JP4062013B2 - 発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子、その製造方法及び発泡成形品 - Google Patents

発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子、その製造方法及び発泡成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子及びその製造方法に関し、さらに、この発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子から得られる、エアーコンディショナー用又は冷蔵庫用ドレンパン(露受け皿)等の発泡成形品に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、エアーコンディショナー又は冷蔵庫に用いられるドレンパンは、主としてスチレン系樹脂発泡成形品を用い、さらに、これと、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)又はハイインパクトポリスチレン(HIPS)の真空成形品又はインジェクション成形品を複合化したものである。この複合化ドレンパンは、スチーム等によって予め予備発泡した発泡性スチレン系樹脂粒子を、小孔を有する金型に充填し再加熱して成形する際、真空成形品又はインジェクション成形品を金型に装着して、一体成形して製造できる。また、スチレン系樹脂発泡成形品を製造し、その後に、真空成形品又はインジェクション成形品を接着剤等により張り合わせて製造できる。
これらの製造方法は、発泡成形品単体を製造する場合と比較して、ABS又はHIPSの成形品の材料費、真空成形品又はインジェクション成形品のための金型費が余計にかかり、コスト高になるという問題があった。また、真空成形品又はインジェクション成形品をスチレン系樹脂発泡成形品と複合化するため、作業性が低かった。さらに、スチレン系樹脂発泡成形品とABS真空成形品は収縮率が異なるため、その相違により生じる反り、変形による不良発生増大の問題もあった。
【0003】
エアーコンディショナー又は冷蔵庫用ドレンパンとして、スチレン系樹脂発泡成形品と、真空成形品又はインジェクション成形品を複合化する理由は以下の通りである。
スチレン系樹脂発泡成形品は、発泡性スチレン系樹脂粒子を石垣上に積み重ね、これを発泡圧と熱によって粒子同士を融著させたものである。従って、この発泡成形品は普通の水なら浸透をかなり防止できる。
しかし、エアーコンディショナー又は冷蔵庫のドレン水は、使用時に浸透性の高い成分(例えば、洗剤に含まれる界面活性剤)を吸入するため、ドレン水の浸透性が高くなっている。スチレン系樹脂発泡成形品がこのようなドレン水を受けると、発泡成形品のビーズ界面を通してドレン水が浸透する。また、ドレン水に、天ぷら油、機械油、エンジンオイル等の油成分や、ガソリン、灯油が混入すると、スチレン系樹脂発泡成形品の内部の粒子界面が浸食され粒子間に空隙が生じ、ここにドレン水が浸透する。
従って、スチレン系樹脂発泡成形品を、エアーコンディショナー又は冷蔵庫のドレンパンに用いるときは、真空成形品又はインジェクション成形品と複合化して、ドレン水の浸透を防ぐ必要があった。
【0004】
一方、水の浸透を防止するために、浸透する際通り道となる成形品内部の粒子表面の表面エネルギーを小さくし、浸透する液体に対して成形品の接触角を大きくする方法が提案されている。
例えば、特公昭56−34172号公報では、蔗糖エステルでの発泡性スチレン系樹脂粒子表面の被覆、特公昭56−34172号公報では、ポリエーテル又はポリオール及びポリリン酸塩での発泡性スチレン系樹脂粒子表面の被覆、特公昭59−24731号では、ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルでの発泡性スチレン系樹脂粒子表面の被覆が提案されている。しかし、これらの方法では、界面活性剤等の浸透性の高い成分が水に混入した場合の浸透防止効果は十分とはいえず、エアーコンディショナー用又は冷蔵庫用ドレンパンのように長期間使用される条件では不安があった。
【0005】
さらに浸透防止効果が高い方法として、特開平3−190941号公報では、特定の含フッ素ビニル系単量体と親油性単量体との共重合体による表面被覆、特公平4−53890号公報では、含フッ素ビニル型重合体部分と親水性ビニル型重合体部分からなる共重合体による被覆又は含有、特開平11−181141号公報及び特開平11−263868号公報では、特定の含フッ素ビニル系単量体とビニル系単量体との共重合体、及び水溶性樹脂とを含む被覆物で被覆した発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されている。