JP5818792B2 - 膨張性難燃剤及び非リン系難燃性相乗剤を含む熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

膨張性難燃剤及び非リン系難燃性相乗剤を含む熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は2009年8月10日出願の米国仮出願第61/232,548号の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は難燃性組成物に関する。一態様において、本発明はハロゲンフリーの難燃性組成物に関し、一方、別の態様では、本発明は熱可塑性エラストマー、膨張性難燃剤、及び難燃性相乗剤を含む難燃性組成物に関する。
ポリウレタン又はポリエステルエラストマーに基づく熱可塑性エラストマー(TPE)組成物が良く知られており、配線被覆及びケーブル被覆、例えば絶縁配線及び保護ケーブル外被を含めた多くの産業用途で使用されている。配線被覆及びケーブル被覆として有用であるためには、これらのポリウレタン系又はポリエステル系エラストマーはとりわけ、良好な機械的特性(例えば良好な弾性及び引張強度)、押出性、難燃性、及び競争力のあるコスト性を示す必要がある。これらのポリウレタン及びポリエステル系の熱可塑性エラストマーは本質的に良好な弾性及び機械的強度を有するが、本質的に難燃性ではなく、多くの他のポリマー、例えば多くのポリオレフィンと比較して低コストではない。
1つ又は複数の難燃剤と混合することによって、これらのエラストマーに難燃性を与えることができる。多くの難燃剤はハロゲン官能基又は1つ若しくは複数のハロゲン化合物を含む。これらの添加剤は望ましい難燃特性をTPUに与えるが、着火すると有害ガスを放出する傾向もある。したがって、そのようなハロゲン官能基又は化合物を含有する難燃剤よりも、ハロゲン官能基又はハロゲン化合物を含有しない難燃剤が多くの場合好まれる。
熱可塑性ポリウレタン及びポリエステルエラストマーと混合されている1つのそのようなクラスのハロゲンフリー難燃剤は、膨張性タイプの難燃剤である。幅広い範囲のこれらの膨張性難燃性添加剤が入手可能であり、それらは典型的には、リン系及び/又は窒素系成分を含み、チャー形成難燃特性をもたらす。膨張性難燃性材料は高コストである場合があり、他の重要な特性とのトレードオフを伴うことがあるので、膨張性添加剤の投入を少なくすることができる、相乗的な難燃性の利点をもたらす助剤(co-agent)を特定することは高い価値がある。
熱可塑性ポリウレタン又はポリエステルエラストマーを含むケーブル被覆のコストを下げるために、より低コストのポリマー成分、例えばポリオレフィンを含むことが可能である場合がある。しかし、熱可塑性ポリウレタン又はポリエステルエラストマー、ポリオレフィン、及びリン系難燃剤の組合せは多くの場合、特にリン系難燃剤が比較的高い添加量で、例えばTPU、ポリオレフィン、及び難燃剤を合わせた重量を基準として40重量パーセントを超えて存在する場合、TPU単独又はTPU/ポリオレフィンのブレンドと比較して機械的特性の低下した組成物をもたらす。
さらに、ケーブル被覆が着色されている場合、熱可塑性ポリウレタン又はポリエステルエラストマーは典型的には着色剤、例えば黒色用のカーボンブラック又は白色用の二酸化チタンとも混合されている。しかし、これらの着色剤、特にカーボンブラックは、TPU混合物の燃料添加量を増加させ、そのため混合物の難燃性を低下させることがある。
EP1719800は、シリコーン油で処理したピペラジン及びメラミンを(ポリ/ピロ)ホスフェート化合物との組合せで含む難燃性組成物を教示している。難燃性組成物は、ポリオレフィン、ポリウレタン、又はポリエステルを含めた様々な合成樹脂と混合させることができる。
特許出願公開US2007/0221890は、(A)H−P=O基、P−H基、及びP−OH基から選択される基を有する有機リン化合物と、(B)複雑な特定の式の化合物とを反応させることにより生成する、リン含有化合物を教示している。この化合物はエポキシ及びポリウレタン樹脂に難燃性を与えるのに有用である。
特許出願公開US2006/0151758は、膨張性難燃剤をプラスチック樹脂との組合せで含む組成物を教示している。この組成物は配線及びケーブルの外被及び絶縁体として有用である。プラスチック樹脂としては、ポリオレフィン、エンジニアリング樹脂、及び熱硬化性樹脂が挙げられる。
WO2007/031450は、(a)少なくとも1つのリン含有オキソ酸のエステル、(b)窒素化合物に基づく少なくとも1つの難燃剤成分、例えばシアヌル酸メラミン、及び(c)ポリウレタンポリマー基剤を含む難燃性組成物を教示している。ポリウレタンポリマー基剤はポリオレフィンを含有していてもよく、この組成物はケーブル被覆に使用できる。
USP5,837,760、特許出願公開US2008/0132615、及びJP2001/261855はすべて、TPU及びリン含有化合物を含む難燃性組成物を教示している。JP2001/261855は、この組成物がエチレン系熱可塑性エラストマー、例えばエチレン酢酸ビニルを含有することも教示している。
したがって、リン系難燃剤を含みハロゲンを含まないTPU/オレフィンポリマー組成物は引き続き興味深いものである。さらに、この組成物は、配線及びケーブルの用途において有用であるように、難燃剤の添加量が高くても十分に良好な機械的特性及び難燃性を示すべきである。
本発明の一態様は、(A)熱可塑性エラストマー、(B)窒素及び/又はリン系膨張性難燃剤、(C)非リン系難燃性相乗剤、及び(D)任意成分のオレフィンポリマーを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、熱可塑性エラストマーはポリウレタン又はポリエステルであり、これは組成物の少なくとも20重量パーセント(wt.%)を構成する。いくつかの実施形態において、窒素及び/又はリンの膨張性難燃剤は組成物の少なくとも10wt%を構成する。いくつかの実施形態において、非リン系燃焼相乗剤は組成物の少なくとも2wt%を構成する。一実施形態において、任意成分のオレフィンポリマーが存在し、組成物の少なくとも2重量パーセントwt%を構成する。
いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリウレタンはPELLETHANE(登録商標)2102、2103、及び/又は2355である。いくつかの実施形態において、膨張性リン系難燃剤は、メラミン若しくはメラミン誘導体(例えばピロリン酸メラミン)、有機ホスホン酸、ホスホネート、ホスフィネート、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィンオキシド、ホスフィン、ホスファイト若しくはホスフェート、レゾルシノールジホスフェート、リンエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、及びホスフィン酸アミドのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態において、非リン系燃焼相乗剤は、二酸化チタン、酸化アンチモン、及びカーボンブラックのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態において、オレフィンポリマーは極性オレフィンポリマー、例えばエチレン酢酸ビニルである。
いくつかの実施形態において、本発明は(A)熱可塑性エラストマー、(B)窒素及び/又はリン系膨張性難燃剤、(C)非リン系燃焼相乗剤、及び(D)任意成分のオレフィンポリマーを含む組成物から作られる物品である。いくつかの実施形態において、この物品はケーブルシース、例えば絶縁被覆物、保護外被などである。
本発明の別の態様は、ASTM−D−4459−06に従ってキセノンアークランプを300時間照射した後の組成物のCIE 94 Eが3以下であり、組成物の重量を基準として20〜85重量パーセントの熱可塑性エラストマーポリマー;5〜60重量パーセントのリン系難燃剤、少なくとも3重量パーセントのTiO及び紫外線安定化剤を含む、色安定性のあるハロゲンフリーの難燃性組成物を提供する。これは組成物が3〜15重量パーセントのTiOを含む実施形態を含み、組成物が組成物の全重量を基準として少なくとも約4.5重量パーセント及び少なくとも8重量パーセントのTiOを含む実施形態をさらに含む。
一実施形態において、熱可塑性ポリマーは熱可塑性ポリウレタンを含む。
一実施形態において、リン系難燃剤はリン酸エステルである。この実施形態及び他の実施形態において、熱可塑性ポリウレタンは芳香族ポリウレタンであってもよい。
いくつかの実施形態において、組成物は約16,000psi以下の5%セカント弾性率によって特徴づけられる。これは組成物が約12,000psi以下の5%セカント弾性率を有する実施形態を含み、組成物が9,000psi以下の5%セカント弾性率を有する実施形態をさらに含む。
いくつかの実施形態において、組成物は例えば重量パーセントで40%までのオレフィン系ポリマーを含んでいてもよいオレフィン系ポリマーを含む。
本発明はまた、以下に記載される組成物、被覆線および方法を提供する。
[1] 色安定性のあるハロゲンフリーの難燃性組成物であって、組成物の重量を基準として
(a)20〜85重量パーセントの熱可塑性エラストマーポリマーと;
(b)5〜60重量パーセントのリン系難燃剤と;
(c)少なくとも3重量パーセントのTiO と;
(d)紫外線安定剤と
を含み、ASTM−D−4459−06に従ってキセノンアークランプを300時間照射した後のCIE 94ΔEが3以下である、組成物。
[2] 熱可塑性ポリマーが熱可塑性ポリウレタンを含む、[1]に記載の組成物。
[3] 3〜15重量パーセントのTiO を含む、[2]に記載の組成物。
[4] リン系難燃剤がリン酸エステルである、[3]に記載の組成物。
[5] 熱可塑性ポリウレタンが芳香族ポリウレタンである、[4]に記載の組成物。
[6] 5%セカント係数が20,000以下である、[1]に記載の組成物。
[7] 40重量%パーセントまでのオレフィン系ポリマーをさらに含む、[2]に記載の組成物。
