JP5809351B2 - 自己析出型銅用表面処理剤および樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法 - Google Patents

自己析出型銅用表面処理剤および樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅部材表面に選択的に自己析出性樹脂皮膜を形成するために用いられる自己析出型銅用表面処理剤と、この自己析出型銅用表面処理剤を用いた樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法に関する。
自己析出型水系樹脂組成物は、金属表面との無電解化学反応により、有機ポリマー皮膜(密着性樹脂皮膜)を金属表面上に析出させることができるため、形状が複雑な金属製品・部品に対しても均一な膜厚で皮膜を被覆することが可能で、電源設備も不要である。このため、鉄材料の塗装分野では20年以上にわたり商業的に用いられてきている。
一般に実用的な自己析出型の組成物は、約1〜約4の範囲のpH値を有する、酸性のものである。このような組成物群、および、このような組成物群を用いた金属表面上への皮膜の形成方法は、当技術分野において、および、本明細書において、共通して、「自己析出(auto deposition)」ないしは「自己析出の」組成物、分散液、エマルジョン、懸濁液、浴、溶液、製法、方法ないし同様の用語と、称される。
自己析出型組成物は一般的に液状の形態であり、より具体的には、水溶液、エマルジョンまたは分散液の形態であり、この液状の組成物は、活性な金属との接触がないと、ポリマーの自発的沈殿または凝集が抑制されており、長時間安定である。
この自己析出型組成物を含む液体と活性な金属表面を持つ被処理物との接触により、被処理物の表面が密着性を有するポリマーの皮膜により被覆されることとなる。被処理物上に析出した皮膜は水に再分散または再溶解しないため、水洗したのち乾燥、焼き付け硬化が可能である。
ここで、「活性な金属」とは、電気化学列において水素よりも活性である金属、すなわち、液状自己析出型の溶液、エマルジョンまたは分散液中に導入された場合に、実質的な速度で自然に溶解し始める(水素ガスの発生を伴う)金属と定義され、鉄、亜鉛、アルミニウムなどがその例である。
一方、近年、電子部品の絶縁や接着など、より貴な金属への樹脂被覆の必要性が高まる傾向にあり、電位が貴であるため樹脂の反応析出が難しかった銅系材料表面への自己析出被覆の研究が行なわれるようになっている。
自己析出型樹脂の析出反応機構は、電着塗装と異なり、被処理金属表面からの金属イオン溶出反応が起点となる。そのため、電気化学列において水素よりも不活性な(貴な)金属表面に適用するため過酸化水素などの強力な酸化剤を使用すると、金属イオンの溶出は可能になる反面、樹脂成分が酸化分解するなどの問題が発生するため銅などの貴な金属材料には適用が困難であった。
なお、銅材料に適用可能な技術として、特許文献1にはチオ尿素誘導体とエラストマーとを含有する金属材料用下地処理剤が開示されている。
国際公開第2009/066658号
一方、近年、銅材料を使用した商品(例えば、電気機器など)の高機能化の要求に伴って、銅材料上に形成される皮膜に対する要求特性も高まっている。特に、皮膜の密着性・耐食性・電気的特性に対するより一層の向上が求められている。また、耐食性と導電性を併せ持つ樹脂被覆も、リチウムイオン電池や燃料電池などの導電部材への適用ニーズが増加している。
本発明者らは、特許文献1に記載の金属材料用下地処理剤を用いて、銅材料上に皮膜を形成し、その皮膜の密着性や耐食性や電気的特性に関して評価を行った所、必ずしも昨今要求されるレベルに達しておらず、更なる改良が必要であった。
また、処理剤の液安定に関しても、更なる改良が必要であった。例えば、特許文献1の技術では、チオ尿素とバナジン酸塩のような強い酸化剤を混在させ、ポリマー析出量が実用的な範囲となる酸性pHにした場合、チオ尿素が酸化分解するため浴の安定性に劣り実用的でない、といった問題があった。
本発明は、上記実情に鑑みて、密着性、耐食性、および電気的特性に優れた皮膜を自己析出により銅材料上に形成しうる、液安定性に優れる自己析出型銅用表面処理剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、この自己析出型銅用表面処理剤を用いた樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討を行ったところ、従来知られている自己析出型の表面処理剤ではそもそも銅含有基材からの銅イオンの溶出が十分でないことを確認した。
本発明者らは、上記知見に基づき、銅錯化剤を使用すると共に、表面処理剤の酸化還元電位を所定の範囲に調整することにより、上記課題を解決できることを見出した。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 1〜60質量部の水溶性または水分散性ポリマーと、30〜99質量部の水を主体とする溶媒と、0.01〜5.0質量部の銅錯化剤とを含み、
pH3.0のときの酸化還元電位が−500〜+200mV(vs.SHE)の範囲にあることを特徴とする自己析出型銅用表面処理剤。
(2) 銅錯化剤が、その分子構造中にC=S、C−S、N−NおよびC=Nからなる群から選ばれる少なくとも1つの結合を有する(1)に記載の自己析出型銅用表面処理剤。
(3) さらにFe(III)イオンおよび/またはCu(II)イオンを含む、(1)または(2)に記載の自己析出型銅用表面処理剤。
(4) 水溶性または水分散性ポリマーがアニオン性基を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。
(5) 銅錯化剤が、後述する式(1)で表される化合物である、(1)〜(4)のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。
(6) ポリマーが、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、フェノール−ホルムアルデヒド縮合樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、導電性樹脂、およびエポキシ−アクリル系混成ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)〜(5)のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。
(7) さらに不溶性無機粒子を0.1〜100質量部含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤と、銅含有基材とを接触させて、銅含有基材上に多孔質皮膜を形成する第1の工程と、
水を含む溶媒で形成した多孔質皮膜を洗浄する第2の工程と、
洗浄した多孔質皮膜に加熱処理を施し、基材上に樹脂皮膜を形成する第3の工程とを備える、樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法。
(9) 銅含有基材が、モーター部品、蓄電デバイス部品、センサー部品、アンテナ、銅配線板、銅線、銅合金被覆線、コイル、自動車部品、軸受、放熱部品、および配管部品からなる群から選択される1種である、(8)に記載の樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法。
本発明の自己析出型銅用表面処理剤により、従来の被処理物に含まれていた鉄や亜鉛など卑金属よりも、より貴な金属である銅または銅合金を含む基材上に、密着性・耐食性・電気的特性に優れた皮膜を生産性よく形成することが可能となり、それによって従来適用できなかった、電磁コイル、電池・キャパシタ集電体、センサー、アンテナ、銅配線、ワイヤーハーネス、軸受、放熱部品、ガス・水道配管部品など幅広い用途に適用することが可能となる。銅含有基材の表面に本発明の樹脂を被覆して得られる効果としては、絶縁性、導電性、耐食性、密着性のほか、接着性、断熱性、歪み応力緩和性、振動・音吸収性なども挙げられる。
以下に、本発明の自己析出型銅用表面処理剤および自己析出型銅用表面処理剤を使用した樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法の好適態様について説明する。
まず、本発明の従来技術と比較した特徴点について詳述する。
自己析出型の表面処理剤の被処理金属である銅含有基材表面への皮膜の析出機構としては、まず、ポリマーを含む表面処理剤に銅含有基材を接触させると、銅含有基材表面から銅イオン(好ましくは、Cu(I)イオン)が溶出し、次に、溶出した銅イオンがポリマーと速やかに結合してゲル化析出して銅含有基材表面に固着する機構が考えられている。このように表面処理剤中のポリマーの析出・固着には基材表面からの銅イオンの溶出が必須であるが、従来知られている自己析出型の表面処理剤ではそもそも銅イオンの溶出が十分でなかった。
一方、本発明においては、酸化還元電位が所定の範囲内にあれば、銅イオンの溶出が十分に進行し、所望の特性を有する皮膜が得られることを見出している。
