JP6660301B2 - 新規化合物、その製造方法、及びその用途 - Google Patents

新規化合物、その製造方法、及びその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6660301B2
JP6660301B2 JP2016552140A JP2016552140A JP6660301B2 JP 6660301 B2 JP6660301 B2 JP 6660301B2 JP 2016552140 A JP2016552140 A JP 2016552140A JP 2016552140 A JP2016552140 A JP 2016552140A JP 6660301 B2 JP6660301 B2 JP 6660301B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
structural formula
compound represented
results
lentztrehalose
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016552140A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2016052656A1 (ja
Inventor
和田 俊一
俊一 和田
雅之 五十嵐
雅之 五十嵐
由美子 久保田
由美子 久保田
竜一 澤
竜一 澤
俊一 大庭
俊一 大庭
和樹 波多野
和樹 波多野
まや 梅北
まや 梅北
千草 林
千草 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Microbial Chemistry Research Foundation filed Critical Microbial Chemistry Research Foundation
Publication of JPWO2016052656A1 publication Critical patent/JPWO2016052656A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6660301B2 publication Critical patent/JP6660301B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7028Compounds having saccharide radicals attached to non-saccharide compounds by glycosidic linkages
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7028Compounds having saccharide radicals attached to non-saccharide compounds by glycosidic linkages
    • A61K31/7032Compounds having saccharide radicals attached to non-saccharide compounds by glycosidic linkages attached to a polyol, i.e. compounds having two or more free or esterified hydroxy groups, including the hydroxy group involved in the glycosidic linkage, e.g. monoglucosyldiacylglycerides, lactobionic acid, gangliosides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7042Compounds having saccharide radicals and heterocyclic rings
    • A61K31/7048Compounds having saccharide radicals and heterocyclic rings having oxygen as a ring hetero atom, e.g. leucoglucosan, hesperidin, erythromycin, nystatin, digitoxin or digoxin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/66Microorganisms or materials therefrom
    • A61K35/74Bacteria

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Seasonings (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、新規化合物、前記新規化合物の製造方法、前記新規化合物を含有する化合物含有組成物及び甘味料、前記新規化合物及びその類縁体を含有するオートファジー誘導剤、及び前記新規化合物を含有する抗酸化剤に関する。
トレハロース(Trehalose)は、多くの動植物や、微生物に見られる化合物である。前記トレハロースは、生物種によって、栄養源として、保湿剤として、或いは細胞壁成分などとして働いている。例えば、昆虫では血糖の主成分であり、キノコ類では、乾燥重量の1%〜17%を占めていることが知られている。
前記トレハロースは、トレハレース(Trehalase)により分解され、グルコースとなる。なお、哺乳類自身は、前記トレハロースを持たないものの、前記トレハレースは持っている。
現在、前記トレハロースは、多くの食品に添加されているほか、化粧品、臓器移植時の保護液などにも利用されている。
また、前記トレハロースは、マウスアルツハイマー病モデルやマウス筋萎縮性側索硬化症モデルを用いた実験において、オートファジーの誘導活性を有することが報告されている(例えば、非特許文献1〜2参照)。
しかしながら、前記報告で投与されているトレハロースの量は大量であり、肥満や糖尿病につながることが懸念されるという問題がある。
したがって、より優れたオートファジーの誘導活性を有する化合物の速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
また、甘味料や抗酸化剤として用いることができる新規化合物の開発も強く望まれている。
Schaeffer V, Lavenir I, Ozcelik S, Tolnay M, Winkler DT, Goedert M、 Stimulation of autophagy reduces neurodegeneration in a mouse model of human tauopathy、 Brain、 135(Pt 7)、 2169−77(2012 Jul.) Castillo K, Nassif M, Valenzuela V, Rojas F, Matus S, Mercado G, Court FA, van Zundert B, Hetz C、 Trehalose delays the progression of amyotrophic lateral sclerosis by enhancing autophagy in motoneurons、 Autophagy、 9(9)、 1308−20(2013 Sep.)
本発明は、上記従来技術に鑑みて行われたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたオートファジー誘導活性を有し、安全性にも優れるオートファジー誘導剤、前記オートファジー誘導剤、甘味料、及び抗酸化剤の少なくともいずれかとして利用可能な新規化合物、前記新規化合物の製造方法、並びに前記新規化合物を利用した、化合物含有組成物、甘味料、及び抗酸化剤を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記構造式(A)で表される化合物(以下、「レンツトレハロースA」と称することがある)、下記構造式(B)で表される化合物(以下、「レンツトレハロースB」と称することがある)、及び下記構造式(C)で表される化合物(以下、「レンツトレハロースC」と称することがある)の少なくともいずれかを含むことを特徴とするオートファジー誘導剤である。
<2> 下記構造式(B)で表されることを特徴とする化合物である。
<3> 下記構造式(C)で表されることを特徴とする化合物である。
<4> 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
レンツィア(Lentzea)属に属し、下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程とを含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<5> 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする化合物含有組成物である。
<6> 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする甘味料である。
<7> 下記構造式(B)で表される化合物を含むことを特徴とする抗酸化剤である。
本発明によれば、前記目的を達成することができ、優れたオートファジー誘導活性を有し、安全性にも優れるオートファジー誘導剤、前記オートファジー誘導剤、甘味料、及び抗酸化剤の少なくともいずれかとして利用可能な新規化合物、前記新規化合物の製造方法、並びに前記新規化合物を利用した、化合物含有組成物、甘味料、及び抗酸化剤を提供することができる。
図1Aは、前記構造式(A)で表される化合物のKBr錠剤法で測定した、赤外線スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(%)、横軸:波数(cm−1)。 図1Bは、前記構造式(A)で表される化合物の紫外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:吸光度(Abs)、横軸:波長(nm)。 図1Cは、前記構造式(A)で表される化合物の重メタノール中で25℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図1Dは、前記構造式(A)で表される化合物の重メタノール中で25℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図2Aは、前記構造式(B)で表される化合物のKBr錠剤法で測定した、赤外線スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(%)、横軸:波数(cm−1)。 図2Bは、前記構造式(B)で表される化合物の紫外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:吸光度(Abs)、横軸:波長(nm)。 図2Cは、前記構造式(B)で表される化合物の重メタノール中で25℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図2Dは、前記構造式(B)で表される化合物の重メタノール中で25℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図3Aは、前記構造式(C)で表される化合物のKBr錠剤法で測定した、赤外線スペクトルのチャートである。縦軸:透過率(%)、横軸:波数(cm−1)。 図3Bは、前記構造式(C)で表される化合物の紫外線吸収スペクトルのチャートである。縦軸:吸光度(Abs)、横軸:波長(nm)。 図3Cは、前記構造式(C)で表される化合物の重メタノール中で25℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図3Dは、前記構造式(C)で表される化合物の重メタノール中で25℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートである。横軸:ppm単位。 図4Aは、試験例1のトレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCの結果をまとめて示した図である。 図4Bは、試験例1のレンツトレハロースAの結果を示した図である。 図4Cは、試験例1のレンツトレハロースBの結果を示した図である。 図4Dは、試験例1のレンツトレハロースCの結果を示した図である。 図5Aは、試験例2−1の結果を示した図である。 図5Bは、試験例2−2の結果を示した図である。 図5Cは、試験例2−3の結果を示した図である。 図5Dは、試験例2−4の結果を示した図である。 図5Eは、試験例2−5の結果を示した図である。 図5Fは、試験例2−6の結果を示した図である。 図6Aは、試験例3−1のヒト培養メラノーマ株Mewoを、トレハロース、又はレンツトレハロースAで処理した結果を示した図である。 図6Bは、試験例3−1のヒト培養メラノーマ株Mewoを、レンツトレハロースB、又はレンツトレハロースCで処理した結果を示した図である。 図6Cは、試験例3−1のヒト培養卵巣がん細胞株OVK18を、トレハロース、又はレンツトレハロースAで処理した結果を示した図である。 図6Dは、試験例3−1のヒト培養卵巣がん細胞株OVK18を、レンツトレハロースB、又はレンツトレハロースCで処理した結果を示した図である。 図6Eは、試験例3−2の結果を示した図である。 図7Aは、試験例4−1のトレハロースの結果を示した図である。 図7Bは、試験例4−1のレンツトレハロースBの結果を示した図である。 図7Cは、試験例4−1のトロロックスの結果を示した図である。 図7Dは、試験例4−2のレンツトレハロースBを水に溶解させた場合の結果を示した図である。 図7Eは、試験例4−2のレンツトレハロースBをH水に溶解させた場合の結果を示した図である。
