JP7217136B2 - 皮膜を有する基材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銅を有する基材の表面に皮膜形成剤を接触させることにより形成された皮膜を有する基材の製造方法に関するものである。
従来、表面に銅を有する基材に皮膜を形成させる、皮膜付き基材の製造方法に関する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、水溶性または水分散性ポリマーと、水を主体とする溶媒と、銅錯化剤とを所定量含み、pH3.0のときの酸化還元電位が-500~+200mV(vs.SHE)の範囲にある自己析出型銅用表面処理剤を用いて、樹脂皮膜付き銅含有基材を製造する方法が開示されている。
国際公開第2013/157574号
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、自己析出型銅用表面処理剤と銅含有基材とを接触させて形成される未硬化の皮膜が、銅含有基材に対して密着性が低く、その後の水洗等における処理によって銅含有基材から剥離する場合がある。その結果、乾燥により硬化させた皮膜を有する銅含有基材の歩留まりが低いという問題があった。そこで、本発明は、表面に銅を有する基材と未硬化皮膜との密着性を向上させて、硬化させた皮膜を有する該基材を効率よく製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、表面に銅を有する基材において、水滴が付着していない部分に特定の皮膜形成剤を接触させて未硬化皮膜を形成することにより、表面に銅を有する基材と未硬化皮膜との密着性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)皮膜を有する基材の製造方法であって、
基材(X)の表面において、水滴が付着していない部分に、1~60質量部の水溶性または水分散性ポリマーと、30~99質量部の水を主体とする溶媒と、0.01~5.0質量部の銅錯化剤とを含む皮膜形成剤を接触させる工程Aと、
前記皮膜形成剤を接触させた基材(X)を水洗する工程Bと、
水洗した基材(X)を乾燥させて前記皮膜を形成する工程Cと、
を含み、
前記基材(X)は表面に銅を有する、製造方法;
(2)水滴が付着していない前記部分を得るために、基材(X)における当該部分の表面に付着した水滴を除去する工程を含む、上記(1)に記載の製造方法;
などである。
本発明によれば、表面に銅を有する基材と未硬化皮膜との密着性を向上させて、硬化させた皮膜を有する該基材を効率よく製造できる方法を提供することができる。
以下、本発明に係る、皮膜を有する基材の製造方法について説明する。
<皮膜を有する基材の製造方法>
本実施形態に係る、皮膜を有する基材の製造方法は、所定の基材(X)に皮膜形成剤を接触させる工程Aと、皮膜形成剤を接触させた基材(X)を水洗する工程Bと、水洗した基材(X)を乾燥させて皮膜を形成する工程Cと、を含む。この製造方法により、所定の基材(X)に皮膜形成剤を接触させることにより形成された未硬化皮膜と、該基材(X)との密着性を向上させて、その後の水洗等における処理によって基材(X)から未硬化皮膜が剥がれるのを防ぐことができ、乾燥により形成された硬化皮膜を有する該基材(X)を効率よく製造することができるようになる。
<工程A>
工程Aは、基材(X)に皮膜形成剤を接触させる工程である。この工程Aにより、基材(X)の表面に密着性に優れた未硬化皮膜を形成することができる。ここで基材(X)は、基材の全部または一部の表面に銅を含むものであれば特に限定されるものではなく、基材の全部又は一部の表面が、少なくとも、純銅、銅合金、銅または銅合金の膜等で構成されているものであればよい。また、基材の表面の全部または一部が銅または銅合金の膜で構成された基材としては、各種金属材料(合金材料を含む);セラミック;ガラス;樹脂フィルム;シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、サファイア、ガラス、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、窒化ガリウム(GaN)等のウェハー;等の材料の表面上に、スパッタリング法、CVD法、レーザー蒸着、インクジェット法、パターンめっき転写法、ダマシン法等で銅または銅合金の膜を形成したものを具体的に挙げることができる。なお、基材は、上記材料と、銅または銅合金の膜との間に、別の膜(例えば、チタン又はチタン合金の膜等)が蒸着法やスパッタリング法等で形成されたものであってもよい。チタン合金としては、チタンとチタン以外の金属元素を含み、チタンが最も多く含まれているものであれば特に制限されるものではない。具体的には、JIS H 4600:2012に定められている、チタン-パラジウム合金系、チタン-ニッケル-クロム-ルテニウム-パラジウム合金系、チタン-タンタル合金系、チタン-パラジウム-コバルト合金系、チタン-ニッケル-ルテニウム合金系、チタン-アルミニウム合金系、チタン-アルミニウム-バナジウム合金系などが挙げられる。
