JP2012528485A - 電磁遮蔽物品 - Google Patents
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Abstract
ある遮蔽物品には、第1導電層と、ある分離距離を画定する非導電性ポリマー層によってその第1導電層から離れて配置されている第2導電層と、が含まれる。この第1導電層及び第2導電層は協同して、第1遮蔽効果を提供する。この第1導電層、第2導電層、及び分離距離Aは協同して、第1遮蔽効果よりも大きい第2遮蔽効果を提供する。
Description
本発明は電磁干渉(EMI)遮蔽用途に好適な電磁遮蔽物品に関する。具体的には本発明は、遮蔽効果を顕著に増加させる多層電磁遮蔽物品に関する。
近年、電子通信デバイス(例えば携帯電話、テレビ、ゲーム用電子機器、カメラ、RFIDセキュリティ装置、医療機器、並びに自動車及び航空宇宙用途における電子機器など)はますます小型化し、電子通信の動作周波数はますます高くなっている。その結果、電子機器用に有効な電磁波遮蔽を提供することが望ましく、これにより、電子機器は許可された電磁干渉(EMI)量を超えて放射することがなく、また他の機器からの電磁波外部放射の影響を受けることがなくなる。従来の電磁波遮蔽物品では、遮蔽の効果、可撓性、及び耐久性に制限があるため、この要件を満足するのはますます困難になっている。
一態様において、本発明は、第1導電層と、ある分離距離を画定する非導電性ポリマー層によってその第1導電層から離れて配置されている第2導電層とを含む、遮蔽物品を提供する。この第1導電層及び第2導電層は協同して、第1遮蔽効果を提供する。この第1導電層、第2導電層、及び分離距離Aは協同して、第1遮蔽効果よりも大きい第2遮蔽効果を提供する。
別の態様において、本発明は複数の導電層を含む遮蔽物品を提供し、この各導電層は、ある分離距離を画定する非導電性ポリマー層によって、隣接する導電層から離れて配置されている。この導電層は協同して、第1遮蔽効果を提供する。この導電層と分離距離は協同して、第1遮蔽効果よりも大きい第2遮蔽効果を提供する。
上記の本発明の概要は、開示される実施形態のそれぞれ、又は本発明のすべての実施の態様を述べることを目的としたものではない。以下の添付図面及び詳細な説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。
以下の好適な実施形態の詳細な説明では、その一部をなす添付の図面を参照する。添付の図面は、本発明を実施することが可能な具体的な実施形態を例として示す。他の実施形態の使用も可能であり、また本発明の範囲から逸脱することなく構造上又は論理上の変更を行い得る点は理解されるであろう。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきものではなく、本発明の範囲は添付の「特許請求の範囲」によって定義されるものである。
一態様において、本発明には、電磁機器、電子機器、受信装置、又はその他の外部装置から放射される電気的又は磁気的信号との干渉又はこれを遮断することによって、電子通信装置を遮蔽するのに有用な多層遮蔽物品が含まれる。
図1は、本発明の一態様に基づく、遮蔽物品の例示的一実施形態を示したものである。遮蔽物品100には、第1導電層102a及び第2導電層102b(本明細書においては「導電層102」と総称される)が含まれる。第2導電層102bは、非導電性ポリマー層104によって第1導電層102aから間隔をおいて離されている。本明細書において「非導電性」とは、実質的に導電性でないものとして定義される。ポリマー層104は、分離距離Aを画定し、この実施形態においてこれは実質的にポリマー層104の厚さに対応している。第1導電層102a及び第2導電層102bは協同して、第1遮蔽効果を提供する。第1遮蔽効果は、2層の隣接する単独厚さの導電層102a及び102bに効果的に等しい、2倍の厚さの単導電層に基づいている。予想外なことに、第1導電層102a、第2導電層102b、及び分離距離Aは協同して、第1遮蔽効果よりも大きい第2遮蔽効果を提供する。
導電層102は、例えば、化学蒸着(例えば電気メッキなど)、物理蒸着(例えばスパッタリングなど)、又は他の任意の適当な方法によってポリマー層104を金属被覆することによって形成することができる。また、導電層102はポリマー層104上に積層することもできる。一実施形態において、導電層102はそれぞれ、100〜30000オングストローム(10〜3000nm)の範囲の厚さを有する。図1の実施形態において、導電層102a及び102bは実質的に同じ厚さを有する。他の実施形態において、導電層102aと102bは異なる厚さを有し得る。導電層102には、任意の導電性材料が含まれてもよく、これには銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金が含まれるがこれらに限定されない。第1導電層102aには、第2導電層102bとは異なる材料又は材料の異なる組み合わせが含まれていてもよい。例えば、第1導電層102aには銅の層が含まれ、第2導電層102bには銀の層が含まれていてもよい。
