JP2003192588A - 紫外線誘発プロスタグランジンe2産生抑制剤 - Google Patents
紫外線誘発プロスタグランジンe2産生抑制剤Info
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Abstract
生抑制剤の提供。 【解決手段】 下記の一般式(I)で表されるポリアル
コキシフラボノイドを含有する紫外線誘発プロスタグラ
ンジンE2(PGE2)産生抑制剤。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜6の低級アル
キル基を表し、R2、R3およびR4は各々独立に水素原
子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R5は炭
素数1〜6の低級アルキル基を表す。)
Description
タグランジンE2(以下、PGE2と称する)産生抑制剤に関
する。詳しくは、5-デメチルノビレチン、タンゲレチ
ン、ノビレチン、8-デメトキシノビレチン、6-デメトキ
シタンゲレチン及び6-デメトキシノビレチンからなる群
より選択されるポリアルコキシフラボノイドを含有する
紫外線誘発PGE2産生抑制剤に関する。
生合成など有益な作用を示す一方で、多くの場合、皮膚
にとって紫外線障害をもたらすことが知られている。紫
外線障害には急性障害と慢性障害があり、急性障害とし
ては、紫外線紅斑(サンバーン)等の皮膚炎症がある。
また、慢性障害では、過度の紫外線障害により、表皮細
胞の分化亢進による表皮厚の増大や真皮における結合組
織代謝亢進とともに皮膚の構造的な粗造化が引き起こさ
れる(Schwartz, E., J. Invest, Dermatol., 91,158-16
1 (1988))。その結果、皮膚の機能性が低下し、細胞の
老化(光老化)や皮膚ガンの発症へと移行すると考えら
れている。
す紫外線は、波長の長さにより、UVC(短波長紫外
線)、UVB(中波長紫外線)およびUVA(長波長紫外線)
に大別される。地表に到達する紫外線は主にUVBとUVAで
あり、波長の短い紫外線ほど障害作用が強い(Hruza, L.
L. 及び Pentland, A.P., J. Invest. Dermatol., 100,
35S-45S (1993))。
のような紫外線による外的刺激に対して構造的および機
能的なバリアーを形成し、生体を保護している(Baden,
H.P.皮膚の健康化学 (石橋 康正、Parrish, J. 監修)、
南山堂、184-197 (1994))。しかしながら、最近の環境
悪化によるオゾン層の破壊に伴いUVBの地表到達量が増
加したことから、光老化およびDNA損傷による皮膚ガン
の発症が大きな問題となってきている(Schwartz, E.,
J. Invest, Dermatol., 91, 158-161 (1988); Scharffe
ter, K.ら, J. Biol. Chem., 378, 1247-1257 (199
7))。
産生促進があり、紫外線急性障害の一つである急性炎症
反応の紫外線紅斑(サンバーン)を引き起こすことが報告
されている(Gilchrest, B.A.ら, J. Am. Acad. Dermato
l. 5, 411-422 (1981))。この紫外線によるPGE2産生促
進の機序として、シクロオキシゲナーゼ2(以下、COX-2
と称する)および細胞質型ホスホリパーゼA2 (以下、cPL
A2と称する)の産生および活性化の促進が開示されてい
る(Gresham, A.ら, Am. J. Physiol. 270, C1037-C1050
(1996); Buckman, S.Y.ら, Carcinogenesis 19, 723-7
29 (1998))。さらに、PGE2が表皮細胞の増殖および分
化を促進すること(Pentland, A.P. 及びNeedleman, P.,
J. Clin. Invest. 77, 246-251 (1986))、悪性度の高
いヒト扁平上皮ガン細胞においてCOX-2発現が亢進して
いること(Katja, C.Z.ら, CancerRes. 59, 198-204 (19
99))が報告されている。以上のようなことから、紫外線
障害の一つの分子機構としてUVB照射誘発によるPGE2産
生の促進が推察される。
膚機能の維持および回復を目的として、抗酸化作用を有
する医薬品や外用サンスクリーンを用いた紫外線の防御
(サンプロテクション)が一般的な対処法として用いられ
ている(花田 勝美 臨床医のためのスキンケア入門 (宮
地 良樹編)、先端医学社、177-188 (1997))。例えば、
アスコルビン酸やα-トコフェロールの局所塗布(Bisset
t, D.L.ら, Photodermatol. Photoimmunol. Photomed.,
7, 56-62 (1990))および抗酸化剤のカタラーゼやキサ
ンチン(Miyachi, Y.ら, Clin. Exp. Dermatol. 8, 305-
310 (1983))により、紫外線による急性炎症反応、しわ
および腫瘍形成が抑制されることが報告されている。
する薬剤があり、なかでも生薬成分のフラボノイドは紫
外線吸収作用(Caldwel, M.M.ら, Physiol. Plant, 58,
