JP2016069333A - 新規化合物、その製造方法、及びその用途、並びに、新規微生物 - Google Patents

新規化合物、その製造方法、及びその用途、並びに、新規微生物 Download PDF

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茂広 遠山
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和樹 波多野
道明 増田
Michiaki Masuda
道明 増田
里佐 小林
Risa Kobayashi
里佐 小林
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Abstract

【課題】細菌間のプラスミド伝播に対する優れた阻害活性、若しくは薬剤耐性菌を含む幅広い細菌に対する優れた抗菌活性を有し、安定性の高い新規化合物、その製造方法、その生産菌である新規微生物、それを利用したプラスミド伝播阻害剤及び抗菌剤の提供。【解決手段】構造式(1)、(2)、(3)、及び(4)で表される化合物の少なくともいずれかを含むプラスミド伝播阻害剤。【選択図】なし

Description

本発明は、新規化合物、前記新規化合物及びその類縁体の製造方法、前記新規化合物及びその類縁体を生産する能力を有する新規微生物、前記新規化合物を含有する化合物含有組成物及び抗菌剤、並びに、前記新規化合物及びその類縁体を含有するプラスミド伝播阻害剤に関する。
抗生物質の発見によって感染症に対する脅威は著しく減少したが、抗生物質の汎用により病原菌がこれらの薬剤に対して抵抗性を獲得した薬剤耐性病原菌の蔓延が深刻化している。前記薬剤耐性病原菌としては、例えば、化膿性疾患、肺炎、食中毒等の起因菌として知られる黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureusaureus)がメシチリンなどの多くの薬剤に対して抵抗性を獲得したメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin−resistant aureus:MRSA)が挙げられ、このMRSAの蔓延は、臨床上問題になっている。以前はバンコマイシンがMRSAに特効を示したが、近年バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌の出現も報告されており、新しい抗菌剤の開発が強く望まれている(非特許文献1参照)。
一方、新しい抗菌剤が開発されたとしても、病原菌が前記新しい抗菌剤に対して更なる抵抗性を獲得して多剤耐性菌となる可能性があり、薬剤耐性の拡散が更に進行するという問題がある。病原菌が薬剤に対する抵抗性を獲得する機構のひとつとして、遺伝子の水平伝播が挙げられる。ここで、前記水平伝播とは、親から子へと遺伝子が伝えられる垂直伝播に対して、個体間や異種生物間へと遺伝子が伝えられることである。前記水平伝播には、プラスミド、トランスポゾン、バクテリオファージ等の可動性遺伝因子が関与していることが知られている。これらの中でも前記プラスミドは、薬剤耐性遺伝子を含むことが多く、また自己複製可能な染色体外因子であること、伝播能力が高いこと、種を越えた伝播が可能な広宿主域のものがあることなどから、薬剤耐性遺伝子を急速に拡散することが可能であるため、薬剤耐性の拡散に大きく寄与している可動性遺伝因子である。
例えば、2007年に発見された新型のβ−ラクタマーゼであるNDM−1(New Delhi metallo−beta−lactamase)は、わずか3年後の2010年には、既に南アジアやヨーロッパ各地に広く感染が確認されている(非特許文献2参照)。同じ2010年には、獨協医科大学において日本初のNDM−1生産大腸菌の分離が報告された(非特許文献3参照)。これらのNDM−1の生産能を有する細菌は、β−ラクタムのみならず多様な薬剤に対して抵抗性を示し、その薬剤耐性に関与する遺伝子は可動性のプラスミド上にコードされ、非常に効率的に細菌間で伝播することが知られている。
したがって、新しい抗菌剤の開発に加え、薬剤耐性病原菌に対する新しい対抗手段として、前記プラスミドの伝播を効率的に阻害し、薬剤耐性の拡散を防止できるプラスミド伝播阻害剤の開発も強く望まれているのが現状である。
Murray,B.E., New.Engl.J.Med., 2000, 342, 710−721 Kumarasamy,K.K. et al., Lancet Infect.Dis., 2010, 10, 597−602 Chihara,S et al., Clinical.Infect.Dis., 2011, 52, 153−154
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、薬剤耐性の拡散の原因である細菌間のプラスミド伝播に対する優れた阻害活性、若しくは薬剤耐性菌を含む幅広い細菌に対する優れた抗菌活性を有し、安定性の高い新規化合物、前記新規化合物及びその類縁体の製造方法、前記新規化合物及びその類縁体の生産菌である新規微生物、前記新規化合物及びその類縁体を利用したプラスミド伝播阻害剤、並びに、前記新規化合物を利用した化合物含有組成物及び抗菌剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(1)で表される化合物、下記構造式(2)で表される化合物、下記構造式(3)で表される化合物、及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とするプラスミド伝播阻害剤である。
<2> 下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程と、を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<3> 下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程と、を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<4> ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有することを特徴とする微生物である。
<5> 下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有し、受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株であることを特徴とする微生物である。
<6> 下記構造式(2)で表されることを特徴とする化合物である。
<7> 前記<6>に記載の化合物を含むことを特徴とする化合物含有組成物である。
<8> 前記<6>に記載の化合物を含むことを特徴とする抗菌剤である。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、薬剤耐性の拡散の原因である細菌間のプラスミド伝播に対する優れた阻害活性、若しくは薬剤耐性菌を含む幅広い細菌に対する優れた抗菌活性を有し、安定性の高い新規化合物、前記新規化合物及びその類縁体の製造方法、前記新規化合物及びその類縁体の生産菌である新規微生物、前記新規化合物及びその類縁体を利用したプラスミド伝播阻害剤、並びに、前記新規化合物を利用した化合物含有組成物及び抗菌剤を提供することができる。
図1は、構造式(1)で表される化合物のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(T,%)、横軸:波数(cm−1)。 図2は、構造式(1)で表される化合物の水溶液で測定した紫外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:吸光度(Abs)、横軸:波長(nm)。 図3は、構造式(1)で表される化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)−d6中で測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図4は、構造式(1)で表される化合物のDMSO−d6中で測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図5は、構造式(2)で表される化合物のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(T,%)、横軸:波数(cm−1)。 図6は、構造式(2)で表される化合物の水溶液で測定した紫外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:吸光度(Abs)、横軸:波長(nm)。 図7は、構造式(2)で表される化合物のDMSO−d6中で測定した、500MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図8は、構造式(2)で表される化合物のDMSO−d6中で測定した、125MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図9は、構造式(3)で表される化合物のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(T,%)、横軸:波数(cm−1)。 図10は、構造式(3)で表される化合物の水溶液で測定した紫外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:吸光度(Abs)、横軸:波長(nm)。 図11は、構造式(3)で表される化合物のDMSO−d6中で測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図12は、構造式(3)で表される化合物のDMSO−d6中で測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図13は、構造式(4)で表される化合物のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(T,%)、横軸:波数(cm−1)。 図14は、構造式(4)で表される化合物の水溶液で測定した紫外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:吸光度(Abs)、横軸:波長(nm)。 図15は、構造式(4)で表される化合物のDMSO−d6中で測定した、500MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図16は、構造式(4)で表される化合物のDMSO−d6中で測定した、125MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図17は、試験例1におけるプラスミド伝播の機構を模式的に表した図である。 図18Aは、構造式(1)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解した直後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。 図18Bは、構造式(2)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解した直後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。 図18Cは、構造式(3)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解した直後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。 図18Dは、構造式(4)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解した直後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。 図19Aは、構造式(1)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解して48時間後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。 図19Bは、構造式(2)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解して48時間後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。 図19Cは、構造式(3)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解して48時間後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。 図19Dは、構造式(4)で表される化合物を0.1Mトリス塩酸バッファー(pH8)に溶解して48時間後のHPLCのチャートである。横軸:時間(分間)。
