JP5792314B2 - ジホスホン酸化合物、ジホスホン酸化合物の調製方法、および、ジホスホン酸化合物の使用 - Google Patents

ジホスホン酸化合物、ジホスホン酸化合物の調製方法、および、ジホスホン酸化合物の使用 Download PDF

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Description

本発明は、新規のジホスホン酸化合物および当該新規のジホスホン酸化合物の調製方法に関する。
骨代謝性疾患は、先天性または後天性の要因により正常の骨代謝が妨げられることで発症する骨形成、骨吸収、および、骨ミネラル沈着の障害である。骨代謝性疾患は、骨粗鬆症、ビタミンD欠乏症、ビタミンC欠乏症、腎性骨ジストロフィー症などを含む疾患である。これら骨代謝性疾患のうち骨粗鬆症は、発症頻度の高い一般疾患である。骨粗鬆症は、骨の脆弱性の増大と、骨粗鬆、骨組織微細構造の破壊による骨折の高リスク化とに特徴付けられる系統的且つ組織的な骨疾患である。人々の生活水準が継続的に向上し、寿命が延び、高齢化社会が到来するにつれ、骨粗鬆症は発症頻度の高い一般疾患となり、壮年層および老年層の健康を深刻に脅かしている。特に更年期の女性に関しては、エストロゲンレベルの変化により骨形成および骨吸収のバランスが失われる結果、大幅な骨粗鬆、骨吸収の増加、および/または骨形成の低下が引き起こされ、これにより骨粗鬆症が発症し、更に悪いことには、骨粗鬆性骨折が引き起こされてしまう。
中国は世界で最も人口が多い国であるというだけではなく、世界で最も骨粗鬆症患者数が多い国でもある。第5回全国調査によれば、60歳より高齢の老年層では、男性における骨粗鬆症の罹患率が14.6%であるのに対して、女性における骨粗鬆症の罹患率が61.8%であった。また、壮年層および老年層における骨粗鬆症の総罹患率は6.97%に達し、総計で8,826万人もの壮年および老年世代が骨粗鬆症の発症に脅かされている。中国では、21世紀の中頃までに高齢化社会が最大期を迎えることになり、60歳より高齢層の人口が総人口に占める割合が27%に上り、その数は最大で4億人にもなる。その結果、骨粗鬆症の予防および治療用の薬剤の研究開発は、国民の健康を改善させて、生活の質を向上させるうえで重大な意義を持つとともに、大きな社会的価値をも有している。
現在、骨粗鬆症の治療に使用される薬剤には、主に、次の4つの種類の薬剤が含まれる。1つ目の薬剤は、多様な種類のジホスホン酸化合物、イソプロピルイソフラボン、カルシトニン、エストロゲン、および、選択的エストロゲン受容体モジュレータなどの骨吸収阻害剤である。2つ目の薬剤は、フッ化物、上皮小体ホルモン、インスリン様成長因子、タンパク質合成ホルモンなどの骨形成促進剤である。3つ目の薬剤は、カルシウム、ビタミンD、および、その誘導体などの骨化促進薬剤である。4つ目の薬剤は、破骨細胞の活性を阻害し、骨形成を向上させるラネル酸ストロンチウムなどの薬剤である。また、中国の伝統薬剤などの他の種類の薬剤も含まれる。
骨粗鬆症の治療薬剤のうち、骨吸収を阻害するジホスホン酸薬剤は、最も一般的に使用されている薬剤である。ジホスホン酸薬剤(すなわち、薬学的に許容される塩)は、天然ピロリン酸塩の合成類似物であり、化学式Iに示す塩基構造を有する。
Figure 0005792314
化学式Iに示すように、ジホスホン酸の分子構造中、R’、R”側鎖は骨親和性に影響を及ぼす。一般的に、R’はH、OH、または、ハロゲン、および他の官能基であり、ジホスホン酸薬剤の骨親和性に及ぼす影響が小さく、R”の構造は、ジホスホン酸薬剤の骨親和性に影響を及ぼす主な要因となっている。現在、市販のジホスホン酸薬剤の種類として、異なるR”の構造に基づけば、通常、以下の3つ種類が挙げられる。1つ目は、R”はエチドロン酸塩およびクロドロン酸塩に代表される窒素を含まないジホスホン酸塩であり、1970年代に臨床的に投与されていたジホスホン酸塩である。2つ目は、R”の構造はパニドロン酸塩およびアレンドロン酸塩に代表されるアミノ基を含む構造であり、窒素を含まないジホスホン酸薬剤に比べて骨吸収阻害能が強力になっている。3つ目では、R”は、エチドロン酸の10,000倍を超える骨親和性を有するゾレドロン酸塩に代表される窒素含有複素環を含むジホスホン酸塩であり、骨吸収阻害能がより一層強力になるとともに、臨床投与が容易である。窒素(NHまたは窒素複素環)を含有しているジホスホン酸薬剤、および、窒素を含有していないジホスホン酸薬剤の両薬剤とも、破骨細胞の活性を阻害して骨粗鬆症を治療する一方で、骨芽細胞の増殖に対する作用が弱い。市販のジホスホン酸薬剤は、破骨細胞阻害効果がより強力になっている反面、骨折のリスクを増大させてしまっている。更には、これまでの報告では、ジホスホン酸薬剤が骨芽細胞増殖作用を有することは示されていない。
本発明の課題は、現在利用可能なジホスホン酸化合物における、破骨細胞活性阻害作用が強い一方で骨芽細胞増殖作用が弱いという欠陥を克服すること、および、新規のジホスホン酸化合物およびその調製方法を提供することである。本発明が提供するジホスホン酸化合物は、骨芽細胞および破骨細胞を双方向的に調節することが可能である。
本発明が提供するジホスホン酸化合物は、下記化学式IIの構造を有し、
Figure 0005792314
上記化学式IIにおいて、Rは、
Figure 0005792314
または、
Figure 0005792314
であり、
は、H、OH、または、ハロゲンであり、
は、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜10、n=0〜10、n=1〜10であり、n、n、または、nが≧1である場合、アルキル基をハロゲン、‐CN、‐NO、または、‐OHで置換してもよく、Arはアリール基または置換アリール基であり、置換基はC1〜C6のアルキル基、C1〜C6の置換アルキル基、ハロゲン、‐CN、‐NO、または、‐OHであり、
は、SeまたはSであり、
およびRは、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、‐OH、‐OR’、‐COOR’、‐OCOOR’、‐COR’、‐CON(R’)、‐OCON(R’)、‐SR、‐SOR、‐SON(R’)、‐SOR’基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10の置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニルアリール基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、RおよびR’の各々は、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、または、RおよびRは、シクロアルカンの3〜7炭素を構成し、当該シクロアルカンは、C1〜C6のアルキル基、C1〜C6の置換アルキル基、ハロゲン、‐CH、‐NO、または、‐OHで置換されていてもよく、
、R、R、および、Rは、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、‐OH、‐OR’、‐COOR’、‐OCOOR’、‐COR’、‐CON(R’)、‐OCON(R’)、‐SR、‐SOR、‐SON(R’)、‐SOR’基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、RおよびR’の各々は、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、または、置換アリール基から独立して選択される。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物において、
は、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜10、n=0〜10、n=1〜10であり、Arはアリール基または置換アリール基であり、置換基はハロゲン、‐CN、‐NO、または、‐OHであり、
は、SeまたはSであり、
およびRは、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、‐OH、および、C1〜C10のアルキル基から成る群より独立して選択され、
、R、R、および、Rの各々は、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、または、‐OHアルキル基から独立して選択される。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物において、Rは、好ましくはHまたはOHである。
はまた、好ましくは、F、Cl、または、Brであってもよい。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物において、Rは、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜4、n=0〜1、n=1〜5であり、Arはアリール基または置換アリール基であり、置換基はハロゲン、‐CN、‐NO、または、‐OHである。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物において、Rは、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜4、n=0〜1、n=1〜5であり、Arはアリール基、好ましくはフェニル基である。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物において、Rは、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、Arは置換アリール基であり、置換基は異なる部位において置換されたC1〜C6のアルキル基、任意で置換されたC1〜C6の置換アルキル基、ハロゲン、‐CN、‐NO、または、‐OHである。
上記化合物において、Rは、好ましくはSeである。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物において、R、R、R、および、Rは、好ましくは水素である。