銅合金としては、銅と銅以外の金属元素を含むものであれば特に制限されるものではない。なお、銅合金に含まれる銅の質量割合は56%以上であることが好ましい。具体的には、JIS H 3100:2012に定められている、銅-亜鉛合金系、銅-鉄-リン合金系、銅-すず-リン合金系、銅-ニッケル-すず合金系、銅-マンガン合金系の他に、銅-銀合金系、銅-チタン合金系、銅-ベリリウム合金系、銅-カドミウム合金系、銅-ニッケル-ケイ素-亜鉛-すず-マグネシウム-クロム合金系などが挙げられる。なお、基材(X)は、形状やサイズは特に限定されるものではなく、各種精密部品、電子部品、航空用部品、自動車用部品、家電製品用部品、半導体材料、配線基板、ボルト、ナット、化学プラント用容器・パイプ、建材、輸送機器、通信・光学機器、音響機器等の成形品であってもよいし、成形前の板材、圧延銅箔、電解銅箔、フィルム材、管材、条、棒材、線材等の非成形品であってもよい。また、線材がコイル状に巻かれたものや、ブスバーのように板材に穴が開いているものなどでもよい。
基材(X)は、皮膜形成剤を接触させる際、少なくとも、硬化皮膜を形成させたい部分に、水滴が付着していない状態であることが好ましい。ここで、本明細書において「水滴が付着していない」とは、水滴が目視で確認できないことを意味し、好ましくは、塩化コバルト試験紙を用いた水分検出方法によって水分が検出できないことを意味する。
基材(X)の表面において、少なくとも、硬化皮膜を形成させたい部分に、水滴が付着している場合には、例えば、基材(X)における、硬化皮膜を形成させたい部分の表面に付着した水滴を除去することにより、表面に水滴が付着していない部分を有する基材(X)を得ることができる。水滴の除去方法としては特に制限されないが、例えば、自然乾燥;高周波誘導加熱、赤外線、循環式熱風乾燥炉等を用いて基材(X)の表面を加熱する方法;エアブロー、布などを用いて基材(X)の表面に付着した水滴を除去する方法;などが挙げられる。なお、加熱温度は特に限定されないが、20~100℃の範囲内であることが好ましく、40~90℃の範囲内であることがより好ましい。乾燥時間は特に限定されないが、120~300秒間の範囲内であることが好ましい。
皮膜形成剤は、1~60質量部の水溶性または水分散性のポリマー(以下、「成分a」と称する。)と、30~99質量部の水を主体とする溶媒(以下、「水性媒体」と称する。)と、0.01~5.0質量部の銅錯化剤(以下、「成分b」と称する。)と、を含む。該皮膜形成剤は、成分aと、成分bのみを水性媒体に配合させたものであってもよく、その他の成分を配合させたものであってもよい。
(成分a)
成分aとしては、予め重合したものを用いてもよいし、水性媒体中で乳化重合したものを用いてもよい。成分aとしては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、エポキシ-アクリル系混成ポリマーなどのポリマーを用いることができるが、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性基を有するものを用いることが好ましい。なお、成分aとしては、上記ポリマーのホモポリマーでもよいし、上記ポリマーを2種以上含むコポリマーでもよい。コポリマーとしては、ランダムコポリマーであっても、ブロックコポリマーであってもよい。これらのポリマーは、1種のみ用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
(水性媒体)
水性媒体としては、水または水と水混和性有機溶媒との混合物が挙げられるが、水のみを用いることが好ましい。水混和性有機溶媒としては、水と混和するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;N,N’-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエーテル系溶媒;1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン等のピロリドン系溶媒等が挙げられる。これらの水混和性有機溶媒は1種を水と混合させてもよいし、2種以上を水と混合させてもよい。混合物における水の質量割合は、通常25質量%以上であり、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
(成分b)