(新規化合物)
本発明の化合物は、下記構造式(2)で表される化合物であり、本発明者らが分離した新規化合物である(以下、「メトキシハイグロマイシンオキシム」と称することがある)。
<物理化学的性質>
前記構造式(2)で表される化合物の物理化学的性質としては、次の通りである。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C233212
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 529.2028(M+H)
計算値 529.2033(C233312として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−110.1(c 0.52、HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りである。
νmax(KBr)cm−1 : 3348, 1643, 1607, 1511, 1441, 1369, 1270, 1133, 1055
図5に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(logε) :261(4.17), 214(sh)
図6に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(500MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 10.80(brs,1H), 7.22(brs), 7.12(brs,1H), 6.97(d,J=8.2,1H), 6.83(d,J=2.2,1H), 6.73(brd,J=8.9,1H), 5.51(d,J=4.7,1H), 4.43(dt,J=9.1,J=3.5,1H), 4.20(brt,J=8.5,1H), 4.12(d,J=8.2,1H), 3.99(dd,J=4.7,J=8.8,1H), 3.91(brs,2H), 3.76(brs,2H), 3.56(brs,1H), 3.36(s,3H), 2.02(d,J=1.3,3H), 1.58(s,3H)
図7に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(125MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 169.0(s), 153.8(s), 147.3(s), 144.1(s), 132.5(d), 130.6(s), 130.3(s), 120.2(d), 116.8(d), 115.0(d), 99.5(d), 83.6(d), 76.8(d), 74.3(d), 72.3(d), 72.3(d), 71.3(d), 71.3(d), 71.3(d), 56.5(q), 45.4(d), 14.5(q), 8.5(q)
図8に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
前記化合物が、前記構造式(2)で表される構造を有するか否かは、適宜選択した各種の分析方法により確認することができ、例えば、前記質量分析法、前記紫外分光法、前記赤外分光法、前記プロトン核磁気共鳴分光法、前記炭素13核磁気共鳴分光法等の分析方法などが挙げられる。なお、前記各分析方法による測定値には、多少の誤差が生じることがあるが、当業者であれば、前記化合物が前記構造式(2)で表される構造を有することは容易に同定することが可能である。
前記化合物は、前記構造式(2)で表される化合物の塩であってもよい。
前記塩としては、薬理学的に許容され得る塩であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸塩、クエン酸塩等の有機塩、塩酸塩、炭酸塩などが挙げられる。
前記構造式(2)で表される化合物は、その互変異性体であってもよい。
前記構造式(2)で表される化合物は、前記構造式(2)で表される化合物を生産する微生物から得られたものであってもよいし、化学合成により得られたものであってもよい。
<用途>
前記構造式(2)で表される化合物は、優れたプラスミド伝播阻害活性、及び優れた抗菌活性を有し、安定性及び安全性が高いため、例えば、後述する本発明の化合物含有組成物、本発明のプラスミド伝播阻害剤、本発明の抗菌剤等の有効成分として好適に利用可能である。
前記構造式(2)で表される化合物は、薬剤耐性の拡散の原因である細菌間のプラスミド伝播に対する優れた阻害活性のみならず、薬剤耐性菌を含む幅広い細菌に対する優れた抗菌活性も有するため、病原菌よる感染症の予防又は治療、若しくは病原菌に起因する疾患の予防又は治療において有用であり、かつ長期間使用しても細菌の耐性化の問題が生じない優れた化合物である。
(化合物の製造方法)
<構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法>
本発明の化合物の製造方法は、培養工程と、採取工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<<培養工程>>
前記培養工程は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、下記構造式(1)で表される化合物(以下、「ハイグロマイシンオキシム」と称することがある)及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する培養工程である。前記構造式(1)で表される化合物は、前記構造式(2)で表される新規化合物の類縁体である。
前記微生物としては、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明者らの分離したストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株(NITE P−01798、詳細は後述する本発明の微生物の項目に記す)が挙げられる。また、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産できるその他の菌株についても、常法によって、自然界より分離することが可能である。なお、前記ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株を含め、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの生産菌を、放射線照射やその他の変異処理に供することにより、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの生産能を高めることも可能である。更に、遺伝子工学的手法による前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの生産も可能である。
前記微生物が前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有することを分析する方法としては、例えば、該微生物の培養物、好ましくは、液体培養後の菌体内及び培養上清中又は固体培養後の菌体内及び固体培地中の成分の、プラスミド伝播阻害活性若しくは抗菌活性を分析する方法、各種分析法により前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを検出する方法などが挙げられる。
前記培養は、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する生産菌(以下、単に「化合物生産菌」と称することがある)を栄養培地(以下、単に「培地」と称することがある)中に接種し、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの生産に良好な温度で培養することによって行われる。
前記栄養培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来放線菌の培養に利用されている公知のものを使用することができ、液体培地であってもよく、固体(寒天)培地であってもよい。
前記栄養培地に添加する栄養源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販されている大豆粉、小麦胚芽、押し麦、ペプトン、綿実粕、酵母エキス、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等の窒素源;トマトペースト、グリセリン、デンプン、グルコース、ガラクトース、デキストリン、バクト(登録商標)ソイトン等の炭水化物、脂肪等の炭素源;などが挙げられる。
更に、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩を培地に添加して使用することもでき、その他、必要に応じて微量の金属塩を培地に添加して使用することもできる。
これらの材料は、前記化合物生産菌が利用し、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの生産に役立つものであればよく、公知の培養材料は全て用いることができる。
前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの生産のための種培養液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液体培地、平板培地、斜面培地、半斜面培地等の培地上で前記化合物生産菌を培養した生育物などを使用することができる。
前記培養の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、振とう培養、静置培養、タンク培養などが挙げられる。
前記培養の温度としては、前記化合物生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産し得る範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができるが、25℃〜35℃が好ましい。
前記培養のpHとしては、前記化合物生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産し得る範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができ、例えば、pH6.0〜7.5などが挙げられる。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの蓄積に合わせて適宜選択することができる。
<<採取工程>>
前記採取工程は、前記培養工程で得られた培養物から前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する工程である。
前記構造式(2)で表される化合物は、上述した物理化学的性質を有し、前記構造式(1)で表される化合物は、下記物理化学的性質を有するので、その性質に従って培養物から採取することができる。
−物理化学的性質−
前記構造式(1)で表される化合物の物理化学的性質としては、次の通りである。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C233012
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 527.1867(M+H)
計算値 527.1877(C233112として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−139.5(c 0.50、HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りである。
νmax(KBr)cm−1 : 3386, 1647, 1613, 1511, 1434, 1372, 1133, 1058, 1001
図1に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(logε) :270(4.18), 216(sh)
