JP2017147276A - 電磁波シールドシート、電磁波シールド性配線回路基板および電子機器 - Google Patents

電磁波シールドシート、電磁波シールド性配線回路基板および電子機器 Download PDF

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英宣 小林
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Abstract

【課題】部品との接合性に優れ、電磁波等のシールド性を確保しつつ、高周波用途の部品に用いる場合においても良好な伝送特性を維持できる電磁波シールドシートを提供する。【解決手段】電磁波シールドシート10は、部品の少なくとも一部をシールドする積層体からなり、接合処理を行うことにより部品20と接合される接着層1、導電層2、絶縁層3、およびハードコート層4を備える。前記接着層1は、バインダー成分として、熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂に対する硬化性化合物との少なくとも一方を含み、バインダー成分を熱圧着処理した後の被膜が周波数1GHz、23℃において、比誘電率が1〜3の範囲であり、誘電正接が0.0001〜0.02である。【選択図】図3

Description

本発明は、電磁波を放出する部品の一部に接合して利用するのに好適な電磁波シールドシートに関する。また、前述の電磁波シールドシートを用いてなる電磁波シールド性配線回路基板および電子機器に関する。
携帯端末、PC、サーバー等をはじめとする各種電子機器には、プリント配線板等の基板が内蔵されている。これらの基板には、外部からの磁場や電波による誤動作を防止するために、また、電気信号からの不要輻射を低減するために、電磁波シールド構造が設けられている(特許文献1)。
特許文献1においては、シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波および電磁波を良好に遮蔽し、良好な伝送特性を有するシールドフィルム、シールドプリント配線板およびシールドフィルムの製造方法を提供することを課題として、以下の構成を開示する。即ち、層厚が0.5〜12μmの導電層と、異方導電性接着剤層とを積層状態で備えたことを特徴とするシールドフィルムを開示する。そして、当該構成により、シールドフィルムの一方面側から他方面側に進行する電界波、磁界波、および電磁波を良好に遮蔽することができることが記載されている。
国際公開2013/077108号
ところで、近年の高速データ通信技術の進展により信号の伝送速度が飛躍的に増加している。高速伝送を行うには、伝送路の特性インピーダンス整合が重要となる。信号の伝送路における送り出し側回路の出力インピーダンスと、受け側回路の入力インピーダンスとの不整合点において、入射波が反射して信号波が減衰すると、歪が発生して特性が劣化するためである。反射の現象は、高周波や高速のパルス信号を伝送する場合に特に顕著になる。
図1に、プリント配線基板に電磁波シールドシートを貼り付けたシールド性配線板の模式的断面図を示す。電磁波シールドシート10を貼り付けると、同図に示すように、プリント配線板20の例えば配線25と電磁波シールドシート10の導電層2との間にキャパシタ成分が付加され、特性インピーダンスが変化する。また伝送特性が劣化してしまうという問題がある。即ち、電磁波シールドシート10が、シールドするプリント配線板の電気特性に影響を与えてしまうという問題がある。特に高周波信号においては、インピーダンスの不整合点で信号の反射が発生してノイズが発生しやすいので、特性劣化の問題が深刻である。
また、シールド性配線板を高温多湿の環境で使用した場合、水分が接着層1の中に侵入して、誘電率および誘電正接を上昇させ、伝送特性を悪化させる場合がある。
電磁波シールド性を確保しつつ、伝送特性について改善ができれば、更なる高性能化が期待できる。また、内部電子回路等の設計マージンを大きくすることも可能となる。近年の信号の高速化や高周波化に伴い、伝送特性の改善は性能特性を維持し、向上させていくために重要となっている。
尚、上記においてはプリント配線板の例により説明したが、配線および電子回路を有する基板に同様の課題が存在する。
本発明は、上記背景に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、部品との接合性に優れ、電磁波等のシールド性を確保しつつ、高周波用途の部品に用いる場合においても良好な伝送特性を維持できる電磁波シールドシートを提供することである。
さらに本発明の電磁波シールドシートは、高温高湿処理後の伝送特性の劣化のない電磁波シールドシートを提供することである。
上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に係る電磁波シールドシートは、電磁波を放出する部品の少なくとも一部をシールドする、積層体からなる電磁波シールドシートであって、前記積層体は、前記部品上に配置して、接合処理を行うことにより前記部品と接合される接着層と、前記接着層上に積層された導電層と、前記導電層上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成されたハードコート層とを備える。そして、前記接着層は、バインダー成分として、下記(I)および(II)の少なくとも一方を含み、
(I)熱可塑性樹脂(A)
(II)熱硬化性樹脂(B)と該熱硬化性樹脂(B)に対する硬化性化合物(C)
前記接着層は、更に、導電性フィラーを含有し、異方導電性を示し、前記バインダー成分を熱圧着処理した後の被膜(X)が以下の(i)および(ii)を満たす。
(i)比誘電率が、周波数1GHz、23℃において1〜3である。
(ii)誘電正接が、周波数1GHz、23℃において0.0001〜0.02である。
本発明に係る電磁波シールド性配線回路基板は、配線回路基板上に、上記態様の電磁波シールドシートが接合されたものである。
本発明に係る電子機器は、上記態様の電磁波シールドシートが接合されたものである。
本発明によれば、部品との接合性に優れ、電磁波等のシールド性を確保しつつ、高周波用途の部品に用いる場合においても良好な伝送特性を維持できる電磁波シールドシートを提供することができるという優れた効果を奏する。
従来例に係るシールド性配線板のキャパシタ成分を説明するための模式的断面図である。 本実施形態に係る電磁波シールドシートの一例を示す模式的な切断部断面図である。 本実施形態に係る電磁波シールド性配線回路基板の一例を示す模式的な切断部断面図である。 第1変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の一例を示す模式的な切断部断面図である。 第2変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の一例を示す模式的な切断部断面図である。 第3変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の一例を示す模式的な切断部断面図である。 第4変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の一例を示す模式的な切断部断面図である。 実施例および比較例に係るプリント配線板の主面側の模式的平面図である。 実施例および比較例に係るプリント配線板の裏面側の模式的平面図である。 実施例および比較例に係る電磁波シールドシート付きプリント配線板の模式的平面図である。 図10のXI−XI切断部断面図である。 図10のXII−XII切断部断面図である。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。尚、以降の図における各部材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、これに限定されるものではない。また、本明細書において「任意の数A〜任意の数B」なる記載は、当該範囲に数Aが下限値として、数Bが上限値として含まれる。また、本明細書における「シート」とは、JISにおいて定義される「シート」のみならず、「フィルム」も含むものとする。また、本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。
本発明に係る電磁波シールドシート10は、図2に示すように、接着層1、導電層2、絶縁層3、ハードコート層4が少なくともこの順に積層された積層体からなる。電磁波シールドシート10は、部品(不図示)上に接着層1を配置し、接合処理により当該部品と接合することができる。接合処理は、接合できればよいが、熱処理または熱圧着処理が好適である。絶縁層3は、電磁波シールドシート10を保護する役割を担い、導電層2より表層側に配置される。導電層2は、絶縁層3と接着層1の間に挟持された層であり、主として電磁波をシールドする役割を担う。プリント配線板においては、部品内部の信号配線等から発生する電磁ノイズをシールドしたり、外部からの信号を遮蔽する役割を担う。
また、絶縁層3の表面側に配置されたハードコート層4は、電磁波シールドシートの絶縁層側の耐摩耗性や耐擦り傷性が向上させるとともに、水分が絶縁層3側から接着層1に侵入し、比誘電率および誘電正接の上昇を抑制する役割を担う。
電磁波シールドシート10は、更に他の層を備えていてもよい。例えば、絶縁層3の表層に耐擦傷性、酸素バリア性フィルム等の他の層や、接着層1と導電層2および/または導電層2と絶縁層3の間に磁界カットを強化するフィルム等を積層してもよい。
本発明の電磁波シールドシートは、電磁波(電界波および磁界波)を放出する部品の輻射電磁波防止および外部からの磁場や電波による誤動作防止に好適なものである。部品としては、パーソナルコンピュータ、モバイル機器或いはデジタルカメラ等に内蔵されるハードディスク、ケーブルおよびプリント配線板等が例示できる。また、カードリーダ等にも好適である。以下、各層について詳述する。
[接着層]
接着層1は、
(I)熱可塑性樹脂(A)、および
(II)熱硬化性樹脂(B)および熱硬化性樹脂(B)に対する硬化性化合物(C)の少なくとも一方を含むものであり、前記接着層は、更に、導電性フィラーを含有し、異方導電性を示し、(I)、(II)或いは(I)と(II)の混合物を熱圧着した後の被膜(X)が、以下の(i)および(ii)を満たすものを用いる。
(i)比誘電率が、周波数1GHz、23℃において1〜3である。
(ii)誘電正接が、周波数1GHz、23℃において0.0001〜0.02である。
尚、熱硬化性樹脂(B)とは、硬化性化合物(C)と硬化反応する部位が少なくとも一部に含まれている樹脂全般を含むものとする。
尚、本願明細書の比誘電率および誘電正接は、以下の方法により求めた値をいう。即ち、剥離処理されたポリエステルフィルム上に、(I)、(II)或いは(I)と(II)の混合物を塗工し、乾燥後の膜厚が70μmになるように均一に塗工して乾燥させ、塗膜を得る。そして、得られた塗膜を積層して真空ラミネートし、180℃、2.0MPaの条件で1時間熱硬化させた。次いで、両面の剥離フィルムを剥がして評価用試験片を作製した。この試験片である被膜(X)について、エー・イー・ティー社製の比誘電率測定装置(空洞共振器タイプADMS01Oc)を用いて、測定温度23℃、測定周波数1GHzにおける比誘電率および誘電正接を求めた。
上記比誘電率の下限は、1以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、上限は3以下がより好ましく、2.8以下が更に好ましい。また、上記誘電正接は、0が好ましいが技術的には困難であるため、かかる観点から誘電正接の下限は0.0001以上が好ましい。一方、その上限は0.02以下がより好ましく、0.01以下が更に好ましい。
尚、後述するように、本発明における接着層においては、バインダー成分に導電性フィラーを含有する。導電性フィラーを含有すると、比誘電率および誘電正接の値は、導電性フィラーを含有させる前よりも値が大きくなるが、本発明者らが検討を重ねたところ、(I)、(II)或いは(I)と(II)の混合物を熱圧着した後の被膜(X)が、上記(i)および(ii)を満たすことにより、導電性フィラーを加えた場合であっても驚くべきことに本願発明の課題を解決できることがわかった。これは、接着層の(I)、(II)或いは(I)と(II)の混合物の誘電特性を制御することで、導電性フィラーを添加した導電層において、シールド性を高める効果と、バインダーである樹脂の低誘電効果との相乗効果により、本願発明の課題を解決できたものと考えられる。
導電性フィラーを含ませた接着層、即ち、異方導電性を示す接着層の比誘電率の下限は、1以上がより好ましく、2以上が更に好ましく、上限は10以下がより好ましく、9以下が更に好ましい。また、誘電正接は、0が好ましいが技術的には困難であるため、かかる観点から誘電正接の下限は0.0001以上が好ましい。一方、その上限は0.05以下がより好ましく、0.03以下が更に好ましい。
接着層1の厚みは、電磁波シールドシートをフレキシブルプリント配線板に用いる場合には、フレキシブル性を確保する観点から、50μm以下とすることが好ましく、20μm以下とすることがより好ましい。また、接着力を確保する観点から、3μm以上とすることが好ましく、6μm以上とすることがより好ましい。
硬化性化合物(C)は、熱硬化性樹脂(B)100質量部に対して0.2質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが更に好ましい。また、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。硬化性化合物(C)を0.2〜50質量部の範囲にすることにより、架橋密度を適切にし、吸湿性や接着性を良好に保つことができる。また、硬化物の弾性率を適切に保ち、耐折性を良好にすることができる。
