JP2003138055A - 発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品

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JP2003138055A
JP2003138055A JP2001333869A JP2001333869A JP2003138055A JP 2003138055 A JP2003138055 A JP 2003138055A JP 2001333869 A JP2001333869 A JP 2001333869A JP 2001333869 A JP2001333869 A JP 2001333869A JP 2003138055 A JP2003138055 A JP 2003138055A
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fluorine
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copolymer
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JP2001333869A
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Tomiji Takahashi
東洋士 高橋
Mitsuo Tateishi
光生 舘石
Hiroshi Nakakuki
弘 中岫
Tetsuya Kato
哲也 加藤
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器等に使用した場合に収納される内容物が
容器外壁または成形品内部へ浸透することが少なく、か
つ短時間で成形可能な発泡成形品及びこの発泡成形品を
製造可能とする発泡性スチレン系樹脂粒子を提供する。 【解決手段】 下記式(1)で表される含フッ素ビニル
系単量体、下記式(2)で表されるビニル系単量体及び
下記式(3)で表されるビニル系単量体を重合して得ら
れる含フッ素ビニル系共重合体と、ポリビニルアルコー
ル系樹脂とを含む被覆物を、発泡性スチレン系樹脂粒子
本体の表面に被覆した発泡性スチレン系樹脂粒子及びこ
れを用いた発泡成形品。 【化1】 (式中R1 は水素原子又はメチル基、R2 は炭素数1〜
10のアルキレン基、R f はCn2n+1で表されるパー
フルオロアルキル基で、nは5〜16の整数である) 【化2】 (式中R3 は水素原子又はメチル基、R4 は炭素数4〜
22のアルキル基である) 【化3】 (式中R5は水素原子又はメチル基である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発泡性スチレン系樹
脂粒子及びこれを用いた発泡成形品に関する。さらに詳
しくは、浸透性の高い内容物、例えば乳化剤成分と油脂
成分が混在する内容物の容器、エアーコンディショナー
に用いられるドレンパン(露受け皿)等として使用する
に適した発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に発泡性スチレン系樹脂粒子は(単
に樹脂粒子と称する場合もある。)、スチーム等によっ
て予め予備発泡させて予備発泡粒子となし、この予備発
泡粒子を小孔を有する金型に充填し再度加熱し成形す
る。こうして得られた成形品は経済性、軽量性、衛生性
などに優れた特性を示し包装材料、断熱材料、容器等と
して多くの分野で使用されている。
【0003】ここで、発泡性スチレン系樹脂粒子は、発
泡剤(一般に常温で液体または気体の脂肪族炭化水素、
例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等)をス
チレン系樹脂粒子と共に水性媒体中に分散させて、粒子
に発泡剤を含浸させる方法、スチレン系樹脂粒子に対し
て溶解性を有するトルエン、シクロヘキサン等の溶剤を
少量含有する水性懸濁液中で発泡剤を含浸させる方法等
により製造される。そして、こうして得られた発泡性ス
チレン系樹脂粒子は前述の工程を経て成形される。
【0004】しかしながら、得られた成形品は発泡性ス
チレン系樹脂粒子を石垣上に積み重ね、これを発泡圧と
熱によって融着させたものであるため、この粒子は一体
化されていない場合がある。その結果、容器として使用
するとき、収納される内容物によっては内容物が容器外
壁または成形品内部に浸透してくるおそれがある。この
ような浸透性を防止するためには浸透する際、道となる
成形品内部の空隙を最小限とする方法及びこの粒子表面
の表面エネルギーを小さくすることにより浸透する内容
物に対し成形品表面の接触角を大きくする方法を一般に
採ることが出来る。
【0005】前者の方法として一般に行なわれているの
は成形時の加熱を強くすることであり、より欠陥の少な
い成形品とするためには成形温度を低めに設定し長時間
加熱する方法がとられている。しかしながら、この方法
は、工業的には生産性を著しく低下させるため有用な方
法とは言い難い。
【0006】一方、後者の方法としては予備発泡におい
て発泡性スチレン系樹脂粒子の集塊化防止のため一般的
に使用されている金属石鹸(カルボン酸塩)の量を、よ
り多くすることが行われている。しかしながら、この方
法においても金属石鹸に起因した発泡性スチレン系樹脂
粒子の融着阻害の性質を発現させないために、成形加熱
時間を長くする必要があり、やはり工業的に有用な方法
とはいい難い。
【0007】そこで、より短い成形時間で内容物の浸透
性の少ない発泡性スチレン系樹脂粒子が種々提案されて
いる。例えば特開平2−88652号公報では特定され
たパーフルオロアルキル基を有する共重合体による表面
