JP6616565B2 - アニオン伝導性材料 - Google Patents
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Description
また、上記特許文献2に記載の電解質材料は、亜鉛酸イオンの透過を抑制する効果が低いものであった。
しかしながら、亜鉛極を使用する電池は、アルカリ水溶液で構成される安全性、及び、レアメタルを用いずに電極を形成することが可能であるという元素戦略的な確固たる優位性を有しており、また、充放電サイクルを繰り返した後もデンドライトやシェイプチェンジによる電極劣化を充分に抑制することができれば、上述した安全性及び優位性を有するニッケル・亜鉛電池や空気・亜鉛電池等を広く普及させることができる可能性がある。なお、デンドライトやシェイプチェンジに関する課題は、電極として亜鉛負極以外の電極を用いる電池も有する。
亜鉛酸イオンの透過を高度に抑制できる原因としては、以下の(1)〜(3)が考えられる:(1)ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物が亜鉛酸イオンと相互作用し、亜鉛酸イオンの拡散を抑制する;(2)ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物が金属水酸化物の粒界に存在し、亜鉛酸イオンの拡散を抑制する;(3)添加物を加えることで、例えばポリマーとの混練性が向上すること等により、緻密な膜を形成する。
なお、本発明者らは、このようなアニオン伝導性材料が電池反応に関与する水酸化物イオン等のアニオンは充分に透過することができることを既に見出している。このようなアニオン伝導性材料を用いることで良好な電池反応を維持しながら上記効果を発揮できる。
また本発明は、本発明のアニオン伝導性材料と、活物質を含む活物質層と、集電体とを含んで構成される電極であって、上記活物質及び/又は上記活物質層が該アニオン伝導性材料によって覆われている電極でもある。
更に本発明は、本発明の電極、電解質、及び、セパレーターを用いて構成される電池でもある。
そして本発明は、集電体と、活物質を含む電極合剤組成物とを含んで構成される電極前駆体であって、上記電極前駆体は、混合物を更に含んで構成され、上記混合物は、金属水酸化物と、ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物とを含み、上記化合物は、酸化物、水酸化物、硫酸化合物、及び、リン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であり、上記電極合剤組成物が該混合物によって覆われている電極前駆体でもある。なお、上記混合物は、アニオン伝導性材料を形成するためのものであり、粉体、ペースト、スラリー混合物の形態であることが好ましい。
なお、本明細書中、金属水酸化物と、ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とは、異なるものである。なお、ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する水酸化物を1種のみ含み、その他の金属水酸化物を含まないアニオン伝導性材料は、本発明に係る金属水酸化物を含まないことになる。
なお、以下において記載される本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
本発明のアニオン伝導性材料は、電極の活物質及び/又は活物質層を覆うのに用いられるものである。「電極の活物質及び/又は活物質層を覆う」ことに関しては、後述する<本発明の電極>にて詳しく説明する。
(特表2014−503689号公報、特開2013−145758号公報、特開2013−091598号公報、特開2014−011000号公報、特開2013−211201号公報、国際公開第2011/070658号、特開2011−255302号公報、特開2010−215744号公報、特表2009−529222号公報、特開2010−049871号公報、特開2009−108395号公報、特表2007−507704号公報、特開2007−091582号公報、特開2007−273280号公報、特表2006−505099号公報、特表2003−528019号公報、特表2003−531711号公報、特開2002−226498号公報)
上記ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物(無機物)は、ランタノイド、Ti、Zr、及び、Hfからなる群より選択される少なくとも1つの元素を含有する単体及び/又は化合物であることが好ましい。中でも、ランタノイド、Ti、及び、Zrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する単体及び/又は化合物がより好ましく、ランタン、Ti、及び、Zrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含有する単体及び/又は化合物が更に好ましい。
上記リン酸化合物は、例えばリン酸ジルコニウムが好ましい。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置により測定することができる。
なお、比表面積が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をナノ粒子化したり、粒子製造の際の調製条件を選択することにより粒子表面に凹凸をつけたりすることにより製造することが可能である。
