JP5060667B2 - ニッケル水素蓄電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水酸化ニッケルなどを正極活物質として含む正極と、水素吸蔵合金を負極活物質として含む負極と、を備えたニッケル水素蓄電池に関し、より詳しくは、負極に形成される初期の放電リザーブの容量の改良に関する。
負極活物質として水素吸蔵合金粉末を用いるニッケル水素蓄電池は、出力特性に優れるとともに耐久性(寿命特性および保存特性)が高いため、電気自動車、ハイブリッド自動車(HEV)などの動力電源として注目を集めている。一方、近年は、高容量なリチウムイオン二次電池も電気自動車やHEVの用途に参入しつつある。そこで、ニッケル水素蓄電池の利点である出力特性および耐久性を、更に向上させ、ニッケル水素蓄電池の優位性を高めることも検討されている。
ニッケル水素蓄電池は、一般に、水酸化ニッケルを主成分とする正極活物質を含む正極と、水素吸蔵合金を主成分とする負極活物質を含む負極とを備えている。正極には、通常、その導電性を高めて正極活物質の利用率を向上させるために、コバルト化合物が添加されている。例えば、コバルトの酸化数が2価以下であるコバルト化合物(低次コバルト化合物)を正極に添加すると、初期充電時にコバルト化合物が酸化され、コバルトの酸化数は2価より大きくなる。コバルトの酸化数が2価より大きいコバルト化合物(高次コバルト化合物)は、正極活物質間に導電性ネットワークを形成する。これにより、正極活物質の利用率が高められ、高率充放電特性も向上する。なお、高次コバルト化合物の主成分は、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)であると考えられる。
ところが、初期充電時における低次コバルト化合物の酸化反応は、不可逆反応であるため、生成した高次コバルト化合物は、放電時には、元の低次コバルト化合物に戻ることができない。そのため、初期充電時に、正極で低次コバルト化合物を高次コバルト化合物に変換するのに要した電気量は、負極では放電されずに残存することとなる。また、充電時に進行する水酸化ニッケルの酸化反応も、一部は不可逆反応であり、これに要した電気量は、負極では放電されずに残存する。このように、正極が放電を終えた際に充電状態にある負極の過剰容量は、放電リザーブと称される。放電リザーブは、放電末期の負極の過電圧を抑制するなどの機能を有する。一方、正極が充電を終えた際に放電状態にある負極の過剰容量は、充電リザーブと称される。充電リザーブは、充電末期の水素ガスの発生による電池内部圧力の上昇を抑制するなどの機能を有する。
ニッケル水素蓄電池の充放電を繰り返すと、負極の水素吸蔵合金の酸化や腐食により、放電リザーブが増大し、充電リザーブが減少する傾向がある。放電リザーブの増大は、電池容量の減少、すなわちニッケル水素蓄電池の劣化を意味する。また、充電リザーブが減少すると、過充電の発生頻度が高くなり、電池の劣化を促進することになる。そこで、これまでに、放電リザーブを小さくすることが、以下のように提案されている。
特許文献1は、放電の終了に比べて検出が困難な充電の終了を、過充電にならない段階で検知できるように、充電リザーブの容量と放電リザーブの容量との関係を、計算上、1:0から1:0.5とし、充電リザーブの不足を防止することを提案している。しかし、2価コバルトの酸化による計算上の放電リザーブの形成しか考慮されておらず、現実の放電リザーブ量については不明である。
特許文献2は、電池を組み立てる前に予め正極活物質を酸化することにより、放電リザーブを削減することや、組み立て後の電池に対し、充放電サイクルの操作を少なくとも1回行った後に、放電状態の電池に対して40℃から80℃でエージング処理を行うことを提案している。しかし、放電状態の負極は腐食しやすく、放電リザーブを低減する効果は限定的であると考えられる。
特許文献3は、高次コバルト化合物と水酸化ニッケルを含む正極活物質を用い、初期充電時における放電リザーブの形成を抑制することや、アルカリ水溶液中で酸化剤を用いて正極活物質に含まれるコバルト化合物を酸化して、高次コバルト化合物を生成させることを提案している。
特開2004−273295号公報 WO02/071527号 特開2003−109586号公報
特許文献1〜3の提案によれば、ニッケル水素蓄電池において、ある程度まで放電リザーブを小さくすることによる高容量化や、高次コバルト化合物を用いることによる高率充放電特性の向上が可能である。しかし、これらの提案では、放電リザーブに影響を与える因子の一部が考慮されているに過ぎない。そのため、上記提案によるニッケル水素蓄電池の充放電を高温で繰り返すと、電池が劣化し、放電容量が次第に減少する。
上記のようなニッケル水素蓄電池の劣化の主な原因は、水素吸蔵合金の酸化や腐食であると考えられる。例えば特許文献2は、ある一定レベルまで水素吸蔵合金を腐食させることで合金を活性化させているが、このような合金を用いたニッケル水素蓄電池の高温で充放電を繰り返すと、水素吸蔵合金の酸化や腐食がさらに進行する。よって、上記提案では、高温寿命特性に優れたニッケル水素蓄電池を得ることは極めて困難である。
