JP2017059708A - 電磁波シールドシートおよびプリント配線板 - Google Patents

電磁波シールドシートおよびプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、印字視認性と、印字用インキの密着力およびインキ耐性に優れた絶縁層を有し、FPCに張り合わせた場合においても反発力が低い電磁波シールドシートを提供することを目的とする。
【解決手段】絶縁層、および導電性接着剤層(I)を備え、前記絶縁層が、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤を含有する黒色樹脂組成物により形成され、前記絶縁層の表面は、水との接触角が60〜110°であることを特徴とする電磁波シールドシートにより解決される。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリント配線板等の電子部品から発生する電磁波を遮蔽する電磁波シールドシートに関する。
フレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)は、屈曲性を有することから、近年のOA機器、通信機器、携帯電話などの更なる高性能化、小型化の要請に応えるべく、その狭く複雑な構造からなる筐体内部に電子回路を組み込むために多用されている。そうした電子回路のダウンサイズ化・高周波化に伴い、そこから発生する不要な電磁ノイズに対する対策がますます重要になってきている。そこで、従来からFPCに、電子回路から発生する電磁ノイズを遮蔽する電磁波シールドシートを積層することが行われている。この電磁波シールドシートは、電磁波シールド性に加えて、貼り合わせたFPC全体の耐屈曲性を損なわないよう、薄さと優れた耐屈曲性が要求される。そのため、電磁波シールドシートは、厚さの薄い基材フィルム上に導電性接着剤層と絶縁層を設けた構成が広く知られている。
例えば、特許文献1には、接着剤層、カバーフィルム、金属薄膜層、導電性接着剤層を順次積層した電磁波シールドシートが開示されている。また、特許文献2には、ベースフィルム、金属薄膜層、導電性接着剤層を順次積層した電磁波シールドシートが開示されている。また、特許文献3には、カバーフィルム、金属薄膜層、導電性接着剤層を順次積層した電磁波シールドシートが開示されている。
通常、電磁波シールドシートを大判の配線板に貼り付けた後、所定の形にカットし、電子機器に搭載可能な大きさのプリント配線板を作成する。この際、製造メーカーや生産ロットを把握するため、プリント配線板上の電磁波シールドシートの絶縁層上に、スクリーン印刷等により品名やロットナンバーが白色に印字される場合が多い。この印字面積は小さいため、文字の大きさも小さいのが通常である。
特開2003−298285号公報 特開2004−273577号公報 特開2004−95566号公報
FPCは、積層された電磁波シールドシートの絶縁層に製品番号やロット番号を印字することが行なわれているが、従来の電磁波シールドシートでは、通常用いられる印字用インキのにじみが発生することにより、小さい文字を印字した場合、作業者が印字を視認しにくいという印字視認性の問題があった。また、印字用インキの密着力が低いことにより、他の部材との接触で印字が剥がれてしまったり、印字用インキに含有している溶剤への耐性が低い場合、塗膜の硬度が下がり、印字性の低下や膜強度が低下するという、インキ耐性の問題が起こることがあった。また、印字視認性やインキ耐性を向上させるために絶縁層の膜厚を厚くすると電磁波シールドシートを張り付けたFPCの反発力が強くなり、実装する際にハンドリング性が悪化する問題があった。
本発明は、印字視認性と、印字用インキの密着力およびインキ耐性に優れた絶縁層を有し、FPCに張り合わせた場合においても反発力が低い電磁波シールドシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤を含有する黒色樹脂組成物により形成される絶縁層と、導電性接着剤層(I)とを備え、前記絶縁層の表面の、水との接触角が特定の範囲である電磁波シールドシートにより、上記した課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、絶縁層、および導電性接着剤層(I)を備え、前記絶縁層が、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤を含有する黒色樹脂組成物により形成され、前記絶縁層の表面は、水との接触角が60〜110°であることを特徴とする電磁波シールドシートに関する。
また、本発明は、導電性接着剤層(I)が、熱硬化性樹脂(B1)、硬化剤(B2)、および導電性フィラーを含有する導電性接着剤(i)により形成されてなることを特徴とする前記電磁波シールドシートに関する。
また、本発明は、導電性接着剤層(I)が異方導電性であって、さらに等方導電性である導電層を備えることを特徴とする前記電磁波シールドシートに関する。
また、本発明は、前記電磁波シールドシート、カバーコート層、ならびに信号配線および絶縁信頼性基材を有する配線板を備え、前記電磁波シールドシートの絶縁層に印字がされていることを特徴とするプリント配線基板に関する。
また、本発明は、印字が白色であることを特徴とする前記プリント配線基板に関する。
本発明によれば、印字視認性と、印字用インキの密着性およびインキ耐性とに優れた絶縁層を有し、FPCに張り合わせた場合においても反発力が低い電磁波シールドシートの提供が可能となる。
電磁波シールドシートの断面図 プリント配線板の断面図
本発明により印字視認性と、印字用インキの密着性およびインキ耐性とに優れた絶縁層を有する電磁波シールドシートを提供できる。
<電磁波シールドシート>
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層および導電性接着剤層(I)、少なくとも絶縁層、および導電性接着剤層(I)を備え、前記絶縁層が、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤を含有する黒色樹脂組成物により形成され、かつ絶縁層の表面は、水との接触角が60〜110°であることを特徴とする。
また、導電性接着剤層(I)は、等方導電性あるいは異方導電性のいずれでもよく、異方導電性の場合、コストダウンが可能となるため好ましい。
このような電磁波シールドシートとして具体的には、たとえば、絶縁層および等方導電性を有する導電性接着剤層(I)を備えた第一の実施態様、あるいは絶縁層、等方導電性を有する導電層、および異方導電性を有する導電性接着剤層(I)を備えた第二の実施態様が挙げられる。
特に高い電磁波シールド性が求められる用途においては、第二の実施態様が好ましい。
《電磁波シールドシートの作製方法》
本発明の電磁波シールドシートは、公知の方法で作製でき、特に制限されない。
第一の実施態様の場合、例えば、剥離性シート上に予め作製した導電性接着剤層(I)と、別途作製した絶縁層とを貼り合わせることで得られる。
第二の実施態様の場合、例えば、剥離性シート上に等方導電性を有する導電層である金属層を形成し、別途、剥離性シート上に異方導電性の導電性接着剤層(I)を形成したものを、金属層面に貼り合わせ、その後、別途作製した絶縁層を金属層面の剥離性シートを剥がして貼り合わせることで得られる。
