JP6187868B2 - リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池 - Google Patents

リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池 Download PDF

Info

Publication number
JP6187868B2
JP6187868B2 JP2013230335A JP2013230335A JP6187868B2 JP 6187868 B2 JP6187868 B2 JP 6187868B2 JP 2013230335 A JP2013230335 A JP 2013230335A JP 2013230335 A JP2013230335 A JP 2013230335A JP 6187868 B2 JP6187868 B2 JP 6187868B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
lithium
composite positive
air battery
negative electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013230335A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015090801A (ja
Inventor
良 小松
良 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuki Motor Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuki Motor Co Ltd filed Critical Suzuki Motor Co Ltd
Priority to JP2013230335A priority Critical patent/JP6187868B2/ja
Publication of JP2015090801A publication Critical patent/JP2015090801A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6187868B2 publication Critical patent/JP6187868B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Inert Electrodes (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Description

本発明は、リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池に関し、特に、リチウム空気電池の軽量化、起電力および放電電力の向上を可能とする複合正極に関する。
リチウム空気電池は、負極がリチウム金属、正極が触媒を含む多孔質の導電性電極(例えば、白金を担持したカーボンクロス)からなっており、さらに、該負極と該正極の電極間には、負極側から有機電解質(例えば、ドライポリマー電解質)、固体電解質(例えば、LTAP(NASICON型の結晶構造を有するリチウムイオン導電体))、さらに、該固体電解質と該正極の間に有機系電解質もしくは水溶液系電解質が配置される構造からなる。
ここで、該固体電解質と該正極の間に有機系電解質を用いると、大気中の水分により、該有機系電解質が変質してしまう。一方で、水溶液系電解質を用いると、水溶液系電解液が揮発してしまうため、吸水性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸塩)の活用が試みられている。また、リチウム空気電池には、軽量化および放電電圧の向上も求められている。
特許文献1には、水溶液系電解質(例えば、LiOH)に吸水性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸塩)を用いてゲル状の水溶液ゲル電解質を作製し、該水溶液ゲル電解質を固体電解質(例えば、LTAP)上に塗布して固定し、さらに該水溶液ゲル電解質により触媒(例えば、触媒粒子である白金を担持させたカーボンを、カーボンクロスに塗布したもの)を固着させたリチウム空気電池、が開示されている。このリチウム空気電池によれば、大気中の水が多孔質の正極を透過して電解液中に溶解し、負極に至り負極を失活させてしまうことを防止すること、および、水溶液を電解質的な機能を保持したまま正極表面から流れ出ることを防止することができる。
特開2011−103203号公報 特開2009−93983号公報
特許文献1では、水溶液電解質に吸水性ポリマーを用いてゲル状の水溶液ゲル電解質を作製しているところ、該水溶液ゲル電解質の作製にはバインダ(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))が使用されている。該バインダであるポリビニルアルコールは、吸水能力や保水能力が無く、電池性能にも関与しない。しかしながら、水溶液ゲル電解質を作成するためには、吸水性ポリマーの10倍量のポリビニルアルコールが必要となる。すなわち、電池性能に寄与しないバインダを多量に使用するために、リチウム空気電池の重量が増加してしまう。また、リチウム空気電池の製造コストを増加させてしまう。
