JP2020087516A - 亜鉛電池用負極の製造方法及び亜鉛電池の製造方法 - Google Patents

亜鉛電池用負極の製造方法及び亜鉛電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】亜鉛電池の寿命性能を向上させることができる亜鉛電池用負極を提供すること。【解決手段】集電体と、集電体に支持された負極材層と、を備える構造体を用意する工程と、構造体を、ハイドロタルサイト、バインダー及び有機溶剤を含むスラリーに浸漬させたのち、スラリーから取り出し乾燥することにより、負極材層を被覆するハイドロタルサイト層を形成する工程と、ハイドロタルサイト層に対して親水化処理を施す工程と、を備える、亜鉛電池用負極の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛電池用負極の製造方法及び亜鉛電池の製造方法に関する。
亜鉛負極を用いる亜鉛電池としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池、銀亜鉛電池等が知られている。例えば、ニッケル亜鉛電池は、水酸化カリウム水溶液等の水系電解液を用いる水系電池であることから、高い安全性を有すると共に、亜鉛電極とニッケル電極との組み合わせにより、水系電池としては高い起電力を有することが知られている。さらに、ニッケル亜鉛電池は、優れた入出力性能に加えて、低コストであることから、産業用途(例えば、バックアップ電源等の用途)及び自動車用途(例えば、ハイブリッド自動車等の用途)への適用可能性が検討されている。
ニッケル亜鉛電池の充放電反応は、例えば、下記式に従って進行する(放電反応:右向き、充電反応:左向き)。
(正極)2NiOOH+2HO+2e → 2Ni(OH)+2OH
(負極)Zn+2OH → Zn(OH)+2e
上記式に示されるように、亜鉛電池では、放電反応により水酸化亜鉛(Zn(OH))が生成する。水酸化亜鉛は電解液に可溶であり、水酸化亜鉛が電解液に溶解すると、テトラヒドロキシド亜鉛酸イオン([Zn(OH)2−)が電解液中に拡散する。その結果、負極の形態変化(変形)が進行すると共に充電電流の分布が不均一となること等により、負極上の局所で亜鉛の析出が起こり、デンドライト(樹枝状結晶)が発生する。従来の亜鉛電池では、充放電の繰り返しによりデンドライトが成長した場合、デンドライトがセパレータを貫通し短絡が発生する場合がある。そのため、このようなデンドライトによる短絡を防止し、寿命性能を向上させる種々の試みがなされている。例えば、下記特許文献1には、ニッケルメッキを施した不織布を電極間に介在させることで、デンドライトによる短絡を防止する技術が開示されている。
特開昭58−126665号公報
亜鉛電池に対しては、更なる寿命性能の向上が求められている。
そこで、本発明は、亜鉛電池の寿命性能を向上させることができる亜鉛電池用負極を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた寿命性能を有する亜鉛電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記テトラヒドロキシド亜鉛酸イオンの拡散を防止するという観点から寿命性能の向上を検討した結果、水酸化物イオン伝導性と亜鉛酸イオンのブロック機能を有するハイドロタルサイトを含有させた層(以下、「ハイドロタルサイト層」ともいう。)で負極材層を被覆すること、及び、ハイドロタルサイトを含む有機溶剤系のスラリーを用いて上記ハイドロタルサイト層を形成することが寿命性能の向上に有効であることを見い出し、本発明を完成させた。
本発明の一側面は、集電体と、集電体に支持された負極材層と、を備える構造体を用意する工程と、構造体を、ハイドロタルサイト、バインダー及び有機溶剤を含むスラリーに浸漬させたのち、スラリーから取り出し乾燥することにより、負極材層を被覆するハイドロタルサイト層を形成する工程と、ハイドロタルサイト層に対して親水化処理を施す工程と、を備える、亜鉛電池用負極の製造方法に関する。
負極材層を構成する材料(負極材)としては、通常、水によりペースト化されやすい材料が用いられるため、構造体を浸漬させるスラリー(ハイドロタルサイトを含むスラリー)が有機溶剤系のスラリーであることで、負極材の溶出が抑制されやすくなり、負極材がハイドロタルサイト層中に入り込み難くなる。そのため、上記方法によれば、水系のスラリーを用いる場合と比較して、テトラヒドロキシド亜鉛酸イオンの拡散を抑制しやすく、亜鉛電池の寿命性能をより向上させることができる亜鉛電池用負極が得られる。また、水系のスラリーを用いる場合、負極材層中に水が含浸し、負極材が再度ペースト化されることで、ハイドロタルサイト層の表面均一性が損なわれる場合があり、また、負極材層が剥がれてしまう場合があるが、上記方法では、このような不具合の発生が抑制される。
さらに、上記理由から有機溶剤系のスラリーを用いて検討を進めた結果明らかになったことであるが、構造体を浸漬させるスラリー(ハイドロタルサイトを含むスラリー)が有機溶剤系のスラリーである場合、負極材の溶出が抑制されるにもかかわらず、ハイドロタルサイト層の内部抵抗が大きくなり、寿命性能の向上効果及び高率放電性能の向上効果が十分に得られない場合があるのに対し、上記方法によれば、このような問題が起こり難い。すなわち、上記方法によれば、有機溶剤系のスラリーを用いることに起因する内部抵抗の上昇も抑制することができ、内部抵抗の上昇に起因する寿命性能の低下を抑制することもできる。これは、ハイドロタルサイト層に対して親水化処理を施すことにより得られる効果がである。このような効果が得られる原因は、明らかではないが、有機溶剤系のスラリーを用いてハイドロタルサイト層を形成した場合には、ハイドロタルサイト層中又はその表面に残留した有機溶剤等によってハイドロタルサイト層と電解液との親和性が低くなり、イオン移動抵抗が高くなるのに対し、上記方法では、親水化処理を施すことによってハイドロタルサイト層と電解液との親和性が高くなるため、内部抵抗の上昇が抑制されると本発明者らは推察している。