(新規化合物)
<構造式(B)で表される化合物>
本発明の化合物の1つである、下記構造式(B)で表される化合物は、本発明者らが分離した新規化合物である。
−構造式(B)で表される化合物の物理化学的性質−
前記構造式(B)で表される化合物の物理化学的性質としては、次の通りである。
(1) 外観 : 白色固体
(2) 分子式 : C173011
なお、通常の状態では一水和物となり、元素分析ではC173011・HOとして表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード) :
実験値 m/z 433.1683 (M+Na)
計算値 m/z 433.1680 (M+Na)
(4) 元素分析 :
実験値 C47.7%、 H7.8%
計算値(C173011・HO) C47.7%、 H7.5%
(5) 比旋光度 : [α]D25=+177°(c 1.06, メタノール)
(6) 赤外線吸収スペクトル :
赤外線吸収スペクトルは、図2Aに示す通りである。
νmax(KBr)cm−1 : 3410、 2931、 1674、 1449、 1378、 1203、 1146、 1105、 1053、 995、 839、 801、 613
(7) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液における紫外線吸収は、図2Bに示す通り、エンド吸収である(200nmにおけるε値は、水中で7155である)。
(8) プロトン核磁気共鳴スペクトル :
600MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図2C、及び表1に示す通りである。
(9) 炭素13核磁気共鳴スペクトル :
150MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図2D、及び表1に示す通りである。
(10) 高速液体クロマトグラフィー :
Hydrosphere C18 HS12S05−2520 WT(粒子径5μm、内径20mm×長さ250mm、株式会社ワイエムシィ製)カラムを用い、流速10mL/分間で、水で5分間展開した後、25分まで直線濃度勾配的にメタノールに置換したときの保持時間は21分〜23分である。
<構造式(C)で表される化合物>
本発明の化合物の1つである、下記構造式(C)で表される化合物は、本発明者らが分離した新規化合物である。
−構造式(C)で表される化合物の物理化学的性質−
前記構造式(C)で表される化合物の物理化学的性質としては、次の通りである。
(1) 外観 : 白色固体
(2) 分子式 : C173012
なお、通常の状態では一水和物となり、元素分析ではC173012・HOとして表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード) :
実験値 m/z 449.1629 (M+Na)
計算値 m/z 449.1629 (M+Na)
(4) 元素分析 :
実験値 C45.7%、 H7.3%
計算値(C173012・HO) C45.9%、 H7.3%
(5) 比旋光度 : [α]D25=+160°(c 1.03, メタノール)
(6) 赤外線吸収スペクトル :
赤外線吸収スペクトルは、図3Aに示す通りである。
νmax(KBr)cm−1 : 3422、 2935、 1635、 1457、 1191、 1153、 1054、 996、 941、 845、 803、 637
(7) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液における紫外線吸収は、図3Bに示す通り、エンド吸収である(200nmにおけるε値は、水中で68である)。
(8) プロトン核磁気共鳴スペクトル :
600MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図3C、及び表2に示す通りである。
(9) 炭素13核磁気共鳴スペクトル :
150MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図3D、及び表2に示す通りである。
(10) 高速液体クロマトグラフィー :
Hydrosphere C18 HS12S05−2520 WT(粒子径5μm、内径20mm×長さ250mm、株式会社ワイエムシィ製)カラムを用い、流速10mL/分間で、水で5分間展開した後、25分まで直線濃度勾配的にメタノールに置換したときの保持時間は17分〜18分である。
化合物が、前記構造式(B)で表される構造、又は前記構造式(C)で表される構造を有するか否かは、適宜選択した各種の分析方法により確認することができ、例えば、前記質量分析法、前記赤外分光法、前記紫外分光法、前記プロトン核磁気共鳴分光法、前記炭素13核磁気共鳴分光法等の分析方法などが挙げられる。なお、前記各分析方法による測定値には、多少の誤差が生じることがあるが、当業者であれば、化合物が前記構造式(B)で表される構造、又は前記構造式(C)で表される構造を有することは容易に同定することが可能である。
前記構造式(B)で表される化合物は、通常、水和物である。
前記構造式(C)で表される化合物は、通常、水和物である。
前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する微生物から得られたものであってもよいし、化学合成により得られたものであってもよいが、後述する本発明の化合物の製造方法により得られることが好ましい。
<用途>
前記構造式(B)で表される化合物は、後述する試験例で示されるように、優れたオートファジー誘導活性、及び優れた抗酸化活性を有し、安全性の高い化合物である。また、甘味料の成分としても用いることができる。そのため、前記構造式(B)で表される化合物は、例えば、後述する本発明の、化合物含有組成物、オートファジー誘導剤、抗酸化剤、甘味料などの有効成分として好適に利用可能である。また、前記構造式(B)で表される化合物は、オートファジー誘導活性と、抗酸化活性とを有するため、筋萎縮性側索硬化症の予防乃至治療薬の有効成分としてより期待される。
前記構造式(C)で表される化合物は、後述する試験例で示されるように、優れたオートファジー誘導活性を有し、安全性の高い化合物である。また、甘味料の成分としても用いることができる。そのため、前記構造式(C)で表される化合物は、例えば、後述する本発明の、化合物含有組成物、オートファジー誘導剤、甘味料などの有効成分として好適に利用可能である。
(化合物の製造方法)
本発明の前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法は、培養工程と、採取工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<培養工程>
前記培養工程は、レンツィア(Lentzea)属に属し、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する工程である。
−微生物−
前記微生物としては、レンツィア(Lentzea)属に属し、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明者らの分離したレンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8株(NITE BP−01586)が好ましい。
また、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産できるその他の菌株についても、常法によって、自然界より分離することが可能である。なお、前記レンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8株を含め、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの生産菌を、放射線照射やその他の変異処理に供することにより、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの生産能を高めることも可能である。更に、遺伝子工学的手法による前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの生産も可能である。
前記微生物が前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有することを分析する方法としては、例えば、該微生物の培養物、好ましくは、液体培養後の培養上清中又は固体培養後の固体培地中の成分の、オートファジー誘導活性、若しくは抗酸化活性を分析する方法、各種分析法により前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを検出する方法などが挙げられる。
−−レンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8株−−
前記レンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8株は、公益財団法人 微生物化学研究会 微生物化学研究所において、新潟県佐渡市の土壌より分離された放線菌であり、その菌学的性状は、以下の通りである。
1.形態
ML457−mF8株は、分枝した基生菌糸より、直状もしくは曲状の気菌糸を伸長する。成熟した胞子鎖は10〜20個の柱筒状の胞子を連鎖する。胞子の大きさは約0.4〜0.5×1.1〜1.5ミクロンで、胞子の表面は平滑である。
2.各種培地における生育状態
色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモニー・マニュアル(Container Corporation of America の color harmony manual)を用いた。
(1)イースト・麦芽寒天培地(ISP−培地2、30℃培養)
うす黄[2 gc, Bamboo]の発育上に、白[Near gray series, 3 ba, Pearl]の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
(2)オートミール寒天培地(ISP−培地3、30℃培養)
うす黄[1 ca, Pale yellow]の発育上に、白[The gray scale, a, White]の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
(3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP−培地4、30℃培養)
うす黄[3 ca, Shell]〜暗い黄[2 le, Mustard]の発育上に、白[The gray scale, a, White]の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