本発明の電磁波シールドシートは、上記層構成に加えて、導電性・絶縁信頼性以外の他の機能層を積層することもできる。
他の機能層は、例えばハードコート性、水蒸気バリア性、酸素バリア性、低誘電率、高誘電率性または耐熱性等の機能を有する層である。
また、本発明の電磁波シールドシートは、熱硬化性樹脂の架橋性官能基と硬化剤の官能基が一部反応した状態(Bステージ)で存在するのが好ましい。そして、電磁波シールドシートを使用する際、例えばFPCに重ね、または貼り付けた後に加熱圧着工程により十分に硬化することで(Cステージ)所望の接着強度が得られる場合が多い。
剥離性シートは、紙またはプラスチックの基材を使用することが好ましく、基材の一方の面に公知の剥離処理がされているシート、または剥離処理に代えて、微粘着力の粘着剤層が形成されたシートである。
なお電磁波シールドシートは、導電性接着剤層(I)または絶縁層の保護および取り扱いを容易にするため、使用する直前まで剥離性シートを貼り付けた状態で保存する場合が多い。
本発明の電磁波シールドシートは、電磁波をシールドする必要がある様々な用途に使用できる。例えば、リジッドプリント配線板は元より、フレキシブルプリント配線板、COF、TAB、フレキシブルコネクタ、液晶ディスプレイ、タッチパネル等に使用できる。また、パソコンのケース、建材の壁および窓ガラス等の建材、車両、船舶、航空機等の電磁波を遮蔽する部材としても使用できる。
《絶縁層》
本発明の絶縁層は、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤を含有する黒色樹脂組成物により形成され、かつ絶縁層の表面の、水との接触角が60〜110°である。それにより、インキの濡れ性が向上し、絶縁層に印字された文字は、にじみが無く、絶縁層表面に密着することができる。
絶縁層の表面の水との接触角は、後述する黒色樹脂組成物の組成、絶縁層の表面の凹凸(表面粗さRa)等により制御することができる。
絶縁層の厚みは、用途に応じて適宜設計可能であるが、3〜20μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。絶縁層の厚みを3〜20μmにすることで印字視認性及びインキ耐性を向上させ、電磁波シールドシートを張り付けたFPCの反発力を低下することができる。
[絶縁層の水接触角]
本発明の電磁波シールドシートの絶縁層は水接触角が60〜110°であり、70〜100°であることがより好ましい。水接触角が60〜110°であることでインキの濡れ性が向上し、絶縁層に印字された文字は、にじみが無く、絶縁層表面に密着する。
水接触角が60以上になることでインキの濡れ性が向上しにじみが無く視認性のよい印字が可能となる。また光沢度が110以下になると絶縁層表面へのインキ塗膜密着性がより向上する。なお、水接触角は電磁波シールドシートの熱硬化後の値であり、測定方法は後述する。
[絶縁層のマルテンス硬さ]
本発明の電磁波シールドシートの絶縁層はマルテンス硬さが20〜300であることが好ましく50〜200であることがより好ましい。マルテンス硬さが20〜300であることでインキ耐性および反発力が向上する。
[絶縁層の動摩擦係数]
本発明の電磁波シールドシートの絶縁層は動摩擦係数が0.01〜0.5であることが好ましく0.05〜0.4であることがより好ましい。動摩擦係数が0.01〜0.5であることでインキの濡れ性が向上し、絶縁層に印字された文字は、にじみが無く、絶縁層表面に密着するため、印字視認性が向上する。
[絶縁層の光沢]
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層表面の85°光沢度が15〜50であることが好ましい。光沢度が15〜50であることで光は絶縁層表面で適度に散乱され、光沢感が適度に抑制される。そのため、絶縁層に印字された文字は、様々な角度から見易くなるため視認性が向上する。
光沢度が15以上になることで剥離性シートと絶縁層との間の剥離が容易になる。また光沢度が50以下になると印字の視認性がより向上する。なお、光沢度の測定方法は後述する。
絶縁層表面に所定の光沢値を付与するためには、例えば、以下のような方法によることができる。
剥離性シートの剥離処理面にあらかじめ、サンドブラスト処理等によって凹凸を形成する。この表面に黒色樹脂組成物を塗工することで、剥離性シートの凹凸が絶縁層に転写され、適度な光沢度を付与することができる。
また別の方法として、剥離性シート上に形成した導電性接着剤層(I)に、黒色樹脂組成物を塗工し、機械研磨などの処理を施すことによって光沢度を調整できる。
または、これらの方法によらずとも、適当な艶消し剤等の添加剤を黒色樹脂組成物に添加することで、絶縁層表面に凹凸を形成することも可能である。
[絶縁層のL*値]
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層表面のL*a*b*表色系におけるL*値が20〜30であることが好ましい。L*値を20〜30にすると絶縁層表面で光が吸収され、例えば、白色で印字した文字をよりはっきりと視認できる。
また、L*値を上記範囲にすることで、表面の一部がこすれて摩耗した場合、外観の黒色度は大きく変わらず、外観不良が起きにくくなる。すなわち耐摩耗性を向上することができる。なお、L*a*b*値は色空間を表す座標軸である。L*は
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を意味する次元、a*およびb*は補色次元を意味する。L*値が高い場合漆黒性は低く。逆にL*値が低い場合漆黒性が高いため、印字視認性が良好となる。
このようなL*値を得るためには、例えば、黒色系着色剤を、形成される絶縁層中に1〜50重量%配合することが好ましく、2〜40重量%配合することがより好ましい。なお、L*値を20〜30に調整する手段が黒色系着色剤に限定されないことはいうまでもない。黒色系着色剤に2次凝集が生じた場合は、必要に応じてサンドミル等で解砕処理を行うことでL値を20〜30に調整できる。
L値が20以上にすることで絶縁信頼性をより向上できる。またL値が30以下になることで印字視認性がより向上する。
[絶縁層の反射率]
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層表面の400〜780nmにおける反射率が10%以下であることが好ましい。400〜780nmにおける反射率を上記範囲にすると絶縁層表面の各波長における光の反射が抑制され、例えば、白色で印字した文字をよりはっきりと視認できる。
[絶縁層の表面抵抗値]
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層の表面抵抗値が1×10以上であることが好ましい。絶縁層の表面抵抗値が1×10Ω/□以上になることで絶縁信頼性がより向上する。
「黒色樹脂組成物」
続いて、絶縁層を形成するための黒色樹脂組成物を構成する、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤等について、それぞれ説明する。
(熱硬化性樹脂(A1))
熱硬化性樹脂(A1)は、加熱による架橋反応に利用できる官能基を複数有する樹脂である。
官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シラノール基等が挙げられる。
