JP5796901B2 - インクジェット用圧着紙 - Google Patents
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Description
この耐水性は、直接染料又は酸性染料を着色剤とした水溶性インクを用いてインクジェット記録を行った際の耐水性である。この種の水溶性インクは、染料分子中のスルホン基及び/又はカルボキシル基の塩によって染料の水溶化がなされており、染料分子中の水溶性を付与する部分は強い負の電荷を帯びている。従来、水溶性インクによるインクジェット記録画像の耐水化方法として、インク受理層にカチオン性ポリマーを含有させて電荷的に染料分子を捕捉し、インク中の水の蒸発に伴って近接した両者間にファンデルワールス力を働かせて染料分子をインクジェット受理層に固定することが行われている。カチオン性ポリマーとして、具体的には、例えば4級化ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、4級化ポリエチレンイミン、ポリアリルスルフォン、ジシアンジアミド縮合物、ポリエチレンポリアミン系ポリマー、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン等、多くのカチオン性ポリマーが用いられている。
又、沈降法合成シリカ、ポリビニルアルコールが分散されたアクリル酸エステル系エマルジョン、カチオン性樹脂及び天然ゴム系エマルジョンを含有する感圧接着層を支持体上に設けたインクジェット用インク受理可能な再剥離性圧着記録用紙が開示されている(特許文献5)。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、圧着後の接着強度の上昇(亢進性)を防止し、インクジェット記録が可能な感圧接着剤層を設けたインクジェット用圧着紙の提供を目的とする。
前記感圧接着性複合微粒子は、エマルジョン型接着剤100質量部(固形分)に対して、好ましくは水分散性イソシアネート化合物1〜100質量部(固形分)、より好ましくは1〜10質量部(固形分)を加えて製造されたものである。
前記感圧接着剤層は、アクリル酸エステル及びアクリロニトリルをモノマー成分として含む水系アクリル樹脂系エマルジョンを含有することが好ましい。
感圧接着性複合微粒子は、エマルジョン型接着剤に水分散性イソシアネート化合物を加え、加温することにより水分散性イソシアネート化合物を反応させ、ポリウレア−ポリウレタン樹脂化して得られる。
この感圧接着性複合微粒子が感圧接着性となるメカニズムは以下のように推測される。水に分散した水分散性イソシアネート化合物は、エマルジョン型接着剤と同様に水に分散しており、加温されることにより、このエマルジョン型接着剤に不可避的に含有される活性水素基(たとえば、未反応の水酸基、カルボキシル基、アミノ基等)と反応し、その結果、このエマルジョン型接着剤を凝集させると考えられる。
水分散性イソシアネート化合物はエマルジョン型接着剤の表面のこれら活性水素基と反応することにより、ポリウレア−ポリウレタン樹脂となってこれらの表面を覆い、表面のアニオン性が低減すると考えられる。このような形態の微粒子に変形圧力を加えると、表面を覆うポリウレア−ポリウレタン樹脂が破壊され、中のエマルジョン型接着剤が表面に露出するため、粘着性又は接着性を示すと考えられる。
エマルジョン型接着剤としては、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、EVA系、シリコン系を好適に用いることができるが、アクリル系アクリル樹脂が耐熱性、透明性、耐候性などに優れていることから特に好ましい。
アクリル樹脂とは、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸及び/又はそのエステル(以下、「PA樹脂系」という)、またはポリメタクリル酸及び/又はそのエステル(以下、「PMA-樹脂系」という)等を主成分とする樹脂をいう。特に
、アクリル樹脂としては、PA樹脂系、PMA樹脂系、又はPA樹脂系とPMA樹脂系の共重合体が好ましい。上記エステルにおけるエステル基は、メチル基、エチル基、ブチル基だけでなく、ジエチルヘキシル基等の長鎖エステル基であってもよいが、メチル基が好ましく用いられる。またアクリル樹脂の主鎖には、アクリル酸やメタクリル酸に加え、酢酸ビニル系エステル等を混合した共重合体タイプの樹脂を用いることもできる。
エマルジョン型接着剤の粒径(体積50%平均粒径(D50))は300〜900nm程度である。
水分散性イソシアネート化合物は、主にヘキサメチレンジイソシアネート化合物(HDI)などの多価イソシアネート化合物のポリマーに対し、アルキレンオキサイドなどの親水性官能基を付加させたものであり、水に対する相溶性を有している。