(4)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−培地5、30℃培養)
うす黄[1 1/2 ea, Lt Yellow]〜にぶ黄だいだい[3 ic, Lt Amber]の発育上に、白[Near gray series, 3 ba, Pearl]の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
(5)チロシン寒天培地(ISP−培地7、30℃培養)
うす黄茶[2 pe, Mustard Gold]の発育上に、白[Near gray series, 3 cb, Sand]の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
(6)シュークロース・硝酸塩寒天培地(30℃培養)
うす黄[2 ca, Lt Ivory]〜にぶ黄[2 ic, Honey Gold]の発育上に、白[The gray scale, b, Oyster White]の気菌糸を着生する。可溶性色素は認められない。
3.生理的性質
(1)生育温度範囲
イースト・スターチ寒天培地(溶性デンプン 1%、Yeast extract 0.2%、ひも寒天 2.6%、pH7.0)を用い、10℃、20℃、27℃、30℃、37℃、42℃及び50℃の各温度で試験した結果、10℃及び50℃での生育は認められず、20℃〜42℃の範囲で生育した。生育至適温度は30℃付近である。
4.菌体成分
細胞壁中の2,6−ジアミノピメリン酸はmeso−型である。
5.16S rRNA遺伝子解析
16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(1,474bp)を決定し、DNAデータベースに登録された公知菌株のデータと比較した。その結果、ML457−mF8株の塩基配列は以下に示すように、レンツィア(Lentzea)属放線菌の16S rRNA遺伝子と高い相同性を示した。即ち、Lentzia waywayandensis(99.1%)、L. albida(99.0%)、L. violacea(98.5%)等である。なお、括弧内は塩基配列の相同値を表記した。
以上の性状を要約すると、ML457−mF8株は、その形態上、分枝した基生菌糸より、直状および曲状の気菌糸を伸長する。その先端は柱筒状の胞子を連鎖する。種々の培地で、うす黄〜うすだいだいの発育上に白〜灰白の気菌糸を着生する。生育至適温度は30℃付近である。
ML457−mF8株の細胞壁中の2,6−ジアミノピメリン酸はmeso−型である。
ML457−mF8株の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列を解析し、公知菌株のデータと比較したところ、レンツィア属放線菌と高い相同性を示した。
以上の結果より、ML457−mF8株はレンツィア(Lentzea)属に属するものと考えられる。そこで、ML457−mF8株をレンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8とする。
なお、ML457−mF8株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託申請し、2013年4月9日に、NITE P−01586として国内受託された。その後、2015年8月13日にブダペスト条約に基づく国際寄託への移管請求が受領され、受託番号NITE BP−01586として国際寄託されている。
−培養−
前記培養は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する生産菌(以下、単に「化合物生産菌」と称することがある)を栄養培地(以下、単に「培地」と称することがある)中に接種し、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの生産に良好な温度で培養することによって行われる。
前記栄養培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来放線菌の培養に利用されている公知のものを使用することができ、液体培地であってもよく、固体(寒天)培地であってもよい。
前記栄養培地に添加する栄養源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販されている大豆粉、小麦胚芽、押し麦、発芽玄米、ペプトン、綿実粕、酵母エキス、肉エキス、コーン・スティープ・リカー、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素等の窒素源;トマトペースト、グリセリン、デンプン、グルコース、ガラクトース、デキストリン、バクトソイトン等の炭水化物、脂肪等の炭素源;などが挙げられる。
更に、食塩、炭酸カルシウム等の無機塩を培地に添加して使用することもでき、その他、必要に応じて微量の金属塩を培地に添加して使用することもできる。
これらの材料は、前記化合物生産菌が利用し、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの生産に役立つものであればよく、公知の培養材料は全て用いることができる。
前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの生産のための前培養液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、液体培地、平板培地、斜面培地、半斜面培地などの培地上で前記化合物生産菌を培養した生育物などを使用することができる。
前記培養の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、振とう培養、静置培養、タンク培養などが挙げられる。
前記培養の温度としては、前記化合物生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産し得る範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができるが、25℃〜35℃が好ましい。
前記培養のpHとしては、前記化合物生産菌の発育が実質的に阻害されずに、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産し得る範囲であれば、特に制限はなく、使用する生産菌に応じて適宜選択することができる。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの蓄積に合わせて適宜選択することができる。
<採取工程>
前記採取工程は、前記培養工程で得られた培養物から前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する工程である。
前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかは、上述した物理化学的性質を有するので、その性質に従って培養物から採取することができる。
前記培養物としては、前記培養工程で得られ、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、菌体、液体培養後の培養上清、固体培養後の固体培地、及びこれらの混合物などが挙げられる。
なお、前記培養物として、前記菌体を用いる場合は、適当な有機溶媒を用いた抽出方法や、菌体破砕による溶出方法などにより、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを菌体から抽出し、これを分離及び/又は精製に供してもよい。
前記採取の方法としては、特に制限はなく、微生物の生産する代謝物を採取するのに用いられる方法を適宜選択することができる。例えば、溶媒抽出法、各種吸着剤に対する吸着親和性の差を利用する方法、クロマトグラフ法などが挙げられる。これらの方法を単独又は適宜組み合せて、場合によっては反復使用することにより、分離及び/又は精製された前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを採取することができる。
前記溶媒抽出法に用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ブタノール、アセトニトリルなどが挙げられる。
前記吸着剤としては、特に制限はなく、公知の吸着剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン系吸着樹脂などが挙げられる。
前記クロマトグラフ法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薄層クロマトグラフ法、順相あるいは逆相カラムを用いた分取用高速液体クロマトグラフ(分取用HPLC)法などが挙げられる。
前記クロマトグラフ法に用いる担体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換樹脂、ゲル濾過、シリカゲル、アルミナ、活性炭などが挙げられる。
前記クロマトグラフ法に用いる担体の市販品の具体例としては、アンバーライト(登録商標)CG50(Sigma−Aldrich Co. LLC)等のイオン交換樹脂;Sephadex(登録商標)LH−20(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)等のゲル濾過;Hydrosphere C18 HS12S05−2520 WT(株式会社ワイエムシィ製)等のシリカゲルなどが挙げられる。
前記吸着剤や前記クロマトグラフ法における担体から前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを溶出させる方法としては、特に制限はなく、該吸着剤や該担体の種類や性質等に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリスチレン系吸着樹脂の場合には、溶出溶媒として、含水アルコール、含水アセトン等を用いて溶出する方法などが挙げられる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以上のようにして前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを製造することができる。
(化合物含有組成物)
本発明の化合物含有組成物は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
前記化合物含有組成物における前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記化合物含有組成物は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記化合物含有組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬理学的に許容され得る担体、下記構造式(A)で表される化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記薬理学的に許容され得る担体の具体例としては、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。
前記添加剤又は前記補助剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、殺菌剤、保存剤、粘結剤、増粘剤、固着剤、結合剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤、消泡剤、物性向上剤、防腐剤などが挙げられる。
前記殺菌剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記保存剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、クレゾールなどが挙げられる。
前記粘結剤、前記増粘剤、又は前記固着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デンプン、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記結合剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。
