本発明は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸についての生合成産生能力を有する細胞及び生物の設計及び産生に関する。本明細書中に記載される結果は、代謝経路が、大腸菌、他の細胞又は生物において、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成を達成するために設計し、組換えで遺伝子操作することができることを示す。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成産生は、設計された代謝的な遺伝子型を有する株の構築によって確認することができる。これらの代謝的に遺伝子操作された細胞又は生物はまた、理論上最大限の成長に近づく条件下を含めて、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成をさらに増大させるために、適応進化にかけることができる。
本明細書中に開示されるように、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生についての多くの代謝経路が記載される。2つのルート、逆アジペート分解経路及び3-オキソアジペート経路が、(i)アジペート収率(グルコースに基づいて92%モル収率)、(ii)アジペート合成のための酸素需要量の不足、(iii)関連するエネルギー特性、及び(iv)唯一の発酵産物としてアジペートを産生するための理論上の能力に関して有益であることが分かった。α-ケトアジペート又はリジンを経過するアジペート産生のための代謝経路もまた、記載されているが、低収量であり、産生を最大限にするために通気を必要とする。逆分解経路における前駆体であるアジピル-CoAから6-アミノカプロエート及びカプロラクタムのどちらか又は両方を産生するための経路もまた本明細書中に開示される。
本明細書中に開示されるように、アジペートの生合成についての多くの例示的な経路が記載される。例示的な第1の経路は、P.クリソゲナムなどのような生物において記載されるアジペート分解の可逆性に依存するルートを介してのアジペート合成を含む(実施例I及びIIを参照されたい)。第2の例示的な経路は、アジペートを形成するために、3-オキソアジペートの形成、その後に続く、その還元、脱水、及び再度の還元を伴う(実施例III及びIVを参照されたい)。これらの2つの経路のどちらかを使用するアジペート収率は、消費されるグルコースモル当たり0.92モルである。酸素の取込みは、これらの理論上の最大限の収率を達成するのに必要ではなく、嫌気条件下のエネルギー特性は、成長及び産物分泌に好都合である。グルコース由来のcis,cis-ムコン酸からアジペートを産生するための方法は、以前に記載された(1996年1月30日に発行されたFrostら、米国特許第5,487,987号)(実施例Vを参照されたい)。この以前に記載された方法に対する本明細書中に開示される実施態様の利点について議論する。α-ケトアジペート(実施例VI)又はリジン(実施例VII)前駆体を経過するアジペート産生のための代謝経路は低収量であり、産生を最大限にするために通気を必要とする。逆分解経路における前駆体であるアジピル-CoAから6-アミノカプロエート及びカプロラクタムのどちらか又は両方を産生するための経路が記載される(実施例VIII及びIXを参照されたい)。アジペートを産生するためのさらなる経路は、実施例X及びXIにおいて記載される。スクシニル-CoA及びアセチル-CoAから6-アミノカプロエート、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、及びレブリン酸のいずれか1、2、3、又は4つ全てを産生するための経路は、実施例XII、XXVIIIにおいて記載される。コハク酸セミアルデヒド及びピルベートからの6-アミノカプロエートの産生のためのいくつかの経路は、実施例XIXにおいて記載される。6-アミノカプロエートからのヘキサメチレンジアミンの産生のためのいくつかの経路は、実施例XX及びXXVIIにおいて記載される。グルタミン酸エステルから6-アミノカプロエート及びヘキサメチレンジアミンのどちらか又は両方を産生するための経路は、実施例XXIV及びXXVにおいて記載される。グルタリル-CoAからのヘキサメチレンジアミンの産生のためのいくつかの経路及びグルタリル-CoAからの6-アミノカプロエートの産生のための少なくとも1つの経路は、実施例XXIV及びXXVにおいて記載される。ホモリジンから6-アミノカプロエートを産生するための経路は、実施例XXVにおいて記載される。2-アミノ-7-オキソサバレート(oxosubarate)からヘキサメチレンジアミンを産生するための経路は、実施例XXIVにおいて記載される。6-アミノカプロエートを産生するためのいくつかの経路は、実施例XXVにおいて記載される。これらの能力を有する微生物を構築するために必要とされる例示的な遺伝子及び酵素並びにクローニング及び形質転換のための方法、産物形成をモニターするための方法、並びに遺伝子操作された微生物を産生に使用するための方法が記載される。
本明細書中に開示されるように、炭素基質としてグルコース/スクロースを使用するアジピン酸合成のための6つの様々な経路が記載される。全ての最大限の収率計算のために、所与の経路において欠けている反応は、以前に記載された(Reedら、Genome Biol. 4:R54(2003))ものに類似するSimPhenyにおける大腸菌化学量論的ネットワークに追加された。アジペートは、生理学的条件下で荷電分子となり、ネットワークから分泌されるために、プロトンベースの共輸送系の形態でエネルギーを必要とすることが仮定された。発酵が中性又はほぼ中性のpHで実行される場合、そのような輸送系は、熱力学的に実行可能である。低pHアジピン酸形成は、ATP依存性の運搬メカニズム、例えばプロトン共輸送に対立するものとしてのABC系を必要とするであろう。これらの経路の実施態様の経路及び方法における反応は、実施例I〜XIにおいて記載される。
本明細書中に使用されるように、本発明の微生物生物体又は微生物に関して使用される場合の用語「天然に存在しない」は、微生物生物体が、上述の種の野生型株を含む、上述の種の天然に存在する株において通常見つけられない少なくとも1つの遺伝的変異を有することを意味するように意図される。遺伝的変異は、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を導入する改変、他の核酸追加、核酸欠失、及び/又は微生物の遺伝物質の他の機能的破壊を含む。そのような改変は、例えば、上述の種について異種、同種、又は異種及び同種のポリペプチドについてのコード領域及びその機能的断片を含む。さらなる改変は、例えば、改変が、遺伝子又はオペロンの発現を変化させる非コード調節領域を含む。例示的な代謝ポリペプチドは、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路内の酵素を含む。
代謝的改変は、その天然に存在する状態から変化した生化学反応を指す。したがって、天然に存在しない微生物は、代謝ポリペプチド又はその機能的断片をコードする核酸に対して遺伝的改変を有し得る。例示的な代謝的改変は、本明細書中に開示される。
本明細書中に使用されるように、微生物生物体に関して使用される場合の用語「単離された」は、上述の微生物生物体が自然界において見つけられるが、少なくとも1つの成分が実質的にない生物を意味するように意図される。用語は、それがその自然環境において見つけられるが、いくつか又は全ての成分が除去された微生物生物体を含む。用語はまた、微生物生物体が天然に存在しない環境において見つけられるが、いくつか又は全ての成分が除去された微生物生物体も含む。そのため、単離された微生物生物体は、それが自然界において見つけられるが又はそれが天然に存在しない環境において成長する、保存される、若しくは生存するが、他の物質から部分的に又は完全に分離されている。単離された微生物生物体の特定の例は、部分的に純粋な微生物、実質的に純粋な微生物、及び天然に存在しない培地において培養された微生物を含む。
本明細書中に使用されるように、用語「微生物の」、「微生物生物体」、又は「微生物」は、古細菌、細菌、又は真核生物の範囲内に含まれる微視的な細胞として存在するあらゆる生物を意味するように意図される。そのため、用語は、微視的なサイズを有する原核若しくは真核細胞又は原核若しくは真核生物を包含するように意図され、全ての種の細菌、古細菌、及び真正細菌並びに酵母及び菌類などのような真核生物の微生物を含む。用語はまた、生化学物質の産生のために培養することができるあらゆる種の細胞培養物を含む。
本明細書中に使用されるように、用語「CoA」又は「コエンザイムA」は、活性酵素系を形成するために、多くの酵素(アポ酵素)の活性にその存在が必要とされる有機補因子又は補欠分子族(酵素の非タンパク質部分)を意味するように意図される。コエンザイムAは、ある種の縮合酵素において機能し、アセチル又は他のアシル基転移において並びに脂肪酸合成及び酸化、ピルベート酸化において並びに他のアセチル化において作用する。
本明細書中に使用されるように、化学式-OOC-(CH2)4-COO-(図2を参照されたい)(IUPAC名ヘキサンジオエート)を有する「アジペート」は、アジピン酸(IUPAC名ヘキサン二酸)のイオン化形態であり、アジペート及びアジピン酸は、そのあらゆる塩形態を含めて、その中性又はイオン化形態のいずれかの化合物を指すために、初めから終わりまで区別なく使用することができることが理解される。特定の形態がpHに依存するであろうと理解されることが当業者によって理解される。
本明細書中に使用されるように、化学式-OOC-(CH2)5-NH2(図8及び12を参照されたい)を有する「6-アミノカプロエート」は、6-アミノカプロン酸(IUPAC名6-アミノヘキサン酸)のイオン化形態であり、6-アミノカプロエート及び6-アミノカプロン酸は、そのあらゆる塩形態を含めて、その中性又はイオン化形態のいずれかの化合物を指すために、初めから終わりまで区別なく使用することができることが理解される。特定の形態がpHに依存するであろうと理解されることが当業者によって理解される。
本明細書中に使用されるように、「カプロラクタム」(IUPAC名アゼパン-2-オン)は、6-アミノヘキサン酸のラクタムである(図8を参照されたい)。
本明細書中に使用されるように、1,6-ジアミノヘキサン又は1,6-ヘキサンジアミンとも呼ばれる「ヘキサメチレンジアミン」は、化学式H2N(CH2)6NH2を有する(図10、11及び13を参照されたい)。
本明細書中に使用されるように、培養又は増殖条件に関して使用される場合の用語「実質的に嫌気性の」は、酸素の量が液体培地中の溶存酸素について、飽和の約10%未満であることを意味するように意図される。用語はまた、約1%未満の酸素の大気により維持される液体培地又は固形培地の密閉されたチャンバーを含むように意図される。
本明細書中に使用されるように、培養又は増殖条件に関して使用される場合の用語「浸透圧保護剤」は、浸透圧調節物質として作用し、本明細書中に記載される微生物生物体が浸透ストレスに耐えるのを支援する化合物を意味するように意図される。浸透圧保護剤は、例えば、ベタイン、アミノ酸、及び糖であるトレハロースを含む。そのようなものの非限定的な例として、グリシンベタイン、プラリネベタイン(praline betaine)、ジメチルテチン、ジメチルスルホニオプロプリオネート(dimethylslfonioproprionate)、3-ジメチルスルホニオ-2-プロピオン酸メチル、ピペコリン酸、ジメチルスルホニオ酢酸、コリン、L-カルニチン、及びエクトインがある。
本明細書中に使用されるように、生化学物質の産生に関して使用される場合の用語「増殖と連関した」は、上述の生化学物質の生合成が微生物の増殖期の間に産生されることを意味するように意図される。特定の実施態様では、増殖と連関した産生は、不可避となり得、上述の生化学物質の生合成が微生物の増殖期の間に産生される不可避の産物であることを意味する。
本明細書中に使用されるように、「代謝的改変」は、その天然に存在する状態から変化した生化学反応を指すように意図される。代謝的改変は、例えば、反応に関与する酵素をコードする1以上の遺伝子の機能的破壊による生化学反応活性の消失を含むことができる。例示的な代謝的改変のセットは、本明細書中に記載される(実施例XXXを参照されたい)。
本明細書中に使用されるように、用語「遺伝子破壊」又はその文法的な等価物は、コード遺伝子産物を不活性にする遺伝的変異を意味するように意図される。遺伝的変異は、例えば、全遺伝子の欠失、転写又は翻訳に必要とされる調節配列の欠失、切断型遺伝子産物もたらす遺伝子の一部の欠失、又はコード遺伝子産物を不活性化する多種多様の突然変異戦略のいずれかによるものとすることができる。遺伝子破壊の特に有用な1つの方法は、完全な遺伝子欠失である、なぜなら、それは、本発明の天然に存在しない微生物において遺伝的復帰の発生を低下させる又は排除するからである。
「外因性の」は、本明細書中に使用されるように、上述の分子又は上述の活性が、宿主微生物生物体の中に導入されることを意味するように意図される。例えば、分子は、宿主染色体の中への統合によってなどのように宿主遺伝物質の中へのコード核酸の導入によって又はプラスミドなどのような非染色体性遺伝物質として導入することができる。そのため、この用語は、コード核酸の発現に関して使用されるように、微生物生物体の中への、発現可能な形態をしたコード核酸の導入を指す。生合成活性に関して使用される場合、この用語は、宿主参照生物の中に導入される活性を指す。供給源は、例えば、宿主微生物生物体の中への導入の後に上述の活性を発現する同種又は異種のコード核酸とすることができる。そのため、用語「内因性の」は、宿主中に存在する上述の分子又は活性を指す。同様に、コード核酸の発現に関して使用される場合のこの用語は、微生物生物体内に含有されるコード核酸の発現を指す。用語「異種の」は、上述の種以外の供給源に由来する分子又は活性を指す。「同種の」は、宿主微生物生物体に由来する分子又は活性を指す。したがって、本発明のコード核酸の外因性の発現は、異種又は同種のコード核酸のどちらか又は両方を利用することができる。
1つを超える外因性の核酸が微生物生物体中に含まれる場合、この1つを超える外因性の核酸は、上記に議論されるように、上述のコード核酸又は生合成活性に関連することが理解される。本明細書中に開示されるように、1つを超える外因性の核酸は、別々の核酸分子上で、ポリシストロニック核酸分子上で、又はその組合せで宿主微生物生物体の中に導入することができ、なお、1つを超える外因性の核酸と見なすことができることがさらに理解される。例えば、本明細書中に開示されるように、微生物生物体は、所望の経路酵素又はタンパク質をコードする2以上の外因性の核酸を発現するように遺伝子操作することができる。所望の活性をコードする2つの外因性の核酸が宿主微生物生物体の中に導入される場合では、2つの外因性の核酸は、例えば単一のプラスミド上で、別々のプラスミド上で、単一の核酸として導入することができ、単一の部位又は複数の部位で宿主染色体の中に統合することができ、なお、2つの外因性の核酸と見なすことができることが理解される。同様に、2つを超える外因性の核酸は、例えば単一のプラスミド上で、別々のプラスミド上で、任意の所望の組合せで宿主生物の中に導入することができ、単一の部位又は複数の部位で宿主染色体の中に統合することができ、なお、2つ以上の外因性の核酸、例えば3つの外因性の核酸と見なすことができることが理解される。したがって、上述の外因性の核酸又は生合成活性の数は、宿主生物の中に導入された別々の核酸の数ではなく、コード核酸の数又は生合成活性の数を指す。
本発明の天然に存在しない微生物生物体は、安定性の遺伝的変異を含有することができ、これは、変化を損失することなく、5世代を超えて培養することができる微生物を指す。一般に、安定性の遺伝的変異は、10世代を超えて存続する改変を含み、特に、安定性の改変は、約25世代以上存続するであろう、また、特に、安定性の遺伝的改変は、無限にを含めて、50を超える世代となるであろう。
遺伝子破壊の場合には、特に有用な安定性の遺伝的変異は、遺伝子欠失である。安定性の遺伝的変異を導入するための遺伝子欠失の使用は、遺伝的変異前の表現型への復帰の可能性を減少させるのに特に有用である。例えば、生化学物質の安定性の、増殖と連関した産生は、例えば、代謝的改変のセット内の1以上の反応を触媒する酵素をコードする遺伝子の欠失によって達成することができる。生化学物質の、増殖と連関した産生の安定性は、さらに、複数の欠失を通して増強することができ、それぞれの破壊された活性に対して生じる複数の代償性の復帰の可能性を著しく低下させる。
当業者は、本明細書中に例示される代謝的改変を含む遺伝的変異が、大腸菌などのような適した宿主生物及びそれらの対応する代謝反応又は所望の代謝経路についての遺伝子などのような所望の遺伝物質に適した供給源の生物に関して記載されることを理解するであろう。しかしながら、種々様々の生物の完全なゲノム配列決定及びゲノミクスの分野におけるハイレベルな技術を考慮すれば、当業者は、本明細書中に本質的に提供される教示及び手引きを他の全ての生物に容易に適用することができるであろう。例えば、本明細書中に例示される大腸菌の代謝変動は、上述の種以外の種に由来する同じ又は類似性のコード核酸を組み込むことによって、他の種に容易に適用することができる。そのような遺伝的変異は、例えば、種の遺伝的変異、一般に相同体、特に、オルソログ、パラログ、又は非オルソロガス遺伝子置換を含む。
オルソログは、垂直的な系統によって近縁の遺伝子(複数可)であり、様々な生物において実質的に同じ又は同一の機能を担う。例えば、マウスエポキシドヒドロラーゼ及びヒトエポキシドヒドロラーゼは、エポキシドの加水分解の生物学的機能についてオルソログと見なすことができる。遺伝子は、例えば、それらが、それらが同種である又は共通祖先からの進化によって近縁であることを示すのに十分な量の配列類似性を共有する場合、垂直的な系統によって近縁である。遺伝子が、必ずしも配列類似性ではなく、一次配列類似性が同定可能ではない範囲内でそれらが共通祖先から進化したことを示すのに十分な量の三次元構造を共有する場合、それらの遺伝子もまた、オルソログと見なすことができる。オルソロガスな遺伝子は、約25%〜100%のアミノ酸配列同一性の配列類似性を有するタンパク質をコードすることができる。25%未満のアミノ酸類似性を共有するタンパク質をコードする遺伝子もまた、それらの三次元構造もまた類似性を示す場合、垂直的な系統によって発生したものと見なすことができる。組織プラスミノーゲン活性化因子及びエラスターゼを含む酵素のセリンプロテアーゼファミリーのメンバーは、共通祖先から垂直的な系統によって発生したと見なされる。
オルソログは、例えば進化を通して構造又は全体的な活性が分岐した遺伝子又はそれらのコード遺伝子産物を含む。例えば、第1の種が、2つの機能を示す遺伝子産物をコードし、そのような機能が、第2の種において別個の遺伝子に分離されている場合、3つの遺伝子及びそれらの対応する産物は、オルソログであると見なされる。生化学産物の産生のために、当業者は、導入される又は破壊されることとなる代謝活性を持つオルソロガス遺伝子が、天然に存在しない微生物の構築のために選ばれることとなることを理解するであろう。分離可能な活性を示すオルソログの例は、別個の活性が、2以上の種の間で又は単一の種内で別個の遺伝子産物に分離される場合である。特定の例は、2つのタイプのセリンプロテアーゼ活性であるエラスターゼタンパク質分解及びプラスミノーゲンタンパク質分解の、プラスミノーゲン活性化因子及びエラスターゼとしての別個の分子への分離である。第2の例は、マイコプラズマ5'-3'エキソヌクレアーゼ及びショウジョウバエDNAポリメラーゼIII活性の分離である。第1の種に由来するDNAポリメラーゼは、第2の種に由来するエキソヌクレアーゼ又はポリメラーゼの両方又はいずれかに対してオルソログと見なすことができ、逆も同様である。
対照的に、パラログは、例えば、進化的な分岐がその後に続く重複によって近縁である相同体であり、同一ではないが、類似する又は共通の機能を有する。パラログは、例えば同じ種又は異なる種から起こる又はそれに由来し得る。例えば、ミクロソームエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼI)及び可溶性エポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼII)は、それらが、同じ種において別個の反応を触媒し、別個の機能を有する、共通祖先から共進化した2つの別個の酵素に相当するので、パラログと見なすことができる。パラログは、互いに著しい配列類似性を有する同じ種に由来するタンパク質であり、それらが同種である又は共通祖先から共進化を通して近縁であることを示唆する。パラロガスタンパク質ファミリーのグループは、HipA相同体、ルシフェラーゼ遺伝子、ペプチダーゼ、及び他を含む。
非オルソロガス遺伝子置換は、異なる種における上述の遺伝子機能の代わりになることができるある種に由来する非オルソロガス遺伝子である。置換は、例えば、異なる種における上述の機能と比較して、起源の種において実質的に同じ又は類似する機能を実行することができるものを含む。一般に、非オルソロガス遺伝子置換は、上述の機能をコードする知られている遺伝子に構造上近縁であるとして同定可能であるが、構造上それほど近縁でないが、機能的に類似する遺伝子及びそれらの対応する遺伝子産物は、それにもかかわらず、それが本明細書中に使用されるように、なお、この用語の意味の範囲内となるであろう。機能的類似性は、例えば、置換されようとする機能をコードする遺伝子と比較して、非オルソロガス遺伝子産物の活性部位又は結合領域において少なくともいくつかの構造的類似性を必要とする。そのため、非オルソロガス遺伝子は、例えば、パラログ又は非近縁の遺伝子を含む。
そのため、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成能力を有する、本発明の天然に存在しない微生物生物体を構築する及び同定する際に、当業者は、特定の種に本明細書中に提供される教示及び手引きを適用することにより、代謝的改変の同定が、オルソログの同定及び包含又は不活性化を含むことができることを理解するであろう。類似する又は実質的に類似する代謝反応を触媒する酵素をコードするパラログ及び/又は非オルソロガス遺伝子置換が、上述の微生物において存在する範囲内で、当業者はまた、これらの進化的に近縁である遺伝子を利用することもできる。遺伝子破壊戦略では、破壊のために標的とされた酵素活性におけるあらゆる機能的重複性が、設計された代謝的改変を妨げないことを確実にするために、活性を低下させる又は排除するように、進化的に近縁である遺伝子はまた、宿主微生物生物体、パラログ、又はオルソログにおいて破壊する又は欠失させることもできる。
オルソログ、パラログ、及び非オルソロガス遺伝子置換は、当業者によく知られている方法によって決定することができる。例えば、2つのポリペプチドについての核酸又はアミノ酸配列の検査により、比較される配列の間の配列同一性及び類似性が明らかにされるであろう。そのような類似性に基づいて、タンパク質が共通祖先からの進化を通して近縁であることを示すのに類似性が十分に高いかどうかを当業者は決定することができる。Align、BLAST、Clustal W、及び他などのような当業者によく知られているアルゴリズムは、純粋な配列類似性又は同一性を比較し、且つ決定し、また、ウェイト又はスコアを割り当てることができる配列中のギャップの存在又は有意性も決定する。そのようなアルゴリズムはまた、当技術分野において知られており、ヌクレオチド配列類似性又は同一性を決定するためにも同様に適用可能である。関連性を決定するのに十分な類似性についてのパラメーターは、ランダムなポリペプチドにおける統計的な類似性又は類似するマッチを見つける見込み及び決定されたマッチの有意性を計算するためのよく知られている方法に基づいて計算される。2つ以上の配列のコンピューター比較はまた、所望の場合、当業者によって視覚的に最適化することができる。関連する遺伝子産物又はタンパク質は、高い類似性、例えば、25%〜100%の配列同一性を有することを期待することができる。非近縁のタンパク質は、十分なサイズのデータベースがスキャンされる場合、偶然生じることが期待されるのと本質的に同じである同一性を有し得る(約5%)。5%及び24%の間の配列は、比較される配列が近縁であることを結論付けるのに十分な相同性に相当してもよい又は相当しなくてもよい。データセットのサイズを考慮してそのようなマッチの有意性を決定するためのさらなる統計分析は、これらの配列の関連を決定するために実行することができる。
BLASTアルゴリズムを使用して、2つ以上の配列の関連性を決定するための例示的なパラメーターは、例えば、下記に記載されるとおりとすることができる。手短かに言えば、アミノ酸配列アライメントは、BLASTPバージョン2.0.8(1999年1月05日)及び以下のパラメーター:マトリックス:0 BLOSUM62;ギャップオープン:11;ギャップエクステンション:1;x_dropoff:50;期待:10.0;ワードサイズ:3;フィルター:オンを使用して実行することができる。核酸配列アライメントは、BLASTNバージョン2.0.6(1998年9月16日)及び以下のパラメーター:マッチ:1;ミスマッチ:-2;ギャップオープン:5;ギャップエクステンション:2;x_dropoff:50;期待:10.0;ワードサイズ:11;フィルター:オフを使用して実行することができる。当業者は、比較の厳密性を増加させる又は減少させるために、例えば、2つ以上の配列の関連性を決定するためにどのような改変も上記のパラメーターになすことができることが分かるであろう。
アジペート、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を産生することができる天然に存在しない微生物生物体が本明細書中に開示される。例えば、アジペート経路は、逆アジペート分解経路とすることができる(実施例I及びIIを参照されたい)。例えば、天然に存在しない微生物生物体は、アジペートを産生するのに十分な量で発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むアジペート経路を有することができ、アジペート経路は、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、及びアジピル-CoAシンテターゼ又はホスホトランスアジピラーゼ(phosphotransadipylase)/アジペートキナーゼ又はアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ又はアジピル-CoAヒドロラーゼを含む。さらに、アジペート経路は、3-オキソアジペート経路を通してのものとすることができる(実施例III及びIVを参照されたい)。天然に存在しない微生物生物体は、アジペートを産生するのに十分な量で発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むアジペート経路を有することができ、アジペート経路は、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-オキソアジピル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソアジペートレダクターゼ、3-ヒドロキシアジペートデヒドラターゼ、及び2-エノエートレダクターゼを含む。
さらに、天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸を産生するのに十分な量で発現される6-アミノカプロン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-アミノカプロン酸経路を有することができ、6-アミノカプロン酸経路は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ及びトランスアミナーゼを含む(実施例VIII及びIXを参照されたい)。代替的に、6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼは、アジペートセミアルデヒドを変換して、6-アミノカプロエートを形成するために使用することができる(図8を参照されたい)。天然に存在しない微生物生物体はまた、カプロラクタムを産生するのに十分な量で発現されるカプロラクタム経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むカプロラクタム経路を有することもでき、カプロラクタム経路は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ又は6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼ、及びアミドヒドロラーゼを含む(実施例VIII及びIXを参照されたい)。
本明細書中に開示されるように、6-アミノカプロン酸又はカプロラクタムを産生する微生物生物体は、アジピル-CoA前駆体から6-アミノカプロン酸及び/又はカプロラクタムを産生することができる(図8並びに実施例VIII及びIXを参照されたい)。そのため、6-アミノカプロン酸又はカプロラクタムを産生する微生物生物体は、アジピル-CoAを産生するための経路をさらに含むことができることが理解される。例えば、アジピル-CoA経路は、アジピル-CoAの産生を通して、前駆体としてスクシニル-CoA及びアセチル-CoAを利用する図2の酵素を含むことができ、つまり、アジピル-CoAをアジペートに変換するための最終ステップについての酵素を欠く。したがって、1つの例示的なアジピル-CoA経路は、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、及び5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼを含むことができる。
さらに、図1中に示されるように、アジペート分解経路は、アジペートCoAリガーゼによってアジペートをアジピル-CoAに変換するためのステップを含む。そのため、アジピル-CoA経路は、例えば、図1の第1のステップにおけるアジペート-CoAリガーゼ活性又は逆方向で実行される図2の最終ステップにおける酵素のいずれか、例えばアジピル-CoAシンテターゼ(アジペートCo-Aリガーゼとも呼ばれる)、ホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ、アジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ、又はアジピル-CoAヒドロラーゼのいずれかを含む、アジペートをアジピル-CoAに変換する酵素活性をさらに含む、アジペート経路とすることができる。アジペートからアジピル-CoAへの活性を有する酵素は、内因性の活性とすることができる又は本明細書中に開示されるように、その酵素をコードする外因性の核酸として提供することができる。したがって、あらゆるアジペート経路は、アジピル-CoA経路を得るために、アジペートからアジピル-CoAへの酵素活性と共に利用することができることが理解される。そのような経路は、6-アミノカプロン酸及び/又はカプロラクタム産生のためにアジピル-CoA前駆体を提供するために、6-アミノカプロン酸又はカプロラクタムを産生する微生物生物体中に含むことができる。
さらなる例示的なアジペート経路は、前駆体としてアルファ-ケトアジペートを利用する(図6及び実施例VIを参照されたい)。例えば、天然に存在しない微生物生物体は、アジペートを産生するのに十分な量で発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むアジペート経路を有することができ、アジペート経路は、ホモクエン酸シンターゼ、ホモアコニターゼ、ホモイソクエン酸デヒドロゲナーゼ、2-ケトアジペートレダクターゼ、アルファ-ヒドロキシアジペートデヒドラターゼ、及びオキシドレダクターゼを含む。さらなる例示的なアジペート経路は、リジン分解経路を利用する(図7及び実施例VIIを参照されたい)。他の天然に存在しない微生物生物体は、アジペートを産生するのに十分な量で発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むアジペート経路を有することができ、アジペート経路は、炭素窒素リアーゼ、オキシドレダクターゼ、トランスアミナーゼ、及びオキシドレダクターゼを含む。