図2に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(600MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 10.84(s,1H), 7.22(d,J=9.6,1H), 7.11(brs,1H), 7.00(d,J=8.4,1H), 6.85(d,J=1.9,1H), 6.78(dd,J=1.9,J=8.4,1H), 5.54(d,J=4.5,1H), 5.12(s,1H), 5.09(brs,1H), 5.03(d,J=5.9,1H), 4.99(brd,J=5.2,1H), 4.68(s,1H), 4.30(ddd,J=5.2,J=9.6,J=15.2,1H), 4.21(brt,J=8.4,1H), 4.13(d,J=7.9,1H), 4.08(dd,J=6.3,J=10.5,1H), 4.02(dd,J=5.7,J=10.5,1H), 3.97−4.01(m,2H), 3.69(brt,J=8.1,1H), 3.56(brt,J=3.1,1H), 2.02(d,J=1.4,3H), 1.57(s,3H)
図3に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(150MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 168.9(s), 153.7(s), 146.5(s), 143.8(s), 132.2(d), 130.9(s), 130.2(s), 120.7(d), 116.5(d), 114.8(d), 99.2(d), 94.0(t), 83.6(d), 77.0(d), 76.8(d), 76.5(d), 74.2(d), 69.9(d), 69.4(d), 69.4(d), 49.1(d), 14.4(q), 8.5(q)
図4に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
前記培養物としては、前記培養工程で得られ、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、菌体、液体培養後の培養上清、固体培養後の固体培地、及びこれらの混合物などが挙げられる。
なお、前記培養物として、前記菌体を用いる場合は、適当な有機溶媒を用いた抽出方法や、菌体破砕による溶出方法などにより、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを菌体から抽出し、これを分離及び/又は精製に供してもよい。
前記採取の方法としては、特に制限はなく、微生物の生産する代謝物を採取するのに用いられる方法を適宜選択することができる。例えば、溶媒抽出法、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用する方法、クロマトグラフ法などが挙げられる。これらの方法を単独又は適宜組み合せて、場合によっては反復使用することにより、分離及び/又は精製された前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを採取することができる。
前記溶媒抽出法に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ブタノール、アセトニトリル、水、又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。
前記吸着剤としては、特に制限はなく、公知の吸着剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン系吸着樹脂などが挙げられる。
前記吸着剤の市販品の具体例としては、アンバーライト(登録商標)XAD(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオン(登録商標)CHP−20P(三菱化学株式会社製)等のポリスチレン系吸着樹脂などが挙げられる。
前記クロマトグラフ法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薄層クロマトグラフ法、順相あるいは逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグラフ(分取用HPLC)法などが挙げられる。
前記クロマトグラフ法に用いる担体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換樹脂、ゲル濾過、シリカゲル、アルミナ、活性炭などが挙げられる。
前記クロマトグラフ法に用いる担体の市販品の具体例としては、アンバーライト(登録商標)CG50(シグマアルドリッチ株式会社製)等のイオン交換樹脂;トヨパール(登録商標)HW−40F(東ソー株式会社製)、セファデックス(登録商標)LH−20(GEヘルスケア社製)、セファデックス(登録商標)G−10等のゲル濾過;CAPCELL PAK MG(株式会社資生堂製)等のシリカゲル;などが挙げられる。
前記吸着剤や前記クロマトグラフ法における担体から前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを溶出させる方法としては、特に制限はなく、該吸着剤や該担体の種類や性質等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリスチレン系吸着樹脂の場合には、溶出溶媒として、含水アルコール、含水アセトン等を用いて溶出する方法などが挙げられる。
<<その他の工程>>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以上のようにして前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを製造することができる。
<構造式(3)で表される化合物及び構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法>
本発明の化合物の製造方法は、培養工程と、採取工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<<培養工程>>
前記培養工程は、受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株を培養する工程である。前記ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株は、下記構造式(3)で表される化合物(以下、「ハイグロマイシンA」と称することがある)及び下記構造式(4)で表される化合物(以下、「メトキシハイグロマイシン」と称することがある)の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物である。前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物は、前記構造式(2)で表される新規化合物の類縁体である。
前記ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株は、放射線照射やその他の変異処理に供することにより、前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの生産能を高めることも可能である。更に、遺伝子工学的手法による前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの生産も可能である。
前記微生物が前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有することを分析する方法としては、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法の培養工程で記載した方法と同様の方法が挙げられる。
前記培養は、前記ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株を栄養培地中に接種し、前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの生産に良好な温度で培養することによって行われる。
前記栄養培地、前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの生産のための種培養液としては、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法の培養工程で記載したものと同様のものが挙げられる。
また、前記培養の方法としては、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法の培養工程で記載した方法と同様の方法が挙げられ、前記培養の温度、前記培養のpH、及び前記培養の期間も、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法の培養工程で記載した条件と同様の条件が挙げられる。
<<採取工程>>
前記採取工程は、前記培養工程で得られた培養物から前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する工程である。
前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物は、下記物理化学的性質を有するので、その性質に従って培養物から採取することができる。
−物理化学的性質−
前記構造式(3)で表される化合物の物理化学的性質としては、次の通りである。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C2329NO12
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 512.1760(M+H)
計算値 512.1768(C2330NO12として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−135.8(c 0.51,HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りである。
νmax(KBr)cm−1 : 3400, 1712, 1650, 1609, 1509, 1435, 1359, 1276, 1066
図9に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(logε) :260(4.18), 214(sh)
図10に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(600MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 7.24(d,J=8.9,1H), 7.13(brs,1H), 7.12(d,J=8.6,1H), 6.85(d,J=1.7,1H), 6.80(dd,J=1.7,J=8.6,1H), 5.61(d,J=4.1,1H), 5.12(s,1H), 4.69(s,1H), 4.30(ddd,J=3.1,J=6.2,J=8.9,1H),4.18(brt,J=6.0,1H), 4.16(d,J=5.9,1H), 4.08(dd,J=3.8,J=6.5,1H), 4.02(dd,J=3.3,J=6.5,1H),4.00(dd,J=4.1,J=6.2,1H),3.99(m,1H), 3.70(brt,J=6.9,1H), 3.57(brt,J=3.4,1H), 2.03(s,3H), 2.02(d,J=1.4,3H)
図11に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(150MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 207.6(s), 168.9(s), 147.3(s), 144.2(s), 132.2(d), 131.0(s), 130.7(s), 120.4(d), 116.8(d), 115.8(d), 101.5(d), 94.0(t), 87.2(d), 77.0(d), 77.0(d), 76.5(d), 76.0(d), 69.9(d), 69.4(d), 69.4(d), 49.1(d), 25.8(q), 14.4(q)
図12に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
前記構造式(4)で表される化合物の物理化学的性質としては、次の通りである。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C2331NO12
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 514.1918(M+H)
計算値 514.1925(C2332NO12として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−138.3(c 0.52,HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りである。