被覆、特開平3−190941号公報では特定された含
フッ素ビニル系単量体と親油性単量体との共重合体によ
る表面被覆、特公平4−53890号公報では、含フッ
素ビニル型重合体部分と親水性ビニル型重合体部分とか
らなる共重合体の被覆または含有、特開平11−181
141号公報及び特開平11−263868号公報で
は、特定されたフッ素ビニル系単量体とビニル系単量体
との共重合体と水溶性樹脂を含む被覆物を被覆してなる
発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−88652号公報及び特開平3−190941号公
報に開示された方法では、一般の水性(乳化系含む)あ
るいは油性の内容物については優れた遮蔽性(浸透防止
性)を示すことができるものの、成形品に加工した際の
当該成形品に収容する内容物の種類によっては浸透防止
性能が不十分となるおそれがあった。すなわち、上述し
た発泡性スチレン系樹脂粒子によって成形された容器は
その経済性、保温性等により、幅広い用途を持つが、一
部の浸透性が高い内容物の容器等として長期間使用した
場合に、当該内容物が浸透してくるおそれがあった。
【0009】また、特公平4−53890号公報に開示
される発泡性スチレン系樹脂粒子は、含フッ素ビニル型
重合体部分と親水性ビニル型重合体部分とからなる共重
合体を用いているが、当該共重合体の原料である含フッ
素ビニル型単量体及び親水性ビニル型単量体の相溶性に
乏しく、当該共重合体の特性がばらつきやすいという問
題が見られた。
【0010】したがって、特公平4−53890号公報
に開示された発泡性熱可塑性樹脂粒子を即席ラーメン等
の容器(カップ)に加熱成形した場合には、流通在庫中
に乳化剤成分と油脂成分が混在する油脂分、カレー成
分、スープ成分等の内容物が温度や湿度の影響を受け
て、容器(カップ)の外壁へにじみ出てくるおそれがあ
った。また、エアーコンディショナーのドレンパン(露
受け皿)用の成形品容器として使用した場合において
も、ドレン水及びエアーコンディショナーのフィルター
洗浄に使用される洗浄剤等に含まれる界面活性剤が、長
期間の使用において、成形品外壁へ浸透してくるおそれ
があった。
【0011】また、特開平11−181141号公報及
び特開平11−263868号公報に開示された発泡性
スチレン系樹脂粒子は、特定されたフッ素ビニル系単量
体とビニル系単量体からなる共重合体と水溶性樹脂を用
いているが、共重合体の造膜性や共重合体と水溶性樹脂
の密着性が十分でなく、浸透性が高い内容物に対する遮
蔽性(浸透防止性)と、成形加熱時間に代表される生産
性との兼ね合い(バランス)において必ずしも満足のい
くものではなかった。本発明は上述の問題に鑑みなされ
たものであり、容器等に使用した場合に収納される内容
物が容器外壁または成形品内部へ浸透することが少な
く、かつ短時間で成形可能な発泡成形品及びこの発泡成
形品を提供する製造を可能とする発泡性スチレン系樹脂
粒子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式(1)
で表される含フッ素ビニル系単量体、下記式(2)で表
されるビニル系単量体及び下記式(3)で表されるビニ
ル系単量体を重合して得られる含フッ素ビニル系共重合
体と、ポリビニルアルコール系樹脂とを含む被覆物を、
発泡性スチレン系樹脂粒子本体の表面に被覆した発泡性
スチレン系樹脂粒子に関する。
【0013】
【化4】
【0014】(式中R1 は水素原子又はメチル基、R2
は炭素数1〜10のアルキレン基、R f はCn2n+1
表されるパーフルオロアルキル基で、nは5〜16の整
数である)
【0015】
【化5】
【0016】(式中R3 は水素原子又はメチル基、R4
は炭素数4〜22のアルキル基である)
【0017】
【化6】
【0018】(式中R5は水素原子又はメチル基であ
る)
【0019】このように分子内にグリシジル基を有する
単量体を共重合することにより、ポリビニルアルコール
系樹脂との密着力が向上し、顕著に撥水撥油性を発現す
るためと推定されるが、優れた内容物の遮蔽性を保持し
たまま、浸透性が高い油性の内容物における容器等に使
用した場合であっても、収容される内容物が容器外壁へ
浸透するおそれが著しく少なくなる。
【0020】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、被覆物中において、含フッ素ビニル系共重
合体100重量%に対して、ポリビニルアルコール系樹
脂を5〜100重量%の割合で含むことが好ましい。こ
のような範囲でポリビニルアルコール系樹脂を被覆物中
に含むことにより、親水性成分や油成分の浸透をより効
率的に防止することが出来る。したがって、発泡性スチ
レン系樹脂粒子を、浸透性が高い油性の内容物あるいは
乳化剤成分、さらに乳化剤成分と油脂成分が混在する油
性の内容物に対する容器等に使用した場合であっても、
収容される内容物が容器外壁又は成形品内部へ浸透する
おそれが少なくなる。また、このようなポリビニルアル
コール系樹脂の使用量であれば、予備発泡時には、発泡
性スチレン系樹脂粒子同士が、凝集して集塊化するおそ
れが少ない一方、成形加熱時には、ポリビニルアルコー
ル系樹脂粒子が接着剤としての役目を果たし、優れた融
着性を示すことが可能となる。内容物の遮蔽性及び生産
性の効率のバランスから、被覆物中におけるポリビニル
系樹脂の使用量を、含フッ素ビニル系共重合体100重
量%に対して、10〜90重量%の範囲内の値とするの
がより好ましく、25〜75重量%の範囲内とすること
がさらに好ましい。
【0021】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、使用するポリビニルアルコール系樹脂の鹸
