JP5703935B2 - 熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡粒子成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡粒子成形体 Download PDF

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本発明は、金属等の他部材との間に生じうる擦れ音の発生を低減又は防止できる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体及びその製造に用いられる熱可塑性樹脂予備発泡粒子に関する。
発泡性樹脂粒子を予備発泡させて予備発泡粒子を作製し、該予備発泡粒子を型内成形して得られる発泡粒子成形体は、自動車の内装材、電化製品の断熱部材、各種容器等に広く用いられている。
ところが、発泡粒子成形体は、金属等の他部材と接触して接触面で擦れ合うと、不快な異音(擦れ音)が発生することがある。
例えば自動車の内装床面に設置されるフロア嵩上げ材を例に説明する。フロア嵩上げ材に発泡粒子成形体を用いると、自動車の床面の高さを調整して室内側での平面性を確保しつつ、断熱性能、遮音性能、乗員の居住性能の向上を図ることができる。ところが、自動車の振動時や乗員の乗降時等において、発泡粒子成形体と床面、又は成形体同士が擦れ合うと、例えばキュッというような不快な異音(擦れ音)が発生するおそれがあった。
発泡粒子成形体の擦れ音を防止するために、表面にワックスをコーティングした予備発泡粒子を成形して発泡粒子成形体を得る技術が開発されている(特許文献1参照)。ワックスを用いることにより、発泡粒子成形体と他部材との摩擦抵抗を小さくし、擦れ音の発生を防止することが可能になる。
特許第4292074号公報
しかしながら、発泡性樹脂粒子の発泡時にワックスを添加して、表面にワックスをコーティングした予備発泡粒子を作製する際に、擦れ音防止効果を高めようとして、発泡性樹脂粒子に対するワックスの添加量を多くすると、予備発泡粒子の表面の気泡膜がワックスにより侵食され表面付近の気泡が破壊され易くなる。その結果、予備発泡粒子の型内成形時の二次発泡力が弱まるため、発泡粒子の融着性が低下しやすくなったり、粒子間に間隙が目立ち外観が悪くなったりするおそれがある。特に融着性の低下は、発泡粒子成形体の曲げ強さ等の機械的物性の低下という物性上の不具合の原因となる。
また、予備発泡粒子には、その取扱い性の観点から、予備発泡時や金型充填時などに予備発泡粒子同士が互着してしまう所謂ブロッキングの発生を抑制することが要求されるが、ワックスの添加量が多くなるとブロッキングが生じやすく、その点でも改善の余地があった。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであって、優れた擦れ音防止性能を有し、かつ機械的強度に優れた発泡粒子成形体を製造できると共に、取扱い性にも優れる熱可塑性樹脂予備発泡粒子、及び該熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を提供しようとするものである。
第1の発明は、脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物が表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子であって、
上記エステル化合物は、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合物からなり、
上記エステル化合物において、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合比は質量比で8:2〜4:6であり、
上記エステル化合物の付着量が、予備発泡粒子の単位表面積あたり0.2〜1.2μg/mm2であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子にある(請求項1)。
第2の発明は、上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子成形体にある(請求項4)。
上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの質量比8:2〜4:6の混合物からなる特定のエステル化合物が、0.2〜1.2μg/mm2という特定量で粒子表面に付着している。
そのため、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形すると、個々の発泡粒子が特定のエステル化合物で被覆されているため、優れた擦れ音防止性能を発揮でき、他部材と擦れ合ったときの異音の発生を抑制できる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
また、従来、脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物(以下、単に「エステル化合物」とも言う。)は、予備発泡時に発泡性樹脂粒子の表面に少量付着させることにより、予備発泡粒子のブロッキングを防止する目的や、型内成形時の冷却時間を短縮する目的などに使用されてきた。一方、発泡性樹脂粒子の重合時に添加して発泡性樹脂粒子全体にエステル化合物を存在させることにより、発泡性樹脂粒子の発泡性や予備発泡粒子の融着性を向上させる目的や帯電防止効果を付与する目的などに使用されてきた。
しかしながら、予備発泡粒子の表面に多量にエステル化合物を付着させても、付着量に見合ったブロッキング防止効果は得られず経済的ではなく、エステル化合物の種類によっては多量に付着させると逆にブロッキングしやすくなったり、発泡粒子表面の気泡を過度に破壊して融着性を阻害したりしていた。また、エステル化合物を予備発泡粒子全体に多量に存在させると、基材樹脂が大きく可塑化されてしまい、発泡粒子成形体の機械的強度が低下してしまうという問題があった。