[8] オレフィン系ポリマーが、エチレン/アクリル酸(EAA)、エチレン/メタクリル酸(EMA)、エチレン/アクリレート又はメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、ポリ(エチレン−co−ビニルトリメトキシシラン)コポリマー、又は無水マレイン酸グラフト化オレフィンポリマー若しくはシラングラフト化オレフィンポリマーのうちの少なくとも1つである、[7]に記載の組成物。
[9] [1]から[8]のいずれか一項に記載の難燃性組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する導電性配線を含む、被覆線。
[10] 導電性配線の表面の少なくとも一部を[1]から[8]のいずれか一項に記載の難燃性組成物でコーティングするステップを含む、被覆線の作製方法。
元素周期表への言及はすべてCRC Press,Inc.により2003年に出版され版権のある元素周期表を参照する。また、族(1つ又は複数)へのいかなる言及も、族番号の付与に関するIUPACシステムを用いてこの元素周期表に反映される族(1つ又は複数)が参照されるものとする。別段示さない限り、文脈から暗示的に、又は当技術分野で慣習的に、すべての部及びパーセントは重量に基づくものであり、すべての試験方法は本開示の出願日現在で最新のものである。米国特許実務の目的において、特に合成法、製品、及びプロセス設計の開示、ポリマー、触媒、定義(本開示に具体的に示されるいかなる定義とも矛盾しない程度に)、及び当技術分野における一般知識に関して、参照されるいずれの特許、特許出願、又は特許公開の内容も、それらの全体が参照により組み込まれる(又はその同等なUSバージョンもまた参照により組み込まれる)。
本開示における数値範囲はおおよそのものであり、別段の指定がない限り、範囲の外側の値を含んでいてもよい。数値範囲は低い方から高い方の値及びそれらを含めたすべての値を、低い方の値と高い方の値との間に少なくとも2単位の隔たりがあるならば、1単位きざみで含む。例として、組成特性、物理特性、又は他の特性、例えば分子量、粘度、メルトインデックスなどが100〜1,000である場合、100、101、102などのすべての個々の値、及び100〜144、155〜170、197〜200などの部分範囲が明確に列挙されることを意図する。1未満である値又は1を超える小数を含む値(例えば1.1、1.5など)を含む範囲において、1単位は必要に応じて0.0001、0.001、0.01、又は0.1であると考えられる。10未満の1桁の数(例えば1〜5)を含む範囲において、1単位は典型的には0.1であると考えられる。これらは単に具体的に意図するものの例であり、列挙される最低値及び最高値の間の数値のあらゆる可能な組合せは、本開示に明確に示されていると見なすべきである。とりわけ、組成物中のポリオレフィン、TPU、難燃剤及び添加剤の量、これらの成分を規定する様々な特徴及び特性に関して、本開示内に数値範囲を示す。
化合物に関して使用する場合、明確に別途示されない限り、単数形はあらゆる異性体を含み、逆もまた同様である(例えば「ヘキサン」はヘキサンのあらゆる異性体を個々に又は集合的に含む)。用語「化合物」及び「複合体(complex)」は有機、無機、及び有機金属化合物を指すのに互換的に使用される。用語「原子」はイオン状態にかかわらず、すなわちそれが電荷若しくは部分電荷を保有するか、又は別の原子に結合しているかにかかわらず、元素の最小の構成要素を指す。用語「アモルファス」は、示差走査熱量測定法(DSC)又は同等の方法によって測定される結晶融点を持たないポリマーを指す。
用語「又は」は、別段の指定がない限り、列挙されるメンバーを個々にかつ任意の組合せで指す。
「組成物」及び同様の用語は、2つ又はそれを超える成分の混合物又はブレンドを意味する。
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、及び同様の用語は、2つ又はそれを超えるポリマーのブレンドを意味する。そのようなブレンドは混和性であってもそうでなくてもよい。そのようなブレンドは相分離していてもそうでなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び任意の他の当技術分野で既知の方法で測定される場合、1つ又は複数のドメイン立体配置を含有していてもそうでなくてもよい。
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかにはかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を意味する。そのため一般用語のポリマーは、通常1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために使用される用語ホモポリマー、及び以下に定義される通りの用語インターポリマーを包含する。これはまた、例えばランダム、ブロック、均一、不均一などのあらゆる形態のインターポリマーを包含する。用語「エチレン/α−オレフィンポリマー」及び「プロピレン/α−オレフィンポリマー」は、以下に記載のインターポリマーを示す。
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。この一般用語には、通常2種の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すのに使用されるコポリマー、及び2種を超える異なるモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどが含まれる。
「オレフィンポリマー」、「オレフィン系ポリマー」、「オレフィン系インターポリマー」、「ポリオレフィン」、及び同様の用語は、単純なオレフィンに由来するポリマーを意味する。代表的なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、及びそれらの様々なインターポリマーが挙げられる。
「エチレンポリマー」、「ポリエチレン」、及び同様の用語は、エチレンに由来する単位を含有するポリマーを意味する。エチレンポリマーは典型的にはエチレンに由来する単位を少なくとも50モルパーセント(mol%)含む。
「ハロゲンフリー」及び同様の用語は、イオンクロマトグラフィー(IC)又は同様の分析法によって測定した場合に、本発明の組成物がハロゲン含有量を有していないか又は実質的に有していない、すなわち2000mg/kg未満のハロゲンを含有することを意味する。この量未満のハロゲン含量は、配線又はケーブル被覆物としてのこの組成物の有効性にとって重要ではないと考えられる。
「色安定性」。本開示の目的において、窓ガラスを通した直射日光への曝露をシミュレートするキセノンアーク光源を300時間当てた後に、本発明の組成物の色が3.0以下のCIE Delta(Δ)Eを示すならば、組成物は「色安定性」である。この試験は、タイプ「S」ホウケイ酸内部フィルター及びソーダ石灰外部フィルターを有するAtlas Ci5000 Xenon Weather−Ometer(登録商標)を用いたASTM D4459−06に従う。この光源を規定の420nmのキャリブレーション波長で平方メートルあたり0.8ワット(W/m)のエネルギー入力に調整した。
オレフィンポリマー
これらの熱可塑性ポリマーとしては、オレフィンホモポリマー及びインターポリマーの両方が挙げられる。オレフィンホモポリマーの例はエチレン及びプロピレンのホモポリマーである。オレフィンインターポリマーの例はエチレン/α−オレフィンインターポリマー、及びプロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。α−オレフィンは好ましくはC3〜20の直鎖、分枝、又は環状α−オレフィンである(プロピレン及び高級オレフィン/α−オレフィンインターポリマーにおいて、エチレンはα−オレフィンと考えられる)。C3〜20α−オレフィンの例としては、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、及び1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンはシクロヘキサン又はシクロペンタンなどの環状構造も含有していてもよく、その結果、3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィンとなる。用語の古典的な意味においてα−オレフィンではないが、本発明の目的において、ノルボルネン及び関連のオレフィンなどのある種の環状オレフィンはα−オレフィンであり、上記の一部又はすべてのα−オレフィンの代わりに使用できる。同様に、スチレン及びその関連のオレフィン(例えばα−メチルスチレンなど)は、本発明の目的においてα−オレフィンである。例となるポリオレフィンコポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレンなどが挙げられる。例となるターポリマーとしては、エチレン/プロピレン/1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、及びエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。コポリマーはランダム又はブロック状であってもよい。
本発明において有用なオレフィンインターポリマーのより具体的な例としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えばThe Dow Chemical Company製のFLEXOMER(登録商標)エチレン/1−ヘキセンポリエチレン)、均一に分岐した線状のエチレン/α−オレフィンコポリマー(例えばMitsui Petrochemicals Company Limitedによる TAFMER(登録商標)、及びExxon Chemical CompanyによるEXACT(登録商標))、均一に分岐した実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマー(例えばThe Dow Chemical Companyより入手可能なAFFINITY(登録商標)及びENGAGE(登録商標)ポリエチレン)、及びUSP 7,355,089に記載のものなどのオレフィンブロックコポリマー(例えばThe Dow Chemical Companyより入手可能なINFUSE(登録商標))が挙げられる。より好ましいポリオレフィンコポリマーは、均一に分岐した線状及び実質的に線状のエチレンコポリマーである。実質的に線状のエチレンコポリマーが特に好ましく、USP5,272,236、5,278,272、及び5,986,028により完全に記載されている。
