JP5799542B2 - 酸化物成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化物成形体及びその製造方法に関する。
一般的に、アクリルと呼ばれるメタクリル樹脂(Polymethylmethacrylate, PMMA)に代表される有機高分子系の材料では、分子量や架橋密度などを制御することで、用途によって要求される様々な特性、例えば、耐傷付き性、耐摩耗性、紫外光耐久性、耐候性、ガス透過性及び誘電特性などの改善を図っている。有機高分子系の材料は比較的低温での熱硬化や光硬化ができることから、特許文献1乃至3に開示されているように、鋳型法による立体造形やリソグラフィープロセスを用いた微細構造形成などの多彩な加工が可能である。
一方、ガラス等の無機材料は優れた耐候性、耐熱性や表面硬度を有する。
また、有機高分子系の材料に比べて優れた耐光性などを有し、無機ガラスに比べて低温で軟化する材料として、特許文献4及び5の有機無機ハイブリッドガラス状物質がある。
特開2000−194142号公報 特開2002−270540号公報 特開2004−71934号公報 特許第4046963号 特許第3910101号
しかしながら、有機高分子系の材料は、無機系の材料に比べ耐熱性や硬度が劣ることは否めない。有機無機ハイブリッドガラス状物質は無機系の材料に比べ硬度が充分でない場合がある。また、無機系の材料は、有機高分子系の材料や有機無機ハイブリッドガラス状物質に比べ成形加工温度が高く、微細加工が困難な場合が多い。そのため、加工性と実使用における耐久性とを兼ね備えた材料の開発が求められている。
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、有機材料の優れた加工性と、無機材料が持つ優れた耐候性、耐熱性及び硬度などの、有機−無機両方の利点を合わせ持つ成形体及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、酸化物部位と有機架橋部位とを含有する成形体に酸化処理を施して、成形体の少なくとも表層を無機ガラス状物質にすると、有機材料の優れた加工性と、無機材料が持つ優れた耐候性、耐熱性及び硬度を併せ持つ成形体が得られることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明の第1の態様として、酸化物部位と有機架橋部位とを含有し、少なくとも表層が無機ガラス状物質である、酸化物成形体が提供される。
また、本発明の第2の態様として、酸化物部位と有機架橋部位とを含有し、少なくとも表層が無機ガラス状物質である酸化物成形体の製造方法であって、下記工程A乃至工程Dの工程を含む、酸化物成形体の製造方法が提供される。
工程A:原料R−M−YとM’−OHとの素反応により、重合性官能基を含む有機基RとM−O−M’結合とを有する前駆体R−M−O−M’を得る工程。
(但し、Rは重合性官能基を含む有機基であり、Yは、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアルコキシ基、または、ハロゲン基であり、M及びM’ は、それぞれ互いに独立して、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。)
工程B:前駆体を含む塗布液を塗布する工程。
工程C:塗布液を光硬化及び/又は熱硬化させる工程。
工程D:硬化後の硬化体の少なくとも表層を酸化処理することにより、該硬化体の少なくとも表層を無機ガラス状物質とせしめる工程。
本発明によれば、従来の有機高分子材料と同等の微細加工が可能であり、また、従来の有機高分子材料と比べて優れた耐久性を有する成形体を得ることができる。従って、本発明の成形体は、種々の光学材料、電子材料及び表面改質材料に応用可能であり、例えば、Low−k材料、低反射率物品、撥水性物品、光導波路、ハードコート、絶縁層、回折光学素子、ガスバリア層、紫外線吸収物品、近赤外線吸収物品、赤外線吸収物品、光学フィルタ、高耐久性塗装、船底塗装、抗菌性物品、及び発光ダイオードをはじめとする発光素子の封止材又は該封止材の表面改質材、及びホログラフィック材料、高耐久性のフィルムやシート材料等への応用が可能である。
実施例1の酸化物成形体の透過率スペクトルを示す図である。 実施例2の酸化物成形体の図面代用の顕微鏡写真である。 実施例3の酸化物成形体の図面代用の顕微鏡写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に限定されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
本発明の酸化物成形体は、酸化物部位と有機架橋部位とを含有し、且つ少なくとも表層が無機ガラス状物質であることを特徴とし、優れた耐候性、耐傷付き性、耐摩耗性及び耐熱性を示す。
本発明において、「酸化物成形体」とは、酸化物部位と有機架橋部位とを含有し、少なくとも表層が無機ガラス状物質である物質から構成されたバルク状、板状、フィルム状、ファイバー状の物品、または、酸化物部位と有機架橋部位とを含有し、少なくとも表層もしくは全体が無機ガラス状物質の物品、または、表層が無機ガラス状の物品が基材表面に密着した物品を意味する。尚、本明細書において、「酸化物成形体」を単に「成形体」とも記載する。また、基材表面に密着した無機ガラス状の物品を単に「被膜」と記載する。
酸化物部位としては、元素M及びM’が酸素原子を介して結合したM−O−M’結合からなるものが挙げられる。前記M−O−M’結合中、M及びM’は、それぞれ互いに独立して、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。
無機ガラス状物質の耐熱性や耐候性の観点から、M及びM’は、ケイ素、ホウ素、チタン、ジルコニウム、及び亜鉛が特に好ましい。また、無機ガラス状物質の物性制御の観点から、M及びM’として、さらに、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含んでいてもよい。また、無機ガラス状物質に着色や特定の波長において光吸収等の機能を付与するために、M及びM’として、さらに、希土類元素や遷移金属元素を含んでいてもよい。
有機架橋部位としては、例えば、下式[1]で表される構造を含む有機部位であり、該有機部位の少なくとも2つの末端において前記元素MとM’にそれぞれ結合している部位が挙げられる。
式[1]中、Xは、水素原子、−OH基、−(C=O)−R基、−(C=O)−OR基、及び、フェニル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基であり、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、nは1以上の整数である。成形体の少なくとも表層を無機ガラス状物質とする処理において、該処理を短時間で行うことができるため、特にXは水素原子、−OH基、−(C=O)−R基であることが好ましい。
