JP5796901B2 - インクジェット用圧着紙 - Google Patents

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本発明は、圧着はがきや配送伝票等に好適に用いられ、基材シートの少なくとも片面に感圧接着剤層を設けてなる疑似接着可能なインクジェット用圧着紙に関する
圧着はがきや配送伝票等には、いわゆる先糊方式のインクジェット用圧着紙が用いられている。このインクジェット用圧着紙は、基材シートの少なくとも片面に感圧接着剤層を設けてなり、感圧接着剤層面にインクジェットプリンターにより画像を記録することが可能である。そして、親展面(感圧接着剤層)を片面に有する2枚の用紙の親展面同士を圧着した後、必要時に剥離することができ、剥離することによって親展面に印字されている情報を確認できる。又、1枚の用紙において、片面の感圧接着剤層を内側にして2つ折りとすることも行われる。
上記のインクジェット用圧着紙には、圧着紙として要求される機能に加え、水溶性インクを使用対象とする一般的なインクジェット用紙と同じく、印字品質、インクの耐水性及び耐候性、インクの乾燥性、インクの裏抜け防止性能等が要求される。これらの品質の中でも、圧着はがきの郵送中の雨濡れ等による事故防止の点から、インクの耐水性が特に要求される。
この耐水性は、直接染料又は酸性染料を着色剤とした水溶性インクを用いてインクジェット記録を行った際の耐水性である。この種の水溶性インクは、染料分子中のスルホン基及び/又はカルボキシル基の塩によって染料の水溶化がなされており、染料分子中の水溶性を付与する部分は強い負の電荷を帯びている。従来、水溶性インクによるインクジェット記録画像の耐水化方法として、インク受理層にカチオン性ポリマーを含有させて電荷的に染料分子を捕捉し、インク中の水の蒸発に伴って近接した両者間にファンデルワールス力を働かせて染料分子をインクジェット受理層に固定することが行われている。カチオン性ポリマーとして、具体的には、例えば4級化ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、4級化ポリエチレンイミン、ポリアリルスルフォン、ジシアンジアミド縮合物、ポリエチレンポリアミン系ポリマー、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン等、多くのカチオン性ポリマーが用いられている。
このような水溶性インクによるインクジェット記録画像の耐水化方法として、インク受理層中に多価金属塩類を含有させ、インクの染料を不溶化する方法が開示されている(特許文献1、2)。又、カチオン性ポリマー層上にアニオン性塗工層を形成して2層構造の塗被層を支持体上に設け、その塗被層によってインクの耐水性を改善したインクジェット用紙が開示されている(特許文献3,4)。
又、沈降法合成シリカ、ポリビニルアルコールが分散されたアクリル酸エステル系エマルジョン、カチオン性樹脂及び天然ゴム系エマルジョンを含有する感圧接着層を支持体上に設けたインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着記録用紙が開示されている(特許文献5)。
特開昭55−53591号公報 特開昭60−49990号公報 特開平5−124329号公報 特開平7−149038号公報 特開2004−90593号公報
しかしながら、圧着紙の感圧接着剤層に用いる接着剤組成物はアニオン分散系であり、カチオン性ポリマーや多価金属塩類と反応して凝集が起こるため、これらを同時に混合することができず、感圧接着剤層にインクジェット記録適性(インク耐水性)を付与することが困難である。又、天然ゴム系エマルジョンは、圧着後に接着強度が経時で上昇して必要時の剥離が困難となる、即ち亢進性の問題が発生しやすく、圧着紙としての取り扱いが劣る。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、圧着後の接着強度の上昇(亢進性)を防止し、インクジェット記録が可能な感圧接着剤層を設けたインクジェット用圧着紙の提供を目的とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、エマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集して成る感圧接着性複合微粒子を感圧接着剤層に含有させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
上記の目的を達成するために、本発明のインクジェット用圧着紙は、基材シートの少なくとも片面に感圧接着剤層を設けてなる疑似接着可能なインクジェット用圧着紙において、前記感圧接着剤層は、天然ゴム系エマルジョン以外のエマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集した形態である感圧接着性複合微粒子と、シリカと、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類と、を含有し、前記感圧接着性複合微粒子の体積50%平均粒径(D50)が0.5μm〜20μmである。

前記感圧接着剤層は、さらにバインダーを含有することが好ましい。
前記感圧接着性複合微粒子は、エマルジョン型接着剤100質量部(固形分)に対して、好ましくは水分散性イソシアネート化合物1〜100質量部(固形分)、より好ましくは1〜10質量部(固形分)を加えて製造されたものである。