本発明はまた、上記化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物を調製する2つの調製方法も提供する。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物を調製する1つ目の調製方法は、(1)モル比が1:1〜3:1のNaHとテトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩とを、−5℃〜40℃で1時間〜4時間反応させ、メチレン基のプロトン活性化を行う、メチレン基のプロトン活性化工程と、(2)臭素およびニトロ基の置換基を含む化合物Aと上記テトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩とのモル比が1:1〜3:1になるように、上記工程(1)で得た反応液に、上記化合物Aを添加し、60℃〜150℃で2時間〜5時間アルキル化反応を行い、反応後に、反応液に有機溶媒を添加して抽出を行い、有機相を回収して回転乾燥させて、ニトロ基を有する化合物によりメチレンが置換された化合物Iを得る、アルキル化反応工程と、(3)上記化合物Iと10%Pd/C触媒との重量比が1:10〜1:5となるように、上記工程(2)で得た上記化合物Iのアルコール溶液に、10%Pd/C触媒を添加し、水素ガスを注入して、1気圧〜20気圧下において室温で18時間〜48時間反応させた後、上記溶液を濾過し、蒸発乾燥させて、化合物IIを得る、ニトロ還元工程と、(4)Se/Sイオンのアルカリ溶液とジアゾニウム塩溶液とを、60℃〜100℃で2時間〜8時間反応させ、反応液のpH値が5未満となるように酸で調節して、沈殿物を濾過し、濾過残留物を水で洗浄し、アルカリ溶液を添加して上記沈殿物を溶解させて濾過し、pH値が5未満になるように濾液を酸性化して得られた沈殿物を回収し、80℃〜150℃で乾燥させて、ジセレニウム/ジスルフィド化合物(化合物III)を得る、ジセレニウム/ジスルフィド化合物の調製工程と、(4)上記工程(3)で得た上記化合物IIに、−20℃〜5℃でアルカリ溶液を添加し、pH値を7〜14に調節した後、上記化合物IIと、o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物とのモル比が1:1〜1:5になるように、上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物または上記o‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒を添加し、室温で3時間〜8時間反応させ、反応液を濾過した後、沈殿物を回収して有機溶媒で洗浄し、60℃〜100℃で4時間〜24時間乾燥させて、化合物Vを得る、環化工程と、(5)上記工程(4)で得た上記化合物V 1gに、5mL〜50mLのアルコール溶液および5mL〜60mLの濃塩酸を添加した後、90℃〜120℃で4時間〜10時間還流させ、溶媒を減圧蒸留により除去し、残留物をアルコールにより洗浄し、得られた固形物を50℃〜120℃で4時間〜10時間真空乾燥させて、化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物を得る加水分解工程と、を包含する。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物の調製方法において、上記工程(2)の上記有機溶媒は、二塩化メチレン、塩化メテニル、酢酸エチル、または、石油エーテルであってもよい。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物の調製方法において、上記工程(4)の上記アルカリ溶液は、NaHCO溶液である。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物の調製方法において、上記工程(4)の上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物または上記o‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒は、エチルエーテル、塩化メチレン、塩化メテニル、または、酢酸エチルである。
上記化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物の調製方法では、上記工程(4)の上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物または上記o‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物は、以下の方法により調製される:a.Se/Sイオンのアルカリ溶液とジアゾニウム塩溶液とを、60℃〜100℃で2時間〜8時間反応させ、反応液のpH値が5未満になるように酸で調節して沈殿物を濾過し、濾過残留物を水で洗浄し、塩基性NaHCO溶液を添加して上記沈殿物を溶解させて濾過し、濾液のpH値が5未満になるように調節して沈殿物を回収し、80℃〜150℃で乾燥させて、ジセレニウム/ジスルフィド化合物を得る;b.上記工程a.で得た上記ジセレニウム/ジスルフィド化合物とSOClのモル比が1:2〜1:50になるように、上記ジセレニウム/ジスルフィド化合物を上記SOCl中に添加して、60℃〜90℃で2時間〜5時間還流させ、溶媒を減圧蒸留により回収し、残留物に石油エーテルを添加して30℃〜90℃で2時間〜4時間還流させ、高温時に濾過して濾液を室温で8時間〜24時間静置し、沈殿した固形物を20℃〜50℃で12時間〜48時間乾燥させて、o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物を得る;水素化ホウ素カリウムと、NaOHおよびセレニウム粉/硫黄粉とのモル比が1:10〜5:1になるように、セレニウム粉または硫黄粉と、水素化ホウ素カリウムおよびNaOHとを、水中で3時間〜10時間反応させることによって、上記Se/Sイオンのアルカリ溶液を得る;置換基を含むアントラニル酸の塩酸溶液、置換基を含むアントラニル酸シクロヘキサンの塩酸溶液、または、置換基を含むβ‐アラニンの塩酸溶液と、NaNO溶液とを、モル比1:1〜3:1において、室温下、−20℃〜5℃で反応させることにより、ジアゾニウム塩溶液を得る。
上記Se/Sイオンのアルカリ溶液は、セレニウム粉末または硫黄粉末と、水素化ホウ素カリウムおよびNaOHとを、水中で3時間〜10時間反応させることにより得られる。上記水素化ホウ素カリウムまたは上記NaOHと、上記セレニウム粉/上記硫黄粉とのモル比は1:10〜5:1である。
上記ジアゾニウム塩溶液は、置換基を含むアントラニル酸の塩酸溶液、置換基を含むアントラニル酸シクロヘキサンの塩酸溶液、または、β‐アラニンの塩酸溶液(化合物C)と、NaNO溶液とを、−20℃〜5℃で反応させることにより得られる。NaNOと化合物Cとのモル比は1:1〜3:1である。
上記調製方法によれば、化学式中のRがHである場合の上記化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物を調製してもよい。上記調製方法は、以下の工程を包含する。
Figure 0005792314
化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物の他の調製方法は、(1)o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物とpH値が7〜14のω‐アミノ酸メチルエステル(化合物B)とのモル比が1:1〜3:1になるように、化合物Bに、上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物または上記o‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒を添加して室温で3時間〜8時間反応させ、反応液を濾過して沈殿物をエチルエーテルにより洗浄し、50℃〜100℃で4時間〜24時間乾燥させて、化合物VIIを得る、環化工程と、(2)上記工程(1)で得た上記化合物VII 1gに、2mL〜50mLのアルコールおよび5mL〜50mLの濃塩酸を添加して、90℃〜120℃で4時間〜10時間還流させ、溶媒を減圧蒸留により除去し、残留物をアルコールで再結晶化させて、化合物VIIIを得る、加水分解工程と、(3)上記工程(2)で得た上記化合物VIIIとリン酸とのモル比1:1〜1:5、上記工程(2)で得た上記化合物VIIIと三塩化リンのモル比1:2〜1:6で、上記化合物VIIIと亜リン酸および三塩化リンとを、90℃〜120℃で2時間〜6時間反応させ、上記化合物VIII 1gに対して1mL〜50mLの水が添加されるように、反応物に水を添加し、90℃〜110℃で1時間〜3時間還流させ、反応液を濾過して濾液中にアルコール溶液を添加し、−5℃〜5℃で12時間〜48時間静置した後、溶液を吸引濾過し、固形物を5℃〜15℃の冷水で洗浄して、50℃〜120℃で4時間〜10時間真空乾燥させて、化学式IIの構造を有するジスルホン酸化合物(化合物IX)を得る工程と、を包含する。
化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物の他の調製方法において、上記工程(1)の上記有機溶媒は、エチルエーテル、塩化メチレン、塩化メテニル、または、酢酸エチルであってもよい。
化学式IIの構造を有する上記ジホスホン酸化合物の他の調製方法において、上記工程(4)のo‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の調製方法は、上述の調節方法である。
上記調製方法により、化学式中のRがOHである場合の上記化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物を調製してもよい。上記調製方法は、以下の工程を包含する。
Figure 0005792314
現状の窒素含有ジホスホン酸塩は、骨粗鬆症の治療に最も広範に使用されている薬剤である。例えば、こうした薬剤としては、市販のアレンドロン酸およびゾレドロン酸などが挙げられ、これらは主にファルネシルジホスホン酸合成酵素を阻害することで、破骨細胞内のタンパク質レベルを低下させ、これにより破骨細胞の活性を阻害しつつ、骨粗鬆症を治療する。上記現状の窒素含有ジホスホン酸塩の活性およびその塩が増大する(すなわち、これら化合物の破骨細胞阻害作用が強くなる)一方で、骨芽細胞の増殖に対する作用は弱く、骨折の危険性を高めていることがある。
