JP2021077473A - 多層膜及び亜鉛電池 - Google Patents

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海斗 小暮
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響子 平井
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裕介 近藤
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Abstract

【課題】充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが可能な多層膜、及び、当該多層膜を備える亜鉛電池を提供する。【解決手段】互いに一体化した第1の多孔層及び第2の多孔層を有し、第1の多孔層が、層状複水酸化物と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、第2の多孔層の平均孔径が100nm以下である、多層膜。正極と、負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、を備え、セパレータが前述の多層膜である、亜鉛電池。【選択図】なし

Description

本発明は、多層膜及び亜鉛電池に関する。
多孔膜は、例えば、亜鉛電池等の電池のセパレータとして用いられている。亜鉛電池としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池、銀亜鉛電池等が知られている。例えば、ニッケル亜鉛電池は、水酸化カリウム水溶液等の水系電解液を用いる水系電池であることから、高い安全性を有すると共に、亜鉛電極とニッケル電極との組み合わせにより、水系電池としては高い起電力を有することが知られている。さらに、ニッケル亜鉛電池は、優れた入出力性能に加えて、低コストであることから、産業用途(例えば、バックアップ電源等の用途)及び自動車用途(例えば、ハイブリッド自動車等の用途)への適用可能性が検討されている。
ニッケル亜鉛電池は、多孔膜を介して対向する正極及び負極を備えている。ニッケル亜鉛電池に用いられる多孔膜としては、表面にニッケル層を有する微孔性フィルムセパレータが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開平5−343096号公報
ところで、電池のセパレータとして用いられる多孔膜に対しては、多孔膜をセパレータとして用いて充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが求められる。
本発明の一側面は、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが可能な多層膜を提供することを目的とする。また、本発明の他の一側面は、前記多層膜を備える亜鉛電池を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、互いに一体化した第1の多孔層及び第2の多孔層を有し、第1の多孔層が、層状複水酸化物と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、第2の多孔層の平均孔径が100nm以下である、多層膜を提供する。
本発明の他の一側面は、正極と、負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、を備え、セパレータが上述の多層膜である、亜鉛電池を提供する。
上述の多層膜及び亜鉛電池によれば、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることができる。
本発明の一側面によれば、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることが可能な多層膜を提供することができる。このような多層膜は、亜鉛電池、燃料電池、空気電池等の電池のセパレータに用いることができる。本発明の他の一側面は、上述の多層膜を備える亜鉛電池、燃料電池、空気電池等を提供することができる。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において「膜」又は「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る多層膜は、複数の多孔層を有する多孔膜である。本実施形態に係る多層膜は、互いに一体化した第1の多孔層及び第2の多孔層を有し、第1の多孔層が、層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、第2の多孔層の平均孔径が100nm以下である。本実施形態に係る多層膜によれば、当該多層膜をセパレータとして用いて充放電を繰り返した際に優れた寿命性能(サイクル寿命性能)を得ることができる。本実施形態に係る多層膜は、亜鉛電池、燃料電池、空気電池(空気亜鉛電池は亜鉛電池に包含される)等の電池のセパレータに用いることができる。
第2の多孔層は、第1の多孔層に接して一体化しており、互いに積層されていてよい。第1の多孔層及び第2の多孔層は、一体不可分に互いに密着(複合化)しており、例えば、第1の多孔層と第2の多孔層とを剥離しようとした場合に、少なくとも一方の層における接合部分が破損する程度に密着している。本実施形態に係る多層膜は、第1の多孔層及び第2の多孔層以外の多孔層を有してよい。
