JP5782365B2 - 金属化合物含有電極用触媒 - Google Patents
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Description
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、へテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する金属化合物の特性について研究し、当該金属化合物の特性を活かした新たな用途を提供することを目的とするものである。
空気電池や燃料電池は、正極活物質が酸素であることから、電池内に正極活物質を充填する必要がないため、電池内における負極活物質の量を増やすことができる。このため、放電容量の大きい電池の製造が可能となることから、近年研究が進められている電池の一つである。空気電池や燃料電池では、例えばアルカリ性水溶液を電解液に使用した場合には、正極において酸素が還元されて水酸化物イオンとなるが、この還元を効率的にすすめることが空気電池や燃料電池の性能を向上させるうえで不可欠であるため、へテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する金属化合物が高活性な酸素還元能を発揮することを見出したことの技術的意義は大きく、本発明の金属化合物含有電極用触媒は、空気電池や燃料電池の更なる高性能化に寄与するものである。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において段落に分けて記載される本発明の好ましい形態の2つ又は3つ以上を組み合わせたものも本発明の好ましい形態である。
その他の成分には、欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレート化合物を製造する過程で生じる副生成物や未反応の原料等が含まれる。なお、後述する導電性物質や有機化合物は、その他の成分には含まれない。
なお、上記欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位とは、欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物の構造の一部であって、ヘテロ原子、ポリ原子及び酸素原子によって構成される構造部位である。
上記金属化合物が、二欠損構造部位、及び/又は、三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有することは本発明の好適な実施形態の1つであり、本発明の金属化合物が、このような多核金属化合物であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
一欠損構造部位、二欠損構造部位及び三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位のうち、本発明における金属化合物が有する構造部位としてより好ましいのは、二欠損構造部位及び三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位である。
上記金属化合物が、一欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子としては、La、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd、In、Sn、Pb及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の原子が好ましい。より好ましくは、Y、Nb、Cr、Mn、Re、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。更に好ましくは、Y、Mn、Re、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。特に好ましくは、Y、Mn、Re、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al及びCdである。
上記金属化合物が、二欠損構造部位又は三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子としては、La、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd、In、Sn、Pb及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の原子が好ましい。
二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、より好ましくは、Y、Nb、Cr、Mn、Re、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。更に好ましくは、Y、Mn、Re、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。特に好ましくは、Y、Mn、Re、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al及びCdである。
三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、より好ましくは、Y、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。更に好ましくは、Y、Cr、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。特に好ましくは、Cr、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Ag、Au及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。