他の例示的なアジペート経路は、前駆体としてアルファ-ケトアジペートを利用する(図9並びに実施例X及びXIを参照されたい)。したがって、天然に存在しない微生物生物体は、アジペートを産生するのに十分な量で発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むアジペート経路を有することができ、アジペート経路は、アルファ-ケトアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスケトアジピラーゼ(phosphotransketoadipylase)/アルファ-ケトアジペートキナーゼ、又はアルファ-ケトアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ;及びアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ、アジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ、又はアジピル-CoAヒドロラーゼを含む。さらに、天然に存在しない微生物生物体は、アジペートを産生するのに十分な量で発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むアジペート経路を有することができ、アジペート経路は、2-ヒドロキシアジペートデヒドロゲナーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスヒドロキシアジピラーゼ(phosphotranshydroxyadipylase)/2-ヒドロキシアジペートキナーゼ、又は2-ヒドロキシアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ;及びアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ、アジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ、又はアジピル-CoAヒドロラーゼを含む。
本明細書中に開示されるように、本発明は、6-アミノカプロン酸を産生するのに十分な量で発現される6-アミノカプロン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-アミノカプロン酸経路を有する微生物生物体を含む、天然に存在しない微生物生物体であって、6-アミノカプロン酸経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;及び6-アミノカプロイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、6-アミノカプロイル-CoAシンターゼ、又は6-アミノカプロイル-CoAヒドロラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XII及びXIIIを参照されたい;図11のステップA/B/C/D/K/L/M)。本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸を産生するのに十分な量で発現される6-アミノカプロン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-アミノカプロン酸経路を有する微生物生物体を含む、天然に存在しない微生物生物体であって、6-アミノカプロン酸経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAシンターゼ、又は3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAヒドロラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノエートレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエートデヒドラターゼ;及び6-アミノヘキサ-2-エノエートレダクターゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XII及びXIVを参照されたい;図11のステップA/E/F/G/H/I/J)。
他の実施態様では、本発明は、カプロラクタムを産生するのに十分な量で発現されるカプロラクタム経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むカプロラクタム経路を有する微生物生物体を含む、天然に存在しない微生物生物体であって、カプロラクタム経路は、6-アミノカプロイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロイル-CoAシンターゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XII及びXVを参照されたい;図11のステップK/L)。カプロラクタム経路を含有するそのような天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸経路をさらに含むことができる(図11を参照されたい)。例示的な6-アミノカプロン酸経路は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ;及びトランスアミナーゼ若しくは6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼを含む6-アミノカプロン酸経路又は3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAシンターゼ、若しくは3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAヒドロラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノエートレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエートデヒドラターゼ;及び6-アミノヘキサ-2-エノエートレダクターゼを含む6-アミノカプロン酸経路を含む(図11のステップA/E/F/G/H/I/J)。本明細書中に開示されるこれらの又は他の例示的な6-アミノカプロン酸経路は、さらに、所望の場合に、カプロラクタム経路を有する微生物生物体中に含むことができることが理解される。本発明はまた、ヘキサメチレンジアミンを産生するのに十分な量で発現されるヘキサメチレンジアミン経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むヘキサメチレンジアミン経路を有する微生物生物体を含む、天然に存在しない微生物生物体であって、ヘキサメチレンジアミン経路は、6-アミノカプロイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロイル-CoAシンターゼ;6-アミノカプロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);及びヘキサメチレンジアミントランスアミナーゼ又はヘキサメチレンジアミンデヒドロゲナーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体も提供する(実施例XII及びXVIを参照されたい;図11のステップK/L/N/O/P)。ヘキサメチレンジアミン経路を含有するそのような天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸経路をさらに含むことができる(図11を参照されたい)。例示的な6-アミノカプロン酸経路は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ;及びトランスアミナーゼ若しくは6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼを含む6-アミノカプロン酸経路又は3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAシンターゼ、若しくは3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAヒドロラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノエートレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエートデヒドラターゼ;及び6-アミノヘキサ-2-エノエートレダクターゼを含む6-アミノカプロン酸経路を含む(図11のステップA/E/F/G/H/I/J)。本明細書中に開示されるこれらの又は他の例示的な6-アミノカプロン酸経路は、さらに、所望の場合に、ヘキサメチレンジアミン経路を有する微生物生物体中に含むことができることが理解される。
さらに他の実施態様では、本発明は、カプロラクタムを産生するのに十分な量で発現されるカプロラクタム経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むカプロラクタム経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、カプロラクタム経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ;及び6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XII及びXVIIを参照されたい;図11のステップA/B/C/D)。ヘキサメチレンジアミンを産生するのに十分な量で発現されるヘキサメチレンジアミン経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むヘキサメチレンジアミン経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、ヘキサメチレンジアミン経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノカプロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);及びヘキサメチレンジアミントランスアミナーゼ又はヘキサメチレンジアミンデヒドロゲナーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体もまた提供される(実施例XII及びXVIIIを参照されたい;図11のステップA/B/C/D/N/O/P)。
さらに他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、該6-ACA経路は、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)アルドラーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ヒドラターゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)レダクターゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)デカルボキシラーゼ、アジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、アジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)デカルボキシラーゼ、6-オキソヘキサ-4-エノエート(6-OHE)レダクターゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)アミノトランスフェラーゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)オキシドレダクターゼ(アミノ化)、2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD)デカルボキシラーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)アミノトランスフェラーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)オキシドレダクターゼ(アミノ化)、2-アミノヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(2-AHE)レダクターゼ、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)ギ酸リアーゼ、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)デヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ、アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ギ酸リアーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)デヒドロゲナーゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)ギ酸リアーゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)デヒドロゲナーゼ、又はピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素を含む、前記天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA〜Q)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDデカルボキシラーゼ;又はアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/C/D/E)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDデカルボキシラーゼ;及びアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)をコードする。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDデカルボキシラーゼ;6-OHEレダクターゼ;又はアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/F/G/E)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ; OHEDデカルボキシラーゼ;6-OHEレダクターゼ;及びアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)をコードする。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDアミノトランスフェラーゼ若しくはOHEDオキシドレダクターゼ(アミノ化);2-AHEレダクターゼ;又は2-AHDデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/J/D/I)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ; OHEDアミノトランスフェラーゼ若しくはOHEDオキシドレダクターゼ(アミノ化);2-AHEレダクターゼ;及び2-AHDデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDアミノトランスフェラーゼ若しくは2-OHDオキシドレダクターゼ(アミノ化);又は2-AHDデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/C/H/I)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDアミノトランスフェラーゼ又は2-OHDオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び2-AHDデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;HODHギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又はHODHデヒドロゲナーゼ;3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;又はアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/L/M/N/O/E)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、HODHアルドラーゼ;HODHギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又はHODHデヒドロゲナーゼ;3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)をコードする。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又はOHEDデヒドロゲナーゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;又はアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/P/N/O/E)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又はOHEDデヒドロゲナーゼ; 2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)をコードする。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又は2-OHDデヒドロゲナーゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;又はアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/C/Q/O/E)。さらなる態様では、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含む。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又は2-OHDデヒドロゲナーゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)をコードする。本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ、グルタミル-CoAリガーゼ、ベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ、6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、又は2-アミノピメレートデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図20のステップA/B/C/D/E/I/J)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ又はグルタミル-CoAリガーゼ;ベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、又は2-アミノピメレートデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/AA)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼをコードする。本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、ホモリジン2-モノオキシゲナーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図23のステップA)。さらなる態様では、6-ACA経路は、6-アミノヘキサンアミドを6-アミノカプロエートに変換するために希酸又は塩基による6-アミノヘキサンアミド産物の加水分解を含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図23のステップB)。
本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、アジペートレダクターゼ、アジペートキナーゼ、又はアジピルホスフェートレダクターゼを含む(実施例XXVIIIを参照されたい;図25のステップX/Y/Z及び実施例XXXI)。さらなる態様では、6-ACA経路は、アジペートレダクターゼを含む。他のさらなる態様では、6-アミノカプロン酸(6-ACA)経路は、アジペートキナーゼ及びアジピルホスフェートレダクターゼを含む。他の態様では、上記の6-ACA経路を有する微生物生物体は、本明細書で記載されるアジペート経路、カプロラクタム経路、及び/又はヘキサメチレンジアミン経路をさらに含む(実施例XXVIIIを参照されたい;図25のステップA〜W)。
一実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、6-ACA経路は、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートオキシドレダクターゼ、2-アミノピメレートデカルボキシラーゼ、6-アミノヘキサナールオキシドレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ、又は2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/B/D/E/F/G/I)。さらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ、又は2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。
本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートオキシドレダクターゼ;及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼをコードする(実施例XXVを参照されたい;図26のステップA/D/E)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールオキシドレダクターゼをコードする(実施例XXVを参照されたい;図26のステップA/B/F)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールオキシドレダクターゼをコードする(実施例XXVを参照されたい;図26のステップI/G/F)。上記の実施態様のそれぞれのさらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする外因性の核酸の第2のセットを有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ;2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ;及び2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDAを有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ、[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)オキシドレダクターゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ、[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)オキシドレダクターゼ、6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)、6-アセトアミドヘキサノエートCoAトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサノエートCoAリガーゼ、6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ、[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)アシルトランスフェラーゼ、[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)アシルトランスフェラーゼ、6-アミノカプロエートCoAトランスフェラーゼ、及び6-アミノカプロエートCoAリガーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップA〜N)。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPオキシドレダクターゼ;又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)若しくは6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップA/B/C)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPアシルトランスフェラーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)若しくは6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップA/L/N/C)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPアシルトランスフェラーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートCoAトランスフェラーゼ若しくは6-アミノカプロエートCoAリガーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)若しくは6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップM/N/C)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートCoAトランスフェラーゼ若しくは6-アミノカプロエートCoAリガーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)若しくは6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ若しくは6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);又は6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ若しくは6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップD/E/F/G/H)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)をコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートCoAトランスフェラーゼ若しくは6-アセトアミドヘキサノエートCoAリガーゼ;6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ若しくは6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);又は6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ若しくは6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップD/I/J/G/H)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートCoAトランスフェラーゼ若しくは6-アセトアミドヘキサノエートCoAリガーゼ;6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)をコードする。本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);又は6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ若しくは6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップD/E/K/J/G)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)をコードする。本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ、グルタミル-CoAリガーゼ、ベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ、6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図20のステップA〜H)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ又はリガーゼ;ベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、該HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールアミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールアミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソピメレートキナーゼ、5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートリガーゼ、5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-アミノピメレートリガーゼ、5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノピメレートキナーゼ、5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-アミノピメレートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、ホモリジンデカルボキシラーゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートキナーゼ、2-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、2-アミノピメレートCoAリガーゼ、2-アミノピメレートレダクターゼ、6-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼを含む、前記天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21)。