上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、擦れ音の発生を抑制するために、予備発泡粒子表面に従来よりも多量のエステル化合物を付着させるが、特定のエステル化合物が特定量その表面に付着しているため、型内成形時の発泡粒子同士の融着性を阻害することなく、熱可塑性樹脂予備発泡粒子が本来有する優れた融着性を発揮することができる。そのため、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子が相互に十分に融着し、曲げ強さ等の機械的強度に優れた上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
さらに、上記のごとく、特定のエステル化合物を特定量用いているため、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、ブロッキングの発生を抑制することができる。即ち、予備発泡時や金型充填時などにおいて予備発泡粒子同士の互着を抑制することができ、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子は取扱い性に優れている。
また、上記第2の発明の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上記第1の発明の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形することにより製造できる。そして、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上述のごとく、優れた機械的強度を維持したまま、優れた擦れ音防止性能を発揮することができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、表面に上記エステル化合物が付着している。上記エステル化合物は、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の表面に付着しているだけでなく、その一部が粒子の表面付近の内部に含浸されていてもよい。
上記エステル化合物としては、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合物が採用される。
モノエステル以外のジエステル又はトリエステル等を採用した場合には、その予備発泡粒子から成形された熱可塑性樹脂発泡粒子成形体では、十分な擦れ音防止性能が発揮されない。さらに、多価アルコール成分としてグリセリン以外のものを用いた場合にも、十分な擦れ音防止性能が発揮されない。
上記エステル化合物における脂肪酸の炭素数が小さすぎる場合又は脂肪酸が不飽和脂肪酸の場合には、擦れ音防止効果は十分に発揮されるが、予備発泡粒子のブロッキングが起こりやすくなるおそれがある。また、上記エステル化合物の炭素数が大きすぎる場合には、予備発泡粒子の型内成形時に予備発泡粒子同士の融着が阻害され、得られる発泡粒子成形体の曲げ強さ等の機械的強度が低下してしまうおそれがある。そのため、本発明においては、上記エステル化合物における脂肪酸成分としては、上述のごとく炭素数18の飽和脂肪酸であるステアリン酸、及び炭素数16の飽和脂肪酸であるパルミチン酸が採用される。
上記エステル化合物において、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合比は、質量比で8:2〜4:6である。換言すれば、上記エステル化合物においては、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの合計量を100質量部とすると、ステアリン酸モノグリセライドが80〜40質量部、パルミチン酸モノグリセライドが20〜60質量部である。
ステアリン酸モノグリセライドの比率が高すぎると、予備発泡粒子の型内成形時に予備発泡粒子同士の融着が阻害され、得られる発泡粒子成形体の曲げ強さ等の機械的強度が低下してしまうおそれがある。また、パルミチン酸モノグリセライドの比率が高すぎると、予備発泡粒子のブロッキングが起こりやすくなる。そのため、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合比は、上述のように質量比で8:2〜4:6であり、好ましくは7:3〜5:5である。
また、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、単位表面積あたりにおける上記エステル化合物の付着量が0.2〜1.2μg/mm2である。
上記エステル化合物が少なすぎる場合には、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体が十分な擦れ音防止性能を発揮することができなくなるおそれがある。一方、上記エステル化合物が多すぎる場合には、予備発泡粒子の型内成形時に予備発泡粒子同士の融着が阻害され、得られる発泡粒子成形体の曲げ強さ等の機械的強度が低下してしまうおそれがある。そのため、上記エステル化合物の付着量は上述のごとく0.2〜1.2μg/mm2が好ましい。より好ましくは0.3〜0.9μg/mm2、さらに好ましくは0.4〜0.7μg/mm2がよい。
本発明における予備発泡粒子表面のエステル化合物の付着量は、次のようにして求めることができる。
まず、任意の量の予備発泡粒子群の数[個]を計測する。次いで、該予備発泡粒子群を十分量のテトラヒドロフランなどの溶媒にて溶解し、予備発泡粒子表面に付着するエステル化合物を抽出し、液体クロマトグラフ測定によりその抽出量[μg]を測定する。該抽出量[μg]を予め計測しておいた予備発泡粒子群の数[個]で除算した値を予備発泡粒子1個あたりに付着するエステル化合物の付着量[μg/個]とする。さらに、該1個あたりの付着量[μg/個]を、予備発泡粒子1個あたりの平均表面積[mm/個]で除算することによって、予備発泡粒子の表面に付着する単位表面積あたりのエステル化合物の付着量[μg/mm]を求める。