電磁波シールドシートをプリント配線板等の部品と接合する場合には、ハンダリフロー炉等の加熱に耐え得る積層体であることが求められる。かかる観点から、接着層1の5%重量熱分解温度が240℃以上であることが好ましく、260℃以上であることがより好ましく、280℃以上であることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂(A)としては、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ブタジエンゴム、エステルアミド、イソプレンゴム、セルロース、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂およびポリアミドイミド樹脂等が例示できる。熱可塑性樹脂(A)は、1種を単独でまたは複数種を併用して用いることができる。
熱硬化性樹脂(B)としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環オレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミドベンズオキサゾール樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフマレート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂およびシリコン樹脂が例示できる。熱硬化性樹脂(B)は、1種を単独でまたは複数種を併用して用いることができる。
硬化性化合物(C)は,硬化性樹脂(B)に対して硬化に寄与することができる化合物全般をいう。熱硬化性樹脂(B)の硬化性化合物(C)との反応部位は限定されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、水酸基、メルカプト基、シアノ基、イソシアネート基、アリル基、ビニル基などが挙げられる。導電層2との接着性を良好に発揮させる観点、および部品、例えば、プリント配線基板のカバーレイフィルム(例えば、ポリイミド樹脂)との接着性を発現させる観点からは、水酸基およびカルボキシル基を少なくとも1種含む硬化性樹脂(B)が好ましい。硬化性樹脂(B)中の硬化性官能基の種類は、1または複数とすることができる。
硬化性化合物(C)は、熱硬化性樹脂(B)の官能基と反応可能な部位を2つ以上有しているものであればよく、特に限定されない。好適な硬化性化合物(C)として、エポキシ化合物、有機金属化合物(金属キレート化合物)、酸無水物基含有化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、アミン化合物、ポリオール化合物、メラミン化合物、シラン系化合物、カルボジイミド系化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、マレイミド化合物、β―ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物等が例示できる。これらの中でも、接着性および耐熱性の両立を図る観点から、エポキシ化合物、有機金属化合物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物が好ましい。硬化性化合物(C)は、1種を単独でまたは複数種を併用して用いることができる。
熱硬化性樹脂(B)の硬化性官能基が水酸基の場合、硬化性化合物(C)は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、有機金属化合物(金属キレート化合物)が好ましい。また、硬化性官能基(B)がアミノ基の場合、硬化性化合物(C)は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、有機金属化合物が好ましい。更に、硬化性樹脂(B)の硬化性官能基がカルボキシル基の場合、硬化性化合物(C)は、エポキシ化合物、有機金属化合物が好ましい。
接着層は、これらのうちでも特に、熱硬化性樹脂(B)がカルボキシル基含有樹脂を含み、硬化性化合物(C)として、エポキシ化合物を含み、更に、有機金属化合物およびイソシアネート化合物の少なくとも一方を含むものが好ましい。エポキシ化合物は、カルボン酸1当量に対して好ましくは0.5〜10倍、より好ましくは1〜5倍のエポキシ当量を配合する。有機金属化合物およびイソシア化合物のトータルの硬化剤当量は、カルボン酸1当量に対して0.1〜5倍で配合することが好ましく、0.5〜3倍の範囲で配合することがより好ましい。上述したように硬化性化合物(C)を使用することで、熱硬化後の未反応官能基数を抑制できるため、比誘電率および誘電正接がより低下する。
好適な組み合わせとして、カルボキシル基を有する熱硬化性樹脂(B)とエポキシ化合物および有機金属化合物を含む硬化性化合物(C)との組み合わせや、フェノール性水酸基を有する熱硬化性樹脂(B)とポリイソシアネート基とを有する硬化性化合物(C)との組み合わせ、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂(B)と有機金属化合物を含む硬化性化合物(C)との組み合わせ等が挙げられる。
硬化性化合物(C)は、単独もしくは併用して用いることができる。併用して用いる場合の好ましい組み合わせとしては、エポキシ化合物と有機金属化合物、エポキシ化合物とアジリジン化合物と有機金属化合物等が例示できる。併用して用いることにより、架橋密度を上げ、加熱圧着時の接着層の層外へのはみ出しや耐熱性を効果的に向上できる。
前記イソシアネート化合物は、例えばトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物およびこれらポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体、更にはこれらポリイソシアネート化合物と公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が挙げられる。
前記エポキシ化合物は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
前記ポリカルボジイミドは、日清紡績社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は、有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
前記アジリジン化合物は、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
前記有機金属化合物は、金属と有機物からなる化合物であり、硬化性樹脂(B)の官能基と反応して架橋を形成するものである。有機金属化合物の種類は特に限定されないが、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などが挙げられる。また、金属と有機物の結合は金属−酸素結合でもよく、金属−炭素結合に限定されるものではない。加えて、金属と有機物の結合様式は化学結合、配位結合、イオン結合のいずれであってもよい
前記有機アルミニウム化合物はアルミニウムキレート化合物が好ましい。アルミニウムキレート化合物は、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ−sec−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等が挙げられる。
前記有機チタン化合物はチタンキレート化合物が好ましい。チタンキレート化合物は、例えば、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタン−1.3−プロパンジオキシビス(エチルアセトアセテート)、ポリチタンアセチルアセチルアセトナート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、ダーシャリーアミルチタネート、テトラターシャリーブチルチタネート、テトラステアリルチタネート、チタンイソステアレート、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物はジルコニウムキレート化合物が好ましい。ジルコニウムキレート化合物は、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ノルマルプロピルジルコネート、ノルマルブチルジルコネート、ステアリン酸ジルコニウム、オクチル酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも有機チタン化合物が熱硬化反応性と硬化後の耐熱性の点から好ましい。
上記(I)または(II)に用いる樹脂は、上記(i)(ii)を満たすものであれば特に限定されないが、耐熱性の観点からは、(II)の熱硬化性樹脂(B)および硬化性化合物(C)を用いることが好ましい。
上記(II)を含む接着層において、高周波用途の部品に用いる場合においても良好な伝送特性を維持しつつ、より優れた接着性能を発揮できる電磁波シールドシートを提供する観点から、接着層の熱硬化後の被膜(Y)が、以下の(a)、(b)の少なくとも一方を満たすものを用いることが好ましい。
(a)炭素原子数に対する窒素原子数の割合(以下、[N]とも表記する)が1〜10%であり、且つ炭素原子数に対する酸素原子数の割合(以下、[O]とも表記する)が3〜20%である。
(b)接着層の熱硬化後の被膜(Y)において、カルボキシル基および水酸基から選択される少なくともいずれかの基を含み、カルボキシル基を含む場合には、炭素数に対するカルボキシル基数の割合(以下、[COOH]とも表記する)が0.01〜15%であり、水酸基を含む場合には、炭素数に対する水酸基数の割合(以下、[OH]とも表記する)が0.5〜20%の範囲である。ここで、接着層の熱硬化後の被膜(Y)とは、熱硬化性樹脂(B)が硬化性化合物(C)により充分に硬化せしめられている被膜(Y)をいう。但し、[COOH]と[OH]の合計が35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることがより好ましい。
上記(a)の範囲の被膜(Y)を用いることにより、接着性をより良好に保つことができる。上記[N]および[O]は、X線光電子分光分析(ESCA)による1S軌道スペクトルのピーク面積より求めた値であり、後述する実施例に記載の方法で求める。[N]の下限は、1.5%以上がより好ましく、2%以上が更に好ましく、上限は8%以下がより好ましく、7%以下が更に好ましい。また、[O]の下限は、3.5%以上がより好ましく、4%以上が更に好ましく、上限は18%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましい。
上記(b)の範囲の被膜(Y)を用いることにより、接着層の接着力を維持しつつ吸水率を低下させ、耐湿性の高い接着層を提供できる。
[OH]の下限は0.7%以上がより好ましく、1%以上が更に好ましく、上限は18%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましい。また、[COOH]の下限は、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上が更に好ましく、上限は13%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。
接着層1は、導電性フィラーを含有させた、異方導電性を有する接着層である。ここで、異方導電性とは、厚み方向に電気的な導電状態が確保された層であり、面内方向にも導通が図られている等方導電性とは異なるものである。導電性を付与する手法として、等方導電性を有する接着層を用いる態様も考えられるが、等方導電層の場合、高周波信号が流れた際に信号回路と等方導電層間の水平方向に電流が流れて伝送損失が増加するため、異方導電性を有する接着層を用いる。
導電性フィラーの平均粒子径は、異方性を充分に確保する観点から、2μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、7μm以上とすることが更に好ましい。一方、接着層の薄さと両立させる観点からは、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下とすることが更に好ましい。導電性フィラーの含有量は、接着層の全体量に対して以下の範囲とすることが好ましい、即ち、フレキシブル性と接着力を確保する観点からは、接着剤の固形分中50質量%以下が好ましく、30質量%以下とすることがより好ましい。また、導電性を確保する観点からは1質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましい。
尚、平均粒子径はD50平均粒子径であり、D50平均粒子径は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置LS13320(ベックマン・コールター社製)を使用し、トルネードドライパウダーサンプルモジュールにて、導電性微粒子を測定して得た数値であり、粒子径累積分布における累積値が50%の粒子径である。また、屈折率の設定は1.6とした。
また、導電性フィラーのアスペクト比は、1〜3であることが好ましい。ここでアスペクト比とは、導電性フィラーの粒子の長径と短径の比率(長径/短径)をいう。アスペクト比は、電子顕微鏡を用いて接着層の厚み方向の切断面に表れる粒子の長径と短径を測長し、長径/短径の比率を求めることにより求められる。本願においては、粒子100個の長径/短径の平均値をアスペクト比とする。長径とは、当該粒子の切断面の最大距離となる値とし、短径とは、長径に対する直角方向における最短距離と定義する。
