JP6302670B2 - ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂発泡成形体 Download PDF

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本発明は、擦れ音の少ないポリスチレン系樹脂発泡成形体に関するものである。
発泡樹脂粒子を型内成形して得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体は、軽量で緩衝性能が高く、金型によって任意の形状が得られることから、農水産分野、家電分野、建材土木分野、自動車資材分野等の多岐にわたる用途に使用されている。
しかし、ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、発泡成形体同士を擦り合わせた場合や発泡成形体を鋼板やワイヤーハーネスなどと擦り合わせた場合に、高周波のキュッキュという不快音(擦れ音)が発生しやすいという欠点があった。
特に、ポリスチレン系樹脂発泡成形体を、使用時に振動を伴うような自動車用発泡部材に適用する場合、あるいは、温度変化による線膨張による擦れが発生する貯湯タンクや浴室・浴槽の保温材に用いる場合は、高級感を損なう擦れ音が問題となっている。
このような擦れ音を低減させる為に、特許文献1では、表面をワックスでコーティングした予備発泡粒子を型内成形して、発泡成形体を得る方法が開示されている。
しかしながら、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡時にワックスを添加して、表面にワックスをコーティングした予備発泡粒子を作製する際に、予備発泡粒子の表面の気泡膜がワックスにより侵食され、表面付近の気泡膜が破れ易くなる。その結果、予備発泡時の発泡力が弱まる為、30倍より高い発泡倍率の予備発泡粒子を得るのが困難であった。また、予備発泡粒子の型内成形時の発泡力も弱まる為、発泡粒子同士の融着性が低下しやすくなり、粒子間に間隙が目立ち外観が悪くなるといった課題があった。特に融着性の低下は、発泡粒子成形体の曲げ強さ等の機械的物性の低下という物性上の不具合の原因となる。
更に、ワックスは、融点が40℃以上のものを使用することが一般的であり、融点以下の温度環境ではワックスが硬くなる為、低温領域での擦れ音防止性能が低下しやすいという欠点があった。
これらワックスの欠点を解決する為に、特許文献2では、融点40〜100℃のワックスおよび流動点−10℃以下の鉱物性油が水性分散媒体に分散されたエマルションを、ポリスチレン系樹脂発泡成形体に塗布する方法が開示されている。
ところが、この方法では、ワックスおよび流動点−10℃以下の鉱物性油を水性分散媒体に分散させる作業に加えて、成形後に発泡成形体に塗布する工程と乾燥工程が必要である為、大きなコストアップ要因となる。
特許文献3では、発泡性スチレン系樹脂粒子表面に、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物を付着させることにより、融着性に優れ、且つ、擦れ音防止性能を有する発泡成形体の作製できることが開示されている。
しかしながら、該エステル化合物は、十分な擦れ音防止性能を発揮できなかった。また、エステル化合物はモノエステルであり、多価アルコール構造部分としてもグリセリンに限定されており、グリセリン構造以外は擦れ音防止性能が発揮されないという欠点があった。
特許第4292074号 特開2011−231256公報 特開2011−246701公報
本発明の目的は、以上のような状況に鑑み、低温から高温に亘る擦れ音防止性能を有し、美麗性、融着性に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究した結果、所定量の多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルにより表面が被覆されたポリスチレン系樹脂発泡成形体が、美麗性、融着性に優れ、且つ、環境温度−15℃〜70℃において優れた擦れ音防止性能が発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、
常温で液体の多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および、多価アルコールの脂肪酸エステルによって、表面が被覆されてなるポリスチレン系樹脂発泡成形体であって、
前記ポリスチレン系樹脂発泡成形体100重量%に対する被覆量が、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体0.3重量%以上3.0重量%以下、かつ、多価アルコールの脂肪酸エステル2.5部重量%以上10部重量%以下であることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡成形体に関する。
好ましい実施様態としては、
(1)前記多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体が、多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体である、
(2)多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体が、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビットから選ばれる少なくとも一種である、
(3)前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、ペンタエリスリトールテトラステアレートである
(4)軟質塩化ビニールシート上を、ポリスチレン系樹脂発泡成形体に750gの荷重を掛けた状態で、幅50mmの区間を往復させた際、10秒間擦れ音が発生しないことを特徴とする、前記記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体である。