上記アスペクト比(縦/横)は、SEMにより観察した粒子の形状から求めることができる。例えば、上記無機物の粒子が直方体状の場合は、最も長い辺を縦、2番目に長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。その他の形状の場合には、アスペクト比が最も大きくなるように、ある一つの部分を底面に置き、それをアスペクト比が最も大きくなるような方向から投影した時にできる二次元の形において、ある一点から最も離れた一点の長さを測定し、その最も長い辺を縦、縦の中心点を通る直線のうち最も長い辺を横として、縦の長さを横の長さで除することにより求めることができる。
なお、アスペクト比(縦/横)が上述のような範囲の無機物の粒子は、例えば、そのようなアスペクト比を有する粒子を選択する方法や、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、該粒子を選択的に得る方法等により得ることが可能である。
上記金属水酸化物は、Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu、Al、Fe、及び、Mnから選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むことが好ましく、Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、及び、Cuから選ばれる少なくとも1種の金属元素と、Al、Fe、及び、Mnから選ばれる少なくとも1種の金属元素とを含むことがより好ましい。
また上記金属水酸化物は、例えば複水酸化物が好ましく、層状複水酸化物がより好ましい。
ハイドロタルサイト等の層状複水酸化物は、層間にて水酸化物イオンが拡散している。これにより、水酸化物イオン伝導性を有する。したがって、層状複水酸化物を含む膜は、通常、水酸化物イオンを透過することができる。なお、特願2014−015740号に記載したように、活物質及び/又は活物質層をアニオン伝導性材料で覆った電極を備える電池において亜鉛活物質の充放電が進行しており、この事実からも層状複水酸化物等を含む膜が水酸化物イオン伝導性を有することが分かる。
上記ハイドロタルサイトは、下記式(1);
[M1 1−xM2 x(OH)2](An−)x/n・mH2O (1)
(式中、M1=Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cu等;M2=Al、Fe、Mn等;A=CO3 2−等、mは0以上の正数、nは2又は3、xは、0.20≦x≦0.40程度)で示される化合物であることが好ましい。この化合物を、150℃〜900℃で焼成することにより脱水した化合物や、層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物等を上記無機物として使用してもよい。上記ハイドロタルサイトには、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。層間内に有機物を有していてもよい。
上記金属水酸化物の平均粒子径は、上記した無機物の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
上記金属水酸化物と上記無機物との質量割合を上記範囲内とすることにより、本発明のZn(OH)4 2−等の金属イオンの拡散を防止する効果を顕著に発揮できる。また、アニオン伝導性材料のクラックを生じにくくする効果も発揮できる。
なお、本明細書中、無機物(単体及び/又は化合物)の質量とは、本発明のアニオン伝導性材料が上記単体と上記化合物とを両方含む場合は該単体と該化合物との合計質量を言い、本発明のアニオン伝導性材料が該単体又は該化合物のいずれか一方のみを含む場合は該単体又は該化合物の質量を言う。
本発明のアニオン伝導性材料は、更にポリマーを含むことが好ましい。これにより、上記無機物及び金属水酸化物をアニオン伝導性材料中に充分に結着することができる。また、アニオン伝導性材料の強度、アニオン伝導度等を適切に調節することができる。
上記ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー;ポリスチレン等の芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等のエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリ(α−ヒドロキシメチルアクリル酸塩)等の水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、N−置換ポリアクリルアミド等のアミド基含有ポリマー;ポリマレイミド等のイミド基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリメチレングルタル酸等のカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩等のカルボン酸塩基含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン原子含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;AR1R2R3B(Aは、N又はPを表す。Bは、ハロゲンアニオンやOH−等のアニオンを表す。R1、R2、R3は、同一又は異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボキシル基、又は、芳香環基を表す。