JP5811864B2 - 熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents
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Description
平均粒子径が1.5〜5.0mmで、かつ嵩発泡倍率が5〜60倍であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子にある(請求項1)。
そのため、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形すると、個々の発泡粒子が特定量の上記脂肪酸アマイド及び上記エステル化合物で被覆されているため、他部材と擦れ合ったときの異音の発生を抑制できる、擦れ音防止性能に優れた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
これに対し、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、上記脂肪酸アマイドと共に、上記特定のモノエステル化合物が特定量予備発泡粒子の表面に付着している。そのため、上記予備発泡粒子同士のブロッキングの発生を抑制することができ、取扱い性に優れている。また、上記予備発泡粒子においては、型内成形時の発泡粒子同士の融着性を阻害することなく、予備発泡粒子が本来有する優れた融着性を発揮することができる。そのため、曲げ強さ等の機械的強度を損ねることなく、機械的強度に優れた上記発泡粒子成形体を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、表面に特定量の脂肪酸アマイドと共に、特定量のモノエステル化合物が付着している。なお、上記脂肪酸アマイド及び上記モノエステル化合物は、上記予備発泡粒子の表面に付着しているだけでなく、その一部が上記予備発泡粒子の表面付近の内部に含浸されていてもよい。
具体的には、上記脂肪酸アマイドとしては、例えばラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイドなどの飽和脂肪酸アマイドが挙げられる。また、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ネルボン酸アマイド等の不飽和脂肪酸アマイド(より好ましくはω−9脂肪酸アマイド)が挙げられる。
擦れ音防止効果に特に優れるという観点からは、上記脂肪酸アマイドの中でも、炭素数16〜24の脂肪酸アマイドが好ましく、炭素数18〜22の脂肪酸アマイドがより好ましい。具体的には、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、又はステアリン酸アマイドがさらに好ましい。また、融着性に特に優れるという観点からは、上記脂肪酸アマイドは不飽和脂肪酸アマイドであることが好ましい。
また、擦れ音防止効果と融着性との両者をバランスよく向上させるという観点からは、上記脂肪酸アマイドは、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸アマイドであることが好ましく(請求項3)、上記脂肪酸アマイドは、エルカ酸アマイド及び/又はオレイン酸アマイドであることがより好ましい(請求項4)。なお、脂肪酸アマイドは2種以上を併用してもよい。特に好ましくは、上記脂肪酸アマイドとしては、オレイン酸アマイドがよい。
さらに、上記予備発泡粒子においては、上記脂肪酸アマイドと共に、炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物が予備発泡粒子の表面に特定量付着している。上記モノエステル化合物を併用することにより、脂肪酸アマイドによる優れた擦れ音防止効果を損なわずに、脂肪酸アマイドを多量に付着させることによる、ブロッキングの発生や融着性の阻害といった問題点を解決することができる。
モノエステル以外のジエステル又はトリエステル等を採用した場合には、予備発泡粒子のブロッキングを防止することができなくなる。さらにこの場合には、その予備発泡粒子から成形された発泡粒子成形体において、十分な擦れ音防止性能が発揮されなくなる。
上記樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない限り、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、及び難燃剤等の添加剤を含有することができる。
例えば自動車の内装材の用途に用いる場合であって、上記熱可塑性樹脂が例えばポリプロピレン等のオレフィン系樹脂である場合には、発泡倍率が嵩倍率で10〜50倍のものが採用される。また、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂である場合には、発泡倍率が5〜60倍のものが採用される。
ここで、上記熱可塑性樹脂がポリプロピレンからなる場合には、発泡粒子成形体の発泡倍率が40倍以上になると上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体と他部材との間で擦れ音が特に発生しやすい傾向にある。また、上記熱可塑性樹脂が、スチレン改質ポリオレフィン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチルなどの相対的に硬質の樹脂からなる場合には、発泡倍率に関わらず他部材との間で擦れ音が特に発生しやすい傾向にある。