本発明の第2は、前記記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体からなる自動車用発泡部材に関し、好ましい態様としては、前記自動車用発泡部材が、下肢部保護材、頭部保護材、側突パット、バンパー芯材、床下嵩上げ材、ラゲージボックスの何れかである前記記載の自動車用発泡部材に関する。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、美観性、融着性に優れ、且つ、環境温度−15℃〜70℃において優れた擦れ音防止性能を発揮することができる。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、常温で液体の多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルによって、表面が被覆され、前記ポリスチレン系樹脂発泡成形体100重量%に対する被覆量が、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体0.3重量%以上3.0重量%以下であり、かつ、多価アルコールの脂肪酸エステル2.5部重量%以上10.0部重量%以下であることにより、美観性、融着性に優れ、且つ、低温から高温において擦れ音防止性能を発揮できる。
本発明で用いられる多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体とは、多価アルコールのエチレンオキシド付加重合体、多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体、多価アルコールのブチレンオキシド付加重合体、等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、少量添加で擦れ音防止効果が発現する点で、多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体が好ましい。
多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体としては、例えば、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビット、等が挙げられる。これらの中でも、少量添加により擦れ音抑制効果が付与できるため、ポリオキシプロピレンソルビットが好ましい。
多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体としては、効率的に被覆できる点で、常温で液体が好ましい。
本発明における多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の被覆量の下限値としては、ポリスチレン系樹脂発泡成形体100重量%に対して、0.3重量%が好ましく、0.5重量%がより好ましく、1.0重量%がさらに好ましい。多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の被覆量の上限値としては、ポリスチレン系樹脂発泡成形体100重量%に対して、3.0重量%が好ましく、2.5重量%がより好ましい。
多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の被覆量が0.3重量%未満では、擦れ音防止効果が小さくなる傾向があり、3.0重量%超では、発泡成形体表面がべたつく為、他素材への汚染が懸念される。
本発明で用いられる多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート等があげられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのうちでも、ペンタエリスリトールテトラステアレートが、擦れ音防止効果が高い点から、好ましい。
本発明における多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量の下限値としては、ポリスチレン系樹脂発泡成形体100重量%に対して、2.5重量%が好ましく、3.0重量%がより好ましく、5.5重量%がさらに好ましい。多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量の上限値としては、ポリスチレン系樹脂発泡成形体100重量%に対して、10重量%が好ましく、9.0重量%がより好ましい。
多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量が2.5重量%未満では、擦れ音防止効果が小さくなる傾向があり、10重量%超では、美麗性、融着性が悪化する場合がある。
多価アルコールの多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の被覆量が1.0重量%以上3.0重量%以下、かつ、多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量が5.5重量%以上10重量%の場合、特に高い擦れ音防止効果が得られる。
なお、本発明における多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量は、以下の方法により、測定した値である。
(1)1、1、2、2−テトラクロロエタン(内部標準物質)0.005gを重クロロホルム5gに加え、内部標準物質含有の重クロロホルム溶液を作製する。
(2)標品として、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体純品0.01g、多価アルコールの脂肪酸エステル純品0.01gそれぞれに、内部標準物質含有の重クロロホルム溶液1gを加えて、溶解させる。
試料[多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体と多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量が分からないポリスチレン系樹脂発泡成形体0.01g]にも、内部標準物質含有の重クロロホルム溶液1gを加えて、溶解させる。
(3)それぞれの重クロロホルム溶液に対して、H−NMR[VARIAN社製、INOVA AS600]を用いて、H−NMR測定を行う。
(4)得られたH−NMRスペクトルにおいて、内部標準物質由来ピーク(5.9ppm)の積分値を10として、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の由来ピーク(3〜3.8ppm)、多価アルコールの脂肪酸エステルの由来ピーク(4.1ppm)の積分値を求める。
