JP2020176210A - 多孔膜及び亜鉛電池 - Google Patents

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裕介 近藤
海斗 小暮
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海斗 小暮
富生 小川
Tomio Ogawa
富生 小川
水野 康之
Yasuyuki Mizuno
康之 水野
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Abstract

【課題】充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが可能な多孔膜を提供する。【解決手段】層状複水酸化物と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、層状複水酸化物の含有量が、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーの合計量を基準として70〜90質量%であり、透気度が5sec/100cc以上である、多孔膜。正極と、負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、を備え、セパレータが上述の多孔膜である、亜鉛電池。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔膜及び亜鉛電池に関する。
多孔膜は、例えば、亜鉛電池等の電池のセパレータとして用いられている。亜鉛電池としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池、銀亜鉛電池等が知られている。例えば、ニッケル亜鉛電池は、水酸化カリウム水溶液等の水系電解液を用いる水系電池であることから、高い安全性を有すると共に、亜鉛電極とニッケル電極との組み合わせにより、水系電池としては高い起電力を有することが知られている。さらに、ニッケル亜鉛電池は、優れた入出力性能に加えて、低コストであることから、産業用途(例えば、バックアップ電源等の用途)及び自動車用途(例えば、ハイブリッド自動車等の用途)への適用可能性が検討されている。
ニッケル亜鉛電池は、多孔膜を介して対向する正極及び負極を備えている。ニッケル亜鉛電池に用いられる多孔膜としては、表面にニッケル層を有する微孔性フィルムセパレータが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開平5−343096号公報
ところで、電池のセパレータとして用いられる多孔膜に対しては、多孔膜をセパレータとして用いて充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが求められる。
本発明の一側面は、前記事情に鑑みてなされたものであり、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが可能な多孔膜を提供することを目的とする。また、本発明の他の一側面は、前記多孔膜を備える亜鉛電池を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、層状複水酸化物と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、前記層状複水酸化物の含有量が、前記層状複水酸化物及び前記熱可塑性エラストマーの合計量を基準として70〜90質量%であり、透気度が5sec/100cc以上である、多孔膜を提供する。
本発明の他の一側面は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、を備え、前記セパレータが上述の多孔膜である、亜鉛電池を提供する。
上述の多孔膜及び亜鉛電池によれば、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることができる。
本発明の一側面によれば、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが可能な多孔膜を提供することができる。このような多孔膜は、亜鉛電池、燃料電池、空気電池等の電池のセパレータに用いることができる。本発明の他の一側面は、上述の多孔膜を備える亜鉛電池、燃料電池、空気電池等を提供することができる。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において「膜」又は「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る多孔膜は、層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、層状複水酸化物の含有量が、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーの合計量を基準として70〜90質量%であり、透気度が5sec/100cc以上である。本実施形態に係る多孔膜によれば、当該多孔膜をセパレータとして用いて充放電を繰り返した際に優れた寿命性能(サイクル寿命性能)を得ることができる。本実施形態に係る多孔膜によれば、当該多孔膜をセパレータとして用いて充放電を繰り返した際に、優れた放電容量維持率(初期に対する放電容量の維持率)を得ることができる。
本実施形態に係る多孔膜は、例えば、多孔性のシートである。本実施形態に係る多孔膜は、亜鉛電池、燃料電池、空気電池(空気亜鉛電池は亜鉛電池に包含される)等の電池のセパレータに用いることができる。
