JP2012227106A - ニッケル水素蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価であるとともに、優れた放電容量及び活性化性能を有するニッケル水素蓄電池を提供する。
【解決手段】少なくともTi、V及びNiを構成元素とするTiVNi系水素吸蔵合金の、Vの少なくとも一部がFeにより置換されてなるFe置換水素吸蔵合金を含有する負極を備えているニッケル水素蓄電池。
【選択図】なし

Description

この発明は、ニッケル水素蓄電池に関するものである。
ニッケル水素蓄電池は、高エネルギー密度を有することから、デジタルカメラ、ノート型パソコン等の小型電子機器類の電源として、また、作動電圧がアルカリマンガン電池等の一次電池と同等で互換性があることから、当該一次電池の代替品として、いずれにおいても広く利用されており、その需要は飛躍的に拡大している。
このようなニッケル水素蓄電池は、水素吸蔵合金を負極活物質とするものであるが、当該水素吸蔵合金としては、従来、希土類元素及びNiを主たる構成元素とするAB型合金が用いられてきた。しかし、現在使用されているAB型合金の放電容量は、すでにLaNiの理論容量の約85%に達しており、これ以上の高容量化は期待できない。このため、より高い放電容量を有する水素吸蔵合金の開発が急務とされている。
体心立方格子構造(BCC)相を有するTi−V系の水素吸蔵合金は、その優れた水素容量のために注目されているが、アルカリ電解液中での放電性能に劣ることから、ニッケル水素蓄電池への応用は進んでいない(非特許文献1)。また、Vが高価であることも、前記Ti−V系の水素吸蔵合金のニッケル水素蓄電池への応用が進まない要因の1つである。
J. Alloys Compd.1997,253-254,583-584
そこで本発明は、上記現状に鑑み、安価であるとともに、優れた放電容量及び活性化性能を有するニッケル水素蓄電池を提供すべく図ったものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、TiVNi系合金のVの一部をFeで置換することにより、コストの低減が図れるとともに、放電容量や活性化性能も改善しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明に係るニッケル水素蓄電池は、少なくともTi、V及びNiを構成元素とするTiVNi系水素吸蔵合金の、Vの少なくとも一部がFeにより置換されてなるFe置換水素吸蔵合金を含有する負極を備えていることを特徴とする。
前記Fe置換水素吸蔵合金は、体心立方格子構造の結晶相を有していることが好ましい。
前記Fe置換水素吸蔵合金としては、例えば、一般式TiNiFe(1≦x<2、0≦y<1、0<z≦1、0<y+z≦1、x+y+z=2)で表される組成を有するものが挙げられる。
なかでも、前記一般式TiNiFeにおいて、0.05≦z/(y+z)≦0.25であるものが好ましい。
本発明は、上述した構成よりなるので、TiVNi系合金のVの一部をFeで置換することにより、コストの低減を図るとともに、放電容量や活性化性能を改善することができる。
TiV(1−x)NiFeにおいて、xがx=0.0、0.1、0.2である場合(a)とx=0.3、0.4である場合(b)の、XRDパターンを示す図である。 TiV0.7NiFe0.3の水素吸収前(a)と水素吸収後(b)とのXRDパターンを示す図である。 TiV0.7NiFe0.3(a)とTiVNi(b)とのPCTを示すグラフである。 TiV(1−x)NiFe(x=0.0、0.1、0.2、0.3、0.4)からなる負極のサイクル回数と放電容量との相関を示すグラフである。 TiV(1−x)NiFe(x=0.0、0.1、0.2、0.3、0.4)からなる負極の放電電流密度とHRDとの相関を示すグラフである。 TiV(1−x)NiFe(x=0.0、0.1、0.2、0.3、0.4)からなる負極の50%DODでの電気化学インピーダンスのスペクトルを示すグラフである。 TiV(1−x)NiFe(x=0.0、0.1、0.2、0.3、0.4)からなる負極の電流時間応答に対するアノード電流の片対数プロットを示すグラフである。
以下に、本発明に係るニッケル水素蓄電池の実施形態について説明する。
