JP5817428B2 - 数値制御装置及び摩擦補償方法 - Google Patents

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本発明は、数値制御装置及び摩擦補償方法に関する。
工作機械は二軸円弧補間運動を行う為にモータを制御する。工作機械はモータの回転方向が反転する時即座に反転できない。理由は送り駆動機構の摩擦の影響である。円弧切削時に象限が変わる時(移動体の移動方向が反転する時)、実際の移動体の移動軌跡は指令軌跡の外側に出る。移動軌跡が外側に出る現象は象限突起であり、加工精度は悪くなる。
特許文献1が開示するモータ制御装置は移動体の実位置信号を微分して速度信号を求める。モータ制御装置は速度信号を積分して移動体が運動方向を反転する位置からの変位信号を生成して絶対値を求める。モータ制御装置は変位と摩擦力又は摩擦トルクとの関係を表すモデルを用いて摩擦力又は摩擦トルクの変位に対する変化率を求める。モータ制御装置は変位に対する変化率に速度信号を乗算して時間に対する変化率を求める。モータ制御装置は時間に対する変化率を積分して摩擦力又は摩擦トルクを推定する。モータ制御装置は運動方向を反転する前後の速度又は加速度の影響を受けずに摩擦力又は摩擦トルクを推定する。
特開2008−210273号公報
しかしながら、特許文献1のモータ制御装置は、モータ制御装置は主にオーバーサイズボール予圧方式の送り駆動機構に対応する。オーバーサイズボール予圧方式の送り駆動機構は一つのナットとボール螺子軸を備える。ダブルナット予圧方式の送り駆動機構は二つのナットとボール螺子軸を備える。ダブルナット予圧方式の送り駆動機構はボール螺子軸が反転して一山目の象限突起を生じ、移動体が所定量移動した時に二山目の象限突起を生じる。モータ制御装置はダブルナット予圧方式に対応しておらず二山目の象限突起を補正できないという問題点があった。
また、工作機械の摩擦要因はボール螺子軸の他にリニアガイドとベアリングである。リニアガイドとベアリングは機械の剛性を上げる為に高い予圧を与える。故に反転時の摩擦トルク特性は突然変化する。他の摩擦要因はオイルシールと可動式切粉カバーのシール部材である。オイルシールはモータシャフト部に取り付けてある。オイルシールはモータ内部への切削油進入を防ぐものである。シール部材はボール螺子軸とリニアガイド部に切粉が侵入することを防ぐものである。シール部材とオイルシールはゴム材である。反転時の摩擦トルクはリニアガイド等に比べて緩やかに変化する。工作機械の反転時の摩擦特性は二種類の反転摩擦特性の合成である。
しかし、モータ制御装置は反転する位置からの変位と摩擦トルクとの関係を表すモデルについて単一のtanh関数しか用いていない。モータ制御装置は前述の二種類の反転摩擦特性を考慮していない。二種類の反転摩擦特性は反転後の急な摩擦トルクの変化と、反転後の緩やかな摩擦トルクの変化との両方を持った特性である。故に誤差が発生するという問題点があった。
さらに、特許文献1のモータ制御装置は移動体が運動方向を反転する位置からの変位と摩擦力又は摩擦トルクとの関係を表すモデルを用いる。モータ制御装置はモデルを用いて絶対値で表した変位信号の関数として摩擦力又は摩擦トルクの変位に対する変化率を求める。モータ制御装置は前記変位に対する変化率に前記速度信号を乗算して摩擦力又は摩擦トルクの時間に対する変化率を算出する。モータ制御装置は前記時間に対する変化率を積分して摩擦力又は摩擦トルクを推定する。故に速度が速い場合に積分誤差は大きくなり、推定した摩擦力又は摩擦トルクの誤差は大きくなるという問題点があった。
本発明の目的は、ダブルナット予圧方式の送り駆動機構においても低速から高速の領域まで摩擦力又は摩擦トルクを高精度で推定して象限突起を補正できる数値制御装置及び摩擦補償方法を提供することである。
本発明の第一態様に係る数値制御装置は、ボール螺子軸と該ボール螺子軸に外嵌するボールナットとを有し該ボールナットに固定した移動体を移動する送り機構と、前記ボール螺子軸を回転駆動するモータと、前記モータで移動した移動体の位置を検出する位置検出機構と、該位置検出機構によって検出した移動体の位置と制御部が生成する位置指令とが一致するように速度指令を生成する速度生成部と、前記モータの速度を検出する速度検出機構と、前記速度検出機構が検出した速度と前記速度生成部が生成した速度指令とが一致するようにトルク指令を生成するトルク生成部と、前記モータの回転方向が反転後に発生する摩擦力又は摩擦トルクを推定する摩擦推定部と、前記摩擦推定部で推定した摩擦又は摩擦トルクに基づいて前記トルク指令を補正する補正部とを備えた数値制御装置において、前記ボールナットは一対のボールナットで構成し、前記移動体の移動方向が反転後から増加する前記送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第一摩擦推定部と、前記移動体の移動方向が反転後に所定量移動した後、前記ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第二摩擦推定部を備え、前記摩擦推定部は前記第一摩擦推定部と前記第二摩擦推定部の夫々で推定した摩擦力又は摩擦トルクを加算することを特徴とする。
第一態様に係る数値制御装置では、上記構成により、ダブルナット予圧方式の送り機構においても摩擦力又は摩擦トルクを高精度で推定できるので象限突起を補正できる。
また第1態様において、前記一対のボールナットは複数の球を有し、前記所定量は前記移動体の移動方向が反転後に前記複数の球の内少なくとも一個が前記一対のボールナットと前記ボール螺子軸に対して三点で接触するまで、前記移動体が移動する距離としてもよい。故に、第二摩擦推定部は移動体の移動方向が反転後に所定量移動した後、ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクを推定できる。
また第1態様において、前記位置指令に対応する前記移動体の実位置を推定する実位置推定部と、前記実位置推定部で推定した実位置に基づいて前記移動体の移動方向が反転した後の変位算出する算出部とを更に備え、前記第一摩擦推定部と前記第二摩擦推定部は前記算出部によって算出した変位を変数とした近似式としてもよい。故に数値制御装置は、移動体の移動方向が反転後から増加する送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクと、ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクとを容易に算出できる。