導電性フィラーは特に限定されないが、金属フィラー、カーボンフィラーおよびそれらの混合物が挙げられる。金属フィラーとしては、銀、銅、ニッケル等の金属粉、ハンダ等の合金粉、銀コート銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、金コートニッケル粉等がある。銀を含有することにより、より優れた導電性が得られる。これらのうちでは、コストの観点から、銀コート銅粉が特に好ましい。金属粉に対するコート層の被覆率は、表面に対して80%以上被覆していることが好ましい。
導電性フィラーにおいて、核体を被覆する場合の被覆層は、核体の少なくとも一部を被覆していればよいが、より優れた導電特性を得るためには、被覆率が高い方が好ましい。導電特性を良好に保つ観点からは、被覆層による平均被覆率を60%以上とすることが好ましく、70%以上とすることがより好ましく、80%以上とすることがさらに好ましい。尚、本明細書における平均被覆率は、ESCAによる紛体の測定により求めた値をいう。詳細な条件は、AXIS−HS(島津製作所社製/Kratos)、X線源:Dual(Mg)15kV,10mA Pass energy 80eV、Step:0.1 eV/Step、Speed:120秒/元素、Dell:300、積算回数:8の条件でAg3d:2とCu2P:1のピーク面積から銀と銅の質量濃度を求め、銀の質量濃度の割合を被覆率とした。
塗液安定性、即ち、フィラー同士の凝集が防げ、導電性樹脂組成物を塗工する際に、塗面にスジやムラの発生を効果的に防止する観点からは、ガラス繊維やカーボンフィラーなどの核体に金属メッキを施す方法が好ましい。これら導電性フィラーは、樹脂に分散させた状態で塗布・乾燥して用いられる。粒子形状は、異方導電性が確保できればよく特に限定されない。例えば、球状、樹枝状(デンドライト状)、針状、繊維状等が例示できる。異方導電性を良好に確保する観点からは、球状、樹枝状(デンドライト状)粒子が好ましい。
接着層を形成する樹脂組成物には、他に任意成分としてシランカップリング剤、防錆剤、還元剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤などを配合できる。
[導電層]
導電層2は、層内において導電性を示す層であればよく特に限定されないが、金属層およびバインダー樹脂中に導電性フィラーが含有された層が例示できる。導電層の製造方法は、公知の方法を用いることができる。金属層の製造方法は、金属箔を用いる方法の他、真空蒸着、スパッタリング、CVD法、MO(メタルオーガニック)、メッキ等で形成することができる。これらの中でも量産性を考慮すれば真空蒸着またはメッキが好ましい。
バインダー樹脂中に導電性フィラーが含有された層の製造方法は、例えば、絶縁膜上に導電性フィラーを含有した樹脂組成物を塗工・乾燥することにより得ることができる。導電層2は、単層でもよいが、異なる種類を複数積層したものがシールド性および耐折性を向上する点で好ましい。
金属箔の好適な例として、アルミニウム、銅、銀、金等が例示できる。シールド性、接続信頼性およびコストの面から銅、銀、アルミニウムがより好ましく、銅が更に好ましい。銅は、例えば、圧延銅箔または電解銅箔を使用することが好ましく、電解銅箔を使用すると導電層をより薄くできるためより好ましい。また、金属箔はメッキで形成したものでもよい。金属箔の厚みの下限は0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。一方、金属箔の厚みの上限は、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
金属箔は全面に複数の開口部を有することが好ましい。開口部1個あたりの面積は0.7〜5000μmが好ましく、開口部の面積は10〜4000μmがより好ましく、20〜2000μmがさらに好ましい。開口部面積を0.7μm以上とすることで、絶縁層と導電性接着剤層が接着良好となり、吸湿性及が優れたものとなる。開口部面積を5000μm以下とすることで、高い電磁波シールド性に優れたものとすることができる。
開口部の個数は、100〜200000個/cmが好ましく、1000〜150000個/cmがより好ましい。開口部の個数を100個/cm以上とすることで揮発成分を効率的に外部に出しやすくなるため吸湿性を向上させることができる。加えて反発力を低下できる。開口部の数を200000個/cm以下にすることで、高い電磁波シールド性を確保することができる。
<開口率>
本発明における金属箔の開口率は、0.05〜40%であることが好ましい。開口率は開口部の面積と個数から調整できる。また、開口率は下記式1から求められる。
(式1)
開口率(%)=単位面積あたりの開口部面積/(単位面積あたりの開口部面積+単位面積あたりの非開口部面積)×100
開口率の下限は、0.05%が好ましく、1%がより好ましい。開口率の上限は、40%が好ましく、35%がより好ましい。
開口率を0.05〜40%の範囲にすることで、吸湿性及び高湿処理後の伝送損失と、高い電磁波シールド性能を保持し、反発力を低下することができる。
開口率の測定は、例えば金属箔を面方向から垂直にレーザー顕微鏡及び走査型電子顕微鏡(SEM)で500〜2000倍に拡大した画像を用いて、開口部と非開口部を2値化し、単位面積当たりの2値化した色のピクセル数をそれぞれの面積とすることで求めることができる。
真空蒸着により得られる金属層の好適な例として、アルミニウム、銅、銀、金が例示できる。これらのうち、銅、銀がより好ましい。また、スパッタにより得られる金属層の好適な例として、アルミニウム、銅、銀、クロム、金、鉄、パラジウム、ニッケル、白金、銀、亜鉛、酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫が例示できる。これらのうち、銅、銀がより好ましい。真空蒸着およびスパッタにより得られる金属層の厚みの下限は、0.005μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、上限は、3μm以下が好ましい。
電磁波シールドシートを熱圧着処理した後の前記積層体の40℃、100%相対湿度の条件下で測定した水蒸気透過度が1[g/m・24h]以上とするためには、導電層は上述した、全面に複数の開口部を有する金属箔および、真空蒸着が好適である。真空蒸着により得られる金属層にはマイクロピンホールやマイクロクラックが形成されているため、揮発成分が抜けやすい。
[絶縁層]
絶縁層3は、絶縁性樹脂組成物を成形した絶縁性シートであり、導電層2を保護する役割および表層の絶縁性を確保する役割を担う。絶縁性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、前述した接着層1で例示できる樹脂を好適に用いることができる。また、絶縁層3はポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂フィルムを使用することができる。
絶縁性樹脂組成物には、樹脂に加えてシランカップリング剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤などを配合できる。
絶縁層の厚みは用途により変動し得るが、2〜10μmが好ましい。前記厚みとすることにより電磁波シールドシートの諸物性のバランスが取りやすくなる。
[ハードコート層]
ハードコート層4は、電磁波シールドシートの最表面に位置し、電磁波シールドシートの絶縁層側の耐摩耗性や耐擦り傷性が向上する。
ハードコート層は、本硬化させた後のJIS K 5600に準じて測定した塗膜表面の鉛筆硬度がF以上のものであることが好ましい。これにより、電磁波シールドシートの絶縁層側の耐摩耗性や耐擦り傷性が優れたものとなる。
尚、本発明のハードコート層は水蒸気バリア層としても用いることができ、例えば、水分が絶縁層3側から接着層1に侵入することを防止する。これにより、電磁波シールドシート内の比誘電率および誘電正接の上昇を抑制し、良好な伝送特性を維持できる。
ハードコート層4は、無機蒸着膜または、樹脂組成物を用いて形成される樹脂層を用いることができる。樹脂組成物は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、開始剤、および表面調整剤等を含有する樹脂組成物により形成することにより、水分の侵入を防止することができる。
なかでも、ハードコート層が、光硬化性樹脂と、開始剤と、表面調整剤とを含有する樹脂組成物、または熱硬化性樹脂(A1)と、硬化剤(A2)と、表面調整剤とを含有する樹脂組成物より形成されてなる電磁波シールドシートであることが、フレキシブル性が高い点から好ましい。また、ハードコート層4の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、この厚みとすることにより、電磁波シールドシートの耐摩耗性や耐擦り傷性が向上し、接着層内への水分の侵入を確実に防止することができる。
ハードコート層は、40℃、100%相対湿度の条件下で測定した水蒸気透過度が20[g/m・24h]以下であることが好まく、15[g/m・24h]以下がより好ましい。ハードコート層の水蒸気透過率が20[g/m・24h]以下であることで、高湿熱環境下においても接着層への水分の侵入を抑制し、接着層の比誘電率と誘電正接の上昇が起こりにくいため、高温多湿な環境で高周波用途の部品に用いる場合においても良好な伝送特性を維持できる。
ハードコート層4は、例えば樹脂組成物を剥離性シート上に塗工することで形成できる。または、樹脂組成物を例えばTダイのような押出成形機により、シート状に押し出すことで形成できる。
塗工は、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレード方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等の公知の塗工方法を使用できる。塗工の際、必要に応じて乾燥工程を設けてもよい。前記乾燥は、熱風乾燥機および赤外線ヒーター等公知の乾燥装置が使用できる。
「樹脂組成物」
続いて、樹脂組成物を構成する、光硬化性樹脂、開始剤、並びに、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、および表面調整剤等について、それぞれ説明する。
樹脂組成物は、光硬化性樹脂、開始剤、表面調整剤、および必要に応じて有する添加剤を混合・攪拌して得ることができる。
あるいは、熱硬化性樹脂(A1)、硬化剤(A2)、表面調整剤、および必要に応じて有する添加剤を混合・攪拌して得ることができる。
攪拌は、公知の攪拌装置を使用でき、ディスパーマットやホモジナイザー等が好ましい。
(光硬化性樹脂)
光硬化性樹脂は、光により架橋反応を起こす不飽和結合を1分子中に1つ以上有する樹脂であればよく、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
これらのなかでも、ハードコート性と、水蒸気バリア性とフレキシブル性の観点から、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、またはフッ素樹脂であることが好ましい。
また、光硬化性樹脂は、加熱による架橋反応に利用できる官能基を有していてもよい。
(開始剤)
開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、またはイミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
本発明における樹脂組成物は、さらに増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、開始剤100重量部に対して、0.1〜150重量部の量で用いることができる。
(熱硬化性樹脂(A1))
熱硬化性樹脂(A1)は、加熱による架橋反応に利用できる官能基を複数有する樹脂である。
官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、シラノール基等が挙げられる。
上記の官能基を有する熱硬化性樹脂(A1)は、例えば、ビニル樹脂、オレフィン樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの中でもフレキシブル性と水蒸気バリア性の点から、ビニル樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、が好ましい。
本発明では熱硬化性樹脂(A1)に加え、熱可塑性樹脂を併用できる。
熱可塑性樹脂としては、前記硬化性官能基を有しないポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、ジエン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、α−オレフィン化合物などのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレンプロピレンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、α−オレフィンポリマー等が挙げられる。
ビニル系樹脂は、酢酸ビニルなどのビニルエステルの重合により得られるポリマーおよびビニルエステルとエチレンなどのオレフィン化合物とのコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、ポリ塩化ビニリデン樹脂も好ましい。