本発明の一局面は、ニッケル化合物を含む正極活物質を含む正極と、水素吸蔵合金を含む負極活物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に挟まれたセパレータと、アルカリ電解液と、を具備し、前記負極の容量Cnの前記正極の容量Cpに対する比Cn/Cpが、1.4〜1.6であり、前記負極の放電リザーブ量が、前記正極の容量の4%以上15%以下である、ニッケル水素蓄電池に関する。
本発明の他の一局面は、ニッケル化合物を含む正極活物質を含む正極と、水素吸蔵合金を含む負極活物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に挟まれたセパレータと、アルカリ電解液と、を具備し、前記負極の容量Cnの前記正極の容量Cpに対する比Cn/Cpが、1.4〜1.6であるニッケル水素蓄電池を組み立てる工程、前記ニッケル水素蓄電池を充電する工程、前記充電されたニッケル水素蓄電池を、前記負極の放電リザーブ量が、前記正極の容量の4%以上15%以下になるように、エージングする工程、を具備するニッケル水素蓄電池の製造方法もしくは活性化方法に関する。
本発明によれば、ニッケル水素蓄電池の充放電を高温で繰り返した場合でも、放電容量の減少を抑制できる。すなわち、本発明によれば、ニッケル水素蓄電池の高温寿命特性を向上させることができる。
なお、民生用途のニッケル水素蓄電池の場合、負極容量は正極容量より大きいものの、高容量化を図る観点から、放電リザーブおよび充電リザーブの割合は低減されており、負極容量の正極容量に対する比は1.4未満になっている。一方、自動車用途などのニッケル水素蓄電池の場合、寿命特性が重要となるため、負極容量の正極容量に対する比は1.4〜1.6程度と大きくなるように設計されている。本発明は、自動車用途などの寿命特性が重要視されるニッケル水素蓄電池の更なる改善に有効である。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
ニッケル水素蓄電池の放電リザーブの測定に用いる極板群と参照電極との接続関係を示す回路図である。 充電深度50%に設定されたニッケル水素蓄電池の電池電圧の変化、ならびに参照電極に対する正極電位および負極電位の変化を示す図である。 ニッケル水素蓄電池の一例の縦断面図である。
ニッケル水素蓄電池の正極および負極は、充電時に、下記反応式(1)および(2)のように反応することが知られている。なお、反応式において、Mは水素吸蔵合金を示し、MHは水素を吸蔵した水素吸蔵合金を示す。
正極: Ni(OH)2+OH- → NiOOH+H2O+e- …(1)
負極: Mx-1+H2O+e- → MHx+OH- …(2)
充電が進行して充電末期になると、下記反応式(3)のように、正極において酸素ガスが発生する。ただし、酸素ガスは、下記反応式(4)に従って、負極の水素吸蔵合金に吸蔵されている水素と結合するため、酸素ガスによる電池内圧の上昇は防止される。
正極: OH- → 1/4O2+1/2H2O+e- …(3)
負極: MHx+1/4O2 → MHx-1+1/2H2O …(4)
また、充電末期には、負極の水素吸蔵合金は水素を吸蔵しにくくなっているため、過電圧が大きくなりやすい。そこで、負極には、正極が充電を終了した際にも、なお水素を吸蔵していない放電状態の水素吸蔵合金が残存するように、充電リザーブが設けられている。充電リザーブは、下記反応式(5)に示すように、必要に応じて、水素と反応し、水素ガスの発生を抑止している。
負極:Mx+1/2H2→MHx+1 …(5)
一方、放電末期には、負極の水素吸蔵合金は水素を放出しにくくなっているため、特に高率放電時に、過電圧が大きくなりやすい。そこで、負極には、正極が放電を終了した際にも、なお水素を吸蔵した充電状態の水素吸蔵合金が残存するように、放電リザーブが設けられている。放電リザーブは、下記反応式(6)に示すように、必要に応じて、水素を放出し、過電圧の増大を抑止している。
負極:MHx+OH- → Mx-1+H2O+e-…(6)
本発明のニッケル水素蓄電池では、負極の放電リザーブが、正極容量の4%以上15%以下に制御されている。具体的には、初期の放電リザーブ量を上記範囲とすることで、ニッケル水素蓄電池の高温寿命特性が顕著に向上する。なお、ニッケル水素蓄電池の負極容量は正極容量よりも大きく、電池容量は正極容量で規制されている。よって、正極容量は電池容量に対応している。負極容量Cnの正極容量Cpに対する比Cn/Cpは、電気自動車、HEVなどの用途では、例えば1.4〜1.6であり、1.45〜1.55が好ましい。
本発明において、初期の放電リザーブ量とは、初期活性化工程を経た直後の状態のニッケル水素蓄電池に形成されている放電リザーブ量である。ニッケル水素蓄電池は、この状態(初期活性化工程を経た直後の状態)で、製品機器に組み込まれ、あるいは機器とモジュール化される。初期活性化は、負極活物質の水素吸蔵合金による水素の吸蔵および放出を容易にするために実施される。このような初期活性化工程は、一般に、当該機器における通常の使用環境とは異なる環境下で、電池を充放電する工程などを含んでいる。例えば、通常よりも低率の電流値で電池の充放電を行ったり、充電状態の電池を高温環境に放置してエージングしたりする工程が実施される。