第1の多孔層における層状複水酸化物は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、ハイドロタルサイトを含むことが好ましい。ハイドロタルサイトは、層状の結晶構造を有しており、構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO」で表される。前記構造式中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価の金属イオンを示し、An−はn価の陰イオンを示し、0.20<x≦0.33であり、mは0又は正の数を示す。M2+としては、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Ni2+、Co2+、Cu2+、Cd2+等が挙げられ、優れた寿命性能が得られやすい観点から、Mg2+が好ましい。M3+としては、Al3+、Fe3+、Mn3+、Cr3+、Co3+、In3+、V3+等が挙げられ、優れた寿命性能が得られやすい観点から、Al3+が好ましい。An−としては、CO 2−、SO 2−、Cl、NO 等が挙げられ、優れた寿命性能が得られやすい観点から、CO 2−が好ましい。
ハイドロタルサイトにおいて3価の金属イオンの使用量に対する2価の金属イオンの使用量の比率(2価の金属イオンの使用量/3価の金属イオンの使用量)は、モル比で下記の範囲が好ましい。前記比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、2以上が好ましい。前記比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、4以下、又は、3以下が好ましい。これらの観点から、前記比率は、2〜4、又は、2〜3が好ましい。ハイドロタルサイトは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、マグネシウム(マグネシウムイオン)及びアルミニウム(アルミニウムイオン)を含み、且つ、アルミニウムの使用量に対するマグネシウムの使用量の比率がモル比でこれらの範囲であることが好ましい。
第1の多孔層は、層状複水酸化物を含む粒子(層状複水酸化物粒子。例えばハイドロタルサイト粒子)を含有してよい。層状複水酸化物粒子は、層状複水酸化物からなる粒子であってよい。
層状複水酸化物粒子は、表面処理剤により表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、ビニルシランカップリング剤及びその加水分解物;有機チタン化合物等が挙げられる。有機チタン化合物は、チタンカップリング剤であってよい。以下、表面処理された層状複水酸化物粒子を多孔層が含有する場合、当該層状複水酸化物粒子の含有量は、表面処理剤の量を含んでよく、表面処理剤の量を含まなくてもよい。表面処理された層状複水酸化物粒子以外の成分の含有量を導出するための当該層状複水酸化物粒子の量についても同様である。
層状複水酸化物の含有量は、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーの合計量を基準として下記の範囲が好ましい。層状複水酸化物の含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、70質量%を超える、72.5質量%以上、72.5質量%を超える、75質量%以上、75質量%を超える、77.5質量%以上、77.5質量%を超える、又は、80質量%以上が好ましい。層状複水酸化物の含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、90質量%以下、85質量%以下、85質量%未満、82.5質量%以下、82.5質量%未満、又は、80質量%以下が好ましい。これらの観点から、層状複水酸化物の含有量は、60〜90質量%が好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、水添エラストマーを用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱可塑性エラストマーは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)等が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、優れた機械強度及び透気度が得られやすい観点から、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)を含むことが好ましい。スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)は、エチレン及びブチレンの柔軟性セグメントと、スチレンの剛直なセグメントとを有していることにより、優れた機械強度及び透気度が得られやすいと推測される。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、オレフィン系熱可塑性ゴム架橋体(TPV)であってもよい。塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC)としては、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPC)としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)としては、ポリウレタン(PU)等が挙げられる。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、ナイロン系熱可塑性エラストマー(TPA);ポリアミド(PA)等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーの含有量は、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーの合計量を基準として下記の範囲が好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、30質量%未満、27.5質量%以下、27.5質量%未満、又は、25質量%以下が好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、20質量%を超える、22.5質量%以上、22.5質量%を超える、又は、25質量%以上が好ましい。これらの観点から、熱可塑性エラストマーの含有量は、10〜40質量%が好ましい。
