JP5802518B2 - 新規化合物、その製造方法、及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、プロスタグランジン産生抑制作用を有する新規化合物及びその製造方法、前記新規化合物の生産菌である新規微生物、前記新規化合物を含有する化合物含有組成物、並びに、前記化合物含有組成物を含有するプロスタグランジン産生抑制剤に関する。
プロスタグランジン(prostaglandin:PG)は、細胞膜から遊離したアラキドン酸の代謝物である生理活性物質であり、PGE、PGD、PGF2α、PGIなどが知られている。生体が、物理的刺激や炎症性刺激等の刺激を受けると生体内において前記プロスタグランジンが産生され、それぞれ特異的な受容体と結合し、生体内において種々の生理反応を引き起す。
前記生理反応としては、例えば、掻痒、発熱、血管透過性亢進、疼痛等の炎症反応、知覚神経の異常亢進、気管支平滑筋収縮、血小板凝集、腫瘍細胞増殖、骨吸収促進、神経細胞変性などが挙げられる。そのため、前記プロスタグランジンは、喘息、心臓血管疾患、早産、腎炎、アテローム硬化症、過活動膀胱、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、癌等の多くの疾患における症状発現あるいは病態形成において重要な役割を担っている。
したがって、前記プロスタグランジンの産生を抑制することにより、前記種々の疾患を予防又は治療できることが期待されている。
前記プロスタグランジンの産生を抑制する化合物については種々の提案がなされているが(例えば、特許文献1〜3参照)、これらのプロスタグランジン産生抑制作用は十分なものではなかった。
したがって、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、プロスタグランジンに起因する各種疾患の予防又は治療に用いることができ、安全性の高い新規化合物の提供が強く望まれているのが現状である。
特開2007−326864号公報 特開2009−167217号公報 特開2004−262868号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、プロスタグランジンに起因する各種疾患の予防又は治療に用いることができ、安全性の高い新規化合物及びその製造方法、前記新規化合物の生産菌である新規微生物、前記新規化合物を含有する化合物含有組成物、並びに、前記化合物含有組成物を含有するプロスタグランジン産生抑制剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、各地の土壌から微生物を分離し、それらが生産する代謝産物について研究を重ね、新たに分離したサッカロスリックス(Saccharothrix)属に属する微生物が、プロスタグランジン産生抑制作用を示す物質を培養液中に生産していることを見出した。その培養液から活性成分を分離精製し、その物理化学的性質を調べたところ、得られた活性成分は、いかなる既知物質とも相違する下記構造式(A)表される化合物であり、かつプロスタグランジン産生抑制作用を有することを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> 下記構造式(A)で表されることを特徴とする化合物又はその塩である。
<2> 下記構造式(A)で表される化合物の製造方法であって、
サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(A)で表される化合物を採取する採取工程と、
を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<3> サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物が、受託番号NITE P−1152のサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株である前記<2>に記載の化合物の製造方法である。
<4> サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有することを特徴とする微生物である。
<5> 受託番号NITE P−1152のサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株である前記<4>に記載の微生物である。
<6> 下記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化合物含有組成物である。
<7> 前記<6>に記載の化合物含有組成物を含有し、プロスタグランジン産生抑制作用を有することを特徴とするプロスタグランジン産生抑制剤である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、プロスタグランジンに起因する各種疾患の予防又は治療に用いることができ、安全性の高い新規化合物及びその製造方法、前記新規化合物の生産菌である新規微生物、前記新規化合物を含有する化合物含有組成物、並びに、前記化合物含有組成物を含有するプロスタグランジン産生抑制剤を提供することができる。
図1は、本発明の化合物をKBr法で測定した赤外吸収スペクトルである。 図2は、本発明の化合物のメタノール溶液を測定した紫外吸収スペクトルである。 図3は、本発明の化合物の重ジメチルスルホキシド(重DMSO)溶液を測定したプロトン核磁気共鳴スペクトルである。 図4は、本発明の化合物の重DMSO溶液を測定した炭素13核磁気共鳴スペクトルである。 図5は、本発明の化合物のプロスタグランジン産生抑制作用を示す図である。縦軸:PGE又は6−ケト−PFG1αの産生率(%)、横軸:化合物濃度(ng/mL)
(新規化合物)
本発明の化合物は、下記構造式(A)で表される化合物であり、本発明者らが分離した新規化合物である。
下記構造式(A)で表される化合物は、下記に示す物理化学的性質及び構造上の特徴によって、既知の化合物と明確に区別される新規物質である。