成分bとしては、銅イオンと錯体を形成しうる化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、チオ尿素、アルキルチオ尿素(例えば、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素など)、アセチルチオ尿素、アルケニルチオ尿素(例えば、1-アリル-2-チオ尿素など)、アリールチオ尿素(例えば、1-フェニル-2-チオ尿素など)、チオアセトアミド、チオール系化合物(例えば、チオグリコール酸、チオシアン酸などのメルカプト基含有化合物)、ピリジン系化合物(例えば、2,2’-ビピリジルなどのピリジル基含有化合物)、ジフェニルカルバジド、チオ硫酸、アゾ系化合物(アゾ基含有化合物)などが挙げられる。これらの銅錯化剤は、1種のみ用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
(その他の成分)
本実施形態において、皮膜形成剤は、さらに、基材(X)の表面における銅をエッチングしうる化合物を含有することが好ましい。具体的には、フッ化鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、リン酸鉄(III)、蓚酸鉄(III)、蟻酸鉄(III)、フッ化銅(II)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、リン酸銅(II)、蓚酸銅(II)、蟻酸銅(II)、フッ化水素酸、塩酸、硫酸、リン酸、蓚酸、蟻酸などを挙げることができ、これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る皮膜形成剤は、さらに酸化剤を含むことで表面に銅を有する基材と未硬化皮膜との密着性を向上できる。酸化剤としては、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、硝酸、亜硝酸、過酸化水素、過マンガン酸、タングステン酸及びモリブデン酸から選ばれる酸素酸、並びにその塩、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートから選ばれる有機過酸化物、並びにその塩が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る皮膜形成剤は、さらに、造膜助剤、潤滑剤、界面活性剤、着色顔料、防錆顔料などの添加剤を含んでいてもよい。造膜助剤としては、例えば、4-ブトキシ-1-エタノール、2,2,4-トリメチル-1,3ペンタジオールモノイソブチレート、1-アセトキシ-2-エトキシエタン等が挙げられる。潤滑剤としては、例えば、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、ジチオリン酸エステル塩、アミノ酸型およびベタイン型のカルボン酸塩などが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オクタン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、1-デカンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。着色顔料としては、例えば、酸化チタン、クロムバーミリオン、黄鉛、酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。防錆顔料としては、例えば、鉛、クロム亜鉛、リン酸塩などが挙げられる。なお、これらの添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(皮膜形成剤のpH)
本実施形態において、皮膜形成剤のpHは、特に限定されないが、1.5~5.0の範囲内であることが好ましい。なお、本明細書におけるpHの値は、pHメーターを用いて25℃で測定した値を意味する。皮膜形成剤のpHは、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、ホウ酸、有機酸(例えば、蓚酸、蟻酸、酢酸等)等の酸成分;水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、アルカリ金属塩、アンモニア、アンモニウム塩(例えば、炭酸水素アンモニウム等)、アミン類等のアルカリ成分;等のpH調整剤を用いて調整することができるが、これらの成分に限定されるものではない。なお、これらのpH調整剤は、1種のみ用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
(皮膜形成剤のORP)
本実施形態において、皮膜形成剤の酸化還元電位(ORP)は、特に限定されないが、pH4.2において+300~+700mV(vs.SHE)の範囲内であることが好ましい。なお、本明細書におけるORPの値は、公知の測定機器(例えば、東亜ディーケーケー(株)製ORP複合電極)を用いて測定した、標準水素電極(SHE)を基準とした値を意味する。なお、ORPの調整は、銅錯化剤や亜硫酸ナトリウムなどの還元剤;過硫酸アンモニウムなどの酸化剤;三価鉄イオンの供給源(例えば、第二鉄塩など)を添加したり、空気を吹き込んだりすることにより行うことができる。