熱可塑性ポリマーのこのカテゴリーのオレフィンコポリマーとしても、プロピレン、ブテン、及び他のアルケン系コポリマー、例えばプロピレンに由来する大多数の単位及び別のα−オレフィン(エチレンを含める)に由来する少数の単位を含むコポリマーが挙げられる。本発明の実施において有用な、例となるプロピレンポリマーとしては、The Dow Chemical Companyより入手可能なVERSIFY(登録商標)ポリマー、及びExxonMobil Chemical Companyより入手可能なVISTAMAXX(登録商標)ポリマーが挙げられる。
本発明の実施において使用するための好ましいオレフィンポリマーは、極性オレフィンポリマー、すなわち1つ又は複数の極性基(極性官能基と呼ばれることがある)を含有するオレフィンポリマーである。本発明の目的において、極性基はそれがなければ本質的に非極性であるオレフィン分子に結合双極子モーメントを与える任意の基である。例となる極性基としては、カルボニル、カルボン酸基、無水カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ビニルエステル基、エポキシ基、スルホニル基、ニトリル基、アミド基、シラン基などが挙げられ、これらの基はグラフト化又は共重合のいずれかによってオレフィンポリマー中に導入できる。例となる極性オレフィンポリマーとしては、エチレン/アクリル酸(EAA)、エチレン/メタクリル酸(EMA)、エチレン/アクリレート又はメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、ポリ(エチレン−co−ビニルトリメトキシシラン)コポリマー、及び無水マレイン酸グラフト化又はシラングラフト化オレフィンポリマーが挙げられる。好ましい極性オレフィンポリマーとしては、DuPont ELVAX エチレン酢酸ビニル(EVA)樹脂、The Dow Chemical Company製のAMPLIFYエチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、The Dow Chemical Company製のPRIMACOR エチレン/アクリル酸コポリマー、及びThe Dow Chemical Company製のSI−LINK ポリ(エチレン−co−ビニルトリメトキシシラン)コポリマーが挙げられる。
上に挙げた例のすべてを含めて、1つ又は複数のオレフィン系ポリマーのブレンドは、熱可塑性ポリエステル及びポリウレタンエラストマー成分と組み合わせて本発明で使用することもできる。
本発明の実施において有用な任意選択のオレフィンポリマーは、存在する場合、典型的には組成物の重量を基準として2〜40wt%の範囲の量で使用される。好ましくは、存在する場合、オレフィンポリマーは組成物の重量を基準として4〜35、より好ましくは5〜30wt%の範囲の量で使用される。
熱可塑性エラストマー(TPE)
本明細書で使用される「熱可塑性エラストマー」は、(1)元の長さを超えて伸長し、解放されると実質的にその元の長さに収縮する能力を有し、(2)熱にさらすと軟化し室温に冷却されると実質的にその元の状態に戻るポリマーである。適切な熱可塑性エラストマーの非限定的な例としては、スチレンブロックコポリマー、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)、熱可塑性コポリエステル、ポリエステルブロックエーテル、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコールエーテルコポリマー(PBT/PTMEGコポリマー)、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。熱可塑性エラストマーの非限定的な市販品の例としては、Styroflex(商標)(BASF)、Kraton(商標)(Kraton Polymers)、Pellethane(商標)(Dow Chemical)、Pebax(商標)、Arnitel(商標)(DSM)、及びHytrel(商標)(Du Pont)という商標名の製品が挙げられる。
一実施形態において、熱可塑性エラストマーは熱可塑性ポリウレタンである。本明細書で使用される「熱可塑性ポリウレタン」(又は「TPU」)は、ジイソシアネート、1つ又は複数のポリマージオール、及び任意成分としての1つ又は複数の二官能性鎖延長剤の反応生成物である。TPUは、プレポリマー、準プレポリマー(quasi-prepolymer)、又はワンショット法によって調製してもよい。ジイソシアネートはTPU中で硬いセグメントを形成し、芳香族、脂肪族、及び脂環式のジイソシアネート、並びに2種又はそれを超えるこれらの化合物の組合せであってもよい。ジイソシアネート(OCN−R−NCO)に由来する構造単位の非限定的な例は、以下の式(I):
Figure 0005818792
によって表され、式中、Rはアルキレン、シクロアルキレン、又はアリーレン基である。これらのジイソシアネートの代表例は、米国特許第4,385,133号、第4,522,975号、及び第5,167,899号に見いだすことができる。適切なジイソシアネートの非限定的な例としては、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、p−フェニレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4−トルエンジイソシアネート、及び4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンが挙げられる。
適切なクラスの有機ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。例えば、有機ジイソシアネートは、4,4’−異性体、2,4’−異性体、及びそれらの混合物を含めたメチレンビス(フェニルイソシアネート)であってもよい。そのような芳香族ジイソシアネートからできた芳香族TPUは、それらの不十分な色安定性(例えば紫外線)のために、過去に色安定性難燃性組成物における使用が見られないが、発明者らは、驚くことに芳香族TPUを本発明の色安定性組成物において使用できることを見いだした。
ポリマージオールは得られるTPU中で軟らかいセグメントを形成する。ポリマージオールの分子量(数平均)は例えば200〜10,000g/モルの範囲であってもよい。1種を超えるポリマージオールを使用できる。適切なポリマージオールの非限定的な例としては、ポリエーテルジオール(「ポリエーテルTPU」が得られる);ポリエステルジオール(「ポリエステルTPU」が得られる);ヒドロキシ末端ポリカーボネート(「ポリカーボネートTPU」が得られる);ヒドロキシ末端ポリブタジエン;ヒドロキシ末端ポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマー;ジアルキルシロキサン及びアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドなど)のヒドロキシ末端コポリマー;天然油ジオール、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。1つ又は複数の前述のポリマージオールを、アミン末端ポリエーテル及び/又はアミノ末端ポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーと混合してもよい。
二官能性鎖延長剤は、2〜10個の炭素原子を鎖中に有する脂肪族直鎖及び分枝鎖ジオールであってもよい。そのようなジオールの例となるのは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど;1,4−シクロヘキサンジメタノール;ヒドロキノンビス−(ヒドロキシエチル)エーテル;シクロヘキシレンジオール(1,4−、1,3−、及び1,2−異性体)、イソプロピリデンビス(シクロヘキサノール);ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミンなど;及び上記のうち任意のものの混合物である。前に述べた通り、場合によっては、得られるTPUの熱可塑性を損なうことなく少ない割合(約20当量パーセント未満)の二官能性鎖延長剤を三官能性鎖延長剤で置き換えることができる。そのような鎖延長剤の例となるのは、グリセリン、トリメチロールプロパンなどである。
特定の反応物成分、硬いセグメント及び軟らかいセグメントの所望の量、並びに弾性率及び引き裂き強度などの良好な機械的特性をもたらすのに十分な指数を選択することによって決定される量で、鎖延長剤がポリウレタン中に取り入れられる。ポリウレタン組成物は、例えば2〜25、好ましくは3〜20、より好ましくは4〜18重量%の鎖延長剤成分を含有してもよい。
場合により、少量のモノヒドロキシル官能性又はモノアミノ官能性化合物(多くの場合「連鎖停止剤」と呼ばれる)を用いて分子量を制御してもよい。そのような連鎖停止剤の例となるのは、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及びセキサノールである。使用する場合、連鎖停止剤は典型的にはポリウレタン組成物をもたらす反応混合物全体の0.1〜2重量パーセントという少量で存在する。
前記鎖延長剤に対するポリマージオールの当量比は、TPU生成物の所望の硬さに応じて大幅に異なっていてもよい。一般的に言えば、当量比は約1:1〜約1:20、好ましくは約1:2〜約1:10のそれぞれの範囲に含まれる。同時に、イソシアネートの当量の全体 対 活性水素含有材料の当量の比は、0.90:1〜1.10:1、好ましくは0.95:1〜1.05:1の範囲内である。