本発明に係るニッケル水素蓄電池は、例えば、水素吸蔵合金を負極活物質として含有する負極と、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を含有する正極(ニッケル電極)と、セパレータと、アルカリ電解液と、を備えているものである。
本発明における前記負極は、少なくともTi、V及びNiを構成元素とするTiVNi系水素吸蔵合金(以下、TiVNi系合金という。)の、Vの少なくとも一部がFeにより置換されてなるFe置換水素吸蔵合金(以下、Fe置換合金という。)を負極活物質として含有するものである。前記TiVNi系合金の、Vの少なくとも一部をFeにより置換することにより、希土類元素の使用量を減らすことができるので、水素吸蔵合金の製造コストを低減することができる上に、更に、放電容量や活性化性能を改善することも可能となる。
前記Fe置換合金は、水素容量に優れる点から、体心立方格子構造(BCC)の結晶相を有していることが好ましい。本発明者がX線回折法(XRD)により調べたところ、前記TiVNi系合金が、TiNi型の面心立方格子構造(FCC)相と体心立方格子構造(BCC)固溶体相とを有している場合、Vの一部をFeで置換した前記Fe置換合金では、TiNi型の面心立方格子構造(FCC)相は減少するか又はほぼ消滅し、主に体心立方格子構造(BCC)固溶体相から構成される合金となる。
前記TiVNi系合金としては、例えば、TiVNi、Ti1.40.6Ni、Ti1.60.4Ni、Ti1.70.3Ni、Ti1.80.2Ni、Ti1.90.1Ni等が挙げられ、これら合金のVの少なくとも一部がFeにより置換されてなる前記Fe置換合金は、例えば、一般式TiNiFe(1≦x<2、0≦y<1、0<z≦1、0<y+z≦1、x+y+z=2)で表される組成を有するものである。
前記一般式TiNiFeにおいて、VとFeとの総量に対するFeの置換量の比z/(y+z)は、0.05≦z/(y+z)≦0.25であることが好ましい。Feの置換量がz/(y+z)<0.05であると、放電容量や活性化性能の改善効果が発現しにくく、一方、Feの置換量が0.25<z/(y+z)であると、かえって放電容量が減少し、活性化性能が低下することもある。
前記Fe置換合金の製造方法としては特に限定されず、例えば、アーク溶解法、溶融紡糸法、鋳造法、ガスアトマイズ法等が挙げられ、これらを適宜選択して用いることにより前記Fe置換合金を製造することができる。
前記Fe置換合金は、例えば、粉末化された状態で負極中に配合される。前記Fe置換合金の粉末の平均粒径は、20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは40〜70μmである。平均粒径が20μm未満であると、合金の活性化が不充分となり、一方、平均粒径が100μmを超えると、生産性が低下することがある。前記Fe置換合金の粉末は、例えば、不活性ガスの存在下に、前記Fe置換合金を機械で粉砕すること等により得られる。
前記負極は、前記Fe置換合金に加えて、導電剤、結着剤(増粘剤)等を含有していてもよい。
前記導電剤としては、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカー、炭素繊維、気相成長炭素等の炭素系導電剤;ニッケル、コバルト、銅等の金属の粉末や繊維等からなる金属系導電剤;酸化イットリウム等が挙げられる。これらの導電剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記導電剤の配合量は、前記Fe置換合金100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5質量部である。前記導電剤の配合量が0.1質量部未満であると、充分な導電性を得ることが難しく、一方、前記導電剤の配合量が10質量部を超えると、放電容量の向上効果が不充分となることがある。
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルフォン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられる。これらの結着剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記結着剤の配合量は、前記Fe置換合金100質量部に対して、0.1〜0.5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3質量部である。前記結着剤の配合量が0.1質量部未満であると、充分な増粘性が得られにくく、一方、前記結着剤の配合量が0.5質量部を超えると、電極の性能が低下してしまうことがある。