ポリマー層104には任意の好適なポリマー材料が含まれてよく、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤が挙げられるがこれらに限定されない。ポリマー層104は、意図される用途に好適な特性を提供するために、1つ以上の添加剤及び/又は充填材を含み得る。ポリマー層104に含まれ得る接着剤、添加剤、及び充填材は、下記に詳述される。ポリマー層104は、不織布、布地、フォーム、又は実質的に中空のポリマー又は接着層を含み得る。一実施形態において、ポリマー層104は5μm〜500μmの範囲の厚さを有する。
図1に示される実施形態において、第1導電層102a及び第2導電層102bはそれぞれ、銅の層106a及び106b(本明細書においては「銅層106」と総称される)を含み、これはそれぞれ、ニッケルの層108a及び108b(本明細書においては「ニッケル層108」と総称される)の上に配置される(「下塗り」とも称される)。ニッケル層108及び銅層106は、当該技術分野において既知の好適な任意の方法を使用して蒸着される。ポリマー層104は、遮蔽物品100の最終使用のために十分な可撓性を提供し、同時に、例えば金属蒸着プロセスの使用のために十分な剛性、温度安定性、及び化学的安定性をも有する。ニッケル層108は、銅層106単独の場合よりも、ポリマー層104に対する銅層106のよりよい接着をもたらす。銅層106は、例えば携帯電話、テレビ、ゲーム用電子機器、カメラ、RFIDセキュリティ装置、医療機器、並びに自動車及び航空宇宙用途における電子機器などにおける使用のための遮蔽物品として機能するような構成体を可能にする、十分な導電率を提供する。別の実施形態において、ニッケルの追加層を銅層106の外側表面上に蒸着し、これにより銅層106の腐食防止を提供することができる。一実施形態において、ニッケル層108はそれぞれ、25〜125オングストローム(2.5〜12.5nm)の範囲の厚さを有し、銅層106はそれぞれ、50〜2000オングストローム(5〜200nm)の範囲の厚さを有する。好ましい一実施形態において、ニッケル層108はそれぞれ、50〜100オングストローム(5〜10nm)の範囲の厚さを有し、銅層106はそれぞれ、800〜2000オングストローム(80〜200nm)の範囲の厚さを有する。材料の厚さが好適な範囲であることによって、材料の可撓性及び信頼性の望ましいバランスが可能となる一方で、導電性及び腐食防止のための適切な量の材料が提供される。図示されている実施形態において、銅層106a及び106bは実質的に同じ厚さを有しているが、他の実施形態において、銅層106a及び106bは異なる厚さを有していてもよい。同様に、図示されている実施形態において、ニッケル層108a及び108bは実質的に同じ厚さを有しているが、他の実施形態において、ニッケル層108a及び108bは異なる厚さを有していてもよい。図示されている実施形態において、銅層106はニッケル層108の上に蒸着されているが、他の実施形態において、銅層106の一方又は両方は、ポリマー層104上に直接蒸着されていてもよい。ニッケル層108は、本明細書において、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、及びオーステナイト系ニッケル基超合金(Special Metals Corporation(New Hartford,New York,U.S.A.)から商品名INCONELとして販売される)のうちの少なくとも1つを含む層として定義される。銅層106は本明細書において、銅(Cu)及び銅合金のうち少なくとも1つを含む層として定義される。
図2は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の別の例示的な実施形態を示したものである。遮蔽物品200には、上述の遮蔽物品100と、第1導電層102aの上に配置された接着層210とが含まれる。別の実施形態において、接着層210は第2導電層102bの上に配置されてもよく、又は第1導電層102a及び第2導電層102bの両方の上に配置されていてもよい。一実施形態において、接着層210は、保護層、あるいは例えば電磁的に遮蔽が必要な機器又は部品に対して、遮蔽物品200を接着するのに使用される。接着層210には、感圧性接着剤(PSA)、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、硬化性接着剤、又はその他任意の好適な接着剤が含まれ得る。接着層210には、意図される用途に好適な特性を提供するために、1つ以上の添加剤及び/又は充填材が含まれ得る。接着層210に含まれ得る接着剤、添加剤、及び充填材は、下記に詳述される。接着層210は腐食防止剤を含み得る。一実施形態において、ポリマー層210は10μm〜150μmの範囲の厚さを有する。