すなわち、前記金属化合物が、一欠損構造部位、二欠損構造部位及び三欠損構造部位からなる群より選択される少なくとも1つの欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有し、該欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物が一欠損構造部位を含む場合には、P、Si、Ge、As及びZnからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、前記金属原子は、La、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd、In、Sn、Pb及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の原子であり、該欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物が二欠損構造部位または三欠損構造部位を含む場合には、P、Si、Ge、As及びZnからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、前記金属原子は、La、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd、In、Sn、Pb及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の原子であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記構造b中、「少なくとも1つの酸素原子が同一元素の2つの金属原子に配位し、」とは、M1−O−M1(M1は、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる同一元素の金属原子を表す。)で表される構造が金属化合物中に少なくとも1つ存在することを意味する。また、「更に、いずれの2つの金属原子間にも、1つの酸素原子を介して2つの金属原子が配位した構造は2つ以下である構造」とは、金属化合物中に存在する、どの2つのヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子間にも、M−O−M(Mは、同一又は異なって、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を表す。)で表される構造が、3つ以上存在しない構造を意味する。
上記構造dは、下記一般式(1);
なお、以下において、本発明における金属化合物において、少なくとも2つのヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位の間に存在し、これらの構造部位を結合している部分を多核構造部位と記載する。
更に金属原子(a)は、酸素原子及び/又は他の原子と配位結合及び/又は結合していてもよく、結合する原子種、結合の数、その結合の種類は、特に限定されないが、結合する原子種は酸素原子であり、かつ、その結合の種類は配位結合であることが好ましい。
なお、本発明における金属化合物が、上述のような構造を少なくとも1つ有している場合、それ以外の構造については、特に限定されない。
金属原子(a)と酸素原子とが配位した構造を有する金属化合物であって、該金属化合物は、更に金属原子(a)とは異なる金属原子(b)を含み、該金属原子同士は、互いに1つ又は複数の金属原子と少なくとも1つ以上の酸素原子を介して配位し、該化合物中の金属原子(a)のうち少なくとも1つ以上が、1つの金属原子(b)とのみ1つの酸素原子を介して配位した構造を有する(以下、構造部位II含有化合物とも記載する)。
この金属化合物は、該金属化合物中において、金属原子同士が、互いに1つ又は複数の金属原子と少なくとも1つ以上の酸素原子を介して配位しているが、金属原子(a)のうち少なくとも1つは、1つの酸素原子を介して1つの金属原子(b)とのみ配位した構造を有しているものである。該1つの酸素原子を介して1つの金属原子(b)とのみ配位した構造を有している金属原子(a)は、1つの金属原子(b)とのみ1つの酸素原子を介して配位した構造を有するものである限り、金属原子(b)以外のいずれの原子と少なくとも1つ以上の酸素原子を介して配位していてもよく、また、配位している数も特に制限されない。
上記金属化合物は、金属原子(a)、金属原子(b)及び酸素原子を有する限り、その他の原子を有していてもよい。また、上記金属原子(a)及び金属原子(b)はそれぞれ、単一の原子種からなっていてもよいし、複数種類の原子種を含んでいてもよい。
ここで、金属原子(a)は、上記一般式(2)における金属原子(a)と同様であり、金属原子(b)は、ヘテロ原子又はポリ原子である。
本発明における金属化合物が上記構造部位I含有化合物や構造部位II含有化合物である場合、ヘテロ原子及びポリ原子は、上記金属原子(b)であり、上記ヘテロポリオキソメタレート化合物は、ヘテロ原子、ポリ原子が上記のいずれかの元素である欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)の欠損構造部位に、上記金属原子(a)が元素(B)として導入されたヘテロポリオキソメタレート化合物であることが好ましい。
なお、上記ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)は、一欠損型、二欠損型、三欠損型からなる群より選択される少なくとも1つの欠損構造部位を有するものである。これらの欠損構造とヘテロ原子、ポリ原子、並びに、ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子との好ましい組み合わせは上述したとおりである。
本発明における金属化合物としては、これらの中でも二欠損型構造及び/又は三欠損型構造を有するものが好ましい。