νmax(KBr)cm−1 : 3420, 1717, 1646, 1616, 1509, 1435, 1362, 1271, 1059
図13に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(logε) :265(4.18), 215(sh)
図14に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示す。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(500MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 7.18(brd,J=8.5,1H), 7.14(brs,1H), 7.14(d,J=8.2,1H), 6.88(d,J=1.9,1H), 6.84(dd,J=1.9,J=8.2,1H), 5.62(d,J=4.1,1H), 4.30(dt,J=9.1,J=3.5,1H),4.20(brt,J=5.7,1H), 4.18(d,J=5.7,1H), 4.02(dd,J=4.1,J=6.0,1H), 3.93(brs,2H),3.78(brs,2H),3.57(brs,1H), 3.37(s,3H), 2.04(overlapping,3H), 2.03(s,3H)
図15に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(125MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 207.3(s), 169.0(s), 146.7(s), 144.0(s), 132.2(d), 131.0(s), 130.7(s), 120.8(d), 116.6(d), 115.8(d), 101.5(d), 87.1(d), 77.0(d), 76.0(d), 72.1(d,2C), 71.3(d,2C), 71.3(d), 56.5(q), 46.3(d), 25.7(q), 14.4(q)
図16に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
前記培養物としては、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法の採取工程で記載したものと同様のものが挙げられる。
前記採取の方法としては、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法の採取工程で記載したものと同様の方法が挙げられる。
<<その他の工程>>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以上のようにして前記構造式(3)で表される化合物及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを製造することができる。
(微生物)
<構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物>
本発明の微生物は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、上述した本発明の構造式(2)で表される化合物、即ちメトキシハイグロマイシンオキシム、及び前記構造式(1)で表される化合物、即ちハイグロマイシンオキシムの少なくともいずれかを生産する能力を有する。前記微生物は、メトキシハイグロマイシンオキシム及びハイグロマイシンオキシムの少なくともいずれかを生産する能力を有し、そのために、上述した本発明の構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法において、メトキシハイグロマイシンオキシム及びハイグロマイシンオキシムの少なくともいずれかの生産菌として使用され得る微生物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
このような微生物の中でも、特に、昭和63年、公益財団法人 微生物化学研究会 微生物化学研究所において、神奈川県逗子市の土壌より分離された放線菌で、MI696−AF8株の菌株番号が付された微生物を使用することが好ましい。前記MI696−AF8株の菌学的性状は、以下の通りである。
1.形態
MI696−AF8株は、分枝した基生菌糸より、直状若しくは曲状の気菌糸を伸長する。成熟した胞子鎖は20個〜60個若しくはそれ以上の柱筒状の胞子を連鎖する。胞子の大きさは約0.5μm〜0.6μm×0.7μm〜1.0μmで、胞子の表面は平滑である。輪生枝、菌糸束、胞子嚢、及び運動性胞子は認められない。
2.各種培地における生育状態
色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモニー・マニュアル(Container Corporation OF America の color harmony manual)を用いた。
(a)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、30℃培養)
うす黄[3 ca, Pearl Pink]〜黄茶[3 le, Cinnamon]の発育上に、白[Gray scale, b, Oyster White]の気菌糸を着生する。可溶性色素は茶色味を帯びる。
(b)オートミール寒天培地(ISP−培地3、30℃培養)
うす黄茶[3 pg, Golden Brown]〜黄茶[4 ni, Spice Brown]の発育上に、灰白[Near gray series, 3 cb, Sand]の気菌糸を着生する。可溶性色素は茶色味を帯びる。
(c)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、30℃培養)
黄茶[4 ni, Spice Brown]の発育上に、白[Gray scale, b, Oyster White]〜明るい茶灰[Near gray series, 3 bc, Natural]の気菌糸を着生する。可溶性色素は茶色味を帯びる。
(d)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5、30℃培養)
黄茶[3 lg, Adobe Brown]の発育上に、白[Gray scale, b, Oyster White]の気菌糸を着生する。可溶性色素は茶色味を帯びる。
(e)チロシン寒天培地(ISP−培地7、30℃培養)
灰味黄茶[4 lg, Lt Spice Brown]の発育上に、白[Gray scale, b, Oyster White]の気菌糸を着生する。可溶性色素は赤味から茶色味を帯びる。
(f)シュクロース・硝酸塩寒天培地(30℃培養)
うす黄茶[2 ic, Honey Gold]の発育上に、白[Near gray series, 13 ba, Alabaster Tint]の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
3.生理的性質
(a)生育温度範囲
グルコース・アスパラギン寒天培地(1質量%グルコース、0.05質量%L−アスパラギン1水和物、0.05質量%リン酸水素2カリウム、2.6質量%ひも寒天、pH7.0)を用い、10℃、20℃、27℃、30℃、37℃、42℃、又は50℃の各温度で試験した結果、10℃及び42℃での生育は認められず、20℃〜37℃の範囲で生育した。生育至適温度は27℃付近である。
(b)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地、ISP−培地4、30℃培養)
培養7日目頃よりスターチの加水分解を認め、その作用は中程度である。
4.菌体成分
細胞壁中の2,6−ジアミノピメリン酸はLL−型である。
5.16S rRNA遺伝子解析
16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(1,399bp)を決定し、DNAデータベースに登録された公知菌株のデータと比較した。
その結果、MI696−AF8株の塩基配列は以下に示すように、ストレプトミセス(Streptomyces)属放線菌の16S rRNA遺伝子と高い相同性を示した。即ち、Streptomyces flavofungi(99.0%)、fluvissimus(98.7%)、aureovericillatus(98.6%)などである。なお、括弧内は塩基配列の相同値を表記した。
以上の性状を要約すると、MI696−AF8株は、その形態上、分枝した基生菌糸より、直状及び曲状の気菌糸を伸長する。その先端は柱筒状の胞子を連鎖する。種々の培地で、うす黄〜茶黄の発育上に白〜灰白の気菌糸を着生する。可溶性色素は茶色味を帯びる。生育至適温度は27℃付近である。スターチの加水分解は中程度である。細胞壁に含まれる2,6−ジアミノピメリン酸はLL−型である。
MI696−AF8株の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列を解析し、公知菌株のデータと比較したところ、ストレプトミセス属放線菌と高い相同性を示した。
以上の結果より、MI696−AF8株は、ストレプトミセス(Streptomyces)属に属するものと考えられる。そこで、MI696−AF8株をストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株とした。
なお、前記MI696−AF8株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託申請し、2014年3月31日にNITE P−01798として寄託されている。
なお、他の菌にも見られるように、前記MI696−AF8株は、性状が変化し易いが、例えば、前記MI696−AF8株に由来する突然変異株(例えば、自然変異株や、紫外線、エックス線、放射線、薬品等の変異処理により取得できる人工変異株)、形質接合体、遺伝子組換体などであっても、前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有するものは、本発明の微生物に含まれる。
<構造式(3)で表される化合物及び構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物>
本発明の微生物は、前記構造式(3)で表される化合物、即ちハイグロマイシンA、及び前記構造式(4)で表される化合物、即ちメトキシハイグロマイシンの少なくともいずれかを生産する能力を有し、受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株である。
前記ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株の菌学的性状は、前記構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物に記載したとおりである。
(化合物含有組成物)
本発明の化合物含有組成物は、本発明の前記構造式(2)で表される化合物を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
前記化合物含有組成物における前記構造式(2)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記化合物含有組成物は、前記構造式(2)で表される化合物そのものであってもよい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、薬理学的に許容され得る担体の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。また、前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、前記構造式(4)で表される化合物などを含有していてもよい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記添加剤又は前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、殺菌剤、保存剤、粘結剤、増粘剤、固着剤、結合剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、防腐剤などが挙げられる。
前記殺菌剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記保存剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、クレゾールなどが挙げられる。