さらに、上記方法では、構造体をスラリーに浸漬させることで、容易に負極材層の表面全体にハイドロタルサイト層を形成することができる。そのため、上記方法によれば、負極材層の露出面の全てを容易にハイドロタルサイト層により被覆することができ、テトラヒドロキシド亜鉛酸イオンの拡散を十分に防止することが可能となる。
上記スラリー中のハイドロタルサイトの含有量は、スラリー中の固形分全量を基準として、73質量%以上であることが好ましい。この場合、寿命性能をより向上させることができる。
親水化処理は、界面活性剤による親水化処理であることが好ましい。この場合、内部抵抗の上昇がより一層抑制されやすい。
本発明の他の一側面は、上述した方法により製造された負極を用いる、亜鉛電池の製造方法に関する。この方法によれば、優れた寿命性能を有する亜鉛電池を得ることができる。
本発明によれば、亜鉛電池の寿命性能を向上させることができる亜鉛電池用負極を提供することができる。また、本発明によれば、優れた寿命性能を有する亜鉛電池を提供することができる。
一実施形態の亜鉛電池用負極の製造方法に用いられる構造体を示す模式図である。 一実施形態の亜鉛電池用負極の製造方法の一工程を説明するための模式図である。 一実施形態の亜鉛電池用負極の製造方法の一工程を説明するための模式図である。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の使用量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において「膜」又は「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態の亜鉛電池用負極の製造方法は、集電体と、集電体に支持された負極材層と、を備える構造体を用意する工程(以下、「第一工程」ともいう)と、構造体を、ハイドロタルサイト、バインダー及び有機溶剤を含むスラリーに浸漬させたのち、スラリーから取り出し乾燥することにより、負極材層を被覆するハイドロタルサイト層を形成する工程(以下、「第二工程」ともいう)と、ハイドロタルサイト層に対して親水化処理を施す工程(以下、「第三工程」ともいう)と、を備える。
以下、図1〜図3を参照して、各工程について説明する。
図1は、本実施形態の構造体を示す模式図である。具体的には、図1(a)は、本実施形態の構造体を示す正面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線に沿った断面図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、構造体1は、集電体(負極集電体)2と、負極材層3とを備える。集電体2は、負極材からの電流の導電路を構成している。集電体2は、パンチングメタルによって構成された3次元網目構造の集電体であるが、集電体の構造は特に限定されず、例えば、平板状、シート状等の形状であってよく、発泡金属、エキスパンドメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された3次元網目構造の集電体などであってもよい。
集電体2は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、負極の反応電位でも安定である材料(負極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、負極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し水素ガスが発生するが、水素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。集電体2を構成する材料の具体例としては、亜鉛;鉛;スズ;スズ等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼、ニッケル等)などが挙げられる。
負極材層3は、負極材により形成された層である。負極材層3は、集電体2の網目の間に負極材が充填されることにより集電体2に支持されている。
負極材層3は、亜鉛含有成分を含む。亜鉛含有成分としては、例えば、金属亜鉛、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛が挙げられる。亜鉛含有成分は亜鉛電池において負極活物質として機能するものであり、負極活物質の原料と言い換えることもできる。亜鉛含有成分の含有量は、より優れた寿命性能が得られる観点から、負極材の全質量を基準として、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは75質量%以上である。亜鉛含有成分の含有量は、より優れた寿命性能が得られる観点から、負極材の全質量を基準として、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以下である。
負極材層3は、バインダー(結着剤)、導電材等の添加剤を更に含んでいてよい。
バインダーとしては、親水性又は疎水性のポリマー等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン等をバインダーとして用いることができる。バインダーは、一種を単独で、又は、複数種を組み合わせて用いることができる。バインダーの粘度は、例えば、濃度2%の水溶液において、室温(25℃)で3000〜6000cpであってよく、濃度60%の水溶液において、室温(25℃)で25cp程度であってよい。バインダーの含有量は、例えば、亜鉛含有成分100質量部に対して0.5〜10質量部である。
導電材としては、酸化インジウム等のインジウム化合物が挙げられる。導電剤の含有量は、例えば、亜鉛含有成分100質量部に対して1〜20質量部である。
