JP2011231256A - 擦れ音防止剤及び擦れ音抑制発泡樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡樹脂成形体用の擦れ音防止剤、及びこれを発泡樹脂成形体の表面に塗布してなる擦れ音抑制発泡樹脂成形体である。擦れ音防止剤は、融点40〜100℃のワックス及び流動点−10℃以下の鉱物性油が水性分散媒体に分散されたエマルションからなる。擦れ音防止剤においては、鉱物性油の配合割合がワックスに対する質量比で0.3〜6である。
【選択図】なし
Description
しかし、オイル成分が発泡樹脂成形体の表面に多量に存在すると、発泡樹脂成形体の表面にべたつきが発生してしまう。そのため、発泡樹脂成形体を他部材と組み合わせて使用する例えば自動車用の内装材や電化製品等の用途においては、その組立ラインを汚染し、組立ラインに不具合を発生させてしまうおそれがある。
また、プロセスオイルは、高温で揮発し易い。そのため、高温領域での擦れ音防止性能が低下するという問題がある。
融点40〜100℃のワックス及び流動点−10℃以下の鉱物性油が水性分散媒体に分散されたエマルションからなり、
上記鉱物性油の配合割合が上記ワックスに対する質量比で0.3〜6であることを特徴とする擦れ音防止剤にある(請求項1)。
上記擦れ音防止剤においては、上記ワックスと上記鉱物性油とが特定の配合割合で配合されているため、上記擦れ音防止剤を塗布した発泡樹脂成形体においては、低温領域では主に鉱物性油が優れた潤滑性能を示し、高温領域ではワックス及び鉱物性油の両方が優れた潤滑性能を示すことができる。そのため、例えば−30℃〜80℃という幅広い温度領域において、擦れ音防止性能を発揮することができる。
また、上記擦れ音防止剤においては、上記ワックスと上記鉱物性油とが特定の配合割合で配合されているため、高温領域における鉱物性油の揮発が抑制される。そのため、長期間安定して擦れ音防止性能を発揮することができる。
そのため、上記第1の発明の上記擦れ音防止剤の作用効果を生かして、擦れ音抑制発泡樹脂成形体は、低温から高温までの広い温度領域において擦れ音防止性能を発揮できると共に、他部材に対する汚染を抑制でき、さらに耐水性にも優れる。
上記擦れ音防止剤は、発泡樹脂成形体に塗布し、乾燥させ、該発泡樹脂成形体の擦れ音防止用に用いられる。
上記擦れ音防止剤は、エマルションからなり、ワックス及び鉱物性油が、水等の水性分散媒体に分散されている。
なお、擦れ音防止効果の観点からは、ワックスの融点の下限は特に限定されるものではないが、市場で容易に入手可能であるものの融点の下限は概ね40℃程度である。したがって、ワックスの融点は上述のごとく40℃以上が好ましい。
上記鉱物性油の流動点が高すぎる場合には、冬場などの低温領域で十分な擦れ音防止効果が得られなくなるおそれがある。かかる観点から上記鉱物性油の流動点は上述のごとく−10℃以下が好ましく、−15℃以下がより好ましい。
なお、低温領域での擦れ音防止効果の観点からは、鉱物性油の流動点の下限は特に限定されるものではないが、市場で容易に入手可能であるものの流動点の下限は概ね−45℃程度である。
上記ワックスに対する上記鉱物性油の配合割合が0.3未満の場合には、低温領域での擦れ音防止性能が低下するおそれがある。一方、上記配合割合が6を超える場合には、上記擦れ音防止剤を塗布した発泡樹脂成形体が他部材に接触した際に、鉱物性油が染み出して他部材を汚染し易くなるおそれがある。
好ましくは、上記鉱物性油の配合割合は0.5以上がよく、さらに4以下がよい。
この場合には、上記擦れ音防止剤において、エマルションをより安定化させることができ、上記ワックスと上記鉱物性油をより均一に分散させることができる。そのため、上記擦れ音防止剤を上記発泡樹脂成形体に塗布した際に、該発泡樹脂成形体の表面に上記ワックスと上記鉱物性油をより均一に存在させることができる。
まず、ワックス、鉱物性油、及び乳化剤を、ワックスの種類に応じてワックスが融解する温度、例えば温度90℃〜120℃で加熱溶解させる。次いで、ホモミクサーで撹拌しながら、熱水を徐々に添加し、転相乳化を行なう。転相後にさらに熱水を添加し、粗乳化を行ない予備乳化液をつくる。その後、これをホモジナイズ処理してエマルションの粒子を微細化する。このようにして得られたエマルションを室温に近い温度まで急冷することによって、安定なエマルションからなる上記擦れ音防止剤を作製することができる。
これらの樹脂からなる発泡樹脂成形体においては、その発泡倍率により他部材との間に擦れ音が発生しやすくなるが、上記擦れ音防止剤をその表面に塗布することにより、特に優れた擦れ音防止効果を得ることができる。
好ましくは、自動車の内装材に用いられることがよい(請求項4)。
自動車の内装材に用いられる発泡樹脂成形体には、振動が伝わることにより、擦れ音が発生し易い。さらに、自動車の内装材は、−30℃〜80℃という広範囲な温度環境に晒される。上記擦れ音防止剤が塗布された上記擦れ音抑制発泡樹脂成形体は、このような広範な温度環境下においても上述のごとく優れた擦れ音防止性能を発揮することができる。