上記の官能基を有する熱硬化性樹脂(A1)は、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、縮合型ポリエステル樹脂、付加型ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でも表面抵抗値とインキ耐性の点から、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、付加型ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が好ましい。
本発明では熱硬化性樹脂(A1)に加え、熱可塑性樹脂を併用できる。
熱可塑性樹脂としては、前記硬化性官能基を有しないポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、α−オレフィン化合物などのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンプロピレンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、α−オレフィンポリマー等が挙げられる。
ビニル系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合により得られるポリマーおよびビニルエステルとエチレンなどのオレフィン化合物とのコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレンや(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド類などからなるホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリルコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
ジエン系樹脂は、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物のホモポリマーまたはコポリマーおよびそれらの水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロックコポリマー等が挙げられる。テルペン樹脂は、テルペン類からなるポリマーまたはその水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂が挙げられる。
石油系樹脂は、ジシクロペンタジエン型石油樹脂、水添石油樹脂が好ましい。セルロース系樹脂は、セルロースアセテートブチレート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAポリカーボネートが好ましい。ポリイミド系樹脂は、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂が好ましい。
(硬化剤(A2))
硬化剤(A2)は、熱硬化性樹脂(A1)中の官能基と反応可能な官能基を複数有している。硬化剤は、エポキシ化合物、酸無水物基含有化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、ジシアンジアミド、芳香族ジアミン等のアミン化合物、フェノールノボラック樹脂等のフェノール化合物等が好ましい。
硬化剤(A2)は、熱硬化性樹脂(A1)100重量部に対して1〜50重量部含むことが好ましく、3〜30重量部がより好ましく、3〜20重量部がさらに好ましい。
(黒色系着色剤)
絶縁層は、黒色系着色剤を含むことで印字された文字の視認性を向上できる。黒色系着色剤は、黒色顔料、ならびに赤色、緑色、青色、黄色、紫色、シアンおよびマゼンタ等の顔料を複数含む混合系着色剤が好ましい。混合系着色剤は、複数の顔料を減色混合することで黒色を得ることができる。
黒色顔料は、例えばカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、ペリレンブラック、チタンブラック、鉄黒、アニリンブラック等が挙げられる。
黒色系着色剤は、平均一次粒子径が10〜200nmであることが好ましく、20〜100nmがより好ましい。前記平均一次粒子径の黒色系着色剤を用いることで絶縁層は、色ムラのない鮮明な黒色に着色でき、文字の視認性がより向上する。平均一次粒子径を10nm以上にすることで黒色樹脂組成物の粘度を塗工に適した水準に維持しやすい。また平均一次粒子径を200nm以下にすることで絶縁層の漆黒性が向上し、印字視認性がより向上する。なお、黒色系着色剤の粒子形状が、1.5以上の平均アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)を有する場合、平均一次粒子径は、長軸長さを平均して求める。
なお黒色系着色剤の平均一次粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)により1万倍〜100万倍程度に拡大した画像から観察できる20個程度の一次粒子の平均値から求めることができる。
混合系着色剤は、以下の顔料を使用できる。なお、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料およびマゼンタ顔料は、例えばC.I.ピグメントレッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、176、177、178、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272および279等が挙げられる。
緑顔料は、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55および58等が挙げられる。
青顔料およびシアン顔料は、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78および79等が挙げられる。
黄顔料は、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、184、185、187、188、193、194、198、199、213および214等が挙げられる。
紫顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49および50等が挙げられる。
黒色系着色剤は、絶縁層100重量%中に2〜25重量%含むことが好ましく、4〜15重量%がより好ましい。黒色系着色剤を2〜25重量%含むことで絶縁層は、良好な印字視認性と、絶縁信頼性を両立し易くなる。
(表面調整剤)
黒色樹脂組成物は、表面の濡れ性を調整するため、表面調整剤を添加することが好ましい。表面調整剤としては、ワックス、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、無機フィラー等が挙げられ、ワックス、レベリング剤、シランカップリング剤、無機フィラーが好ましく、ワックス、レベリング剤、無機フィラーがより好ましい。上記表面処理剤は、単独で使用しても良いが2種類以上を併用することが好ましい。具体的には、ワックスと無機フィラー、またはレベリング剤と無機フィラーの併用が好ましい。本発明の黒色樹脂組成物は表面調整剤を添加することによって絶縁層表面の水との接触角が60〜110℃に調整することが容易となり、印字視認性及びインキ塗膜密着性が向上する。