前記正極としては、例えば、主成分である水酸化ニッケルに水酸化亜鉛や水酸化コバルトが混合されてなる水酸化ニッケル複合酸化物が正極活物質として配合された電極等が挙げられる。当該水酸化ニッケル複合酸化物としては、共沈法によって均一分散されたものが好適に用いられる。
前記正極は、前記水酸化ニッケル複合酸化物に加えて電極性能を改善するための添加剤を含有していることが好ましい。前記添加剤としては、例えば、水酸化コバルト、酸化コバルト等の導電改質剤が挙げられ、また、前記水酸化ニッケル複合酸化物に水酸化コバルトがコートされたものや、前記水酸化ニッケル複合酸化物の一部が、酸素又は酸素含有気体、K、次亜塩素酸等によって酸化されていてもよい。
前記添加剤としては、また、Y、Yb等の希土類元素を含む化合物や、Ca化合物等の酸素過電圧を向上させる物質を用いることもできる。Y、Yb等の希土類元素は、その一部が溶解して、負極表面に配置されるため、負極活物質の腐食を抑制する効果も期待できる。
前記正極は、更に、前記負極と同様に、上述の導電剤、結着剤等を含有していてもよい。
このような正極及び負極は、各活物質に、必要に応じて上述の導電剤、結着剤等を加えた上で、これらを水又はアルコールやトルエン等の有機溶媒と共に混練して得られたペーストを、導電性支持体に塗布し、乾燥させた後、圧延成形すること等により製造することができる。
前記導電性支持体としては、例えば、鋼板、鋼板にニッケル等の金属材料からなるメッキが施されたメッキ鋼板等が挙げられる。前記導電性支持体の形状としては、例えば、発泡体、繊維群の成形体、凹凸加工を施した3次元基材;パンチング板等の2次元基材が挙げられる。これらの導電性支持体のうち、正極用としては、アルカリに対する耐食性と耐酸化性に優れたニッケルを材料とし、集電性に優れた構造である多孔体構造からなる発泡体が好ましい。一方、負極用としては、安価で、かつ、導電性に優れる鉄箔に、ニッケルメッキを施したパンチング板が好ましい。
前記導電性支持体の厚さは、30〜100μmであることが好ましく、より好ましくは40〜70μmである。前記導電性支持体の厚さが30μm未満であると、生産性が低下することがあり、一方、前記導電性支持体の厚さが100μmを超えると、放電容量が不充分となることがある。
前記導電性支持体が多孔性のものである場合、その内径は、0.8〜2μmであることが好ましく、より好ましくは1〜1.5μmである。内径が0.8μm未満であると、生産性が低下することがあり、一方、内径が2μmを超えると、水素吸蔵合金の保持性能が不充分となることがある。
前記導電性支持体への各電極用ペーストの塗布方法としては、例えば、アプリケーターロール等を用いたローラーコーティング、スクリーンコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、パーコーティング等が挙げられる。
前記セパレータとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル、ポリアミド等を材料とする多孔膜や不織布等が挙げられる。
前記セパレータの目付は、40〜100g/mであることが好ましい。目付が40g/m未満であると、短絡や自己放電性能の低下が起こることがあり、一方、目付が100g/mを超えると単位体積当たりに占めるセパレータの割合が増加するため、電池容量が下がる傾向にある。また、前記セパレータの通気度は、1〜50cm/secであることが好ましい。通気度が1cm/sec未満であると、電池内圧が高くなりすぎることがあり、一方、通気度が50cm/secを超えると、短絡や自己放電性能の低下が起こることがある。更に、前記セパレータの平均繊維径は、1〜20μmであることが好ましい。平均繊維径が1μm未満であるとセパレータの強度が低下し、電池組み立て工程での不良率が増加することがあり、一方、20μmを超えると、平均繊維径が短絡や自己放電性能の低下が起こることがある。
前記セパレータは、その繊維表面に親水化処理が施されていることが好ましい。当該親水化処理としては、例えば、スルフォン化処理、コロナ処理、フッ素ガス処理、プラズマ処理等が挙げられる。なかでも、繊維表面にスルフォン化処理が施されたセパレータは、シャトル現象を引き起こすNO 、NO 、NH 等の不純物や負極からの溶出元素を吸着する能力が高いため、自己放電抑制効果が高く、好ましい。