前記感圧接着剤層は、アクリル酸エステル及びアクリロニトリルをモノマー成分として含む水系アクリル樹脂系エマルジョンを含有することが好ましい。
本発明によれば、インクジェット記録が可能な感圧接着剤層を有するインクジェット用圧着紙が得られる。
本発明の実施の形態に係るインクジェット用圧着紙の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係るインクジェット用圧着紙について説明する。インクジェット用圧着紙は、基材シートの少なくとも片面に感圧接着剤層を設けてなり、感圧接着剤層は、エマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集した形態である感圧接着性複合微粒子と、シリカと、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類と、を含有する。この感圧接着性複合微粒子は、例えば、特開2007−291326号公報に記載されているものを使用することが可能である。
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット用圧着紙10の構成を示す。インクジェット用圧着紙10は、基材シート2の少なくとも片面に疑似接着可能な感圧接着剤層4を設けている。そして、感圧接着剤層4に適宜インクジェット記録を行った後、感圧接着剤層4を内側にして2つ折りとし、感圧接着剤層4の記録が見られないようにする。
<感圧接着性複合微粒子>
感圧接着性複合微粒子は、エマルジョン型接着剤に水分散性イソシアネート化合物を加え、加温することにより水分散性イソシアネート化合物を反応させ、ポリウレア−ポリウレタン樹脂化して得られる。
この感圧接着性複合微粒子が感圧接着性となるメカニズムは以下のように推測される。水に分散した水分散性イソシアネート化合物は、エマルジョン型接着剤と同様に水に分散しており、加温されることにより、このエマルジョン型接着剤に不可避的に含有される活性水素基(たとえば、未反応の水酸基、カルボキシル基、アミノ基等)と反応し、その結果、このエマルジョン型接着剤を凝集させると考えられる。
水分散性イソシアネート化合物はエマルジョン型接着剤の表面のこれら活性水素基と反応することにより、ポリウレア−ポリウレタン樹脂となってこれらの表面を覆い、表面のアニオン性が低減すると考えられる。このような形態の微粒子に変形圧力を加えると、表面を覆うポリウレア−ポリウレタン樹脂が破壊され、中のエマルジョン型接着剤が表面に露出するため、粘着性又は接着性を示すと考えられる。
<エマルジョン型接着剤>
エマルジョン型接着剤としては、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、EVA系、シリコン系を好適に用いることができるが、アクリル系アクリル樹脂が耐熱性、透明性、耐候性などに優れていることから特に好ましい。
アクリル樹脂とは、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及び/又はそのエステル(以下、「PA樹脂系」という)、またはポリメタクリル酸及び/又はそのエステル(以下、「PMA-樹脂系」という)等を主成分とする樹脂をいう。特に
、アクリル樹脂としては、PA樹脂系、PMA樹脂系、又はPA樹脂系とPMA樹脂系の共重合体が好ましい。上記エステルにおけるエステル基は、メチル基、エチル基、ブチル基だけでなく、ジエチルヘキシル基等の長鎖エステル基であってもよいが、メチル基が好ましく用いられる。またアクリル樹脂の主鎖には、アクリル酸やメタクリル酸に加え、酢酸ビニル系エステル等を混合した共重合体タイプの樹脂を用いることもできる。
エマルジョン型接着剤の粒径(体積50%平均粒径(D50))は300〜900nm程度である。
感圧接着性複合微粒子は、エマルジョン型接着剤100質量部(固形分)に対して、以下の水分散性イソシアネート化合物1〜100質量部(固形分)の配合割合で含むとよい。エマルジョン型接着剤100質量部に対し、水分散性イソシアネート化合物の割合が100質量部を超えると接着強度が低下することがある。一方、水分散性イソシアネート化合物の割合が1質量部未満であるとポリウレア−ポリウレタン樹脂による被覆性が悪化し、エマルジョン型接着剤微粒子を凝集させることが困難となることがある。より好ましくは、エマルジョン型接着剤100質量部(固形分)に対して、水分散性イソシアネート化合物1〜10質量部(固形分)である。
<水分散性イソシアネート化合物>
水分散性イソシアネート化合物は、主にヘキサメチレンジイソシアネート化合物(HDI)などの多価イソシアネート化合物のポリマーに対し、アルキレンオキサイドなどの親水性官能基を付加させたものであり、水に対する相溶性を有している。
水分散性イソシアネート化合物として、主に脂肪族、脂環式、または芳香族のポリイソシアネート化合物やその誘導体に対し、エチレンオキシド等のノニオン性の官能基を付加したものが挙げられる。水分散性ポリイソシアネート化合物の具体例としては、特公平7−30160号公報に開示され、脂肪族ポリイソシアネート化合物と、少なくとも10のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル鎖を少なくとも1個含有する一価または多価のノニオン性ポリアルキレンエーテルアルコールとの反応生成物;特開平7−109327号公報に開示され、少なくとも70モル%がエチレンオキサイド単位である平均7〜25個のアルキレンオキサイド単位を含むポリエーテル鎖を含有する一価または多価アルコールと、2,4−及び/または2,6−ジイソシアナトトルエンと、の部分ウレタン化組成物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