第一工程は、上記構造体1を製造する工程であってもよい。具体的には、例えば、負極材ペーストを集電体2に配置した後に乾燥する工程であってよい。負極材ペーストは、例えば、負極材ペーストをローラで圧延してシート化して集電体に貼り付ける方法により、集電体に配置されてよい。負極材ペーストは、例えば、集電体2に負極材ペーストを塗布又は充填することにより、集電体2上及び/又は集電体2の内部に配置されてもよい。負極材ペーストを塗布又は充填する方法は、特に限定されず、集電体2の形状、負極材層の形状等に応じて適宜選択してよい。負極材ペーストからなる負極材ペースト層が乾燥されることで負極材からなる負極材層が形成される。負極材層は、必要に応じて、プレス等によって密度を高めてもよい。
負極材ペーストは、負極材の原料と、溶媒(例えば水)とを含有する。負極材ペーストは、負極材の原料に対して溶媒(例えば水)を加えて混練することにより得られる。負極材の原料としては、亜鉛含有成分、添加剤等が挙げられる。
図2は、本実施形態の亜鉛電池用負極の製造方法における第二工程を説明するための模式図である。具体的には、図2(a)は、構造体をスラリーに浸漬させた状態を示す正面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線に沿った断面図であり、図2(c)は、第二工程により得られるハイドロタルサイト層付き構造体を示す正面図であり、図2(d)は、図2(c)のIId−IId線に沿った断面図である。
第二工程では、構造体1の負極材層3の少なくとも一部(負極材層3の露出面の少なくとも一部)がスラリー4と接触するように構造体1をスラリー4に浸漬させる。これにより、負極材層3の少なくとも一部(負極材層3の露出面の少なくとも一部)を覆うように、スラリー4からなる層が形成され、当該層を乾燥させることにより、ハイドロタルサイト層(ハイドロタルサイトを含有する層、被覆層)5が形成される。ハイドロタルサイト層5は、多孔性を有しており、水酸化物イオン伝導性と亜鉛酸イオンのブロック機能を有する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、第二工程では、負極材層3の全体(負極材層3の露出面の全て)がスラリー4と接触するように構造体1をスラリー4に浸漬させてよい。この場合、図2(c)及び図2(d)に示すように、負極材層3の全体(負極材層3の露出面の全て)を覆うようにハイドロタルサイト層5を形成することができる。このように、本実施形態の方法によれば、負極材層3上にスラリー4を塗布又は印刷する方法と比較して、容易に、負極材層3の露出面の全てをハイドロタルサイト層5により被覆することができる。
スラリー4は、ハイドロタルサイト、バインダー及び有機溶剤を少なくとも含む。
ハイドロタルサイトは、層状の結晶構造を有しており、構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO」で表される。前記構造式中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価の金属イオンを示し、An−はn価の陰イオンを示し、0.20<x≦0.33であり、mは0又は正の数を示す。M2+としては、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Ni2+、Co2+、Cu2+、Cd2+等が挙げられ、優れた寿命性能を得やすい観点から、Mg2+が好ましい。M3+としては、Al3+、Fe3+、Mn3+、Cr3+、Co3+、In3+、V3+等が挙げられ、優れた寿命性能を得やすい観点から、Al3+が好ましい。An−としては、CO 2−、SO 2−、Cl、NO 等が挙げられ、優れた寿命性能を得やすい観点から、CO 2−が好ましい。
ハイドロタルサイトにおいて3価の金属イオンの含有量に対する2価の金属イオンの含有量の比率(2価の金属イオンの含有量/3価の金属イオンの含有量)は、モル比で下記の範囲が好ましい。前記比率は、優れた寿命性能を得やすい観点から、2以上が好ましい。前記比率は、優れた寿命性能を得やすい観点から、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。これらの観点から、前記比率は、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましい。ハイドロタルサイトは、優れた寿命性能を得やすい観点から、マグネシウム(マグネシウムイオン)及びアルミニウム(アルミニウムイオン)を含み、且つ、アルミニウムの含有量に対するマグネシウムの含有量の比率がモル比でこれらの範囲であることが好ましい。
バインダーは、例えば、樹脂材料である。バインダーとしては、親水性又は疎水性のポリマー等が挙げられ、具体的には、フッ素系ポリマー(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))、非イオン系水溶性ポリマー(例えばポリエチレンオキサイド(PEOX))、アクリル酸系ポリマー(例えばポリアクリル酸ナトリウム(SPA))、ポリアミド系ポリマー(例えばポリアミド)、オレフィン系ポリマー(ポリオレフィン)、ナイロン系ポリマー(例えばナイロン)、スチレンブタジエン系ポリマー(例えばスチレン−ブタジエンゴム)、セルロース系ポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン及びヘキサンが挙げられる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンが好ましく用いられる。
