JP5811538B2 - 2サイクルエンジン - Google Patents

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    • F02B25/02Engines characterised by using fresh charge for scavenging cylinders using unidirectional scavenging
    • F02B25/04Engines having ports both in cylinder head and in cylinder wall near bottom of piston stroke

Description

本発明は、ユニフロー型の2サイクルエンジンに関する。
船舶の機関としても用いられる2サイクルエンジン(2ストロークエンジン)は、吸気、圧縮、燃焼、排気といった4つの連続する行程を、シリンダ内部におけるピストン1往復の行程で完了するレシプロエンジンである。例えば、高圧噴射によって燃料油と燃料ガスとを並行して供給するディーゼル型のガスエンジンでは、上死点近傍で燃料ガスおよび燃料を噴射することで、圧縮行程における所望の時点で燃焼ガスを確実に着火させると共に、燃料ガスをシリンダ内で確実に燃焼させて排気系統で燃焼が生じるのを回避している(例えば、特許文献1)。このような高圧噴射によるガスエンジンでは、圧縮行程でシリンダ内の空気を圧縮し、その高圧の空気に燃料ガスを直接噴射することで燃焼を誘発している。
燃焼後、排気ポートから排出される排気ガスには燃焼により生じた窒素酸化物(NOx)が含まれる。また、燃焼室が高温、高圧状態になると窒素酸化物の排出量が増加する。しかし、環境への配慮から窒素酸化物の排出量を抑制するのが望ましい。そこで、燃料を噴射する燃料噴射部と独立して、燃焼室の中央部から超臨界水を燃焼室内に向かって均等に噴射する超臨界水噴射部を設け、シリンダ内温度に応じて超臨界水を噴射して、シリンダ内温度を下げ、ひいては窒素酸化物の排出量を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
特許第3432098号 特許第4335533号
上述したような高圧噴射によるガスエンジンでは、排気ガスの排気を完了した後に排気ポートを閉塞し、圧縮行程後半で燃料ガスを噴射することで、燃料ガスの着火タイミングを制御することが可能となる。しかし、圧縮行程後半では,燃焼室内圧力が高圧になっているので、燃料ガスを燃焼室内に供給するため、より高い圧力で燃料ガスを噴射しなければならず、そのための高出力の昇圧装置が必要である。
そこで、本願発明者は、圧縮行程の初期段階であるシリンダ内の圧力が比較的低い間に、掃気ポートから吸入された酸化作用のある活性ガスに対して、高い圧力をかけずに燃料ガスを直接噴射する低圧噴射の2サイクルエンジンを検討している。かかる低圧噴射の2サイクルエンジンでは、シリンダ内に排気ガスが未だ存在する状態で、掃気ポートから吸入された活性ガスにのみ燃料ガスを噴射するため、シリンダ内の比較的下方の内周面に燃料噴射弁(燃料噴射ポート)が間隔を空けて複数設けられる。したがって、掃気ポートから吸入された活性ガスと燃料噴射弁から噴射した燃料ガスの予混合気において、複数の燃料噴射弁に近い領域と遠い領域とで、それぞれ噴射した燃料ガスの濃度に差が生じ得る。また、船舶等に用いられる大型の2サイクルエンジンでは、そのような濃度分布の偏りも顕著に現れる。
このような低圧噴射の2サイクルエンジンにおいて窒素酸化物の排出を抑制するため、特許文献2の技術を採用したとしても、燃料ガスの濃度分布が均一ではない予混合気に対し、超臨界水等の不活性物質が均一に行き渡るため、燃焼ガスの濃度の低い領域に無駄に不活性物質が供給され、また、燃焼ガスの濃度が高いところでは燃焼時の温度を低減するのに十分な量の不活性物質を得られないおそれがある。
また、特許文献2の技術では、燃焼行程での超臨界水の噴射を前提としており、低圧噴射の2サイクルエンジンにおける燃焼行程では、予混合気中の燃料ガスの濃度分布もスワール(横渦流)やタンブル(縦渦流)等により様々に変化しているので、その濃度分布を推測することはできない。たとえ濃度分布を推測できたとしても、燃料ガスの濃度が高い領域に対し独立して不活性物質を供給するのは困難を極める。
さらに、低圧噴射の2サイクルエンジンでは、燃料噴射弁を低圧噴射にしているにも拘わらず、特許文献2の技術のように、圧縮後の高圧噴射を前提とする水噴射部を設けると、結局、高出力の昇圧装置を要することになってしまい、低圧噴射としたことの意義が半減してしまう。