まず、自己析出型銅用表面処理剤に含まれる材料について詳述し、その後、樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法について詳述する。
<自己析出型銅用表面処理剤>
自己析出型銅用表面処理剤には、1〜60質量部の水溶性または水分散性ポリマーと、30〜99質量部の水を主体とする溶媒と、0.01〜5質量部の銅錯化剤とが含まれる。以下に、各成分について詳述する。
(水溶性または水分散性ポリマー)
水溶性または水分散性ポリマーは、常温で水に完全に溶解または微分散可能なポリマーを指す。該ポリマーは、銅含有基材上に形成される皮膜の主成分となる。
なお、後述するように、自己析出型銅用表面処理剤では溶媒として水が主に使用され、このように水中に分散しているポリマーは、ポリマー微粒子またはラテックスとも呼ばれる。ポリマー微粒子またはラテックスは、公知の乳化重合法によって製造し得る。そこで用いられる界面活性剤、重合開始剤等については、常法で用いられるものを用いればよい。
水溶性または水分散性ポリマーの種類は特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、フェノール−ホルムアルデヒド縮合樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、導電性樹脂、エポキシ−アクリル系混成ポリマーなどが挙げられる。なお、ポリマーとしては上記ポリマーのホモポリマーでもよいし、主鎖中に上記ポリマーを2種類以上含むコポリマーでもよい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでも、ブロックコポリマーでもよい。
なかでも、析出しやすさの点で、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、導電性樹脂、またはこれらの混合物が好ましく、エポキシ−アクリル系共重合体がより好ましい。導電性樹脂の種類としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン系導電性高分子が好ましい。
好ましい樹脂の種類およびその組み合わせとしては、耐熱性を重視する場合にはポリアミドイミド、ポリイミド、フェノール−ホルムアルデヒド縮合樹脂、シリコーン樹脂、またはフッ素樹脂を含むことが好ましく、接着性、歪み応力緩和性、振動・音吸収性を付与したい場合はポリウレタンやその他の軟質樹脂を含むことが好ましく、導電性が必要な用途では導電性樹脂を主成分として含むことが好ましい。
また、上記ポリマーはアニオン性基を有することが好ましい。ポリマーがアニオン性基を有することにより、銅含有基材から溶出される銅イオンとの相互作用がしやすくなり、皮膜の形成性がより向上する。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられ、得られる皮膜の特性(密着性、耐食性、耐電圧性など)がより優れる点で、スルホン酸基またはカルボキシル基が好ましい。また、本発明において使用される導電性樹脂は、スルホン酸、ポリスルホン酸、リン酸、ポリリン酸などのアニオンのドーピングによって樹脂にアニオン性を付与したものであることが好ましい。
なお、ポリマー微粒子またはラテックスを製造する際に使用される界面活性剤は、銅含有基材から溶出される銅イオンとの相互作用がしやすくなり、皮膜の形成性がより向上する点から、アニオン性界面活性剤であることが好ましい。
自己析出型銅用表面処理剤中において、上記ポリマーは1〜60質量部含有され、なかでも3〜30質量部が好ましい。1質量部未満では析出される皮膜の膜厚が十分でなく、60質量部を超えると自己析出型銅用表面処理剤中においてポリマーが凝集を起こしやすく液安定性に劣る。
(溶媒)
溶媒は、水を主体とする。主体とするとは、水を主成分とすることを意味し、より具体的には、溶媒中における水の含有量が25質量%以上であることを意味し、70質量%以上であることが好ましい。
なお、水と共に有機溶媒が併用されてもよく、有機溶媒としては水溶性有機溶媒が好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エチレングリコール系溶媒(セロソルブ)などが挙げられる。
自己析出型銅用表面処理剤中において、上記溶媒は30〜99質量部含有され、なかでも、60〜95質量部がより好ましい。30質量部未満の場合、粘度が高くなりすぎて、洗浄が困難となるため好ましくなく、99質量部超の場合、ポリマーの析出量が不足して樹脂皮膜の耐食性や電気的特性が低下するため好ましくない。
(銅錯化剤)
銅錯化剤は、銅イオンと錯体を形成しうる化合物であれば特に制限されない。銅錯化剤を入れることにより、銅含有基材からの銅イオンの溶出がより促進され、結果として所望の特性を有する皮膜の析出性がより向上する。
銅錯化剤としては、例えば、チオ尿素またはその誘導体、チオール系化合物(SH基含有化合物)、アゾ系化合物(アゾ基含有化合物)、ピリジン系化合物が挙げられる。
なかでも、皮膜の特性がより優れる点で、分子構造中にC=S、C−S、N−NおよびC=Nからなる群から選ばれる少なくとも1つの結合を有する銅錯化剤であることがより好ましい。
銅のイオン化を促進するためには、過酸化水素や硝酸等の強力な酸化剤を使用する方法がある。しかしながら、これらの化合物を使用すると、銅のイオン化を助けるものの、皮膜となるポリマーや界面活性剤等の有機添加剤を酸化、変質させやすいという問題がある。一方、上述した特定の結合を有する銅錯化剤を共存させた場合、銅の腐食電位を下げることができ、強力な酸化剤を使用することなくより厚みのある密着性に優れた実用性の高い皮膜を得ることが可能となる。つまり、これらの銅錯化剤は、銅イオンを1価の銅イオンとして安定化させるとともに銅イオンが溶出可能な電位を降下させる作用がある。
所定の結合を有する銅錯化剤としては、例えば、チオ尿素、アルキルチオ尿素(例えば、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素)、アセチルチオ尿素、アルケニルチオ尿素(例えば、1−アリル−2−チオ尿素)、アリールチオ尿素(例えば1−フェニル−2−チオ尿素)、チオアセトアミド、チオグリコール酸、2,2’−ビピリジル、ジフェニルカルバジド、チオ硫酸、チオシアン酸などが挙げられる。
銅錯化剤の中でも、得られる皮膜の特性がより優れる点で、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
式(1)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、アルキル基(好ましく炭素数1〜3である。具体的には、メチル基、エチル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましく炭素数6〜10である。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基、アルケニル基(好ましく炭素数1〜3である。具体的には、アリル基、ビニル基などが挙げられる。)、アミノ基、アルケニルアミノ基(例えば、アリルアミノ基、1−プロペニルアミノ基、3−ブテニルアミノ基など)、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アセチルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、N−ベンゾイルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、トリルアミノ基、ナフチルアミノ基、フェニルアゾ基、グアニルアミノ基、ニコチン基、ヒドラジノ基、フェニルヒドラジノ基、チオカルバモイル基、またはチオカルバモイルアミノ基を表す。
なかでも、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルケニルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基が好ましい。
式(1)で表される化合物の好適な実施態様の一つとして、以下の式(2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、またはヒドロキシアルキル基を表す。アルキル基としては、特に限定されず、炭素数1〜3が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
アルケニル基としては特に限定されず、炭素数2〜3が好ましい。具体的には、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては特に限定されず、炭素数1〜3が好ましい。具体的にはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
自己析出型銅用表面処理剤中において、上記銅錯化剤は0.01〜5.0質量部含有され、なかでも0.2〜3.0質量部が好ましい。0.01質量部未満では、Cuイオンの溶出が少ないため皮膜の膜厚が十分でなく耐電圧性に劣り、5.0質量部を超えると沈殿を生じやすく液安定性に劣る。
(その他の成分)