本開示の実施において使用されるポリウレタンの特性を改質するために、添加剤を使用してもよい。添加剤は、当技術分野及び文献において既知の従来の量で含まれていてもよい。通常、様々な抗酸化剤、紫外線阻害剤、ワックス、増粘剤、及びフィラーなどの添加剤は、特定の所望の特性をポリウレタンにもたらすために使用される。フィラーを使用する場合、それらは有機又は無機のいずれであってもよいが、一般にはクレー、タルク、炭酸カルシウム、シリカなどの無機物である。ガラス又は炭素繊維などの繊維質添加剤も、ある種の特性を与えるために添加してもよい。
適切なTPUの非限定的な例としては、Lubrizol Corporationより入手可能なPELLETHANE(商標)熱可塑性ポリウレタンエラストマー;ESTANE(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOFLEX(商標)熱可塑性ポリウレタン、CARBOTHANE(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOPHILIC(商標)熱可塑性ポリウレタン、TECOPLAST(商標)熱可塑性ポリウレタン、及びTECOTHANE(商標)熱可塑性ポリウレタン(すべてNoveonより入手可能);BASFより入手可能なELASTOLLAN(商標)熱可塑性ポリウレタン及び他の熱可塑性ポリウレタン;並びにBayer、Huntsman、Lubrizol Corporation、Merquinsa、及び他の供給業者から入手可能なさらなる熱可塑性ポリウレタン材料が挙げられる。
本発明の実施において使用される相溶化ブレンドのポリウレタン成分は、2つ又はそれを超える上記の適切な実施形態の組合せを含有していてもよい。
本発明の実施において有用なTPUは、典型的には組成物の重量を基準として20〜90wt%の範囲の量で使用される。好ましくは、TPUは組成物の重量を基準として20〜75wt%、より好ましくは25〜60wt%の範囲の量で使用される。
窒素及び/又はリン系難燃剤
本発明の実施において使用されるリン系及び窒素系膨張性難燃剤としては、限定はされないが、有機ホスホン酸、ホスホネート、ホスフィネート、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィンオキシド、ホスフィン、ホスファイト又はホスフェート、リンエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミド、並びにメラミン及びメラミン誘導体(ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、及びシアヌル酸メラミンを含める)、並びに2つ又はそれを超えるこれらの材料の混合物が挙げられる。例としては、リン酸フェニルビスドデシル、リン酸フェニルビスネオペンチル、リン酸水素フェニルエチレン、リン酸フェニル−ビス−3,5,5’−トリメチルヘキシル)、リン酸エチルジフェニル、リン酸2−エチルヘキシルジ(p−トリル)、リン酸水素ジフェニル、リン酸ビス(2−エチル−ヘキシル)p−トリル、リン酸トリトリル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)−フェニル、リン酸トリ(ノニルフェニル)、リン酸水素フェニルメチル、リン酸ジ(ドデシル)p−トリル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸ジブチルフェニル、リン酸2−クロロエチルジフェニル、リン酸p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)、リン酸2−エチルヘキシルジフェニル、及びリン酸水素ジフェニルが挙げられる。米国特許第6,404,971号に記載のタイプのリン酸エステルは、リン系難燃剤の例である。ポリリン酸アンモニウムは別の例である。ポリリン酸アンモニウムは多くの場合、メラミン誘導体などの難燃剤共添加剤(co-additive)と共に使用される。ヒドロキシル源などのさらなる共添加剤も、膨張性難燃剤の炭化物形成メカニズムに寄与するために含まれていてもよい。Budenheim及びAdekaは、Budenheim Budit 3167(ポリリン酸アンモニウム及び共添加剤に基づく)及びAdeka FP−2100J(ポリリン酸ピペラジン及び共添加剤に基づく)などの膨張性材料のブレンドを販売している。
本発明の実証において使用される好ましい膨張性難燃性添加剤としては、Amfine FP−2100J(窒素−リン系難燃剤)並びにレゾルシノールジホスフェート(Supresta RDP)及びアルミニウム三水和物の組合せが挙げられる。ポリウレタン又はポリエステル系TPE組成物に好ましい他の難燃剤としては、ビスフェノールAポリホスフェート(BAPP又はBDPとしても知られる)及びBudit 3167が挙げられる。
本発明の実施において有用なリン系難燃剤は、典型的には組成物の重量を基準として1〜70wt%の範囲の量で使用される。好ましくは、リン系難燃剤は組成物の重量を基準として5〜60wt%、より好ましくは10〜50wt%の範囲の量で使用される。
非リン系燃焼相乗剤
本発明のTPE/膨張性難燃剤/任意成分のオレフィンポリマーのブレンドは、いくつかの異なる非リン系難燃性相乗剤のうち任意の1つ、特にカーボンブラック及び/又は二酸化チタン、酸化アルミニウム、ハンタイト、三酸化アンチモン、酸化カリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素(例えば沈降シリカ及びケイ酸塩、ヒュームドシリカなど)などの様々な金属酸化物の1つとの組合せにおいて、優れた燃焼性能を示す。これらの非リン系難燃性相乗剤は、組成物の重量を基準として0.5未満から40wt%を超えるまでの範囲の量で使用できる。典型的には、これらの添加剤は組成物の重量を基準として1〜20wt%、より典型的には2〜10wt%の範囲の量で使用される。
着色剤
所望の色を組成物に与えるために、様々な着色剤(色相及び彩度を組成物又は物品に与えるのに使用される顔料又は染料又は他の物質)を組成物に加えることができる。着色剤は、溶融混合の材料製造プロセスの間に100%の濃度で組成物へ直接加えるか、又はより容易な使用及び取り扱いのために、配線及びケーブルで一般的に使用されるポリマーベースのマスターバッチなどのベース材料中に予備混合された色濃縮物として導入することができる。カラーマスターバッチは、目標とする着色のいくつかの色成分を含んでいてもよく、例えば黒、白、及び青色顔料を適切な比で組み合わせて青の下地色を有する特定のグレーの色相を得る。プラスチック組成物を着色するのに着色剤を使用する場合、それらは典型的には組成物の総重量を基準として約0.2(以下)から1.0重量パーセントの量で加えられる。例えば、二酸化チタン及びカーボンブラックの両方も一般に1.0重量%以下の添加量で着色のために利用され、二酸化チタン着色成分は望ましくない半透明性を取り除くための乳白剤としても作用する。本発明のある態様は、少なくとも部分的には、カーボンブラック及び二酸化チタンなどのいくつかの着色剤材料が、可塑性ポリウレタン又はポリエステル系膨張性組成物を含めた熱可塑性組成物中に高添加量で含まれる場合に、難燃性相乗剤及び紫外線曝露に対する色安定化剤としてのさらなる機能性をもたらし得るという発見に基づいている。
カーボンブラック
カーボンブラックは、本発明の組成物において着色剤及び非リン系燃焼相乗剤として機能し得る。これを下記の実施例1に例示しており、ここではカーボンブラックマスターバッチポリオレフィン系樹脂及び約40%のカーボンブラック顔料添加が、カーボンブラック添加剤の供給源として使用される。本発明を実証するのに使用される熱可塑性ポリウレタン系膨張性組成物において、エチレン−酢酸ビニルコポリマー系カラーマスターバッチが効果的であることが分かっている。大部分の難燃性組成物、例えばポリオレフィン系化合物と金属水和物との組成物、又はポリエチレンとデカブロモジフェニルオキシドなどのハロゲン難燃剤との組成物などにおいて、着色剤マスターバッチを添加すると、組成物に燃料が加わる傾向にあり、それによって難燃剤が薄められ、組成物の燃焼性能が弱まる。実施例1に記載のように、カーボンブラックは驚くことに反対の効果を示す。
二酸化チタン
二酸化チタンも本発明の組成物において複合的な役割を果たし得る。例えば、従来を上回るTiO添加量を有する組成物は、配線及びコーティング用途の従来の難燃性組成物と比較して、良好な機械的特性と高い耐燃焼性及び色安定性とのバランスをもたらすことができる。そのような組成物は、典型的な着色用途に使用される又は必要とされる量を実質的に上回る量でTiOを含有する。これらの高濃度では、TiOは着色剤としてだけでなく、紫外線安定剤として及び耐燃焼性を組成物にもたらす難燃性相乗剤としても作用している。結果として本発明の組成物は、組成物中のベース樹脂及び他の成分の紫外線安定性が不十分な場合であっても、色安定性を実現することを可能にする。これは、組成物の全体としての色安定性を犠牲にすることなく、より低コストでより色安定性の低い熱可塑性プラスチック(例えば芳香族TPU)を、より高コストでより色安定性の高い熱可塑性プラスチックの代わりに用いることを可能にする。
本発明の組成物のいくつかの実施形態において、紫外線安定性及び耐燃焼性は、例えばそれらの最大セカント弾性係数によって測定される良好な可撓性と有利に組み合わせられる。可撓性は、堅い材料が望ましくない配線及びケーブルのシースなどの用途において重要な特性であり、家庭用電化製品のフレキシブル配線などの特定の市場区分において特に評価される。そのように、本発明の組成物の実施形態は、堅い組成物が必要とされる塗料などの難燃性コーティングとは区別することができる。可撓性配線組成物は典型的には、架橋した組成物と比べてより単純でより低コストの配線製造プロセスを提供する熱可塑性タイプである。