(皮膜形成剤の製造方法)
皮膜形成剤は、例えば、水性媒体に成分bや必要に応じてその他の成分を混合した混合物を調製した後、この混合物を、成分aの水溶液に混合することにより製造することができる。
(皮膜形成剤を接触させる方法)
基材(X)の表面に皮膜形成剤を接触させる方法としては、例えば、浸漬、スプレー、流しかけなどの方法またはこれらを組み合わせた方法を挙げることができるが、基材(X)と皮膜形成剤との化学反応が生じる方法であれば特に限定されるものではない。なお、浸漬法を適用する場合には、皮膜形成剤を撹拌しながら、基材(X)と接触させることが好ましい。また、接触温度は、特に限定されないが、5~40℃の範囲内であることが好ましく、10~35℃の範囲内であることがより好ましく、15~30℃の範囲内であることが特に好ましい。接触時間は、特に限定されないが、30~600秒間の範囲内であることが好ましく、45~450秒間の範囲内であることがより好ましく、60~300秒間の範囲内であることが特に好ましい。
<工程B>
工程Bは、工程Aにより皮膜形成剤を接触させた基材(X)を水洗する工程である。すなわち、工程Aにより基材(X)の表面に形成された未硬化皮膜を水洗する工程である。水洗方法としては、例えば、浸漬、スプレー、流しかけなどの方法またはこれらを組み合わせた方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、水洗に用いる水の温度および水洗時間については、基材(X)の表面に形成された未硬化皮膜に付着した余剰の皮膜形成剤を除去できれば特に限定されるものではない。
<工程C>
工程Cは、工程Bにより水洗した基材(X)を乾燥させて硬化皮膜を形成する工程である。すなわち、工程Bにより水洗した未硬化皮膜を乾燥させて硬化皮膜を形成する工程である。乾燥方法としては、未硬化皮膜が硬化するまで該未硬化皮膜中の水分を蒸発させる方法であれば特に制限されず、例えば、循環式熱風乾燥炉を用いた乾燥方法を挙げることができる。乾燥温度は、特に限定されないが、50~200℃の範囲内であることが好ましく、60~190℃の範囲内であることがより好ましく、70~180℃の範囲内であることが特に好ましい。乾燥時間は、所定の温度で未硬化皮膜が硬化するまでの時間を適宜設定すればよい。
<前処理工程>
本実施形態に係る皮膜を有する基材の製造方法は、工程Aを行う前に、基材(X)の表面に付着した油分や汚れなどを除去するために脱脂処理を行ってもよく、その後に水洗処理をさらに行ってもよい。また、必要に応じて水洗処理後に酸洗処理を行ってもよい。必要であれば、酸洗処理後に水洗処理をさらに行ってもよい。なお、脱脂処理としては、例えば、アルカリ脱脂や溶剤脱脂などの処理を挙げることができるが、中性洗剤による洗浄や湯洗などの処理をさらに組み合わせて行ってもよい。脱脂処理方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬、流しかけ、スプレーなどの方法を挙げることができる。
<後処理工程>
工程Bの後、工程Cの前に、水洗した未硬化皮膜にアルカリ性溶液を接触させる工程Dを行うことが好ましい。この工程Dを行うことにより、硬化皮膜の、基材Xに対する密着性、耐水性(該硬化皮膜が吸水しにくい性質)等を向上させることができる。アルカリ性溶液を接触させる方法としては、例えば、浸漬、スプレー、流しかけなどの方法またはこれらを組み合わせた方法を挙げることができる。なお、接触温度は特に限定されないが、5~40℃の範囲内であることが好ましく、10~35℃の範囲内であることがより好ましく、15~30℃の範囲内であることが特に好ましい。接触時間は特に限定されないが、3~300秒間の範囲内であることが好ましく、10~120秒間の範囲内であることがより好ましく、20~60秒間の範囲内であることが特に好ましい。また、工程Dの後、工程Cの前に、水洗処理を行うことが好ましい。
(アルカリ性溶液)
アルカリ性溶液としては、アルカリ成分を水に溶解した水溶液であれば特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム水溶液;水酸化カリウム水溶液;アンモニア水溶液;アミノ樹脂(例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂)などのアミン化合物の水溶液;などが挙げられる。アルカリ性溶液のpHは8.0~13.0の範囲内であればよいが、8.5~12.5の範囲内であることが好ましく、9.0~12.0の範囲内であることがより好ましい。