前記pH調整剤又は前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記等張化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。
前記化合物含有組成物における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
<用途>
前記化合物含有組成物は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むため、優れたオートファジー誘導活性、及び優れた抗酸化活性の少なくともいずれかを有し、また、甘味も有し、更に、安全性が高く、例えば、医薬組成物、オートファジー誘導剤、抗酸化剤、食品、食品添加物などとして好適に利用可能である。
前記化合物含有組成物は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬と併せて使用されてもよい。また、前記化合物含有組成物は、他の成分を有効成分とする医薬中に、配合された状態で使用されてもよい。
(オートファジー誘導剤)
本発明のオートファジー誘導剤は、下記構造式(A)で表される化合物、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<構造式(A)で表される化合物、構造式(B)で表される化合物、及び構造式(C)で表される化合物>
−構造式(B)で表される化合物、及び構造式(C)で表される化合物−
前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物は、新規化合物であり、上記新規化合物の項目に記載した通りである。また、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物は、上記化合物の製造方法の項目に記載した方法により、好適に製造することができる。
−構造式(A)で表される化合物−
前記構造式(A)で表される化合物は、本発明者らが分離した化合物である。
−−構造式(A)で表される化合物の物理化学的性質−−
前記構造式(A)で表される化合物の物理化学的性質としては、次の通りである。
(1) 外観 : 白色飴状
(2) 分子式 : C173213
なお、通常の状態では二水和物となり、元素分析ではC173213・2HOとして表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード) :
実験値 m/z 467.1739 (M+Na)
計算値 m/z 467.1735 (M+Na)
(4) 元素分析 :
実験値 C42.5%、 H7.7%、 N<0.1%
計算値(C173213・2HO) C42.5%、 H7.5%
(5) 比旋光度 : [α]D22=+137°(c 0.94, メタノール)
(6) 赤外線吸収スペクトル :
赤外線吸収スペクトルは、図1Aに示す通りである。
νmax(KBr)cm−1 : 3400、 2935、 1653、 1375、 1150、 1079、 1047、 991、 802、 610
(7) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液における紫外線吸収は、図1Bに示す通り、ほとんど見られない(200nmにおけるε値は、水中で202であり、0.005M HCl中で192である)。
(8) プロトン核磁気共鳴スペクトル :
600MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図1C、及び表3に示す通りである。
(9) 炭素13核磁気共鳴スペクトル :
150MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図1D、及び表3に示す通りである。
(10) 高速液体クロマトグラフィー :
Hydrosphere C18 HS12S05−2520 WT(粒子径5μm、内径20mm×長さ250mm、株式会社ワイエムシィ製)カラムを用い、流速10mL/分間で、水で5分間展開した後、25分まで直線濃度勾配的にメタノールに置換したときの保持時間は16分〜17分である。
化合物が、前記構造式(A)で表される構造を有するか否かは、適宜選択した各種の分析方法により確認することができ、例えば、前記質量分析法、前記赤外分光法、前記紫外分光法、前記プロトン核磁気共鳴分光法、前記炭素13核磁気共鳴分光法等の分析方法などが挙げられる。なお、前記各分析方法による測定値には、多少の誤差が生じることがあるが、当業者であれば、化合物が前記構造式(A)で表される構造を有することは容易に同定することが可能である。
前記構造式(A)で表される化合物は、通常、水和物である。
前記構造式(A)で表される化合物は、前記構造式(A)で表される化合物を生産する微生物から得られたものであってもよいし、化学合成により得られたものであってもよい。
前記構造式(A)で表される化合物は、後述する試験例で示されるように、優れたオートファジー誘導活性を有し、安全性の高い化合物である。また、甘味料の成分としても用いることもできる。
−−構造式(A)で表される化合物の製造方法−−
前記構造式(A)で表される化合物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法と同様にして製造することができる。即ち、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法における、培養工程と、採取工程と、必要に応じてその他の工程と、同様にして製造することができる。
前記構造式(A)で表される化合物、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記オートファジー誘導剤における構造式(A)で表される化合物、構造式(B)で表される化合物、及び構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記オートファジー誘導剤は、前記構造式(A)で表される化合物、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記オートファジー誘導剤におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記化合物含有組成物のその他の成分の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記オートファジー誘導剤におけるその他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<用途>
前記オートファジー誘導剤は、前記構造式(A)で表される化合物、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むため、優れたオートファジー誘導活性を有し、安全性が高く、オートファジーの研究用試薬や、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、プリオン病、及びハンチントン病などの神経変性疾患の予防乃至治療薬の有効成分として好適に利用可能である。
なお、これまでにオートファジー誘導活性を有する化合物として、ラパマイシンなどが知られているが、毒性が強く、安全性の面で問題がある。
前記オートファジー誘導剤は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬と併せて使用されてもよい。また、前記オートファジー誘導剤は、他の成分を有効成分とする医薬中に、配合された状態で使用されてもよい。
前記オートファジー誘導剤は、細胞におけるオートファジーを誘導することができるので、本発明は、細胞におけるオートファジーの誘導方法にも関する。
<剤形>
前記オートファジー誘導剤の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形剤、半固形剤、液剤などが挙げられる。これらの剤形の前記オートファジー誘導剤は、常法に従い製造することができる。
−固形剤−
前記固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤、浸剤などが挙げられる。
前記固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、坐剤、パップ剤、プラスター剤などが挙げられる。
−半固形剤−
前記半固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記半固形剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ムース剤、インヘラー剤、ナザールジェル剤などが挙げられる。
−液剤−
前記液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、内用剤として用いられる場合、例えば、シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤などが挙げられる。
前記液剤が、外用剤として用いられる場合、例えば、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤などが挙げられる。
<投与>
前記オートファジー誘導剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記投与方法としては、例えば、局所投与法、経腸投与法などの非経口投与法や経口投与法などが挙げられる。
前記投与量としては、特に制限はなく、投与対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬や薬剤の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記投与対象となる動物種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、トリなどが挙げられるが、これらの中でもヒトに好適に用いることができる。
(抗酸化剤)
本発明の抗酸化剤は、前記構造式(B)で表される化合物を少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<構造式(B)で表される化合物>
前記構造式(B)で表される化合物は、新規化合物であり、上記新規化合物の項目に記載した通りである。また、前記構造式(B)で表される化合物は、上記化合物の製造方法の項目に記載した方法により、好適に製造することができる。
前記抗酸化剤における構造式(B)で表される化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記抗酸化剤は、前記構造式(B)で表される化合物そのものであってもよい。
<その他の成分>
前記抗酸化剤におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記化合物含有組成物のその他の成分の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記抗酸化剤におけるその他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<用途>
前記抗酸化剤は、前記構造式(B)で表される化合物を含むため、優れた抗酸化活性を有し、安全性が高く、抗酸化物質に関する研究用試薬や、筋萎縮性側索硬化症の予防乃至治療薬の有効成分として好適に利用可能である。
前記抗酸化剤は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする医薬と併せて使用されてもよい。また、前記抗酸化剤は、他の成分を有効成分とする医薬中に、配合された状態で使用されてもよい。
前記抗酸化剤は、酸化を抑制することができるので、本発明は、酸化の抑制方法にも関する。
<剤形>
前記抗酸化剤の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上記オートファジー誘導剤の剤形の項目に記載したものと同様とすることができる。
<投与>
前記抗酸化剤の投与方法、投与量、投与時期、及び投与対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、上記オートファジー誘導剤の投与の項目に記載したものと同様とすることができる。
(甘味料)
本発明の甘味料は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。