これらの含フッ素ビニル系重合体の被覆により、浸透防止性能が向上することが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法はいずれも主として発泡性スチレン系樹脂粒子で検討されているが、スチレン系樹脂発泡成形品には、上述したように、天ぷら油、機械油、エンジンオイル等の油成分やガソリン、灯油の蒸気で発泡成形品内部の粒子界面が浸食され、浸透防止性が低いという問題があり、これらの方法で被覆しても十分な浸透防止効果は得られなかった。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、浸透性の高い成分が成形品内部へ浸透することが少ない発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子及びその発泡成形品を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の第一の態様によれば、発泡剤が含浸していて、表面が含フッ素ビニル系共重合体で被覆されている、重量平均分子量が20万〜50万である、発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子が、提供される。
【0008】
前記含フッ素ビニル系共重合体は、下記式(1)で表される含フッ素ビニル系単量体及び下記式(2)で表されるビニル系単量体を重合させて得られる含フッ素ビニル系共重合体、又は下記式(3)で表される含フッ素ビニル系単量体、下記式(4)で表されるビニル系単量体及び下記式(5)で表されるビニル系単量体を重合して得られる含フッ素ビニル系共重合体である。
【化1】
Figure 0004062013
(式中、R f1 はC 2n+1 で表されるフッ化アルキル基(nは8〜12の整数)、R は炭素数1〜4のアルキル基、R は炭素数1〜4のアルキレン基、R は水素又はメチル基を示す。)
【化2】
Figure 0004062013
(式中、R は水素又はメチル基、R は炭素数1〜4のアルキレン基、R は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【化3】
Figure 0004062013
(式中、R は水素又はメチル基、R は炭素数1〜4のアルキレン基、R f2 はC 2m+1 で表されるフッ化アルキル基(mは8〜12の整数)を示す。)
【化4】
Figure 0004062013
(式中、R は水素又はメチル基、R 10 は炭素数11〜17のアルキル基を示す。)
【化5】
Figure 0004062013
(式中、R 11 は水素又はメチル基を示す。)
【0009】
本発明の第二の態様によれば、上記の発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形品が、提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子の製造方法について説明する。
初めに、アクリロニトリルとスチレンを重合してアクリロニトリル・スチレン樹脂粒子を製造する。アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子のアクリロニトリルとスチレンの組成比は、アクリロニトリルとスチレンの合計量を100重量%としたとき、好ましくはアクリロニトリルが10〜50重量%及びスチレンが50〜90重量%であり、より好ましくはアクリロニトリル20〜40重量%及びスチレン60〜80重量%である。アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子は、アクリロニトリルとスチレンを上記の量で懸濁重合して製造できる。
アクリロニトリルが10重量%未満では耐油性が低下し、また、50重量%を越えると発泡性、成形性が低下する恐れがある。なお、本発明のアクリロニトリル・スチレン樹脂は本発明の効果をそこなわない程度に、アクリロニトリル及びスチレン以外の炭素・炭素不飽和二重結合を含む単量体(例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、メタクリロニトリル、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体等)を併用してもよい。この場合、例えば、全単量体の30重量%以下の量で使用することができる。
【0011】
次に、アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。
発泡剤としては、一般に発泡性スチレン系樹脂粒子の製造に用いられる発泡剤を使用できる。例えば、常温常圧下で気体又は液体であり、かつ上記樹脂粒子を溶解しない易揮発性有機化合物を使用できる。このような発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素等が挙げられる。これらは単独又は組み合わせて使用できる。
【0012】