第1の多孔層は、層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマー以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、熱可塑性エラストマー以外の有機材料、層状複水酸化物以外の無機材料等が挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。有機材料としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等の界面活性剤;低沸点有機溶剤(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)などが挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1の多孔層は、多孔性基材を有していてもよい。第1の多孔層において層状複水酸化物及び熱可塑性エラストマーは、多孔性基材に担持していてよい。多孔性基材の材料としては、有機材料、無機材料等が挙げられる。有機材料としては、セルロース、ポリアミド系ポリマー(例えば、ポリアミド;アラミド;ナイロン等のナイロン系ポリマー)、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン)、ポリエステル、ビニロン、レーヨンなどが挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。多孔性基材は、これらの材料からなる多孔性シート、織布又は不織布であってよい。
第1の多孔層の厚さは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上又は25μm以上が好ましい。第1の多孔層の厚さは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、200μm以下、180μm以下、150μm以下、120μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下又は25μm以下が好ましい。これらの観点から、第1の多孔層の厚さは、5〜200μmが好ましい。第1の多孔層の厚さとしては、厚さの平均値を用いることができる。例えば、任意の数の厚さ(例えば5箇所の厚さ)の平均値を第1の多孔層の厚さとして用いることができる。
第1の多孔層及び第2の多孔層の厚さの合計に対する第1の多孔層の厚さの比率(第1の多孔層の厚さ/厚さの合計)、並びに、多層膜の厚さ(全厚)に対する第1の多孔層の厚さの比率(第1の多孔層の厚さ/多層膜の厚さ)は、0%を超え100%未満であり、下記の範囲が好ましい。比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、又は、50%以上が好ましい。比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、又は、50%以下が好ましい。これらの観点から、比率は、10〜90%が好ましく、50〜80%がより好ましい。比率は、50%を超えてよく、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上又は80%以上であってもよい。第1の多孔層及び第2の多孔層としては、厚さの平均値を用いることができる。
第2の多孔層の構成材料としては、有機材料(樹脂材料等)、無機材料などが挙げられる。有機材料としては、ポリアミド系ポリマー(例えば、ポリアミド;アラミド;ナイロン等のナイロン系ポリマー)、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン)、セルロースなどが挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。第2の多孔層は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等の界面活性剤を含有してもよい。
第2の多孔層は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、ポリアミド系ポリマー及びオレフィン系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。オレフィン系ポリマーは、優れた寿命性能が得られやすい観点、及び、電解液に対して安定性が高く、耐酸化性の高い観点から、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