水分散性イソシアネート化合物として、主に脂肪族、脂環式、または芳香族のポリイソシアネート化合物やその誘導体に対し、エチレンオキシド等のノニオン性の官能基を付加したものが挙げられる。水分散性ポリイソシアネート化合物の具体例としては、特公平7−30160号公報に開示され、脂肪族ポリイソシアネート化合物と、少なくとも10のエチレンオキシドユニットを有するポリエーテル鎖を少なくとも1個含有する一価または多価のノニオン性ポリアルキレンエーテルアルコールとの反応生成物;特開平7−109327号公報に開示され、少なくとも70モル%がエチレンオキサイド単位である平均7〜25個のアルキレンオキサイド単位を含むポリエーテル鎖を含有する一価または多価アルコールと、2,4−及び/または2,6−ジイソシアナトトルエンと、の部分ウレタン化組成物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1)脂肪族及び/または脂環式ジイソシアネート化合物を基材としたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート化合物;1,6−ジイソシアナトヘキサン及び/又は1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート化合物=IPDI)を基材としたイソシアナトイソシアヌレートが挙げられる。このような化合物の製造は、例えば、独国特許第2,616,416号、欧州特許公開第3,765号、第10,589号、第47,452号、米国特許第4,288,586号又は第4,324,879号に記載されている。また、下記式で表される他の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート化合物を基材としたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート化合物も挙げられる。これは単純なトリス−イソシアナトアルキル−(又は−シクロアルキル−)イソシアヌレート又はそれとその高級(1個よりも多いイソシアヌレート環を含有する)同族体との混合物である。
2)下記式で表される脂肪族及び/又は脂環式に結合したイソシアネート化合物基を有するウレツトジオンジイソシアネート化合物
ウレツトジオンジイソシアネート化合物は単独又は他の脂肪族ポリイソシアネート化合物、特に上記1)に記載されたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート化合物と混合物として存在することができる。
3)脂肪族に結合したイソシアネート化合物基を有するビユウレツト基含有ポリイソシアネート化合物、即ちトリス−(6−イソシアナトヘキシル)−ビユウレツトまたはそれとその高級同族体との混合物;
4)脂肪族又は脂環式に結合したイソシアネート化合物基を有するウレタン基及び/またはアロファネート基含有ポリイソシアネート化合物、即ち過剰量のヘキサメチレンジイソシアネート化合物またはIPDIを単純な多価アルコール(例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパン又はそれらの混合物)と反応させることによって得られるもの;
5)下記式で表される脂肪族または脂環式に結合したイソシアネート化合物基を有するオキサジアジントリオン基含有ポリイソシアネート化合物
本発明においては、水分散性イソシアネート化合物組成中のNCO基の割合(NCO%)が6〜24%、より好ましくは8〜20%であるものが望ましい。このような水分散性イソシアネート化合物の製品としては、三井化学社のタケネートWDシリーズや、住化バイエルウレタン社製のバイヒジュールシリーズ等が挙げられる。水分散性イソシアネート化合物の含有量としては、接着剤に対して0.01〜1倍程度(質量比)である。
架橋剤の例としては多価アミンや多価ヒドロキシ化合物などが挙げられる。多価アミンとしては、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1、3−プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族多価アミン、フェニレンジアミン、ジアミノナフタレン、キシレンジアミン等の芳香族多価アミン、ピペラジン等の脂環式多価アミン等が挙げられ、これらを単独で使用し又は併用することが出来る。多価ヒドロキシ化合物としては、例えば脂肪族又は芳香族の多価アルコール、ヒドロキシポリエステル、ヒドロキシポリアルキレンエーテル、多価アミンのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。これらの架橋剤は、目的とする感圧接着性複合微粒子の物性に応じて適宜の部数で添加することができ、例えば水分散イソシアネート化合物の0.01〜1倍程度(質量比)である。
上記のエマルジョン型接着剤の希釈液に対し、水分散性イソシアネート化合物を加えて分散液とする。水分散性イソシアネート化合物の添加量は、エマルジョン型接着剤(固形分)100質量部に対して1〜100質量部(固形分)、より好ましくは1〜10質量部(固形分)とする。水分散性イソシアネート化合物の添加量が少なければ十分な被覆性向上が得られず、添加量が多すぎれば接着剤の接着性が低下する。
