JP2011243364A - 亜鉛空気電池および亜鉛空気電池作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極として用いる空気極1と亜鉛を主体とする亜鉛極からなる負極3との間に、電解液を吸収させた固体状の吸水性ポリマーを電解質2として配置する。電解質2は、架橋型ポリアクリル酸カリウムまたは架橋型ポリアクリル酸ナトリウムまたはデンプンとポリアクリル酸との化合物またはメタクリル酸メチルと酢酸ビニルとの共重合体のいずれかからなる吸水性ポリマーに、アルカリ電解液を、または、アルカリ電解液に酸化亜鉛を飽和するまで溶解した溶液を吸収させて作製される。アルカリ電解液の濃度は6−8mol/lの範囲内に設定することが望ましい。また、電解質2の厚さは0.5−1mmの範囲内に設定することが望ましい。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴について、その概要をまず説明する。本発明は、カーボンを主体とする空気極を正極とし、亜鉛を主体として用いた亜鉛極を負極とし、前記正極と前記負極の間に電解質を配置した亜鉛空気電池であって、前記電解質として、電解液を吸収させた固体状の吸水性ポリマーを用いることを主要な特徴としている。而して、電解液の漏液を防止することができる安全で、かつ、高エネルギー密度の二次電池としての動作が可能な亜鉛空気電池を実現することができる。
次に、本発明に係る亜鉛空気電池の実施形態として、亜鉛空気電池の構成例について説明する。亜鉛空気電池における正極として用いられ、正極活物質である酸素の電気化学的還元反応が進行する空気極は、触媒粉末、カーボン粉末とポリテトラフルオロエチレン(PTFE:Polytetrafluoroethylene)のようなバインダー粉末との混合物をチタンメッシュ等の支持体上に圧着成形する、あるいは、前述の混合物を有機溶剤等の溶媒中に分散してスラリー状にして金属メッシュ上に塗布した後乾燥させる、等の作製工程によって形成される。
次に、図1(b)に示す亜鉛空気電池の空気極、負極および電解質の構成材料についてその一例を説明する。
なお、空気極の充電時の電極反応は、化学式(1)の逆反応であり、酸素が発生する。
Zn(OH)4 2−→ZnO+H2O+2OH− ・・・(3)
つまり、亜鉛の放電反応は、Znが溶存イオンであるZn(OH)4 2−を介してZnOとなる反応である。化学式(3)は、比較的速度が遅い反応であり、電解液中にZn(OH)4 2−が存在する時間は比較的長いものとみなすことができる。
次に、以下に添付図面を参照して、本発明に係る亜鉛空気電池についての具体的な実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することができることは言うまでもない。
空気極の構成材料である酸化物触媒粉末、ケッチェンブラック(カーボン)粉末、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン)を50:30:20の重量比で粉砕・混合した後、ロール成形し、シート状電極を作製した。作製したシート状電極をチタンメッシュ状の支持体上にプレスすることにより、空気極を得た。
前記酸化物触媒粉末は、遷移金属型酸化物であるペロブスカイト型酸化物La0.6Ca0.4CoO3を合成した。すなわち、同酸化物は、La、Ca、Coがモル比で6:4:10になるように調製した金属硝酸塩混合水溶液に、リンゴ酸水溶液を混合し、攪拌しながら蒸発乾固を行うことによって得られるものであり、該酸化物を粉砕した後、さらに、空気中において650℃で5時間の焼成を行うことにより合成した。得られた焼成後の酸化物触媒粉末は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)測定によりペロブスカイト単相であることを確認した。
吸水性ポリマーである市販の架橋型ポリアクリル酸カリウムに、8mol/lのKOH水溶液を混合し、一晩に亘るエージング処理を行った。しかる後、該混合物は、真空減圧下でガス抜き処理を行った。さらに、ロールプレスにより膜厚調節を行い、0.6mm厚の電解質を作製した。
前述のような作製方法によって作製した空気極、触媒、電解質を用いて、コイン型の亜鉛空気電池を作製した。図2は、本発明に係る亜鉛空気電池の断面構造を示す概略図であり、本実施例1として示した作製方法によって作製した空気極、触媒、電解質を用いて、作製したコイン型の亜鉛空気電池を一例として示している。
前記電池作製法を用いて作製したコイン型亜鉛空気電池を、充放電電流2.0mAで、放電終止電圧0.8V、充電終止電圧2.2Vの条件下において、放電試験を行った。なお、充放電試験は、通常の生活環境下で行なった。
図3に、前記充放電試験の条件下により充放電試験を行った際の、本実施例1において作製したコイン型亜鉛空気電池の放電曲線を示す。図3に示すように、1.3Vの亜鉛空気電池に特有な非常に平坦な電圧領域を確認することができ、放電容量として1,020mAhを得ることができた。