本発明は、新規のジホスホン酸化合物、当該ジホスホン酸化合物の調製方法、および、当該ジホスホン酸化合物の使用方法を提供する。更に、上記ジホスホン酸化合物の構造的特徴を同定する。細胞内薬力学実験では、広く使用されている市販のアレンドロン酸ナトリウムをポジティブコントロールとして使用する。上記細胞内薬力学実験の結果から、本発明が提供する上記新規のジホスホン酸化合物は、アレンドロン酸ナトリウムと同等の破骨細胞阻害活性を示し、ポジティブコントロール化合物よりも高い骨芽細胞増殖作用活性を示す一方で、上記ポジティブコントロールの骨芽細胞増殖作用は弱いことが示唆される。本発明のジホスホン酸化合物の投与スケジュールについては、実験例において説明する。
本発明の例示の実施形態において、ジホスホン酸化合物は、下記化学式IIの構造を有し、
Figure 0005792314
上記化学式IIにおいて、Rは、
Figure 0005792314
または、
Figure 0005792314
であり、
は、H、OH、または、ハロゲン、好ましくはH、OHであり、
は、H、OH、または、ハロゲンであり、
は、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜10、n=0〜10、n=1〜10であり、好ましくは、n=1〜4、n=0〜1、n=1〜5であり、n、n、または、nが≧1である場合、上記アルキル基をハロゲン、−CN、−NO、または、−OHで置換してもよく、Arはアリール基または置換アリール基であり、上記置換基はC1〜C6のアルキル基、C1〜C6の置換アルキル基、ハロゲン、−CN、−NO、または、−OHであり、Arは、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基であり、
は、SeまたはSであり、好ましくはSeであり、
、R、R、および、Rは、水素、ハロゲン、−CN、−NO、および、−OHアルキル基から成る群より独立して選択される。
およびRは、水素、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OR’、−COOR’、−OCOOR’、−COR’、−CON(R’)、−OCON(R’)、−SR、−SOR、−SON(R’)、−SOR’基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10の置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニルアリール基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、RおよびR’は、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、RおよびRはまた、シクロアルカンの3〜7炭素を構成し、当該シクロアルカンをC1〜C6のアルキル基、C1〜C6の置換アルキル基、ハロゲン、−CN、−NO、または、−OHで置換してもよく、RおよびRは、好ましくは、水素、ハロゲン、−CN,−NO、−OHであり、
、R、R、および、Rは、水素、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−OR’、−COOR’、−OCOOR’、−COR’、−CON(R’)、−OCON(R’)、−SR、−SOR、−SON(R’)、−SOR’基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、RおよびR’は、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、R、R、R、および、Rは、好ましくはハロゲンである。
すなわち、本発明の例示の実施形態において、いくつかのジホスホン酸化合物は、化学式IIIの構造を有し、他のジホスホン酸化合物は、化学式IVの構造を有する。
Figure 0005792314
Figure 0005792314
例示した上記ジホスホン酸化合物中のRがHである場合、このジホスホン酸化合物を、以下の方法により調製してもよい。
(1)メチレンのプロトン活性化
モル比率が1:1〜3:1のNaHとテトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩との、メチレンのプロトン活性化を、−5℃〜40℃で1時間〜4時間行う。
(2)アルキル化反応
臭素およびニトロ基で置換した化合物Aとテトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩とのモル比が1:1〜3:1となるように、上記工程(1)で得られた反応液に上記化合物Aを添加し、60℃〜150℃で2時間〜5時間アルキル化反応を行う。上記アルキル化反応後、有機触媒を反応液に添加して抽出し、有機相を回収して回転乾燥させ、ニトロ基を含む化合物によってメチレンが置換された化合物Iを得る。
(3)ニトロの還元
上記化合物Iと10%Pd/C触媒との重量比が1:0.5〜1:5になるように、上記工程(2)で得た化合物Iのアルコール溶液に、10%Pd/C触媒を添加し、水素ガスを注入して、1〜20気圧下、室温で18時間〜48時間反応させる。その後、反応物を濾過し、蒸発乾燥させて、化合物IIを得る。
(4)ジセレニウム/ジスルフィド化合物の調製
Se/Sイオンのアルカリ溶液とジアゾニウム塩溶液とを、60℃で2〜8時間反応させ、反応液を酸で処理してpH値を5未満に調整する。沈殿物を濾過し、濾過残留物を水で洗浄する。アルカリ溶液を添加して上記沈殿物を溶解させた後、得られた溶液を濾過し、濾液を酸性化してpH値を5未満にする。得られた沈殿物を回収し、80℃〜150℃で乾燥させて、ジセレニウム/ジスルフィド化合物(化合物III)を得る。
(4)環化
上述の工程(3)で得た化合物IIに、−20℃〜5℃でアルカリ溶液を添加し、pH値を7〜14に調整する。その後、上記化合物IIとo‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物とのモル比が1:1〜1:5となるように、o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒を添加し、室温で3〜8時間反応させる。反応液を濾過し、沈殿物を回収して有機溶媒で洗浄し、60〜100℃で4〜24時間乾燥させて化合物Vを得る。
(5)加水分解
上述の工程(4)で得た化合物V 1gに、5mL〜50mLのアルコール溶液と5mL〜60mLの濃塩酸とを添加し、90℃〜120℃で4時間〜10時間還流させ、溶液を減圧蒸留法により除去し、残留物をアルコールで洗浄する。得られた固形物を50℃〜120℃で4時間〜10時間真空乾燥させ、化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物を得る。
上記工程(2)の有機溶媒は、二塩化メチレン、塩化メテニル、酢酸エチル、または、石油エーテルであってもよい。
上記工程(4)の上記アルカリ溶液は、NaHCO溶液であり、上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒は、エチルエーテル、二塩化メチレン、塩化メテニル、酢酸エチルである。
上記工程(4)の上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物は、以下の方法により調製される。
a.上記Se/Sイオンのアルカリ溶液とジアゾニウム塩溶液とを、60℃〜100℃で2時間〜8時間反応させ、反応液を酸で処理してpH値が5未満になるように調整する。沈殿物を濾過し、濾過残留物を水で洗浄する。これに塩基性NaHCO溶液を添加して上記沈殿物を溶解させた後、この溶液を濾過し、濾液を酸性化させてpH値を5未満にする。沈殿物を回収し、80℃〜150℃で乾燥させて、ジセレニウム/ジスルフィド化合物を得る。
b.上記工程(a)で得た上記ジセレニウム/ジスルフィド化合物とSOClとのモル比が1:2〜1:50になるように、当該ジセレニウム/ジスルフィド化合物をSOCl中に添加し、60℃〜90℃で2時間〜5時間還流させ、溶液を減圧蒸留法で除去する。残留物に石油エーテルを添加し、30℃〜90℃で2時間〜4時間還流させ、高温時に濾過する。濾液を室温で8時間〜24時間静置し、固体沈殿物を0℃〜50℃で12時間〜48時間乾燥させて、o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物を得る。
上記Se/Sイオンのアルカリ溶液は、水素化ホウ素カリウムおよび上記NaOHと上記セレニウム粉末/硫黄粉末とのモル比1:10〜5:1において、セレニウム粉末または硫黄粉末と、水素化ホウ素カリウムおよびNaOHとを、水中で3時間〜10時間反応させて得られる。
上記ジアゾニウム塩溶液は、モル比が1:1〜3:1の、NaNO溶液と、置換基を有するアントラニル酸の塩酸溶液、置換基を有するアントラニル酸シクロヘキサンの塩酸溶液、または、置換基を有するβ‐アラニンの塩酸溶液とを、室温下、−20℃〜5℃で反応させることで得られる。
上記Se/Sイオンのアルカリ溶液は、セレニウム粉末または硫黄粉末と水素化ホウ素カリウムおよびNaOHとを、水中で3時間〜10時間反応させることにより得られ、上記水素化ホウ素カリウムおよび上記NaOHと、上記セレニウム粉末/上記硫黄粉末とのモル比は1:10〜5:1である。
上記ジアゾニウム塩溶液は、置換基を含むアントラニル酸の塩酸溶液、置換基を含むアントラニル酸シクロヘキサンの塩酸溶液、または、置換基を含むβ‐アラニンの塩酸溶液(化合物C)を、NaNO溶液と−20℃〜5℃で反応させることで得られ、上記NaNO溶液と上記化合物Cとのモル比は1:1〜3:1である。
例として、上記ジホスホン酸化合物中のRがOHの場合、このジホスホン酸化合物を以下の方法で調製してもよい。
(1)環化
o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒を、pH値が7〜14のω‐アミノ酸メチルエステル(化合物B)中に添加し、室温で3時間〜8時間反応させる。上記o‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物と上記化合物Bとのモル比は、1〜3:1とする。反応液を濾過し、沈殿物をエチルエーテルで洗浄し、50℃〜100℃で4時間〜24時間乾燥させて、化合物VIIを得る。
(2)加水分解
上記工程(1)で得た化合物VII 1gに、2mL〜50mLのアルコールと5mL〜50mLの濃塩酸とを添加し、90℃〜120℃で4時間〜10時間還流させ、溶液を減圧蒸留法により除去し、残留物を、アルコールを用いて再結晶化させ、化合物VIIIを得る。
(3)リン酸化