化度(JIS K 6726に準拠)を、70〜99.9
mol%の範囲とするのが好ましい。ポリビニルアルコ
ール系樹脂の鹸化度がこの範囲であれば、より効率的に
油成分の浸透を防止して、浸透性が高い油性の内容物に
おける容器等に使用した場合でも、収容される内容物が
容器外壁又は成形品内部へ浸透する恐れがより少なくな
る。また、このような範囲の鹸化度であれば、優れた内
容物の遮蔽性を保持したまま、短時間で成形可能な発泡
性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品を提供することが
可能となる。さらに、ポリビニルアルコール系樹脂の鹸
化度がこのような範囲の値であれば、発泡性スチレン系
樹脂粒子本体との密着力をより向上させることもでき
る。
【0022】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、ポリビニルアルコール系樹脂が、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルホルマール及びポリビニルブ
チラールからなる群から選択された少なくとも一つの樹
脂であることが好ましい。かかるポリビニルアルコール
系樹脂は、一定量の水酸基やビニル基を有しており、浸
透性が高い油性の内容物における容器等に使用した場合
であっても、収容される内容物が容器外壁又は成形品内
部へ浸透することが少なく、かつ短時間で成形可能な発
泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形品を提供すること
が可能となる。
【0023】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、使用するポリビニルアルコール系樹脂の重
合度を(JIS K 6726に準拠)を、300〜60
000の範囲とするのが好ましい。ポリビニルアルコー
ル系樹脂の重合度がこの範囲であれば、当該樹脂自身の
耐熱性が高くなり、また、発泡性スチレン系樹脂粒子本
体との密着力もより向上するためである。したがって、
浸透性が高い、比較的高温の油性の内容物における容器
等に使用した場合であっても、収容される内容物が容器
外壁または成形品内部へ浸透することが少なくなる。さ
らには、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度がこのよ
うな範囲の値であれば、成形加熱時に、発泡性スチレン
系樹脂粒子の融着性を阻害するおそれもより少ないため
である。内容物の遮蔽性及び生産性の効率とバランスが
より優れている観点から、ポリビニルアルコール系樹脂
の重合度を、400〜1000の範囲とするのが好まし
く、500〜800の範囲とすることがより好ましい。
【0024】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、使用する含フッ素ビニル系共重合体を、水
系エマルション(水系エマルジョンと称することもあ
る。)とすることが好ましい。また、発泡性スチレン系
樹脂粒子を構成するにあたり、使用するポリビニルアル
コール系樹脂を、水溶液とすることが好ましい。使用す
る含フッ素ビニル系共重合体及びポリビニルアルコール
系樹脂又はいずれか一方が、水系エマルション又は水溶
液であれば、任意の量で、含フッ素ビニル系共重合体と
ポリビニルアルコール系樹脂とを均一に混合することが
できる。
【0025】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、含フッ素ビニル系共重合体が、塩化ビニル
をさらに含んで重合させて得られたものであることが好
ましい。
【0026】このように分子内に塩化ビニルを含む含フ
ッ素ビニル共重合体とすることにより、共重合体の造膜
性が向上し、浸透性が高い油性の内容物における容器等
に使用した場合であっても、収容される内容物が容器外
壁または成形品内部へ浸透することが少なく、かつ短時
間で成形可能な発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡成形
品を提供することが可能となる。
【0027】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、被覆物(含フッ素系ビニル系共重合体及び
ポリビニルアルコール系樹脂を含む)の被覆量を、発泡
性スチレン系樹脂粒子100重量%に対して、0.00
3〜0.3重量%の範囲とするのが好ましい。被覆物の
被覆量がこのような範囲内の値であれば、油成分等の浸
透をより効率的に防止して浸透性が高い油性の内容物に
おける容器等に使用した場合であっても、収容される内
容物が容器外壁または成形品内部へ浸透することが少な
くなる。また、このような範囲の被覆量であれば、より
短時間で成形可能な発泡性スチレン系樹脂粒子及び発泡
成形品を提供することが可能となる。内容物の遮蔽性及
び生産性の効率とバランスにより優れている観点から、
被覆物の被覆量を、発泡性スチレン系樹脂粒子100重
量%に対して、0.01〜0.15重量%の範囲とする
のがより好ましい。
【0028】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、被覆物中のポリビニルアルコール系樹脂の
量を、発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量%に対
して、0.001〜0.1重量%の範囲とするのが好ま
しく、発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量%に対
して、0.005〜0.05重量%の範囲とするのがさ
らに好ましい。