水分散性ポリイソシアネート化合物を得るために用いられるイソシアネート化合物としては、主に脂肪族、脂環式、又は芳香族のイソシアネート化合物やその誘導体が挙げられ、この中で脂肪族または脂環式のイソシアネート化合物やその誘導体が好ましい。
脂肪族または脂環式ポリイソシアネート化合物の例としては、
1)脂肪族及び/または脂環式ジイソシアネート化合物を基材としたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート化合物;1,6−ジイソシアナトヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート化合物=IPDI)を基材としたイソシアナトイソシアヌレートが挙げられる。このような化合物の製造は、例えば、独国特許第2,616,416号、欧州特許公開第3,765号、第10,589号、第47,452号、米国特許第4,288,586号又は第4,324,879号に記載されている。また、下記式で表される他の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート化合物を基材としたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート化合物も挙げられる。これは単純なトリス−イソシアナトアルキル−(又は−シクロアルキル−)イソシアヌレート又はそれとその高級(1個よりも多いイソシアヌレート環を含有する)同族体との混合物である。
Figure 0005796901
(式中、R、R及びRは、出発ジイソシアネート化合物からイソシアネート化合物基を除去することによって得られる同一又は異なる炭化水素基を表す。)
脂肪族または脂環式ポリイソシアネート化合物の例として、
2)下記式で表される脂肪族及び/又は脂環式に結合したイソシアネート化合物基を有するウレツトジオンジイソシアネート化合物
Figure 0005796901
(式中R及びRはR及びRと同じ。特にはヘキサメチレンジイソシアネート化合物及び/又はIPDIからイソシアネート化合物基を除去することによって得られる炭化水素基を表す。)が挙げられる。
ウレツトジオンジイソシアネート化合物は単独又は他の脂肪族ポリイソシアネート化合物、特に上記1)に記載されたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート化合物と混合物として存在することができる。
また、脂肪族または脂環式ポリイソシアネート化合物の例として、
3)脂肪族に結合したイソシアネート化合物基を有するビユウレツト基含有ポリイソシアネート化合物、即ちトリス−(6−イソシアナトヘキシル)−ビユウレツトまたはそれとその高級同族体との混合物;
4)脂肪族又は脂環式に結合したイソシアネート化合物基を有するウレタン基及び/またはアロファネート基含有ポリイソシアネート化合物、即ち過剰量のヘキサメチレンジイソシアネート化合物またはIPDIを単純な多価アルコール(例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパン又はそれらの混合物)と反応させることによって得られるもの;
5)下記式で表される脂肪族または脂環式に結合したイソシアネート化合物基を有するオキサジアジントリオン基含有ポリイソシアネート化合物
Figure 0005796901
(式中、RはRに既に記載した意味を有し、特に、生成物が1,6−ジイソシアナトヘキサン及び二酸化炭素から生成せしめられた場合のヘキサメチレン基を表す。)が挙げられる。
上記1)〜5)で例示した脂肪族または脂環族ポリイソシアネート化合物は、単独又は所望に応じて混合して存在することができる。なお、本発明でいう「脂肪族ポリイソシアネート化合物」は、イソシアネート化合物が脂肪族又は脂環式の炭素原子に結合しているポリイソシアネート化合物を表す。また、芳香族ポリイソシアネート化合物の例として、2,4−及び/または2,6−トルエンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート化合物に付加するエチレンオキシド等のノニオン性官能基の例としては、エチレンオキシドユニット含有ポリエーテルアルコールが挙げられる。適当なポリエーテルアルコールの製造のために、一価又は多価の開始剤分子例えばメタノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、フェノール、レゾルシノール、エチレングリコール、プルピレングリコール、アニリン、トリメチロールプロパン又はグリセリンのアルコキシ化生成物(少なくとも10、一般に10〜70、好ましくは15〜65のエチレンオキシドユニットを含有するポリエーテル鎖を少なくとも1個含有する。)が用いられる。水分散性イソシアネート化合物の製造は、上記の脂肪族、脂環式、又は芳香族のポリイソシアネート化合物やその誘導体に、イソシアネート化合物反応性基を含有する親水性化合物、好ましくは上記のノニオン性エチレンオキシドユニット含有ポリエーテルアルコールを、少なくとも約1:1、好ましくは約2:1〜約1000:1のNCO/OH当量比にて反応させることにより行われる。特に多価ポリエーテルアルコールを用いる場合、少なくとも約2:1のNCO/OH当量比が用いられる。上記水分散性イソシアネート化合物の製造は、一般に50〜130℃の中高程度の温度で行われる。