無機ガラス状物質としては、例えば、M−O−M’、M−O−M、または、M’−O−M’で表されるオキソ結合から形成された物質が挙げられる。前記M−O−M’、M−O−M、または、M’−O−M’で表される結合中、M及びM’は、それぞれ互いに独立して、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であることが好ましい。
無機ガラス状物質の耐熱性や耐候性の観点から、M及びM’は、ケイ素、ホウ素、チタン、ジルコニウム、及び亜鉛が特に好ましい。また、無機ガラス状物質の物性制御の観点から、M及びM’として、さらに、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含んでいてもよい。アルカリ金属やアルカリ土類金属を含有させることにより、例えば、無機ガラス状物質の軟化温度、ガラス転移温度、熱膨張係数、化学的耐久性等を調整することができる。また、無機ガラス状物質に着色や特定の波長において光吸収等の機能を付与するために、M及びM’として、さらに、希土類元素や遷移金属元素を含んでもよい。希土類元素や遷移金属元素を含有させることにより、例えば、無機ガラス状物質に蛍光特性、レーザー発振特性、磁性等の機能を付与することができる。
無機ガラス状物質の層の厚さは、酸化物成形体の表面から50nm〜10μmであることが好ましい。50nm未満では成形体表面に充分な硬度を付与できない傾向があるため好ましくない。10μm超では無機ガラス状物質の層にクラックが発生し易くなるため好ましくない。無機ガラス状物質の層の厚さは、より好ましくは100nm〜5μmであり、さらに好ましくは200nm〜1μmである。
本発明の酸化物成形体は、微細構造を有するものであることが好ましい。該微細構造は、成形体の表面に形成されていてもよいし、成形体の内部に形成されていてもよい。微細構造を形成することにより、酸化物成形体に、例えば、低反射率性、撥水性、撥油性等の機能を付与することができる。前記のような機能を発現するのに、微細構造は、100nm以上の寸法であることが好ましく、100nm〜200μmの寸法であることがより好ましい。また、微細構造の面内寸法誤差は20nm以下であることが好ましい。より好ましくは面内寸法誤差が10nm以下である。
尚、厚さが10μm以下の被膜の場合、被膜全体を無機ガラス状物質としてもよい。上記の厚さであれば、微細加工により被膜に固定化された微細構造を損なうことなく、耐久性を向上させることができる。
本発明の酸化物成形体の形態は特に限定されないが、好適例として、酸化物部位が複合酸化物部位である薄膜状の酸化物成形体(複合酸化物系薄膜)が挙げられる。該複合酸化物系薄膜は、特に優れた耐候性、耐傷/摩耗性及び光透過性を示す。
複合酸化物系薄膜の複合酸化物部位としては、元素Mと元素M’とが酸素原子を介したM−O−M’結合からなるもののうち、元素Mがチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素M’がホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の13族元素であるものが好ましい。得られる薄膜の透明性の観点から、元素Mとしてケイ素を用い、元素M’としてホウ素を用いた、Si−O−B結合からなることが特に好ましい。
また、複合酸化物系薄膜の無機ガラス状物質は、M−O−M’結合、M−O−M結合、M’−O−M’結合のうち少なくとも1つの結合からなり、元素Mはチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、元素M’はホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の13族元素であるものが好ましい。得られる薄膜の透明性の観点から、Si−O−B結合、Si−O−Si結合、B−O−B結合のうち少なくとも1つの結合からなることが特に好ましい。
上述した本発明の酸化物成形体の製造方法は、下記工程A乃至工程Dの工程を含むことを特徴とする。
工程A:下式[2]の素反応により、重合性官能基を含む有機基RとM−O−M’結合とを有する前駆体R−M−O−M’を得る工程。
式[2]中、Rは重合性官能基を含む有機基であり、Yは、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアルコキシ基、または、ハロゲン基であり、M及びM’ は、それぞれ互いに独立して、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
工程B:前駆体を含む塗布液を塗布する工程。
工程C:塗布液を光硬化及び/又は熱硬化させる工程。
工程D:硬化後の硬化体の少なくとも表層を酸化処理することにより、該硬化体の少なくとも表層を無機ガラス状物質とせしめる工程。
工程Aの反応式[2]の素反応において、R−M−Yとして用いられる物質としては、下式[3]で示される元素Mのアルコキシド、または、ハロゲン化物が挙げられる。
式[3]中、Rは重合性官能基を含む有機基であり、Yは、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアルコキシ基、または、ハロゲン基であり、Mはアルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、sは元素Mの原子価であり、mは0乃至(s−1)で表される正の整数である。上記の複合酸化物系薄膜を形成する場合、一般式[3]のYはアルコキシ基、Mはチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン及び鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である。
一般式[3]がアルコキシドである場合、Yはアルコキシ基であり、該アルコキシ基の炭化水素基が炭素数20以下であると、反応式[2]においてY−Hで表される副生成のアルコール化合物が揮発しやすく系外へ除去しやすいため好ましい。該炭素数が10以下であるとより好ましく、4以下であるとさらに好ましい。炭化水素基は、炭素原子及び水素原子の他に、ハロゲン原子を含んでもよく、また、不飽和炭化水素基を含んでいてもよい。
また、一般式[3]がハロゲン化物である場合、Yはハロゲン基であり、該ハロゲン基としてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、安全性及び反応制御のし易さの観点から、特に、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、タンタル、亜鉛、タングステン、鉛の塩化物が好ましい。
工程Aの反応式[2]の素反応において、M’−OHとして用いられる物質としては、下式[4]で示される元素M’の水酸化物が挙げられる。
式[4]中、M’はアルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、tは元素M’の原子価であり、uは0乃至t−1で表される正の整数である。元素M’がリンの場合、リン酸であってもよいし、亜リン酸であってもよい。上記の複合酸化物系薄膜を形成する場合、一般式[4]のM’は、ホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の13族元素である。
