JP3962937B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、得られる発泡成形品が乳化剤成分と油脂成分が混在する内容物用の容器として好適な発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に発泡性スチレン系樹脂粒子は、スチーム等によって予め予備発泡させて予備発泡粒子となし、この予備発泡粒子を小孔を有する金型に充填し再度加熱し成形することができる。こうして得られた成形品は経済性,軽量性,衛生性などに優れた特性を示し包装材料,断熱材料,容器等として多くの分野で使用されている。
【0003】
ここで、発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡剤(一般に常温で液体または気体の脂肪族炭化水素,例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等)をスチレン系樹脂粒子と共に水性媒体中に分散させて、粒子に発泡剤を含浸させる方法、またはスチレン系樹脂粒子に対して溶解性を有するトルエン、シクロヘキサン等の溶剤を少量含有する水性懸濁液中で発泡剤を含浸させる方法等により製造される。そして、こうして得られた発泡性スチレン系樹脂粒子は前述の工程を経て成形される。
【0004】
しかしながら、得られた成形品は発泡性スチレン系樹脂粒子を石垣上に積み重ね、これを発泡圧と熱によって融着させたものであるため、樹脂粒子同士が一体化されていない場合がある。その結果、容器として使用するとき、収納される内容物の種類によっては、内容物が容器外壁または成形品内部に浸透してくるおそれがある。
このような浸透性を防止するためには浸透する内容物が容器内部を浸透する際、道となる成形品内部の空隙を最小限にする方法,およびこの粒子表面の表面エネルギーを小さくすることにより、浸透する内容物に対し成形品表面の接触角を大きくする方法を一般的に採ることができる。
【0005】
前者の方法として一般に行なわれているのは成形時の加熱条件を強化することであり、より欠陥の少ない成形品とするためには成形温度を低めに設定し、発泡性スチレン系樹脂粒子を長時間加熱する方法がとられている。
しかしながら、この方法は発泡性スチレン系樹脂粒子の成形加熱に長時間を要し、成形工業的には生産性を著しく低下させるため有用な方法とは言い難い。
【0006】
一方、後者の方法としては、予備発泡において発泡性スチレン系樹脂粒子の集塊化防止のために一般的に使用されている金属石鹸(カルボン酸塩)の量を、より多くすることが行なわれている。
しかしながら、この方法においても金属石鹸に起因した発泡性スチレン系樹脂粒子の融着阻害の性質を発現させないために、成形加熱時間を長くする必要があり、やはり工業的に有用な方法とはいい難い。
【0007】
そこで、より短い成形加熱時間で以て、内容物の浸透性の少ない発泡性スチレン系樹脂粒子が種々提案されている。
例えば特公昭56−34172号公報では、表面を蔗糖エステルまたはその誘導体で被覆した発泡性スチレン系樹脂粒子が、特開平2−88652号公報では特定のパーフルオロアルキル基含有共重合体等を被覆層として用いた発泡性熱可塑性樹脂粒子組成物が、特開平2−115242号公報ではリシノール酸の金属塩等を含む被覆層を有する発泡性スチレン系樹脂粒子が、および特開平3−190941号公報では特定の含フッ素ビニル系単量体と親油性単量体との共重合体で被覆した発泡性スチレン系樹脂粒子がそれぞれ開示されている。
また、特開昭62−158730号公報には、含フッ素ビニル型重合体部分と親水性ビニル型重合体部分とからなる共重合体が被覆または含有されている発泡性熱可塑性樹脂粒子が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭56−34172号公報、特開平2−88652号公報、特開平2−115242号公報および特開平3−190941号公報に開示された発泡性スチレン系樹脂粒子あるいは発泡性熱可塑性樹脂粒子組成物は、一般の水性(乳化系を含む。)あるいは油性の内容物については優れた遮蔽性(浸透防止性)を示すことができるものの、成形品に加工した際の当該成形品に収容する内容物の種類によっては浸透防止性能が不十分となるおそれがあった。
すなわち、上述した発泡性スチレン系樹脂粒子によって成形された容器はその経済性、保温性等により、幅広い用途を持つが、一部の浸透性が高い内容物の容器等として長期間使用した場合に、当該内容物が浸透してくるおそれがあった。
【0009】
もちろん、特公昭56−34172号公報等に開示された発泡性スチレン系樹脂粒子は、一部の浸透性が高い油性の内容物(例えば、乳化剤成分と油脂成分が混在するカレールウ、機械油等)についても、比較的長時間加熱成形することにより、優れた遮蔽性(浸透防止性)を示すことができる。しかしながら、長時間加熱成形することによる生産性の低下については否めない。
【0010】
また、特開昭62−158730号公報に開示された発泡性熱可塑性樹脂粒子は、含フッ素ビニル型重合体部分と親水性ビニル型重合体部分とからなる共重合体を用いているが、当該共重合体の原料である含フッ素ビニル型単量体および親水性ビニル系単量体の相溶性に乏しく、当該共重合体の特性がばらつきやすいという問題が見られた。