【0029】また、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成す
るにあたり、被覆物中の含フッ素ビニル系共重合体の量
を、前記発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量%に
対して、0.002〜0.2重量%の範囲とするのが好
ましく、発泡性スチレン系樹脂粒子100重量%に対し
て、0.005〜0.1重量%の範囲とするのがさらに
好ましい。また、本発明になる発泡性スチレン系樹脂粒
子を用いて、通常の方法により発泡成形を行ない発泡成
形品を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。 1.発泡性スチレン系樹脂粒子 本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡性スチレン
系樹脂粒子本体の表面に上記の含フッ素ビニル系共重合
体とポリビニルアルコール系樹脂とを含む被覆物を被覆
することにより得られるものである。 (1)発泡性スチレン系樹脂粒子本体 発泡性スチレン系樹脂粒子本体は、スチレン系樹脂粒子
に、発泡剤を含浸させることにより調製することができ
る。
【0031】1)スチレン系樹脂粒子 スチレン系樹脂粒子としては、特に制限はないが、例え
ばスチレンホモポリマー、またはスチレンモノマーと共
重合可能な成分、例えばアクリロニトリル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステ
ル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチル等のアクリル酸エステル類、α−メチルスチレ
ン、クロルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導
体のモノマーなどとスチレンモノマーとの一種または二
種以上の共重合体を挙げることができる。
【0032】2)発泡剤の種類 発泡剤としては、特に制限はないが、例えばプロパン、
ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、又は
フレオン11、フレオン12等のフロン系化合物などの
常温で液体または気体状の化合物を挙げることができ
る。
【0033】3)発泡剤の含浸方法及び含浸量 発泡剤の含浸方法としては、特に制限はなく、従来一般
的に使用されてきた方法を採用することができる。ま
た、スチレン系樹脂粒子への発泡剤の含浸量を1〜10
重量%の範囲とするのが好ましい。
【0034】2.含フッ素ビニル系共重合体 含フッ素ビニル系共重合体としては、上記式(1)で表
される含フッ素ビニル系単量体、上記式(2)で表され
るビニル系単量体(第1のビニル系単量体と称する。)
及び上記式(3)で表されるビニル系単量体(第2のビ
ニル系単量体と称する)を重合して得られる含フッ素ビ
ニル系共重合体を用いてもよく、上記式(1)で表され
る含フッ素ビニル系単量体、上記(2)で表されるビニ
ル系単量体、上記式(3)で表されるビニル系単量体及
び塩化ビニルを重合して得られる共重合体を用いてよ
い。 (1)含フッ素ビニル系単量体 上記式(1)で表される含フッ素系ビニル系単量体とし
ては、具体的に以下のものが挙げられる。
【0035】
【化7】
【0036】上記式(2)で表されるビニル系単量体と
しては、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリ
レート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレー
ト等の高級アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸と
のエステルを挙げることができる。上記式(3)で表さ
れるビニル系単量体としては、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0037】(4)重合割合 上記式(1)で表される含フッ素ビニル系単量体、上記
式(2)で表されるビニル系単量体(第1のビニル系単
量体)及び上記式(3)で表されるビニル系単量体(第
2のビニル系単量体)を重合して得られる含フッ素ビニ
ル系共重合体の場合、全体量を100重量%としたと
き、含フッ素ビニル系単量体の重合割合を30〜90重
量%の範囲、第1のビニル系単量体の重合割合を5〜4
0重量%の範囲、第2のビニル系単量体の重合割合を1
〜10重量%の範囲とすることが好ましい。この割合と
したときに、成形における熱融着が阻害されず成形品と
したとき、十分な撥水、撥油性を付与することができ
る。成形性と撥水撥油性とのバランスがより良好な観点
から、全体量を100重量%としたときに、含フッ素ビ
ニル系単量体の重合割合を50〜80重量%の範囲、第
1のビニル系単量体の重合割合を15〜30重量%の範
囲及び第2のビニル系単量体の重合割合を2〜6重量%
の範囲とするのがより好ましい。
【0038】また、上記式(1)で示される含フッ素系
ビニル系単量体、上記(2)で示されるビニル系単量体
(第1のビニル系単量体)、上記式(3)で示されるビ
ニル系単量体(第2のビニル系単量体)及び塩化ビニル
を重合して得られる含フッ素ビニル系共重合体の場合、
全体量を100重量%としたときに、含フッ素ビニル系
単量体の重合割合を50〜80重量%の範囲、第1のビ
ニル系単量体の重合割合を10〜30重量%の範囲、第
2のビニル系単量体の重合割合を1〜10重量%の範囲
及び塩化ビニルの重合割合を5〜20重量%の範囲とす
ることが好ましい。この割合としたときに、撥水撥油性
が低下しない。成形性と撥水撥油性のバランスがより良
好な観点から、含フッ素ビニル系単量体の重合割合を5
