JP2013100443A - 熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡粒子成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた擦れ音防止性能を有し、かつ機械的強度に優れた発泡粒子成形体を製造できると共に、ブロッキングを抑制して取扱い性に優れる熱可塑性樹脂予備発泡粒子、及び該熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を提供すること。
【解決手段】炭素数12〜24の脂肪酸アマイド、及び炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物が表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子である。予備発泡粒子100質量部に対し、脂肪酸アマイドの付着量は1〜8質量部であり、モノエステル化合物の付着量は2〜10質量部である。また、熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体、及び熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体55を表面の少なくとも一部に有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子成形体5である。
【選択図】図2

Description

本発明は、塩化ビニル等の樹脂や金属等からなる他部材との間に生じうる擦れ音の発生を低減又は防止できる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造に用いられる熱可塑性樹脂予備発泡粒子に関する。
発泡性樹脂粒子を予備発泡させて予備発泡粒子を作製し、該予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡粒子成形体は、自動車の内装材、電化製品の断熱部材、各種容器等に広く用いられている。
ところが、発泡粒子成形体は、樹脂や金属等からなる他部材と接触して接触面で擦れ合うと、不快な異音(擦れ音)が発生することがある。
例えば自動車の内装床面に設置されるフロア嵩上げ材を例に説明する。フロア嵩上げ材に発泡粒子成形体を用いると、自動車の床面の高さを調整して室内側での平面性を確保しつつ、断熱性能、防音性能、乗員の居住性能の向上を図ることができる。ところが、自動車の振動時や乗員の乗降時等において、発泡粒子成形体が塩化ビニルで被覆された配線(ハーネス)や、床面(金属)などと擦れ合ったり、又は発泡粒子成形体同士が擦れ合ったりすると、例えばキュッというような不快な異音(擦れ音)が発生する虞があった。
発泡粒子成形体の擦れ音を防止するための技術の一つとして、表面に脂肪酸アマイドをコーティングした予備発泡粒子を成形して発泡粒子成形体を得る技術が開発されている(特許文献1参照)。脂肪酸アマイドを用いることにより、発泡粒子成形体と他部材との摩擦抵抗を小さくし、擦れ音の発生を防止することが可能になる。
特開2008−231175号公報
しかしながら、フロア嵩上げ材等として使用される熱可塑性樹脂発泡粒子成形体には、より高いレベルの擦れ音防止性能が要求されており、上記特許文献1の技術では、未だ擦れ音防止性能は不十分である。さらに、フロア嵩上げ材には擦れ音防止性能と共に、十分な圧縮強さや曲げ強さなどの機械的強度も要求される。擦れ音防止効果を高めようとして、発泡性樹脂粒子に対する脂肪酸アマイドの添加量を多くすると、予備発泡粒子の表面の気泡膜が脂肪酸アマイドにより侵食されて表面付近の気泡が破壊され易くなる。その結果、予備発泡粒子の型内成形時の二次発泡力が弱まるため、発泡粒子の融着性が低下しやすくなったり、粒子間に間隙が目立ち外観が悪くなったりしてしまう。特に融着性の低下は、発泡粒子成形体の曲げ強さ等の機械的物性の低下という物性上の不具合の原因となる。
また、予備発泡粒子には、その取扱い性の観点から、予備発泡時や金型充填時などに予備発泡粒子同士が互着してしまう所謂ブロッキングの発生を抑制することが要求される。しかし、脂肪酸アマイドの添加量が多くなるとブロッキングが生じやすく、その点でも改善の余地がある。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであって、優れた擦れ音防止性能を有し、かつ機械的強度に優れた発泡粒子成形体を製造できると共に、ブロッキングを抑制して取扱い性に優れる熱可塑性樹脂予備発泡粒子、及び該熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を提供しようとするものである。
第1の発明は、熱可塑性樹脂予備発泡粒子の表面に、該予備発泡粒子100質量部に対し、炭素数12〜24の脂肪酸アマイド1〜8質量部、及び炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物2〜10質量部が付着してなることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子にある(請求項1)。
第2の発明は、上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子成形体にある(請求項7)。
第3の発明は、上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を表面の少なくとも一部に有することを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子成形体にある(請求項8)。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子(以下、単に「予備発泡粒子」とも言う。)においては、その表面に、炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物(以下、単に「モノエステル化合物」とも言う。)、及び炭素数12〜24の脂肪酸アマイド(以下、単に「脂肪酸アマイド」とも言う。)がそれぞれ上記特定量で付着している。
そのため、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形すると、個々の発泡粒子が特定量の上記脂肪酸アマイド及び上記エステル化合物で被覆されているため、他部材と擦れ合ったときの異音の発生を抑制できる、擦れ音防止性能に優れた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
ところで、一般に、より高いレベルで擦れ音の発生を抑制しようと、従来よりも多量の脂肪酸アマイドを予備発泡粒子の表面に付着させた場合には、予備発泡時のブロッキングが増加してしまう虞がある。また、この場合には、発泡粒子表面の気泡を過度に破壊して融着性を阻害したり、基材樹脂が大きく可塑化されたりして、得られる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(以下、単に「発泡粒子成形体」とも言う。)の機械的強度が低下してしまう虞がある。
これに対し、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、上記脂肪酸アマイドと共に、上記特定のモノエステル化合物が特定量予備発泡粒子の表面に付着している。そのため、上記予備発泡粒子同士のブロッキングの発生を抑制することができ、取扱い性に優れている。また、上記予備発泡粒子においては、型内成形時の発泡粒子同士の融着性を阻害することなく、予備発泡粒子が本来有する優れた融着性を発揮することができる。そのため、曲げ強さ等の機械的強度を損ねることなく、機械的強度に優れた上記発泡粒子成形体を得ることができる。
また、上記第2の発明の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形することにより製造できる。そして、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上述のごとく、優れた機械的強度を維持したまま、優れた擦れ音防止性能を発揮することができる。
また、上記第3の発明の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を表面の少なくとも一部に有する。そのため、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、その表面における上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を有する部分において、優れた擦れ音防止性能を発揮することができる。また、上記型内成形体においては優れた融着性で発泡粒子同士が融着しているため、機械的強度にも優れる。