前記アルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等を含有するアルカリ性の水溶液が挙げられる。前記アルカリ電解液は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記アルカリ電解液の濃度は、イオン濃度の合計が9.0mol/L以下であるものが好ましく、5.0〜8.0mol/Lであるものがより好ましい。
前記アルカリ電解液には、正極での酸素過電圧向上、負極の耐食性の向上、自己放電向上のため、種々の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、例えば、イットリウム、イッテルビウム、エルビウム、カルシウム、亜鉛等の酸化物や水酸化物等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係るニッケル水素蓄電池が開放型ニッケル水素蓄電池である場合、当該電池は、例えば、セパレータを介して負極を正極で挟み込み、これらの電極に所定の圧力がかかるように電極を固定した状態で、アルカリ電解液を注液し、開放形セルを組み立てることにより製造することができる。
一方、本発明に係るニッケル水素蓄電池が密閉型ニッケル水素蓄電池である場合、当該電池は、正極、セパレータ及び負極を積層する前又は後に、アルカリ電解液を注液し、外装材で封止することにより製造することができる。また、正極と負極とがセパレータを介して積層された発電要素を巻回してなる密閉型ニッケル水素蓄電池においては、前記発電要素を巻回する前又は後に、アルカリ電解液を発電要素に注液するのが好ましい。アルカリ電解液の注液法としては特に限定されず、常圧で注液してもよいが、例えば、真空含浸法、加圧含浸法、遠心含浸法等を用いてもよい。また、密閉型ニッケル水素蓄電池の外装材としては、例えば、鉄、ニッケル等の金属材料からなるメッキが施された鉄、ステンレススチール、ポリオレフィン系樹脂等からなるものが挙げられる。
前記密閉型ニッケル水素蓄電池の態様としては特に限定されず、例えば、コイン電池、ボタン電池、角型電池、扁平型電池等の正極、負極及び単層又は複層のセパレータを備えた電池や、ロール状の正極、負極及びセパレータを備えた円筒型電池等が挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<試験方法>
アルゴン雰囲気下で、Ti(99%)、V(99.9%)、Ni(99%)及びFe(99.9%)の混合物をアーク溶解することにより、TiV(1−x)NiFe(x=0.1、0.2、0.3、0.4)合金インゴットを調製した。続いて、これらのインゴットを粉砕し、得られた破片を周速34m/sの銅輪で溶融紡糸し、当該合金の帯状体を作製した。得られた帯状体の平均横断面は2〜3mm×30〜40μmであった。このサンプルを機械的に粉砕し、乳鉢で200〜400メッシュの粉末にまで細かくし、X線回折法(XRD)と電気化学的測定や分析に用いた。XRDデータは、ARL X線回折計を用い、4kV×40mAの強度のCuKα放射で、ステップ間隔を0.04°、ステップ毎の計測時間を3秒として、ステップスキャニング法により収集した。
電気化学的測定のために、Ni(OH)/NiOOH電極を対極として用い、Hg/HgO電極を参照極として用い、0.15gの合金粉末と0.75gのNiカルボニル粉末との混合物0.9gを15MPaの圧力下で10mm直径のペレットに圧縮することにより作成された作用極を用いて、6M KOHの電解液中で半電池を作製した。電気化学的試験は、自動定電流充電・放電装置(DC−5)を用いて、303Kで行った。電極は、30mA/gで13.5時間充電し、終止電圧−0.6V(対Hg/HgO)まで10mA/gで放電した。充放電ごとに、5分間休止した。高率放電性能を評価するために、異なった放電電流密度での放電容量を測定した。高率放電性能HRD(%)は、Cn×100/C30で定義されたが、ここで、Cn(n=30、60、90、120、180、240)は異なった放電電流密度での放電容量である。