0〜75重量%の範囲、第1のビニル系単量体の重合割
合を10〜25重量%の範囲、第2のビニル系単量体の
重合割合を2〜6重量%の範囲及び塩化ビニルを10〜
20重量%の範囲とすることがより好ましい。
【0039】(5)重合方法 本発明における含フッ素ビニル系共重合体の重合方法と
しては、特に制限はないが、例えば溶液重合、乳化重
合、懸濁重合等を挙げることができる。また、共重合し
ようとする単量体を界面活性剤の存在下に水に乳化させ
撹拌下に共重合させる場合、重合に用いられる重合開始
剤としては、過酸化物系、アゾ系、過硫酸系等を挙げる
ことができる。また、界面活性剤としても、陰イオン
性、陽イオン性または非イオン性の各種乳化剤のほとん
ど全てを使用できる。 合成例 温度計、撹拌機を装着したガラス製オートクレーブに、
817CH2 CH2OCOCH=CH2 60g、C18
37OCOCH=CH2 22g、
【化8】 CH2 =CHCl 14g、純水250g、アセトン5
0g、n−ドデシルメルカプタン0.2g、アゾビスイ
ソブチルアミジン二塩酸塩1g及びポリオキシエチレン
アルキルフェノール3gを仕込み、窒素気流下に撹拌
し、充分乳化させた。この乳化液を60℃に加熱して5
時間反応させて重合を行い、その後冷却して共重合体を
得た。得られた乳化分散体は、固形分濃度25重量%を
示す共重合体であった。
【0040】(6)含フッ素ビニル系共重合体の性状 前述したとおり、使用する際に水系エマルション(水系
エマルジョンと称する場合もある)であることが好まし
い。水系エマルションであれば、含フッ素ビニル系共重
合体とポリビニル系樹脂とを均一に混合することができ
るためである。
【0041】3.ポリビニルアルコール系樹脂 (1)ポリビニル系アルコール系樹脂の種類 本発明に使用できるポリビニルアルコール系樹脂は、商
業的に入手できるものをそのまま使用することができる
が、上述したとおり当該ポリビニルアルコール系樹脂の
鹸化度(JIS K 6726(ポリビニルアルコール試
験法)に準拠)を、70〜99.9mol%の範囲内の
値としたものが好ましい。また、上述したように、当該
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度(JISK 67
26に準拠)を、300〜60000の範囲内の値とし
たものが好ましい。また、同じく上述したように、当該
ポリビニルアルコール系樹脂が、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルホマール及びポリビニルブチラールから
なる群から選択された少なくとも一つの樹脂であるのが
好ましい。また、同じく上述したように、ポリビニルア
ルコール系樹脂が水溶液であるのが好ましい。また、作
業性の観点から、ポリビニルアルコール系樹脂として、
当該ポリビニルアルコール系樹脂の4重量%水溶液粘度
が、1〜100センチポイズ(cp)の範囲が好まし
く、10〜80センチポイズ(cp)の範囲がより好ま
しい。
【0042】(2)ポリビニルアルコール系樹脂の使用
量 ポリビニルアルコール系樹脂は、含フッ素ビニル系共重
合体と混合後に発泡性スチレン系樹脂粒子本体に対して
被覆処理することも可能であるし、また、含フッ素ビニ
ル系共重合体とは別に、単独で発泡性スチレン系樹脂粒
子本体に対して被覆処理することも好ましい。含フッ素
ビニル系共重合体と混合後に被覆処理することが、一度
の操作で発泡性スチレン系樹脂粒子本体に対して被覆処
理できる点で好ましい。
【0043】4.その他の被覆剤 発泡性スチレン系樹脂粒子本体の被覆においては、前述
の共重合体及びポリビニルアルコール系樹脂のほかに従
来公知の被覆剤を併用することができる。例えば、一次
発泡における集塊化防止のため使用されるステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸エチレン
ビスアミド、ステアリン酸アミドのような高級脂肪酸ア
ミドを挙げることができる。これらの集塊化防止剤は発
泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量%に対し0.0
5〜0.5重量%の範囲内で使用することが好ましい。
中でも集塊化防止効果に特に優れており、また安価で経
済的観点からステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0044】また成形工程においてこの発泡性スチレン
系樹脂粒子本体の融着促進効果のある添加剤も使用可能
である。かかる物質としては従来公知のものが使用でき
る。例えばステアリン酸グリセライド、オレイン酸グリ
セライドなどの高級脂肪酸のトリエステル、ジエステ
ル、モノエステル類、蔗糖エステル類等の1種または2
種以上が使用できる。これらの添加剤は発泡性スチレン
系樹脂本体100重量%に対し0.005〜0.05重
量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0045】さらに、一次発泡性スチレン系樹脂粒子本
体の静電防止剤として使用されるグリセリン、ソルビト
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール等の多価アルコール類、ソルビタンエステル、高級
脂肪酸のエチレングリコール付加物等のノニオン系界面
活性剤の1種または2種以上の併用も可能である。これ
らの静電防止剤は発泡性スチレン系樹脂粒子本体100
重量%に対し0.005〜0.2重量%の範囲内で使用
することが好ましい。
【0046】5.被覆物の形成 本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子本体の表面へ
の含フッ素ビニル系共重合体及びポリビニルアルコール
