JP2016149257A - ゲル状電極前駆体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二次電池等の電池において、長寿命化し、材料の無駄なく電極容量を自由に設計できるようにし、製造コストを下げる方法を提供する。【解決手段】 電極を形成するための前駆体であって、上記前駆体は、活物質とポリマーとを含み、ゲル状であるゲル状電極前駆体である。【選択図】図1

Description

本発明は、ゲル状電極前駆体に関する。より詳しくは、特に亜鉛負極を含む電池に好適に用いることができるゲル状電極前駆体、該ゲル状電極前駆体を用いて構成される電極、該電極を用いて構成される電池に関する。
近年、小型携帯機器から自動車等大型用途まで多くの産業において、電池の重要性が急速に高まっており、主にその容量、エネルギー密度や二次電池化(蓄電池化)の面において優位性を持つ新たな電池系が種々開発・改良されている。
これら多様な電池の中で、亜鉛種を負極活物質とし、亜鉛負極が、電池の普及とともに古くから研究されてきた。亜鉛負極を用いる電池としては、一次電池、二次電池、燃料電池(例えば、空気電池)等が挙げられ、例えば、正極活物質に空気中の酸素を用いる空気・亜鉛電池(正極が正極活物質を保持しない)、正極活物質にニッケル含有化合物を用いるニッケル・亜鉛電池、正極活物質にマンガン含有化合物を用いるマンガン・亜鉛電池や亜鉛イオン電池、正極活物質に酸化銀を使用する銀・亜鉛電池等が研究及び開発され、特に、空気・亜鉛一次電池、マンガン・亜鉛一次電池、銀・亜鉛一次電池は実用化され、広く世界で使用されている。
亜鉛負極を用いて構成される二次電池は、安価であり、エネルギー密度が高いことから、広く様々な分野で使用されることが期待される。
二次電池(蓄電池)は、正極と負極に活物質を備え、それぞれが電気化学的に反応することで化学エネルギーと電気エネルギーを相互変換するデバイスである。二次電池においては、正極と負極のそれぞれが、通常、活物質と呼ばれる電気化学反応を生じる原材料を含む。活物質の量が充放電できる容量となる。このような二次電池等の電池を構成する際、まず集電体が用意され、そこにスラリー状又はペースト状に調製された活物質を含む混合物を集電体に塗布又は圧延等にて貼り付ける。最後に、セパレータを介して正極と負極を対面させ、電解液を注入することで二次電池等の電池が構成される(例えば、特許文献1参照。)。
また燃料電池は、この電気化学反応を行うための活物質として水素等のガスを外部から燃料として供給して電気エネルギーを得ることから燃料電池と呼ばれている(例えば、特許文献2〜4参照。)。
近年、二次電池・燃料電池ともに開発が活発であり、一般的に、二次電池については長寿命化と高速充放電性能が求められ、燃料電池については長寿命化が求められている。
国際公開第2013/27767号 特開平7−45270号公報 特開2013−225444号公報 特開2014−44908号公報
上記のとおり、亜鉛負極等の従来の電極は、集電体と活物質とを電気的に充分に接触させるために、スラリー状又はペースト状(以下、スラリー状等とも言う。)の電極前駆体を集電体上に塗布した後に圧延ロール等でプレスして成形したり、当該電極前駆体を金属発泡体である集電体の孔に含浸して成形したりして構成される。スラリーやペーストの状態は、不安定な状態であるため、保管する間に固形物質の沈降や、水分の蒸発による固化といった経時的変化が生じる。これを防ぐため、スラリー状等の電極前駆体を調製後、速やかに集電体に塗布等されることが一般的である。
以上のことから、二次電池等の電池を組み立てるためには、電池の組立設備だけではなく、スラリー状等の電極前駆体の調製から電極の形成までを一貫して行うための設備や原材料・人員・時間等の各種資源が必要であり、多額の投資が必要となる。また、電極形成後において、電池の設計に応じて活物質層を様々な寸法にあわせるときは、活物質層を集電体と共にカットすることとなり、不要な部分が無駄になっていた。
電池を簡便に構成するための技術や材料を無駄なく使う技術として、上記特許文献2では、亜鉛を含むスラリーを充填することによりエネルギーを供給するシステムが提案されている。また、上記特許文献3、4では、金属空気電池において、亜鉛等の燃料を放電反応に用いた場合に生成する放電生成物が電解液槽内に溜まるのを抑制するための技術や、放電反応の進行に伴って剥落した電極活物質の小片を放電反応に利用するための技術が提案されている。
しかしながら、上記特許文献3、4に記載の技術は、いずれも一次電池であって、電極活物質を無駄なく使い切るための技術であり、二次電池に適用することは考えられていない。また、一次電池に適用する技術としても、材料を無駄なく使いつつ、更に電池の設計の自由度を向上させる工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、電池を長寿命化し、材料の無駄なく電極容量を自由に設計できるようにして製造コストを下げる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、二次電池等の電池において、電池を長寿命化し、材料の無駄なく電極容量を自由に設計できるようにして製造コストを下げる方法を種々検討し、電極の活物質層を形成する材料となる電極前駆体に着目した。
本発明者は、上記前駆体を、活物質とポリマーとを含み、ゲル状であるゲル状電極前駆体とした。そして、本発明者は、このゲル状電極前駆体を、その少なくとも一面がイオン伝導性膜に接するとともに、電極中で保持されるようにして電極の活物質層を形成すれば、優れた充放電特性を有する電池が得られることを見出した。
このような、ポリマーを含み、増粘されてゲル状である電極前駆体は、従来のスラリー状等の電極前駆体とは異なり、保管しても上述した経時的変化が抑制されており、調製後速やかに集電体と一体化させて電極を形成する必要が無いことから、スラリー状等の電極前駆体の調製から電極の形成(集電体との一体化)までを一貫して行うための設備や各種資源が必要なくなる。また、電極形成時に集電体を自由に選ぶことができ、その結果、得られる電極の各種性能を適宜調整することが可能となる。更に、電池の設計に応じて、ゲル状電極前駆体の注入量を自由に調整することができるため、活物質層をカットする必要もなく、活物質を無駄なく使い切ることができ、製造コストを下げることができる。そして、ゲル状電極前駆体が電極中で保持されて活物質層が形成されることにより、放電生成物として生成する酸化亜鉛等の金属化合物が活物質層中に留まるため、充放電で繰り返し使用することができ、二次電池等の電池を長寿命化することができる。また、ゲル状である電極前駆体を用いると、活物質周囲の電解液粘度が高まることにより、活物質イオン拡散を抑制でき、電極形状を長期間にわたって維持できるため、充放電サイクルに伴う形態変化(シェイプチェンジ)を軽減することができる。シェイプチェンジの原因としては、(1)重力による活物質の滑落、(2)電流密度ムラによる活物質の偏り、(3)外部環境要因(温度ムラ、振動等)による活物質の流出も挙げられるが、本発明のゲル状電極前駆体を用いることでこれらのいずれをも抑制することができ、シェイプチェンジを軽減することができる。