また、元素(B)の配置としては、特に限定されることはない。二欠損構造部位含有ケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオン及び/又は三欠損構造部位含有ケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンを用いる場合には、元素(B)が互いに隣接していることがより好ましい。元素(B)が互いに隣接する異性体としては、α、β、γ、δ、ε体等が存在するが、α、β体は角を共有した異性体であり、γ、δ、ε体は稜を共有した異性体である。更に好ましくは、α体、β体及びγ体からなる群より選択される少なくとも1種の欠損構造部位含有ケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンと元素(B)との組み合わせで得られる化合物である。すなわち、本発明において、欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、α体、β体及びγ体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物が、二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物であって、かつ、γ体であること、及び/又は、三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物であって、かつ、α体及び/又はβ体であることである。三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物はA体でも良いし、B体でも良い。
このようなヘテロポリオキソメタレート化合物の構造は、X線結晶構造解析、元素分析、UV、XRDやFT−IR分光測定等から決定または推定される。
上述のように、本発明における金属化合物は、ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)がα体、β体及びγ体からなる群より選択される少なくとも一つのケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンであることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)は、結晶構造中で、あるべきポリ原子が欠けている欠損構造部位を有するヘテロポリオキソメタレートアニオンであって、ヘテロ原子がP、Si、Ge、As、Sb及びZnからなる群より選択される少なくとも1種以上であり、かつ、ポリ原子がV、Nb、Mo及びWからなる群より選択される少なくとも1種以上のものであることが好ましい。このようなヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)は、ヘテロ原子に酸素を介してポリ原子が9〜11個配位したケギン型と呼ばれる結晶構造を有するものである。
ここで、一般式(3)において、より好ましくは、ZがWであるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンである。更に好ましくは、TがP、Si、Ge、As、Znであり、ZがW及び/又はMoであるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンである。
すなわち、金属化合物は、ヘテロ原子が、リン、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、亜鉛であり、ポリ原子が、タングステン及び/又はモリブデンであるヘテロポリオキソメタレート化合物であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。
更に好ましくは、[α−PW11O39]7−、[β−PW11O39]7−、[γ−PW11O39]7−、[α−PMo11O39]7−、[α−SiW11O39]8−、[β−SiW11O39]8−、[γ−SiW11O39]8−、[α−SiMo11O39]8−、[α−GeW11O39]8−、[β−GeW11O39]8−、[γ−GeW11O39]8−、[α−GeMo11O39]8−、[α−SbW11O39]7−、[β−SbW11O39]7−、[γ−SbW11O39]7−、[α−SbMo11O39]7−、[α−ZnW11O39]10−、[α−ZnMo11O39]11−である。
ここで、一般式(4)において、より好ましくは、ZがWであるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンである。更に好ましくは、QがSiであり、ZがWであるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンである。
すなわち、金属化合物は、ヘテロ原子が、ケイ素であり、ポリ原子が、タングステンであるヘテロポリオキソメタレート化合物であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。
更に好ましくは、[γ−PW10O36]7−、[γ−SiW10O36]8−又は[γ−GeW10O36]8−であり、最も好ましくは、Qがケイ素である[γ−SiW10O36]8−である。
ここで、一般式(5)において、より好ましくは、ZがWであるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンである。更に好ましくは、RがP、Si、Ge、Sb、Znであり、ZがW及び/又はMoであるケギン型ヘテロポリオキソメタレートアニオンである。
すなわち、金属化合物は、ヘテロ原子が、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、亜鉛であり、ポリ原子が、タングステン及び/又はモリブデンであるヘテロポリオキソメタレート化合物であることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。