系樹脂の被覆物の被覆する方法は、特に制限はなく従来
既知の手段で行なうことができる。例えば、リボブレン
ダー、V形ブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲ
ミキサー等の混合機を用い、室温、100〜10000
rpmの回転数及び10秒〜1時間の撹拌時間の条件
で、発泡性スチレン系樹脂粒子本体、含フッ素ビニル系
共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂及び前述の被覆
剤各成分等を混合することによって被覆形成することが
できる。また、発泡性スチレン系樹脂粒子本体、含フッ
素ビニル系共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂及び
前述の被覆剤各成分等をそれぞれ個別に加えて層状に被
覆形成することもできる。
【0047】6.発泡成形品 本発明の発泡成形品は、前述の発泡性スチレン系樹脂粒
子を成形することによって得ることができる。すなわ
ち、上述した発泡性スチレン系樹脂粒子を使用すること
により、短い成型時間で以て、発泡粒子同士が強固に融
着しかつその粒子界面が優れた撥水撥油性を有する発泡
成形品を得ることができる。本発明の発泡成形品を製造
すれば、例えば成形品容器は、これにラード、即席ラー
メン類、カレールウ、マヨネーズ、マーガリン等の油性
及び脂肪性の食品を直接包装しても、またエアーコンデ
ィショナーに用いられるドレンパン(露受け皿)に用い
ても、当該発泡成形品を構成する発泡性スチレン系樹脂
粒子間から容器外へ油脂や界面活性剤が浸透するのを防
止することができ、発泡成形品の製品寿命を長くするこ
とも可能となる。
【0048】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらに限定されるものではな
い。
【0049】[実施例1] (1)試料の作成 発泡剤として5.5重量%のペンタンを含む平均粒子径
(直径)0.35〜0.60mmの発泡性ポリスチレン
粒子本体(日立化成工業社製ハイビーズ5SG)200
0gをヘンシェルミキサーに入れた。次いで、500〜
1000rpmの回転数で撹拌しながらステアリン酸亜
鉛6g、シュガーエステル(第一工業製薬社製A−10
E)0.4g、ポリエチレングリコール(三洋化成工業
社製PEG−400)0.4g及び鹸化度が80mol
%であって、4%溶液粘度が5cpであるポリビニルア
ルコール(日本合成化学工業社製EG−05)0.2g
の水溶液及び含フッ素ビニル系共重合体の25重量%の
水性エマルション1.6gを順次加えた。なお、含フッ
素ビニル系共重合体を構成する単量体の種類及び割合は
以下の通りである。
【0050】
【化9】
【0051】ついで、約90秒間撹拌を続けた後、撹拌
を止めて、原料とした。ついで、スチームを熱媒とした
バッチ式一次発泡装置を用い、当該原料を嵩密度10m
l/gになるよう発泡させ、一次発泡樹脂粒子を得た。
その後、常温常圧下で8時間熟成したのち、内容積50
0cc、肉厚2.0mmの成形品を得るための金型に充
填した。それから、表1に示す加熱時間で加熱成形し
た。なお、このとき加熱時間以外に、原料充填時間、冷
却時間、その他で8秒を要した。
【0052】(2)性能評価 1)融着度の測定 発泡成形品を手で以て割り、破断面を露出させた。つい
で、当該破断面を光学顕微鏡で観察し、単位面積あたり
の凝集破壊している部分の面積割合を融着度(%)とし
て測定した。なお、発泡性スチレン系樹脂粒子同士が良
好に融着している場合には、破断面において凝集破壊し
ている部分が多くなり、逆に発泡性スチレン系樹脂粒子
同士の融着が不十分な場合には、粒子界面で破壊される
こととなる。
【0053】2)界面活性剤の遮蔽性テスト 加速試験として界面活性剤に対する遮蔽性テストを行っ
た。すなわち、水1000gに、ノニオン界面活性剤
(花王社製スコアロール700)を1.0gと着色剤と
してエリオクロームブラックTを0.05g入れた水溶
液とし、これをカップに約300g入れたのち、常温下
に放置し、カップの外壁にノニオン界面活性剤水溶液が
浸透してくるまでの時間(表1中、浸透時間1で表す。
以下同様である。)を測定した。
【0054】3)油脂成分の遮蔽性テスト 油脂成分に対する遮蔽性の確認として、得られた発泡成
形品(カップ)に、カレールウ200gを入れたのち、
当該カップをサラン樹脂製ラッピングフィルムで包装し
た。そして、このように包装したカップを、60℃雰囲
気下のオーブン中に放置し、カップ外壁にカレールウが
浸透してくるまでの時間(表1中、浸透時間2で表す。
以下同様である。)を測定した結果を表1に示す。この
結果から明らかなように、加熱時間4秒と極端に短い時
間にもかかわらず、融着性、界面活性剤の浸透時間1及
び油脂成分としてのカレールウの浸透時間2とも、良好
な結果が得られた。
【0055】[実施例2及び3]実施例1において、加
熱成形時間を、5秒(実施例2)及び6秒(実施例3)
にした以外は、実施例1と同様の条件で発泡成形品(カ
ップ)を得た。そして、実施例1と同様に性能評価を行
った。それぞれの結果を表1に示す。この結果から明ら
かなように、加熱時間を5秒及び6秒と長くすることに
よって、界面活性剤の浸透時間1は120分以上、油脂
成分としてのカレールウの浸透時間2は120時間以上
であり、極めて優れた内容物に対する遮蔽性を示すこと
を確認した。
【0056】[実施例4]実施例1におけるポリビニル
アルコール(PVA)(表1中、成分2)の使用量を
0.01重量%から、0.005重量%に変更した以外
は、実施例1と同様の条件で以てそれぞれ発泡成形品
(カップ)を得た。そして、実施例1と同様に性能評価