自己析出型銅用表面処理剤には、さらにFe(III)イオンおよび/またはCu(II)イオンが含まれることが好ましく、特にFe(III)イオンが含まれることが好ましい。これらのイオンは銅含有基材表面から電子を引き抜き、速やかに銅イオンの溶解を引き起こすためポリマーの析出をより促進する効果があり、結果として密着性・耐食性・電気的特性により優れる皮膜が得られる。
自己析出型銅用表面処理剤中におけるこれらのイオンの総含有量は、0.1〜10質量部であることが好ましい。
自己析出型銅用表面処理剤には、さらに不溶性無機粒子が含まれることが好ましい。不溶性無機粒子の種類に応じて、皮膜の各種機能性を向上させることができる。
不溶性無機粒子としては種類および粒子径は特に限定されないが、潤滑性を付与する目的に使用する場合には、二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホウ素、PTFE粒子などが好ましく、絶縁性を向上させたい場合には、アルミナ、シリカ、雲母、ジルコニア、マグネシア、ムライト粒子などが好ましく、導電性を付与する目的には、グラファイト、ナノカーボン、アルミニウム、銅、銀、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、ATO、FTOなどが好ましい。これらの他に従来公知の着色顔料や防錆顔料も使用することも好ましい。
自己析出型銅用表面処理剤中における不溶性無機粒子の含有量は、0.1〜100質量部であることが好ましい。
また、自己析出型銅用表面処理剤への他の添加成分としては、例えば、消泡剤、分散剤、レベリング剤など塗料添加剤が挙げられる。
また、着色のための顔料類および可溶性着色剤類も、添加成分として使用できる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、プルシアンブルー、チタニウムホワイト顔料などが挙げられる。
自己析出型銅用表面処理剤の酸化還元電位(以後、適宜ORPとも称する)は、pH3.0において−500〜+200mV(vs.SHE)の範囲にある。なかでも、−450〜+150mV(vs.SHE)が好ましく、−300〜+100mV(vs.SHE)がより好ましい。酸化還元電位が該範囲内であれば、所望の特性を有する皮膜を得ることができると共に、処理剤の液安定性にも優れる。
一方、酸化還元電位が−500mV(vs.SHE)未満では、銅のイオン化やポリマーの析出が困難となり、酸化還元電位が+200mV(vs.SHE)超では、銅錯化剤が酸化分解し、例えば、硫黄の沈殿物が発生し、皮膜の特性が劣る。
ORPの制御方法としては、ORPが高すぎる場合には銅錯化剤またはORP調整剤を添加することによって降下させることが好ましく、ORPが低すぎる場合には第二鉄塩の添加や空気吹き込み等によって上昇させることが好ましい。
ORP調整剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤や、過硫酸アンモニウムなどの酸化剤が挙げられる。
また、ORPの測定方法としては、pH3.0に調整された自己析出型銅用表面処理剤の酸化還元電位を公知の測定機器(例えば、東亜ディーケーケー(株)製ORP複合電極)を用いて測定できる。なお、測定した酸化還元電位の数値は、標準水素電極(SHE)の数値に換算する。
なお、自己析出型銅用表面処理剤のpHを3.0に調整する方法は特に制限されず、例えば、フッ化水素酸またはアンモニア水を使用して、そのpHを調整する。
自己析出型銅用表面処理剤のpHは特に制限されないが、1.0〜5.0が好ましく、2.0〜3.3がより好ましい。上記範囲内であれば、ポリマーの析出性がより優れ、厚い皮膜を得ることができると共に、容器や治具に対する処理剤の腐食性をより抑制することができる。
なお、pHを調整するための成分としては、公知の酸(例えば、フッ化水素酸)または公知のアルカリ(例えば、アンモニア水)を使用できる。
<樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法>
上記自己析出型銅用表面処理剤を用いた樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法は、上記自己析出型銅用表面処理剤と銅含有基材とを接触させて、銅含有基材上に多孔質皮膜を形成する第1の工程と、水を含む溶媒で形成した多孔質皮膜を洗浄する第2の工程と、洗浄した多孔質皮膜を脱水し加熱することにより封孔・硬化して、銅含有基材上に樹脂皮膜を形成する第3の工程とを有する。
以下に、各工程の手順について詳述する。
[第1の工程:多孔質皮膜形成工程]
第1の工程は、上記自己析出型銅用表面処理剤と銅含有基材とを接触させて、銅含有基材上に多孔質皮膜を形成する工程である。
まず、本工程で使用される銅含有基材について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
(銅含有基材)
銅含有基材としては、銅が成分として含まれる基材であれば特にその種類は制限されない。例えば、純銅、脱酸素銅、黄銅、青銅、白銅、洋白、キュプロニッケル、ベリリウム銅などが挙げられる。
なお、銅含有基材が銅以外の他の金属成分を含む場合、他の金属成分としては、例えば、ニッケル、亜鉛、錫、鉄などが挙げられる。さらに、銅含有基材には、他の成分としてリンが含まれていてもよい。
銅含有基材は自己析出型銅用表面処理剤と接触する表面上に銅があればよく、電気銅めっき材、無電解銅めっき材、蒸着材やクラッド材、銅ペースト硬化物、銅粉末焼結体のように表面層が銅であれば問題なく適用できる。
銅含有基材の種類は特に制限されないが、例えば、モーター部品、蓄電デバイス部品、センサー部品、アンテナ、銅配線板、銅線、銅合金被覆線、コイル、自動車部品、軸受、放熱部品、配管部品などが挙げられる。
なお、銅含有基材は自己析出型銅用表面処理剤と接触する前に、あらかじめ洗浄剤(例えば、アルカリ性洗浄剤または酸性洗浄剤)で清浄化されることが好ましい。洗浄剤の種類は特に制限されないが、例えば、非鉄金属用弱アルカリ洗浄剤:ファインクリーナー315、ファインクリーナーE3019L(日本パーカライジング(株)、酸性洗浄剤:182A、7310クリーナー(ヘンケルコーポレーション)などが挙げられる。
なお、必要に応じて、さらに超音波水洗や水蒸気洗浄を実施してもよい。
(工程の手順)
自己析出型銅用表面処理剤と銅含有基材とを接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、自己析出型銅用表面処理剤中に銅含有基材を浸漬する方法(ディッピング)、銅含有基材上に自己析出型銅用表面処理剤を流しかける、吹き付ける、またはローラー塗布する方法などが挙げられる。
自己析出型銅用表面処理剤と銅含有基材とを接触させる時間は特に制限されず、使用される自己析出型銅用表面処理剤の成分組成に応じて適宜最適な条件が選択されるが、生産性および得られる皮膜特性の両立の点から、数秒〜数分が好ましく、より具体的には5〜180秒間が好ましい。
形成される多孔質皮膜の厚みは特に制限されないが、所望の厚みに樹脂皮膜が得られる点で、10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。多孔質皮膜は後述する硬化工程での加熱処理により無孔化され、最終的に得られる樹脂皮膜の膜厚は多孔質皮膜の数分の1に低下する。
[第2の工程:洗浄工程]
第2の工程は、上記第1の工程で形成された多孔質皮膜を、水を含む溶媒で洗浄する工程である。該工程を実施することにより、余分な成分を皮膜中から除去することができ、結果として特性により優れた樹脂皮膜を得ることができる。
使用される溶媒(洗浄溶媒)は、水を含む溶媒である。通常、水を主成分として含む。主成分とは、溶媒中における水の含有量が80質量%以上であることを意味する。
なお、水と共に有機溶媒が併用されてもよく、有機溶媒としては水溶性有機溶媒であることが好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エチレングリコール系溶媒(例えば、セロソルブ)、アミン系溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、モルホリン)などが挙げられる。
上記溶媒で多孔質皮膜を洗浄する方法は特に制限されず、公知の洗浄方法を採用できる。例えば、多孔質皮膜上に上記溶媒を塗布する方法、上記溶媒中に多孔質皮膜を浸漬する方法などが挙げられる。
[第3の工程:硬化工程]
第3の工程は、上記第2の工程で洗浄した多孔質皮膜に加熱処理を施し、銅含有基材上に樹脂皮膜を形成する工程である。本工程を実施することにより、多孔質皮膜が脱水され、封孔・硬化して、ピンホールがない緻密な樹脂皮膜を得ることができる。
加熱処理の条件は使用されるポリマーのガラス転移温度や未硬化のポリマーが架橋する温度に応じて適切に選択することができる。例えば、140〜280℃で1〜30分間加熱処理を施すことが好ましい。
また、加熱処理は異なる温度で段階的に行ってもよい。例えば、未硬化のポリマーを使用する場合、一旦架橋反応が進行する温度よりも低い温度で加熱処理を施した後、架橋反応が進行する温度以上の温度で加熱処理を施す方法が挙げられる。より具体的には、まず、90〜160℃の範囲内の温度にて1〜10分間、好ましくは少なくとも100℃にて脱水を行い、180〜220℃で20分間の焼き付けにより封孔・硬化を行なう。