また第1態様において、前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾きの成分と該第一の傾き成分より傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、第一摩擦推定部の近似式f(x')、第二摩擦推定部の近似式f(x')を以下の式としてもよい。故に数値制御装置は移動体の移動方向が反転後から増加する送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクと、ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクとを容易に算出できる。
Figure 0005817428
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また第1態様において、前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾き成分と該第一の傾き成分より傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、第一摩擦推定部の近似式f(x')、第二摩擦推定部の近似式f(x')を以下の式としてもよい。故に数値制御装置は移動体の移動方向が反転後から増加する送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクと、ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクとを容易に算出できる。
Figure 0005817428
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また第1態様において、前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾き成分と該第一の傾き成分よりも傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、第一摩擦推定部の近似式f(x')、第二摩擦推定部の近似式f(x')を以下の式としてもよい。故に数値制御装置は移動体の移動方向が反転後から増加する送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクと、ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクとを容易に算出できる。
Figure 0005817428
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また第1態様において、前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾き成分と該第一の傾き成分よりも傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、第一摩擦推定部の近似式f(x')、第二摩擦推定部の近似式f(x')を以下の式としてもよい。故に数値制御装置は移動体の移動方向が反転後から増加する送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクと、ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクとを容易に算出できる。
Figure 0005817428
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また第1態様において、前記第二摩擦推定部の前記近似式は、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、第二摩擦推定部の近似式f(x')を以下の式としてもよい。故に数値制御装置はボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクとを容易に算出できる。
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本発明の第二態様に係る摩擦補償方法は、ボール螺子軸と該ボール螺子軸に外嵌するボールナットとを有し該ボールナットに固定した移動体を移動する送り機構と、前記ボール螺子軸を回転駆動するモータと、前記モータで移動した移動体の位置を検出する位置検出機構とを備えた数値制御装置が行い、前記位置検出機構が検出した移動体の位置と制御部が生成する位置指令とが一致するように速度指令を生成する速度生成工程と、前記モータの速度を検出する速度検出工程と、前記速度検出工程が検出した速度と前記速度生成工程が生成した速度指令とが一致するようにトルク指令を生成するトルク生成工程と、前記モータの回転方向を反転後に発生する摩擦力又は摩擦トルクを推定する摩擦推定工程と、前記摩擦推定工程で推定した摩擦又は摩擦トルクに基づいて前記トルク指令を補正する補正工程とを備えた摩擦補償方法において、前記ボールナットは一対のボールナットで構成し、前記移動体の移動方向が反転後から増加する前記送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第一摩擦推定工程と、前記移動体の移動方向が反転後に所定量移動した後、前記ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第二摩擦推定工程とを備え、前記摩擦推定工程は、前記第一摩擦推定工程と前記第二摩擦推定工程の夫々で推定した摩擦力又は摩擦トルクを加算することを特徴とする。

第二態様に係る摩擦補償方法では、上記構成により、ダブルナット予圧方式の送り機構においても摩擦力又は摩擦トルクを高精度で推定できるので象限突起を補正できる。
工作機械20の構造の一部を示す図である。 数値制御装置10と送り機構の詳細な構成を示すブロック図である。 送り駆動機構Aの断面図である。 送り駆動機構Aにおける球37の周辺の断面図である。 送り駆動機構Bの断面図である。 送り駆動機構Bの球47の接触状態を示す図である。 理想的な円弧軌跡と送り駆動機構Aの実際の軌跡との誤差を拡大した図である。 理想的な円弧軌跡と送り駆動機構Bの実際の軌跡との誤差を拡大した図である。 送り駆動機構Aのモータトルクと反転位置からの距離の関係を示したグラフである。 送り駆動機構Bのモータトルクと反転位置からの距離の関係を示したグラフである。 送り駆動機構Aのテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 送り駆動機構Bのテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 摩擦補償器13の構成を示したブロック図である。 