上記工程(2)で得た上記化合物VIII 1gと、亜リン酸および三塩化リンとを90℃〜120℃で2時間〜6時間反応させ、この反応物中に1mL〜50mLの水を添加し、90℃〜110℃で1時間〜3時間還流させる。上記化合物VIIIと上記亜リン酸とのモル比は、1:1〜1:5、上記化合物VIIIと上記三塩化リンとのモル比は、1:2〜1:6である。反応液を濾過し、アルコール溶液を濾液中に添加し、これを−5℃〜50℃で12時間〜48時間静置し、吸引濾過する。固形物を5℃〜15℃の冷水で洗浄し、50℃〜120℃で4時間〜10時間真空乾燥させて、化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物(化合物IX)を得る。
上記工程(1)の上記有機溶媒は、エチルエーテル、二塩化メチレン、塩化メテニル、または、酢酸エチルであってもよい。
上記工程(4)のo‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の調製方法は、先に説明した調製方法である。
本発明を特定の実施形態と関連させて更に説明する。しかし、本発明の範囲がこれら特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。本発明の内容に基づいて達成される技術についても、本発明の範囲に含まれるものである。
(実施例1:SC‐1)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物の調製方法は以下の工程を包含している。
12gのKBHを含む50mLの水溶液を、64gのセレニウム粉末を含む400mLの水溶液中に室温で滴下して、徐々に添加した。その後、64gのセレニウム粉末を添加し、室温で2時間撹拌した。その後、75mLの9mol/L NaOH溶液を添加し、3時間撹拌して、Seイオンのアルカリ溶液を得た。
240gのo‐アミノ安息香酸を500mLの水および400mLの濃HCl中に添加し、完全に溶解させて、0℃〜5℃の冷水漕内に静置した。12gのNaNOを50mLの水中に添加し、これを撹拌して溶解させた後、滴下してo‐アミノ安息香酸に添加し、温度を0℃〜5℃に制御した。
ヨウ化カリウム澱粉試験紙を使用して反応終了を決定(ヨウ化カリウム澱粉試験紙に反応液を1滴滴下して、上記ヨウ化カリウム澱粉試験紙が青色に変われば、完全に反応したことが示唆される)し、ジアゾニウム塩溶液を得た。
上で調整した上記Seイオンのアルカリ溶液に上記ジアゾニウム塩溶液を滴下して、添加した。滴下後、温度を60℃まで上昇させ、5時間反応させた。反応液のpH値が3未満になるように濃塩酸で調整し、黄色の沈殿物を得て、これを濾過し、水で洗浄した。その後、NaHCO溶液を添加して溶解させ、これを沸騰させ、濾過した。濾液を希塩酸で酸性化してpH値が3未満になるように調整し、黄色の沈殿物を得た。これを濾過し、似白色または薄黄色の濾過ケークを得た。これを100℃で乾燥させて、安息香酸2,2’‐ジセレニドを得た。
150gの安息香酸2,2’‐ジセレニドを650mLのSOCl溶液に添加し、これを80℃で3時間還流させた。この溶媒を減圧蒸留法により除去し、残留物を400mLの石油エーテルに添加し、これを加熱し、30分間還流させた。反応液を高温時に濾過し、濾液を室温で静置して結晶化させ、黄色の固形物を得て、これを濾過した。濾過ケークを室温で換気良く乾燥させて、2‐o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物を得た。
25.2gの水素化ナトリウムを含む600mLのDMFに対して、206gのテトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩を滴下して添加し、これを撹拌して、80℃に加熱し、4時間反応させた。反応後、反応液に250mLの酢酸エチルを添加して有機相を抽出し、上記有機相を回収し、回転乾燥させて、テトライソプロピル4‐ニトロベンジルメチレンジホスホン酸塩を得た。
50gのテトライソプロピル4‐ニトロベンジルメチレンジホスホン酸塩を500mLのメタノール中に溶解させ、これに30gの10%Pd‐Cを添加し、水素を注入して24時間還元反応させた。濾液を回収し、回転乾燥させて、テトライソプロピル4‐アミノベンジルメチレンジホスホン酸塩を得た。
50gのテトライソプロピル4‐アミノベンジルメチレンジホスホン酸塩と、40gの重炭酸ナトリウムと、400mLの水との混合液体に30gの2‐o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物を滴下して添加し、これを撹拌した。反応液を氷漕内で冷却し、冷水漕内で2時間反応させ、室温で4時間反応させた。反応液を濾過し、濾過ケークをエチルエーテルで洗浄し、60℃で8時間乾燥させて、4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐テトライソプロピルベンジル‐メチレンジホスホン酸塩を得た。
40gの4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐テトライソプロピルベンジル‐メチレンジホスホン酸塩に、800mLのメタノールおよび1600mLの濃塩酸を添加し、110℃で6時間還流させた。反応後、反応液を濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残留物をメタノールで洗浄し、105℃の真空乾燥炉内で10時間乾燥させて、白色固形物を得た。
白色固形物の同定
600MHz(Advance Bruker)1H‐NMR(DMSO、δ)2.25〜2.39(t、1H);3.05〜3.17(d、2H);7.335(d、2H);7.452〜7.471(t、1H);7.514〜7.535(d、2H);7.651〜7.692(t、1H);7.883〜7.903(d、1H);8.085〜8.105(d、1H);10.330〜10.512(s、4H)
Finnigan MAT4510ESI‐MS(Thermo Electron社):462
元素分析:2005年度版中国薬局方のセレニウム含有量分析方法で分析したところ、Seは16.9%であり、2005年度版中国薬局方のリン含有量分析方法で分析したところ、Pは13.5%であった。
上述の同定から、上記白色固形物が、4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸であると判断できる。
(実施例2:SC‐2)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレン‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記化合物の調製方法は以下の工程を包含する。
50gのメチルp‐アミノベンゼンアセテートと、15gの重炭酸ナトリウムと、600mLの水との混合液体に対して、80gの2‐o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物のエチルエーテル溶液を滴下して添加し、これを撹拌した。反応液を氷漕内で冷却させ、冷水漕内で2時間反応させ、室温で4時間反応させた。反応液を濾過し、濾過ケークをエチルエーテルで洗浄し、60℃で8時間乾燥させて、p‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))フェニルメチルアセテートを得た。
9gの亜リン酸を100℃まで加熱して溶解させ、これに50gのp‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))フェニルメチルアセテートを添加し、撹拌を行って溶解させた。これに26gの三塩化リンを滴下して添加し、4時間撹拌させ続けた。生成物が硬くなると、400mLの水を添加し、105℃で2時間還流させた。反応液を濾過し、濾液にメタノールを添加し、5℃で24時間静置した。これを吸引濾過し、固形物を冷水で洗浄し、100℃で6時間真空乾燥させて、白色固形物を得た。
白色固形物の同定
1H‐NMR(DMSO、δ)3.12〜3.25(s、2H);7.336〜7.340(d、2H);7.450〜7.469(t、1H);7.517〜7.537(d、2H);7.650〜7.693(t、1H);7.884〜7.902(d、1H);8.08〜8.100(d、1H);9.456(s、1H);10.347〜10.523(s、4H)
ESI‐MS:478
元素分析:Se16.5%、P13.0%
上述の同定から、上記白色固形物が4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸であると判断できる。
(実施例3:SC‐3)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する2‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐エチル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記化合物の調製方法は、以下の工程を包含する。
25gの水素化ナトリウムを含有する600mLのDMFに対して、200gのテトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩を滴下して添加し、これを撹拌し、室温で2時間反応させた。反応バルブに86gの2‐アミノ臭化エチルを添加した。添加後、温度を80℃まで上昇させ、4時間反応させた。反応後、反応液に250mLの酢酸エチルを添加して抽出を行い、有機相を回収し、回転乾燥させて、テトライソプロピル2‐ニトロエチルメチレンジホスホン酸塩を得た。
50gのテトライソプロピル2‐ニトロエチルメチレンジホスホン酸塩を、500mLのメタノール中に溶解させ、これに20gの10%Pd‐Cを添加し、水素を注入して、24時間還元反応させた。濾液を回収し、回転乾燥させて、テトライソプロピル2‐アミノエチルメチレンジホスホン酸塩を得た。
50gのテトライソプロピル2‐アミノエチルジホスホン酸塩と、30gの重炭酸ナトリウムと、350mLの水との混合液体に対して、30gの2‐ベンゾイル塩化物を含有するエチルエーテル溶液を滴下して添加し、これを撹拌した。反応液を氷漕内で冷却し、冷水漕内で2時間反応させ、室温で4時間反応させた。反応液を濾過し、濾過ケークをエチルエーテルで洗浄し、60℃で8時間乾燥させて、2‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐テトライソプロピル‐エチル‐メチレンジホスホン酸塩を得た。
