JP5829496B2 - 電極用触媒、及び、電極用触媒含有組成物 - Google Patents
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Description
電極活物質を酸素とし、それが正極となる空気極において還元されて電気エネルギーが生じる空気電池や燃料電池は、エネルギー問題が大きく取り上げられる現代において、各種分野における実用化が期待される電池の1つとなっている。これら空気電池等の二次電池の技術分野においては、電池需要の拡大、化石燃料代替による適用用途の拡大にともなって、電子機器から自動車等に至る実用用途で充分な性能が発揮されるように、電池性能の更なる向上が望まれている。
そのような中、非特許文献1に記載された技術において、導電助剤に触媒が担持された複合材料が二次電池電極材料として機能し、電池性能を向上し得ることが見いだされた。当該複合材料は、電極触媒として好適に使用することができるものである。この技術においては、γ−Fe2O3の調製と同時に導電助剤としてケッチェンブラック(KB)を混合し、熱処理(焼成)してγ−Fe2O3/KB複合体を調製されている。この複合体を電極材料とすると、ケッチェンブラックが電極において導電助剤として作用することになり、また、金属酸化物であるFe2O3が電極における反応に対して触媒作用を発揮することになる。そして、この複合体を空気電池の電極触媒として用いると、カーボンブラックのみでは進行しなかった繰り返し充放電が可能となることが確認されている。
しかしながら、様々な電池用途において、充分な性能を発揮できる電池の実現に向け、各種材料の開発が求められており、電極用触媒にも更に活性を向上することが望まれている。
空気電池や燃料電池は、正極活物質が酸素であることから、電池内に正極活物質を充填する必要がないため、電池内における負極活物質の量を増やすことができる。このため、放電容量の大きい電池の製造が可能となることから、近年研究が進められている電池の一つである。空気電池や燃料電池では、アルカリ電解液を使用した場合、正極において酸素が還元されて水酸化物イオンとなるが、この還元を効率的にすすめることが空気電池や燃料電池の性能を向上させるうえで不可欠であるため、このような特定の金属元素を構成元素とする金属化合物が高活性な酸素還元能を発揮することを見出したことの技術的意義は大きく、本発明の電極用触媒は、空気電池や燃料電池の更なる高性能化に寄与するものである。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本発明の金属酸化物が後述するオキソ酸塩である場合には、5族又は6族の元素が好ましく、より好ましくは、W、Moであり、更に好ましくは、Wである。このように、金属酸化物が、W元素を含むオキソ酸塩であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の金属酸化物がAgを含むものである場合、Ag単体をカーボン等に混合して触媒として用いた場合に比べて、より少ないAg含有量で同等の触媒性能を発揮することができる点で有利である。
このような構造を有する金属化合物としては、例えば、AgxNayW4O13、AgxKyW4O13等の複酸化物やAgxNayW6O19、AgxKyW6O19、AgxNayW10O32、AgxKyW10O32等のオキソ酸塩が挙げられる。
このように、本発明における金属酸化物が第1の金属元素と第2の金属元素とを含む複酸化物であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
また本発明における金属酸化物がオキソ酸塩であることも、本発明の好適な実施形態の1つである。
以下においては、金属酸化物が複酸化物である形態を本発明の第1の形態、金属酸化物がオキソ酸塩である形態を本発明の第2の形態と記載する。
なお、金属酸化物がオキソ酸塩である形態とは、オキソ酸のアニオンと金属カチオンとから形成される塩形態であり、オキソ酸が縮合してできるアニオンであるポリオキソメタレートと金属カチオンとから形成される塩も含まれる。
金属酸化物が複酸化物である形態とは、独立した構造単位としてオキソ酸のイオンが存在しない金属酸化物の形態である。
その他の成分には、複酸化物やオキソ酸塩を製造する過程で生じる副生成物や未反応の原料等は含まれるが、後述する導電性物質、有機化合物や集電体は含まない。