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/C/D/E/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/F/G/D/E/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートCoAリガーゼ、5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/H/I/D/E/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートCoAリガーゼ;5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/C/AB/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートキナーゼ、5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/H/I/AB/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートCoAリガーゼ、5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/F/G/AB/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートCoAリガーゼ;5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B//J/O/P/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ; 2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートキナーゼ、5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/M/N/P/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートキナーゼ;5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ; 3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-アミノピメレートCoAリガーゼ、5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/K/L/P/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ; 3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ若しくは3-アミノピメレートCoAリガーゼ;5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/O/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-アミノピメレートCoAリガーゼ、5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/K/L/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-アミノピメレートCoAリガーゼ;5-アミノピメロイル-CoA-レダクターゼ(アルデヒド形成);3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートキナーゼ、5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/M/N/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートキナーゼ;5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/W/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ; 3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートレダクターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートキナーゼ、6-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/U/X/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートキナーゼ;6-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、2-アミノピメレートCoAリガーゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/V/Y/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ又は2-アミノピメレートCoAリガーゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼアミノ化オキシドレダクターゼ、ホモリジンデカルボキシラーゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートデカルボキシラーゼ、6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、又は6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図22のステップA〜G)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ;2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ又は2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ;2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートレダクターゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサノエートレダクターゼ、6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ、又はアセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXVIIを参照されたい;図24のステップO/C又はD/P/G/H及び実施例XXXI)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)をコードする。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)をコードする。本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、HMDA経路は、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ、6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼ、6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ、ホモリジンデカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ化オキシドレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノトランスフェラーゼ、2,7-ジアミノサバレートデカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/B/C/G/H/I/J/K/L/M)。さらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ、又は2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。
本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ化オキシドレダクターゼ又は2-アミノ-7-オキソサバレートアミノトランスフェラーゼ;2,7-ジアミノサバレートデカルボキシラーゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップK/L/H)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ又は2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップI/J/H)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼ又は6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップI/G/C)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼ又は6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/B/C)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/M/H)。上記の実施態様のそれぞれのさらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする外因性の核酸の第2のセットを有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ;2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ;及び2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。本発明は、さらに、レブリン酸(LA)を産生するのに十分な量で発現されるLA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むLA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、LA経路は、3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ、3-オキソアジピル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソアジピル-CoAシンターゼ、3-オキソアジピル-CoAヒドロラーゼ、又は3-オキソアジペートデカルボキシラーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体を提供する(実施例XXIXを参照されたい;図25のステップA/E/F/G/AA)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、LA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ;3-オキソアジピル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソアジピル-CoAシンターゼ、又は3-オキソアジピル-CoAヒドロラーゼ;及び3-オキソアジペートデカルボキシラーゼをコードする。
本明細書中に開示される、天然に存在しない微生物生物体は、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路を有することができ、天然に存在しない微生物生物体は、本明細書中に開示されるように、基質を産物に変換するポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む。したがって、天然に存在しない微生物生物体は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有することができ、ポリペプチドは、図2、3、8、9、10、11、12、13、及び20〜27中に示されるものなどのような、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の基質及び産物を変換する酵素又はタンパク質である。
例えば、天然に存在しない微生物生物体は、アジペート経路を有することができ、微生物生物体は、スクシニル-CoA及びアセチル-CoAから3-オキソアジピル-CoA;3-オキソアジピル-CoAから3-ヒドロキシアジピル-CoA;3-ヒドロキシアジピル-CoAから5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoA;5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAからアジピル-CoA;アジピル-CoAからアジペートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図2を参照されたい)。さらに、天然に存在しない微生物生物体は、アジペート経路を有することができ、微生物生物体は、スクシニル-CoA及びアセチル-CoAから3-オキソアジピル-CoA;3-オキソアジピル-CoAから3-オキソアジペート;3-オキソアジペートから3-ヒドロキシアジペート;3-ヒドロキシアジペートからヘキサ-2-エンジオエート(5-カルボキシ-2-ペンタノエートとも本明細書中で呼ばれる);ヘキサ-2-エンジオエートからアジペートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図3を参照されたい)。さらに、天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、アジピル-CoAからアジペートセミアルデヒド;及びアジペートセミアルデヒドから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図8を参照されたい)。さらに、天然に存在しない微生物生物体は、カプロラクタム経路を有することができ、微生物生物体は、アジピル-CoAからアジペートセミアルデヒド;アジペートセミアルデヒドから6-アミノカプロエート;及び6-アミノカプロエートからカプロラクタムから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する。さらに、天然に存在しない微生物生物体は、アジペート経路を有することができ、微生物生物体は、アルファ-ケトアジペートからアルファ-ケトアジピル-CoA;アルファ-ケトアジピル-CoAから2-ヒドロキシアジピル-CoA;2-ヒドロキシアジピル-CoAから5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoA;5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAからアジピル-CoA;及びアジピル-CoAからアジペートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図9を参照されたい)。さらに、天然に存在しない微生物生物体は、アジペート経路を有することができ、微生物生物体は、アルファ-ケトアジペートから2-ヒドロキシアジペート;2-ヒドロキシアジペートから2-ヒドロキシアジピル-CoA;2-ヒドロキシアジピル-CoAから5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoA;5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAからアジピル-CoA;及びアジピル-CoAからアジペートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図9)。
さらに、天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロイル-CoA経路を有することができ、微生物生物体は、4-アミノブチリル-CoA及びアセチル-CoAから3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAから3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoA;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAから6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoA;6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAから6-アミノカプロイル-CoAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図11)。そのような経路のさらなる基質及び産物は、6-アミノカプロイル-CoAから6-アミノカプロエート;6-アミノカプロイル-CoAからカプロラクタム;又は6-アミノカプロイル-CoAから6-アミノカプロエートセミアルデヒド、及び6-アミノカプロエートセミアルデヒドからヘキサメチレンジアミンを含むことができる(図11)。天然に存在しない微生物生物体はまた、6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、4-アミノブチリル-CoA及びアセチル-CoAから3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAから3-オキソ-6-アミノヘキサノエート;3-オキソ-6-アミノヘキサノエートから3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエート;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエートから6-アミノヘキサ-2-エノエート;及び6-アミノヘキサ-2-エノエートから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図11)。そのような経路のさらなる基質及び産物は、6-アミノカプロエートからカプロラクタム又は6-アミノカプロエートから6-アミノカプロイル-CoA、6-アミノカプロイル-CoAから6-アミノカプロエートセミアルデヒド、及び6-アミノカプロエートセミアルデヒドからヘキサメチレンジアミンを含むことができる(図11)。
さらに、天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドから4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート;4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)から2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED);2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)から2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD);2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)からアジペートセミアルデヒド;及びアジペートセミアルデヒドから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図12)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドから4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート;4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)から2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED);2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)から6-オキソヘキサ-4-エノエート(6-OHE);6-オキソヘキサ-4-エノエート(6-OHE)からアジペートセミアルデヒド;及びアジペートセミアルデヒドから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図12)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドから4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート;4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)から2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED);2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)から2-アミノヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(2-AHE);2-アミノヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(2-AHE)から2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD);及び2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD)から6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図12)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドから4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート;4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)から2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED);2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)から2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD);2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)から2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD);及び2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD)から6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図12)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドから4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート;4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)から3-ヒドロキシアジピル-CoA;3-ヒドロキシアジピル-CoAから2,3-デヒドロアジピル-CoA;2,3-デヒドロアジピル-CoAからアジピル-CoA;アジピル-CoAからアジペートセミアルデヒド;及びアジペートセミアルデヒドから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図12)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドから4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート;4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)から2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED);2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-(OHED)から2,3-デヒドロアジピル-CoA;2,3-デヒドロアジピル-CoAからアジピル-CoA;アジピル-CoAからアジペートセミアルデヒド;及びアジペートセミアルデヒドから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図12)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドから4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート;4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)から2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED);2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)から2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD);2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)からアジピル-CoA;アジピル-CoAからアジペートセミアルデヒド;及びアジペートセミアルデヒドから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図12)。
さらに、天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、グルタミン酸からグルタミル-CoA;グルタミル-CoAから3-オキソ-6-アミノ-ピメロイル-CoA;3-オキソ-6-アミノ-ピメロイル-CoAから3-ヒドロキシ-6-アミノ-ピメロイル-CoA;3-ヒドロキシ-6-アミノ-ピメロイル-CoAから6-アミノ-7-カルボキシ-ヘプタ-2-エノイル-CoA;6-アミノ-7-カルボキシ-ヘプタ-2-エノイル-CoAから6-アミノピメロイル-CoA;6-アミノピメロイル-CoAから2-アミノピメレート;及び2-アミノピメレートから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図20)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから2-アミノピメレート;及び2-アミノピメレートから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、ホモリジンから6-アミノヘキサンアミド;及び6-アミノヘキサンアミドから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図23)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、アジペートからアジペートセミアルデヒド;アジペートからアジピルリン酸(adipylphospate);及びアジピルリン酸からアジペートセミアルデヒドから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図25)。
さらに、天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸経路を有することができ、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートから2-アミノ-7-オキソヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートから6-アミノヘキサナール;6-アミノヘキサナールから6-アミノカプロエート;2-アミノ-7-オキソサバレートから2-アミノ-7-オキソヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートから6-アミノヘキサナール;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートから2-アミノピメレート;及び2-アミノピメレートから6-アミノカプロエートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図26)。天然に存在しない微生物生物体は、さらに2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有することができ、微生物生物体は、グルタミン酸-5-セミアルデヒドから2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレート;2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートから2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレート;及び2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートから2-アミノ-7-オキソサバレートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図27)。さらに、天然に存在しない微生物生物体は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)経路を有することができ、微生物生物体は、6-アミノカプロエートから[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP);[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)から6-アミノカプロン酸セミアルデヒド;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドからヘキサメチレンジアミンから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図13)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に、HMDA経路を有することができ、微生物生物体は、6-アミノカプロエートから[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP);[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)から6-アミノカプロイル-CoA;6-アミノカプロイル-CoAから6-アミノカプロン酸セミアルデヒド;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドからヘキサメチレンジアミンから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図13)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に、HMDA経路を有することができ、微生物生物体は、6-アミノカプロエートから6-アミノカプロイル-CoA;6-アミノカプロイル-CoAから6-アミノカプロン酸セミアルデヒド;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドからヘキサメチレンジアミンから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図13)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に、HMDA経路を有することができ、微生物生物体は、6-アミノカプロエートから6-アセトアミドヘキサノエート;6-アセトアミドヘキサノエートから[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP);[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)から6-アセトアミドヘキサナール;6-アセトアミドヘキサナールから6-アセトアミドヘキサンアミン;及び6-アセトアミドヘキサンアミンからヘキサメチレンジアミンから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図13)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に、HMDA経路を有することができ、微生物生物体は、6-アミノカプロエートから6-アセトアミドヘキサノエート;6-アセトアミドヘキサノエートから6-アセトアミドヘキサノイル-CoA;6-アセトアミドヘキサノイル-CoAから6-アセトアミドヘキサナール;6-アセトアミドヘキサナールから6-アセトアミドヘキサンアミン;及び6-アセトアミドヘキサンアミンからヘキサメチレンジアミンから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図13)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的に、HMDA経路を有することができ、微生物生物体は、6-アミノカプロエートから6-アセトアミドヘキサノエート;6-アセトアミドヘキサノエートから[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP);[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)から6-アセトアミドヘキサノイル-CoA;6-アセトアミドヘキサノイル-CoAから6-アセトアミドヘキサナール;6-アセトアミドヘキサナールから6-アセトアミドヘキサンアミン;及び6-アセトアミドヘキサンアミンからヘキサメチレンジアミンから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図13)。