また、特許文献1では、正極複合体には触媒が担持されている。正極(例えば、カーボンクロス)に触媒(例えば、白金担持カーボン)を担持させるために、バインダとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)が使用されている。特許文献2でも、PVdFを使用することが記載されている。しかしながら、ポリフッ化ビニリデンは、電池性能にも関与しないだけでなく、疎水性であることから、電解液の保持には不向きである。すなわち、正極への触媒の担持に用いられるバインダは、電池性能に寄与しないばかりか、リチウム空気電池の重量を増加させてしまうこととなる。また、リチウム空気電池の製造コストを増加させてしまう。
上記問題点に鑑み、本発明は、リチウム空気電池の軽量化、起電力および放電電力の向上を可能とする複合正極およびその製造方法、並びにリチウム空気電池を提供することを目的とする。
上記の問題を解決するべく、本発明に係るリチウム空気電池の複合正極は、酸素を正極活物質とする複合正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、前記複合正極と前記負極との間に介在する固体電解質を少なくとも備えたリチウム空気電池に用いる複合正極であって、前記複合正極は、多孔質かつ導電性を備える基材と、当該基材に保持された吸水性ポリマーと、当該吸水性ポリマーに保持された水溶液系電解質からなり、水溶液系電解質を単独で設けることなく、正極であると共に、水溶液系電解質としての役割を果たす
本発明は、別の側面で、リチウム空気電池の複合正極の製造方法であり、該製造方法は、吸水性ポリマーを有機溶媒に溶解する溶解工程と、前記吸水性ポリマーを溶解した有機溶媒に、白金、パラジウム、ロジウムから選択される少なくとも一つの触媒を添加する触媒添加工程と、前記触媒を添加した有機溶媒を、基材に塗布する塗布工程と、前記塗布工程後、前記基材を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後の基材に、リチウムイオンを含む溶液を添加するリチウムイオン含有溶液添加工程とを少なくとも含む。
本発明は、更に別の側面で、リチウム空気電池であり、該リチウム空気電池は、上記第1の形態の複合正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、前記複合正極と前記負極との間に介在する固体電解質を少なくとも備えるリチウム空気電池であって、前記複合正極は、前記固体電界質と接触している。
本発明によれば、リチウム空気電池の軽量化、起電力および放電電力の向上が可能なリチウム空気電池の複合正極が提供される。
本発明のリチウム空気電池1の断面模式図である。 従来のリチウム空気電池101の断面模式図である。 リチウム空気電池の放電特性を示す図である。 リチウム空気電池の電圧特性を示す図である。
以下、本発明について、その一般的形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する形態によって限定されるものではない。
本発明のリチウム空気電池の複合正極は、酸素を正極活物質とする複合正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、前記複合正極と前記負極との間に介在する固体電解質を少なくとも備えたリチウム空気電池に用いる複合正極である。当該複合正極は、多孔質かつ導電性を備える基材と、当該基材に保持された吸水性ポリマーと、当該吸水性ポリマーに保持された水溶液系電解質からなる。基材が多孔質であることにより、空気中の酸素を取り入れることができる。また、基材は、集電体としての導電性を備えることが必要である。そして、吸水性ポリマーは、水溶液系電解質を保持することができることから、前記基材に吸水性ポリマーを保持させることにより、これまで正極と負極との間に介在していた水溶液系電解質を、正極と一体化することができる。水溶液系電解質は、従来は正極と負極との間に介在することにより、直流の電力を生み出す電池となっていたところ、本発明では、正極と一体化することが可能であり、リチウム空気電池を小型化することができる。
前記基材は、骨格材となって、基材から吸水性ポリマーが脱落することを防止できる。また、上記の複合正極により、吸水性ポリマーを保持するためのバインダ(例えば、ポリビニルアルコール)を廃止することができる。バインダを廃止することにより、リチウム空気電池を軽量化することができる。そして、リチウム空気電池の軽量化により、リチウム空気電池のエネルギー密度(Wh/kg)を向上させることができる。また、バインダの廃止により、リチウム空気電池の製造コストを低減することができる。さらに、複合正極に吸水性ポリマーを用いることで、複合正極に含まれる電解質のpHを下げて酸性度を上昇させることができるため、触媒の活性が高くなる。触媒の活性が高くなる結果として、起電力および放電電圧を増加することができる。また、吸水性ポリマーが、空気中から水分を確保することができるため、複合正極に含まれる電解質の揮発を防止できる。電解質の揮発を防止できる結果として、放電時間を延長することができる。