更に好ましくは、[α−PW9O34]9−、[β−PW9O34]9−、[α−PMo9O34]9−、[β−PMo9O34]9−、[α−SiW9O34]10−、[β−SiW9O34]10−、[α−MoW9O34]10−、[β−SiMo9O34]10−、[α−SbW9O34]9−、[β−SbW9O34]9−、[α−SbMo9O34]9−[α−ZnW9O34]12−、[α−ZnMo9O34]12−であり、最も好ましくは、[α−PW9O34]9−、[α−PMo9O34]9−、[α−SiW9O34]10−、[α−MoW9O34]10−、[α−SbW9O34]9−、[α−SbMo9O34]9−、[α−ZnW9O34]12−である。上記三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物におけるヘテロポリオキソメタレートアニオンはA体であってもよいし、B体であってもよい。
対カチオンは1種又は2種以上用いることができる。
また、ヘテロポリオキソメタレート化合物が二欠損構造部位又は三欠損構造を有する場合、La、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd、In、Sn、Pb及びBiからなる群より選択される少なくとも1種以上の原子が好ましい。
二欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、より好ましくは、Y、Nb、Cr、Mn、Re、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。更に好ましくは、Y、Mn、Re、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。特に好ましくは、Y、Mn、Re、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al及びCdである。
三欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する場合、より好ましくは、Y、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。更に好ましくは、Y、Cr、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。特に好ましくは、Cr、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Ag、Au及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の原子である。
また、元素(B)を導入したヘテロポリオキソメタレート化合物の混合物や、異種元素を導入したヘテロポリオキソメタレート化合物を合成する場合には、上記元素(B)より選ばれる元素を2種以上使用しても良い。
また、上記元素(B)の混合に加え、後述するように酸を添加してもよい。また、元素(B)を添加して、1つのヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)に元素(B)を導入した後、更にヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)を添加して金属化合物とする方法も用いることができる。
また、1つのヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)に元素(B)を導入して得られた化合物を有機溶媒中又は有機溶媒を含む溶媒に溶解した溶液に当該1つのヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)に元素(B)を導入して得られた化合物を更に添加し、そこに貧溶媒を添加することで金属化合物とする方法も用いることができる。なお、上記有機溶媒を含む溶媒は有機溶媒を含んでいる限り、その他の成分を含んでいてもよいが、上記有機溶媒を含む溶媒の好ましい形態の1つとして、有機溶媒と水との混合溶媒の形態が挙げられる。
なお、混合時間が1分以上とは、ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)0.34ミリモルを使用した時に、主に均一系溶液中で元素(B)と溶媒中で共存、混合される時間を意味し、ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)を含む溶液又は混合液中に、元素(B)を含む塩又は化合物を添加し終えた時点から、上記無機塩や有機塩の添加等により、上記へテロポリオキソメタレート化合物を析出させる時点までの間の時間を指す。上記ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)の使用ミリモル数(0.34 × nミリモル)(nは正数)により、例えば0.68ミリモル使用時には2分間共存、混合させるといった具合に、混合時間を適宜n倍とする方が好ましい。混合中に不純物等の沈殿が発生した場合は、必要に応じて取り除くことができる。混合する時間の設定は、へテロポリオキソメタレート化合物の構造を決定する重要な要素の一つであり、元素(B)の種類によって上記の範囲内で適宜選定すればよい。へテロポリオキソメタレート化合物は、再結晶等により精製することが可能である。また、単離することなく系中で調製・保存・触媒や材料としての適用等を行うこともできる。
酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸の他、p−トルエンスルホン酸、酢酸、安息香酸、マロン酸等の有機酸を用いることができる。
酸の添加量は、上記ヘテロポリオキソメタレートアニオン(A)1モルに対して、0.0001モル以上であることが好ましい。より好ましくは、0.001モル以上である。