さらに、水分散性イソシアネート化合物に加えて、ポリオール、ポリアミン等を、エマルジョン型接着剤と水分散性イソシアネートとを混合する反応系に添加することも可能である。ポリオールとしては、多価アルコールや多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、レゾルシノール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセリン、メチルグルコシド、ソルビソール、蔗糖等の多糖類など2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。ポリアミンとしては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのアルキレンポリアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノ−ルアミン、イソブタノールアミンなどのアルカノールアミン等が挙げられる。
本発明においては、水分散性イソシアネート化合物組成中のNCO基の割合(NCO%)が6〜24%、より好ましくは8〜20%であるものが望ましい。このような水分散性イソシアネート化合物の製品としては、三井化学社のタケネートWDシリーズや、住化バイエルウレタン社製のバイヒジュールシリーズ等が挙げられる。水分散性イソシアネート化合物の含有量としては、接着剤に対して0.01〜1倍程度(質量比)である。
感圧接着性複合微粒子が各種架橋剤を含んでもよい。各種架橋剤は、エマルジョン型接着剤と水分散性イソシアネートとを混合して複合粒子とする反応系に添加することができる。
架橋剤の例としては多価アミンや多価ヒドロキシ化合物などが挙げられる。多価アミンとしては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1、3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族多価アミン、フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン、キシレンジアミン等の芳香族多価アミン、ピペラジン等の脂環式多価アミン等が挙げられ、これらを単独で使用し又は併用することが出来る。多価ヒドロキシ化合物としては、例えば脂肪族又は芳香族の多価アルコール、ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリアルキレンエーテル、多価アミンのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。これらの架橋剤は、目的とする感圧接着性複合微粒子の物性に応じて適宜の部数で添加することができ、例えば水分散イソシアネート化合物の0.01〜1倍程度(質量比)である。
感圧接着性複合微粒子は、例えば以下のようにして製造できる。まず、固形分で100部のエマルジョン型接着剤に水を加え、濃度10〜60質量%(より好ましくは15〜50質量%)に希釈する。エマルジョン型接着剤の濃度が高すぎると複合微粒子化する時に凝集しやすくなり、濃度が低すぎると水分散性イソシアネート化合物による被覆性が低下する。なお、エマルジョン型接着剤はアルコール等で希釈してもよい。
上記のエマルジョン型接着剤の希釈液に対し、水分散性イソシアネート化合物を加えて分散液とする。水分散性イソシアネート化合物の添加量は、エマルジョン型接着剤(固形分)100質量部に対して1〜100質量部(固形分)、より好ましくは1〜10質量部(固形分)とする。水分散性イソシアネート化合物の添加量が少なければ十分な被覆性向上が得られず、添加量が多すぎれば接着剤の接着性が低下する。
次に、イソシアネート化合物の樹脂化を促すため、上記分散液を加温して攪拌する。水分散性イソシアネート化合物は常温(25℃)でもエマルジョン型接着剤と反応するが、十分な被覆性を得るために常温〜90℃の範囲に加温するとよい(より好ましくは50℃〜85℃)。上記液の温度が常温以下の場合、イソシアネートの反応が遅くなって複合微粒子化が不十分となり、90℃以上の場合、イソシアネートの反応が速すぎて反応液中に凝集・残渣が発生することがある。加温時間は加温温度に応じて変化するが、通常1〜6時間程度行う。なお、加温に伴って水分が蒸発するが、分散液中の固形分の濃度を15〜60質量%程度、好ましくは20〜50質量%程度に保持するよう、蒸発分の水を適宜添加することが好ましい。
加温反応後の分散液を常温まで冷却して複合微粒子化を完了する。複合微粒子は、水に分散したスラリー状態(固形分の濃度15〜60質量%程度)で得られる。このスラリー中において、複合微粒子は単独又は複合微粒子同士が緩やかに二次凝集したものとして存在する。なお、この複合微粒子が形成される段階で、水に分散している状態にあることが、適正な複合微粒子を得るために必要である。この段階又は前段階で水の沸点以上に加熱し、水を除去した場合には、エマルジョン型接着剤が巨大な一塊となり、感圧性を持ち、かつ適切なサイズの複合微粒子を形成することができない。