初期の放電リザーブ量は、上記のような、初期活性化工程におけるエージングにより制御することができる。具体的には、充電状態の電池を、恒温環境に保存し、負極に含まれる水素吸蔵合金の改質を行う。恒温環境の温度(エージング温度)と保存時間(エージング時間)を変化させることにより、初期の放電リザーブ量を変化させることができる。
上記のようなエージングにより、初期の放電リザーブを正極容量の4〜15%に制御するには、正極の初期充電時の不可逆反応に起因する放電リザーブを極力小さくすることが望ましい。例えば、エージング前の電池に含まれる負極の放電リザーブ量は、正極容量の2〜6%にしておくことが望ましい。エージング前の放電リザーブ量を前記範囲内とすることにより、エージングでは水素吸蔵合金を好適な状態にまで十分に活性化させることができる。
エージング温度は、例えば40〜80℃の温度で行うことができ、45〜65℃で行うことが好ましい。また、エージング時間は、例えば30〜80時間であればよく、35〜75時間が好ましい。
上記の他に、放電リザーブ量を制御するために、正極に、導電剤として3価未満、好ましくは2価以下のコバルトを含む低次コバルト化合物(例えばCo(OH)2)を添加することもできる。2価以下のコバルトは、初期充電時に不可逆的に酸化されるため、負極にはコバルトの酸化に要した電気量に相当する放電リザーブが形成される。ただし、初期活性化工程で生成する放電リザーブと、コバルトの酸化により生成する放電リザーブの量を考慮して、コバルト化合物の使用量を加減することが必要である。あるいは、正極に、初期充電時に不可逆的に酸化される有機成分(例えば結着剤)を添加してもよい。
本発明において、初期の放電リザーブ量は、充電状態のニッケル水素蓄電池を放電させるときの正極電位および負極電位の変化から求められる現実の放電リザーブに相当する。正極電位および負極電位の変化は、開放されたニッケル水素蓄電池と参照電極とを用いて測定できる。
ここで、放電リザーブの測定方法について説明する。
まず、予め充電状態にしたニッケル水素蓄電池を準備する。初期活性化工程を経た後の電池は、充電状態であるため、その状態の電池を用いて放電リザーブを測定すればよい。次に、充電状態の電池を開口し、極板群を取り出し、極板群と参照電極(例えば、Hg/HgO)とを電解液と接触させて、図1に示すような回路1を組み立てる。図1では、ケース2中の電解液3に浸漬されている極板群20の正極および負極が、それぞれ電解液3に浸漬されている参照電極4と接続されている。正極には正極リード5が取り付けられ、正極リード5と参照電極4との間に第1電圧計7が接続される。負極には負極リード6が取り付けられ、負極リード6と参照電極4との間に第2電圧計8が接続される。これにより、参照電極4に対する正極電位および負極電位を検知可能となる。一方、極板群20と並列接続されている第3電圧計9では、電池電圧を検知可能である。
電源23から回路1に一定電流(例えば0.5It)を流して極板群20を放電させると、放電に伴って、正極および負極の電位は変化する。図2に、充電深度(DOC)が50%に設定されたニッケル水素蓄電池の電池電圧の変化、ならびに参照電極に対する正極電位および負極電位の変化を示す。電源23から回路1に一定電流(例えば0.5It)を流して極板群20を放電させると、放電に伴って、図2に示すように、正極および負極の電位は変化する。放電中の正極および負極の参照電極4に対する電位をモニタすると、正極容量の減少に伴い、正極電位は、卑な方向に変化する。充電された正極容量がすべて無くなると、参照電極4に対する正極電位は0V以下となる。一方、負極電位は、正極からの放電中は、ほぼ一定の電位を保持し、正極容量がすべて無くなった後も、その電位を保持する。負極容量がすべて無くなると、負極電位は、貴な方向に変化し、0V以上となる。このような正極および負極の0Vに至るまでの電位変化から、正極容量および負極容量が無くなるまでの放電容量をそれぞれ決定でき、正極容量を超える負極の過剰容量である放電リザーブ量を測定できる。
次に、初期の放電リザーブ量が、ニッケル水素蓄電池の高温寿命特性に与える影響について、より詳細に説明する。
ニッケル水素蓄電池の放電リザーブは、初期活性化工程や、その後の電池の使用により、様々な要因で増加する。具体的な要因としては、下記が挙げられる。
第1に、放電終了時においても未放電のまま残存するオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)の存在が挙げられる(第1要因)。充電時に水酸化ニッケルはオキシ水酸化ニッケルに酸化されるが、部分的に放電しにくいオキシ水酸化ニッケルが生成する。そのため、未放電のオキシ水酸化ニッケルの生成に要した電気量は放電リザーブになる。
第2に、初期充電時に生成するオキシ水酸化コバルト(CoOOH)の存在が挙げられる(第2要因)。通常、ニッケル水素蓄電池の正極には、その導電性を高めるために、コバルト化合物が添加されている。例えば、正極に2価のコバルトを含む水酸化コバルトを添加した場合、水酸化コバルトは初期充電時にオキシ水酸化コバルトに変換される。この反応は不可逆反応であり、これに要した電気量も放電リザーブになる。
第3に、負極活物質である水素吸蔵合金の酸化(腐食)により過剰となる負極の充電容量が挙げられる(第3要因)。なお、水素吸蔵合金の酸化や腐食に際しては、負極活物質中に、金属ニッケルを含む磁性体クラスタが生成する。よって、磁性体クラスタの量は、水素吸蔵合金の酸化や腐食の程度に対応する。