<構造式(B)で表される化合物、及び構造式(C)で表される化合物>
前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物は、新規化合物であり、上記新規化合物の項目に記載した通りである。また、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物は、上記化合物の製造方法の項目に記載した方法により、好適に製造することができる。
前記甘味料における前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記甘味料は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記甘味料におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記化合物含有組成物のその他の成分の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記甘味料におけるその他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<用途>
前記甘味料は、前記構造式(B)で表される化合物、及び前記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むため、優れた甘味を有し、安全性が高く、例えば、ダイエット用の食品の添加物として好適に利用可能である。
前記甘味料は、単独で使用されてもよいし、他の成分を有効成分とする甘味料と併せて使用されてもよい。また、前記甘味料は、他の成分を有効成分とする甘味料中に、配合された状態で使用されてもよい。
前記甘味料の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末状、液状などが挙げられる。
前記甘味料の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下に本発明の製造例、及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例、及び試験例に何ら限定されるものではない。
(製造例1:化合物の製造)
構造式(A)で表される化合物、構造式(B)で表される化合物、及び構造式(C)で表される化合物を以下のようにして製造した。
−前培養液の調製−
ロータリーフラスコに、S培地(2質量%ガラクトース、2質量%デキストリン、1質量% ソイペプトン、0.5質量% コーン・スティープ・リカー、0.2質量% (NHSO、0.2質量% CaCO、シリコン消泡剤少量、pH7.4)を100mL入れ、レンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8株(受託番号NITE BP−01586)を植菌し、30℃、220rpmで3日間培養し、前培養液を得た。
−培養工程−
発芽玄米120gに水を200mL加えて、121℃で20分間オートクレーブした培地に、56mLの前記前培養液を加え、30℃で4週間、静置培養した。
−採取工程−
前記培養物に320mLのメタノールを加え、よく混ぜた後、ペーパーフィルターにより濾過し、液体分を回収した。残渣にメタノールを320mL加え、同様にして液体分を回収し、初めの液体分と混ぜて、エバポレーターにより乾固した。
前記乾固したサンプルを1Lの水に溶解させ、そこに1Lの酢酸エチルを加え、よく混ぜた後、二層分配を行い、水層を回収し、エバポレーターにより乾固した。
前記水層乾固物を少量の水に溶かし、ダイヤイオンHP20 樹脂(三菱化学株式会社製)により、水、20体積% メタノール、50体積% メタノール、及び100体積% メタノールを段階的な溶媒として用い、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCを含む画分を分離した。
前記レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCを含む画分を、Hydrosphere C18 カラム HS12S05−2520WT(株式会社ワイエムシィ製)を用いて、水からメタノールへの勾配溶媒系を用いたHPLCにより分離し、レンツトレハロースAを含む画分、レンツトレハロースBを含む画分、及びレンツトレハロースCを含む画分を得た。
前記レンツトレハロースAを含む画分、レンツトレハロースBを含む画分、及びレンツトレハロースCを含む画分を、それぞれ50mL程度のKieselgel 60(Merck KGaA)に吸着させ、乾燥させた。これを、クロロホルムで平衡化した100mLのWakogel C−300(和光純薬工業株式会社製)に上乗せした後、クロロホルム:メタノール=4:6(体積比)の溶液100mL、クロロホルム:メタノール:水=4:6:1(体積比)の溶液600mLで順次溶出し、分離し、レンツトレハロースAを含む画分、レンツトレハロースBを含む画分、及びレンツトレハロースCを含む画分を得た。
前記レンツトレハロースAを含む画分、レンツトレハロースBを含む画分、及びレンツトレハロースCを含む画分を、それぞれを乾固した後、少量の水に溶かし、9倍量のアセトニトリルを加えて乳状液とし、Polyamine II カラム PB12S05−2510WT(株式会社ワイエムシィ製)を用いて、90体積% アセトニトリルから50体積% アセトニトリルへの勾配溶媒系を用いたHPLCにより分離し、レンツトレハロースAを含む画分、レンツトレハロースBを含む画分、及びレンツトレハロースCを含む画分を得た。
前記レンツトレハロースAを含む画分、レンツトレハロースBを含む画分、及びレンツトレハロースCを含む画分を、それぞれメタノールを溶媒としたSephadex LH−20(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)カラムにかけ夾雑物を取り除き、エバポレーターにより乾固した。
前記乾固したレンツトレハロースAを含む画分、レンツトレハロースBを含む画分、及びレンツトレハロースCを含む画分を、それぞれ水を溶媒とした活性炭素(和光純薬工業株式会社製)カラムに通し、通過分と、水による洗浄画分とを回収し、凍結乾燥し、精製されたレンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCを得た。
<レンツトレハロースAの物理化学的性質>
得られたレンツトレハロースAの物理化学的性質は、以下の通りであり、これらのことから、前記レンツトレハロースAが、下記構造式(A)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 : 白色飴状
(2) 分子式 : C173213
なお、通常の状態では二水和物となり、元素分析ではC173213・2HOとして表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード) :
実験値 m/z 467.1739 (M+Na)
計算値 m/z 467.1735 (M+Na)
(4) 元素分析 :
実験値 C42.5%、 H7.7%、 N<0.1%
計算値(C173213・2HO) C42.5%、 H7.5%
(5) 比旋光度 : [α]D22=+137°(c 0.94, メタノール)
(6) 赤外線吸収スペクトル :
赤外線吸収スペクトルは、図1Aに示す通りであった。
νmax(KBr)cm−1 : 3400、 2935、 1653、 1375、 1150、 1079、 1047、 991、 802、 610
(7) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液における紫外線吸収は、図1Bに示す通り、ほとんど見られなかった(200nmにおけるε値は、水中で202であり、0.005M HCl中で192であった)。
(8) プロトン核磁気共鳴スペクトル :
600MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図1C、及び表4に示す通りであった。
(9) 炭素13核磁気共鳴スペクトル :
150MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図1D、及び表4に示す通りであった。
(10) 高速液体クロマトグラフィー :
Hydrosphere C18 HS12S05−2520 WT(粒子径5μm、内径20mm×長さ250mm、株式会社ワイエムシィ製)カラムを用い、流速10mL/分間で、水で5分間展開した後、25分まで直線濃度勾配的にメタノールに置換したときの保持時間は16分〜17分であった。
<レンツトレハロースBの物理化学的性質>
得られたレンツトレハロースBの物理化学的性質は、以下の通りであり、これらのことから、前記レンツトレハロースBが、下記構造式(B)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 : 白色固体
(2) 分子式 : C173011
なお、通常の状態では一水和物となり、元素分析ではC173011・HOとして表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード) :
実験値 m/z 433.1683 (M+Na)
計算値 m/z 433.1680 (M+Na)
(4) 元素分析 :
実験値 C47.7%、 H7.8%
計算値(C173011・HO) C47.7%、 H7.5%
(5) 比旋光度 : [α]D25=+177°(c 1.06, メタノール)
(6) 赤外線吸収スペクトル :
赤外線吸収スペクトルは、図2Aに示す通りであった。
νmax(KBr)cm−1 : 3410、 2931、 1674、 1449、 1378、 1203、 1146、 1105、 1053、 995、 839、 801、 613
(7) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液における紫外線吸収は、図2Bに示す通り、エンド吸収であった(200nmにおけるε値は、水中で7155であった)。
(8) プロトン核磁気共鳴スペクトル :
600MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図2C、及び表5に示す通りであった。
(9) 炭素13核磁気共鳴スペクトル :
150MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図2D、及び表5に示す通りであった。
(10) 高速液体クロマトグラフィー :
Hydrosphere C18 HS12S05−2520 WT(粒子径5μm、内径20mm×長さ250mm、株式会社ワイエムシィ製)カラムを用い、流速10mL/分間で、水で5分間展開した後、25分まで直線濃度勾配的にメタノールに置換したときの保持時間は21分〜23分であった。
<レンツトレハロースCの物理化学的性質>
得られたレンツトレハロースCの物理化学的性質は、以下の通りであり、これらのことから、前記レンツトレハロースCが、下記構造式(C)で表される構造を有する化合物であることが確認された。
(1) 外観 : 白色固体
(2) 分子式 : C173012
なお、通常の状態では一水和物となり、元素分析ではC173012・HOとして表される。
(3) 高分解能質量分析(HRESIMS:正イオンモード) :
実験値 m/z 449.1629 (M+Na)
計算値 m/z 449.1629 (M+Na)
(4) 元素分析 :
実験値 C45.7%、 H7.3%
計算値(C173012・HO) C45.9%、 H7.3%
(5) 比旋光度 : [α]D25=+160°(c 1.03, メタノール)
(6) 赤外線吸収スペクトル :
赤外線吸収スペクトルは、図3Aに示す通りであった。
νmax(KBr)cm−1 : 3422、 2935、 1635、 1457、 1191、 1153、 1054、 996、 941、 845、 803、 637
(7) 紫外線吸収スペクトル :
水溶液における紫外線吸収は、図3Bに示す通り、エンド吸収であった(200nmにおけるε値は、水中で68であった)。
(8) プロトン核磁気共鳴スペクトル :
600MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図3C、及び表6に示す通りであった。
(9) 炭素13核磁気共鳴スペクトル :