発泡剤の使用量は、アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子に対して、好ましくは3〜10重量%であり、より好ましくは3〜7重量%である。発泡剤量が3重量%未満では発泡性を付与させることが困難であり、10重量%を越えても発泡性向上の効果は変わらず不経済である。
【0013】
樹脂粒子への発泡剤の含浸時に、可塑剤を存在させることができる。可塑剤として、樹脂粒子を溶解又は膨潤させることができる有機溶剤が使用できる。
可塑剤の例として、トルエン、スチレン、アセチル化モノグリセライド、エポキシ化大豆油、植物油等が挙げられる。可塑剤は樹脂粒子に対して0.05〜3重量%使用するのが好ましい。
【0014】
得られた発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子の粒子径は、好ましくは0.4mm〜2.0mmであり、より好ましくは0.6mm〜1.4mmである。粒子径が0.4mm未満では成形品の融着が低下し、2.0mmを越えると金型への充填性が悪くなり、ビーズ間隙が発生しドレン水が浸透しやすくなる。
【0015】
発泡剤を含浸した発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子は、さらに、含フッ素ビニル系共重合体で被覆する。発泡剤の含浸後、脱水、乾燥、分級を施し、次いで含フッ素ビニル系共重合体を被覆できる。
【0016】
本発明に用いる含フッ素ビニル系共重合体は、下記式(1)で表される含フッ素ビニル系単量体及び下記式(2)で表されるビニル系単量体を重合させて得られる含フッ素ビニル系共重合体、又は下記式(3)で表される含フッ素ビニル系単量体、下記式(4)で表されるビニル系単量体及び下記式(5)で表されるビニル系単量体を重合して得られる含フッ素ビニル系共重合体が撥水効果に優れるため好ましい。
【0017】
【化1】
Figure 0004062013
(式中、Rf1はC2n+1で表されるフッ化アルキル基(nは1〜16の整数)、Rは水素又は炭素数1〜18のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキレン基、Rは水素又はメチル基を示す。)
【0018】
【化2】
Figure 0004062013
(式中、Rは水素又はメチル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0019】
【化3】
Figure 0004062013
(式中、Rは水素又はメチル基、RはC2nで表されるアルキレン基(nは1〜10の整数)、Rf2はC2m+1で表されるフッ化アルキル基(mは5〜16の整数)を示す。)
【0020】
【化4】
Figure 0004062013
(式中、Rは水素又はメチル基、R10は炭素数4〜22のアルキル基を示す。)
【0021】
【化5】
Figure 0004062013
(式中、R11は水素又はメチル基を示す。)
【0022】
式(1)の単量体において、好ましくは、Rf1のnは8〜12であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。
式(3)の単量体において、好ましくは、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、Rf2のmは8〜12である。
式(4)の単量体において、好ましくは、R10は炭素数11〜17のアルキル基である。
【0023】
式(1)のビニル系単量体としては、以下のものが挙げられる。
17SO−N(CH)−CHCHOCOCH=CH
17SO−N(CH)−CHCHOCOC(CH)=CH
17SO−N(C)−CHCHOCOCH=CH
17SO−N(C)−CHCHOCOC(CH)=CH
【0024】
式(2)のビニル系単量体としては、以下のものが挙げられる。
CH=CH−COOCOCH
CH=C(CH)−COOCOCH
CH=CH−COOCOC
CH=C(CH)−COOCOC
【0025】
式(3)のビニル系単量体としては、以下のものが挙げられる。
【化6】
Figure 0004062013
【0026】
式(4)のビニル系単量体としては、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート等の高級アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル酸を挙げることができる。
【0027】
式(5)のビニル系単量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0028】
式(1)及び(2)の単量体からなる共重合体は、好ましくは式(1)の単量体を40〜95重量%、式(2)の単量体を5〜50重量%含む。また、式(3)、(4)及び(5)の単量体からなる共重合体は、好ましくは式(3)の単量体を30〜90重量%、式(4)の単量体を5〜40重量%、式(5)の単量体を1〜10重量%含む。