層状複水酸化物は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、ハイドロタルサイトを含むことが好ましい。ハイドロタルサイトは、層状の結晶構造を有しており、構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO」で表される。前記構造式中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価の金属イオンを示し、An−はn価の陰イオンを示し、0.20<x≦0.33であり、mは0又は正の数を示す。M2+としては、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Ni2+、Co2+、Cu2+、Cd2+等が挙げられ、優れた寿命性能が得られやすい観点から、Mg2+が好ましい。M3+としては、Al3+、Fe3+、Mn3+、Cr3+、Co3+、In3+、V3+等が挙げられ、優れた寿命性能が得られやすい観点から、Al3+が好ましい。An−としては、CO 2−、SO 2−、Cl、NO 等が挙げられ、優れた寿命性能が得られやすい観点から、CO 2−が好ましい。
ハイドロタルサイトにおいて3価の金属イオンの使用量に対する2価の金属イオンの使用量の比率(2価の金属イオンの使用量/3価の金属イオンの使用量)は、モル比で下記の範囲が好ましい。前記比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、2以上が好ましい。前記比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、4以下、又は、3以下が好ましい。これらの観点から、前記比率は、2〜4、又は、2〜3が好ましい。ハイドロタルサイトは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、マグネシウム(マグネシウムイオン)及びアルミニウム(アルミニウムイオン)を含み、且つ、アルミニウムの使用量に対するマグネシウムの使用量の比率がモル比でこれらの範囲であることが好ましい。
本実施形態に係る多孔膜は、層状複水酸化物を含む粒子(層状複水酸化物粒子。例えばハイドロタルサイト粒子)を含有してよい。層状複水酸化物粒子は、層状複水酸化物からなる粒子であってよい。
層状複水酸化物粒子は、優れた寿命性能が得られやすい観点、及び、優れた放電性能を得やすい観点から、表面処理剤により表面処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、ビニルシランカップリング剤及びその加水分解物;有機チタン化合物等が挙げられる。有機チタン化合物は、チタンカップリング剤であってよい。
層状複水酸化物粒子は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、ビニルシランカップリング剤及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一種の表面処理が施された粒子を含むことが好ましい。層状複水酸化物粒子は、ビニルシランカップリング剤及びその加水分解物の双方により表面処理された粒子を含んでよい。層状複水酸化物粒子は、ビニルシランカップリング剤及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一種を表面に有する粒子を含んでよい。
ビニルシランカップリング剤としては、ビニルアルコキシシラン(ケイ素原子に結合するビニル基を有するアルコキシシラン)を用いることができる。ビニルアルコキシシランは、ケイ素原子に結合するアルキル基を有していてよい。
ビニルシランカップリング剤は、ケイ素原子に結合するアルコキシ基の数が下記範囲であるビニルアルコキシシランを含むことが好ましい。ビニルアルコキシシランにおいて、ケイ素原子に結合するアルコキシ基の数は、層状複水酸化物粒子(例えばハイドロタルサイト粒子)に対する優れた反応性を得やすい観点から、1〜3が好ましく、2〜3がより好ましく、3が更に好ましい。ビニルアルコキシシランは、ケイ素原子に結合するアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有することが好ましく、メトキシ基及びエトキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有することがより好ましく、メトキシ基を有することが更に好ましい。
ビニルシランカップリング剤は、ケイ素原子に結合するビニル基の数が下記範囲であるビニルアルコキシシランを含むことが好ましい。ビニルアルコキシシランにおいて、ケイ素原子に結合するビニル基の数は、優れた寿命性能が得られやすい観点、及び、優れた放電性能を得やすい観点から、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1が更に好ましい。
ビニルシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン 、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルエトキシジメチルシラン等が挙げられる。ビニルシランカップリング剤は、優れた寿命性能が得られやすい観点、及び、優れた放電性能を得やすい観点から、ビニルトリメトキシシランを含むことが好ましい。
層状複水酸化物粒子は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、有機チタン化合物の表面処理が施された粒子を含むことが好ましい。層状複水酸化物粒子に対して有機チタン化合物の表面処理を施すことにより、層状複水酸化物粒子の表面にチタンを供給することができる。すなわち、層状複水酸化物粒子は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、表面にチタン(チタン原子)を有することが好ましい。層状複水酸化物粒子の表面にチタンが存在することは、例えばエネルギー分散型X線分析(EDX)又はX線光電分光法(XPS)により確認できる。層状複水酸化物粒子の表面は、チタンを含む化合物(例えば有機チタン化合物)を有していてよい。
有機チタン化合物は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、チタニウムキレート化合物を含むことが好ましく、チタン原子に配位した酸素原子を有するチタニウムキレート化合物を含むことがより好ましい。