ワックスとしては、例えば、天然ワックスとしてキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油などの植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セシレン等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、合成ワックスとしてはフィッシャートロピッシュワックス、ポリエチレンワックスなどの合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、ラノリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸等がある。
これらワックスの融点は30〜140℃、好ましくは60〜120℃の範囲のものが使用される。ワックスの融点が30℃未満の場合、ワックスのブリードアウトにより汚染が発生しやすい。また、ワックスの融点が140℃を超えると高い耐摩耗性が発現されにくい。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂(A1)とワックスとの配合比率は、熱硬化性樹脂(A1)100重量部に対して、ワックス0.5〜40重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。熱硬化性樹脂(A1)100重量部に対してワックスが0.5重量部より少ないと、耐磨耗性に関する効果があまり期待できず、一方、ワックスが40重量部より多いと、ブリードアウトが発生し、さらには他の物性低下を招いてしまう場合がある。
本発明で用いられるレベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造、ポリエステル構造、アラルキル構造、アクリル基を有するポリシロキサン、並びにアクリル共重合物を使用することができる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2110、2122、2130、2166、2191、2203、2207、ビックケミー社製BYK−330、BYK−323、BYK−348などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にアラルキル構造を有するポリメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−322、BYK−323などが挙げられる。主鎖にアルキル基を有するポリジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−3500、BYK−3505、BYK−3530、BYK−3570などが挙げられる。アクリル共重合物系の具体例としては、ビックケミー社製BYK−350、BYK−354、BYK−355、BYK−358、BYK−381、BYK−392、BYK−394、BYK−3441などが挙げられる。
本発明で用いられる界面活性剤としては一般に、陰イオン系、非イオン系、両性イオン系、陽イオン系のものが知られるが、いずれのものも使用することができる。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アルファオレインスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、N−メチルビスヒドロキシエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤、アリル系反応性界面活性剤等の反応性界面活性剤、カチオン性セルロース誘導体、ポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分子界面活性剤も用いることができる。これらは湿潤分散剤としても市販されており、例えば、EFKA5010、EFKA5044、EFKA5244、EFKA5054、EFKA5055、EFKA5063、EFKA5064、EFKA5065、EFKA5066、EFKA5070、EFKA5071、EFKA5207(以上、エフカアディティブズ社製)、Disperbyk−101、Disperbyk−108、Disperbyk−130(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用してもよく、また、界面活性剤と界面活性剤以外の化合物とを組み合わせて使用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、メタクリル系カップリング剤、チオール系カップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤等が使用できる。
ビニル系シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、2−(3、4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
メタクリル系シランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
チオール系シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネート系シランカップリング剤としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
黒色樹脂組成物へのシランカップリング剤の配合量は、熱硬化性樹脂(A1)100重量部に対して、0.1〜25重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、タルク、モンモロリナイト、カオリン、ベントナイト等の無機化合物が挙げられる。
黒色樹脂組成物中の黒色系着色剤と表面調整剤との添加重量の比率は、100:0.01〜100:10であることが好ましく、100:0.05〜100:5であることがより好ましい。上記比率にすることで、黒色系着色剤を剥離性シートに塗工後乾燥ムラを抑制し、より絶縁層が均一に塗工することができるため、印字視認性が向上する。また、インキ耐性が向上するために好ましい。
黒色樹脂組成物は、必要に応じて黒色系着色剤以外の顔料および染料、ならびに酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、充填剤、難燃剤等を含むことができる。
黒色樹脂組成物は、黒色系着色剤を分散処理した熱硬化性樹脂(A1)溶液に、その他の熱硬化性樹脂(A1)、及び硬化剤(A2)等を混合し攪拌して得ることができる。攪拌は、公知の攪拌装置を使用でき、ディスパーマットやホモジナイザー等が好ましい。
絶縁層は、例えば黒色樹脂組成物を剥離性シート上に塗工することで形成できる。または、黒色樹脂組成物を例えばTダイのような押出成形機により、シート状に押し出すことで形成できる。
塗工は、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等の公知の塗工方法を使用できる。塗工の際、必要に応じて乾燥工程を設けてもよい。前記乾燥は、熱風乾燥機および赤外線ヒーター等公知の乾燥装置が使用できる。