本発明者は、これらの利点を見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、電極を形成するための前駆体であって、上記前駆体は、活物質とポリマーとを含み、ゲル状であるゲル状電極前駆体である。
本発明はまた、集電体と活物質層とを含んで構成される電極であって、上記電極は、更に、イオン伝導性材料を用いて形成されるイオン伝導性膜を含み、上記活物質層は、本発明のゲル状電極前駆体が、その少なくとも一面が該イオン伝導性膜に接するとともに、電極中で保持されて形成される電極である。
本発明は更に、本発明の電極を用いて構成される電池である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<ゲル状電極前駆体>
本発明のゲル状電極前駆体は、ポリマーを含み、ゲル状であることを特徴とする。
ゲル状電極前駆体とは、粘度が0.01〜200Pa・sである電極前駆体を言う。該粘度は、0.1Pa・s以上であることが好ましく、1Pa・s以上であることがより好ましく、5Pa・s以上であることが更に好ましい。また、該粘度は、100Pa・s以下であることが好ましく、75Pa・s以下であることがより好ましく、50Pa・s以下であることが更に好ましい。
本発明のゲル状電極前駆体の粘度は、B型粘度計(東京計器社製)を用いて、25±1℃、30rpmの条件で測定することができる。
本発明のゲル状電極前駆体が含むポリマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等に代表される芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等に代表されるエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコールやポリ(α−ヒドロキシメチルアクリル酸塩)等に代表される水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンやN−置換ポリアクリルアミド等に代表されるアミド結合含有ポリマー;ポリマレイミド等に代表されるイミド結合含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリメチレングルタル酸、アクリル酸モノマー/マレイン酸モノマー共重合体、アクリル酸モノマー/スルホン酸部位含有モノマー共重合体等に代表されるカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩、アクリル酸塩モノマー/マレイン酸塩モノマー共重合体、アクリル酸塩モノマー/スルホン酸塩部位含有モノマー共重合体等に代表されるカルボン酸塩含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;上述した以外のスルホン酸塩部位含有ポリマー;ARB(Aは、N又はPを表す。Bは、ハロゲンアニオンやOH等のアニオンを表す。R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボキシル基、芳香環基を表す。R、R、Rは、結合して環構造を形成してもよい。)で表される基が結合したポリマーに代表される第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等に代表される人工ゴム;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等に代表される糖類;ポリエチレンイミンに代表されるアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤などが挙げられる。これらのポリマーは、ゲル状電極前駆体のバインダーとしてはたらく。
本発明のゲル状電極前駆体が含むポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましい。これにより、本発明の電極前駆体中における活物質等の固形物質の沈降をより充分に防止することができる。
上記水溶性ポリマーとしては、上述した中でも、例えば、エーテル基含有ポリマー、水酸基含有ポリマー、アミド結合含有ポリマー、イミド結合含有ポリマー、カルボキシル基含有ポリマー、カルボン酸塩含有ポリマー、スルホン酸塩部位含有ポリマー、第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー、イオン交換性重合体、糖類、アミノ基含有ポリマー、カルバメート基部位含有ポリマー、カルバミド基部位含有ポリマー等が挙げられる。
本発明のゲル状電極前駆体が含む水溶性ポリマーは、電解液により分解したり変質したりすることを防止する観点から、耐アルカリ性であることが好ましい。耐アルカリ性である水溶性ポリマーは、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、カルボキシル基がアルキル化されていてもよいカルボキシビニルポリマー、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のゲル状電極前駆体が含むポリマーは、カルボン酸(塩)基を含有することが好ましい。言い換えれば、該ポリマーは、上記カルボキシル基含有ポリマー、又は、カルボン酸塩含有ポリマーであることが好ましい。
上記カルボン酸(塩)基を含有するポリマーは、ポリ(メタ)アクリル酸塩であることがより好ましく、ポリアクリル酸塩であることが更に好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムであることが特に好ましい。
カルボン酸(塩)基を含有するポリマーとしては、例えば、株式会社日本触媒製のアクアリック(登録商標)Lシリーズ、Hシリーズが挙げられる。
上記ポリマーはその構成単位に該当するモノマーより、ラジカル重合、ラジカル(交互)共重合、アニオン重合、アニオン(交互)共重合、カチオン重合、カチオン(交互)共重合、グラフト重合、グラフト(交互)共重合、リビング重合、リビング(交互)共重合、分散重合、乳化重合、懸濁重合、開環重合、環化重合、光、紫外線や電子線照射による重合、メタセシス重合、電解重合等により得ることができる。これらポリマーが官能基を有する場合には、それを主鎖及び/又は側鎖に有していても良く、架橋剤との結合部位として存在しても良い。これらポリマーは、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記ポリマーは、後述する層状複水化合物や、それ以外の有機架橋剤化合物により、エステル結合、アミド結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、アゴスチック相互作用、水素結合、アセタール結合、ケタール結合、エーテル結合、ペルオキシド結合、炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、炭素−酸素結合、炭素−硫黄結合、カルバメート結合、チオカルバメート結合、カルバミド結合、チオカルバミド結合、オキサゾリン部位含有結合、トリアジン結合等を介して、架橋されていてもよい。