前記粘結剤、増粘剤、又は固着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デンプン、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。
前記pH調整剤又は前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記等張化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。
前記化合物含有組成物における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、前記構造式(2)で表される化合物の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
−用途−
前記化合物含有組成物は、前記構造式(2)で表される化合物を含むため、優れたプラスミド伝播阻害活性及び優れた抗菌活性を有し、安定性及び安全性が高く、例えば、後述するプラスミド伝播阻害剤、抗菌剤などに好適に利用可能である。また、前記化合物含有組成物は、医薬品及び医薬部外品を含む医薬組成物;化粧品;一般食品、健康食品、機能性食品、病者用食品、及び特定保健用食品を含む食品;などにも好適に利用可能である。
前記化合物含有組成物は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬組成物、化粧品、又は食品と併せて使用されてもよい。また、前記化合物含有組成物は、他の成分を有効成分とする医薬組成物中、化粧品中、又は食品中に、配合された状態で使用されてもよい。
(プラスミド伝播阻害剤)
本発明のプラスミド伝播阻害剤は、前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(2)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(2)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、及び前記構造式(4)で表される化合物は、本発明の前記化合物の製造方法により容易に製造できる。また、前記構造式(1)で表される化合物は、特表2002−513796号公報、特表2003−512473号公報などに記載された方法により合成することもできる。前記構造式(1)で表される化合物及び前記構造式(2)で表される化合物は、Yoshida,M. et al., Agric.Biol.Chem., 1986, Vol.50, p.143−149に記載された方法により合成することもできる。
前記プラスミド伝播阻害剤における前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(2)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記プラスミド伝播阻害剤は、前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(2)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかそのものであってもよい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記化合物含有組成物で記載したその他の成分と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記プラスミド伝播阻害剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(2)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
−プラスミド伝播阻害活性−
細菌は、可動性のプラスミドによる水平伝播によって個体間や異種生物間へ遺伝子を伝えることができる。この水平伝播は、一般に細菌同士の接合を介して行われる。例えば、ある薬剤Aに対する耐性遺伝子を有するプラスミドを有する個体R(供与菌又は宿主)と、前記薬剤Aに対して感受性の個体、即ち前記薬剤Aに対する耐性遺伝子を有するプラスミドを有さない個体S(受容菌)とが接合すると、前記個体Rから前記個体Sに、前記薬剤Aに対する耐性遺伝子を有するプラスミドが伝播され、前記個体Sは、前記薬剤Aに対する耐性を獲得した接合体となる。
したがって、前記プラスミド伝播阻害剤は、細菌同士のプラスミドの水平伝播を阻害することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、細菌の接合後にプラスミドの水平伝播を阻害するものであってもよく、細菌間の接合自体を阻害するものであってもよい。これにより、前記プラスミド伝播阻害剤は、薬剤耐性菌の発生を抑制することができる。
前記プラスミド伝播阻害剤の対象となる細菌のプラスミドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドであることが好ましい。
前記プラスミド伝播阻害剤の対象となる細菌の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌などが挙げられる。
前記グラム陽性細菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、乳酸球菌(Enterococcus faecalis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、セレウス菌(Bacillus cereus)などが挙げられる。
前記グラム陰性細菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤痢菌(Shigella dysenteriae)、サルモネラ菌(Salmonella enteritidis)、クレブシエラ菌(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia coli)などが挙げられる。
前記供与菌と前記受容菌とは、同じ種の細菌であってもよく、異なる種の細菌であってもよい。
前記細菌は、病原性を有するものであってもよく、病原性を有さないものであってもよい。また、前記細菌は、MRSA等の既に薬剤耐性を獲得した細菌であってもよい。
前記プラスミド伝播阻害剤のプラスミド伝播阻害活性を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ある薬剤Bに対する耐性を有し、かつある薬剤Cに対して感受性である供与菌と、前記薬剤Cに対する耐性を有し、かつ前記薬剤Bに対して感受性である受容菌とを、前記プラスミド伝播阻害剤の存在下又は非存在下で共培養した後、前記共培養した菌を、前記薬剤B及び前記薬剤Cの両剤を含む培地で培養し、前記両剤を含む培地を用いて前記プラスミド伝播阻害剤の存在下で共培養した菌の量と、前記両剤を含む培地を用いて前記プラスミド伝播阻害剤の非存在下で共培養した菌の量と、を比較して接合体の発生割合を求める方法などが挙げられる。
前記薬剤B及び前記薬剤Cの種類としては、特に制限はなく、細菌の種類や細菌が保有するプラスミドが有する耐性遺伝子の種類などに応じて適宜選択することができる。
−用途−
前記プラスミド伝播阻害剤は、前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(2)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを含むため、優れたプラスミド伝播阻害活性を有し、安全性が高く、例えば、医薬品及び医薬部外品を含む医薬組成物;化粧品;一般食品、健康食品、機能性食品、病者用食品、及び特定保健用食品を含む食品;などに好適に利用可能である。
前記プラスミド伝播阻害剤は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬組成物、化粧品、又は食品と併せて使用されてもよい。また、前記プラスミド伝播阻害剤は、他の成分を有効成分とする医薬組成物中、化粧品中、又は食品中に、配合された状態で使用されてもよい。
前記プラスミド伝播阻害剤は、前記構造式(1)で表される化合物、前記構造式(2)で表される化合物、前記構造式(3)で表される化合物、及び前記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを含むので、個体に投与することにより、細菌に感染した個体内において細菌間のプラスミドの水平伝播を阻害することができ、これにより細菌が薬剤に対する新たな抵抗性を獲得することを防止することができる。なお、本明細書において、細菌が薬剤に対する新たな抵抗性を獲得することには、薬剤耐性菌が新たな薬剤に対する更なる抵抗性を獲得することを含む。したがって、前記プラスミド伝播阻害剤は、臨床上問題になっている病原菌の多剤耐性化を含む薬剤耐性化の拡散を効率的に防止することができる。
また、前記プラスミド伝播阻害剤は、薬剤耐性菌が発生しやすい場所に液剤として散布することや、固形剤又は半固形剤として平面や壁面等に静置することにより、前記薬剤耐性菌が発生しやすい場所において細菌間のプラスミドの水平伝播を阻害することができ、これにより細菌が薬剤に対する新たな抵抗性を獲得することを防止することができる。したがって、本発明は、前記プラスミド伝播阻害剤を用いることを特徴とする、薬剤耐性菌の発生の抑制方法にも関する。
前記薬剤耐性菌が発生しやすい場所としては、細菌が存在する場所であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医療現場、農畜産現場、住宅現場、学校現場などが挙げられる。
前記医療現場としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、病室、トイレ、洗面所等の壁や床;カテーテル、チューブ、聴診器、ガーゼ、絆創膏、シーツ、毛布、布団、各種装置等の医療用具;医療器具の洗浄機又は洗浄用流し;白衣、帽子、手袋、マスク等の医療従事者(医師、看護師等)の衣類;オムツ、マスク、パジャマ等の患者の衣類;などが挙げられる。
前記農畜産現場としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圃場、農場、厩舎、これらの各種設備などが挙げられる。
前記住宅現場又は前記学校現場としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室内、トイレ、洗面所等の壁や床;家具等の各種設備;などが挙げられる。
(抗菌剤)
本発明の化合物含有組成物は、本発明の前記構造式(2)で表される化合物を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
前記抗菌剤における前記構造式(2)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記抗菌剤は、前記構造式(2)で表される化合物そのものであってもよい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記化合物含有組成物で記載したその他の成分と同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記抗菌剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、前記構造式(2)で表される化合物の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
−抗菌活性−
前記抗菌剤の対象となる細菌の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌などが挙げられる。これらの細菌の具体例としては、前記プラスミド伝播阻害剤の対象となる細菌の種類と同様のものが挙げられる。
前記細菌は、病原性を有するものであってもよく、病原性を有さないものであってもよい。また、前記細菌は、MRSA等の既に薬剤耐性を獲得した細菌であってもよい。
前記抗菌剤の抗菌活性を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、最小発育阻止濃度(MIC)を測定する方法などが挙げられる。前記MICは、日本化学療法学会標準法に基づく倍数希釈法で測定することができる。
−用途−
前記抗菌剤は、前記構造式(2)で表される化合物を含むため、優れた抗菌活性を有し、安定性及び安全性が高く、例えば、医薬品及び医薬部外品を含む医薬組成物;化粧品;一般食品、健康食品、機能性食品、病者用食品、及び特定保健用食品を含む食品;などに好適に利用可能である。