【0011】
したがって、特開昭62−158730号公報に開示された発泡性熱可塑性樹脂粒子を即席ラーメン等の容器(カップ)に加熱成形した場合には、流通在庫中に乳化剤成分と油脂成分が混在する油脂分、カレー成分あるいはスープ成分等の内容物が温度や湿度の影響をうけて、容器(カップ)の外壁へにじみ出てくるおそれがあった。また、機械部品の通い箱として加熱成形した場合には、当該通い箱に機械部品を機械油につけた状態で用いるため、当該通い箱を何度も繰り返して使用するうちに、機械油が通い箱の外壁へ浸透してくる場合があった。
【0012】
すなわち、前述したいずれの特許公報に開示された発泡性スチレン系樹脂粒子等においても、浸透性が高い内容物に対する遮蔽性(浸透防止性)と、成形加熱時間に代表される生産性との兼ね合い(バランス)において必ずしも満足のいくものではなかった。
【0013】
本発明は上述の問題に鑑みなされたのであり、特定の一部の浸透性が高い内容物における容器等に使用した場合であっても、収容される内容物が容器外壁または成形品内部に浸透することが少なく、かつ短時間で成形可能なこれらの特性のバランスに優れた発泡性スチレン系樹脂粒子及びこれを用いた発泡成形品を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の一般式(I)で表される含フッ素ビニル系単量体30〜95重量%および下記の一般式(II)で表されるビニル系単量体5〜70重量%を重合させて得られた含フッ素ビニル系共重合体と、プルランとを含む被覆物を、発泡性スチレン系樹脂粒子本体の表面に被覆した発泡性スチレン系樹脂粒子に関する。
【0015】
【化3】
(式中、RfはCnF2n+1 で表されるフッ化アルキル基(nは1〜16の整数)、R1は水素または炭素数1〜18のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は水素又はメチル基をそれぞれ示す。)
【0016】
【化4】
(式中、R4は水素又はメチル基、R5は4〜22のアルキル基をそれぞれ示す。)
【0017】
本発明においては、含フッ素ビニル系共重合体の被覆物が発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.005〜0.3重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0018】
また本発明においては、プルランの被覆物が発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.001〜0.1重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0019】
このように一部に親水性高分子を含んで発泡性スチレン系樹脂粒子を構成することにより、親水性高分子であるプルランが接着剤の役目を果たすとともに、含フッ素ビニル重合体がより効率的に撥油性を発揮することができるためと推定されるが、優れた内容物の遮蔽性を保持したまま、浸透性が高い油性の内容物における容器等に使用した場合であっても、収容される内容物が容器外壁または成形品内部へ浸透するおそれが著しく少なくなる。
【0020】
ここで、プルランとは、オウレオバシヂウムプルラン(Aureobasidium pullulans)によって生成される水溶性の菌体外多糖類であり、グルコピラノース残基を有する水溶性の線状グルカンと定義される。
【0021】
また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成するにあたり、被覆物中において、含フッ素ビニル系共重合体100重量部に対して、プルランを5〜150重量部の割合で含むことが好ましい。
内容物の遮蔽性および生産性の効率とのバランスに優れている観点から、被覆物中におけるプルランの使用量を、含フッ素ビニル系共重合体100重量部に対して、10〜130重量部の範囲内の値とするのがより好ましく、最適には50〜120重量部の範囲内の値とすることである。
【0022】
このような範囲でプルランを被覆物中に含むことにより、親水性成分や油成分の浸透をより効率的に防止することができる。したがって、発泡性スチレン系樹脂粒子を、浸透性が高い油性の内容物あるいは乳化剤成分と油脂成分が混在する油性の内容物に対する容器等に使用した場合であっても、収容される内容物が容器外壁または成形品内部へ浸透するおそれが少ない。
また、このようなプルランの使用量であれば、予備加熱時には、発泡性スチレン系樹脂粒子同士が凝集して集塊化するおそれが少ない一方、成形加熱時には、プルランが接着剤としての役目を果たし、優れた融着性を示すことが可能となる。
【0023】
このような範囲でプルランを被覆物中に含むことにより、親水性成分や油成分の浸透をより効率的に防止することができる。したがって、発泡性スチレン系樹脂粒子を、浸透性が高い油性の内容物あるいは乳化剤成分と油脂成分が混在する油性の内容物に対する容器等に使用した場合であっても、収容される内容物が容器外壁または成形品内部へ浸透するおそれが少ない。