なお、予備発泡粒子1個当たりの平均表面積[mm]は、予備発泡粒子の形状を真球と仮想し、後述の方法によって求める予備発泡粒子の平均粒子径(D)を用いて下記式により求めることができる。
予備発泡粒子1個当たりの平均表面積 = 4×π×(D/2)
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂は、従来の予備発泡粒子の基材樹脂として使用されているものを採用することができる。
具体的には、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリオレフィン中にてスチレンを含浸重合させたスチレン改質ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ブタジエン変性ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂等を採用することができる。
それらの中でも、上記熱可塑性樹脂はスチレン系樹脂又はアクリル系樹脂であることが好ましい(請求項2)。
スチレン系樹脂やアクリル系樹脂は、他の熱可塑性樹脂に比べて剛性が高いため、これらの樹脂を基材樹脂とする発泡粒子成形体は特に擦れ音が発生し易いが、擦れ音が特に発生しやすいスチレン系樹脂発泡粒子成形体及びアクリル系樹脂発泡粒子成形体においても、十分に擦れ音を防止することが可能になり、特に優れた擦れ音防止性能を得ることができる。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、例えば熱可塑性樹脂粒子に発泡剤を含浸させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡させることにより得ることができる。
上記樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない限り、気泡調整剤、顔料、スリップ剤、帯電防止剤、及び難燃剤等の添加剤を含有することができる。
上記樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂及び/又はアクリル系樹脂の場合には、上記樹脂粒子はスチレン系単量体及び/又はアクリル系単量体を懸濁重合することにより製造することができる。また、上記樹脂粒子は、市販の樹脂ペレットを押出機で溶融混練した後、ストランドカット方式、ホットカット方式、及び水中カット方式等により細粒化することにより製造することができる。樹脂粒子の粒子径は、懸濁重合の場合には懸濁剤の添加量や攪拌動力を調整することにより適宜調整することができる。また、押出機を使用する場合には溶融混練物と吐出量とそれをカットする速度とを調整することにより適宜調整することができる。所望の粒子径が得られる方法であれば他の方法により行うこともできる。
上記発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡させて上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を得るにあたっては、所望の物性に応じて、その発泡倍率は適宜調整される。
例えば自動車の内装材の用途に用いる場合であって、上記熱可塑性樹脂が例えばポリプロピレン等のオレフィン系樹脂である場合には、発泡倍率が嵩倍率で10〜50倍のものが採用される。また、スチレン系樹脂やアクリル系樹脂である場合には、発泡倍率が10〜60倍のものが採用される。
ここで、上記熱可塑性樹脂がポリプロピレンからなる場合には、発泡粒子成形体の発泡倍率が20倍以上になると上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体と他部材との間で擦れ音が特に発生しやすい傾向にある。また、スチレン改質ポリオレフィンやポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチルなどの相対的に硬質の熱可塑性樹脂からなる場合には、発泡倍率に関わらず他部材との間で擦れ音が特に発生しやすい傾向にある。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、平均粒子径が1.5〜5.0mmで、かつ嵩発泡倍率が10〜60倍であることが好ましい(請求項3)。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径が小さすぎる場合には、該熱可塑性樹脂予備発泡粒子の製造自体が困難になるおそれがある。また、製造コストが増大してしまうおそれがある。かかる観点から上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径の下限は上記のごとく1.5mmが好ましく、より好ましくは2.0mmである。一方、大きすぎる場合には、型内成形により上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を作製する際に金型への充填性が低下するおそれがある。かかる観点から上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径の上限は上記のごとく5.0mmが好ましく、より好ましく4.0mmであり、さらに好ましくは3.0mmである。