前記抗菌剤は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬組成物、化粧品、又は食品と併せて使用されてもよい。また、前記抗菌剤は、他の成分を有効成分とする医薬組成物中、化粧品中、又は食品中に、配合された状態で使用されてもよい。
前記抗菌剤は、前記構造式(2)で表される化合物を含むので、個体に投与することにより、個体が薬剤耐性菌を含む幅広い病原菌に感染することを予防、又は前記病原菌に感染した個体を治療することができる。したがって、本発明は、個体に、前記抗菌剤を投与することを特徴とする、薬剤耐性菌を含む幅広い病原菌よる感染症の予防又は治療方法にも関する。
また、前記抗菌剤を個体に投与することにより、薬剤耐性菌を含む幅広い病原菌に起因する疾患の発生の予防、又は前記病原菌に起因する疾患を患う個体を治療することができる。したがって、本発明は、個体に、前記抗菌剤を投与することを特徴とする、薬剤耐性菌を含む幅広い病原菌に起因する疾患の予防又は治療方法にも関する。
また、前記抗菌剤は、細菌が増殖しやすい場所や衛生状態を確保したい場所に液剤として散布することや、固形剤又は半固形剤として平面や壁面等に静置することにより、前記細菌が増殖しやすい場所や衛生状態を確保したい場所における細菌の増殖を抑制することができる。したがって、本発明は、前記抗菌剤を用いることを特徴とする、細菌の増殖抑制方法にも関する。
前記細菌が増殖しやすい場所や衛生状態を確保したい場所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医療現場、農畜産現場、住宅現場、学校現場などが挙げられる。前記医療現場、前記農畜産現場、前記住宅現場、及び前記学校現場としては、前記プラスミド伝播阻害剤に記載した各現場と同様のものが挙げられる。
<剤型>
前記化合物含有組成物、前記プラスミド伝播阻害剤、及び前記抗菌剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などが挙げられる。これらの剤型の前記化合物含有組成物、前記プラスミド伝播阻害剤、及び前記抗菌剤は、常法に従い製造することができる。
−固形剤−
前記固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤などが挙げられる。
前記固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、坐剤、パップ剤、プラスター剤などが挙げられる。
−半固形剤−
前記半固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記半固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤、インヘラー剤、ナザールジェル剤などが挙げられる。
−液剤−
前記液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤などが挙げられる。
前記液剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤などが挙げられる。
<投与>
前記化合物含有組成物、前記プラスミド伝播阻害剤、及び前記抗菌剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、例えば、局所投与法、経腸投与法、非経口投与法などが挙げられる。
前記投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与時期としては、特に制限はなく、前記投与対象個体が細菌に感染する前であってもよく、細菌に感染した後であってもよい。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いることができる。
以下に本発明の製造例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例及び試験例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<構造式(1)で表される化合物、構造式(2)で表される化合物、構造式(3)で表される化合物、及び構造式(4)で表される化合物の製造>
−種培養液の調製−
種培地として、2質量%ガラクトース、2質量%デキストリン、1質量%グリセリン、1質量%バクト(登録商標)ソイトン(BD Biosciences社製)、0.5質量%コーン・スティープ・リカー、0.2質量%硫酸アンモニウム、及び0.2質量%炭酸カルシウムを含む液体培地(pH7.0)を使用した。前記種培地は、500mL容の三角フラスコに110mLずつ分注して、常法により120℃で20分間滅菌した。
寒天斜面培地に培養したストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株を1白金耳かきとり、滅菌した前記種培地に接種し、30℃で2日間振とう培養し、種母培養液を得た。
−培養工程−
生産培地として、15g押し麦(ムソー社製)及び25g水を含む40g/フラスコの固体培地(pH7.0)を使用した。前記生産培地は、500mL容の三角フラスコ15本に分注して、常法により120℃で20分間滅菌した。
前記生産培地に、前記種母培養液を7mL/フラスコを接種し、30℃の暗所で14日間、静置培養した。
−採取工程−
−−構造式(1)で表される化合物、構造式(2)で表される化合物、及び構造式(3)で表される化合物の精製−−
前記ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株の培養物600g(フラスコ15本分)に、70体積%エタノール水溶液を1.1L加え、室温で24時間抽出した。次いで、遠心分離して沈殿を除き、エタノール抽出液を得た。
前記エタノール抽出液をダイヤイオン(登録商標)CHP−20P(650mL、三菱化学株式会社製)カラムに通過させた後、50体積%メタノール水溶液で溶出し、この溶出物を濃縮乾固し、抽出物を得た。
次いで、前記抽出物を少量の水に溶解させ、セファデックス(登録商標)LH−20(850mL、GEヘルスケアジャパン株式会社製)カラムに通過させた後、50体積%メタノール水溶液で溶出し、この溶出物を濃縮乾固して、粗精製物を得た。
次いで、前記粗精製物を少量の水に溶解させた後、HPLCクロマトグラフィー(CAPCELL PAK MG,内径30mm×長さ250mm、株式会社資生堂製)により、11体積%アセトニトリル水溶液を展開溶媒として、流速15mL/分間で分離した。この溶出物を濃縮乾固し、14mgのハイグロマイシンオキシム、20mgのメトキシハイグロマイシンオキシム、及び12mgのハイグロマイシンAを得た。
−−構造式(4)で表される化合物の精製−−
前記ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株の培養物600g(フラスコ15本分)に、70体積%エタノール水溶液を1.1L加え、室温で24時間抽出した。次いで、遠心分離して沈殿を除き、エタノール抽出液を得た。
前記エタノール抽出液をダイヤイオン(登録商標)CHP−20P(650mL、三菱化学株式会社製)カラムに通過させた後、30体積%〜40体積%メタノール水溶液で段階的に溶出し、この溶出物を濃縮乾固し、抽出物を得た。
次いで、前記抽出物を少量の水に溶解させ、セファデックス(登録商標)G−10(850mL、GEヘルスケアジャパン株式会社製)カラムに通過させた後、水で溶出し、この溶出物を濃縮乾固して、粗精製物を得た。
次いで、前記粗精製物を少量の水に溶解させた後、HPLCクロマトグラフィー(CAPCELL PAK MG,内径30mm×長さ250mm、株式会社資生堂製)により、11体積%アセトニトリル水溶液を展開溶媒として、流速15mL/分間で分離した。この溶出物を濃縮乾固し、20mgのメトキシハイグロマイシンを得た。
−構造式(1)で表される化合物(ハイグロマイシンオキシム)の物理化学的性質−
得られたハイグロマイシンオキシムの物理化学的性質は、以下のとおりであった。以下の物理化学的性質を参考にし、前記ハイグロマイシンオキシムが、下記構造式(1)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C233012
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 527.1867(M+H)
計算値 527.1877(C233112として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−139.5(c 0.50、HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りであった。
νmax(KBr)cm−1 : 3386, 1647, 1613, 1511, 1434, 1372, 1133, 1058, 1001
図1に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りであった。
λmax nm(logε) :270(4.18), 216(sh)
図2に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(600MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 10.84(s,1H), 7.22(d,J=9.6,1H), 7.11(brs,1H), 7.00(d,J=8.4,1H), 6.85(d,J=1.9,1H), 6.78(dd,J=1.9,J=8.4,1H), 5.54(d,J=4.5,1H), 5.12(s,1H), 5.09(brs,1H), 5.03(d,J=5.9,1H), 4.99(brd,J=5.2,1H), 4.68(s,1H), 4.30(ddd,J=5.2,J=9.6,J=15.2,1H), 4.21(brt,J=8.4,1H), 4.13(d,J=7.9,1H), 4.08(dd,J=6.3,J=10.5,1H), 4.02(dd,J=5.7,J=10.5,1H), 3.97−4.01(m,2H), 3.69(brt,J=8.1,1H), 3.56(brt,J=3.1,1H), 2.02(d,J=1.4,3H), 1.57(s,3H)
図3に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(150MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 168.9(s), 153.7(s), 146.5(s), 143.8(s), 132.2(d), 130.9(s), 130.2(s), 120.7(d), 116.5(d), 114.8(d), 99.2(d), 94.0(t), 83.6(d), 77.0(d), 76.8(d), 76.5(d), 74.2(d), 69.9(d), 69.4(d), 69.4(d), 49.1(d), 14.4(q), 8.5(q)
図4に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
−構造式(2)で表される化合物(メトキシハイグロマイシンオキシム)の物理化学的性質−
得られたメトキシハイグロマイシンオキシムの物理化学的性質は、以下のとおりであった。以下の物理化学的性質を参考にし、前記メトキシハイグロマイシンオキシムが、下記構造式(2)で表される構造を有する新規化合物であることが確認された。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C233212
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 529.2028(M+H)
計算値 529.2033(C233312として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−110.1(c 0.52、HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りであった。
νmax(KBr)cm−1 : 3348, 1643, 1607, 1511, 1441, 1369, 1270, 1133, 1055
図5に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りであった。
λmax nm(logε) :261(4.17), 214(sh)