150MHzにおいて重メタノール中で25℃にて測定した結果は、図3D、及び表6に示す通りであった。
(10) 高速液体クロマトグラフィー :
Hydrosphere C18 HS12S05−2520 WT(粒子径5μm、内径20mm×長さ250mm、株式会社ワイエムシィ製)カラムを用い、流速10mL/分間で、水で5分間展開した後、25分まで直線濃度勾配的にメタノールに置換したときの保持時間は17分〜18分であった。
(試験例1:トレハレース反応試験)
トレハロース(以下、「TRH」と称することがある)、レンツトレハロースA(以下、「LTA」と称することがある)、レンツトレハロースB(以下、「LTB」と称することがある)、又はレンツトレハロースC(以下、「LTC」と称することがある)を135mM クエン酸バッファー(pH5.7)で、各濃度に調製した。
前記各濃度に調製した液に、0.24unit/mLで135mM クエン酸バッファー(pH5.7)に溶かしたブタ腎臓トレハレース(Sigma−Aldrich Co. LLC、T8778)を4倍量加え、37℃で20分間反応させた。
次いで、同量の500mM Tris−HCl(pH7.5)を加え反応を停止した。
その後、3倍量のグルコースアッセイ試薬(Sigma−Aldrich Co. LLC、G3293)を添加し、室温で15分間反応させた。
その後、340nmの吸光度を測定し、グルコースをスタンダードとした検量線より、反応により放出されたグルコースの量を算出した。結果を図4A〜図4Dに示した。
図4Aは、トレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCの結果をまとめて示した図であり、図4B〜図4Dは、それぞれ、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、レンツトレハロースCの結果を示した図である。
図4A〜図4D中、「○」はトレハロースの結果を示し、「●」はレンツトレハロースAの結果を示し、「△」はレンツトレハロースBの結果を示し、「▲」はレンツトレハロースCの結果を示す。
図4A〜図4Dに示されるように、トレハロースは、トレハレースによって分解され、基質の量に応じて分解産物のグルコースを放出した。一方、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCは、いずれもトレハレースによってほとんど分解されなかった。
そのため、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCは、哺乳類(例えば、ヒト)の体内で、トレハロースよりも低濃度で、トレハロースと同様の生物活性を示す可能性があることが示唆された。
(試験例2:急性毒性試験)
<試験例2−1:レンツトレハロースAの静脈注射>
4週齢の雌ICRマウスに、生理食塩水で溶解させた各濃度のレンツトレハロースAを静脈注射し、その後、2週間の体重変化を観察した。結果を図5Aに示した。
図5A中、「○及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを投与しなかった場合(Normal)の結果であり、「●及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを500mg/kg/0.4mLで投与した場合の結果であり、「■及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを250mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▲及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを125mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「×及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを62.5mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「●及び破線」で示したものは、レンツトレハロースAを31.25mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「■及び破線」で示したものは、レンツトレハロースAを15.6mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▲及び破線」で示したものは、レンツトレハロースAを7.8mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果である。
また、各濃度のレンツトレハロースAを静脈注射し、2週間後に解剖を行い、各臓器の重量を測定した。結果を表7に示した。
前記試験例2−1の経過観察の結果、全ての投与群において、特に異常は見られなかった。図5Aの結果から、レンツトレハロースAによる毒性を示すような濃度依存的な体重の減少は、見られなかった。表7の結果から、解剖後の臓器重量についても、特にレンツトレハロースAの濃度依存性は見られなかった。
以上の結果から、500mg/kgまでの投与量では、レンツトレハロースAの静脈注射による毒性は無いといえる。
<試験例2−2:レンツトレハロースAの経口投与>
4週齢の雌ICRマウスに生理食塩水で溶解した各濃度のレンツトレハロースAを経口投与し、その後、2週間の体重変化を観察した。結果を図5Bに示した。
図5B中、「○及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを投与しなかった場合(Normal)の結果であり、「●及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを500mg/kg/0.4mLで投与した場合の結果であり、「■及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを250mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▲及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを125mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「×及び実線」で示したものは、レンツトレハロースAを62.5mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「●及び破線」で示したものは、レンツトレハロースAを31.25mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「■及び破線」で示したものは、レンツトレハロースAを15.6mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▲及び破線」で示したものは、レンツトレハロースAを7.8mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果である。
また、各濃度のレンツトレハロースAを経口投与し、2週間後に解剖を行い、各臓器の重量を測定した。結果を表8に示した。
前記試験例2−2の経過観察の結果、全ての投与群において、特に異常は見られなかった。図5Bの結果から、レンツトレハロースAによる毒性を示すような濃度依存的な体重の減少は、見られなかった。表8の結果から、解剖後の臓器重量についても、特にレンツトレハロースAの濃度依存性は見られなかった。
以上の結果から、500mg/kgまでの投与量では、レンツトレハロースAの経口投与による毒性は無いといえる。
<試験例2−3:レンツトレハロースBの静脈注射>
4週齢の雌ICRマウスに、生理食塩水で溶解させた各濃度のレンツトレハロースBを静脈注射し、その後、2週間の体重変化を観察した。結果を図5Cに示した。
図5C中、「○及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを投与しなかった場合(Normal)の結果であり、「●及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを500mg/kg/0.4mLで投与した場合の結果であり、「▲及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを250mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「■及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを125mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「◆及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを62.5mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▼及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを31.25mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果である。
また、各濃度のレンツトレハロースBを静脈注射し、2週間後に解剖を行い、各臓器の重量を測定した。結果を表9に示した。
前記試験例2−3の経過観察の結果、全ての投与群において、特に異常は見られなかった。図5Cの結果から、レンツトレハロースBによる毒性を示すような濃度依存的な体重の減少は、見られなかった。表9の結果から、解剖後の臓器重量についても、特にレンツトレハロースBの濃度依存性は見られなかった。
以上の結果から、500mg/kgまでの投与量では、レンツトレハロースBの静脈注射による毒性は無いといえる。
<試験例2−4:レンツトレハロースBの経口投与>
4週齢の雌ICRマウスに生理食塩水で溶解した各濃度のレンツトレハロースBを経口投与し、その後、2週間の体重変化を観察した。結果を図5Dに示した。
図5D中、「○及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを投与しなかった場合(Normal)の結果であり、「●及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを500mg/kg/0.4mLで投与した場合の結果であり、「▲及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを250mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「■及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを125mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「◆及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを62.5mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▼及び実線」で示したものは、レンツトレハロースBを31.25mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果である。
また、各濃度のレンツトレハロースBを経口投与し、2週間後に解剖を行い、各臓器の重量を測定した。結果を表10に示した。
前記試験例2−4の経過観察の結果、全ての投与群において、特に異常は見られなかった。図5Dの結果から、レンツトレハロースBによる毒性を示すような濃度依存的な体重の減少は、見られなかった。表10の結果から、解剖後の臓器重量についても、特にレンツトレハロースBの濃度依存性は見られなかった。
以上の結果から、500mg/kgまでの投与量では、レンツトレハロースBの経口投与による毒性は無いといえる。
<試験例2−5:レンツトレハロースCの静脈注射>
4週齢の雌ICRマウスに、生理食塩水で溶解させた各濃度のレンツトレハロースCを静脈注射し、その後、2週間の体重変化を観察した。結果を図5Eに示した。