上記工程を経て形成された樹脂皮膜の厚みは特に制限されないが、密着性、耐食性および耐電圧性がより優れる点で、10〜50μmが好ましく、15〜40μmがより好ましい。
(用途)
上記工程を経て形成された樹脂皮膜付き銅含有基材は、様々な用途に応用することができる。例えば、電線、ワイヤーハーネス、軸受、銅管、銅メッシュ、電池部品、プリント配線板などに使用することができる。
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.樹脂皮膜付き銅含有基材の作製
後述する実施例および比較例に示すように、種々の表面処理剤を用いて以下の処理を被処理材に施し、樹脂皮膜付き銅含有基材を得た。
〔被処理基材(銅合金および銅合金部材)〕
試験に使用した被処理基材の略号と内訳を以下に示す。
a.無酸素銅板(C1020)50×30mm 厚み1mm
b.タフピッチ銅板(C1100)50×30mm 厚み0.2mm
c.リン脱酸銅(C1220)50×30mm 厚み1mm
d.黄銅(C2600)50×30mm 厚み0.2mm
e.りん青銅(C5191)50×30mm 厚み1mm
f.ビスマス青銅 50×20mm 厚み2mm
g.無電解銅めっきポリイミド樹脂フィルム 50×20mm 厚み0.2mm
h.銅ペースト塗布アルミナ板 30×20mm 厚み1mm
a1.無酸素銅線コイル(材質:C1020)φ1mm
a2.ガラス銅張積層板(材質:電解銅箔貼付けガラス−エポキシ樹脂複合材)
c1.熱交換機用銅管(材質:C1220)
d1.ブラスめっき線(材質:真鍮めっきスチールコード)
f1.水道用メーター(材質:ビスマス青銅)
g1.焼結銅合金軸受(材質:Cu−Sn系合金)
〔被処理基材の前処理工程〕
被処理基材の前処理工程としては、以下の工程(1)〜(4)を順に行った。
(1)脱脂(60℃、10分、浸せき法、日本パーカライジング(株)製のファインクリーナー315を用いて調製された5質量%水溶液を使用した。)
(2)水洗(常温、30秒、浸せき法)
(3)酸洗(常温、30秒、浸せき法、市販の硫酸を用いて調製された10%水溶液を使用)
(4)水洗(常温、30秒、浸せき法)
(実施例1)
ポリマーとしてポリ塩化ビニリデン分散液(旭化成ケミカル(株)製 サランラテックスL232A:アニオン性基含有、固形分濃度48%)を固形分換算で20質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.2質量部と、銅錯化剤としてチオ尿素を3質量部、ORP調整剤として亜硫酸ソーダを0.2質量部と、脱イオン水を95質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH2.8であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−420mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、アンモニア水を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金fおよび銅合金部材f1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金fおよび銅合金部材f1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金fおよび銅合金部材f1を40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金fおよび銅合金部材f1上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例2)
ポリマーとしてエポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を固形分換算で8質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.2質量部と、銅錯化剤としてチオアセトアミドを0.1質量部と、脱イオン水を90質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH4.0であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−80mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金cおよび銅合金部材a2を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金cおよび銅合金部材a2を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金cおよび銅合金部材a2を40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金cおよび銅合金部材a2上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例3)
ポリマーとしてエポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を固形分換算で25質量部と、銅錯化剤としてチオ尿素を0.5質量部と、フッ化水素酸にCuOを溶解させて調製したフッ化第二銅溶液をCuF2換算で0.1質量部と、水を60質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH3.0であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−70mVであった。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金bおよび銅合金部材d1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金bおよび銅合金部材d1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金bおよび銅合金部材d1を40℃で10分間脱水乾燥して、160℃で10分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金bおよび銅合金部材d1上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例4)
ポリマーとしてエポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を固形分換算で15質量部と、銅錯化剤としてエチルチオ尿素を0.5質量部と、フッ化第二鉄を2質量部と、フッ化水素酸にCuOを溶解させて調製したフッ化第二銅溶液をCuF2換算で0.1質量部と、2−プロパノールを5質量部と、水を60質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH3.0であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+30mVであった。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金eおよび銅合金部材a2を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金eおよび銅合金部材a2を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金eおよび銅合金部材a2を40℃で10分間脱水乾燥して、160℃で10分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金eおよび銅合金部材a2上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例5)
ポリマーとして特許公開2009−293101号公報の実施例に示されたフェノール樹脂を合成して使用した。
具体的には、ジメチルアミノベンゼンをアルカリ触媒に用い、フェノール(試薬:F)60gと37質量%ホルムアルデヒド(試薬:P)135gとを70℃で混合攪拌し、F/P比が2.6で固形分が55質量%の水溶性レゾール樹脂を得た。この水溶性レゾール樹脂200gに、40gの2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム塩(試薬)、35gのカテコ−ル(試薬)、および50gの水を添加したものを90℃に加熱し3時間攪拌した。攪拌後に210gのレソルシノール(試薬)および85質量%リン酸(試薬)5gを添加した水200gを添加し、温度を90℃に保ったまま1時間攪拌した。攪拌後、70gの37質量%ホルムアルデヒド(試薬)を少量ずつ加え、合成物の粘度が上昇することを目視で確認し、F/P比が0.84で固形分濃度53%のアニオン性ノボラック型フェノール樹脂を得た。