第4に、正極に含まれる有機成分の分解が挙げられる(第4要因)。正極には、添加剤や活物質同士を結着させる結着剤などの有機成分が含まれている。有機成分の分解は不可逆反応であるため、これに要した電気量も放電リザーブになる。
本発明者らは、電池の充放電の繰り返しによる放電リザーブの増加要因のうち、第1要因、第2要因および第4要因は、主に、電池の初期活性化工程または電池の使用の初期段階で発生することを見出した。そこで、本発明者らは、放電リザーブを増加させる第3要因が電池の高温寿命特性に大きく影響すると考え、電池の充放電の繰り返しにより酸化または腐食する水素吸蔵合金の量と放電リザーブとの関係を詳細に調査した。その結果、負極に形成される初期の放電リザーブ量を、正極容量の4%以上15%以下に制御することにより、ニッケル水素蓄電池の高温寿命特性が顕著に改善することを見出した。
初期の放電リザーブ量を正極容量の4%以上15%以下に制御することで、高率放電時の負極の過電圧を抑制しつつ、高温で充放電を繰り返した場合の水素吸蔵合金の酸化や腐食が顕著に抑制され、放電リザーブの増加が抑制される。よって、優れた高温寿命特性を有するニッケル水素蓄電池を得ることができる。このような知見は上記の詳細な調査の結果に基づくものであり、高温での水素吸蔵合金の酸化や腐食が顕著に抑制され、放電リザーブの増加が抑制される理由の詳細は不明である。
初期の放電リザーブ量が正極容量の4%未満では、高率放電時の負極の過電圧を抑制することが困難である。一方、初期の放電リザーブ量が15%を超えると、高温で電池の充放電を繰り返したときに、放電リザーブの増加もしくは充電リザーブの減少が顕著となる。その結果、高率の電流値で電池の充電を行った際に、水素の発生を抑制すること困難になり、電池内圧の上昇による漏液が起りやすくなる。その結果、アルカリ電解液の液枯れが生じ、抵抗が上昇し、電池が劣化しやすくなる。
水素吸蔵合金の酸化や腐食を抑制する効果を高める観点からは、初期の放電リザーブ量を正極容量の13%以下に制御することが好ましく、10%以下に制御することがより好ましい。
次に、本発明のニッケル水素蓄電池に用いる負極について説明する。
負極は、負極活物質の他に、必要に応じて、導電剤、増粘剤および結着剤を含むことができる。これらの材料の混合物からなる負極合剤を、水などの液状成分に分散させて、合剤ペーストを調製し、得られた合剤ペーストを芯材となるシート状の負極集電体に塗布し、乾燥後、圧延することにより、負極が得られる。芯材には、金属多孔板(パンチングメタル)などが用いられる。
負極活物質は、水素吸蔵合金のほかに、さらに、磁性体クラスタを含有する。磁性体クラスタの主成分は金属ニッケルである。金属ニッケルは、水素吸蔵合金による水素の吸蔵反応および放出反応の触媒として機能する。磁性体クラスタの含有量は、電池の初期活性化工程によって変化するが、合金組成、製造条件などによっても変化する。例えば、負極の製造工程において、負極活物質の原料である水素吸蔵合金をアルカリ水溶液と接触させることにより、磁性体クラスタが生成する。水素吸蔵合金と接触させるアルカリ水溶液としては、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。アルカリ水溶液の温度は、例えば80℃以上とする。
初期活性化工程後の負極活物質における磁性体クラスタの含有量は、5質量%以上であることが好ましく、5質量%〜7質量%であることがより好ましい。負極活物質における磁性体クラスタの含有量を5質量%以上とすることで、水素吸蔵合金と水素との反応に対する優れた触媒作用を得ることができる。よって、特に、低温での高率放電に有利となる。また、負極活物質における磁性体クラスタの含有量を7質量%以下とすることで、ニッケル水素蓄電池の充放電を高温で繰り返した場合に、水素吸蔵合金の腐食を抑制する効果が高められる。よって、高温寿命特性の向上に有利である。
なお、初期活性化工程を経た直後の複数の電池が、それぞれ同量の磁性体クラスタを含む場合でも、放電リザーブ量が異なる場合には、高温寿命特性に顕著な差が生じることが見出されている。すなわち、初期の放電リザーブ量が、高温寿命特性を決定付ける要因となっている。
ただし、初期活性化工程を経た直後の複数の電池が、それぞれ正極容量の4〜15%の範囲で同量の放電リザーブを有する場合には、詳細なメカニズムは不明であるが、負極活物質における磁性体クラスタの含有量が5質量%以上、更には5質量%〜7質量%である場合の方が、高温寿命特性が優れている。
負極活物質における磁性体クラスタの含有量は、例えば10kOeの磁場における負極活物質の飽和磁化から求められる。磁性体クラスタには、金属コバルトなどが含まれる場合もあるが、飽和磁化は、全て金属ニッケルに基づくものと仮定する。そして、飽和磁化に相当する金属ニッケル量を磁性体クラスタの量と定義する。
磁性体クラスタの平均粒子径は、特に制限されないが、電池の低温放電特性を向上させる観点から、電池に組み込む前の水素吸蔵合金においては、1〜5nmが好ましく、初期活性化工程を経た段階では、3〜10nmとすることが好ましい。磁性体クラスタの平均粒子径を上記範囲に制御することにより、低温環境下において、水素吸蔵合金と水素との反応活性が向上する。これは、水素吸蔵合金による水素分子の解離および水素原子の結合に対する磁性体クラスタの触媒作用が、低温環境下でも良好に維持されるためであると考えられる。