また、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍率が高すぎる場合には、自動車内装材などの用途において、圧縮強度などの所望の機械的強度を満足できないおそれがある。一方、低すぎる場合には、軽量性の観点で好ましくなく、また所望の緩衝特性が満足できなくなるおそれがある。かかる観点から上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍率の上限は上記のごとく60倍が好ましく、より好ましくは50倍であり、さらに好ましくは40倍である。一方、嵩発泡倍率の下限は、上記のごとく10倍であることが好ましく、より好ましくは15倍であり、さらに好ましくは20倍である。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径は、発泡性樹脂粒子の粒子径及びその発泡倍率を調整することにより制御することができる。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径は、次のようにして測定することができる。
即ち、まず、温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日放置した任意の量の熱可塑性樹脂予備発泡粒子群(熱可塑性樹脂予備発泡粒子群の質量W1)を上記メスシリンダー内の水中に金網などの道具を使用して沈める。そして、金網などの道具の体積を考慮し、水位上昇分より読みとられる熱可塑性樹脂予備発泡粒子群の容積V1[L]を測定し、この容積V1をメスシリンダーに入れた熱可塑性樹脂予備発泡粒子の個数(N)にて割り算(V1/N)することにより、発泡粒子1個あたりの平均体積を算出する。そして、得られた平均体積と同じ体積を有する仮想真球の直径をもって熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径[mm]とする。
また、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の嵩発泡倍率は例えば次のようにして測定することができる。
即ち、まず、温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、相対湿度50%、温度23℃、1atmの条件にて2日放置した任意の量の熱可塑性樹脂予備発泡粒子群(熱可塑性樹脂予備発泡粒子群の質量W1)を金網などの道具を使用してメスシリンダー内の水中に沈める。そして、金網等の道具の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる熱可塑性樹脂予備発泡粒子群の容積V1(L)を測定し、メスシリンダーに入れた熱可塑性樹脂予備発泡粒子群の質量W1(g)を容積V1で割り算(W1/V1)することにより、予備発泡粒子の見掛け密度ρ1を求める。この密度ρ1を予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂の密度で除算し、さらに1.6倍することにより予備発泡粒子の嵩発泡倍率を求めることができる。
予備発泡粒子の発泡倍率は、主として発泡性樹脂粒子中の発泡剤の含有量の増減により調整することができ、発泡時の温度や時間によって微調整することができる。発泡性樹脂粒子中の発泡剤の含有量は、樹脂粒子へ含浸させる発泡剤の量や、発泡剤含浸後の熟成時間などにより調整する。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子の表面にエステル化合物を付着させる方法としては、予備発泡時に発泡性樹脂粒子と共に上記エステル化合物を添加し、エステル化合物の共存下で予備発泡を行なう方法や、発泡後の熱可塑性樹脂予備発泡粒子にエステル化合物を塗布したり、エステル化合物を含有する液体に上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を浸漬する方法等が挙げられる。
これらの方法の中でも、特に製造工程が簡便で、かつより優れた擦れ音防止効果が得られることから、発泡性樹脂粒子の予備発泡時に上記エステル化合物を添加してエステル化合物の共存下で予備発泡を行なう方法が好ましい。より優れた擦れ音防止効果が得られる要因は、エステル化合物の共存下で予備発泡させることにより、予備発泡粒子の表面がエステル化合物でより均一に被覆されることによるものと考えられる。
エステル化合物の共存下で予備発泡させる場合、予備発泡粒子表面へのエステル化合物の付着量は、予備発泡時のエステル化合物の添加量により調整することができる。詳しくは、一度、特定量のエステル化合物を添加して予備発泡粒子を作成してそのエステル化合物付着量を測定し、その付着量をもとに、所望のエステル化合物付着量に応じて、エステル化合物の添加量を適宜増減させて調整すればよい。
エステル化合物の添加量は、発泡性樹脂粒子の粒子径や所望の発泡倍率などによって適宜定まるものであるが、予備発泡粒子の平均粒径が1.5〜5.0mmで、かつ嵩発泡倍率が10〜60倍である場合には、上記付着量とするためには、発泡性樹脂粒子100質量部に対して1質量部を超えて添加することが好ましく、より好ましくは1.5質量部を超え、さらに好ましくは2質量部を超えて添加することがよく、さらにより好ましくは3質量部以上添加することがよい。なお、添加量の上限は、例えば概ね12質量部程度である。
上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形することにより熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。即ち、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を成形型内に充填し、加熱媒体を成形型内に導入するなどして予備発泡粒子を相互に融着させることにより上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる。
型内成形は、金型内に発泡粒子を充填し均一な密度分布で発泡成形品(熱可塑性樹脂発泡粒子成形体)を得ることができる好適な方法である。
熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得る際の加熱媒体としては、例えば飽和蒸気、無機ガス、及びこれらの混合ガスなどを用いることができる。
また、無機ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス、アルゴン、ヘリウム、酸素、ネオンなどを用いることができる。経済的な観点からは無機ガスとしては空気を用いることが最も好ましい。
上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、自動車の内装材、電化製品の断熱部材、各種容器等に用いることができる。
好ましくは、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、自動車の内装材に用いられる(請求項5)。
この場合には、擦れ音を抑制できるという上述の本発明の作用効果をより顕著に発揮することができる。
即ち、自動車の内装材に用いられる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体には、例えばエンジンや走行中の路面等からの振動、又は乗員が乗降する際の脚部による圧力などが伝わることにより、擦れ音が発生し易い。かかる内装材に擦れ音防止性能を有する上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を適用することにより、擦れ音防止性能をより顕著に発揮することができる。
自動車の内装材としては、例えばフロア嵩上げ材がある。
即ち、自動車のフロアパネル面はロッカーパネルやダッシュパネルなど、様々な凹凸形状を有しているため、これを平らにして居住性を改善したり衝撃吸収性能を向上させる目的からフロアパネル面上には、発泡樹脂成形体からなるフロア嵩上げ材が敷設される。上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、このようなフロア嵩上げ材に適用することができる。また、ティビアパッドに適用することもできる。
その他にも、ドアパッド、ヘッドレスト、ラゲージボックス等の自動車内装材に適用することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例にかかる熱可塑性樹脂予備発泡粒子及び熱可塑性樹脂発泡粒子成形体について説明する。
(実施例1〜6)
本発明の実施例に係る熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、エステル化合物が少なくとも表面に付着した予備発泡粒子である。エステル化合物としては、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの特定比率の混合物が採用されている。予備発泡粒子単位表面積あたりにおけるエステル化合物の付着量が0.2〜1.2μg/mm2である。また、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなる。
本例においては、熱可塑性樹脂予備発泡粒子として、スチレン樹脂予備発泡粒子を採用し、これを用いて型内成形しスチレン樹脂発泡粒子成形体を得る。
本例のスチレン樹脂予備発泡粒子は、発泡性スチレン樹脂粒子をエステル化合物存在下で発泡させて作製することができる。以下、製造方法について説明する。
まず、発泡性スチレン樹脂粒子として、(株)JSP製の「FB250」を準備した。この発泡性スチレン樹脂粒子の平均粒子径は0.9mmである。発泡性樹脂粒子の平均粒子径は、測定試料として発泡性樹脂を用いた以外は、上述の予備発泡粒子の平均粒子径の測定と同様な方法により測定した。なお、測定には約500ccの発泡性樹脂粒子群を用いた。
また、エステル化合物として後述の表1に示すステアリン酸モノグリセライド及びパルミチン酸モノグリセライドを準備した。ステアリン酸モノグリセライドは、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸であるステアリン酸とグリセリンとのモノエステル(融点67℃)である。また、パルミチン酸モノグリセライドは、炭素数16の飽和脂肪酸であるパルミチン酸とグリセリンとのモノエステル(融点65℃)である。ステアリン酸グリセライドとパルミチン酸グリセライドとの混合物(7:3)として理研ビタミン(株)製の「リケマールS−100」を、ステアリン酸グリセライドとパルミチン酸グリセライドとの混合物(5:5)として理研ビタミン(株)製の「ポエムPV−100」を採用した。
次に、発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対して表1に示す配合割合でエステル化合物を添加して混合し、容積500Lのバッチ式発泡機により、発泡性スチレン系樹脂粒子を嵩倍率で40倍又は20倍に発泡させてスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。次いで、得られたスチレン樹脂予備発泡粒子をサイロ内で1日間室温放置することにより熟成させた。
このようにして得られたスチレン樹脂予備発泡粒子について、平均粒子径[mm]、及び嵩発泡倍率を上述の方法により測定した。なお、平均粒子径および嵩発泡倍率の測定には約500ccの予備発泡粒子群を用い、嵩発泡倍率の計算にはスチレン樹脂の密度として1g/cmを採用した。その結果を表1に示す。
また、スチレン樹脂予備発泡粒子について、エステル化合物の付着量[μg/mm2]を後述の方法により測定し、さらに後述の耐ブロッキング性の評価を行なった。
「エステル化合物の付着量」
まず、以下のようにしてスチレン樹脂予備発泡粒子表面に付着したエステル化合物の量[μg]を測定した。