本発明は、このような課題に鑑み、低圧噴射によるエンジンの運転において、少量の不活性物質で効果的に窒素酸化物を削減することが可能な、2サイクルエンジンを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の2サイクルエンジンは、シリンダと、シリンダ内を摺動するピストンと、シリンダのストローク方向一端部に設けられ、シリンダ内で生じた排気ガスを排気するために開閉される排気ポートと、シリンダのストローク方向他端部側の内周面に設けられ、ピストンの摺動動作に応じてシリンダ内に活性ガスを吸入する掃気ポートと、シリンダの内周面の中腹部に位置し、排気行程において排気ポートが閉じられる前から燃料ガスを噴射する燃料噴射弁と、噴射された燃料ガスと衝突するように不活性物質を噴射する不活性物質噴射弁と、を備え、不活性物質噴射弁は、燃料噴射弁に対して、噴射された燃料ガスがシリンダ内を流動する円周方向に所定の間隔を空けて配置され、燃料噴射弁が燃料ガスを噴射してから、活性ガスの流速と、燃料噴射弁と不活性物質噴射弁との距離とに基づいて定まる所定時間後に不活性物質を噴射することを特徴とする。
燃料噴射弁と不活性物質噴射弁とは、互いの噴射軸が交差するまたは平行となるように配置されてもよい。
排気ガスにおける窒素酸化物の含有量または温度を検出する検出部をさらに備え、不活性物質噴射弁は、検出部が検出した窒素酸化物の含有量または温度が所定の閾値を超えると、不活性物質を噴射してもよい。
不活性物質は、不活性ガス、水蒸気、または、水であってもよい。
本発明の2サイクルエンジンによれば、低圧噴射によるエンジンの運転において、少量の不活性物質で効果的に窒素酸化物を削減することが可能となる。
第1の実施形態における2サイクルエンジンの全体構成を示した説明図である。 2サイクルエンジンの各制御部の動作を説明するための説明図である。 燃料噴射弁と不活性物質噴射弁との配置例を示したシリンダの横断面図である。 燃料噴射弁と不活性物質噴射弁との他の配置例を示した説明図である。 燃料噴射弁と不活性物質噴射弁との他の配置例を示した説明図である。 不活性物質噴射制御装置の制御処理を説明するためのタイミングチャートである。 第2の実施形態における2サイクルエンジンの全体構成を示した説明図である。 燃料噴射弁と不活性物質噴射弁との配置例を示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1の実施形態:2サイクルエンジン100)
図1は、第1の実施形態における2サイクルエンジン100の全体構成を示した説明図である。本実施形態の2サイクルエンジン100は、ユニフロー型で形成され、例えば、船舶等に用いられる。具体的に、2サイクルエンジン100は、シリンダ110(シリンダヘッド110a、シリンダブロック110b)と、ピストン112と、パイロット噴射弁114と、排気ポート116と、排気弁駆動装置118と、排気弁120と、掃気ポート122と、掃気室124と、燃料噴射ポート126と、燃料噴射弁128と、不活性物質噴射ポート130と、不活性物質噴射弁132と、ロータリエンコーダ134と、検出部136とを含んで構成され、ガバナー(調速機)150、燃料噴射制御装置152、不活性物質噴射制御装置154、排気制御装置156等の制御部によって制御される。
2サイクルエンジン100では、吸気、圧縮、燃焼、排気といった4つの連続する行程を通じて、不図示のクロスヘッドに連結されたピストン112がシリンダ110内を摺動自在に往復移動する。このようなクロスヘッド型のピストン112では、シリンダ110内でのストロークを比較的長く形成することができ、ピストン112に作用する側圧をクロスヘッドが受けるため、2サイクルエンジン100の高出力化を図ることができる。さらに、シリンダ110とクロスヘッドが収まる不図示のクランク室とが隔離されるので、低質燃料油を用いる場合においても汚損劣化を防止することができる。
パイロット噴射弁114は、シリンダ110のストローク方向一端部である、ピストン112の上死点より上方のシリンダヘッド110aに設けられ、エンジンサイクルにおける所望の時点で適量の燃料油を噴射する。かかる燃料油は、シリンダヘッド110aと、シリンダブロック110bにおけるシリンダライナと、ピストン112とに包囲された燃焼室138の熱で自然着火し、僅かな時間で燃焼して、燃焼室138の温度を極めて高くするので燃焼ガスを含む予混合気を所望のタイミングで確実に燃焼することができる。
排気ポート116は、シリンダ110のストローク方向一端部である、ピストン112の上死点より上方のシリンダヘッド110aの頂部に設けられた開口部であり、シリンダ110内で生じた燃焼後の排気ガスを排気するために開閉される。排気弁駆動装置118は、所定のタイミングで排気弁120を上下に摺動させ、排気ポート116を開閉する。このようにして排気ポート116を介して排気された排気ガスは、例えば、不図示の過給機のタービン側に供給された後、外部に排気される。
掃気ポート122は、シリンダブロック110bのストローク方向の、排気ポート116が設けられた一端部に対する他端部側の内周面に設けられた開口部であり、ピストン112の摺動動作に応じてシリンダ110内に活性ガスを吸入する。かかる活性ガスは、酸素、オゾン等の酸化剤、または、その混合気(例えば空気)を含む。掃気室124には、不図示の過給機のコンプレッサによって加圧された活性ガス(例えば空気)が封入されており、掃気室124とシリンダ110内の差圧をもって掃気ポート122から活性ガスが吸入される。掃気室124の圧力は、ほぼ一定とすることができるが、掃気室124の圧力が変化する場合には、掃気ポート122に圧力計を設け、その計測値に応じて燃料ガスの噴射量等、他のパラメータを制御してもよい。