第2の多孔層は、多孔性基材を有していてもよい。第2の多孔層において有機材料(樹脂材料等)、無機材料などは、多孔性基材に担持していてよい。多孔性基材の材料としては、有機材料、無機材料等が挙げられる。有機材料としては、セルロース、ポリアミド系ポリマー(例えば、ポリアミド;アラミド;ナイロン等のナイロン系ポリマー)、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン)、ポリエステル、ビニロン、レーヨンなどが挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。多孔性基材は、これらの材料からなる多孔性シート、織布又は不織布であってよい。
第2の多孔層の平均孔径(モード径)は、0nmを超え100nm以下である。第2の多孔層の平均孔径が100nm以下であることにより、優れた寿命性能が得られやすい。第2の多孔層の平均孔径は、更に優れた寿命性能が得られやすい観点から、95nm以下、90nm以下、85nm以下、又は、80nm以下が好ましい。第2の多孔層の平均孔径は、水酸化物イオンの移動抵抗の増加を抑制して更に優れた寿命性能が得られやすい観点から、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、又は、80nm以上が好ましい。平均孔径(モード径)は、水銀ポロシメーター(例えば、Mictomeritics社製、AutoPoreIV9510)を用いて測定することができる。
第2の多孔層の厚さは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上又は25μm以上が好ましい。第2の多孔層の厚さは、優れた寿命性能が得られやすい観点から、200μm以下、180μm以下、150μm以下、120μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下又は25μm以下が好ましい。これらの観点から、第2の多孔層の厚さは、5〜200μmが好ましい。第2の多孔層の厚さとしては、厚さの平均値を用いることができる。例えば、任意の数の厚さ(例えば5箇所の厚さ)の平均値を第2の多孔層の厚さとして用いることができる。
多層膜の厚さ(全厚)に対する第2の多孔層の厚さの比率(第2の多孔層の厚さ/多層膜の厚さ)は、0%を超え100%未満であり、下記の範囲が好ましい。比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、又は、50%以下が好ましい。比率は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、又は、50%以上が好ましい。これらの観点から、比率は、10〜90%が好ましく、20〜50%がより好ましい。比率は、50%未満、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下又は20%以下であってもよい。
多層膜の全体、第1の多孔層及び第2の多孔層のそれぞれは、表面処理が施されていてよい。表面処理が施された多層膜又は多孔層では、多層膜又は多孔層の表面の一部又は全部に表面処理が施されていてよい。多層膜又は多孔層は、表面処理剤に由来する構造を表面に有していてよい。表面処理を施すための表面処理剤としては、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。表面処理は、スルホン化処理、フッ素ガス処理、アクリル酸グラフト重合処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等の親水化処理であってもよい。
本実施形態に係る亜鉛電池は、正極と、負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、を備え、セパレータが、本実施形態に係る多層膜である。本実施形態に係る多層膜は、正極及び負極の少なくとも一方に接していてよく、優れた電池性能(例えば、放電性能及び寿命性能)が得られやすい観点から、負極に接していることが好ましい。本実施形態に係る亜鉛電池では、多層膜において第1の多孔層は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、第2の多孔層に対して負極側に配置されていることが好ましく、負極に接していることがより好ましい。本実施形態に係る多層膜は、負極を包み込んでいてもよく、袋状の多層膜において第1の多孔層が第2の多孔層に対して内側に配置されてよい。本実施形態に係る多層膜は、正極に接していなくてもよい。本実施形態に係る亜鉛電池(例えば亜鉛二次電池)としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池、銀亜鉛電池等が挙げられる。本実施形態に係る亜鉛電池の基本構成としては、従来の亜鉛電池と同様の構成を用いることができる。
以下、本実施形態に係る亜鉛電池の一例として、ニッケル亜鉛電池について説明する。
本実施形態に係る亜鉛電池は、例えば、電槽、電解液(例えば水系電解液)及び電極群(例えば極板群)を備えている。電解液及び電極群は、電槽内に収容されている。本実施形態に係る亜鉛電池は、化成前及び化成後のいずれであってもよい。
電解液は、例えば、溶媒及び電解質を含有している。溶媒としては、水(例えばイオン交換水)等が挙げられる。電解質としては、塩基性化合物等が挙げられ、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。本実施形態に係る亜鉛電池は、アルカリ電解液を用いたアルカリ亜鉛電池として用いることができる。電解液は、溶媒及び電解質以外の成分を含有してもよく、例えば、リン酸カリウム、フッ化カリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、二酸化チタン、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等を含有してもよい。