有機チタン化合物としては、チタンオクチレングリコレート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウム等が挙げられる。有機チタン化合物としては、優れた寿命性能が得られやすい観点から、チタンオクチレングリコレート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、及び、チタンエチルアセトアセテートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
以下、表面処理された層状複水酸化物粒子を多孔膜が含有する場合、層状複水酸化物の含有量は、表面処理剤の量を含んでよく、表面処理剤の量を含まなくてもよい。層状複水酸化物以外の成分の含有量を導出するための層状複水酸化物の量についても同様である。
層状複水酸化物の含有量は、優れた寿命性能を得る観点から、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーの合計量を基準として70〜90質量%であり、下記の範囲が好ましい。層状複水酸化物の含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、70質量%を超える、72.5質量%以上、72.5質量%を超える、75質量%以上、75質量%を超える、77.5質量%以上、77.5質量%を超える、又は、80質量%以上が好ましい。層状複水酸化物の含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、90質量%未満、87.5質量%以下、87.5質量%未満、85質量%以下、85質量%未満、82.5質量%以下、又は、82.5質量%未満が好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、水添エラストマーを用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ナイロン系熱可塑性エラストマー(TPA)等が挙げられる。熱可塑性エラストマーは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)等が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、優れた機械強度及び透気度が得られやすい観点から、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)を含むことが好ましい。スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)は、エチレン及びブチレンの柔軟性セグメントと、スチレンの剛直なセグメントとを有していることにより、優れた機械強度及び透気度が得られやすいと推測される。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、オレフィン系熱可塑性ゴム架橋体(TPV)であってもよい。塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC)としては、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)としては、ポリウレタン(PU)等が挙げられる。ナイロン系熱可塑性エラストマー(TPA)としては、ポリアミド(PA)等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーの含有量は、優れた寿命性能を得る観点から、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーの合計量を基準として10〜30質量%であり、下記の範囲が好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、30質量%未満、27.5質量%以下、27.5質量%未満、25質量%以下、25質量%未満、22.5質量%以下、22.5質量%未満、又は、20質量%以下が好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、10質量%を超える、12.5質量%以上、12.5質量%を超える、15質量%以上、15質量%を超える、17.5質量%以上、又は、17.5質量%を超えることが好ましい。
多孔膜は、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマー以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、熱可塑性エラストマー以外の有機材料、層状複水酸化物以外の無機材料等が挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。有機材料としては、非イオン、カチオン、アニオン等の界面活性剤;低沸点有機溶剤(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)などが挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多孔膜は、多孔性基材を有していてもよい。多孔膜において層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーは、多孔性基材に担持していてよい。多孔性基材の材料としては、有機材料、無機材料などが挙げられる。有機材料としては、セルロース、ポリアミド系ポリマー(例えばポリアミド)、オレフィン系ポリマー(ポリオレフィン)、ナイロン系ポリマー(例えばナイロン)等が挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。多孔性基材は、これらの材料からなる多孔性シート、織布又は不織布であってよい。
多孔膜は、水酸化物イオンの優れたイオン伝導度が得られることにより優れた寿命性能が得られやすい観点から、表面処理が施されていてよい。表面処理が施された多孔膜としては、多孔膜の表面の一部又は全部に表面処理が施された多孔膜を用いることができる。多孔膜は、表面処理剤に由来する構造を表面に有していてよい。