スチレン・アクリル系樹脂は、スチレンや(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド類などからなるホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。具体的には、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリルコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。
ジエン系樹脂は、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物のホモポリマーまたはコポリマーおよびそれらの水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンブロックコポリマー等が挙げられる。
テルペン樹脂は、テルペン類からなるポリマーまたはその水素添加物が好ましい。具体的には、例えば、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂が挙げられる。
石油系樹脂は、ジシクロペンタジエン型石油樹脂、水添石油樹脂が好ましい。
セルロース系樹脂は、セルロースアセテートブチレート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAポリカーボネートが好ましい。
ポリイミド系樹脂は、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸型ポリイミド樹脂が好ましい。
(硬化剤(A2))
硬化剤(A2)は、熱硬化性樹脂(A1)中の官能基と反応可能な官能基を複数有している。硬化剤は、エポキシ化合物、酸無水物基含有化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、ジシアンジアミド、芳香族ジアミン等のアミン化合物、フェノールノボラック樹脂等のフェノール化合物等が好ましい。
硬化剤(A2)は、熱硬化性樹脂(A1)100重量部に対して1〜50重量部含むことが好ましく、3〜30重量部がより好ましく、3〜20重量部がさらに好ましい。
光硬化性樹脂及び、熱硬化性樹脂はそれぞれ単独で用いることができるが、使用目的に応じて併用することが好ましい。
電磁波シールドシート内の誘電率および誘電正接を変化させることがなく、電界波、磁界波、および電磁波のシールド性を確保しつつ、良好な伝送特性を維持できる。
(表面調整剤)
樹脂組成物は、表面の濡れ性を調整するため、表面調整剤を添加することが好ましい。 表面調整剤としては、ワックス、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、無機フィラー等が挙げられ、ワックス、レベリング剤、シランカップリング剤、無機フィラーが好ましく、ワックス、レベリング剤、無機フィラーがより好ましい。上記表面処理剤は、単独で使用しても良いが2種類以上を併用することが好ましい。具体的には、ワックスと無機フィラー、またはレベリング剤と無機フィラーの併用が好ましい。
ワックスとしては、例えば、天然ワックスとしてキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油などの植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セシレン等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、合成ワックスとしてはフィッシャートロピッシュワックス、ポリエチレンワックスなどの合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、ラノリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸等がある。
これらワックスの融点は30〜140℃、好ましくは60〜120℃の範囲のものが使用される。ワックスの融点が30℃未満の場合、ワックスのブリードアウトにより汚染が発生しやすい。また、ワックスの融点が140℃を超えると印字用インキの密着性が向上しにくい。
本発明で用いられる光硬化性樹脂または熱硬化性樹脂とワックスとの配合比率は、樹脂100重量部に対して、ワックス0.5〜40重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。樹脂100重量部に対してワックスが0.5重量部より少ないと、耐磨耗性に関する効果があまり期待できず、一方、ワックスが40重量部より多いと、ブリードアウトが発生し、さらには他の物性低下を招いてしまう場合がある。
本発明で用いられるレベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造、ポリエステル構造、アラルキル構造、アクリル基を有するポリシロキサン、並びにアクリル共重合物を使用することができる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2110、2122、2130、2166、2191、2203、2207、ビックケミー社製BYK−330、BYK−323、BYK−348などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にアラルキル構造を有するポリメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−322、BYK−323などが挙げられる。主鎖にアルキル基を有するポリジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−3500、BYK−3505、BYK−3530、BYK−3570などが挙げられる。アクリル共重合物系の具体例としては、ビックケミー社製BYK−350、BYK−354、BYK−355、BYK−358、BYK−381、BYK−392、BYK−394、BYK−3441などが挙げられる。
本発明で用いられる界面活性剤としては一般に、陰イオン系、非イオン系、両性イオン系、陽イオン系のものが知られるが、いずれのものも使用することができる。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アルファオレインスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、N−メチルビスヒドロキシエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤、アリル系反応性界面活性剤等の反応性界面活性剤、カチオン性セルロース誘導体、ポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分子界面活性剤も用いることができる。これらは湿潤分散剤としても市販されており、例えば、EFKA5010、EFKA5044、EFKA5244、EFKA5054、EFKA5055、EFKA5063、EFKA5064、EFKA5065、EFKA5066、EFKA5070、EFKA5071、EFKA5207(以上、エフカアディティブズ社製)、Disperbyk−101、Disperbyk−108、Disperbyk−130(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用してもよく、また、界面活性剤と界面活性剤以外の化合物とを組み合わせて使用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、メタクリル系カップリング剤、チオール系カップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤等が使用できる。
ビニル系シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、2−(3、4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
メタクリル系シランカップリング剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
チオール系シランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネート系シランカップリング剤としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
樹脂とシランカップリング剤との配合比率は、樹脂100重量部に対して、0.1〜25重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、タルク、モンモロリナイト、カオリン、ベントナイト等の無機化合物が挙げられる。
無機フィラーの形状は板状が好ましい。
樹脂組成物は、その他の成分として、さらに光硬化性モノマー、光硬化性オリゴマー、防錆剤、還元剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤等を配合できる。また、顔料、染料等を含んでも良い。
無機蒸着膜は、絶縁層表面に直接蒸着を行いハードコート層を形成する方法、ポリイミドフィルムなどのシートの片面および、両面に無機蒸着膜を形成し、前記フィルムを絶縁層と張り合わせることでハードコート層とすることもできる。
無機蒸着膜は、シリカ、ジルコニアが好ましく、シリカがより好ましい。
電磁波シールドシート10の製造方法は特に限定されないが、一例として以下の製法で作製することができる。まず、接着層1を構成する組成物を、剥離基材上に公知の方法により塗膜を形成することができる。例えば、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等で組成物を塗布後、通常40〜150℃で乾燥することにより製造できる。
部品に接合した後の接着層の厚みは、用途により変動し得るが、充分な接着性と良好な異方導電特性を得るために、3〜50μmであることが好ましい。当該接着層1の厚みの下限は、4μm以上であることがより好ましく、6μm以上であることが更に好ましい。また、当該接着層1の厚みの上限は、30μm以下であることがより好ましい。
接着層1、導電層2、絶縁層3およびハードコート層4を積層する方法は公知の方法を使用できる。例えば、剥離性シート上に接着層1を形成し、導電層2の銅キャリア付電解銅箔の電解銅箔面側に接着層1を重ねてラミネートした後に、銅キャリアを剥がす。そして、銅キャリアを剥がした面と、別途剥離性シート上に形成した絶縁層3とを重ねてラミネートし、更にその絶縁層上にハードコート層4を積層する方法がある。また、剥離性シート上に接着層1を形成し、その表面に無電解メッキ処理により導電層2を形成し、別途剥離性シート上に形成した絶縁層3と前記導電層とを重ねてラミネートし、更にその絶縁層上にハードコート層4を積層する方法等が挙げられる。
次に、本発明の電磁波シールドシートを配線回路基板に接合した電磁波シールド性配線回路基板について説明する。図3に、プリント配線板20に電磁波シールドシート10を接合した模式的説明図の一例を示す。電磁波シールドシート10は、部品であるプリント配線板20の表層に接合されている。プリント配線板20は、ポリイミド等からなる基板21、配線パターン25、グランドパターン24、およびこれらを被覆する絶縁性接着剤層22、ポリイミドフィルム23からなるカバーレイ層を有する。電磁波シールドシート10は、プリント配線板20上に熱圧着等の接合処理により貼り付けられる。プリント配線板20には、ポリイミドフィルム23の表面からグランドパターン24の表面まで貫通するコンタクトホールが設けられ、コンタクトホールに形成されたビア31を介してグランドパターン24と電磁波シールドシート1の異方導電性を示す接着層1とが電気的に導通するようになっている。電磁波シールドシート10をプリント配線板20に貼り付けるのみで導通を図ることができ、製造が簡便であるため、特にフレキシブルプリント回路基板等において好適である。
図4は、第1変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の模式的断面図である。この例においては、ビア31の代わりに、導電層2の接着層1側主面上にバンプ32を設け、これとグランドパターン24とを電気的に接続するようにしたものである。バンプ32は、例えば、導電層を形成した後に、グランドパターン24に対応する導電層2上に配置し、その後に接着層1を形成することにより得ることができる。この方法によれば、プリント配線板20に対して電磁波シールドシート10の接合処理を行うことにより、グランドパターン24と導電層2の導通を図ることができる。
図5は、第2変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の模式的断面図である。この例においては、バンプ33をグランドパターン24上に予め形成しておき、電磁波シールドシート10と接合する際に、導電層2と電気的に接続させることができる。
図6は、第3変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の模式的断面図である。この例においては、電磁波シールドシート10とプリント配線板20とを接合した後に、ハードコート層4の表層側から外部の接地部品を、ハードコート層4および絶縁層3を貫通させて導電層2と導通を図るものである。
図7は、第4変形例に係る電磁波シールド性配線回路基板の模式的断面図である。この例においては、ハードコート層4の表層からグランドパターン24まで貫通するグランドビア41を設け、ここに導電性ペースト35を充填することにより、電磁波シールドシート10とグランド回路との導通を図ることができる。ハードコート層4の表層に露出した導電性ペースト35は、更に、外部で接地されていてもよい。
ところで、高周波回路の場合の特性インピーダンス(Z)は、以下の式1および式2により表される。