《導電性接着剤層(I)》
導電性接着剤層(I)は、熱硬化性樹脂(B1)、硬化剤(B2)、および導電性フィラーを含有する導電性接着剤(i)により形成されてなる。導電性接着剤層(I)は、プリント配線板上に形成されたカバーフィルムや絶縁基材等に貼付されるため接着性を有する。
導電性接着剤層(I)は、等方導電性接着剤層または異方導電性接着剤層から適宜選択できる。等方導電性接着剤層は、電磁波シールドシートを水平に置いた状態で、上下方向および水平方向に導電性を有する。また、異方導電性接着剤層は、電磁波シールドシートを水平に置いた状態で、上下方向のみに導電性を有する。
導電性接着剤層(I)は、導電性接着剤(i)を使用して絶縁層での説明と同様に作製できる。
導電性接着剤層(I)の厚みは、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましく、4〜15μmがさらに好ましい。厚みが1〜100μmの範囲にあることで導電性と、その他の物性を両立しやすくなる。
「導電性接着剤(i)」
続いて、導電性接着剤層(I)を形成するための導電性接着剤(i)について説明する。導電性接着剤(i)は、従来公知のものを用いることができ、たとえば、熱硬化性樹脂(B1)、硬化剤(B2)、導電性フィラー、および必要に応じてその他の添加剤等を含有する導電性接着剤である。
ここで、熱硬化性樹脂(B1)および硬化剤(B2)、は、絶縁層で説明した熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)から適宜選択して使用できる。
(導電性フィラー)
導電性フィラーである導電性微粒子は、金、白金、銀、銅およびニッケル等の導電性金属、ならびにその合金、ならびに導電性ポリマーの微粒子が好ましい。また単一組成の微粒子ではなく金属や樹脂を核体とし、前記核体の表面を被覆する被覆層を導電性が高い素材で形成した複合微粒子がコストダウンの観点から好ましい。
核体は、ニッケル、シリカ、銅および樹脂から選択することが好ましく、導電性の金属およびその合金がより好ましい。
被覆層は、導電性が優れる素材であればよく、導電性金属または導電性ポリマーが好ましい。導電性金属は、例えば、金、白金、銀、錫、マンガン、およびインジウム等、ならびにその合金が挙げられる。また導電性ポリマーは、ポリアニリン、ポリアセチレン等が挙げられる。これらの中でも導電性の面から銀が好ましい。
導電性微粒子は、単独または2種類以上を併用できる。
複合微粒子は、核体100重量部に対して、1〜40重量部の割合で被覆層を有することが好ましく、5〜30重量部がより好ましい。1〜40重量部で被覆すると、導電性を維持しながら、よりコストダウンができる。なお複合微粒子は、被覆層が核体を完全に覆うことが好ましい。しかし、実際には、核体の一部が露出する場合がある。このような場合でも核体表面面積の70%以上を導電性物質が覆っていれば、導電性を維持しやすい。
導電性微粒子の形状は、所望の導電性が得られればよく形状は限定されない。具体的には、例えば、球状、フレーク状、葉状、樹枝状、プレート状、針状、棒状、ブドウ状が好ましい。なお、導電性微粒子は、一般にフレーク状の微粒子を使用すると等方導電性が得られ、球状または樹枝状の微粒子を使用すると異方導電性が得られる。
導電性微粒子の平均粒子径は、D50平均粒子径であり、1〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。
なお、D50平均粒子径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS13320(ベックマン・コールター社製)を使用し、トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、導電性微粒子を測定して得た数値であり、粒子径累積分布における累積値が50%の粒子径である。なお、屈折率の設定は1.6とした。
等方導電性接着剤層を形成する場合、導電性微粒子は、熱硬化性樹脂(B1)100重量部に対して、100〜1500重量部を配合することが好ましく、200〜1000重量部がより好ましい。異方導電性接着剤層を形成する場合、熱硬化性樹脂(B1)100重量部に対して、10〜200重量部を配合することが好ましく、20〜150重量部がより好ましい。
導電性接着剤(i)は、さらにシランカップリング剤、防錆剤、還元剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤等を配合できる。
導電性接着剤(i)は、導電性フィラーと熱硬化性樹脂(B1)とを混合し攪拌して得ることができる。攪拌は、公知の攪拌装置を使用でき、ディスパーマットやホモジナイザー等が好ましい。
《導電層》
第二の実施態様として、絶縁層、導電性接着剤層(I)に、さらに導電層を有する場合、導電性接着剤層(I)が異方導電性を有し、導電層が等方導電性である場合が挙げられる。
この第二の実施態様は、特に高い電磁波シールド性が求められる用途において好ましい。
また、等方導電性の導電層(等方導電層)としては、金属層、または導電性接着剤層(II)等が挙げられる。100MHz〜20GHzの高周波信号に対する電磁波シールド性、伝送特性が向上する点において金属層が好ましい。一方、ハンダリフロー等の耐熱性の点では導電接着剤層(II)が好ましい。
金属層は、金属箔、蒸着膜、スパッタリング膜、および金属メッキ膜から選択できる。金属箔は、例えばアルミニウム、銅、銀、金等の導電性の金属箔が好ましく、シールド性、およびコストの面から銅、銀、アルミニウムがより好ましく、銅がさらに好ましい。
銅は、例えば、圧延銅箔または電解銅箔を使用することが好ましく、金属層の薄さを追及すると圧延銅箔をエッチング処理したものや電解銅箔がより好ましい。金属箔の場合、厚みは0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
蒸着膜、スパッタリング膜、および金属メッキ膜は、アルミニウム、銅、銀、金等の導電性の金属材料で形成することが好ましく、銅、銀、アルミニウムがより好ましい。蒸着膜の厚みは、0.1〜3μmが好ましい。スパッタリング膜の厚みは、10〜1000nmが好ましい。金属メッキ膜の厚みは、通常0.5〜5μmが好ましい。
導電性接着剤層(II)を構成する熱硬化性樹脂等は、導電性接着剤層(I)の説明における等方導電性を有する場合と同じものを用いることができる。
また、導電性接着剤層(II)は、導電性接着剤(ii)により形成することができ、導電性接着剤(ii)も、導電性接着剤(i)と同様、従来公知のものを用いることができ、たとえば、熱硬化性樹脂、硬化剤、導電性フィラー、および必要に応じてその他の添加剤等を含有する導電性接着剤である。
導電性接着剤層(II)における導電性微粒子は、熱硬化性樹脂100重量部に対して、300〜2000重量部を配合することが好ましく、500〜1500重量部がより好ましい。
この時の導電性接着剤層(II)の厚みは、2〜15μmが好ましく、より好ましくは3〜10μmである。
導電接着剤層(II)に用いる導電性フィラーの形状はフレーク状又は樹枝状であることが好ましい。フレーク状又は樹枝状の形状の導電性フィラーを用いることで、より薄い膜厚で高い導電性を発現することができ、反発力を低下することができる。