いくつかの実施形態において、組成物は組成物の総重量を基準として少なくとも3重量パーセントのTiOを含む。これには、組成物の総重量を基準として少なくとも5重量パーセント、少なくとも7重量パーセント、及び少なくとも9重量パーセントのTiOを含有する組成物が含まれる。TiOは粉末として組成物に直接加えるか、又はポリマーベースのマスターバッチなどの濃縮物形態で加えることができる。例えば、いくつかの実施形態において組成物は組成物の総重量を基準として3〜15重量パーセントのTiOを含有する。本明細書に含まれる例は、組成物の総重量を基準として約3〜10重量パーセントのTiOを示す。市販のTiO粉末の例は、DuPontによりTi−Pure(登録商標)R−104及びR−350の商標名で販売されている。
添加剤及びフィラー
本発明の組成物は添加剤及び/又はフィラーも含有してもよい。代表的な添加剤としては、限定はされないが、抗酸化剤、硬化剤、架橋助剤、促進剤及び遅延剤、加工助剤、カップリング剤、紫外線安定剤(紫外線吸収剤を含める)、静電防止剤、核剤(nucleating agent)、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度調整剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、伸展油、酸捕捉剤、及び金属不活性化剤が挙げられる。これらの添加剤は典型的には従来の方法で、従来の量、例えば組成物の重量を基準として0.01wt%以下から10wt%以上の量で使用される。
代表的なフィラーとしては、限定はされないが、様々な金属水酸化物、例えば水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、及び三水酸化アルミニウム;炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;二硫化モリブデン及び硫酸バリウムなどの金属硫化物及び硫酸塩;ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、及びメタホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩;無水アルミニウムなどの金属無水物;珪藻岩、カオリン、及びモンモリロナイトなどのクレー;ハンタイト;セライト;アスベスト;粉砕鉱物;並びにリトポンが挙げられる。これらのフィラーは典型的には従来の方法で、従来の量、例えば組成物の重量を基準として5wt%以下から50wt%以上の量で使用される。
適切な紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)及び紫外線吸収(UVA)添加剤が挙げられる。組成物に使用できる代表的なHALSとしては、限定はされないが、TINUVIN XT 850、TINUVIN 622、TINUVIN(登録商標)770、TINUVIN(登録商標)144、SANDUVOR(登録商標)PR−31、及びChimassorb 119 FLが挙げられる。TINUVIN(登録商標)770はセバシン酸ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)であり、分子量が約480グラム/モルであり、Ciba,Inc.(現在はBASFの一部)より市販され、2つの第2級アミン基を有する。TINUVIN(登録商標)144はマロン酸ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−n−ブチル−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)であり、分子量が約685グラム/モルであり、第3級アミンを含有し、これもCibaより入手可能である。SANDUVOR(登録商標)PR−31はプロパン二酸、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステルであり、分子量が約529グラム/モルであり、第3級アミンを含有し、Clariant Chemicals(インド)Ltd.より入手可能である。Chimassorb 119 FL又はChimassorb 119は10wt%の4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとのコハク酸ジメチルポリマー及び90wt%のN,N’’’−[1,2−エタンジイルビス[[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トライジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]ビス[N’N’’−ジブチル−N’N’’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)]−1であり、Ciba,Inc.より市販されている。代表的な紫外線吸収(UVA)添加剤としては、Ciba,Inc.より市販されているTinuvin 326及びTinuvin 328などのベンゾトリアゾール系が挙げられる。HAL’s及びUVA添加剤のブレンドも効果的である。
いくつかの実施形態において、光安定剤は組成物の総重量を基準として0.1〜5.0重量パーセントの量で存在する。本明細書に示される実施例に代表される実施形態は1.0〜2.0重量パーセントの紫外線安定化添加剤を含む。TiOは組成物中で光安定剤として作用し得るにもかかわらず、この開示の目的においてこれらの光安定剤の範囲にTiOは含まれない。
抗酸化剤の例は、限定はされないが以下の通りである:テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナマート)]メタンなどのヒンダードフェノール;ビス[(beta−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナマート;亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)及び亜ホスホン酸ジ−tert−ブチルフェニルなどの亜リン酸エステル及び亜ホスホン酸エステル;チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、及びチオジプロピオン酸ジステアリルなどのチオ化合物;種々のシロキサン;重合2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、n,n’−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−bis(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミン、並びに他のヒンダードアミン劣化防止剤又は安定化剤。抗酸化剤は組成物の重量を基準として0.1〜5wt%の量で使用できる。
加工助剤の例としては、限定はされないが、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムなどのカルボン酸の金属塩;ステアリン酸、オレイン酸、又はエルカ酸などの脂肪酸;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、又はN,N’−エチレンビス−ステアリン酸アミドなどの脂肪アミド;ポリエチレンワックス;酸化ポリエチレンワックス;エチレンオキシドのポリマー;エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー;植物ワックス;石油ワックス;非イオン性界面活性剤;シリコーン液、及びポリシロキサンが挙げられる。加工助剤は組成物の重量を基準として0.05〜5wt%の量で使用できる。
機械的特性
セカント係数は、応力歪み曲線の任意の規定点における公称応力対それに対応する歪みの比である。これは応力/歪み曲線上で原点からパーセント歪みまで引いた直線の傾きを計算することにより決定される。1パーセント(1%)のセカント係数は、応力歪み曲線上の1パーセント歪みにおける公称応力対それに対応する歪みの比である。2パーセント(2%)セカント係数は、応力歪み曲線上の2パーセント歪みにおける公称応力対それに対応する歪みの比である。5パーセント(5%)セカント係数は、応力歪み曲線上の5パーセント歪みにおける公称応力対それに対応する歪みの比である。セカント係数は通常、応力歪みの図が応力対歪みの線形比例を示さない材料において、弾性係数の代わりに使用される。本発明の組成物のいくつかの実施形態は、5%セカント係数が16,000psi以下である可撓性材料である。これは5%セカント係数が12,000psi以下である組成物を含み、さらに5%セカント係数が9,000psi以下である組成物を含む。
本発明の組成物のいくつかの実施形態は、ピーク引張強度及び/又は少なくとも1000psiの破断点での引張強度を有する。これはピーク引張強度及び/又は少なくとも1200psiの破断点での引張強度を有する組成物を含み、さらにピーク引張強度及び/又は少なくとも1500psiの破断点での引張強度を有する組成物を含む。
本発明の組成物のいくつかの実施形態は、少なくとも200%の破断点伸びを有する。これは少なくとも300%の破断点伸びを有する組成物を含む。
組成物
本発明の組成物は熱可塑性、すなわち温度上昇によって溶融し温度下降によって固体化することを繰り返すことが可能である。熱可塑性材料は、加熱時の変化が化学的であるよりはむしろ実質的に物理的である材料である。それらは主として2次元又は1次元の分子構造である。さらに、本発明の組成物は難燃性かつハロゲンフリーである。
本発明の組成物は、比較的少量、例えば組成物の10wt%未満、好ましくは8wt%未満、より好ましくは6wt%未満の他のポリマーも含んでいてもよい。例となる他のポリマーとしては、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネートなどが挙げられる。これらのポリマー成分は、燃焼性能、機械的靱性、可撓性、又は他の重要な特性に寄与することによって、組成物の全体の特性バランスをさらに向上させるために取り入れることができる。
調合