<物理化学的性質>
前記構造式(A)で表される化合物の物理化学的性質としては、次のとおりである。
(1) 外観は、赤紫色の粉状である。
(2) 分子式は、C2024で表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード)による、実験値は、m/z 459.1371(M+Na)であり、計算値は、m/z 459.1374(C2024Naとして)である。
(4) 比旋光度は、[α]D23=−358°(c 0.0036, メタノール)である。
(5) KBr法で測定した赤外吸収スペクトルは、図1に示すとおりである。
(6) メタノール溶液で測定した紫外吸収スペクトルは、図2に示すとおりである。
λmax nm(ε) :263(9,909)、470(2,739)
(7) プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルとして、600MHzにおいて重DMSO溶媒中で25℃にて測定したプロトン核磁気共鳴スペクトルは、図3に示すとおりである。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトルとして、150MHzにおいて重DMSO中で25℃にて測定した炭素13核磁気共鳴スペクトルは、図4に示すとおりである。
化合物が、前記構造式(A)で表される構造を有するか否かは、適宜選択した各種の分析方法により確認することができ、例えば、前記質量分析、前記赤外吸収スペクトル、前記紫外吸収スペクトル、前記プロトン核磁気共鳴スペクトル、前記炭素13核磁気共鳴スペクトル等の分析を行うことにより確認することができる。
本発明の前記新規化合物は、前記構造式(A)で表される化合物の塩であってもよい。
前記塩としては、薬理学的に許容され得る塩であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸塩、クエン酸塩等の有機塩、塩酸塩、炭酸塩などが挙げられる。
前記構造式(A)で表される化合物は、前記構造式(A)で表される化合物を生産する微生物から得られたものであってもよいし、化学合成により得られたものであってもよいが、後述する本発明の化合物の製造方法により得られることが好ましい。
<用途>
前記構造式(A)で表される化合物は、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、安全性の高い化合物である。そのため、前記構造式(A)で表される化合物は、例えば、後述する本発明の化合物含有組成物や、本発明のプロスタグランジン産生抑制剤等の有効成分として好適に利用可能である。
(化合物の製造方法)
本発明の化合物の製造方法は、前記構造式(A)で表される化合物の製造方法であって、培養工程と、採取工程と、を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<培養工程>
前記培養工程は、サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物を培養する工程である。
前記微生物としては、サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記微生物が前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有することは、例えば、該微生物の培養物、好ましくは培養上清中の成分の、プロスタグランジン産生抑制作用を測定する方法、各種分析法により前記構造式(A)で表される化合物を検出する方法などが挙げられる。
前記プロスタグランジン産生抑制作用を測定する方法においては、前記微生物の培養物がプロスタグランジン産生抑制作用を有する場合、前記微生物は前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有すると判断することができる。
具体的には、ヒト等の培養細胞に前記培養物を添加し、該培養物中に産生されるプロスタグランジン(例えば、プロスタグランジンEやプロスタグランジンIの安定化代謝物である6−ケト−プロスタグランジンF1αなど)を検出し、前記プロスタグランジンの産生が抑制された微生物の培養物をプロスタグランジン産生抑制作用を有すると判断することができる。
前記微生物の具体例としては、本発明者らの分離したサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株(受託番号NITE P−1152)などが挙げられる。また、前記構造式(A)で表される化合物を生産できるその他の菌株についても、常法によって、自然界より分離することが可能である。なお、前記サッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株を含め、前記構造式(A)で表される化合物を生産する生産菌を、放射線照射やその他の変異処理に供することにより、前記構造式(A)で表される化合物の生産能を高めることも可能である。更に、遺伝子工学的手法による前記構造式(A)で表される化合物の生産も可能である。
前記培養は、前記構造式(A)で表される化合物を生産する生産菌(以下、単に「化合物類生産菌」と称することがある)を栄養培地(以下、単に「培地」と称することがある)中に接種し、前記構造式(A)で表される化合物の生産に良好な温度で培養することによって行われる。
前記栄養培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来放線菌の培養に利用されている公知のものを使用することができ、液体培地であってもよく、寒天培地であってもよい。