近似式として式(1)の第一項のみを用いて摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 近似式として式(1)のみを用いて摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 本発明の近似式として式(3)(式(1)+式(2))を用いて摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 本発明の近似式として式(3)(式(4)+式(5))を用いて摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 本発明の近似式として式(3)(式(1)+式(6))を用いて摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 理想的な円弧軌跡とケース2、3、6の実際の軌跡との誤差を拡大した図である。 特許文献1に記載の制御ブロックを本発明の目的に変更した時の構成を示したブロック図である。 補償方式1と補償方式2で非高速動作時の摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 補償方式1と補償方式2で高速動作時の摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 本発明の近似式として(式(1)+式(5))を用いて摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。 本発明の近似式として(式(4)+式(2))を用いて摩擦トルクを推定した時のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示した図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1に示す数値制御装置10は本発明の実施形態である。数値制御装置10は加工プログラムが指令する経路に従い工作機械20の軸移動を制御しテーブル3に固定した加工物を切削する。
図1を参照して工作機械20のテーブル機構の一例について説明する。テーブル機構は基台1、中間テーブル50、テーブル3を備える。基台1は矩形状である。中間テーブル50は基台1上を移動する。テーブル3は中間テーブル50上を移動する。テーブル3は本発明の移動体の一例である。
基台1は一対のリニアガイト6Aを有する。一対のリニアガイト6Aは中間テーブル50を一軸方向に案内する。ボール螺子軸4Aとナット(図示略)は一対のリニアガイド6Aの間に配置する。中間テーブル50はナットに固定する。中間テーブル50は上部に一対のリニアガイド6Bを有する。リニアガイド6Bはテーブル3を前記一軸方向と直交する方向に案内する。ボール螺子軸4Bとナット5(図2参照)は一対のリニアガイド6Bの間に配置する。
図2に示すように、テーブル3は下部にブロック51を備える。ブロック51はリニアガイド6Bのレール61を摺動する。一対の軸受7はボール螺子軸4Bを支持する。一対の軸受7は中間テーブル50に固定してある。軸受7は内部にベアリング8を有する。中間テーブル50は下端にブロック(図示略)を備える。ブロックはリニアガイド6Aのレール(図示略)を摺動する。
一対の軸受(図示略)はボール螺子軸4Aを支持する。一対の軸受は基台1に固定してある。軸受は内部にベアリング(図示略)を有する。
図1に示すように、基台1は上部にモータ2Aを支持する。モータ2Aの軸とボール螺子軸4Aはカップリング(図示外)で接続する。モータ2Aは軸部の周囲にオイルシール(図示外)を有する。
図2に示すように、中間テーブル50は端部にモータ2Bを支持する。モータ2Bの軸とボール螺子軸4Bはカップリング9で接続する。モータ2Bは軸部の周囲にオイルシール52を有する。テーブル3は両端に固定カバー53を有する。シール部材55は可動カバー54のテーブル側端部とは反対側の端部に固定する。シール部材55はゴムで形成する。シール部材55は切粉等が固定カバー53と可動カバー54との間から入り込むのを防ぐ。
送り駆動機構56はテーブル3を一軸方向に移動する。送り駆動機構56はボール螺子軸4Bとナット5を備える。中間テーブル50を一軸方向に移動する送り駆動機構はテーブル3の送り駆動機構56と同じ構成である。テーブル3の送り機構は送り駆動機構56、リニアガイド6B、ブロック51、モータ2B、カップリング9、オイルシール52、可動カバー54、シール部材55、軸受7を少なくとも含む。
数値制御装置10の構成について説明する。図1に示すように、数値制御装置10はモータ2A、2Bに接続する。テーブル3はモータ2A、2Bの駆動により二軸方向に移動する。
各ボール螺子軸4A、4Bと各ナット5はモータ2A、2Bの回転運動を二軸方向におけるテーブル3の直進運動に変換する。数値制御装置10はモータ2A、2Bを制御してテーブル3の位置、速度と加速度を制御する。
図2に示すように、ロータリーエンコーダ60はモータ2A、2Bに取り付ける。図2はモータ2A、モータ2A側のロータリーエンコーダ60を図示していない。ロータリーエンコーダ60はモータ2A、2Bの位置を検出する。数値制御装置10はテーブル3の位置を、モータ2A、2Bの位置と、ボール螺子軸4A、4Bのピッチ(螺子山の間隔)とに基づいて算出する。
上位コントローラは位置指令信号を位置制御器11に出力する。ロータリーエンコーダ60はモータ2A、2Bの位置検出信号を位置制御器11に出力する。位置制御器11は位置指令信号と位置検出信号が一致するように速度指令信号を生成して速度制御器12に加える。微分器16は位置検出信号を速度検出信号に変換し速度制御器12に加える。
速度制御器12は速度指令信号と速度検出信号とが一致するようにトルク指令信号を生成して加算器14に加える。摩擦補償器13は上位コントローラからの位置指令信号に基づき摩擦補償信号を生成して加算器14に加える。摩擦補償信号はモータ2A、2Bの回転方向が反転する際に発生する摩擦力を補償する信号である。加算器14は速度制御器12からのトルク指令信号と摩擦補償器13からの摩擦補償信号とを加算する。加算器14は摩擦補償したトルク指令信号を電流制御増幅器15に加える。電流制御増幅器15はトルク制御器として機能する。電流制御増幅器15は摩擦補償したトルク指令信号にできる限り忠実なトルクを発生するようにモータ2A、2Bの電流を制御する。
位置制御器11、速度制御器12、加算器14、電流制御増幅器15、微分器16の構成と動作は周知である。故に本願発明に直接関連する摩擦補償器13の構成と動作について原理を中心に説明する。
送り駆動機構は第一の摩擦源と第二の摩擦源とに夫々起因する摩擦力を有する。第一の摩擦源に起因する摩擦力はリニアガイドのブロックの予圧、ボール螺子軸のナット部の予圧、ベアリングの予圧である。送り駆動機構としての剛性は予圧が高いほどが上がり且つ摩擦力も大きくなる。第二の摩擦源に起因する摩擦力はオイルシール52、可動カバー54のシールの摺動抵抗である。摩擦力はシール性が上がると大きくなる。