電極群は、例えば、セパレータと、セパレータを介して対向する正極(正極板等)及び負極(負極板等)とによって構成されている。電極群において、正極同士及び負極同士は、例えば、ストラップで連結されている。
電極群は、セパレータとして、本実施形態に係る多層膜と一体化していない多孔膜を有していてもよい。このような多孔膜の材料としては、有機材料(樹脂材料等)、無機材料などが挙げられる。樹脂材料としては、ポリアミド系ポリマー(例えば、ポリアミド;アラミド;ナイロン等のナイロン系ポリマー)、オレフィン系ポリマー(ポリエチレン等のポリオレフィン)、セルロースなどが挙げられる。無機材料としては、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などが挙げられる。本実施形態に係る多層膜以外の多孔膜は、不織布であってもよい。
正極は、例えば、正極集電体と、当該正極集電体に支持された正極材と、を有している。正極は、化成前及び化成後のいずれであってもよい。
正極集電体は、正極材からの電流の導電路を構成する。正極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。正極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された3次元網目構造の集電体などであってもよい。正極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、正極の反応電位でも安定である材料(正極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、正極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し酸素ガスが発生するが、酸素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。正極集電体を構成する材料の具体例としては、白金;ニッケル;ニッケル等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼等)などが挙げられる。
正極材は、層状(正極材層)であってもよい。例えば、正極集電体上に正極材層が形成されていてもよく、正極集電体が3次元網目構造を有する場合には、正極集電体の網目の間に正極材が充填されて正極材層が形成されていてもよい。
正極材は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、水酸化ニッケル等が挙げられる。正極材は、例えば、満充電状態ではオキシ水酸化ニッケルを含有し、放電末状態では水酸化ニッケルを含有する。正極活物質の使用量は、例えば、正極材の全質量を基準として50〜95質量%であってもよい。
正極材は、正極活物質以外の添加剤を含有することができる。添加剤としては、結着剤、導電剤、膨張抑制剤等が挙げられる。結着剤としては、親水性又は疎水性のポリマー等が挙げられ、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリアクリル酸ナトリウム(SPA)、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)などが挙げられる。結着剤の使用量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01〜5質量部であってもよい。導電剤としては、コバルト化合物(金属コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト等)などが挙げられる。導電剤の使用量は、例えば、正極活物質100質量部に対して1〜20質量部であってもよい。膨張抑制剤としては、酸化亜鉛等が挙げられる。膨張抑制剤の使用量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01〜5質量部であってもよい。
負極は、例えば、負極集電体と、当該負極集電体に支持された負極材と、を有している。負極は、化成前及び化成後のいずれであってもよい。
負極集電体は、負極材からの電流の導電路を構成する。負極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。負極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された3次元網目構造の集電体などであってもよい。負極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、負極の反応電位でも安定である材料(負極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、負極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し水素ガスが発生するが、水素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。負極集電体を構成する材料の具体例としては、亜鉛;鉛;スズ;スズ等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼、ニッケル等)などが挙げられる。
負極材は、層状(負極材層)であってもよい。例えば、負極集電体上に負極材層が形成されていてもよく、負極集電体が3次元網目構造を有する場合には、負極集電体の網目の間に負極材が充填されて負極材層が形成されていてもよい。