金属化合物含有電極用触媒を導電性物質とともに用いる形態とは、(1)それらがそれぞれ単体で混在している混合状態、(2)分子間力等により近接又は接触した状態、(3)共有結合等により結合した状態のいずれかの状態を意味する。該(2)及び(3)の状態においては、2種以上の物質どうしが吸着又は結合して複合体を形成しているともいえる。少なくとも、2種以上の物質が近接及び/又は接触して分散した状態にあること、例えば、nmのオーダーで近接及び/又は接触して存在し、分散した状態にあること、また、共有結合等により結合した状態にあることが好ましい。金属化合物含有電極用触媒が担体としての導電性物質に担持した状態も、金属化合物含有電極用触媒を導電性物質とともに用いる形態に含まれ、本発明の好ましい形態の1つである。
中でも、上記金属化合物含有電極用触媒は、空気電極用触媒として用いられることが好適である。この場合、例えば、上記導電性物質とともに用いる形態では、実質的には、電極用触媒及び/又は導電助剤として用いられることになる。また、上記空気極において用いられる場合は、空気電極用触媒として、また、空気電極用導電助剤として用いることが好適である。
上記電極材料、好ましくは正極合剤としては、本発明の金属化合物含有電極用触媒を必須成分とし、導電助剤、有機化合物を含んで構成されることが好ましく、その他の成分を必要に応じて含んでいてもよい。
なお、上記空気極においては、酸素が正極活物質となるが、本発明の金属化合物含有電極用触媒を必須成分とすれば、酸素の還元や水の酸化が可能として知られている、ぺロブスカイト化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、白金含有化合物等の本発明の金属化合物により構成される空気極とすることが好適である。
上記電極材料、好ましくは正極合剤を粒子状の形態とする場合、平均粒子径が1000μm以下である粒子とすることが好ましい。
先ず、電極材料を必要により水及び/又は有機溶媒と、本発明の金属化合物含有電極用触媒、バインダーや有機化合物と共に混練し、ペースト状とする。次に、得られたペースト混合物をアルミ箔等の金属箔上に、できる限り膜厚が一定になるように塗工する。塗工後、0〜250℃で乾燥する。乾燥温度としてより好ましくは、15〜200℃である。乾燥は真空乾燥で行ってもよい。また、乾燥後に0.01〜20tの圧力で、ロールプレス機等によりプレスを行うことが好ましい。プレスする圧力としてより好ましくは、0.1〜15tの圧力である。
上記電極、好ましくは正極電極の膜厚は、例えば、1nm〜2000μmであることが好ましい。より好ましくは、10nm〜1500μmであり、更に好ましくは、100nm〜1000μmである。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボンの1種又は2種以上を用いることができる。導電性カーボンとしては、黒鉛、アモルファス炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、気相成長炭素繊維等が挙げられる。これらの中でも、グラフェン、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、金属亜鉛が好ましい。より好ましくは、グラフェン、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、炭素繊維、気相成長炭素繊維である。
このような導電助剤の具体例としては、Vulcan XC72(Cabot社製)等を挙げることができる。
上記導電助剤は、正極における導電性を向上させる作用を有するものである。
上記有機化合物、有機化合物塩は、粒子同士や粒子と集電体とを結着させる結着剤として働くこともできる。上記有機化合物、有機化合物塩として好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸塩含有ポリマー、セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン含有ポリマー、ポリペンタフルオロエチレン含有ポリマー、ポリマレイン酸塩含有ポリマー、ポリイタコン酸塩含有ポリマー、イオン交換膜性重合体、スルホン酸塩含有ポリマー、第四級アンモニウム塩含有ポリマー、第四級ホスホニウム塩ポリマーである。
X線結晶構造解析は、SHELXH−97を使用した。IRの測定はJASCO FT/IR−460を用いて行った。X線の測定はRIGAKU AFC−10 Saturn 70 CCD Detectorを用いて行った。液体NMR測定は、JEOL JNM−EX−270を用いて行った。
1H NMRは、270MHzで測定し、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用いた。29Si NMRは、53.5MHzで測定し、テトラメチルシラン(TMS)を外部標準として用いた。183W NMRは、11.2MHzで測定し、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)を外部標準として用いた。固体NMR測定は、CHEMAGNETICS CMX−300を用いて59.7MHz、繰り返し時間(Repetition Time):300秒で行った。テトラメチルシラン(TMS)を外部標準として用いた。収率の測定にはSHIMADZU ガスクロマトグラフ GC−2014を使用した。コールドスプレーイオン化質量分析は、JEOL JMS−T100CSを用いて行った。
ケイ素中心二欠損型ケギン型ポリオキソメタレートTBA4H4[γ−SiW10O36]・2H2O(「TBA−SiW10」ともいう。)は、以下の文献に従い合成した。
K.Kamata、K.Yonehara、Y.Sumida、K.Yamaguchi、S.Hikichi、N.Mizuno、「サイエンス(Science)」(米国)、2003年、第300巻、p.964。