摩擦力はテーブル3の運動方向が反転する時急激に変化する。テーブル3の運動方向が反転する時はボール螺子軸4A、4Bの回転方向が反転する時である。例えば数値制御装置10は直交する2つの軸を使って上述の円弧補間運動を行い円弧切削を行う。摩擦力の変化に制御系が対応できない場合はある。図1の上部のグラフは理想的な円弧軌跡と実際の軌跡との誤差を示す。楕円で囲んだ部分71〜74は象限突起である。摩擦補償器13はテーブル3の運動方向反転時の摩擦力を高精度に推定して補償する。故に数値制御装置10は象限突起を極力小さくできる。
象限突起は送り駆動機構に発生する摩擦力の変化に起因する。象限突起はボール螺子軸の予圧方式により発生の仕方が異なる。ボール螺子軸の予圧方式の構造と特性の違いとについて説明する。ボール螺子軸の予圧方式はオーバーサイズボール予圧方式とダブルナット予圧方式とを有する。
図3に示すように、オーバーサイズボール予圧方式の送り駆動機構Aはシングルナット35(以下ナット35と呼ぶ)で予圧を与える方式である。ナット35はボールナットである。ナット35は球37を内部に備える。図4に示すように、球37はナット35とボール螺子軸34に対して常に四点で接触する。オーバーサイズボール予圧方式の特徴はナット35のサイズが小さく軽荷重である。故に小型の工作機械等はオーバーサイズボール予圧方式を採用する。
図5に示すように、ダブルナット予圧方式の送り駆動機構Bは2つのナット45、46を備える。ナット45、46はボールナットである。間座48はナット45、46の間にある。図6(a)、(b)、(c)に示すように、球47はナット45(図6では図示略)、46の移動方向に応じて移動する。球47はナット45、46とボール螺子軸44に対して二点又は三点接触で随時変化する。図6中の白抜き矢印は球47の回転方向を示す。
例えば図6(a)に示すように、ナット46は一方向に移動している。球47はナット46に一点、ボール螺子軸44に二点で接触するので三点で接触する。図6(b)に示すように、ナット46は移動が反転する途中である。球47はナット46に一点、ボール螺子軸44に一点で接触するので二点で接触する。故に三点接触に比べて摩擦は小さくなる。図6(c)に示すように、ナット46は移動方向が反転して反対方向に移動している。球47はナット46に二点、ボール螺子軸44に一点で接触するので三点で接触する。故に摩擦は再び大きくなる。ダブルナット予圧方式の特徴は剛性が高い。故に大型の工作機械等はダブルナット予圧方式を採用する。
ボール螺子軸の予圧方式が象限突起に及ぼす影響について説明する。送り駆動機構A、Bを駆動制御する各数値制御装置を用いて円弧補間運動を行った場合の理想軌跡に対する誤差を調べた。
図7、図8は理想的な円弧軌跡と実際の軌跡との誤差を拡大した図である。送り速度は3m/min、指令半径は25mmである。一目盛りは5μmである。
軌跡誤差は象限突起である。図7、図8の何れの結果においても、象限突起は0°、90°、180°、270°付近で生じている。X軸の運動方向は0°と180°で反転している。Y軸の運動方向は90°と270°で反転している。各反転位置付近における象限突起は摩擦力の変化に対するサーボ系の応答が円弧軌跡上に現れたものである。摩擦力は運動方向反転時の摩擦力である。
図7に示すように、送り駆動機構Aでは象限突起は一山である。送り駆動機構Aはオーバーサイズボール予圧方式である。図8に示すように、送り駆動機構Bでは象限突起は二山である。送り駆動機構Bはダブルナット予圧方式である。理由は以下の通りである。象限突起の一山目は象限が変わる時の摩擦の影響である。象限突起の二山目はボールがナットとボール螺子軸に対して二点接触から三点接触になる時に増加する摩擦の影響である。
ボール螺子軸単体での反転時の摩擦抵抗の挙動について調べた。図9、図10はボール螺子軸の反転位置からの距離とモータトルク〔Nm〕の関係のグラフである。
図9に示すように、オーバーサイズボール予圧方式ではモータトルクは反転後に一気に上昇して一定となる。図10に示すように、ダブルナット予圧方式では、モータトルクは反転後に僅かに上昇して一定になり、その後緩やかに上昇して再び一定となる。反転位置から球が二点で接触している間、モータトルクは僅かに上昇し一定となる。球は二点接触の状態から三点接触の状態に移り変わる。前述の場合、二点接触の状態と三点接触の状態とが混在する。故にモータトルクは緩やかに上昇する。その後、全ての球は三点接触になる。故にモータトルクは最大値となり一定となる。
図11、図12は工作機械の微小円弧動作のテーブル変位量と摩擦トルクの関係を示す。送り速度は5mm/min、指令半径は0.1mmである。微小円弧動作では摩擦力が速度と加速度に影響されない。
図11に示すように、オーバーサイズボール予圧方式では、モータトルクは運動方向反転後に非線形ばね特性を示す。モータトルクは変位がある程度大きくなるとほぼ一定の値となる。モータトルクの軌跡はヒステリシスループを描く。図12に示すようにダブルナット予圧方式では、モータトルクは運動方向が反転した後0.065mmの位置で緩やかな段差状に変化している。段差状の変化は象限突起を二山にする原因である。数値制御装置10はダブルナット予圧方式の摩擦特性に着目する。数値制御装置10は摩擦力又は摩擦トルクを高精度に推定することで二山の象限突起を補償できる。
図13を参照して、摩擦補償器13の詳細な構成と、摩擦補償器13による摩擦補償方法について説明する。摩擦補償器13は実位置推定部21、微分器22、符号反転検出部23、積分器24、第一摩擦特性推定部26、第二摩擦特性推定部27、加算器28、応答遅れ補償部29を少なくとも備える。第一、第二摩擦特性推定部26、27は絶対値算出部と極性算出部とを内蔵する。絶対値算出部は入力した信号の絶対値を求める。極性算出部は入力した信号の時間微分した信号の極性を求める。
上位コントローラは位置指令信号を実位置推定部21に入力する。実位置推定部21はテーブル3の送り運動を行うサーボ制御系のモデルを用いる。実位置推定部21は位置指令信号に対応するテーブル3の実位置を推定して実位置信号を生成する。実位置推定部21は例えば一次遅れ要素等で構成しても良い。微分器22は実位置推定部21に接続してある。微分器22は実位置信号を微分して速度信号として出力する。符号反転検出部23と積分器24は微分器22に接続してある。
符号反転検出部23は速度信号の符号が反転することを検出する。符号反転検出部23はリセット信号を出力する。積分器24は速度信号を積分して実位置信号を復元する。積分器24は符号反転検出部23が出力するリセット信号ごとに積分値を零にリセットする。積分器24はテーブル3が運動方向を反転する位置からの変位信号を生成する。