図6に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(500MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 10.80(brs,1H), 7.22(brs), 7.12(brs,1H), 6.97(d,J=8.2,1H), 6.83(d,J=2.2,1H), 6.73(brd,J=8.9,1H), 5.51(d,J=4.7,1H), 4.43(dt,J=9.1,J=3.5,1H), 4.20(brt,J=8.5,1H), 4.12(d,J=8.2,1H), 3.99(dd,J=4.7,J=8.8,1H), 3.91(brs,2H), 3.76(brs,2H), 3.56(brs,1H), 3.36(s,3H), 2.02(d,J=1.3,3H), 1.58(s,3H)
図7に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(125MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 169.0(s), 153.8(s), 147.3(s), 144.1(s), 132.5(d), 130.6(s), 130.3(s), 120.2(d), 116.8(d), 115.0(d), 99.5(d), 83.6(d), 76.8(d), 74.3(d), 72.3(d), 72.3(d), 71.3(d), 71.3(d), 71.3(d), 56.5(q), 45.4(d), 14.5(q), 8.5(q)
図8に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
−構造式(3)で表される化合物(ハイグロマイシンA)の物理化学的性質−
得られたハイグロマイシンAの物理化学的性質は、以下のとおりであった。以下の物理化学的性質を参考にし、前記ハイグロマイシンAが、下記構造式(3)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C2329NO12
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 512.1760(M+H)
計算値 512.1768(C2330NO12として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−135.8(c 0.51,HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りであった。
νmax(KBr)cm−1 : 3400, 1712, 1650, 1609, 1509, 1435, 1359, 1276, 1066
図9に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りであった。
λmax nm(logε) :260(4.18), 214(sh)
図10に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(600MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 7.24(d,J=8.9,1H), 7.13(brs,1H), 7.12(d,J=8.6,1H), 6.85(d,J=1.7,1H), 6.80(dd,J=1.7,J=8.6,1H), 5.61(d,J=4.1,1H), 5.12(s,1H), 4.69(s,1H), 4.30(ddd,J=3.1,J=6.2,J=8.9,1H),4.18(brt,J=6.0,1H), 4.16(d,J=5.9,1H), 4.08(dd,J=3.8,J=6.5,1H), 4.02(dd,J=3.3,J=6.5,1H),4.00(dd,J=4.1,J=6.2,1H),3.99(m,1H), 3.70(brt,J=6.9,1H), 3.57(brt,J=3.4,1H), 2.03(s,3H), 2.02(d,J=1.4,3H)
図11に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(150MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 207.6(s), 168.9(s), 147.3(s), 144.2(s), 132.2(d), 131.0(s), 130.7(s), 120.4(d), 116.8(d), 115.8(d), 101.5(d), 94.0(t), 87.2(d), 77.0(d), 77.0(d), 76.5(d), 76.0(d), 69.9(d), 69.4(d), 69.4(d), 49.1(d), 25.8(q), 14.4(q)
図12に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
−構造式(4)で表される化合物(メトキシハイグロマイシン)の物理化学的性質−
得られたメトキシハイグロマイシンの物理化学的性質は、以下のとおりであった。以下の物理化学的性質を参考にし、前記メトキシハイグロマイシンが、下記構造式(4)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 :白色粉状
(2) 分子式 : C2331NO12
(3) 高分解能質量分析(HRESI−MS:正イオンモード)(m/z) :
実験値 514.1918(M+H)
計算値 514.1925(C2332NO12として)
(4) 比旋光度[α] 27 :−138.3(c 0.52,HO)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
KBr錠剤法で測定した赤外線吸収のピークは、以下の通りであった。
νmax(KBr)cm−1 : 3420, 1717, 1646, 1616, 1509, 1435, 1362, 1271, 1059
図13に、赤外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(6) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液で測定した紫外線吸収のピークは、以下の通りであった。
λmax nm(logε) :265(4.18), 215(sh)
図14に、紫外線吸収スペクトルのチャートを示した。
(7) プロトン核磁気共鳴スペクトル(500MHz, DMSO−d6, 25℃) :
δ(ppm)= 7.18(brd,J=8.5,1H), 7.14(brs,1H), 7.14(d,J=8.2,1H), 6.88(d,J=1.9,1H), 6.84(dd,J=1.9,J=8.2,1H), 5.62(d,J=4.1,1H), 4.30(dt,J=9.1,J=3.5,1H),4.20(brt,J=5.7,1H), 4.18(d,J=5.7,1H), 4.02(dd,J=4.1,J=6.0,1H), 3.93(brs,2H),3.78(brs,2H),3.57(brs,1H), 3.37(s,3H), 2.04(overlapping,3H), 2.03(s,3H)
図15に、プロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の五重線のシグナルを2.49ppmとした。
(8) 炭素13核磁気共鳴スペクトル(125MHz, DMSO−d6, 27℃) :
δ(ppm)= 207.3(s), 169.0(s), 146.7(s), 144.0(s), 132.2(d), 131.0(s), 130.7(s), 120.8(d), 116.6(d), 115.8(d), 101.5(d), 87.1(d), 77.0(d), 76.0(d), 72.1(d,2C), 71.3(d,2C), 71.3(d), 56.5(q), 46.3(d), 25.7(q), 14.4(q)
図16に、炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示した。溶媒のDMSO−d6由来の七重線のシグナルを39.5ppmとした。
(試験例1:プラスミド伝播阻害活性)
ハイグロマイシンオキシム(構造式(1)で表される化合物)、メトキシハイグロマイシンオキシム(構造式(2)で表される化合物)、ハイグロマイシンA(構造式(3)で表される化合物)、及びメトキシハイグロマイシン(構造式(4)で表される化合物)のプラスミド伝播阻害活性を以下のようにして試験した。
<化合物の調製>
前記製造例1で得られたハイグロマイシンオキシム、メトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、及びメトキシハイグロマイシンは、それぞれジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社製)に溶解し、後述する供与大腸菌及び受容大腸菌の共培養の際に、それぞれ下記表1〜4に示す所定の終濃度となるように調製した。
<供与大腸菌及び受容大腸菌の調製>
可動性プラスミドpNDM−1_dok01(Sekizuka,T et al., PLoS ONE,2011, 6, e25534)を保有するカナマイシン耐性(以下、「KAN」と称することがある)の大腸菌であるEscherichia colicoli) TJW3110NDM−1(200k−positive)を供与大腸菌として用いた。また、ナリジクス酸耐性(以下、「NA」と称することがある)の大腸菌であるcoli DH5α(タカラバイオ株式会社製)を受容大腸菌として用いた。
前記供与大腸菌及び前記受容大腸菌を、それぞれLB培地(組成:1質量%トリプトン、0.5質量%酵母エキス、及び1質量%塩化ナトリウム)を用いて、37℃で一晩振とう培養し、供与大腸菌の菌液及び受容大腸菌の菌液を得た。
<供与大腸菌及び受容大腸菌の共培養>
−化合物存在下における供与大腸菌及び受容大腸菌の共培養−
96ウェルプレートに2×YT培地(組成:1.6質量%トリプトン、1質量%酵母エキス、及び0.5質量%塩化ナトリウム)を200μL/ウェル添加した後、前記調製したハイグロマイシンオキシム、メトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、又はメトキシハイグロマイシンをそれぞれ下記表1〜4に示す所定の濃度となるように2μL/ウェル添加した。次いで、前記供与大腸菌の菌液及び前記受容大腸菌の菌液をそれぞれ2μL/ウェル添加し、37℃で24時間共培養してプラスミドの伝播を行わせた。
−化合物非存在下における供与大腸菌及び受容大腸菌の共培養−
前記化合物存在下における供与大腸菌及び受容大腸菌の共培養において、ハイグロマイシンオキシム、メトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、又はメトキシハイグロマイシンをそれぞれ2μL/ウェル添加したことに替えて、ジメチルスルホキシドを2μL/ウェル添加したこと以外は、前記化合物存在下における供与大腸菌及び受容大腸菌の共培養と同様の方法で行った。
<プラスミド伝播阻害活性の測定>
図17に示すように、前記供与大腸菌(KAN)と前記受容大腸菌(NA)とが接合し、前記供与大腸菌の可動性プラスミドpNDM−1dok01が前記受容大腸菌に伝播されると、前記可動性プラスミドpNDM−1dok01取得した接合体(以下、「coli DH5α pNDM−1dok01」と称することがある。)は、カナマイシン及びナリジクス酸の両方に耐性(KAN+NA)を示すようになる。そこで、以下に示すように、カナマイシン及びナリジクス酸の両剤を含む培地でプラスミド伝播阻害活性の測定を行った。
96ウェルプレートに、0.005質量%カナマイシン及び0.002質量%ナリジクス酸の両剤を含む2×YT培地を200μL/ウェル添加した。ここへ前記化合物存在下における共培養液又は前記化合物非存在下における共培養液を2μL/ウェル植菌し、37℃で24時間インキュベートした。
インキュベート終了後、前記化合物存在下における共培養液又は前記化合物非存在下における共培養液を植菌したカナマイシン及びナリジクス酸の両剤を含む2×YT培地の500nmにおける吸光度をそれぞれ測定した。
前記化合物存在下における共培養液を植菌したカナマイシン及びナリジクス酸の両剤を含む2×YT培地の吸光度、及び前記化合物非存在下における共培養液を植菌したカナマイシン及びナリジクス酸の両剤を含む2×YT培地の吸光度から、下記計算式により、前記接合体(coli DH5α pNDM−1dok01)の発生頻度の比を求めた。結果を下記表1〜4に示した。なお、前記接合体の発生頻度の比が低い程、プラスミド伝播阻害活性が高いことを示す。
発生頻度の比=〔化合物存在下における共培養液を植菌したカナマイシン及びナリジクス酸の両剤を含む2×YT培地の吸光度〕/〔化合物非存在下における共培養液を植菌したカナマイシン及びナリジクス酸の両剤を含む2×YT培地の吸光度〕×100