<プリント配線板>
本発明のプリント配線板は、本発明の電磁波シールドシートと、カバーコート層ならびに信号配線および絶縁信頼性基材を含む配線板とを備え、電磁波シールドシートの絶縁層に印字がされていることを特徴とする。
このようなプリント配線板により、通常用いられる印字用インキを用いた場合にも、にじみが発生することなく、小さい文字を印字した場合に、作業者が印字を視認しやすく、印字視認性に優れたものとすることができる。
とくに、印字が白色である場合、印字視認性に優れたものとすることができ、好ましい。
本発明のプリント配線板について、図2を参照し、第二実施態様を例に説明する。
電磁波シールドシート4は、絶縁層1、等方導電性を有する導電層3、異方導電性を有する導電性接着剤層(I)2を含む構成である。
なお、図示しないが、電磁波シールドシートは、絶縁層1、導電性接着剤層(I)2を含む第一実施態様の構成も好ましい。この時の導電性接着剤層(I)は、等方導電性であることが好ましい。
カバーコート層6は、配線板の信号配線を覆い外部環境から保護する絶縁材料である。カバーコート層6は、接着剤付きのポリイミドカバーレイ、熱硬化型または紫外線硬化型のソルダーレジスト、感光性カバーレイフィルムが好ましく、微細加工をするためには感光性カバーレイフィルムがより好ましい。
信号配線は、アースを取るグランド配線8、電子部品に電気信号を送る配線回路9を含む。両者は銅箔をエッチング処理することで形成することが一般的である。
絶縁信頼性基材7は、配線板がフレキシブルプリント配線板(FPC)である場合、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の屈曲可能なプラスチックが好ましく、ポリイミドがより好ましい。また、配線板がリジッド配線板の場合、絶縁信頼性基材7の構成材料は、ガラスエポキシが好ましい。これらのような絶縁信頼性基材7を備えることで配線板は高い耐熱性が得られる。
電磁波シールドシート4と、配線板との加熱圧着は、温度150〜190℃程度、圧力1〜3MPa程度、時間1〜60分程度の条件で行うことが一般的である。加熱圧着により導電性接着剤層(I)2とカバーコート層6が密着するとともに、導電性接着剤層(I)2が流動して穴10を埋めることでグランド配線8との間で導通が取れる。さらに加熱圧着により熱硬化性樹脂と硬化剤が反応する。なお、硬化を促進させるため、加熱圧着後に150〜190℃で30〜90分間ポストキュアを行う場合もある。なお、電磁波シールドシートは、加熱圧着後に電磁波シールド層ということがある。
「印字用インキ」
印字用インキとしては、シルクスクリーンインキ、またはインクジェットインキ等が挙げられ、着色剤、バインダー樹脂、添加剤、及び溶媒等からなり、溶剤は印刷適性の観点から沸点が40〜140℃の有機溶媒から適宜選択される。
また、印字視認性の鑑定から、白色の印字用インキであることが好ましい。
加熱圧着後、電磁波シールドシートの絶縁層1の表面に、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等で印字用インキにより、ロットナンバーや製品ナンバーを印字することができる。印字される文字のサイズは、通常1〜10ポイントである。印刷後、100〜170℃のオーブンで乾燥することで印字は硬化し絶縁層1に密着する。絶縁層1が黒色であるところ、視認性を高めるため印字の色は白色である。
本発明のプリント配線板は、液晶ディスプレイ、タッチパネル等のほか、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器に備えることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
実施例で使用した導電性微粒子、熱硬化性樹脂(A1、B1)、硬化剤(A2、B2)を以下に示す。
[導電性フィラー]
導電性微粒子:複合微粒子(核体:銅、被覆層:銀)平均粒径D50:11.0μm 福田金属箔粉工業社製)
[熱硬化性樹脂(A1、B1)]
熱硬化性樹脂1:熱硬化性ポリウレタン樹脂(酸価=5mgKOH/g、Tg=0℃)トーヨーケム社製
熱硬化性樹脂2:熱硬化性ポリアミド樹脂(酸価=20mgKOH/g、Tg=20℃)トーヨーケム社製
熱硬化性樹脂3:熱硬化性付加型エステル樹脂(酸価=10mgKOH/g、Tg=10℃)トーヨーケム社製
熱硬化性樹脂4:熱硬化性ポリエステル樹脂(酸価=10mgKOH/g、Tg=−10℃)トーヨーケム社製
[硬化剤(A2、B2)]
硬化剤1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂「JER828」(エポキシ当量=189g/eq)三菱化学社製
硬化剤2:アジリジン化合物「ケミタイトPZ−33」日本触媒社製
表面調整剤1:アクリル系重合体レベリング剤「BYK350」ビックケミー社製
表面調整剤2:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン系レベリング剤「BYK300」ビックケミー社製
表面調整剤3:アマイドワックス「CERAFLOUR994(平均粒径D50:5μm、融点:145℃)」ビックケミー社製
表面調整剤4:変性ポリエチレンワックス「CERAFLOUR961(平均粒径D50:3.5μm、融点:140)」ビックケミー社製
表面調整剤5:ポリプロピレンワックス「CERAFLOUR970(平均粒径D50:9μm、融点:160℃)」ビックケミー社製
表面調整剤6:PTFE「CERAFLOUR981(平均粒径D50:3μm)」ビックケミー社製
表面調整剤7:疎水性シリカ「AEROSIL RY200S」EVONIK社製
表面調整剤8:親水性シリカ「AEROSIL 130」EVONIK社製
黒色系着色剤を表1に示す。
[実施例1(3層構成;絶縁層/金属層(金属箔)/導電性接着剤層(I))]
熱硬化性樹脂2を100部、導電性微粒子を30部、硬化剤1を30部、硬化剤2を2部容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性接着剤を得た。次いで、導電性接着剤を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電性接着剤層(I)を得た。
別途、熱硬化性樹脂2を100部、黒色系着色剤として黒色系着色剤1を10部、無機フィラー2を2部、表面調整剤1を1部にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分濃度を30.0重量%に調製した。この混合物をディスパーで攪拌した後にジルコニアビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で分散することで分散液を得た。得られた分散液中の熱硬化性樹脂(A1)分100部に対して硬化剤として硬化剤1を30部、硬化剤2を2部加えてディスパーで10分攪拌することで黒色樹脂組成物を得た。この黒色樹脂組成物をキャリア付き電解銅箔の電解銅箔側の表面に、バーコーターを用いて乾燥厚みが10μmになるように塗工し、さらに100℃の電気オーブンで3分間乾燥した。その後、絶縁層側に異物付着防止のため微粘着剥離性シートを貼り合わせた。
キャリア銅箔を剥がし、露出した電解銅箔面に導電性接着剤(I)を張り合わせることで「微粘着剥離性シート/絶縁層/電解銅箔/導電性接着剤層(I)/剥離性シート」からなる電磁波シールドシートを得た。
