JP5802518B2 - 新規化合物、その製造方法、及びその用途 - Google Patents
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Description
したがって、前記プロスタグランジンの産生を抑制することにより、前記種々の疾患を予防又は治療できることが期待されている。
<1> 下記構造式(A)で表されることを特徴とする化合物又はその塩である。
サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(A)で表される化合物を採取する採取工程と、
を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<4> サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有することを特徴とする微生物である。
<6> 下記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化合物含有組成物である。
本発明の化合物は、下記構造式(A)で表される化合物であり、本発明者らが分離した新規化合物である。
下記構造式(A)で表される化合物は、下記に示す物理化学的性質及び構造上の特徴によって、既知の化合物と明確に区別される新規物質である。
前記構造式(A)で表される化合物の物理化学的性質としては、次のとおりである。
(1) 外観は、赤紫色の粉状である。
(2) 分子式は、C20H24N2O9で表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード)による、実験値は、m/z 459.1371(M+Na)+であり、計算値は、m/z 459.1374(C20H24N2O9Naとして)である。
(4) 比旋光度は、[α]D23=−358°(c 0.0036, メタノール)である。
(5) KBr法で測定した赤外吸収スペクトルは、図1に示すとおりである。
(6) メタノール溶液で測定した紫外吸収スペクトルは、図2に示すとおりである。
λmax nm(ε) :263(9,909)、470(2,739)
(7) プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルとして、600MHzにおいて重DMSO溶媒中で25℃にて測定したプロトン核磁気共鳴スペクトルは、図3に示すとおりである。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトルとして、150MHzにおいて重DMSO中で25℃にて測定した炭素13核磁気共鳴スペクトルは、図4に示すとおりである。
前記塩としては、薬理学的に許容され得る塩であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸塩、クエン酸塩等の有機塩、塩酸塩、炭酸塩などが挙げられる。
前記構造式(A)で表される化合物は、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、安全性の高い化合物である。そのため、前記構造式(A)で表される化合物は、例えば、後述する本発明の化合物含有組成物や、本発明のプロスタグランジン産生抑制剤等の有効成分として好適に利用可能である。
本発明の化合物の製造方法は、前記構造式(A)で表される化合物の製造方法であって、培養工程と、採取工程と、を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
前記培養工程は、サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物を培養する工程である。
具体的には、ヒト等の培養細胞に前記培養物を添加し、該培養物中に産生されるプロスタグランジン(例えば、プロスタグランジンE2やプロスタグランジンI2の安定化代謝物である6−ケト−プロスタグランジンF1αなど)を検出し、前記プロスタグランジンの産生が抑制された微生物の培養物をプロスタグランジン産生抑制作用を有すると判断することができる。
前記栄養培地に添加する栄養源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素源として、市販されている大豆粉、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニウムなどが使用でき、炭素源として、トマトペースト、グリセリン、でん粉、グルコース、ガラクトース、デキストリン、バクトソイトン等の炭水化物、脂肪などが使用できる。更に、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩を培地に添加して使用することもでき、その他、必要に応じて微量の金属塩を培地に添加して使用することもできる。
これらの材料は、前記化合物生産菌が利用し、前記構造式(A)で表される化合物の生産に役立つものであればよく、公知の培養材料は全て用いることができる。
前記培養の温度としては、前記化合物生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記構造式(A)で表される化合物を生産しうる範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができるが、25℃〜35℃が好ましい。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、前記構造式(A)で表される化合物の蓄積に合わせて適宜選択することができる。
前記採取工程は、前記培養工程で得られた培養物から前記構造式(A)で表される化合物を採取する工程である。前記構造式(A)で表される化合物は、上述した物理化学的性質を有するので、その性状に従って培養物から採取することができる。ここで、本発明において、採取とは、前記構造式(A)で表される化合物を、前記培養物から分離及び/又は精製することを意味する。
なお、前記培養物として、前記菌体を用いる場合は、適当な有機溶媒を用いた抽出方法や、菌体破砕による溶出方法などにより、前記構造式(A)で表される化合物を菌体から抽出し、これを分離及び/又は精製に供してもよい。