445-450 (1983))やフリーラジカルの捕捉作用(Robak,
J. 及び Gryglewski, R., J.Biochem. Pharmcol. 37, 8
37-841 (1988))を有することから、紫外線障害を抑制す
る抗酸化剤としての有用性が示唆されている。
多彩な薬理作用を有するものが数多く存在し、紫外線障
害に対し有効なものも報告されている(花田 勝美 臨床
医のためのスキンケア入門、前掲)。また、特開平2001-
200238には、柑橘類由来のフラボノイド類(エリオシト
オリン、グルコシルジオスミン、ナリンジン、ヘスペリ
ジン等)に紫外線吸収作用があり、該フラボノイド類を
含有する紫外線吸収剤が皮膚炎症、日焼け、老化を予防
又は回復する効果を有することが開示されている。
あるCitrus depressa (現地名、シークワーシャ)の果
汁中に大量のフラボノイドが含まれており、その主成分
(68.5%)がポリアルコキシフラボノイドのノビレチンで
あることを明らかにした(特許第3010210号)。また、
ノビレチンが、ウサギ関節滑膜細胞においてインターロ
イキン1α(IL-1α)により誘導されたマトリックスメタ
ロプロテアーゼおよびPGE2産生を抑制することを確認
し、関節軟骨のマトリックス崩壊、骨関節炎及びリウマ
チ性関節炎におけるパンヌス形成を抑える消炎薬として
有効であることを示唆した(Ishiwa, J.ら, J. Rheumato
l. 271, 20-25 (2000))。この他、ノビレチンの作用に
関しては、マウス形質転換株細胞MO4の浸潤活性を抑制
すること(Bracke, M.ら, Clin. Exp. Metastasis, 9, 1
3-25 (1991))や胃粘膜保護作用を有すること(Takase,
H.ら, Jpn. J. Pharmacol. 66, 139-147 (1994))が報告
されている。
紫外線誘発によるPGE2産生を抑制しうる剤及び該PGE2産
生抑制剤を有効成分として含んでなる紫外線誘発による
皮膚障害を予防及び/又は治療する皮膚外用剤は報告さ
れていない。また、ポリアルコキシフラボノイドに上記
のような紫外線吸収作用やフリーラジカルの捕捉作用が
あり、紫外線誘発によるPGE2産生を抑制する効果がある
ことは未だ報告されていない。
外線誘発によるPGE2産生を抑制しうる剤、及び該剤を有
効成分として含んでなる紫外線誘発による急性障害及び
慢性障害を予防及び/又は治療するための皮膚外用剤を
提供することを目的とする。
を解決するため鋭意研究を行った結果、ポリアルコキシ
フラボノイドが紫外線誘発によるPGE2産生抑制作用を有
することを見い出し、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。 (1) 下記の一般式(I)で表されるポリアルコキシ
フラボノイドを含有する紫外線誘発プロスタグランジン
E2(PGE2)産生抑制剤。
キル基を表し、R2、R3およびR4は各々独立に水素原
子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R5は炭
素数1〜6の低級アルキル基を表す。)
記の一般式(II)で表されるポリメトキシフラボノイド
であることを特徴とする、(1)に記載の紫外線誘発プ
ロスタグランジンE2(PGE2)産生抑制剤。
R13およびR14は各々独立に水素原子またはメトキシ基
を表す。)
る化合物が、5-デメチルノビレチン、タンゲレチン、ノ
ビレチン、8-デメトキシノビレチン、6-デメトキシタン
ゲレチン及び6-デメトキシノビレチンからなる群より選
択されることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の
紫外線誘発プロスタグランジンE2(PGE2)産生抑制剤。 (4) (1)〜(3)のいずれかに記載の紫外線誘発
プロスタグランジンE2産生抑制剤を有効成分として含ん
でなる紫外線誘発による急性障害及び慢性障害を予防及
び/又は治療するための皮膚外用剤。 (5) 紫外線誘発による急性障害及び慢性障害が紫外
線紅斑(サンバーン)、遅延型黒化(サンタン)、皮膚
炎症、光老化、皮膚がん、水疱形成、角化症、しわであ
ることを特徴とする、(4)に記載の皮膚外用剤。
本発明の紫外線誘発PGE2産生抑制剤は、ポリアルコキシ
フラボノイドを含有する。ポリアルコキシフラボノイド
は、主として柑橘類に由来するフラボノイドである。こ
のポリアルコキシフラボノイドは、他の植物に由来する
フラボノイドとは化学的構造、理化学的性質等が異な
る。すなわち、具体的には、他の植物に由来するフラボ
ノイドは、側鎖が水酸基であるか、あるいは該水酸基に
糖が結合した配糖体である。これに対して本発明のポリ
アルコキシフラボノイドは、この側鎖の水酸基がアルコ
キシ基(一般にメトキシ基)によって置換されている。
そのため、他の植物に由来するフラボノイドは親水性で
あるのに対し、ポリアルコキシフラボノイドは疎水性で
ある。親水性、疎水性の違いは、食物として体内に入っ
た場合の挙動に影響を与え、例えば、他の植物に由来す
る親水性のフラボノイドは細胞膜を通過して細胞内に吸
収され難いが、本発明の疎水性のポリアルコキシフラボ
ノイドは細胞内(腸の粘膜や筋肉層など)に入りやすい
という特徴を有する(Murakamiら, Bios, Biotechnol.