ここで、Zは特性インピーダンスであり、Dkはフレキシブルプリント配線板(以下FPCともいう)のカバーレイの誘電率、dはFPCのカバーレイの厚み、Sは電磁波シールドシートの導電層と伝送回路の重なっている面積、Cはキャパシタンスである。Rは導体抵抗値(Ω/m)、Lはインダクタンス(H/m)、Gは絶縁層(基材)のコンダクタンス(Ω/m)、fは周波数、jは虚数記号であり、高周波数になるとLとCが支配的になる。一般的にシールドフィルムを被着すると特性インピーダンス(Z)は低下するため、インピーダンス整合を取るために特性インピーダンスZを上げることが必要である。ここで、キャパシタンスCの値は、式2により表される。キャパシタンスCの値を小さくすることにより、特性インピーダンス(Z)の値を上げることができる。
式2より、キャパシタンスCの値を小さくするためには、配線25幅w(図1参照)を調整する方法、カバーレイ層(絶縁性接着剤層22+ポリイミドフィルム23)(図1参照)の厚みを調整する方法、カバーレイ層の比誘電率を下げる方法が考えられる。しかしながら、回路幅を細線化する方法は生産効率が悪く、コストアップとなるため好ましくなく、カバーレイ層を厚膜化する方法は、軽薄短小化のニーズに逆行するため望ましくない。特に、フレキシブルプリント配線板等においては、フレキシブル性が低下するので好ましくない。接着層1として、上記(i)を満たす材料を用いたことで、式2のDkが下がり、フレキシブルプリント基板のカバーレイ層を薄くすることも可能となる。なお、カバーレイ層を構成するポリイミドフィルム23は一例であり、回路基板を保護する機能を有する保護層であればよく、他の材料に変えてもよい。
電磁波シールドシート10を部品に加熱圧着する際に、接着層1の熱硬化が充分でないと、電磁波シールドシート10の側部から接着層がはみ出し外観不良となることがある。このため、熱圧着工程により電磁波シールドシート10を貼り付ける際のはみ出し性が無いもしくは少ないことが求められる。
本発明に係る電磁波シールドシートによれば、上記(i)および(ii)を満たす接着層を用いることにより、電磁波等のシールド性を確保しつつ、高周波用途の部品に用いる場合においても良好な伝送特性を維持できる。これは、上記(i)および(ii)を満たす接着層を用いることにより、誘電体の電気分極が電場の変化に追従できなくなってエネルギーの一部が熱になってしまう現象を抑制することができ、その結果、誘電体損失を低減することができるためと考えられる。上記(i)を満たすことにより特性インピーダンス整合を改善することができる。また、上記(i)および(ii)を満たすことにより、高周波信号の伝送損失を改善することができる。このため、幅広い周波数帯域で好適に利用できる。特にインピーダンス不整合と伝送損失が生じやすい高周波(10MHz以上、好ましくは1GHz以上)の信号を伝送する信号伝送系に対する電磁波シールドフィルムの用途において好適である。
加えて、本発明に係る電磁波シールドシート10は、部品上に配置して接合処理を行う接着層1と、前記接着層上に積層された導電層2と、前記導電層上に形成された絶縁層3と、前記絶縁層上に形成されたハードコート層4とを備えた積層体からなるもので、ハードコート層4によって、外部からの水分の侵入を防ぎ、接着層1の比誘電率および誘電正接等の上昇を抑制するため、高温多湿の環境下でも良好な伝送特性を維持することができる。
本発明の電磁波シールドシートは、上記(i)および(ii)を満たすバインダー成分と、導電性フィラーを組み合わせているため、部品との導通の簡便化を図るのみならず、良好な接着性を引き出しつつ、伝送特性を改善し、特性インピーダンスを低下させることができる。
また、上記(i)および(ii)を満たす材料を用いた電磁波シールドシートを用いることにより、式(1)、(2)で示される特性インピーダンスZを下げることができるので、特性インピーダンスZを整合させる際に信号回路の配線幅wまたは/およびカバーレイの厚みの設計マージンを広くとることができる。このため、歩留まりを改善し、生産コストを抑えることができる。このため、回路の生産性を高めることができる。
本発明の電磁波シールドシートは、配線回路基板のみならず、電磁波を放出する若しくは遮蔽が必要な部品・各種電子機器に接合して広く適用できる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「部」とあるのは質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を其々表すものとする。
まず、実施例で使用した原料を以下に示す。
<樹脂>
R1(ポリアミド樹脂):熱硬化性ポリアミド樹脂 酸価20[mgKOH/g](トーヨーケム社製)
R2(ポリエステル樹脂):付加型ポリエステル樹脂 酸価19[mgKOH/g](トーヨーケム社製)
R3(ウレタン樹脂):ウレタンウレア樹脂 酸価5[mgKOH/g](トーヨーケム社製)
<導電性フィラー>
F1(銀コート銅粉):「核体に銅、被覆層に銀を使用した樹枝状粒子 D50平均粒子径=11.0μm」(福田金属箔粉工業社製)
<銅箔>
キャリア付き電解銅箔:18μmのキャリア銅箔に3μmの電解銅箔(電解銅箔部は、開口部面積2826μm、開口部数10000個/cm、 開口率28.3%が形成されている)
<硬化性化合物>
H1(テトラフェノールエタン型エポキシ硬化剤):「jER1031S」(三菱化学社製)
H2(フェノールノボラック型エポキシ硬化剤):「jER152」(三菱化学社製)
H3(チタンキレート化合物):「TC401」(マツモトファインケミカル社製)
H4(アルミキレート化合物):「ALCH」(川研ファインケミカル社製)
H5(イソシアヌレート型ブロックイソシアネート):「BL3175」(住化バイエルウレタン社製)
H6(アジリジン化合物):「ケミタイトPZ−33」(日本触媒社製)
<電磁波シールドシートの作製>
[実施例1]
樹脂R1(ポリアミド樹脂)100部、導電性フィラーF1(銀コート銅粉)50部を容器に仕込み、不揮発分濃度が40%になるようトルエンとイソプロピルアルコールの混合溶剤(トルエン100部に対してイソプロピルアルコール50部)を加えて混合した。次いで、硬化性化合物H1(テトラフェノールエタン型エポキシ硬化剤)15部および硬化性化合物H3(チタンキレート化合物)3部を加え、ディスパーで10分攪拌して樹脂組成物を得た。更に、得られた樹脂組成物を、バーコーターを使用して乾燥厚みが15μmになるように剥離性シート上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで接着層を得た。
樹脂R2(ポリエステル樹脂)を20部、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン系レベリング剤「BYK300」ビックケミー社製を1部、疎水性シリカ「AEROSIL RY200S」EVONIK社製を2部にメチルエチルケトンを加えて、不揮発分濃度を30.0重量%に調製した。この混合物をディスパーで攪拌した後にジルコニアビーズを用いてアイガーミル(アイガージャパン社製)で分散することで分散液を得た。得られた分散液中の樹脂R2、20部に対してウレタンアクリレート樹脂「UV6300B」(分子量Mw=3700)日本合成化学社製を75部、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を5部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを5部加えてディスパーで10分攪拌することで樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を透明な剥離性シートの剥離面に、バーコーターを用いて乾燥厚みが4μmになるように塗工し、さらに100℃の電気オーブンで3分間乾燥させ、露光量30mJ/cmの条件で紫外線を照射して硬化することによりハードコート層を得た。尚、150℃30分で本硬化させた後のハードコート層の表面の鉛筆硬度をJIS K 5600に準じて測定したところ、鉛筆硬度はHであった。
次に、樹脂R3(ウレタン樹脂)100部、硬化性化合物H1(テトラフェノールエタン型エポキシ硬化剤)10部および硬化性化合物H6(アジリジン化合物)10部を加えディスパーで10分攪拌することで絶縁性樹脂組成物を得た。次いで得られた絶縁性樹脂組成物を、バーコーターを使用して乾燥厚みが10μmになるように剥離性シート上に塗工し、100℃の電気オーブンで2分間乾燥することで絶縁層を得た。尚、絶縁層を150℃30分で本硬化させた後の表面の鉛筆硬度をJIS K 5600に準じて測定したところ、鉛筆硬度はBであった。
ハードコート層と絶縁層をラミネートして張り合わせ、絶縁層側の剥離性シートを剥がした。露出した絶縁層をキャリア付き電解銅箔の電解銅箔側に貼り合せた後、キャリア銅箔を剥がし、絶縁層上に電界銅箔を積層した。次に、電解銅箔面に接着層を貼り合わせることで、「剥離性シート/ハードコート層/絶縁層/電解銅箔/接着層/剥離性シート」からなる電磁波シールドシートを得た。電解銅箔と接着層の貼り合せは、温度は90℃、圧力は3kgf/cmで、熱ラミネーターにより貼り合わせた。
[実施例2〜15、比較例1〜5]
実施例1の接着層の組成と、加熱圧着後の接着層の厚みを表1に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様に行うことで実施例2〜15、比較例1〜5の電磁波シールドシートを得た。
<接着層の膜厚測定>
接着層の塗工乾燥後の厚みは、剥離性シートに塗工乾燥後の接着層を接触式膜厚計で測定した。乾燥塗工後の接着層の厚みを表1に示す。
部品に熱圧着した後の接着層の厚みは、以下の方法により測定した。まず、電磁波シールドシートの接着層の剥離性シートを剥がし、露出した接着層とポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を貼り合わせ、2MPa、150℃の条件で30分加熱圧着した。これを幅5mm・長さ5mm程度の大きさに切断した後、エポキシ樹脂(ペトロポキシ154、マルトー社製)をスライドガラス上に0.05g滴下し、電磁波シールドシートを接着させ、スライドガラス/電磁波シールドシート/ポリイミドフィルムの構成の積層体を得た。得られた積層体をクロスセクションポリッシャー(日本電子社製、SM−09010)を用いてポリイミドフィルム側からイオンビーム照射により切断加工して、熱圧着後の電磁波シールドシートの測定試料を得た。
得られた測定試料の断面をレーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK−X100)を使用し、観察した拡大画像から接着層の厚みを測定した。倍率は、500〜2000倍とした。熱圧着後の接着層の厚みを表1に示す。
<比誘電率、誘電正接の測定>
接着層に用いる(I)熱可塑性樹脂(A)、および(II)熱硬化性樹脂(B)と硬化性化合物(C)の被膜(X)(以下、単に「皮膜(X)」ともいう)の少なくとも一方を含む比誘電率および誘電正接を、以下の手順により作製した。
(実施例1の測定用被膜作製)
容器に、樹脂R1を100部、硬化性化合物H1を15部および硬化性化合物H3を3部仕込み、トルエン100部に対してイソプロピルアルコールを50部配合した混合溶剤を加え不揮発分を45%にした。更に溶液をディスパーで10分攪拌した後、真空脱泡処理することで試料溶液を得た。得られた試料溶液を、乾燥厚みが30μmになるように剥離性シートに均一に塗工して乾燥させることで被膜(X)を形成するためのプレ被膜を得た。
(実施例2〜15および比較例1〜5の測定用被膜作製)
表1に示す原料および配合量に変更する以外は、実施例1の測定用被膜と同様の方法にて、其々実施例2〜15および比較例1〜5の接着層の被膜(X)を形成するためのプレ被膜を得た。
(比誘電率、誘電正接の測定)
被膜(X)を、日本電子回路工業会のフレキシブルプリント配線板およびフレキシブルプリント配線板用材料―その2統合規格―(JPCA−DG03)に準拠して以下の手順で比誘電率、誘電正接を測定した。
実施例および比較例で作製したプレ被膜を所望の厚みとなるように複数層積層し、これを真空ラミネートし、180℃、2.0MPaの条件で1時間熱硬化させ、皮膜(X)を得た。被膜(X)を幅3mm・縦100mmの大きさに切り取り、両面の離形シートを剥がし、厚みが80μmの硬化被膜を評価用試験片とした。エー・イー・ティー社製の比誘電率測定装置「ADMS01Oc」に、試験片を3つセットし、空洞共振器法により、測定温度23℃、測定周波数が1GHzにおける比誘電率および誘電正接を求めた。結果を表2に示す。
<[N]、[O]表面元素量の測定>
(実施例1の測定用被膜作製)
容器に、樹脂R1を100部、硬化性化合物H1を15部、硬化性化合物H3を3部加えて、更に導電性フィラーを50部加えて仕込んだ以外は、比誘電率および誘電正接の測定被膜と同様の方法によりプレ接着層を得、180℃のオーブンで60分処理することで熱硬化後の被膜(Y)を得た。
(実施例2〜15および比較例1〜5の測定用被膜作製)
表1に示す原料および配合量に変更する以外は、実施例1の測定用被膜と同様の方法にて、其々実施例2〜15および比較例1〜5の接着層の被膜(Y)を得た。
(硬化後の接着層の[N]、[O]の定量)
得られた被膜(Y)の表面についてESCA分析を次の条件で行い、窒素原子数、炭素原子数、酸素原子数から[N]および[O]を測定した。下記に測定条件を示す。
装置 : AXIS−HS(島津製作所社製/Kratos)
試料チャンバー内真空度:1×10−8Torr以下
X線源:Dual(Mg)15kV,5mA Pass energy 80eV Step:0.1 eV/Step
Speed:120秒/元素
Dell:300、積算回数:5
光電子取り出し角:試料表面に対して90度
結合エネルギー:C1s主ピークを284.6eVとしてシフト補正
C(1s)ピーク領域:280〜296eV
O(1s)ピーク領域:530〜534eV N(1s)ピーク領域:395〜405eV
上記ピーク領域に出現したピークを直線法にてベースラインを引き、各原子の原子濃度「Atomic Conc」から炭素原子数に対する窒素原子数の割合と酸素原子数の割合を算出した。
[N]=N(1s)の原子数/C(1s)の原子数×100
[O]=O(1s)の原子数/C(1s)の原子数×100
上記測定を3箇所、場所を変えて測定し、その平均値を硬化後の接着層の[N]、[O]とした。
<[OH]、[COOH]残存官能基量の測定>
(硬化後の接着層の残存官能基の定量)
次に、接着層の硬化後の被膜(Y)表面において、[OH]および[COOH]を測定した。樹脂は、主に炭素、水素、酸素原子から構成されるため、通常ESCAにて水酸基やカルボキシル基を識別できず定量分析が難しい。しかし、カルボン酸や水酸基と選択的に結合するフッ素試薬を処理することで、カルボキシル基または水酸基のみがフッ素修飾され、ESCAで官能基を識別することが可能となる。また、フッ素結合はESCAの検出感度が高いことから、好感度な表面の官能基定量分析が可能となる。本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、被膜(Y)において、炭素数に対するカルボキシル基数の割合[COOH]が0.01〜15%、炭素数に対する水酸基数の割合[OH]が0.5〜20%の範囲であることにより、部品に対する高い接着性を維持しながら、プリント配線板等の高周波用途の部品に本発明の電磁波シールドシートを貼り付けた場合に、良好な伝送特性を維持できることを突き止めた。
上記と同様の方法により得た被膜(Y)を、幅30mm・長さ30mmにカットしたものをガラス板に貼り試料とした。バイアル瓶中、密閉状態にし、55℃で24時間、フッ素修飾試薬と試料を非接触で気相反応させた。気相反応が終了後、試料を反応容器から取り出して窒素気流中で乾燥し、残留試薬を除去した。残留試薬の除去は、N(1s)ピーク面積の変動がなくなるまで、温度と時間を適宜調整して行った。
フッ素修飾した試料を、前述の[N]、[O]の定量と同様の条件でESCA分析し、接着層の[OH]および[COOH]を定量した。測定試料は3つ作製し、其々の算出した値の平均値を出した。
([OH]の測定方法)
無水トリフルオロ酢酸により水酸基の気相修飾反応を行った後、残留試薬を除去し、ESCA測定により水酸基数の割合を算出した。反応式と算出式は以下のとおりである。
R-OH+(CF3CO)2O → R-COOCF3+CF3OCOH
[OH]は、下式により算出した値で表される。
<式> [OH]={[F(1s)]/(3k[C(1s)]-2[F(1s)])r}×100(%)
[C(1s)]はC(1s)のピーク面積で、280〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、F(1s)のピーク面積[F(1s)]は、682〜695eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。また、反応率rは1とした。尚、kは装置固有のC(1s)ピーク面積に対するF(1s)ピーク面積の感度補正値であり、AXIS−HS(島津製作所社製/Kratos)を用いる場合、上記装置固有の感度補正値は3.6とした。
([COOH]の測定方法)
トリフルオロエタノール、ピリジン、ジシクロヘキシルカルボジイミド混合溶液によりカルボキシル基の修飾反応を行った後、残留試薬を除去し、ESCA測定によりカルボキシル基の割合を算出した。反応式と算出式は以下のとおりである。
R-COOH+CF3CH2-OH C6H11-NCN-C6H11/C5H5N → R-COOCH2CF3+C6H11NCONC6H11
[COOH]は、下式により算出した値で表した。
<式> [COOH]={[F(1s)]/(3k[C(1s)]-(2[F(1s)])r}×100(%)
[C(1s)]はC(1s)のピーク面積で、280〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、F(1s)ピーク面積[F(1s)]は、682〜695eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。また、前述と同様に、反応率rは1、kは3.6とした。
<吸湿性>
吸湿性は、電磁波シールドシートと溶融半田とを接触させた後、接着層の外観変化の有無により評価した。吸湿性が低い試料は、外観が変化しないが、吸湿性が高い試料は、発泡や剥がれが発生する。
まず、幅25mm・長さ70mmの電磁波シールドシートの接着層の剥離性シートを剥がし、露出した接着層と、総厚64μmの金メッキ処理された銅張積層板(金メッキ0.3μm/ニッケルメッキ1μm/銅箔18μm/接着剤20μm/ポリイミドフィルム25μm)の金メッキ面を150℃、2.0MPa、30分の条件で圧着し、熱硬化させて積層体を得た。得られた積層体を幅10mm・縦65mmの大きさに切り取り、電磁波シールドシートの微粘着シートおよびキャリア銅箔を剥がし、試料を作製した。得られた試料を40℃、90%RHの雰囲気下で72時間放置した。その後、試料のポリイミドフィルム面を下にして250℃の溶融半田上に1分間浮かべ、次いで試料を取り出し、その外観を目視で観察し、接着層の発泡、浮き、剥がれ等の異常の有無を次に基準で評価した。