TBA−SiW10(0.72mmol)のアセトン溶液 50mLに、2当量の亜鉛アセチルアセトナート(1.44mmol)と、8.5当量の水(6.12mmol)とを加え、室温(約20℃)で10分間攪拌した。不溶物をろ過により除去した後、その溶液をジエチルエーテル 50mLに加えた。その結果生じる白い粉末状のTBA−Zn4をろ過により回収し、乾燥させた。収率は、原料であるTBA−SiW10の90%であった。X線結晶構造解析のために、更に1,2−ジクロロエタンとジエチルエーテルとの混合溶媒(4:1、v/v)を用いて再結晶させ、無色の結晶を得た。元素分析の結果は、C:20.80、H:4.39、N:1.52、Si:0.76、W:49.74、Zn:3.54(計算値)、C:20.72、H:4.36、N:2.10、Si:0.75、W:50.86、Zn:3.47(実測値)であった。各種構造解析の結果を図1〜5及び表1〜3に示した。なお、表2においては、以下の文献に記載されている化合物と結合の長さ及び角度の比較を行っている。
[Zn4(μ3−OH)2(fa)3(4,4´−bpy)2]:J.Tao、M.−L.Tong、J.−X.Shi、X.−M.Chen、S.W.Ng、「ケミカル コミュニケーションズ(Chemical Communications)」(英国)、2000年、第20巻、p.2043−2044。
[Zn4(μ3−OH)2(O2CPh)2(pko)4]:M.Alexiou、E.Katsoulakou、C.Dendrinou−Samara、C.P.Raptopoulou、V.Psycharis、E.Manessi−Zoupa、S.P.Perlepes、D.P.Kessissoglou、「ヨーロピアン ジャーナル オブ インオーガニック ケミストリー(European Journal of Inorganic Chemistry)」(独国)、2005年、第10巻、p.1964−1978。
得られたTBA−Zn4は、本発明における金属化合物であって、上述した構造a及び構造bを有する化合物である。
TBA−SiW10(0.29mmol)をアセトン20mLに添加した。ここに、コバルトアセチルアセトナート(0.058mmol)を加え、室温(約20℃)で10分間攪拌した。不溶物をろ過により除去した後、1Mの硝酸又はパラトルエンスルホン酸水溶液 0.29mL(0.029mmol)を添加して30分間攪拌し、ろ過して静置すると結晶が析出した。収率は、原料であるTBA−SiW10の26%であった。元素分析の結果は、C:16.98、H:3.56、N:1.24(計算値)、C:17.93、H:3.54、N:1.21(実測値)であった。各種構造解析の結果を図6〜8、表4、5に示した。
得られたTBA−Co4は、本発明における金属化合物であって、上述した構造a及び構造bを有する化合物である。
上記TBA−Co4を1.1g(0.16mmol)DMF20mLに溶解させ、ここに1Mの硝酸水溶液0.96mLを加えることにより、沈殿が生成した。収率は、原料であるTBA−Co4の26%であった86%であった。得られた沈殿を水に溶解させ、アセトン/DMF=1/1(v/v)を加えると、桃色棒状結晶が得られた。各種構造解析の結果を図9、10及び表4、6に示した。
また、上記TBA−Co4をDMFに溶解して0.59mMの溶液を調製し、UV−visスペクトルの経時変化を測定したところ、時間の経過とともにスペクトルに変化がみられた。この結果から、TBA−Co4の構造がDMF溶液中で変化していることが示唆される。UV−visスペクトルの測定結果を図11に示す。
得られたTBA−Co−outは、本発明の金属化合物であって、上述した構造eを有する化合物である。
TBA−SiW10を2.0g(0.59mmol)取り、アセトン39mLを加えた。攪拌しながら純水1mLを加え、その後Cd(OAc)2・(H2O)2を312mg(1.2mmol)加えた。室温で10分間攪拌し、白色沈殿が生じ始めた後メンブラン濾過を行い、濾液を室温で一晩静置することにより白色結晶を得た。元素分析の結果は、C:21.58、H:4.24、N:1.57(計算値)、C:21.16、H:4.08、N:1.50(実測値)であった。各種構造解析の結果を図12及び表7に示した。
得られたCd−POMは、本発明における金属化合物であって、上述した構造a及び構造bを有する化合物である。
TBA−SiW10 2.0gを取り、アセトン39mLを加えた。これを攪拌しながら純水1mLを加え、パラジウムアセテート 0.26g(1.2mmol)を加えた。室温で2時間攪拌したあとジエチルエーテル160mLを加えクリーム色沈殿を得た。沈殿を回収しジエチルエーテル240mLで洗浄後、真空乾燥を30分行いクリーム色粉末(TBA−I)を得た。収量は2.1g(収率95%)であった。
元素分析の結果は、C:21.81、H:4.09、N:1.50、Si:0.75、Pd:5.68、W:49.09(計算値)、C:21.16、H:4.08、N:1.50、Si:0.78、Pd:5.64、W:50.04(実測値)であった。
TBM−SiW10 2.0g (TBM = [(n−C4H9)3MeN]+)を用いてTBA−Iと同様にして合成し、クリーム色粉末(TBM−Pd−I)を得た。収量は2.0g(収率91%)であった。
元素分析の結果は、C:18.80、H:3.61、N:1.57(計算値)、C:18.51、H:3.64、N:1.56(実測値)であった。
TBM−I 2.0g(0.56mmol)を取り、アセトン39mLを加えた。更に純水1mLを加え、TBM−SiW10 1.8g(0.56mmol)を加え室温で4時間攪拌した。生じた沈殿を桐山ロートを用いて回収した。真空乾燥を60分行い、褐色粉末を得た。収量は1.2g(収率32%)であった。得られた褐色粉末を1,2−ジクロロエタンに溶解させてジエチルエーテルを加えて冷蔵庫で静置することにより褐色結晶(TBM−Pd−II)を得た。収量は21mg(収率86%)(25mgの粉末基準で算出)であった。