ハイドロタルサイト及びバインダーの合計に対するハイドロタルサイトの含有量は、優れた寿命性能を得る観点から、好ましくは73質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは77質量%以上であり、特に好ましくは79質量%である。ハイドロタルサイト及びバインダーの合計に対するハイドロタルサイトの含有量は、優れた寿命性能を得やすい観点から、好ましくは95質量%未満であり、より好ましくは92質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以下である。
スラリー中のハイドロタルサイトの含有量は、優れた寿命性能を得る観点から、スラリー中の固形分全量を基準として、好ましくは73質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは77質量%以上であり、特に好ましくは79質量%である。スラリー中のハイドロタルサイトの含有量は、優れた寿命性能を得る観点から、スラリー中の固形分全量を基準として、好ましくは90質量%未満であり、より好ましくは87質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以下である。
スラリー中の有機溶剤の含有量は、例えば、スラリーの全質量を基準として、40質量%以上であり、50質量%以上又は55質量%以上であってもよい。スラリー中の有機溶剤の含有量は、例えば、スラリーの全質量を基準として、90質量%以下であり、80質量%以下又は75質量%以下であってもよい。
スラリー4には、有機溶剤以外の溶媒成分(例えば水)が含まれていないことが好ましい。スラリー4中の溶媒成分に占める有機溶剤の量は、溶媒成分の全質量を基準として、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは99質量%以上であり、更に好ましくは99.5質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。
スラリー4は、添加剤として、シランカップリング剤を更に含んでいてもよい。スラリー4がシランカップリング剤を含む場合、スラリー4の凝集物が低減する傾向がある。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、スチリルカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、イソジアヌレートシランカップリング剤、ウレイドシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、イソジアネートシランカップリング剤等が挙げられる。
スラリー4中のシランカップリング剤の含有量は、優れたサイクル寿命性能が得られる観点から、スラリーの固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上である。スラリー4中のシランカップリング剤の含有量は、優れたサイクル寿命性能が得られる観点から、スラリーの固形分全量を基準として、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下であり、更に好ましくは4質量%以下である。
スラリー4は、添加剤として、アルミナ、チタニア、二酸化珪素等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩などを更に含んでいてもよい。
第二工程での乾燥温度及び時間は、スラリー中の溶媒成分(例えば有機溶剤)の量等に応じて適宜変更することができる。乾燥後に得られるハイドロタルサイト層5中の溶媒成分の含有量は、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下である。
第二工程では、構造体をスラリー4から取り出した後、第三工程の前に、スラリー4からなる層の厚さを調整する層厚調整手段に供してもよい。例えば、スラリー4からなる層が形成された構造体をスリットに通すことで当該層の厚さを調整してよい。本実施形態では、上記層厚調整手段に加え、溶媒成分量、乾燥時間等を調整することなどによりハイドロタルサイト層5の厚さを所望の範囲に調整することができる。ハイドロタルサイト層5の厚さは、優れた寿命性能を得やすい観点から、5〜200μmが好ましい。ハイドロタルサイト層の厚さとしては、厚さの平均値を用いることができる。
第三工程では、ハイドロタルサイト層5に対して親水化処理を施すことにより、ハイドロタルサイト層の親水性を高める。親水化処理としては、界面活性剤による処理、スルホン化処理、フッ素ガス処理、アクリル酸グラフト重合処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等が挙げられる。これらの中でも界面活性剤による処理が好ましい。以下、界面活性剤による処理を例に挙げて、親水化処理の具体的な方法について説明する。
図3は、本実施形態の亜鉛電池用負極の製造方法における第三工程の一例を示す模式図である。具体的には、図3(a)は、界面活性剤による親水化処理の方法の一例を示す模式図であり、図3(b)は、ハイドロタルサイト層5が親水化処理されてなる亜鉛電池用負極を示す模式図である。
界面活性剤による処理では、例えば、ハイドロタルサイト層5の表面(露出面)に界面活性剤を接触させ、ハイドロタルサイト層5の表面に界面活性剤を結合させることにより、ハイドロタルサイト層の親水性を高めることができる。具体的には、例えば、図3(a)に示すように、第二工程で得られたハイドロタルサイト層付き構造体6を界面活性剤を含む水溶液7に浸漬させることにより、ハイドロタルサイト層5に対して親水化処理を施すことができる。この方法によれば、容易にハイドロタルサイト層の表面(露出面)の全てを親水化することができ、寿命性能をより向上させることができる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤のいずれの界面活性剤も用いることができる。これらの中でも、ハイドロタルサイト層の親水性を向上させやすい観点から、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。界面活性剤の使用量は、例えば、界面活性剤を含む水溶液の全質量を基準として、0.5質量%以上であり、5質量%以下である。