層状構造を有するホスト金属酸化物としては、例えば、層状ペロブスカイト構造を有するNa2La2Ti3O10やK2La2Ti3O10や、Na2W4O13、K2W4O13、Na2Mo4O13、K4V2O7がある。
またホスト金属酸化物をイオン交換して得られる本発明の第1の形態の複酸化物としては、AgxNayLa2Ti3O10、AgxKyLa2Ti3O10、AgxNayW6O19、AgxKyW6O19、AgxNayW10O32、AgxKyW10O32、AgxNayMo4O13、AgxKyMo4O13、AgxNayV2O7、AgxKyV2O7等が挙げられる。なお、xはAgの数を、yはNa又はKの数を表す。
AaBbCcDdOe (1)
式中、Aは、上述した第2の金属元素を表し、Bは、上述した第1の金属元素を表す。C、Dは、A、Bとは異なる金属元素を表し、第1の金属元素、第2の金属元素、その他の金属元素のいずれかである。a〜eは、それぞれの元素の原子の数を表し、a、b、eは1以上の数であり、c、dは0以上の数である。eは、A〜Dの原子の価数及び数により決まることになる。
aを1とすれば、bは1〜10であることが好ましい。より好ましくは、aが1〜5であり、更に好ましくは、aが1〜4である。c、dは、それぞれ0〜5であることが好ましい。より好ましくは、0〜3であり、更に好ましくは、0〜2である。
本発明の第2の形態の金属酸化物は、上記第1の金属元素及び第2の金属元素を含むものである限り、オキソ酸のアニオン部位を構成する金属元素、カチオン種は特に制限されないが、好ましくは、オキソ酸のアニオン部位構成元素として上記第1の金属元素を含み、カチオン種の少なくとも一部が第2の金属元素のカチオンであることである。本発明の第2の形態の金属酸化物において、カチオン種全体における第2の金属元素のカチオンの割合は特に制限されず、0.1質量%以上であればよい。
欠損構造部位に他の金属元素が導入されるとは、他の金属元素が欠損構造部位に組み込まれる形態、すなわち、あるべきポリ原子が他の金属元素により置換された形態であってもよいし、特に他の金属元素のイオン半径が大きい場合には、欠損構造部位に他の金属元素が組み込まれることなく、配位した形態であってもよい。好ましくは、他の金属元素が欠損構造部位に組み込まれる形態である。
また、他の金属元素を添加して、1つのポリオキソメタレートに他の金属元素を導入した後、更にポリオキソメタレートを添加する方法も用いることができる。更に、1つのポリオキソメタレート化合物に他の金属元素を導入して得られた化合物を有機溶媒中又は有機溶媒を含む溶媒に溶解した溶液に当該1つのポリオキソメタレート化合物に他の金属元素を導入して得られた化合物を更に添加し、そこに貧溶媒を添加する方法も用いることができる。
なお、上記有機溶媒を含む溶媒は有機溶媒を含んでいる限り、その他の成分を含んでいてもよいが、上記有機溶媒を含む溶媒の好ましい形態の1つとして、有機溶媒と水との混合溶媒の形態が挙げられる。
本発明の金属酸化物が欠損構造部位含有ポリオキソメタレートを2つ以上有する場合、これら複数の欠損構造部位含有ポリオキソメタレートは、ポリ原子の欠損数が同じものであってもよく、異なるものであってもよいが、ポリ原子の欠損数が同じものであることが好ましい。
金属酸化物がオキソ酸塩である本発明の第2の形態の金属酸化物の具体例としては、AgxNayW6O19、AgxKyW6O19、AgxNayW10O32、AgxKyW10O32、Agx、NayMo2O7、AgxKyMo2O7、AgxNayMo6O19、AgxKyMo6O19、AgxNayMo8O26、AgxKyMo8O26、AgxNayV10O28H3、AgxKyV10O28H3等が挙げられる。
Lp[MxOy]q (2)
(式中、Mは、ポリ原子を表す。Lは第2の金属元素以外の元素のカチオン種を表す。x、yは、ポリ原子、酸素の数を表し、1以上の数である。p、qは、それぞれカチオン種及びポリオキソメタレートの数を表し、カチオン種及びポリオキソメタレートの価数によって決まる数である。)で表すことができる。
一般式(2)中、x、yは、ホストポリオキソメタレート化合物の欠損構造の有無や欠損構造の数によって異なるが、xは、1〜15の数であることが好ましい。より好ましくは、2〜10の数である。また、y/xは、0.5〜25の数であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜16の数である。
