JP5808649B2 - 電子材料用洗浄剤 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、電子材料の製造において、その表面の研磨の後の砥粒、研磨屑の除去に好適な洗浄剤及び該洗浄液を使用した電子材料の製造方法に関する。
このうち、サブストレート工程(1)では、基板の平坦化のために砥粒を含むスラリーによる研磨を行い、その後、スラリーおよび発生した研磨屑等のパーティクルをリンスして洗い流し、さらに、リンスで取り除けなかったパーティクルを後工程の洗浄工程で洗浄して完全に除去する。
ところで、磁気ディスクの近年の高記録密度化につれて、2段階以上の研磨プロセスを用いた検討がなされてきている。すなわち、1段階目の研磨においては基板表面の比較的大きなうねり、大きなピット及びその他の表面欠陥を除去することが主たる目的で研磨がなされ、2段階目の研磨により、細かなスクラッチ、ピットを除去しながら極めて平坦な表面を形成する方式を採っている。
これらの問題点を解決するには、各段階で行われる研磨工程の終了時に砥粒や研磨屑が除去されていることが必要であり、このような残留物除去のために、高性能な洗浄剤が必要となってきている。
例えば、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子界面活性剤を用いて、アルミナの除去性を向上させる方法(特許文献1)、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性界面活性剤とグリコールエーテルを用いて、ダイヤモンドの除去性を向上させる方法(特許文献2)が提案されている。
ところで、発明者らは、フラットパネルディスプレイ基板やフォトマスク基板用の洗浄剤として、界面活性剤を含有し酸化還元電位が特定の範囲内にある洗浄剤を用いると、マザーガラスを切断するときに発生するガラスの切り粉(切断屑)を分散させる性能が優れることを見出した(特許文献3)。
しかし、この技術はフラットパネルディスプレイ基板用のガラス切断屑の除去には優れるが、砥粒を除去する洗浄に対しては効果が低いため、砥粒を除去を主な目的とする磁気ディスク用基板用の洗浄剤には適用できない。
発明者らが汚れの内容を解析した結果、ごく微量の界面活性剤が洗浄後の基板表面に残留することがわかった。すなわち、洗浄液で洗浄後、リンス時間が短いなどの理由でリンスが不十分であるときには、洗浄液中の成分が基板表面に残留する場合がある。また、同じ理由で砥粒が基板上に多数残留する場合がある。
この詳細なメカニズムは不明であるが、洗浄液中の界面活性剤が、洗浄中に基板に物理吸着し、少量のリンスでは基板表面上にその一部が残留する。その後、洗浄工程中に砥粒が、基板上に物理吸着して残留している界面活性剤に物理吸着するため、その結果、砥粒に対する洗浄性にも悪影響を及ぼすものと考えられる。
ところで、比較的表面張力が低い界面活性剤の使用は、洗浄剤の有機物に対する親和性や基板への濡れ性を向上させ、その結果洗浄性が向上することがある一方で、前述した界面活性剤の残留は、たとえ微量であっても基板表面の濡れ性を変えるため、例えば磁性膜のスパッタリングの不均一性や、縞模様・スポットの発生等の重大な悪影響を与え、高記録密度化を困難にする。
すなわち、本発明は、還元剤としてのレダクトン類(A)と水を必須成分として含み、1重量%に希釈したときの25℃での表面張力が50mN/m以下である界面活性剤(B)の含有量が0.01重量%未満である電子材料用洗浄剤である。
そのため、高記録密度化で要求され、例えば、磁性膜を均一にスパッタリングするために要求される清浄度の高い電子材料を提供することができる。
特に本発明の電子材料用洗浄剤は、磁気ディスク用のガラス基板やアルミニウム基板の洗浄剤として有用である。
これらのうち、好ましいのは、L−アスコルビン酸およびL−アスコルビン酸の塩である。
また、本発明の電子材料用洗浄剤は使用する際にさらに水で希釈してもよく、使用時のレダクトン類(A)の含有量は、0.001〜5重量%であり、洗浄性の観点で好ましくは0.01〜1重量%である。
本発明の電子材料用洗浄剤中の界面活性剤(B)の含有量は0.01%未満であり、好ましく0.005%未満、さらに好ましくは0.003%未満であるが、悪影響のある界面活性剤は極力含まないことが好ましい。
イオン性界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、石鹸、アルファオレフィンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキル硫酸エステル、アルキルエーテル硫酸エステル、スルホコハク酸、硫酸化油、エーテルカルボン酸、第4級アンモニウム、イミダゾリニウムベタイン系、アミドプロピルベタイン系、アルキルアミン、アルキルアミド等のうち、1重量%水溶液の表面張力が50mN/m以下のものが挙げられる。
これらのうち、洗浄性の観点でHEDP、DTPAが好ましい。
本発明の電子材料用洗浄剤の使用時のpHは1〜12であり、液の安定性の観点から、好ましくは3〜10、特に好ましくは4〜8である。
しかし、磁気ディスク基板に限定するものではなく、砥粒のスラリーや研磨屑を除去する必要がある電子材料の製造であれば、広く電子材料の製造に有用である。