前記栄養培地に添加する栄養源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、窒素源として、市販されている大豆粉、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニウムなどが使用でき、炭素源として、トマトペースト、グリセリン、でん粉、グルコース、ガラクトース、デキストリン、バクトソイトン等の炭水化物、脂肪などが使用できる。更に、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩を培地に添加して使用することもでき、その他、必要に応じて微量の金属塩を培地に添加して使用することもできる。
これらの材料は、前記化合物生産菌が利用し、前記構造式(A)で表される化合物の生産に役立つものであればよく、公知の培養材料は全て用いることができる。
前記構造式(A)で表される化合物の生産のための種母としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、寒天培地上や斜面培地上で前記化合物生産菌を培養した生育物などを使用することができる。
前記培養の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、好気的条件で培養することが好ましい。
前記培養の温度としては、前記化合物生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記構造式(A)で表される化合物を生産しうる範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができるが、25℃〜35℃が好ましい。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、前記構造式(A)で表される化合物の蓄積に合わせて適宜選択することができる。
<採取工程>
前記採取工程は、前記培養工程で得られた培養物から前記構造式(A)で表される化合物を採取する工程である。前記構造式(A)で表される化合物は、上述した物理化学的性質を有するので、その性状に従って培養物から採取することができる。ここで、本発明において、採取とは、前記構造式(A)で表される化合物を、前記培養物から分離及び/又は精製することを意味する。
前記培養物としては、前記培養工程で得られ、前記構造式(A)で表される化合物を含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、菌体、培養上清、及びこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、前記培養物としては、培養上清を用いることが、前記構造式(A)で表される化合物を効率よく得ることができる点で好ましい。
なお、前記培養物として、前記菌体を用いる場合は、適当な有機溶媒を用いた抽出方法や、菌体破砕による溶出方法などにより、前記構造式(A)で表される化合物を菌体から抽出し、これを分離及び/又は精製に供してもよい。
前記採取の方法としては、特に制限はなく、微生物の生産する代謝物を採取するのに用いられる方法を適宜選択することができる。例えば、溶媒抽出法、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用する方法、クロマトグラフィー法などが挙げられる。これらの方法を単独又は適宜組み合せて、場合によっては反復使用することにより、前記構造式(A)で表される化合物を分離及び/又は精製することができる。
前記溶媒抽出法に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル、n−ブタノールなどが挙げられる。
前記吸着剤としては、特に制限はなく、公知の吸着剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン系吸着樹脂などが挙げられる。
前記吸着剤の市販品の具体例としては、アンバーライトXAD(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンHP−20(三菱化学株式会社製)などが挙げられる。
前記クロマトグラフィー法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薄層クロマトグラフィー法、順相あるいは逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグラフィー(分取HPLC)法などが挙げられる。
前記クロマトグラフィー法に用いる担体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル濾過、シリカゲル、アルミナ、活性炭などが挙げられる。
前記ゲル濾過クロマトグラフィー法に用いる担体の市販品の具体例としては、トヨパールHW−40F(東ソー株式会社製)、セファデックス(Sephadex)LH−20(GE社製)などが挙げられる。
前記吸着剤や前記クロマトグラフィーにおける担体から前記構造式(A)で表される化合物を溶出させる方法としては、特に制限はなく、該吸着剤や該担体の種類や性質等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリスチレン系吸着樹脂の場合には、溶出溶媒として、含水アルコール、含水アセトン等を用いて溶出する方法などが挙げられる。
以上のようにして前記構造式(A)で表される化合物を製造することができ、これにより、前記構造式(A)で表される化合物を好適に得ることができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記培養工程で得られた培養物又は前記採取工程で得られた前記構造式(A)で表される化合物を洗浄する洗浄工程、前記採取工程で得られた前記構造式(A)で表される化合物を更に精製する精製工程などが挙げられる。前記洗浄工程や前記精製工程は、公知の方法で適宜行われる。
(微生物)
本発明の微生物は、サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する。前記微生物は、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有し、そのために、本発明の前記化合物の製造方法において、前記構造式(A)で表される化合物の生産菌として使用され得る微生物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