負極材は、亜鉛を含む負極活物質を含有する。負極活物質としては、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。負極材は、例えば、満充電状態では金属亜鉛を含有し、放電末状態では酸化亜鉛及び水酸化亜鉛を含有する。
負極活物質の使用量は、負極材の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。負極活物質の使用量は、優れた寿命性能と放電性能とを両立しやすい観点から、50質量%以上、70質量%以上、又は、75質量%以上が好ましい。負極活物質の使用量は、優れた寿命性能と放電性能とを両立しやすい観点から、95質量%以下、90質量%以下、又は、85質量%以下が好ましい。これらの観点から、負極活物質の使用量は、50〜95質量%が好ましい。
負極材は、負極活物質以外の添加剤を含有することができる。添加剤としては、結着剤、導電剤等が挙げられる。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。結着剤の使用量は、例えば、負極活物質100質量部に対して0.5〜10質量部であってもよい。導電剤としては、インジウム化合物(酸化インジウム等)などが挙げられる。導電剤の使用量は、例えば、負極活物質100質量部に対して1〜20質量部であってもよい。
本実施形態に係る亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛電池)の製造方法は、例えば、亜鉛電池の構成部材を得る構成部材製造工程と、構成部材を組み立てて亜鉛電池を得る組立工程と、を備える。構成部材製造工程では、少なくとも電極(正極及び負極)並びに多層膜を得る。多層膜は、例えば、第1の多孔層及び第2の多孔層を熱溶着機(ヒートシーラー)により熱溶着することにより得ることができる。
電極は、例えば、電極材(正極材及び負極材)の原料に対して溶媒(例えば水)を加えて混練することにより電極材ペースト(ペースト状の電極材)を得た後、電極材ペーストを用いて電極材層を形成することにより得ることができる。
正極材の原料としては、正極活物質の原料(例えば水酸化ニッケル)、添加剤(例えば前記結着剤)等が挙げられる。負極材の原料としては、負極活物質の原料(例えば金属亜鉛、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛)、添加剤(例えば前記結着剤)等が挙げられる。
電極材層を形成する方法としては、例えば、電極材ペーストを集電体に塗布又は充填した後に乾燥することで電極材層を得る方法が挙げられる。電極材層は、必要に応じて、プレス等によって密度を高めてもよい。
組立工程では、例えば、構成部材製造工程で得られた正極及び負極を、本実施形態に係る多層膜をセパレータとして介して交互に積層した後、正極同士及び負極同士をストラップで連結させて電極群を作製する。次いで、この電極群を電槽内に配置した後、電槽の上面に蓋体を接着して未化成の亜鉛電池(ニッケル亜鉛電池)を得る。
続いて、電解液を未化成の亜鉛電池の電槽内に注入した後、一定時間放置する。次いで、所定の条件にて充電を行うことで化成することにより亜鉛電池(ニッケル亜鉛電池)を得る。化成条件は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の性状に応じて調整することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、正極がニッケル電極であるニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池)の例を説明したが、亜鉛電池は、正極が空気極である空気亜鉛電池(例えば空気亜鉛二次電池)であってもよく、正極が酸化銀極である銀亜鉛電池(例えば銀亜鉛二次電池)であってもよい。
空気亜鉛電池の空気極としては、空気亜鉛電池に使用される公知の空気極を用いることができる。空気極は、例えば、空気極触媒、電子伝導性材料等を含む。空気極触媒としては、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒を用いることができる。
空気極触媒としては、空気亜鉛電池における正極として機能するものを用いることが可能であり、酸素を正極活物質として利用可能な種々の空気極触媒が使用できる。空気極触媒としては、酸化還元触媒機能を有するカーボン系材料(黒鉛等)、酸化還元触媒機能を有する金属材料(白金、ニッケル等)、酸化還元触媒機能を有する無機酸化物材料(ペロブスカイト型酸化物、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、スピネル酸化物等)などが挙げられる。空気極触媒の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状であってもよい。空気極における空気極触媒の使用量は、空気極の合計量に対して、5〜70体積%であってもよく、5〜60体積%であってもよく、5〜50体積%であってもよい。