具体的には、エステル化合物が付着している約50mgのスチレン樹脂予備発泡粒子群を用意し、該粒子群中の予備発泡粒子の数[個]を計測した。次いで、該発泡粒子群をテトラヒドロフラン1mLに溶解し、さらにエタノール1mL加えて樹脂を析出させて遠心分離し、さらに濾過により分離した。濾液をテトラヒドロフランで希釈して液体クロマトグラフによりエステル化合物の抽出量[μg]を定量した。該抽出量[μg]を予め測定しておいた予備発泡粒子の数[個]で除算することにより、予備発泡粒子1個あたりの表面に付着しているエステル化合物の付着量[μg/個]を求めた。
次いで、スチレン樹脂予備発泡粒子を真球と仮定して上述の方法により平均粒子径[mm]から予備発泡粒子1個あたりの表面積[mm2/個]を算出し、上述のエステル化合物の付着量[μg/個]を表面積[mm2/個]で除算することにより、エステル化合物の付着量[μg/mm2]を算出した。その結果を表1に示す。なお、表中には、エステル化合物の付着量をエステル付着量と記す。
なお、液体クロマトグラフ測定の条件は以下のとおりである。
装置名 :Warers Alliance 2695 Separation Module
+ 2414 Refractive Index Detector
分離カラム :SUMIPEX ODS L-05-4625
移動相 :水/アセトニトリル
カラムオーブン:40℃
検出 :示差屈折率(RI)
「耐ブロッキング性」
エステル化合物が付着したスチレン樹脂予備発泡粒子同士がサイロ内で互いに融着し、エステル化合物を付着させていないスチレン樹脂予備発泡粒子に比べて流動性が著しく悪くなったものを「×」、流動性に問題がなかったものを「○」として評価した。その結果を表1に示す。
次に、スチレン樹脂予備発泡粒子を寸法25mm×100mm×300mmの金型に充填し、元圧0.07MPa、0.08MPa、及び0.09MPaの蒸気をそれぞれ金型内に導入して20秒間加熱成形を行なった。これにより、予備発泡粒子を二次発泡および融着させてスチレン樹脂発泡粒子成形体を得た。
得られたスチレン樹脂発泡粒子成形体について、以下のようにして擦れ音の評価を行なうと共に、融着率、曲げ強さを測定し、さらに曲げ強さ保持率を求めた。
「擦れ音評価」
まず、温度23℃、相対湿度50%の恒温室内に、元圧0.08MPaの蒸気にて成形したスチレン樹脂発泡粒子成形体を24時間放置した。次いで、軟質塩化ビニルシート、ステンレス板、及び発泡粒子成形体の上で、各実施例のスチレン樹脂発泡粒子成形体を数秒間擦り、擦れ音の有無を評価した。擦れ音の発生がなかった場合を「○」として評価し、擦れ音が発生した場合を「×」として評価した。その結果を後述の表1に示す。なお、擦れ音評価に用いる発泡粒子成形体としては、エステル化合物を用いずに作製したスチレン樹脂発泡粒子成形体、即ち後述の比較例1又は比較例2のスチレン樹脂発泡粒子成形体を採用した。
「融着率」
上述のように成形時の蒸気圧(元圧)を変えて作製した各スチレン樹脂発泡粒子成形体を長手(300mm)方向の中央部(150mm)付近で割り、成形体の破断面を観察し、目視により内部で破断した発泡粒子数と界面で剥離した発泡粒子数をそれぞれ計測した。次いで、内部で破断した発泡粒子と界面で剥離した発泡粒子の合計数に対する内部で破断した発泡粒子の割合を算出し、その百分率を融着率(%)とした。その結果を表1に示す。
「曲げ強さ及び曲げ強さ保持率」
曲げ強さは、JIS K7221−2:2006に準拠して測定した。測定にあたっては、元圧0.08MPaの蒸気にて成形したスチレン樹脂発泡粒子成形体を、成形スキンを除去せずにそのまま試験片として用いた。支点間距離は300mm、加圧くさびの速度は20mm/min、試験温度は23℃、試験湿度は相対湿度で50%とした。
また、曲げ強さ保持率は、エステル化合物を用いずに倍率20倍又は40倍で作製した発泡粒子成形体の曲げ強さを測定してこれを基準値とし、この基準値に対する100分率で示した。具体的には、後述の比較例1又は比較例2の発泡粒子成形体の曲げ強さを基準値とした。基準値に対する比較は同じ発泡倍率のものを用いて行なった。発泡粒子の融着性が低下しているほど曲げ強さ保持率の値が低くなる。その結果を表1に示す。
Figure 0005703935
(比較例1〜15)
次に、実施例1〜6との比較用の予備発泡粒子及び発泡粒子成形体を作製した。
比較例1及び2は、後述の表2に示すごとく、エステル化合物を用いずに作製した点を除いては、上述の実施例と同様に作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。比較例1は予備発泡粒子の発泡倍率を40倍とし、比較例2は予備発泡粒子の発泡倍率を20倍とした。
比較例3及び4は、後述の表2に示すごとく、エステル化合物のステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合物(混合比(質量比):7:3)の添加量を変更して予備発泡粒子のエステル付着量を変えた点を除いては実施例と同様にして作製した。比較例3においては、エステル化合物の量を少なくし、比較例4においては、エステル化合物の量を多くして予備発泡粒子及び発泡粒子成形体を作製した。