第一摩擦特性推定部26と第二摩擦特性推定部27は積分器24に接続する。第一摩擦特性推定部26は後述する近似式1を用いる。第一摩擦特性推定部26は摩擦トルクf(x')〔N・m〕を求める。摩擦トルクfはテーブル反転後から増加する。第二摩擦特性推定部27は後述する近似式2を用いる。第二摩擦特性推定部27は摩擦トルクf(x')〔N・m〕を求める。摩擦トルクfはテーブル3が反転後、所定量移動した後に増加する。加算器28は第一摩擦特性推定部26と第二摩擦特性推定部27に接続する。
加算器28はf(x')とf(x')を加算する。応答遅れ補償部29は加算器28の出力端に接続してある。応答遅れ補償部29は伝達関数の逆関数で構成する。伝達関数はトルク指令信号からモータ2が実際に出力するトルクまでの特性をモデル化したものである。トルク指令信号は電流制御増幅器15(図2参照)に入力する。応答遅れ補償部29は推定した摩擦トルクを乗算して摩擦補償信号を生成する。
第一摩擦特性推定部26の近似式1、第二摩擦特性推定部27の近似式2について説明する。本実施形態は各種パラメータを以下のように定義する。
・f(x')=総摩擦トルク〔N・m〕
・f(x')=テーブル反転後から増加する摩擦トルク〔N・m〕
・f(x')=テーブルが反転後、所定量移動した後に増加する摩擦トルク〔N・m〕
・fc0=テーブル反転後から変化する摩擦トルクを反転後の移動量に対して二種類の傾き成分に分解し、第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦トルク〔N・m〕
・a=上記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数[mm]
・a=前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数〔mm〕
・fc1=テーブル反転後から変化する動摩擦トルクの総和値〔N・m〕
・fc2=テーブル反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦トルク(ボール螺子軸とナットの定常時(三点接触)の動摩擦トルク)〔N・m〕
・a=テーブルが反転後、所定量移動した後に増加する摩擦トルクの立ち上がり距離定数〔mm〕
・b=テーブルが反転した後にf(x')が増加し始めるまでの距離〔mm〕
・x'=テーブルの運動方向反転位置からの変位〔mm〕
・sgn=符号関数
sgnはdx'/dt>0の時は+1、dx'/dt=0の時は0、dx'/dt<0の時は−1とする。a、a、fc1、fc2、bは、図16に示すダブルナット方式で円弧補間運動を行った時のヒステリシス曲線において示した。第一の傾き成分は第二の傾き成分より傾きが急である。
近似式1は以下の通りである。
・f(x')=fc0{tanh(|x'|/a)−1/2}sgn(dx'/dt)+(fc1+fc2/2−fc0/2){2tanh(|x'|/a)−1}sgn(dx'/dt)・・・(1)
特許文献1に記載の近似式ではtanh関数は一組である。本発明は二組の定数の異なるtanh関数を組み合わせる。理由は第一の摩擦要因と第二の摩擦要因との両方に対応する為である。第一の摩擦要因は反転時の摩擦特性が急に変化するリニアガイド等である。第一の傾きは第一の摩擦要因に起因する。第二の摩擦要因は第一の摩擦要因よりも緩やかに変化するオイルシール等である。第二の傾き成分は第二の摩擦要因に起因する。
近似式2は以下の通りである。
・f(x')=fc2{tanh((|x'|−b)/a)−1/2}sgn(dx'/dt)・・・(2)
|x'|−b<0の場合、f(x')=−fc2/2・sgn(dx'/dt)とする。(2)式はダブルナット予圧方式の摩擦に対応する。ダブルナット予圧方式の摩擦はナットが反転して所定量移動した後増加する。
(1)式、(2)式より、総摩擦トルクf(x')の近似式3は以下の式である。
・f(x')=f(x')+f(x')・・・(3)
近似式1、2はtanh関数に変えてexp関数でもよい。近似式1、2は例えば以下のように表してもよい。式(4)のa、a、式(5)のaは式(1)のa、a、式(2)のaに対して適切な値を選んである。故に式(4)(5)は式(1)(2)とほぼ同じ曲線を描くことができる。
・f(x')=fc0{1/2−exp(−|x'|/a)}sgn(dx'/dt)+(fc1+fc2/2−fc0/2){1−2exp(−|x'|/a)}sgn(dx'/dt)・・・(4)
・f(x')=fc2{1/2−exp{−(|x'|−b)}/a}sgn(dx'/dt)・・・(5)
|x'|−b<0の場合、f(x')=−fc2/2・sgn(dx'/dt)とする。
近似式2はcos関数を用いて以下のように示すこともできる。近似式2は、|x'|−b=0の近傍で立ち上がりがなだらかとなる。近似式2は実測データに更に近い曲線を描くことができる。
・f(x')=−fc2/2cos{{(|x'|−b)/a}π}sgn(dx'/dt)・・・(6)
|x'|−b<0、又は|x'|−b−a>0の場合、f(x')=−fc2/2・sgn(dx'/dt)とする。
摩擦補償器13を有する数値制御装置10の効果を確認する為、ケース1〜5を比較した。ケース1は従来の摩擦補償方法を適用して円弧補間運動を行った場合である。ケース2は本発明の近似式1のみを適用して円弧補間運動を行った場合である。ケース3は本発明の近似式1として式(1)、近似式2として式(2)を適用して円弧補間運動を行った場合である。ケース4は本発明の近似式1として式(4)、近似式2として式(5)を適用して円弧補間運動を行った場合である。ケース5は本発明の近似式1として式(1)、近似式2として式(6)を適用して円弧補間運動を行った場合である。ケース1は特開2008−210273号公報に記載の近似式を参照し、同意の近似式として本発明記載の式(1)の第一項であるfc0{tanh(|x'|/a)−1/2}sgn(dx'/dt)のみを用いた。ケース1〜5は送り速度5mm/min、指令半径0.1mmの円弧補間運動を行った。テーブル変位量とモータトルクの関係を実測データと比較した結果は以下の通りである。ケース1、2においても、摩擦補償器13の第一、第二摩擦特性推定部26、27が用いた近似式のパラメータの定義は前記定義と同じである。
図14を参照してケース1の結果について説明する。図14では実測値は太線、近似式で算出した値は細線で示す。パラメータは実測データの反転後の立ち上がり特性が最も近似できる値を選定する。本例ではfc0=0.9、a=0.0025である。図14に示すように、モータトルクの近似式の値は実測値の最初の一段目の0.9N・mの上昇分の傾きには合致している。実測値は一段目の上昇後緩やかに上昇し更に反転後から約70μmで二段目の上昇がある。近似式は一定値であるので実測値に合致していない。理由は特許文献1の従来の近似式はリニアガイド等による反転後の急な摩擦変化のみの単一特性にしか対応していないからである。故に従来の近似式はオイルシール等の摩擦特性、及びダブルナット予圧方式の摩擦特性を補正できない。オイルシール等の摩擦特性は反転後に緩慢に変化する。ダブルナット予圧方式の摩擦特性はナットが反転後所定距離移動した後増加する。