ただし、試料中の3〜3.8ppmのピークには、多価アルコールの脂肪酸エステル由来ピークも含まれる為、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の積分値は、3〜3.8ppmのピーク積分値から多価アルコールの脂肪酸エステル由来ピークの積分値を引いた値とした。
(5)次式より、ポリスチレン系樹脂発泡成形体中の目的成分の重量%を求めた。
目的成分の重量%=(試料中の目的成分の積分値×目的成分の標品の重量×試料測定時の内部標準物質量)÷(目的成分の標品の積分値×標品測定時の内部標準物質量×試料の重量)×100
本発明において、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の表面を多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルによって被覆する方法としては、例えば、
融点以上に温めた多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルの混合物をスプレー、刷毛等を用いて、スチレン系樹脂発泡成形体に直接塗布する方法;
予備発泡機に多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体と多価アルコールの脂肪酸エステルを投入し、予備発泡工程で攪拌しながら、予備発泡粒子に多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体と多価アルコールの脂肪酸エステルを被覆させた後、前記予備発泡粒子を成形する方法;
混合機器内で、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルを添加した後、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡、成形する方法、等が挙げられる。
これらのうちでも、混合機器内で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルを添加する方法が、均一に被覆できる点で好ましい。
混合機器での添加方法としては、例えば、
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルを同時に添加する方法;
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体を添加した後、常温で粉体状の多価アルコールの脂肪酸エステルを添加する方法;
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に、粉体状の多価アルコールの脂肪酸エステルを添加した後、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体を添加する方法、等が挙げられる。
これらのうちでも、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体を添加した後、粉体状の多価アルコールの脂肪酸エステルを添加する方法が、効果的に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面が多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体と多価アルコールの脂肪酸エステルによって被覆される為、好ましい。
本発明で用いられる混合機器としては、例えば、スーパーミキサー、ナウターミキサー、ユニバーサルミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲーミキサー等があげられる。これらのうちでも、スーパーミキサーが、攪拌混合性が良く、効率的に被覆剤をブレンドできる点で、好ましい。
本発明において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体を添加する場合の使用量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.3重量部以上3.0重量部以下が好ましく、0.5重量部以上2.5重量部以下がより好ましい。
多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の使用量が0.3重量部未満では、得られる発泡成形体における擦れ音防止効果が小さくなる傾向があり、3.0重量部を超えると、樹脂粒子に添加した際に流動性が悪くなり、空気輸送時の送粒が悪化する傾向にある。
本発明において発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に多価アルコールの脂肪酸エステルを添加する場合の使用量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、2.5重量部以上10.0重量部以下が好ましく、3.0重量部以上9.0重量部以下がより好ましい。
多価アルコールの脂肪酸エステルの使用量が2.5重量部未満では、得られる発泡成形体における擦れ音防止効果が小さくなる傾向があり、10重量部を超えると、美麗性、融着性が悪化する場合がある。
また、本発明の効果である擦れ音防止性能を阻害しない範囲で、公知のブロッキング防止剤や融着促進剤、ハイサイクル剤、帯電防止剤などの外添剤を併用することができる。
本発明で用いられる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る具体的な方法としては、例えば、スチレン系単量体を、分散剤、重合開始剤および、その他の添加剤の存在下で、水性媒体中に分散させた後に重合反応を開始する懸濁重合法によりポリスチレン系樹脂粒子を得、発泡剤を懸濁重合中または重合後に発泡剤を含浸させる方法、等が挙げられる。
本発明で用いられる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含む単量体混合物を重合して得られるものである。
本発明において用いられるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体などが挙げられる。これらの単量体を単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。これらのうちでは、スチレンが特に好ましい。
