JP5796690B1 - 電磁波シールドシートおよびプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
Description
絶縁層は、熱硬化性樹脂、硬化剤、および黒色系着色剤を含む絶縁性樹脂組成物を成形することで得る。
官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シラノール基等が挙げられる。
上記の官能基を有する熱硬化性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、縮合型ポリエステル樹脂、付加型ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも表面抵抗値と耐摩耗性の点から、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、付加型ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、前記硬化性官能基を有しないポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、α−オレフィン化合物などのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンプロピレンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、α−オレフィンポリマー等が挙げられる。
ビニル系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合により得られるポリマーおよびビニルエステルとエチレンなどのオレフィン化合物とのコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレンや(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド類などからなるホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリルコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
ジエン系樹脂は、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物のホモポリマーまたはコポリマーおよびそれらの水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロックコポリマー等が挙げられる。テルペン樹脂は、テルペン類からなるポリマーまたはその水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂が挙げられる。
石油系樹脂は、ジシクロペンタジエン型石油樹脂、水添石油樹脂が好ましい。セルロース系樹脂は、セルロースアセテートブチレート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAポリカーボネートが好ましい。ポリイミド系樹脂は、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂が好ましい。
黒色顔料は、例えばカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、ペリレンブラック、チタンブラック、鉄黒、アニリンブラック等が挙げられる。
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層表面の85°光沢度が15〜50であることが好ましい。光沢度が15〜50であることで光は絶縁層表面で適度に散乱され、光沢感が適度に抑制される。そのため、絶縁層に印字された文字は、様々な角度から見易くなるため視認性が向上する。さらに光沢度が15〜50になると絶縁層表面の凹凸度合いが適度に大きくなり、接触する実質的な面積が減少するため耐摩耗性が向上する。
光沢度が15以上になることで剥離性シートと絶縁層との間の剥離が容易になる。また光沢度が50以下になると印字の視認性がより向上する。なお、光沢度の測定方法は後述する。
剥離性シートの剥離処理面にあらかじめ、サンドブラスト処理等によって凹凸を形成する。この表面に絶縁性樹脂組成物を塗工することで、剥離性シートの凹凸が絶縁層に転写され、適度な光沢度を付与することができる。
また別の方法として、剥離性シート上に形成した導電層に、絶縁性樹脂組成物を塗工し、機械研磨などの処理を施すことによって光沢度を調整できる。
または、これらの方法によらずとも、適当な艶消し剤や無機フィラー等の添加剤を絶縁性樹脂組成物に添加することで、絶縁層表面に凹凸を形成することも可能である。
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層表面のL*a*b*表色系におけるL*値が20〜30であることが好ましい。L*値を20〜30にすると絶縁層表面で光が吸収され、例えば、白色で印字した文字をよりはっきりと視認できる。
また、L*値を上記範囲にすることで、表面の一部がこすれて摩耗した場合、外観の黒色度は大きく変わらず、外観不良が起きにくくなる。すなわち耐摩耗性を向上することができる。なお、L*a*b*値は色空間を表す座標軸である。L*は、明度を意味する次元、a*およびb*は、補色次元を意味する。L*値が高い場合漆黒性は低く。逆にL*値が低い場合漆黒性が高いため、印字視認性が良好となる。