40gの2‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐テトライソプロピル‐エチル‐メチレンジホスホン酸塩を400mLのメタノールおよび800mLの濃塩酸に添加し、110℃で6時間還流させた。反応後、反応液を冷却し、濾過した。濾液を蒸発乾燥させて、残留物をメタノールで洗浄し、105℃の真空乾燥炉内で10時間乾燥させて、白色固形物を得た。
白色固形物の同定
1H‐NMR(DMSO、δ)1.36〜1.52(t、1H);1.54〜1.69(m、2H);3.71〜3.84(t、2H);7.450〜7.474(t、1H);7.652〜7.693(t、1H);7.882〜7.896(d、1H);8.085〜8.111(d、1H);10.325〜10.552(s、4H)
ESI‐MS:412
元素分析:Se19.2%、P14.9%
上記白色固形物が、2‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐エチル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例4:SC‐4)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する2‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐エチル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記化合物の調製方法は、以下の工程を包含する。
31gの3‐アラニンメチルエステルと、8gの重炭酸ナトリウムと、350mLの水との混合液に対して、80gの2‐o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物のエチルエーテル溶液を滴下して添加し、これを撹拌した。反応液を氷漕内で冷却し、冷水漕内で1時間反応させ、室温で3時間反応させた。反応液を濾過し、濾過ケークをエチルエーテルで洗浄し、60℃で8時間乾燥させて、3‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐プロピオン酸メチルを得た。
8gの亜リン酸を100℃まで加熱し、溶解させ、これに50gの3‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐プロピオン酸メチルを添加し、撹拌して溶解させた。これに30gの三塩化リンを滴下して添加し、4時間撹拌し続けた。生成物が硬くなると、400mLの水を添加し、105℃で2時間還流させた。反応液を濾過し、濾液にメタノールを添加し、これを5℃で24時間静置した。これを吸引乾燥させ、固形物を冷水で洗浄し、100℃で6時間真空乾燥させて、白色固形物を得た。
白色固形物の同定
1H‐NMR(DMSO、δ)1.77〜1.94(m、2H);3.69〜3.80(t、2H);7.444〜7.464(t、1H);7.642〜7.687(t、1H);7.889〜7.903(d、1H);8.081〜8.109(d、1H);9.210(s、1H);10.320〜10.502(s、4H)
ESI‐MS:428
元素分析:Se18.4%、P14.5%
上記白色固形物が2‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例5:SC‐5)
本実施例のジホスホン酸塩は、下記化学式の構造を有する4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記化合物の調製方法は、以下の工程を包含する。
64gのセレニウム粉末を含有する400mLの水溶液に対して、12gのKBHを含有する50mLの水溶液を室温で滴下して添加した。その後、64gのセレニウム粉末を添加し、室温で3時間撹拌した後、80mLの9mol/L NaOH溶液を添加し、3時間撹拌し続けて、Seイオンのアルカリ溶液を得た。
205gの2‐メチルβ‐ブチリンを500mLの水および400mLの濃HClに添加して完全に溶解させ、これを0℃〜5℃の冷水漕内に置いた。12gのNaNOを50mLの水に添加し、撹拌を行って溶解させた。その後、これを2‐メチルβ‐ブチリン溶液に滴下して添加した。滴下速度を制御して温度を0℃〜5℃に保持した。ヨウ化カリウム澱粉試験紙を使用して反応終了を判断し、ジアゾニウム塩溶液を得た。
ジアゾニウム塩溶液を上述のSeイオン溶液に滴下して添加した。滴下後、反応液の温度を60℃まで上昇させ、5時間反応させた。上記反応液のpH値を、濃塩酸を使用して3未満に調整し、白色固形物を得た。これを濾過し、水で洗浄した。その後、NaCOを添加し、溶解させたものを沸騰させ、これを濾過した。濾液を希塩酸で酸性化し、pH値を1未満に調整し、白色固形物を得た。これを濾過し、白色濾過ケークを得て、これを100℃で乾燥させ、3,3’‐セレニウム‐2‐メチル‐ブタン酸を得た。
150gの3,3’‐セレニウム‐2‐メチル‐ブタン酸を400mLのSOCl溶液に添加し、これを80℃で2時間還流させた。減圧蒸留により溶液を除去し、残留物を300mLの石油エーテルに添加し、加熱し、これを30分間還流させた。反応液を高温時に濾過し、濾液を室温で静置して低温で結晶化させた。沈殿固形物を濾過し、濾過ケークを換気良く室温で乾燥させて、3‐セレニウム‐2‐メチル酪酸クロリドを得た。
50gのテトライソプロピル4‐アミノベンジルメチレンジホスホン酸塩と、40gの重炭酸ナトリウムと、400mLの水との混合液に対して、25gの3‐セレニウム‐2‐メチル酪酸塩化物を含有するエチルエーテル溶液を滴下して添加し、これを撹拌した。反応液を氷漕内で冷却し、冷水漕内で2時間反応させ、室温で4時間反応させた。反応液を濾過し、濾過ケークをエチルエーテルで洗浄し、60℃で8時間乾燥させて、4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐テトライソプロピルベンジル‐メチレンジホスホン酸塩を得た。
40gの4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐テトライソプロピルベンジル‐メチレンジホスホン酸塩を、500mLのメタノールおよび1,000mLの濃塩酸に添加し、これを110℃で6時間還流させた。反応後、反応液を冷却させ、濾過し、濾液を蒸発乾燥させた。残留物をメタノールで洗浄し、105℃の真空乾燥炉内で10時間乾燥させて、薄黄色の固形物を得た。
薄黄色の固形物の同定:
1H‐NMR(DMSO、δ)1.40〜1.58(d、3H);1.67〜1.89(d、3H);2.20〜2.34(m、1H);2.36〜2.48(m、1H);2.87〜2.97(t、1H);3.05〜3.17(d、2H);7.334〜7.356(d、2H);7.510〜7.534(d、2H);10.310〜10.576(s、4H)
ESI‐MS:440
元素分析:Se7.9%、P14.1%
上記薄黄色の固形物が4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例6:SC‐6)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐ベンジル‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記化合物の調製方法は、以下の工程を包含する。
50gのメチル‐(4‐アミノフェニル)酢酸と、15gの重炭酸ナトリウムと、600mLの水との混合液に対して、70gの3‐セレニウム‐2‐メチル酪酸塩化物を含有するエチルエーテル溶液を滴下して添加し、これを撹拌した。反応液を氷漕内で冷却し、冷水漕内で2時間反応させ、室温で4時間反応させた。反応液を濾過し、濾過ケークをエチルエーテルで洗浄し、60℃で8時間乾燥させて、4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐フェニルメチルアセテートを得た。
8.5gの亜リン酸を90℃〜120℃まで加熱し、溶解させた。これに50gの4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐フェニルメチルアセテートを添加し、撹拌して溶解させた。これに28gの三塩化リンを滴下して添加し、4時間撹拌し続けた。生成物が硬くなると、水を添加し、105℃で2時間還流させた。反応液を濾過し、濾液にメタノールを添加し、5℃で17時間静置し、吸引濾過した。固形物を冷水で洗浄し、100℃で6時間真空乾燥させて、白色の固形物を得た。
上記白色の固形物の同定:
1H‐NMR(DMSO、δ)1.38〜1.49(d、3H);1.65〜1.79(d、3H);2.23〜2.34(m、1H);2.83〜2.95(m、2H);3.03〜3.18(s、2H);7.336〜7.356(d、2H);7.509〜7.531(d、2H);9.450(s、1H);10.309〜10.594(s、4H)
ESI‐MS:456
元素分析:Se17.2%、P13.7%
上記薄黄色の固形物が4‐(4,5‐ジメチル‐1,2‐セレニウムアゾリジン‐3‐ケトン)‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル-メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例7:SC‐7)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルシクロヘキサノ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレン‐ジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例5と同一の合成処理法により調製されるが、2‐メチル‐βブチリンの替わりに2‐アミノシクロヘキサノカルボン酸により白色固形物を得る点でのみ相違する。
上記白色固形物の同定:
1H‐NMR(DMSO、δ)1.39〜1.49(m、4H);1.50〜1.59(m、2H);1.65〜1.90(m、2H);2.01〜2.19(m、1H);2.25〜2.39(t、1H);2.71〜2.93(m、1H);3.05〜3.17(d、2H);7.307〜7.331(d、2H);7.519〜7.546(d、2H);10.219〜10.491(s、4H)
ESI‐MS:466
元素分析:Se17.1%、P13.2%
上記白色固形物が4‐(3‐カルボニルシクロヘキサノ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸であると判定した。
(実施例8:SC‐8)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルシクロヘキサノ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例6と同一の合成処理法により調製されるが、2‐メチル‐βブチリンの替わりに2‐アミノシクロヘキサノカルボン酸塩により白色固形物を得る点でのみ相違する。
上記白色固形物の同定:
1H‐NMR(DMSO、δ)1.29〜1.38(m、4H);1.42〜1.58(m、2H);1.61〜1.87(m、2H);2.02〜2.21(m、1H);2.68〜2.93(m、1H);3.20〜3.42(s、2H);7.311〜7.33(d、2H);7.511〜7.536(d、2H);9.347(s、1H);10.301〜10.485(s、4H)
ESI‐MS:482
元素分析:Se16.3%、P12.9%
上記白色固形物が4‐(3‐カルボニルシクロヘキサノ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例9:SC‐9)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニル‐5‐クロロベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例1と同一の合成処理法により調製されるが、アントラニル酸の替わりに2‐アミノ‐5‐クロリン‐安息香酸により似白色固形物4‐(3‐カルボニル‐5‐クロロベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンゾイル‐メチレンジホスホン酸を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)2.20〜2.47(t、1H);3.03〜3.21(d、2H);7.331〜7.356(d、2H);7.447〜7.476(d、1H);7.510〜7.536(d、2H);7.880〜7.911(d、1H);8.193〜8.203(s、1H);10.331〜10.489(s、4H)
ESI‐MS:496
元素分析:Se15.8%、P12.6%
上記白色固形物が4‐(3‐カルボニル‐5‐シクロヘキサノ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例10:SC‐10)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニル‐5‐クロロベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐1‐ヒドロキシ‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例2と同一の合成処理法により調製されるが、アントラニル酸の替わりに2‐アミノ‐5‐クロリン‐安息香酸により似白色固形物を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)3.21〜3.39(s、2H);7.330〜7.351(d、2H);7.447〜7.473(d、1H);7.511〜7.536(d、2H);7.877〜7.903(d、1H);8.190〜8.213(s、1H);9.447(s、1H);10.278〜10.504(s、4H)
ESI‐MS:512
元素分析:Se15.6%、P12.0%
上記白色固形物が4‐(3‐カルボニル‐5‐シクロヘキサノ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例11:SC‐11)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(2‐メチルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐3(2H)‐ケトン)‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例1と同一の合成処理法により調製されるが、4‐ニトロベンジル臭化物の替わりに4‐ニトロメチルベンジル臭化物により白色固形物を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)2.20〜2.41(t、1H);3.05〜3.19(d、2H);5.171〜5.192(s、2H);7.316〜7.334(d、2H);7.450〜7.470(t、1H);7.512〜7.530(d、2H);7.650〜7.694(t、1H);7.879〜7.896(d、1H);8.089〜8.112(d、1H);10.321〜10.507(s、4H)
ESI‐MS:476
元素分析:Se16.7%、P13.1%
上記白色固形物が4‐(2‐メチルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐3(2H)‐ケトン)‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例12:SC‐12)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(2‐メチルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐3(2H)‐ケトン)‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例2と同一の合成処理法により調製されるが、メチル‐(4‐アミノフェニル)アセテートの替わりにメチル‐a‐メチル‐p‐フェニルアミノアセテートにより白色固形物を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)3.12〜3.27(s、2H);5.170〜5.191(s、2H);7.319〜7.331(d、2H);7.450〜7.471(t、1H);7.510〜7.530(d、2H);7.643〜7.690(t、1H);7.880〜7.901(d、1H);8.083〜8.115(d、1H);9.468(s、1H);10.320〜10.511(s、4H)
ESI‐MS:492
元素分析:Se15.9%、P12.5%
上記白色固形物が4‐(2‐メチルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐3(2H)‐ケトン)‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例13:SC‐13)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐フェニルエチル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例1と同一の合成処理法により調製されるが、4‐ニトロベンジル臭化物の替わりに4‐ニトロ‐(2‐ブロモメチル)‐ベンゼンにより薄黄色の固形物を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)1.35〜1.49(t、1H);1.65〜1.79(m、2H);3.00〜3.12(t、2H);7.336〜7.41(d、2H);7.453〜7.475(t、1H);7.510〜7.534(d、2H);7.651〜7.693(t、1H);7.882〜7.900(d、1H);8.088〜8.115(d、1H);10.329〜10.515(s,4H)
ESI‐MS:476
元素分析:Se16.6%、P13.2%
上記白色固形物が4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐フェニルエチル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例14:SC‐14)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐フェニルエチル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例2と同一の合成処理法により調製されるが、メチル‐4‐アミノフェニルアセテートの替わりにメチル4‐ニトロ‐フェニルプロピオン酸により白色固形物を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)1.52〜1.83(t、2H);3.01〜3.10(t、2H);7.334〜7.42(d、2H);7.455〜7.477(t、1H);7.510〜7.532(d、2H);7.652〜7.693(t、1H);7.882〜7.901(d、1H);8.083〜8.112(d、1H);9.378(s、1H);10.329〜10.512(s、4H)
ESI‐MS:492
元素分析:Se16.2%、P12.5%
上記白色固形物が4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐フェニルエチル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸であると判断した。
(実施例15:SC‐15)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]スルフォナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例1と同一の合成処理法により調製されるが、セレニウム粉の替わりに硫黄粉により黄色固形物を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)2.11〜2.27(t、1H);2.98〜3.12(d、2H);7.121〜7.325(d、2H);7.352〜7.371(t、1H);7.402〜7.464(d、2H);7.501〜7.592(t、1H);7.610〜7.741(d、1H);7.918〜8.002(d、1H);10.198〜10.693(s、4H)
ESI‐MS:415
元素分析:Se15.1%、P14.9%
上記黄色固形物が4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]スルフォナゾール‐2(3H))‐フェニルエチル‐メチレンジホスホン酸であると決定した。
(実施例16:SC‐16)