複合微粒子(複合微粒子同士の二次凝集体を含む)の粒径は、保存性や複合微粒子を破壊するために必要な圧力に影響するので、感圧接着性複合微粒子の体積50%平均粒径(D50)が0.5μm〜20μm、好ましくは1μm〜10μmである。複合微粒子の粒径が上記範囲より小さいと十分な接着性が得られず、粒径が上記範囲より大きいと感圧接着剤層形成の際の操作中などに複合微粒子を破壊してしまう可能性がある。またD50は、コールター法やレーザー回折法を使用した測定装置を用いて測定することができる。
<感圧接着剤層>
感圧接着剤層は、上記感圧接着性複合微粒子と、シリカと、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類とを含有する。感圧接着剤層を上記組成とすることにより、感圧接着剤層にインクジェット記録を行うことが可能となる。さらに上記感圧接着性複合微粒子はエマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集し、少なくとも部分的には被覆されて成るため、カチオン性ポリマーや多価金属塩類と反応して凝集が起こらない。このため、インク耐水性を発揮するカチオン性ポリマーや多価金属塩類を感圧接着剤層に配合することができる。
カチオン性ポリマーや多価金属塩類は、水溶性インクに含有される直接染料又は酸性染料等のアニオン性の染料と結合して強固に不動化(インク定着)するために添加される。このようなカチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリアミン類、ポリアリルアミン類、ジシアンジアミド系縮合物、ポリジメチルジアリルアンモニウム、ポリエチレンイミン類、エピクロルヒドリン誘導体などを用いることができる。また、多価金属塩類としては、例えば、カルシウム及びマグネシウムの塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、乳酸塩などを用いることができる。本発明では、アニオン性の染料と結合して強固に不動化(インク定着)し、インクジェット記録画像の耐水化が特に良好であるため、カチオン性ポリマーが好ましい。
本発明において、シリカとしては、合成非晶質シリカを使用することが好ましい。また、合成非晶質シリカとしてはゲル法シリカが望ましい。「ゲル法シリカ」とは、ケイ酸ナトリウムと鉱酸(通常は硫酸)の中和反応を酸性のpH2〜6領域で進行させることにより、一次粒子の成長を抑えた状態で凝集させて得られる湿式法合成非晶質シリカ微粒子を言う。ゲル法シリカは沈降法シリカ(ケイ酸ナトリウムと鉱酸の中和反応をアルカリ性のpH領域で進行させて製造)に比較して、凝集後の反応時間が長く、一次粒子間結合が強く、また、細孔容積が大きくなる傾向にある。このためインク吸収性・耐擦過性能に優れる。
合成非晶質シリカの粒径は、目標とする接着強度を得るために、体積50%平均粒径(D50)が6μm以上であることが好ましい。合成非晶質シリカのD50が6μm未満の場合には接着強度が低下することがある。上述の合成非晶質シリカのD50は、レーザー回折法を使用したMALVERN社製 MASTER SIZER Sにて測定することができる。
合成非晶質シリカの吸油量については特に制限を設けないが、200ml/100g以上500ml/100g以下であることが好ましく、250ml/100g以上400ml/100g以下であることがより好ましい。吸油量が200ml/100g未満であると、インク受容層のインクを保持する能力が十分でなく、印字部の耐擦過性やインク吸収性が劣る場合がある。吸油量が500ml/100gを超えると、顔料を分散する際、塗料粘度が増大して塗料の分散性が悪化する場合がある。なお、吸油量の測定はJIS−K5101に定められた方法で行うことができる。
感圧接着剤層は、さらにバインダー、補助接着剤、被接着物に接着可能な状態にする以外の加圧(不用意な加圧)による複合微粒子の破壊を防ぐためのスチルト剤などを含んでもよい。特に、感圧接着剤層がバインダーを含有することが好ましい。
感圧接着剤層における上記各成分の割合は、感圧接着性複合微粒子の構成等により適宜選択されるものであり特に制限されないが、感圧接着性複合微粒子100質量部(固形分)に対し、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類30〜150質量部、シリカ50〜200質量部である。
感圧接着剤層がさらにバインダーを含有する場合は、感圧接着性複合微粒子100質量部(固形分)に対し、バインダー10〜50質量部である。なお、必要に応じて、感圧接着性複合微粒子100質量部(固形分)に対して、補助接着剤10〜50質量部、スチルト剤0〜50質量部、その他添加剤0〜50質量部を含有させてもよい。
本発明において、バインダーとしては、一般的に使用されている水溶性高分子又は疎水性高分子のエマルジョン等が適宜使用可能である。バインダーの具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、等のセルロース誘導体、デンプンとその誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の疎水性高分子のエマルジョンを用いることができる。
感圧接着剤層中に補助接着剤を配合すると、接着強度が向上する。補助接着剤としては、熱及び酸化による劣化に対する耐性が高く、接着強度が強く、ブロッキングを起こし難い、アクリル酸エステル及びアクリロニトリルをモノマー成分として含む水系アクリル樹脂系エマルジョンを使用することが有効である。