また、共重合可能な単量体としては、例えば、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、アクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレート等を本発明の趣旨を外さない範囲で共重合させても良い。共重合可能な単量体としては、さらに、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体を併用してもよい。
特に、擦れ音が大きな問題となる自動車用発泡部材などに使用する場合には、耐油性も要求される場合がある為、単量体混合物としては、耐油性を付与する為に、重合性単量体中のアクリロニトリルの使用量は、スチレン系単量体およびアクリロニトリルの合計量を100重量%とする場合、10重量%以上50重量%以下であることが好ましく、15重量%以上30重量%以下であることがさらに好ましい。
アクリロニトリルの使用量が10重量%未満の場合は、耐油性発現効果が小さくなる傾向にあり、50重量%を超えると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に残存するアクリロニトリル量を減少させにくい傾向がある。
ここでいう「耐油性」とは、トルエンやキシレンなどに代表される有機溶剤、機械油、ガソリン、灯油などが自動車用発泡部材と接触した場合に接触面が溶解しないという性質をいい、具体的には、発泡成形体から切り出した試験片をガソリンに浸漬させてもガソリンに溶解しないものを「耐油性」があるとする。
本発明で用いられるポリスチレン系樹脂粒子の重量平均分子量は、通常の発泡性ポリスチレン樹脂粒子に使用される範囲、例えば15万以上45万以下であることが好ましく、20万以上40万以下がより好ましく、22万以上35万以下がさらに好ましい。
ポリスチレン系樹脂粒子の重量平均分子量が15万より小さいと、得られる発泡成形体の強度が小さくなる傾向があり、重量平均分子量が45万より大きいと、予備発泡時に高発泡倍率とする為に要する時間が長くなる傾向にある。
本発明において、スチレン系樹脂粒子の懸濁重合に用いられる重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができ、代表的なものとしては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いも良い。
本発明において、スチレン系樹脂粒子の懸濁重合に用いられる分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、ピロリン酸マグネシウム、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等の難溶性無機塩等をあげることができ、また、界面活性剤を併用してもよい。なお、難溶性無機塩を用いる場合は、アルキルスルホン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアニオン性界面活性剤を併用するのが好ましい。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造において用いられる発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロブタン等の脂環族炭化水素;トリフロロモノクロロエタン、ジフロロジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等の沸点が80℃以下の揮発性発泡剤があげられる。これらの発泡剤は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いも良い。
本発明において、発泡剤は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡剤含有量が4〜10重量%になるように、より好ましくは4〜9重量%になるように、供給することが好ましい。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡剤含有量が4重量%未満では、十分な発泡性が得られない場合があり、10重量%を越えると発泡時の収縮、成形時の収縮・変形が大きくなる場合がある。成形時の収縮・変形を少なくするには、発泡剤としてブタンを用いるのが好ましい。
本発明で用いられる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、さらに、気泡調整剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、導電化剤、粒度分布調整剤等の一般的に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造に使用されている添加剤を、適宜添加することができる。
これらの添加剤の添加方法としては、スチレン系樹脂粒子の重合時に添加することができる。
本発明で用いられる気泡調整剤としては、例えば、メタクリル酸メチル系共重合体,タルク,脂肪酸ビスアミド,エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いも良い。
本発明で用いられる難燃剤としては、公知慣用のものが使用できる。その中でも、ハロゲン系難燃剤が好ましい。臭素系難燃剤の具体例としては、例えば、
ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物;
テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類;
テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4'(2”,3”−ジブロモアルコキシ)−3',5'−ジブロモフェニル]−プロパン、臭素化ポリスチレン等の臭素化フェノール誘導体が挙げられる。
これら難燃剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における難燃剤の添加量は、発泡性ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以上3重量部以下であることがより好ましい。
難燃剤の添加量が0.1重量部未満では、充分な難燃性能が得られない場合があり、10重量部を超えると、懸濁重合時の安定性が悪くなる場合がある。
本発明においては、さらに必要に応じて、難燃助剤を使用することが好ましい。難燃助剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン等があげられる。