図5E中、「○及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを投与しなかった場合(Normal)の結果であり、「●及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを500mg/kg/0.4mLで投与した場合の結果であり、「▲及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを250mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「■及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを125mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「◆及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを62.5mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▼及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを31.25mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果である。
また、各濃度のレンツトレハロースCを静脈投与し、2週間後に解剖を行い、各臓器の重量を測定した。結果を表11に示した。
前記試験例2−5の経過観察の結果、全ての投与群において、特に異常は見られなかった。図5Eの結果から、レンツトレハロースCによる毒性を示すような濃度依存的な体重の減少は、見られなかった。表11の結果から、解剖後の臓器重量についても、特にレンツトレハロースCの濃度依存性は見られなかった。
以上の結果から、500mg/kgまでの投与量では、レンツトレハロースCの静脈注射による毒性は無いといえる。
<試験例2−6:レンツトレハロースCの経口投与>
4週齢の雌ICRマウスに生理食塩水で溶解した各濃度のレンツトレハロースCを経口投与し、その後、2週間の体重変化を観察した。結果を図5Fに示した。
図5F中、「○及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを投与しなかった場合(Normal)の結果であり、「●及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを500mg/kg/0.4mLで投与した場合の結果であり、「▲及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを250mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「■及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを125mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「◆及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを62.5mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果であり、「▼及び実線」で示したものは、レンツトレハロースCを31.25mg/kg/0.2mLで投与した場合の結果である。
また、各濃度のレンツトレハロースCを経口投与し、2週間後に解剖を行い、各臓器の重量を測定した。結果を表12に示した。
前記試験例2−6の経過観察の結果、全ての投与群において、特に異常は見られなかった。図5Fの結果から、レンツトレハロースCによる毒性を示すような濃度依存的な体重の減少は、見られなかった。表12の結果から、解剖後の臓器重量についても、特にレンツトレハロースCの濃度依存性は見られなかった。
以上の結果から、500mg/kgまでの投与量では、レンツトレハロースCの経口投与による毒性は無いといえる。
(試験例3:オートファジー誘導活性試験)
<試験例3−1>
トレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCのオートファジー誘導活性を以下のようにして試験した。
ヒト培養メラノーマ株Mewo(独立行政法人医薬基盤研究所 JCRB 生物資源バンクより入手)、又はヒト培養卵巣がん細胞株OVK18(理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を10体積% FBS入りDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM、日水製薬株式会社製)に懸濁し、1ウェルあたり1.6×10cells/200μLで96ウェルプレートに播いた。
37℃で3日間培養後、各ウェルより100μLの培地を取り出し、それぞれの処理濃度分のトレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、又はレンツトレハロースCを溶解させた後、元のウェルに戻した。
37℃で24時間培養後、培地を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(DSファーマバイオメディカル株式会社製)で1回洗浄後、2×SDS−PAGEサンプルバッファー(125mM Tris−HCl(pH 6.8)、 4% SDS、 10% シュークロース) 50μLで細胞を溶解した。
前記細胞を溶解させた細胞溶解液のタンパク質量をBCA法により測定し、5μg分をSDS−PAGE(12.5% プレキャストゲル、株式会社アプロサイエンス製)にかけた。
泳動物をブロッター(株式会社バイオクラフト製)により、12Vで40分間、PVDF膜(Merck KGaA)に転写した。
前記PVDF膜を、3% スキムミルク(雪印メグミルク株式会社製)、0.05% Tween 20入りTris緩衝液(0.05% Tween−TBS、タカラバイオ株式会社製)で1時間ブロッキング処理した。
0.05% Tween−TBSで5分間、3回洗浄した後、0.3% スキムミルク入り0.05% Tween−TBSで1/2,000に希釈した抗LC3抗体(株式会社医学生物学研究所製)を2時間反応させた。
0.05% Tween−TBSで5分間、3回洗浄した後、0.3% スキムミルク入り0.05% Tween−TBSで1/2,000に希釈したHRP標識抗ウサギIgG抗体(Cell Signaling Technology, Inc.)を1時間反応させた。
0.05% Tween−TBSで5分間、3回洗浄した後、ECLプライム(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)で処理を行い、発光をLAS−3000(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)で検出した。結果を図6A〜図6Dに示した。
図6Aは、ヒト培養メラノーマ株Mewoを、トレハロース(TRH)、又はレンツトレハロースA(LTA)で処理した結果を示し、図6Bは、ヒト培養メラノーマ株Mewoを、レンツトレハロースB(LTB)、又はレンツトレハロースC(LTC)で処理した結果を示し、図6Cは、ヒト培養卵巣がん細胞株OVK18を、トレハロース(TRH)、又はレンツトレハロースA(LTA)で処理した結果を示し、図6Dは、ヒト培養卵巣がん細胞株OVK18を、レンツトレハロースB(LTB)、又はレンツトレハロースC(LTC)で処理した結果を示す。なお、図6A〜図6D中、左端の0は、トレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、又はレンツトレハロースCで処理しなかった(コントロール)場合の結果を示す。
図6A〜図6Dの結果から、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCは、いずれもトレハロースと同様に、100mM程度で各がん細胞株にオートファジーを誘導し、オートファジーのマーカーであるLC3の発現量を上昇させた。
<試験例3−2>
トレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCのオートファジー誘導活性を以下のようにして試験した。
ヒト培養メラノーマ株Mewo(独立行政法人医薬基盤研究所 JCRB 生物資源バンクより入手)、又はヒト培養卵巣がん細胞株OVK18(理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を10体積% FBS入りDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM、日水製薬株式会社製)に懸濁し、1ウェルあたり8.0×10cells/200μLで96ウェルプレートに播いた。
37℃で4日間培養後、各ウェルより100μLの培地を取り出し、処理濃度が100mMとなるように、トレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、又はレンツトレハロースCを溶解させた後、元のウェルに戻した。
37℃で24時間培養後、DMEMで1/10に希釈したCyto−ID(登録商標)Green検出試薬(Enzo Life Sciences, Inc.)を4μL/ウェルで培地に加え、細胞を処理した。
前記処理の30分間後、培地をリン酸緩衝生理食塩水と交換し、蛍光顕微鏡(Nikon ECLIPSE TE2000−U B filter(Ex.420−490、 Em. 520)で蛍光観察した。
なお、トレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、又はレンツトレハロースCで処理しなかった(コントロール)場合も同様にして試験した。
結果を図6Eに示した。
図6E中、「Mewo」はヒト培養メラノーマ株Mewoを表し、「OVK18」はヒト培養卵巣がん細胞株OVK18を表し、「PC」は位相差像を表し、「Cyto−ID」はCyto−ID(登録商標)Green検出試薬を検出した像を表す。また、「TRH」はトレハロース、「LTA」はレンツトレハロースA、「LTB」はレンツトレハロースB、「LTC」はレンツトレハロースCを表す。
オートファジーのマーカー色素であるCyto−ID(登録商標)Green検出試薬による細胞染色の結果、図6Eに示すように、コントロールの細胞に比べ、トレハロース、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、又はレンツトレハロースCで処理した細胞では、色素の局在が核以外の細胞全体に広がり、オートファジーの活性化が確認された。
前記試験例1の結果をふまえると、トレハロースは、動物体内で速やかに分解されてグルコースとなるため、すぐに効果がなくなると考えられる。
一方、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCは、オートファジーの誘導活性自体はトレハロースと同程度であるものの、トレハレースにより分解されないことから、体内でより安定であると考えられ、トレハロースよりも低い濃度での効果が期待できる。また、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCは、血糖値を上げず、還元性の無い状態のまま循環するため、肥満や血管障害の原因となりにくいと考えられる。
(試験例4:抗酸化活性試験)
<試験例4−1>
トレハロース、及びレンツトレハロースBの抗酸化作用を、OxiSelectTM Oxygen Radical Antioxidant Capacity (ORAC) Activity Assay(Cell Biolabs, Inc.)を用い、前記製品の説明書に記載の方法に従って調べた。なお、ポジティブコントロールとして、水溶性ビタミンE類縁体であるトロロックス(Trolox)を用いた。
前記OxiSelectTM Oxygen Radical Antioxidant Capacity (ORAC) Activity Assayは、対象物質存在下において、活性酸素による蛍光物質の分解を継時的に観測し、その物質の抗酸化作用を調べる系である。
トレハロースの結果を図7A、レンツトレハロースBの結果を図7B、トロロックスの結果を図7Cに示す。