ハイドロタルサイト層付き構造体6を界面活性剤を含む水溶液7に浸漬させる時間は、水溶液の温度、界面活性剤の濃度等に応じて適宜変更することができる。
以上の方法により得られる亜鉛電池用負極10は、集電体2と、集電体2に支持された負極材層3と、負極材層3を被覆する、親水化処理されたハイドロタルサイト層5aと、を備えている。この亜鉛電池用負極10を用いることにより、亜鉛電池の寿命性能を向上させることができる。
亜鉛電池用負極10は未化成の負極であるが、亜鉛電池用負極の製造方法は、第三工程で得られた亜鉛電池用負極10を化成する工程(第四工程)を更に備えていてもよい。すなわち、亜鉛電池用負極の製造方法により得られる負極は、化成後の負極であってもよい。
第四工程は、例えば、亜鉛電池の製造工程において実施される。具体的には、未化成の負極及び正極を備える未化成の亜鉛電池を組み立てた後、所定の条件にて充電を行うことで未化成の負極を化成することができる。化成条件は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の性状に応じて調整することができる。
次に、上記の製造方法で得られる負極が用いられる本実施形態の亜鉛電池の一例として、ニッケル亜鉛電池について説明する。ニッケル亜鉛電池では、負極が亜鉛(Zn)電極であり、正極がニッケル(Ni)電極である。
本実施形態のニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池)は、例えば、電槽と、電槽に収容された電極群(例えば極板群)及び電解液と、を備える。ニッケル亜鉛電池は化成後又は未化成のいずれであってもよい。ニッケル亜鉛電池が未化成のニッケル亜鉛電池である場合、電極(負極及び正極)は未化成の電極であり、ニッケル亜鉛電池が化成後のニッケル亜鉛電池である場合、電極は化成後の電極である。
電極群は、例えば、負極(例えば負極板)と、正極(例えば正極板)と、両電極の間に設けられたセパレータと、を備える。電極群は、複数の負極、正極及びセパレータを備えていてよい。複数の負極同士及び複数の正極同士は、例えば、ストラップで連結されていてよい。
正極は、正極集電体と、当該正極集電体に支持された正極材と、を有する。
正極集電体は、正極材からの電流の導電路を構成する。正極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。正極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された3次元網目構造の集電体などであってもよい。正極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、正極の反応電位でも安定である材料(正極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、正極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し酸素ガスが発生するが、酸素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。正極集電体を構成する材料の具体例としては、白金;ニッケル(発泡ニッケル等);ニッケル等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼等)などが挙げられる。これらの中でも、発泡ニッケルで構成される正極集電体が好ましく用いられる。高率放電性能を更に向上させることができる観点から、少なくとも正極集電体における正極材を支持する部分(正極材支持部)が発泡ニッケルで構成されていることが好ましい。
正極材は、例えば、層状を呈している。すなわち、正極は、正極材層を有していてよい。正極材層は、正極集電体上に形成されていてよい。正極集電体の正極材支持部が3次元網目構造を有する場合、当該集電体の網目の間に正極材が充填されて正極材層が形成されていてもよい。
正極材は、ニッケルを含む正極活物質を含有する。正極活物質としては、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、水酸化ニッケル等が挙げられる。正極材は、例えば、満充電状態ではオキシ水酸化ニッケルを含有し、放電末状態では水酸化ニッケルを含有する。正極活物質の含有量は、例えば、正極材の全質量を基準として50〜95質量%であってもよい。
正極材は、添加剤として、正極活物質以外の他の成分を更に含有してよい。添加剤としては、バインダー(結着剤)、導電剤、膨張抑制剤等が挙げられる。
バインダーとしては、親水性又は疎水性のポリマー等が挙げられる。具体的には、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリアクリル酸ナトリウム(SPA)、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)などをバインダーとして用いることができる。バインダーの含有量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01〜5質量部である。
導電剤としては、コバルト化合物(金属コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト等)などが挙げられる。導電剤の含有量は、例えば、正極活物質100質量部に対して1〜20質量部である。
膨張抑制剤としては、酸化亜鉛等が挙げられる。膨張抑制剤の含有量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01〜5質量部である。