組成物の調合は、当業者に既知の標準的な装置によって行うことができる。調合装置の例は、Banbury(商標)又はBolling(商標)内部ミキサーなどの内部バッチミキサー(internal batch mixer)である。あるいは、Farrel(商標)連続ミキサー、Werner and Pfleiderer(商標)2軸ミキサー、又はBuss(商標)混練連続押出機などの、連続1軸、又は2軸ミキサーを使用できる。利用されるミキサーの種類、及びミキサーの動作条件は、粘度、体積抵抗率、及び押出成形した表面の滑らかさなど、組成物の特性に影響を与えることになる。
本発明の組成物を含む絶縁層を含有するケーブルは、様々なタイプの押出機、例えば1軸又は2軸タイプによって調製できる。これらの組成物は、熱可塑性ポリマーの押出成形に適した任意の装置において押出成形能を有するべきである。配線及びケーブル製品用の最も一般的な製造装置は1軸可塑化押出機である。従来の1軸押出機の説明はUSP4,857,600に見いだすことができる。したがって共押出及び押出機の例はUSP5,575,965に見いだすことができる。典型的な押出機はその上流にホッパーを有し、その下流端にダイを有する。ポリマー化合物の顆粒はホッパーを通して押出機のバレルへ送り込まれ、バレルはらせん状のフライトを有するスクリューを含む。押出機のバレル及びスクリューの長さ対直径の比は、典型的には約15:1〜約30:1の範囲である。下流端ではスクリュー端とダイとの間に通常、ブレーカープレートによって支持されポリマー溶融物からあらゆる大粒子の不純物をろ過するのに使用されるスクリーンパックが存在する。押出機のスクリュー部分は典型的には、固形物供給部分、圧縮又は溶融部分、及び計量又は圧送部分の3つの部分に分かれている。ポリマーの顆粒は供給ゾーンを通って、圧縮ゾーンへ運搬され、ここではスクリューの溝の深さは材料を圧縮するように浅くなっており、熱可塑性ポリマーは、押出機バレルからの熱入力とスクリューにより生じる摩擦せん断熱との組合せによって溶融する。大部分の押出機は、上流から下流へ向かって延びているバレルの軸に添って、複数(2つを超える)のバレル加熱ゾーンを有する。各加熱ゾーンは典型的には、温度プロファイルがバレルの長さに添って設定されるのを可能にする個別のヒーター及び熱コントローラーを有する。クロスヘッド及びダイの組立て品においてはさらなる加熱ゾーンがあり、ここでは押出機スクリューにより生じる圧力によって溶融物が流れ、典型的には押出機バレルに対して垂直に移動する配線及びケーブル製品に成形される。成形後、熱可塑性押出成形ラインは典型的には、ポリマーを冷却し固体化して最終的な配線又はケーブル製品にするための水槽を有し、次いで長さの長いこの製品を巻き取るリールを有する。様々な配線及びケーブルの製造プロセスがあり、例えばバリアミキサー(barrier mixer)又は他のタイプなどの別のタイプのスクリューデザイン、吐出圧力を生じるポリマーギアポンプなどの別の加工装置がある。本開示において概要説明される組成物は典型的には、配線及びケーブルの組成物を押出成形するのに適した任意の製造装置で加工することができる。
本発明の別の態様は物品を提供する。これは本発明の組成物を含む構成要素を含む。特に、この物品は本明細書に記載の組成物から成る構成要素を含む。
いくつかの実施形態において、物品は金属導体とこの金属導体上のコーティングとを備え、低電圧の遠距離通信信号の送信が可能な又は広範な送電用途の「絶縁」配線を提供する。本明細書で使用する「金属導体」は、電力及び/又は電気信号を伝送するのに使用される少なくとも1つの金属製構成要素である。配線及びケーブルの可撓性は多くの場合望ましく、そのため金属導体は硬い断面を有するか、又は優先的には、所与の全体の導体直径に対して向上した可撓性をもたらすより小さい配線ストランドから構成されていてもよい。ケーブルは多くの場合、内部コアに形作られた複数の絶縁配線などのいくつかの構成要素から成り、次いで保護性及び美的外観を与えるケーブルシースシステムによって取り囲まれている。ケーブルシースシステムは、箔又はアーマー(armor)などの金属層を組み込んでいてもよく、典型的には表面上にポリマー層を有する。保護/美観ケーブルシースに組み込まれている1つ又は複数のポリマー層は多くの場合ケーブル「外被」と呼ばれる。一部のケーブルでは、シースは単にケーブルコアを取り囲むポリマー外被層である。導体を取り囲む単層のポリマーを有するケーブルもいくつかあり、絶縁及び外被の両方の役割を果たす。組成物は、電力ケーブル並びにメタリック通信及び光ファイバー通信用途の両方を含めた、あらゆる種類の配線及びケーブル製品におけるいずれのポリマー成分としても使用できる。組成物は、本明細書で開示される任意の組成物であってもよい。コーティングと金属導体との間の直接接触及び間接接触の両方が利用法に含まれる。「直接接触」は、コーティングが金属導体に直に接触する配置であり、介在する層(複数可)及び/又は介在する材料(複数可)がコーティングと金属導体との間に置かれていない。「間接接触」は、介在する層(複数可)及び/又は介在する材料(複数可)が金属導体とコーティングとの間に置かれている配置である。コーティングは完全に又は部分的に、金属導体を覆うかあるいは取り囲むか又は包んでいてもよい。コーティングは金属導体を取り囲む唯一の構成要素あってもよい。あるいは、コーティングは金属導体を包む多層外被又はシースのうちの1層であってもよい。
別の実施形態において、組成物は光ファイバー伝送光エネルギーを取り入れる光ファイバーケーブルの層又は構成要素として使用できる。これらのケーブルは典型的には通信用途で使用され、大量のデータの伝送が可能である。光ケーブル外被において、ポリマーコーティングは金属ベースのケーブルと同様の保護効果の多くをもたらし、良好な美的外観を有する丈夫な保護層を提供し、要求される任意のレベルの耐燃焼性を有する。光ファイバーケーブルにおいて、コーティング材料の電気特性はあまり重要ではないことがある。
一実施形態において、物品は被覆金属導体である。適切な被覆金属導体の非限定的な例としては、家庭用電化製品用フレキシブル配線、電力ケーブル、携帯電話及び/又はコンピューター用の充電器配線、コンピューターデータコード、電源コード、電化製品の配線材料、及び家庭用電化製品の付属品コードなどのフレキシブル配線が挙げられる。
以下の例は本発明の様々な実施形態を例示している。別段の指定がない限り、部及びパーセントはすべて重量による。
具体的な実施形態
実施例1−試料組成物:
この実施例は、難燃性組成物におけるカーボンブラックの相乗効果を実証する。この実施例では、表1に示す配合に従って3つの難燃性組成物を作製する。表に記載の量は組成物の総重量を基準とした重量パーセント(wt.%)である。
Figure 0005818792
Pellethane(登録商標)2355−75Aは、密度が1.19g/cm(ASTM D−792)、メルトインデックスが28g/10min(ASTM D−1238、224℃/1.2kg)である、The Lubrizol Corporationより入手可能なアジピン酸エステル系熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。Elvax(登録商標)40L03は、比重が0.966g/cm(ASTM D−792)、メルトマスフローレート(MFR)が3g/10min(ASTM D−1238)、酢酸ビニル含量が40wt%であり、E.I.DuPont de Nemours and Companyより入手可能なエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーである。Elvax(登録商標)265は、比重が0.951g/cm(ASTM D−792)、メルトマスフローレート(MFR)が3g/10min(ASTM D−1238)、酢酸ビニル含量が28wt%であり、E.I.DuPont de Nemours and Companyより入手可能なエチレン酢酸ビニル(EVA)である。Amfine(商標)FP−2100Jは窒素−リン系難燃剤である。これは300℃を超えると分解する白色粉末であり、窒素含量が20〜23パーセント、リン含量が18〜21パーセントである。これはAmfine Chemical Corporationより入手可能である。Irgafos 168(亜リン酸トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル))は、Ciba Specialty Chemicalsより入手可能なリン酸エステル系抗酸化剤である。Irganox 1010((1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン)は、Ciba Specialty Chemicalsより入手可能なヒンダードフェノール系抗酸化剤である。DFDA−0038は、40重量%の微粒子カーボンブラックを取り入れたポリエチレン系カーボンブラックマスターバッチである。
押出機/ペレット化システムを有するBanbury 1Aパイロットプラントミキサーにおいて、従来通りに混合し約180℃のバッチ温度まで加熱することによって、ベース組成物を調製する。ミキサーを適切に満たす38lbの公称バッチ重量を実現する適切な割合で、成分を秤量する。全体の混合サイクルにおいて、約80RPMのミキサーローター速度を用いる。すべての原料、ポリマー及び添加剤の両方を最初に装入し、140℃及び170℃でバッチを反転させるために2回ラムを上げる。180℃のバッチ温度に到達したときに、バッチをペレット化押出機に落とす。次いでこのペレット化ベース材料を、カーボンブラックマスターバッチを取り入れるための実験用バッチ混合の出発点として使用する。
ベース材料及び指定の添加量のカーボンブラックマスターバッチを180℃のボール温度まで加熱したBrabender実験用ミキサーに加え、次いで溶融し、溶融物を180℃まで加熱することによって、最終組成物を作製する。得られる溶融混合材料を回収し室温まで冷却する。次いでこの材料を粒状化し、実験用押出成形に使用して燃焼試験用の絶縁配線を調製する。ポリエチレン系計量スクリュー及び配線コーティングクロスヘッドを備えた直径3/4”のBrabender実験用可塑化押出機において、絶縁配線を押出成形する。約180℃まで傾斜させたバレルのプロファイルによって実験用押出機を作動させ、約3.0メートル/分の絶縁体の押出成形生産量を実現するようにスクリューの回転数を調整する。最終直径0.085”を公称直径0.046”のストランド状銅導体に適用するために0.085”の配線コーティングダイを有する配線クロスヘッドを使用して、VW−1燃焼試験用の絶縁配線試料を得る。