R1、R2、R3は、結合して環構造を形成してもよい。)で表される基が結合したポリマーに代表される第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等に代表される人工ゴム;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等の糖類;ポリエチレンイミン等のアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤等が挙げられる。中でも、上記ポリマーは、芳香族基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボン酸塩基、水酸基、アミノ基、及び、エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有するか、又は、炭化水素であることが好ましい。該ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。また、該カルボン酸塩基は、カルボン酸リチウム塩基、カルボン酸ナトリウム塩基、カルボン酸カリウム塩基が好ましく、カルボン酸ナトリウム塩基がより好ましい。該炭化水素は、例えばポリオレフィンが挙げられる。中でも、上記ポリマーは、(1)絶縁物であること、(2)アニオン伝導性材料の粉末を増粘・結着させることができること、(3)物理的強度に優れることの3点を総合的に考慮して適宜選択することが好ましく、このような観点からは、炭化水素部位含有ポリマー、芳香族基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマー、カルボン酸塩基含有ポリマー、ハロゲン原子含有ポリマー、スルホン酸塩部位含有ポリマー、第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー、糖類が好ましい。上記ポリマーは熱や圧力等により繊維化された状態になってもよい。ポリマーの繊維化により、活物質(層)やアニオン伝導性材料の強度、アニオン伝導度等を調節することもできる。
上記ポリマーは、上記無機物以外の有機架橋剤化合物により、架橋されていてもよい。ただし、架橋されたポリマーが吸水性を有する場合、アニオン伝導性材料にクラックを生じることがあるため、架橋されたポリマーは吸水性を持たない方がよい。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記その他の成分は、特に限定されないが、例えば、粘土化合物;固溶体;合金;ゼオライト;ハロゲン化物;カルボキシラート化合物;炭酸化合物;炭酸水素化合物;硝酸化合物;スルホン酸化合物;亜リン化合物;次亜リン酸化合物、ホウ酸化合物;ケイ酸化合物;アルミン酸化合物;硫化物;オニウム化合物;塩;有機化合物等を1種又は2種以上含んでいてもよい。上記その他の成分は、上記無機物や、上記金属水酸化物、上記ポリマーとは異なるものである。上記その他の成分は、イオン伝導性を補助したり、溶媒・熱・焼成・電気等の手法を用いて除去されることによって後述するアニオン伝導性材料中の空孔を形成したりする等の働きを有していてもよい。
上記その他の成分の平均粒子径は、上記した無機物の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
本発明の電極は、集電体と、活物質を含む活物質層とを含んで構成され、更に、アニオン伝導性材料を含んで構成される。活物質及び/又は該活物質層は、本発明のアニオン伝導性材料によって覆われている。
なお、本発明の電極を用いて電池を形成したとき、活物質と電解質とがアニオン伝導性材料を介して作用するため、該電池は電池としての電気化学反応を生じることができる。
上記活物質がアニオン伝導性材料によって覆われているとは、アニオン伝導性材料が活物質層を構成する活物質毎に覆うことを言い、活物質がアニオン伝導性材料によって覆われている活物質層は、例えば、活物質層を形成するための活物質を予めアニオン伝導性材料で覆い、その後、アニオン伝導性材料で覆われた活物質を用いて層形状となるように形成される。ここで、上記活物質は、活物質だけでアニオン伝導性材料に覆われていてもよく、活物質と、導電助剤やその他の添加剤等の活物質以外の活物質層構成材料とを含むものがアニオン伝導性材料に覆われていてもよい。
保護部材は、例えば、イオンを通過させないイオン非伝導性の材料から構成されたものとすることができる。例えば、電池を構成した場合に、アニオン伝導性材料は、電池反応で電流が通過する活物質面を覆い、保護部材は、該電池反応で電流が通過しない活物質面を覆うものとすることができる。
なお、「電池反応で電流が通過する活物質面」とは、電池反応において電池の正極から負極に向かって電流が通過する際に、電流が通過する活物質面を言う。「電池反応で電流が通過しない面」とは、電池反応において電池の正極から負極に向かって電流が通過する際に、電流が実質的に通過しない面を言う。
アニオン伝導性材料の厚さは、マイクロメーター等での測定や、該電極を鋭利な器具で切断した断面を電子顕微鏡で観察し計測することができる。
上記活物質粒子の形状は、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。活物質粒子は、一次粒子だけでなく、一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。