架橋剤としては、乾燥窒素雰囲気下で、174gのトルエンジイソシアネート(コロネートT80:日本ポリウレタン工業(株)製)に87gの2−ブタノンオキシムを、反応温度が40℃を超えないように外部から冷却しながら加えた。40℃で1時間保持した後に、反応容器を70℃に加温した。そこに、ビスフェノールA(試薬)113g、さらにジブチル錫ラウレート(STANN BL:三共有機合成(株)製)0.02gを加え120℃で2時間保持した後、エチレングリコールモノブチルエーテル(試薬)で固形分濃度が30質量%となるように希釈したものを使用した。
上記ノボラック樹脂を固形分換算で2質量部、上記架橋剤を固形分換算で3質量部を測り採り、水を主体とする溶媒が約80質量部となるよう脱イオン水で希釈、分散した。さらに、銅錯化剤として1−アリル−2−チオ尿素を0.3質量部と、フッ化第二鉄を3質量部とを添加し、自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH3.0であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+110mVであった。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金bおよび銅合金部材a2を40℃で60秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金bおよび銅合金部材a2を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金bおよび銅合金部材a2を40℃で10分間脱水乾燥して、160℃で10分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金bおよび銅合金部材a2上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例6)
特許3089195号を参考に、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物を64.44g、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンを42.72g、バレロラクトンを3g、ピリジンを4.8gに、N−メチルピロリドンを400g、トルエンを90gを加えて、室温で30分間攪拌した。その後、反応溶液を昇温して180゜で1時間(200rpm)撹拌しながら反応させて、ポリイミド樹脂原料を調製した。反応後、トルエン−水留出分30mlを除き、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物を32.22g、3,5−ジアミノ安息香酸を15.22g、2,6−ジアミノピリジンを11.01g、N−メチルピロリドンを222g、トルエンを45g添加し、室温で1時間撹拌後、昇温して180℃で1時間加熱撹拌した。その後、トルエン−水留出分15mlを除き、以後は留出分を系外に除きながら、180℃で3時間加熱、撹拌して20質量%カルボキシル基を有するポリイミド樹脂を得た。得られたポリイミド樹脂を固形分換算で35質量部と、NMP:テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド混合溶液を50質量部と、ベンジルアルコールを30質量部と、銅錯化剤として1−アリル−2−チオ尿素を1質量部と、エチレンジアミンを0.5質量部と、水を25質量部とを撹拌して、自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH4.5であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+150mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金aおよび銅合金部材a1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金aおよび銅合金部材a1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金aおよび銅合金部材a1を40℃で10分間脱水乾燥して、180℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金aおよび銅合金部材a1上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例7)
ポリマーとしてエポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を固形分換算で10質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.1質量部と、銅錯化剤として2,2’−ビピリジルを0.2質量部と、脱イオン水を90質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH4.2であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−120mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金cおよび銅合金部材a2を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金cおよび銅合金部材a2を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金cおよび銅合金部材a2を40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金cおよび銅合金部材a2上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例8)
ポリマーとしてエポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を固形分換算で15質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.2質量部と、銅錯化剤としてジフェニルカルバジドを0.5質量部と、脱イオン水を98質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH3.5であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−160mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金cおよび銅合金部材a1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金cおよび銅合金部材a1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金cおよび銅合金部材a1を40℃で10分間脱水乾燥して、150℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金cおよび銅合金部材a1上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例9)
ポリマーとして下記のポリアニリン分散液(濃度5%)を固形分換算で20質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.2質量部と、銅錯化剤としてチオ尿素を2質量部と、脱イオン水を95質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH2.4であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:60mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、アンモニア水を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
ポリアニリン分散液の調製
1モル/L濃度の塩酸水溶液にアニリンを溶解し、5℃以下で過硫酸アンモニウム溶液を添加して緑色のポリアニリン分散液を合成した。合成したポリアニリン分散液は透析チューブに入れて24時間脱塩処理した後、固形分濃度が5%となるように希釈して実験に供した。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金aおよびgを室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金aおよびgを水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金aおよびgを40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金aおよびg上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例10)