多孔膜に表面処理を施すための表面処理剤としては、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、アルキルフェノールエトキシレート(アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル等が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、非イオン性界面活性剤を含むことが好ましく、アルキルフェノールエトキシレートを含むことがより好ましい。
アルキルフェノールエトキシレートのアルキル基の炭素数は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、3以上、5以上、6以上、7以上、又は、8以上が好ましい。アルキルフェノールエトキシレートのアルキル基の炭素数は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、15以下、12以下、10以下、9以下、又は、8以下が好ましい。これらの観点から、アルキルフェノールエトキシレートのアルキル基の炭素数は、3〜15が好ましい。界面活性剤は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、オクチルフェノールエトキシレートを含むことが好ましい。オクチルフェノールエトキシレートとしては、例えば、トリトンX−100(HLB値:13.5)を用いることができる。
界面活性剤のHLB値は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、10以上、11以上、12以上、又は、13以上が好ましい。界面活性剤のHLB値は、20以下、18以下、16以下、又は、14以下であってよい。これらの観点から、界面活性剤のHLB値は、10〜20であってよい。
多孔膜の透気度は、優れた寿命性能を得る観点から、5sec/100cc以上である。多孔膜の透気度は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、10sec/100cc以上、20sec/100cc以上、30sec/100cc以上、50sec/100cc以上、60sec/100cc以上、80sec/100cc以上、又は、100sec/100cc以上が好ましい。多孔膜の透気度は、優れた寿命性能を得やすい観点から、5000sec/100cc以下、2500sec/100cc以下、2000sec/100cc以下、1000sec/100cc以下、600sec/100cc以下、500sec/100cc以下、200sec/100cc以下、150sec/100cc以下、又は、120sec/100cc以下が好ましい。これらの観点から、多孔膜の透気度は、5〜5000sec/100ccが好ましい。透気度は、膜に対する空気の透過性の尺度であり、ガーレー試験機法を用いて一定圧力差のもとで一定体積の空気が一定面積の膜を通過する秒数で示すことができる。多孔膜の透気度は、ガーレー式デンソメータ(例えば、株式会社安田精機製作所製、商品名:No.323 GURLEY TYPE DENSOMETER、膜の面積:642mm(直径28.6mm))により測定することができる。
多孔膜の厚さは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上、90μm以上、又は、100μm以上が好ましい。多孔膜の厚さは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、200μm以下、180μm以下、150μm以下、120μm以下、又は、100μm以下が好ましい。これらの観点から、多孔膜の厚さは、5〜200μmが好ましい。多孔膜の厚さ(膜厚)としては、厚さの平均値を用いることができる。例えば、任意の数の厚さ(例えば5箇所の厚さ)の平均値を多孔膜の厚さとして用いることができる。
本実施形態に係る多孔膜の製造方法は、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーを含有する多孔膜を得る多孔膜形成工程を備える。多孔膜形成工程では、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーを含有する液を基材に接触させた後に乾燥させて多孔膜を得てもよく、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーを混錬して多孔膜を得てもよい。本実施形態に係る多孔膜の製造方法は、多孔膜形成工程の後に、多孔膜を基材から剥離する工程を備えていてよい。
本実施形態に係る多孔膜の製造方法は、多孔膜形成工程の前に、層状複水酸化物粒子を表面処理する粒子表面処理工程を更に備えていてよい。粒子表面処理工程では、例えば、表面処理剤と層状複水酸化物粒子とを接触させることができる。
表面処理剤の使用量は、層状複水酸化物粒子100質量部に対して下記の範囲が好ましい。表面処理剤の使用量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、0.5質量部以上、1質量部以上、1.5質量部以上、又は、2質量部以上が好ましい。表面処理剤の使用量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、又は、3質量部以下が好ましい。これらの観点から、表面処理剤の使用量は、0.5〜10質量部が好ましい。
本実施形態に係る多孔膜の製造方法は、多孔膜形成工程の後に、多孔膜を表面処理する多孔膜表面処理工程を更に備えていてよい。多孔膜表面処理工程では、例えば、表面処理剤(例えば界面活性剤)と多孔膜とを接触させることができる。
本実施形態に係る亜鉛電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、を備え、前記セパレータが、本実施形態に係る多孔膜である。本実施形態に係る多孔膜は、正極及び負極の少なくとも一方に接していてよく、優れた電池性能(例えば、放電性能及び寿命性能)が得られやすい観点から、負極に接していることが好ましい。本実施形態に係る多孔膜は、負極を包み込んでいてもよい。本実施形態に係る多孔膜は、正極に接していなくてもよい。本実施形態に係る亜鉛電池(例えば亜鉛二次電池)としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池、銀亜鉛電池等が挙げられる。本実施形態に係る亜鉛電池の基本構成としては、従来の亜鉛電池と同様の構成を用いることができる。
