線の外周が絶縁体を介してシールド部材で被覆されたシールド電線の芯線の端末接続される圧着バレル部と、相手端子と電気接続される電気接続部とを備えたインナー端子と、
    前記インナー端子が収容される絶縁性のインナーハウジングと、
    前記インナーハウジングに前記インナー端子が収容された状態で前記インナーハウジングが組み込まれる端子本体部と、前記シールド部材が接続されるシールド部材接続部と、前記インナー端子の電気接続部が位置すると共に相手コネクタと嵌合する円筒部とを備えたアウター端子とを有し、
    前記インナー端子の前記電気接続部と前記圧着バレル部との間にインピーダンス調整部が設けられているシールドコネクタであって、
    前記インナーハウジングには前記インナー端子を収容する収容凹部が形成され、この収容凹部に前記インピーダンス調整部が上側から収容されて嵌合される大きさの嵌合溝部が形成されており、前記インピーダンス調整部が前記嵌合溝部に上側から収容されて嵌合されることで前記インナー端子が前記インナーハウジングに位置決めがなされた状態で固定されていることを特徴とするシールドコネクタ。
  2. 請求項1記載のシールドコネクタであって、
    前記インピーダンス調整部は、前記電気接続部と前記圧着バレル部とに連続する底板部と、この底板部の両側部から立ち上がる側板部とによって形成されていることを特徴とするシールドコネクタ。
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