1255B周波数応答解析器を伴ったソラルトンSI1287電気化学インターフェースを使用して、303Kにおいて、50%深度の放電(DOD)で、電気化学インピーダンススペクトル(EIS)の検討を行った。開回路の条件下において、5mVのAC振幅で、0.1kHz〜1MHzの周波数帯における電極のEISを得た。ソラルトンSI1287ポテンシオスタットを使用して、−5〜5mV(対開回路電圧)では0.1mV/sの速度で、0〜1200mV(対開回路電圧)では5mV/sの速度で、50%深度の放電(DOD)で電極電圧をスキャンすることにより、電極の直線状の分極カーブとターフェル分極カーブとを測定した。合金のバルクの水素拡散係数を測定するためには定電圧放電法を使用した。30分開回路に続くフル充電の後で、M352腐食ソフトウェアを使って、EG&G PARCモデル273ポテンシオスタット/ガルバノスタットにより、試験用電極を、+500mVのポテンシャルステップで3600秒間放電した。
<結果>
(1)相構造
XRDパターンにより、TiVNi(x=0)合金はFCC構造とBCC構造とにより特徴づけられ、一方、TiV(1−x)NiFe(x≠0)合金はBCC固溶体合金からなることが明らかになった(図1)。これは、TiVNiにFeを添加することにより、FCC構造がBCC構造に変わったためであると説明できる。図2は、TiV0.7NiFe0.3の水素吸収のXRDパターンを示すものである。これによれば、水素を吸収した後、回折ピークはシフトしていないことがわかる。TiVNi及びTiV0.7NiFe0.3の2種の合金の圧力−組成等温線(PCT)を、図3に示す。PCTは室温で検討されてきた。TiVNiとTiV0.7NiFe0.3の最大水素吸収容量は、それぞれ1.35重量%(H/M=1.35)と0.375重量%(H/M=0.375)であることがわかった。これは、TiVNi合金の水素吸蔵量はFe置換によってあまり変わらないことを示す。
(2)放電容量及び安定性
5種のTiV(1−x)NiFe(x=0、0.1、0.2、0.3、0.4)のサンプル電極の放電容量を表1に示した。
放電電流密度30mA/gでの合金電極の最大放電容量は、初めは増加し(x=0.1、0.2)、それからx値が増えるに従って減少した(x=0.3、0.4)。当初サンプル電極の放電容量を改善したのは、FCC構造をBCC構造に変えることになった少量のFeによるVの置換によると思われる。体心立方格子構造(BCC)を有するTi−Vベース系は、その優れた水素吸収量によって水素吸蔵応用に有力な物質とみなされてきた。その後、合金電極の最大放電容量はVの減少に伴って減少したので、Vは原子状水素の移動を促進する「原子状水素ポンプ」とみなされる。
サイクル寿命におけるFeの効果を評価するために、Fe元素が添加されていないTiVNi合金電極の性能も、合成された4種の合金電極と比較して、図4に示した。Ti−VベースのBCC相合金を応用する際に生じた問題の1つは、合金表面に酸化被膜が形成されるために活性化が難しいことである。TiV0.9NiFe0.1合金電極とTiV0.8NiFe0.2合金電極とは、1回の充電/放電サイクルで活性化された。しかし、TiV0.7NiFe0.3合金電極とTiV0.6NiFe0.4合金電極とは、1回の充電/放電サイクルでは活性化されなかった。これは、少量のFeを導入することにより、合金の最初の活性化性能が改善されたことを意味する。4回目のサイクルから、TiVNi合金電極(x=0)に対するサイクル安定性が、よりゆっくり低下するようになったのは、Tiが存在することにより、ほぼ完全に多孔性であるTi酸化膜が、電極中におけるVの急速な腐食を抑制するためであると思われる。TiV(1−x)NiFe合金電極(x≠0)に関しては、サイクル安定性がよりゆっくり低下したのは、合金上に形成された合金電極の腐食を確認する酸化被膜のためであると思われる。この試験では、充電及び放電(100%DOD、30mA/g)を30回連続で繰り返す予備試験の後、S30(%)=C30/Cmax×100%(ここで、Cmaxは30回目のサイクルでの放電容量)で表されるサイクル容量維持率を、表2に示した。
電解液中でのサイクル中における活性成分TiとVの腐食を除けば、合金粒子の微粉化、酸化被膜の厚さ、及び、局所加熱に起因して、放電容量が減少する可能性が推測される。合金表面に形成された酸化被膜の厚さはFe含有量の増加に伴って増加し、ある程度合金電極の腐食を抑制し、容量の減少を抑制した。
(3)高率放電性能及び動的特性