Biochem., 65(1), 194-197, 2001)。
可能な柑橘類としては、ミカン区に属するシイクワシャ
ー (Citrus depressa)、タチバナ(C.tachibana)、コ
ウジ(C.leiocarpa)、ギリミカン(C.tardiva)、ジミ
カン(C.succosa)、シカイカン、キシュウ(C.kinokun
i)、コベニミカン(C.erythrosa)、スンキ(C.sunk
i)、チチユウカイマンダリン(C.deliciosa)、キング
(C.nobilis)、ポンカン(C.retuculata)、ダンシー
タンジェリン(C.tangerina)、ユズ区に属するハナユ
(C.hanayu)、コウライタチバナ(C.nippokoreana)等
が挙げられる。具体的には、本発明で用いるポリアルコ
キシフラボノイドは、下記の一般式(I)で表される物
質である。
キル基を表し、R2、R3およびR4は各々独立に水素原
子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R5は炭
素数1〜6の低級アルキル基を表す。)
ては、下記の一般式(II)で表されるポリメトキシフラ
ボノイドである。
R13およびR14は各々独立に水素原子またはメトキシ基
を表す。) 上記の一般式(II)で表されるポリメトキシフラボノイ
ドの一例を以下の表1に示す。
すでに当業者に公知であるフラボノイドの抽出方法、例
えば、Two new polimethoxylated flavones, a class o
f compounds with potential anticancer activity, is
olated from cold pressed dancy tangerin peel oil s
olids (Jie Chem et al. J. Agric Food Chem. 1997,
45, 364-368)に記載されているような方法を用いて前
記の柑橘類から抽出・分離することができる。具体的に
は、例えば、以下のような方法によって抽出可能であ
る。前記の柑橘類の果皮をアセトン中に浸漬し、粗フラ
ボノイド抽出液を得る。これを濃縮乾固した後、50%メ
タノールに溶解し、オクタデシルシリカゲルを担体とす
る逆層系カラム、溶離液としてメタノール-10mMリン酸
(4:6→6:4)を用い、紫外線吸収検出器(340nm)でモニタ
ーしながら分取を行う。得られた分画を濃縮乾固し、目
的のポリアルコキシフラボノイドを得る。
アルコキシフラボノイドは、紫外線誘発によるPGE2産生
を抑制する作用を有する。ポリアルコキシフラボノイド
の本作用についてはこれまで全く報告されておらず、本
発明者らが初めて確認した知見である。すなわち、本発
明の抑制剤は、紫外線誘発によるPGE2産生が関与する、
紫外線障害の予防及び/又は治療剤として利用すること
ができる。紫外線障害としては、急性障害又は慢性障害
があり、例えば、紫外線紅斑(サンバーン)、サンタン
(遅延型黒化)、皮膚炎症、皮膚細胞の老化である光老
化、皮膚がん、水疱形成、角化症、しわ等が挙げられ
る。
して含有するPGE2産生抑制剤は、皮膚外用剤の有効成分
として用いることができる。皮膚外用剤には、医薬製
剤、化粧料等が含まれる。本発明の皮膚外用剤は、予防
及び/又は治療上有効な量のポリアルコキシフラボノイ
ドを薬学的に許容し得る担体又は希釈剤とともに製剤化
することによって得ることができる。また、上記成分以
外に、通常の医薬製剤や化粧料等の皮膚外用剤に用いら
れる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性
成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増結剤、アルコ-ル
類、粉末成分、着色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養
剤、防腐剤、香料等を必要に応じて適宜配合してもよ
い。例えば、エデト酸ニナトリウム、エデト酸三ナトリ
ウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メ
タリン酸ナトリウム、グルロン酸等の金属封鎖剤、カフ
ェイン、タンニン、トラネキサム酸およびその誘導体、
甘草抽出物等の植物抽出物、各種生薬、酢酸トロフェロ
ール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩
等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシ
ウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ
酸等の他の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノ
ース、ショ糖、トレハロース等の糖類、レチノイン酸、
レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール
等のビタミンA類等を適宜配合することができる。
シフラボノイドの有効成分としての配合量は、皮膚外用
剤全量中、乾燥物換算で0.00064〜20重量%とするのが
好ましく、より好ましくは、0.0064〜15重量%である。
配合量が0.00064重量%未満の場合には、本発明でいう
抑制作用の効果が十分に発揮されず、20.0重量%を超過
する場合には、製剤化が困難になるので好ましくない。
本発明の皮膚外用剤の剤型は特に限定されないが、粉
末、液状、乳液状、クリーム状等の剤型とすることがで
き、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用
剤等、従来用いられている皮膚外用剤の形態に適用する
ことができる。
説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範
囲が限定されるものではない。なお、予め、以下の実施
例において用いた培養器具及び試薬について説明する。
クノグラス社製;KGM Bullet-Kit (bovine pituitary e
xtract/0.1 ng/ml recombinant human epidermal growt
h factor (EGF)/5.0 μg/ml insulin/0.5 μg/ml hydro
cortizone/50 μg/ml gentamicin/50 ng/ml アンフォテ
リシン-B/keratinocyte basal medium)およびReagent-K
it (0.025% trypsin/0.01% EDTA、トリプシン中和液お
よびHEPES緩衝液)はClonetics社製; methyl arachidon
yl fluorophosphonate (MAFP)、NS398およびA23187はCa
lbiochem社製; diethyl pyrocarbonate (DEPC)およびi
ndomethacinはSigma Chemical社製; プロスタグランジ
ン E2 (PGE2) enzyme immunoassay systemはBiotrak社
製;[14C]-アラキドン酸 (59.6 mCi/mmol)はAmershamPh
armacia Biotech社製;ISOGENはニッポンジーン社製;o
ligo(dT)primerはLife Technologies社製; reverse tr
anscriptase、 taq DNA polymerase、 RNaseInhibitor
およびPCR nucleotide mixはRoche Diagnostics社製;
PGE2は小野薬品工業製;抗PGE2抗体はPerseptive Biosy
stems社製;Cell matrix Type I -P (I型コラーゲン)は
新田ゼラチン社製;Ca2+ and Mg2+-free phosphate buf
feredsaline (PBS(-))は日水製薬社製を各々購入し使用
した。その他の試薬は全て特級試薬を使用した。
の製造 柑橘類の一種であるシイクワシャー(Citrus depress
a)の果皮のフラベドの部分を剥皮し、これをアセトン
中に液浸し、粗フラボノイド抽出液を得る。これを濃縮
乾固した後、50%メタノールに溶かし、オクタデシルシ
リカゲルを担体とする逆相系カラム、溶離液としてメタ
ノール−10mMリン酸(4:6→6:4)を用い、紫外線吸収検
出器(340nm)でモニターしながら分取を行った。得ら
れた分画を濃縮乾固することで以下のフラボノイドを得
た。
ロホルム、メタノール混液より再結晶) mp.150-151o EI-MS m/z 372[M]+ (C20H20O7) IR νmax(KBr)cm-1: 2945, 2835, 1645, 1605, 1580, 1
510, 1480, 1460, 1420,1400, 1365, 1305, 1260, 121
5, 1175, 1130, 1105, 1065, 1025, 1015, 1000,965, 9
45, 935, 890, 825, 795. UV λmax(EtOH)nm: 322, 272.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.87(2H,d,J=8.9Hz), 7.02(2H,d,J=8.