ポリマーとして下記のポリピロール分散液(濃度5%)を固形分換算で20質量部と、硫酸(10質量%)を0.5質量部と、銅錯化剤として1−アリル−2−チオ尿素を1質量部と、脱イオン水を95質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH1.9であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−30mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、アンモニア水を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
ポリピロール分散液の調製
ポリスチレンスルホン酸30%水溶液(分子量約5万)50質量部、およびピロールモノマー10質量部を脱イオン水500質量部に添加して攪拌した。十分に混合した後、この溶液に、室温で、過硫酸アンモニウム15%水溶液60質量部を添加した。添加終了後、さらに2時間攪拌してポリピロール分散液を得た。合成したポリピロール分散液は透析チューブに入れて24時間脱塩処理した後、固形分濃度が5%となるように希釈して実験に供した。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金cおよびgを室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金cおよびgを水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金cおよび銅合金部材gを40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金cおよびg上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例11)
ポリマーとして下記のPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)分散液を固形分換算で10質量部と、銅錯化剤として2,2’−ビピリジルを0.2質量部と、脱イオン水を90質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH3.1であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:80mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%硫酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
PEDOT分散液の調製
ポリスチレンスルホン酸30%水溶液(分子量約5万)50質量部、および3,4−エチレンジオキシチオフェン10質量部と、硫酸第二鉄0.3質量部を脱イオン水500質量部に添加して攪拌した。十分に混合した後、この溶液に、室温で、過硫酸アンモニウム15%水溶液60質量部を添加した。添加終了後、さらに2時間攪拌してポリチオフェン分散液を得た。合成したポリチオフェン分散液は透析チューブに入れて24時間脱塩処理した後、固形分濃度が5%となるように希釈して実験に供した。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金aおよびhを室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金aおよびhを水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金aおよびhを40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金aおよびh上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例12)
ポリマーとして下記のPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)分散液を固形分換算で10質量部と、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン(商品名「ユープレンUX−306」:固形分濃度45%、三洋化成工業社製)を固形分換算で5質量部とを混合し、さらに銅錯化剤としてチオ尿素を0.5質量部と、脱イオン水を90質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH1.8であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:150mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、アンモニア水を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
PEDOT分散液の調製
ポリスチレンスルホン酸30%水溶液(分子量約5万)50質量部、および3,4−エチレンジオキシチオフェン10質量部を脱イオン水500質量部に添加して攪拌した。十分に混合した後、この溶液に、室温で、過硫酸アンモニウム15%水溶液60質量部を添加した。添加終了後、さらに6時間攪拌してポリチオフェン分散液を得た。合成したポリチオフェン分散液は透析チューブに入れて24時間脱塩処理した後、固形分濃度が5%となるように希釈して実験に供した。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金cおよびhを室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金cおよびhを水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金cおよびhを40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金cおよびh上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(実施例13)
ポリマーとして実施例12で使用したPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)分散液を固形分換算で10質量部と、エポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を固形分換算で3質量部とを混合し、さらに銅錯化剤としてチオアセトアミドを0.2質量部と、脱イオン水を90質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH1.8であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:180mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、アンモニア水を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金aおよびgを室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金aおよびgを水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金aおよびgを40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で5分間加熱処理を実施した。脱水乾燥後の銅合金aおよびg上に形成された皮膜は多孔質であったが、加熱硬化によって緻密でピンホールのない樹脂皮膜が得られた。
なお、上記処理後の自己析出型銅用表面処理剤は24時間後においても安定で、異常が認められなかった。
(比較例1)
ポリマーとしてポリ塩化ビニリデン分散液(旭化成ケミカル(株)製 サランラテックスL232A:アニオン性基含有、固形分48%)を固形分換算で25質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.5質量部と、ORP調整剤(酸化剤)として過硫酸アンモニウムを5質量部と、脱イオン水を90質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH2.8であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+320mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、アンモニア水を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
該処理剤では、ORPが本発明の範囲から外れている。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金fおよび銅合金部材f1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金fおよび銅合金部材f1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金fおよび銅合金部材f1を40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、析出後の皮膜は不均一で部分的に剥がれが認められた。加熱硬化後に得られた樹脂皮膜においてもピンホール等の欠陥部が認められた。
また、処理剤は数時間以内に凝集してゲル化して処理が不可能となった。