また、工程Aの反応式[2]の素反応において、R−M−Yとして用いられる物質のY基の数と、M’−OHとして用いられる物質のOH基の数は、Y:OH=0.05:0.95〜0.95:0.05であることが好ましい。上記範囲から外れると、収率の低下や未反応成分の残留により得られる成形体の耐候性や硬度が不十分となる傾向がある。より好ましくは、Y:OH=0.1:0.9〜0.9:0.1、さらに好ましくは、Y:OH=0.2:0.8〜0.8:0.2である。
工程Aにおいて、反応式[2]の素反応は、無水かつ無溶媒環境下で行われることが好ましい。該条件では素反応で副生成するアルコール化合物やハロゲン化水素化合物を揮発させて系外へ除去することにより、当該素反応を右辺へ進行させやすいため好ましい。さらに、該条件では素反応で得られる物質が、酸素原子を介してMとM’とが交互に結合した交互共重合体となり、分子構造を制御しやすいため好ましい。従って、Mのアルコキシド、または、ハロゲン化物、及びM’の水酸化物は、無水物であることが好ましい。
工程Aは、反応の促進、及び副生成物のアルコール化合物やハロゲン化水素化合物の除去のため、10〜300℃で、不活性ガスでフローしながら行うことが好ましい。
工程Aで得られた前駆体から、未反応のMのアルコキシドやハロゲン化物、M’の水酸化物、副生成物のアルコール化合物やハロゲン化水素化合物を除去するために、該前駆体を減圧乾燥してもよい。また加熱しながら減圧乾燥を行うことにより、前記除去を促進してもよい。
工程Aで得られた前駆体において、反応収率は10〜90%であることが好ましい。該反応収率は、下式に示すように、反応式[2]の素反応で消費されたY基数とOH基数の総数の、反応前のY基数とOH基数の総数に対する割合である。
反応収率が10%未満であると、反応式[2]の素反応で形成されるM−O−M’結合の数が不十分となり、その結果、得られる成形体の強度が低くなったり、化学的耐久性が低くなったりするため好ましくない。一方、反応収率が90%超であると、反応式[2]の素反応で形成されるM−O−M’結合の数が多くなりすぎ、その結果、前駆体が有機溶媒に溶解し難くなったり、塗布液の粘度が高くなりすぎたりして、成形や微細加工をし難くなるため好ましくない。より好ましい反応収率は20〜60%である。
工程Aで得られた前駆体において、元素MとM’の酸化物のネットワーク構造[−M−O−M’−O−]の繰り返し数vが1〜50であることが好ましい。vが1未満では前駆体を形成できないため好ましくない。一方、vが50超であると、前駆体が有機溶媒に溶解し難くなったり、塗布液の粘度が高くなりすぎたりして、成形や微細加工をし難くなるため好ましくない。より好ましいvは1〜10である。
工程Aで得られた前駆体が液体である場合、そのまま工程Bの塗布液として使用してもよい。粘度調整のために該前駆体に有機溶媒を添加して塗布液としてもよい。また、液温を変えることにより塗布液の粘度を調整してもよい。一方、工程Aで得られた前駆体が固体である場合、該前駆体を有機溶媒に溶解させて塗布液として使用できる。また、固体状の前駆体が加熱により液状となる場合は、必ずしも有機溶媒に溶解させる必要はなく、加熱した状態の液状物をそのまま塗布液として使用してもよい。加熱時の液状物の粘度を調整するために前駆体に有機溶媒を添加してもよい。以下、液体状の前駆体または前駆体が有機溶媒に溶解した液体を「塗布液」という。
有機溶媒は、前駆体を均一に溶解するもの、又は均一に混ざり合うものであればよく、限定はされない。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブタノール)、iso−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール及びメトキシメタノール等のアルコール類、エチレングリコール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(2エトキシエタノール)、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコール並びにその誘導体、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びイソホロンなどのケトン類、並びにこれらの混合液が挙げられる。
有機溶媒を添加する場合、その添加量は、塗布液の総量100質量%に対し、99質量%以下であることが好ましい。
塗布液中に含まれる有機溶媒は、必要であれば、塗布の間にまたは塗布後に、スピン乾燥法、マランゴニ乾燥、加熱乾燥、温風乾燥、真空乾燥などの周知の乾燥方法によって除去されてもよい。
工程Bで塗布された塗布液は、工程Cで光硬化及び/又は熱硬化させた後に、工程Dで硬化体の少なくとも表層を酸化処理することにより、酸化物成形体として成形される。酸化処理した表層の表面上に他の層を形成することにより、積層体としてもよい。
尚、本発明において、「成形」とは、工程Cの後で得られる硬化体が、例えば、バルク状、板状、フィルム状、ファイバー状、基材表面に密着した被膜状となるように、工程Cにおいて塗布液を所望の形状(バルク状、板状、フィルム状、ファイバー状、基材表面に密着した被膜状)で保持することを意味する。例えば、所望の形状に対応したモールドや射出成型の金型等の中で塗布液を保持して工程Cを行って、所望の形状のバルク状や板状やフィルム状の硬化体を得ることができる。また、例えば、ファイバー引きをしながら工程Cを行って、ファイバー状の硬化体を得ることができる。被膜の場合は、工程Bの塗布によって所望の形状とすることができる場合は、その形状を保持して工程Cを行って、所望の形状の被膜状の硬化体を得てもよいし、工程Bの塗布後に塗膜のレベリングを行うことや所望の形状に対応した型を塗膜に押圧することによって所望の形状として、その形状を保持して工程Cを行って、所望の形状の被膜状の硬化体を得てもよい。
より具体的には、被膜(薄膜)を作製する場合、工程Bでの塗布液の基材への塗布方法は、例えば、スピンコート、ディップコート、フローコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷及びフレキソ印刷等の公知手段を採用できる。基材としては、例えば、ガラスや金属及びセラミックスに代表される無機材料や、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びアクリル等の樹脂に代表される有機高分子材料や、これらの複合材料から構成されたフィルム状又はシート状の物品を使用することができる。
バルク体を作製する場合、成形方法は、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、モールド成形、真空・圧空成形、ブロー成形等の公知手段を採用できる。
シートやフィルムを作製する場合、成形方法は、例えば、ロールツーロール法、押出成形、キャスティング法、Tダイ方式、インフレーション方式等の公知手段を採用できる。