前記吸着剤の市販品の具体例としては、アンバーライトXAD(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンHP−20(三菱化学株式会社製)などが挙げられる。
前記クロマトグラフィー法に用いる担体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル濾過、シリカゲル、アルミナ、活性炭などが挙げられる。
前記ゲル濾過クロマトグラフィー法に用いる担体の市販品の具体例としては、トヨパールHW−40F(東ソー株式会社製)、セファデックス(Sephadex)LH−20(GE社製)などが挙げられる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記培養工程で得られた培養物又は前記採取工程で得られた前記構造式(A)で表される化合物を洗浄する洗浄工程、前記採取工程で得られた前記構造式(A)で表される化合物を更に精製する精製工程などが挙げられる。前記洗浄工程や前記精製工程は、公知の方法で適宜行われる。
本発明の微生物は、サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する。前記微生物は、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有し、そのために、本発明の前記化合物の製造方法において、前記構造式(A)で表される化合物の生産菌として使用され得る微生物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の化合物含有組成物は、少なくとも前記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記化合物含有組成物中の前記構造式(A)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記化合物含有組成物は、前記構造式(A)で表される化合物そのものであってもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、薬理学的に許容され得る担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記添加剤又は前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、殺菌剤、保存剤、粘結剤、増粘剤、固着剤、結合剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、防腐剤などが挙げられる。
前記化合物含有組成物は、前記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含むため、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、安全性の高いものであり、後述する本発明のプロスタグランジン産生抑制剤などに好適に利用可能である。
本発明のプロスタグランジン産生抑制剤は、本発明の前記化合物含有組成物を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。前記プロスタグランジン産生抑制剤は、プロスタグランジン産生抑制作用を有する。
前記プロスタグランジン産生抑制剤中の前記化合物含有組成物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記プロスタグランジン産生抑制剤は、前記化合物含有組成物そのものであってもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、前記化合物含有組成物中のその他の成分と同様のものなどが挙げられる。
前記プロスタグランジン産生抑制剤中の、前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、前記構造式(A)で表される化合物の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
前記プロスタグランジン産生抑制活性を調べる方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する試験例に記載の方法などが挙げられる。
前記プロスタグランジン産生抑制剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などが挙げられる。
前記固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内容剤として用いられる場合、例えば、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤などが挙げられる。
前記固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、坐剤、パップ剤、プラスター剤などが挙げられる。
前記半固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記半固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤、インヘラー剤、ナザールジェル剤などが挙げられる。
前記液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤などが挙げられる。
前記液剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤などが挙げられる。
前記プロスタグランジン産生抑制剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、局所投与法、径腸投与法、非経口投与法などが挙げられる。
前記投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いられる。