上記ポリマーは、重量平均分子量が、200〜7000000であることが好ましい。これにより、ゲル状電極前駆体のイオン伝導性や可とう性等を調節することができる。ポリマーの重量平均分子量は、より好ましくは、400〜6500000であり、更に好ましくは、500〜5000000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記ゲル状電極前駆体におけるポリマーの割合としては、ゲル状電極前駆体の固形分100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、本発明の電極前駆体を好適にゲル状とすることができないおそれがあり、10質量%を超えると、ポリマーの機能が飽和するおそれがある。該ポリマーの割合は、より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.2〜3質量%であり、特に好ましくは、0.3〜1質量%である。
本発明のゲル状電極前駆体が含む電極活物質は、亜鉛種、又は、カドミウム種を含むことが好ましい。なお、ここで、金属種とは、金属単体又は金属化合物を意味する。
カドミウム種としては、金属カドミウム単体が挙げられ、亜鉛種としては、下記のものが挙げられる。
本発明のゲル状電極前駆体が含む活物質は、亜鉛種であることが好ましい。
本発明のゲル状電極前駆体が含む活物質が亜鉛種である場合は、本発明のゲル状電極前駆体を用いて後述する本発明の電極を形成した場合に、イオン伝導性材料によってデンドライト析出を抑える効果を発揮することができる。
本発明のゲル状電極前駆体が含む亜鉛種としては、金属亜鉛単体の他、亜鉛含有化合物は、活物質として用いることができるものであればよく、例えば、酸化亜鉛(JIS K1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)や、水酸化亜鉛・硫化亜鉛・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩・亜鉛ハロゲン化合物・亜鉛カルボキシラート化合物・亜鉛合金・亜鉛固溶体・ホウ酸亜鉛・リン酸亜鉛・リン酸水素亜鉛・ケイ酸亜鉛・アルミン酸亜鉛・炭酸化合物・炭酸水素化合物・硝酸化合物・硫酸化合物等に代表される周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物、有機亜鉛化合物、亜鉛化合物塩等が挙げられる。
これらの中でも、酸化亜鉛(JIS K1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)、水酸化亜鉛、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩、亜鉛ハロゲン化合物、亜鉛カルボキシラート化合物、亜鉛合金、亜鉛固溶体、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物がより好ましい。上記亜鉛合金は、(アルカリ)乾電池や空気電池に使用される亜鉛合金であってもよい。上記亜鉛含有化合物は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記亜鉛種は、酸化亜鉛を含むことが本発明のゲル状電極前駆体における好ましい形態の1つである。本発明の電極前駆体は、ゲル状であることから、酸化亜鉛が堆積することなく、ゲル中で分散して存在する。これにより酸化亜鉛を活物質として有効に利用することができる。また、酸化亜鉛がゲル中に存在することで、シェイプチェンジを軽減できる効果を発揮することができ、電池を長寿命化させることができる。
上記活物質として用いる亜鉛種は、平均粒子径が1nm〜500μmであることが好ましい。より好ましくは5nm〜200μmであり、更に好ましくは10nm〜100μmであり、特に好ましくは、10nm〜60μmである。
亜鉛種の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
本発明のゲル状電極前駆体が活物質として含む金属種の割合は、ゲル状電極前駆体の固形分100質量%に対して、90〜99.99質量%であることが好ましい。活物質の割合がこのような範囲であると、ゲル状電極前駆体を用いて形成される電極が、電池容量の点でより充分なものとなる。該金属種の割合は、より好ましくは、95〜99.9質量%であり、更に好ましくは、97〜99.8質量%であり、特に好ましくは、99〜99.7質量%である。
本発明のゲル状電極前駆体は、これを用いて作成した二次電池等の電池で水含有電解液を使用した場合に生じるおそれのある水の分解副反応を抑制するために、元素の単体又はこれらの元素を構成元素とする化合物を含ませたものであってもよい。特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cl、Cu、Eu、F、Ga、Hg、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ti、Tl、Y、Zr等が挙げられる。
本発明のゲル状電極前駆体は、更に導電助剤を含むことが好ましい。導電助剤を含むことで、ゲル状電極前駆体を用いて形成される活物質層の導電性能が高くなり、活物質層に含まれる活物質を有効に利用して電池の容量を更に高めることができる。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックス、亜鉛・亜鉛末・亜鉛合金・(アルカリ)(蓄)乾電池や空気電池に使用される亜鉛(以下、纏めて金属亜鉛とも称する)、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記導電性カーボンとしては、天然黒鉛・人造黒鉛等の黒鉛、グラッシーカーボン、アモルファス炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、金属によりコートしたカーボン、カーボンコートした金属、ファイバー状カーボン、ホウ素含有カーボン、窒素含有カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、SiCコートカーボン、分散・乳化・懸濁・マイクロサスペンジョン重合等により表面処理したカーボン、マイクロカプセルカーボン等が挙げられる。
上記導電性セラミックスとしては、例えば、酸化亜鉛と共に焼成したBi、Co、Nb、及び、Yから選ばれる少なくとも1種を含有する化合物等が挙げられる。