本発明において、被接着物に接着可能な状態にする場合を除き、加圧による複合微粒子の破壊を防ぐためにスチルト剤を感圧接着剤層に含有させることが好ましい。スチルト剤としては、パルプ粉末、生でんぷん粉末、プラスチックピグメント等を用いることができる。これらのスチルト剤は適度なクッション性を有するので、接着させるための加圧時の接着力を制御することができると共に、疑似接着剤層を有さないシート面と接着させて長時間が経過した場合に、該疑似接着剤層を有さないシート面を破壊することなく剥離することに寄与する。
感圧接着剤層には、その他必要に応じて、顔料分散剤、増粘剤、保水剤、滑剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、pH調整剤等の助剤を適宜添加することができる。
感圧接着剤層を形成する方法としては、感圧接着剤層用塗料をバーブレードコーター、ベントブレードコーター、カーテンコーター及びエアナイフコーター等の通常の塗工方法により、基材シートに塗工すればよい。感圧接着剤層用塗料は、上記接着性複合微粒子のスラリーに対し、必要に応じて上記各成分を添加して調製することができる。
感圧接着剤層の乾燥後の塗工量は、所望の接着力や製品の形態に応じて適宜設定すればよく、制限されるものではないが、例えば3〜20g/m、より好ましくは5〜15g/m程度である。塗工後、紙面温度40℃〜120℃程度の条件で乾燥してもよい。
<インクジェット用圧着紙>
本発明のインクジェット用圧着紙は、上記感圧接着性複合微粒子を含有する感圧接着剤層を基材シートの少なくとも片面に設けてなる。
基材シートは、上質紙、塗工紙、再生紙、合成紙など、シート状のものであれば特に制限されない。
基材シートを紙とする場合、紙の主成分はパルプと内添填料である。パルプとしては通常公知のパルプであればいずれのものを使用することができる。例えば、化学パルプとして広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ、木材、綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプなどを使用できる。また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。本発明のインクジェット用圧着紙には、高白色度で地合に優れる広葉樹晒クラフトパルプを使用することが好ましい。
また、古紙を原料とするパルプ、すなわち、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙等の上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙等を離解して得られるパルプを使用することもできる。
感圧接着剤層となる塗料を基材シートに塗工して乾燥させた際、塗料乾燥後の感圧接着剤層と基材シートとの間の接着は強固となる。一方、塗料乾燥後の感圧接着剤層の表面は、感圧接着剤層の表面同士を重ねて加圧して疑似接着することが可能である。そして、本発明の感圧接着剤層を用いることにより、この疑似接着力が経時で上昇して必要時の剥離が困難となることがなく、亢進性の問題が発生せず、疑似接着力が長期にわたって安定する。このため、本発明のインクジェット用圧着紙は、親展はがきや配送伝票用等に好適に使用することができる。また、このインクジェット用圧着紙を用いて製造した親展はがきは、感圧接着剤層の代わりに高価な樹脂フィルムをラミネートして疑似接着した親展はがきに比べ安価である。
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
[実施例1]
感圧接着性複合微粒子を製造するため、エマルジョン型接着剤(アクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン、商品名:AT−39、固形分60%、サイデン化学社製)100部(固形分)に水を加え希釈した後、攪拌しながら25℃に保持した。これに水分散性イソシアネート化合物(商品名:WD−725、固形分100%、NCO%=15.8%、三井化学社製)2.5部を加えて分散液とし、攪拌しながら25℃に30分間保持した。この分散液を55℃まで昇温し、蒸発分の水を適宜添加しながら3時間保持し、さらに80℃まで昇温して蒸発分の水を適宜添加しながら1時間保持し、エマルジョン型接着剤と水分散性イソシアネート化合物とをポリウレア−ポリウレタン樹脂化した。
この樹脂化は、反応液の体積50%平均粒径(D50)をレーザー回折粒度分布計(MALVERN社製、MASTER SIZER S)により測定し、D50が増大することにより、反応が進んだことを確認した。樹脂化の終了後に反応液を冷却し、感圧接着性複合微粒子のスラリー(固形分30%)を得た。この感圧接着性複合微粒子のD50は20μmであった。一方、樹脂化前のエマルジョン型接着剤(アクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン)のD50は0.6μmであり、上記のように得られたスラリーは、エマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集したことを裏付けた(なお、感圧接着性複合微粒子同士が緩やかに二次凝集したと推測されるものもあった)。
次に、得られた感圧接着性複合微粒子スラリーを用いて下記組成の感圧接着剤層用塗料を調製した。坪量110g/mの上質紙の片面に、乾燥後の塗工量が10g/mとなるように上記塗料をバーブレードコーターで塗工後乾燥し、インクジェット用圧着紙を作製した。