[実施例2〜25、比較例1〜4]
実施例1の原料の種類・配合量(重量部)を表2のように変更した以外は実施例1と同様に行うことで、電磁波シールドシートを得た。
[実施例26(3層構成;絶縁層/金属層(金属蒸着層)/導電性接着剤層(I)]
熱硬化性樹脂2を100部、導電性微粒子を30部、硬化剤1を30部、硬化剤2を2部容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性接着剤を得た。次いで、導電性接着剤を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電性接着剤層(I)を得た。
別途、熱硬化性樹脂2を100部、黒色系着色剤として黒色系着色剤1を10部、無機フィラー1を1部、表面調整剤1を1部にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分濃度を30.0重量%に調製した。この混合物をディスパーで攪拌した後にジルコニアビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で分散することで分散液を得た。得られた分散液中の熱硬化性樹脂(A1)分100部に対して硬化剤として硬化剤1を30部、硬化剤2を2部加えてディスパーで10分攪拌することで黒色樹脂組成物を得た。この黒色樹脂組成物をPETフィルムの離形処理面に形成した厚み0.1μmの銅蒸着表面に、バーコーターを用いて乾燥厚みが10μmになるように塗工し、さらに100℃の電気オーブンで3分間乾燥した。その後、絶縁層側に異物付着防止のため微粘着剥離性シートを貼り合わせた。
PETフィルムを剥がし、露出した銅蒸着面に導電性接着剤(I)を張り合わせることで「微粘着剥離性シート/絶縁層/銅蒸着層/導電性接着剤層(I)/剥離性シート」からなる電磁波シールドシートを得た。
[実施例27〜29]
実施例1の原料の種類・配合量(重量部)を表2のように変更した以外は実施例1と同様に行うことで、電磁波シールドシートを得た。
[実施例30(3層構成;絶縁層/導電性接着剤層(II)/導電性接着剤層(I)]
熱硬化性樹脂2を100部、導電性微粒子を30部、硬化剤1を30部、硬化剤2を2部容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性接着剤を得た。次いで、導電性接着剤を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで異方導電性を有する導電性接着剤層(I)を得た。
別途、熱硬化性樹脂2を100部、導電性微粒子を850部、硬化剤1を30部、硬化剤2を2部容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性接着剤を得た。次いで、導電性接着剤を剥離性シート上に、乾燥厚みが3μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで等方導電性を有する導電性接着剤層(II)を得た。
熱硬化性樹脂2を100部、黒色系着色剤として黒色系着色剤1を10部、無機フィラー1を1部、表面調整剤1を1部にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分濃度を30.0重量%に調製した。この混合物をディスパーで攪拌した後にジルコニアビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で分散することで分散液を得た。得られた分散液中の熱硬化性樹脂(A1)分100部に対して硬化剤として硬化剤1を30部、硬化剤2を2部加えてディスパーで10分攪拌することで黒色樹脂組成物を得た。この黒色樹脂組成物を表面粗さRaが0.7μmの剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで絶縁層(I)を得た。
その後、絶縁層側に導電接着剤層(II)を張り合わせて導電接着剤層(II)の剥離性シートを剥がし、さらに、導電接着剤層(I)を張り合わせることで、「剥離性シート/絶縁層/導電性接着剤層(II)/導電性接着剤層(I)/剥離性シート」からなる電磁波シールドシートを得た。
[実施例31(2層構成;絶縁層/導電性接着剤層(I))]
熱硬化性樹脂2を100部、導電性微粒子を450部、硬化剤1を30部および硬化剤2を2.0部容器に仕込み、不揮発分濃度が40重量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(重量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性接着剤(I)を得た。次いで、導電性接着剤を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで導電性接着剤層を得た。
別途、バインダー樹脂100部、黒色系着色剤として旭カーボン社製「RCF/SB200」7部、無機フィラー1を1部、表面調整剤1にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分濃度を30.0重量%に調製した。この混合物をディスパーで攪拌した後にジルコニアビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で分散することで分散液を得た。得られた分散液中のバインダー樹脂分100部に対して硬化剤1を30部、硬化剤2を2部加えて黒色樹脂組成物を得た。この黒色樹脂組成物を表面粗さRaが0.7μmの剥離性シートに、バーコーターを用いて乾燥厚みが10μmになるように塗工し、さらに100℃の電気オーブンで3分間乾燥した後、導電接着剤層(I)と張り合わせることで「剥離性シート/絶縁層/導電性接着剤層(I)/剥離性シート」からなる電磁波シールドシートを得た。
本発明で規定する表面粗さRaは、JIS−B0601で定義されたものであり、表面粗さ計サーフコム590A(東京精密社製)で測定した。
下記評価項目に従い物性測定、および評価を行った。結果を表2〜4に示す。
<テストピース作製>
得られた電磁波シールドシートを幅60mm・長さ60mmの大きさに準備し、次いで導電性接着剤層(I)側の剥離性シートを剥がして露出した導電性接着剤層(I)と、厚さ125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン500H」)とを150℃、2MPa、30minの条件で加熱圧着した。次に、絶縁層側の剥離性シートを剥がし、これをテストピースとした。
<絶縁層の水接触角>
絶縁層の水接触角は、テストピースの絶縁層面に対して、協和界面科学(株)製 「自動接触角計DM‐501/解析ソフトウェアFAMAS」を用いて測定した。測定方法は液適法を用いた。
<85°光沢度>
テストピースの絶縁層面の85°光沢度をBYK.GARDNER社のmicro−TRI−gloss表面光沢度計を用いて85°の測定角度で測定した。
<L*値測定>
テストピースの絶縁層面のL*a*b*値をKONICA MINOLTA社製「色彩色差計CR−400」を用いて測定した。
<反射率の測定>
テストピースの絶縁層面の反射率をJasco社製「紫外可視分光光度計(V−570)」を用いて測定した。