上記導電助剤の中でも、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、グラフェン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、ファイバー状カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、金属亜鉛、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属が好ましい。なお、金属亜鉛はアルカリ(蓄)電池や空気電池のような実電池に使用されるものであってもよく、表面を他元素やカーボン等で処理されたものであってもよいし、合金化されていてもよい。固溶体であってもよい。上記導電助剤は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記金属亜鉛は活物質としても働くことが可能である。言い換えれば、電池の使用の過程で、導電助剤である金属亜鉛は酸化還元反応をおこなって活物質としても機能する。なお、同様に、電池の使用の過程で、活物質である亜鉛含有化合物から生成する金属亜鉛は導電助剤としても機能する。負極等の電極の調製段階で合剤として加える金属亜鉛及び亜鉛含有化合物は、電池の使用の過程では、活物質かつ導電助剤として実質的に機能する。
上記導電助剤には、水含有電解液を使用した場合の水の分解副反応を抑制するため、上述した特定の元素と同様の元素の単体又はこれらの元素を構成元素とする化合物を含ませたものであってもよい。導電性カーボンを導電助剤の一つとして使用する場合には、特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、C、Ca、Cd、Ce、Cu、F、Ga、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sn、Ti、Tl、Y、Zrが好ましい。
上記導電助剤のゲル状電極前駆体中の含有割合は、ゲル状電極前駆体中の活物質100質量%に対して、0.0001〜100質量%であることが好ましい。導電助剤の含有割合がこのような範囲であると、活物質層を含んで構成される電極を電池に用いた場合に、より良好な電池性能を発揮する。より好ましくは、0.0005〜60質量%であり、更に好ましくは、0.001〜40質量%である。
なお、ゲル状電極前駆体の成分として金属亜鉛を使用する場合には、金属亜鉛は活物質ではなく、導電助剤として考えて計算する。また、亜鉛種を活物質とする本発明のゲル状電極前駆体では、亜鉛含有化合物である酸化亜鉛や水酸化亜鉛等から電池の使用の過程で生成する金属亜鉛は、系中で導電助剤としての機能も果たすことになるが、ゲル状電極前駆体や電極(亜鉛負極)調製時には0価の金属亜鉛ではないため、ここでは導電助剤と考えず、活物質と考えて計算する。すなわち、上記活物質、導電助剤の好ましい含有割合は、ゲル状電極前駆体や電極(亜鉛負極)調製時における亜鉛含有化合物は活物質として考え、金属亜鉛は導電助剤として考えて計算する。
本発明のゲル状電極前駆体は、無機化合物を1種又は2種以上含んでいてもよい。
上記無機化合物は、周期表のLi、Na、K、Rb、Cs、第2族〜第14族、P、Sb、Bi、第16族、及び、第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものであればよいが、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、Br、Iからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含む酸化物;硫化物;水酸化物等が挙げられる。
上記ゲル状電極前駆体における無機化合物の割合としては、ゲル状電極前駆体の固形分100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、無機化合物の効果が充分に発揮されないおそれがあり、10質量%を超えると、無機化合物の機能が飽和するおそれがある。該ポリマーの割合は、より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.2〜3質量%であり、特に好ましくは、0.3〜1質量%である。
本発明のゲル状電極前駆体は、ハイドロタルサイト等の層状複水酸化物を含んでいてもよい。これにより、活物質層の中に電解液を取り込み、イオン伝導性を向上することができる。
上記ハイドロタルサイトとは、下記式;
[M 1−x (OH)](An−x/n・mH
(Mは、Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、Co、Cuのいずれかを表す。Mは、Al、Fe、Mnのいずれかを表す。An−は、1〜3価のアニオンを表す。mは0以上の数である。nは、1〜3の数である。xは、0.20〜0.40の数である。)に代表される化合物であり、150℃〜900℃で焼成することにより、脱水した化合物や、層間内の陰イオンを分解させた化合物、層間内の陰イオンを水酸化物イオン等に交換した化合物、天然鉱物であるMgAl(OH)16CO・mHO等を上記無機化合物として使用してもよい。上記ハイドロタルサイトには、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シラノール基等の官能基を持つ化合物が配位していてもよい。
上記ゲル状電極前駆体における層状複水酸化物の割合としては、ゲル状電極前駆体の固形分100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。0.01質量%未満であると、イオン伝導性を向上する層状複水酸化物の効果が充分に発揮されないおそれがあり、10質量%を超えると、層状複水酸化物の機能が飽和するおそれがある。該ポリマーの割合は、より好ましくは、0.1〜5質量%であり、更に好ましくは、0.2〜3質量%であり、特に好ましくは、0.3〜1質量%である。
本発明のゲル状電極前駆体は、溶媒を含んでいてもよい。ゲル状電極前駆体が含む溶剤としては、水、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ゲル状電極前駆体の溶剤の含有量は、ゲル状電極前駆体全体100質量%に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。また、該含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
本発明のゲル状電極前駆体は、亜鉛種、ポリマー、無機化合物、層状複水酸化物、溶媒以外に、その他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。
その他の成分は、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、導電性セラミックス等が挙げられる。その他の成分は、イオン伝導性を補助する等の働きが可能である。
上記ゲル状電極前駆体は、電極の活物質層を形成するためのゲル状電極前駆体であることが好ましい。後述するように、本発明のゲル状電極前駆体を用いて注入等を行って活物質層を形成することにより、電極容量を自由に調節できる。
本発明のゲル状電極前駆体は、上述したゲル状電極前駆体の各種成分を混錬してスラリー状等のゲル状電極前駆体として調製することができる。例えば、上記ポリマーを含有するゲルを作製し、これに上述した活物質などの各種成分を混合して作製することができる。