上記予備発泡粒子の平均粒子径が小さすぎる場合には、該予備発泡粒子の製造自体が困難になる虞がある。また、製造コストが増大してしまう虞がある。上記予備発泡粒子の製造をより一層簡単にするという観点からは、上記予備発泡粒子の平均粒子径は2.0mm以上であることがより好ましい。一方、平均粒子径が大きすぎる場合には、型内成形により上記発泡粒子成形体を作製する際に金型への充填性が低下する虞がある。該充填性の低下をより一層防止するという観点からは、上記予備発泡粒子の平均粒子径は4.0mm以下であることがより好ましく、3.0mm以下であることがさらに好ましい。
即ち、まず、予備発泡粒子群を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日放置する。次いで、温度23℃の水が入ったメスシリンダーを用意し、2日間放置した任意の量の予備発泡粒子群(予備発泡粒子群の質量W1)を上記メスシリンダー内の水中に金網などの道具を使用して沈める。そして、金網などの道具の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる予備発泡粒子群の容積V1[L]を測定し、この容積V1をメスシリンダーに入れた予備発泡粒子の個数(N)にて割り算(V1/N)することにより、予備発泡粒子1個あたりの平均体積を算出する。そして、得られた平均体積と同じ体積を有する仮想真球の直径をもって予備発泡粒子の平均粒子径[mm]とする。
即ち、まず、予備発泡粒子群を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日放置する。次いで、温度23℃の水が入ったメスシリンダーを用意し、2日間放置した任意の量の予備発泡粒子群(予備発泡粒子群の質量W1)を金網などの道具を使用してメスシリンダー内の水中に沈める。そして、金網等の道具の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる予備発泡粒子群の容積V1[L]を測定し、メスシリンダーに入れた予備発泡粒子群の質量W1[g]を容積V1で割り算(W1/V1)することにより、予備発泡粒子の見掛け密度ρ1を求める。この密度ρ1を、予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂の密度で除算し、さらに1.6倍することにより予備発泡粒子の嵩発泡倍率を求めることができる。
即ち、まず、任意の量の予備発泡粒子群の重量を計測する。次いで、該予備発泡粒子群を十分量のテトラヒドロフランなどの溶媒にて溶解し、予備発泡粒子表面に付着する脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を抽出し、ガスクロマトグラフ測定により脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量を求めることができる。
型内成形は、金型内に発泡粒子を充填し均一な密度分布で発泡成形品(熱可塑性樹脂発泡粒子成形体)を得ることができる好適な方法である。
具体的には、例えば脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していない熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形して得られる型内成形体の表面の少なくとも一部において、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着した上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形を行う。これにより、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着した上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を表面の一部に有する発泡粒子成形体を得ることができる。
また、無機ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム、酸素、ネオンなどを用いることができる。経済的な観点からは無機ガスとしては空気を用いることが最も好ましい。
好ましくは、上記発泡粒子成形体は、自動車の内装材に用いることがよい。
この場合には、擦れ音を抑制できるという本発明の上述の作用効果をより顕著に発揮することができる。
即ち、自動車の内装材に用いられる発泡粒子成形体には、例えばエンジンや走行中の路面等からの振動、又は乗員が乗降する際の脚部による圧力などが伝わることにより、擦れ音が発生し易い。かかる内装材に擦れ音防止性能を有する上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を適用することにより、擦れ音防止性能をより顕著に発揮することができる。
即ち、自動車のフロアパネル面はロッカーパネルやダッシュパネルなど、様々な凹凸形状を有しているため、これを平らにして居住性を改善したり衝撃吸収性能を向上させたりする目的からフロアパネル面上には、発泡樹脂成形体からなるフロア嵩上げ材が敷設される。上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、このようなフロア嵩上げ材に適用することができる。また、ティビアパッドに適用することもできる。