本発明のリチウム空気電池の複合正極は、リチウムイオンを含むことが好ましい。複合正極の水溶液系電解質は、電解質として塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等を含むことができる。電解質は、水に溶解することで陽イオンと陰イオンに電離し、水溶液に電気伝導性を付与することができる。電解質として例えば塩化リチウムを含むことにより、複合正極としてリチウムイオンを含むことができる。複合正極では、放電生成物として正極近傍に水酸化リチウムが生成する。ここで、水酸化リチウムが解離して水酸化物イオンが増加することにより、固体電解質(例えばLTAP)が塩基性になる。塩基性条件下では、固体電解質が安定に存在することができなくなる。そこで、電解質としてリチウムイオンを含むことにより複合正極のリチウムイオン濃度を増加させ、そして、水酸化リチウムを析出させることにより、水酸化物イオン濃度の増加を抑制することが可能となり、固体電解質を安定に保つことができる。
本発明のリチウム空気電池の複合正極は、バインダを含まないことが好ましい。バインダは、水溶液ゲル電解質を作成するために用いられるところ、本発明の複合正極では、基材が吸水性ポリマーを保持するため、バインダを用いることなく水溶液系電解質を保持することができる。一方で、バインダは、電池性能に寄与しないのみならず、リチウム空気電池の重量や製造コストを増加させてしまう。そのため、本発明では、バインダを含まないことが好ましい。
本発明のリチウム空気電池の複合正極は、白金、パラジウム、ロジウムから選択される少なくとも一つの触媒を含むことが好ましい。触媒を含むことにより、複合正極における下記式(1)の反応を促進することができるからである。本発明の複合正極では、吸水性ポリマーが触媒を保持する構成となる。この構成により、正極に触媒を担持させるバインダ(例えば、ポリフッ化ビニリデン)の使用が不要となる。結果として、リチウム空気電池の重量を軽量化することができる。また、リチウム空気電池の軽量化ができるため、エネルギー密度(Wh/kg)を向上させることができる。さらに、バインダが不要となることにより、製造コストを低減することができる。
Figure 0006187868
本発明のリチウム空気電池の複合正極において、前記基材は、カーボンクロス、カーボン不織布、カーボンペーパー、多孔質アルミニウム、および多孔質ニッケルから選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。これらの材料は、多孔質であるため、空気中の酸素を取り入れることができる。また、集電体として導電性を有し、アルカリ電解液に耐えることのできる耐食性があるため、リチウム空気電池の正極の材料として適している。
次に、本発明のリチウム空気電池の複合正極の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、溶解工程と、触媒添加工程と、塗布工程と、乾燥工程と、リチウムイオン含有溶液添加工程とを少なくとも含む。
溶解工程は、吸水性ポリマーを有機溶媒に溶解する工程である。吸水性ポリマーを基材に保持させるための準備工程である。吸水性ポリマーとしては、親水基を有し、立体的な網目構造を形成することができるポリマーが好ましく、結着効果が強いポリマーであればさらに好ましい。例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムを使用することができる。また、有機溶媒としては、吸水性ポリマーを溶解させることのできる溶媒であればよく、例えば、N−メチルピロリドン(NMP)や、非プロトン性極性溶媒であるアセトニトリル、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を使用することができる。吸水性ポリマーの有機溶媒への溶解量は、基材に保持させる吸水性ポリマー量に応じて変えることができる。例えば、吸水性ポリマーの5〜20倍量の有機溶媒を用いて、吸水性ポリマーを溶解することができる。
触媒添加工程は、前記吸水性ポリマーを溶解した有機溶媒に、白金、パラジウム、ロジウムから選択される少なくとも一つの触媒を添加する工程である。触媒としては、例えば白金、パラジウム、ロジウムを単独で担持したカーボン粉末や、これらを組み合わせて担持したカーボン粉末等を使用することができる。触媒の添加量は、吸水性ポリマーに保持させる触媒量に応じて変えることができる。例えば、触媒と吸水性ポリマーの質量比が2:1〜10:1となるように、有機溶媒へ触媒を添加することができる。触媒を添加した後の有機溶媒は、超音波で撹拌および分散を行うことにより、吸水性ポリマーおよび触媒を均一に分散することができる。
塗布工程は、前記触媒を添加した有機溶媒を、基材に塗布する工程である。基材としては、カーボンクロス、カーボン不織布、カーボンペーパー、多孔質アルミニウム、多孔質ニッケルを用いることができる。基材への塗布は、特に限定されないが、例えば、前記有機溶媒を基材に滴下した後にブレードにて塗布するドクターブレード法により行うことができる。基材への塗布量は、基材に保持させる吸水性ポリマー量や触媒量に応じて変えることができる。例えば、塗布量は1g/cm〜10g/cmとすることができる。