図3は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の別の例示的な実施形態を示したものである。遮蔽物品300には、上述の遮蔽物品200と、接着層210に隣接して配置された保護層312とが含まれる。この実施形態において、保護層312は接着層210によって第1導電層102aに接着されている。別の実施形態において、保護層312は第2導電層102bに隣接して配置されてもよく、又は第1導電層102a及び第2導電層102bの両方に隣接して配置されていてもよい。一実施形態において、保護層312には、無機コーティング材でコーティングされたポリエステル紙(例えば、3M Company(St.Paul,Minnesota,U.S.A.)から商品名TufQUINとして販売されている無機コーティング材でコーティングされたポリエステル紙など)が挙げられる。TufQUINは、無機材料の高温特性と、有機繊維の使用によって得られる機械的高強度とを兼ね備えた性質を提供する。TufQUIN紙は、ポリエステルフィルムと組み合わせることによって、高温での電気絶縁用途に特に適した可撓性の積層体を形成し得る。別の実施形態では、保護層312は、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware,U.S.A.)よりNOMEXの商品名で販売されるアラミド紙のようなアラミド紙を含む。保護層312は典型的に、化学的保護(例えば腐食に対する保護)並びに物理的保護(例えば磨耗に対する保護)を提供することができる。保護層312は、意図される用途のために好適な任意の厚さを有し得る。
図4は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の別の例示的な実施形態を示したものである。遮蔽物品400には、上述のように第1導電層102a及び第2導電層102bが含まれる。第2導電層102bは、非導電性ポリマー層404によって第1導電層102aから間隔をおいて離されている。ポリマー層404は、分離距離Bを画定し、この実施形態においてこれは実質的にポリマー層404の厚さに対応している。第1導電層102a及び第2導電層102bは協同して、第1遮蔽効果を提供する。予想外なことに、第1導電層102a、第2導電層102b、及び分離距離Bは協同して、第1遮蔽効果よりも大きい第2遮蔽効果を提供する。ポリマー層404には、第1非導電性ポリマー副層414a、第2非導電性ポリマー副層414b、及び第1ポリマー副層414aと第2ポリマー副層414bとの間に配置された結合接着層416が含まれる。一実施形態において、第1ポリマー副層414a及び第2ポリマー副層414bは、上述のポリマー−層104と同一である。このポリマー層404の構成体の有用な利点は、遮蔽物品400の製造方法にある。一実施形態において、遮蔽物品400は次のように製造される:第1に、導電層102aを第1ポリマー副層414a上に蒸着し、第2導電層102bを第2ポリマー副層414b上に蒸着し、これにより2つの別々の構成体ができる。次に、結合接着層416を第1ポリマー副層414aに積層し、第2ポリマー副層414bを結合接着層416に積層して、2つの別々の構成体を合わせ、遮蔽物品400にする。結合接着層416には、感圧性接着剤(PSA)、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、硬化性接着剤、又はその他任意の好適な接着剤が含まれ得る。結合接着層416には、意図される用途に好適な特性を提供するために、1つ以上の添加剤及び/又は充填材が含まれ得る。結合接着層416に含まれ得る接着剤、添加剤、及び充填材は、下記に詳述される。本発明の一態様に基づく遮蔽物品の接着層(例えば接着層210及び416)には、ある材料又は表面を別のものに結合、接着、又は他の方法で固着するのに用いられる、さまざまなタイプの材料のうち任意のものが含まれ得る。接着剤の種類には、例えば、感圧性接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、及び硬化性接着剤が含まれる。感圧性接着剤には、シリコーンポリマー系、アクリレートポリマー系、天然ゴムポリマー系、及び合成ゴムポリマー系のものが含まれる。これらは、望ましい特性を提供するために、さまざまな材料によって粘着性付与、架橋、及び/又は充填することができる。ホットメルト接着剤は、特定の温度及び/又は圧力を超えて加熱されると、粘着性となり、基材に対して良好に接着する。この接着剤が冷えると、凝集強度が高まると同時に、基材に対する良好な結合が保持される。ホットメルト接着剤のタイプの例には、ポリアミド、ポリウレタン、エチレンと酢酸ビニルのコポリマー、及びより極性の高い化学種(例えば無水マレイン酸)で修飾されたオレフィンポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。