電子伝導性材料としては、導電性を有し、かつ、空気極触媒とセパレータとの間の電子伝導を可能とするものを用いることができる。電子伝導性材料としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類;鱗片状黒鉛のような天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等のグラファイト類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類;銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末類;ポリフェニレン誘導体等の有機電子伝導性材料;これらの任意の混合物などが挙げられる。電子伝導性材料の形状は、粒子状であってもよく、その他の形状であってもよい。電子伝導性材料は、空気極において厚さ方向に連続した相をもたらす形態で用いられることが好ましい。例えば、電子伝導性材料は、多孔質材料であってもよい。また、電子伝導性材料は、空気極触媒との混合物又は複合体の形態であってもよく、前述したように、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒であってもよい。空気極における電子伝導性材料の使用量は、空気極の合計量に対して、10〜80体積%であってもよく、15〜80体積%であってもよく、20〜80体積%であってもよい。
銀亜鉛電池の酸化銀極としては、銀亜鉛電池に使用される公知の酸化銀極を用いることができる。酸化銀極は、例えば酸化銀(I)を含む。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<セパレータの作製>
(実施例1)
以下の手順でハイドロタルサイト粒子(構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO」においてM2+=Mg2+、M3+=Al3+、x=1/3、An−=CO 2−、マグネシウム/アルミニウムのモル比:2)を作製した。まず、1.03mol/Lの塩化マグネシウム及び0.239mol/Lの硫酸アルミニウムを含む水溶液Aと、0.753mol/Lの炭酸ナトリウムを含む水溶液Bと、3.39Nの水酸化ナトリウムを含む水溶液Cとを調製した。次に、定量ポンプを用いて水溶液A及び水溶液Bを4.5:1(A:B)の容量比で反応槽に加えた後、定量ポンプを用いて水溶液Cを加えてpH9.5〜10.0の混合液を得た。そして、混合液を反応温度80℃に保持することにより沈殿物を生成させてハイドロタルサイトスラリーを得た。ハイドロタルサイトスラリーを水洗した後に乾燥し、さらに、篩によって分級することでハイドロタルサイト粒子の平均粒径を0.4〜0.7nmに調整した。
トルエンをサンプル瓶に添加した後、トルエンを攪拌しながらチタンカップリング剤(チタン原子に配位した酸素原子を有するチタニウムキレート化合物、チタンオクチレングリコレート、マツモトファインケミカル株式会社製、商品名:TC−201)を加えて溶液Dを得た。この溶液Dを攪拌しながら上述のハイドロタルサイト粒子を加えた後、充分に反応させるため1時間超音波をかけながら攪拌して、チタンカップリング剤の表面処理が施されたハイドロタルサイト粒子を含有する溶液Eを得た。チタンカップリング剤の使用量は、ハイドロタルサイト粒子100質量部に対して2質量部であった。
ハイドロタルサイト粒子が分散した状態の溶液Eに対して、SEBS(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名:タフテックM1913)のトルエン溶液(固形分濃度20質量%)を加えた後、2時間攪拌して溶液Fを得た。次に、ナイロンメッシュ(厚さ85μm、目開き200)を用いて溶液Fのダマを取り除いた後、真空脱泡攪拌装置(株式会社シンキー製、商品名:ARV−310)を用いて1000rpmで10分攪拌して含浸用スラリー(上述のハイドロタルサイト粒子:80質量部、SEBS:20質量部(固形分))を得た。
アプリケータを用いて上述の含浸用スラリーをキャリアフィルム(ビューレックス、帝人フィルムソリューション株式会社製)上に塗工した後に120℃で15分乾燥させて第1の多孔層(厚さ:25μm)を作製した。粗熱を除去した後にキャリアフィルムを除去した。
次に、水99質量部にTriton X−100を1質量部加えた後に1時間攪拌することにより非イオン性界面活性剤(Triton X−100)の溶液を調製した。そして、非イオン性界面活性剤の溶液に上述の第1の多孔層を含浸させた後に第1の多孔層を室温で24時間乾燥させることによって表面処理(親水化処理)を施した。
単層のポリエチレン微多孔膜(厚さ:25μm)を2質量%の界面活性剤(SigmaAldrich社製、非イオン性界面活性剤、TritonX−100)水溶液中に15分間含浸させた後に乾燥させることにより第2の多孔層(厚さ:25μm)を得た。水銀ポロシメーター(Mictomeritics社製、AutoPoreIV9510)により得られた細孔径の分布から第2の多孔層の平均孔径(モード径)を算出したところ、80nmであった。
第1の多孔層と第2の多孔層とを熱溶着機によって熱溶着させることにより、セパレータとして、互いに一体化した第1の多孔層及び第2の多孔層から構成される多層膜を得た。
(実施例2〜4)
第1の多孔層及び第2の多孔層の厚さを表1の厚さに変更したことを除き実施例1と同様の手順でセパレータとして多層膜を得た。第1の多孔層の厚さは、上述の含浸用スラリーの塗工時のギャップを変更することにより調整した。
(比較例1)
上述の含浸用スラリーの塗工時のギャップを変更することにより厚さを50μmに変更したことを除き実施例1と同様の手順で第1の多孔層を得た。この単層の第1の多孔層をセパレータとして用いた。
(比較例2)
厚さを50μmに変更したことを除き実施例1と同様の手順で第2の多孔層を得た。この単層の第2の多孔層をセパレータとして用いた。
<多孔層の厚さの測定>
上述の各多孔層の厚さとしては、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、商品名:PMU150−25MX)を用いて任意の5点の厚さを測定することにより得られる平均厚さを用いた。
<ニッケル亜鉛電池の作製>
(ニッケル電極の作製)