その他にも、ドアパッド、ヘッドレスト、ラゲージボックス等の自動車内装材に適用することができる。
(実施例1〜18)
実施例に係る熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が少なくとも表面に付着した予備発泡粒子である。実施例においては、脂肪酸アマイドとしては、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、又はステアリン酸アマイドが採用され、モノエステル化合物としては、ステアリン酸モノグリセライド、又はステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合物が採用される。予備発泡粒子100質量部に対して、脂肪酸アマイドの付着量が1〜8質量部であり、モノエステル化合物の付着量が2〜10質量部である。また、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなる。
本例においては、熱可塑性樹脂予備発泡粒子として、スチレン樹脂予備発泡粒子を採用し、これを用いて型内成形しスチレン樹脂発泡粒子成形体を得る。
まず、発泡性スチレン樹脂粒子として、(株)JSP製の「FB250」を準備した。この発泡性スチレン樹脂粒子の平均粒子径は0.9mmである。発泡性樹脂粒子の平均粒子径は、測定試料として発泡性樹脂を用いた以外は、上述の予備発泡粒子の平均粒子径の測定と同様な方法により測定した。なお、測定には約500ccの発泡性樹脂粒子群を用いた。
脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着している予備発泡粒子約100mgをテトラヒドロフラン3mlで希釈し、ガスクロマトグラフィ用試料とする。
[ガスクロマトグラフィ条件]
装置 :島津製GC−2010
注入量 :1.0μL
気化室温度 :280℃
カラム :HP−5MS(30m×0.25mm×0.25μm)
カラム槽 :40℃(5min保持)から280℃まで、15℃/minで昇温
カラム流量 :He 1.0ml/min(スプリット比1/50)
検出器 :FID
「耐ブロッキング性」
脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着したスチレン樹脂予備発泡粒子同士がサイロ内で互いに融着し、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を付着させていないスチレン樹脂予備発泡粒子に比べて流動性が著しく悪くなったものを「×」、流動性に問題がなかったものを「○」として評価した。その結果を表1〜表3に示す。
得られた発泡粒子成形体について、以下のようにして擦れ音の評価を行なうと共に、融着率、曲げ強さを測定し、さらに曲げ強さ保持率を求めた。
まず、温度23℃、相対湿度50%の恒温室内に、成形圧(元圧)0.08MPa(G)の蒸気にて作製した発泡粒子成形体を24時間放置した。次いで、この発泡粒子成形体をニクロムスライサーで100mm×100mmにカットして評価用試料とした。
次いで、図1(a)及び(b)に示した評価装置1を用いて擦れ音を測定した。
同図に示すごとく、評価装置1は、内寸585×430×350mm、厚さ50mmのアルミ製容器10と、アルミ製容器10の側面に埋設されたマイクロホン14(騒音計14)と、発泡粒子成形体2(評価用試料2)を保持する可動部11と、可動部11に連結し往復運動可能なエアシリンダ12とを備えている。アルミ製容器10の底面には、評価用試料2と接触させる他部材としての被接触物3が固定され、アルミ製容器10の側面および上面には、厚さ20mmのフェルト13が貼り付けられている。本例において、被接触物3は、軟質塩化ビニルシート、亜鉛鋼板、又は発泡粒子成形体のいずれかである。評価用試料2は、被接触物3上に配置され、評価用試料2上にはさらに500gの錘4が配置される。
擦れ音の評価にあたっては、評価装置1においてエアシリンダ12を作動させ、可動部4に固定された評価用試料2をストローク200mmで往復運動させて被接触物3上で摺動させる。このとき、評価用試料2を速度90mm/sで10秒間動かし、発生する音をマイクロホン14で測定し、4000Hzから8000Hzの間で最大となる騒音値を擦れ音として測定した。この測定方法において、騒音値が高いほど不快な異音(キュキュ音)の発生が大きい。不快な異音(キュキュ音)気にならないのは、概ね70dB以下である。その結果を後述の表1〜表3に示す。なお、被接触物3として用いる発泡粒子成形体としては、使用する評価用試料と同じ配合で作製した成形体を採用した。
得られた発泡粒子成形体を長手(700mm)方向の中央部(350mm)付近で割り、その破断面を目視により観察した。そして、破断面における全発泡粒子数に対する、発泡粒子内部から破断した発泡粒子数の比率を算出し、これを融着率(%)とした。なお、融着率は、成形圧(元圧)0.07MPa(G)、0.08MPa(G)、又は0.09MPa(G)の蒸気を用いて作製した各発泡粒子成形体について、それぞれ算出した。その結果を表1〜表3に示す。