比較例5は、後述の表2に示すごとく、エステル化合物として、炭素数18(C18)の不飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルであるオレイン酸モノグリセライド(融点約40℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例6は、後述の表2に示すごとく、エステル化合物として、炭素数8(C8)の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルであるカプリン酸モノグリセライド(融点約40℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例7は、後述の表3に示すごとく、エステル化合物として、炭素数12(C12)の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルであるラウリン酸モノグリセライド(融点約50℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例8は、後述の表3に示すごとく、エステル化合物として、炭素数22(C22)の飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステルであるベヘン酸モノグリセライド(融点85℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例9は、後述の表3に示すごとく、エステル化合物として、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸とグリセリンとのジエステルであるステアリン酸ジグリセライド(融点67℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例10は、後述の表3に示すごとく、エステル化合物として、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸とグリセリンとのトリエステルであるステアリン酸トリグリセライド(融点67℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例11は、後述の表3に示すごとく、エステル化合物として、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸(ステアリン酸)とペンタエリスリトールとのジエステルであるペンタエリスリトールジステアレート(融点53℃)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例12は、後述の表4に示すごとく、エステル化合物として、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸(ステアリン酸)とグリセリンとのモノエステルであるステアリン酸モノグリセライドを単独で用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例13は、後述の表4に示すごとく、エステル化合物として、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸(ステアリン酸)とグリセリンとのモノエステルであるステアリン酸グリセライドと、炭素数16(C16)の飽和脂肪酸(パルミチン酸)とグリセリンとのモノエステルであるパルミチン酸グリセライドとの混合物(9:1)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例14は、後述の表4に示すごとく、エステル化合物として、炭素数16(C16)の飽和脂肪酸(パルミチン酸)とグリセリンとのモノエステルであるパルミチン酸モノグリセライドを単独で用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
比較例15は、後述の表4に示すごとく、エステル化合物として、炭素数18(C18)の飽和脂肪酸(ステアリン酸)とグリセリンとのモノエステルであるステアリン酸グリセライドと、炭素数16(C16)の飽和脂肪酸(パルミチン酸)とグリセリンとのモノエステルであるパルミチン酸グリセライドとの混合物(3:7)を用いた点を除いては、実施例と同様にして作製した予備発泡粒子及び発泡粒子成形体である。
このようにして得られた比較例1〜15の予備発泡粒子(スチレン樹脂予備発泡粒子)について、平均粒子径[mm]及び嵩発泡倍率を上述の実施例と同様にして測定し、耐ブロッキング性を上述の実施例と同様にして評価した。その結果を表2〜表4に示す。
また、比較例1〜15の発泡粒子成形体(スチレン樹脂発泡粒子成形体)について、上述の実施例と同様にして、擦れ音の評価を行なうと共に、融着率、曲げ強さを測定し、曲げ強さ保持率を求めた。その結果を表2〜表4に示す。
Figure 0005703935
Figure 0005703935
Figure 0005703935
表1より知られるごとく、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの特定比率の混合物からなるエステル化合物が0.2〜1.2μg/mm2で粒子表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子(実施例1〜6)は耐ブロッキング性に優れることがわかる。さらに、かかる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を用いて作製した熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、発泡粒子相互の融着性に優れるため曲げ強さに優れ、擦れ音防止性能に優れていることがわかる。
これに対し、表2より知られるごとく、エステル化合物を付着していない比較例1及び比較例2の予備発泡粒子は、これを用いて作製した発泡粒子成形体は、擦れ音防止性能が不充分であった。
また、表2より知られるごとく、エステル化合物の付着量が少なすぎる比較例3の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体も、擦れ音防止性能が不充分であった。