前記プロスタグランジン産生抑制剤は、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、安全性が高いため、プロスタグランジンに起因する掻痒、発熱、血管透過性亢進、疼痛等の炎症反応、知覚神経の異常亢進、気管支平滑筋収縮、血小板凝集、腫瘍細胞増殖、骨吸収促進、神経細胞変性等の生理活性を抑制することができ、喘息、心臓血管疾患、早産、腎炎、アテローム硬化症、過活動膀胱、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、癌等の種々の疾患の予防薬又は治療薬として好適に利用可能である。
<培養工程>
ガラクトース2%、デキストリン2%、グリセリン1%、バクトソイトン(ディフコ社製)1%、コーン・スティープ・リカー0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、及び炭酸カルシウム0.2%を水に懸濁し、種母培養液用液体培地(pH7.0に調整)を調製した。この種母培養液用液体培地を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注し、常法により120℃で20分滅菌した。
前記滅菌した種母培養液用液体培地に、寒天斜面培地で前培養したサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株(受託番号NITE P−1152として寄託)を接種し、30℃で2日間回、回転速度180rpmで振とう培養することで、種母培養液を得た。
前記培養工程で得られた培養液15Lを、回転数8,000rpmで15分間遠心分離し、培養ろ液と菌体とに分離した。次いで、水で平衡化した1.5Lの吸着樹脂(ダイヤイオン(登録商標)HP−20、三菱化学株式会社製)を充填したカラム(内径80mm×長さ300mm)、に、得られた前記培養ろ液を通過させた後、該吸着樹脂を水3Lで洗浄し、続いて50体積%メタノール水溶液4.5Lで洗浄した。洗浄後の吸着樹脂にメタノール3Lを供し溶出させ、この溶出液からメタノールをエバポレーターで留去し、得られた残渣を水1.5Lに溶解した。ここに酢酸エチル1.5Lを添加して攪拌し、これを静置して二相に分離させ、酢酸エチル層を回収することにより洗浄を行った。この洗浄の操作を更に続けて2回行った後、酢酸エチルをエバポレーターで留去し、赤色油状物質1.13gを得た。
製造例1で得られた目的物質の物理化学的性質を測定したところ、以下の通りであり、これらのことから、前記目的物質が、下記構造式(A)で表される構造を有する新規化合物であることが確認された。
(1) 外観は、赤紫色の粉状であった。
(2) 分子式は、C20H24N2O9で表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード)による、実験値は、m/z 459.1371(M+Na)+であり、計算値は、m/z 459.1374(C20H24N2O9Naとして)であった。
(4) 比旋光度は、[α]D23=−358°(c 0.0036, メタノール)である。
(5) 赤外吸収スペクトルは、図1に示すとおりであった。
(6) 紫外吸収スペクトルは、図2に示すとおりであった。
λmax nm(ε) :263(9,909)、470(2,739)
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトルとして、600MHzにおいて重ジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒中で25℃にて測定したプロトン核磁気共鳴スペクトルは、図3に示すとおりであった。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトルとして、150MHzにおいて重DMSO中で25℃にて測定した炭素13核磁気共鳴スペクトルは、図4に示すとおりであった。
前記構造式(A)で表される化合物のPGE2産生抑制作用について以下の方法で検討を行った。
ヒト骨肉腫細胞株であるSW982細胞(米国の株保存機関(American Type Culture Collection:ATCC)より購入)を10%牛胎児血清(ニチレイ社製)を含むDMEM/F12(Dulbecco’s Modified Eagle Medium:Nutrient Mixture F−12、インビトロジェン社製)に懸濁した後、96ウェル培養プレートに1×104細胞/ウェルとなるように播種し、一晩培養した。
前記一晩培養後のSW982細胞における96ウェル培養プレート中の培地をHEPES−HANKSバッファー(日水製薬株式会社製)に置き換え、前記製造例1で製造した被験物質(前記構造式(A)で表される化合物)を10,000ng/mL、3,333ng/mL、1,111ng/mL、370ng/mL、123ng/mL、41ng/mL、14ng/mL、5ng/mL、又は2ng/mLとなるように各ウェルに添加し、更に炎症性の刺激剤としてブラジキニン(株式会社ペプチド研究所製)を1nMになるように添加した。30分間培養後、培養上清を回収し、該培養上清中のPGE2濃度Aを、均一時間分解蛍光(HTRF)法ベースのキット(62P2APEB、Cisbio International社製)を用いて測定した。
陰性対照としては、前記被験物質添加系におけるPGE2濃度の測定において、被験物質及びブラジキニン(刺激剤)を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系におけるPGE2濃度の測定と同様の操作を行い、PGE2濃度Bの測定を行った。
陽性対照としては、前記被験物質添加系におけるPGE2濃度の測定において、被験物質を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系におけるPGE2濃度の測定と同様の操作を行い、PGE2濃度Cの測定を行った。
各ウェルのPGE2濃度の測定結果より、下記式(1)に基づきPGE2産生率を算出した。
PGE2産生率(%)=(A−B)/(C−B)×100 ・・・式(1)
前記式(1)において、「A」は、被験物質添加系におけるPGE2濃度を表し、「B」は、陰性対照におけるPGE2濃度を表し、「C」は、陽性対照におけるPGE2濃度を表す。
前記構造式(A)で表される化合物を被験物質として添加した結果、図5に示すとおり、PGE2産生率が低下した。