元素分析の結果は、C:18.63、H:3.67、N:1.67、Si:0.84、Pd:3.17、W:54.84(計算値)、C:18.33、H:3.79、N:1.65、Si:0.85、Pd:2.91、W:54.45(実測値)であった。各種構造解析の結果を図13及び表8、9に示した。
得られたTBM−Pd−IIは、本発明における金属化合物であって、上述した構造cを有する化合物である。
TBA−Pd−I 0.1g(0.27mmol)を取り、アセトン4mLと純水0.1mLを加えた。その後マロン酸2.8mg(0.27mmol)を加え、メンブラン濾過した。得られた固体を冷蔵庫(5℃)で一晩静置することによりTBA−Pd−IIIの黄色結晶を得た。収量は0.31g(収率31%)であった。
元素分析の結果は、C:21.58、H:4.00、N:1.50、Si:0.75、Pd:5.71、W:49.30(計算値)、C:21.58、H:3.99、N:1.38、Si:0.74、Pd:5.31、W:49.24(実測値)であった。各種構造解析の結果を図14及び表10、11に示した。
得られたTBM−Pd−IIIは、本発明における金属化合物であって、上述した構造cを有する化合物である。
TBA4H4SiW10O36・2H2O 1.0g(0.29mmol)をアセトン20mLに溶解させた。そこにY(acac)3・nH2O 0.13g(0.29mmol)を加え、10分間撹拌した。更に1Mの硝酸水溶液 0.29mLを加えて30分間攪拌した。ろ過をして静置すると無色ブロック状結晶が得られた。収率は27%(SiW10基準)であった。各種構造解析の結果を図15、16及び表12に示した。
得られたY−POMは、本発明における金属化合物であって、上述した構造bを有する化合物である。
TBA4H4SiW10O36・2H2O 0.10g(0.029mmol)をアセトン2mLに溶解させた。更に銀アセチルアセトナート 0.018g(0.087mmol)を加え、溶液が透明になるまで撹拌した。ろ過をして静置すると茶色ブロック状結晶が得られた。収率は17%(SiW10基準)であった。
元素分析の結果は、C:20.48、H:3.92、N:1.49(計算値)、C:19.98、H:4.14、N:1.43(実測値)であった。各種構造解析の結果を図17及び表13に示した。
得られたAg−POMは、本発明における金属化合物であって、上述した構造a及び構造dを有する化合物である。
TBA4H4SiW10O36・2H2O 1000mg(0.293mmol)をアセトン13mLに溶解させた。更に銀アセチルアセトナート 181.8mg(0.878mmol)を加え、3日間撹拌したところ、黒色沈殿が得られた(収率60%)。得られた黒色沈殿100mgをニトロメタン 0.2mLに溶解し、ろ過した後、溶液にアセトン5.0mLを加えて12時間室温で静置すると茶色の結晶が得られた。元素分析の結果は、C:20.56、H:3.94、N:1.50、Si:0.75、Ag:8.66、W:49.18(計算値)、C:20.19、H:3.97、N:1.39、Si:0.77、Ag:8.53、W:50.36(実測値)であった。各種構造解析の結果を図18及び表14に示した。
得られたTBA−Ag6は、本発明における金属化合物であって、上述した構造dを有する化合物である。
TBA4H4SiW10O36・2H2O 1000mg(0.293mmol)をアセトン20mLに溶解させた。更に銀アセテート 97.7mg(0.586mmol)を加え、6時間撹拌したところ、白色沈殿が得られた(収率60%)。得られた白色沈殿150mgをジメチルスルホキシド(DMSO) 0.8mLに溶解し、ろ過した後、溶液にアセトン7.0mLを加えて1時間室温で静置すると無色の結晶が得られた。元素分析の結果は、C:21.38、H:4.13、N:1.51、Si:0.76、Ag:5.82、W:49.58(計算値)、C:21.41、H:4.17、N:1.30、Si:0.70、Ag:5.71、W:47.14(実測値)であった。各種構造解析の結果を図19及び表15に示した。
得られたTBA−Ag4は、本発明における金属化合物であって、上述した構造dを有する化合物である。
TBA4[{Al(OH2)2}2(μ−OH)2{γ−SiW10O36}]は、以下の文献に従い合成した。
Y.Kikukawa、S.Yamaguchi、Y.Nakagawa、K.Uehara、S.Uchida、K.Yamaguchi、N.Mizuno、「ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイエティー(Jouranal of the American Chemical Society)」(米国)、2008年、第130巻、p.15872。
合成例13で得られたTBA4[{Al(OH2)2}2(μ−OH)2{γ−SiW10O36}]をアセトニトリルに溶解させ、貧溶媒としてトルエンを加えて得られた沈殿を濾過して回収した。元素分析の結果は、C:17.40、H:3.56、N:1.27、Si:0.85、W:55.49、Al:1.63(計算値)、C:18.41、H:3.52、N:1.35、Si:0.81、W:55.98、Al:1.64(実測値)であった。tri−Al2の結晶構造の単位構造を示す図を図20に、構造解析の結果を表16に示した。構造解析の結果、tri−Al2は、図20に示す単位構造が立体的に多数連結した構造を有していることが明らかとなった。この構造を図21、22に示す。
得られたtri−Al2は、本発明における金属化合物であって、上述した構造bを有する化合物である。