実施例1〜18における、擦れ音の評価装置を上面から見た構成を示す説明図(a)、擦れ音の評価装置を側面から見た構成を示す説明図(b)。 実施例19の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(自動車用フロア嵩上げ材)における車体との接触面を示す説明図(a)、実施例19の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の断面(図(a)のA−A断面矢視図)を示す説明図(b)。 実施例19の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の製造工程における金型の断面図であって、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していない予備発泡粒子から母材予備成形体を成形する際の金型の断面を示す説明図(a)、移動側金型を移動させ、移動側金型と母材予備成形体との間に空間を形成した状態の金型断面を示す説明図(b)、空間内に脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を被覆した予備発泡粒子を充填し型内成形する際の金型断面を示す説明図(c)。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、表面に特定量の脂肪酸アマイドと共に、特定量のモノエステル化合物が付着している。なお、上記脂肪酸アマイド及び上記モノエステル化合物は、上記予備発泡粒子の表面に付着しているだけでなく、その一部が上記予備発泡粒子の表面付近の内部に含浸されていてもよい。
発泡粒子成形体の擦れ音を防止又は抑制するために、上記脂肪酸アマイドとして、炭素数12〜24のものが用いられる。
具体的には、上記脂肪酸アマイドとしては、例えばラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘン酸アマイドなどの飽和脂肪酸アマイドが挙げられる。また、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ネルボン酸アマイド等の不飽和脂肪酸アマイド(より好ましくはω−9脂肪酸アマイド)が挙げられる。
擦れ音防止効果に特に優れるという観点からは、上記脂肪酸アマイドの中でも、炭素数16〜24の脂肪酸アマイドが好ましく、炭素数18〜22の脂肪酸アマイドがより好ましい。具体的には、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、又はステアリン酸アマイドがさらに好ましい。また、融着性に特に優れるという観点からは、上記脂肪酸アマイドは不飽和脂肪酸アマイドであることが好ましい。
また、擦れ音防止効果と融着性との両者をバランスよく向上させるという観点からは、上記脂肪酸アマイドは、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸アマイドであることが好ましく(請求項3)、上記脂肪酸アマイドは、エルカ酸アマイド及び/又はオレイン酸アマイドであることがより好ましい(請求項4)。なお、脂肪酸アマイドは2種以上を併用してもよい。特に好ましくは、上記脂肪酸アマイドとしては、オレイン酸アマイドがよい。
上記予備発泡粒子の表面における上記脂肪酸アマイドの付着量は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を付着させる前の予備発泡粒子100質量部に対して1〜8質量部である。脂肪酸アマイドの付着量が少なすぎると擦れ音防止効果が小さくなる。擦れ音防止効果をより一層高めるという観点からは、脂肪酸アマイドの付着量は1.5質量部を超えることが好ましく、2質量部を超えることがより好ましく、2.5質量部以上であることがさらに好ましい。一方、上記脂肪酸アマイドの付着量が多すぎると、たとえ上記モノエステル化合物が併存していてもブロッキングの発生を防ぐことができず、融着性や外観が低下する。ブロッキングの発生をより一層防止し、また、融着性や外観をより一層向上させるという観点からは、脂肪酸アマイドの付着量は5質量部以下であることが好ましい。
さらに、上記予備発泡粒子においては、上記脂肪酸アマイドと共に、炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物が予備発泡粒子の表面に特定量付着している。上記モノエステル化合物を併用することにより、脂肪酸アマイドによる優れた擦れ音防止効果を損なわずに、脂肪酸アマイドを多量に付着させることによる、ブロッキングの発生や融着性の阻害といった問題点を解決することができる。
モノエステル以外のジエステル又はトリエステル等を採用した場合には、予備発泡粒子のブロッキングを防止することができなくなる。さらにこの場合には、その予備発泡粒子から成形された発泡粒子成形体において、十分な擦れ音防止性能が発揮されなくなる。
上記モノエステル化合物における脂肪酸の炭素数が小さすぎる場合又は脂肪酸が不飽和脂肪酸の場合には、予備発泡粒子のブロッキングを防止する効果が得られない。また、上記モノエステル化合物における脂肪酸の炭素数が大きすぎる場合には、予備発泡粒子の型内成形時に予備発泡粒子同士の融着が阻害される。そのため、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、上記モノエステル化合物における脂肪酸成分として、上述のごとく炭素数14〜20の飽和脂肪酸が採用される。
上記予備発泡粒子の表面における上記モノエステル化合物の付着量は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を付着させる前の予備発泡粒子100質量部に対して、2〜10質量部である。モノエステル化合物の付着量が少なすぎると、予備発泡粒子同士のブロッキングを防止することができず、融着性を改善する効果も得られない。ブロッキングをより一層防止し、融着性をより一層改善するという観点からは、上記モノエステル化合物の付着量は3質量部以上が好ましい。一方、モノエステル化合物の付着量が多すぎても、予備発泡粒子同士の融着性が著しく低下したり、擦れ音防止効果が低下したりする。融着性をより一層高めながら、優れた擦れ音防止効果を発現させるという観点からは、上記モノエステル化合物の付着量は6質量部以下が好ましい。
上記モノエステル化合物は、ステアリン酸モノグリセライド及び/又はパルミチン酸モノグリセライドであることが好ましい(請求項2)。この場合には、優れた擦れ音防止性能と機械的強度とを兼ね備えた発泡粒子成形体を製造できる共に、予備発泡粒子のブロッキングを抑制できるという本発明の作用効果が顕著になる。該作用効果をより一層顕著にするという観点から、上記モノエステル化合物は、ステアリン酸モノグリセライド(18)とパルミチン酸モノグリセライド(C16)との混合物であることがより好ましく、それらの混合比(C18:C16)が重量比で9:1〜5:5であることがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、例えば熱可塑性樹脂粒子(以下、単に「樹脂粒子」とも言う。)に発泡剤を含浸させた発泡性熱可塑性樹脂粒子(以下、単に「発泡性樹脂粒子」とも言う。)を発泡させることにより得ることができる。
上記樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない限り、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、及び難燃剤等の添加剤を含有することができる。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂は、従来の予備発泡粒子の基材樹脂として使用されているものを採用することができる。具体的には、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を採用することができる。オレフィン系樹脂とは、樹脂中のオレフィン成分が50質量%以上の樹脂を意味し、オレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等が挙げられる。スチレン系樹脂とは、樹脂中のスチレン成分が50質量%以上の樹脂を意味し、スチレン系樹脂としては、例えばポリスチレン、ブタジエン変性ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(スチレン成分50質量%以上)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリオレフィン中にてスチレンを含浸重合させたスチレン改質ポリオレフィン等が挙げられる。アクリル系樹脂とは、樹脂中のアクリル成分が50質量%以上の樹脂を意味し、アクリル系樹脂としては、例えばスチレン−メタクリル酸メチル共重合体(アクリル成分50質量%以上)、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