上記カチオン種が第四級アルキルアンモニウム塩のカチオンであると、ホストポリオキソメタレート化合物が過酸化水素によっても分解しない安定な化合物となる。また、有機溶媒にも溶解することができるようになる。したがって、このようなホストポリオキソメタレート化合物のカチオン種の一部を第2の金属元素に置き換えた化合物は、電極用触媒としての特性を発揮する安定な化合物となる。
このようなポリオキソメタレート化合物の構造は、X線結晶構造解析、元素分析、UV、XRD、ラマン分光測定やFT−IR分光測定等から決定または推定される。
混合時間等の混合条件は、原料となる金属元素含有化合物の種類や質量割合等によって適宜調整すればよい。
焼成は、400℃以上の温度で行うことが好ましい。
このような、本発明の電極用触媒の製造方法であって、該製造方法は、複数の原料化合物を混合し、400℃以上で焼成する工程を含む電極用触媒の製造方法もまた、本発明の1つである。
焼成の温度は、より好ましくは、400〜1600℃であり、更に好ましくは、500〜1100℃である。
また、焼成する時間は、0.5〜24時間が好ましい。より好ましくは1〜12時間である。焼成温度や時間が適切でない場合、原料化合物の複合化が充分にすすまないおそれがある。
焼成は、1回行ってもよく、2回以上行ってもよい。2回以上行う場合、焼成の温度や時間は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、上記不純物を除去した後の化合物を乾燥させる工程において、乾燥する温度は、20〜150℃が好ましい。より好ましくは、50〜120℃である。また、乾燥時間は、0.5〜24時間が好ましい。より好ましくは1〜15時間である。
ホスト金属酸化物を調製する際の原料として用いる第1の金属元素を含む化合物、及び、その他の化合物は、上記(I)の場合と同様に、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、塩化物、水酸化物等のいずれの形態のものであってもよい。好ましくは、酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アルカリ金属塩である。
その他の化合物を含む場合、第1の金属元素含む化合物中の第1の金属元素1モルに対して、その他の化合物中の金属元素が0.1〜2モルとなるように混合することが好ましい。より好ましくは、0.2〜1モルとなるように混合することであり、更に好ましくは、0.3〜0.7モルとなるように混合することである。
ホスト金属酸化物と銀化合物とを混合し、加熱する方法を用いる場合、加熱した後の金属化合物を水洗、濾過等により精製することが好ましい。
また、加熱時間は、1〜100時間が好ましい。より好ましくは、10〜50時間である。
イオン交換率は、XRF測定により算出することができる。
(III)の方法で本発明の第2の形態のオキソ酸塩を製造する方法、及び、(IV)の方法においてホストオキソ酸塩を製造する方法は、上記複酸化物の製造方法と同様に、原料となる金属元素含有化合物を混合する工程、混合した原料を焼成する工程、不純物を除去する工程、不純物を除去した生成物を乾燥する工程を含む方法を含む方法により行うことができる。また、オキソ酸塩やホストオキソ酸塩がポリオキソメタレート化合物である場合、ポリオキソメタレート化合物の製造は、Walter G.Klemperer、「インオーガニック シンセシーズ(Inorg.Synth.)」(米国)、1990年、第270巻、p71等に記載の公知の方法により行うこともできる。
ホストポリオキソメタレート化合物に第2の金属元素をイオン交換により導入する方法は、上記第1の形態において、ホスト金属酸化物を調製した後、第2の金属元素をイオン交換によりホスト金属酸化物に導入する方法と同様の方法を用いることができる。
電極用触媒を導電性物質とともに用いる形態とは、(1)それらがそれぞれ単体で混在している混合状態、(2)分子間力等により近接又は接触した状態、(3)共有結合等により結合した状態のいずれかの状態を意味する。該(2)及び(3)の状態においては、2種以上の物質どうしが吸着又は結合して複合体を形成しているともいえる。少なくとも、2種以上の物質が近接及び/又は接触して分散した状態にあること、例えば、nmのオーダーで近接及び/又は接触して存在し、分散した状態にあること、また、共有結合等により結合した状態にあることが好ましい。電極用触媒が担体としての導電性物質に担持した状態も、電極用触媒を導電性物質とともに用いる形態に含まれ、本発明の好ましい形態の1つである。