9Hz), 6.59(1H,s), 4.09(3H,s), 4.02(3H,s), 3.94(3H
×2,s), 3.88(3H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.3(C=O), 162.3(C), 161.2(C), 1
51.3(C), 148.4(C), 147.7(C), 144.1(C), 138.1(C), 1
27.7(CH×2), 123.8(C), 114.9(C), 114.5(CH×2), 10
6.7(CH), 62.2(OMe), 62.0(OMe), 61.8(OMe), 61.6(OM
e), 55.5(OMe)
ホルム、メタノール混液より再結晶) mp.137-138o EI-MS m/z 402[M]+ (C21H22O8) IR νmax(KBr)cm-1: 2950, 2840, 1640, 1585, 1565, 1
510, 1480, 1460, 1415,1410, 1365, 1335, 1300, 127
5, 1255, 1220, 1205, 1170, 1145, 1100, 1075,1035,
1030, 1015, 965, 950, 905, 860, 835, 810, 800. UV λmax(EtOH)nm:331,271,250.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.55(1H,dd,J=8.5,2.1Hz), 7.39(1H,
d,J=2.1Hz), 6.97(1H,d,J=8.5Hz), 6.59(1H,s), 4.08(3
H,s), 4.01(3H,s), 3.96(3H,s), 3.94(3H,s), 3.93(3H
×2,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.2(C=O),160.9(C), 151.9(C), 15
1.3(C), 149.2(C), 148.3(C), 147.6(C), 144.0(C), 13
7.9(C), 123.9(C), 119.5(CH), 114.8(C), 111.2(CH),
108.5(CH), 106.8(CH), 62.2(OMe), 61.9(OMe), 61.7(O
Me), 61.6(OMe),56.0(OMe), 55.9(OMe).
末 EI-MS m/z 388[M]+ (C20H20O8) IR νmax(KBr)cm-1: 3420, 2945, 2830, 1640, 1610, 1
585, 1510, 1480, 1460,1435, 1430, 1415, 1365, 134
0, 1265, 1225, 1190, 1170, 1145, 1115, 1065,1035,
1030, 1015, 960, 850, 835, 795.1 H-NMR(CDCl3)δ 12.53(s,OH), 7.58(1H,dd,J=8.6,2.0H
z), 7.42(1H,d,J=2.0Hz), 6.99(1H,d,J=8.6Hz), 6.60(1
H,s), 4.11(3H,s), 3.98(3H×2,s), 3.96(3H,s),3.95(3
H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 182.9(C=O), 163.9(C), 153.0(C), 1
52.5(C), 149.5(C), 149.4(C), 145.7(C), 136.6(C), 1
32.9(C), 123.7(C), 120.1(CH), 111.3(C), 108.8(CH),
107.0(C), 104.0(CH), 62.0(OMe), 61.7(OMe), 61.1(O
Me), 56.1(OMe),56.0(OMe).
505, 1485, 1460, 1445,1425, 1415, 1345, 1320, 128
5, 1265, 1255, 1245, 1215, 1205, 1200, 1165,1145,
1115, 1095, 1060, 1020, 985, 955, 865, 835, 815, 7
85, 760.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.50(1H,dd,J=8.5,2.1Hz), 7.32(1H,
d,J=2.1Hz), 6.96(1H,d,J=8.5Hz), 6.79(1H,s), 6.58(1
H,s), 3.99(3H,s), 3.98(3H,s), 3.97(3H,s), 3.95(3H,
s), 3.91(3H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.1(C=O), 161.1(C), 157.6(C), 1
54.5(C), 152.6(C), 151.8(C), 149.3(C), 140.3(C), 1
24.1(C), 119.6(CH), 112.9(C), 111.2(CH), 108.7(C
H), 107.4(CH), 96.2(CH), 62.2(OMe), 61.5(OMe), 56.
3(OMe), 56.1(OMe),56.0(OMe).