負極活物質中において、水素吸蔵合金と磁性体クラスタの含有形態は、特に制限されないが、通常、水素吸蔵合金と磁性体クラスタとは互いに付着または結合した形態を有する。磁性体クラスタは、水素吸蔵合金粒子の内部および表面のいずれに存在していてもよい。例えば、磁性体クラスタが、水素吸蔵合金粒子の表面に付着したり、析出したりすることにより表層部に偏在していてもよい。また、水素吸蔵合金のマトリックス中に磁性体クラスタが分散していてもよい。この場合、磁性体クラスタの分散状態は特に限定されない。
水素吸蔵合金におけるNi含有量は特に限定されないが、水素吸蔵合金はNiを20〜70質量%含有することが好ましく、20〜65質量%が更に好ましく、45〜65質量%が特に好ましい。Ni含有量がこのような範囲である場合、水素吸蔵合金と水素との反応に対する活性をより効果的に維持できる。また、電池内部における水素平衡圧が高くなるのをより効果的に抑制でき、電池の出力を確保し易い。
水素吸蔵合金は、CaCu5型(すなわちAB5型)の結晶構造を有することが好ましい。これにより、水素吸蔵合金が室温付近で6個の水素原子と結合することが可能になり、活物質としての容量が高くなる。また、結晶構造の安定性が高いため、金属元素の偏析も起こり難い。さらに、水素の吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が少なくなるため、より耐久性に優れたニッケル水素蓄電池が得られるというメリットもある。
水素吸蔵合金は、希土類元素の混合物と、Coと、Mnと、Alとを含むことが好ましい。ここで、希土類元素とは、具体的には、La、Ce、Nd、Pr、Smなどを指す。希土類元素の主成分はLaであり、希土類元素中に10質量%以上50質量%以下含まれるのが一般的である。
水素吸蔵合金における希土類元素の混合物、Co、MnおよびAlの含有量は特に限定されないが、Coは高価であるため、ニッケル水素蓄電池の低価格化を図る観点からは、Co含有量は15質量%以下が好ましく、6質量%以下が更に好ましい。Co含有量の下限は、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上である。水素吸蔵合金が前記範囲のCoを含むことにより、電池容量やサイクル特性などを維持しやすくなる。また、希土類元素の混合物の含有量を20質量%〜40質量%、Mn含有量を3質量%〜7質量%、Al含有量を1質量%〜3質量%の範囲からそれぞれ選択するのが好ましい。MnおよびAlを含むことにより、水素吸蔵合金が水素を吸蔵および放出する時の平衡圧力を下げることができ、電池内圧を下げることができる。
CaCu5型の結晶構造を有する水素吸蔵合金の具体例としては、MmNi5(式中、Mmは希土類元素の混合物であるミッシュメタルを示す。)をベースとする水素吸蔵合金が挙げられる。Mmで示されるミッシュメタルの具体例としては、例えば、Ceを40〜50質量%およびLaを20〜40質量%含み、更に適量のPr、Ndなどを含むミッシュメタルが挙げられる。これらの希土類元素は、通常、水素吸蔵合金のAサイトに存在する。Aサイトには、希土類元素の他に、ニオブ、ジルコニウム等が存在していてもよい。Bサイトには、Ni、Co、Mn、Alなどが存在する。
本発明に適した水素吸蔵合金の組成として、例えば以下が挙げられる。
La0.8Nb0.2Ni2.5Co2.4Al0.1
La0.8Nb0.2Zr0.03Ni3.8Co0.7Al0.5
MmNi3.65Co0.75Mn0.4Al0.3
MmNi2.5Co0.7Al0.8
Mm0.85Zr0.15Ni1.0Al0.80.2
水素吸蔵合金の平均粒子径は、例えば500μm以下であり、好ましくは5〜200μm、更に好ましくは10〜100μmである。水素吸蔵合金の平均粒子径は、水素吸蔵合金の粗粒子を湿式粉砕または乾式粉砕することにより調整することができる。
負極合剤に含ませることのできる導電剤としては、電子伝導性を有する安定な材料であればよく、例えば天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅粉末などの金属粉末類、ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などが好ましい。なかでも、人造黒鉛、ケッチェンブラック、炭素繊維がより好ましい。これらの導電剤は、単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよく、負極活物質の表面に被覆させてもよい。導電剤の添加量は、負極活物質100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、0.1〜30質量部がより好ましい。
増粘剤は、上記の合剤ペーストに粘性を付与する材料であればよく、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCの変性体、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリエチレンオキシドなどが好ましい。