それらの中でも、上記熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂であることが好ましい(請求項5)。一般に、スチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子成形体においては擦れ音が特に発生しやすい。したがって、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂としてスチレン系樹脂を用いたときに、擦れ音を防止するという本発明の作用効果を顕著に得ることができる。
上記樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂又はアクリル系樹脂の場合には、スチレン系単量体及び/又はアクリル系単量体を懸濁重合することにより上記樹脂粒子を製造することができる。また、上記樹脂粒子は、市販のオレフィン樹脂、スチレン樹脂又はアクリル樹脂の樹脂ペレットを押出機で溶融混練した後、ストランドカット方式、ホットカット方式、及び水中カット方式等により細粒化することにより製造することができる。樹脂粒子の粒子径は、懸濁重合の場合には懸濁剤の添加量や攪拌動力を調整することにより適宜調整することができる。また、押出機を使用する場合には溶融混練物と吐出量とそれをカットする速度とを調整することにより適宜調整することができる。所望の粒子径が得られる方法であれば他の方法により行うこともできる。
上記発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡させて上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を得るにあたっては、所望の物性に応じて、その発泡倍率は適宜調整される。
例えば自動車の内装材の用途に用いる場合であって、上記熱可塑性樹脂が例えばポリプロピレン等のオレフィン系樹脂である場合には、発泡倍率が嵩倍率で10〜50倍のものが採用される。また、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂である場合には、発泡倍率が5〜60倍のものが採用される。
ここで、上記熱可塑性樹脂がポリプロピレンからなる場合には、発泡粒子成形体の発泡倍率が40倍以上になると上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体と他部材との間で擦れ音が特に発生しやすい傾向にある。また、上記熱可塑性樹脂が、スチレン改質ポリオレフィン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチルなどの相対的に硬質の樹脂からなる場合には、発泡倍率に関わらず他部材との間で擦れ音が特に発生しやすい傾向にある。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、平均粒子径が1.5〜5.0mmで、かつ嵩発泡倍率が5〜60倍であることが好ましい(請求項6)。
上記予備発泡粒子の平均粒子径が小さすぎる場合には、該予備発泡粒子の製造自体が困難になる虞がある。また、製造コストが増大してしまう虞がある。上記予備発泡粒子の製造をより一層簡単にするという観点からは、上記予備発泡粒子の平均粒子径は2.0mm以上であることがより好ましい。一方、平均粒子径が大きすぎる場合には、型内成形により上記発泡粒子成形体を作製する際に金型への充填性が低下する虞がある。該充填性の低下をより一層防止するという観点からは、上記予備発泡粒子の平均粒子径は4.0mm以下であることがより好ましく、3.0mm以下であることがさらに好ましい。
また、上記予備発泡粒子の嵩発泡倍率が高すぎる場合には、自動車内装材などの用途において、圧縮強度などの所望の機械的強度を満足できない虞がある。機械的強度をより確実に満足させるという観点からは、嵩発泡倍率は50倍以下であることがより好ましく、40倍以下であることがさらに好ましい。一方、嵩発泡倍率が低すぎる場合には、軽量性の観点から好ましくなく、また所望の緩衝特性を満足できなくなる虞がある。より一層の軽量化を図り、所望の緩衝特性をより確実に満足させるという観点からは、上記予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、10倍以上であることがより好ましく、20倍以上であることがさらに好ましい。
上記予備発泡粒子の平均粒子径は、発泡性樹脂粒子の粒子径及びその発泡倍率を調整することにより制御することができる。
上記予備発泡粒子の平均粒子径は、次のようにして測定することができる。
即ち、まず、予備発泡粒子群を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日放置する。次いで、温度23℃の水が入ったメスシリンダーを用意し、2日間放置した任意の量の予備発泡粒子群(予備発泡粒子群の質量W1)を上記メスシリンダー内の水中に金網などの道具を使用して沈める。そして、金網などの道具の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる予備発泡粒子群の容積V1[L]を測定し、この容積V1をメスシリンダーに入れた予備発泡粒子の個数(N)にて割り算(V1/N)することにより、予備発泡粒子1個あたりの平均体積を算出する。そして、得られた平均体積と同じ体積を有する仮想真球の直径をもって予備発泡粒子の平均粒子径[mm]とする。
また、上記予備発泡粒子の嵩発泡倍率は例えば次のようにして測定することができる。
即ち、まず、予備発泡粒子群を、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日放置する。次いで、温度23℃の水が入ったメスシリンダーを用意し、2日間放置した任意の量の予備発泡粒子群(予備発泡粒子群の質量W1)を金網などの道具を使用してメスシリンダー内の水中に沈める。そして、金網等の道具の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる予備発泡粒子群の容積V1[L]を測定し、メスシリンダーに入れた予備発泡粒子群の質量W1[g]を容積V1で割り算(W1/V1)することにより、予備発泡粒子の見掛け密度ρ1を求める。この密度ρ1を、予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂の密度で除算し、さらに1.6倍することにより予備発泡粒子の嵩発泡倍率を求めることができる。
予備発泡粒子の発泡倍率は、主として発泡性樹脂粒子中の発泡剤の含有量の増減により調整することができ、発泡時の温度や時間によって微調整することができる。発泡性樹脂粒子中の発泡剤の含有量は、樹脂粒子へ含浸させる発泡剤の量や、発泡剤含浸後の熟成時間などにより調整する。
上記予備発泡粒子の表面に脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を付着させる方法としては、予備発泡時に発泡性樹脂粒子と共に上記脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を添加し、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の共存下で予備発泡を行なう方法がある。その他の方法として、発泡後の予備発泡粒子に脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を塗布したり、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を含有する液体に上記予備発泡粒子を浸漬する方法等が挙げられる。