アルカリ性溶液は、さらに樹脂成分が含まれていてもよい。樹脂成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。なお、アルカリ性溶液を調製する際に樹脂成分を用いる場合には、固形分質量濃度として、10g/L~500g/Lの範囲内で樹脂成分が含まれていることが好ましく、30g/L~400g/Lの範囲内で樹脂成分が含まれていることがより好ましく、50g/L~300g/Lの範囲内で樹脂成分が含まれていることが特に好ましい。
本実施形態に係る、皮膜を有する基材は、絶縁性を必要とする基材を用いる様々な産業にて適用可能である。より具体的には、各種精密部品、電子部品、航空用部品、自動車用部品、家電製品用部品、半導体材料、配線基盤、ボルト、ナット、化学プラント用容器・パイプ、建材、輸送機器、通信・光学機器、音響機器等、多岐に渡る分野で有用である。
以下、実施例により本発明の効果を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
<皮膜形成剤の調製>
成分aと成分bの最終濃度が表1に示す値となるように、イオン交換水に成分bを加えた水溶液と、イオン交換水で成分aの濃度を希釈したものを混合した。その後、フッ化水素酸を用いてpHを4.2に調整し、製造例1~5の皮膜形成剤を調製した。なお、表1中の各記号は、以下の成分をそれぞれ示す。
Figure 0007217136000001
(成分a:水溶性または水分散性ポリマー)
a1:F-2125D(ウレタン樹脂、固形分濃度:30重量%、第一工業製薬株式会社製)
a2:サランラテックスL232A(ポリ塩化ビニリデン樹脂、固形分濃度:48重量%、旭化成ケミカルズ株式会社製)
a3:エピレッツ3522W60(エポキシ樹脂、固形分濃度:60重量%、三菱ケミカル株式会社製)
(成分b:銅錯化剤)
b1:チオアセトアミド(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級)
b2:ジフェニルカルバジド(純正化学株式会社製 特級)
b3:1-アリル-2-チオ尿素(富士フイルム和光純薬株式会社製 化学用)
<試験板の作製方法>
(前処理)
銅材(タフピッチ銅;JIS H 3100:2012で規格されたC1100、50×30×0.2mm)を、アルカリ脱脂溶液[ファインクリーナーE6400(日本パーカライジング株式会社製)を2重量%となるように水に混合した水溶液]に50℃で120秒間浸漬し、脱脂処理を行った。脱脂処理後、25℃のイオン交換水に浸漬して洗浄した。
洗浄後、銅材を、硫酸及び過酸化水素をそれぞれ5.0重量%及び0.09重量%となるように水に混合した水溶液に25℃で120秒間浸漬し、酸洗処理を行った。酸洗処理後、25℃のイオン交換水に浸漬して洗浄した。
(乾燥処理)
酸洗処理後、イオン交換水で洗浄した銅材を、循環式熱風乾燥炉を用いて80℃で3分間乾燥した。乾燥後、銅材の表面に水滴が付着していなかったが、水分が存在しないことを確認するため、塩化コバルト試験紙(KENIS社製)を用いて水分の検出を行い、水分が存在しないことを確認した。
(皮膜形成処理)
表面に水滴が付着していない銅材を製造例1~5の皮膜形成剤に浸漬した状態で、板の広い面に対して垂直方向に10cm/秒の速さで120秒間繰り返し往復させ、未硬化皮膜を有する銅材(実施例1~5の試験板)を製造した。また、酸洗処理後、イオン交換水で洗浄した銅材を乾燥させずに、製造例1または2の皮膜形成剤に浸漬し、その状態で、板の広い面に対して垂直方向に10cm/秒の速さで120秒間繰り返し往復させ、未硬化皮膜を有する銅材(比較例1及び2の試験板)を製造した。
(評価方法)
各試験板を25℃のイオン交換水に浸漬させた状態で、板の広い面に対して垂直方向に10cm/秒の速さで30秒間繰り返し往復させ、試験板における未硬化皮膜を洗浄した。洗浄後、試験板における未硬化皮膜の状態を目視で確認し、以下の評価基準に従って未硬化皮膜の密着性を評価した。その結果を表2に示す。
<評価基準>
優:試験板において未硬化皮膜の剥離が確認できなかった。
劣:試験板において未硬化皮膜の一部又は全部の剥離が確認できた。
Figure 0007217136000002

Claims (1)

  1. 皮膜を有する基材の製造方法であって、
    水滴が付着していない部分を得るために、基材(X)の表面における当該部分の表面に付着した水滴を除去する工程と、
    基材(X)の表面において、水滴が付着していない前記部分、1~60質量部の水溶性または水分散性ポリマーと、30~99質量部の水を主体とする溶媒と、0.01~5.0質量部の銅錯化剤とを含む皮膜形成剤に浸漬し揺動させながら接触させる工程Aと、
    前記皮膜形成剤を接触させた基材(X)を水洗する工程Bと、
    水洗した基材(X)を乾燥させて前記皮膜を形成する工程Cと、
    を含み、
    前記基材(X)は表面に銅を有する、製造方法。
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