粉末 EI-MS m/z 342[M]+ (C19H18O6) IR νmax(KBr)cm-1: 3000, 2945, 2845, 1635, 1600, 1
570, 1505, 1460, 1420,1405, 1375, 1340, 1305, 129
5, 1255, 1245, 1210, 1185, 1175, 1135, 1110,1045,
1030, 875, 960, 930, 880, 840, 810, 800.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.87(2H,d,J=9.0Hz), 7.01(2H,d,J=9.
0Hz), 6.58(1H,s), 6.43(1H,s), 3.99(3H,s), 3.97(3H,
s), 3.94(3H,s), 3.87(3H,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.8(C=O), 162.1(C), 160.6(C), 1
56.4(C), 156.3(C), 151.9(C), 130.8(C), 127.6(CH×
2), 123.9(C), 114.4(CH×2), 109.1(C), 106.9(CH), 9
2.6(CH), 61.5(OMe), 56.6(OMe), 56.3(OMe), 55.4(OM
e).
末 EI-MS m/z 372[M]+ (C20H20O7) IR νmax(KBr)cm-1: 2930, 2845, 1635, 1595, 1575, 1
505, 1455, 1435, 1420,1400, 1375, 1340, 1320, 129
5, 1275, 1255, 1230, 1210, 1205, 1170, 1135,1120,
1105, 1040, 1035, 1015, 965, 945, 855, 835, 800, 7
95.1 H-NMR(CDCl3)δ 7.58(1H,dd,J=8.5,2.1Hz), 7.42(1H,
d,J=2.1Hz), 6.98(1H,d,J=8.5Hz), 6.61(1H,s), 6.44(1
H,s), 4.00(3H,s), 3.98(3H,s), 3.97(3H,s), 3.95(3H
×2,s).13 C-NMR(CDCl3)δ 177.8(C=O), 160.5(C), 156.5(C), 1
56.3(C), 151.9(C), 151.8(C), 149.3(C), 130.8(C), 1
24.1(C), 119.5(CH), 111.2(CH), 109.1(C), 108.6(C
H), 107.2(CH), 92.6(CH), 61.5(OMe), 56.6(OMe), 56.
3(OMe), 56.0(OMe),55.9(OMe).
産生及び細胞障害に対する紫外線の影響 UVB照射によるPGE2産生の変動と細胞障害について、以
下の方法を用いて検討した。 (1)細胞培養および処理方法 ヒト表皮角化細胞(Clonetics社製)は予め3 μg/mlのC
ell matrix Type I-Pでコートした24 well plate、60 m
m dishまたは100 mm dishにおいてKGM培養液を用いて培
養した。細胞がconfluentになった時点でUVB(313nm)
(Toshiba FL 20S;東芝電機社製)を60 mJ/cm2の強度で一
定時間照射した後、さらに24時間培養を行った。紫外線
放射量の測定には、UV Monitor MS-2101(英弘精機社
製)を用いた。なお全ての実験において、細胞は継代数
2-4のものを使用した。得られた培養液を試料として以
下の測定に用いた。
Needleman, P., J. Clin. Invest. 77, 246-251 (198
6))に従った。すなわち、50 μl のPGE2 標準溶液(3.1
25pg〜200.0 pg)および(1)で得られた50 μl の試料
に、50 μl の[ 3H]PGE2 (24、000 dpm/tube)および60
μl の抗PGE2抗体を加え混和後、4℃で18時間反応させ
た。抗体に結合しなかった遊離の[3H]PGE2をデキストラ
ンで被覆した500 μl の活性炭に吸着させ、遠心分離後
(1,000×g、15分間、4℃)、上清300 μlの放射活性を
シンチレーションカウンター(Aloka LSC-3500)で測定し
た。また、同様にして求めた標準曲線から培養液中のPG
E2量を算出した。
ステムを用い、添付の操作法に従い測定した。すなわ
ち、(1)で得られた試料50 μlに抗PGE2抗体50μlと
ぺルオキシダーゼ標識PGE2溶液50 μlを加え、室温で1
時間インキュべーションした。次に、基質溶液を150 μ
l加え、室温で振とうしながら1時間発色させた後に1 M
硫酸で発色を停止し、450 nmの吸光度を測定した。PGE2
量は同様に作成した標準曲線から算出した。
存率を測定する方法と用いた。すなわち、予め3 μg/ml
のCell matrix Type I-Pでコートした24 wellplateにお
いてconfluentまで培養したヒト表皮角化細胞に照射時
間を変えてUVB(60 mJ/cm2)を照射し、さらに24時間培養
した。培養終了3時間前にalamer blue(Ahmed, S.A.ら,
J. Immunol. Methods 170, 211-224 (1994))を添加
し、細胞に取り込まれたalamer blueの吸光度(590 nm)
を測定した。
産生の変動を検討した結果を図1に示す。照射時間の経
過とともにPGE2産生が促進され、照射時間4〜8分で未
照射の約1.8〜3倍のPGE2量まで増加した。また、UVB照
射による細胞障害を示す細胞生存率の変化を図2に示
す。照射時間4〜5分ではUVBによる細胞障害は観察され
なかったが、6分以上の照射で細胞生存率は減少し、UV
B照射8分では未照射の45%まで減少することが確認され
た。
角化細胞のPGE2産生を促進すること、及び一定時間以上
のUVB照射によって細胞障害が発生することが明らかと
なった。なお、4分間のUVB照射では、PGE2産生を促進
するが有意な細胞障害は与えないことが認められたこと
から、以後の実験においてはUVB照射を4分として実験
を行うことにした。
より促進されたPGE2産生に対するノビレチンの抑制作用 UVB照射により促進されたPGE2産生に対するノビレチン