優(Excellent):外観変化全く無し。
良(Good):小さな発泡がわずかに観察される。
可(Acceptable):前記良未満、以下の不適越え。
不適(Poor):激しい発泡や剥がれが観察される。
<接着力>
電磁波シールドシートを幅25mm・長さ70mmに準備し試料とした。接着層上に設けられた剥離性シートを剥がし、露出した接着層に厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を150℃、2.0MPa、30分の条件で圧着し、熱硬化させた。次いで接着力測定のために試料を補強する目的で微粘着シートおよびキャリア銅箔を剥がし、露出した金属層に、トーヨーケム社製の接着シートを用い、厚さ50μmのポリイミドフィルムを、150℃、1MPa、30分の条件で圧着することで「ポリイミドフィルム/接着シート/電磁波シールドシート/ポリイミドフィルム」の構成の積層体を得た。この積層体を、引張試験機(島津製作所社製)を使用して23℃、50%RHの雰囲気下、剥離速度50mm/分、剥離角度90°で、電磁波シールドシートの導電層とポリイミドフィルムとの界面を剥離することで接着力を測定した。評価基準は以下の通りである。

優(Excellent):6N/25mm以上。
良(Good):4N/25mm以上、6N/25mm未満で、実用上問題ない。
不適(Poor):4N/25mm未満。
<はみ出し性>
以下のサンプルにより、はみ出し性を評価した。幅50mm・長さ50mmの電磁波シールドシートを準備し、中央部に穴あけ機で直径5mmの貫通穴を形成した。次いで、接着層の剥離性シートを剥がし、接着層とポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を150℃、2MPa、30分の条件で加熱圧着した。室温に冷却後、電磁波シールドシートの穴部分を拡大鏡で観察し、穴の内側に接着層がはみ出した長さを測定した。はみ出した長さは、最もはみ出している部位を選択した。評価基準は以下の通りである。