合成例11で合成したTBA−Ag6を3mg及びVulcan XC72(Cabot社製)17mgをN−メチルピロリドン(NMP)(2.0mL)中に分散させた分散液を、回転電極装置(北斗電工社製、HR−201)に付属の回転ディスク電極のGC(グラッシーカーボン)ディスク上に、マイクロピペットを用いて5.0μL滴下、乾燥し、電極触媒を均一に堆積した。該回転ディスク電極を0.1M水酸化カリウム水溶液中にセットし、酸素を吹き込むことで酸素飽和水溶液とした。参照電極としてHg/HgO電極を用い、0Vから−0.6Vに向けて0.0050V/secの掃引速度で掃引して酸素還元電流を測定した。結果を図23に示す。図23中、TBA−Ag6/(15%)XC72が実施例1の測定結果である。
比較例1としてE−TEK社製10%Ag/XC72(型番:C8−10) 20mgをN−メチルピロリドン(NMP)(2.0mL)中に分散させた分散液を、回転電極装置(北斗電工社製、HR−201)に付属の回転ディスク電極のGC(グラッシーカーボン)ディスク上に、マイクロピペットを用いて5.0μL滴下、乾燥し、電極触媒を均一に堆積し、電極触媒を調製した以外は実施例1と同様にして酸素還元電流を測定した。結果を図23に示す。
10%Ag/XC72は、Vulcan XC72カーボンに10質量%のAgが担持されたものである。
これらの結果から、欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する金属化合物を触媒として用いることで、より少ないAgの含有量で優れた性能を発揮することができることが確認された。
(ii):SiW10由来ではない酸素原子
(iii):炭素原子
(iv):SiW10由来の酸素原子
(v):一次元チャネル
Claims (6)
- 欠損構造部位含有へテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有する金属化合物を含んでなり、
該金属化合物は、ヘテロ原子に対してポリ原子が酸素原子を介して配位した構造を有する欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有し、該ヘテロ原子及びポリ原子とは異なる金属原子を含み、
該金属化合物は、
該金属原子のうち少なくとも1つが、1つのヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位当たり1つのポリ原子とのみ1つの酸素原子を介して配位した構造、
該金属原子のうち少なくとも1つに、ヘテロ原子及びポリ原子のいずれにも配位していない酸素原子が少なくとも2つ配位し、かつ、少なくとも1つの酸素原子が同一元素の2つの金属原子に配位し、更に、いずれの2つの金属原子間にも、1つの酸素原子を介して2つの金属原子が配位した構造は2つ以下である構造、
該金属原子同士が少なくとも2つの他の原子を介してのみ配位している構造、
4つの前記金属原子が互いに少なくとも2つの他の金属原子と直接結合した構造、及び、
該金属原子のうち少なくとも1つが、1つのポリ原子とのみ1つの酸素原子を介して配位し、かつ、金属原子に配位した酸素原子のうち少なくとも2つが、金属原子以外の少なくとも1つの他の原子に配位した構造
から選択される少なくとも1つの構造を有することを特徴とする金属化合物含有電極用触媒。 - 前記金属化合物は、一欠損構造部位、二欠損構造部位及び三欠損構造部位からなる群より選択される少なくとも1つの欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有することを特徴とする請求項1に記載の金属化合物含有電極用触媒。
- 前記金属化合物は、一欠損構造部位、二欠損構造部位及び三欠損構造部位からなる群より選択される少なくとも1つの欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物由来の構造部位を有し、
該欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物が一欠損構造部位を含む場合には、
P、Si、Ge、As及びZnからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、
前記金属原子は、La、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd、In、Sn、Pb及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の原子であり、
該欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物が二欠損構造部位または三欠損構造部位を含む場合には、
P、Si、Ge、As、Sb及びZnからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含み、
前記金属原子は、La、Ce、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Cr、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Cd、In、Sn、Pb及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属化合物含有電極用触媒。 - 前記欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、ケギン型ヘテロポリオキソメタレート化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属化合物含有電極用触媒。
- 前記欠損構造部位含有ヘテロポリオキソメタレート化合物は、α体、β体及びγ体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属化合物含有電極用触媒。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の金属化合物含有電極用触媒と導電性物質とを含むことを特徴とする電極用触媒含有組成物。
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