【0029】
さらに、式(1)及び(2)の単量体からなる共重合体は、他の単量体として、下記式(6)で表されるビニル系単量体をさらに重合させることができる。
【化7】
Figure 0004062013
(式中、R12は水素又はメチル基、R13は炭素数1〜4のアルキレン基、R14及びR15は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
式(6)のビニル系単量体としては以下に示すものが挙げられる。
CH=CH−COOCN(CH
CH=C(CH)−COOCN(CH
【0030】
式(1)、(2)及び(6)の単量体からなる共重合体の場合(3成分系)、好ましくは式(1)の単量体を50〜85重量%、式(2)の単量体を5〜40重量%、式(6)の単量体を1〜10重量%含む。
【0031】
式(3)、(4)及び(5)の単量体からなる共重合体は、他の単量体として、塩化ビニルをさらに重合させることができる。この場合(4成分系)、好ましくは式(3)の単量体を50〜80重量%、式(4)の単量体を10〜30重量%、式(5)の単量体を1〜10重量%、塩化メチレンを5〜20重量%含む。
【0032】
含フッ素ビニル系共重合体の被覆量は、未被覆の発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子に対して、好ましくは、0.005重量%〜0.1重量%であり、より好ましくは、0.01重量%〜0.05重量%である。被覆量が0.005重量%未満では、十分な撥水性が得られず、0.1重量%を越えて被覆すると、成形品の融着性が低下する恐れがある。
【0033】
被覆剤として、上記の含フッ素ビニル系共重合体の他に、発泡性スチレン系樹脂粒子に使用されるものを追加して使用できる。例えば、ジンクステアレート、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、ヒマシ硬化油、アミド化合物、蔗糖エステル類等の1種類又は2種類以上を使用できる。これらの添加剤は、発泡性樹脂粒子に対して0.01〜0.3重量%の範囲内で使用することが好ましい。
シリコーン類も発泡性スチレン系樹脂粒子に使用される被覆剤であるが、シリコーン類は含フッ素ビニル系共重合体の樹脂粒子への被覆が不均一となるため好ましくない。
これら表面被覆剤の発泡性樹脂粒子への被覆は、ヘンシェルミキサーやレディゲミキサー等によって行うことができる。
【0034】
このようにして得られる本発明の発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子は、重量平均分子量が、好ましくは20万〜50万であり、より好ましくは30万〜40万である。重量平均分子量が20万未満では、成形品の耐油性が低下する恐れがある。また、成形品の機械的強度が低下するため、密度を高くして使用しなければならず、材料費が高くなるため経済的に不利である。重量平均分子量が50万を越えると、発泡性、成形性が低下する恐れがある。
発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子の重量平均分子量は、例えば、重合開始剤量により調節できる。
【0035】
本発明の発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子を発泡成形して、発泡成形品が得られる。
樹脂粒子の発泡は、水蒸気、熱風、熱水等により行われ、一般に行われる発泡スチレン系樹脂の発泡方法が適用できる。
樹脂粒子を成形する方法は、上記の発泡と同様に一般に行われるスチレン系樹脂の成形方法が適用できる。
具体的には、スチーム等によって予め予備発泡した発泡粒子を、小孔を有する金型に充填しスチーム等により再加熱する。ただし、含フッ素共重合体の撥水性は成形時のスチームの熱で発現するため、スチームの導入量を多くするため、スチームの導入口である小孔の面積は、可能な限り大きいことが望ましい。
【0036】
本発明の発泡成形品は、緩衝材、構造部材等に使用できるが、特に、エアーコンディショナー用又は冷蔵庫用ドレンパンへの使用に適している。
本発明の発泡成形品から構成されているエアーコンディショナー用又は冷蔵庫用ドレンパンは、界面活性剤等の浸透性の高い成分、天ぷら油、機械油、エンジンオイル等の油成分、ガソリン、灯油等の発泡成形品を浸食する成分がドレン水に混入しても、ドレン水が成形品内部へ浸透しにくい。
図1は、本発明の発泡成形品の一実施形態であるエアーコンディショナー用又は冷蔵庫用ドレンパンの斜視図である。図1に示すように、ドレンパン10にはドレンパイプ12が設けられていて、ドレンパン10は本発明の発泡成形品から構成される。ドレンパン10に溜まったドレン水はドレンパイプ12から排出される。ドレンパン10は本発明の発泡成形品から構成されているので、浸透物質を含むドレン水が留まっても、ドレンパン10に浸透しにくく、ドレンパン10の変形等を防ぐことができる。