の作用を以下の方法により検討した。 (1)細胞培養および処理方法 ヒト表皮角化細胞(Clonetics社製)は予め3 μg/mlのC
ell matrix Type I-Pでコートした24 well plate、60 m
m dishまたは100 mm dishにおいてKGM培養液を用いて培
養した。細胞がconfluentになった時点でノビレチンを
含む同培養液に交換し、UVB(313nm)(Toshiba FL 20S;
東芝電機社製)を60 mJ/cm2の強度で4分間照射し、さら
に24時間培養を行った。
あることがすでに報告されているので、紫外線吸収作用
の影響をも検討するため、紫外線照射後にノビレチン処
理を行う方法も併せて実施した。得られた培養液を試料
として以下の測定に用いた。また、PGE2量の測定は実施
例1と同様に行った。結果を図3に示す。
胞にUVBを4分間照射した場合、UVB照射により増加したP
GE2産生がノビレチンの添加によって抑制され、その抑
制効果は濃度依存的であることが確認された。具体的に
は、ノビレチン16μMの濃度でほぼコントロール(UVB照
射が0であってノビレチン添加が0の場合)まで、32μ
M以上の濃度ではコントロール以下まで抑制された。ま
た、UVB非照射群においても、ノビレチンは、恒常的に
産生されるPGE2を抑制することが確認された。
響を検討するために行った紫外線照射後のノビレチン処
理においても、図4に示すとおり、ノビレチンの(4分
間)前処理後に紫外線照射を行なった前記結果と同様
に、ノビレチンはPGE2産生を抑制した。従って、ノビレ
チンのPGE2産生抑制作用は、ノビレチンの紫外線吸収作
用によって生じるものではないことが明らかとなった。
びノビレチンによるPGE2産生の抑制作用を経時的に観察
した。その結果を図5に示す。図5中、●は無処理細胞
を示し、■はUVB照射細胞を示し、○はノビレチン(64
μM)処理細胞を示し、□はノビレチン(64μM)処理
後、UVB照射した細胞を示す。UVB照射細胞においては、
UVB照射後6時間においてPGE2量の増加が観察され、そ
の後も時間依存的にさらに増加した。また、ノビレチン
を添加した場合には、恒常的産生により増加したPGE2お
よびUVB照射により増加したPGE2産生を顕著に抑制し、
この抑制作用はノビレチン処理後4〜6時間で認められ
た。以上の結果より、ヒト表皮角化細胞においてUVB照
射により促進されたPGE2産生をノビレチンが抑制するこ
とが明らかとなった。また、ノビレチンの抑制作用は添
加処理後の早い段階で認められることが確認できた。
OX-2へのノビレチンの作用 プロスタグランジン生合成の律速酵素の一つにはCOXが
あり、生体膜から遊離されたアラキドン酸を各種プロス
タグランジンに変換する。このCOXには、恒常的発現型
のCOX-1と誘導型のCOX-2が存在することが報告されてい
る(Funk, C.D.ら, FASEB J. 5, 2304-2312 (1991); Hl
a, T. 及び Neilson, K., Proc. Natl.Acad. Sci. USA,
89, 7384-7388 (1992))。そこで、本実施例では、UVB
照射により誘導されるPGE2産生にはCOX-1とCOX-2のいず
れが寄与しているかについて確認した。すなわち、ヒト
表皮角化細胞を実施例3と同様に培養し、細胞がconflu
entになった時点で、COX-1阻害剤(Shimokawa, T. 及び
Smith, W.L., J. Biol. Chem., 267, 12387-12392 (199
2))であるアスピリン、COX-2選択阻害剤(Futaki, N.ら,
Prostaglandins 47, 55-59 (1994))であるNS398、非選
択的COX阻害剤(Vane, J.R. 及び Botting, R.M., Adv.
Prost. Thromb. Leu. Res., 23, 41-48 (1995))である
インドメタシンを各々含む同培養液に交換し、UVB(313
nm)(ToshibaFL 20S;東芝電機社製)を60 mJ/cm2の強度
で4分間照射し、さらに24時間培養を行った。得られた
培養液を試料として以下の測定に用いた。また、PGE2量
の測定は実施例1と同様に行った。結果を図6に示す。
増加したPGE2量は、COX-1阻害剤のアスピリン処理では
全く変化しなかったが、COX-2選択阻害剤のNS398および
非選択的COX阻害剤のインドメタシンの添加処理により
顕著に減少した。この結果から、UVB照射により誘導さ
れたPGE2産生にはCOX-2が寄与することが明らかとなっ
た。
発現に対するノビレチンの作用 ノビレチンによるPGE2産生抑制の分子機構を明らかにす
るために、以下の方法を用いて、COX-1 mRNAおよびCOX-
2 mRNA発現に対するノビレチンの作用について検討し
た。 (1)総RNAの抽出 細胞からの総RNAの抽出はChomczynskiとSacchiの方法
(Chomczynski, P. 及びSacchi, N., Anal. Biochem. 1
62, 156-159 (1987))に従い、ISOGENを用いて実施し
た。RNaseの混入を防ぐため操作は清潔なディスポーザ
ブルのグローブを着用して行い、また乾熱滅菌可能な器
具については180 ℃で9時間以上乾熱滅菌し、不可能な
器具については未使用のものをオートクレーブで3回処
理した。使用した水はオートクレーブで3回処理した0.2
% DEPC溶液を用いた。
×cDNA合成緩衝液を4μl、PCR nucleotide mixを2μl、
RNase Inhibitorを1μl、Oligo(dT)primerを2μl及びre
verse transcriptaseを1μl添加し、37℃で1時間インキ
ュベーションした。反応終了後、95℃で5分間熱処理
し、PCRに供した。
によりCOX-1 mRNA、COX-2 mRNA及びグリセルアルデヒド
-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH) mRNAの発現を解析し
た。すなわち、3μlの鋳型cDNA、5μlの10×PCR用緩衝
液、1μlのPCR nucleotide mixおよび0.5μlのtaq DNA
polymelaseにCOX-1(Funk, C.D.ら, FASEB J.5, 2304-23
12 (1991))、COX-2 (Hla, T. 及び Neilson, K., Proc.