結着剤としては、負極合剤を集電体に結着できる安定な材料であればよく、例えばスチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体などのアクリル樹脂などを用いることができる。これらの材料は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
次に、本発明のニッケル水素蓄電池に用いる正極について説明する。
正極は、焼結式正極でもよく、ペースト式正極(非焼結式正極)でもよい。正極は、必須成分として正極活物質を含み、正極活物質は、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケルなどのニッケル化合物を含む。
焼結式正極は、芯材となる多孔性焼結基板と、その細孔内に充填された正極活物質とを含み、導電性に優れるという利点がある。多孔性焼結基板は、穿孔鋼板などの基板と、その両面に焼結させた多孔質ニッケル層とを具備する。多孔質ニッケル層は、ニッケル粉末とメチルセルロースなどの増粘剤と水との混合物を、基板の表面に塗着し、還元性雰囲気中で加熱してニッケル粉末を焼結させることにより得られる。正極活物質の充填は、焼結基板を、硝酸ニッケルを主成分とする溶液中に浸漬し、細孔内に硝酸ニッケルを保持させた後、当該基板を水酸化ナトリウム水溶液などに浸漬して硝酸ニッケルを水酸化ニッケルに転換させる操作を反復することにより行われる。
ペースト式正極は、正極活物質および結着剤を含む正極合剤を液状成分に分散させた合剤ペーストを、芯材に塗布し、乾燥後、圧延することにより得られる。ペースト式正極には、穿孔鋼板、スポンジ状ニッケルなどの多孔度90〜95%程度の芯材が用いられるため、高容量が得られるという利点がある。ただし、ペースト式正極は、特に放電末期において導電性が低くなるため、コバルト化合物などの導電剤を添加することが特に望ましい。
焼結式正極やペースト式正極に含ませるコバルト化合物の量は、ニッケル化合物100質量部あたり、例えば1〜10質量%程度であればよく、2〜10質量%が好ましい。電池に組み込む前の正極におけるニッケルとコバルトとの平均価数は、例えば2.2〜3.2に制御すればよい。
ニッケル化合物は、コバルト、亜鉛、カドミウム、マグネシウム、カルシウム、マンガンおよびアルミニウムよりなる群から選択された少なくとも1種の添加元素を含有する固溶体であってもよい。添加元素の量は、ニッケル化合物に対して0.5〜10質量%であればよい。添加元素は、正極活物質の劣化や構造変化を抑制するなどの効果を有する。例えば、亜鉛は、充放電時に正極活物質である水酸化ニッケルのアルカリ電解液による膨潤を抑制する働きを有する。添加元素は、例えば水酸化物としてニッケル化合物と混合してもよい。
導電剤であるコバルト化合物は、ニッケル化合物と単純混合してもよく、ニッケル化合物粒子の表面にコバルト化合物を付着させてもよい。コバルト化合物としては、水酸化コバルト、オキシ水酸化コバルトなどを用いることができる。電池に組み込む前に、予め水酸化コバルトを酸化する場合には、高濃度の水酸化ナトリウムなどのアルカリを溶解させた酸化浴(アルカリ水溶液)中に、水酸化コバルトまたはこれを表面に付着させたニッケル化合物を分散させ、酸化浴に酸化剤を添加し、攪拌する。これにより、水酸化コバルトはオキシ水酸化コバルトに変換される。
酸化浴中のアルカリ濃度は、酸化処理の効率を高める観点から、30質量%以上が好ましい。コバルト化合物を酸化させる酸化剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウムなどを用いることができる。酸化浴の温度は60〜90℃が好ましい。
正極合剤に含ませることのできる結着剤としては、負極の結着剤として例示したSBR、フッ素樹脂などを用いることができる。
次に、ニッケル水素蓄電池の構造について、図面を参照しながら説明する。
図3は、ニッケル水素蓄電池の一例の縦断面図である。
長尺の正極11と長尺の負極12は、これらの間にセパレータ13を介して重ね、捲回され、円柱状の極板群20を形成している。セパレータ13としては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製不織布を用いることができる。セパレータ13には、スルホン化などの親水化処理を施してもよい。
図3のような円柱状の極板群では、一方の円形の端面から正極芯材11bの露出部を、他方の端面から負極芯材の露出部12bを突出させることができる。すなわち、正極11および負極12を作製する際には、予め、正極芯材11bの長手方向に沿う一方の端部に、正極活物質11aを保持しない露出部21を形成し、負極芯材12bの長手方向に沿う一方の端部にも、負極活物質12aを保持しない露出部22を形成しておく。そして、各電極の露出部が互いに反対側に位置するように、正極11と負極12とを重ねて捲回する。正極芯材11bの露出部21が位置する極板群20の端面には、円盤状の正極集電板18を溶接し、負極芯材11bの露出部22が位置する極板群20の端面には、円盤状の負極集電板19を溶接する。正極集電板18および負極集電板19には、それぞれタブ状の正極リード18aおよび負極リード19aが設けられる。