次に、イソシアネート化合物の樹脂化を促すため、上記分散液を加温して攪拌する。水分散性イソシアネート化合物は常温(25℃)でもエマルジョン型接着剤と反応するが、十分な被覆性を得るために常温〜90℃の範囲に加温するとよい(より好ましくは50℃〜85℃)。上記液の温度が常温以下の場合、イソシアネートの反応が遅くなって複合微粒子化が不十分となり、90℃以上の場合、イソシアネートの反応が速すぎて反応液中に凝集・残渣が発生することがある。加温時間は加温温度に応じて変化するが、通常1〜6時間程度行う。なお、加温に伴って水分が蒸発するが、分散液中の固形分の濃度を15〜60質量%程度、好ましくは20〜50質量%程度に保持するよう、蒸発分の水を適宜添加することが好ましい。
複合微粒子(複合微粒子同士の二次凝集体を含む)の粒径は、保存性や複合微粒子を破壊するために必要な圧力に影響するので、感圧接着性複合微粒子の体積50%平均粒径(D50)が0.5μm〜20μm、好ましくは1μm〜10μmである。複合微粒子の粒径が上記範囲より小さいと十分な接着性が得られず、粒径が上記範囲より大きいと感圧接着剤層形成の際の操作中などに複合微粒子を破壊してしまう可能性がある。またD50は、コールター法やレーザー回折法を使用した測定装置を用いて測定することができる。
感圧接着剤層は、上記感圧接着性複合微粒子と、シリカと、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類とを含有する。感圧接着剤層を上記組成とすることにより、感圧接着剤層にインクジェット記録を行うことが可能となる。さらに上記感圧接着性複合微粒子はエマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集し、少なくとも部分的には被覆されて成るため、カチオン性ポリマーや多価金属塩類と反応して凝集が起こらない。このため、インク耐水性を発揮するカチオン性ポリマーや多価金属塩類を感圧接着剤層に配合することができる。
合成非晶質シリカの粒径は、目標とする接着強度を得るために、体積50%平均粒径(D50)が6μm以上であることが好ましい。合成非晶質シリカのD50が6μm未満の場合には接着強度が低下することがある。上述の合成非晶質シリカのD50は、レーザー回折法を使用したMALVERN社製 MASTER SIZER Sにて測定することができる。
感圧接着剤層における上記各成分の割合は、感圧接着性複合微粒子の構成等により適宜選択されるものであり特に制限されないが、感圧接着性複合微粒子100質量部(固形分)に対し、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類30〜150質量部、シリカ50〜200質量部である。
感圧接着剤層がさらにバインダーを含有する場合は、感圧接着性複合微粒子100質量部(固形分)に対し、バインダー10〜50質量部である。なお、必要に応じて、感圧接着性複合微粒子100質量部(固形分)に対して、補助接着剤10〜50質量部、スチルト剤0〜50質量部、その他添加剤0〜50質量部を含有させてもよい。
感圧接着剤層の乾燥後の塗工量は、所望の接着力や製品の形態に応じて適宜設定すればよく、制限されるものではないが、例えば3〜20g/m2、より好ましくは5〜15g/m2程度である。塗工後、紙面温度40℃〜120℃程度の条件で乾燥してもよい。
本発明のインクジェット用圧着紙は、上記感圧接着性複合微粒子を含有する感圧接着剤層を基材シートの少なくとも片面に設けてなる。
基材シートは、上質紙、塗工紙、再生紙、合成紙など、シート状のものであれば特に制限されない。
基材シートを紙とする場合、紙の主成分はパルプと内添填料である。パルプとしては通常公知のパルプであればいずれのものを使用することができる。例えば、化学パルプとして広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ、木材、綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプなどを使用できる。また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。本発明のインクジェット用圧着紙には、高白色度で地合に優れる広葉樹晒クラフトパルプを使用することが好ましい。
感圧接着性複合微粒子を製造するため、エマルジョン型接着剤(アクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン、商品名:AT−39、固形分60%、サイデン化学社製)100部(固形分)に水を加え希釈した後、攪拌しながら25℃に保持した。これに水分散性イソシアネート化合物(商品名:WD−725、固形分100%、NCO%=15.8%、三井化学社製)2.5部を加えて分散液とし、攪拌しながら25℃に30分間保持した。この分散液を55℃まで昇温し、蒸発分の水を適宜添加しながら3時間保持し、さらに80℃まで昇温して蒸発分の水を適宜添加しながら1時間保持し、エマルジョン型接着剤と水分散性イソシアネート化合物とをポリウレア−ポリウレタン樹脂化した。