(1)ガラス基板をラッピング後、流水ですすいでガラス基板を作成する。
(2)基板を研磨装置にセットし、酸化セリウムを含む研磨スラリーで基板を研磨する。
(3)研磨後の基板を流水ですすいだ後に基板を研磨装置から取り出し、本発明の洗浄剤を用いてディップもしくはスクラブ洗浄した後再度流水ですすぐ。
(4)その後、本発明の洗浄剤を用いてスクラブ洗浄した後、再度流水ですすぐ。
(5)再び基板を研磨装置にセットし、コロイダルシリカを含む研磨スラリーで基板を研磨する。
(6)研磨後の基板を超純水で流水リンスしてすすいだ後に基板を研磨装置から取り出し、本発明の洗浄剤を用いてディップもしくはスクラブ洗浄した後再度流水ですすぐ。
撹拌装置及び温度制御装置付きの容積1リットルのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール200部(1.1モル部)及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(以下、TMAHと略記)の25%水溶液10部(0.027モル部)を仕込み、100℃、4kPa以下の減圧下で30分間脱水した。EO430部(9.8モル部)を、反応温度を100℃に制御しながら、3時間かけて滴下した後、100℃で3時間熟成し、粗生成物を得た。この粗生成物を2.6kPa以下の減圧下に、150℃で2時間保持して、残存するTMAHを分解及び除去し、比較例3と5の配合のためのノニオン性界面活性剤であるラウリルアルコールEO9モル付加物630部を得た。
撹拌装置及び温度制御装置付きの容積1リットルのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアミン185部(1.0モル部)及び25%TMAH水溶液3.6部(0.01モル部)を仕込み、100℃、4kPa以下の減圧下で30分間脱水した。EO264部(6.0モル部)を、反応温度を100℃に制御しながら、3時間かけて滴下した後、100℃で3時間熟成し、粗生成物を得た。この粗生成物を2.6kPa以下の減圧下、150℃で2時間保持して、残存するTMAHを分解及び除去し、ノニオン性界面活性剤であるラウリルアミンEO6モル付加物445部を得た。
温調及び攪拌が可能な反応容器にイソプロピルアルコール300部及び超純水100部を仕込み、反応容器内を窒素で置換後、75℃に昇温した。30rpmで撹拌下、アクリル酸の75%水溶液407部及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートの15%イソプロピルアルコール溶液95部を3.5時間かけて同時に滴下した。
滴下終了後、75℃で5時間撹拌した後、系内が固化しないように超純水間欠的に投入し、イソプロピルアルコールが検出できなくなるまで水とイソプロピルアルコールの混合物を留去した。得られたポリアクリル酸水溶液を、DBU450部でpHが7.0になるまで中和し、減圧乾燥することにより、ポリアクリル酸DBU塩を得た。
温調及び還流が可能な攪拌装置付き反応容器にエチレンジクロライド100部を仕込み、攪拌下、窒素置換した後に90℃まで昇温し、エチレンジクロライドを還流させた。スチレン120部と、予め2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.7部をエチレンジクロライド20部に溶かした開始剤溶液を、それぞれ別々に6時間かけて反応容器内に同時に滴下し、滴下終了後更に1時間重合を行った。重合後、窒素シール下で20℃に冷却した後、温度を20℃にコントロールしながら無水硫酸105部を10時間かけて滴下し、滴下終了後更に3時間スルホン化反応させた。反応後、溶媒を留去し固化させた後、超純水345部を投入して溶解し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液を25%TMAH水溶液(約400部)でpHが7になるまで中和し、乾燥することにより、アニオン性界面活性剤であるポリスチレンスルホン酸TMAH塩を得た。
ポリカルボン酸ナトリウム塩:三洋化成工業製「キャリボンL−400」
ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩:三洋化成工業製「サンモリンOT−70」
表1に記載の組成となるように、各成分を配合し、25℃、マグネチックスターラーで40rpm、20分間攪拌して、本発明の洗浄剤および比較のための洗浄剤を得た。
上記洗浄剤をさらに超純水で50倍希釈して、性能試験用のサンプル液を作成した。
なお、本評価は大気からの汚染を防ぐため、クラス1,000(FED−STD−209D、米国連邦規格、1988年)のクリーンルーム内で実施した。
研磨剤として市販のコロイダルシリカスラリー(フジミインコーポレイテッド製「COMPOL80」粒径約80nm)を用いて3.5インチのNi−Pメッキされた磁気ディスク用アルミ基板を以下条件で研磨した。
研磨装置:ナノファクター製「NFD−4BL」
スラリー供給速度:50mL/分
荷重:30g重/cm2
回転数:定盤30rpm、ギア20rpm
研磨時間:5分