負極集電板19を下方にして、極板群20を円筒形の有底缶からなる電池ケース15に収容した後、負極集電板19と接続された負極リード19bは、電池ケース15の底部と溶接される。その後、電池ケース15にアルカリ電解液が注入され、電極群20に電解液が含浸される。アルカリ電解液には、比重1.3程度の水酸化カリウム水溶液が好ましく用いられる。水酸化カリウム水溶液には、さらに、水酸化ナトリウムや水酸化リチウムを溶解させてもよい。その後、周縁にガスケット17を具備するとともに安全弁16aを具備する封口板16にて、電池ケース15の開口部を封口する。正極リード18aは封口板16の内面に溶接される。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、下記実施例は、本発明を限定するものではない。
《実施例1〜6および比較例1〜4》
(1)水素吸蔵合金粉末の作製
金属状態のMm、Ni、Mn、CoおよびAlを所定の割合で含む混合物を、高周波溶解炉を用いて1480℃で溶解し、溶融物をロール急冷法で急冷し、凝固させることにより、MmNi3.65Co0.75Mn0.4Al0.3の組成を有する水素吸蔵合金のインゴットを作製した。このインゴットを800℃のアルゴン雰囲気下で5時間加熱した後、粉砕し、平均粒径を30μmとした。
(2)電池を組み立てる前の合金表面処理工程
初期の金属ニッケルを含む磁性体クラスタの含有量が表1に示す範囲になるように、水素吸蔵合金を、濃度40質量%の水酸化ナトリウム水溶液と接触させて活性化させ、負極活物質とした。水酸化ナトリウム水溶液の温度は110℃、処理時間は80分間とした。この段階での磁性体クラスタの含有量は、3質量%〜4質量%であった。
(3)負極の作製
上記の負極活物質100質量部に対して0.15質量部のCMC(エーテル化度0.7、重合度15%)、0.3質量部のアセチレンブラックおよび0.7質量部のSBRを加え、さらに水を添加して練合し、合剤ペーストを得た。この合剤ペーストを、ニッケルメッキを施した鉄製パンチングメタル(厚み60μm、孔径1mm、開孔率42%)からなる負極芯材の両面に塗着して合剤ペースト層を形成した。合剤ペースト層を乾燥した後、芯材とともにローラで圧延して切断し、厚み0.4mm、幅35mm、容量2200mAhの負極を得た。なお、負極芯材の長手方向に沿う一方の端部には、活物質を保持しない露出部を設けた。
(4)正極の作製
多孔性焼結基板からなる正極芯材に水酸化ニッケルを充填させて獲られた容量1500mAhの焼結式正極を準備した。正極活物質には約90質量部のNi(OH)2を用い、添加剤として約6質量部のZn(OH)2を添加し、導電材として約4質量部のCo(OH)2を添加した。正極芯材の長手方向に沿う一方の端部には、活物質を保持しない露出部を設けた。電池に組み込む前の正極におけるニッケルとコバルトとの平均価数は2.5価であった。
(5)ニッケル水素蓄電池の作製
上記の正極と負極とを用いて、円柱状の極板群を作製し、図3に示したような、4/5Aサイズで公称容量1500mAhのニッケル水素蓄電池を作製した。負極容量が容量2200mAhであるため、放電リザーブおよび充電リザーブの合計となり得る容量は700mAhである。セパレータには、スルホン化処理したポリプロピレン不織布からなるセパレータ(厚み100μm)を用いた。アルカリ電解液には、比重1.3の水酸化カリウム水溶液に、40g/Lの濃度で水酸化リチウムを溶解させたアルカリ水溶液を用いた。
(6)初期活性化工程(放電リザーブの制御)
得られた電池を0.3Itの条件で充電し、充電状態の電池を、所定温度の恒温環境に所定時間保存(エージング)することにより、初期活性化を実施した。電池のエージング温度とエージング時間を表1に示す。
(7)初期の放電リザーブの測定
初期活性化工程を経た直後の満充電状態の電池の封口板を開口し、極板群を取り出して、図1に示すような回路を組み立てた。次に、正極および負極を0.5Itの電流値で放電させ、放電中の正極および負極の参照電極(Hg/HgO電極)に対する電位をモニタし、正極容量がすべて無くなる時点と、負極容量がすべて無くなる時点(それぞれ参照電極に対する電位が0Vになる時点)をそれぞれ検出し、放電リザーブの容量を決定した。表1に、放電リザーブ量を正極容量に対する割合(%)で示す。
(8)磁性体クラスタ量のVSM測定
初期活性化工程を経た直後の電池に含まれる負極活物質(放電リザーブ量を測定した電池から取り出した負極活物質)に含まれている金属ニッケルを含む磁性体クラスタの量を、試料振動型磁力計(VSM)(東英工業(株)製の小型全自動振動試料型磁力計VSM−C7−10A)を用いて測定した。具体的には、10kOeの磁場における電極用合金粉末の飽和磁化を求め、飽和磁化に相当する金属ニッケル量を算出した。初期活性化工程後の負極活物質に含まれる磁性体クラスタ量(単位は質量%)を表1に示す。
(9)高温寿命特性
各実施例および各比較例の電池を、40℃環境下、10時間率(150mA)で15時間充電し、5時間率(300mA)で電池電圧が1.0Vになるまで放電した。この充放電サイクルを100回繰り返した。2サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比率を、容量維持率として百分率で求めた。さらに、サイクル終了時の放電リザーブの容量を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0005060667