また、表2より知られるごとく、エステル化合物の付着量が多すぎる比較例4の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体は、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表2及び表3より知られるごとく、エステル化合物として、不飽和脂肪酸とのエステルを用いた比較例5、炭素数の少ない飽和脂肪酸のエステルを用いた比較例6及び比較例7の予備発泡粒子は、耐ブロッキング性能が不十分であった。一方、エステル化合物として、炭素数の多い飽和脂肪酸のエステルを用いた比較例8の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体は、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表3より知られるごとく、エステル化合物としてグリセリンと飽和脂肪酸とのジエステルを用いた比較例9及びトリエステルを用いた比較例10の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体は、擦れ音防止性能が不充分であった。さらに、グリセリン以外の多価アルコールであるペンタエリストールと脂肪酸とのエステルを用いた比較例11の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体も、擦れ音防止性能が不充分であった。
また、表4より知られるごとく、ステアリン酸モノグリセライドを単独で用いた比較例12、およびステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸グリセライドとの混合物(9:1)を用いた比較例13の予備発泡粒子を用いて作製した発泡粒子成形体は、発泡粒子相互の融着性が低下し、曲げ強さが不十分であった。
また、表4より知られるごとく、パルミチン酸モノグリセライドを単独で用いた比較例14、及びステアリン酸グリセライドとパルミチン酸グリセライドとの混合物(3:7)を用いた比較例15の予備発泡粒子は、耐ブロッキング性能が不十分であった。
本発明の実施例にかかる熱可塑性樹脂予備発泡粒子(実施例1〜6)においては、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの特定比率の混合物という特定のエステル化合物が0.2〜1.2μg/mm2という特定量で表面に付着している。そのため、型内成形により、優れた擦れ音防止性能を発揮でき、他部材と擦れ合ったときの異音の発生を抑制できる熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる(表1参照)。また、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子は、成形時に十分優れた融着性を発揮することができる。そのため、上記熱可塑性樹脂予備発泡粒子を成形することにより、該熱可塑性樹脂予備発泡粒子が相互に十分に融着し、曲げ強さに優れた上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を得ることができる(表1参照)。
また、上記特定のエステル化合物を上記特定量用いているため、実施例1〜6の熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、ブロッキングの発生を抑制することができる。
即ち、脂肪酸と多価アルコールとのエステルは、その種類によっては、これを表面に多量に付着させた予備発泡粒子のブロッキングを起こしやすくし、取り扱い性を悪くする。本発明の実施例にかかる熱可塑性樹脂予備発泡粒子においては、上記エステル化合物として、上記特定のモノエステルを上記特定量用いているため、上述のごとくブロッキングの発生を抑制することができる。
このように、本例によれば、優れた擦れ音防止性能を有し、曲げ強さ等の機械的強度に優れた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を製造できると共に、ブロッキングを抑制して取扱い性に優れる熱可塑性樹脂予備発泡粒子を提供することができる。

Claims (5)

  1. 脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物が表面に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子であって、
    上記エステル化合物は、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合物からなり、
    上記エステル化合物において、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドとの混合比は質量比で8:2〜4:6であり、
    上記エステル化合物の付着量が、予備発泡粒子の単位表面積あたり0.2〜1.2μg/mm2であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、該熱可塑性樹脂予備発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂又はアクリル系樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子において、該熱可塑性樹脂予備発泡粒子の平均粒子径が1.5〜5.0mmで、かつ嵩発泡倍率が10〜60倍であることを特徴とする熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒子を型内成形してなることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
  5. 請求項4に記載の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、自動車の内装材に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡粒子成形体。
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