燃料噴射ポート126は、シリンダ110内周面の中腹部(排気ポート116と掃気ポート122との間)において、周方向に所定の間隔を空けて設けられた複数の開口部である。燃料噴射弁128は、燃料噴射ポート126内に配置され、燃料噴射制御装置152からの指令を受けて、例えば、LNG(液化天然ガス)をガス化した燃料ガスを噴射する。こうしてシリンダ110内に燃料ガスが供給される。また、燃料ガスは、LNGに限らず、例えば、LPG(液化石油ガス)、軽油、重油等をガス化したものを適用することもできる。
不活性物質噴射ポート130は、シリンダ110内周面の中腹部(排気ポート116と掃気ポート122との間)において、周方向に所定の間隔を空けて設けられた複数の開口部であり、燃料噴射ポート126に対応して配置される。不活性物質噴射弁132は、不活性物質噴射ポート130内に配置され、不活性物質を噴射する。不活性物質は、窒素、アルゴン等の不活性ガス(不活性ガスに活性ガスの含有率の低いガスを含む場合もある)、水蒸気、その混合気、または、水(噴霧)を含む。
例えば、不活性物質として水蒸気を利用する場合、船舶の機関であればボイラ等において常に水蒸気が生成されているため、水蒸気を生成するための特別な装置を設けなくて済む。また、2サイクルエンジン100においても排気ガスから熱を回収して水蒸気を生成することができる。燃料噴射弁128および不活性物質噴射弁132に関しては、後ほど詳述する。ロータリエンコーダ134は、不図示のクランク機構に設けられ、クランクの角度信号(以下、クランク角度信号と言う。)を検出する。また、検出部136は、排気ポート116から排出された排気ガスにおける窒素酸化物の含有量または温度を検出する。
ガバナー150は、上位の制御装置から入力されたエンジン出力指令値と、ロータリエンコーダ134からのクランク角度信号によるエンジン回転数に基づいて、燃料噴射量を導出し、燃料噴射制御装置152に出力する。燃料噴射制御装置152は、ガバナー150から入力された燃料噴射量を示す情報と、ロータリエンコーダ134からのクランク角度信号に基づいて、燃料噴射弁128における燃料ガスの噴射量および噴射タイミングを制御する。不活性物質噴射制御装置154は、燃料噴射制御装置152からの燃料ガスの噴射量および噴射タイミングの制御指令と、ロータリエンコーダ134からのクランク角度信号に基づいて、不活性物質噴射弁132の不活性物質の噴射量および噴射タイミングを制御する。
排気制御装置156は、燃料噴射制御装置152からの排気弁開閉タイミング信号と、ロータリエンコーダ134からのクランク角度信号に基づいて、排気弁駆動装置118に排気弁操作信号を出力する。以下、上述した2サイクルエンジン100のエンジンサイクルにおける各制御部の動作について説明する。
(エンジンサイクルにおける各制御部の動作)
図2は、2サイクルエンジン100の各制御部の動作を説明するための説明図である。特に図2(a)〜(f)は2サイクルエンジン100の縦断面図を、図2(g)は図2(a)〜(f)の状態の時間関係を示すためのタイミングチャートを示している。ここでは、2サイクルエンジン100における4つの行程を排気、吸気、圧縮、燃焼の順で説明する。ここでは理解を容易にするため、特に燃料噴射弁128の燃料ガスの噴射について言及し、不活性物質噴射弁132による不活性物質の噴射については後ほど詳述する。
燃焼行程後の排気行程では、図2(a)の如く、排気ポート116および掃気ポート122が閉塞状態にあり、シリンダ110内は排気ガス170で満たされている。燃焼圧によってピストン112が下降し下死点に近づくと、排気制御装置156は排気弁駆動装置118を通じて排気弁120を開放し、また、ピストン112の摺動動作に応じて掃気ポート122が開口する。すると、図2(b)に示すように、掃気ポート122から活性ガス172が吸入され、活性ガスは、燃料ガスの混合を促進するためのスワールを形成しながら上昇し、シリンダ110内の排気ガス170を排気ポート116から押し出す。
活性ガス172の吸入に伴う排気ガス170と活性ガス172との境界が、図2(b)の如く、燃料噴射ポート126に達すると、燃料噴射制御装置152は、燃料噴射弁128に燃料ガス174の噴射を開始させる。この時、排気ポート116および掃気ポート122は開放されており、シリンダ110内の圧力はまだ低い状態であるため、燃料噴射弁128に高い圧力をかけなくとも(低圧でも)、燃料噴射弁128は、適切に燃料ガスを噴射することができる。このため、高出力の昇圧装置を設ける必要がない。