このような微生物の中でも、特に、MI559−46F5株の菌株番号が付された微生物を使用することが好ましい。なお、前記MI559−46F5株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構に平成23年9月28日に受託番号NITE P−1152として受託された。
なお、他の菌にも見られるように、前記MI559−46F5株は、性状が変化し易いが、例えば、前記MI559−46F5株に由来する突然変異株(例えば、紫外線、エックス線、放射線、薬品等の変異処理により取得できる人工変異株や、自然変異株)、形質接合体、遺伝子組換体などであっても、前記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有するものは、本発明の微生物に含まれる。
(化合物含有組成物)
本発明の化合物含有組成物は、少なくとも前記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<構造式(A)で表される化合物>
前記化合物含有組成物中の前記構造式(A)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記化合物含有組成物は、前記構造式(A)で表される化合物そのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、薬理学的に許容され得る担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記添加剤又は前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、殺菌剤、保存剤、粘結剤、増粘剤、固着剤、結合剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、防腐剤などが挙げられる。
前記殺菌剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウムなどのカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記保存剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、クレゾールなどが挙げられる。
前記粘結剤、増粘剤、固着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、澱粉、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。
前記pH調整剤及び前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記等張化剤としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。
前記化合物含有組成物中の、前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、前記構造式(A)で表される化合物の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
<用途>
前記化合物含有組成物は、前記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含むため、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、安全性の高いものであり、後述する本発明のプロスタグランジン産生抑制剤などに好適に利用可能である。
(プロスタグランジン産生抑制剤)
本発明のプロスタグランジン産生抑制剤は、本発明の前記化合物含有組成物を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。前記プロスタグランジン産生抑制剤は、プロスタグランジン産生抑制作用を有する。
<化合物含有組成物>
前記プロスタグランジン産生抑制剤中の前記化合物含有組成物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記プロスタグランジン産生抑制剤は、前記化合物含有組成物そのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、例えば、前記化合物含有組成物中のその他の成分と同様のものなどが挙げられる。
前記プロスタグランジン産生抑制剤中の、前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、前記構造式(A)で表される化合物の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記プロスタグランジン産生抑制剤は、一種単独で使用してもよいし、他の成分を有効成分とする医薬と併せて使用してもよい。また、前記プロスタグランジン産生抑制剤は、他の成分を有効成分とする医薬中に配合された状態で使用してもよい。
<プロスタグランジン産生抑制活性>
前記プロスタグランジン産生抑制活性を調べる方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する試験例に記載の方法などが挙げられる。
<剤型>
前記プロスタグランジン産生抑制剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などが挙げられる。
−固形剤−
前記固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内容剤として用いられる場合、例えば、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤などが挙げられる。
前記固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、坐剤、パップ剤、プラスター剤などが挙げられる。
−半固形剤−
前記半固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記半固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤、インヘラー剤、ナザールジェル剤などが挙げられる。
−液剤−
前記液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤などが挙げられる。
前記液剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤などが挙げられる。
<投与>
前記プロスタグランジン産生抑制剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、局所投与法、径腸投与法、非経口投与法などが挙げられる。
前記投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いられる。
<用途>
前記プロスタグランジン産生抑制剤は、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、安全性が高いため、プロスタグランジンに起因する掻痒、発熱、血管透過性亢進、疼痛等の炎症反応、知覚神経の異常亢進、気管支平滑筋収縮、血小板凝集、腫瘍細胞増殖、骨吸収促進、神経細胞変性等の生理活性を抑制することができ、喘息、心臓血管疾患、早産、腎炎、アテローム硬化症、過活動膀胱、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、癌等の種々の疾患の予防薬又は治療薬として好適に利用可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に明記しない限り「%」は「質量%」を表す。
(製造例1)
<培養工程>
ガラクトース2%、デキストリン2%、グリセリン1%、バクトソイトン(ディフコ社製)1%、コーン・スティープ・リカー0.5%、硫酸アンモニウム0.2%、及び炭酸カルシウム0.2%を水に懸濁し、種母培養液用液体培地(pH7.0に調整)を調製した。この種母培養液用液体培地を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注し、常法により120℃で20分滅菌した。
前記滅菌した種母培養液用液体培地に、寒天斜面培地で前培養したサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株(受託番号NITE P−1152として寄託)を接種し、30℃で2日間回、回転速度180rpmで振とう培養することで、種母培養液を得た。
次に、グリセリン2.0%、デキストリン2.0%、酵母エキス(和光純薬工業株式会社製)0.3%、バクトソイトン(ディフコ社製)1.0%、硫酸アンモニウム0.2%、及び炭酸カルシウム0.2%を水に懸濁し、生産培地用液体培地(pH7.0に調整)を調製した。この生産培地用液体培地を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注し、常法により120℃で20分滅菌した。この生産培地用液体培地に、前記調製した種母培養液の2体積%量を接種し、27℃、5日間、回転速度180rpmで振とう培養した。
<採取工程>
前記培養工程で得られた培養液15Lを、回転数8,000rpmで15分間遠心分離し、培養ろ液と菌体とに分離した。次いで、水で平衡化した1.5Lの吸着樹脂(ダイヤイオン(登録商標)HP−20、三菱化学株式会社製)を充填したカラム(内径80mm×長さ300mm)、に、得られた前記培養ろ液を通過させた後、該吸着樹脂を水3Lで洗浄し、続いて50体積%メタノール水溶液4.5Lで洗浄した。洗浄後の吸着樹脂にメタノール3Lを供し溶出させ、この溶出液からメタノールをエバポレーターで留去し、得られた残渣を水1.5Lに溶解した。ここに酢酸エチル1.5Lを添加して攪拌し、これを静置して二相に分離させ、酢酸エチル層を回収することにより洗浄を行った。この洗浄の操作を更に続けて2回行った後、酢酸エチルをエバポレーターで留去し、赤色油状物質1.13gを得た。
得られた赤色油状物質を少量のメタノールで溶解してセライトにまぶし、クロロホルムで充填した140mL容のシリカゲルカラムに供した。クロロホルム0.8Lで洗浄し、次に、クロロホルム−メタノール混合液(100:1(体積比))0.8Lで洗浄し、更にクロロホルム−メタノール混合液(100:2(体積比))1.2Lで洗浄した後、クロロホルム−メタノール混合液(10:1(体積比))1.2Lで溶出した。この溶出液を減圧濃縮して、赤色油状物質127.6mgを得た。
前記赤色油状物質をメタノールで溶解し、カラム(トヨパールHW−40F、内径37mm×長さ670mm、東ソー株式会社製)に供し、メタノールで溶出した。溶出液を集めて減圧濃縮し、赤紫油状物質を得た。前記赤紫油状物質を少量のメタノールに溶解し、C18逆相カラムクロマトグラフィー(Capcell pak UG120、内径20mm×長さ250mm、資生堂株式会社製)を用い、展開溶媒としてのアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=20:80:0.0001(体積比)で、流速8mL/分間の条件にてクロマトグラフィーを行い、減圧濃縮した。これにより、目的物質31.8mgを得た。
(試験例1:化合物の同定)
製造例1で得られた目的物質の物理化学的性質を測定したところ、以下の通りであり、これらのことから、前記目的物質が、下記構造式(A)で表される構造を有する新規化合物であることが確認された。
(1) 外観は、赤紫色の粉状であった。
(2) 分子式は、C2024で表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード)による、実験値は、m/z 459.1371(M+Na)であり、計算値は、m/z 459.1374(C2024Naとして)であった。