その他にも、ドアパッド、ヘッドレスト、及びラゲージボックス等の自動車内装材に適用することができる。
本発明の実施例に係る擦れ音防止剤は、発泡樹脂成形体用の擦れ音防止剤であり、発泡樹脂成形体の表面に塗布して用いられる。擦れ音防止剤は、融点40〜100℃のワックス及び流動点−10℃以下の鉱物性油が水性分散媒体に分散されたエマルションからなる。鉱物性油の配合割合が上記ワックスに対する質量比で0.3〜6である。
各試料の擦れ音防止剤の組成を表1に示す。
次に、表1に示す各試料の擦れ音防止剤を発泡樹脂成形体に塗布して擦れ音抑制発泡樹脂成形体を作製した。
各試料の擦れ音防止剤を塗布する発泡樹脂成形体としては、発泡ポリスチレン樹脂粒子(EPS)の型内成形体、又は発泡ポリプロピレン樹脂粒子(EPP)の型内成形体を採用した。発泡樹脂成形体の発泡倍率は40倍又は60倍とした。各実施例及び比較例において用いた発泡樹脂成形体の発泡樹脂の種類及び発泡倍率を後述の表2及び表3に示す。
なお、発泡倍率は上記方法にしたがって求めた値であり、ポリスチレン、ポリプロピレンの密度をそれぞれ1.05g/cm3、0.9g/cm3とした。
存在量(g/m2)は、これをP(g/m2)とし、擦れ音防止剤を塗布する前の発泡樹脂成形体の重量をWA(g)とし、塗布・乾燥後の発泡樹脂成形体全体の重量(擦れ音抑制発泡樹脂成形体の重量)をWB(g)とし、擦れ音防止剤1g中に存在するワックスと鉱物性油との合計量をY(g/g)とし、発泡樹脂成形体表面における擦れ音防止剤を塗布した面積をA(m2)とすると、P=(WB−WA)×Y/Aという式から算出した。ここで、面積Aは、発泡樹脂成形体の外形寸法から求めた値であり、本例においては具体的には0.06m2である。
また、比較例9及び10は、ワックスのみのエマルションからなる擦れ音防止剤(試料C2)と鉱物性油のみのエマルションからなる擦れ音防止剤(試料C4)とを重ね塗りして作製した擦れ音抑制発泡樹脂成形体である。
即ち、比較例9においては、まず、試料C2の擦れ音防止剤を発泡樹脂成形体の片面に塗布して乾燥させ、次いで、試料C2を塗布した面にさらに試料C4の擦れ音防止剤を塗布して乾燥させた。
また、比較例10においては、まず、試料C4の擦れ音防止剤を発泡樹脂成形体の片面に塗布して乾燥させ、次いで、試料C4を塗布した面にさらに試料C2の擦れ音防止剤を塗布して乾燥させた。
これら比較例9及び比較例10におけるワックスと鉱物性油の存在量については、1回目の塗布時における値と2回目の塗布時における値をそれぞれ後述の表3に示す。
温度−30℃(湿度コントロールなし)、温度23℃(相対湿度50%)、及び温度80℃(湿度コントロールなし)の恒温室内に、各実施例及び比較例で作製した擦れ音抑制発泡樹脂成形体を24時間放置した。次いで、各温度条件下で、軟質塩化ビニルシート、ステンレス板、及び発泡樹脂成形体(各実施例及び比較例で用いた塗布前のものと同一のもの)の上で、各実施例及び比較例の擦れ音抑制発泡樹脂成形体を数秒間擦り、擦れ音の有無を評価した。擦れ音の発生がなかった場合を「○」として評価し、擦れ音が少し発生した場合を「△」として評価し、大きな擦れ音が発生した場合を「×」として評価した。その結果を後述の表2及び3に示す。
各実施例及び比較例の擦れ音抑制発泡樹脂成形体を、温度23℃、湿度50%の恒温室内に24時間放置した後、指触で表面のべたつきを評価した。
表面にべたつき感がない場合を「○」として評価し、ほんの少しべたつき感がある場合を「△」として評価し、かなりべたつき感がある場合を「×」として評価した。その結果を後述の表2及び表3に示す。
また、上記擦れ音防止剤は、非水溶性成分である上記ワックスと上記鉱物性油により擦れ音防止性能を発揮することができる。そのため、耐水性にも優れる。
Claims (4)
- 発泡樹脂成形体用の擦れ音防止剤であって、
融点40〜100℃のワックス及び流動点−10℃以下の鉱物性油が水性分散媒体に分散されたエマルションからなり、
上記鉱物性油の配合割合が上記ワックスに対する質量比で0.3〜6であることを特徴とする擦れ音防止剤。 - 請求項1に記載の擦れ音防止剤を発泡樹脂成形体の表面に塗布してなることを特徴とする擦れ音抑制発泡樹脂成形体。
- 請求項2に記載の擦れ音抑制発泡樹脂成形体において、上記発泡樹脂成形体は、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、及びアクリル系樹脂から選ばれる一種以上からなることを特徴とする擦れ音抑制発泡樹脂成形体。
- 請求項2又は3に記載の擦れ音抑制発泡樹脂成形体において、自動車の内装材に用いられることを特徴とする擦れ音抑制発泡樹脂成形体。
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