<供与大腸菌に対する化合物の毒性の確認>
96ウェルプレートに、0.005質量%カナマイシンを含む2×YT培地を200μL/ウェル添加した。ここへ前記化合物存在下における共培養液又は前記化合物非存在下における共培養液を2μL/ウェル植菌し、30℃で24時間インキュベートした。
インキュベート終了後、前記化合物存在下における共培養液又は前記化合物非存在下における共培養液を植菌したカナマイシンを含む2×YT培地の500nmの吸光度をそれぞれ測定した。
前記化合物存在下における共培養液を植菌したカナマイシンを含む2×YT培地の吸光度、及び前記化合物非存在下における共培養液を植菌したカナマイシンを含む2×YT培地の吸光度から、下記計算式により、前記供与大腸菌の育成度の比を求めた。なお、前記供与大腸菌の育成度の比が低い程、前記供与大腸菌に対する前記化合物の毒性が高いことを示す。結果を下記表1〜4に示した。
供与大腸菌の育成度の比=〔化合物存在下における共培養液を植菌したカナマイシンを含む2×YT培地の吸光度〕/〔化合物非存在下における共培養液を植菌したカナマイシンを含む2×YT培地の吸光度〕×100
<受容大腸菌に対する化合物の毒性の確認>
96ウェルプレートに、0.002質量%ナリジクス酸を含む2×YT培地を200μL/ウェル添加した。ここへ前記化合物存在下における共培養液又は前記化合物非存在下における共培養液を2μL/ウェル植菌し、30℃で24時間インキュベートした。
インキュベート終了後、前記化合物存在下における共培養液又は前記化合物非存在下における共培養液を植菌したナリジクス酸を含む2×YT培地の500nmの吸光度をそれぞれ測定した。
前記化合物存在下における共培養液を植菌したナリジクス酸を含む2×YT培地の吸光度、及び前記化合物非存在下における共培養液を植菌したナリジクス酸を含む2×YT培地の吸光度から、下記計算式により、前記受容大腸菌の育成度の比を求めた。なお、前記受容大腸菌の育成割合が低い程、前記受容大腸菌に対する前記化合物の毒性が高いことを示す。結果を下記表1〜4に示した。
受容大腸菌の育成度の比=〔化合物存在下における共培養液を植菌したナリジクス酸を含む2×YT培地の吸光度〕/〔化合物非存在下における共培養液を植菌したナリジクス酸を含む2×YT培地の吸光度〕×100
表1〜4の結果より、ハイグロマイシンオキシム、メトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、及びメトキシハイグロマイシンは、供与大腸菌及び受容大腸菌に毒性を示さない濃度で、接合体coli DH5α pNDM−1dok01の発生を阻害すること、即ち、プラスミドの伝播を阻害することがわかった。また、プラスミド伝播阻害活性は、ハイグロマイシンオキシムが最も強く、次いで、メトキシハイグロマイシンオキシム及びハイグロマイシンAが同程度であった。
(試験例2:抗菌活性)
メトキシハイグロマイシンオキシム(構造式(2)で表される化合物)、ハイグロマイシンオキシム(構造式(1)で表される化合物)、ハイグロマイシンA(構造式(3)で表される化合物)、及びメトキシハイグロマイシン(構造式(4)で表される化合物)の抗菌活性を以下のようにして試験した。
<化合物の調製>
前記製造例1で得られたハイグロマイシンオキシム、メトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、及びメトキシハイグロマイシンは、それぞれジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社製)に溶解し、後述する最小発育阻止濃度(MIC)の測定に示す所定の終濃度となるように調製した。
<最小発育阻止濃度(MIC)の測定>
下記表5に示すメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRAS)、バンコマイシン低度耐性黄色ブドウ球菌(Vancomycin−intermediate aureus:VISA)、バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin−resistant Enterococcus:VRE)等の薬剤耐性菌を含む各種の微生物に対するメトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、及びメトキシハイグロマイシンの最小発育阻止濃度は、日本化学療法学会標準法に基づき、ミューラー・ヒントン寒天培地(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)上で倍数希釈法により測定した。結果を下記表5に示した。
表5の結果より、メトキシハイグロマイシンオキシムは、グラム陰性細菌及びグラム陽性細菌の種類を問わず、幅広い病原菌に対して優れた抗菌活性を示すことがわかった。また、MRSA、VISA、VREなどの臨床上重要な薬剤耐性菌についても、抗菌力を失わないことが明らかになった。更にメトキシハイグロマイシンオキシムの抗菌活性は、既知の類縁体であるハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、及びメトキシハイグロマイシンと同程度であった。
(試験例3:安定性)
メトキシハイグロマイシンオキシム(構造式(2)で表される化合物)、ハイグロマイシンオキシム(構造式(1)で表される化合物)、ハイグロマイシンA(構造式(3)で表される化合物)、及びメトキシハイグロマイシン(構造式(4)で表される化合物)の水溶液中での安定性を以下のようにして試験した。
<HPLCクロマトグラフィーによる測定>
前記製造例1で得られたハイグロマイシンオキシム、メトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、及びメトキシハイグロマイシンを、それぞれpH8に調整した0.1Mトリス塩酸バッファーに溶解させた直後に、HPLCクロマトグラフィー(CAPCELL PAK UG、内径2.0mm×長さ150mm、株式会社資生堂製)を測定した。展開溶媒は、流速0.2mL/分間で、5体積%アセトニトリル水溶液から80体積%アセトニトリル水溶液まで15分間で連続に変化させた後、アセトニトリルで溶出させた。
また、前記製造例1で得られたハイグロマイシンオキシム、メトキシハイグロマイシンオキシム、ハイグロマイシンA、及びメトキシハイグロマイシンを、それぞれpH8に調整した0.1Mトリス塩酸バッファーに溶解させて48時間、室温に静置した後、HPLCクロマトグラフィーにより前記同様の条件で測定した。
各化合物を溶解させた直後に測定したHPLCチャートを図18A〜Dに、各化合物を溶解させ48時間後に測定したHPLCチャートを図19A〜Dに示す。ハイグロマイシンオキシム及びメトキシハイグロマイシンオキシムは、溶解直後と48時間後のHPLCチャートに変化は認められなかった(図18A、図18B、図19A、及び図19B)。一方、ハイグロマイシンA及びメトキシハイグロマイシンは、溶解直後のHPLCチャートでは1つのピークが認められたが、48時間後のHPLCチャートでは2つのピークが認められた(図18C、図18D、図19C、及び図19D)。これらの結果より、ハイグロマイシンオキシム及びメトキシハイグロマイシンオキシムは、ハイグロマイシンA及びメトキシハイグロマイシンと比べて、pH8の水溶液中で安定性が明らかに高いことがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 下記構造式(1)で表される化合物、下記構造式(2)で表される化合物、下記構造式(3)で表される化合物、及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とするプラスミド伝播阻害剤である。
<2> 下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程と、を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<3> ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物が、受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株である前記<2>に記載の化合物の製造方法である。
<4> 下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程と、を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<5> ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有することを特徴とする微生物である。
<6> 受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株である前記<5>に記載の微生物である。
<7> 下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有し、受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株であることを特徴とする微生物である。
<8> 下記構造式(2)で表されることを特徴とする化合物である。
<9> 前記<8>に記載の化合物を含むことを特徴とする化合物含有組成物である。
<10> 前記<8>に記載の化合物を含むことを特徴とする抗菌剤である。
NITE P−01798
本発明の構造式(2)で表される化合物及びその類縁体は、薬剤耐性拡散の原因であるプラスミド伝播に対する優れた阻害活性、若しくは薬剤耐性菌を含む幅広い病原菌に対する優れた抗菌活性を有し、安定性及び安全性の高い化合物であるため、医薬品及び医薬部外品を含む医薬組成物、化粧品、食品、プラスミド伝播阻害剤、抗菌剤などの有効成分として好適に利用可能である。

Claims (10)

  1. 下記構造式(1)で表される化合物、下記構造式(2)で表される化合物、下記構造式(3)で表される化合物、及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とするプラスミド伝播阻害剤。
  2. 下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
    ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
    前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程と、を含むことを特徴とする化合物の製造方法。
  3. ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、構造式(1)で表される化合物及び構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物が、受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株である請求項2に記載の化合物の製造方法。
  4. 下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
    受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株を培養する培養工程と、
    前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程と、を含むことを特徴とする化合物の製造方法。
  5. ストレプトミセス(Streptomyces)属に属し、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有することを特徴とする微生物。
  6. 受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株である請求項5に記載の微生物。
  7. 下記構造式(3)で表される化合物及び下記構造式(4)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有し、受託番号NITE P−01798のストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)MI696−AF8株であることを特徴とする微生物。
  8. 下記構造式(2)で表されることを特徴とする化合物。
  9. 請求項8に記載の化合物を含むことを特徴とする化合物含有組成物。
  10. 請求項8に記載の化合物を含むことを特徴とする抗菌剤。
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