(4) 比旋光度は、[α]D23=−358°(c 0.0036, メタノール)である。
(5) 赤外吸収スペクトルは、図1に示すとおりであった。
(6) 紫外吸収スペクトルは、図2に示すとおりであった。
λmax nm(ε) :263(9,909)、470(2,739)
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトルとして、600MHzにおいて重ジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒中で25℃にて測定したプロトン核磁気共鳴スペクトルは、図3に示すとおりであった。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトルとして、150MHzにおいて重DMSO中で25℃にて測定した炭素13核磁気共鳴スペクトルは、図4に示すとおりであった。
以下の試験例2〜4において、前記構造式(A)で表される化合物を被験物質として用い、各試験を行った。
(試験例2:PGE産生抑制作用)
前記構造式(A)で表される化合物のPGE産生抑制作用について以下の方法で検討を行った。
−SW982細胞の培養−
ヒト骨肉腫細胞株であるSW982細胞(米国の株保存機関(American Type Culture Collection:ATCC)より購入)を10%牛胎児血清(ニチレイ社製)を含むDMEM/F12(Dulbecco’s Modified Eagle Medium:Nutrient Mixture F−12、インビトロジェン社製)に懸濁した後、96ウェル培養プレートに1×10細胞/ウェルとなるように播種し、一晩培養した。
−被験物質添加系におけるPGE濃度の測定−
前記一晩培養後のSW982細胞における96ウェル培養プレート中の培地をHEPES−HANKSバッファー(日水製薬株式会社製)に置き換え、前記製造例1で製造した被験物質(前記構造式(A)で表される化合物)を10,000ng/mL、3,333ng/mL、1,111ng/mL、370ng/mL、123ng/mL、41ng/mL、14ng/mL、5ng/mL、又は2ng/mLとなるように各ウェルに添加し、更に炎症性の刺激剤としてブラジキニン(株式会社ペプチド研究所製)を1nMになるように添加した。30分間培養後、培養上清を回収し、該培養上清中のPGE濃度Aを、均一時間分解蛍光(HTRF)法ベースのキット(62P2APEB、Cisbio International社製)を用いて測定した。
−陰性対照におけるPGE濃度の測定−
陰性対照としては、前記被験物質添加系におけるPGE濃度の測定において、被験物質及びブラジキニン(刺激剤)を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系におけるPGE濃度の測定と同様の操作を行い、PGE濃度Bの測定を行った。
−陽性対照におけるPGE濃度の測定−
陽性対照としては、前記被験物質添加系におけるPGE濃度の測定において、被験物質を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系におけるPGE濃度の測定と同様の操作を行い、PGE濃度Cの測定を行った。
−PGE産生率の算出−
各ウェルのPGE濃度の測定結果より、下記式(1)に基づきPGE産生率を算出した。
PGE産生率(%)=(A−B)/(C−B)×100 ・・・式(1)
前記式(1)において、「A」は、被験物質添加系におけるPGE濃度を表し、「B」は、陰性対照におけるPGE濃度を表し、「C」は、陽性対照におけるPGE濃度を表す。
結果を図5に示す。試験例2において、被験物質中にプロスタグランジン産生抑制に有効な物質が含まれる場合は、細胞培養液中から検出されるPGEが低下する。即ち、PGE産生率が低下する。
前記構造式(A)で表される化合物を被験物質として添加した結果、図5に示すとおり、PGE産生率が低下した。
したがって、前記構造式(A)で表される化合物が、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有することが認められた。
(試験例3:PGI産生抑制作用)
前記構造式(A)で表される化合物のPGI産生抑制作用について、以下の方法で検討を行った。PGIは、代謝されて安定代謝物である6−ケト−PGF1α(6−ケト−プロスタグランジンF1α)となる。したがって、6−ケト−PGF1α濃度を測定することで、産生されたPGI濃度を測定することができる。
−SW982細胞の培養−
ヒト骨肉腫細胞株であるSW982細胞(ATCCより購入)を10%牛胎児血清(Biowest社製)を含むDMEM/F12(インビトロジェン社製)に懸濁した後、96ウェル培養プレートに1×10細胞/ウェルとなるように播種し、一晩培養した。
−被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定−
前記一晩培養後のSW982細胞における96ウェル培養プレート中の培地をHEPES−HANKSバッファー(日水製薬株式会社製)に置き換え、前記製造例1で製造した被験物質(前記構造式(A)で表される化合物)を10,000ng/mL、3,333ng/mL、1,111ng/mL、370ng/mL、123ng/mL、41ng/mL、又は14ng/mLとなるように各ウェルに添加し、更に炎症性の刺激剤としてブラジキニン(株式会社ペプチド研究所製)を1nMになるように添加した。30分間培養後、培養上清を回収し、該培養上清中の6−ケト−PGF1α濃度Dを、6−keto Prostaglandin F1 α enzyme immunoassay kit(#515211、CAYMAN社製)を用いて測定した。
−陰性対照における6−ケト−PGF1α濃度の測定−