また、このようなプルランの使用量であれば、予備加熱時には、発泡性スチレン系樹脂粒子同士が凝集して集塊化するおそれが少ない一方、成形加熱時には、プルランが接着剤としての役目を果たし、優れた融着性を示すことが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を具体的に説明する。
1.発泡性スチレン系樹脂粒子
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡性スチレン系樹脂粒子本体の表面に所定の含フッ素ビニル系重合体を被覆することにより得られるものである。
(1)発泡性スチレン系樹脂粒子本体
発泡性スチレン系樹脂粒子本体は、上述のように、スチレン系樹脂粒子に、発泡剤を含浸させることにより調製することができる。
【0025】
(a)スチレン系樹脂粒子
スチレン系樹脂粒子としては、特に制限はないが、例えばスチレンホモポリマー、またはスチレンモノマーと共重合可能な成分,例えばアクリロニトリル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、α−メチルスチレン,クロルスチレン,ビニルトルエン等のスチレン誘導体のモノマーなどとの一種または二種以上の共重合体を挙げることができる。
【0026】
(b)発泡剤
発泡剤としては、特に制限はないが、例えばプロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン等の脂肪族炭化水素,またはフレオン11,フレオン12等のフロン系化合物などの常温で液体または気体状の化合物を挙げることができる。
【0027】
(c)発泡剤の含浸
発泡剤の含浸方法としては、特に制限はない。発泡剤の含浸量はスチレン系樹脂粒子本体に対して3〜10重量%が好ましい。
【0028】
(2)含フッ素ビニル系共重合体
下記一般式(I)表される含フッ素ビニル系単量体と、下記一般式(II)で表されるビニル系単量体とを重合して得られるものが用いられる。
(d)含フッ素ビニル系単量体
含フッ素ビニル系単量体は、下記一般式(I)で表される化合物が用いられる。
【0029】
【化5】
(式中、RfはCnF2n+1 で表されるフッ化アルキル基(nは1〜16の整数)、R1は水素または炭素数1〜18のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は水素又はメチル基をそれぞれ示す。)
【0030】
このような含フッ素ビニル系単量体の例としては具体的に以下のものが挙げられる。
C8F17SO2-N(CH3)−CH2CH2OCOCH=CH2
C8F17SO2-N(CH3)−CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
C8F17SO2-N(C2H5)−CH2CH2OCOCH=CH2
C8F17SO2-N(C2H5)−CH2CH2OCOC(CH3)=CH2
【0031】
(e)ビニル系単量体
ビニル系単量体は、下記一般式(II)で表される化合物が用いられる。
【0032】
【化6】
(式中、R4は水素又はメチル基、R5は4〜22のアルキル基をそれぞれ示す。)
【0033】
このようなビニル系単量体の例としては、具体的に以下のものを挙げることができる。
CH2=CH−COOC11H23
CH2=C(CH3)−COOC15H31
CH2=CH−COOC17H35
CH2=C(CH3)−COOC17H35
【0034】
(f)重合割合
一般式(I)で表される含フッ素ビニル系単量体及び一般式(II)で表されるビニル系単量体との重合割合は、含フッ素ビニル系単量体40〜95重量%、ビニル系単量体5〜60重量%とされる。含フッ素ビニル系単量体の重合割合が40重量%未満であると成形品としたときに十分な撥水,撥油性を付与することは困難となり、また95重量%を越えると、成形における熱融着を阻害することになる。
【0035】
(g)重合方法
本発明における含フッ素ビニル系共重合体の重合方法としては、特に制限はないが、例えば溶液重合、乳化重合等を挙げることができる。重合に用いられる重合開始剤としては、溶液重合においては過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル,tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパ−オキシピバレート等を挙げることができる。また、乳化重合に於いては、過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0036】
(h)含フッ素ビニル系共重合体の使用量
本発明における含フッ素ビニル系共重合体の被服物は発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.005〜0.3重量部の範囲内の値とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.2重量部である。含フッ素ビニル系共重合体の被覆物が0.005重量部未満では十分な撥油性が得られない傾向があり、また0.3重量部を超えても得られる発泡成形品の特性が向上しない傾向がある。
