JP5784763B2 - 耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼 Download PDF

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Description

本発明は、すき間を有する構造体に使用されるステンレス鋼に置いて、そのすき間からの耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
ステンレス鋼は優れた耐食性を生かして、屋根材やドア・サッシ等の外装材、シンク・冷蔵庫等家庭厨房機器類や家電等、その他色々な用途に用いられている。これらは各々使用される環境を想定してステンレス鋼の種類を選定しているが、その選定が誤っていた場合や、実際の腐食環境がより厳しい条件であった場合は、腐食によるさびが発生して景観や見栄えを損なうほか、タンク等の機能材料であれば水漏れや破壊の危険性があり、食品用途や厨房機器であれば食品の味や色を劣化させる等の問題が生じる場合がある。このため使用環境に適した材料選定を行うことは、非常に重要な技術である。
一般にステンレス鋼としては、耐食性と加工性の両面を兼ね備えたSUS304が広く用いられている。しかしSUS304は塩化物イオンを含んだ環境では応力腐食割れを生ずるという致命的な問題がある。また昨今ではNi原料が高騰し、SUS304の価格が急騰している。このためNiを含まない高純度フェライト系ステンレス鋼への切り替え要望が高まってきている。
そのフェライト系ステンレス鋼が適用されている用途の1つとして屋根用材料が挙げられる。ここでは耐食性と併せてオーステナイト系ステンレス鋼よりも熱膨張係数が低い特性を生かして適用が広がっている。この屋根材に要求される耐食性レベルは、建造物の意匠上、さびを発生させないことが重要である。本用途における従来技術としては、特開平6−346195号公報(下記特許文献1)や、特開平6−346197号公報(下記特許文献2)に示されるように、材料の孔食発生指数:Cr+3Moが大きい材料が望ましいとされており、例えば現在ではSUS445M2等が用いられている。
その他のフェライト系ステンレス鋼の適用分野として、タンク材料等の機能材料が挙げられる。この要求特性は、タンクの穴あきを防止することであるが、オーステナイト系ステンレス鋼は本環境では応力腐食割れを生じるため好ましくない。フェライト系ステンレス鋼は応力腐食割れに対し免疫的であるため、この点では問題がないが、すき間部におけるすき間腐食が問題となる。従い本用途へのフェライト系ステンレス鋼の適用には、すき間腐食の成長を抑制することが重要である。この従来技術として、特開2006−257544号公報(下記特許文献3)に示されるように、腐食孔の浸食深さを低減する元素としてNi、Cu、Mo等を添加することが示されている。
また特開平7−34205号公報(下記特許文献4)では、すき間腐食を抑制する元素としてPの添加が有効であるとしている。しかし上記は何れも、腐食孔が貫通しないよう最大腐食孔深さを浅くすることを目的としている。この用途では腐食量そのものは問題とされないため、孔空きは生じなくても全体の腐食量は多くなり、その結果、流れさびが多く発生して外観は非常に劣る、という場合もある。
特開平6−346195号公報 特開平6−346197号公報 特開2006−257544号公報 特開平7−34205号公報
他方、SUS304が広く用いられている用途は、建材や、屋外の外装材等が多い。本用途では、屋根材ほどは外観に厳しくなく、わずかな点さび程度の発生は許容されるが、赤錆が流れるような顕著な流れさびは見た目上、敬遠される場合も多い。このような用途に、従来のフェライト系ステンレス鋼をそのまま適用した場合には流れさびが顕著に目立ってしまうか、もしくは非常に多量のMoを含有した高価なフェライト系ステンレス鋼を適用せざるを得ない。このため、フェライト系ステンレス鋼を適正な合金組成とすることで、耐流れさび性を改善することが望まれている。ここで述べる耐流れさび性とは、単に腐食量を低減させることではなく、腐食を生じてもそのさびを流れ出しにくくする性質のことで、特にすき間腐食ではさびがそのすき間内によりとどまりやすい性質を示すものである。流れさびは、腐食が発生により生じた金属イオンの水酸化物・酸化物であるから、腐食の発生と成長の両方を同時に抑制しなければならず、単にすき間腐食の穴あきを抑制することよりも、耐食性上の要求は厳しくなる。