Underwriters Laboratory UL−94試験規格に詳細に述べられる通りに、VW−1燃焼試験を配線及びケーブル製品試料について行う。配線製品の垂直試料についてVW−1燃焼試験を行い、5回の15秒曝露を1セットとして、500ワットの火力レベルに調整された実験用バーナーを点火源として試料の底部に当てる。この試験に合格するには、配線製品試料は以下の基準を満たす必要がある:1)試料は点火源を外した後60秒以内に自己消火しなければならない、2)火炎のドリップを示してはならない、及び3)試料の最上部への火炎伝播を示してはならない(すなわち、試料の最上部に取り付けたクラフト紙のフラグを燃やさないこと)。配線製品を試験するので、燃焼試験における重要な変数は製品の形状及び構成材料である。製品の形状の観点から、通常、全体で約0.5〜3mmの直径である中程度の断面積においては、より小さい又は大きい断面積よりもVW−1試験を通るのが難しい。なぜならこの中程度のサイズは強く加熱され点火されるのに十分なほど小さく(大きなヒートシンクではない)、さらに点火源を外した後に垂直の燃焼伝播を支援する、燃料としてのケーブル材料の十分な供給源を取り入れているからである。この実施例の配合は、ケーブル製品形状のこの最も難しい範囲でVW−1燃焼試験を通るように設計されている。VW−1燃焼試験の結果をより適切に定量化するために、さらなるパラメータ「非炭化長さ」を、試料上でクラフトフラグの底部から下の最初の物理的損傷(変色又はすすの付着は無視する)までの距離としてミリメートルで測定する。
直径0.046”のストランド状銅配線(18 AWG;41ストランド導体)上に最終直径0.085”となるように同心円状に押出成形された規定の絶縁配合物から成る絶縁配線について、VW−1燃焼試験を行う。燃料の観点から、カーボンブラックマスターバッチの添加によって、難燃性添加剤を追加せずにポリマーが加えられ、したがって難燃性能の低下をもたらすことが予想されることになり、これは大部分の難燃性組成物について得られるであろう結果である。しかしデータは明らかにこのタイプの膨張性化合物の配合において燃焼性能相乗剤としてのカーボンブラックの効果を示す。燃焼試験後に残った試料の「非炭化長さ」によって定量化すると、カーボンブラック含量が2.0wt.%(5.0%マスターバッチ)である配合物は、カーボンブラック含量が1.2wt.%(3.0%マスターバッチ)である配合物よりも高い燃焼性能を有し、カーボンブラック含量が1.2wt.%である配合物はカーボンブラック含量が0.40wt.%(1.0%マスターバッチ)である配合物よりも良好な燃焼性能を有していた。1.0%の黒色マスターバッチ添加量は着色用途のみの典型的な添加量であるが、一方この実施例ではより高添加量のマスターバッチが難燃性相乗剤として使用される。
実施例2−試料組成物:
この実施例は、難燃性組成物に対するシリカ、酸化亜鉛、及び二酸化チタンの相乗効果を実証する。この実施例において、各組成物は表2Aに示す配合に従ってポリマーベースから調合された。
表2A及び2Bは、エチレン−酢酸ビニル共樹脂(co-resin)及びAdeka FP−2100J膨張性難燃性添加剤を取り入れたTPU系組成物に対する、様々な金属酸化物燃焼相乗剤の効果を示す。表2A及び2Bに記載の量は、組成物の総重量を基準とした重量パーセントである。
Figure 0005818792
押出機/ペレット化システムを有するBanbury 1Aパイロットプラントミキサーにおいて、従来通りに混合し約180℃のバッチ温度まで加熱することによってベースAを調製する。次いでこの「ベースA」材料を表2Bに示す組成物の実験用バッチ混合のベースとして使用する。
Reofos BAPPはビスフェノールAポリホスフェートであり、Chemtura Corporationより入手可能な液体の膨張性難燃性添加剤である。BAPPはBDP(ビスフェノールAジホスフェート)としても知られ、ICL Industrial Products,Ltd.製のFyrolflex BDPグレードなど、他の供給業者からも入手可能である。
Figure 0005818792
ベース材料及び規定の添加剤を180℃のボール温度まで加熱したBrabender実験用ミキサーに加え、次いで溶融し、溶融物を180℃まで加熱することによって、最終組成物を作製した。得られる溶融混合材料をミキサーから取り出し室温まで冷却し、次いで粒状化し、次いで実験用押出成形に使用して公称幅2.5cm、厚み0.50mmのテープを調製する。直径3/4”のBrabender実験用可塑化押出機において、ポリエチレン系計量スクリューを用い、約180℃まで傾斜させたバレルのプロファイルによって、約3.0メートル/分の加工速度でテープを押出成形する。25×0.5mmの形状を有する実験用テープダイはテープを形作り、このテープは取り出しベルト上で空冷され回収される。配線コーティングクロスヘッドを有する同様の実験用押出成形を使用して以下に記載の絶縁配線を燃焼試験用に調製する。
ドッグボーン(dogbone)型カッターを用いて公称厚みが0.50mmである25mm幅の押出成形テープから型抜きされた公称Type IVドッグボーン試料を用いて、ASTM D−638試験手順に従って押出成形テープの引張試験を行う。Instron Model xxxx Tensile Testerにおいて、500mm/分の試験速度にて、最初のジョー間距離を57.2mmとして引張試験を行う。
破断点伸び、又は破断までの伸びは、試料が破断するときの試料の歪みである。これは通常はパーセントとして表される。公称厚みが0.50mmである押出成形テープから型抜きされた公称Type IVドッグボーン試料を用いて、ASTM D−638試験手順に従って破断点伸びを測定する。Instron Model xxx Tensile Testerにおいて、500mm/分の試験速度にて、最初のジョー間距離を57.2mmとして引張試験を行う。
この開示の目的において、公称厚みが0.50mmである押出成形テープから型抜きされた公称Type IVドッグボーン試料を用いて、ASTM D−638試験手順に従ってセカント係数を測定する。50mm/分の試験速度にて、最初のジョー間距離を57.2mmとして試験を行った。
2.16mm(0.085”)の最終直径、及び公称直径が1.17mm(0.046”)である18AWGストランド状銅導体を有する絶縁試料について、前述の通りにVW−1試験を行う。この試験による「非炭化」長さの測定は、VW−1試験の3回の繰り返しの平均であり、VW−1試験結果を定量化するのに役立つ。表2Bでは、特定の金属酸化物相乗剤が燃焼性能の改善において様々なレベルの有効性を示すことが理解できる。
実施例3−TPU/EVAブレンドに基づく紫外線安定性難燃性組成物:
この実施例は、難燃性組成物中に非常に高添加量の二酸化チタンを取り入れることによって得られる、紫外線安定性色性能に対する劇的な効果を実証する。この実施例において、表3に示す配合に従って3つのポリマーベースのうちの1つから各組成物を調合した。表に記載の量は、組成物の総重量を基準とした重量パーセント(wt.%)である。
Figure 0005818792
Pellethane 2102−75Aは、公称ショア硬さが75Aであり、224℃/1.2kgの試験条件でメルトフローレートが約25である、Lubrisol Corporation製のポリカルプロラクトンエステル系熱可塑性TPUである。Stabaxol Pは、RheinChiemie Corporationより入手可能な芳香族カルボジイミド抗加水分解性TPU安定化剤である。他の添加剤は先に記載されている。
溶融供給押出機及び水中ペレット化システムに連結されたBanbury Type 1Aバッチ溶融混合ラインにおいて、ベース材料を調製した。180℃のボール温度でミキサーを作動させ、180℃のバッチ温度に達するまで組成物を溶融及び混合し、次いでスライドゲートを通して溶融供給押出機のホッパーへ排出した。
表4に示すように、ベース材料を利用して紫外線安定剤を取り入れた5つの試料を調製し、薄い灰色になるように調合した。試料1〜4は1.77重量%の総添加量の顔料を含有しており、この顔料系はClariant Light Gray #1として識別される。二酸化チタン(TiO)はClariant Corporationにより調製される顔料混合物中の主要な顔料成分であり、顔料系は低濃度のカーボンブラック及び薄い色味も含有しており、所望の薄い灰色の色相への良好なスペクトル色のマッチングをもたらす。1.77%の顔料濃度は「1倍」色として識別され、このタイプの組成物に使用される典型的な顔料添加量の上限である。紫外線曝露の間の色安定性に利益をもたらすことになるかを判断するために、試料5は2倍の濃度まで倍増させた顔料濃度を取り入れる。この研究で使用される紫外線添加剤は、TPU系組成物に適した選択として選択され、比較のために1.0重量%の添加量で配合された。Ciba #1はTinuvin PUR 866材料であり、ヒンダードアミン及び紫外線吸収剤成分を含有する商標名を有する混合物である。
Figure 0005818792
これらの組成物を標準のTPU成形条件で射出成形して紫外線曝露用の50×75mmの長方形試料とした。ベースラインの着色の測定に続き、次いで紫外線試験試料をCi65AキセノンアークWeather−Ometer装置に取り付け、規定の300時間の紫外線曝露を行って、標準の窓ガラスを通した直射日光をシミュレートする加速試験を実現する。ASTM D4459試験規格に従い、さらにキセノンアーク装置及び較正手順についての補足的な詳細を示すASTM Practice 155に従い、この試験を行った。窓ガラスを通した日光のモデリングを実現するために、Type Sホウケイ酸内部フィルター及びソーダ石灰外部フィルターを使用し、規定の波長420nmの較正条件で光源を0.8±0.05ワット/mの強度に較正した。規定の製品認定の手順は水噴霧を行わない300時間の連続紫外線曝露であった。