中でも、上記電極用触媒は、空気電極用触媒として用いられることが好適である。この場合、例えば、上記導電性物質とともに用いる形態では、実質的には、電極用触媒及び/又は導電助剤として用いられることになる。また、上記空気極において用いられる場合は、空気電極用触媒として、また、空気電極用導電助剤として用いることが好適である。
上記電極材料、好ましくは正極合剤としては、本発明の電極用触媒を必須成分とし、導電助剤、有機化合物を含んで構成されることが好ましく、その他の成分を必要に応じて含んでいてもよい。
なお、上記空気極においては、酸素が正極活物質となるが、本発明の電極用触媒を必須成分とすれば、酸素の還元や水の酸化が可能として知られている、ぺロブスカイト化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、白金含有化合物等の本発明の金属化合物により構成される空気極とすることが好適である。
上記電極材料、好ましくは正極合剤を粒子状の形態とする場合、平均粒子径が1000μm以下である粒子とすることが好ましい。
先ず、電極材料を必要により水及び/又は有機溶媒と、本発明の電極用触媒、バインダーや有機化合物と共に混練し、ペースト状とする。次に、得られたペースト混合物をアルミ箔等の金属箔上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工する。塗工後、0〜250℃で乾燥する。乾燥温度としてより好ましくは、15〜200℃である。乾燥は真空乾燥で行ってもよい。また、乾燥後に0.01〜20tの圧力で、ロールプレス機等によりプレスを行うことが好ましい。プレスする圧力としてより好ましくは、0.1〜15tの圧力である。
上記電極、好ましくは正極電極の膜厚は、例えば、1nm〜2000μmであることが好ましい。より好ましくは、10nm〜1500μmであり、更に好ましくは、100nm〜1000μmである。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボンの1種又は2種以上を用いることができる。導電性カーボンとしては、黒鉛、アモルファス炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、気相成長炭素繊維等が挙げられる。これらの中でも、グラフェン、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、金属亜鉛が好ましい。より好ましくは、グラフェン、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、炭素繊維、気相成長炭素繊維である。
このような導電助剤の具体例としては、Vulcan XC72(Cabot社製)等を挙げることができる。
上記導電助剤は、正極における導電性を向上させる作用を有するものである。
上記有機化合物、有機化合物塩は、粒子同士や粒子と集電体とを結着させる結着剤として働くこともできる。上記有機化合物、有機化合物塩として好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸塩含有ポリマー、セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン含有ポリマー、ポリペンタフルオロエチレン含有ポリマー、ポリマレイン酸塩含有ポリマー、ポリイタコン酸塩含有ポリマー、イオン交換膜性重合体、スルホン酸塩含有ポリマー、第四級アンモニウム塩含有ポリマー、第四級ホスホニウム塩ポリマーである。
<XRD測定>
TTRIIIシステム(リガク社製)を用いて定法に従い、以下の条件で測定した。
走査範囲:10°−70°
ステップサイズ:0.020°
スキャン速度:5.000°min−1
<XRF測定>
ZSX PRIMUS IIシステム(リガク社製)を用いて測定を行った。
炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)17.97g、炭酸ランタン(ワコーケミカル社製)46.87g、酸化チタン(IV)(アナターゼ型、和光純薬工業社製)23.96g、水533gをボールミル中に添加し、ボールミル混合を行った。その後、エバポレーターにて減圧下150℃で2時間乾燥した。得られた乾燥固体を空気雰囲気下で550℃、12時間焼成を行った後、更に、空気雰囲気下で1100℃、6時間焼成を行った。焼成後の固体を粉砕してから、水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、減圧下80℃で一晩乾燥して、Na2La2Ti3O10を得た。