封止層を作製する場合、例えば、ディスペンサー等でパッケージ等の枠内に塗布し、後述する光硬化及び/又は熱硬化の後に、硬化体の少なくとも表層を酸化処理することにより、封止層を作製することができる。
基材表面、モールド中、型枠中やパッケージ中に塗布・供給された塗布液は、工程Cにおいて光硬化及び/又は熱硬化される。該硬化工程では、前駆体の重合性官能基が付加反応、付加重合反応、開環反応及び開環重合反応等の架橋反応により架橋構造が形成され、硬化、すなわち形状が固定化される。
すなわち、重合により得られる成形体の有機架橋部位は、重合性官能基を含む有機基Rを光重合反応及び/又は熱重合反応させて得られた部位であると言える。有機架橋部位において一般式[1]で表される構造は、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシ基、グリシロキシ基、オキセタニル基等の重合性官能基が付加反応、付加重合反応、開環反応及び開環重合反応等の架橋反応により形成された構造であることが好ましい。
基材や他の部材やモールド等の型材の耐熱性の観点から、光硬化と熱硬化とを適宜選択することが好ましい。
光硬化させる場合は、塗布液中に光重合開始剤を含有させると効率的に硬化反応を進行できるため好ましい。また、光照射とともに加熱して、硬化反応を促進させてもよい。
熱硬化は、60〜150℃の加熱により行うことが好ましい。熱硬化させる場合は、塗布液中に熱重合開始剤を含有させると効率的に硬化反応を進行できるため好ましい。
工程Cの前に、または工程Cの途中で、硬化前の塗布液の表面および/または内部に100nm以上の寸法の微細構造を形成させることができる。微細構造を形成させる方法は、一般的な微細加工プロセスにより行うことができ、特に限定されないが、例えば、リソグラフィー・リフトオフプロセスやソフトリソグラフィーの他、自己組織的構造形成法、レーザー加工及び一般的な機械加工等が挙げられる。
リソグラフィー・リフトオフプロセスとしては、電子線リソグラフィー・リフトオフ法、レーザーリソグラフィー・リフトオフ法及びフォトリソグラフィー・リフトオフ法等が挙げられる。
ソフトリソグラフィーとしては、マイクロコンタクトプリント法、ナノインプリント法、熱サイクルナノインプリント法、ディップペン・ナノリソグラフィー及びナノトランスファープリント法等が挙げられる。特に、簡便性から、表面にエンボス形状のあるモールドを硬化前の前駆体表面に圧着することにより、該前駆体表面に反転したエンボス形状を転写せしめるナノインプリント法や熱サイクルナノインプリント法が好ましい。
上記の通り、微細加工時及び/又は微細加工後に工程Cを行うことにより、微細構造を含む形状で塗布液を固定化することができる。また、工程Cを所定の時間行った後で、上記微細加工を行ってもよい。その際も、微細加工時及び/又は微細加工後に、工程Cを行うことにより、微細構造を含む形状を固定化することができる。
工程Dでは、工程Cで得られた硬化体の少なくとも表層を酸化処理することにより、該硬化体の少なくとも表層を無機ガラス状物質に変化させる。酸化処理としては、例えば、焼成、酸素プラズマ処理及びオゾン曝露等が挙げられる。酸素プラズマ処理やオゾン曝露は、低温で行うことが可能なため、耐熱性の低い基板上に成膜された薄膜も処理することができる。焼成には必ずしも酸素は必要ないが、酸素存在下で焼成すると成形体が緻密化されるので好ましい。また、焼成は1段階の昇温プロセスで行ってもよいし、多段階の昇温プロセスで行ってもよい。
酸化処理によって、工程Cで得られた硬化体中の有機成分が酸化され消失することにより、該硬化体の少なくとも表層が緻密化される。この緻密化された部分が無機ガラス状物質である。少なくとも表層が無機ガラス状物質であることにより、耐久性や強度に優れる成形体を得ることができる。工程Cで得られた硬化体の表面のみに対して酸化処理を行うと、該硬化体表面のみの有機成分が酸化され消失することになるので、緻密化に伴う収縮量を極めて小さいものとすることができるため、微細構造を有する場合、該構造を損なうことなく表面の耐久性を向上させた成形体を得ることができる。
本発明の工程Aの原料であるR−M−Y、M’−OH以外の成分として、及び/または、塗布液中における前駆体、有機溶媒以外の成分として、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び希土類金属等の金属成分を炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の塩、酸化物や、錯体として含有させてもよい。成形体中に、例えば、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、BaO、PbO、Fe、ZnO、Al、RbO、CsO、GeO、As、Sb、V、Ga、TeO、SnO、CuO、Ta、CeO、TlO、PbF、Bi、P、CdO及びCaF等の金属成分が存在することにより、酸化処理の結果得られる無機ガラス状物質の組成を調整することができる。
また、塗布液には、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、界面活性剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤、顔料、染料、色素、希土類化合物及び蛍光体材料等の成分を含有してもよい。
次に、実施例により本発明を詳細に説明する。
各実施例及び比較例において、塗布液を調製し、塗布液を塗布・硬化し、得られた硬化体に酸化処理を施して、成形体のサンプルを作製した。塗布液の調製並びに成形体の作製方法の詳細については後述する。
[成形体の評価方法]
作製した成形体の評価方法は下記の通りである。
(1)成形体の厚さの測定
表面に微細加工を施していない被膜、すなわち、平滑な表面である被膜を基材上に作製したサンプルについては、Metricon製Model 2010 Prism Couplerを用いて、被膜の厚さを測定した。また、表面に微細加工を施していないバルク体やシートやフィルム状のサンプルについては、マイクロメーターやノギスにより、サンプルの厚さを測定した。
(2)成形体の厚さ方向の組成分析
表面に微細加工を施していない成形体、すなわち、平滑な表面であるサンプルにおいて、グロー放電発光分析により、厚さ方向の組成分析を行った。
(3)鉛筆硬度の測定
表面に微細加工を施していない成形体、すなわち、平滑な表面である成形体のサンプルにおいて、JIS K 5600「塗料一般試験方法」に準拠して、荷重1kgが付加された鉛筆で成形体表面を5回引っ掻き、該表面の破れが2回未満であった鉛筆を鉛筆硬度とした。
(4)微細加工性の測定評価
表面に微細加工を施した成形体については、走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて、該成形体表面の形状を測定した。また、内部に微細加工を施した成形体については、光学的手法により内部の微細構造を評価した。
(5)耐熱性