<電極>
本発明はまた、集電体と活物質層とを含んで構成される電極であって、上記電極は、更に、イオン伝導性材料を用いて形成されるイオン伝導性膜を含み、上記活物質層は、本発明のゲル状電極前駆体が、その少なくとも一面が該イオン伝導性膜に接するとともに、電極中で保持されて形成される電極でもある。
上記活物質層は、本発明のゲル状電極前駆体が、その少なくとも一面が該イオン伝導性膜に接するとともに、側面及び底面からゲル状電極前駆体が漏れださない構造体中に保持されて形成されるものであることが好ましい。このようにすると、構造体の容積や構造体中に注入するゲル状電極前駆体の量を調整することで、電極容量を自由に調節できる。活物質層は、ゲル状電極前駆体の少なくとも一面が該イオン伝導性膜に接する限り、その他の面は、イオン伝導性膜に接していてもよく、イオン非伝導性の部材に接していてもよい。
なお、本発明において構造体とは、一定の形を有する物体を意味し、側面及び底面からゲル状電極前駆体が漏れださない限り、物体の形や材質は制限されない。
本発明の電極において、上記イオン伝導性膜は、上記ゲル状電極前駆体を保持できる構造体を構成し、上記活物質層は、該ゲル状電極前駆体が、該構造体中で保持されて形成されることが好ましい。この場合、集電体は構造体中にあり、ゲル状電極前駆体と直接接していてもよく、集電体が構造体の外にあって、イオン伝導性膜を介してゲル状電極前駆体と接しているものであってもよいが、集電体が構造体中にあることが好ましい。すなわち、本発明の電極は、イオン伝導性材料で形成された構造体中にゲル状電極前駆体及び集電体が含まれているものであることが好ましい。
このように、活物質層がイオン伝導性膜から構成される構造体中に保持されることにより、活物質層と電解質との間のイオン伝導がより充分に行われることになり、本発明の電極を用いて構成される電池の充放電特性がより優れたものとなる。
上記ゲル状電極前駆体を保持できる構造体は、ゲル状電極前駆体が流れ出さないものであれば、その形状は特に制限されず、例えば、円筒型、直方体型、袋型等のいずれの形状であってもよい。
また、集電体が構造体の外にある場合には、ゲル状電極前駆体を注入した後、構造体の開口部は、閉じていてもよいし、開放したままでもよい。
本発明の電極が含む、イオン伝導性材料を用いて形成されるイオン伝導性膜は、イオン伝導による各種の電池において用いることができるものであればよく、例えば不織布;微多孔膜;ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含むアニオン伝導性材料を用いて形成されるアニオン伝導性膜;その他の後述するセパレータとして使用される膜等が挙げられる。
中でも、上記イオン伝導性膜は、不織布、微多孔膜、又は、上記アニオン伝導性膜であることが好ましく、得られる電池を更に長寿命化する観点からは、該アニオン伝導性膜であることがより好ましい。
上記微多孔膜は、親水性微多孔膜であることが好ましく、ポリオレフィンを用いて構成される親水性微多孔膜であることがより好ましい。
以下では、アニオン伝導性膜を形成するのに用いられるアニオン伝導性材料について説明する。
本明細書中、アニオン伝導性膜は、電池反応に関与する水酸化物イオン等のアニオンを透過する材料である。本発明のアニオン伝導性膜は、後述する無機物等の作用により、透過するアニオンの選択性を有する。例えば、水酸化物イオン等のアニオンは透過しやすく、アニオンであってもイオン半径の大きな、活物質に由来する金属含有イオン(例えば、Zn(OH) 2−)等の透過は充分に防止する。本明細書中、アニオン伝導性とは、水酸化物イオン等のイオン半径の小さなアニオンを充分に透過すること、ないし、当該アニオンの透過性能を意味する。金属含有イオン等のイオン半径の大きなアニオンは、より透過しにくいものであり、全く透過しなくても構わない。
このようなアニオン伝導性膜を上記イオン伝導性膜として用いることで、活物質層から活物質に由来する金属含有イオンが流出することを抑制することができるため、活物質の枯渇を防ぎ、電池を長寿命化させることができる。
上記アニオン伝導性材料は、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物を含む。
周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、Bi、S、Se、Te、F、Cl、及び、Brからなる群より選択される少なくとも1つの元素であることが好ましい。中でも、周期表の第1族〜第15族から選ばれる少なくとも1種の元素が好ましく、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、Tl、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、Sb、及び、Biからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素がより好ましい。更に好ましくは、Li、Mg、Ca、Ba、Sc、Y、ランタノイド、Ti、Zr、Nb、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Cu、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、及び、Tlからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素である。
上記周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物としては、例えば、酸化物;複合酸化物;層状複水酸化物;水酸化物;粘土化合物;固溶体;合金;ゼオライト;ハロゲン化物;カルボキシラート化合物;炭酸化合物;炭酸水素化合物;硝酸化合物;硫酸化合物;スルホン酸化合物;ヒドロキシアパタイト等のリン酸化合物;亜リン化合物;次亜リン酸化合物、ホウ酸化合物;ケイ酸化合物;アルミン酸化合物;硫化物;オニウム化合物;塩等が挙げられる。好ましくは、酸化物;複合酸化物;ハイドロタルサイト等の層状複水酸化物;水酸化物;粘土化合物;固溶体;ゼオライト;フッ化物;リン酸化合物;ホウ酸化合物;ケイ酸化合物;アルミン酸化合物;塩が挙げられる。
これらの中でも、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物は、酸化物、水酸化物、層状複水酸化物、硫酸化合物、及び、リン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。より好ましくは、酸化物、水酸化物、層状複水酸化物、及び、硫酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であり、更に好ましくは、層状複水酸化物及び/又は酸化物である。