乾燥工程は、前記塗布工程後、前記基材を乾燥する工程である。リチウムイオンを含む溶液を添加する前の準備工程である。乾燥条件としては、有機溶媒が揮発する条件であればよく、例えば、減圧下で100℃、2時間乾燥する条件とすることができる。
リチウムイオン含有溶液添加工程は、前記乾燥工程後の基材に、リチウムイオンを含む溶液を添加する工程である。電解質として、例えば塩化リチウムの電解液を塗布する。基材への塗布は、特に限定されないが、例えば滴下することにより行うことができる。基材への塗布量は、基材に保持させるリチウムイオン量に応じて変えることができる。例えば、塗布量は1g/cm〜10g/cmとすることができる。
本発明のリチウム空気電池の複合正極の製造方法は、バインダを添加しないことが好ましい。バインダは、結着剤として用いられるところ、本発明の複合正極では、基材が吸水性ポリマーを保持するため、バインダを用いることなく水溶液系電解質を保持することができる。一方で、バインダは、電池性能に寄与しないのみならず、リチウム空気電池の重量や製造コストを増加させてしまう。
次に、本発明のリチウム空気電池について説明する。本発明のリチウム空気電池は、本発明の複合正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、前記複合正極と前記負極との間に介在する固体電解質を少なくとも備えるリチウム空気電池である。
本発明のリチウム空気電池において、負極は、金属リチウム、LiSiO、LiSn、LiSn、LiSn、LiSOO、Mg−9%Li、LiAlH、LiBHまたはLiCのいずれかとすることができる。これらのリチウム化合物であれば、下記式(2)の反応を起こすことが可能であり、負極とすることができる。
Figure 0006187868
また、本発明のリチウム空気電池において、固体電解質は、Liのみを負極から正極へ選択的に通過する役割を果たす。例えば、ガラスセラミックスのLTAP(Li1+x+yTi2−xAl3−ySi12)を用いることができる。
本発明のリチウム空気電池は、複合正極、負極、および固体電解質のほか、有機電解質を備えることができる。有機電解質は、負極と固体電解質との間に介在して負極のリチウムから溶け出たリチウムイオン(Li)の通り道となる役割を果たす。例えば高分子から構成されるドライポリマー電解質が挙げられる。
本発明のリチウム空気電池において、前記複合正極は、前記固体電界質と接触している。従来のリチウム空気電池では、正極と負極とを隔離する水系電解質層を設けているところ、本発明では、電気的に絶縁な固体電解質を正極と負極との隔離層として使用する。すなわち、固体電解質を複合正極と接触させることにより、電極間距離を縮めることが可能となり、内部抵抗を低下させることができる。
以下、本発明の複合正極、およびリチウム空気電池について、その実施の形態を、図面を参照して説明する。この場合において、本発明は図面の実施形態に限定されるものではない。
図2は、従来のリチウム空気電池101の断面模式図である。酸素を正極活物質とする複合正極102と、リチウムを負極活物質とする負極103と、複合正極102と負極103との間に介在する水溶液系電解質104を備える。有機電解質105は、負極103と固体電解質106との間に介在し、固体電解質106は、有機電解質105と水系電解液104との間に介在する。
複合正極102は、例えばカーボンクロスに、ポリフッ化ビニリデンをバインダとして白金坦持カーボンを付着させたものを用いることができる。また、水溶液系電解質104は、例えばポリビニルアルコールをバインダとして吸水性ポリマーを固定し、水酸化リチウムの精製水溶液を吸水性ポリマーに吸水させたものを用いることができる。
下記式(2)に示す反応のように、負極103のリチウムは、有機電解質105に溶解してLiとなり、電子eは負極集電体107、導線108および正極集電体109を通って複合正極102へ供給される。溶解したLiは、固体電解質106を通過して水系電解液104に移動する。
Figure 0006187868
下記式(1)に示す反応のように、空気中の酸素と水系電解液104中の水、および負極103から供給された電子eが反応して、水酸化物イオン(OH)が生成する。このOHと、負極から移動したLiが反応して、水酸化リチウム(LiOH)となる。
Figure 0006187868
図1は、本発明のリチウム空気電池1の断面模式図である。酸素を正極活物質とする複合正極2と、リチウムを負極活物質とする負極3と、複合正極2と負極3との間に介在する固体電解質6を備える。有機電解質5は、負極3と固体電解質6との間に介在する。複合正極2は、固体電解質6と接触している。
ここで、複合正極2は、多孔質かつ導電性を備える基材と、当該基材に保持された吸水性ポリマーと、当該吸水性ポリマーに保持された水溶液系電解質とを備える。すなわち、複合正極2は、正極であると共に、水溶液系電解質としての役割を果たすため、水溶液系電解質を単独で設ける必要がなく、リチウム空気電池の小型化、および軽量化を達成することができる。
複合正極2は、例えば水酸化リチウムの精製水溶液を吸水させると共に、白金坦持カーボンを保持する吸水性ポリマーを保持するカーボンクロスを用いることができる。吸水性ポリマーは、水酸化リチウムの精製水溶液を吸水することにより、水溶液系電解質としての機能を発揮する。また、吸水性ポリマーは、カーボンクロスに白金坦持カーボンを付着させるバインダとしての機能を示す。