表面に微細加工を施していない成形体、すなわち、平滑な表面である成形体のサンプルを、200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較した。加熱によって変形やクラックや着色などの外観上の変化がないものを合格(表中で○と表記)とし、外観上変化があったものを不合格(表中で×と表記)とした。なお、表面に微細加工を施した成形体については、上記の外観変化の確認に加え、加熱前後で走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて該成形体表面の形状を測定し、面内寸法の変化量が20nm以下であるものを合格(表中で○と表記)とし、20nm超であるものを不合格(表中で×と表記)とした。
(6)透過率の測定
表面に微細加工を施していない被膜、すなわち、平滑な表面である被膜のサンプルにおいて、日立製U-3500形分光光度計を用いて、波長300〜800nmにおける被膜を形成した基板の透過率を測定した。
[実施例1]
(塗布液の調製)
重合性官能基を含む有機基及びM−O−M’結合を有する前駆体を得るための原料として、無水ホウ酸〔HBO〕(和光純薬工業株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン〔CH=C(CH)C(O)OCSi(OCH〕(信越化学工業株式会社製)を用いた。当該原料を窒素環境下で1:1のモル比(Y基の数:OH基の数=0.5:0.5)で撹拌しながら100℃で3時間反応させて固体状の前駆体を得た。反応式[2]の素反応は、反応容器に窒素ガスを導入し、副生成するメタノールとともに該窒素ガスを系外へ排出しながら行った。固体状の前駆体のNMRスペクトル測定から、反応式[2]の素反応で消費されたY基数とOH基数の総数を算出し、該反応収率を求めたところ、約45%であった。また、NMR測定から、SiとBの酸化物のネットワーク構造[−Si−O−B−O−]の繰り返し数vは2〜3であった。固体状の前駆体をエチレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業株式会社製)に溶解させて、さらに光重合開始剤としてIrgacure 184及び907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を混合して、塗布液の総量100質量%に対し、エチレングリコールモノエチルエーテルが56質量%、光重合開始剤が5質量%(Irgacure 184及び907は、それぞれ、3質量%及び2質量%)の塗布液を得た。
(成形体(被膜状)の作製方法)
上記で得られた塗布液を用いて、スピンコート法により石英ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。その後、500Wの高圧水銀灯を用いて塗膜に30分間光照射することにより、該塗膜を光硬化させた。光硬化反応の完了は、塗布液及び光照射後の膜に対してATR法によって測定した赤外吸収スペクトルの1638cm−1付近のC=C結合に由来する吸収ピークを比較することにより確認した。硬化後の被膜付きの石英ガラス基板を焼成炉で5℃/分で室温から550℃まで昇温し、550℃において3時間焼成した。
(成形体(被膜状)の評価結果)
得られた被膜は、厚さが4μmで、無色透明なものであった。また、グロー放電発光分析による被膜の厚さ方向の組成分析を行ったところ、該被膜において膜表面から石英ガラス基板表面近傍の深さまで、ケイ素、ホウ素及び酸素がそれぞれ偏在することなく一定の濃度で存在しており、膜全体がケイ素、ホウ素及び酸素から構成されていることが分かった。また、被膜の薄膜XRD測定から、アモルファス構造であることが確認できた。従って、本実施例で得られた被膜は、膜全体がケイ素、ホウ素及び酸素から構成される無機ガラス状物質であった。被膜の鉛筆硬度は、10Hでも膜に傷跡が残らなかったため、10H超であることが確認できた。また、石英ガラス基板の表面に被膜を形成したサンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。さらに、図1の透過率スペクトルからわかるように、被膜を形成した基板は近紫外〜可視光波長領域において高い透過率を示した。
[実施例2]
実施例1と同様の塗布液を用いて、ディップコート法によりホウケイ酸ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。塗布後の塗膜に、500Wの高圧水銀灯を用いて3分間光照射した後の膜表面に、約350nm〜約100μmサイズの微細な凹凸パターンが刻まれたポリジメチルシロキサン製モールド(以下、PDMSモールドと表記する)を数秒間圧着して、該PDMSモールドを剥離した後、500Wの高圧水銀灯を用いて60分間光照射することにより、該塗膜を光硬化させた。尚、微細な凹凸パターンが刻まれたPDMSモールドは、石英製ナノインプリント用モールド(NTT-AT MIN-PHシリーズ)から構造を転写したものを用いた。実施例1と同様に光硬化反応の完了を確認した後で、硬化後の被膜付きのホウケイ酸ガラス基板を、実施例1と同様に焼成炉で焼成した。得られた被膜は、無色透明なものであり、図2に示すように表面に微細な凹凸パターンがあることが確認できた。該被膜表面の凹凸パターンと、それに対応する石英製ナノインプリント用モールドの凹凸パターンをそれぞれ走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)で測定したところ、面内寸法誤差は10nm未満であり、高精度な微細加工を被膜表面に施せることが確認できた。さらに、表面に微細な凹凸パターンを有する被膜を形成したホウケイ酸ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、また、加熱前後で走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて、該成形体表面の形状を測定したところ、面内寸法の変化量は10nm未満であり、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1と同様の塗布液を用いて、ディップコート法によりホウケイ酸ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。塗布後の塗膜に、He−Cdレーザー(波長325nm)を用いた二光束干渉法により60分間光照射することによって、該塗膜を光硬化させ、膜表面に約2μmピッチの微細なグレーティング構造の形成を行った。その後、エタノールで未硬化部を洗い流すことにより、膜表面に微細なグレーティング構造を得た。硬化後の被膜付きのホウケイ酸ガラス基板を焼成炉で1℃/分で室温から550℃まで昇温し、550℃において3時間焼成した。得られた被膜は、顕微鏡観察により、図3に示すように表面に微細なグレーティング構造が形成されていることが確認できた。該被膜表面のグレーティング構造を走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)で測定し、干渉光の入射角度と波長から計算されるピッチサイズと比較したところ、周期の誤差は10nm未満であり、高精度な微細加工を被膜表面に施せることが確認できた。さらに、表面に微細な凹凸パターンを有する被膜を形成したホウケイ酸ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、また、加熱前後で走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて、該成形体表面の形状を測定したところ、面内寸法の変化量は10nm未満であり、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[実施例4]