優(Excellent):はみ出した長さが0.1mm未満。
良(Good):はみ出した長さが0.2mm以上、2.0未満で、実用上問題ない。
不適(Poor):はみ出した長さが2mm以上。
<耐折性>
電磁波シールドシートの耐折性をJIS C6471に準拠してMIT試験により評価した。まず電磁波シールドシートを幅15mm、長さ120mmの大きさに準備した。別途、電磁波シールドフィルムを貼り付ける被着体として、ポリイミドフィルム(厚さ12.5μm「カプトン50EN」 東レ・デュポン社製)と銅箔(厚さ18μm)とを積層した2層CCLを元に、JIS C6471に基づく形状に配線を形成し、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムと厚さ15μmの熱硬化性接着剤とで構成されるカバーレイ「CISV1215(ニッカン工業社製)」を貼り合わせてカバーコート層を形成した。更に、電磁波シールドシートの接着層側の剥離性シートを剥離して露出した接着層をカバーコート層に対して、150℃、30分間、2.0MPaの条件で圧着し、微粘着シートおよびキャリア銅箔を剥がすことで試料を得た。得られた試料について、温度25℃、湿度50%雰囲気下で、曲率半径0.38mm、荷重500g、速度180回/分の条件でMIT試験機を使用して耐折性を測定した。評価は、屈曲を3000回行い、配線が断線するまでの屈曲回数を測定した。評価基準は以下の通りである。