ただし、燃料ガスの噴射タイミングが早すぎると、シリンダ110の燃焼室に残存する高温の排気ガス170に燃料ガス174が接触し、排気ガス170の熱が燃料ガス174に伝わり過早着火が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、図2(b)に示すように、燃料噴射制御装置152は、掃気ポート122からの活性ガス172が燃料噴射ポート126に達した後、さらに所定時間が経過するのを待って燃料ガス174を噴射する。すると、図2(c)のように、燃料ガス174と活性ガス172とを混合した予混合気176と、排気ガス170との間に、燃料ガスが混合されていない活性ガス172を主成分とする狭入層178が生成される。
このように排気ガス170と予混合気176との間に狭入層178が生成されると、高温の排気ガス170と予混合気176とを接触させることなく、排気ガス170を排気ポート116から排出することができる。ここでは、狭入層178がある程度の厚みを有しているので、排気ガス170と狭入層178との境界面に揺らぎが生じた場合であっても、予混合気176が高温になることを回避することが可能となる。
そして、排気ガス170の排出が完了すると排気弁駆動装置118は、図2(d)の如く、排気弁120を閉じ、圧縮行程に転じたピストン112によって掃気ポート122も塞がれる。ここでは、狭入層178の一部が排気ポート116から排出された時点で排気弁120を閉じることで、狭入層178に混入してきた排気ガス170をシリンダ110内に残すことなく排出でき、また、予混合気176を排気ポート116から排出することなく、シリンダ110内に適切に予混合気176を残すことができる。こうして、過早着火を予防し、エンジン駆動の安定化を図ることができる。
ここで、シリンダ110内における活性ガス172の上昇速度は、排気ポート116の開放度(リフト量)と掃気ポート122の開放度(開口面積)の少なくともいずれか一方に基づいて推定でき、これらはクランク角度信号から一意に求めることができるので、燃料噴射制御装置152は、クランク角度信号から燃料ガスの噴射タイミングを設定する。
燃料噴射制御装置152は、燃料噴射弁128を通じて燃料ガス174を噴射し続け、図2(e)で示したように、ピストン112が燃料噴射ポート126に達する前に、燃料ガスの噴射を停止する。このように、燃料噴射制御装置152による燃料ガスの噴射が一通り完了した後、さらなる圧縮行程を経て予混合気176は高圧に圧縮され、さらに、パイロット噴射弁114からの燃料油の噴射に基づいて予混合気176が着火されて、図2(f)のような燃焼行程が行われる。そして、燃焼行程によりピストン112が押し下げられると図2(a)の状態に戻り、以後、排気、吸気、圧縮、燃焼の4行程を繰り返す。
ところで、排気ポート116から排出される排気ガス170には窒素酸化物が含まれており、燃焼室が高温、高圧状態になると窒素が酸化し易くなって、窒素酸化物の排出量が増加する。窒素酸化物は有害物質であるため、その排出を抑制しなければならない。かかる窒素酸化物を抑制するためには、燃焼温度を低下させることが考えられる。
本実施形態では、燃焼室に燃料ガス174と共に不活性物質を供給して、燃焼温度を低下させ、窒素酸化物の排出量を抑制する。かかる不活性物質は、自体が燃焼反応を起こさないので、温度の上昇に寄与することはなく、不活性物質を予混合気176に加えることで、シリンダ110内全体の熱容量を増加させることができ、結果的に燃焼温度の上昇を抑制することが可能となる。
ただし、上述したように、本実施形態の低圧噴射の2サイクルエンジンでは、燃料噴射ポート126がシリンダ110内周面の中腹部に、複数並置される形で配置されており、高圧噴射の2サイクルエンジンのように高圧の活性ガス172雰囲気中に一様に燃料ガス174を噴射するのと異なり、予混合気176中の燃料ガス174の濃度分布が燃料噴射弁128に近い領域と遠い領域とで偏ることがある。さらに、船舶等に用いられる大型の2サイクルエンジンでは、そのような濃度分布の偏りも顕著になり、かつ、スワール等によって内周面近傍とその中心近傍とでも濃度分布が異なる場合も生じ得る。
このような状況下では、例えば、燃焼行程において、圧縮された予混合気176に不活性物質を一様に供給すると、燃料ガス174の濃度分布が均一ではない予混合気176に対し、不活性物質が均一に行き渡るため、燃焼ガスの濃度の低い領域に無駄に不活性物質が供給され、また、燃焼ガスの濃度が高いところでは燃焼時の温度を低減するのに十分な量の不活性物質を得られないおそれがある。したがって、不活性物質を供給する際に、その濃度分布を把握し、燃料ガス174の濃度が高い領域にのみ不活性物質を供給するのが望ましいが、燃焼行程の時点では、燃料ガス174の濃度分布もスワール等により様々に変化しているので、予混合気176中の燃料ガス174の濃度分布を推測することはできない。たとえ濃度分布を推測できたとしても、燃料ガス174の濃度が高い領域に対し個々に不活性物質を供給するのは困難を極める。