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層の表面抵抗値が1×105〜1×1014Ω/□であることが好ましい。絶縁層の表面抵抗値が1×105Ω/□以上になることで絶縁性がより向上する。また表面抵抗値が1×1014Ω/□以下になることで、例えば、絶縁層を絶縁性樹脂組成物の塗工で形成する場合の塗工性がより向上する。
導電層は、バインダー樹脂および導電性微粒子を含む導電性樹脂組成物から形成することが好ましい。また、導電層は、プリント配線板上に形成されたカバーフィルムや絶縁基材等に貼付されるため接着性を有する。
核体は、ニッケル、シリカ、銅および樹脂から選択することが好ましく、導電性の金属およびその合金がより好ましい。
被覆層は、導電性が優れる素材であればよく、導電性金属または導電性ポリマーが好ましい。導電性金属は、例えば、金、白金、銀、錫、マンガン、およびインジウム等、ならびにその合金が挙げられる。また導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリアセチレン等が挙げられる。これらの中でも導電性の面から銀が好ましい。
なお、D50平均粒子径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS13320(ベックマン・コールター社製)を使用し、トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、導電性微粒子を測定して得た数値であり、粒子径累積分布における累積値が50%の粒子径である。なお、屈折率の設定は1.6とした。
イオンキャッチャー剤は、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、N−サリシロイル−N’−アルデヒドラジン、N,N−ジベンザル(オキザルヒドラジド)、イソフタリック酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジン)[3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン等が挙げられる。これらの中でもデカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジドおよびN,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンはイオン捕捉効果が高いため好ましい。
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層および導電層を備えた第一の実施態様、絶縁層、金属薄膜層および導電層を備えた第二の実施態様が好ましい。
第一の実施態様の場合、導電層は、等方導電層である。また第二の実施態様の場合、導電層は、等方導電層および異方導電層から適宜選択できるところ、異方導電層を使用するとコストダウンが容易になる。
また、金属層は、金属箔以外に真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキ等で形成しても良い。これらの中でも量産性を考慮すれば真空蒸着およびメッキが好ましい。金属箔以外の金属層の厚みは、通常0.005〜5μm程度である。なお、金属蒸着膜の厚みは、0.1〜3μmが好ましい。スパッタリングの厚みは、10〜1000nmが好ましい。
他の機能層は、例えばハードコート性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、低誘電率、高誘電率性または耐熱性等の機能を有する層である。
電磁波シールドシート4は、絶縁層1、金属層3、導電層2を含む構成である。なお図示しないが、電磁波シールドシートは、絶縁層1、導電層2を含む構成も好ましい。
絶縁性基材7は、配線板がフレキシブルプリント配線板(FPC)である場合、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の屈曲可能なプラスチックが好ましく、ポリイミドがより好ましい。また、配線板がリジッド配線板の場合、絶縁性基材7の構成材料は、ガラスエポキシが好ましい。これらのような絶縁性基材7を備えることで配線板は高い耐熱性が得られる。
・導電性微粒子:複合微粒子(核体:銅、被覆層:銀)平均粒径D50:11.0μm 福田金属箔粉工業社製)
・バインダー樹脂:熱硬化性ウレタン樹脂(酸価=5mgKOH/g)トーヨーケム社製
・エポキシ化合物:ビスフェノールA型エポキシ樹脂「JER828」(エポキシ当量=189g/eq)三菱化学社製
アジリジン化合物:「ケミタイトPZ−33」日本触媒社製
バインダー樹脂を100部、導電性微粒子を450部、硬化剤としてエポキシ化合物15部およびアジリジン化合物2.0部を容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性樹脂組成物を得た。次いで、導電性樹脂組成物を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電層を得た。
実施例1の原料の種類・配合量を表2のように変更した以外は実施例1と同様に行うことで、電磁波シールドシートを得た。なお比較例2は、絶縁性樹脂組成物が増粘しゲル化したことで塗工により絶縁性が形成できなかったため物性評価を行わなかった。