本発明の電極の厚さは、マイクロメーター、段差計や輪郭形状測定器等により測定することができる。
本発明に係る活物質層は、活物質を含むが、後述する導電助剤やその他の添加剤を更に含んでいてもよい。以下、本発明に係る活物質層に含まれる、活物質、導電助剤、その他の添加剤について、順に説明する。
本発明に係る活物質層に含まれる活物質は、正極の活物質であってもよく、負極の活物質であってもよいが、負極の活物質であることが好ましい。
また、正極の活物質として酸素(酸素が正極活物質となる場合、正極は、酸素の還元や水の酸化が可能なペロブスカイト型化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、バナジウム含有化合物、ニッケル含有化合物、イリジウム含有化合物、白金含有化合物、パラジウム含有化合物、金含有化合物、銀含有化合物、炭素含有化合物等より構成される空気極となる)を用いることも可能である。
中でも、酸素、マンガン含有化合物、ニッケル含有化合物が好ましい。すなわち、正極としては、ニッケル極、マンガン極、又は、空気極であることがより好ましい。
ここで、特定の元素を活物質に導入するとは、活物質を、これらの元素を構成元素とする化合物とすることを意味する。
上記活物質層は、電極活物質(正極活物質又は負極活物質を言う。)とともに、導電助剤を含むものであることが好ましい。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックや、亜鉛・亜鉛末・亜鉛合金・(アルカリ)乾電池や空気電池に使用される亜鉛(以下、纏めて金属亜鉛とも称する)、銅、真鍮、ニッケル、銀、ビスマス、インジウム、鉛、錫等の金属等を用いることができる。導電性カーボンとしては、黒鉛、グラッシーカーボン、アモルファス炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、炭素繊維、ファイバー状カーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、バルカン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
なお、金属亜鉛を電極合剤調製時に使用する場合には、金属亜鉛は活物質ではなく、導電助剤として考えて計算する。また、亜鉛含有化合物である酸化亜鉛や水酸化亜鉛等から電池の使用の過程で生成する金属亜鉛は、系中で導電助剤としての機能も果たすことになるが、亜鉛負極合剤や亜鉛負極調製時には0価の金属亜鉛ではないため、ここでは導電助剤と考えず、活物質と考えて計算する。すなわち、上記活物質、導電助剤の好ましい含有割合は、亜鉛負極合剤や亜鉛負極の調製時における亜鉛含有化合物は活物質として考え、金属亜鉛は導電助剤として考えて計算する。
なお、上記導電助剤の平均粒子径は、上記した無機物の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
導電助剤の比表面積を上記範囲内とすることにより、電池の使用の過程で活物質の形状変化や不動態の形成を抑制することができる等の効果がある。
なお、上記比表面積は、上記した無機物の比表面積と同様の方法で測定することができる。
本発明に係る活物質層は、更に、周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する化合物、有機化合物、及び、有機化合物塩からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。本発明に係る活物質層は、更に、多孔体を含むものであってもよい。
上記集電体としては、アルカリ蓄電池やアルカリ燃料電池に集電体や容器として使用される材料等が挙げられ、例えば、銅箔、電解銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、ニッケルメッシュ、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、鋼板、パンチング鋼板、銀等が挙げられる。これらは、Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl等を更に添加したり、Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl等によりメッキしたりしたものであってもよい。
本発明の電極の調製方法を以下に説明する。
本発明の電極は、無機物及び金属水酸化物、並びに、必要に応じてポリマー及びその他の成分を含む組成物を活物質に塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融等して活物質及び/又は活物質層を覆うアニオン伝導性材料を形成する工程と、アニオン伝導性材料で覆われていてもよい電極活物質、及び、必要に応じて導電助剤やその他の添加剤を含む電極合剤組成物(正極合剤組成物又は負極合剤組成物を言う。)を集電体に塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融等して活物質を含む活物質層を形成する工程とにより調製することができる。両工程の順序は、特に限定されず、アニオン伝導性材料が活物質及び/又は活物質層を覆う態様に応じて、後述するように適宜選択することができる。なお、アニオン伝導性材料を形成するための無機物、金属水酸化物、ポリマー、及び、その他の成分の好ましい種類・配合割合や、活物質層を形成するための活物質、導電助剤、及び、その他の添加剤の好ましい種類・配合割合等は、上述したものと同様である。