本発明における難燃助剤の添加量としては、発泡性ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、難燃助剤を0.01重量部以上3.0重量部以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.1重量部以上2.0重量部以上が添加する。
さらに、発泡成形体から発生する揮発性有機化合物の量を少なくする必要がある用途に用いられる場合、ポリスチレン系樹脂発泡成形体からの揮発性物質の放散量を少なくする為に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中、スチレン含有量が300ppm以下、トルエン含有量が400ppm以下、エチルベンゼン含有量が400ppm以下、キシレン含有量が200ppm以下であることが好ましく、検出されないことがより好ましい。
発泡成形体から揮発性物質を低減させる方法としては、公知の方法が挙げられ、
例えば、スチレン系樹脂粒子の重合時に、重合開始剤量を調整する、高温処理を行う、高温処理時間を長くする、等の方法により、揮発性物質を低減することが可能である。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、これを予備発泡させてポリスチレン系樹脂発泡粒子とし、次いで、該ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形して、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とする。
予備発泡させる方法としては、公知の方法で行うことができ、例えば、円筒形の予備発泡機を用いて、スチーム等で加熱し発泡させる、等の方法を採用できる。
本発明においては、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルによって表面が被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させる為、予備発泡時にポリスチレン系樹脂発泡粒子同士のブロッキングが起こりにくい。
ポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形させる方法としては、公知の方法で行うことが可能であり、例えば、金型内にポリスチレン系樹脂発泡粒子を充填し、スチーム等を吹き込んで加熱する方法、等が挙げられる。
このようにして得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体は、擦れ音が少ない為、使用時に振動を伴うような用途、あるいは、温度変化による線膨張による擦れが発生する貯湯タンクや浴室・浴槽の保温剤に用いる場合に好適に使用することができ、特に自動車用発泡部材として使用する場合に大きな効果を発揮する。
前記自動車用発泡部材としては、各種部材に使用することが可能であるが、中でも、
自動車が衝突した際に、運転席および助手席の乗員の足を保護する為に、足元とエンジンルームの間に装着される下肢部保護材;
自動車のピラーやドアの内部に装着される頭部保護材や側突パット;
バンパー内部に装着されるバンパー芯材;
自動車の床下に装着されるフロアースペーサーと呼ばれる床下嵩上げ材;
トランクルーム下の収納ボックスであるラゲージボックス等の、特に擦れ音防止対策が必要とされている部位に、好適に使用することができる。
以下に、実施例および比較例によって本発明についてより詳細に説明するが、これによって本発明は限定されるものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」は重量部であり、「%」は重量%である。
実施例および比較例に対して、以下の評価を行った。
<発泡性スチレン系樹脂粒子の流動性>
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子200gを、漏斗(傾斜30度、口径240mm、足外径15mm、足長50mm)に投入し、自然落下させ、以下の基準により評価した。
○: 全て樹脂粒子が、漏斗より落ちる。
△: 一部樹脂粒子が、漏斗の壁に残る。
×: 全て樹脂粒子が、漏斗に全て樹脂が残る。
<多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量>
以下の方法で、得られた発泡成形体の表面を被覆した、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルを定量した。
(1)1、1、2、2−テトラクロロエタン(内部標準物質)0.005gを重クロロホルム5gに加え、内部標準物質含有の重クロロホルム溶液を作製する。
(2)標品として、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体純品0.01g、多価アルコールの脂肪酸エステル純品0.01gそれぞれに、内部標準物質含有の重クロロホルム溶液1gを加えて、溶解させる。
試料[多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体と多価アルコールの脂肪酸エステルの被覆量が分からないポリスチレン系樹脂発泡成形体0.01g]にも、内部標準物質含有の重クロロホルム溶液1gを加えて、溶解させる。
(3)それぞれの重クロロホルム溶液に対して、H−NMR[VARIAN社製、INOVA AS600]を用いて、共鳴周波数600MHz、積算回数16でH−NMR測定を行う。
4)得られたH−NMRスペクトルにおいて、内部標準物質由来ピーク(5.9ppm)の積分値を10として、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の由来ピーク(3〜3.8ppm)、多価アルコールの脂肪酸エステルの由来ピーク(4.1ppm)の積分値を求める。
ただし、試料中の3〜3.8ppmのピークには、多価アルコールの脂肪酸エステル由来ピークも含まれる為、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体の積分値は、3〜3.8ppmのピーク積分値から多価アルコールの脂肪酸エステル由来ピークの積分値を引いた値とした。
(5)次式より、ポリスチレン系樹脂発泡成形体中の目的成分の重量%を求めた。