図14、図15に示すように、ケース1、2における実測値と近似式の結果は反転直前のトルクの値に差がある。実際のトルク指令は速度制御器12の出力と近似式の出力との和である。トルク指令は実測値の値と一致するように制御する。速度制御器12は例えば−100μmでの反転直前において約−0.175N・mを出力している。実際のトルク指令は近似式を0.175N・m分下にオフセットした値である。故に反転後の摩擦トルクの立上り部分では近似式と実測値は一致している。
図15を参照してケース2の結果について説明する。ケース2は本発明の式(1)の第一項のみを用いたものである。図15でも実測値は太線、近似式で算出した値は細線で示す。パラメータは実測データの反転後一段目の立ち上がり特性が最も近似できる値を選定してある。本例ではfc0=0.9、a=0.0025、fc1=0.625、a=0.031である。図15に示すように、反転後の摩擦変化は二組のtanh関数の組み合わせで近似してある。実測値と近似式は反転後から60μmまでの一段目の摩擦増加では一致する。実測値と近似式は二段目の摩擦増加では一致していない。故にケース2はオイルシール等の緩慢な反転トルク特性には対応できるが、ダブルナット予圧方式の二段階の摩擦増加には対応できない。
本発明の近似式3を用いた結果について説明する。図16はケース3で近似式1と近似式2のいずれもtanh関数を用いた場合である。図17はケース4で近似式1と近似式2のいずれもexp関数を用いた場合である。図18はケース5で近似式1に式(1)を近似式2として式(6)のcos関数を用いた場合である。実測値は太線、近似式で算出した値は細線で示してある。パラメータはケース3〜5において実測データに全体的に一番近似できる値を選定してある。ケース3ではfc0=0.9、a=0.0025、fc1=0.45、a=0.031、fc2=0.35、a=0.02、b=0.075である。ケース4ではfc0=0.9、a=0.0018、fc1=0.45、a=0.022、fc2=0.35、a=0.014、b=0.075である。ケース5ではfc0=0.9、a=0.0025、fc1=0.45、a=0.031、fc2=0.35、a=0.05、b=0.06である。図16、図17に示すように、モータトルクの本発明の近似式3の値は実測値の最初の一段目の上昇に合致し二段目の上昇にも合致する。近似式3は一回目、二回目の両方の摩擦の増加に対応する。故にケース3、4はダブルナット予圧方式の二段階の摩擦増加に対応できる。
ケース3、4の近似式の差はa、a、aの値を変えるとほぼ同等の曲線になる。故に近似式1を式(1)、近似式2を式(5)とする組み合わせで近似式3を用いた結果も実測値によく近似する計算結果である。近似式1を式(2)、近似式2を式(4)とする組み合わせで近似式3を用いた結果も実測値によく近似する計算結果である。
図18に示すように、ケース5は二段目の摩擦の上昇にcos関数を用いている。故に立ち上がりはケース3、4よりも滑らかであり実測値に更に近い値である。近似式1を式(4)、近似式2を式(6)とする組み合わせで近似式3を用いた計算結果もケース5と同様に実測値によく近似する計算結果である。
ケース2、3における象限突起の削減効果を調べる為、理想的な円弧軌跡と実際の軌跡との誤差を調べた。図19に示す実際の軌跡は送り速度を6m/min、指令半径を50mmとした場合の円弧軌跡である。ケース6は比較例である。ケース6は摩擦補償を全く行わなかった場合である。図19では、ケース2は長い点線、ケース3は実線、ケース6は短い点線で示してある。
ケース6では象限突起は二山生じている。二山の象限突起はダブルナット予圧方式の特性である。ケース2では二山の象限突起のうち一山は消失している。二山目は残っている。ケース2は一段目のみ対応した近似式1のみで摩擦補償したものである。反転後のみ対応した近似式はオーバーサイズボール予圧方式に対応できるがダブルナット予圧方式には対応できない。故に反転後のみ対応した近似式は象限突起を無くすことはできないので加工精度を良くすることはできない。
ケース3では象限突起は何れの山もほぼ消失している。ケース3は本発明の近似式3で摩擦補償したものである。理由は軸の反転後に二段階で生じる摩擦力を近似式1、2で何れも高精度に推定したからである。故に数値制御装置10はオーバーサイズボール予圧方式、ダブルナット予圧方式の何れの送り駆動機構にも対応できる。数値制御装置10は反転摩擦特性が複合化している工作機械にも対応できる。故に数値制御装置10は加工物の加工精度を効果的に向上できる。
ロータリーエンコーダ60は本発明の位置検出手段の一例である。位置制御器11は本発明の速度生成手段の一例である。微分器16は本発明の速度検出手段の一例である。速度制御器12は本発明のトルク生成手段の一例である。実位置推定部21は本発明の実位置推定手段の一例である。摩擦補償器13は本発明の摩擦推定手段の一例である。応答遅れ補償部29は本発明の応答遅れ補正手段の一例である。第二摩擦特性推定部27は本発明の第二摩擦推定手段の一例である。第一摩擦特性推定部26は本発明の第一摩擦推定手段の一例である。加算器28は本発明の加算手段の一例である。
以上説明したように、本実施形態の数値制御装置10と摩擦補償方法はオーバーサイズボール予圧方式のみならずダブルナット予圧方式の送り駆動機構にも十分に対応できる。ダブルナット予圧方式では、ボールはナットの移動方向に合わせてナットとボール螺子軸に二点又は三点で接触する。ダブルナット予圧方式はボール螺子軸が反転して一山目の象限突起を生じ、テーブル3が更に所定量移動した時に二山目の象限突起を生じる。従来の摩擦補償方法はオーバーサイズボール予圧方式のみ対応する。従来の摩擦補償方法はダブルナット予圧方式特有の二山目の象限突起を消失できない。本実施形態は二つの近似式を用いてダブルナット予圧方式の場合に二段階で生じる摩擦力の上昇を高精度に推定できる。象限突起の一山目は反転後の摩擦特性に起因する。反転後の摩擦特性には、反転後に急に摩擦特性が変化するものと、反転後から緩慢に摩擦特性が変化するものとがある。前者の一例はリニアスケールによるものである。後者の一例はモータシャフト部のオイルシールによるものである。本実施形態は両者の摩擦特性を考慮して二つの近似式を用いることができる。本実施形態は一山目の象限突起を消失することに加え、従来消失できなかった二山目の象限突起も確実に消失できる。本実施形態はダブルナット予圧方式でも、オイルシール付きでも象限突起を効果的に消失できる。本実施形態は加工精度を確実に向上できる。