Natl. Acad.Sci. USA, 89, 7384-7388 (1992))、cPLA2
(Sharp, J.D.ら, J. Biol. Chem. 266, 14850-14853
(1991))又はGAPDH (Tokunaga, K.ら, Cancer Res., 47,
5616-5619 (1987))のセンスプライマーおよびアンチセ
ンスプライマーをそれぞれ2μl添加し、滅菌蒸留水にて
全量を50μlとしてPCRを行った。反応条件は、変性が92
℃で40秒間、アニーリングが54℃で40秒間、さらに伸長
反応が72℃で1分間とし、DNAが直線的に増幅される37サ
イクルを選択した。反応終了後、PCR産物について1%ア
ガロースゲルにて電気泳動を行い、エチジウムブロマイ
ド染色にて解析した。なお、GAPDH mRNAは哺乳動物細胞
のハウスキーピング遺伝子として知られており、その発
現は一般的に薬物処理により変化しないことから、目的
遺伝子に対する薬物の効果を評価する際の対照遺伝子と
して汎用されているものである。
おいて恒常的に発現しているCOX-1 mRNAは、UVB照射お
よびノビレチン処理によりほとんど変化しなかった(図
7中のA)。また、GAPDH mRNAも、UVB照射およびノビ
レチン処理によりほとんど変化しなかった(図7の
C)。一方、COX-2 mRNAは無処理群では全く検出されな
いが、UVB照射によりCOX-2 mRNAの発現が顕著に促進さ
れ、さらにノビレチン処理を行った場合には、このCOX-
2 mRNA発現が完全に抑制された(図7中のB)。以上の
ことから、UVB照射により誘導されるPGE2産生促進にはC
OX-2 mRNAの発現が関与し、ノビレチン処理によってCOX
-2 mRNAの発現が抑制されることが確認された。
阻害作用 上記のCOX以外に、プロスタグランジン生合成の律速酵
素としてリン脂質膜からのアラキドン酸遊離を促進する
cPLA2がある(Sharp, J.D.ら, J. Biol. Chem.266, 1485
0-14853 (1991))。そこで、リン脂質膜からのアラキド
ン酸遊離を測定して、ヒト表皮角化細胞におけるcPLA2
の酵素活性に対するUVB照射およびノビレチン処理の影
響を検討した。
の測定方法 [14C]-アラキドン酸(0.1μCi/ml)で予め24時間標識した
ヒト表皮角化細胞をKGM培養液で洗浄した後、同培養液
の該細胞にノビレチン処理を行い、その後紫外線照射を
行なった。37℃で一定時間インキュベーションした後、
培養液を回収し、遠心分離後(10,000×g、5分間、4
℃)、培養液中の遊離[14C]-アラキドン酸の放射活性を
測定した。
酸遊離の結果を図8に示す。UVB照射によりアラキドン
酸遊離が促進され、照射後8時間で約180nmol/mlに達し
たが、ノビレチン処理によりアラキドン酸遊離が阻害さ
れ、照射後8時間では約100nmol/mlまで抑制された。ま
た、その阻害作用は処理後2時間から有意に観察され
た。また、無処理細胞の恒常的に産生されるPGE2産生に
対しても、ノビレチンの添加によってアラキドン酸遊離
が抑制されることが確認された。
レチンの作用 ノビレチンによるさらなるPGE2産生抑制の分子機構を明
らかにするために、cPLA2 mRNA発現に対するノビレチン
の作用について、以下の方法を用いて検討した。試験方
法は、COX-1 mRNAをcPLA2 mRNAに換えて、実施例5と同
様の手順で実施した。その結果を図9に示す。ヒト表皮
角化細胞において恒常的に発現しているcPLA2 mRNAは、
UVB照射及びノビレチン処理によりほとんど変化してい
ないことが確認された。cPLA2に関する実施例6及び実
施例7の結果から、UVB照射はcPLA2 mRNAの発現および
産生に影響を及ぼすことはないが、リン脂質からアラキ
ドン酸を遊離するcPLA2の酵素活性に対してノビレチン
は阻害作用を有することが示唆された。
ビレチンの阻害作用 実施例6及び実施例7の結果から、ノビレチンがcPLA2
の酵素活性に対して阻害作用を示すことが示唆されたの
で、以下の方法を用いてその阻害作用について検討し
た。cPLA2が酵素活性を有するためには、細胞質Ca2+の
上昇に伴う核膜移行(Schievella, A.R.ら, J. Biol. Ch
em., 270, 30749-30754 (1995))とMAPキナーゼによるcP
LA2のリン酸化(Lin, L,L.ら, Cell 72, 269-278 (199
3))が必須であることが報告されているので、Ca2+イオ
ノフォアA23187によるcPLA2の活性化促進に対してノビ
レチンが阻害作用を示すか否かについて、アラキドン酸
遊離を指標として調べた。
ヒト表皮角化細胞をKGM培養液で洗浄した後、同培養液
の該細胞にCa2+イオノフォアA23187、ノビレチン、cPLA
2選択的阻害剤であるMAFP (Yi, C.L., Biochim. Bioph
s. Acta, 1302,55-60 (1996))を各々添加し、その後UVB
照射を行なった。37℃で一定時間インキュベーションし
た後、培養液を回収し、遠心分離後(10,000×g、5分