本発明は、このような従来の耐食性上の要望にはない新たな観点から、流れさびを抑制するステンレス鋼の検討を行い、耐流れさび腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することを課題とする。
本発明は、前述のような従来の耐食性上の要望にはない新たな観点から、流れさびを抑制するステンレス鋼の検討を行った結果、耐流れさび腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)質量%で、C:0.020%以下、N:0.020%以下、Si:0.1超〜1.0%、Mn:0.01〜0.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:21.1〜23.0%、Mo:0.30〜3.00%、Ni:0.30〜0.60%、を含有し、さらに、Ti:0.25%以下、Nb:0.03〜0.40%、のうちいずれか1種または2種を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、流れさび指数RIが下記(A)式を満足し、かつ、孔食指数PIが下記(B)式を満足することを特徴とする、耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼。
RI=Mo+LogNi ≧ 0 …(A)
PI=Cr+3.3Mo ≧ 19 …(B)
(2)さらに、Cu:0.04〜3.00%、を含有し、流れさび指数RI‘が下記(C)式を満足することを特徴とする、(1)に記載の耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼。
RI´=Mo+LogNi+0.2Cu ≧ 0 …(C)
(3)さらに、Al:0.01〜0.20%、B:0.0001〜0.003%、V:0.03〜1.0%、のうちいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼。
本発明によれば、高価なNi、Moを多量に添加しなくても、外観上最も問題となる流れさびを抑制することが可能となるフェライト系ステンレス鋼を提供することが可能となる。この鋼板は、屋外で使用される外装材や屋外機器類、その他貯水タンク、貯湯タンク、更には潜熱回収型ガス給湯器のドレン水回収器とその熱交換器、家電・厨房機器等の水周りで使用される用途において、さらに腐食が生じやすいすき間構造を有する場合に特に有効であるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
試験に供したサンプルの形状を示す図である。 人工海水サイクル腐食試験実施後のすき間内およびすき間外のさび程度を示 す図である。 人工海水サイクル腐食試験実施後のすき間内腐食部の腐食深さを模式的に示 す図である。 耐流れさび指標RI´と耐孔食性指標PIとの関係を示す図である。
本発明は、従来考慮されていなかったすき間部における耐流れさび性という概念を設定し、Cr、Mo、Ni、Cuの適正範囲を明らかにしたものであり、これにより、すき間部における耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼を提供することが可能となる。
このすき間部での耐流れさび性について、種々の成分を変更させた材料を用いて評価した結果、以下のことが明らかになった。すなわち、(1)耐流れさび性は、腐食速度が小さいことに加え、さび液中にNi、Moのイオンが共存しなくてはならないこと、さらに(2)孔食電位が高い組成でも、腐食が生じた場合の流れさび性は単純に良くはならないこと、特にCr含有量が高い場合は、かえって流れさび性がわるくなること、が明らかになった。