さらに、船舶等に用いられる大型の2サイクルエンジンでは、燃料ガス174を燃焼室全体に均一に供給するのは難しく、特に、本実施形態のような低圧噴射の2サイクルエンジン100では、燃料ガス174を噴射する際の燃焼室の体積が大きいため、濃度分布の偏りも大きくなる。また、上述したスワール等によってシリンダ110の内周面近傍とその中心近傍とでも濃度分布が異なる場合も生じ得る。このように濃度分布が偏る場合には、燃料ガス174の濃度が高い領域に、より多くの不活性物質を供給し、また、燃料ガス174の濃度が低い領域には不活性物質の供給を抑制する構成が必要である。
そこで、本実施形態の不活性物質噴射弁132は、燃料噴射弁128で噴射された燃料ガス174の拡散が進行しないうちに、その燃料ガス174(燃料ガス174の濃度が高い領域)に向けて不活性物質を噴射する。こうして、スワール等によって濃度分布が変化する前の段階で、燃料ガス174の濃度が高い領域と不活性物質の濃度が高い領域とを混合することができる。また、燃料ガス174と不活性物質とが一度混合しさえすれば、その後のスワール等の影響を受けても、燃料ガス174と不活性物質とがほぼ等しい軌跡を描いて流動するため、濃度が高い領域同士が混合している状態を維持することができる。
このように、燃料ガス174と不活性物質とを混合するため、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132とは、互いが噴射する燃料ガス174と不活性物質とが衝突する位置、例えば、互いの噴射軸(噴射方向)が交差するように配置される。
図3は、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132との配置例を示したシリンダ110の横断面図である。例えば、図3(a)のように、燃料噴射弁128を、シリンダ110の内周面に等間隔となるように4つ設け、不活性物質噴射弁132もそれに対応して等間隔に4つ設け、さらに、燃料噴射弁128の噴射軸180と不活性物質噴射弁132の噴射軸182とを円周面の法線方向に向くように構成したとする。したがって、燃料噴射弁128の噴射軸180と不活性物質噴射弁132の噴射軸182とは鋭角を成して交差している。
そして、不活性物質噴射弁132は、燃料噴射弁128が噴射した燃料ガス174と衝突するように不活性物質184を噴射する。こうして、燃料ガス174と不活性物質184とが接触、混合し、図3(a)の如く、燃料ガス174の濃度が高い領域と不活性物質184の濃度が高い領域とが重なることとなる。
また、ここでは、不活性物質噴射弁132が燃料ガス174に向けて不活性物質184を噴射しているように表現しているが、結果的に燃料ガス174が存在するところに不活性物質184が混合されればよく、噴射後の燃料ガス174が到達するであろう領域に、予め不活性物質184を噴射してもよい。したがって、燃料噴射弁128の燃料ガス174の噴射タイミングと不活性物質噴射弁132の不活性物質184の噴射タイミングは、その時間差が両者を重ねるのに十分に短い時間であれば、その前後、または同時であるか否かは任意に定めることができる。
また、燃料ガス174と不活性物質184との噴射方向における濃度分布が等しくなるように、燃料噴射弁128の燃料ガス174の噴射圧力と不活性物質噴射弁132の不活性物質184の噴射圧力を等しくするのが望ましい。さらに、燃料噴射弁128の燃料ガス174の噴射タイミングと不活性物質噴射弁132の不活性物質184の噴射タイミングに時間差がある場合、例えば、各弁のノズルの口径を調整することで、後から噴射される弁に係る噴射圧力を先に噴射される弁より高めて、燃料ガス174と不活性物質184との噴射方向の濃度分布を等しくしてもよい。
また、燃料ガス174と不活性物質184とを、より密度の高い状態で混合するために、燃料噴射弁128の噴射軸180と不活性物質噴射弁132の噴射軸182とを、より大きな角度を成して交差させてもよい。例えば、図3(a)における燃料噴射ポート126の開口部と不活性物質噴射ポート130の開口部との距離関係を変えずに、図3(b)の如く、不活性物質噴射弁132の噴射軸182のみを法線より燃料噴射弁128側に傾ける。かかる構成では、燃料噴射弁128の噴射軸180と不活性物質噴射弁132の噴射軸182との交点が円周面に近づくため、燃料ガス174と不活性物質184とが、噴射後の、より早い時点で混合し始める。したがって、スワール等の影響が少ない段階で、燃料ガス174の濃度が高い領域と不活性物質184の濃度が高い領域とを確実に混合させることができ、濃度が高い領域同士が重なっている状態を維持し易くなる。
さらに、燃料ガス174と不活性物質184とが実質的に衝突すれば、燃料噴射弁128の噴射軸180と不活性物質噴射弁132の噴射軸182とを交差させずに、例えば図3(c)のように、略平行となるように配置してもよい。燃料噴射弁128から噴射された燃料ガス174や不活性物質噴射弁132から噴射された不活性物質184は、燃料噴射ポート126や不活性物質噴射ポート130から流出する際に、ある程度拡散する。したがって、燃料噴射弁128の噴射軸180と不活性物質噴射弁132の噴射軸182とが略平行に配されていたとしても、噴射された燃料ガス174と不活性物質184とが完全に平行に吹き抜けるわけではなく、拡散した領域同士が接触して、燃料ガス174と不活性物質184とが混合される。したがって、燃料ガス174と不活性物質184とが衝突する距離にあれば、燃料噴射弁128の噴射軸180と不活性物質噴射弁132の噴射軸182とが略平行に配置されていてもよいこととなる。