さらに、天然に存在しない微生物生物体は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)経路を有することができ、微生物生物体は、グルタミン酸からグルタミル-CoA;グルタミル-CoAから3-オキソ-6-アミノ-ピメロイル-CoA;3-オキソ-6-アミノ-ピメロイル-CoAから3-ヒドロキシ-6-アミノ-ピメロイル-CoA;3-ヒドロキシ-6-アミノ-ピメロイル-CoAから6-アミノ-7-カルボキシ-ヘプタ-2-エノイル-CoA;6-アミノ-7-カルボキシ-ヘプタ-2-エノイル-CoAから6-アミノピメロイル-CoA;6-アミノピメロイル-CoAから2-アミノ-7-オキソヘプタノエート;-アミノ-7-オキソヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図20)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールから3-オキソ-7-アミノヘプタノエート;3-オキソ-7-アミノヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから5-オキソピメロイルホスホネート;5-オキソピメロイルホスホネートから3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールから3-オキソ-7-アミノヘプタノエート;3-オキソ-7-アミノヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから5-オキソピメロイル-CoA;5-オキソピメロイル-CoAから3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールから3-オキソ-7-アミノヘプタノエート;3-オキソ-7-アミノヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから5-オキソピメロイル-CoA;5-オキソピメロイル-CoAから3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから5-オキソピメロイルホスホネート;5-オキソピメロイルホスホネートから3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから2-アミノ-7-オキソ(axo)ヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソ(axo)ヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから5-アミノピメロイルホスホネート;5-アミノピメロイルホスホネートから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから2-アミノ-7-オキソ(axo)ヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソ(axo)ヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから5-アミノピメロイル-CoA;5-アミノピメロイル-CoAから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから2-アミノ-7-オキソ(axo)ヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソ(axo)ヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから5-アミノピメロイル-CoA;5-アミノピメロイル-CoAから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから5-アミノピメロイルホスホネート;5-アミノピメロイルホスホネートから3-アミノ-7-オキソヘプタノエート;3-アミノ-7-オキソヘプタノエートから3,7-ジアミノヘプタノエート;3,7-ジアミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから2-アミノピメレート;2-アミノピメレートから2-アミノ-7-オキソヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから2-アミノピメレート;2-アミノピメレートから6-アミノピメロイルホスホネート;6-アミノピメロイルホスホネートから2-アミノ-7-オキソヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、グルタリル-CoAから3-オキソピメロイル-CoA;3-オキソピメロイル-CoAから3-オキソピメレート;3-オキソピメレートから3-アミノピメレート;3-アミノピメレートから2-アミノピメレート;2-アミノピメレートから6-アミノピメロイル-CoA;6-アミノピメロイル-CoAから2-アミノ-7-オキソヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図21)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及び4-アミノブタナールから2-オキソ-4-ヒドロキシ7-アミノヘプタノエート;2-オキソ-4-ヒドロキシ7-アミノヘプタノエートから2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエート;2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートから2-オキソ-7-アミノヘプタノエート;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートからホモリジン;及びホモリジンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図22)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、ピルベート及び4-アミノブタナールから2-オキソ-4-ヒドロキシ7-アミノヘプタノエート;2-オキソ-4-ヒドロキシ7-アミノヘプタノエートから2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエート;2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートから2-オキソ-7-アミノヘプタノエート;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートから6-アミノヘキサナール;及び6-アミノヘキサナールからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図22)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、6-アミノカプロエートから6-アミノカプロン酸セミアルデヒド;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図24)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物
生物体は、6-アミノカプロエートから6-アセトアミドヘキサノエート;6-アセトアミドヘキサノエートから6-アセトアミドヘキサナール;6-アセトアミドヘキサナールから6-アセトアミドヘキサンアミン;6-アセトアミドヘキサンアミンからHMDAから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図24)。天然に存在しない微生物生物体は、代替的にHMDA経路を有することができ、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートから2-アミノ-7-オキソヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートから6-アミノヘキサナール;6-アミノヘキサナールからHMDA;2-アミノ-7-オキソサバレートから2-オキソ-7-アミノヘプタノエート;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートからホモリジン;ホモリジンからHMDA;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートからホモリジン;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートから6-アミノヘキサナール;2-アミノ-7-オキソサバレートから2,7-ジアミノサバレート;及び2,7-ジアミノサバレートからホモリジンから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図26)。天然に存在しない微生物生物体は、さらに2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有することができ、微生物生物体は、グルタミン酸-5-セミアルデヒドから2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレート;2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートから2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレート;及び2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートから2-アミノ-7-オキソサバレートから選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する(図27)。
さらに、天然に存在しない微生物生物体は、レブリン酸経路を有することができ、微生物生物体は、スクシニル-CoA及びアセチル-CoAから3-オキソアジピル-CoA;3-オキソアジピル-CoAから3-オキソアジペート;並びに3-オキソアジペートからレブリン酸から選択される基質から産物への変換を行うポリペプチドをコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する。1つの経路の中間物を産生する、本明細書中に開示された経路のいずれも、所望の場合、他の経路についてのその中間物を産生するために使用することができることが理解される。例えば、本明細書中に開示されるように、図9中に示されるアルファ-ケトアジペートからアジペートへの経路は、中間体アジピル-CoAを産生し、これはまた、図10中に表される経路における中間体でもある。したがって、代替の経路は、アルファ-ケトアジペートからアジピル-CoAを含み、これは、図10中に表されるように、アジペート、6-アミノカプロエート、カプロラクタム、又はヘキサメチレンジアミンに変換することができることが理解される。所望の中間体を産生する本明細書中に開示される経路のいずれも、所望の産物が産生される限り、本明細書中に開示される任意の他の経路と組み合わせて使用することができることが理解される。例えば、本明細書中に開示される、天然に存在しない微生物生物体は、2-AHDデカルボキシラーゼ(図12のステップI)及び6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ(図13のステップE)又は代替的に2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)デカルボキシラーゼ(図12のステップF)、アジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ(図12のステップE)、及び6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ(図13のステップJ)又は代替的に5-カルボキシ-2ペンテノイルCoAレダクターゼ(図10のステップD)、アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ(図12のステップO)、及び6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ(図13のステップN)又は代替的に2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ(図20のステップG)及び3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ(図21のステップR)又は代替的に6-アミノカプロエートレダクターゼ(図24のステップO)及び6-アミノヘキサ-2-エノエートレダクターゼ(図11のステップJ)又は代替的にアジペートレダクターゼ(図25のステップX)及び6-アセトアミドヘキサノエートレダクターゼ(図24のステップP)などのような、6-アミノカプロン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの核酸及びヘキサメチレンジアミン経路酵素をコードする少なくとも1つの核酸を有することができる。
さらなる実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路を有する天然に存在しない微生物生物体であって、天然に存在しない微生物生物体は、本明細書中に開示される又は図1〜14及び20〜27のいずれかにおいて示される基質又は産物のいずれかから選択される、基質を産物に変換する酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む。当業者は、所望の産物を産生するのに適しており、適切な活性が基質の産物への変換に利用可能である、本明細書中に開示される基質-産物ペアのいずれも、本明細書中の教示に基づいて当業者によって容易に決定することができることを理解するであろう。したがって、本発明は、酵素又はタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含有する天然に存在しない微生物生物体であって、酵素又はタンパク質は、図1〜14及び20〜27中に示されるもののいずれかなどのような、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の基質及び産物を変換する天然に存在しない微生物生物体を提供する。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路を含有する微生物生物体として本明細書中に一般に記載されるが、本発明は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の中間体を産生するのに十分な量で発現される6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む天然に存在しない微生物生物体をさらに提供することが理解される。例えば、本明細書中に開示されるように、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路は、図1〜14及び20〜27において例示される。そのため、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を産生する6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路を含有する微生物生物体に加えて、本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む天然に存在しない微生物生物体であって、微生物生物体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路中間体、例えば、図1〜14及び20〜27中に示される中間体のいずれかを産生する、天然に存在しない微生物生物体を提供する。
実施例において記載されるもの並びに図1〜14及び20〜27の経路を含む図中に例示されるものを含む、本明細書中に開示される経路のいずれも、所望されるように、任意の経路中間体又は産物を産生する、天然に存在しない微生物生物体を生成するために利用することができることが理解される。本明細書中に開示されるように、中間体を産生するような微生物生物体は、所望の産物を産生するために、下流の経路酵素を発現する他の微生物生物体と組み合わせて使用することができる。しかしながら、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路中間体を産生する天然に存在しない微生物生物体は、所望の産物として中間体を産生するために利用することができることが理解される。
本発明は、一般に、代謝反応、その反応物、若しくは産物に関して又は特に、上述の代謝反応、反応物、若しくは産物と関連する若しくは触媒する酵素をコードする1以上の核酸若しくは遺伝子に関して本明細書中に記載される。本明細書中に明らかに述べられない限り、当業者は、反応に対する言及がまた、反応の反応物及び産物に対する言及にもなることを理解するであろう。同様に、本明細書中に明らかに述べられない限り、反応物又は産物に対する言及はまた、反応にも言及するものであり、これらの代謝成分のいずれかに対する言及はまた、上述の反応、反応物、又は産物を触媒する酵素をコードする遺伝子(複数可)にも言及するものである。同様に、代謝生化学、酵素学、及びゲノミクスのよく知られている分野を考慮すれば、遺伝子又はコード核酸に対する本明細書中の言及は、対応するコード酵素及びそれが触媒する反応並びに反応の反応物及び産物に対する言及にもなる。
本発明の天然に存在しない微生物生物体は、1以上の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路に関与する1以上の酵素をコードする発現可能な核酸を導入することによって産生することができる。生合成のために選ばれた宿主微生物生物体に依存して、特定の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路のいくつか又は全てについての核酸は、発現することができる。例えば、選ばれる宿主が、所望の生合成経路について1以上の酵素が欠乏している場合、欠乏した酵素(複数可)についての発現可能な核酸は、続く外因性の発現のために宿主の中に導入される。代替的に、選ばれる宿主が、いくつかの経路遺伝子の内因性の発現を示すが、他のものが欠乏している場合、コード核酸は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成を達成するための欠乏した酵素(複数可)が必要である。したがって、本発明の天然に存在しない微生物生物体は、所望の生合成経路を得るために外因性の酵素活性を導入することによって産生することができる又は所望の生合成経路は、1以上の内因性の酵素と一緒に、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸などのような所望の産物を産生する1以上の外因性の酵素活性を導入することによって得ることができる。
選択される宿主微生物生物体の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路成分に依存して、本発明の天然に存在しない微生物生物体は、少なくとも1つの外因的に発現される6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路コード核酸及び1以上のアジペート、6-アミノカプロン酸、又はカプロラクタム生合成経路についてのあらゆるコード核酸を含むであろう。例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成は、対応するコード核酸の外因性の発現を通して、経路酵素が欠乏した宿主において確立することができる。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の全ての酵素が欠乏した宿主において、経路における全ての酵素の外因性の発現を含むことができるが、宿主が経路酵素の少なくとも1つを含有していても、経路の全ての酵素を発現させることができることが理解される。
例えば、アジペートの産生のための経路における全ての酵素の外因性の発現は、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、及びアジピル-CoAシンテターゼ又はホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ又はアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ又はアジピル-CoAヒドロラーゼなどのように、宿主生物中に含めることができる。特に、宿主生物は、アジペート経路酵素、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、及びアジピル-CoAシンテターゼを含有することができる。代替的に、宿主生物は、アジペート経路酵素、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、及びホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼを含有することができる。さらに、宿主生物は、アジペート経路酵素、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、及びアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼを含有することができる。さらに、宿主生物は、アジペート経路酵素、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、及びアジピル-CoAヒドロラーゼを含有することができる。
微生物生物体を産生する6-アミノカプロン酸の場合には、6-アミノカプロン酸の産生のための経路における全ての酵素の外因性の発現は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ及びトランスアミナーゼ又はCoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ及び6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼなどのように、宿主生物中に含めることができる。カプロラクタムを産生する微生物生物体については、カプロラクタムの産生のための経路における全ての酵素の外因性の発現は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ又は6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼ、及びアミドヒドロラーゼなどのように、宿主生物中に含めることができる。他の例では、6-アミノカプロン酸(6-ACA)の産生のための経路における全ての酵素の外因性の発現は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDデカルボキシラーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は代替的にHODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDデカルボキシラーゼ;6-OHEレダクターゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は代替的にHODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDアミノトランスフェラーゼ又はOHEDオキシドレダクターゼ(アミノ化);2-AHEレダクターゼ;並びに2-AHDデカルボキシラーゼ又は代替的にHODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDアミノトランスフェラーゼ若しくは2-OHDオキシドレダクターゼ(アミノ化);並びに2-AHDデカルボキシラーゼ又は代替的にHODHアルドラーゼ;HODHギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素若しくはHODHデヒドロゲナーゼ;3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は代替的にHODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又はOHEDデヒドロゲナーゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は代替的にHODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素若しくは2-OHDデヒドロゲナーゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ若しくはアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)などのように、宿主生物中に含めることができる。さらなる態様では、上記に記載される6-ACA経路の全ては、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含むことができる。他の例では、6-アミノカプロン酸(6-ACA)の産生のための経路における全ての酵素の外因性の発現は、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ又はグルタミル-CoAリガーゼ;ベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼなどのように、宿主生物中に含めることができる。
他の例では、ヘキサメチレンジアミンの産生のための経路における全ての酵素の外因性の発現は、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、或いは6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPアシルトランスフェラーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、或いは6-アミノカプロエートCoAトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロエートCoAリガーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、或いは6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)、或いは6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートCoAトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサノエートCoAリガーゼ;6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)、或いは6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)などのように、宿主生物中に含めることができる。他の例では、ヘキサメチレンジアミンの産生のための経路における全ての酵素の外因性の発現は、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ又はリガーゼ;ベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートCoAリガーゼ;5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートCoAリガーゼ;5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、5-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ又は5-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートキナーゼ;5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-アミノピメレートCoAリガーゼ;5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-アミノピメレートCoAリガーゼ;5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートキナーゼ;5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;3、7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートレダクターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートキナーゼ;6-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いはグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレート
CoAトランスフェラーゼ又は2-アミノピメレートCoAリガーゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いは2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ;2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ又は2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼ、或いは6-アミノカプロエートレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)、或いは6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)などのように、宿主生物中に含めることができる。
選択される宿主微生物生物体の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路成分に依存して、本発明の天然に存在しない微生物生物体は、少なくとも1つの外因的に発現される6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路コード核酸及び1以上の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路についてのあらゆるコード核酸を含むであろう。例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成は、対応するコード核酸の外因性の発現を通して、経路酵素又はタンパク質が欠乏した宿主において確立することができる。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の全ての酵素又はタンパク質が欠乏した宿主において、経路における全ての酵素又はタンパク質の外因性の発現を含むことができるが、宿主が経路酵素又はタンパク質の少なくとも1つを含有していても、経路の全ての酵素又はタンパク質を発現させることができることが理解される。例えば、本明細書中に開示されるように、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生のための経路における全ての酵素又はタンパク質の外因性の発現を含むことができる。