セパレータは、例えば、平板状、シート状等の形状を有するセパレータである。セパレータとしては、ポリオレフィン系微多孔膜、ナイロン系微多孔膜、耐酸化性のイオン交換樹脂膜、セロハン系再生樹脂膜、無機−有機セパレータ、ポリオレフィン系不織布等が挙げられる。
電解液は、例えば、溶媒及び電解質を含有している。溶媒としては、水(例えばイオン交換水)等が挙げられる。電解質としては、塩基性化合物等が挙げられ、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。電解液は、溶媒及び電解質以外の成分を含有してもよく、例えば、リン酸カリウム、フッ化カリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、二酸化チタン、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等を含有してもよい。
以上説明したニッケル亜鉛電池は、例えば、電極を含む構成部材を組み立ててニッケル亜鉛電池を得る組立工程を備える方法により得ることができる。
組立工程では、例えば、まず、未化成の正極及び未化成の負極を、セパレータを介して交互に積層し、正極同士及び負極同士をストラップで連結させて電極群を作製する。未化成の負極としては、上記の製造方法により得られた負極を用いる。未化成の正極としては、例えば、正極材の原料に対して溶媒(例えば水)を加えて混練することにより得られる正極材ペースト(ペースト状の正極材)を用いること、及び、ハイドロタルサイト層を形成しないこと以外は、負極と同様の製造方法により得られた正極を用いることができる。正極材の原料としては、正極活物質の原料(例えば水酸化ニッケル)、添加剤等が挙げられる。正極には負極と同様にハイドロタルサイト層を形成してもよい。この場合、ハイドロタルサイト層に対して親水化処理を施してもよい。
次いで、この電極群を電槽内に配置した後、電槽の上面に蓋体を接着して未化成のニッケル亜鉛電池を得る。次いで、電解液を未化成のニッケル亜鉛電池の電槽内に注入した後、一定時間放置する。次いで、所定の条件にて充電を行うことで化成することによりニッケル亜鉛電池を得る。
以上、正極がニッケル電極であるニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池)の例を説明したが、亜鉛電池は、正極が空気極である空気亜鉛電池(例えば空気亜鉛二次電池)であってもよく、正極が酸化銀極である銀亜鉛電池(例えば銀亜鉛二次電池)であってもよい。
空気亜鉛電池の空気極としては、空気亜鉛電池に使用される公知の空気極を用いることができる。空気極は、例えば、空気極触媒、電子伝導性材料等を含む。空気極触媒としては、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒を用いることができる。
空気極触媒としては、空気亜鉛電池における正極として機能するものを用いることが可能であり、酸素を正極活物質として利用可能な種々の空気極触媒が使用できる。空気極触媒としては、酸化還元触媒機能を有するカーボン系材料(黒鉛等)、酸化還元触媒機能を有する金属材料(白金、ニッケル等)、酸化還元触媒機能を有する無機酸化物材料(ペロブスカイト型酸化物、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、スピネル酸化物等)などが挙げられる。空気極触媒の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状であってもよい。空気極における空気極触媒の使用量は、空気極の合計量に対して、5〜70体積%であってもよく、5〜60体積%であってもよく、5〜50体積%であってもよい。
電子伝導性材料としては、導電性を有し、かつ、空気極触媒とセパレータとの間の電子伝導を可能とするものを用いることができる。電子伝導性材料としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類;鱗片状黒鉛のような天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等のグラファイト類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類;銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末類;ポリフェニレン誘導体等の有機電子伝導性材料;これらの任意の混合物などが挙げられる。電子伝導性材料の形状は、粒子状であってもよく、その他の形状であってもよい。電子伝導性材料は、空気極において厚さ方向に連続した相をもたらす形態で用いられることが好ましい。例えば、電子伝導性材料は、多孔質材料であってもよい。また、電子伝導性材料は、空気極触媒との混合物又は複合体の形態であってもよく、前述したように、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒であってもよい。空気極における電子伝導性材料の使用量は、空気極の合計量に対して、10〜80体積%であってもよく、15〜80体積%であってもよく、20〜80体積%であってもよい。
銀亜鉛電池の酸化銀極としては、銀亜鉛電池に使用される公知の酸化銀極を用いることができる。酸化銀極は、例えば酸化銀(I)を含む。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[亜鉛電極の作製]
酸化亜鉛粉末82質量部、亜鉛粉末10質量部、及び、酸化インジウム5質量部を混合して得られた混合粉末に、PTFEを60質量%含有するPTFEディスパージョン(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、商品名:テフロン31−JR、「テフロン」は登録商標)5質量部と水10質量部とを加えた後、剪断応力を加えながら乳鉢で15分間混練して混練物を得た。次に、水40質量部を加えた後に15分間混練して負極材ペーストを得た。この負極材ペーストをローラで1.0mmまで圧延してシート化した後、所定寸法の2枚のシート(負極材シート)を切り取った。そして、2枚のシートを集電体(厚さ0.1mmスズメッキ銅製のパンチングメタル)の両面に配置した後、加圧成形及び乾燥を施して、集電体と、集電体に支持された負極材層と、を備える構造体Aを作製した。構造体Aの厚さ(全厚)は0.38mmであった。