以下、本実施形態に係る亜鉛電池の一例として、ニッケル亜鉛電池について説明する。
本実施形態に係る亜鉛電池は、例えば、電槽、電解液(例えば水系電解液)及び電極群(例えば極板群)を備えている。電解液及び電極群は、電槽内に収容されている。本実施形態に係る亜鉛電池は、化成前及び化成後のいずれであってもよい。
電解液は、例えば、溶媒及び電解質を含有している。溶媒としては、水(例えばイオン交換水)等が挙げられる。電解質としては、塩基性化合物等が挙げられ、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。本実施形態に係る亜鉛電池は、アルカリ電解液を用いたアルカリ亜鉛電池として用いることができる。電解液は、溶媒及び電解質以外の成分を含有してもよく、例えば、リン酸カリウム、フッ化カリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、二酸化チタン、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等を含有してもよい。
電極群は、例えば、セパレータと、セパレータを介して対向する正極(正極板等)及び負極(負極板等)とによって構成されている。電極群において、正極同士及び負極同士は、例えば、ストラップで連結されている。
電極群は、セパレータとして、本実施形態に係る多孔膜以外の多孔膜を有していてもよい。このような多孔膜の材料としては、有機材料(樹脂材料等)、無機材料などが挙げられる。樹脂材料としては、ポリアミド系ポリマー(例えばポリアミド)、オレフィン系ポリマー(ポリエチレン等のポリオレフィン)、ナイロン系ポリマー(例えばナイロン)、セルロースなどが挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。本実施形態に係る多孔膜以外の多孔膜は、不織布であってもよい。
正極は、例えば、正極集電体と、当該正極集電体に支持された正極材と、を有している。正極は、化成前及び化成後のいずれであってもよい。
正極集電体は、正極材からの電流の導電路を構成する。正極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。正極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された3次元網目構造の集電体などであってもよい。正極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、正極の反応電位でも安定である材料(正極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、正極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し酸素ガスが発生するが、酸素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。正極集電体を構成する材料の具体例としては、白金;ニッケル;ニッケル等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼等)などが挙げられる。
正極材は、層状(正極材層)であってもよい。例えば、正極集電体上に正極材層が形成されていてもよく、正極集電体が3次元網目構造を有する場合には、正極集電体の網目の間に正極材が充填されて正極材層が形成されていてもよい。
正極材は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、水酸化ニッケル等が挙げられる。正極材は、例えば、満充電状態ではオキシ水酸化ニッケルを含有し、放電末状態では水酸化ニッケルを含有する。正極活物質の使用量は、例えば、正極材の全質量を基準として50〜95質量%であってもよい。
正極材は、正極活物質以外の添加剤を含有することができる。添加剤としては、結着剤、導電剤、膨張抑制剤等が挙げられる。結着剤としては、親水性又は疎水性のポリマー等が挙げられ、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリアクリル酸ナトリウム(SPA)、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)などが挙げられる。結着剤の使用量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01〜5質量部であってもよい。導電剤としては、コバルト化合物(金属コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト等)などが挙げられる。導電剤の使用量は、例えば、正極活物質100質量部に対して1〜20質量部であってもよい。膨張抑制剤としては、酸化亜鉛等が挙げられる。膨張抑制剤の使用量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01〜5質量部であってもよい。
負極は、例えば、負極集電体と、当該負極集電体に支持された負極材と、を有している。負極は、化成前及び化成後のいずれであってもよい。
負極集電体は、負極材からの電流の導電路を構成する。負極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。負極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された3次元網目構造の集電体などであってもよい。負極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、負極の反応電位でも安定である材料(負極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、負極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し水素ガスが発生するが、水素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。負極集電体を構成する材料の具体例としては、亜鉛;鉛;スズ;スズ等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼、ニッケル等)などが挙げられる。