したがって、前記構造式(A)で表される化合物が、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有することが認められた。
前記構造式(A)で表される化合物のPGI2産生抑制作用について、以下の方法で検討を行った。PGI2は、代謝されて安定代謝物である6−ケト−PGF1α(6−ケト−プロスタグランジンF1α)となる。したがって、6−ケト−PGF1α濃度を測定することで、産生されたPGI2濃度を測定することができる。
ヒト骨肉腫細胞株であるSW982細胞(ATCCより購入)を10%牛胎児血清(Biowest社製)を含むDMEM/F12(インビトロジェン社製)に懸濁した後、96ウェル培養プレートに1×104細胞/ウェルとなるように播種し、一晩培養した。
前記一晩培養後のSW982細胞における96ウェル培養プレート中の培地をHEPES−HANKSバッファー(日水製薬株式会社製)に置き換え、前記製造例1で製造した被験物質(前記構造式(A)で表される化合物)を10,000ng/mL、3,333ng/mL、1,111ng/mL、370ng/mL、123ng/mL、41ng/mL、又は14ng/mLとなるように各ウェルに添加し、更に炎症性の刺激剤としてブラジキニン(株式会社ペプチド研究所製)を1nMになるように添加した。30分間培養後、培養上清を回収し、該培養上清中の6−ケト−PGF1α濃度Dを、6−keto Prostaglandin F1 α enzyme immunoassay kit(#515211、CAYMAN社製)を用いて測定した。
陰性対照としては、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定において、被験物質及びブラジキニン(刺激剤)を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定と同様の操作を行い、6−ケト−PGF1α濃度Eの測定を行った。
陽性対照としては、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定において、被験物質を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定と同様の操作を行い、6−ケト−PGF1α濃度Fの測定を行った。
各ウェルの6−ケト−PGF1α濃度の測定結果より、下記式(2)に基づき6−ケト−PGF1α産生率を算出した。
6−ケト−PGF1α産生率(%)=(D−E)/(F−E)×100 ・・・式(2)
前記式(2)において、「D」は、被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度を表し、「E」は、陰性対照における6−ケト−PGF1α濃度を表し、「F」は、陽性対照における6−ケト−PGF1α濃度を表す。
前記構造式(A)で表される化合物を被験物質として添加した結果、図5に示すとおり、6−ケト−PGF1α産生率が低下した。
したがって、前記構造式(A)で表される化合物が、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有することが認められた。
前記構造式(A)で表される化合物の細胞毒性について、以下の方法で検討を行った。
SW982細胞(ATCCより購入)を、10%胎仔牛血清(株式会社ニチレイ製)を含むDMEM/F12培地(インビトロジェン社製)を用いて2×103個/ウェルとなるように調製し、96ウェル培養プレートに0.1mLずつ接種した。これと同時に、前記製造例1で製造した被験物質(前記構造式(A)で表される化合物)を下記表1に示す濃度となるように各ウェルに添加し、37℃、5%CO2の条件下で48時間培養した。48時間培養後、各ウェルに細胞数測定キット(cell counting Kit−8、同仁化学株式会社製)10μLを添加し、更に2時間培養した後、450nmの吸光度Gを測定した。
前記細胞数測定キットは、生存細胞が発色する。したがって、450nmの吸光度が高いほど、生存細胞が多いこと、即ち細胞増殖に影響を及ぼさないことを示す。これより、各ウェルの吸光度の測定結果から、下記式(3)に基づき細胞増殖率を算出し、これにより細胞増殖に及ぼす影響を評価した。
細胞増殖率(%)=G/H×100 ・・・式(3)
前記式(3)において、「G」は、被験物質添加系における450nmの吸光度を表し、「H」は、被験物質非添加系(下記表1の濃度0nM)における450nmの吸光度を表す。
Claims (6)
- 下記構造式(A)で表されることを特徴とする化合物又はその塩。
- 下記構造式(A)で表される化合物の製造方法であって、
サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(A)で表される化合物を採取する採取工程と、
を含むことを特徴とする化合物の製造方法。
- サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物が、受託番号NITE P−1152のサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株である請求項2に記載の化合物の製造方法。
- サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属する微生物であって、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有し、
前記微生物が、受託番号NITE P−1152のサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株であることを特徴とする微生物。
- 下記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化合物含有組成物。
- 請求項5に記載の化合物含有組成物を含有し、プロスタグランジン産生抑制作用を有することを特徴とするプロスタグランジン産生抑制剤。
Priority Applications (4)
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---|---|---|---|
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