上記酸化物としては、例えば酸化セリウム、酸化ジルコニウムが好ましい。より好ましくは、酸化セリウムである。また、酸化セリウムは、例えば、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ビスマス等の金属酸化物がドープされたものや、酸化ジルコニウム等の金属酸化物との固溶体であってもよい。酸素欠陥を持つものであってもよい。
上記ハイドロタルサイトは、本発明の電極前駆体に含まれるハイドロタルサイトとして上述したものと同様である。
上記水酸化物としては、例えば水酸化セリウム、水酸化ジルコニウムが好ましい。上記硫酸化合物は、例えばエトリンガイトが好ましい。
上記リン酸化合物は、例えばヒドロキシアパタイトが好ましい。
上記ヒドロキシアパタイトとは、Ca10(PO(OH)に代表される化合物であり、調製時の条件によりCaの量を減らした化合物や、Ca以外の元素を導入したヒドロキシアパタイト化合物等を上記無機化合物として使用しても良い。
上記周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物は、平均粒子径が1000μm以下であるものが好ましい。より好ましくは、200μm以下であり、更に好ましくは、100μm以下であり、特に好ましくは、75μm以下であり、最も好ましくは、20μm以下である。一方、該平均粒子径は、5nm以上であることが好ましい。より好ましくは、10nm以上である。
上記平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定されるものである。
上記周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物の粒子の形状としては、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子をボールミル等により粉砕し、得られた粗粒子を分散剤に分散させて所望の粒子径にした後に乾固する方法や、該粗粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法のほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒径の(ナノ)粒子を得る方法等により製造することが可能である。
上記周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物は、比表面積が0.01m/g以上であることが好ましく、より好ましくは、0.1m/g以上であり、更に好ましくは、0.5m/g以上である。一方、該比表面積は、500m/g以下であることが好ましい。
上記比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置等により測定することができる。
上記周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物の割合は、アニオン伝導性材料100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、更に好ましくは、1質量%以上である。また、99.9質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、99質量%以下であり、更に好ましくは、98質量%以下である。
上記アニオン伝導性材料が含むポリマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等に代表される芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等に代表されるエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコールやポリ(α−ヒドロキシメチルアクリル酸塩)等に代表される水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンやN−置換ポリアクリルアミド等に代表されるアミド結合含有ポリマー;ポリマレイミド等に代表されるイミド結合含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリメチレングルタル酸等に代表されるカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩等に代表されるカルボン酸塩含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;ARB(Aは、N又はPを表す。Bは、ハロゲンアニオンやOH等のアニオンを表す。R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボキシル基、芳香環基を表す。R、R、Rは、結合して環構造を形成してもよい。)で表される基が結合したポリマーに代表される第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等に代表される人工ゴム;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等に代表される糖類;ポリエチレンイミンに代表されるアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤などが挙げられる。
中でも、カルボキシル基含有ポリマー及び/又はハロゲン含有ポリマーが好ましい。より好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有ポリマーである。後述するとおり、本発明のアニオン伝導性材料を製造する際には、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とポリマーとを混練する方法を用いる。このとき、アニオン伝導性材料がフッ素含有ポリマーを含むものであると、圧延時にフッ素含有ポリマーに強い力がかかることでポリマーの繊維化が促進され、その結果、アニオン伝導性膜の物理的強度が向上することになるため、デンドライトの成長による電極間の短絡を防止する効果がより高くなる。
ポリマーを得るための重合方法や有していてもよい架橋構造は上述したゲル状電極前駆体が含むポリマーと同様である。
上記ポリマーは、重量平均分子量が、200〜7000000であることが好ましい。これにより、アニオン伝導性材料のイオン伝導性、可とう性等を調節することができる。該重量平均分子量は、より好ましくは、400〜6500000であり、更に好ましくは、500〜5000000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記ポリマーの割合は、アニオン伝導性材料100質量%に対して、0.1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、更に好ましくは、1質量%以上である。また、99.9質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、99.5質量%以下であり、更に好ましくは、99質量%以下である。