を行った。測定結果を表1に示す。この結果から明らか
なように、界面活性剤の浸透時間1及びカレールウの浸
透時間2とも、優れた内容物の遮蔽性を示すものの、実
施例1と比較すると劣る内容物の遮蔽性を示した。
【0057】[比較例1〜3]実施例1から3におい
て、それぞれポリビニルアルコール(PVA)のみを除
いて発泡性スチレン系樹脂粒子としたこと以外は、実施
例1〜3と同様の条件で以て発泡成形品(カップ)を得
た。そして、実施例1〜3と同様に性能評価を行った結
果を表1に示した。表1の結果から明らかなように、実
施例1〜3と比較して、PVAを全く使用しないと、界
面活性剤の浸透時間1及び油性成分としてのカレールウ
の浸透時間2とも低下する傾向が見られた。したがっ
て、内容物の遮蔽性に関して、PVAが大きく寄与して
おり、PVAを使用しないと、当該遮蔽性は著しく低下
する傾向が見られた。
【0058】[比較例4]実施例1において、含フッ素
ビニル系共重合体を構成する単量体の内、第2のビニル
系単量体(表1中、組成C)、塩化ビニル(表1中、組
成D)及びポリビニルアルコール(PVA)を変更及び
除いた以外は、実施例1と同様の条件で発泡成形品(カ
ップ)を得た。そして、実施例1と同様に性能評価を行
った結果を表1に示した。この結果から明らかなよう
に、第2のビニル系単量体、塩化ビニルを含まない共重
合体及びPVAを使用しない場合、界面活性剤の浸透時
間1は30分、油性成分としてのカレールウの浸透時間
2は12時間であった。したがって、内容物の遮蔽性に
関しては、第2のビニル系単量体及び塩化ビニルを含む
共重合体及びPVAの存在が大きく寄与しており、当該
特定の単量体を含む含フッ素共重合体及びPVAをそれ
ぞれ使用しないと、内容物の遮蔽性は著しく低下するこ
とを確認した。
【0059】[比較例5〜7]実施例1〜3において、
それぞれ含フッ素共重合体及びポリビニルアルコール
(PVA)を除いて発泡性スチレン系樹脂粒子としたこ
と以外は、実施例1〜3と同様の条件で以て発泡成形品
(カップ)を得た。そして、実施例1〜3と同様に性能
評価を行った結果を表1に示した。この結果から明らか
なように、特定の含フッ素共重合体及びPVAを使用し
ない場合、界面活性剤の浸透時間1は、加熱時間6秒で
も30分であり、また、同加熱時間において、油性成分
としてのカレールウの浸透時間2は、4時間であった。
内容物の遮蔽性に関しては、特定の含フッ素共重合体及
びPVAの存在が大きく寄与しており、当該特定の含フ
ッ素共重合体及びPVAをそれぞれ使用しないと、内容
物の遮蔽性は著しく低下する傾向が見られた。
【0060】[実施例5] (1)試料の作成 発泡剤として7重量%のブタンを含む直径0.7〜1.
2mmの発泡性ポリスチレン粒子本体(日立化成工業社
製ハイビーズTX)2000gをヘンシェルミキサーに
入れた。ついで、500〜1000rpmの回転数で撹
拌しながらステアリン酸亜鉛3g、ヒマシ硬化油(大日
化学社製ダイワックスOHG)0.4g及び鹸化度が8
0mol%であって、4%溶液粘度が5cpであるポリ
ビニルアルコール0.2gの水溶液及び含フッ素ビニル
系共重合体の25重量%の水性エマルション2.8gを
順次加えた。なお、含フッ素ビニル系共重合体(表2
中、成分1)を構成する単量体の種類及び割合は以下の
とおりである。
【0061】
【化10】
【0062】ついで、約60秒撹拌を続けた後、撹拌を
止めて、原料とした。ついで、バッチ式一次発泡装置を
用い、当該原料をスチームを熱媒として嵩密度30ml
/gになるよう発泡させ、一次発泡樹脂粒子を得た。つ
いで、この一次発泡樹脂粒子を常温、常圧下で10時間
熟成したのち、外形寸法550×335×150mm
で、肉厚28mmの箱状成形品を得るための金型に充填
し、加熱温度110℃、加熱時間25秒の条件で箱状成
形品を加熱成形した。成形後、得られた箱状成形品を4
5℃雰囲気下の乾燥機内で15時間乾燥し、性能試験用
成形品とした。
【0063】(2)性能評価 1)融着度の測定 融着度の測定は、実施例1同様の方法で測定した。
【0064】2)界面活性剤/インキの遮蔽性テスト エアーコンディショナーのドレンパン(露受け皿)用と
しての性能評価として、界面活性剤/インキによる遮蔽
性テストを実施した。すなわち、水1000gに、陰イ
オン界面活性剤(花王社製ネオペレックス)2.0g、
赤インキ(シャチハタ社製)15.0gを加えて水溶液
を作成した。この水溶液約1000gを箱状成形品に注
ぎ、常温で放置して、一定時間後の成形品内部への陰イ
オン界面活性剤/インキの浸透距離を測定した。結果を
表2に示す。この結果から明らかなように、界面活性剤
/インキの浸透距離は、72時間経過後で浸透は全く見
られず(0mm)、実用的に全く問題ないレベルであっ
た。
【0065】[比較例8]実施例6において、ポリビニ
ルアルコールのみを除いて発泡性スチレン系樹脂粒子と
したこと以外は、実施例6と同様の条件で以て発泡成形
品(箱状成形品)を得た。そして、実施例6と同様に性
能評価を行った結果を表2に示した。この結果から明ら
かなように、PVAを使用しない場合、浸透距離は、4
8時間で5mm、72時間で17mmであった。したが
って、内容物の遮蔽性に関しては、PVAが大きく寄与
しており、PVAを使用しないと、当該遮蔽性は著しく
低下する傾向が見られた。
【0066】[比較例9]実施例6において、含フッ素
共重合体のみを除いて発泡性スチレン系樹脂粒子とした
以外は、同様の条件で発泡成形品(箱状成形品)を得
た。そして、実施例6と同様に性能評価を行った結果を
表2に示した。この結果から明らかなように、特定の含
フッ素共重合体を使用しない場合、浸透距離は、2時間
で10mm、5時間で16mm、10時間で23mmで
あった。したがって、内容物の遮蔽性に関しては、特定