この樹脂化は、反応液の体積50%平均粒径(D50)をレーザー回折粒度分布計(MALVERN社製、MASTER SIZER S)により測定し、D50が増大することにより、反応が進んだことを確認した。樹脂化の終了後に反応液を冷却し、感圧接着性複合微粒子のスラリー(固形分30%)を得た。この感圧接着性複合微粒子のD50は20μmであった。一方、樹脂化前のエマルジョン型接着剤(アクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン)のD50は0.6μmであり、上記のように得られたスラリーは、エマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集したことを裏付けた(なお、感圧接着性複合微粒子同士が緩やかに二次凝集したと推測されるものもあった)。
<感圧接着剤層用塗料>
接着性複合微粒子スラリー(固形分30%): 100.0部
カチオン性ポリマー(商品名:DK6872、固形分50%、
星光PMC社製) :50.0部
合成非晶質シリカ(商品名:AY−601、体積50%平均粒径(D50)
=9.7μm、東ソーシリカ社製): 100.0部
バインダー(ポリビニルアルコール、商品名:PVA−117、
固形分10%水溶液、クラレ社製): 20.0部
補助接着剤(アクリル酸エステル及びアクリロニトリルをモノマーとして
含むアクリル樹脂系エマルジョン、商品名:Nipol LX874B、
固形分50%、日本ゼオン社製): 20.0部
スチルト剤(澱粉粒子、商品名:アクチサイズ、ロケット社製):
20.0部
離型剤(商品名:LS106、花王社製): 10.0部
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物として上記WD−725の代わりにWD−730(固形分100%、NCO%=18.2%、三井化学社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は18μmであった。
[実施例3]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、シリカの配合量を180部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[実施例4]
補助接着剤(LX874B)の配合量を25部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
感圧接着剤層用塗料を調製する際、バインダーを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[実施例6]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、カチオン性ポリマーの代わりに多価金属塩類(硫酸マグネシウム)を50部配合したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[実施例7]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を2.0部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は17μmであった。
[実施例8]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を1.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は15μmであった。
[実施例9]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を1.1部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は9μmであった。
[実施例10]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を0.7部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は4μmであった。
[実施例11]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、水分散性イソシアネート化合物(WD−725)の配合量を0.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は1μmであった。
[実施例12]