【0037】
【実施例】
本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
攪拌機が付属した16リットルのオートクレーブに、脱イオン水6000g、リン酸三カルシウム7.5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.18gを仕込み、200回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いて、スチレン4320g、アクリロニトリル1680g、ラウロイルパーオキサイド30.0g、ジーt−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサン3.0g、n−オクチルメルカプタン16.7gを仕込み、仕込み完了後60℃まで昇温した。昇温完了後、3時間、4時間後にそれぞれリン酸三カルシウム20gを追加した。引き続き、60℃で5時間保温した後、60分かけて105℃まで昇温し、3時間保温し、重合を完結させた。得られたアクリロニトリル・スチレン樹脂粒子の重量は6000gであった。
【0038】
引き続き、ペンタン(i/n比=3/7、重量比以下同じ)150g、ブタン(i/n比=4/6、重量比以下同じ)360gを順次、オートクレーブに圧入し、8時間保温した。その後、室温まで冷却し、発泡剤が含浸された発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子を取り出し、脱水乾燥した後、目開き0.71mm〜1.4mmの篩で分級した。この樹脂粒子の重量平均分子量は38.4万であった。
次いで、この樹脂粒子2000gをヘンシェルミキサーに入れ、500〜1000rpmの回転数で攪拌しながら、発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子(未被覆)に対して、脂肪酸モノグリセライド(理研ビタミン(株)製リケマールS−100P)を、0.1重量%、含フッ素ビニル系共重合体(表1の成分1)の30重量%水性エマルジョン0.117重量%(含フッ素ビニル系共重合体の固形分0.035重量%)を順次加え、90秒間攪拌した後、攪拌を止めた。
【0039】
なお、含フッ素ビニル系共重合体(表1の成分1)を構成する単量体の種類及び割合は以下の通りである。
【化8】
Figure 0004062013
【0040】
得られた発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子を、スチームを熱媒として嵩密度20ml/gに予備発泡し、一次発泡樹脂粒子を得た。
次いで、この一次予備発泡粒子を、常温常圧下で48時間熟成した後、外形寸法550×335×150mmで底肉厚28mmの箱状成形品を得るための金型に充填し、ダイセン工業製発泡スチレン系樹脂成型機VS−300を用い、加熱圧力0.08MPa、加熱時間20秒の条件で箱状成形品を成形した。成形後、得られた成形品を45℃雰囲気下の乾燥機内で18時間乾燥し、性能試験に用いた。
【0041】
実施例2
実施例1において、含フッ素ビニル系共重合体の30重量%水性エマルジョンの量を、0.033重量%(含フッ素ビニル系共重合体の固形分0.01重量%)とした以外は、実施例1と同様の条件で発泡成形品を得た。
【0042】
実施例3
実施例1において、含フッ素ビニル系共重合体を、市販の含フッ素ビニル系共重合体(米国スリーエム(株)製、スコッチバンFC−845)(表1の成分2)とした以外は、実施例1と同様の条件で発泡成形品を得た。
なお、スコッチバンFC−845は、実施例1〜2で使用した含フッ素ビニル系共重合体に相当するものであることが、FT−IR、NMR、GC−MSの測定から判明している。
【0043】
実施例4
実施例1において、含フッ素ビニル系共重合体を、以下の単量体の種類及び割合から構成される含フッ素ビニル系共重合体(表1の成分3)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で発泡成形品を得た。
【化9】
Figure 0004062013
【0044】
比較例1
実施例1において、含フッ素ビニル系共重合体を使用しない以外は、実施例1と同様の条件で発泡成形品を得た。
【0045】
比較例2
実施例1において、n−オクチルメルカプタン16.7gを、t−ドデシルメルカプタン23.4gに変えた以外は、実施例1と同様の条件で発泡成形品を得た。このとき得られた発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子の重量平均分子量は12.5万であった。
【0046】
比較例3