本発明は上記実施形態に限らず種々の変更が可能である。例えば上記実施形態の摩擦補償器13では、第一摩擦特性推定部26は近似式1を用いて摩擦トルクf(x')を算出する。第二摩擦特性推定部27は近似式2を用いて摩擦トルクf(x')を算出する。摩擦補償器13は近似式3で摩擦トルクf(x')、f(x')を加算して総摩擦トルクf(x')を算出する。摩擦補償器13は総摩擦トルクf(x')をトルクに加算する。
例えば、特開2008−210273号公報が開示する摩擦補償器は本発明の目的に合うように修正してもよい。摩擦補償器は上記実施形態と異なる二つの近似式5、6を用いることで二段階で増加する摩擦力を補償できる。摩擦補償器106の構成と動作について説明する。摩擦補償器106は摩擦補償器13の変形例である。
図20を参照して摩擦補償器106の構成について説明する。摩擦補償器106は図13に示す摩擦補償器13と同じ構成を一部備える。摩擦補償器106は実位置推定部21、微分器22、符号反転検出部23、積分器24、加算器28、応答遅れ補償部29を備える。摩擦補償器106は第三摩擦特性推定部56、第四摩擦特性推定部57を備える。第三摩擦特性推定部56は第一摩擦特性推定部26の代わりである。第四摩擦特性推定部57は第二摩擦特性推定部27の代わりである。第三摩擦特性推定部56、第四摩擦特性推定部57は後述の近似式5、6を用いて微分値を各々算出する。乗算器59と積分器60は加算器28と応答遅れ補償部29との間に設ける。
加算器28は第三摩擦特性推定部56、第四摩擦特性推定部57が算出した各微分値を加算して乗算器59に出力する。乗算器59は加算器28が出力した微分値に、微分器22が出力した速度信号を乗算して摩擦トルクの時間に対する変化率を算出する。積分器60は乗算器59の出力端に接続してある。積分器60は乗算器59が算出した変化率を時間積分する。応答遅れ補償部29は積分器60の出力端に接続してある。
応答遅れ補償部29は伝達関数の逆関数で構成する。伝達関数はトルク指令信号からモータ2が実際に出力するトルクまでの特性をモデル化したものである。トルク指令信号は電流制御増幅器15(図2参照)に入力する。応答遅れ補償部29は積分器60が出力した積分値に乗算して摩擦補償信号を生成する。
近似式5、6について説明する。第三摩擦特性推定部56、第四摩擦特性推定部57は近似式5、6を用いる。本変形例における各種パラメータの定義は前記近似式1、2を定義した時と同じである。
近似式5、6は近似式1,2をx'で微分したものである。近似式5は式(1)をx'で微分した式(7)となる。
・ df/dx'=2fc0/a{1−tanh(|x'|/a)}+1/a(2fc1+fc2−fc0){1−tanh(|x'|/a)}・・・(7)
近似式6は式(2)をx'で微分した式(8)となる。
・df/dx'=fc2/a{1−tanh{(|x'|−b)/a}}・・・(8)
|x'|−b<0の場合、df/dx'=0とする。
上記実施形態の摩擦補償器13で摩擦補償を行った場合と、本変形例の摩擦補償器106で摩擦補償を行った場合とで効果の違いを調べた。前者の方式は補償方式1、後者の方式は補償方式2である。図21では補償方式1のデータは細線、補償方式2のデータは太線で示す。
円弧動作を非高速で行った場合と、円弧動作を高速で行った場合とで、摩擦補償の誤差を調べた。図21に示すように、円弧切削を非高速で行った場合、補償方式1,2で摩擦補償を行った時の摩擦トルクは何れも同じであった。図22に示すように、円弧切削を高速で行った時、補償方式2で摩擦補償を行った時の摩擦トルクは補償方式1に対して誤差を生じた。補償方式2の場合は摩擦トルクについて時間の変化率を一旦求め、求めた結果に対して時間積分を行う。故に高速時は積分誤差を無視できなくなる。
以上のように、特開2008−210273号公報の制御方式を変更して本発明と同様な補償を行った時、非高速時では同様な効果を得ることができる。本発明の方式は単純に反転距離の関数で現した摩擦推定式で計算し、トルク指令に加算する方式である。本発明は低速領域から高速領域まで高精度に摩擦補償を行うことができ、本発明は従来の方式に比べて優れている。
上記実施形態では、近似式1に用いた式(1)は二組のtanh関数の組み合わせである。式(4)は二組のexp関数の組み合わせである。第一項がtanh関数で第二項がexp関数の組み合わせでも、第一項がexp関数で第二項がtanh関数でも同様な効果を得ることができる。
上記実施形態では、近似式1の第一項は反転後の急な摩擦変化をtanh関数又はexp関数で近似している。反転後の急な摩擦変化は急に立ち上がった後はすぐに一定値になる。故に近似式1の第一項はランプ関数、又はステップ関数を用いて近似してもよい。
上記実施形態はテーブル3を移動体とする。移動体は工具を掴んだ主軸を支持する機構としてもよい。テーブルは固定しておく。機構は主軸ヘッドとコラムで構成してもよい。主軸ヘッドは主軸を回転可能に支持する。コラムは主軸ヘッドを上下又は前後に移動可能に支持する。
ケース7として、近似式1に式(1)を用い、近似式2に式(5)を用いる。ケース8として、近似式1に式(4)を用い、近似式2に式(2)を用いる。ケース3ではfc0=0.9、a=0.0025、fc1=0.45、a=0.031、fc2=0.35、a=0.014、b=0.075である。ケース8ではfc0=0.9、a=0.00025、fc1=0.45、a=0.031、fc2=0.35、a=0.014、b=0.075である。図23は、ケース7の図である。図24は、ケース8の図である。
近似式1として式(1)、(4)の中の何れかを用い、近似式2として式(2)、(5)、(6)の中の何れかを用いてもよい。故に、6通りの方法がある。
上記実施形態はダブルナット予圧方式の送り機構を用いた。本発明はオフセット予圧方式の送り機構においても同様の効果を得ることができる。オフセット予圧方式の送り機構はダブルナット予圧方式と同様な摩擦特性を有する。オフセット予圧方式の送り機構は一対のナットと間座とを一体にして一つのナットとして構成する。
1 数値制御装置
12 速度制御器
13 摩擦補償器
21 実位置推定部
24 積分器
29 応答遅れ補償部
26 第一摩擦特性推定部
27 第二摩擦特性推定部

Claims (9)

  1. ボール螺子軸と該ボール螺子軸に外嵌するボールナットとを有し該ボールナットに固定した移動体を移動する送り機構と、前記ボール螺子軸を回転駆動するモータと、前記モータで移動した移動体の位置を検出する位置検出機構と、該位置検出機構によって検出した移動体の位置と制御部が生成する位置指令とが一致するように速度指令を生成する速度生成部と、前記モータの速度を検出する速度検出機構と、前記速度検出機構が検出した速度と前記速度生成部が生成した速度指令とが一致するようにトルク指令を生成するトルク生成部と、前記モータの回転方向が反転後に発生する摩擦力又は摩擦トルクを推定する摩擦推定部と、前記摩擦推定部で推定した摩擦又は摩擦トルクに基づいて前記トルク指令を補正する補正部とを備えた数値制御装置において、