このような不活性物質噴射弁132(不活性物質噴射ポート130)は、燃料噴射弁128(燃料噴射ポート126)の近傍で有れば、その配置に制限はなく、円周方向(左右)またはストローク方向(上下)のいずれに配置されてもよい。また、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132との噴射軸同士がいずれの方向で交差してもよく、または、略平行となっていてもよい。上述した例では、燃料噴射ポート126と不活性物質噴射ポート130とを独立して形成しているが、例えば、燃料噴射ポート126内に燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132とを並置することもできる(ポート共有)。
また、図3(d)に示すように、不活性物質噴射弁132を燃料噴射弁128と一体的に形成し、燃料ガス174と不活性物質184とを予め混合して噴射することもできる。かかる構成により、燃料ガス174と不活性物質184とが混合された状態で噴射されるので、燃料ガス174の濃度が高い領域と不活性物質184の濃度が高い領域とを確実に重ねることが可能となる。
上述した例では、1つの燃料噴射弁128に対して1つの不活性物質噴射弁132を対応させているが、かかる場合に限られず、1対複数、または複数対1とすることもできる。
図4は、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132との他の配置例を示した説明図である。図4は、説明の便宜上、シリンダ110の一部を示しており、シリンダ110内周面の図面奥行き側に設けられた複数の燃料噴射弁128のうちの任意の1つの燃料噴射弁128と、それに対応する4つの不活性物質噴射弁132のみを示している。ここでは、4つの不活性物質噴射弁132(不活性物質噴射ポート130)が1つの燃料噴射弁128(燃料噴射ポート126)の周囲に配されている。したがって、1つの燃料噴射弁128から噴射された燃料ガス174が4つの不活性物質噴射弁132から噴射された不活性物質184に包まれ、燃料ガス174が拡散する過程で混合される。したがって、スワール等によって燃料ガス174が様々な方向に拡散したとしても、燃料ガス174の濃度が高い領域と不活性物質184の濃度が高い領域とを確実に重ねることが可能となる。
また、不活性物質噴射弁132は、燃料噴射弁128に対して、噴射された燃料ガス174がシリンダ110内を流動する方向に配置されてもよく、その場合に、不活性物質噴射弁132は、燃料噴射弁128が燃料ガス174を噴射してから所定時間後に不活性物質184を噴射する。
図5は、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132との他の配置例を示した説明図である。図5(a)および図5(b)は、説明の便宜上、シリンダ110の一部を示しており、シリンダ110内周面の図面奥行き側に設けられた複数の燃料噴射弁128のうちの任意の1つの燃料噴射弁128と、それに対応する1つの不活性物質噴射弁132のみを示している。また、図5(c)は、各噴射弁の噴射タイミングを示している。図5を用いて説明する構成では、図3と異なり、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132との距離が円周方向およびストローク方向に離隔することを許容している。
例えば、船舶等に用いられる大型の2サイクルエンジンでは、掃気ポート122から吸入された活性ガス172が、図5(a)に示すように、スワール186を形成している。燃料噴射弁128は、活性ガス172と燃料ガス174とを混合すべく、図5(c)における(a)のタイミングで、燃料ガス174を噴射する。そうすると、噴射された燃料ガス174は、図5(a)に示したスワール186に従って矢印の方向に流動する。
そして、図5(c)に示すように、不活性物質噴射弁132は、燃料噴射弁128が燃料ガス174を噴射してから、予め求めておいた所定時間後に不活性物質184を噴射する。所定時間は、スワールの想定流速と、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132との距離(燃料噴射ポート126と不活性物質噴射ポート130との距離)とに基づいて予め定められている。そうすると、図5(b)の如く、不活性物質噴射弁132から噴射された不活性物質184は、燃料ガス174に混合され、燃料ガス174の濃度が高い領域と不活性物質184の濃度が高い領域が重なることとなる。
また、ここでは、スワールによって流動する燃料ガス174に向けて不活性物質噴射弁132が不活性物質184を噴射する構成を例示しているが、かかる場合に限られず、先に不活性物質184が噴射され、スワールによって流動する不活性物質184に向けて燃料噴射弁128が燃料ガス174を噴射する構成とすることもできる。