得られたNa2La2Ti3O10のXRD測定結果から、図1に示す層状ペロブスカイト構造を有する化合物であると推定された。
炭酸カリウム(和光純薬工業社製)8.98g、酸化ランタン(−30μm、99.9%、和光純薬工業社製)16.29g、酸化チタン(IV)(アナターゼ型、和光純薬工業社製)11.97g、水223gをボールミル中に添加し、ボールミル混合を行った。その後、エバポレーターにて減圧下150℃で2時間乾燥した。得られた乾燥固体を空気雰囲気下で550℃、12時間焼成を行った後、更に、空気雰囲気下で1100℃、6時間焼成を行った。焼成後の固体を粉砕してから、水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、減圧下80℃で一晩乾燥して、K2La2Ti3O10を得た。得られたK2La2Ti3O10のXRD測定結果から、図2に示す層状ペロブスカイト構造を有する化合物であると推定された。
タングステン酸ナトリウム二水和物(ナカライテスク社製)10.28g、酸化タングステン(VI)(ナカライテスク社製)24.34g、水173gをボールミル中に添加し、ボールミル混合を行った。その後、エバポレーターにて減圧下150℃で2時間乾燥した。得られた乾燥固体を空気雰囲気下で670℃、30時間焼成を行った後、毎分1℃の冷却速度で、670℃から室温まで冷却した。冷却後の固体を粉砕してから、水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、減圧下80℃で一晩乾燥して、Na2W4O13を得た。得られたNa2W4O13のXRD測定結果から、図3に示す層状構造を有する化合物であると推定された。
炭酸カリウム(和光純薬工業社製)4.15g、酸化タングステン(VI)(ナカライテスク社製)27.82g、水160gをボールミル中に添加し、ボールミル混合を行った。その後、エバポレーターにて減圧下100℃で2時間乾燥した。得られた乾燥固体を空気雰囲気下で750℃、60時間焼成を行った。焼成後の固体を粉砕してから、水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、100℃で一晩乾燥して、K2W4O13を得た。得られたK2W4O13のXRD測定結果から、図4に示すトンネル構造を有する化合物であると推定された。
硝酸銀(和光純薬工業社製)と原料合成例1で得られた粉末(Na2La2Ti3O10)を、10:1の質量比で乳鉢を用いて混合した。得られた混合物をアルミナ製の坩堝に入れ、大気雰囲気下、250℃で72時間の加熱処理を行った。加熱処理後の固体を水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、減圧下、80℃で一晩乾燥して、AgxNayLa2Ti3O10を得た。
XRF測定により算出したAg交換率は、92%であった。
イオン効果によるAgの導入をする前及び導入後の化合物について、XRD測定を行った。結果を図5に示す。Agの導入をする前後でXRD測定結果に変化がみられ、Ag導入により化合物の構造が変化したことが確認された。
硝酸銀(和光純薬工業社製)と原料合成例2で得られた粉末(K2La2Ti3O10)を、3:1の質量比で乳鉢を用いて混合した。得られた混合物をアルミナ製の坩堝に入れ、大気雰囲気下、250℃で48時間の加熱処理を行った。加熱処理後の固体を水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、減圧下、80℃で一晩乾燥して、AgxKyLa2Ti3O10を得た。
XRF測定により算出したAg交換率は、99%であった。
イオン効果によるAgの導入をする前及び導入後の化合物について、XRD測定を行った。結果を図6に示す。Agの導入をする前後でXRD測定結果に変化がみられ、Ag導入により化合物の構造が変化したことが確認された。
硝酸銀(和光純薬工業社製)と原料合成例3で得られた粉末(Na2W4O13)を、2:1の質量比で乳鉢を用いて混合した。得られた混合物をアルミナ製の坩堝に入れ、大気雰囲気下、230℃で24時間の加熱処理を行った。加熱処理後の固体を水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、減圧下、80℃で一晩乾燥して、AgxNayW4O13を得た。
XRF測定により算出したAg交換率は、58%であった。