本明細書中に提供される教示及び手引きを考慮すれば、当業者は、発現可能な形態で導入するためのコード核酸の数は、少なくとも、選択される宿主微生物生物体のアジペート、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路欠損に匹敵するであろうということを理解するであろう。そのため、本発明の天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路を構成する上記の酵素をコードする、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12の、あらゆる核酸を有することができる。いくつかの実施態様では、天然に存在しない微生物生物体はまた、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、若しくはレブリン酸生合成を促進若しくは最適化する又は宿主微生物生物体に他の有用な機能を与える他の遺伝的改変を含むことができる。他のそのような1つの機能性は、例えば、アジペート合成の場合のスクシニル-CoA及び/若しくはアセチル-CoA又は本明細書中に開示されるアジペート経路酵素を含む、6-アミノカプロン酸若しくはカプロラクタム合成の場合のアジピル-CoA若しくはアジペート又は6-アミノカプロエート合成の場合のピルベート及びコハク酸セミアルデヒド、グルタミン酸、グルタリル-CoA、ホモリジン、若しくは2-アミノ-7-オキソサバレート又はヘキサメチレンジアミン合成の場合の6-アミノカプロエート、グルタミン酸、グルタリル-CoA、ピルベート及び4-アミノブタナール、若しくは2-アミノ-7-オキソサバレートなどのような、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路前駆体の1以上の合成の増大を含むことができる。
一般に、宿主微生物生物体は、それが、所望の前駆体のデノボ産生又は宿主微生物生物体によって天然に産生される前駆体の産生の増加を提供する、天然に産生される分子として又は遺伝子操作された産物として、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の前駆体を産生するように、選択される。本明細書中に開示されるように、宿主生物は、前駆体の産生を増加させるために遺伝子操作することができる。さらに、所望の前駆体を産生するように遺伝子操作された微生物生物体は、宿主生物として使用することができ、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の酵素又はタンパク質を発現するようにさらに遺伝子操作することができる。
いくつかの実施態様では、本発明の天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を合成するための酵素の能力を含有する宿主から生成される。この特定の実施態様では、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路反応を、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸産生に向けて駆動するために、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路産物の合成又は蓄積を増加させることは有用であってもよい。合成又は蓄積の増加は、例えば、1以上の上記の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路酵素をコードする核酸の過剰発現によって達成することができる。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路酵素(複数可)の過剰発現は、例えば、内因性遺伝子(複数可)の外因性の発現を通して又は異種遺伝子(複数可)の外因性の発現を通して生じ得る。そのため、天然に存在する生物は、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路酵素をコードする少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14の、すなわち、あらゆる核酸の過剰発現を通して、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を産生する本発明の天然に存在しない微生物生物体となるように容易に生成することができる。さらに、天然に存在しない生物は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路における酵素の活性の増加をもたらす内因性遺伝子の突然変異誘発によって生成することができる。
特に有用な実施態様では、コード核酸の外因性の発現が利用される。外因性の発現は、使用者によって制御される所望の発現レベルを達成するために、発現及び/又は調節エレメントを特別の注文に応じて変更するための能力を宿主及び適用に対して与える。しかしながら、内因性の発現はまた、負の調節エフェクターを除去すること又は誘発性プロモーター若しくは他の調節エレメントに結合される場合の遺伝子のプロモーターの誘発によってなどのように、他の実施態様で利用することができる。したがって、天然に存在する誘発性プロモーターを有する内因性遺伝子は、適切な誘発剤を提供することによってアップレギュレートすることができる又は内因性遺伝子の調節領域は、誘発性調節エレメントを組み込むために遺伝子操作することができ、それによって、所望の時に、内因性遺伝子の発現の増加の調節を可能にする。同様に、誘発性プロモーターは、天然に存在しない微生物生物体の中に導入される外因性の遺伝子のための調節エレメントとして含むことができる。
本発明は、実施例XXX及び表14〜16中に開示される遺伝子破壊などのような1以上の遺伝子破壊を含む、天然に存在しない微生物生物体をさらに提供し、生物は、6-ACA、アジペート、及び/又はHMDAを産生する。遺伝子破壊が、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAの産生の増加を天然に存在しない生物に対して与えるように、遺伝子破壊が酵素の活性を低下させる場合、破壊は、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAの産生を生物の成長に結び付ける酵素をコードする遺伝子中に生じる。したがって、本発明は、1以上の遺伝子破壊を含む、天然に存在しない微生物生物体であって、1以上の遺伝子破壊は、タンパク質又は酵素をコードする遺伝子中に生じ、1以上の遺伝子破壊は、生物においてアジペート、6-ACA、及び/又はHMDA産生の増加を与える、天然に存在しない微生物生物体を提供する。本明細書中に開示されるように、そのような生物は、実施例XXX及び表14〜16中に例示されるものなどのような遺伝子破壊に加えて、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAの産生のための経路を含有する。
本発明の方法では、1以上の外因性の核酸のいずれも、本発明の天然に存在しない微生物生物体を産生するために微生物生物体の中に導入することができることが理解される。核酸は、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路を微生物生物体に与えるように導入することができる。代替的に、コード核酸は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成能力を与えるために必要とされる反応のいくつかを触媒するために、生合成能力を有する中間体微生物生物体を産生するように導入されてもよい。例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路を有する天然に存在しない微生物生物体は、所望の酵素をコードする少なくとも2つの外因性の核酸を含むことができる。アジペート産生の場合には、少なくとも2つの外因性の核酸は、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ及び3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、又はスクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ及び3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、又は3-ヒドロキシアジピル-CoA及び5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、又は3-ヒドロキシアシル-CoA及びアジピル-CoAシンセターゼ、及びその他同種のものの組合せなどのような酵素をコードすることができる。カプロラクタム産生の場合には、少なくとも2つの外因性の核酸は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ及びトランスアミナーゼ又はCoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ及びアミドヒドロラーゼ又はトランスアミナーゼ及びアミドヒドロラーゼの組合せなどのような酵素をコードすることができる。6-アミノカプロン酸産生の場合には、少なくとも2つの外因性の核酸は、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)アルドラーゼ及び2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ヒドラターゼ、又は2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ヒドラターゼ及び2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD)デカルボキシラーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ及びアジピル-CoAデヒドロゲナーゼ、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ及び6-アミノピメロイル-CoAヒドロラーゼ、又はグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ及び3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼの組合せなどのような酵素をコードすることができる。ヘキサメチレンジアミン産生の場合には、少なくとも2つの外因性の核酸は、6-アミノカプロエートキナーゼ及び[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)オキシドレダクターゼ、又は6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ及び[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)オキシドレダクターゼ、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ及び6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ及び2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ及びホモリジンデカルボキシラーゼの組合せなどのような酵素をコードすることができる。したがって、生合成経路の2つ以上の酵素の任意の組合せを本発明の天然に存在しない微生物生物体中に含むことができることが理解される。
同様に、所望の生合成経路の酵素の組合せが対応する所望の産物の産生をもたらす限り、生合成経路の3つ以上の酵素の任意の組合せ、例えば、アジペート産生の場合には、酵素であるスクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、及び3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;又はスクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ及び5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ;又はスクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ及びアジピル-CoAシンセターゼ;又は3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ及びアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ、並びにその他の組合せを、所望されるように、本発明の天然に存在しない微生物生物体中に含むことができることが理解される。6-アミノカプロン酸産生の場合には、少なくとも3つの外因性の核酸は、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)アルドラーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ヒドラターゼ及び2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)デカルボキシラーゼ、又は2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ヒドラターゼ、2-アミノヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(2-AHE)レダクターゼ及び2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD)デカルボキシラーゼ、又は3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ及びアジピル-CoAデヒドロゲナーゼ、又は6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ、6-アミノピメロイル-CoAヒドロラーゼ及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼ、又はグルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-アミノ化オキシドレダクターゼ及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼ、又は3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノエートレダクターゼ及びアジペートレダクターゼの組合せなどのような酵素をコードすることができる。ヘキサメチレンジアミン産生の場合には、少なくとも3つの外因性の核酸は、6-アミノカプロエートキナーゼ、[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)オキシドレダクターゼ及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、又は6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ及び[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)オキシドレダクターゼ、又は6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ、[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)アシルトランスフェラーゼ及び6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ、又は3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ及びホモリジンデカルボキシラーゼ、又は2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ及びホモリジンデカルボキシラーゼ、又は6-アセトアミドヘキサノエートレダクターゼ、6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼの組合せなどのような酵素をコードすることができる。同様に、所望の生合成経路の酵素の組合せが対応する所望の産物の産生をもたらす限り、本明細書中に開示される生合成経路の4つ以上の酵素の任意の組合せを、所望されるように、本発明の天然に存在しない微生物生物体中に含むことができる。
本明細書中に記載される6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成に加えて、本発明の天然に存在しない微生物生物体及び方法はまた、他のルートによって産物生合成を達成するために、互いに並びに当技術分野においてよく知られている他の微生物生物体及び方法と多種多様に組み合わせて、利用することもできる。例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸産生株の使用以外の、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を産生するためのある代替物は、アジペート、6-アミノカプロン酸、又はカプロラクタム経路中間体を、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸に変換することができる他の微生物生物体の追加を通してのものである。あるそのような手順は、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路中間体を産生する微生物生物体の発酵を含む。次いで、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路中間体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路中間体を、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸に変換する第2の微生物生物体のための基質として使用することができる。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路中間体は、第2の生物の他の培養物に直接追加することができる又は6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路中間体産生株のもとの培養物は、例えば細胞分離によってこれらの微生物生物体を除去することができ、次いで、発酵ブロスへの第2の生物の続く追加は、中間体精製ステップを伴うことなく最終産物を産生するために利用することができる。
他の実施態様では、本発明の天然に存在しない微生物生物体及び方法は、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成を達成するために、種々様々のサブ経路において組み立てることができる。これらの実施態様では、本発明の所望の産物のための生合成経路は、異なる微生物生物体に分離することができ、異なる微生物生物体は、最終産物を産生するために共培養することができる。そのような生合成スキームでは、第1の微生物生物体の産物は、最終産物が合成されるまで、第2の微生物生物体のための基質となる。例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成は、他の経路中間体又は産物へのある経路中間体の変換のための生合成経路を含有する微生物生物体を構築することによって達成することができる。代替的に、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸はまた、同じ容器中で2つの生物を使用する共培養又は同時発酵を通して、微生物生物体から生合成で産生することができ、第1の微生物生物体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸中間体を産生し、第2の微生物生物体は、中間体を、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸に変換する。
本明細書中に提供される教示及び手引きを考慮すれば、当業者は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を産生するために、他の微生物生物体、サブ経路を有する他の天然に存在しない微生物生物体の共培養、並びに当技術分野においてよく知られている他の化学的及び/又は生化学的手順の組合せに加えて、種々様々の組合せ及び入替が、本発明の天然に存在しない微生物生物体及び方法について存在することを理解するであろう。
同様に、宿主生物は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生を増加させるために、1以上の遺伝子破壊の導入のための所望の特徴に基づいて選択することができることが当業者によって理解される。したがって、遺伝的改変が、遺伝子を破壊するために宿主生物の中に導入されることになっている場合、類似するが、同一でない代謝反応を触媒するあらゆる相同体、オルソログ、又はパラログは、同様に破壊し、所望の代謝反応が十分に破壊されることを確実にすることができることが理解される。ある種の差異が、異なる生物の間の代謝ネットワーク中に存在するので、当業者は、所与の生物において破壊される実際の遺伝子が生物の間で異なってもいてもよいことを理解するであろう。しかしながら、本明細書中に提供される教示及び手引きを考慮すれば、当業者はまた、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成を増加させるであろう、対象の種の生物を構築するために必要とされる同種の代謝変動を同定するために、本発明の方法を、あらゆる適した宿主微生物に適用することができることを理解するであろう。特定の実施態様では、産生の増加は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成を生物の成長に結び付け、所望される場合、本明細書中に開示されるように、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生を生物の成長に不可避に結び付け得る。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸経路の酵素についての核酸をコードする供給源は、例えば、コード遺伝子産物が上述の反応を触媒することができるあらゆる種を含むことができる。そのような種は、古細菌及び真正細菌を含む細菌並びに酵母、植物、昆虫、動物、及びヒトを含む哺乳動物を含む真核生物を含むが、これらに限定されない、原核生物並びに真核生物の両方を含む。そのような供給源についての例示的な種は、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、大腸菌株K12、大腸菌C、大腸菌W、シュードモナス種、シュードモナス・ナックムッシ(Pseudomonas knackmussii)、シュードモナス種株B13、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・スツッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、コレラ菌(Vibrio cholera)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、セラチア・プロテアマキュランス(Serratia proteamaculans)、ストレプトマイセス種2065、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、緑膿菌PAO1、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、ラルストニア・ユートロファH16、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)、クロストリジウム・クルイベリ(Clostridium kluyveri)、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)、ラット(Rattus norvegicus)、アシネトバクター種ADP1、アシネトバクター種株M-1、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ユーバクテリウム・バーケリ(Eubacterium barkeri)、ペプトストレプトコッカス・アサッカロリチカス(Peptostreptococcus asaccharolyticus)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ボツリヌス菌A3株、クロストリジウム・チロブチリカム(Clostridium tyrobutyricum)、クロストリジウム・パスツリアヌム(Clostridium pasteurianum)、クロストリジウム・サーモアセチカム(Clostridium thermoaceticum)(ムーレラ・サーモアセチカム(Moorella thermoaceticum))、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、マウス(Mus musculus)、イノシシ(Sus scrofa)、フラボバクテリウム種、アルスロバクター・アウレッセンス(Arthrobacter aurescens)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、枯草菌(Bacillus subtilis)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、マンヘミア・サクシニシプロデュセンス(Mannheimia succiniciproducens)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アクロモバクター・デニトリフィカンス(Achromobacter denitrificans)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、アシダミノコッカス・ファーメンタンス(Acidaminococcus fermentans)、クロストリジウム種M62/1、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ウシ(Bos taurus)、ズーグレア・ラミゲラ(Zoogloea ramigera)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、メタッロスパエラ・セドゥラ(Metallosphaera sedula)、サーモアナエロバクター種、サーモアナエロバクター・ブロッキー(Thermoanaerobacter brockii)、アシネトバクター・ベイリー(Acinetobacter baylyi)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、スルホロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)、スルホロブス・トコダイイ7、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、スルホロブス・ソルファタリカス、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、サルモネラ菌(Salmonella enterica)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、ハロバクテリウム・サリナルム(Halobacterium salinarum)、セレウス菌(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、アルカリフィラス・メタリレジゲンス(Alkaliphilus metalliredigens)、サーモアナエロバクター・テングコンゲンシス(Thermoanaerobacter tengcongensis)、サッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、クロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム(Clostridium saccharoperbutylacetonicum)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、ストレプトマイセス・クラブリゲラス(Streptomyces clavuligerus)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、高度好熱菌(Thermus thermophilus)、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム(Pelotomaculum thermopropionicum)、バクテロイデス・カピロスス(Bacteroides capillosus)、アナエロツルンカス・コリホミニス(Anaerotruncus colihominis)、ナトラナエロビウス・サーモフィラス(Natranaerobius thermophilius)、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、アーケオグロブス・フルギダスDSM 4304、ハロアーキュラ・マリスモルツイ(Haloarcula marismortui)、ピロバキュラム・アエロフィラム(Pyrobaculum aerophilum)、ピロバキュラム・アエロフィラム株IM2、タバコ(Nicotiana tabacum)、ペパーミント(Menthe piperita)、テーダマツ(Pinus taeda)、オオムギ(Hordeum vulgare)、トウモロコシ(Zea mays)、ロドコッカス・オパカス(Rhodococcus opacus)、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、ブラディリゾビウム・ジャポニクムUSDA110、ブタ回虫(Ascarius suum)、酪酸エステル産生細菌L2-50、巨大菌(Bacillus megaterium)、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)、メタノサルシーナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)、メタノサルシーナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)、メタノサルシーナ・バーケリ(Methanocarcina barkeri)、メタノカルドコッカス・ジャナスキイ(Methanocaldococcus jannaschii)、線虫(Caenorhabditis elegans)、森林型熱帯リーシュマニア(Leishmania major)、メチロマイクロビウム・アルカリフィラム(Methylomicrobium alcaliphilum)20Z、クロモハロバクター・サレキシゲンス(Chromohalobacter salexigens)、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeglobus fulgidus)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、腟トリコモナス(trichomonas vaginalis)G3、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、マイコプラナ・ラモサ(Mycoplana ramosa)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、アセトバクター・パスツリアンス(Acetobacter pasteurians)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、リシニバシラス・スフェリカス(Lysinibacillus sphaericus)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)SC5314、バークホルデリア・アンビファリア(Burkholderia ambifaria)AMMD、ブタ回虫、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanii)、アシネトバクター・カルコアセティカス、バークホルデリア・フィマタム(Burkholderia phymatum)、カンジダ・アルビカンス、クロストリジウム・サブターミナレ(Clostridium subterminale)、カプリアビダス・タイワンエンシス(Cupriavidus taiwanensis)、フラボバクテリウム・ルテセンス(Flavobacterium lutescens)、ラカンセア・クルイベリ(Lachancea kluyveri)、ラクトバチルス種30a、レプトスピラ・インターロガンス(Leptospira interrogans)、ムーレラ・サーモアセチカ、ミキソコッカス・ザンサス(Myxococcus xanthus)、ニコチアナ・グルチノーサ(Nicotiana glutinosa)、ノカルジア・イオウエンシス(Nocardia iowensis)(種NRRL 5646)、シュードモナス・レイネケイ(Pseudomonas reinekei)MT1、ラルストニア・ユートロファJMP134、ラルストニア・メタリデュランス(Ralstonia metallidurans)、ロドコッカス・ジョスティー(Rhodococcus jostii)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、セレノモナス・ルミナチウム(Selenomonas ruminantium)、ストレプトマイセス・クラブリゲラス(Streptomyces clavuligerus)、シントロファス・アシディトロフィカス(Syntrophus aciditrophicus)、腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、及び本明細書中に開示される又は対応する遺伝子についての供給源の生物として入手可能な他の例示的な種(実施例を参照されたい)を含む。しかしながら、今のところ入手可能な完全なゲノム配列は、395の微生物ゲノム並びに様々な酵母、菌類、植物、及び哺乳動物ゲノムを含めて550種以上であり(これらの半分以上がNCBIなどのような公的なデータベースで入手可能)、例えば、既知の遺伝子の相同体、オルソログ、パラログ、及び非オルソロガス遺伝子置換を含む、近縁又は遠縁の種における1以上の遺伝子についての、必須の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成活性をコードする遺伝子の同定、並びに生物間の遺伝的改変の交換は、ルーチン的であり、当技術分野においてよく知られている。したがって、大腸菌などのような特定の生物に関して本明細書中に記載される6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成を可能にする代謝変動は、同様に、原核生物及び真核生物を含めて、他の微生物に容易に適用することができる。本明細書中に提供される教示及び手引きを考慮すれば、当業者は、ある生物において例示される代謝変動を等しく他の生物に適用することができることが分かるであろう。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路が非近縁の種において存在する場合などのようないくつかの場合において、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成は、例えば、類似するが、同一でない代謝反応を触媒して、上述の反応に取って代わる、非近縁の種に由来するパラログ(複数可)の外来性の発現によって宿主種に与えることができる。代謝ネットワークの中のある種の差異が様々な生物の間に存在するので、当業者は、様々な生物の間の実際の遺伝子利用が異なるかもしれないことを理解するであろう。しかしながら、本明細書中に提供される教示及び手引きを考慮すれば、当業者はまた、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を合成するであろう興味のある種の微生物生物体を構築するために、本明細書中に例示されるものに対する同種の代謝変動を使用して、本発明の教示及び方法を、全ての微生物生物体に適用することができることを理解するであろう。