の含フッ素共重合体の存在が大きく寄与しており、当該
特定の含フッ素共重合体を使用しないと、内容物の遮蔽
性は著しく低下する傾向が見られた。
【0067】[比較例10]実施例6において、それぞ
れ含フッ素共重合体及びポリビニルアルコール(PV
A)を除いて発泡性スチレン系樹脂粒子としたことは以
外は、実施例6と同様の条件で以て発泡成形品(箱状成
形品)を得た。そして、実施例6と同様に性能評価を行
った結果を表2に示した。この結果から明らかなよう
に、含フッ素ビニル系共重合体及びPVAを使用しない
場合、浸透距離は、2時間で14mm、10時間で28
mmと、成形品外壁(肉厚28mm)への浸透が見られ
た。したがって、内容物の遮蔽性に関しては、特定の含
フッ素共重合体及びPVAの存在が大きく寄与してお
り、当該特定の含フッ素共重合体及びPVAを使用しな
いと、内容物の遮蔽性は著しく低下する傾向が見られ
た。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】本発明になる、発泡成形品は、浸透性の
高い内容物であっても、当該内容物が発泡成形品の外壁
まで浸透する時間(浸透時間)を著しく長くすることが
可能である。そして、特にカレールウのような浸透性の
高い内容物に対しても優れた遮蔽性を示し、当該内容物
を著しく長い間保持することができる。また、このよう
に発泡性スチレン系樹脂粒子を構成することにより、上
記の優れた遮蔽性を有しながら、その生産性を損なうこ
とがない。よって、本発明により、浸透性の高い内容物
の遮蔽性と加熱成形性とのバランスに優れた発泡性スチ
レン系樹脂粒子及び成形品を提供することができるよう
になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 哲也 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化成 工業株式会社五井事業所内 Fターム(参考) 4F074 AA32 AA42 AA48 BA39 CA38 CA45 CA49 CC10X DA24 DA34 4J100 AC03S AL03Q AL04Q AL05Q AL08P AL10R BA15P BA34P BA59P BB18P CA05 CA06 EA06 JA15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表される含フッ素ビニル
    系単量体、下記式(2)で表されるビニル系単量体及び
    下記式(3)で表されるビニル系単量体を重合して得ら
    れる含フッ素ビニル系共重合体と、ポリビニルアルコー
    ル系樹脂とを含む被覆物を、発泡性スチレン系樹脂粒子
    本体の表面に被覆した発泡性スチレン系樹脂粒子。 【化1】 (式中R1 は水素原子又はメチル基、R2 は炭素数1〜
    10のアルキレン基、R f はCn2n+1で表されるパー
    フルオロアルキル基で、nは5〜16の整数である) 【化2】 (式中R3 は水素原子又はメチル基、R4 は炭素数4〜
    22のアルキル基である) 【化3】 (式中R5は水素原子又はメチル基である)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂
    粒子において、被覆物は、含フッ素ビニル系共重合体1
    00重量%に対して、ポリビニルアルコール系樹脂を5
    〜100重量%の割合で含むものである発泡性スチレン
    系樹脂粒子。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の発泡性スチレン
    系樹脂粒子において、ポリビニルアルコール系樹脂が、
    ポリビニルアルコール、ポリビニルホマール及びポリビ
    ニルブチラールからなる群から選択された少なくとも一
    つの樹脂である発泡性スチレン系樹脂粒子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発
    泡性スチレン系樹脂粒子において、含フッ素ビニル系共
    重合体を水系エマルションとした発泡性スチレン系樹脂
    粒子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発
    泡性スチレン系樹脂粒子において、含フッ素ビニル系共
    重合体は、塩化ビニルをさらに含んで重合したものであ
    る発泡性スチレン系樹脂粒子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の発
    泡性スチレン系樹脂粒子において、被覆物の被覆量を、
    発泡性スチレン系樹脂粒子本体100重量%に対して
    0.003〜0.3重量%とした発泡性スチレン系樹脂
    粒子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発
    泡性スチレン系樹脂粒子を発泡成形して得られる発泡成
    形品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006152029A (ja) * 2004-11-25 2006-06-15 Sekisui Plastics Co Ltd 発泡性スチレン系樹脂粒子
ITRM20130410A1 (it) * 2013-07-12 2015-01-13 Maio Ernesto Di Metodo per la preparazione di particelle micrometriche o nanometriche cave

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