本実施例のジホスホン酸化合物は、下記化学式で示される構造を有する4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]スルフォナゾール‐2(3H))‐ベンジル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸である。
Figure 0005792314
上記ジホスホン酸化合物は、実施例2と同一の合成処理法により調製されるが、硫黄粉末で黄色固形物を得る点でのみ相違する。
1H‐NMR(DMSO、δ)3.07〜3.21(s、2H);7.310〜7.332(d、2H);7.350〜7.369(t、1H);7.517〜7.537(d、2H);7.562〜7.593(t、1H);7.614〜7.642(d、1H);7.801〜7.872(d、1H);9.313(s、1H);10.409(s、4H)
ESI‐MS:431
元素分析:Se14.6%、P14.3%
上記黄色固形物が4‐(3‐カルボニルベンゾ[d][1,2]セレナゾール‐2(3H))‐フェニルエチル‐1‐ヒドロキシル‐メチレンジホスホン酸であると決定した。
(ジホスホン酸化合物の機能試験)
試験薬剤:SC‐1〜16;自製、各実施例を参照
ポジティブコントロール:アレンドロン酸ナトリウム(ALEN)、National Institutes for Food and Drug Control(バッチ番号:100901〜200601)
ブランク:試験薬剤またはALENを除く溶媒
(1)骨芽細胞に対する作用
<骨芽細胞の細胞培養>
リカバリーから24時間後のMG63骨芽細胞(Key Laboratory of Ministry of Education for Biological Therapy of Human Diseases, SCU)を壁に接着させて培養した。endochylemaが拡大し始めた。10%ウシ胎仔血清を含有する未使用のF‐12培地を添加し、48時間毎に新しい培地に取り換えた。細胞密集率が70%〜80%に達したとき、トリプシンを使用して消化し、接着細胞を遊離させ、円形状にした。消化液を抽出し、これに10%ウシ胎仔血清を含有する未使用のF‐12培地を添加して消化を終了させた。細胞を培養瓶からピペットで取り出し、所望の細胞密度となるように調節し、他の培養瓶または培養皿へ移した。
1)骨芽細胞の増殖および分化に対する作用
MTT法を使用して、骨芽細胞MG63の増殖活性に対する薬剤の作用を評価した。96ウェルプレートの各ウェルに未使用のMTT(5mg/mL)を100μL添加し、37℃で4時間培養し、それぞれの期間振動させた。その後、上澄みを除去し、DMSO(DMSO、Sigma社)を各ウェルに200μLずつ添加し、ミクロ発振器で10分間振動させた。当量の液体を新しいプレートに移し、490nmでの吸光度を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005792314
Figure 0005792314
表1では、同時刻の対応コントロール集団(ブランクおよびポジティブコントロールを含むコントロール集団)と比較した場合、24時間および48時間の何れの時刻においても吸光度に統計的な差異が確認されない(p>0.05)ことを示す。これは、48時間以内であれば、上述の細胞密度のMG63細胞は上記試験薬剤およびALENの影響を受けずに増殖することを示唆している。上記化合物の培養から72時間後のSC‐1集団、SC‐2集団、SC‐4集団、および、SC‐8集団の各々の細胞密度が10−9mol/Lの場合には、上記対応コントロール集団と比較して、吸光度に統計的な差異が確認された(p<0.05)。これは、上述の低密度のSC化合物を上記MG63細胞と共培養した場合、上記MG細胞の増殖の促進が可能になったことを示唆する。培養から72時間後において、10−5mol/Lおよび10−7mol/Lの細胞密度の高いALEN集団については、(上記対応コントロール集団との比較において)細胞増殖活性が異なる程度で阻害されたが(p<0.01)、他のSC集団については、上記対応コントロール集団と比較して、吸光度が増加する傾向が確認された。このことは、特定の濃度のSC化合物が上記MG63細胞の増殖を上方に調節することを示唆する。また、SCの濃度および有効期間が10−5mol/Lおよび72時間にそれぞれ達する場合のみ、上記MG63細胞の増殖に明らかな影響が確認された(p<0.01)。このことは、高濃度(10−5mol/L、10−7mol/L)のSCは、長時間(72時間)の作用後にのみ、上記MG63細胞の増殖を阻害することを示唆している。上記試験化合物の各集団とポジティブコントロール(Alen)とを比較した場合、上記MG63細胞増殖の阻害について統計的な差異は確認されなかった。このことは、各試験薬剤の阻害活性はAlenの阻害活性と同等の阻害活性であることを示唆している。
2)カルシウム堆積分析(アリザリンレッド法)
アリザリンレッドS(ARS)定量分析を行った。6ウェルプレートの各ウェルに10−5mol/L、10−7mol/L、10−9mol/LのSCまたはAlenを5日間添加し(実験終了の48時間前に各ウェルに1,25‐(OH)VitDを添加し、最終的なビタミン濃度を10−8mol/Lとする)、培地を抽出した後、細胞をPBS(pH値7.2)で軽く3回洗浄し、95%アルコール中で15分間定着させ、これを室温で30分間〜45分間、1%アリザリンレッドSで染色し、Image Pro Plus 6.0ソフトウェア(Media Cybernetics社)を使用してカルシウム小塊(橙赤色、直径>200μm)のサイズを測定した。次に、各ウェルに1mLの抽出物(抽出調製物:200mLの無水エチルアルコールを添加した800mLの10%酢酸)を添加し、30分間〜45分間抽出し、暗室に保管し、僅かに振動させ、450nmの波長での吸光度を測定し記録した。化学式によれば、y=0.0088x+0.0549(y、吸光度、x、アリザリンレッドS濃度、μg/mL;r=0.997)となり、各ウェルのアリザリンレッドS濃度を算出した。アリザリンレッドSとカルシウムとは線形相関を示すため、上記カルシウム堆積物を上記アリザリンレッドS濃度に従って評価した。この結果を表2に示す。
Figure 0005792314
Figure 0005792314
表2の結果から、低濃度の各SC化合物集団により、上記骨芽細胞のカルシウム堆積物が明らかに増加したことが示唆される。特にSC‐1集団、SC‐2集団、SC‐4集団、SC‐6集団、SC‐9集団、SC‐10集団、SC‐11集団、SC‐12集団、SC‐13集団、SC‐14集団、SC‐15集団において顕著である一方、高濃度(10−5mol/L)の各SC化合物集団により骨芽細胞のカルシウム堆積が阻害された。低濃度のAlen集団が骨芽細胞のカルシウム堆積の向上を可能にすることは見出されなかった。
(2)破骨細胞機能に対する作用
改変Chambers法を使用して破骨細胞を培養し、日本白色ウサギの新生個体(生後1週間、Experimental Animal Center of West China Medical Center of Sichuan University提供)の頸部を脱臼させ、75%エタノールに5分間浸漬した。滅菌状態で長骨を取り出し、D−Hanks平衡塩類溶液中で骨上の軟組織、骨膜、並びに、骨端を除去し、上記長骨をα‐MEMで2回洗浄した。その後、上記長骨をα‐MEM完全培地(15%ウシ胎仔血清、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、25mのMHEPESを含有し、pH値が7.0〜7.2)中で長手方向に切断する。上記長骨の髄腔を汚れが無くなるまで軽く擦り、ピペット(5mLシリンジ、25Gシリンジ針)を使用して、上記髄腔を培地により繰り返し洗い流す。その後、洗浄液を回収し、細胞濾過器で骨片を濾過し、1000rpmで5分間遠心分離させ、沈殿物を10mLのα‐MEMに懸濁した血球計数器を使用して細胞数を数え、懸濁液中の細胞数を1×10/mLとなるように調節した。上記細胞を6‐ウェルプレート上に播種し、スライドガラスまたは骨の薄片を使用して共培養した。60分間後、上記培地をα‐MEM誘導培地(15%ウシ胎仔血清、10 nM 1,25‐(OH)VitD、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、25mMのHEPESを含有し、pH値が7.0〜7.2)に取り換えた。上記培地は3日毎に取り換えた。
1)細胞数を数えることによる、破骨細胞形成に対する薬剤効果の評価
破骨細胞の各集団を酒石酸塩耐性の酸性ホスファターゼ(TRAP)で染色し、光学顕微鏡で観察し、TRAP染色に対して陽性反応を示す細胞の数を数えた。この結果を図3に示す。
Figure 0005792314
Figure 0005792314
表3の結果は、各細胞密度のSC化合物およびAlenは、ブランクと比較して、破骨細胞の形成を阻害することが可能であることを示唆する。破骨細胞形成阻害は、培養時間および試験薬剤の濃度に依存するが、SC化合物とAlenの間に有意な差異は認められなかった。このことは、上記SC化合物の破骨細胞形成阻害作用と上記Alenの破骨細胞形成阻害作用とが同等であることを示唆する。通常、上記薬剤の濃度および培養時間を増大させるにつれ、TRAP細胞数は当然減少する。
2)破骨細胞吸収の観察
破骨細胞培養の5日後、上記骨の薄片を取り出し、2.5%グルタルアルデヒド中で7分間定着させた。0.25mmol/Lの水酸化アンモニウム中で5分間超音波撹拌し洗浄することを3回繰り返し、アルコールで脱水させ、空気乾燥した。これを1%トルイジンブルー(ホウ酸ナトリウムを含有)で3分間染色し、空気乾燥した。SPOT Cool CCDカメラを使用して、Nikon IX60顕微鏡で画像を撮影した。Image Pro Plus 6.0ソフトウェアを使用して、上記骨の全薄片の吸収窩を検出した。この結果を表4に示す。
Figure 0005792314
表4の結果は、全試験薬剤集団およびAlen集団の場合、ブランクと比較して、吸収窩のサイズが明らかに縮小している(p<0.01)ことを示す。これは、SC化合物とAlenの両方が破骨細胞に対する阻害作用を有することを示唆している。Alenを含む最も高濃度の薬剤(10−6mol/L)を使用した場合、吸収窩サイズの縮小が最大になり、SC集団とAlen集団の間では吸収窩サイズに関して有意な差異が認められない。このことは、上記試験薬剤は、Alenの破骨細胞阻害作用と同等の破骨細胞阻害作用を及ぼすことを示唆する。
このin vitro研究では、骨吸収阻害剤SCは、一方では破骨細胞の分化および成熟を阻害し、骨吸収の代謝活性を低減させるものの、他方では骨芽細胞の増殖および分化を著しく促進させ、骨形成を向上させ、骨形成/吸収の代謝バランスを調節し、最終的には、骨恒常性を回復させることが示された。