(比較例2)
ポリマーとしてカルボキシル基およびメチロール基を有するアクリロニトリルブタジエンスチレンゴムの水分散体(固形分濃度:47%、pH:2.5)を固形分換算で30質量部と、フッ化第二鉄を2質量部と、ORP調整剤(酸化剤)として過酸化水素を1質量部と、銅錯化剤としてチオ尿素を0.001質量部と、脱イオン水を90重量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH3.0あった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+280mVであった。
該処理剤では、ORPが本発明の範囲から外れている。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金cおよび銅合金部材a2を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金cおよび銅合金部材a2を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金cおよび銅合金部材a2を40℃で10分間脱水乾燥して、160℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、樹脂の析出は不完全で不均一であった。また、加熱硬化後に得られた樹脂皮膜においてもピンホール等の欠陥部が認められた。
(比較例3)
ポリマーとしてエポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を35質量部と、ORP調整剤(酸化剤)として過硫酸アンモニウムを5質量部と、水を120質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH4.0あった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+250mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
該処理剤では、ORPが本発明の範囲から外れている。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金bおよび銅合金部材c1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金bおよび銅合金部材c1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金bおよび銅合金部材c1を40℃で10分間脱水乾燥して、160℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、析出後の皮膜は不均一で部分的に剥がれが認められた。加熱硬化後に得られた樹脂皮膜においてもピンホール等の欠陥部が認められた。
また、処理剤は24時間後に増粘する傾向があり、安定性に劣っていた。
(比較例4)
ポリマーとしてポリ塩化ビニリデン分散液(旭化成ケミカル(株)製 サランラテックスL232A:アニオン性基含有、固形分48%)を固形分換算で20質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.2質量部と、銅錯化剤として二酸化チオ尿素を8質量部と、脱イオン水を90質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH7.5あった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−580mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
該処理剤では、ORPが本発明の範囲から外れている。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金aおよび銅合金部材c1を40℃で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金aおよび銅合金部材c1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金aおよび銅合金部材c1を40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、銅合金aおよび銅合金部材c1上には樹脂の析出はほとんど認められず、析出していない部位が多かった。
(比較例5)
ポリマーとしてエポキシ−アクリル系樹脂(アニオン性基含有、固形分濃度:47%)を25質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を1.5質量部と、ORP調整剤として亜硫酸ナトリウムを2質量部と、水を95質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH4.0あった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:−520mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
該処理剤では、ORPが本発明の範囲から外れている。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金bおよび銅合金部材c1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金bおよび銅合金部材c1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金bおよび銅合金部材c1を40℃で10分間脱水乾燥して、160℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、銅合金bおよび銅合金部材c1上には樹脂はほとんど析出していなかった。
(比較例6)
国際公開2009/066658号公報の実施例29に示される、チオ尿素0.5質量%と、エラストマーとしてアクリロニトリルブタジエンスチレンゴム30質量%と、酸化剤としてのメタバナジン酸アンモニウム(V)0.5質量%とを含有する処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH8.1あった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+330mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、5%フッ化水素酸を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。
得られた処理剤中に、銅合金bおよび銅合金部材c1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金bおよび銅合金部材c1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金bおよび銅合金部材c1を40℃で10分間脱水乾燥して、100℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、銅合金bおよび銅合金部材c1上には樹脂はほとんど析出していなかった。
(比較例7)
国際公開2009/066658号公報の実施例32に示される、チオ尿素0.1質量%と、エラストマーとしてアクリルゴム30質量%(pH8)と、酸化剤としてのメタバナジン酸アンモニウム(V)0.5質量%とを含有する処理剤を調製した。さらに希釈した硫酸を添加してpHを3.0に調整した。
処理剤の酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+380mVであった。
得られた処理剤中に、銅合金bおよび銅合金部材c1を室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金bおよび銅合金部材c1を水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金bおよび銅合金部材c1を40℃で10分間脱水乾燥して、100℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、銅合金bおよび銅合金部材c1上への樹脂の析出は不均一であった。
また、処理後1時間以内に処理剤が黄変し、沈殿が生じてしまい、液安定性に劣っていた。
(比較例8)