曲げ強さは、JIS K7221−2:2006に準拠して測定した。測定にあたっては、成形圧(元圧)0.08MPa(G)の蒸気にて作製した発泡粒子成形体から成形スキンを除去せず(25mm)に、この発泡粒子成形体を100×350mmにカットして試験片を作製した。支点間距離は300mm、加圧くさびの速度は20mm/min、試験温度は23℃、試験湿度は相対湿度で50%とした。
また、曲げ強さ保持率は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を用いずに倍率20倍又は40倍で作製した発泡粒子成形体の曲げ強さを測定してこれを基準値とし、この基準値に対する100分率で示した。具体的には、後述の比較例1又は比較例2の発泡粒子成形体の曲げ強さを基準値とした。基準値に対する比較は同じ発泡倍率のものを用いて行なった。発泡粒子の融着性が低下しているほど曲げ強さ保持率の値が低くなる。その結果を表1〜表3に示す。
次に、実施例1〜18との比較用の予備発泡粒子及び発泡粒子成形体を作製した。
比較例1及び2は、後述の表4に示すごとく、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を用いずに作製した点を除いては、上述の実施例と同様に作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。比較例1は予備発泡粒子の発泡倍率を40倍とし、比較例2は予備発泡粒子の発泡倍率を20倍とした。
また、比較例1〜17の発泡粒子成形体(スチレン樹脂発泡粒子成形体)について、上述の実施例と同様にして、擦れ音の評価を行なうと共に、融着率及び曲げ強さを測定し、曲げ強さ保持率を求めた。その結果を表4〜表6に示す。
また、表5より知られるごとく、モノエステル化合物の付着量が多すぎる比較例12の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
本例は、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体5の表面の少なくとも一部に、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体55(被覆層55)を有する成形体を作製する例である(図2(a)及び(b)参照)。
本例の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体5は、図2(a)及び(b)に示すごとく、自動車のフロア嵩上げ材である。発泡粒子成形体5の自動車車体側51には、凹凸が設けられており、凸部501が車体の金属部分と接触する。一方、発泡粒子成形体5の車体側51の反対面側である車両室内側52には、平らな面が設けられている。なお、図2(a)及び(b)に示すフロア嵩上げ材用の発泡粒子成形体5の表面の凹凸形状は一例であり、その形状は所望のエネルギー吸収特性にあわせて適宜設計することができる。
まず、発泡性スチレン樹脂粒子として、(株)JSP製の「FB250」を準備した。この発泡性スチレン樹脂粒子の平均粒子径は0.9mmである。
次いで、容積300Lのバッチ式発泡機(DAISEN(株)製の「DYHL300」)により、発泡性スチレン樹脂粒子を嵩倍率で40倍に発泡させてスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。次に、得られたスチレン樹脂予備発泡粒子をサイロ内で1日間室温放置することにより熟成させた。このようにして得られたスチレン樹脂予備発泡粒子を母材用予備発泡粒子とする。
次いで、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着した発泡性スチレン系樹脂粒子を、上述の母材用予備発泡粒子と同様に、嵩倍率で40倍に発泡させ、サイロ内で1日間室温放置することにより熟成させた。このようにして得られたスチレン樹脂予備発泡粒子を被覆層用予備発泡粒子とする。
被覆層用予備発泡粒子について、平均粒子径[mm]、嵩発泡倍率、脂肪酸アマイドの付着量、及びモノエステル化合物の付着量を測定し、また、耐ブロッキング性を評価した。測定方法及び評価方法は、実施例1〜18と同様である。その結果を後述の表7に示す。
具体的には、図3(a)に示すごとく、可動側金型61及び固定側金型62からなる金型6の成形キャビティ65内に、母材用予備発泡粒子を充填し、元圧0.03MPa(G)の蒸気を固定側金型62側から成形キャビティ65内に導入して15秒間加熱した。次いで、元圧0.03MPa(G)の蒸気を移動側金型61側から成形キャビティ65内に導入してさらに12秒間加熱して、母材用予備発泡粒子をおこし状に型内成形してなる母材予備成形体500を得た。
なお、上述の製造方法においては、被覆層用予備発泡粒子を空間内に充填した後0.07MPa(G)の蒸気を導入して作製した例について説明したが、本例においては、被覆用予備発泡粒子の充填後に、0.08MPa(G)又は0.09MPa(G)の蒸気をそれぞれ導入して、さらに2種類の発泡粒子成形体を作製した。
まず、温度23℃、相対湿度50%の恒温室内に、元圧0.08MPa(G)の蒸気にて作製した本例の発泡粒子成形体5を24時間放置した(図2(a)及び(b)参照)。次いで、発泡粒子成形体5の図2において破線で囲んだ領域Sをニクロムスライサーで100mm×100mmにカットし、これを評価用試料とした。この評価用試料を用いて、上述の実施例1〜18と同様にして擦れ音を測定した。なお、本例においては、発泡粒子成形体5の被覆層55が形成された凸部の擦れ音を測定した。その結果を後述の表7に示す。