これらの方法の中でも、特に製造工程が簡便で、かつより優れた擦れ音防止効果が得られることから、発泡性樹脂粒子の予備発泡時に上記脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を添加して脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の共存下で予備発泡を行なう方法が好ましい。より優れた擦れ音防止効果が得られる要因は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の共存下で予備発泡させることにより、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物により予備発泡粒子の表面がより均一に被覆されることによるものと考えられる。
脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の共存下で予備発泡させる場合、予備発泡粒子表面への脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量は、予備発泡時の脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の添加量により調整することができる。詳しくは、一度、特定量の脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を添加して予備発泡粒子を作成してその脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物付着量を測定し、その付着量をもとに、所望の脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物付着量に応じて、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の添加量を適宜増減させて調整すればよい。
予備発泡粒子における脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量は、以下のようにして測定することができる。
即ち、まず、任意の量の予備発泡粒子群の重量を計測する。次いで、該予備発泡粒子群を十分量のテトラヒドロフランなどの溶媒にて溶解し、予備発泡粒子表面に付着する脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を抽出し、ガスクロマトグラフ測定により脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量を求めることができる。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形することにより熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。即ち、上記予備発泡粒子を成形型内に充填し、加熱媒体を成形型内に導入するなどして予備発泡粒子を相互に融着させることにより上記発泡粒子成形体を得ることができる。
型内成形は、金型内に発泡粒子を充填し均一な密度分布で発泡成形品(熱可塑性樹脂発泡粒子成形体)を得ることができる好適な方法である。
また、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着した上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を表面の一部に有する発泡粒子成形体を作製することもできる。
具体的には、例えば脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していない熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形して得られる型内成形体の表面の少なくとも一部において、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着した上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形を行う。これにより、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着した上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を表面の一部に有する発泡粒子成形体を得ることができる。
また、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していない熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形して得られる型内成形体と、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形して得られる型内成形体とを別々に作製し、両者を接着剤や熱融着などにより一体化させても良い。
発泡粒子成形体を得る際の加熱媒体としては、例えば飽和蒸気、無機ガス、及びこれらの混合ガスなどを用いることができる。
また、無機ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム、酸素、ネオンなどを用いることができる。経済的な観点からは無機ガスとしては空気を用いることが最も好ましい。
上記発泡粒子成形体は、自動車の内装材、電化製品の断熱部材、各種容器等に用いることができる。
好ましくは、上記発泡粒子成形体は、自動車の内装材に用いることがよい。
この場合には、擦れ音を抑制できるという本発明の上述の作用効果をより顕著に発揮することができる。
即ち、自動車の内装材に用いられる発泡粒子成形体には、例えばエンジンや走行中の路面等からの振動、又は乗員が乗降する際の脚部による圧力などが伝わることにより、擦れ音が発生し易い。かかる内装材に擦れ音防止性能を有する上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を適用することにより、擦れ音防止性能をより顕著に発揮することができる。
自動車の内装材としては、例えばフロア嵩上げ材がある。
即ち、自動車のフロアパネル面はロッカーパネルやダッシュパネルなど、様々な凹凸形状を有しているため、これを平らにして居住性を改善したり衝撃吸収性能を向上させたりする目的からフロアパネル面上には、発泡樹脂成形体からなるフロア嵩上げ材が敷設される。上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、このようなフロア嵩上げ材に適用することができる。また、ティビアパッドに適用することもできる。
その他にも、ドアパッド、ヘッドレスト、ラゲージボックス等の自動車内装材に適用することができる。
以下、実施例及び比較例にかかる熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡粒子成形体について説明する。
(実施例1〜18)
実施例に係る熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が少なくとも表面に付着した予備発泡粒子である。実施例においては、脂肪酸アマイドとしては、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、又はステアリン酸アマイドが採用され、モノエステル化合物としては、ステアリン酸モノグリセライド、又はステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合物が採用される。予備発泡粒子100質量部に対して、脂肪酸アマイドの付着量が1〜8質量部であり、モノエステル化合物の付着量が2〜10質量部である。また、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなる。
本例においては、熱可塑性樹脂予備発泡粒子として、スチレン樹脂予備発泡粒子を採用し、これを用いて型内成形しスチレン樹脂発泡粒子成形体を得る。
本例のスチレン樹脂予備発泡粒子は、発泡性スチレン樹脂粒子をモノエステル化合物存在下で発泡させて作製することができる。以下、製造方法について説明する。
まず、発泡性スチレン樹脂粒子として、(株)JSP製の「FB250」を準備した。この発泡性スチレン樹脂粒子の平均粒子径は0.9mmである。発泡性樹脂粒子の平均粒子径は、測定試料として発泡性樹脂を用いた以外は、上述の予備発泡粒子の平均粒子径の測定と同様な方法により測定した。なお、測定には約500ccの発泡性樹脂粒子群を用いた。