上記アニオン伝導性材料における、ポリマーと周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物との配合割合は、5000000/1〜1/100000であることが好ましい。より好ましくは、2000000/1〜1/50000であり、更に好ましくは、1000000/1〜1/10000である。
本発明のアニオン伝導性材料は、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含む限り、その他の成分を更に含んでいてもよい。また、その他の成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記その他の成分は、特に限定されないが、例えば、亜鉛含有化合物、アルミナ、シリカ、ポリマー、導電性カーボン、導電性セラミックス等が挙げられる。
上記アニオン伝導性膜を製造する際には、アニオン伝導性材料を圧延する工程を含む方法を用いることが好ましい。このとき、アニオン伝導性材料がフッ素含有ポリマーを含むものであると、圧延時にフッ素含有ポリマーに強い力がかかることでポリマーの繊維化が促進され、その結果、上記アニオン伝導性膜の物理的強度が向上することになるため、デンドライトの成長による電極間の短絡を防止する効果がより高くなる。
また上記アニオン伝導性材料の調製方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
ポリマー、及び、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物等と共に、必要に応じて、上記その他の成分を混合する。混合には、ミキサー、ブレンダー、ニーダー、ビーズミル、レディミル、ボールミル等を使用することができる。混合の際、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合溶剤を加えても良い。
本発明の電極を構成する集電体としては、(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、導電性を付与した不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;銀;アルカリ(蓄)電池や空気亜鉛電池に集電体や容器として使用される材料等が挙げられる。
本発明の電極における活物質層は、ゲル状電極前駆体を集電体上に塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融等したりする必要はなく、本発明のゲル状電極前駆体を、集電体に接するように電極中で保持すればよい。例えば、図1に示すように、本発明のゲル状電極前駆体を保持できる構造体1中に、集電体3を配置し、更に、集電体3と接するように本発明の電極前駆体5を注入することができる。これにより、活物質と集電体とが電気的に接続され、電池を駆動できる電極を形成できる。
<電池>
本発明はそして、上述した本発明の電極を用いて構成される電池でもある。
上述したとおり、本発明の電池は、本発明の電極を用いて構成されることにより、充放電特性に優れるとともに、容易かつ安価に製造でき、また、電池組立時の自由度が高いものである。
本発明の電池が、亜鉛種を活物質とする亜鉛負極として本発明の電極を含む電池である場合、正極活物質としては、一次電池や二次電池の正極活物質として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、酸素(酸素が正極活物質となる場合、正極は、酸素の還元や水の酸化が可能なペロブスカイト型化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、白金含有化合物等より構成される空気極となる)、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル化合物、酸化銀などが挙げられる。これらの中でも、例えば、正極活物質がニッケル化合物であることが好ましい。
また、正極活物質が酸素であることもまた好ましい。上述したとおり、本発明の電極が含む活物質層は、本発明の電極前駆体を必要量だけ注入して形成できる等、形成時の自由度が高いため、容易に活物質層の容量を大きくすることができる。したがって、本発明の電池が、容量を大きくすることが求められる亜鉛空気電池であることが好ましい。言い換えれば、本発明の電池が空気亜鉛電池であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
また、本発明の電極を負極として使用した電池の形態としては、一次電池、充放電が可能な二次電池、メカニカルチャージ(亜鉛負極の機械的な交換)の利用、本発明の負極と上述したような正極活物質より構成される正極とは別の第3極の利用等、いずれの形態であっても良い。
本発明の電池に用いる電解液としては、蓄電池の電解液として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、イオン性液体、フッ素含有カーボネート類、フッ素含有エーテル類、ポリエチレングリコール類、フッ素含有ポリエチレングリコール類等が挙げられる。上記有機溶剤系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等などが挙げられる。これらの中でも、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液といったアルカリ性電解質が好ましい。上記水系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液は、上記有機溶剤系電解液を含んでいてもよい。
本発明の電池においては、イオン伝導性膜がセパレータの役割を果たすため、別途セパレータを使用しなくてもよい。なお、一般的に使用されるセパレータを1種以上使用しても構わない。セパレータは、正極と負極を隔離し、電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材であればよい。
本発明の電池は、公知の方法を適宜用いて製造することができる。例えば、本発明の電極を電池セル中に配置し、電解質溶液を電池セル中に導入し、更に、対極、参照極、セパレータ等を必要に応じて配置して電池を作製することができる。なお、電池の充放電特性を優れたものとする観点から、本発明の電極中のゲル状電極前駆体のイオン伝導性膜に接する面が、電池中において、対極側(本発明の電極が負極である場合は、正極側)であるように本発明の電極や対極を配置することが好ましい。
本発明のゲル状電極前駆体は、上述の構成よりなり、電池に応じて電極前駆体の注入量を調節して電極の容量を自由に設計することが可能であり、また、その製造コストを下げることができる。
本発明の電極の好適な形態の1つを示した概念図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
(実施例1)
日本触媒社製アクアリック(IH、ポリアクリル酸ナトリウム)を2重量%含有するゲルを作製し、そこに酸化亜鉛:ゲルを30:10の質量割合で混合し、ゲル状電池前駆体を作製した。ゲル状電池前駆体は、B型粘度計(東京計器社製)を用いて25℃、30rpmの条件で測定したところ、粘度が40Pa・sであった。