その一例として、屋外での大気腐食環境を模擬した人工海水を用いたサイクル腐食試験を実施した後の、流れさびおよびすき間内のさび程度を評価した結果を示す。サンプルは図1に示すようなサンプルを用いた。各種組成の供試材2枚を表面を#600湿式研磨仕上げ後にスポット溶接によりすき間を形成した。人工海水サイクル腐食試験の試験条件は、人工海水噴霧35℃、4時間 →乾燥60℃、2時間 →湿潤50℃、相対湿度90%以上、2時間、の計8時間を1サイクルとして12サイクル実施した。このサイクル数は、SUS304で表面の点さびが無視できない程度に発現することを基準に設定した。試験材は装置内に垂直より30度傾けて設置した。
流れさびの評価方法は以下のように実施した。大小のサンプルを重ねたすき間部のうち小サンプルの下部から流れたさびを評価部分とした。その方法として、試験後のサンプル画像を取り込み、そのうち画像長さを小サンプルの下端から大サンプルの下端まで、画像幅を板幅として取り出し、これを画像処理によりさび部分のみ二値化することで流れさび面積率を導出した。評価はその流れさび面積率をさらに5段階に分類した。分類は、評価1が流れさび面積が75%以上で最も悪く、以下評点2:75%未満50%以上、評点3:50%未満20%以上、評点4:20%未満10%以上、評価5:10%以下、として、4以上を合格とした。
この結果の一例を模式図にして図2に示す。この図で、黒色に塗りつぶした部分はすき間からの流れさびを、灰色の部分はすき間内のさび発生部を二値化したものである。この結果、従来鋼1:16Cr−0.3Ni−0.1Moは流れさびおよびすき間部のさび発生とも顕著であり、従来鋼2:22.4Cr−0.1Ni−0.1Moではすき間内のさび面積は少ないがすき間からの流れさびは従来鋼1と大きな差は見られない。一方、開発鋼:19Cr−1.0Ni−1.1Moは、すき間内のさび面積は少なくないが、流れさびは抑制されているのが分かる。このときの腐食部の断面模式図を図3に示す。流れさびの多い従来鋼1では面積だけでなく深さも深くなっていた。従来鋼2では腐食した面積は小さいがその深さが深くなっていた。一方開発鋼では、腐食部面積は広いがその深さは浅くなっていた。この腐食深さの抑制が流れさび抑制の原因の1つと推定される。上記のサイクル腐食試験を実施例で示した種々の化学組成について評価した結果、下記の関係式により整理できることを明らかにした。すなわち、流れさび指標として、RI´=Mo+LogNi+0.2Cu、耐孔食性指標としてPI=Cr+3.3Moを取ると、図4に示すように、RI´≧0、PI≧19の範囲を示す成分で耐流れさび性が良好となった。
また、Cuを含まない場合の流れさび指標はRI=Mo+LogNiであり、RI≧0、PI≧19の範囲を示す成分で耐流れさび性が良好となる。
上記の流れさび抑制効果が得られる原因としては、CrおよびMoで孔食発生そのものを抑制するだけでなく、Ni、Mo、Cu等により流れさびを抑制するためと推定される。これは各元素の錯イオンがその相互作用により大きな錯イオンを形成して流動し難いさびとなること、すき間の場合ではこの大きな錯イオンが更なる塩分を含んだ水の流入を押さえること、またCuはさび中で金属Cuとして活性点に析出し再不働態化を促進する、等のひとつまたは複数の効果の結果のため達成されたと推定される。
上記組成の詳細な規定について以下に説明する。以下の説明において、各化学成分の含有量は質量%を示す。
Crは、ステンレス鋼の耐食性を確保する上で最も重要な元素であり、フェライト組織を安定化するので下限を21.1%とした。Crを増加させると耐食性も向上するが、加工性、製造製を低下させるため、上限を23.0%とした。望ましくは21.1〜22.0%である。
Moは、不働態皮膜の補修に効果があり、耐食性を向上させるのに非常に有効な元素である。さらにCrとの組み合わせで耐孔食性を向上させ、Niとの組み合わせで耐流れさび性を改善する効果がある。そのためMoは少なくとも0.30%含有させることが必要である。Moを増加させると耐食性は向上するが、加工性を低下させ、またコストが高くなるため上限を3.00%とする。望ましくは、0.50〜2.00%であり、より望ましくは0.70〜1.80である。
Niは、活性溶解速度を抑制させ、かつ不働態化に非常に効果があり、本発明において最も重要な元素である。その効果を発現させるには、Niは少なくとも0.30%が必要である。過剰な添加は、加工性を低下させ、フェライト組織を不安定にするだけでなくコストも悪化するため、上限を0.60%とした。さらに本発明で規定される他の化学組成について以下に詳しく説明する。