負極材は、層状(負極材層)であってもよい。例えば、負極集電体上に負極材層が形成されていてもよく、負極集電体が3次元網目構造を有する場合には、負極集電体の網目の間に負極材が充填されて負極材層が形成されていてもよい。
負極材は、亜鉛を含む負極活物質を含有する。負極活物質としては、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。負極材は、例えば、満充電状態では金属亜鉛を含有し、放電末状態では酸化亜鉛及び水酸化亜鉛を含有する。
負極活物質の使用量は、負極材の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。負極活物質の使用量は、優れた寿命性能と放電性能とを両立しやすい観点から、50質量%以上、70質量%以上、又は、75質量%以上が好ましい。負極活物質の使用量は、優れた寿命性能と放電性能とを両立しやすい観点から、95質量%以下、90質量%以下、又は、85質量%以下が好ましい。これらの観点から、負極活物質の使用量は、50〜95質量%が好ましい。
負極材は、負極活物質以外の添加剤を含有することができる。添加剤としては、結着剤、導電剤等が挙げられる。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。結着剤の使用量は、例えば、負極活物質100質量部に対して0.5〜10質量部であってもよい。導電剤としては、インジウム化合物(酸化インジウム等)などが挙げられる。導電剤の使用量は、例えば、負極活物質100質量部に対して1〜20質量部であってもよい。
本実施形態に係る亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛電池)の製造方法は、例えば、亜鉛電池の構成部材を得る構成部材製造工程と、構成部材を組み立てて亜鉛電池を得る組立工程と、を備える。構成部材製造工程では、少なくとも電極(正極及び負極)並びに多孔膜を得る。多孔膜は、上述のとおり、本実施形態に係る多孔膜の製造方法により得ることができる。
電極は、例えば、電極材(正極材及び負極材)の原料に対して溶媒(例えば水)を加えて混練することにより電極材ペースト(ペースト状の電極材)を得た後、電極材ペーストを用いて電極材層を形成することにより得ることができる。
正極材の原料としては、正極活物質の原料(例えば水酸化ニッケル)、添加剤(例えば前記結着剤)等が挙げられる。負極材の原料としては、負極活物質の原料(例えば金属亜鉛、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛)、添加剤(例えば前記結着剤)等が挙げられる。
電極材層を形成する方法としては、例えば、電極材ペーストを集電体に塗布又は充填した後に乾燥することで電極材層を得る方法が挙げられる。電極材層は、必要に応じて、プレス等によって密度を高めてもよい。
組立工程では、例えば、構成部材製造工程で得られた正極及び負極を、セパレータを介して交互に積層した後、正極同士及び負極同士をストラップで連結させて電極群を作製する。セパレータの少なくとも一つは、本実施形態に係る多孔膜を有している。次いで、この電極群を電槽内に配置した後、電槽の上面に蓋体を接着して未化成の亜鉛電池(ニッケル亜鉛電池)を得る。
続いて、電解液を未化成の亜鉛電池の電槽内に注入した後、一定時間放置する。次いで、所定の条件にて充電を行うことで化成することにより亜鉛電池(ニッケル亜鉛電池)を得る。化成条件は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の性状に応じて調整することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、正極がニッケル電極であるニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池)の例を説明したが、亜鉛電池は、正極が空気極である空気亜鉛電池(例えば空気亜鉛二次電池)であってもよく、正極が酸化銀極である銀亜鉛電池(例えば銀亜鉛二次電池)であってもよい。
空気亜鉛電池の空気極としては、空気亜鉛電池に使用される公知の空気極を用いることができる。空気極は、例えば、空気極触媒、電子伝導性材料等を含む。空気極触媒としては、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒を用いることができる。
空気極触媒としては、空気亜鉛電池における正極として機能するものを用いることが可能であり、酸素を正極活物質として利用可能な種々の空気極触媒が使用できる。空気極触媒としては、酸化還元触媒機能を有するカーボン系材料(黒鉛等)、酸化還元触媒機能を有する金属材料(白金、ニッケル等)、酸化還元触媒機能を有する無機酸化物材料(ペロブスカイト型酸化物、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、スピネル酸化物等)などが挙げられる。空気極触媒の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状であってもよい。空気極における空気極触媒の使用量は、空気極の合計量に対して、5〜70体積%であってもよく、5〜60体積%であってもよく、5〜50体積%であってもよい。