スズでメッキされたパンチング鋼板(厚さ100μm)を集電体とし、前記集電体が内包できる大きさとなるように、ポリオレフィンで出来た親水性微多孔膜を上部が開口した袋状に加工し、前記集電体をその中に配置した。
その状態で、前記ゲル状電池前駆体を袋の中へ注入し亜鉛負極とした。酸化亜鉛が飽和濃度溶解している8M水酸化カリウム水溶液を電解液とし、前記負極が配置されているビーカーに電解液を袋の上端に届かないところまで導入し、参照極として水銀電極、対極としてニッケル極を用いた三極セルを構成した。充放電電流30mA/cmとして、亜鉛負極の動作を確認したところ、99.8%のクーロン効率で100サイクル以上充放電できることを観測した。
(実施例2)
日本触媒社製アクアリック(IH、ポリアクリル酸ナトリウム)を2重量%含有するゲルを作製し、そこに酸化亜鉛:ゲルを30:10の質量割合で混合し、ゲル状電池前駆体を作製した。ゲル状電池前駆体は、B型粘度計(東京計器社製)を用いて25℃、30rpmの条件で測定したところ、粘度が40Pa・sであった。
また、ハイドロタルサイト:PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を50:50の質量割合で混合したのち、混練・圧延することでフィルム状に加工し、アニオン伝導性膜とした。
スズでメッキされたパンチング鋼板(厚さ100μm)を集電体とし、前記集電体が内包できる大きさとなるようにアニオン伝導性膜を上部が開口した袋状に加工し、前記集電体をその中に配置した。
その状態で、前記ゲル状電池前駆体を袋の中へ注入し亜鉛負極とした。酸化亜鉛が飽和濃度溶解している8M水酸化カリウム水溶液を電解液とし、前記負極が配置されているビーカーに電解液を袋の上端に届かないところまで導入し、参照極として水銀電極、対極としてニッケル極を用いた三極セルを構成した。充放電電流30mA/cmとして、亜鉛負極の動作を確認したところ、99.8%のクーロン効率で100サイクル以上充放電できることを観測した。
(実施例3)
日本触媒社製アクアリック(IH、ポリアクリル酸ナトリウム)を2重量%含有するゲルを作製し、そこに酸化亜鉛:天然黒鉛:ゲルを30:1:10の質量割合で混合し、ゲル状電池前駆体を作製した。ゲル状電池前駆体は、B型粘度計(東京計器社製)を用いて25℃、30rpmの条件で測定したところ、粘度が40Pa・sであった。
また、ハイドロタルサイト:PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を50:50の質量割合で混合したのち、混練・圧延することでフィルム状に加工し、アニオン伝導性膜とした。
スズでメッキされたパンチング鋼板(厚さ100μm)を集電体とし、前記集電体が内包できる大きさとなるようにアニオン伝導性膜を上部が開口した袋状に加工し、前記集電体をその中に配置した。
その状態で、前記ゲル状電池前駆体を袋の中へ注入し亜鉛負極とした。酸化亜鉛が飽和濃度溶解している8M水酸化カリウム水溶液を電解液とし、前記負極が配置されているビーカーに電解液を袋の上端に届かないところまで導入し、参照極として水銀電極、対極としてニッケル極を用いた三極セルを構成した。放電レートとして10mA/cmから500mA/cmまで変化させてレート特性を測定したところ、天然黒鉛が入っていないものでは、100mA/cm程度でクーロン効率が低下したのに対し、天然黒鉛の添加により150mA/cmまで95%以上の効率を保つことができた。
上記実施例は、亜鉛負極や当該亜鉛負極を用いたニッケル亜鉛電池に係るものであり、これが本発明の好適な形態であるが、その他の種々の電極・電池においても、本発明のゲル状電極前駆体が、その少なくとも一面がイオン伝導性材料を用いて形成されるイオン伝導性膜に接するとともに、電極中で保持されて、活物質層が形成されるものとすれば、優れた充放電特性を有する電池を安価に製造でき、また、電極の容量を自由に設計することが可能となると理解される。少なくとも、本発明のゲル状電極前駆体が、イオン伝導性膜から構成される、ゲル状電極前駆体を保持できる構造体中で保持されて、活物質層が形成されるものとすれば、優れた充放電特性を有する電池を安価に製造でき、また、電極の容量を自由に設計することが可能となると理解される。
1:ゲル状電極前駆体を保持できる構造体
3:集電体
5:電極前駆体

Claims (10)

  1. 電極を形成するための前駆体であって、
    該前駆体は、活物質とポリマーとを含み、ゲル状である
    ことを特徴とするゲル状電極前駆体。
  2. 前記活物質は、亜鉛種である
    ことを特徴とする請求項1に記載のゲル状電極前駆体。
  3. 前記亜鉛種は、酸化亜鉛を含む
    ことを特徴とする請求項2に記載のゲル状電極前駆体。
  4. 前記ポリマーは、水溶性ポリマーである
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゲル状電極前駆体。
  5. 前記ポリマーは、カルボン酸(塩)基を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゲル状電極前駆体。
  6. 前記ゲル状電極前駆体は、電極の活物質層を形成するためのゲル状電極前駆体である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゲル状電極前駆体。
  7. 集電体と活物質層とを含んで構成される電極であって、
    該電極は、更に、イオン伝導性材料を用いて形成されるイオン伝導性膜を含み、
    該活物質層は、請求項6に記載のゲル状電極前駆体が、その少なくとも一面が該イオン伝導性膜に接するとともに、電極中で保持されて形成される
    ことを特徴とする電極。
  8. 前記イオン伝導性膜は、前記ゲル状電極前駆体を保持できる構造体を構成し、
    前記活物質層は、該ゲル状電極前駆体が、該構造体中で保持されて形成される
    ことを特徴とする請求項7に記載の電極。
  9. 前記イオン伝導性膜は、ポリマーと、周期表の第1族〜第17族から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物とを含むアニオン伝導性材料を用いて形成されるアニオン伝導性膜である
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の電極。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の電極を用いて構成される
    ことを特徴とする電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110534696A (zh) * 2019-07-29 2019-12-03 深圳大学 一种柔性电池及其制备方法

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