(塗布液の調製)
重合性官能基を含む有機基及びM−O−M’結合を有する前駆体を得るための原料として、ジフェニルシランジオール〔(CSi(OH)〕(信越化学工業株式会社製)、チタン−O−アリロキシポリエチレンオキシトリイソプロポキシド〔CH=CHCH(OCHCH10−O−Ti(OCH(CH〕(Gelest社製)を用いた。当該原料を窒素環境下で1:0.2のモル比(Y基の数:OH基の数=3:0.8)で撹拌しながら80℃で16時間反応させて液体状の前駆体を得た。反応式[2]の素反応は、反応容器に窒素ガスを導入し、副生成するイソプロパノールとともに該窒素ガスを系外へ排出しながら行った。液体状の前駆体のNMRスペクトル測定から、反応式[2]の素反応で消費されたY基数とOH基数の総数を算出し、該反応収率を求めたところ、約57%であった。また、NMR測定から、SiとTiの酸化物のネットワーク構造[−Si−O−Ti−O−]の繰り返し数vは2〜3であった。液体状の前駆体をエタノール(和光純薬工業株式会社製)に溶解させて、さらに光重合開始剤としてIrgacure 369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を混合して、塗布液の総量100質量%に対し、エタノールが40質量%、光重合開始剤が5質量%の塗布液を得た。
(成形体(被膜状)の作製方法)
上記で得られた塗布液を用いて、スピンコート法により石英ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。その後、500Wの高圧水銀灯を用いて前記塗膜に30分間光照射することにより、該塗膜を光硬化させた。光硬化反応の完了は、塗布液及び光照射後の膜に対してATR法によって測定した赤外吸収スペクトルの1638cm−1付近のC=C結合に由来する吸収ピークを比較することにより確認した。硬化後の被膜付きの石英ガラス基板を焼成炉で5℃/分で室温から550℃まで昇温し、550℃において3時間焼成した。
(成形体(被膜状)の評価結果)
得られた被膜は、厚さが4μmで、無色透明なものであった。また、グロー放電発光分析による被膜の厚さ方向の組成分析を行ったところ、該被膜において膜表面から石英ガラス基板表面近傍の深さまで、ケイ素、チタン及び酸素がそれぞれ偏在することなく一定の濃度で存在しており、膜全体がケイ素、チタン及び酸素から構成されていることが分かった。また、被膜の薄膜XRD測定から、アモルファス構造であることが確認できた。従って、本実施例で得られた被膜は、膜全体がケイ素、チタン及び酸素から構成される無機ガラス状物質であった。被膜の鉛筆硬度は、10Hでも膜に傷跡が残らなかったため、10H超であることが確認できた。また、表面に被膜を形成した石英ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例4と同様の塗布液を用いて、ディップコート法によりホウケイ酸ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。塗布後の塗膜に、500Wの高圧水銀灯を用いて3分間光照射した後の膜表面に、約350nm〜約100μmサイズの微細な凹凸パターンが刻まれたPDMSモールドを数秒間圧着して、該PDMSモールドを剥離した後、500Wの高圧水銀灯を用いて60分間光照射することにより、該塗膜を光硬化させた。尚、微細な凹凸パターンが刻まれたPDMSモールドは、石英製ナノインプリント用モールド(NTT-AT MIN-PHシリーズ)から構造を転写したものを用いた。実施例4と同様に光硬化反応の完了を確認した後で、硬化後の被膜付きのホウケイ酸ガラス基板を、実施例4と同様に焼成炉で焼成した。得られた被膜は、無色透明なものであり、表面に微細な凹凸パターンがあることが確認できた。該被膜表面の凹凸パターンと、それに対応する前記の石英製ナノインプリント用モールドの凹凸パターンをそれぞれ走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S−4800)で測定したところ、面内寸法誤差は10nm未満であり、高精度な微細加工を被膜表面に施せることが確認できた。さらに、表面に微細な凹凸パターンを有する被膜を形成したホウケイ酸ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、また、加熱前後で走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて、該成形体表面の形状を測定したところ、面内寸法の変化量は10nm未満であり、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例4と同様の塗布液を用いて、ディップコート法によりホウケイ酸ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。塗布後の塗膜に、He−Cdレーザー(波長325nm)を用いた二光束干渉法により60分間光照射することによって、該塗膜を光硬化させ、膜表面に約2μmピッチの微細なグレーティング構造の形成を行った。その後、エタノールで未硬化部を洗い流すことにより、膜表面に微細なグレーティング構造を得た。硬化後の被膜付きのホウケイ酸ガラス基板を焼成炉で1℃/分で室温から550℃まで昇温し、550℃において3時間焼成した。得られた被膜は、顕微鏡観察により、表面に微細なグレーティング構造が形成されていることが確認できた。該被膜表面のグレーティング構造を走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)で測定し、前記の干渉光の入射角度と波長から計算されるピッチサイズと比較したところ、周期の誤差は10nm未満であり、高精度な微細加工を被膜表面に施せることが確認できた。さらに、表面に微細な凹凸パターンを有する被膜を形成したホウケイ酸ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、また、加熱前後で走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて、該成形体表面の形状を測定したところ、面内寸法の変化量は10nm未満であり、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[実施例7]
(塗布液の調製)