電子伝導性材料としては、導電性を有し、かつ、空気極触媒とセパレータとの間の電子伝導を可能とするものを用いることができる。電子伝導性材料としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類;鱗片状黒鉛のような天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等のグラファイト類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類;銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末類;ポリフェニレン誘導体等の有機電子伝導性材料;これらの任意の混合物などが挙げられる。電子伝導性材料の形状は、粒子状であってもよく、その他の形状であってもよい。電子伝導性材料は、空気極において厚さ方向に連続した相をもたらす形態で用いられることが好ましい。例えば、電子伝導性材料は、多孔質材料であってもよい。また、電子伝導性材料は、空気極触媒との混合物又は複合体の形態であってもよく、前述したように、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒であってもよい。空気極における電子伝導性材料の使用量は、空気極の合計量に対して、10〜80体積%であってもよく、15〜80体積%であってもよく、20〜80体積%であってもよい。
銀亜鉛電池の酸化銀極としては、銀亜鉛電池に使用される公知の酸化銀極を用いることができる。酸化銀極は、例えば酸化銀(I)を含む。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<多孔膜の作製>
(実施例1)
以下の手順でハイドロタルサイト粒子(構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO」においてM2+=Mg2+、M3+=Al3+、x=1/3、An−=CO 2−、マグネシウム/アルミニウムのモル比:2)を作製した。まず、1.03mol/Lの塩化マグネシウム及び0.239mol/Lの硫酸アルミニウムを含む水溶液Aと、0.753mol/Lの炭酸ナトリウムを含む水溶液Bと、3.39Nの水酸化ナトリウムを含む水溶液Cとを調製した。次に、定量ポンプを用いて水溶液A及び水溶液Bを4.5:1(A:B)の容量比で反応槽に加えた後、定量ポンプを用いて水溶液Cを加えてpH9.5〜10.0の混合液を得た。そして、混合液を反応温度80℃に保持することにより沈殿物を生成させてハイドロタルサイトスラリーを得た。ハイドロタルサイトスラリーを水洗した後に乾燥し、さらに、篩によって分級することでハイドロタルサイト粒子の平均粒径を0.4〜0.7nmに調整した。
トルエンをサンプル瓶に添加した後、トルエンを攪拌しながらビニルシランカップリング剤(信越化学株式会社製、商品名:KBM1003、ビニルトリメトキシシラン)を加えて溶液Dを得た。この溶液Dを攪拌しながら上述のハイドロタルサイト粒子を加えた後、充分に反応させるため1時間超音波をかけながら攪拌して、ビニルシランカップリング剤の表面処理が施されたハイドロタルサイト粒子を含有する溶液Eを得た。ビニルシランカップリング剤の使用量は、ハイドロタルサイト粒子100質量部に対して2質量部であった。
ハイドロタルサイト粒子が分散した状態の溶液Eに対して、SEBS(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックM1913)のトルエン溶液(固形分濃度20質量%)を加えた後、2時間攪拌して溶液Fを得た。次に、ナイロンメッシュ(膜厚85μm、目開き200)を用いて溶液Fのダマを取り除いた後、真空脱泡攪拌装置(株式会社シンキー製、商品名:ARV−310)を用いて1000rpmで10分攪拌してスラリー(上述のハイドロタルサイト粒子:75質量部(ビニルシランカップリング剤の質量を含む)、SEBS:25質量部(固形分))を得た。
含浸槽内で不織布(平均細孔径:6μm、透気度:0.5sec/100cc、厚さ:100μm、構成材料:セルロース)に上述のスラリーを含浸させ、カットバーで余剰なスラリーを除去した後に120℃で10分乾燥させてシートを作製した。
次に、水99質量部にTriton X−100を1質量部加えた後に1時間攪拌することにより非イオン性界面活性剤(Triton X−100)の溶液を調製した。そして、非イオン性界面活性剤の溶液に上述のシートを含浸させた後にシートを室温で24時間乾燥させることによって表面処理(親水化処理)を施すことにより多孔膜を得た。
(実施例2)
80質量部のハイドロタルサイト粒子と、20質量部(固形分)のSEBSとを含有するスラリーを得たこと以外は実施例1と同様にして多孔膜を作製した。
(実施例3)
ビニルシランカップリング剤の代わりにチタン系カップリング剤(マツモトファインケミカル株式会社製、商品名:TC−201、チタン原子に配位した酸素原子を有するチタニウムキレート化合物、チタンオクチレングリコレート)を用いたこと以外は実施例1と同様にして多孔膜を作製した。
(実施例4)
ビニルシランカップリング剤の代わりにチタン系カップリング剤(マツモトファインケミカル株式会社製、商品名:TC−201、チタン原子に配位した酸素原子を有するチタニウムキレート化合物、チタンオクチレングリコレート)を用いたこと以外は実施例2と同様にして多孔膜を作製した。
(比較例1)
65質量部のハイドロタルサイト粒子と、35質量部(固形分)のSEBSとを含有するスラリーを得たこと以外は実施例1と同様にして多孔膜を作製した。
(比較例2)
85質量部のハイドロタルサイト粒子と、15質量部(固形分)のSEBSとを含有するスラリーを得たこと以外は実施例1と同様にして多孔膜を作製した。
(比較例3)
95質量部のハイドロタルサイト粒子と、5質量部(固形分)のSEBSとを含有するスラリーを得たこと以外は実施例1と同様に行ったものの、各種測定が可能な程度の機械強度を有する多孔膜が得られなかった。
<多孔膜の膜厚>
膜厚計(株式会社ミツトヨ製、商品名:マイクロメータ)を用いて多孔膜の任意の5点の膜厚を測定した結果、実施例及び比較例の多孔膜の平均膜厚は100μmであった。
<多孔膜の透気度>
ガーレー式デンソメータ(株式会社安田精機製作所製、商品名:No.323 GURLEY TYPE DENSOMETER)を用いて多孔膜の透気度(100ccの空気が多孔膜を通過するために要した時間(sec/100cc))を測定した。結果を表1に示す。
<ニッケル亜鉛電池の作製>