本発明のリチウム空気電池1では、負極3のリチウムは、有機電解質5に溶解してLiとなり、電子eは負極集電体7、導線8および正極集電体9を通って複合正極2へ供給される。溶解したLiは、固体電解質6を通過して複合正極2に移動する。
また、空気中の酸素と複合正極2中の水、および負極3から供給された電子eが反応して、水酸化物イオン(OH)が生成する。このOHと、負極から移動したLiが反応して、水酸化リチウム(LiOH)となる。
以上説明したように、本発明のリチウム空気電池の複合正極によれば、リチウム空気電池の軽量化、起電力および放電電力の向上が可能となる。
以下、実施例等を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[複合正極の作成]
ポリアクリル酸ナトリウム(住友精化(株)製 アクアコークTWB−P)20mgと、白金坦持カーボン(田中貴金属販売株式会社製 TEC10E50E)80mgを計り取り、1mLのアセトニトリルを添加して混合溶媒を調製した。混合溶媒を超音波で1時間撹拌および分散を行った後、ドクターブレード法によりカーボンクロス(エレムトロケム社製EC−CC1−060 厚さ約230μm、密度0.48g/cm、比表面積0.023m)に混合溶媒を3g/cm塗布した。その後、100℃、減圧下で2時間乾燥し、得られた電極に、電解液を電極に対して1g/cmとなるように0.1mL添加した。電解液としては、塩化リチウム84.78gと精製水1Lを混合して得られた2M(mol/L)の混合溶液を使用した。これらの工程を経て、複合正極Aを作成した。
[複合負極の作製]
ガラスセラミックスであるLTAPを固体電解質とし、LTAPと同じ面積のガラス板(絶縁体)を向かい合わせそれぞれの側にガスケットを用いて中空となるような空間を設けた。その空間に、Ar雰囲気下のグローブボックス中にて、銅集電体上にリチウム金属を有する負極およびガラスセラミックスとリチウム金属を隔てるセルロースセパレータを配置した後、有機電解液でその空間を満たし、外周部をエポキシ系の接着剤にて密閉し、複合負極を作製した。この複合負極は、金属リチウムが厚さ200μm、面積2cmで容量が84mAh相当となる。
[リチウム空気電池の製造]
複合正極Aを固体電解質に接触させ、複合負極と合わせることにより、図1に示す実施例1のリチウム空気電池を製造した。
[比較例1]
[複合正極の作成]
カーボン粉末(平均粒子径50μm)に白金粉末(平均粒子径3nm)が45.8質量%担持した金属触媒(田中貴金属販売株式会社製 TEC10E50E)80mg、およびポリフッ化ビニリデン(和光純薬工業株式会社)20mgをビーカーに測り取り、混合して混合粉末とした。この混合粉末にN−メチルピロリドン1.5mlを加え、超音波洗浄機(アズワン製)により35KHzの超音波振動を常温で30分加え、触媒ペーストを得た。このペーストを、カーボンクロスの上に四角の型枠を置いてカーボンクロス上に流し込むことにより、厚さが200〜400μmで均等となるようにペーストをカーボンクロスに塗布した。その後、ペーストを塗布したカーボンクロスを90℃で1時間真空乾燥させた。これらの工程を経て、複合正極Bを作成した。
[水溶液系電解質の作製]
精製水100mlに塩化リチウム8.48gを溶解して水溶液系電解質を作製した。
[リチウム空気電池の製造]
複合負極は実施例と同様のものを用い、複合正極Bおよび上記水溶液系電解質を使用して複合負極の固体電解質上に複合正極Bを載せた。この工程を経て、図2に示す比較例1のリチウム空気電池を製造した。
[放電特性の評価]
外部直流電源装置を使用し、2mA/cmの条件により、実施例1、および比較例1のリチウム空気電池を定電流放電することにより、放電特性を評価した。結果を図3に示す。
図3では、実施例1の結果を、Aを付した実線、比較例1の結果をBで付した点線で示す。図3の結果より、実施例1のリチウム空気電池は、比較例1と比べて、放電時間が4倍以上長くなった。
[電圧特性の評価]
実施例1、および比較例1のリチウム空気電池の無負荷の状態の電圧を測定し、その後、4mA/cmの条件により定電流放電し、放電特性を評価した。結果を図4に示す。
図4では、図3と同様に、実施例1の結果を、Aを付した実線、比較例1の結果をBで付した点線で示す。EMFは起電力の結果であり、Vは放電時の電圧の結果である。EMFおよびVの結果は、図4に併記している。図4の結果より、実施例1のリチウム空気電池は、比較例1と比べて、起電力や放電時の電圧が上昇することがわかった。
以上の結果から、本発明の複合正極を用いたリチウム空気電池は、放電時間を長くすることが可能であり、また、起電力や放電時の電圧も上昇させることが可能であることがわかった。
本発明によれば、リチウム空気電池の軽量化、起電力および放電電力の向上を可能とする複合正極を提供することができるため、産業上有用である。
1 リチウム空気電池
2 複合正極
3 負極
5 有機電解質
6 固体電解質
7 負極集電体
8 導線
9 正極集電体
101 リチウム空気電池
102 複合正極
103 負極
104 水溶液系電解質
105 有機電解質
106 固体電解質
107 負極集電体
108 導線
109 正極集電体