ポリマーとして実施例9で使用したポリアニリン分散液(濃度5%)を固形分換算で20質量部と、フッ化水素酸(40質量%)を0.2質量部と、過酸化水素水を2質量部と脱イオン水を95質量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH2.4であった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:360mVであった。なお、得られた処理剤の酸化還元電位は、アンモニア水を用いて処理剤のpHを3.0に調整した後、測定を行った。該処理剤では、ORPが本発明の範囲から外れている。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金aおよびgを室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金aおよびgを水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金aおよびgを40℃で10分間脱水乾燥して、120℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、析出後の皮膜は不均一で部分的に剥がれが認められた。加熱硬化後に得られた樹脂皮膜においてもピンホール等の欠陥部が認められた。また、処理剤は数十分以内に凝集してゲル化して処理が不可能となった。
(比較例9)
ポリマーとして実施例12で使用したPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)分散液を固形分換算で30質量部と、フッ化第二鉄を2質量部と、ORP調整剤(酸化剤)として過硫酸アンモニウムを3質量部と、脱イオン水を90重量部とを混合させる事で自己析出型銅用表面処理剤を調製した。
得られた処理剤のpHを、pHメーターで測定したところ、pH3.0あった。また、得られた処理剤のpH3.0のときの酸化還元電位(ORP)をORP電極(Ag/AgCl)で測定し、SHEを基準とした電位に換算したところ、ORP:+420mVであった。該処理剤では、ORPが本発明の範囲から外れている。
得られた自己析出型銅用表面処理剤中に、銅合金cおよびhを室温で120秒間浸漬処理した。浸漬処理後、得られた銅合金cおよびhを水中(室温)に30秒間浸漬させ、水洗した。その後、銅合金cおよびhを40℃で10分間脱水乾燥して、160℃で10分間加熱処理を実施した。顕微鏡観察の結果では、樹脂の析出は不完全で不均一であった。また、加熱硬化後に得られた樹脂皮膜においてもピンホール等の欠陥部が認められ、処理液に沈殿物が認められた。
2.樹脂被覆処理した銅材料の評価
実施例1〜13および比較例1〜9で得られた樹脂皮膜付き銅合金および/または樹脂皮膜付き銅合金部材について、以下の方法により処理板の評価を行った。
(1)銅材料表面の膜厚測定
実施例および比較例で得られた樹脂皮膜付き銅合金および/または樹脂皮膜付き銅合金部材について、水洗・乾燥後の処理基材、およびさらに加熱硬化後の処理基材について表面を金属顕微鏡で観察し、形成された皮膜の孔の有無を観察した。また、加熱硬化後の処理基材について、樹脂に埋め込んだ試験片を作製し、金属顕微鏡(倍率:1000倍)を用いてその皮膜断面を膜厚測定した。
(2)耐食性
実施例および比較例で得られた樹脂皮膜付き銅合金および/または樹脂皮膜付き銅合金部材を、熱風オーブン中に150℃で10分間保持した後の表面の変色を目視で評価した。評価はJIS銅板腐蝕試験に準じ、変色がほとんどないものを1点、薄い変色が認められるものを2点、濃い変色があるものを3点、黒色のものを4点とした。結果を表1に示す。
(3)密着性
実施例および比較例で得られた樹脂皮膜付き銅合金および/または樹脂皮膜付き銅合金部材に対して、JIS K5400に準じカッターナイフで素地に達する1mm角の碁盤目カットを入れ、粘着テープを貼り付け、引き剥がして皮膜が剥離した碁盤目の数を計測して評価した。剥離が全くないものを0/100とした。結果を表1に示す。
(4)電気的特性1(耐電圧試験)
実施例1〜8および比較例1〜7で得られた樹脂皮膜付き銅合金および/または樹脂皮膜付き銅合金部材に対しては、絶縁破壊試験機を使用して絶縁破壊電圧を測定した。数値は5回の測定値の平均で比較した。
(5)電気的特性2(導電性試験)
実施例9〜13および比較例8〜9で得られた樹脂皮膜付き銅合金および/または樹脂皮膜付き銅合金部材に対しては、低抵抗計(三菱化学(株)製ロレスタ−EP)を使用して2端子法により表面抵抗を測定した。数値は5回の測定値の平均で比較した。これらの結果を表1に示す。
(6)浴安定性
処理を行ったのち24時間後まで処理剤を室温で保存し、液の粘度と樹脂の凝集状態の変化を観察した。
なお、上記表中、「>1.0」は1.0超であることを意図する。
また、上記表中、「<0.05」は0.05未満であることを意図する。
なお、他の同様の表記も、上記と同様に解釈する。
表1に試験結果を示した。これらの結果から、本発明の自己析出型銅用表面処理剤および樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法によれば、従来技術では困難であった銅(または銅合金)や銅合金部材に対しても十分な膜厚を有する皮膜を得ることが可能となり、得られた皮膜は優れた密着剤、耐食性に優れ、実施例1〜8に示す絶縁用途では優れた耐電圧性が得られ、実施例9〜13に示す導電用途では低い電気抵抗が得られることから各種用途に適用できる特性を備えることが確認された。また、自己析出型銅用表面処理剤も液の安定性に優れていた。
さらに、実施例3〜5に記載の処理剤は、Fe(III)イオンまたはCu(II)イオンが含まれており、形成された皮膜の耐食性がより優れた効果を示すことが確認された。
一方、比較例に示すように、所定の要件を満たさない処理剤を使用した場合は、皮膜が殆ど形成されない、または、形成された皮膜の密着剤、耐食性または電気的特性(耐電圧性または電気抵抗)が劣ることが確認された。
特に、比較例6および7に記載の処理剤は、特許文献1の実施例欄に記載の処理剤であり、薄い皮膜しか形成されず、形成された皮膜自体も密着剤、耐食性および電気的特性が劣ることが確認された。
上記実施例は、本発明の説明のために示されたものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。銅表面の保護だけでなく各種機能性を付与することが可能であり、その応用範囲は広く幅広い分野での実用性を有している。

Claims (9)

  1. 1〜60質量部の水溶性または水分散性ポリマーと、30〜99質量部の水を主体とする溶媒と、0.01〜5.0質量部の銅錯化剤とを含み、
    pH3.0のときの酸化還元電位が−500〜+200mV(vs.SHE)の範囲にあることを特徴とする自己析出型銅用表面処理剤。
  2. 前記銅錯化剤が、その分子構造中にC=S、C−S、N−NおよびC=Nからなる群から選ばれる少なくとも1つの結合を有する請求項1に記載の自己析出型銅用表面処理剤。
  3. さらにFe(III)イオンおよび/またはCu(II)イオンを含む、請求項1または2に記載の自己析出型銅用表面処理剤。
  4. 前記水溶性または水分散性ポリマーがアニオン性基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。
  5. 前記銅錯化剤が、以下の式(1)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。

    (式(1)中、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルケニル基、アルケニルアミノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アセチルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、N−ベンゾイルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、フェニルアミノ基、トリルアミノ基、ナフチルアミノ基、フェニルアゾ基、グアニルアミノ基、ニコチン基、ヒドラジノ基、フェニルヒドラジノ基、チオカルバモイル基、またはチオカルバモイルアミノ基を表す。)
  6. 前記ポリマーが、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、フェノール−ホルムアルデヒド縮合樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、導電性樹脂、およびエポキシ−アクリル系混成ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。
  7. さらに不溶性無機粒子を0.1〜100質量部含む、請求項1〜6のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の自己析出型銅用表面処理剤と、銅含有基材とを接触させて、前記銅含有基材上に多孔質皮膜を形成する第1の工程と、
    水を含む溶媒で、形成した前記多孔質皮膜を洗浄する第2の工程と、
    洗浄した前記多孔質皮膜に加熱処理を施し、前記基材上に樹脂皮膜を形成する第3の工程とを備える、樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法。
  9. 前記銅含有基材が、モーター部品、蓄電デバイス部品、センサー部品、アンテナ、銅配線板、銅線、銅合金被覆線、コイル、自動車部品、軸受、放熱部品、および配管部品からなる群から選択される1種である、請求項8に記載の樹脂皮膜付き銅含有基材の製造方法。
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