目的成分の重量%=(試料中の目的成分の積分値×目的成分の標品の重量×試料測定時の内部標準物質量)÷(目的成分の標品の積分値×標品測定時の内部標準物質量×試料の重量)×100
<発泡成形体の擦れ音>
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体(長さ440mm×幅290mm×高さ25mm)から、バーチカルスライサー[桜エンジニアリング製]を用いて、長さ50mm×幅50mm×高さ25mmの試験片を切り出した。試験片の上下面は、切り出す前の発泡成形体の厚さ25mmのままとして成形体の表面部分(表面スキンと呼ぶ)が残った状態とした。
温度−15℃、温度23℃または温度70℃の恒温室に、試験片を5時間静置した。次いで、各温度条件下の恒温室にて、軟質塩化ビニールシート[富双合成(株)製、ハイブリット透明TC]上を、試験片上に750gの荷重を載せた状態で、幅50mmの区間を20秒間で10往復させて、擦れ音が発生するか否かを確認した。
なお、恒温室内の雑音は、騒音計[株式会社佐藤商事製、TM102]で測定した結果、音圧レベルが30dB以下として、以下の基準で擦れ音を評価した。
◎: 20秒間擦り合わせても擦れ音が発生しない。
○: 最初の10秒は擦れ音が発生しないが、10〜20秒の間に小さな擦れ音が発生する。
△: 最初から小さな擦れ音が発生する。
×: 大きな擦れ音が発生する。
なお、小さい音とは、測定場所より3m離れた場所で、微かに音が聞こえる程度であり、大きい音とは、測定場所より3m離れた場所で、はっきりと音が聞こえる程度である。
<発泡成形体の融着率>
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体を割り、目視にて、発泡粒子表面で割れている部分の面積と発泡粒子の内部で割れている面積を比較して、破断面全体における発泡粒子内部で割れている面積の割合を融着率とし、以下の基準にて評価した。
○: 融着率が80%以上。
△: 融着率が60%以上80%未満。
×: 融着率が60%未満。
<発泡成形体の表面性評価>
得られた熱可塑性樹脂発泡体の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
○: 表面の溶融、粒間少なく、美麗。
×: 表面の溶融、粒間があり外観不良。
<発泡成形体の汚染性評価>
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体を、温度23℃、湿度50%の恒温恒湿室内に24時間静置した。その後、ポリスチレン系樹脂発泡成形体上に10cm×10cmのガラス板を乗せて、10分間、750gの荷重を掛けておく。ガラス板上に被覆剤が付着した面積を測定して、汚染性の判断をした。評価基準は以下に示す。
○: 汚染面積が10cm以下。
×: 汚染面積が10cm超。
(実施例1)
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面被覆]
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子[(株)カネカ製、商品名:カネパールLVF、粒子径1000〜1400μm]5kgおよび、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体としてソルビットポリプロピレングリコール[日油(株)製]25gを、スーパーミキサー[(株)川田製、SMV−20]に投入し、1000rpmで30秒間ブレンドした。
更に、スーパーミキサー内に、多価アルコールの脂肪酸エステルとしてペンタエリスリトールテトラステアレート[日油(株)製、粉体径200μm]150gを投入し、1000rpmで60秒間ブレンドして、表面がソルビットポリプロピレングリコールおよびペンタエリスリトールテトラステアレートで被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製した。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。その結果を、表1に示す。
[ポリスチレン系発泡樹脂粒子の作製]
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、加圧式予備発泡機[大開工業(株)製]を用いて、蒸気(圧力0.1MPa)で加熱を行い、発泡倍率40倍の発泡粒子を得た。得られたポリスチレン系発泡粒子は、大気圧下、室温で24時間養生した。
[ポリスチレン系発泡樹脂発泡成形体の作製]
得られたポリスチレン系樹脂発泡粒子を、成形機[DAISEN(株)製、KR−57]を用いて、金型キャビティ(長さ440mm×幅290mm×高さ25mm)内に充填し、0.09MPaの水蒸気で20秒間加熱して、ポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表1に示す。
(実施例2〜7)
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面被覆]において、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルの添加量を、表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、表面被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂発泡粒子、およびポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。また、得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表1に示す。
(実施例8)
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面被覆]において、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体をポリオキシプロピレングリセリルエーテルに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、表面被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂発泡粒子、およびポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。また、得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表1に示す。