間、4℃)、培養液中の遊離[14C]-アラキドン酸の放射活
性を測定した。
処理したヒト表皮角化細胞では、アラキドン酸遊離が顕
著に増加した(図10中、レーン3)。これに対し、Ca
2+イオノフォアA23187+ノビレチンで処理した場合、ア
ラキドン酸遊離が抑制された(図10中、レーン4)。
また、Ca2+イオノフォアA23187+cPLA2選択的阻害剤で
あるMAFP (Yi, C.L., Biochim. Biophs. Acta, 1302, 5
5-60 (1996))で処理した場合にも、アラキドン酸遊離は
抑制された(図10中、レーン5)。以上のことから、
ノビレチンによるアラキドン酸遊離の阻害作用はcPLA2
の酵素活性化過程を阻害するものであるということが示
唆された。
する皮膚外用剤(化粧水)を常法に従って製造した。 (配合) ノビレチン 0.1% 1,3-ブチレングリコール 6.0% グリセリン 4.0% オレイルアルコール 0.1% POE(20) ソルビタンモノラウリン酸エステル 0.5% POE(15) ラウリルアルコールエーテル 0.5% エタノール 10.0% 香料 適量 色剤 適量 防腐剤 適量 褪色防止剤 適量 緩衝剤 適量 精製水 78.8%
する皮膚外用剤(乳液)を常法に従って製造した。 (配合) ノビレチン 0.05% ステアリン酸 2.0% セチルアルコール 1.5% ワセリン 4.0% スクワラン 5.0% グリセロールトリ-2-エチルヘキ酸エステル 2.0% ソルビタンモノオレイン酸エステル 2.0% ジプロピレングリコール 5.0% PEG 1500 3.0% トリエタノールアミン 1.0% 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 74.45%
する皮膚外用剤(クリーム)を常法に従って製造した。 (配合) ノビレチン 0.2% ステアリン酸 8.0% ステアリルアルコール 4.0% ステアリン酸ブチル 6.0% プロピレングリコール 5.0% モノステアリン酸グリセリン 2.0% 水酸化カリウム 0.4% 防腐剤 適量 酸化防止剤 適量 香料 適量 精製水 74.4%
する皮膚外用剤(軟膏)を常法に従って製造した。 (配合) ノビレチン 0.5g ジフェンヒドラミン 1g 吸水軟膏 98.5g
ノイドは、COX-2の産生とcPLA2活性化過程の2局面で阻
害を示す、プロスタノイド生合成に対する有効な化合物
である。従って、本発明のポリアルコキシフラボノイド
を含有する剤は、ヒト表皮角化細胞において紫外線によ
り誘導されたPGE2産生を効果的に抑制する。また、該剤
を有効成分として含んでなる皮膚外用剤は、紫外線障害
の予防及び/又は治療に有効である。
の変動を示す図である。
て示した図である。
ることを示す図である。
それ自身の紫外線吸収作用に起因しないことを示した図
である。
PGE2産生抑制作用を経時的に示した図である。
るものではなく、COX-2によるものであることを示す図
である。
れることを示す図である。
制されることを示す図である。
されないことを示す図である。
より阻害されることを示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 下記の一般式(I)で表されるポリアル
コキシフラボノイドを含有する紫外線誘発プロスタグラ
ンジンE2産生抑制剤。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜6の低級アル
キル基を表し、R2、R3およびR4は各々独立に水素原
子または炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R5は炭
素数1〜6の低級アルキル基を表す。) - 【請求項2】 ポリアルコキシフラボノイドが下記の一
般式(II)で表されるポリメトキシフラボノイドである
ことを特徴とする、請求項1に記載の紫外線誘発プロス
タグランジンE2産生抑制剤。 【化2】 (式中、R11は水素原子またはメチル基を表し、R12、
R13およびR14は各々独立に水素原子またはメトキシ基
を表す。) - 【請求項3】 一般式(I)又は(II)で表される化合
物が、5-デメチルノビレチン、タンゲレチン、ノビレチ
ン、8-デメトキシノビレチン、6-デメトキシタンゲレチ
ン及び6-デメトキシノビレチンからなる群より選択され
ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の紫外線誘
発プロスタグランジンE2産生抑制剤。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫
外線誘発プロスタグランジンE2産生抑制剤を有効成分と
して含んでなる紫外線誘発による急性障害及び慢性障害
を予防及び/又は治療するための皮膚外用剤。 - 【請求項5】 紫外線誘発による急性障害及び慢性障害
が紫外線紅斑(サンバーン)、遅延型黒化(サンタ
ン)、皮膚炎症、光老化、皮膚がん、水疱形成、角化
症、しわであることを特徴とする、請求項4に記載の皮
膚外用剤。
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