次に、脂肪酸アマイドとして、後述の表1〜表3に示すエルカ酸アマイド(融点80℃)、オレイン酸アマイド(融点75℃)、及びステアリン酸アマイド(融点100℃)を準備した。
また、モノエステル化合物として、後述の表1〜表3に示すステアリン酸モノグリセライド及びパルミチン酸モノグリセライドを準備した。ステアリン酸モノグリセライドは、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸であるステアリン酸とグリセリンとのモノエステル(融点67℃)である。また、パルミチン酸モノグリセライドは、炭素数16の飽和脂肪酸であるパルミチン酸とグリセリンとのモノエステル(融点65℃)である。
次に、発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対して、表1〜表3に示す配合割合で脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を添加して混合し、容積60Lのバッチ式発泡機により、発泡性スチレン系樹脂粒子を嵩倍率で40倍又は20倍に発泡させてスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。次いで、得られたスチレン樹脂予備発泡粒子をサイロ内で1日間室温放置することにより熟成させた。
このようにして得られたスチレン樹脂予備発泡粒子について、平均粒子径[mm]、及び嵩発泡倍率を上述の方法により測定した。なお、平均粒子径および嵩発泡倍率の測定には約500ccの予備発泡粒子群を用い、嵩発泡倍率の計算にはスチレン樹脂の密度として1g/cm3を採用した。その結果を表1〜表3に示す。
また、スチレン系樹脂予備発泡粒子について、以下の条件により脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量を測定し、該予備発泡粒子100質量部に対する、脂肪酸アマイドの付着量(質量部)及びモノエステル化合物の付着量(質量部)として後述の表1〜表3に示す。
[前処理条件]
脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着している予備発泡粒子約100mgをテトラヒドロフラン3mlで希釈し、ガスクロマトグラフィ用試料とする。
[ガスクロマトグラフィ条件]
装置 :島津製GC−2010
注入量 :1.0μL
気化室温度 :280℃
カラム :HP−5MS(30m×0.25mm×0.25μm)
カラム槽 :40℃(5min保持)から280℃まで、15℃/minで昇温
カラム流量 :He 1.0ml/min(スプリット比1/50)
検出器 :FID
さらに、予備発泡粒子について、以下の「耐ブロッキング性」の評価を行った。
「耐ブロッキング性」
脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が付着したスチレン樹脂予備発泡粒子同士がサイロ内で互いに融着し、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を付着させていないスチレン樹脂予備発泡粒子に比べて流動性が著しく悪くなったものを「×」、流動性に問題がなかったものを「○」として評価した。その結果を表1〜表3に示す。
次に、MDX−10VS自動成型機(日立化成工業株式会社製)を用いて発泡粒子成形体を作製した。スチレン樹脂予備発泡粒子を寸法700mm×500mm×25mmの金型の成形キャビティ内に充填した。次いで、元圧0.07MPa(G)の蒸気を金型の一方側から成形キャビティ内に導入して15秒間加熱した後、同圧力の蒸気を金型の反対側から成形キャビティ内に導入して12秒間加熱した。これにより、予備発泡粒子を二次発泡および融着させてスチレン樹脂発泡粒子成形体を得た。また、蒸気の元圧を0.07MPa(G)から、0.08MPa(G)、0.09MPa(G)にそれぞれ変更して、さらに2種類のスチレン系樹脂発泡粒子成形体を得た。なお、上記(G)はゲージ圧を意味する。
得られた発泡粒子成形体について、以下のようにして擦れ音の評価を行なうと共に、融着率、曲げ強さを測定し、さらに曲げ強さ保持率を求めた。
「擦れ音評価」
まず、温度23℃、相対湿度50%の恒温室内に、成形圧(元圧)0.08MPa(G)の蒸気にて作製した発泡粒子成形体を24時間放置した。次いで、この発泡粒子成形体をニクロムスライサーで100mm×100mmにカットして評価用試料とした。
次いで、図1(a)及び(b)に示した評価装置1を用いて擦れ音を測定した。
同図に示すごとく、評価装置1は、内寸585×430×350mm、厚さ50mmのアルミ製容器10と、アルミ製容器10の側面に埋設されたマイクロホン14(騒音計14)と、発泡粒子成形体2(評価用試料2)を保持する可動部11と、可動部11に連結し往復運動可能なエアシリンダ12とを備えている。アルミ製容器10の底面には、評価用試料2と接触させる他部材としての被接触物3が固定され、アルミ製容器10の側面および上面には、厚さ20mmのフェルト13が貼り付けられている。本例において、被接触物3は、軟質塩化ビニルシート、亜鉛鋼板、又は発泡粒子成形体のいずれかである。評価用試料2は、被接触物3上に配置され、評価用試料2上にはさらに500gの錘4が配置される。
擦れ音の評価にあたっては、評価装置1においてエアシリンダ12を作動させ、可動部4に固定された評価用試料2をストローク200mmで往復運動させて被接触物3上で摺動させる。このとき、評価用試料2を速度90mm/sで10秒間動かし、発生する音をマイクロホン14で測定し、4000Hzから8000Hzの間で最大となる騒音値を擦れ音として測定した。この測定方法において、騒音値が高いほど不快な異音(キュキュ音)の発生が大きい。不快な異音(キュキュ音)気にならないのは、概ね70dB以下である。その結果を後述の表1〜表3に示す。なお、被接触物3として用いる発泡粒子成形体としては、使用する評価用試料と同じ配合で作製した成形体を採用した。
「融着率」
得られた発泡粒子成形体を長手(700mm)方向の中央部(350mm)付近で割り、その破断面を目視により観察した。そして、破断面における全発泡粒子数に対する、発泡粒子内部から破断した発泡粒子数の比率を算出し、これを融着率(%)とした。なお、融着率は、成形圧(元圧)0.07MPa(G)、0.08MPa(G)、又は0.09MPa(G)の蒸気を用いて作製した各発泡粒子成形体について、それぞれ算出した。その結果を表1〜表3に示す。
「曲げ強さ及び曲げ強さ保持率」
曲げ強さは、JIS K7221−2:2006に準拠して測定した。測定にあたっては、成形圧(元圧)0.08MPa(G)の蒸気にて作製した発泡粒子成形体から成形スキンを除去せず(25mm)に、この発泡粒子成形体を100×350mmにカットして試験片を作製した。支点間距離は300mm、加圧くさびの速度は20mm/min、試験温度は23℃、試験湿度は相対湿度で50%とした。
また、曲げ強さ保持率は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を用いずに倍率20倍又は40倍で作製した発泡粒子成形体の曲げ強さを測定してこれを基準値とし、この基準値に対する100分率で示した。具体的には、後述の比較例1又は比較例2の発泡粒子成形体の曲げ強さを基準値とした。基準値に対する比較は同じ発泡倍率のものを用いて行なった。発泡粒子の融着性が低下しているほど曲げ強さ保持率の値が低くなる。その結果を表1〜表3に示す。
Figure 2013100443
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(比較例1〜17)
次に、実施例1〜18との比較用の予備発泡粒子及び発泡粒子成形体を作製した。
比較例1及び2は、後述の表4に示すごとく、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を用いずに作製した点を除いては、上述の実施例と同様に作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。比較例1は予備発泡粒子の発泡倍率を40倍とし、比較例2は予備発泡粒子の発泡倍率を20倍とした。
比較例3及び4は、後述の表4に示すごとく、予備発泡粒子に付着させる成分として、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドとしてのエルカ酸アマイドのみを用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。なお、比較例3及び4は、それぞれ互いに、脂肪酸アマイドの添加量を変更して予備発泡粒子における脂肪酸アマイドの付着量を変えた例である。