    前記ボールナットは一対のボールナットで構成し、
    前記移動体の移動方向が反転後から増加する前記送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第一摩擦推定部と、
    前記移動体の移動方向が反転後に所定量移動した後、前記ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第二摩擦推定部を備え、
    前記摩擦推定部は前記第一摩擦推定部と前記第二摩擦推定部の夫々で推定した摩擦力又は摩擦トルクを加算することを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記一対のボールナットは複数の球を有し、
    前記所定量は前記移動体の移動方向が反転後に前記複数の球の内少なくとも一個が前記一対のボールナットと前記ボール螺子軸に対して三点で接触するまで、前記移動体が移動する距離であることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. 前記位置指令に対応する前記移動体の実位置を推定する実位置推定部と、
    前記実位置推定部で推定した実位置に基づいて前記移動体の移動方向が反転した後の変位算出する算出部とを更に備え、
    前記第一摩擦推定部と前記第二摩擦推定部は前記算出部によって算出した変位を変数とした近似式であることを特徴とする請求項1又は2に記載の数値制御装置。
  4. 前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾きの成分と該第一の傾き成分より傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、
    Figure 0005817428
    Figure 0005817428
    であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  5. 前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾き成分と該第一の傾き成分より傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、
    Figure 0005817428
    Figure 0005817428
    であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  6. 前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾き成分と該第一の傾き成分よりも傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、
    Figure 0005817428
    Figure 0005817428
    であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  7. 前記第一摩擦推定部の前記近似式f(x')、前記第二摩擦推定部の前記近似式f(x')は、前記移動体の移動方向の反転後から変化する摩擦力又は摩擦トルクを反転後の移動量に対して第一の傾き成分と該第一の傾き成分よりも傾きが緩い第二の傾き成分とに分解し、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記第一の傾き成分の反転からの立ち上がり摩擦力又は摩擦トルクをfc0、前記第一の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記第二の傾き成分の立ち上がり距離定数をa、前記移動体の移動方向の反転後から変化する動摩擦力又は動摩擦トルクの総和値をfc1、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動した後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、
    Figure 0005817428
    Figure 0005817428
    であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  8. 前記第二摩擦推定部の前記近似式は、前記移動体の移動方向反転位置からの変位をx'、前記移動体の移動方向が反転後、前記所定量移動した後に増加するボール螺子軸と一対のボールナットに起因する動摩擦力又は動摩擦トルクをfc2、前記所定量をb、前記移動体の移動方向の反転後から前記所定量b移動後に増加する摩擦力又は摩擦トルクの立ち上がり距離定数をa、符号関数をsgnとして、
    Figure 0005817428
    であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御装置。
  9. ボール螺子軸と該ボール螺子軸に外嵌するボールナットとを有し該ボールナットに固定した移動体を移動する送り機構と、前記ボール螺子軸を回転駆動するモータと、前記モータで移動した移動体の位置を検出する位置検出機構とを備えた数値制御装置が行い、前記位置検出機構が検出した移動体の位置と制御部が生成する位置指令とが一致するように速度指令を生成する速度生成工程と、前記モータの速度を検出する速度検出工程と、前記速度検出工程が検出した速度と前記速度生成工程が生成した速度指令とが一致するようにトルク指令を生成するトルク生成工程と、前記モータの回転方向を反転後に発生する摩擦力又は摩擦トルクを推定する摩擦推定工程と、前記摩擦推定工程で推定した摩擦又は摩擦トルクに基づいて前記トルク指令を補正する補正工程とを備えた摩擦補償方法において、
    前記ボールナットは一対のボールナットで構成し、
    前記移動体の移動方向が反転後から増加する前記送り機構に起因する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第一摩擦推定工程と、
    前記移動体の移動方向が反転後に所定量移動した後、前記ボール螺子軸と一対のボールナットに起因して増加する摩擦力又は摩擦トルクを推定する第二摩擦推定工程とを備え、
    前記摩擦推定工程は、前記第一摩擦推定工程と前記第二摩擦推定工程の夫々で推定した摩擦力又は摩擦トルクを加算することを特徴とする摩擦補償方法。
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