図2(a)に示す発泡粒子成形体5をX−X線断面で割り、その破断面を目視により観察した。そして、破断面の母材成形体に存在する全発泡粒子数に対する、発泡粒子内部から破断した発泡粒子数の比率を算出し、これを融着率A(%)とした。
また、上述の破断面の被覆層に存在する全発泡粒子数に対する発泡粒子内部から破断した発泡粒子数の比率を算出し、これを融着率B(%)とした。
なお、融着率は、成形圧(元圧)0.07MPa(G)、0.08MPa(G)、又は0.09MPa(G)の蒸気を用いて作製した各発泡粒子成形体について、それぞれ算出した。その結果を後述の表7に示す。
次に、実施例19の発泡粒子成形体の比較用として、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していないスチレン樹脂予備発泡粒子のみを用いて実施例19と同形状のフロア嵩上げ材用の発泡粒子成形体を作製した。
具体的には、まず、実施例19における母材用予備発泡粒子と同様に、発泡性スチレン樹脂粒子((株)JSP製の「FB250」、平均粒子径:0.9mm)を嵩倍率で40倍に発泡させてスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。本例においても、実施例19と同様に、予備発泡粒子の発泡倍率及び平均粒子径を測定すると共に、耐ブロキング性の評価を行った。その結果を後述の表7に示す。
本例の発泡粒子成形体は、被覆層用予備発泡粒子からなる被覆層55が形成されていない点を除いては、実施例19と同様の構成を有している。本例においても、実施例19と同様に、発泡粒子成形体の融着率Aを測定すると共に、擦れ音の評価を行った。その結果を後述の表7に示す。
次に、実施例19の発泡粒子成形体の比較用として、モノエステル化合物が表面に付着しておらず、脂肪酸アマイドが表面に付着したスチレン樹脂予備発泡粒子を用いて被覆層を形成したフロア嵩上げ材用の発泡粒子成形体を作製した。本例の発泡粒子成形体は、被覆層用予備発泡粒子の作製時に、モノエステル化合物を添加しなかった点を除いては、実施例19と同様にして作製した。
これに対し、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物のいずれもが表面に付着していない予備発泡粒子を型内成形してなる比較例18の発泡粒子成形体は、擦れ音防止性能が不十分であった。
また、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドのみを表面に付着させた比較例19の被覆用予備発泡粒子は、ブロッキングを起こしやすい。そして、かかる被覆層用予備発泡粒子の型内成形体を表面の少なくとも一部に有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体においては、被覆層における発泡粒子相互の融着性が低下していた。
10 アルミ製容器
11 可動部
12 エアシリンダ
13 フェルト
14 マイクロホン(騒音計)
2 熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(評価用試料)
3 被接触物
4 錘
5 熱可塑性樹脂発泡粒子成形体
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂予備発泡粒子の表面に、該予備発泡粒子100質量部に対し、炭素数12〜24の脂肪酸アマイド1〜8質量部、及び炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物2〜10質量部が付着してなり、
平均粒子径が1.5〜5.0mmで、かつ嵩発泡倍率が5〜60倍であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。 - 請求項1に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、上記モノエステル化合物は、ステアリン酸モノグリセライド及び/又はパルミチン酸モノグリセライドであることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
- 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、上記脂肪酸アマイドは、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸アマイドであることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、上記脂肪酸アマイドは、エルカ酸アマイド及び/又はオレイン酸アマイドであることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、該熱可塑性樹脂予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を表面の少なくとも一部に有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
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