宿主微生物生物体は、例えば、細菌、酵母、菌類、又は発酵プロセスに適用可能な様々な他の微生物のいずれかから選択することができ、天然に存在しない微生物生物体は、それから得ることができる。例示的な細菌は、大腸菌、クレブシエラ・オキシトカ、アナエロビオスピリルム・サクシニシプロデュセンス(Anaerobiospirillum succiniciproducens)、アクチノバチルス・サクシノゲネス、マンヘミア・サクシニシプロデュセンス、インゲン根粒菌(Rhizobium etli)、枯草菌、コリネバクテリウム・グルタミクム、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、ザイモモナス・モビリス、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ストレプトマイセス・セリカラー、クロストリジウム・アセトブチリカム、シュードモナス・フルオレッセンス、及びシュードモナス・プチダから選択される種を含む。例示的な酵母又は菌類は、出芽酵母、分裂酵母、クルイベロマイセス・ラクチス、クルイベロマイセス・マルキシアナス(Kluyveromyces marxianus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クロコウジカビ、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、リゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・オリーゼ(Rhizopus oryzae)、及びその他同種のものから選択される種を含む。例えば、大腸菌は、遺伝子工学に適した十分に特徴付けられた微生物生物体であるので、特に有用な宿主生物である。他の特に有用な宿主生物は、出芽酵母などのような酵母を含む。代謝的及び/又は遺伝的改変を導入して、所望の産物を産生するために、あらゆる適した微生物宿主生物を使用することができることが理解される。
天然に存在しない、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸を産生する宿主を構築する及びその発現レベルを試験するための方法は、例えば、当技術分野においてよく知られている組換え及び検出方法によって実行することができる。そのような方法は、例えば、Sambrookらの文献、分子クローニング:ラボラトリーマニュアル、第3版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Ed.)、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク(2001);及びAusubelらの文献、分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley and Sons、ボルティモア、MD(1999)において記載されていることが分かる。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生のための経路に関与する外因性の核酸配列は、コンジュゲーション、エレクトロポレーション、化学変換、形質導入、トランスフェクション、及び超音波形質転換を含むが、これらに限定されない、当技術分野においてよく知られている技術を使用して、宿主細胞の中に安定して又は一過性に導入することができる。大腸菌又は他の原核細胞における外因性の発現については、真核生物の核酸の遺伝子又はcDNAにおけるいくつかの核酸配列は、所望の場合、原核宿主細胞への形質転換の前に除去することができる、N末端ミトコンドリアシグナル又は他の標的シグナルなどのような標的シグナルをコードすることができる。例えば、ミトコンドリアリーダー配列の除去は、大腸菌における発現の増加に至った(Hoffmeisterら、J. Biol. Chem. 280:4329-4338(2005)。酵母又は他の真核細胞における外因性の発現については、遺伝子は、リーダー配列を追加することなくサイトゾル中に発現させることができる又はミトコンドリア若しくは他の細胞小器官に向けることができる又は宿主細胞に適したミトコンドリア標的シグナル若しくは分泌シグナルなどのような適した標的配列の追加によって分泌のために向けることができる。したがって、標的配列を除去する又は含めるための、核酸配列への適切な改変は、望ましい特性を与えるために外因性の核酸配列の中に組み込むことができることが理解される。さらに、遺伝子は、タンパク質の発現の最適化を達成するために、当技術分野においてよく知られている技術を用いてコドン最適化にかけることができる。
発現ベクター(複数可)は、宿主生物において機能的な発現制御配列に機能的に連結した、本明細書中に例示される、1以上の、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸生合成経路をコードする核酸を含めるように構築することができる。本発明の微生物宿主生物における使用に適用可能な発現ベクターは、例えば、宿主染色体の中への安定性の統合のために操作可能なベクター及び選択配列又はマーカーを含む、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体を含む。さらに、発現ベクターは、1以上の選択可能なマーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。例えば、抗生物質若しくは毒素に対する抵抗性を提供する、栄養要求性の欠損を補完する、又は培養基中にない決定的な栄養素を供給する選択可能なマーカー遺伝子もまた、含むことができる。発現制御配列は、当技術分野においてよく知られている恒常的な及び誘発性のプロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーター、並びにその他同種のものを含むことができる。2つ以上の外因性のコード核酸が同時発現されることになっている場合、両方の核酸は、例えば、単一の発現ベクターの中に又は別々の発現ベクター中に挿入することができる。単一のベクター発現については、コード核酸は、1つの共通の発現制御配列に作動可能に結合させることができる又は1つの誘発性のプロモーター及び1つの恒常的なプロモーターなどのように異なる発現制御配列に結合させることができる。代謝又は合成経路に関与する外因性の核酸配列の形質転換は、当技術分野においてよく知られている方法を使用して確認することができる。そのような方法は、例えば、mRNAのノーザンブロット若しくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などのような核酸分析又は遺伝子産物の発現についてのイムノブロッティング又は導入された核酸配列若しくはその対応する遺伝子産物の発現を試験するための他の適した分析方法を含む。外因性の核酸は、所望の産物を産生するのに十分な量で発現されることが当業者によって理解され、発現レベルは、当技術分野においてよく知られており、本明細書中に開示される方法を使用して、十分な発現を得るために最適化することができることがさらに理解される。
定向進化は、酵素の特性を改善する及び/又は変化させるために特異的な遺伝子を標的とする、突然変異の導入を伴う1つのアプローチである。改善された及び/又は変化した酵素は、有用な変異体の同定を可能にする実施態様のスクリーニングアッセイを通して同定することができる。特に有用なスクリーニング方法は、多くの酵素変異体(例えば>104)の自動スクリーニングを可能にする感度のよいハイスループットアッセイを含む。反復回の突然変異誘発及びスクリーニングは、最適化された特性を有する酵素を同定するために典型的に実行される。スクリーニングされる変異体の数が多いほど、理想的に適した変異体を同定する可能性は高くなる。突然変異誘発のための遺伝子のエリアを同定するのを支援することができる計算アルゴリズムもまた、開発されており、生成され、スクリーニングされる必要がある酵素変異体の数を著しく低下させることができる。
多数の定向進化技術は、開発されており(検討のために、Hibbertら、Biomol.Eng 22:11-19(2005);Huisman及びLalondeの文献、医薬及びバイオテクノロジー産業における生体触媒(In Biocatalysis in the pharmaceutical and biotechnology industries)717-742ページ(2007)、Patel(編)、CRC Press;Otten及びQuax.ら、Biomol.Eng 22:1-9(2005).;並びにSenら、Appl Biochem.Biotechnol 143:212-223(2007)を参照されたい)、多様な変異体ライブラリーを作製する時に有効となり、これらの方法は、多くの酵素のクラスにわたって、広範囲の特性の改善にうまく適用されてきた。
定向進化技術によって改善された及び/又は変化した酵素の特徴は、例えば、選択性/特異性(非天然基質の変換のため);温度安定性(激しい高温プロセシングのため);pH安定性(低又は高pH条件下のバイオプロセシングのため);基質又は産物の耐性(高産物タイターを達成することができるように);結合(Km)(非天然基質を含むように基質結合を広げる);阻害(Ki)(産物、基質、又は重要中間体による阻害を除去するため);活性(kcat)(所望の流量を達成するために酵素反応速度を増加させる);発現レベル(タンパク質収率及び全体的な経路流量を増加させる);酸素安定性(好気条件下での空気感受性の酵素の操作のため);及び嫌気活性(酸素の非存在下における好気性酵素の操作のため)を含む。
以下の例示的な方法は、特定の酵素の所望の特性を標的とするために、遺伝子の突然変異誘発及び多様化のために開発されてきた。これらのいずれも、デカルボキシラーゼ酵素の活性を変化させる/最適化するために使用することができる。
EpPCR(Pritchardら、J Theor.Biol 234:497-509(2005))は、Mn2+イオンの追加によって、dNTP濃度を偏らせることによって、又は他の条件的なバリエーションによって、PCR反応において、DNAポリメラーゼのフィデリティーを低下させることによって、ランダムな点突然変異を導入する。対象の標的遺伝子に突然変異誘発を制限するための5ステップのクローニングプロセスは:1)対象の遺伝子のエラープローンPCR増幅;2)制限酵素による消化;3)所望のDNA断片のゲル精製;4)ベクター中へのライゲーション;5)適した宿主への遺伝子変異体の形質転換及び改善された性能についてのライブラリーのスクリーニングを含む。この方法は、有用となり得る、単一の遺伝子における複数の突然変異を同時に生成することができる。多くの突然変異体は、EpPCRによって生成することができ、そのため、ハイスループットスクリーニングアッセイ又は選択法(とりわけロボット工学を使用する)は、望ましい特徴を有するものを同定するのに有用である。
エラープローンローリングサークル増幅(Error-prone Rolling Circle Amplification)(epRCA)(Fujiiら、Nucleic Acids Res 32:el45(2004);及びFujiiら、Nat.Protoc. 1:2493-2497(2006))は、全環状プラスミドが鋳型として使用され、最後の2つのヌクレオチド上にエキソヌクレアーゼ抵抗性のチオホスフェート結合を有するランダムな6塩基長が、プラスミドを増幅するために使用され、その後に、その中でプラスミドがタンデムリピートで再度環状化する細胞への形質転換が続く以外は、epPCRと同じ、多くのエレメントを有する。Mn2+濃度の調節により、突然変異率を多少変動させることができる。この技術は、3〜4の突然変異/kbpを有するプラスミドの完全なコピーを生成するために、単純なエラープローンの単一ステップの方法を使用する。制限酵素による消化又は特異的なプライマーは、必要とされない。さらに、この方法は、典型的に、キットとして入手可能である。
DNA又はファミリーシャフリング(Stemmer、Proc Natl Acad Sci U.S.A. 91: 10747-10751(1994);及びStemmer、Nature 370:389-391(1994))は、典型的に、キメラ遺伝子のライブラリーを生成するためにDNAポリメラーゼの存在下においてアニーリング及び伸長のサイクルによって再構成されるランダムな断片のプールを生成するために、Dnase I又はEndoVなどのようなヌクレアーゼを用いる2つ以上の変異体遺伝子の消化を含む。断片は互いにプライムし、あるコピーが他のコピーにプライムすると、組換えが生じる(鋳型スイッチ)。この方法は、>1kbp DNA配列で使用することができる。断片再構成によって作製された突然変異組換え体に加えて、この方法は、エラープローンPCRに類似する率で伸長ステップにおいて点突然変異を導入する。この方法は、抗原性を与えるかもしれない、有害で、ランダムな中立突然変異を除去するために使用することができる。
付着伸長(Staggered Extension)(StEP)(Zhaoら、Nat.Biotechnol 16:258-261(1998))は、鋳型プライミングを伴い、その後に、変性及び非常に短い期間のアニーリング/伸長(5秒ほど)の2ステップのPCRの繰り返しサイクルが続く。成長している断片は、異なる鋳型にアニールし、さらに伸長し、これは、完全長配列が作製されるまで繰り返される。鋳型スイッチングは、ほとんどの結果として生じる断片が複数の親を有することを意味する。低フィデリティーポリメラーゼの組合せ(Taq及びMutazyme)により、相反する突然変異スペクトルのために、エラープローンの偏りが低下する。
ランダムプライミング組換え(Random Priming Recombination)(RPR)では、ランダム配列プライマーは、鋳型の異なるセグメントに相補的な多くの短いDNA断片を生成するために使用される。(Shaoら、Nucleic Acids Res 26:681-683(1998))epPCRを介しての塩基誤取込み及びミスプライミングにより点突然変異が生じる。短いDNA断片は、相同性に基づいて互いにプライムし、組換えられ、サーモサイクリングの繰り返しによって完全長に再構成される。このステップ前の鋳型の除去は、親の組換え体を少なくするのを確実にする。この方法は、ほとんどの他のものと同様に、別個の特性を進化させるために複数回の繰り返しによって実行することができる。この技術は、配列の偏りを回避し、遺伝子長に依存せず、適用のために親DNAをほとんど必要としない。
ヘテロ二本鎖組換えでは、直線化されたプラスミドDNAは、ミスマッチ修復によって修復されるヘテロ二本鎖を形成するために使用される。(Volkovら、Nucleic Acids Res 27:e18(1999);及びVolkovら、Methods Enzymol. 328:456-463(2000))。ミスマッチ修復ステップは、少なくとも、多少、突然変異誘発性である。ヘテロ二本鎖は、直鎖状のホモ二本鎖よりも効率的に変形する。この方法は、大きな遺伝子及び全オペロンに適している。
一時的な鋳型上のランダムなキメラ生成(Random Chimeragenesis on Transient Templates)(RACHITT)(Cocoら、Nat.Biotechnol 19:354-359(2001))は、ssDNAのDnase I断片化及びサイズ分画を利用する。相同の断片は、相補的なssDNA足場に、ポリメラーゼの非存在下においてハイブリダイズする。いかなるオーバーラップ非ハイブリダイズ断片末端も、エキソヌクレアーゼによって切り取られる。断片の間のギャップは充填され、次いでライゲーションされ、足場(増幅を妨げるためにUを含有する)にハイブリダイズした、完全長の多様な鎖のプールが生じる。次いで、足場は、破壊され、PCR増幅によって、多様な鎖に相補的な新しい鎖と交換される。方法は、たった1つの親に由来する1本の鎖(足場)を含み、プライムする断片は、他の遺伝子に由来し;親足場を除くように選択がなされる。したがって、親の断片との再アニーリングは生じない。オーバーラップしている断片は、エキソヌクレアーゼにより切り取られる。他の場合には、これは、DNAシャフリング及びStEPに概念的に類似する。そのため、同じ親を持つ集団はなく、不活性体はほとんどなく、非シャフルの親はないはずである。この技術は、親の遺伝子がほとんど又は全く作製されず、標準のDNAシャフリングと比較して、さらに多くの交差型が生じ得るという点で利点を有する。
切断型鋳型上の組換え伸長(Recombined Extension on Truncated templates)(RETT)は、鋳型のプールとして使用される一方向のssDNA断片の存在下において、プライマーから一方向に成長する鎖の鋳型スイッチングを伴う(Lee et al., J. Molec. Catalysis 26: 119-129(2003))。DNAエンドヌクレアーゼは使用されない。一方向のssDNAは、ランダムプライマーを用いてDNAポリメラーゼによって又はエキソヌクレアーゼによる連続的な欠失によって作製される。一方向のssDNAは、プライマーではなく鋳型のみである。ランダムプライミング及びエキソヌクレアーゼは、DNAシャフリング/RACHITTの酵素切断に該当する配列の偏りを招かない。RETTは、非常に短い伸長の代わりに通常のPCR条件を使用するので、StEPよりも最適化するのがより容易になり得る。組換えは、PCRステップの構成部分として生じる-直接的なシャフリングではない。この方法はまた、休止期がないために、StEPよりもランダムにもなり得る。
縮重オリゴヌクレオチド遺伝子シャフリング(Degenerate Oligonucleotide Gene Shuffling)(DOGS)では、縮重プライマーは、分子の間の組換えを制御するために使用される;(Bergquist及びGibbs、Methods Mol.Biol 352:191-204(2007); Bergquistら、Biomol.Eng 22:63-72(2005);Gibbsら、Gene 271:13-20(2001))。これは、DNAシャフリングなどのような他の方法が親の遺伝子を再生成する傾向を制御するために使用することができる。この方法は、選択された遺伝子セグメントのランダム突然変異誘発(epPCR)と組み合わせることができる。これは、親の配列の再構成をブロックするのに好適な方法となり得る。エンドヌクレアーゼは必要ではない。作製されるセグメントの入力濃度を調節することによって、所望の主鎖に偏らせることができる。この方法は、制限酵素消化物を伴うことなく、非近縁の親からのDNAシャフリングを可能にし、ランダム突然変異誘発方法の選択を可能にする。
ハイブリッド酵素の生成のためのインクリメンタルトランケーション(Incremental Truncation for the Creation of Hybrid Enzymes)(ITCHY)は、対象の遺伝子又は遺伝子断片の1塩基対欠失を有するコンビナトリアルライブラリーを生成する(Ostermeierら、Proc Natl Acad Sci U.S.A. 96:3562-3567(1999);及びOstermeierら、Nat.Biotechnol 17: 1205-1209(1999))。切断部分は、2つの異なる遺伝子の部分に反対方向に導入される。これらはともにライゲーションされ、融合物は、クローニングされる。この技術は、2つの親の遺伝子の間の相同性を必要としない。ITCHYがDNAシャフリングと組み合わせられる場合、このシステムはSCRATCHYと呼ばれる(以下を参照されたい)。両方の主な利点は、親の遺伝子の間の相同性が必要ではないことである;例えば、大腸菌及びヒト遺伝子の間の機能的融合物は、ITCHYを介して作製された。ITCHYライブラリーが作製されると、全ての可能な交差型が獲得される。
ハイブリッド酵素の生成のためのチオ-インクリメントトランケーション(Thio-Incremental Truncation for the Creation of Hybrid Enzymes)(THIO-ITCHY)は、トランケーションを生成するためにホスホロチオエートdNTPが使用される以外は、ITCHYに類似する(Lutzら、Nucleic Acids Res 29:E16(2001))。ITCHYと比較して、THIO-ITCHYは、最適化するのがより容易になり得、より多くの再現性及び順応性を提供する。
SCRATCHYは、遺伝子を組換えるための2つの方法、ITCHY及びDNAシャフリングを組み合わせる(Lutzら、Proc Natl Acad Sci U.S.A. 98:11248-11253(2001))。SCRATCHYは、ITCHY及びDNAシャフリングの最良の特徴を組み合わせる。最初に、ITCHYは、DNA相同性非依存的な方法で遺伝子の断片の間の融合物の包括的なセットを生成するために使用される。次いで、この人工ファミリーは、交差型の数を増大させるためのDNAシャフリングステップにかけられる。計算による予測は、最適化において使用することができる。配列同一性が80%未満である場合、SCRATCHYはDNAシャフリングよりも有効である。
ランダムドリフト突然変異誘発(Random Drift Mutagenesis)(RNDM)では、突然変異は、epPCR、その後に続く、使用可能な活性を保持するものを求めるスクリーニング/選択を介して作製される(Bergquistら、Biomol.Eng 22:63-72(2005))。次いで、これらは、複数の活性突然変異体の間の又は活性突然変異体及び他のいくつかの望ましい親の間の融合物を用いて組換え体を生成するために、DOGSにおいて使用される。中立突然変異の単離を促進するために設計されるので、その目的は、この活性がもとの遺伝子よりも高い又は低いかどうかに関わらず、保持される触媒活性についてスクリーニングすることである。スクリーニングが、バックグラウンドより高い活性を検出することができる場合、RNDMは、ハイスループットアッセイにおいて使用可能である。RNDMは、多様性を生成する際にDOGSの前ステップとして使用された。この技術は、シャフリング又は他の続くステップ前に活性を必要とし;ニュートラルドリフトライブラリーは、より小さなライブラリーからの活性におけるより高く/より即時の改善をもたらすことが示される。epPCRを使用して公開されているが、これは、他の大規模突然変異誘発方法に適用され得る。
配列飽和突然変異誘発(Sequence Saturation Mutagenesis)(SeSaM)は、1)ホスホチオエートヌクレオチド及び切断のランダムな取込みを使用して、ランダムな長さ断片のプールを生成するランダム突然変異誘発方法であり;このプールは、鋳型として使用され、2)イノシンなどのような「一様の」塩基の存在下において伸長し;3)イノシン含有相補体の複製は、ランダムな塩基取込み及び結果的に突然変異誘発を生ずる(Wongら、Biotechnol J 3:74-82(2008);Wongら、Nucleic Acids Res 32:e26(2004);及びWongら、Anal.Biochem. 341:187-189(2005))。この技術を使用すると、単純な方法を使用して、2〜3日以内に突然変異体の大きなライブラリーを生成することが可能となり得る。この技術は、DNAポリメラーゼの突然変異の偏りと比較して非特異的である。このアプローチにおける差異は、この技術を、epPCRに対して補足的な(又は代替の)ものにする。
合成シャフリングでは、オーバーラップするオリゴヌクレオチドは、「標的中の全ての遺伝的多様性」をコードするように設計され、シャフリングされた後代について非常に高い多様性を可能にする(Nessら、Nat.Biotechnol 20: 1251-1255(2002))。この技術では、シャフリングされることとなる断片を設計することができる。これは、後代の、結果として生じる多様性を増加させることを援助する。より遠縁の配列が、より近縁の配列で観察されるものに近い速度で組み換わるように、配列/コドンバイアスを設計することができる。さらに、技術は、物理的に鋳型遺伝子を有することを必要としない。
ヌクレオチド交換及び切除技術(Nucleotide Exchange and Excision Technology)NexTは、エンドポイントのDNA断片化を実行するためにウラシルDNAグリコシラーゼ及び次いでピペリジンを用いる処理が後に続くdUTP取込みの組合せを利用する(Muller et al., Nucleic Acids Res 33:ell7(2005))。遺伝子は、校正ポリメラーゼを用い、内部PCRプライマー伸長を使用して再構成される。シャフリングのためのサイズは、種々のdUPT::dTTP比を使用して直接制御可能である。これは、ウラシル取込み及び切断のための単純な方法を使用するエンドポイント反応である。8-オキソ-グアニンなどのような他のヌクレオチド類似体は、この方法と共に使用することができる。さらに、技術は、非常に短い断片(86bp)で十分に作用し、エラー率が少ない。この技術において使用されるDNAの化学的切断は、非シャフルクローンをほとんどもたらさない。
配列相同性非依存的タンパク質組換え(Sequence Homology-Independent Protein Recombination)(SHIPREC)では、リンカーは、2つの遠縁/非近縁の遺伝子の間の融合を促進するために使用される。ヌクレアーゼ処理は、2つの遺伝子の間で一連のキメラを生成するために使用される。これらの融合は、単一交差型のハイブリッドのライブラリーをもたらす(Sieberら、Nat.Biotechnol 19:456-460(2001))。これは、制限のあるタイプのシャフリングを産生し、別々のプロセスが突然変異誘発に必要とされる。さらに、相同性は、必要ではないので、この技術は、2つの非近縁の親遺伝子のそれぞれの種々の部分を有するキメラのライブラリーを生成することができる。SHIPRECは、哺乳動物CP450のN末端領域に融合された細菌CP450のヘム結合ドメインを用いて試験された;これは、より可溶性の酵素において哺乳動物活性をもたらした。
遺伝子部位飽和突然変異誘発(Gene Site Saturation Mutagenesis)(商標)(GSSM(商標))では、出発物質は、挿入物を含有するスーパーコイルdsDNAプラスミド及び突然変異の所望の部位で縮重している2つのプライマーである(Kretzら、Methods Enzymol. 388:3-11(2004))。対象の突然変異を運ぶプライマーは、DNAの逆の鎖上の同じ配列にアニールする。突然変異は、典型的に、プライマーの真中にあり、それぞれの側に、約20ヌクレオチドの正確な配列が側面に位置する。プライマー中の配列は、NNN又はNNK(コード)及びMNN(非コード)(N=4つ全て、K=G、T、M=A、C)である。伸長の後に、DpnIは、野生型鋳型を排除するように、damメチル化DNAを消化するために使用される。この技術は、所与の座での全ての可能なアミノ酸置換(つまり1つのコドン)を調査する。技術は、ナンセンスコドンのない単一の部位で全ての可能な置換の生成を促進し、ほとんどの可能な対立遺伝子の同等の〜ほぼ同等の表現をもたらす。この技術は、標的酵素の構造、メカニズム、又はドメインの予備的知識を必要としない。シャフリング又は遺伝子再構成が続く場合、この技術は、単一部位のアップ突然変異の全ての可能な組合せを含有する組換え体の多様なライブラリーを生成する。この技術の組合せの有用性は、50以上の異なる酵素の進化の成功について、さらに、所与の酵素における1つを超える特性について実証されてきた。
コンビナトリアルカセット突然変異誘発(Combinatorial Cassette Mutagenesis)(CCM)は、制限された領域を多くの可能なアミノ酸配列変化と交換するために、短いオリゴヌクレオチドカセットの使用を伴う(Reidhaar-Olsonら、Methods Enzymol. 208:564-586(1991);及びReidhaar-Olsonら、Science 241:53-57(1988))。この技術を使用して、2つ又は3つの部位での同時の置換が可能である。さらに、方法は、部位の制限された範囲での可能な配列変化の多くの多重性を試験する。この技術は、ラムダリプレッサーDNA結合ドメインの情報量を調査するために使用された。
コンビナトリアルマルチプルカセット突然変異誘発(Combinatorial Multiple Cassette Mutagenesis)(CMCM)は、より大きなプログラムの一部としてそれが利用される以外は、CCMに本質的に類似する:1)2)IDホットスポット及びホット領域に対する高い突然変異率でのepPCRの使用、次いで3)タンパク質配列スペースの定義される領域をカバーするためのCMCMによる伸長(Reetz, M. T.、S. Wilensek、D. Zha、及びK. E. Jaeger、2001、「コンビナトリアルマルチプルカセット突然変異誘発を通してのエナンチオ選択性酵素の定向進化(Directed Evolution of an Enantioselective Enzyme through Combinatorial Multiple-Cassette Mutagenesis.)」、Angew.Chem.Int.Ed Engl. 40:3589-3591.)CCMでのように、この方法は、標的部位上の事実上全ての可能な変化を試験することができる。ランダム突然変異及びシャフル遺伝子を生成するための方法と共に使用される場合、それは、多様なシャフルタンパク質を生成する優れた手段を提供する。このアプローチは、51倍、酵素のエナンチオ選択性を増加させることに成功した。