表1に示すように、比較例1〜3では、エージング温度が高く、かつエージング時間も長かったことから、磁性体クラスタの含有量が大きく、初期の放電リザーブも大きくなっていることがわかる。このことは、初期活性化工程において水素吸蔵合金の酸化が進行し、放電リザーブに影響を与えていることを示している。これに対応して、比較例1〜3では、実施例1〜6に比べて、サイクル終了時の放電リザーブの増加度合いが大きく、容量維持率も顕著に劣化している。
比較例4では、エージング温度が低く、かつエージング時間も短かったことから、磁性体クラスタの含有量は小さく、初期の放電リザーブも小さくなった。そのため、高率放電時の負極過電圧を抑制することが困難となった。
一方、実施例1〜6では、エージング温度およびエージング時間を適正に制御したため、初期の放電リザーブ量が正極容量の4%以上15%以下であり、良好な高温寿命特性を実現できている。実施例1〜6では、初期の磁性体クラスタ含有量も、5質量%以上となっている。なお、比較例の結果を鑑みると、初期の磁性体クラスタ含有量は、7質量%以下がより好ましいことが分かる。以上より、初期の放電リザーブの容量を制御することにより、高温寿命特性に格段の進歩が得られることがわかった。
上記の結果は、初期の放電リザーブ量を制御する手法として、電池構成後の初期活性化工程におけるエージング温度およびエージング時間の適正化が効果的であることを示している。ただし、初期の放電リザーブ量を制御する手法は、この手法に限定されるものではない。
本発明のニッケル水素蓄電池は、様々な機器の電源として利用可能性があり、特に過酷な環境下で使用されるハイブリッド自動車用電源などの分野において多大な効果をもたらすことが期待できる。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
1・・・回路、2・・・ケース、3・・・電解液、4・・・参照電極、5・・・正極リード、6・・・負極リード、7・・・第1電圧計、8・・・第2電圧計、9・・・第3電圧計、11・・・正極、12・・・負極、13・・・セパレータ、15・・・電池ケース、16・・・封口板、17・・・ガスケット、18・・・正極集電板、19・・・負極集電板、20・・・極板群、23・・・電源

Claims (10)

  1. ニッケル化合物を含む正極活物質を含む正極と、
    水素吸蔵合金を含む負極活物質を含む負極と、
    前記正極と前記負極との間に挟まれたセパレータと、
    アルカリ電解液と、を具備し、
    前記負極の容量Cnの前記正極の容量Cpに対する比Cn/Cpが、1.4〜1.6であり、
    前記負極の放電リザーブ量が、前記正極の容量Cpの4%以上%以下である、ニッケル水素蓄電池。
  2. ハイブリッド自動車用電源として用いる、請求項1記載のニッケル水素蓄電池。
  3. 前記比Cn/Cpが、22/15〜1.55である、請求項1または2記載のニッケル水素蓄電池。
  4. 前記負極活物質は、さらに、金属ニッケルを含む磁性体クラスタを含有し、
    前記負極活物質における前記磁性体クラスタの含有量が、5質量%以上であり、
    前記水素吸蔵合金は、Niを20〜70質量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル水素蓄電池。
  5. 前記負極活物質における前記磁性体クラスタの含有量が、5質量%〜7質量%である、請求項記載のニッケル水素蓄電池。
  6. 前記水素吸蔵合金が、CaCu5型の結晶構造を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のニッケル水素蓄電池。
  7. 前記水素吸蔵合金が、希土類元素の混合物と、Coと、Mnと、Alとを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のニッケル水素蓄電池。
  8. 前記正極が、多孔質焼結基板および前記多孔質焼結基板の細孔に充填された水酸化ニッケルを含む焼結式正極である、請求項1〜のいずれか1項に記載のニッケル水素蓄電池。
  9. ニッケル化合物を含む正極活物質を含む正極と、水素吸蔵合金を含む負極活物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に挟まれたセパレータと、アルカリ電解液と、を具備し、前記負極の容量Cnの前記正極の容量Cpに対する比Cn/Cpが、1.4〜1.6であるニッケル水素蓄電池を組み立てる工程、
    前記ニッケル水素蓄電池を充電する工程、
    前記充電されたニッケル水素蓄電池を、前記負極の放電リザーブ量が、前記正極の容量の4%以上%以下になるように、エージングする工程、を具備するニッケル水素蓄電池の製造方法。
  10. 前記比Cn/Cpが、22/15〜1.55である、請求項9記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。
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