感圧接着性複合微粒子を製造する際、エマルジョン型接着剤として上記AT−39の代わりにエマルジョン型接着剤(アクリル系共重合体水性エマルジョン、商品名:AT−85、固形分60%、サイデン化学社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。この感圧接着性複合微粒子のD50は20μmであった。
感圧接着剤層用塗料を調製する際、上記接着性複合微粒子スラリーの代わりに、エマルジョン型接着剤(アクリル・酢酸ビニル共重合体水性エマルジョン、商品名:AT−39、固形分60%、サイデン化学製)100部(固形分)をそのまま使用したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。
[比較例2]
感圧接着剤層用塗料を調製する際、上記接着性複合微粒子スラリーの代わりに、変性天然ゴム系エマルジョン型接着剤(商品名:GS5−50、固形分60%、クォーユー化成製)を使用したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット用圧着紙を作製した。なお、比較例2においては、上記水分散性イソシアネート化合物(商品名:WD−725)を各実施例と同様に変性天然ゴム系エマルジョン型接着剤に混合した。この感圧接着性複合微粒子のD50は20μmであった。
感圧接着剤層用塗料を調製した際、凝集物の発生状況を目視で確認した。
○:凝集物が発生しない。
△:凝集物が若干発生する。
×:凝集物が発生する。
<接着強度>
得られたインクジェット用圧着紙を、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、ローラータイプのプレス機(デュプロ社製、メールシーラーMS6100、ギャップ設定23、ローラー間隔180μm(推定値))を用いて、2枚のインクジェット用圧着紙の感圧接着剤層の面同士を加圧接着させた。なお、上記プレス機にて、ギャップ設定目盛をそれぞれ20、25に設定すると、メーカー公証値としてローラー間隔がそれぞれ150μm、200μmとなる。これより、上記ギャップ設定23におけるローラー間隔を180μmと推定した。
加圧接着直後と、加圧接着後に23℃、50%RHの環境下に7日間放置したインクジェット用圧着紙のそれぞれについて、試料幅25mm、引張り速度300mm/分の条件でT型剥離試験を行った。
加圧接着直後と、加圧接着後23℃、50%RHの環境下に7日間放置した後の接着強度がいずれも0.2〜1.0N/25mmであれば、剥離時に紙表面の破壊が発生せず、疑似接着状態が得られる。特に、上記接着強度0.3〜0.8N/25mmであると、剥離性が良好であり好ましい。
得られたインクジェット用圧着紙を、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、市販の染料インクジェットプリンター(ブラザー社製DCP−330C、ブラックインク)にて感圧接着剤層に印字を行った。その後、ローラータイプのプレス機(デュプロ社製、メールシーラーMS6100、ギャップ設定23、ローラー間隔180μm(上記推定値))を用いて、印字を行ったインクジェット用圧着紙と未印字のインクジェット用圧着紙とで感圧接着剤層の面同士を加圧接着させた。剥離した際のセットオフ(未印字の感圧接着剤層側へのインク転移)の発生状況を目視で確認した。
○:セットオフが発生しない。
△:セットオフが若干発生する。
×:セットオフが顕著である。
<耐水性>
得られたインクジェット用圧着紙を、23℃、50%RHの環境下に24時間以上放置した後、市販の染料インクジェットプリンター(ブラザー社製DCP−330C、ブラックインク)にてバーコードパターン印字を行った。その後、印字部に水を滴下した際の滲み状況を目視で確認した。
○:滲みが発生しない。
△:滲みが若干発生する。
×:滲みが著しい。
4 感圧接着剤層
10 インクジェット用圧着紙
Claims (4)
- 基材シートの少なくとも片面に感圧接着剤層を設けてなる疑似接着可能なインクジェット用圧着紙において、
前記感圧接着剤層は、天然ゴム系エマルジョン以外のエマルジョン型接着剤の微粒子がポリウレア−ポリウレタン樹脂によって凝集した形態である感圧接着性複合微粒子と、シリカと、カチオン性ポリマー又は多価金属塩類とを含有し、前記感圧接着性複合微粒子の体積50%平均粒径が0.5μm〜20μmであるインクジェット用圧着紙。 - 前記感圧接着剤層が、さらにバインダーを含有する請求項1記載のインクジェット用圧着紙。
- 前記感圧接着性複合微粒子はエマルジョン型接着剤100質量部(固形分)に対して、水分散性イソシアネート化合物1〜100質量部(固形分)を加えて製造されたものである請求項1又は2に記載のインクジェット用圧着紙。
- 前記感圧接着剤層が、アクリル酸エステル及びアクリロニトリルをモノマー成分として含む水系アクリル樹脂系エマルジョンを含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用圧着紙。
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