Cは、耐粒界腐食性、加工性を低下させるため、その含有量を低減させる必要があるため、上限を0.020%以下とした。過度に低減させることは精錬コストを悪化させるため、より望ましくは、0.002〜0.010%である。
Nは、Cと同様に耐粒界腐食性、加工性を低下させるため、その含有量を低減させる必要があるため、その上限を0.020%とした。ただし過度に低減させることは精錬コストを悪化させるため、より望ましくは、0.002〜0.010%である。
Siは、脱酸元素として重要な元素であり、耐食性、耐酸化性にも有効であるが、過度な添加は加工性、製造性を低下させる。そのため含有量を0.1超〜1.0%とした。より望ましくは0.1超〜0.6%である。
Mnは、脱酸元素として重要な元素であるが、過剰に添加すると腐食の起点となるMnSを生成しやすくなり、またフェライト組織を不安定化させるため、その含有量を0.01〜0.5%とした。より望ましくは、0.05〜0.3%である。
Pは、溶接性、加工性を低下させるだけでなく、粒界腐食を生じやすくもするため、低く抑える必要がある。そのため含有量を0.04%以下とした.より望ましくは0.001〜0.02%である。
Sは、CaSやMnS等の腐食の起点となる水溶性介在物を生成させるため、低減させる必要がある。そのため含有率は0.01%以下とする。ただし過度の低減はコストの悪化を招くため、より望ましくは0.001〜0.05%以下である。
Nbは、C、Nを固定し、溶接部の粒界腐食を抑制し加工性を向上させる上で非常に重要な元素である。そのためにはNbを(C+N)の和の8倍以上添加することが必要である。ただし過剰な添加は、加工性を低下させるため、その範囲を0.03〜0.40%とした。より望ましくは0.1〜0.30%である。
Tiは、Nbと同様の効果を有し、C、Nの固定には(C+N)の4倍以上が必要である。しかしながら過剰な添加は製造時の表面疵の原因となるため、その範囲を0.25%以下とした。より望ましくは0.08〜0.20%とする。
NbおよびTiは、1種または2種以上の添加が必要であり、2種を組み合わせる場合は、(Ti+Nb)/(C+N)を6以上とすることが望ましい。
Cuは、耐流れさび性を確保するために必要に応じて添加させることができる。Cuは活性溶解速度を低下させるだけでなく、不働態化を促進する効果が大きい。さらに前述のようにNi、Moとの組み合わせにより、流れさびを抑制する効果も有している。しかし過剰な添加は、加工性を低下させるために、添加する場合はその範囲を0.04〜3.00%とした。より望ましくは、0.40〜2%である。
Alは脱酸のための選択元素として重要であり、また非金属介在物の組成を制御し組織を微細化する効果もある。しかし過剰に添加すると非金属介在物の粗大化を招き、製品の疵発生の起点になる恐れもある。そのため、下限値を0.01%、上限値を0.20%とすることが望ましい。より望ましくは0.03%〜0.15%である。
Vは耐銹性や耐すき間腐食性を改善し、Cr、Moの使用を抑えてVを添加すれば優れた加工性も担保することができる。ただしVの過度の添加は加工性を低下させる上、耐食性向上効果も飽和するため、Vの下限を0.03%、上限を1.0%とすることが望ましい。より望ましくは0.05〜0.50%である。
Bは二次加工脆性改善に有効な粒界強化元素であるが、過度の添加はフェライトを固溶強化して延性低下の原因になる。このため下限を0.0001%、上限を0.003%とすることが望ましい。より望ましくは0.0002〜0.0020%である。
Sn、Sbも、耐流れさび性を確保するために必要に応じて添加させることができる。これらは腐食速度を抑制するのに重要な元素であるが、過剰な添加は製造性及びコストを悪化させるため、その範囲をいずれも0.005〜1.0%とした。より望ましくは0.05〜0.5%である。
上記化学成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