上記in vitro研究では、SC化合物の発明が、骨芽細胞の増殖促進作用と骨吸収阻害剤の破骨細胞阻害作用に特徴付けられることを示している。したがって、本発明のSC化合物は骨粗鬆症治療の双方向調節を実現する。

Claims (15)

  1. 下記化学式IIの構造を有する化合物であって、
    Figure 0005792314
    上記化学式IIにおいて、Rは、
    Figure 0005792314
    または、
    Figure 0005792314
    であり、
    は、H、OH、または、ハロゲンであり、
    は、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜、n=0〜、n=1〜でありArはフェニル基であり
    は、SeまたはSであり、
    およびRは、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、‐OH、‐OR’、‐COOR’、‐OCOOR’、‐COR’、‐CON(R’)、‐OCON(R’)、‐SR、‐SOR、‐SON(R’)、‐SOR’基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10の置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニルアリール基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、RおよびR’の各々は、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、または、RおよびRは、シクロアルカンの3〜7炭素を構成し、当該シクロアルカンは、C1〜C6のアルキル基、C1〜C6の置換アルキル基、ハロゲン、‐CH、‐NO、または、‐OHで置換されていてもよく、
    、R、R、および、Rは、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、‐OH、‐OR’、‐COOR’、‐OCOOR’、‐COR’、‐CON(R’)、‐OCON(R’)、‐SR、‐SOR、‐SON(R’)、‐SOR’基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、および、置換アリール基から成る群より独立して選択され、RおよびR’の各々は、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、または、置換アリール基から独立して選択される、化合物。
  2. 上記化学式IIにおいて、
    は、H、OH、または、ハロゲンであり、
    は、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜、n=0〜、n=1〜であり、Arはフェニル基であり
    は、SeまたはSであり、
    およびRは、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、‐OH、および、C1〜C10のアルキル基から成る群より独立して選択され、
    、R、R、および、Rの各々は、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、および、‐OHアルキル基から成る群より独立して選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 上記化学式IIのRは、HまたはOHであることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
  4. 上記化学式IIのRは、ハロゲンであることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
  5. 上記化学式IIのRは、F、Cl、または、Brであることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
  6. 上記Rは、Seであることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
  7. 上記化学式IIのR、R、R、および、Rは、水素であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
  8. 上記化学式IIにおいて、
    は、HまたはOHであり、
    は、−(CHn1−Ar−(CHn2−または−(CHn3−であり、n=1〜4、n=0〜1、n=1〜5であり、Arはフェニル基であり、
    は、Seであり、
    およびRは、水素、ハロゲン、‐CN、‐NO、および、‐OHから成る群より独立して選択され;
    、R、R、および、Rは、水素であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
  9. 請求項1〜の何れか1項に記載の化合物を調製する化合物の調製方法であって、
    (1)モル比が1:1〜3:1のNaHとテトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩とを、−5℃〜40℃で1時間〜4時間反応させ、メチレン基のプロトン活性化を行う、メチレン基のプロトン活性化工程と、
    (2)臭素およびニトロ基で置換した化合物Aと上記テトライソプロピルメチレンジホスホン酸塩とのモル比が1:1〜3:1になるように、上記工程(1)で得た反応液に、上記化合物Aを添加し、60℃〜150℃で2時間〜5時間アルキル化反応を行い、反応後に、反応液に有機溶媒を添加して抽出を行い、有機相を回収して蒸発乾燥させて、ニトロ基を有する化合物によりメチレンが置換された化合物Iを得る、アルキル化反応工程と、
    (3)上記化合物Iと10%Pd/C触媒との重量比が1:0.5〜1:5となるように、上記工程(2)で得た上記化合物Iのアルコール溶液に、10%Pd/C触媒を添加し、水素ガスを注入して、水素ガス圧が0.1MPa〜2MPaの反応系内において、室温で18時間〜48時間反応させた後、上記溶液を濾過し、蒸発乾燥させて、化合物IIを得る、ニトロ還元工程と、
    (4)上記工程(3)で得た上記化合物IIに、−20℃〜5℃でアルカリ溶液を添加し、pH値を7〜14に調節した後、上記化合物IIと、o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物とのモル比が1:1〜1:5になるように、上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物または上記o‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒を添加して室温で3時間〜8時間反応させ、反応液を濾過した後、沈殿物を回収して有機溶媒で洗浄し、60℃〜100℃で4時間〜24時間乾燥させて、化合物Vを得る、環化工程と、
    (5)上記工程(4)で得た上記化合物V 1gに、5mL〜50mLのアルコール溶液および5mL〜60mLの濃塩酸を添加した後、90℃〜120℃で4時間〜10時間還流させ、溶媒を蒸発させて残留物をアルコールにより洗浄し、得られた固形物を50℃〜120℃で4時間〜10時間真空乾燥させて、化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物を得る、加水分解工程と
    を包含する化合物の調製方法。
  10. 上記工程(2)における上記有機溶媒は、二塩化メチレン、塩化メテニル、酢酸エチル、または、石油エーテルであることを特徴とする請求項に記載の化合物の調製方法。
  11. 上記工程(4)における上記アルカリ溶液は、NaHCO溶液であることを特徴とする請求項に記載の化合物の調製方法。
  12. 上記工程(4)における上記o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物または上記o‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の有機溶媒は、エチルエーテル、ニ塩化メチレン、塩化メテニル、または、酢酸エチルであることを特徴とする請求項に記載の化合物の調製方法。
  13. 請求項1〜の何れか1項に記載の化合物を調製する化合物の調製方法であって、
    (1)pH値が7〜14のω‐アミノ酸メチルエステルに、当該ω‐アミノ酸メチルエステルと、o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物とのモル比が1:1〜1:3となるように、o‐セレニウムクロロイルベンゾイル塩化物またはo‐スルファクロロイルベンゾイル塩化物の溶液を添加して、室温で3時間〜8時間反応させ、反応液を濾過して沈殿物を有機溶媒により洗浄し、50℃〜100℃で4時間〜24時間乾燥させて、化合物VIIを得る、環化工程と、
    (2)上記工程(1)で得た上記化合物VII 1gに、2mL〜50mLのアルコールおよび5mL〜50mLの塩酸を添加して、90℃〜120℃で4時間〜10時間還流させ、溶媒を減圧蒸留により除去し、残留物をアルコールで再結晶化させて、化合物VIIIを得る、加水分解工程と、
    (3)上記工程(2)で得た上記化合物VIIIとリン酸とのモル比1:1〜1:5、上記工程(2)で得た上記化合物VIIIと三塩化リンのモル比1:2〜1:6で、上記化合物VIIIとリン酸および三塩化リンとを、90℃〜120℃で2時間〜6時間反応させ、上記化合物VIII 1gに対して1mL〜50mLの水が添加されるように、反応物に水を添加し、90℃〜110℃で1時間〜3時間還流させ、反応液を濾過して濾液中にアルコール溶液を添加し、−5℃〜5℃で12時間〜48時間静置した後、溶液を吸引濾過し、固形物を水で洗浄して、50℃〜120℃で4時間〜10時間真空乾燥させ、化学式IIの構造を有するジホスホン酸化合物を得る工程と、を包含する化合物の調製方法。
  14. 上記工程(1)における上記有機溶媒は、エチルエーテル、塩化メチレン、塩化メテニル、または、酢酸エチルであることを特徴とする請求項13に記載の化合物の調製法。
  15. 請求項1〜の何れか1項に記載の化合物の使用であって、骨代謝疾患治療薬を調製するための使用。
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