比較例5は、後述の表4に示すごとく、予備発泡粒子に付着させる成分として、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドとしてのオレイン酸アマイドのみを用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。
比較例6は、後述の表4に示すごとく、予備発泡粒子に付着させる成分として、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドとしてのステアリン酸アマイドのみを用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。
比較例7及び8は、後述の表5に示すごとく、予備発泡粒子に付着させる成分として、脂肪酸アマイドを用いずに、モノエステル化合物のみを用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。なお、比較例7及び8は、それぞれ互いに、モノエステル化合物の添加量を変更して予備発泡粒子におけるモノエステル化合物の付着量を変えた例である。
比較例9及び10は、後述の表5に示すごとく、予備発泡粒子に付着させる成分として、実施例と同様に脂肪酸アマイドとモノエステル化合物の両方を用いて作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。しかし、比較例9においては、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の添加量を実施例に比べて少なくし、予備発泡粒子における脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量を非常に少なくした。一方、比較例10においては、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の添加量を実施例に比べて多くし、予備発泡粒子における脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量を非常に多くした。比較例9及び10は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の添加量を上述のように変更した点を除いては実施例と同様にして作製した例である。
比較例11及び12は、後述の表5に示すごとく、予備発泡粒子に付着させる成分として、実施例と同様に脂肪酸アマイドとモノエステル化合物の両方を用いて作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。しかし、比較例11においては、モノエステル化合物の添加量を実施例に比べて少なくし、予備発泡粒子におけるモノエステル化合物の付着量を非常に少なくした。一方、比較例12においては、モノエステル化合物の添加量を実施例に比べて多くし、予備発泡粒子におけるモノエステル化合物の付着量を非常に多くした。比較例11及び12は、モノエステル化合物の添加量を上述のように変更した点を除いては実施例と同様にして作製した例である。
比較例13及び14は、後述の表6に示すごとく、予備発泡粒子に付着させる成分として、実施例と同様に脂肪酸アマイドとモノエステル化合物の両方を用いて作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。しかし、比較例13においては、脂肪酸アマイドの添加量を実施例に比べて少なくし、予備発泡粒子における脂肪酸アマイドの付着量を非常に少なくした。一方、比較例14においては、脂肪酸アマイドの添加量を実施例に比べて多くし、予備発泡粒子における脂肪酸アマイドの付着量を非常に多くした。比較例13及び14は、脂肪酸アマイドの添加量を上述のように変更した点を除いては実施例と同様にして作製した例である。
比較例15は、後述の表6に示すごとく、モノエステル化合物の代わりに、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸とグリセリンとのトリエステルであるステアリン酸トリグリセライド(融点67℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。
比較例16は、後述の表6に示すごとく、モノエステル化合物として、実施例よりも炭素数の少ない飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルを用いて作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。具体的には、比較例16においては、モノエステル化合物として、炭素数12(C12)の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルであるラウリン酸モノグリセライド(融点約50℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして予備発泡粒子及び発泡粒子成形体を作製した。
比較例17は、後述の表6に示すごとく、モノエステル化合物として、実施例よりも炭素数の多い飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルを用いて作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体の例である。具体的には、比較例17においては、モノエステル化合物として、炭素数22(C22)の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルであるベヘン酸モノグリセライド(融点約85℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして予備発泡粒子及び発泡粒子成形体を作製した。
このようにして得られた比較例1〜17の予備発泡粒子(スチレン樹脂予備発泡粒子)について、平均粒子径及び嵩発泡倍率を上述の実施例と同様にして測定し、耐ブロッキング性を上述の実施例と同様にして評価した。その結果を表3〜表5に示す。
また、比較例1〜17の発泡粒子成形体(スチレン樹脂発泡粒子成形体)について、上述の実施例と同様にして、擦れ音の評価を行なうと共に、融着率及び曲げ強さを測定し、曲げ強さ保持率を求めた。その結果を表4〜表6に示す。
Figure 2013100443
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Figure 2013100443
表1〜3より知られるごとく、予備発泡粒子100質量部に対して、炭素数12〜24の脂肪酸アマイドを1質量部以上かつ8質量部以下、及び、炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物を2質量部以上かつ10質量部以下で粒子表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子(実施例1〜18)は、耐ブロッキング性に優れることがわかる。さらに、かかる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いて作製した熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、発泡粒子相互の融着性に優れるため曲げ強さ等の機械的強度に優れ、さらに擦れ音防止性能にも優れていることがわかる。また、脂肪酸アマイドとしてオレイン酸アマイドを用いることにより、少ない添加量でも熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の擦れ音防止性能をより一層向上できることがわかる。
これに対し、表4より知られるごとく、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を付着していない比較例1及び比較例2の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体は、擦れ音防止性能が不充分であった。