ただし、実施例12は参考例である。
バインダー樹脂を100部、導電性微粒子を75部、硬化剤としてエポキシ化合物15部およびアジリジン化合物2.0部を容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性樹脂組成物を得た。次いで、導電性樹脂組成物を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電層を得た。次いで、ラミネーターを使用して厚さ3μmの電解銅箔の一方の面に得られた導電層を貼り合わせた。
バインダー樹脂を100部、導電性微粒子を450部、硬化剤としてエポキシ化合物15部およびアジリジン化合物2.0部を容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性樹脂組成物を得た。次いで、導電性樹脂組成物を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電層を得た。
バインダー樹脂を100部、硬化剤としてエポキシ化合物10部、アジリジン化合物を10部および艶消し剤を1部加えディスパーで攪拌した後、剥離性シートに、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで絶縁層を得た。そして、実施例1と同様にして形成した導電層に前記絶縁層を貼り合わせることで電磁波シールドシートを得た。
得られた電磁波シールドシートを幅60mm・長さ60mmの大きさに準備し、次いで導電層側の剥離性シートを剥がして露出した導電層と、厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン500H」)とを150℃、2MPa、30minの条件で加熱圧着した。次に、絶縁層側の剥離性シートを剥がし、これをテストピースとした。
テストピースの絶縁層面の85°光沢度をBYK.GARDNER社のmicro-TRI-gloss表面光沢度計を用いて85°の測定角度で測定した。
テストピースの絶縁層面のL*値をKONICA MINOLTA社製「色彩色差計CR-400」を用いて測定した。
テストピースの絶縁層面に白色インキ(東洋インキ社製)を用いてスクリーン印刷で印字した。印字のサイズは1ポイントとした。暗室内にて印字部に60WのLEDライトを照射し、水平面を基準として20°、45°、90°の角度から印字から50cmの距離を開けて目視で印字が視認可能かを確認した。なお評価基準は以下の通りである。
○:20°、45°、90°すべて視認可能 良好な結果である。
△:45°、90°で視認可能 実用上問題ない。
×:すべての角度で視認不可能 実用不可
テストピースの絶縁層の表面抵抗値を三菱化学アナリテック社製「ハイレスタUP」のリングプローブURSを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
○ : 1×108Ω/□以上、1×1014Ω/□以下 良好な結果である。
△ : 1×105Ω/□以上、1×108Ω/□未満 実用上問題ない。
× : 1×105Ω/□未満、または1×1015Ω/□よりも高い。 実用不可。
得られた電磁波シールドシートを幅40mm・長さ150mmの大きさに準備した。次いで、その導電層側から剥離性シートを剥がし、露出した導電層に、厚さ75μmのポリイミドフィルム(「カプトン300H」東レ・デュポン社製)を150℃、2MPa、30minの条件で圧着した。圧着後、絶縁層側の剥離性シートを除去し、露出した絶縁層に対して、別途準備した電磁波シールドシートをセットした学振磨耗試験機(テスター産業社製)を使用して、荷重200gf、往復速度30回/min、ストローク120mmの条件下で、絶縁層同士を擦り合わせ、その外観不良が発生するまでの往復回数を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:20000回以上 良好な結果である。
△:10000回以上20000回未満 実用上問題ない。
×:10000回未満 実用不可
2 導電層
3 金属層
4 電磁波シールドシート
5 プリント配線板
6 カバーコート層
7 絶縁性基材
8 グランド配線
9 配線回路
10 穴
Claims (5)
- 導電層、および絶縁層を備え、
前記絶縁層が熱硬化性樹脂、硬化剤、および黒色系着色剤を含み、
前記黒色系着色剤は、平均一次粒子径が20〜100nmであり、
前記黒色系着色剤の含有量が、絶縁層100重量%中、12.2〜40重量%であり、
さらに絶縁層の85°光沢度が15〜50、かつL*a*b*表色系におけるL*値が20〜30であることを特徴とする電磁波シールドシート。 - 前記絶縁層の表面抵抗値が1×105〜1×1014Ω/□であることを特徴とする、請求項1記載の電磁波シールドシート。
- 導電層、金属薄膜層および絶縁層を備えた、請求項1または2に記載の電磁波シールドシート。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の電磁波シールドシート、カバーコート層ならびに信号配線および絶縁性基材を含む配線板を備えた、プリント配線板。
- 請求項4に記載のプリント配線板を備えた、電子機器。
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