本発明のアニオン伝導性材料の形成方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
上記無機物と、金属水酸化物とを混合する。更に、必要に応じて、上記ポリマー、上記その他の成分を混合する。なお、本発明のアニオン伝導性材料において、無機物及び金属水酸化物が予め混合されたうえで、上記ポリマー、上記その他の成分が混合されたものであることが好ましい。混合には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。混合の際、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合溶剤を加えてもよい。混合の前後に、粒子を所望の粒子径に揃えるために、ふるいにかける等の操作を行ってもよい。混合は、固体成分に水や有機溶剤等の液体成分を加えて行う湿式法、又は、液体成分を加えずに固体成分のみで行う乾式法のいずれの方法で行ってもよい。混合を湿式法で行った場合は、混合した後、乾燥により水や有機溶剤等の液体成分を除去してもよい。混合は、湿式法と乾式法を組み合わせて行うこともできる。混合の際に加圧・減圧を行ってもよいし、温度をかけてもよい。スプレー・レーザー等を使用してもよいし、メカノケミカル法・ゾル−ゲル法・共沈法等を使用してもよい。
上記電極の活物質層の形成方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
上記活物質層を調製するのに用いられる電極合剤組成物は、アニオン伝導性材料で覆われていてもよい活物質と共に、必要に応じて、導電助剤や、その他の添加剤を混合して調製することができる。混合には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。混合の際、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合溶剤を加えてもよい。混合の前後に、粒子を所望の粒子径に揃えるために、ふるいにかける等の操作を行ってもよく、造粒を行ってもよい。混合は、固体成分に水や有機溶剤等の液体成分を加えて行う湿式法、又は、液体成分を加えずに固体成分のみで行う乾式法のいずれの方法で行ってもよい。混合を湿式法で行った場合は、混合した後、乾燥により水や有機溶剤等の液体成分を除去してもよい。混合は、湿式法と乾式法を組み合わせて行うこともできる。混合の際に加圧・減圧を行ってもよいし、温度をかけてもよい。上記ポリマーを結着剤や増粘剤等として添加してもよい。
本発明は、集電体と、活物質を含む電極合剤組成物とを含んで構成される電極前駆体であって、上記電極前駆体は、混合物を更に含んで構成され、上記混合物は、金属水酸化物と、ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物とを含み、上記化合物は、酸化物、水酸化物、硫酸化合物、及び、リン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であり、上記電極合剤組成物が該混合物によって覆われている電極前駆体であってもよい。
また本発明は、金属水酸化物と、ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物とを含む混合物でもある。本発明の混合物は、活物質被覆用のものであることが好ましい。更に、上記混合物と活物質層を形成する電極合剤組成物とが2層になった積層体も本発明の1つである。
上記電極合剤組成物、及び、上記混合物は、それぞれ、粉体、ペースト、スラリー混合物の形態であることが好ましい。また、形状がある程度保持されるものであって、塗工、圧着、接着、圧電、圧延、延伸、溶融等することにより、それぞれ活物質層、アニオン伝導性材料を形成して本発明の電極を作製することができるものであればよい。上記混合物が電極合剤組成物の全てを覆うことが1つの好ましい形態である。
本発明の電極前駆体における構成は、本発明の電極及びその調製方法において上述した対応する構成と同様である。また、本発明の混合物、電極合剤組成物の構成は、それぞれ、上述したスラリー又はペースト混合物、電極合剤組成物の構成と同様である。
本発明は、本発明の電極、電解質、及び、セパレーターを用いて構成される電池でもある。
本発明の電池の形態としては、一次電池;充放電が可能な二次電池(蓄電池);メカニカルチャージ(電極の機械的な交換)の利用;正極や負極とは別の第3極(例えば、充放電中に発生する酸素や水素を除去する極)の利用等、いずれの形態であってもよい。例えば、二次電池(蓄電池)であることが好ましい。
なお、本発明のアニオン伝導性材料は、上記亜鉛を負極に使用する電池に用いることが好ましいが、亜鉛を負極に使用する電池以外にも、リチウム金属等のアルカリ金属負極電池、マグネシウム金属等のアルカリ土類金属負極電池、アルミニウム金属負極電池、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池、カルシウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、ニッケル・水素電池、ニッケル・金属水素化物電池、ニッケル・カドミウム電池、リチウム・空気電池等の空気電池や、燃料電池等の正負極材料や電解質、セパレーターにも使用することが可能である。
なお、本発明の電極が負極である場合に、該負極を用いて構成される電池において、正極としては本発明の電池が正極である場合に正極に用いることができる活物質として上述したものを適宜用いることができる。