(ニッケル電極の作製)
多孔度96%、厚さ1.4mmのスポンジ状ニッケル金属多孔体をロールプレスにより厚さ0.8mmまで加圧成形した。次に、平均粒径が20μmのコバルト被覆水酸化ニッケル粉末88質量部と添加剤(コバルト粉末8質量部、酸化コバルト2質量部、酸化亜鉛2質量部、及び、カルボキシメチルセルロースの2質量%水溶液30質量部)とを混合して正極材ペーストを得た。この正極材ペーストを上述のニッケル金属多孔体に充填した後、80℃で60分乾燥することにより正極材を得た。そして、ロールプレスにより厚さ(全厚)0.41mmまで加圧成形してニッケル電極を作製した。
(亜鉛電極の作製)
酸化亜鉛粉末82質量部、亜鉛粉末10質量部、及び、添加剤(酸化インジウム)5質量部を混合して得られた混合粉末に、PTFEを60質量%含有するPTFEディスパージョン(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、商品名:テフロン(登録商標)31−JR)5質量部と水10質量部とを加えた後、剪断応力を加えながら乳鉢で15分間混練して混練物を得た。次に、水40質量部を加えた後に15分間混練して負極材ペーストを得た。この負極材ペーストをローラで1.0mmまで圧延してシート化した後、所定寸法の2枚のシートを切り取った。そして、2枚のシートを集電体(厚さ0.1mmスズメッキ銅製のパンチングメタル)の両面に配置した後、加圧成形及び乾燥を施すことにより、負極材を集電体の両面に有する亜鉛電極(厚さ(全厚):0.38mm)を作製した。
(ニッケル亜鉛電池の組み立て)
非イオン性界面活性剤の溶液を用いて上記と同様に親水化処理した微多孔膜(ハイドロタルサイトを含有しない膜、平均細孔径:30nm、透気度426sec/100cc、構成材料:ポリエチレン)で上述のニッケル電極1枚を包み、上述の多孔膜で2枚の亜鉛電極のそれぞれを包んだ。不織布(ハイドロタルサイトを含有しない膜、平均細孔径:6μm、透気度:0.5sec/100cc、厚さ:100μm、構成材料:セルロース)を介してこれらのニッケル電極及び亜鉛電極を交互に積層した後、同極性の極板同士をスポット溶接で連結させて極板群を作製した。この極板群を電槽内に配置して未化成のニッケル亜鉛電池を得た。水酸化リチウム1質量%を含む水酸化カリウム30質量%水溶液を電解液として未化成のニッケル亜鉛電池に注入した後、24時間放置した。その後、25℃の環境下において、電流値30mA、11時間の充電を行った後、電流値150mAで1.0Vまで放電した。続いて、電流値60mA、5時間の充電を行った後、電流値150mAで1.3Vまで放電した。充放と放電との間には1時間の休止を入れた。このようにして設計容量300mAhのニッケル亜鉛電池を作製した。
<電池性能評価>
25℃の環境下において、電流値300mA(1C)で1.9Vまで定電流充電した後、電流値が15mA(0.05C)に到達するまで定電圧充電することによりニッケル亜鉛電池の充電を行い、さらに、電池電圧が1.1Vに到達するまで15mA(0.05C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行うことを1サイクルとする試験を最大で200サイクル行った。放電容量維持率(初期に対する放電容量の維持率)が60%以下に低下する場合、又は、充電率(充電容量/放電容量の比)が110%を超えた場合を内部短絡の発生点(サイクル寿命)とみなし、内部短絡が発生するまでのサイクル数を評価した。結果を表1に示す。実施例では、200サイクルに至るまで内部短絡が発生しなかった。200サイクル時の放電容量維持率を表1に示す。比較例1では、50サイクルに至る前に、放電容量が初期容量の60%以下に低下した。比較例2では、100サイクルに至る前に、内部短絡が発生した。
Figure 2020176210
表1に示されるように、実施例では、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることができることが確認される。

Claims (8)

  1. 層状複水酸化物と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、
    前記層状複水酸化物の含有量が、前記層状複水酸化物及び前記熱可塑性エラストマーの合計量を基準として70〜90質量%であり、
    透気度が5sec/100cc以上である、多孔膜。
  2. 前記層状複水酸化物がハイドロタルサイトを含む、請求項1に記載の多孔膜。
  3. 前記層状複水酸化物を含む粒子を含有し、
    前記粒子が、ビニルシランカップリング剤及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一種の表面処理が施された粒子を含む、請求項1又は2に記載の多孔膜。
  4. 前記層状複水酸化物を含む粒子を含有し、
    前記粒子が表面にチタンを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔膜。
  5. 前記粒子が、有機チタン化合物の表面処理が施された粒子を含む、請求項4に記載の多孔膜。
  6. 前記有機チタン化合物が、チタン原子に配位した酸素原子を有するチタニウムキレート化合物を含む、請求項5に記載の多孔膜。
  7. 前記熱可塑性エラストマーがスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔膜。
  8. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、を備え、
    前記セパレータが、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔膜である、亜鉛電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022107568A1 (ja) * 2020-11-20 2022-05-27 日本碍子株式会社 Ldhセパレータ及び亜鉛二次電池

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