【0037】
(3)プルラン
(i)プルランの種類
本発明に使用できるプルランは、商業的に入手できるものをそのまま使用することができ、例えば、林原生化学研究所製プルランPF−20を使用することができる。そして、上述したとおり、平均分子量が500〜100、000の範囲内のプルランを使用するのが好ましい。
また、上述したとおり、エステル化されたプルラン、エーテル化されたプルランあるいは水添されたプルランが好ましい。
【0038】
さらに、プルランの形態として特に制限されるものではないが、濃度1〜30重量%の水溶液とするのが好ましい。そして、作業性が良好な観点から、当該プルランの濃度5重量%の水溶液粘度が、1〜100センチポイズ(cp)の範囲内の値、より好ましくは10〜80センチポイズ(cp)の範囲内の値である。
また、加熱成形時の発泡性スチレン系樹脂粒子同士の融着性がより良好な観点から、プルランのガラス転移点を、30〜100℃の範囲内の値とするのが好ましく、より好ましくは、40〜80℃の範囲内の値である。
【0039】
なお、プルランのガラス転移点を調整したり、柔軟性を改良したり、あるいは含フッ素ビニル系単量体との混合性をより良好とするために、添加剤として、グリセリン、エチレングリコール、DBP(ジブチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)、アルギン酸アミド、アクリルアミド、澱粉、CMC、メチルセルロース、グリオキサゾール、ジメチロール尿素等の一または二以上を添加することができる。
【0040】
(j)プルランの使用方法
プルランは、含フッ素ビニル系単量体と混合後に発泡性スチレン系樹脂粒子本体に対して被覆処理することも可能であるし、また、含フッ素ビニル系単量体とは別に、単独で発泡性スチレン系樹脂粒子本体に対して被覆処理してもよい。
含フッ素ビニル系単量体と混合後に被覆処理することにより、一度の操作で発泡性スチレン系樹脂粒子本体に対して被覆処理することができる点で好ましく、一方、単独で発泡性スチレン系樹脂粒子本体に対して被覆処理することにより、含フッ素ビニル系単量体との分離による濃度むらが生じるおそれが少なくなる点で好ましい。
【0041】
(4)その他の被覆剤
発泡性スチレン系樹脂粒子本体の被覆においては、前述の共重合体のほかに従来公知の被覆剤を併用することができる。例えば、一次発泡における集塊化防止のため使用されるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、エチレンビスアミド、ステアリン酸アミドのような高級脂肪酸アミドを挙げることができる。これらの集塊化防止剤は発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対し0.05〜0.5重量部の範囲内で使用することが好ましい。中でも集塊化防止効果に特に優れており、また安価で経済的観点からステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0042】
また成形工程においてこの発泡性スチレン系樹脂粒子本体の融着促進効果のある添加剤も使用可能である。かかる物質としては従来公知のものが使用できる。例えばステアリン酸グリセライド、オレイン酸グリセライドなどの高級脂肪酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル類、蔗糖エステル類等の1種または2種以上が使用できる。
【0043】
さらに、一次発泡性スチレン系樹脂粒子本体の静電防止剤として使用されるグリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール類、ソルビタンエステル、高級脂肪酸のエチレングリコール付加物等のノニオン系界面活性剤の、1種または2種以上の併用も可能である。これら静電防止剤は発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対し0.005〜0.2重量部の範囲内で使用することが好ましい。
【0044】
(5)被覆の形成
本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子本体の表面への含フッ素ビニル系共重合体およびプルランの被覆物の形成方法は、特に制限はなく従来既知の手段で行なうことができる。
例えば、リボンブレンダー、V形ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等の混合機を用い、室温、100〜10、000rpmの回転数、および10秒〜1時間の撹拌時間の条件で、発泡性スチレン系樹脂粒子本体、含フッ素ビニル系共重合体、プルラン及び前述の被覆剤各成分等をそれぞれ混合することによって被覆形成することができる。
但し、発泡性スチレン系樹脂粒子本体、含フッ素ビニル系共重合体、プルラン及び前述の被覆剤各成分等をそれぞれ個別に層状に被覆形成することもできる。
【0045】
2.発泡成形品