熱硬化性接着剤は、室温で、又は熱及び/若しくは圧力の適用によって、基材に密着した接触を作り出すことができる接着剤である。加熱により、この熱硬化性接着剤内で化学反応が起こり、室温、準室温、及び高温において長期的な凝集強度を呈する。熱硬化性接着剤の例には、エポキシ、シリコーン、ポリエステル、及びポリウレタンが挙げられる。硬化性接着剤には熱硬化性接着剤が含まれ得るが、本明細書では、外部からの化学種又はエネルギーの追加の有無に関わらず、室温で硬化できる点において区別される。この例には、2成分エポキシ及びポリエステル、1成分湿気硬化型シリコーン及びポリウレタン、並びに紫外線、可視光、又は電子ビームエネルギーなどの化学線を利用して硬化させる接着剤が挙げられる。
本発明の一態様に基づく遮蔽物品の非導電性ポリマー層及び接着層(例えば、ポリマー層104、ポリマー副層414a及び414b、並びに接着層210及び416)には、意図される用途に好適な特性を提供するため、さまざまなタイプの添加剤及び充填材が、単独又は組み合わせて含まれ得る。典型的な添加剤及び充填材には、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、顔料、染料、難燃剤、防煙剤、導電性充填材、耐化学性を改善するための化学種、及びその他の性質改変剤が挙げられる。
難燃剤は、製品構成体全体が、火災の伝搬を最小限に抑え、改善し、又は排除するようにする一部の用途に有用な、別の種類の充填材を示すものである。難燃剤のタイプには、例えばデカブロモジフェニルオキシド、塩素化パラフィンワックス、臭素化フェノール、及び臭素化ビスフェノールAなどのハロゲン化難燃剤が挙げられ得る。更に、ハロゲン化難燃剤を採用した配合にはしばしば、ハロゲン化化合物の難燃性性能を強化するよう共同作用する、三酸化アンチモンなどのアンチモン酸化物が含まれる。
別のタイプの難燃剤は、ポリマーの引火性を低減し燃焼を妨げるため、膨張又はチャー形成に依存する。膨張性難燃剤の例には、アンモニウムポリフォスフェートなどのホスフェート類、メラミンなどの窒素化合物が挙げられる。別の種類の難燃剤は、不活性ガスの生成、及び分解時のチャー形成の促進によって、炎の伝搬を妨げるものである。これには、無機水酸化物、ヒドロキシカーボネート類、及びカーボネート類(例えばアルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、及び炭酸マグネシウム)が挙げられる。
他の種類の難燃剤には、モリブデン酸塩及びホウ酸塩が挙げられ、これらはまた煙生成も抑制する。このタイプの難燃剤の例には、オクタモリブデン酸アンモニウム及びホウ酸亜鉛が挙げられる。これら及びその他周知の難燃剤の任意の組み合わせが含まれ得る。
例えば、全体的な性能を強化するため、又はコストを削減するために含まれ得る、その他のタイプの充填材としては、二酸化チタン、ヒュームドシリカ、カーボン繊維、カーボンブラック、ガラスビーズ、ガラス繊維、グラスバブルス、ミネラル繊維クレイ粒子、有機繊維、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、チタン酸バリウム、モリブデンなどが挙げられ得る。
一部の遮蔽用途に有用な、重要な充填材の1つは、遮蔽層からアース面へと電流を流すことができる導電性粒子である。導電性粒子は、現在使用されている任意のタイプの粒子であり得、例えば球形、フレーク状、桿状、立方体状、無定型、又はその他の粒子形状であり得る。これらは固体又は実質的に固体の粒子であってよく、例えばカーボンブラック、カーボン繊維、ニッケル球状粒子、ニッケルコーティングされた銅球状粒子、金属コーティングされた酸化物、金属コーティングされたポリマー繊維、又はその他同様の導電性粒子であり得る。これらの導電性粒子は、例えば銀、アルミニウム、ニッケル、又はインジウムすず酸化物などの導電性材料でめっき又はコーティングされた、電気的に絶縁性の材料から製造することができる。金属コーティングされた絶縁材料は、中空ガラス球などの実質的に中空の粒子であってよく、又はガラスビーズ若しくは金属酸化物などの中実材料を含んでもよい。導電性粒子は、約数十マイクロメートルであってよく、カーボンナノチューブなどのようにナノメートル寸法の材料であってもよい。導電性接着剤も、導電性ポリマーマトリックスを含み得る。
本発明の態様に基づく遮蔽物品は、従来の遮蔽物品に比べ、意図された用途に対して数多くの利点を有する。具体的な利点の1つは、電磁遮蔽の予想外の性能であり、この詳細は後述される。
本発明の一態様に基づく遮蔽物品及び従来の遮蔽物品に対して、遮蔽効果の測定を行った。遮蔽効果の測定は、ASTM D 4935−99のStandard Test Method for Measuring the Electromagnetic Shielding Effectiveness of Planar Materialsに全体的に従って行った。測定は、TEMセルを装着し、Agilent TechnologiesのN5230A PNA−L Network Analyzerで実施し、IF帯域幅及び平均されたスキャン数を必要に応じて調節し、さまざまな試料の遮蔽レベルを正確に測定した。以下の試験試料を調製した。