本実施例2においては、8mol/lのKOH水溶液に、大量の市販試薬のZnO粉末を投入し、24時間に亘って激しい攪拌を行った。攪拌終了後に、未溶解のZnO粉末が残っていることを確認し、残存しているZnO粉末を吸引濾過によって回収し、ZnO飽和アルカリ電解液として分離した。
本実施例2における亜鉛空気電池のサイクル試験の結果を、図4の黒丸印にて示している。
前述の実施例1における亜鉛空気電池の特性と比較するために、比較例1として、実施例1の電解質の代わりに、液状のアルカリ電解液を用いた場合の従来の亜鉛空気電池の特性について測定を行なった。
図2の場合と同様のコイン型の亜鉛空気電池として、実施例1の電解質の代わりに用いる、比較例1における亜鉛空気電池のアルカリ電解液としては、8mol/lのKOH水溶液を用いた。さらに、空気極1と負極3との間に、すなわち、図2のコイン型の亜鉛空気電池の場合の電解質2の領域内に相当する位置に、空気極1と負極3とを分離するためのポリプロピレン製の微孔性セパレータを配置した。
本比較例1における亜鉛空気電池のサイクル試験の結果を、図4の白抜きの四角印にて示している。
次に、前述の実施例2における亜鉛空気電池の特性と比較するために、比較例2として、液状のアルカリ電解液にZnO(酸化亜鉛)を飽和するまで溶解させた液状のアルカリ電解液を用いた場合の電池特性について測定を行なった。
本比較例2における亜鉛空気電池のアルカリ電解液としては、比較例1の場合と同様、8mol/lのKOH水溶液を用い、さらに、実施例2の場合と同様、該KOH水溶液に大量の市販試薬のZnO粉末を投入し、24時間に及ぶ激しい攪拌を行った。攪拌終了後に、未溶解のZnO粉末が残っていることを確認し、残存しているZnO粉末を吸引濾過によって回収し、ZnO飽和アルカリ電解液を作製した。
本比較例2における亜鉛空気電池のサイクル試験の結果を、図4の黒四角印にて示している。
Claims (10)
- 空気極を正極として用い、亜鉛を主体とする亜鉛極を負極として用いる亜鉛空気電池であって、前記空気極と前記負極との間に、電解液を吸収させた固体状の吸水性ポリマーを電解質として用いることを特徴とする亜鉛空気電池。
- 請求項1に記載の亜鉛空気電池において、前記電解質が、架橋型ポリアクリル酸カリウムまたは架橋型ポリアクリル酸ナトリウムまたはデンプンとポリアクリル酸との化合物またはメタクリル酸メチルと酢酸ビニルとの共重合体のいずれかからなる前記吸水性ポリマーにアルカリ電解液を吸収させて作製されることを特徴とする亜鉛空気電池。
- 請求項1に記載の亜鉛空気電池において、前記電解質が、架橋型ポリアクリル酸カリウムまたは架橋型ポリアクリル酸ナトリウムまたはデンプンとポリアクリル酸との化合物またはメタクリル酸メチルと酢酸ビニルとの共重合体のいずれかからなる前記吸水性ポリマーに、アルカリ電解液に酸化亜鉛を飽和するまで溶解した溶液を吸収させて作製されることを特徴とする亜鉛空気電池。
- 空気極を正極として用い、亜鉛を主体とする亜鉛極を負極として用いる亜鉛空気電池を作製する亜鉛空気電池作製方法であって、前記空気極と前記負極との間に、電解液を吸収させた固体状の吸水性ポリマーを電解質として用いて前記亜鉛空気電池を作製することを特徴とする亜鉛空気電池作製方法。
- 請求項4に記載の亜鉛空気電池作製方法において、前記電解質を、架橋型ポリアクリル酸カリウムまたは架橋型ポリアクリル酸ナトリウムまたはデンプンとポリアクリル酸との化合物またはメタクリル酸メチルと酢酸ビニルとの共重合体のいずれかからなる前記吸水性ポリマーにアルカリ電解液を吸収させて作製することを特徴とする亜鉛空気電池作製方法。
- 請求項4に記載の亜鉛空気電池作製方法において、前記電解質を、架橋型ポリアクリル酸カリウムまたは架橋型ポリアクリル酸ナトリウムまたはデンプンとポリアクリル酸との化合物またはメタクリル酸メチルと酢酸ビニルとの共重合体のいずれかからなる前記吸水性ポリマーに、アルカリ電解液に酸化亜鉛を飽和するまで溶解した溶液を吸収させて作製することを特徴とする亜鉛空気電池作製方法。
- 請求項5または6に記載の亜鉛空気電池作製方法において、前記アルカリ電解液の濃度を、6−8mol/lの範囲内に設定することを特徴とする亜鉛空気電池作製方法。
- 請求項4ないし7のいずれかに記載の亜鉛空気電池作製方法において、前記電解質の厚さを、0.5−1mmの範囲内に設定することを特徴とする亜鉛空気電池作製方法。
- 請求項4ないし8のいずれかに記載の亜鉛空気電池作製方法において、前記空気極を、カーボン粉末とバインダー粉末と触媒粉末との混合物を支持体上に圧着成形するか、あるいは、前記混合物を溶媒中に分散してスラリー状にして金属メッシュ上に塗布して乾燥することによって作製することを特徴とする亜鉛空気電池作製方法。
- 請求項9に記載の亜鉛空気電池作製方法において、前記触媒粉末として、貴金属または遷移金属系酸化物または遷移金属系大環状化合物のいずれかの粉末を用いることを特徴とする亜鉛空気電池作製方法。
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