(実施例9〜10)
[ポリスチレン系発泡樹脂粒子の作製]において、発泡倍率を30倍または50倍に変更した以外は、実施例6と同様の操作により、表面被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂発泡粒子、およびポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。また、得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表1に示す。
(実施例11)
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面被覆]において、発泡性スチレン系樹脂粒子を、スチレン/α−メチルスチレン/アクリロニトリル共重合体[株式会社カネカ、製品名カネパールFQ、粒子径500〜1400μm]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、表面被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂発泡粒子、およびポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。また、得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表1に示す。
Figure 0006302670
(比較例1〜6)
[発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面被覆]において、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルの添加量を、表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、表面被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂発泡粒子、およびポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。また、得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表2に示す。
(比較例7)
特許第4292074号公報に記載の実施例1において、発泡性樹脂粒子種を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子[株式会社カネカ製、商品名:カネパールLVF]に、ワックス種および量を粒状ワックス[日本精鑞社製、製品名:PALVAX−1230]25gに変更し、バッチ式予備発泡機を大開工業社製のBHP−301に変更し、発泡倍率20倍を得た。その後、本願実施例1と同様の成形条件でポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。また、得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表2に示す。
(比較例8)
特開2011−246701号公報に記載の実施例3において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を株式会社カネカ製の商品名:カネパールLVFに変更し、バッチ式発泡機として大開工業社製、BHP−301を使用して、発泡倍率40倍を得た。その後、本願実施例1と同様の成形条件でポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関して、流動性評価を行った。また、得られた発泡成形体に関して、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体、多価アルコールの脂肪酸エステルの付着量定量、融着性評価、表面性評価、擦れ音評価、汚染性評価を行った。その結果を、表2に示す。
Figure 0006302670

Claims (5)

  1. 常温で液体の多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体および多価アルコールの脂肪酸エステルによって、表面が被覆されたポリスチレン系樹脂発泡成形体であって、前記ポリスチレン系樹脂発泡成形体100重量%に対する被覆量が、多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体0.3重量%以上3.0重量%以下、かつ、多価アルコールの脂肪酸エステル2.5重量%以上10部重量%以下であり、
    前記多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体が、多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体であり、
    前記多価アルコールのプロピレンオキシド付加重合体がポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンソルビットから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡成形体。
  2. 前記多価アルコールの脂肪酸エステルが、ペンタエリスリトールテトラステアレートであることを特徴とする、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体。
  3. 軟質塩化ビニールシート上を、請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体に750gの荷重を掛けた状態で、幅50mmの区間を往復させた際、10秒間擦れ音が発生しないことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡成形体。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体からなることを特徴とする、自動車用発泡部材。
  5. 前記自動車用発泡部材が、下肢部保護材、頭部保護材、床下嵩上げ材またはラゲージボックスである、請求項4に記載の自動車用発泡部材。
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