表1に示す化学組成を有する鋼を通常の高純度フェライト系ステンレス鋼の製造方法で製造した。すなわちまず真空溶製後に40mm厚のインゴットを製造し、これを熱間圧延で5mm厚に圧延した。その後、各々の再結晶挙動に基づき950〜1000℃×1分の熱処理を行ってから、スケールを研削除去し、さらに冷間圧延により0.8tmmの鋼板を製造した。これを最終焼鈍として、各々の再結晶挙動に基づき950〜1000℃×1分の条件で熱処理して、以下の試験に供した。なお、オーステナイト系の場合は、熱処理
温度を1100℃とした。
耐流れさび性の評価には、より流れさびを生じやすくさせるために、すき間を有した試験片を用いた。上記のように製造した鋼板より図1で示したように、40mm×70mmおよび30mm×40mmの試験片を切り出し、端面をふくむ全面をエメリー紙を用いて#600まで湿式研磨した。その後、各々の中心を重ねて、中心部をスポット溶接して、すき間付き試験片とした。この試験片を用いて、前述の人工海水を用いた複合サイクル腐食試験を12サイクル分実施した。評価方法も前述の通り、流れさびの面積率により5段階に分類評価した。
耐応力腐食割れの評価には、30mm×30mmおよび20mm×20mmの試験片を中心部をスポット溶接し、すき間付き試験片とした。試験液組成は20%NaCl+1%Na2Cr27水溶液とし、これを沸騰させたなかに試験片を浸漬して120時間後の割れの有無を観察した。
この結果、孔食指数PIが19以上で、かつ流れさび指標RI値(Cuを含む場合はRI´値)が0以上の成分であるNo1〜34については、いずれも流れさび面積率を指標とした耐流れさび性は評点4以上となり良好であった。一方、RI値(Cuを含む場合はRI´値)が0未満のNo35〜38,40,41や、PI値が19未満のNo36,39では、耐流れさび性は3以下となり、流れさびが顕著となる結果となった。なおSUS304相当のNo42は、PI値、RI´値とも本発明の基準を満たし、耐流れさび性も良好であるが、オーステナイト組織のため応力腐食割れ試験で割れが発生した。
Figure 0005784763
外装材、建材、屋根材、屋外機器類、貯水・貯湯タンク、家電製品、浴槽、厨房機器、潜熱回収型ガス給湯器のドレン水回収器とその熱交換器、その他屋外・屋内の一般的な用途で、外観上流れさびを問題とするような用途に対して、適正な化学組成で耐流れさび性に優れたフェライト系ステンレス鋼として適用できる。特に、すき間を有する構造体においてすき間腐食に起因する流れさびを低減するのに特に好適である。また腐食の生じやすいシャー切断端面等の流れさび抑制にも有効である。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.020%以下、
    N:0.020%以下、
    Si:0.1超〜1.0%、
    Mn:0.01〜0.5%、
    P:0.04%以下、
    S:0.01%以下、
    Cr:21.1〜23.0%、
    Mo:0.30〜3.00%、
    Ni:0.30〜0.60%、を含有し、
    さらに、Ti:0.25%以下、Nb:0.03〜0.40%、のうちいずれか1種または2種を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、流れさび指数RIが下記(A)式を満足し、かつ、孔食指数PIが下記(B)式を満足することを特徴とする、耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼。
    RI=Mo+LogNi ≧ 0 …(A)
    PI=Cr+3.3Mo ≧ 19 …(B)
  2. さらに、Cu:0.04〜3.00%、を含有し、流れさび指数RI´が下記(C)式を満足することを特徴とする、請求項1に記載の耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼。
    RI´=Mo+LogNi+0.2Cu ≧ 0 …(C)
  3. さらに、Al:0.01〜0.20%、B:0.0001〜0.003%、V:0.03〜1.0%、のうちいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の耐流れさび性に優れるフェライト系ステンレス鋼。
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