重合性官能基を含む有機基及びM−O−M’結合を有する前駆体を得るための原料として無水ホウ酸〔HBO〕(和光純薬工業株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン〔CH=C(CH)C(O)OCSi(OCH〕(信越化学工業株式会社製)、チタンテトライソプロポキシド〔Ti(OCH(CH〕(和光純薬工業株式会社製)を用いた。無水ホウ酸、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、チタンテトライソプロポキシドを窒素環境下で1:1:0.1のモル比(Y基の数すなわちメトキシ基とイソプロポキシ基の合計数:OH基の数=15:17)で撹拌しながら80℃で6時間反応させて固体状の前駆体を得た。反応式[2]の素反応は、反応容器に窒素ガスを導入し、副生成するメタノール、イソプロパノールとともに該窒素ガスを系外へ排出しながら行った。固体状の前駆体のNMRスペクトル測定から、反応式[2]の素反応で消費されたY基数とOH基数の総数を算出し、該反応収率を求めたところ、約50%であった。また、NMR測定から、SiとTiとBの酸化物のネットワーク構造[−M−O−M’−O−](本実施例において、MはSiおよびTi、M’はBである)の繰り返し数vは3〜4であった。固体状の前駆体を2エトキシエタノール(和光純薬工業株式会社製)に溶解させて、さらに光重合開始剤としてIrgacure 184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を混合して、塗布液の総量100質量%に対し、2エトキシエタノールが60質量%、光重合開始剤が5質量%の塗布液を得た。
(成形体(被膜状)の作製方法)
上記で得られた塗布液を用いて、スピンコート法により石英ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。その後、500Wの高圧水銀灯を用いて前記塗膜に30分間光照射することにより、該塗膜を光硬化させた。光硬化反応の完了は、塗布液及び光照射後の膜に対してATR法によって測定した赤外吸収スペクトルの1638cm−1付近のC=C結合に由来する吸収ピークを比較することにより確認した。硬化後の被膜付きの石英ガラス基板を焼成炉で5℃/分で室温から550℃まで昇温し、550℃において3時間焼成した。
(成形体(被膜状)の評価結果)
得られた被膜は、厚さが4μmで、無色透明なものであった。また、グロー放電発光分析による被膜の厚さ方向の組成分析を行ったところ、該被膜において膜表面から石英ガラス基板表面近傍の深さまで、ケイ素、ホウ素、チタン及び酸素がそれぞれ偏在することなく一定の濃度で存在しており、膜全体がケイ素、ホウ素、チタン及び酸素から構成されていることが分かった。また、被膜の薄膜XRD測定から、アモルファス構造であることが確認できた。従って、本実施例で得られた被膜は、膜全体がケイ素、ホウ素、チタン及び酸素から構成される無機ガラス状物質であった。前記被膜の鉛筆硬度は、10Hでも膜に傷跡が残らなかったため、10H超であることが確認できた。また、表面に被膜を形成した石英ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例7と同様の塗布液を用いて、ディップコート法によりホウケイ酸ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。塗布後の塗膜に、500Wの高圧水銀灯を用いて3分間光照射した後の膜表面に、約350nm〜約100μmサイズの微細な凹凸パターンが刻まれたPDMSモールドを数秒間圧着して、該PDMSモールドを剥離した後、500Wの高圧水銀灯を用いて60分間光照射することにより、該塗膜を光硬化させた。尚、微細な凹凸パターンが刻まれたPDMSモールドは、石英製ナノインプリント用モールド(NTT-AT MIN-PHシリーズ)から構造を転写したものを用いた。実施例7と同様に光硬化反応の完了を確認した後で、硬化後の被膜付きのホウケイ酸ガラス基板を、実施例7と同様に焼成炉で焼成した。得られた被膜は、無色透明なものであり、表面に微細な凹凸パターンがあることが確認できた。該被膜表面の凹凸パターンと、それに対応する前記の石英製ナノインプリント用モールドの凹凸パターンをそれぞれ走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)で測定したところ、面内寸法誤差は10nm未満であり、高精度な微細加工を被膜表面に施せることが確認できた。さらに、表面に微細な凹凸パターンを有する被膜を形成したホウケイ酸ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、また、加熱前後で走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて、該成形体表面の形状を測定したところ、面内寸法の変化量は10nm未満であり、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例7と同様の塗布液を用いて、ディップコート法によりホウケイ酸ガラス基板(寸法:約40mm×25mm、厚さ:1mm)表面に塗布を行った。塗布後の塗膜に、He−Cdレーザー(波長325nm)を用いた二光束干渉法により60分間光照射することによって、該塗膜を光硬化させ、膜表面に約2μmピッチの微細なグレーティング構造の形成を行った。その後、エタノールで未硬化部を洗い流すことにより、膜表面に微細なグレーティング構造を得た。硬化後の被膜付きのホウケイ酸ガラス基板を焼成炉で1℃/分で室温から550℃まで昇温し、550℃において3時間焼成した。得られた被膜は、顕微鏡観察により、表面に微細なグレーティング構造が形成されていることが確認できた。該被膜表面のグレーティング構造を走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)で測定し、干渉光の入射角度と波長から計算されるピッチサイズと比較したところ、周期の誤差は10nm未満であり、高精度な微細加工を被膜表面に施せることが確認できた。さらに、表面に微細な凹凸パターンを有する被膜を形成したホウケイ酸ガラス基板サンプルを200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって被膜に変形やクラックや着色などの外観上の変化がなく、また、加熱前後で走査型電子顕微鏡(日立製電界放出形走査電子顕微鏡、型番:S-4800)を用いて、該成形体表面の形状を測定したところ、面内寸法の変化量は10nm未満であり、優れた耐熱性を示した。結果を表1に示す。
[比較例1]