<感圧接着剤層用塗料>
接着性複合微粒子スラリー(固形分30%): 100.0部
カチオン性ポリマー(商品名:DK6872、固形分50%、
星光PMC社製) :50.0部
合成非晶質シリカ(商品名:AY−601、体積50%平均粒径(D50)
=9.7μm、東ソーシリカ社製): 100.0部
バインダー(ポリビニルアルコール、商品名:PVA−117、
固形分10%水溶液、クラレ社製): 20.0部
補助接着剤(アクリル酸エステル及びアクリロニトリルをモノマーとして
含むアクリル樹脂系エマルジョン、商品名:Nipol LX874B、
固形分50%、日本ゼオン社製): 20.0部
スチルト剤(澱粉粒子、商品名:アクチサイズ、ロケット社製):
20.0部
離型剤(商品名:LS106、花王社製): 10.0部
[実施例2]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物として上記WD−725の代わりにWD−730(固形分100%、NCO%=18.2%、三井化学社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は18μmであった。
[実施例3]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、シリカの配合量を180部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[実施例4]
補助接着剤(LX874B)の配合量を25部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[実施例5]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、バインダーを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[実施例6]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、カチオン性ポリマーの代わりに多価金属塩類(硫酸マグネシウム)を50部配合したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[実施例7]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を2.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は17μmであった。
[実施例8]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を1.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は15μmであった。
[実施例9]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を1.1部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は9μmであった。
[実施例10]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を0.7部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は4μmであった。
[実施例11]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を0.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は1μmであった。
[実施例12]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、エマルジョン型接着剤として上記AT−39の代わりにエマルジョン型接着剤(アクリル系共重合体水性エマルジョン、商品名:AT−85、固形分60%、サイデン化学社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は20μmであった。
[比較例1]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、上記接着性複合微粒子スラリーの代わりに、エマルジョン型接着剤(アクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン、商品名:AT−39、固形分60%、サイデン化学製)100部(固形分)をそのまま使用したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[比較例2]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、上記接着性複合微粒子スラリーの代わりに、変性天然ゴム系エマルジョン型接着剤(商品名:GS5−50、固形分60%、クォーユー化成製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。なお、比較例2においては、上記水分散性イソシアネート化合物(商品名:WD−725)を各実施例と同様に変性天然ゴム系エマルジョン型接着剤に混合した。この感圧接着性複合微粒子のD50は20μmであった。
上記実施例及び比較例で得られたインクジェット用圧着紙について、以下の方法で評価を行い、評価結果を表1、表2に示した。