比較試験試料C501は、非導電性ポリマー層状に蒸着された単独導電層を含む、従来の遮蔽物品の例であった。具体的には、比較試験試料C501は次のように作製された:約75オングストローム(7.5nm)の厚さを有するニッケル層を、ポリエチレンテレフタレートを含み、厚さ約2.0mil(51μm)を有するポリマー層上に蒸着した。約1100オングストローム(110nm)の厚さを有する銅層を、このニッケル層の上に蒸着した。
試験試料502は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料502は次のように作製された:約75オングストローム(7.5nm)の厚さを有するニッケル層を、ポリエチレンテレフタレートを含み、厚さ約2.0mil(51μm)を有するポリマー層上に蒸着した。約550オングストローム(55nm)の厚さを有する第1銅層を、このニッケル層の上に蒸着した。約550オングストローム(55nm)の厚さを有する第2銅層を、ポリマー層の反対側表面上に蒸着した。
試験試料503は、本発明の一態様に基づく別の遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料503は次のように作製された:約75オングストローム(7.5nm)の厚さを有する第1ニッケル層を、ポリエチレンテレフタレートを含み、厚さ約2.0mil(51μm)を有する第1ポリマー層上に蒸着した。約550オングストローム(55nm)の厚さを有する第1銅層を、この第1ニッケル層の上に蒸着した。約75オングストローム(7.5nm)の厚さを有する第2ニッケル層を、第1ポリマー層とは別の第2ポリマー層上に蒸着した。約550オングストローム(55nm)の厚さを有する第2銅層を、この第2ニッケル層の上に蒸着した。アクリレート感圧性接着剤を含み、約1.0mil(25μm)の厚さを有する結合接着層を、この第1ポリマー層に積層した。第2ポリマー層は、結合接着層に積層された。
試験試料504は、本発明の一態様に基づく別の遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料504は次のように作製された:約75オングストローム(7.5nm)の厚さを有する第1ニッケル層を、ポリエチレンテレフタレートを含み。厚さ約2.0mil(51μm)を有する第1ポリマー層上に蒸着した。約550オングストローム(55nm)の厚さを有する第1銅層を、この第1ニッケル層の上に蒸着した。約75オングストローム(7.5nm)の厚さを有する第2ニッケル層を、第1ポリマー層とは別の第2ポリマー層上に蒸着した。約550オングストローム(55nm)の厚さを有する第2銅層を、この第2ニッケル層の上に蒸着した。アクリレート感圧性接着剤を含み、約5.0mil(127μm)の厚さを有する結合接着層を、この第1ポリマー層に積層した。第2ポリマー層は、結合接着層に積層された。
表1及び図5は、試料C501〜504について、100〜1000MHzで平均された遮蔽データを示す。比較試験試料C501の遮蔽効果は、100〜1000MHzの範囲にわたって、−55.7dBと測定された。比較試験試料C501を効果的に半分にし、各銅単層を約51μmの分離距離で離して配置することにより、試験試料502と実質的に同一の構成体がもたらされ、この遮蔽効果は予想外に、−66.9dBまで増強された(−11.2dBの追加遮蔽)。このデータは、遮蔽物品の導電層間に分離距離が存在すると、遮蔽物品の遮蔽効果が予想外に増強されることを示している。分離距離を約127μm(試験試料503)及び229μm(試験試料504)にまで増加することにより、遮蔽効果は、それぞれ−71.4dB(−15.7dBの追加遮蔽)及び−78.4dB(−22.7dBの追加遮蔽)にまで更に増強された。このデータは、分離距離が増加すると、遮蔽効果が増大することを示している。図5は更に、層分離がゼロに向かって減少する限界において、補外値(y切片)はゼロでないことを示している。これは、実質的に同じ有効厚さを有する単層に比べ、2重層の遮蔽層を利用することで、予想外の共同作用があることを示している。
本発明の一態様に基づく遮蔽物品及び従来の遮蔽物品に対して、追加の遮蔽効果の測定を行った。遮蔽効果の測定は、上述の通り実施された。以下の試験試料を調製した。
比較試験試料C601は、厚さ約0.9mil(23μm)を有するアルミホイルを含む単独導電層を含んだ、従来の遮蔽物品の試料であった。