イオン効果によるAgの導入をする前及び導入後の化合物について、XRD測定を行った。結果を図7に示す。Agの導入をする前後でXRD測定結果に変化がみられ、Ag導入により化合物の構造が変化したことが確認された。
硝酸銀(和光純薬工業社製)と原料合成例4で得られた粉末(K2W4O13)を、2:1の質量比で乳鉢を用いて混合した。得られた混合物をアルミナ製の坩堝に入れ、大気雰囲気下、230℃で24時間の加熱処理を行った。加熱処理後の固体を水中に投入して攪拌洗浄した後、濾過を行った。得られた濾物は、減圧下、80℃で一晩乾燥して、AgxKyW4O13を得た。
XRF測定により算出したAg交換率は、64%であった。
イオン効果によるAgの導入をする前及び導入後の化合物について、XRD測定を行った。結果を図8に示す。Agの導入をする前後でXRD測定結果に変化がみられ、Ag導入により化合物の構造が変化したことが確認された。
実施例1〜4、比較例1
合成例1で合成したAgxNayLa2Ti3O10を7mg及びVulcan XC72(Cabot社製)13mgをN−メチルピロリドン(NMP)(2.0mL)中に分散させた分散液を、回転電極装置(北斗電工社製、HR−201)に付属の回転ディスク電極のGC(グラッシーカーボン)ディスク上に、マイクロピペットを用いて5.0μL滴下、乾燥し、電極触媒を均一に堆積した。該回転ディスク電極を0.1M水酸化カリウム水溶液中にセットし、酸素を吹き込むことで酸素飽和水溶液とした。参照電極としてHg/HgO電極を用い、0Vから−0.6Vに向けて0.0050V/secの掃引速度で掃引して酸素還元電流を測定した。
AgxNayLa2Ti3O10の代わりに合成例2〜4の化合物を用いて同様の手順により酸素還元電流を測定した。また、合成例の化合物を用いずにVulcan XC72のみ(比較例1)を用いた場合についても同様の手順により酸素還元電流を測定した。これらの結果を図9、10に示す。
上記原料合成例1〜4の化合物を用いて上記と同様の手順により酸素還元電流を測定した。結果を図11に示す。図11には、比較のため、Vulcan XC72のみのもの(比較例1)の測定結果も示した。
E−TEK社製30%Ag/XC72(型番:C8−30)と、Vulcan XC72のみのものとについて、酸素還元電流を測定した結果の比較を図12に示す。図12には比較のため、合成例3のAgxNayW4O13(実施例3)の測定結果も示した。
図10の結果から、AgxNayW4O13、AgxKyW4O13を用いると、カーボンのみの場合に比べて、電流値が0からマイナス方向へ立ち上がる印加電圧の絶対値が小さく、また、印加電圧−0.6Vとしたときの電流値の絶対値も大きかった。また、図11のAg交換前の金属化合物の結果との比較から、これがAg交換による効果であることが確認された。
図12の結果から、AgxNayW4O13は、カーボンに30%のAgを添加したものに比べて、電流値が0からマイナス方向へ立ち上がる印加電圧の絶対値は同じであり、印加電圧−0.6Vとしたときの電流値の絶対値は大きかった。AgxNayW4O13は触媒成分に約4%のAgしか含んでいないにもかかわらず、カーボンに30%のAgを添加したものよりも優れた性能を発現することが確認された。
Claims (2)
- 少なくとも2種の金属元素を含む金属酸化物を含有する電極用触媒であって、
該金属酸化物は、下記一般式(1);
AaBbCcDdOe (1)
(式中、Aは、Agを表し、Bは、Ti又はLaを表す。C、Dは、A、Bとは異なる金属元素を表し、周期律表第3〜6族の元素の群より選択される金属元素、Co、Mn、Cu、Re、Fe、Ru、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Auからなる群より選択される金属元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素のいずれかである。a〜eは、それぞれの元素の原子の数を表し、a、b、eは1以上の数であり、c、dは0以上の数である。eは、A〜Dの原子の価数及び数により決まる。aを1とすれば、bは1〜10である。)により表される複酸化物、又は、
ポリオキソメタレートアニオンを含んで構成される欠損構造を有するポリオキソメタレートであって、Wを含み、欠損構造部位にAgが導入されたものである
ことを特徴とする電極用触媒。 - 請求項1に記載の電極用触媒と導電性物質とを含むことを特徴とする電極用触媒含有組成物。
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