ハイドロタルサイト(MgAl(OH)12CO・3HO、構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO」においてx=1/3、n=2、m=3、マグネシウム/アルミニウムのモル比:2、協和化学株式会社製、商品名:DHT−4H)、バインダー(PVDF)、ビニルシランカップリング剤(信越化学株式会社製、商品名:KBM1003、ビニルトリメトキシシラン)及びNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を含むスラリーに上記構造体Aを浸漬させた。このとき、負極材層の露出面の全てが上記スラリーに接するように、構造体Aをスラリーに浸漬させた。構造体Aをスラリーから取り出したのち、スリットに通して厚さを調整し、次いで乾燥させることで構造体Aの表面(露出面)全体を被覆するハイドロタルサイト層を形成した。ハイドロタルサイト、バインダー、及び、ビニルシランカップリング剤の配合比(質量比)を表1に示す。
次いで、得られたハイドロタルサイト層付き構造体Aを、2質量%の界面活性剤(SigmaAldrich社製、非イオン性界面活性剤、商品名:TritonX−100)を含む水溶液中に15分間浸漬することにより、ハイドロタルサイト層の親水化処理を行った。このとき、ハイドロタルサイト層の露出面の全てが上記水溶液に接するように、ハイドロタルサイト層付き構造体Aをスラリーに浸漬させた。以上の操作により、亜鉛電極を得た。
亜鉛電極の断面の任意の5箇所を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−6010LA)により観察し、各観察箇所において観察される二つのハイドロタルサイト層のそれぞれの厚さを測定し、任意の10点の厚さの平均値をハイドロタルサイト層の厚さとして得た。ハイドロタルサイト層の平均膜厚は50μmであった。
[ニッケル電極の作製]
多孔度96%、厚さ1.4mmのスポンジ状ニッケル金属多孔体をロールプレスにより厚さ0.8mmまで加圧成形した。次に、平均粒径が20μmのコバルト被覆水酸化ニッケル粉末88質量部と添加剤(コバルト粉末8質量部、酸化コバルト2質量部、酸化亜鉛2質量部、及び、カルボキシメチルセルロースの2質量%水溶液30質量部)とを混合して正極材ペーストを得た。この正極材ペーストを上述のニッケル金属多孔体に充填した後、80℃で60分乾燥した。そして、ロールプレスにより厚さ(全厚)0.41mmまで加圧成形してニッケル電極を作製した。
[ニッケル亜鉛電池の作製]
不織布(平均細孔径:6μm、透気度:0.5sec/100cc、厚さ:100μm、構成材料:セルロース)を介してニッケル電極2枚及び亜鉛電極3枚を交互に積層した後、同極性の極板同士をスポット溶接で連結させて極板群を作製した。この極板群を電槽内に配置して未化成のニッケル亜鉛電池を得た。水酸化リチウム1質量%を含む水酸化カリウム30質量%水溶液を電解液として未化成のニッケル亜鉛電池に注入した。その後、25℃の環境下において、電流値30mAで300mAhの充電を行った後、電流値150mAで1.0Vまで放電した。続いて、電流値60mA、315mAhの充電を行った後、電流値150mAで1.3Vまで放電した。充放と放電との間には1時間の休止を入れた。また、充電時の過充電を防止するため、上限電圧を2.2Vに設定している。このようにして設計容量300mAhのニッケル亜鉛電池を作製した。
(実施例2〜6)
亜鉛電極の作製において、ハイドロタルサイト、バインダー、及び、ビニルシランカップリング剤の配合比(質量比)を表1に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6のニッケル亜鉛電池をそれぞれ作製した。
(比較例1)
亜鉛電極の作製において、ハイドロタルサイト層の親水化処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様にして、比較例1のニッケル亜鉛電池を作製した。
(比較例2)
実施例1と同様にして構造体Aを作製した後、ハイドロタルサイト(MgAl(OH)12CO・3HO、構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO」においてx=1/3、n=2、m=3、マグネシウム/アルミニウムのモル比:2、協和化学株式会社製、商品名:DHT−4H)、バインダー(PTFE)、ビニルシランカップリング剤(信越化学株式会社製、商品名:KBM1003、ビニルトリメトキシシラン)及び水を含むスラリーに上記構造体Aを浸漬させた。このとき、負極材層の露出面の全てが上記スラリーに接するように、構造体Aをスラリーに浸漬させた。ハイドロタルサイト、バインダー、及び、ビニルシランカップリング剤の配合比(質量比)を表1に示す。
構造体Aをスラリーから取り出したのち、実施例1と同様にして亜鉛電極の作製を試みたが、構造体Aをスリットに通す際に負極材層が集電体から剥離してしまい、表面に均一なハイドロタルサイト層を形成することができなかった。これは、負極材がスラリー中の水を吸って再度ペースト化し負極材層が柔らかくなってしまったためと推察される。負極の作製が困難であったため、比較例2については、亜鉛電池の作製は行わなかった。
(比較例3)