Claims (8)

  1. 酸素を正極活物質とする複合正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、前記複合正極と前記負極との間に介在する固体電解質を少なくとも備えたリチウム空気電池に用いる複合正極であって、
    前記複合正極は、多孔質かつ導電性を備える基材と、当該基材に保持された吸水性ポリマーと、当該吸水性ポリマーに保持された水溶液系電解質からなり、水溶液系電解質を単独で設けることなく、正極であると共に、水溶液系電解質としての役割を果たす、リチウム空気電池の複合正極。
  2. 前記複合正極は、リチウムイオンを含む請求項1に記載のリチウム空気電池の複合正極。
  3. 前記複合正極は、疎水性であり、基材に触媒を担持させる結着剤としてのバインダを含まない請求項1又は2に記載のリチウム空気電池の複合正極。
  4. 前記複合正極は、白金、パラジウム、ロジウムから選択される少なくとも一つの触媒を含む請求項1乃至3のいずれかに記載のリチウム空気電池の複合正極。
  5. 前記基材は、カーボンクロス、カーボン不織布、カーボンペーパー、多孔質アルミニウム、および多孔質ニッケルから選択される少なくとも一つを含む請求項1乃至のいずれかに記載のリチウム空気電池の複合正極。
  6. 吸水性ポリマーを有機溶媒に溶解する溶解工程と、
    前記吸水性ポリマーを溶解した有機溶媒に、白金、パラジウム、ロジウムから選択される少なくとも一つの触媒を添加する触媒添加工程と、
    前記触媒を添加した有機溶媒を、基材に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程後、前記基材を乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥工程後の基材に、リチウムイオンを含む溶液を添加するリチウムイオン含有溶液添加工程と
    を少なくとも含むリチウム空気電池の複合正極の製造方法。
  7. バインダを添加しない請求項6に記載のリチウム空気電池の複合正極の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合正極と、リチウムを負極活物質とする負極と、前記複合正極と前記負極との間に介在する固体電解質を少なくとも備えるリチウム空気電池であって、
    前記複合正極は、前記固体電解質と接触しているリチウム空気電池。
JP2013230335A 2013-11-06 2013-11-06 リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池 Active JP6187868B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013230335A JP6187868B2 (ja) 2013-11-06 2013-11-06 リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013230335A JP6187868B2 (ja) 2013-11-06 2013-11-06 リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015090801A JP2015090801A (ja) 2015-05-11
JP6187868B2 true JP6187868B2 (ja) 2017-08-30