発泡剤としてブタンを含む粒子径0.6〜1.4mmの発泡性スチレン系樹脂粒子(日立化成工業製 ハイビーズTX)2000gをヘンシェルミキサーに入れた。500〜1000rpmの回転数で攪拌しながら、発泡性スチレン系樹脂粒子に対して、脂肪酸モノグリセライド(理研ビタミン(株)製リケマールS−100P)を0.1重量%、含フッ素ビニル系共重合体の30重量%水性エマルジョン0.117重量%(含フッ素ビニル系共重合体の固形分0.035重量%)加え、90秒間攪拌した後、攪拌を止めた。
この発泡性スチレン系樹脂粒子を用い、実施例1と同様の方法で発泡成形品を得た。
【0047】
評価例
実施例1〜4及び比較例1〜3における発泡成形品の評価結果を表1に示した。表1に示した特性の評価方法は以下の通りである。
(1)分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフ法
カラム:日立化成工業(株)製 Gelpack GL−A100M×2本
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI検出器
で測定し、標準ポリスチレン換算の分子量を求めた。
【0048】
(2)界面活性剤の遮蔽テスト
水の浸透性の加速試験として、界面活性剤に対する遮蔽性テストを行った。
即ち、水1000gに、ノニオン界面活性剤(花王社製スコアロール700)1.0gと、着色剤としてエリオクロームブラックTを0.05g入れた。この着色水溶液を箱状成形品に入れた後、常温下に放置し、24時間後、72時間後に成形品を割って断面のノニオン界面活性剤水溶液の浸透距離を測定した。
【0049】
(3)耐油性テスト
発泡成形品底部を100×100mmに切り出してテストに用いた。発泡成形品に、テストする試験液(ガソリン及びエンジンオイル)を塗布し、168時間後の成形品表面の状態を目視で判定した。
○:変化無し △:膨潤又は変形 ×:溶解
【0050】
(4)曲げ強度
密度0.04g/mlの発泡成形品をJIS−K−7221に準じて測定した。
【0051】
【表1】
Figure 0004062013
【0052】
表1に示す評価結果から、本発明の発泡成形品は、耐油性、機械的強度に優れ、かつ浸透性の高い内容物であっても、当該内容物が発泡成形品の外壁まで浸透する時間(浸透時間)を著しく長くできることが確認できた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、浸透性の高い成分が成形品内部へ浸透することが少ない発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子及びその発泡成形品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡成形品の一実施形態であるエアーコンディショナー用又は冷蔵庫用ドレンパンの斜視図である。
【符号の説明】
10 ドレンパン(発泡成形品)
12 ドレンパイプ

Claims (3)

  1. 発泡剤が含浸していて、
    表面が下記に示す含フッ素ビニル系共重合体で被覆されている、
    重量平均分子量が20万〜50万である、発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子。
    含フッ素ビニル系共重合体
    下記式(1)で表される含フッ素ビニル系単量体及び下記式(2)で表されるビニル系単量体を重合させて得られる含フッ素ビニル系共重合体、又は
    下記式(3)で表される含フッ素ビニル系単量体、下記式(4)で表されるビニル系単量体及び下記式(5)で表されるビニル系単量体を重合して得られる含フッ素ビニル系共重合体
    Figure 0004062013
    (式中、R f1 はC 2n+1 で表されるフッ化アルキル基(nは8〜12の整数)、R は炭素数1〜4のアルキル基、R は炭素数1〜4のアルキレン基、R は水素又はメチル基を示す。)
    Figure 0004062013
    (式中、R は水素又はメチル基、R は炭素数1〜4のアルキレン基、R は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    Figure 0004062013
    (式中、R は水素又はメチル基、R は炭素数1〜4のアルキレン基、R f2 はC 2m+1 で表されるフッ化アルキル基(mは8〜12の整数)を示す。)
    Figure 0004062013
    (式中、R は水素又はメチル基、R 10 は炭素数11〜17のアルキル基を示す。)
    Figure 0004062013
    (式中、R 11 は水素又はメチル基を示す。)
  2. 請求項1記載の発泡性アクリロニトリル・スチレン樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形品。
  3. 前記発泡成形品がエアーコンディショナー用又は冷蔵庫用ドレンパンに使用される請求項2記載の発泡成形品。
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