試験試料602は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料602は次のように作製された:約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第1導電層を、約1.0mil(25μm)の厚さを有するアクリレート結合接着層を含むポリマー層に積層した。約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第2導電層を、このポリマー層の反対側表面に積層した。
試験試料603は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料603は次のように作製された:約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第1導電層を、約2.0mil(51μm)の厚さを有するアクリレート結合接着層を含むポリマー層に積層した。約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第2導電層を、このポリマー層の反対側表面に積層した。
試験試料604は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料604は次のように作製された:約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第1導電層を、約4.0mil(102μm)の厚さを有するアクリレート結合接着層を含むポリマー層に積層した。約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第2導電層を、このポリマー層の反対側表面に積層した。
試験試料605は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料605は次のように作製された:約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第1導電層を、約6.0mil(152μm)の厚さを有するアクリレート結合接着層を含むポリマー層に積層した。約0.4mil(10μm)の厚さを有するアルミホイルを含む第2導電層を、このポリマー層の反対側表面に積層した。
表2及び図6は、試料C601〜605について、100〜1000MHzで平均された遮蔽データを示す。比較試験試料C601の遮蔽効果は、100〜1000MHzの範囲にわたって、−112.1dBと測定された。比較試験試料C601を効果的に半分にし、各アルミニウム単層を約25μmの分離距離で離して配置することにより、試験試料602と実質的に同一の構成体がもたらされ、この遮蔽効果は予想外に、−123.4dBまで増強された(−11.3dBの追加遮蔽)。このデータは、遮蔽物品の導電層間に分離距離が存在すると、遮蔽物品の遮蔽効果が予想外に増強されることを示している。分離距離を約51μm(試験試料603)、102μm(試験試料604)、及びに152μm(試験試料605)まで増加することにより、遮蔽効果は更に、それぞれ−123.6dB(−11.4dBの追加遮蔽)、−126.4dB(−14.2dBの追加遮蔽)、及び−128.4dB(−16.2dBの追加遮蔽)にまで増強された。このデータは、分離距離が増加すると、遮蔽効果が増大することを示している。図6は更に、層分離距離がゼロに向かって減少する限界において、補外値(y切片)はゼロでないことを示している。これは、実質的に同じ有効厚さを有する単層に比べ、2重層の遮蔽層を利用することで、予想外の共同作用があることを示している。
組み合わせると、表1〜2及び図5〜6に示されているデータは、この追加遮蔽効果が、異なる導電体材料を含んだ第1及び第2導電層を含んだ、本発明の態様に基づく遮蔽物品において達成され得ることを示している。
本発明の一態様に基づく遮蔽物品について、追加の遮蔽効果測定が実施された。遮蔽効果の測定は、上述の通り実施された。以下の試験試料を調製した。
試験試料701は、本発明の一態様に基づく遮蔽物品の一例であった。具体的には、試験試料701は次のように作製された:約150オングストローム(15nm)の厚さを有するニッケル層を、ポリエチレンテレフタレートを含み、厚さ約2.0mil(51μm)を有するポリマー層上に蒸着した。約1800オングストローム(180nm)の厚さを有する銅層を、このニッケル層の上に蒸着した。約150オングストローム(15nm)の厚さを有するチタン層を、ポリマー層の反対側表面上に蒸着した。約1000オングストローム(100nm)の厚さを有する銀層を、このチタン層の上に蒸着した。試験試料701の平均遮蔽効果は−81.6dBと測定され、4つの試料が平均された。この実施例は、第1導電層及び第2導電層に異なる導電性材料が含まれている遮蔽物品も、効果的に利用できることを示している。また、第1導電層及び第2導電層の厚さは異なっていてもよいことが示されている。