また、表4より知られるごとく、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドとしてのエルカ酸アマイドのみを用いた比較例3及び4においては、予備発泡粒子がブロッキングを起こしやすい。また、比較例3及び4の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表4より知られるごとく、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドとしてのオレイン酸アマイドのみを用いた比較例5においては、予備発泡粒子がブロッキングを起こしやすい。
また、表4より知られるごとく、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドとしてのステアリン酸アマイドのみを用いた比較例6においては、予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体における発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表5より知られるごとく、脂肪酸アマイドを用いずにモノエステル化合物のみを用いた比較例7及び8においては、予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体における発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。更に、擦れ音防止性能も不充分であった。
また、表5より知られるごとく、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量が少なすぎる比較例9の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体は、擦れ音防止性能が不十分であった。
また、表5より知られるごとく、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物の付着量が多すぎる比較例10の予備発泡粒子は、ブロッキングを起こしやすい。また、比較例10の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表5より知られるごとく、モノエステル化合物の付着量が少なすぎる比較例11の予備発泡粒子は、ブロッキングを起こしやすい。また、比較例11の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表5より知られるごとく、モノエステル化合物の付着量が多すぎる比較例12の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表6より知られるごとく、脂肪酸アマイドの付着量が少なすぎる比較例13の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。また、脂肪酸アマイドの付着量が多すぎる比較例14の予備発泡粒子は、ブロッキングを起こしやすい。また、比較例14の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表6より知られるごとく、モノエステル化合物の代わりにグリセリンと飽和脂肪酸とのトリエステルを用いた比較例15の予備発泡粒子はブロッキングを起こしやすい。また、比較例15の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体においては、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であり、更に擦れ音防止性能が不十分であった。
また、表6より知られるごとく、モノエステル化合物として、炭素数が少な過ぎる飽和脂肪酸であるラウリン酸(C12)とグリセリンとのモノエステルであるラウリン酸モノグリセライド(融点約50℃)を用いた比較例16の予備発泡粒子は、ブロッキングを起こしやすい。
また、表6より知られるごとく、モノエステル化合物として、炭素数が多すぎる飽和脂肪酸であるベヘン酸(C22)とグリセリンとのモノエステルであるベヘン酸モノグリセライド(融点約85℃)を用いた比較例17においては、予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体における発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
このように、本例によれば、優れた擦れ音防止性能を有し、かつ曲げ強さ等の機械的強度に優れた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を製造できると共に、ブロッキングを抑制して取扱い性に優れる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を提供することができる。
(実施例19)
本例は、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体5の表面の少なくとも一部に、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体55(被覆層55)を有する成形体を作製する例である(図2(a)及び(b)参照)。
本例の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体5は、図2(a)及び(b)に示すごとく、自動車のフロア嵩上げ材である。発泡粒子成形体5の自動車車体側51には、凹凸が設けられており、凸部501が車体の金属部分と接触する。一方、発泡粒子成形体5の車体側51の反対面側である車両室内側52には、平らな面が設けられている。なお、図2(a)及び(b)に示すフロア嵩上げ材用の発泡粒子成形体5の表面の凹凸形状は一例であり、その形状は所望のエネルギー吸収特性にあわせて適宜設計することができる。
本例の発泡粒子成形体5は、母材成形体50と、その表面を部分的に被覆する被覆層55とからなる。母材成形体50は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していないスチレン樹脂予備発泡粒子の型内成形体から構成されている。一方、被覆層55は、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着したスチレン樹脂予備発泡粒子の型内成形体から構成されている。また、被覆層55は、母材成形体50の車体側51において突出する凸部501に積層形成されている(図2(b)参照)。
以下、本例の発泡粒子成形体5の製造方法について、説明する。
まず、発泡性スチレン樹脂粒子として、(株)JSP製の「FB250」を準備した。この発泡性スチレン樹脂粒子の平均粒子径は0.9mmである。
次いで、容積300Lのバッチ式発泡機(DAISEN(株)製の「DYHL300」)により、発泡性スチレン樹脂粒子を嵩倍率で40倍に発泡させてスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。次に、得られたスチレン樹脂予備発泡粒子をサイロ内で1日間室温放置することにより熟成させた。このようにして得られたスチレン樹脂予備発泡粒子を母材用予備発泡粒子とする。
また、発泡性スチレン樹脂粒子((株)JSP製の「FB250」、平均粒子径:0.9mm)100質量部に対して、表7に示す配合割合で脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物を添加して混合した。本例においては、脂肪酸アマイドとしてエルカ酸アマイドを用い、モノエステルとしてはステアリン酸モノグリセライド及びパルミチン酸モノグリセライドを用いた。
次いで、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着した発泡性スチレン系樹脂粒子を、上述の母材用予備発泡粒子と同様に、嵩倍率で40倍に発泡させ、サイロ内で1日間室温放置することにより熟成させた。このようにして得られたスチレン樹脂予備発泡粒子を被覆層用予備発泡粒子とする。
被覆層用予備発泡粒子について、平均粒子径[mm]、嵩発泡倍率、脂肪酸アマイドの付着量、及びモノエステル化合物の付着量を測定し、また、耐ブロッキング性を評価した。測定方法及び評価方法は、実施例1〜18と同様である。その結果を後述の表7に示す。
次に、DAISEN(株)製のMCJ自動成形機「VS2000」を用いて発泡粒子成形体を作製する。
具体的には、図3(a)に示すごとく、可動側金型61及び固定側金型62からなる金型6の成形キャビティ65内に、母材用予備発泡粒子を充填し、元圧0.03MPa(G)の蒸気を固定側金型62側から成形キャビティ65内に導入して15秒間加熱した。次いで、元圧0.03MPa(G)の蒸気を移動側金型61側から成形キャビティ65内に導入してさらに12秒間加熱して、母材用予備発泡粒子をおこし状に型内成形してなる母材予備成形体500を得た。