図7A〜図7C中、「○」は水のみの場合の結果を示し、「●」はトレハロース、レンツトレハロースB、又はトロロックスの濃度が100μMの場合の結果を示し、「■」はトレハロース、レンツトレハロースB、又はトロロックスの濃度が50μMの場合の結果を示し、「▲」はトレハロース、レンツトレハロースB、又はトロロックスの濃度が25μMの場合の結果を示す。
図7A〜図7Cの結果から、トロロックスと比べると弱いものの、レンツトレハロースBは、抗酸化作用が見られた(ORAC値 207.3(μmole TE/g))。一方、トレハロースは、抗酸化作用が見られず、むしろ活性酸素による蛍光物質の分解が促進されていた。
<試験例4−2>
レンツトレハロースBを、水又は15% H水で1mMとなるように溶解し、常温で6日間静置した後、質量分析装置として、The AccuTOF JMS−T100LC(JEOL)を用い、溶解物の分子量を測定した。
レンツトレハロースBを水に溶解させた場合の結果を図7D、レンツトレハロースBをH水に溶解させた場合の結果を図7Eに示す。
図7Dの結果から、レンツトレハロースBは、水中では、常温で6日間後も安定であり、[M+Na](433.18)と、そのNa塩のピーク(455.17)とが検出された。一方、15% H水中では、Oが1つ結合したもの(449.18)、Hが結合したもの(467.19)、及び更にもう1つOが結合したもの(483.20)が検出された。
レンツトレハロースBは活性酸素をトラップしやすいものと思われ、それが抗酸化作用の主因であると考えられる。
(試験例5:甘味試験)
レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCの甘味について、以下のようにして試験した。
評価者は、A〜Jの10人(男性5人、女性5人)とした。
試料として、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、レンツトレハロースC、トレハロース、及びシュークロースのそれぞれについて、500mg/mLの水溶液を作製した。
評価者に、水と、試料名を伏せて前記試料とを、20μLずつ渡した。
前記試料のうち10μLを舐め、残りの10μLは、必要に応じて再確認に用いた。
評価者は、水を最初に舐め、その後、前記試料を順に舐めた。なお、前記試料の順番は、評価者ごとに違う順番となるように調整した。
水を0ポイント、最も甘かった試料を10ポイントとし、それ以外の試料について相対的な点数を付けるか、又は、水を0ポイント、最初の試料を10ポイントとし、それ以外の試料について相対的な点数を付けた。
各評価者の評価について、シュークロースが10ポイントとなるように換算した。前記換算したポイントの平均値を算出し、任意甘味度とした。結果を表13に示す。
表13の結果から、レンツトレハロースA、レンツトレハロースB、及びレンツトレハロースCは、トレハロースと同程度の甘味を有しており、甘味料としても用いることができることがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 下記構造式(A)で表される化合物、下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とするオートファジー誘導剤である。
<2> 下記構造式(B)で表されることを特徴とする化合物である。
<3> 下記構造式(C)で表されることを特徴とする化合物である。
<4> 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
レンツィア(Lentzea)属に属し、下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程とを含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
<5> レンツィア(Lentzea)属に属し、構造式(B)で表される化合物、及び構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物が、受託番号NITE BP−01586のレンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8株である前記<4>に記載の化合物の製造方法である。
<6> 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする化合物含有組成物である。
<7> 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする甘味料である。
<8> 下記構造式(B)で表される化合物を含むことを特徴とする抗酸化剤である。
NITE BP−01586

Claims (8)

  1. 下記構造式(A)で表される化合物、下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とするオートファジー誘導剤。
  2. 下記構造式(B)で表されることを特徴とする化合物。
  3. 下記構造式(C)で表されることを特徴とする化合物。
  4. 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかの製造方法であって、
    レンツィア(Lentzea)属に属し、下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物を培養する培養工程と、
    前記培養工程で得られた培養物から下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを採取する採取工程とを含むことを特徴とする化合物の製造方法。
  5. レンツィア(Lentzea)属に属し、構造式(B)で表される化合物、及び構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを生産する能力を有する微生物が、受託番号NITE BP−01586のレンツィア エスピー(Lentzea sp.)ML457−mF8株である請求項4に記載の化合物の製造方法。
  6. 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする化合物含有組成物。
  7. 下記構造式(B)で表される化合物、及び下記構造式(C)で表される化合物の少なくともいずれかを含むことを特徴とする甘味料。
  8. 下記構造式(B)で表される化合物を含むことを特徴とする抗酸化剤。
JP2016552140A 2014-09-30 2015-09-30 新規化合物、その製造方法、及びその用途 Active JP6660301B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014200748 2014-09-30
JP2014200748 2014-09-30
PCT/JP2015/077822 WO2016052656A1 (ja) 2014-09-30 2015-09-30 新規化合物、その製造方法、及びその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016052656A1 JPWO2016052656A1 (ja) 2017-07-27
JP6660301B2 true JP6660301B2 (ja) 2020-03-11

Family

ID=55630680

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016552140A Active JP6660301B2 (ja) 2014-09-30 2015-09-30 新規化合物、その製造方法、及びその用途

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6660301B2 (ja)
WO (1) WO2016052656A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2023032788A1 (ja) * 2021-09-06 2023-03-09

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6130224B2 (ja) * 2013-05-27 2017-05-17 公益財団法人微生物化学研究会 新規化合物レンツトレハロース、その製造方法、及びその用途、並びに、新規微生物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2016052656A1 (ja) 2016-04-07
JPWO2016052656A1 (ja) 2017-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Belghit et al. Activity of 2, 4-Di-tert-butylphenol produced by a strain of Streptomyces mutabilis isolated from a Saharan soil against Candida albicans and other pathogenic fungi
WO2011148959A1 (ja) 新規環状ペプチド化合物とその製造方法及び感染症治療薬、抗生物質含有画分、その抗生物質及びその抗生物質の製造方法並びに抗生物質産生微生物及びそれが産生した抗生物質
KR20210036855A (ko) 암 치료를 위한 절대혐기성 인체 장내미생물 및 이의 용도
JP6130224B2 (ja) 新規化合物レンツトレハロース、その製造方法、及びその用途、並びに、新規微生物
JPS60115599A (ja) Bbm―2478a抗生物質
KR20100132518A (ko) 환형 화합물을 생산하는 미생물
JP6660301B2 (ja) 新規化合物、その製造方法、及びその用途
KR101764349B1 (ko) 펩티드 디포밀라제 저해 및 항균 활성을 갖는 신규한 프라비마이신 화합물
CN112830949A (zh) 海洋曲霉菌产生的抗真菌化合物及其制备方法
Mei et al. Synthesis of two new hydroxylated derivatives of spironolactone by microbial transformation
JP6130248B2 (ja) 新規化合物キノフラシン類、その製造方法、及びその用途、並びに新規微生物
US20190127313A1 (en) Antimicrobial agents
WO2005100581A1 (ja) 新規イソクロマン化合物とその抗癌剤等への利用
KR100487703B1 (ko) 생리활성물질tkr1785류,제조방법및미생물
JP6154382B2 (ja) 新規化合物及びその製造方法、並びに、医薬組成物、及び抗腫瘍剤
TW200946678A (en) Aminosuger compound and production method thereof
JP7026185B2 (ja) 新規化合物コッコキノン類、その製造方法、及びその用途、並びに新規微生物
CN114073757B (zh) 环肽化合物及其制备方法和抗病毒用途
JP6238956B2 (ja) 新規化合物、その製造方法、及びその用途、並びに、新規微生物
JP5802518B2 (ja) 新規化合物、その製造方法、及びその用途
CN103467479A (zh) 螺环化合物、其组合物、其制备方法和用途
JP2022090502A (ja) 癌細胞増殖抑制剤
JP5718450B2 (ja) 抗悪性腫瘍剤およびその製造方法と用途
JP2009280526A (ja) 新規versipelostatin誘導体、該誘導体の生産能を有する微生物、及び該微生物を用いた前記誘導体の生産方法、並びに抗がん剤
KR0145942B1 (ko) 신규 항암제 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20170606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170613

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191015

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6660301

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250