<印字の視認性>
テストピースの絶縁層面に白色インキ(東洋インキ社製)を用いてスクリーン印刷で印字した。印字のサイズは5ポイントとした。暗室内にて印字部に60WのLEDライトを照射し、水平面を基準として20°、45°、90°の角度から印字から50cmの距離を開けて目視で印字が視認可能かを確認した。なお評価基準は以下の通りである。
◎:20°、45°、90°すべて視認可能 非常に良好な結果である。
○:45°、90°で視認可能 良好な結果である。
△:90°で視認可能 実用上問題ない。
×:すべての角度で視認不可能 実用不可
<マルテンス硬さ>
テストピースの絶縁層の硬度は、フィッシャースコープH100C(フィッシャー・インストルメンツ社製)型硬度計にて測定した。測定は、ビッカース圧子(開き角度136°ダイアモンド四角錐)を用い、25℃の恒温室にて進入深度1μm、進入時間30秒で行った。同一硬化膜面をランダムに10箇所繰り返し測定して得た値を平均して、マルテンス硬さ値を求めた。
<動摩擦係数>
テストピースの絶縁層の動摩擦係数は、HEIDON(新東科学社製)にて測定した。測定は、テストピースの絶縁層に対して鋼球3点により支持された重さ100gの重りをつけ、絶縁層上を60cm/分の速度で引っ張り、塗膜表面の動摩擦係数を測定した。異なる5カ所を測定値の平均値を動摩擦係数とした。
<絶縁信頼性>
テストピースの絶縁層の表面抵抗値を三菱化学アナリテック社製「ハイレスタUP」のリングプローブURSを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
◎ : 1×10Ω/□以上 非常に良好な結果である。
○ : 1×10Ω/□以上、1×10Ω/□未満 良好な結果である。
△ : 1×10Ω/□以上、1×10Ω/□未満 実用上問題ない。
× : 1×10Ω/□未満 実用不可。
<インキ密着性>
白色シルクスクリーンインキ「SS16 611(東洋インキ製)」、シクロヘキサノン、硬化剤「SSUR110B(東洋インキ製)」を10:11:1の比率で混合し、テストピースの絶縁層表面にベタ印刷した後、130℃のオーブンで10分乾燥した。印刷面に対してJIS K 5600に準じてクロスカット試験を行い、インキ塗膜の絶縁層への密着性を確認した。評価基準は以下の通りである。
◎ : どの格子の目もはがれがない 非常に良好な結果である。
○ : カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。明確に5%を上回らない。 良好な結果である。
△ : 塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている。5%以上35%未満 実用上問題ない。
× : 全面的に大はがれを生じている。 実用不可。
<インキ耐性>
テストピースを25℃、50%の環境でシクロヘキサノンに10分浸漬した。テストピースを取り出して溶剤をエアーで除去し、絶縁層の表面の鉛筆硬度をJIS K 5600に準じて測定した。評価基準は以下の通りである。
◎ : H 非常に良好な結果である。
○ : F 良好な結果である。
△ : HB 実用上問題ない。
× : HB以下 実用不可。
<反発力>
電磁波シールドシートを幅1cm・長さ6cmの大きさに準備し試料とした。導電性接着剤層(I)側の剥離性シートを剥がし、露出した導電性接着剤層(I)を幅1cm・長さ6cmの大きさに準備した厚さ25μmのポリイミド(「カプトン100H」東レデュポン社製)と150℃、2MPa、30minの条件で圧着させた後、絶縁層側の剥離性シートを剥がし、JPCA−TMJ002 8.4.1に記載の試験条件にてスティフネス(stiffness)値を測定した。なお結果は以下の判定基準に従い評価した。なお、反発力が高すぎると、例えばFPCを折り曲げて電子機器の内部に収納する場合、FPCの信号配線に負担が掛かり、断線する恐れがあるなどのデメリットがある。

◎ : 反発力が50mN/mm未満。非常に良好な結果である。
○ : 反発力が50mN/mm以上、100mN/mm未満。良好な結果である。
△ : 反発力が100mN/mm以上、150mN/mm未満。実用上問題ない。
× : 反発力が150mN/mmを超える。実用不可。
表2〜4の結果から、実施例の絶縁層により、インキ塗膜密着性及びインキ耐性が良好であり、印字視認性に優れ、反発力が低いため製造歩留りが良好で製造コストを削減できる電磁波シールドシートを提供可能であることが確認できた。
1 絶縁層
2 導電性接着剤層(I)
3 等方導電層
4 電磁波シールドシート
5 プリント配線板
6 カバーコート層
7 絶縁信頼性基材
8 グランド配線
9 信号回路
10 穴
[絶縁層のL*値]
本発明の電磁波シールドシートは、絶縁層表面のL*a*b*表色系におけるL*値が20〜30であることが好ましい。L*値を20〜30にすると絶縁層表面で光が吸収され、例えば、白色で印字した文字をよりはっきりと視認できる。
また、L*値を上記範囲にすることで、表面の一部がこすれて摩耗した場合、外観の黒色度は大きく変わらず、外観不良が起きにくくなる。すなわち耐摩耗性を向上することができる。なお、L*a*b*値は色空間を表す座標軸である。a*およびb*は補色次元を意味する。L*値が高い場合漆黒性は低く逆にL*値が低い場合漆黒性が高いため、印字視認性が良好となる。
[実施例2〜25、比較例1〜4]
実施例1の原料の種類・配合量(重量部)を表2のように変更した以外は実施例1と同
様に行うことで、電磁波シールドシートを得た。
ただし、実施例13、14、および19は参考例である。
[実施例2〜25、比較例1〜4]
実施例1の原料の種類・配合量(重量部)を表2のように変更した以外は実施例1と同様に行うことで、電磁波シールドシートを得た。
ただし、実施例1、5、13、14、19、20、24、および25は参考例である。

Claims (5)

  1. 絶縁層、および導電性接着剤層(I)を備え、
    前記絶縁層が、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および黒色系着色剤を含有する黒色樹脂組成物により形成され、
    前記絶縁層の表面は、水との接触角が60〜110°であることを特徴とする電磁波シールドシート。
  2. 導電性接着剤層(I)が、熱硬化性樹脂(B1)、硬化剤(B2)、および導電性フィラーを含有する導電性接着剤(i)により形成されてなることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールドシート。
  3. 導電性接着剤層(I)が異方導電性であって、さらに等方導電性である導電層を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波シールドシート。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載の電磁波シールドシート、カバーコート層、ならびに信号配線および絶縁信頼性基材を有する配線板を備え、前記電磁波シールドシートの絶縁層に印字がされていることを特徴とするプリント配線基板。
  5. 印字が白色であることを特徴とする請求項4記載のプリント配線基板。
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