ハイドロタルサイト(MgAl(OH)12CO・3HO、構造式「M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO」においてx=1/3、n=2、m=3、マグネシウム/アルミニウムのモル比:2、協和化学株式会社製、商品名:DHT−4H)、バインダー(PTFE)、ビニルシランカップリング剤(信越化学株式会社製、商品名:KBM1003、ビニルトリメトキシシラン)及び水を含むスラリーを支持体(PETフィルム、東レ株式会社製、商品名:ルミラーT60、厚さ:50μm)に塗布した後にスラリーを乾燥することにより、支持体上に多孔膜を形成した。これにより、支持体と多孔膜とからなる積層フィルムを得た。ハイドロタルサイト、バインダー、及び、ビニルシランカップリング剤の配合比(質量比)を表1に示す。
上述の積層フィルムを2枚用意した。次に、積層フィルムの多孔膜を、実施例1と同様にして作製した構造体Aに接触させた後、積層フィルム及び構造体Aを含む積層体をプレスした。そして、積層フィルムの支持体を剥離することにより、ハイドロタルサイト層/負極材/集電体/負極材/ハイドロタルサイト層の構成を有する亜鉛電極を得た。
(比較例4)
亜鉛電極の作製において、ハイドロタルサイト、バインダー、及び、ビニルシランカップリング剤の配合比(質量比)を表1に示す値に変更したこと以外は、比較例3と同様にして、ニッケル亜鉛電池を作製した。
<電池性能評価>
前記ニッケル亜鉛電池を用いて、以下に示す方法で、内部抵抗の評価、高率放電性能の評価及びサイクル寿命性能の評価を行った。結果を表1に示す。内部抵抗の評価は未化成の状態で行った。
(内部抵抗評価)
前記ニッケル亜鉛電池の内部抵抗を抵抗計(アデックスエール社製、AX−124N、測定信号:1kHz)を用いて測定した。1kHzの交流抵抗は、集電体、負極材層、端子等の電子導電体の抵抗と電解液中やセパレータ内のイオン移動抵抗を含む内部抵抗となる。本評価に用いた電池は、負極のハイドロタルサイト層を除く構成が全て同じであることから、内部抵抗の違いはハイドロタルサイト層内のイオン移動抵抗のみに起因するものとして考えられる。
(高率放電性能評価)
25℃の環境下において、電流値300mA(1C)で1.9Vまで定電流充電した後、電流値が15mA(0.05C)に到達するまで定電圧充電することによりニッケル亜鉛電池の充電を行い、さらに、電池電圧が1.1Vに到達するまで15mA(0.05C)又は3000mA(10C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行った。これにより、0.05C放電容量及び10C放電容量を測定した。0.05C放電容量に対する10C放電容量の比率(%)を比較することにより高率放電性能を評価した。
(サイクル寿命性能評価)
25℃の環境下において、電流値300mA(1C)で1.9Vまで定電流充電した後、電流値が15mA(0.05C)に到達するまで定電圧充電することによりニッケル亜鉛電池の充電を行い、さらに、電池電圧が1.1Vに到達するまで150mA(0.5C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行うことを1サイクルとする試験を行った。1サイクル目の放電容量に対する各サイクルの放電容量の比率を容量維持率(%)として算出し、容量維持率が60%となったときのサイクル数を測定した。また、充電末端の電流値が1サイクル目の充電末端の電流値に対して200%を超えた場合に短絡が発生したものとしてその時点で試験を終了した。短絡の発生が無く、サイクル数が多いほど、サイクル寿命性能が高いといえる。なお、表1において()で示す値(比較例3及び4の値)は、短絡発生直前の容量維持率である。
電流値に関する前記「C」とは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。前記「C」は、“放電電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を「1C」、2時間で放電させることができる電流を「0.5C」と表現する。
Figure 2020087516
表1に示されるように、実施例では、比較例と比べて優れた寿命性能を得ることができることが確認された。
比較例1のニッケル亜鉛電池は、内部抵抗が高く、放電容量比が実施例よりも低かった。ハイドロタルサイト層に親水化処理を施していないため、ハイドロタルサイト層の電解液への親和性が低く、実施例よりもイオン移動抵抗が高くなっていると推察される。
比較例3及び比較例4のニッケル亜鉛電池は、亜鉛負極が部分的にハイドロタルサイト層により覆われていないため、テトラヒドロキシド亜鉛酸イオンの拡散を十分に防止できず、短絡が発生したと推察される。
1…構造体、2…集電体(負極集電体)、3…負極材層、4…スラリー、5…ハイドロタルサイト層、5a…親水化処理されたハイドロタルサイト層、6…ハイドロタルサイト層付き構造体、7…界面活性剤を含む水溶液、10…亜鉛電池用負極。

Claims (4)

  1. 集電体と、前記集電体に支持された負極材層と、を備える構造体を用意する工程と、
    前記構造体を、ハイドロタルサイト、バインダー及び有機溶剤を含むスラリーに浸漬させたのち、前記スラリーから取り出し乾燥することにより、前記負極材層を被覆するハイドロタルサイト層を形成する工程と、
    前記ハイドロタルサイト層に対して親水化処理を施す工程と、
    を備える、亜鉛電池用負極の製造方法。
  2. 前記スラリー中の前記ハイドロタルサイトの含有量は、前記スラリー中の固形分全量を基準として、73質量%以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記親水化処理は、界面活性剤による親水化処理である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法により製造された負極を用いる、亜鉛電池の製造方法。

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