作製した汚染基板を上記調製した各サンプル液1,000部が入った1Lガラス製ビーカーに浸漬し、超音波洗浄機(200kHz)で、30℃、5分間洗浄を行った。洗浄後、基板を取り出し、超純水で再び1分間リンスを行った後、窒素ガスでブローして乾燥し評価用基板を得た。アルミ基板表面を表面検査装置(ビジョンサイテック社製「Micro−Max VMX−7100」)で観察し、画像解析ソフト「Sigmascan」を用いてパーティクル付着数を数えた。
また、洗浄液の代わりにブランクとして超純水で同様に試験した。その際のブランクのパーティクル付着数は850個であった。
以下の判断基準で洗浄性試験を判定し、判定結果を表1に示した。
5:パーティクル付着数がブランクの1/100未満
4:パーティクル付着数がブランクの1/100〜1/20
3:パーティクル付着数がブランクの1/20〜1/5
2:パーティクル付着数がブランクの1/5〜1/2
1:パーティクル付着数がブランクの1/2以上
<洗浄性試験−2>
コロイダルシリカの代わりに、市販のアルミナスラリー(フジミインコーポレイテッド製「WA#20000」、粒径約0.4μm)を用いた以外は、洗浄性試験−1と同様の操作と判断基準で評価した。なお、ブランクのパーティクル付着数は350個であった。
コロイダルシリカの代わりに、市販のダイヤモンドスラリー(ナノファクター製「1/10PCS−WB2」、粒径約100nm)を用いた以外は、洗浄性試験−1と同様の操作と判断基準で評価した。なお、ブランクのパーティクル付着数は420個であった。
3.5インチのNi−Pメッキされた磁気ディスク用アルミ基板の代わりに、2.5インチの市販の磁気ディスク用ガラス基板を用いた以外は、洗浄性試験−1と同様の操作と判断基準で評価した。なお、ブランクのパーティクル付着数は650個であった。
市販のコロイダルシリカスラリーの代わりに市販のセリアスラリー(AGCセイミケミカル製「CES−303」、粒径約0.4μm)を用いた以外は、洗浄性試験−4と同様の操作と判断基準で評価した。なお、ブランクのパーティクル付着数は450個であった。
市販のコロイダルシリカスラリーの代わりに市販のダイヤモンドスラリー(ナノファクター製「1/10PCS−WB2」、粒径約100nm)を用いた以外は、洗浄性試験−4と同様の操作と判断基準で評価した。なお、ブランクのパーティクル付着数は550個であった。
アルミ基板を、性能試験サンプル液に30℃、5分間浸漬し、1分間超純水で流水リンスした後、窒素気流のブローにより乾燥した。
乾燥後のアルミ基板表面を微分干渉顕微鏡(Nikon社製、OPTIPHOT−2、倍率400倍)で観察し、以下の判定基準で残留防止性の判定をおこなった。
洗浄剤が残留した基板を顕微鏡で観察すると、残留した部分が、縞模様となって見える。そのため、縞模様の有無で、残留防止性を評価できる。
また、ブランクとして超純水で同様に試験した。その際のブランクには縞模様が現れない。
結果を表1に示す。
○:ブランクと同等で、残留物の縞模様がない
×:ブランクと比較して、残留物の縞模様が明らかに見られる
アルミ基板に代えて上記ガラス基板でおこなった以外は残留防止性試験−1と同様の操作と判断基準で評価し判定した。
一方、還元性を有しないレダクトン類のみを用いた比較例1の洗浄剤は砥粒に対する洗浄性がブランクと変わらない。還元性を有するレダクトン類および一定濃度以上の界面活性剤を含む比較例2、3の洗浄剤は砥粒に対する洗浄性は多少向上するものの、高容量化を満足する残存レベルではなく、また、基板への残留が多いため磁性膜スパッタにおいて歩留まりが著しく低下する可能性がある。
また、表面張力が50mN/m以上であるポリアクリル酸ナトリウムのみからなる従来の比較例4の洗浄剤は、砥粒に対する洗浄性が悪い。ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムを含む従来の比較例5の洗浄剤は、砥粒に対する洗浄性、基板に対する残留性ともに悪い。
表面張力が50mN/m以下である界面活性剤を一定濃度以上含む比較例6、7の洗浄剤は、砥粒に対する洗浄性、基板に対する残留性ともに悪い。
Claims (5)
- 還元性を有するレダクトン類(A)0.01〜10重量%と水とキレート剤(C)とを含有し、1重量%に希釈したときの25℃での表面張力が50mN/m以下である界面活性剤(B)の含有量が0.01重量%未満であることを特徴とする電子材料用洗浄剤であって、キレート剤(C)がジエチレントリアミンペンタ酢酸塩である電子材料用洗浄剤。
- 該レダクトン類(A)がL−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸およびこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載の電子材料用洗浄剤。
- 該電子材料が、磁気ディスク基板である請求項1又は2に記載の電子材料用洗浄剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電子材料用洗浄剤を用いて電子材料を洗浄する工程を含む電子材料の製造方法
- 該電子材料が磁気ディスク基板である請求項4記載の電子材料の製造方法。
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