ミューテーター株技術では、条件的なtsミューテータープラスミドは、選択の間に、ランダムで自然な突然変異の頻度の20〜4000倍の増加を可能にし、選択が必要とされない場合、有害突然変異の蓄積をブロックする(Selifonovaら、Appl Environ Microbiol 67:3645-3649(2001))。この技術は、DNAポリメラーゼIIIの突然変異体サブユニットをコードするプラスミド由来mutD5遺伝子に基づく。このサブユニットは、内因性のDNAポリメラーゼIIIに結合し、プラスミドを持つあらゆる株においてポリメラーゼIIIの校正能力を損う。広域スペクトルの塩基置換及びフレームシフト突然変異が生じる。有効な使用の順で、一旦所望の表現型が達成されれば、ミューテータープラスミドは除去されるはずである;これは温度感受性の複製の起源を通して達成され、これは、41℃でプラスミドのキュアリングを可能にする。かなり長い間、ミューテーター株が調査されてきたことが注目されたい(例えば、Lowら、J. Mol. Biol. 260:359-3680(1996)を参照されたい)。この技術では、非常に高い自然突然変異率が観察される。条件的な特性は、所望されないバックグラウンド突然変異を最小限にする。この技術は、突然変異誘発率を増強し、所望の表現型をより急速に達成するために適応進化と組み合わせることができる。
「ルックスルー突然変異誘発(Look-Through Mutagenesis)(LTM)は、選択されるアミノ酸のコンビナトリアル突然変異を評価し、最適化する多次元突然変異誘発方法である」(Rajpalら、Proc Natl Acad Sci U.S.A. 102:8466-8471(2005))。全ての可能なアミノ酸変化をそれぞれの部位に飽和させるのではなく、9つのセットが、アミノ酸R基の化学的性質の範囲をカバーするように選ばれる。部位当たりのより少数の変化は、複数の部位がこの種の突然変異誘発にかけられることを可能にする。低ナノモル〜ピコモルの抗体についての結合親和性の>800倍の増加は、この方法を通して達成された。この方法は、ランダムな組合せの数を最小限にするための合理的なアプローチであり、スクリーニングされることとなるクローンの数を大幅に減少させることによって、改善された形質を見つけるための能力を増加させることができる。これは、特に、結合親和性を増加させる及び/又は解離を低下させるために、抗体工学に適用されてきた。技術は、スクリーニング又は選択と組み合わせることができる。
遺伝子再構成は、1度に複数の遺伝子に又は単一遺伝子のキメラの多くのライブラリー(複数の突然変異)の作製に適用することができるDNAシャフリング方法である(Verenium社によって供給されるTunable GeneReassembly(商標)(TGR(商標))Technology supplied)。典型的に、この技術は、所望の改善のために、代表される配列スペースを求めるために、ウルトラハイスループットスクリーニングと組み合わせて使用される。この技術は、相同性と無関係の複数の遺伝子組換えを可能にする。交差事象の正確な数及び位置は、生物情報学の分析を介して設計される断片を使用してあらかじめ決定することができる。この技術は、事実上、親遺伝子再構成を伴うことなく、且つ低レベルの不活性遺伝子により、非常にハイレベルの多様性に至る。GSSM(商標)と組み合わせて、広い範囲の突然変異を、改善された活性について試験することができる。方法は、DNAシャフリングの「ブレンド」及び「微調整」を可能にし、例えば、コドン使用頻度を最適化することができる。
インシリコプロテインデザインオートメーション(Protein Design Automation)(PDA)は、特定のフォールドを有する、構造上決定されたタンパク質主鎖を固定し、フォールド及び全体的なタンパク質エネルギー特性を安定させることができるアミノ酸置換のための配列スペースを検索する最適化アルゴリズムである(Hayesら、Proc Natl Acad Sci U.S.A. 99:15926-15931(2002))。この技術は、タンパク質アミノ酸バリエーションに向けて構造の耐性を検索するために、インシリコ構造ベースのエントロピー予測において使用する。統計力学は、それぞれの位置での結合相互作用を計算するために適用される。アミノ酸置換に向けての構造の耐性は、結合の指標である。最終的に、この技術は、構造の特徴の完全性を維持しながら、タンパク質特性の所望の改変を得るために設計される。方法は、非常に多くの可能な配列変異体を計算により評価し、それらのフィルタリングを可能にする(1050)。試験するための配列変異体の選択は、最も好都合な熱力学に基づく予測に関する。表面上、安定性又は安定性に関連付けられる特性のみを、この技術を用いて効率的に検討することができる。方法は、いくつかの治療用タンパク質において、とりわけ、免疫グロブリンを遺伝子操作するのにうまく使用されてきた。インシリコ予測は、非常に多くの潜在的な変異体を試験することを回避する。既存の三次元構造に基づく予測は、仮説の構造に基づく予測よりも成功する可能性があるように思われる。この技術は、複数の同時の突然変異を容易に予測することができ、それらの標的スクリーニングを可能にし、これは、数の指数関数的な増加のために、時に、純粋に実験的な技術を用いても可能でない。
反復飽和突然変異誘発(Iterative Saturation Mutagenesis)(ISM)は:1)酵素改善について有望な部位を選ぶための構造/機能についての使用情報;2)Stratagene QuikChange(又は他の適した手段)を使用する選ばれた部位での飽和突然変異誘発;3)所望の特性についてのスクリーニング/選択;及び、4)改善されたクローンを用いて、他の部位でのやり直し及び繰り返しの継続を伴う(Reetzら、Nat.Protoc. 2:891-903(2007);及びReetzら、Angew.Chem.Int.Ed Engl. 45:7745-7751(2006))。これは証明された方法論であり、これは、所与の位置での全ての可能な置換が、スクリーニング/選択のために作製されることを確実にする。
突然変異誘発についての前述の方法のいずれも、単独で又は任意の組合せで使用することができる。さらに、定向進化方法のいずれか1つ又はそれらの組合せは、適応進化技術と共に使用することができる。
本発明は、アジペート、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸などのような所望の中間体又は産物を産生するための方法をさらに提供する。例えば、アジペートを産生するための方法は、アジペート経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することを含むことができ、経路は、アジペートを産生するのに十分な量で、アジペートを産生するための条件下で、且つそれに十分な期間、発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、アジペート経路は、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ、及びアジピル-CoAシンテターゼ又はホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ又はアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ又はアジピル-CoAヒドロラーゼを含む。さらに、アジペートを産生するための方法は、アジペート経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することを含むことができ、経路は、アジペートを産生するのに十分な量で、アジペートを産生するための条件下で、且つそれに十分な期間、発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、アジペート経路は、スクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-オキソアジピル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソアジペートレダクターゼ、3-ヒドロキシアジペートデヒドラターゼ、及び2-エノエートレダクターゼを含む。
さらに、6-アミノカプロン酸を産生するための方法は、6-アミノカプロン酸経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することを含むことができ、経路は、6-アミノカプロン酸を産生するのに十分な量で、6-アミノカプロン酸を産生するための条件下で、且つそれに十分な期間、発現される6-アミノカプロン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、6-アミノカプロン酸経路は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ及びトランスアミナーゼ又は6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼを含む。さらに、カプロラクタムを産生するための方法は、カプロラクタム経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することを含むことができ、経路は、カプロラクタムを産生するのに十分な量で、カプロラクタムを産生するための条件下で、且つそれに十分な期間、発現されるカプロラクタム経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、カプロラクタム経路は、CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ又は6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼ、及びアミドヒドロラーゼを含む。
本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するための条件下で且つそれに十分な期間、本明細書中に記載される6-ACA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法をさらに提供する。一態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDデカルボキシラーゼ;及びアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む。他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDデカルボキシラーゼ;6-OHEレダクターゼ;及びアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む。他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDアミノトランスフェラーゼ又はOHEDオキシドレダクターゼ(アミノ化);2-AHEレダクターゼ;及び2-AHDデカルボキシラーゼを含む。他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDアミノトランスフェラーゼ又は2-OHDオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び2-AHDデカルボキシラーゼを含む。他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;HODHギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素若しくはHODHデヒドロゲナーゼ;3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む。他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又はOHEDデヒドロゲナーゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む。他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又は2-OHDデヒドロゲナーゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む。さらなる態様では、上記に記載される6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含むことができる。
本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するための条件下で且つそれに十分な期間、本明細書中に記載されるHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法をさらに提供する。一態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む。他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPアシルトランスフェラーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む。他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートCoAトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロエートCoAリガーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む。他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む。他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートCoAトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサノエートCoAリガーゼ;6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む。他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む。
さらに、アジペートを産生するための方法は、アジペート経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することを含むことができ、経路は、アジペートを産生するのに十分な量で、アジペートを産生するための条件下で、且つそれに十分な期間、発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、アジペート経路は、アルファ-ケトアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスケトアジピラーゼ/アルファ-ケトアジペートキナーゼ、又はアルファ-ケトアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ;及びアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ、アジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ、又はアジピル-CoAヒドロラーゼを含む。さらに、アジペートを産生するための方法は、アジペート経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することを含むことができ、経路は、アジペートを産生するのに十分な量で、アジペートを産生するための条件下で、且つそれに十分な期間、発現されるアジペート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、アジペート経路は、2-ヒドロキシアジペートデヒドロゲナーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスヒドロキシアジピラーゼ/2-ヒドロキシアジペートキナーゼ、又は2-ヒドロキシアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ;2-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ;及びアジピル-CoAシンテターゼ、ホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ、アジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ、又はアジピル-CoAヒドロラーゼを含む。
本明細書中に開示されるように、本発明はまた、6-アミノカプロン酸を産生するのに十分な量で発現される6-アミノカプロン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-アミノカプロン酸経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-アミノカプロン酸を産生するための方法であって、6-アミノカプロン酸経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;及び6-アミノカプロイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、6-アミノカプロイル-CoAシンターゼ、又は6-アミノカプロイル-CoAヒドロラーゼを含む、方法を提供する(実施例XII及びXIIIを参照されたい;図11のステップA/B/C/D/K/L/M)。本発明は、さらに、6-アミノカプロン酸を産生するのに十分な量で発現される6-アミノカプロン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-アミノカプロン酸経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-アミノカプロン酸を産生するための方法であって、6-アミノカプロン酸経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAシンターゼ、又は3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAヒドロラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノエートレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエートデヒドラターゼ;及び6-アミノヘキサ-2-エノエートレダクターゼを含む、方法を提供する(実施例XII及びXIVを参照されたい;図11のステップA/E/F/G/H/I/J)。
他の実施態様では、本発明は、カプロラクタムを産生するのに十分な量で発現されるカプロラクタム経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むカプロラクタム経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、カプロラクタムを産生するための方法であって、カプロラクタム経路は、6-アミノカプロイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロイル-CoAシンターゼを含む、方法を提供する(実施例XII及びXVを参照されたい;図11のステップK/L)。そのような方法では、カプロラクタムは、カプロラクタムへの6-アミノカプロイル-CoAの自発的な環化によって産生することができる(実施例XIIを参照されたい;図11のステップQ)。本発明はまた、ヘキサメチレンジアミンを産生するのに十分な量で発現されるヘキサメチレンジアミン経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むヘキサメチレンジアミン経路を有する、天然に存在しない微生物生物体であって、ヘキサメチレンジアミン経路は、6-アミノカプロイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロイル-CoAシンターゼ;6-アミノカプロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);及びヘキサメチレンジアミントランスアミナーゼ又はヘキサメチレンジアミンデヒドロゲナーゼを含む、天然に存在しない微生物生物体も提供する(実施例XII及びXVIを参照されたい;図11のステップK/L/N/O/P)。
さらに他の実施態様では、本発明は、カプロラクタムを産生するのに十分な量で発現されるカプロラクタム経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むカプロラクタム経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、カプロラクタムを産生するための方法であって、カプロラクタム経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ;及び6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼを含む、方法を提供する(実施例XII及びXVIIを参照されたい;図11のステップA/B/C/D)。そのような方法では、カプロラクタムは、カプロラクタムへの6-アミノカプロイル-CoAの自発的な環化によって産生することができる(実施例XIIを参照されたい;図11のステップQ)。ヘキサメチレンジアミンを産生するのに十分な量で発現されるヘキサメチレンジアミン経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むヘキサメチレンジアミン経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、ヘキサメチレンジアミンを生産するための方法であって、ヘキサメチレンジアミン経路は、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノカプロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);及びヘキサメチレンジアミントランスアミナーゼ又はヘキサメチレンジアミンデヒドロゲナーゼを含む、方法もまた、提供される(実施例XII及びXVIIIを参照されたい;図11のステップA/B/C/D/N/O/P)。
他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法であって、微生物生物体は、6-ACAを産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタレートデカルボキシラーゼ、ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼ、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)アルドラーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ヒドラターゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)レダクターゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)デカルボキシラーゼ、アジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、アジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)デカルボキシラーゼ、6-オキソヘキサ-4-エノエート(6-OHE)レダクターゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)アミノトランスフェラーゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)オキシドレダクターゼ(アミノ化)、2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD)デカルボキシラーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)アミノトランスフェラーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)オキシドレダクターゼ(アミノ化)、2-アミノヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(2-AHE)レダクターゼ、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)ギ酸リアーゼ、4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)デヒドロゲナーゼ、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ、2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ、アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)ギ酸リアーゼ、2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)デヒドロゲナーゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)ギ酸リアーゼ、2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)デヒドロゲナーゼ、又はピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素を含む、方法を提供する(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA〜Q)。
他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法であって、微生物生物体は、6-ACAを産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む、方法を提供する。一態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDデカルボキシラーゼ;及びアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/C/D/E)。本発明の他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDデカルボキシラーゼ;6-OHEレダクターゼ;及びアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/F/G/E)。本発明の他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDアミノトランスフェラーゼ又はOHEDオキシドレダクターゼ(アミノ化);2-AHEレダクターゼ;及び2-AHDデカルボキシラーゼを含む(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/J/D/I)。本発明の他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDアミノトランスフェラーゼ又は2-OHDオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び2-AHDデカルボキシラーゼを含む(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/C/H/I)。本発明の他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;HODHギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素若しくはHODHデヒドロゲナーゼ;3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/L/M/N/O/E)。6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又はOHEDデヒドロゲナーゼ;2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/P/N/O/E)。本発明の他の態様では、6-ACA経路は、HODHアルドラーゼ;OHEDヒドラターゼ;OHEDレダクターゼ;2-OHDギ酸リアーゼ及びピルビン酸ギ酸リアーゼ活性化酵素又は2-OHDデヒドロゲナーゼ;アジピル-CoAデヒドロゲナーゼ;並びにアジペートセミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又はアジペートセミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)を含む(実施例XIX及びXXIを参照されたい;図12のステップA/B/C/Q/O/E)。さらなる態様では、上記に記載される6-ACA経路は、コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ、又はホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼを含むことができる。
他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法であって、6-ACA経路は、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ、グルタミル-CoAリガーゼ、ベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ、6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、又は2-アミノピメレートデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図20のステップA/B/C/D/E/I/J)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ又はグルタミル-CoAリガーゼ;ベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法であって、6-ACA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、又は2-アミノピメレートデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/AA)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法であって、6-ACA経路は、ホモリジン2-モノオキシゲナーゼを含む、方法を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図23のステップA)。さらなる態様では、6-ACA経路は、6-アミノヘキサンアミドを6-アミノカプロエートに変換するために希酸又は塩基による6-アミノヘキサンアミド産物の加水分解を含む(実施例XXVを参照されたい;図23のステップB)。
他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法であって、6-ACA経路は、アジペートレダクターゼ、アジペートキナーゼ、又はアジピルホスフェートレダクターゼを含む、方法を提供する(実施例XXVIIIを参照されたい;図25のステップX/Y/Z)。さらなる態様では、6-アミノカプロン酸(6-ACA)経路は、アジペートレダクターゼを含む。他のさらなる態様では、6-ACA経路は、アジペートキナーゼ及びアジピルホスフェートレダクターゼを含む。他の態様では、上記の6-ACA経路を有する微生物生物体は、本明細書で記載されるアジペート経路、カプロラクタム経路、及び/又はヘキサメチレンジアミン経路をさらに含む(実施例XXVIIIを参照されたい;図25のステップA〜W)。