優(Excellent):屈曲回数を3000回行っても断線しなかった。
良(Good):断線までの屈曲回数が2500回以上、3000回未満で、実用上問題ない。
不適(Poor):2500回未満で断線した。
<高周波用途適正評価>
高周波用途適性について、以下の測定用試料を用いて評価した。
図8に、測定に用いたコプレーナ構造のフレキシブルプリント配線板(以下、プリント配線板ともいう)7の主面側の模式的平面図を、図9に、裏面側の模式的平面図を示す。まず、厚さ50μmのポリイミドフィルム50の両面に、厚さ12μmの圧延銅箔を積層した両面CCL「R−F775」(パナソニック社製)を用意した。そして、矩形状の4つのコーナー部近傍に、其々6か所のスルーホール51(直径0.1mm)を設けた。尚、図中においては、図示の便宜上、各コーナー部にスルーホール51を2つのみ示している。次いで、無電解メッキ処理を行った後に、電解メッキ処理を行って10μmの銅メッキ膜52を形成し、スルーホール51を介して両主面間の導通を確保した。その後、図8に示すように、ポリイミドフィルム50の主面に長さが10cmの2本の信号配線53、およびその外側に信号配線53と並行なグランド配線54、およびグランド配線54から延在され、ポリイミドフィルム50短手方向のスルーホール51を含む領域に形成されたグランドパターン55を形成した。
その後、ポリイミドフィルム50の裏面に形成された銅箔をエッチングして、グランドパターン55に対応する位置に、図9に示すような裏面側グランドパターン56を得た。回路の外観、公差の検査仕様はJPCA規格(JPCA−DG02)とした。次に、ポリイミドフィルム50の主面側に、ポリイミドフィルム57a(厚さ12.5μm)と絶縁性接着剤層57b(厚さ15μm)とで構成されるカバーレイ57「CISV1215(ニッカン工業社製)」を貼り付けた(図8参照)。尚、図8においては、信号配線53等の構造がわかるように、カバーレイ57を透視図で示した。その後、カバーレイ57から露出した銅箔パターンにニッケルメッキ(不図示)を行い、次いで金メッキ(不図示)処理を行った。
図10に、上記プリント配線板7の主面側に電磁波シールドシートを貼り付けた電磁波シールド付きプリント配線板8の模式的平面図を示す。また、図11に図10のXI−XI切断部断面図を、図12に図10のXII−XII切断部断面図を示す。
図10において、説明の便宜上、電磁波シールドシート61を透視図で表した。2枚の電磁波シールドシート61,62を用意し、電磁波シールドシート61,62の接着層71上に設けられた剥離処理シート(不図示)を剥がした。そして、電磁波シールドシート61,62の其々の接着層71を内側としてプリント配線板7を挟持し、150℃、2.0MPa、30分の条件で圧着することにより電磁波シールドシート付きプリント配線板8を得た。電磁波シールドシート61、62としては、接着層71、導電層72、絶縁層73およびハードコート層74がこの順に積層されたシートを用いた。
プリント配線板7の主面側に設けられた電磁波シールドシート61は、図10に示すように、2つの開口部60が設けられている。其々の開口部60からは、2つのグランドパターン55から延在された突出部58および2つの信号配線53の端部が露出される。これらの露出したグランドパターン55と信号配線53にスペクトルアナライザーを接続させ、試験を行う。プリント配線板7の裏面側には、電磁波シールドシート61と略同一形状で開口部が設けられていない電磁波シールドシート62が、プリント配線板7を介して重畳する領域に設けられている。ネットワークアナライザE5071C(アジレント・ジャパン社製)を用いて、1MHzから20GHzの範囲の信号を信号配線53に送り、電磁波シールドシート付きプリント配線板8の特性インピーダンスと伝送損失を測定した。尚、実施例1〜15および比較例1〜4は、信号回路のL/S(ライン/スペース)を30/100μmとし、式(1)から求められる特性インピーダンスが100mΩ±5mΩの範囲内となるようカバーレイとシールドシートの接着剤層の厚みを適宜調整した。
一方、比較例5は、カバーレイとシールドシートの接着剤層の合計厚みを50.5μmとし、特性インピーダンスが100mΩ±5mΩの範囲内となるよう信号回路の配線幅を調整した。尚、実施例1〜15および比較例1〜5においてグランド配線54の幅は100μm、グランド配線54と信号配線53の間の距離は1mmとした。
<カバーレイと接着層の厚み>
電磁波シールド付きプリント配線板8を幅5mm・長さ5mm程度の大きさに切断した後、スライドガラス上に、エポキシ樹脂(ペトロポキシ154、マルトー社製)を0.05g滴下し、電磁波シールド付きプリント配線板8とスライドガラスを接着させ、スライドガラス/電磁波シールド付きプリント配線板8の積層体を得た。得られた積層体をクロスセクションポリッシャー(日本電子社製、SM−09010)を用いてプリント配線板8側からイオンビーム照射により切断加工して、電磁波シールド付きプリント配線板8の測定試料を得た。
得られた測定試料の断面をレーザーマイクロスコープ(キーエンス社製、VK−X100)を使用し、観察した拡大画像から、図12中の矢印Tで示した位置(回路が形成されていない位置)における接着層71、ポリイミドフィルム57aおよび絶縁性接着剤層57bの厚み(以下、本明細書において、上記カバーレイと接着層の厚みの合計をFPCの厚みと定義する)を測定した。倍率を500〜2000倍としてFPCの厚みを測定し、以下のように評価した。結果を表3に示す。

優(Excellent):カバーレイと電磁波シールドシートの接着層の合計厚みが48.5μm未満。
良(Good):カバーレイと電磁波シールドシートの接着層の合計厚みが48.5μm以上、52.5μm未満。
不適(Poor):カバーレイと電磁波シールドシートの接着層の合計厚みが52.5μm以上。
<伝送損失>
高周波信号における伝送損失は10GHzおよび20GHzの伝送損失を測定することで評価した。評価基準は、以下の通りとした。得られた結果を表3に示す。

[10GHz]
優(Excellent):5.0dB未満
良(Good):5.0dB以上、5.5dB未満
不適(Poor):5.5dB以上
[20GHz]
優(Excellent):7.5dB未満
良(Good):7.5dB以上、8.0dB未満
不適(Poor):8.0dB以上
<高湿処理後の伝送損失>
高湿処理後の伝送損失は、上述で伝送損失を測定した試料を湿度85%温度60℃のオーブンに24時間放置した後、さらに湿度50%温度25℃の環境に24時間放置して、10GHzおよび20GHzの伝送損失を測定することで評価した。評価基準は、以下の通りとした。得られた結果を表3に示す。

[10GHz]
優(Excellent):5.0dB未満
良(Good):5.0dB以上、5.5dB未満
不適(Poor):5.5dB以上
[20GHz]
優(Excellent):7.5dB未満
良(Good):7.5dB以上、8.0dB未満
不適(Poor):8.0dB以上
接着層として、上記(i)および(ii)を満たす材料を用い、ハードコート層を設けることにより、表3に示すように、回路のL/Sを狭めることなく、高周波信号における伝送損失を効果的に抑制し、さらに高湿処理後の伝送損失低下も抑制できることがわかった。比較例2と比較例5の組成は共通であるが、FPCの厚みを実施例と同様に50.5μmとした比較例5においては、L/Sを狭める必要が生じ、その結果、生産性が低下してしまう。
1、71 接着層
2、72 導電層
3、73 絶縁層
4、74 ハードコート層
7 プリント配線板
8 電磁波シールド付きプリント配線板
10、61,62 電磁波シールドシート
20 プリント配線板(部品)
21 基板
22、57b 絶縁性接着剤層
23、57a ポリイミドフィルム
24 グランドパターン
25 配線パターン
31 ビア
32、33バンプ
34 外部アース
35 導電性ペースト
41 グランドビア
50 ポリイミドフィルム
51 スルーホール
52 銅メッキ膜
53 信号配線
54 グランド配線
55 グランドパターン
56 裏面側グランドパターン
57 カバーレイ
58 突出部
60 開口部
61、62 電磁波シールドシート

Claims (10)

  1. 電磁波を放出する部品の少なくとも一部をシールドする、積層体からなる電磁波シールドシートであって、
    前記積層体は、
    前記部品上に配置して、接合処理を行うことにより前記部品と接合される接着層と、
    前記接着層上に積層された導電層と、
    前記導電層上に形成された絶縁層と
    前記絶縁層上に形成されたハードコート層とを備え、
    前記接着層は、バインダー成分として、下記(I)および(II)の少なくとも一方を含み、
    (I)熱可塑性樹脂(A)
    (II)熱硬化性樹脂(B)と該熱硬化性樹脂(B)に対する硬化性化合物(C)
    前記接着層は、更に、導電性フィラーを含有し、異方導電性を示し、
    前記バインダー成分を熱圧着処理した後の被膜(X)が以下の(i)および(ii)を満たす電磁波シールドシート。
    (i)比誘電率が、周波数1GHz、23℃において1〜3である。
    (ii)誘電正接が、周波数1GHz、23℃において0.0001〜0.02である。
  2. 熱硬化性樹脂(B)はカルボキシル基含有樹脂を含み、
    硬化性化合物(C)として、エポキシ化合物を含み、更に、有機金属化合物およびイソシアネート化合物の少なくとも一方を含む請求項1に記載の電磁波シールドシート。
  3. 前記接合処理後の前記接着層の厚みが、3〜50μmである請求項1又は2に記載の電磁波シールドシート。
  4. 前記導電性フィラーが、球状粒子およびデンドライト粒子の少なくとも一方から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
  5. 前記バインダー成分は、前記(II)を含み、
    前記接着層の熱硬化後の被膜(Y)において、炭素原子数に対する窒素原子数の割合が1〜10%であり、且つ炭素原子数に対する酸素原子数の割合が3〜20%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
  6. 前記バインダー成分は、前記(II)を含み、
    前記接着層の熱硬化後の被膜(Y)は、カルボキシル基および水酸基から選択される少なくともいずれかの基を含み、
    前記カルボキシル基を含む場合には、炭素数に対するカルボキシル基数の割合が0.01〜15%の範囲であり、
    前記水酸基を含む場合には、炭素数に対する水酸基数の割合が0.5〜20%の範囲にあり、
    前記炭素数に対するカルボキシル基数と水酸基数の合計が35%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
  7. 硬化性化合物(C)が有機金属化合物を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
  8. 前記導電層は、金属層である請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
  9. 配線回路基板上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートが接合された電磁波シールド性配線回路基板。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートが接合された電子機器。
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