Family

ID=53194229

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013230335A Active JP6187868B2 (ja) 2013-11-06 2013-11-06 リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6187868B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107689453B (zh) * 2017-08-22 2021-12-10 哈尔滨工业大学 双层复合结构陶瓷、该陶瓷的制备方法、自吸附式锂空气电池及该电池的制备方法
CN114695901A (zh) * 2020-12-31 2022-07-01 北京卫蓝新能源科技有限公司 一种锂空气电池凝胶空气正极、制备方法及锂空气电池
CN113130920A (zh) * 2021-03-18 2021-07-16 天津工业大学 一体化复合氧电极及制备方法与应用
CN114552074A (zh) * 2022-03-04 2022-05-27 哈尔滨工业大学 一种可室温运行的聚合物基固态可再充电金属-空气电池

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005026143A (ja) * 2003-07-04 2005-01-27 Toshiba Battery Co Ltd 空気電池
JP2008041406A (ja) * 2006-08-04 2008-02-21 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池及びその製造方法
JP5453059B2 (ja) * 2009-11-10 2014-03-26 株式会社オハラ リチウム空気電池
JP2011243364A (ja) * 2010-05-17 2011-12-01 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 亜鉛空気電池および亜鉛空気電池作製方法
JP5829496B2 (ja) * 2011-11-17 2015-12-09 株式会社日本触媒 電極用触媒、及び、電極用触媒含有組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015090801A (ja) 2015-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108520985B (zh) 一种提高锌电池循环寿命的方法及其应用
KR101365980B1 (ko) 리튬 공기 전지
KR101945968B1 (ko) 고용량 고체상 복합물 양극, 고체상 복합물 분리막, 재충전가능한 고체상 리튬 전지 및 이의 제조 방법
CN103904291B (zh) 水系锂离子电池电极及其制备方法、水系锂离子电池
Pan et al. Double-sided conductive separators for lithium-metal batteries
JP6436444B2 (ja) 亜鉛−空気二次電池の空気極用触媒、ブラウンミラーライト型遷移金属酸化物の亜鉛−空気二次電池の空気極用触媒としての使用、亜鉛−空気二次電池用空気極、亜鉛−空気二次電池、電解用の電極触媒、電解用電極及び電解方法
KR20170110583A (ko) 전극 및 전기화학 디바이스와 전극 및 전기화학 디바이스를 제조하는 방법
CN108028392B (zh) 具有部分引入金属催化剂的副反应阻止层的锂-空气电池的正极、具有所述正极的锂-空气电池及其制造方法
JPWO2014007188A1 (ja) リチウムイオンキャパシタ
JP6187868B2 (ja) リチウム空気電池の複合正極およびその製造方法並びにリチウム空気電池
KR102098065B1 (ko) 삼차원구조 전극, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 전지
CN103858195A (zh) 锂离子电容器、蓄电装置、蓄电系统
JP5373355B2 (ja) 全固体型ポリマー電池用正極、その製造方法および全固体型ポリマー電池
CN104659332A (zh) 一种高倍率磷酸铁锂电池正极及其制造方法
EP3171436A1 (en) Lithium air battery and method for manufacturing same
JPH11224664A (ja) 高耐湿性、高安全性リチウムイオン二次電池
CN113451566A (zh) 一种复合包覆正极材料及其制备方法与应用
CN114784247A (zh) 电池正极材料及其制造方法
CN106450434A (zh) 一种高电压高能量密度的锂离子电池
JP2015053136A (ja) リチウム空気電池および正極複合体
NL2024177B1 (en) Solid ionic conductive additive in electrodes for lithium-ion batteries using liquid electrolyte
JP5739831B2 (ja) 空気電池用材料及びこれを用いた全固体空気電池
CN108808081B (zh) 一种锂二次电池用杂交电解质及其制备方法和锂二次电池
Chen et al. Tuning the structures and conductivity of nanoporous TiO2―TiO films through anodizing electrolytes as LIB anodes with ultra-high capacity and excellent cycling performance
KR20140039755A (ko) 리튬공기전지 양극용 복합산화물 촉매, 이를 포함한 리튬공기전지용 양극 및 리튬공기전지

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170707

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170720

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6187868

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151