上述した不活性物質噴射弁132により、燃焼室内の予混合気176において、燃料ガス174の濃度分布が偏る場合においても、燃料ガス174の濃度が高い領域に、より多くの不活性物質184を供給することができ、また、燃料ガス174の濃度が低い領域に対する不活性物質184の無駄な供給を抑制することが可能となる。したがって、少量の不活性物質184で効果的に窒素酸化物を削減することができる。さらに、シリンダ110内が高温になった場合の、燃料ガス174の着火タイミングのずれから生じるノッキング等を防止することも可能となる。
また、上述したように燃料噴射制御装置152は、シリンダ110内が比較的低圧な間に燃料噴射弁128に燃料ガス174を噴射させ、同様に、不活性物質噴射制御装置154もシリンダ110内が比較的低圧な間に不活性物質噴射弁132に不活性物質184を噴射させている。したがって、いずれも低圧噴射が可能となり、高出力の昇圧装置が不要となる。
さらに、燃料の酸化効率も上がるため、窒素酸化物同様、燃焼室が高温、高圧時に発生する一酸化炭素(CO)の排出量や粒子状物質(PM:Particulate Matter)も低減することが可能となる。
続いて、不活性物質噴射制御装置154の制御処理について説明する。図6は、不活性物質噴射制御装置154の制御処理を説明するためのタイミングチャートである。特に図6(a)は、窒素酸化物の変動軌跡を、図6(b)、(c)は、燃料噴射弁128および不活性物質噴射弁132の噴射タイミングを示している。排気ポート116の下流に配置された検出部136は、例えば、排気ポート116から排出された排気ガスにおける窒素酸化物の含有量を検出し、不活性物質噴射制御装置154は、検出部136が検出した窒素酸化物の含有量と所定の閾値とを常に比較している。この間、燃料噴射制御装置152は、図6(b)に示すように、燃料噴射弁128に継続的に燃料ガス174を噴射させている。
そして、検出部136が検出した窒素酸化物の含有量が所定の閾値を超えると、図6(c)に示すように、不活性物質噴射制御装置154は、燃料噴射弁128で噴射された燃料ガス174と衝突するように、不活性物質噴射弁132に不活性物質184を噴射させる。ここでは、窒素酸化物が所定の閾値を超えた後に不活性物質184を噴射しているので、厳密には1サイクル遅延することになるが、エンジン負荷は、サイクル単位で急激に変化しないので、その遅れが問題になることはない。
また、ここでは、検出部136に窒素酸化物の含有量を検出させているが、排気ポート116から排出された排気ガスの温度を検出して、その温度が閾値を超えた場合に、不活性ガスを噴射することもできる。さらに、他の様々な方法により燃焼室内の温度を予測し、温度が所定の閾値より高くなることが予測されると、不活性物質184の噴射を開始して、窒素酸化物の生成を抑制することも可能である。さらに、検出部136がシリンダ110内でのノッキングの有無も検出できる場合、不活性物質噴射制御装置154は、ノッキングが発生した次のサイクルにおいて、不活性物質噴射弁132に不活性物質184を噴射させることもできる。
(第2の実施形態:2サイクルエンジン200)
図7は、第2の実施形態における2サイクルエンジン200の全体構成を示した説明図である。第2の実施形態の2サイクルエンジン200は、第1の実施形態における2サイクルエンジン100同様、シリンダ110(シリンダヘッド110a、シリンダブロック110b)と、ピストン112と、パイロット噴射弁114と、排気ポート116と、排気弁駆動装置118と、排気弁120と、掃気ポート122と、掃気室124と、燃料噴射ポート126と、燃料噴射弁128と、不活性物質噴射ポート130と、不活性物質噴射弁132と、ロータリエンコーダ134と、検出部136とを含んで構成され、ガバナー(調速機)150、燃料噴射制御装置152、不活性物質噴射制御装置154、排気制御装置156等の制御部によって制御される。かかる構成における各部の機能は、第1の実施形態における構成要素として既に述べた各部の機能と実質的に等しいので、ここでは同一の符号を付して重複説明を省略する。
第1の実施形態と第2の実施形態との相違点は、燃料噴射ポート126および不活性物質噴射ポート130が、シリンダ110内周面ではなく、掃気ポート122の内周面に設けられている点である。かかる場合、ピストン112が掃気ポート122に達するタイミングで、燃料噴射制御装置152は燃料ガス174の噴射を開始し、併せて、不活性物質噴射制御装置154は、不活性物質184の噴射を開始して、噴射された燃料ガス174および不活性物質184と、掃気室124からの活性ガス172とが混合された予混合気176が燃焼室138に吸入される。ここで、燃料噴射制御装置152および不活性物質噴射制御装置154は、掃気ポート122が開口している間の所定のタイミングまで、燃料ガス174および不活性物質184を噴射し続ける。