本発明の発泡成形品は、前述の発泡性スチレン系樹脂粒子を成形することによって得ることができる。すなわち、上述した発泡性スチレン系樹脂粒子を使用することにより、短い成形加熱時間で以て、発泡粒子同士が強固に融着しかつその粒子界面が優れた撥油性を有する発泡成形品を得ることができる。
ここで、具体的な成形加熱条件は特に制限されるものではないが、前述したとおり、金型等を用いて、加熱温度が90〜150℃、加熱時間が1〜60秒の条件で発泡成形するのが好ましい。従って、このように本発明の発泡成形品を製造すれば、例えば発泡成形品(容器)内に、ラ−ド、即席ラ−メン類、カレ−ルウ、マヨネ−ズ、マ−ガリン等の浸透性の高い油性及び脂肪性の食品あるいは機械油等を直接包装あるいは収容しても、当該発泡成形品を構成する発泡性スチレン系樹脂粒子間から容器外へ油脂等が浸透するのを有効に防止することができ、発泡成形品の製品寿命を長くすることも可能となる。
【0046】
【実施例】
次に実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
[実施例1]
(a) 試料の作製
発泡剤として5.5重量%のペンタン(isoーペンタン/nーペンタンの重量比=30/70)を含む直径0.35〜0.60mmの発泡性ポリスチレン粒子(日立化成工業社製ハイビーズ5SG)2000gをヘンシェルミキサーに入れ、攪拌しながらステアリン酸亜鉛6g,シュガーエステル(第一工業製薬社製A−10E)0.4g,グリセリン0.4g,およびプルラン(林原製 プルラン PF-20)0.4gを溶解した、含フッ素ビニル系共重合体の20%エマルジョンであって重合体を構成する単量体割合が、
C8F17SO2-N(CH3)−CH2CH2OCOCH=CH2 70重量%
CH2=C(CH3)−COOC17H35 30重量%
である共重合体エマルジョン2.2g(含フッ素ビニル系共重合体の固形分0.4g)を順次加え被覆された発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
【0047】
これをバッチ式一次発泡装置で熱風とスチームの混合気を熱媒として嵩密度10ml/gになるよう発泡させ、一次発泡樹脂粒子を得た。常温常圧下で16時間熟成したのち内容積500CC,肉厚2.0mmの成形品を得るための金型に充填し表1に示す加熱時間で加熱成形した。このとき加熱時間以外に原料充填,冷却,その他で8秒を要した。
【0048】
(b) 性能評価
得られたカップに、1)油脂の遮蔽性の確認として、カレールウ200gを入れたのち、サランラップで包装し、60℃雰囲気下で浸出テスト 2)乳化剤の遮蔽性の確認として、界面活性剤水溶液(花王社製スコアロール700:0.1重量%)を約300g入れ、カップ外壁に浸透を開始する時間を測定した結果を表1に示す。
【0049】
[比較例1]
実施例1において、含フッ素共重合体のみを除いて発泡性スチレン系樹脂粒子としたこと以外は実施例1と同様にしてカップ状成形品を得た。評価結果を表1に示す。
【0050】
[比較例2]
実施例1において、プルランのみを除いて発泡性スチレン系樹脂粒子としたこと以外は実施例1と同様にしてカップ状成形品を得た。評価結果を表1に示す。
【0051】
[比較例3]
実施例1において、含フッ素共重合体およびプルランを除いて発泡性スチレン系樹脂粒子としたこと以外は実施例1と同様にしてカップ状成形品を得た。評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】
本発明により、発泡成形品(カップ)を成形した場合に、浸透性の高い内容物であっても、当該内容物が発泡成形品の外壁まで浸透する時間(浸透時間)を著しく長くすることができるようになった。そして、特にカレールウのような浸透性の高い内容物に対しても優れた遮蔽性を示し、当該内容物を著しく長い間保持することができるようになった。
また、このように発泡性スチレン系樹脂粒子を構成することにより、上記の優れた遮蔽性を有しながら、当該発泡性スチレン系樹脂粒子の生産性を損なうことがない。
本発明により、浸透性の高い内容物の遮蔽性と加熱成形性とのバランスに優れた発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品を提供することが出来るようになった。
Claims (4)
- 含フッ素ビニル系共重合体の被覆物を発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.005〜0.3重量部の範囲内の値とした請求項1記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
- プルランの被覆物を発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量部に対して、0.001〜0.1重量部の範囲内の値とした請求項1または2記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成形品。
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