第2導電層から離れて配置された第1導電層を含む遮蔽物品(すなわち2層構成体)は、第1導電層と第2導電層が本質的に単一の導電層を形成している遮蔽物品(すなわち単層構成体)よりも、大きな遮蔽効果を有することが示された。これに基づいて、複数の導電層を含み、各層が隣接する導電層から離れて配置されている遮蔽物品(すなわち多層構成体)は、導電層が単一の導電層を形成している遮蔽物品(すなわち単層構成体)よりも、大きな遮蔽効果を有することが、当業者には容易に理解されるであろう。例えば、第2導電層から離れて配置された第1導電層を含む遮蔽物品においては、半分にし、第1導電層と第2導電層の一方又は両方を離して配置することにより(3層又は4層構成体が形成される)、この遮蔽物品の遮蔽効果は更に増大する。
以上、好適な実施形態の説明を目的として特定の実施形態を本明細書に図示、説明したが、同様の目的を達成することが予想される広範な代替的かつ/又は同等の実施の態様を、本発明の範囲を逸脱することなく、図示及び説明された特定の実施形態に置き換えることができる点は当業者には認識されるであろう。機械的、電気機械的、及び電気的分野における当業者であれば、本発明が広範な実施形態で実施し得る点は直ちに認識されるであろう。本出願は、本明細書で考察した好適な実施形態のあらゆる適合形態又は変形例を含むものである。したがって、本発明が「特許請求の範囲」及びその同等物によってのみ限定される点を明示するものである。
Claims (19)
- 第1導電層と、
ある分離距離を画定する非導電性ポリマー層によって前記第1導電層から離れて配置されている第2導電層と、を含み、
前記第1導電層と前記第2導電層は協同して第1遮蔽効果を提供し、前記第1導電層、前記第2導電層、及び前記分離距離は協同して、前記第1遮蔽効果よりも大きい第2遮蔽効果を提供する、遮蔽物品。 - 前記非導電性ポリマー層が、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、及び合成ゴム接着剤のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記非導電性ポリマー層が、第1非導電性ポリマー副層と、第2非導電性ポリマー副層と、前記第1非導電性ポリマー副層と前記第2非導電性ポリマー副層との間に配置される結合接着層と、を含む、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記非導電性ポリマー層が、5μm〜500μmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記第1導電層と前記第2導電層とが異なる厚さを有する、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記第1導電層と前記第2導電層とが実質的に同じ厚さを有する、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記第1導電層と前記第2導電層とが、100〜30000オングストローム(10〜3000nm)の範囲の厚さを有する、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記第1導電層及び前記第2導電層の一方又は両方が、ニッケル層の上に配置された銅層を含む、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記銅層が、50〜2000オングストローム(5〜200nm)の範囲の厚さを有する、請求項8に記載の遮蔽物品。
- 前記銅層が、800〜2000オングストローム(80〜200nm)の範囲の厚さを有する、請求項8に記載の遮蔽物品。
- 前記ニッケル層が、25〜125オングストローム(2.5〜12.5nm)の範囲の厚さを有する、請求項8に記載の遮蔽物品。
- 前記ニッケル層が、50〜100オングストローム(5〜10nm)の範囲の厚さを有する、請求項8に記載の遮蔽物品。
- 前記第1導電層及び前記第2導電層の一方又は両方に隣接して配置される保護層を更に含む、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記保護層が、無機コーティングによってコーティングされたポリエステル紙を含む、請求項13に記載の遮蔽物品。
- 前記保護層がアラミド紙を含む、請求項13に記載の遮蔽物品。
- 前記第1導電層及び前記第2導電層の一方又は両方の上に配置される接着層を更に含む、請求項1に記載の遮蔽物品。
- 前記接着層が、感圧性接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、及び硬化性接着剤のうち1つを含む、請求項16に記載の遮蔽物品。
- 前記接着層が腐食防止剤を含む、請求項16に記載の遮蔽物品。
- 複数の導電層を含み、各導電層が、ある分離距離を画定する非導電性ポリマー層によって、隣接する導電層から離れて配置されており、
前記導電層が協同して第1遮蔽効果を提供し、前記導電層と分離距離とが協同して、前記第1遮蔽効果よりも大きい第2遮蔽効果を提供する、遮蔽物品。
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