陰性対照としては、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定において、被験物質及びブラジキニン(刺激剤)を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定と同様の操作を行い、6−ケト−PGF1α濃度Eの測定を行った。
−陽性対照における6−ケト−PGF1α濃度の測定−
陽性対照としては、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定において、被験物質を添加しなかったこと以外は、前記被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度の測定と同様の操作を行い、6−ケト−PGF1α濃度Fの測定を行った。
−6−ケト−PGF1α産生率の算出−
各ウェルの6−ケト−PGF1α濃度の測定結果より、下記式(2)に基づき6−ケト−PGF1α産生率を算出した。
6−ケト−PGF1α産生率(%)=(D−E)/(F−E)×100 ・・・式(2)
前記式(2)において、「D」は、被験物質添加系における6−ケト−PGF1α濃度を表し、「E」は、陰性対照における6−ケト−PGF1α濃度を表し、「F」は、陽性対照における6−ケト−PGF1α濃度を表す。
結果を図5に示す。試験例3において、被験物質中にプロスタグランジン産生抑制に有効な物質が含まれる場合は、細胞培養液中のPGIの産生が抑制され、したがって該培養液中から検出されるPGIの安定代謝物6−ケト−PGF1αが低下する。即ち、6−ケト−PGF1α産生率が低下する。
前記構造式(A)で表される化合物を被験物質として添加した結果、図5に示すとおり、6−ケト−PGF1α産生率が低下した。
したがって、前記構造式(A)で表される化合物が、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有することが認められた。
(試験例4:細胞毒性試験)
前記構造式(A)で表される化合物の細胞毒性について、以下の方法で検討を行った。
−被験物質添加系における細胞数の測定−
SW982細胞(ATCCより購入)を、10%胎仔牛血清(株式会社ニチレイ製)を含むDMEM/F12培地(インビトロジェン社製)を用いて2×10個/ウェルとなるように調製し、96ウェル培養プレートに0.1mLずつ接種した。これと同時に、前記製造例1で製造した被験物質(前記構造式(A)で表される化合物)を下記表1に示す濃度となるように各ウェルに添加し、37℃、5%COの条件下で48時間培養した。48時間培養後、各ウェルに細胞数測定キット(cell counting Kit−8、同仁化学株式会社製)10μLを添加し、更に2時間培養した後、450nmの吸光度Gを測定した。
−細胞増殖率の算出−
前記細胞数測定キットは、生存細胞が発色する。したがって、450nmの吸光度が高いほど、生存細胞が多いこと、即ち細胞増殖に影響を及ぼさないことを示す。これより、各ウェルの吸光度の測定結果から、下記式(3)に基づき細胞増殖率を算出し、これにより細胞増殖に及ぼす影響を評価した。
細胞増殖率(%)=G/H×100 ・・・式(3)
前記式(3)において、「G」は、被験物質添加系における450nmの吸光度を表し、「H」は、被験物質非添加系(下記表1の濃度0nM)における450nmの吸光度を表す。
前記構造式(A)で表される化合物を被験物質として添加した結果、表1に示すとおり、前記構造式(A)で表される化合物は、SW982細胞に対して細胞増殖に影響を示さず、安全性が高いことが確認された。
本発明の化合物は、優れたプロスタグランジン産生抑制作用を有し、安全性の高い化合物であるため、プロスタグランジンに起因する掻痒、発熱、血管透過性亢進、疼痛等の炎症反応、知覚神経の異常亢進、気管支平滑筋収縮、血小板凝集、腫瘍細胞増殖、骨吸収促進、神経細胞変性等の生理活性を抑制することができ、喘息、心臓血管疾患、早産、腎炎、アテローム硬化症、過活動膀胱、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、癌等の種々の疾患の予防薬又は治療薬の有効成分として好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. 下記構造式(A)で表されることを特徴とする化合物又はその塩。
  2. 下記構造式(A)で表される化合物の製造方法であって、
    サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
    前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(A)で表される化合物を採取する採取工程と、
    を含むことを特徴とする化合物の製造方法。
  3. サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属し、構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有する微生物が、受託番号NITE P−1152のサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株である請求項2に記載の化合物の製造方法。
  4. サッカロスリックス(Saccharothrix)属に属する微生物であって、下記構造式(A)で表される化合物を生産する能力を有し、
    前記微生物が、受託番号NITE P−1152のサッカロスリックス エスピー(Saccharothrix sp.)MI559−46F5株であることを特徴とする微生物。
  5. 下記構造式(A)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかを含有することを特徴とする化合物含有組成物。
  6. 請求項5に記載の化合物含有組成物を含有し、プロスタグランジン産生抑制作用を有することを特徴とするプロスタグランジン産生抑制剤。
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