次に、図3(b)に示すごとく、固定側金型62に母材予備成形体500を残した状態で可動側金型61を移動させて金型を15mm開き、母材予備成形体500と可動側金型61との間に空間63を設けた。次いで、母材予備成形体500の凸部509と可動側金型61との間に形成され空間63内に被覆層用予備発泡粒子を充填した。そして、元圧0.07MPa(G)の蒸気を固定側金型62側から成形キャビティ65内に導入して15秒間加熱した。次いで、元圧0.07MPa(G)の蒸気を可動側金型61側から成形キャビティ65内に導入してさらに12秒間加熱した。これにより、母体予備成形体500をさらに発泡、融着させて母材成形体50を得ると共に、被覆層用予備発泡粒子を発泡、融着させ被覆層55を形成し、さらに母材成形体50と被覆層55とを融着させて、母材成形体50の凸部501に、被覆層用予備発泡粒子からなる被覆層55を形成させた(図3(c)参照)。
このようにして、図2(a)及び(b)に示すごとく、母材成形体50と、その表面を部分的に被覆する被覆層55とからなる発泡粒子成形体5を得た。
なお、上述の製造方法においては、被覆層用予備発泡粒子を空間内に充填した後0.07MPa(G)の蒸気を導入して作製した例について説明したが、本例においては、被覆用予備発泡粒子の充填後に、0.08MPa(G)又は0.09MPa(G)の蒸気をそれぞれ導入して、さらに2種類の発泡粒子成形体を作製した。
「擦れ音評価」
まず、温度23℃、相対湿度50%の恒温室内に、元圧0.08MPa(G)の蒸気にて作製した本例の発泡粒子成形体5を24時間放置した(図2(a)及び(b)参照)。次いで、発泡粒子成形体5の図2において破線で囲んだ領域Sをニクロムスライサーで100mm×100mmにカットし、これを評価用試料とした。この評価用試料を用いて、上述の実施例1〜18と同様にして擦れ音を測定した。なお、本例においては、発泡粒子成形体5の被覆層55が形成された凸部の擦れ音を測定した。その結果を後述の表7に示す。
「融着率」
図2(a)に示す発泡粒子成形体5をX−X線断面で割り、その破断面を目視により観察した。そして、破断面の母材成形体に存在する全発泡粒子数に対する、発泡粒子内部から破断した発泡粒子数の比率を算出し、これを融着率A(%)とした。
また、上述の破断面の被覆層に存在する全発泡粒子数に対する発泡粒子内部から破断した発泡粒子数の比率を算出し、これを融着率B(%)とした。
なお、融着率は、成形圧(元圧)0.07MPa(G)、0.08MPa(G)、又は0.09MPa(G)の蒸気を用いて作製した各発泡粒子成形体について、それぞれ算出した。その結果を後述の表7に示す。
(比較例18)
次に、実施例19の発泡粒子成形体の比較用として、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していないスチレン樹脂予備発泡粒子のみを用いて実施例19と同形状のフロア嵩上げ材用の発泡粒子成形体を作製した。
具体的には、まず、実施例19における母材用予備発泡粒子と同様に、発泡性スチレン樹脂粒子((株)JSP製の「FB250」、平均粒子径:0.9mm)を嵩倍率で40倍に発泡させてスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。本例においても、実施例19と同様に、予備発泡粒子の発泡倍率及び平均粒子径を測定すると共に、耐ブロキング性の評価を行った。その結果を後述の表7に示す。
次いで、上記スチレン樹脂予備発泡粒子から母材予備成形体を得た後、移動側金型を15mm移動して形成した空間にも、母材用予備発泡粒子と同じ脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着していないスチレン系樹脂予備発泡粒子を充填して型内成形する以外は、実施例19と同様にして発泡粒子成形体を得た。
本例の発泡粒子成形体は、被覆層用予備発泡粒子からなる被覆層55が形成されていない点を除いては、実施例19と同様の構成を有している。本例においても、実施例19と同様に、発泡粒子成形体の融着率Aを測定すると共に、擦れ音の評価を行った。その結果を後述の表7に示す。
(比較例19)
次に、実施例19の発泡粒子成形体の比較用として、モノエステル化合物が表面に付着しておらず、脂肪酸アマイドが表面に付着したスチレン樹脂予備発泡粒子を用いて被覆層を形成したフロア嵩上げ材用の発泡粒子成形体を作製した。本例の発泡粒子成形体は、被覆層用予備発泡粒子の作製時に、モノエステル化合物を添加しなかった点を除いては、実施例19と同様にして作製した。
本例においても、実施例19と同様に、被覆層用予備発泡粒子の嵩発泡倍率、平均粒子径、脂肪酸アマイドの付着量を測定すると共に、耐ブロキング性の評価を行った。その結果を後述の表7に示す。また、実施例19と同様に、発泡粒子成形体の融着率A及び融着率Bを測定すると共に、擦れ音の評価を行った。その結果を後述の表7に示す。
Figure 2013100443
表7より知られるごとく、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物が表面に付着した実施例19の被覆層用予備発泡粒子は、耐ブロッキング性に優れることがわかる。そして、かかる被覆層用予備発泡粒子の型内成形体を表面の少なくとも一部に有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、発泡粒子相互の融着性に優れるため曲げ強さ等の機械的強度に優れ、さらに擦れ音防止性能にも優れていることがわかる。
これに対し、脂肪酸アマイド及びモノエステル化合物のいずれもが表面に付着していない予備発泡粒子を型内成形してなる比較例18の発泡粒子成形体は、擦れ音防止性能が不十分であった。
また、モノエステル化合物を用いずに、脂肪酸アマイドのみを表面に付着させた比較例19の被覆用予備発泡粒子は、ブロッキングを起こしやすい。そして、かかる被覆層用予備発泡粒子の型内成形体を表面の少なくとも一部に有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体においては、被覆層における発泡粒子相互の融着性が低下していた。
1 評価装置
10 アルミ製容器
11 可動部
12 エアシリンダ
13 フェルト
14 マイクロホン(騒音計)
2 熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(評価用試料)
3 被接触物
4 錘
5 熱可塑性樹脂発泡粒子成形体

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂予備発泡粒子の表面に、該予備発泡粒子100質量部に対し、炭素数12〜24の脂肪酸アマイド1〜8質量部、及び炭素数14〜20の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物2〜10質量部が付着してなることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、上記モノエステル化合物は、ステアリン酸モノグリセライド及び/又はパルミチン酸モノグリセライドであることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、上記脂肪酸アマイドは、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸アマイドであることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、上記脂肪酸アマイドは、エルカ酸アマイド及び/又はオレイン酸アマイドであることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、該熱可塑性樹脂予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、該熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径が1.5〜5.0mmで、かつ嵩発泡倍率が5〜60倍であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子の型内成形体を表面の少なくとも一部に有する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
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