図8は、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132との配置例を示した説明図である。図8(a)〜(c)では、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132とがそれぞれ燃料噴射ポート126と不活性物質噴射ポート130とに連接され、図8(a)は、掃気ポート122の内周面上部に燃料噴射ポート126および不活性物質噴射ポート130を配置した例を示し、図8(b)は、掃気ポート122の内周面下部に燃料噴射ポート126および不活性物質噴射ポート130を配置した例を示し、図8(c)は、掃気ポート122の内周面上部と下部の両方に燃料噴射ポート126および不活性物質噴射ポート130を配置した例を示している。ここでは、燃料噴射ポート126および不活性物質噴射ポート130と、掃気ポート122とが鋭角を成して交わっているが、鋭角に限らず、様々な角度をとることができる。
また、図8(d)〜(f)では、燃料噴射ポート126に、燃料噴射弁128と不活性物質噴射弁132とが一体的に形成されており、図8(d)は、掃気ポート122の内周面上部に燃料噴射ポート126を配置した例を示し、図8(e)は、掃気ポート122の内周面下部に燃料噴射ポート126を配置した例を示し、図8(f)は、掃気ポート122の内周面上部と下部の両方に燃料噴射ポート126を配置した例を示している。また、ここでは、燃料噴射弁128の流路と不活性物質噴射弁132の流路とが垂直に交わる例を挙げているが、かかる角度も制限されない。
図8(a)〜(f)のいずれの構成においても、燃料噴射制御装置152および不活性物質噴射制御装置154による燃料ガス174および不活性物質184の噴射タイミングは、図6を用いて説明したタイミングに準じる。このように、不活性物質噴射弁132が、燃料噴射弁128で噴射された燃料ガス174の拡散が進行しない掃気ポート122内で、その燃料ガス174(燃料ガス174の濃度が高い領域)に向けて不活性物質184を噴射することで、シリンダ110内においてスワール等により濃度分布が変化する前の段階で、燃料ガス174の濃度が高い領域と不活性物質184の濃度が高い領域とを混合することができる。また、燃料ガス174と不活性物質184とが一度混合しさえすれば、その後のスワール等の影響を受けても、燃料ガス174と不活性物質184とがほぼ等しい軌跡を描いて流動するため、濃度が高い領域同士が混合している状態を維持することができる。こうして、少量の不活性物質184で効果的に窒素酸化物を削減することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、ユニフロー型の2サイクルエンジンに利用することができる。
100 …2サイクルエンジン
110 …シリンダ
110a …シリンダヘッド
110b …シリンダブロック
112 …ピストン
116 …排気ポート
120 …排気弁
122 …掃気ポート
128 …燃料噴射弁
132 …不活性物質噴射弁
136 …検出部
180、182 …噴射軸

Claims (4)

  1. シリンダと、
    前記シリンダ内を摺動するピストンと、
    前記シリンダのストローク方向一端部に設けられ、該シリンダ内で生じた排気ガスを排気するために開閉される排気ポートと、
    前記シリンダのストローク方向他端部側の内周面に設けられ、前記ピストンの摺動動作に応じて該シリンダ内に活性ガスを吸入する掃気ポートと、
    前記シリンダの内周面の中腹部に位置し、排気行程において前記排気ポートが閉じられる前から燃料ガスを噴射する燃料噴射弁と、
    噴射された前記燃料ガスと衝突するように不活性物質を噴射する不活性物質噴射弁と、
    を備え
    前記不活性物質噴射弁は、前記燃料噴射弁に対して、噴射された前記燃料ガスが前記シリンダ内を流動する円周方向に所定の間隔を空けて配置され、前記燃料噴射弁が前記燃料ガスを噴射してから、前記活性ガスの流速と、該燃料噴射弁と該不活性物質噴射弁との距離とに基づいて定まる所定時間後に不活性物質を噴射することを特徴とする2サイクルエンジン。
  2. 前記燃料噴射弁と前記不活性物質噴射弁とは、互いの噴射軸が交差するまたは平行となるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の2サイクルエンジン。
  3. 前記排気ガスにおける窒素酸化物の含有量または温度を検出する検出部をさらに備え、
    前記不活性物質噴射弁は、前記検出部が検出した前記窒素酸化物の含有量または温度が所定の閾値を超えると、不活性物質を噴射することを特徴とする請求項1または2に記載の2サイクルエンジン。
  4. 前記不活性物質は、不活性ガス、水蒸気、または、水であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の2サイクルエンジン。
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