Datacolor SF600CT色分析装置を使用して紫外線曝露による試料の色変化を測定した。適合要件は、CIE 1994法に従って測定及び計算される色変化が3.0ΔE未満であることであった。このCIE 94’パラメータは、紫外線曝露前の色測定を規定の紫外線露光後の色測定と比較することによって色変化を計算する。追加の試料を使用して100時間及び200時間での中間測定を行い、そのデータを示す。
この最初の研究は、どの配合物も要求される紫外線色安定性能を実現しなかったことを示し、ΔE<3.0の要求に対してΔE値は7.6〜20.8の範囲であった。試料1〜4は、ベースの配合物及び着色剤パッケージを一定に保ちながら、様々な紫外線添加剤系を比較した。これらの試料は、最良の結果を得るためには紫外線安定剤成分の選択が重要であるという、予測された結果を示した。これらの結果は、紫外線安定剤のみによって要求される性能を満たすことは困難であろうということも示した。試料4及び5の比較は、ベース材料及び紫外線添加剤系を一定として、1倍及び2倍の着色剤濃度の比較を行っている。1倍の着色剤添加量におけるΔEが16.5であるのに対して、2倍の着色剤添加量はΔEを7.6まで劇的に減少させた。高添加量のTiO系顔料によるこの予想外に大きい効果の発見は、紫外線色安定性の目標を満たす手段をもたらした。
同様の試料調製及び試験方法を、表5にまとめたフォローアップの最適化の研究において使用した。目標の薄い灰色においてわずかに調整を行い、変更はClariant Gray #2として識別された。別の変更は、薄い色味の着色剤を50%の顔料添加量を有するポリエチレン系カラーマスターバッチ中へ分離したことであり、TiOはこのマスターバッチ中の顔料の約80%を占める。これらの調整に続いて、最初の最適化による先行試料5を試料6として繰り返した。試料7、9、及び10ではTiO/着色剤濃度が再び2倍〜4倍に倍増され、これらは、特許請求の発明である、高濃度のTiO系着色剤による紫外線色安定性の大幅な改善をさらに実証する。
Figure 0005818792
ポリマー系カラーマスターバッチは、低濃度の個々の顔料を添加する、より複雑なプロセスと対比して、一般に着色剤の添加を単純化するために使用される。この場合、Clariantカラーマスターバッチはすべての低濃度の着色顔料及びTiO白色顔料の一部を含有する着色濃縮物であり、残りのTiOは組成物に直接添加された。過剰量のマスターバッチを避ける直接のTiO添加がさらに増量され、これは色レベルとして十分なTiO添加量を実現するために必要となる。過剰のカラーマスターバッチ添加量は、有効なFR含量を過剰なマスターバッチ樹脂で希釈することによって、また他の望ましくない特性変化を引き起こすことによって、全体の製品性能を損なうことがある。
標準的な着色の慣例よりはるかに優れた、高濃度のTiO系着色剤への発展は、本発明の組成物が求める紫外線色安定性を満たすための手段をもたらした。試料#9はΔE<3.0の要求に対してΔE値2.8を示した。一定のベース配合物及び紫外線添加剤において、2倍色対4倍色添加量の2組のペアである試料6対7、及び試料8対9があり、どちらもより高添加量のTiO系着色剤によって高いΔE色安定性効果を示す。標準的な色添加量は典型的には1倍以下の濃度であるため、これらの結果によって示されるように、このアプローチがTPU系組成物の紫外線色安定性において2倍超の改善を効果的にもたらすことが明らかである。
実施例4−芳香族TPU及び液体リン酸エステル難燃剤に基づく紫外線安定性難燃性組成物:
この実施例は、アルミニウム三水和物及びRDPとしても知られるレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を含む難燃剤系と共にポリエステル系TPUを取り入れたTPU系難燃性組成物について、二酸化チタンの紫外線安定化効果を実証する。この実施例では、着色剤又はUV添加剤を含まないベース材料のストックを、35mm異方向回転2軸押出機において調製した。水分濃度を下げるために高真空下、120℃で乾燥させたATHを除いて、除湿した熱風乾燥機中で80℃にて樹脂を乾燥させた。次いで原料をHenschelブレンダー中で混合し、1つの供給流として2軸押出機へ供給した。溶融物の最高温度を約180℃に保つためにバレルを冷却しながら2軸押出機を作動させ、組成物をストランドダイ/水浴/ペレット化システムによって回収した。調合した後、ベース化合物のペレットを120℃で6時間乾燥させ、その後、最終組成物を実験用混合した。表に記載の量は組成物の総重量を基準とした重量パーセント(wt.%)である。
Figure 0005818792
J−42 ATHは、Showa Denka Corporation製の公称平均粒径1ミクロンのアルミニウム三水和物難燃性フィラーである。Supresta RDPは、ICL Industrial Products,Ltd.製の液体リン酸エステル難燃性フィラー、レゾルシノールジホスフェートである。AD−001は、溶融物の粘度を上昇させる/燃焼試験中のドリップ傾向を低減するために使用されるPTFE−Santoprene添加剤である。DEN 438は、Dow Chemical製のエポキシ−ノボラックであり、熱安定性及び物理特性の向上をもたらす。Irgafox 168は、BASFのCiba Division製のリン酸系安定化剤である。Irganox 1010は、BASFのCiba Division製のヒンダードフェノール系抗酸化剤である。
次いでこのベース化合物を公称250グラムBrabender実験用バッチミキサー中で使用して、表6bに示す紫外線安定性試験用の最終配合物を調製した。全バッチサイズの約370グラムをすべての組成物において使用した。160℃に設定されたミキサーボール温度で、すべての材料を開始時に加え、混合を行った。25RPMのローター速度で最初の溶融を行った。溶融後、ミキサーのローター速度を50RPMまで上昇させ、材料温度が160℃に達すると混合を終了した。
組成物を180℃で圧縮成形して公称200×200×厚み2mmの円板状試料を調製した。これらはアーバープレスを用いて50×75mmの試料サイズに切断されて紫外線劣化試験に使用した。
紫外線劣化及び色安定性試験を前述の通りに行った。ΔE値は規定の紫外線劣化期間における試料間の比較としての色安定性を示す。
Figure 0005818792
Tinuvin XT 850粉末は、BASFのCiba Divisionより入手可能なヒンダードアミン紫外線安定剤である。Tinuvin 328粉末は、BASFのCiba Divisionより入手可能なベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤である。Tinuvin PUR 866は、BASFのCiba Division製の商標名のある紫外線安定剤ブレンドである。Chimmasorb 119は、BASFのCiba Division製のヒンダードアミン光安定剤である。
2.0重量%まで増加させた好ましい紫外線安定剤濃度では、高添加量のTiOを含む試料のいくつかが300時間の紫外線安定性試験において目標とする<3.0のΔE値を達成することができた。
表7は、本発明の試料14及び15に関して、実施例1及び2に記載の通りに測定される機械的特性の一部を示す。これらは色安定性を得るために高添加量の着色剤を使用することによって、セカント係数の増加においてわずかで許容可能な不利益を示す。
Figure 0005818792
本発明は前述の説明、図面、及び実施例によって相当詳細に説明されているが、この詳細は例示のためのものである。当業者は添付の特許請求の範囲に記載される本発明の本質及び範囲から逸脱せずに、多くの変更及び修正を行うことができる。

Claims (10)

  1. 色安定性のあるハロゲンフリーの難燃性組成物であって、組成物の重量を基準として
    (a)熱可塑性エラストマーポリウレタン20〜85重量パーセント
    (b)リン系難燃剤5〜60重量パーセント並びに
    (c)(c1)TiO 少なくとも5重量パーセント及びヒンダードアミン光安定剤(HALS)とUV光吸収剤とのブレンド0.1〜5.0重量%、又は
    (c2)TiO 少なくとも9重量%及びHALS 1.0〜2.0重量%
    を含み、ASTM−D−4459−06に従ってキセノンアークランプを300時間照射した後のCIE 94ΔEが3以下である、組成物。
  2. 熱可塑性ポリウレタンがポリカプロラクトンエステル系熱可塑性ポリウレタンを含む、
    請求項1に記載の組成物。
  3. 少なくとも9重量パーセントのTiOを含む、請求項2に記載の組成物。
  4. リン系難燃剤がリン酸エステルである、請求項3に記載の組成物。
  5. 熱可塑性ポリウレタンが芳香族ポリウレタンである、請求項4に記載の組成物。
  6. 5%セカント係数が20,000以下である、請求項1に記載の組成物。
  7. 40重量%パーセントまでのオレフィン系ポリマーをさらに含む、請求項2に記載の組成物。
  8. オレフィン系ポリマーが、エチレン/アクリル酸(EAA)、エチレン/メタクリル酸(EMA)、エチレン/アクリレート又はメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、ポリ(エチレン−co−ビニルトリメトキシシラン)コポリマー、又は無水マレイン酸グラフト化オレフィンポリマー若しくはシラングラフト化オレフィンポリマーのうちの少なくとも1つである、請求項7に記載の組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の難燃性組成物で少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する導電性配線を含む、被覆線。
  10. 導電性配線の表面の少なくとも一部を請求項1から8のいずれか一項に記載の難燃性組成物でコーティングするステップを含む、被覆線の作製方法。
JP2012524738A 2009-08-10 2010-08-02 膨張性難燃剤及び非リン系難燃性相乗剤を含む熱可塑性エラストマー組成物 Active JP5818792B2 (ja)

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