電池における水素化物電極の重要な動的特性として、高放電電流密度であっても放電容量の減少を最小化することは非常に重要である。TiV(1−x)NiFe負極の高率放電性能(HRD)を、図5と表1に示した。合金電極のHRDはx値の増加に伴って増加することがわかり、HRD(C240/C30)は74.9(x=0)から81.9(x=0.4)に増加した。金属水素化物電極のHRDは、電極/電解質界面における電荷移動反応の電気化学的反応速度と、バルク電極中での水素拡散速度とに支配されることがよく知られており、それは、合金の触媒活性の測定値である電荷移動抵抗(Rct)の値だけでなく、合金電極の物質移行性能を表す水素拡散係数(D)にも反映する。電気化学的反応速度を調べるために、調査対象の合金電極に対し、電気化学インピーダンスとポテンシャルステップ実験が行われた。
50%DODでの全ての電極サンプルの電気化学インピーダンスのスペクトルを、図6に示す。全てのEISカーブが、直線に続く2つの円弧からなることが分かった。
栗山らにより提案された分析モデル(J. Alloys Compd. 202(1993)183参照)によれば、中周波数領域における比較的大きな円弧は、表面における電気化学反応に対する電荷移動抵抗を表し、ここで、Rは電解質抵抗であり、RとCとはそれぞれ、集電体と合金ペレットとの間の接触抵抗と接触キャパシタンスとされる。合金ペレット中の合金粉末間の接触抵抗と接触キャパシタンスはそれぞれ、RとCで表される。RctとCとはそれぞれ、電荷移動抵抗と二層キャパシタンスを示す。Woはワールブルグ抵抗である。等価回路に基づいて、電荷移動抵抗Rctを、フィッテイングプログラムZ−VIEWによって得た。
得られた電荷移動抵抗Rctを、表2に示した。TiVNi(x=0)のRctは0.218Ωであった。TiV(1−x)NiFe(x≠0)サンプルでは、Rctは、初めは0.171Ω(x=0.1)から0.162Ω(x=0.2)に減少し、それからx値の増加に伴って0.198Ω(x=0.3)から0.274Ω(x=0.4)に増加した。その理由は、電解液中におけるVの腐食により、高密度で不活性なFe酸化被膜と不活性なTi酸化膜が多孔性になり、その結果、比表面積が増加し、電荷移動反応が高速化したためであると考えられる。しかし、電気化学インピーダンスの測定結果はHRDの測定結果とは異なっており、表面電荷移動は律速段階ではないことが示唆された。
バルク電極の水素拡散係数は、ポテンシャルステップ法により求められた。図7は、電流時間応答に対するアノード電流の片対数プロットは、スペクトルから明らかに、過電圧を印加した後で3つの時間領域に分かれうることを示している。Zhengらのモデル(J. Electrochem. Soc.
142(1995)2695参照)によれば、水素の拡散速度を表すために用いられるバルク電極における水素拡散係数は、下記式に対応するプロットの直線領域の傾きから算出される。
式中、Dは水素拡散係数(cm/s)であり、aは球状粒子の半径(cm)であり、iは拡散電流密度(A/g)であり、Cはバルク電極の初期水素濃度(mol/cm)であり、Csは合金粒子の表面の水素濃度(mol/cm)であり、dは水素吸蔵物質の密度(g/cm)であり、tは放電時間である。平均粒径が15μmであると仮定した場合のバルク電極における水素拡散係数Dを、式(1)により算出し、表2に示した。
表2に示す結果より、D値は、TiV0.8NiFe0.2>TiV0.9NiFe0.1>TiVNi>TiV0.7NiFe0.3>TiV0.6NiFe0.4の順である。電荷移動反応と水素拡散プロセスの両方が電気化学反応に影響するものの、後者が優位であった。上述のとおり、少量のFe元素により原子状水素の移動が促進された。

Claims (4)

  1. 少なくともTi、V及びNiを構成元素とするTiVNi系水素吸蔵合金の、Vの少なくとも一部がFeにより置換されてなるFe置換水素吸蔵合金を含有する負極を備えていることを特徴とするニッケル水素蓄電池。
  2. 前記Fe置換水素吸蔵合金が、体心立方格子構造の結晶相を有するものである請求項1記載のニッケル水素蓄電池。
  3. 前記Fe置換水素吸蔵合金が、一般式TiNiFe(1≦x<2、0≦y<1、0<z≦1、0<y+z≦1、x+y+z=2)で表される組成を有するものである請求項1又は2記載のニッケル水素蓄電池。
  4. 前記一般式TiNiFeにおいて、0.05≦z/(y+z)≦0.25である請求項3記載のニッケル水素蓄電池。
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