<塗料安定性>
感圧接着剤層用塗料を調製した際、凝集物の発生状況を目視で確認した。
○:凝集物が発生しない。
△:凝集物が若干発生する。
×:凝集物が発生する。
<接着強度>
得られたインクジェット用圧着紙を、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機(デュプロ社製、メールシーラーMS6100、ギャップ設定23、ローラー間隔180μm(推定値))を用いて、2枚のインクジェット用圧着紙の感圧接着剤層の面同士を加圧接着させた。なお、上記プレス機にて、ギャップ設定目盛をそれぞれ20、25に設定すると、メーカー公証値としてローラー間隔がそれぞれ150μm、200μmとなる。これより、上記ギャップ設定23におけるローラー間隔を180μmと推定した。
加圧接着直後と、加圧接着後に23℃、50%RHの環境下に7日間放置したインクジェット用圧着紙のそれぞれについて、試料幅25mm、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行った。
加圧接着直後と、加圧接着後23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後の接着強度がいずれも0.2〜1.0N/25mmであれば、剥離時に紙表面の破壊が発生せず、疑似接着状態が得られる。特に、上記接着強度0.3〜0.8N/25mmであると、剥離性が良好であり好ましい。
<セットオフ>
得られたインクジェット用圧着紙を、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、市販の染料インクジェットプリンター(ブラザー社製DCP−330C、ブラックインク)にて感圧接着剤層に印字を行った。その後、ローラータイプのプレス機(デュプロ社製、メールシーラーMS6100、ギャップ設定23、ローラー間隔180μm(上記推定値))を用いて、印字を行ったインクジェット用圧着紙と未印字のインクジェット用圧着紙とで感圧接着剤層の面同士を加圧接着させた。剥離した際のセットオフ(未印字の感圧接着剤層側へのインク転移)の発生状況を目視で確認した。
○:セットオフが発生しない。
△:セットオフが若干発生する。
×:セットオフが顕著である。
<耐水性>
得られたインクジェット用圧着紙を、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、市販の染料インクジェットプリンター(ブラザー社製DCP−330C、ブラックインク)にてバーコードパターン印字を行った。その後、印字部に水を滴下した際の滲み状況を目視で確認した。
○:滲みが発生しない。
△:滲みが若干発生する。
×:滲みが著しい。
Figure 0005796901
Figure 0005796901
表1、表2から、各実施例の場合、感圧接着剤層用塗料を安定して調製することができると共に、感圧接着剤層が十分な接着強度を有し、疑似接着が可能となった。さらに、接着強度が経時で上昇して剥離が困難となる亢進性が発生せず、セットオフ、耐水性などのインクジェット適性にも優れたものとなった。
感圧接着剤層に上記接着性複合微粒子を含有せず、エマルジョン型接着剤(アクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン)を用いた比較例1の場合、カチオン性ポリマーがアクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョンと凝集し、感圧接着剤層用塗料を安定して調製することができなかった。そのため、感圧接着剤層の接着強度が0.2N/25mm未満となり、疑似接着ができないレベルとなった。
感圧接着剤層に上記接着性複合微粒子の代わりに、天然ゴム系エマルジョン型接着剤を用いて感圧接着性複合微粒子を調製した比較例2の場合、加圧接着直後は疑似接着状態が得られたが、7日間放置後の接着強度が1.0N/25mmを超えて上昇し、剥離が困難となる亢進性が発生し、実用が困難なレベルとなった。
2 基材シート
4 感圧接着剤層
10 インクジェット用圧着紙

Claims (4)

  1. 基材シートの少なくとも片面に感圧接着剤層を設けてなる疑似接着可能なインクジェット用圧着紙において、
    前記感圧接着剤層は、天然ゴム系エマルジョン以外のエマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集した形態である感圧接着性複合微粒子と、シリカと、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類とを含有し、前記感圧接着性複合微粒子の体積50%平均粒径が0.5μm〜20μmであるインクジェット用圧着紙。
  2. 前記感圧接着剤層が、さらにバインダーを含有する請求項1記載のインクジェット用圧着紙。
  3. 前記感圧接着性複合微粒子はエマルジョン型接着剤100質量部(固形分)に対して、水分散性イソシアネート化合物1〜100質量部(固形分)を加えて製造されたものである請求項1又は2に記載のインクジェット用圧着紙。
  4. 前記感圧接着剤層が、アクリル酸エステル及びアクリロニトリルをモノマー成分として含む水系アクリル樹脂系エマルジョンを含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用圧着紙。
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