多孔度96%、厚さ1.4mmのスポンジ状ニッケル金属多孔体をロールプレスにより厚さ0.8mmまで加圧成形した。次に、平均粒径が20μmのコバルト被覆水酸化ニッケル粉末88質量部と添加剤(コバルト粉末8質量部、酸化コバルト2質量部、酸化亜鉛2質量部、及び、カルボキシメチルセルロースの2質量%水溶液30質量部)とを混合して正極材ペーストを得た。この正極材ペーストを上述のニッケル金属多孔体に充填した後、80℃で60分乾燥することにより正極材を得た。そして、ロールプレスにより厚さ(全厚)0.41mmまで加圧成形してニッケル電極を作製した。
(亜鉛電極の作製)
酸化亜鉛粉末82質量部、亜鉛粉末10質量部、及び、添加剤(酸化インジウム)5質量部を混合して得られた混合粉末に、PTFEを60質量%含有するPTFEディスパージョン(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、商品名:テフロン(登録商標)31−JR)5質量部と水10質量部とを加えた後、剪断応力を加えながら乳鉢で15分間混練して混練物を得た。次に、水40質量部を加えた後に15分間混練して負極材ペーストを得た。この負極材ペーストをローラで1.0mmまで圧延してシート化した後、所定寸法の2枚のシートを切り取った。そして、2枚のシートを集電体(厚さ0.1mmスズメッキ銅製のパンチングメタル)の両面に配置した後、加圧成形及び乾燥を施すことにより、負極材を集電体の両面に有する亜鉛電極(厚さ(全厚):0.38mm)を作製した。
(ニッケル亜鉛電池の組み立て)
非イオン性界面活性剤の溶液を用いて上記と同様に親水化処理した微多孔膜(層状複水酸化物を含有しない膜、平均細孔径:30nm、透気度426sec/100cc、構成材料:ポリエチレン)で上述のニッケル電極1枚を包み、上述の多層膜で2枚の亜鉛電極のそれぞれを包んだ。不織布(ハイドロタルサイトを含有しない膜、平均細孔径:6μm、透気度:0.5sec/100cc、厚さ:100μm、構成材料:セルロース)を介してこれらのニッケル電極及び亜鉛電極を交互に積層した後、同極性の極板同士をスポット溶接で連結させて極板群を作製した。この極板群を電槽内に配置して未化成のニッケル亜鉛電池を得た。水酸化リチウム1質量%を含む水酸化カリウム30質量%水溶液を電解液として未化成のニッケル亜鉛電池に注入した後、24時間放置した。その後、25℃の環境下において、電流値30mA、11時間の充電を行った後、電流値150mAで1.0Vまで放電した。続いて、電流値60mA、5時間の充電を行った後、電流値150mAで1.3Vまで放電した。充放と放電との間には1時間の休止を入れた。このようにして設計容量300mAhのニッケル亜鉛電池を作製した。
<サイクル寿命性能の評価>
25℃の環境下において、電流値300mA(1C)で1.9Vまで定電流充電した後、電流値が15mA(0.05C)に到達するまで定電圧充電することによりニッケル亜鉛電池の充電を行い、さらに、電池電圧が1.1Vに到達するまで15mA(0.05C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行うことを1サイクルとする試験を最大で400サイクル行った。放電容量維持率(初期に対する放電容量の維持率)が60%以下に低下する場合、又は、充電率(充電容量/放電容量の比)が110%を超えた場合を内部短絡の発生点(サイクル寿命)とみなし、内部短絡が発生するまでのサイクル数を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021077473
表1に示されるように、実施例では、充放電を繰り返した際に優れた寿命性能を得ることができることが確認される。

Claims (7)

  1. 互いに一体化した第1の多孔層及び第2の多孔層を有し、
    前記第1の多孔層が、層状複水酸化物と、熱可塑性エラストマーと、を含有し、
    前記第2の多孔層の平均孔径が100nm以下である、多層膜。
  2. 前記層状複水酸化物がハイドロタルサイトを含む、請求項1に記載の多層膜。
  3. 前記熱可塑性エラストマーがスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、請求項1又は2に記載の多層膜。
  4. 前記第2の多孔層が、ポリアミド系ポリマー及びオレフィン系ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層膜。
  5. 前記第1の多孔層及び前記第2の多孔層の厚さの合計に対する前記第1の多孔層の厚さの比率が50%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層膜。
  6. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、を備え、
    前記セパレータが、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層膜である、亜鉛電池。
  7. 前記多層膜において前記第1の多孔層が前記第2の多孔層に対して前記負極側に配置されている、請求項6に記載の亜鉛電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022107568A1 (ja) * 2020-11-20 2022-05-27 日本碍子株式会社 Ldhセパレータ及び亜鉛二次電池
WO2023058268A1 (ja) * 2021-10-06 2023-04-13 日本碍子株式会社 Ldhセパレータ及びその製造方法、並びに亜鉛二次電池

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