また電解液を使用する代わりに、上記亜鉛負極と正極との間に固体電解質(ゲル電解質)が挟持されるものであってもよい。
例としてニッケル・亜鉛蓄電池の構成を以下に説明する。
上記ニッケル・亜鉛蓄電池は、上記亜鉛負極、ニッケル正極、正極と負極を隔てるセパレーター、電解質や電解液、それらを含むアッセンブリ、及び、保持容器から成る。
ニッケル極としては、特に制限はなく、ニッケル・水素電池、ニッケル・金属水素化物電池(ニッケル水素吸蔵合金電池)、ニッケル・カドミウム電池等に使用されるニッケル極を使用することも可能である。アッセンブリや保持容器の内壁は、腐食や電池の使用の過程での反応等により劣化しない物質を使用する。アルカリ電池や空気亜鉛電池に使用される容器を使用することも可能である。蓄電池は、単一型、単二型、単三型、単四型、単五型、単六型、R123A型、R−1/3N型等の円筒型;9V型、006P型等の角型;ボタン型;コイン型;ラミネート型;積層型;短冊状に成形した正負極板をプリーツ加工したセパレーターに交互に挟み込んだ型等でもよく、また、密閉型や開放型でもよいし、ベント型でもよい。電池の使用の過程で発生する気体をリザーブする部位を有していてもよい。
ハイドロタルサイト(和光純薬工業株式会社製)と酸化ジルコニウム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)とを95/5、80/20、60/40、20/80の質量比でそれぞれ混合した。この混合粉末とポリフロンD−210(ポリテトラフルオロエチレン、ダイキン工業株式会社製)と純水とを25/30/40の質量比で混練し、この混合物をロールプレスにてシート状にし、乾燥させた。
このシートを、8M KOH水溶液と、酸化亜鉛を飽和させた8M KOH水溶液との隔壁として用い(図1参照。)、室温で1週間静置後、8M KOH水溶液をサンプリングし、誘導結合プラズマ発光分光分析法(島津ICPE−9000)を用いて亜鉛含有量を測定した。
参考例1と同様の作製方法で酸化ジルコニウムを添加せずハイドロタルサイト(和光純薬工業株式会社製)のみでシートを作製した。
参考例1と同様の方法で酸化ジルコニウム(和光純薬工業・試薬特級)のみでシートを作製した。
以上の結果を図2に示す。これらの結果より、ハイドロタルサイト/酸化ジルコニウムが60/40の質量比であるとき、亜鉛酸イオン透過を顕著に抑制することが可能であることが見出された。
13:O−リング
Claims (7)
- 亜鉛負極の、亜鉛含有化合物を含有する活物質及び/又は活物質層を覆うのに用いられるアニオン伝導性材料であって、
該アニオン伝導性材料は、金属水酸化物と、ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物とを含み、
該金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、及び/又は、ハイドロタルサイトであり、
該化合物は、酸化物、水酸化物、硫酸化合物、及び、リン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であり、
該金属水酸化物と、該単体及び/又は化合物との質量割合は、70/30〜55/45の範囲内である
ことを特徴とするアニオン伝導性材料。 - 前記アニオン伝導性材料は、更にポリマーを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアニオン伝導性材料。 - 前記ポリマーは、芳香族基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボン酸塩基、水酸基、アミノ基、及び、エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有するか、又は、炭化水素である
ことを特徴とする請求項2に記載のアニオン伝導性材料。 - 請求項1〜3のいずれかに記載のアニオン伝導性材料と、活物質を含む活物質層と、集電体とを含んで構成される亜鉛負極であって、
該活物質及び/又は該活物質層が該アニオン伝導性材料によって覆われている
ことを特徴とする亜鉛負極。 - 前記活物質層は、多孔体を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の亜鉛負極。 - 請求項4又は5に記載の亜鉛負極、電解質、及び、セパレーターを用いて構成される
ことを特徴とする電池。 - 集電体と、亜鉛含有化合物を含有する活物質を含む亜鉛負極合剤組成物とを含んで構成される亜鉛負極前駆体であって、
該亜鉛負極前駆体は、混合物を更に含んで構成され、
該混合物は、金属水酸化物と、ランタノイド、及び、周期表の第4族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する単体及び/又は化合物とを含み、
該金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、及び/又は、ハイドロタルサイトであり、
該化合物は、酸化物、水酸化物、硫酸化合物、及び、リン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であり、
該金属水酸化物と、該単体及び/又は化合物との質量割合は、70/30〜55/45の範囲内であり、
該亜鉛負極合剤組成物が該混合物によって覆われている
ことを特徴とする亜鉛負極前駆体。
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