シート形状をかたどったPDMSモールド中で市販のPMMAを成形して、厚さ約1mmのシート状成形体を得た。該成形体の鉛筆硬度は2Hであり、本実施例の成形体に比べ表面硬度が低かった。また、前記シート状成形体を200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって黄色に着色した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例2と同様の約350nm〜約100μmサイズの微細な凹凸パターンが刻まれたシート形状をかたどったPDMSモールド中で市販のPMMAを成形して、表面に微細構造を転写したシート状成形体を得た。前記シート状成形体を200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって黄色に着色し、さらに表面の微細構造が変形により維持されていなかった。すなわち、200℃の加熱に対して形状を保持できなかった。結果を表1に示す。
[比較例3]
窒素雰囲気の反応装置中でオルトリン酸〔HPO〕を40℃に加熱して液体にした後に、ジメチルジクロロシラン〔(CHSiCl〕を加え、3時間加熱、撹拌した。その後100℃に加熱し、塩化スズ〔SnCl〕を添加した。それぞれの混合比率は、モル比でHPO:(CHSiCl:SnCl=2:2.5:0.5となるように調整した。さらに窒素雰囲気下250℃で1時間加熱し、軟化温度が123℃の熱可塑性の有機無機ハイブリッドガラス状物質を得た。この物質を、シート形状をかたどったPDMSモールド中で成形して、厚さ約1mmのシート状成形体を得た。該成形体の鉛筆硬度はHBであり、本実施例の成形体に比べ表面硬度が低かった。また、シート状成形体を200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって溶融し形状を保持できなかった。結果を表1に示す。
[比較例4]
窒素雰囲気の反応装置中で亜リン酸〔HPO〕に、ジメチルジクロロシラン〔(CHSiCl〕を加え、室温で3時間撹拌した。その後、塩化スズ〔SnCl〕を添加した。それぞれの混合比率は、モル比でHPO: (CHSiCl:SnCl=1:0.5:0.5となるように調整した。さらに窒素雰囲気下160℃で3時間、200℃で3時間、加熱し、軟化温度が72℃の熱可塑性の有機無機ハイブリッドガラス状物質を得た。この物質を、シート形状をかたどったPDMSモールド中で成形して、厚さ約1mmのシート状成形体を得た。該成形体の鉛筆硬度は2Hであり、上記実施例の成形体に比べ表面硬度が低かった。また、シート状成形体を200℃で1時間加熱し、加熱前後の外観を比較したところ、加熱によって溶融し形状を保持できなかった。結果を表1に示す。
上述の通り、本発明の成形体は、従来の有機高分子材料と同等の微細加工が可能であり、また、従来の有機高分子材料と比べて優れた耐久性を得ることができる。従って、本発明の成形体は、種々の光学材料、電子材料及び表面改質材料に応用可能であり、例えば、Low−k材料、低反射率物品、撥水性物品、光導波路、ハードコート、絶縁層、回折光学素子、ガスバリア層、紫外線吸収物品、近赤外線吸収物品、赤外線吸収物品、光学フィルタ、高耐久性塗装、船底塗装、抗菌性物品、及び発光ダイオードをはじめとする発光素子の封止材又は該封止材の表面改質材、及びホログラフィック材料、高耐久性のフィルムやシート材料等への応用が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良可能であることはいうまでもない。

Claims (7)

  1. 下記工程A乃至工程Dを含み、工程Cの途中で、硬化前の塗布液の表面及び/又は内部に100nm以上の寸法の微細加工を施すことを特徴とする、
    微細加工を施した無機ガラス状物質からなる酸化物成形体の製造方法。
    工程A:下式[2]の素反応により、重合性官能基を含む有機基RとM−O−M’結合とを有する前駆体R−M−O−M’を得る工程。

    (式[2]中、Rは重合性官能基を含む有機基であり、Yは、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアルコキシ基、または、ハロゲン基であり、M及びM’は、それぞれ互いに独立して、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。)
    工程B:前駆体を含む塗布液を基材に塗布する工程。
    工程C:塗布液を光硬化及び/又は熱硬化させて硬化体とする工程。
    工程D:硬化体を酸化処理することにより、該硬化体を無機ガラス状物質とせしめる工程。
  2. 前記微細加工が、リソグラフィー・リフトオフプロセスによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の酸化物成形体の製造方法。
  3. 前記リソグラフィー・リフトオフプロセスが、電子線リソグラフィー・リフトオフ法、レーザーリソグラフィー・リフトオフ法又はフォトリソグラフィー・リフトオフ法であることを特徴とする、請求項2に記載の酸化物成形体の製造方法。
  4. 前記リソグラフィー・リフトオフプロセスが、二光束干渉法を利用したものであることを特徴とする、請求項2に記載の酸化物成形体の製造方法。
  5. 下記工程A乃至工程Dを含み、工程Cの前に、または工程Cの途中で、リソグラフィー・リフトオフプロセスによって、硬化前の塗布液の表面及び/又は内部に100nm以上の寸法の微細加工を施すことを特徴とする、
    微細加工を施した無機ガラス状物質からなる酸化物成形体の製造方法。
    工程A:下式[2]の素反応により、重合性官能基を含む有機基RとM−O−M’結合とを有する前駆体R−M−O−M’を得る工程。

    (式[2]中、Rは重合性官能基を含む有機基であり、Yは、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアルコキシ基、または、ハロゲン基であり、M及びM’は、それぞれ互いに独立して、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、インジウム、スズ、鉛、リン、ホウ素、ガリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ネオジム、プラセオジム、エルビウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、亜鉛、タングステン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、及び、モリブデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。)
    工程B:前駆体を含む塗布液を基材に塗布する工程。
    工程C:塗布液を光硬化及び/又は熱硬化させて硬化体とする工程。
    工程D:硬化体を酸化処理することにより、該硬化体を無機ガラス状物質とせしめる工程。
  6. 前記リソグラフィー・リフトオフプロセスが、電子線リソグラフィー・リフトオフ法、レーザーリソグラフィー・リフトオフ法又はフォトリソグラフィー・リフトオフ法であることを特徴とする、請求項5に記載の酸化物成形体の製造方法。
  7. 前記リソグラフィー・リフトオフプロセスが、二光束干渉法を利用したものであることを特徴とする、請求項5に記載の酸化物成形体の製造方法。
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