他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するのに十分な量で発現される6-ACA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む6-ACA経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-アミノカプロン酸(6-ACA)を産生するための方法であって、6-ACA経路は、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートオキシドレダクターゼ、2-アミノピメレートデカルボキシラーゼ、6-アミノヘキサナールオキシドレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ、又は2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/B/D/E/F/G/I)。さらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ、又は2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。
本発明の他の実施態様では、本発明は、6-アミノカプロン酸(6-ACA)経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含む、6-アミノカプロン酸(6-ACA)経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、6-ACAを産生するための方法であって、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートオキシドレダクターゼ;及び2-アミノピメレートデカルボキシラーゼをコードする、方法を提供する(実施例XXVを参照されたい;図26のステップA/D/E)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールオキシドレダクターゼをコードする(実施例XXVを参照されたい;図26のステップA/B/F)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、6-ACA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールオキシドレダクターゼをコードする(実施例XXVを参照されたい;図26のステップI/G/F)。上記の実施態様のそれぞれのさらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする外因性の核酸の第2のセットを有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ;2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ;及び2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、微生物生物体は、HMDAを産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含み、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ、[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)オキシドレダクターゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ、[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)オキシドレダクターゼ、6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)、6-アセトアミドヘキサノエートCoAトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサノエートCoAリガーゼ、6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ、[(6-アセトアミドヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AAHOP)アシルトランスフェラーゼ、[(6-アミノヘキサノイル)オキシ]ホスホネート(6-AHOP)アシルトランスフェラーゼ、6-アミノカプロエートCoAトランスフェラーゼ及び6-アミノカプロエートCoAリガーゼを含む、方法を提供する(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップA〜N)。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、微生物生物体は、HMDAを産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含む、方法を提供する。一態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップA/B/C)。本発明の他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートキナーゼ;6-AHOPアシルトランスフェラーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップA/L/N/C)。本発明の他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートCoAトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロエートCoAリガーゼ;6-アミノカプロイル-CoAオキシドレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼを含む(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップM/N/C)。本発明の他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップD/E/F/G/H)。本発明の他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートCoAトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサノエートCoAリガーゼ;6-アセトアミドヘキサノイル-CoAオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップD/I/J/G/H)。本発明の他の態様では、HMDA経路は、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼ;6-AAHOPオキシドレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む(実施例XX及びXXIを参照されたい;図13のステップD/E/K/J/G)。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ、グルタミル-CoAリガーゼ、ベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ、6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図20のステップA〜H)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタミル-CoAトランスフェラーゼ又はリガーゼ;ベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAオキシドレダクターゼ;3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAデヒドラターゼ;6-アミノ-7-カルボキシヘプタ-2-エノイル-CoAレダクターゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールアミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールアミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソピメレートキナーゼ、5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートリガーゼ、5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-アミノピメレートリガーゼ、5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノピメレートキナーゼ、5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-アミノピメレートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、ホモリジンデカルボキシラーゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートキナーゼ、2-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、2-アミノピメレートCoAリガーゼ、2-アミノピメレートレダクターゼ、6-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21)。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/C/D/E/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/F/G/D/E/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートCoAリガーゼ、5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/H/I/D/E/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートCoAリガーゼ;5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-7-アミノヘプタノエート3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/C/AB/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートキナーゼ、5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/H/I/AB/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートキナーゼ;5-オキソピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートCoAリガーゼ、5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/F/G/AB/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートCoAリガーゼ;5-オキソピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノトランスフェラーゼ又は3-オキソ-1-カルボキシヘプタナール3-アミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B//J/O/P/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ; 2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ若しくは3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートキナーゼ、5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/M/N/P/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートキナーゼ;5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ; 3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-アミノピメレートCoAリガーゼ、5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/K/L/P/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ; 3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ若しくは3-アミノピメレートCoAリガーゼ;5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);3-アミノ-7-オキソヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/O/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、3-アミノピメレートCoAリガーゼ、5-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/K/L/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ又は3-アミノピメレートCoAリガーゼ;5-アミノピメロイル-CoA-レダクターゼ(アルデヒド形成);3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレートキナーゼ、5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/M/N/Z/R/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレートキナーゼ;5-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ;3-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は3-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/W/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートレダクターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートキナーゼ、6-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/U/X/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートキナーゼ;6-アミノピメロイルホスホネートレダクターゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、HMDAを産生するための方法であって、HMDA経路は、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ、3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ、3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ、3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ、2-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ、2-アミノピメレートCoAリガーゼ、6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、又はホモリジンデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図21のステップA/B/J/T/V/Y/Q/S)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、グルタリル-CoAベータ-ケトチオラーゼ;3-オキソピメロイル-CoAヒドロラーゼ、3-オキソピメロイル-CoAトランスフェラーゼ、又は3-オキソピメロイル-CoAリガーゼ;3-オキソピメレートアミノトランスフェラーゼ又は3-オキソピメレートアミノ化オキシドレダクターゼ;3-アミノピメレート2,3-アミノムターゼ;2-アミノピメレートCoAトランスフェラーゼ又は2-アミノピメレートCoAリガーゼ;6-アミノピメロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成);2-アミノ-7-オキソヘプタノエート7-アミノトランスフェラーゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するための方法であって、HMDA経路は、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼアミノ化オキシドレダクターゼ、ホモリジンデカルボキシラーゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートデカルボキシラーゼ、6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、又は6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図22のステップA〜G)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ;2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ又は2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ;2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼをコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するための方法であって、HMDA経路は、6-アミノカプロエートレダクターゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサノエートレダクターゼ、6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化)、6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ、又はアセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)を含む、方法を提供する(実施例XXVIIを参照されたい;図24のステップO/C又はD/P/G/H)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートレダクターゼ;及び6-アミノカプロン酸セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼ又は6-アミノカプロン酸セミアルデヒドオキシドレダクターゼ(アミノ化)をコードする。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼ;6-アセトアミドヘキサノエートレダクターゼ;6-アセトアミドヘキサナールアミノトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサナールオキシドレダクターゼ(アミノ化);及び6-アセトアミドヘキサンアミンN-アセチルトランスフェラーゼ又は6-アセトアミドヘキサンアミンヒドロラーゼ(アミド)をコードする。
本発明は、さらに、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するのに十分な量で発現されるHMDA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むHMDA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するための方法であって、HMDA経路は、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ、6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼ、6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートデカルボキシラーゼ、ホモリジンデカルボキシラーゼ、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ化オキシドレダクターゼ、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノトランスフェラーゼ、又は2,7-ジアミノサバレートデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/B/C/G/H/I/J/K/L/M)。さらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ、又は2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。
他の実施態様では、本発明は、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含むHMDA経路を有する天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するための方法であって、セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ化オキシドレダクターゼ又は2-アミノ-7-オキソサバレートアミノトランスフェラーゼ;2,7-ジアミノサバレートデカルボキシラーゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする、方法を提供する(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップK/L/H)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ又は2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップI/J/H)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートアミノ酸デカルボキシラーゼ;2-オキソ-7-アミノヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼ又は6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップI/G/C)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートデカルボキシラーゼ;及び6-アミノヘキサナールアミノ化オキシドレダクターゼ又は6-アミノヘキサナールアミノトランスフェラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/B/C)。本発明の他の実施態様では、天然に存在しない微生物生物体は、HMDA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、2-アミノ-7-オキソサバレートケト酸デカルボキシラーゼ;2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノ化オキシドレダクターゼ又は2-アミノ-7-オキソヘプタノエートアミノトランスフェラーゼ;及びホモリジンデカルボキシラーゼをコードする(実施例XXIV及びXXVIを参照されたい;図26のステップA/M/H)。上記の実施態様のそれぞれのさらなる態様では、微生物生物体は、2-アミノ-7-オキソサバレートを産生するのに十分な量で発現される2-アミノ-7-オキソサバレート経路酵素をコードする外因性の核酸の第2のセットを有する2-アミノ-7-オキソサバレート経路を有し、2-アミノ-7-オキソサバレート経路は、2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートアルドラーゼ;2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートデヒドラターゼ;及び2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートレダクターゼを含む(実施例XXV及びXXVIを参照されたい;図27のステップA/B/C)。
本発明は、さらに、レブリン酸(LA)を産生するのに十分な量で発現されるLA経路酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むLA経路を有する、天然に存在しない微生物生物体を培養することによって、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するための方法であって、LA経路は、3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ、3-オキソアジピル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソアジピル-CoAシンターゼ、3-オキソアジピル-CoAヒドロラーゼ、又は3-オキソアジペートデカルボキシラーゼを含む、方法を提供する(実施例XXIXを参照されたい;図25のステップA/E/F/G/AA)。本発明の他の態様では、天然に存在しない微生物生物体は、LA経路酵素をコードする外因性の核酸のセットを含み、該セットは、3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ;3-オキソアジピル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソアジピル-CoAシンターゼ、又は3-オキソアジピル-CoAヒドロラーゼ;及び3-オキソアジペートデカルボキシラーゼをコードする。
本発明は、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAの産生を増加させるために、1以上の遺伝子の破壊によって、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAの産生が増加した非天然微生物生物体を産生するための方法をさらに提供する。そのような遺伝子破壊は、本明細書の実施例XXX及び表14〜16中に例示されるものを含む。
本発明は、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAの産生を増加させる1以上の遺伝子破壊を含む、天然に存在しない微生物生物体を培養することを含む、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAを産生するための方法をさらに提供する。破壊は、遺伝子破壊が、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDAの安定的な、増殖と連関した産生を、非天然微生物生物体に与えるように酵素の活性を低下させる場合に、アジペート、6-ACA、及び/又はHMDA産生を微生物の成長に結び付けるのに不可避の酵素をコードする遺伝子中に生じ得る。
いくつかの実施態様では、遺伝子破壊は、完全な遺伝子欠失を含むことができる。遺伝子破壊のための方法は、当業者によく知られており、本明細書中に記載される(実施例XXXを参照されたい)。いくつかの実施態様では、遺伝子を破壊するための他の方法は、例えば、オリゴヌクレオチドの欠損、追加によるフレームシフト、又は遺伝子を動作不能にする突然変異によるものを含む。当業者は、遺伝子欠失の利点を認識するであろう、しかしながら、安定性のために、それは、天然に存在しない生物を、以前に破壊された遺伝子を発現する表現型に復帰させ得る。特に、遺伝子破壊は、表14〜16中に記載される遺伝子セットから選択される。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生について試験するための適した精製及び/又はアッセイは、よく知られている方法を使用して実行することができる。三通りの培養物などのような適した反復実験は、試験されることとなるそれぞれの遺伝子操作された株について成長させることができる。例えば、遺伝子操作された産生宿主における産物及び副産物形成は、モニターすることができる。最終産物及び中間体並びに他の有機化合物は、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)(高速液体クロマトグラフィー)、GC-MS(Gas Chromatography-Mass Spectroscopy)(ガスクロマトグラフィー質量分析)、及びLC-MS(Liquid Chromatography-Mass Spectroscopy)(液体クロマトグラフィー質量分析)又は当技術分野においてよく知られているルーチン的な手順を使用する他の適した分析方法などのような方法によって分析することができる。発酵ブロスにおける産物の放出もまた、培養上清と共に試験することができる。副産物及び残存性のグルコースは、例えば、グルコース及びアルコールについては屈折率検出器並びに有機酸についてはUV検出器(Linら、Biotechnol. Bioeng. 90:775-779(2005))又は当技術分野においてよく知られている他の適したアッセイ及び検出方法を使用してHPLCによって定量化することができる。外因性のDNA配列からの個々の酵素活性もまた、当技術分野においてよく知られている方法を使用してアッセイすることができる。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸は、当技術分野においてよく知られている様々な方法を使用して、培養物中の他の成分から分離することができる。そのような分離法は、例えば、抽出手順並びに継続的な液液抽出、浸透気化法、膜濾過、膜分離、逆浸透法、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、及び限外濾過を含む方法を含む。上記の方法は全て、当技術分野においてよく知られている。
本明細書中に記載される天然に存在しない微生物生物体のいずれも、本発明の生合成産物を産生する及び/又は分泌するために培養することができる。例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸産生株は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の生合成産生のために培養することができる。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生のために、組換え株は、炭素源及び他の必須栄養素を有する培地中で培養される。全プロセスのコストを下げるために発酵槽中の嫌気条件を維持することは、時に望ましく、非常に望ましくなり得る。そのような条件は、例えば、最初に培地に窒素を散布し、次いで、隔壁及び圧着キャップを用いてフラスコを密閉することによって、得ることができる。成長が嫌気的に観察されない株については、微好気性の又は実質的に嫌気性の条件は、通気を制限しながら、隔壁に小さな穴をあけることによって適用することができる。例示的な嫌気条件は、以前に記載されており、当技術分野においてよく知られている。例示的な好気及び無気条件は、例えば、2007年8月10日に提出された米国特許出願公開第2009/0047719号(第11/891,602号)において記載されている。発酵は、本明細書中に開示されるように、バッチ、流加、又は継続的な方法で実行することができる。
所望の場合、培地のpHは、望ましいpHで培養基を維持するために必要であるように、所望のpHに、特に、NaOH若しくは他の塩基などのような塩基又は酸の追加によって約7のpHなどのような、中性pHに維持することができる。成長速度は、分光光度計(600nm)を使用して、光学密度を測定することによって決定することができ、グルコース取込み速度は、ある期間にわたって炭素源消耗をモニターすることによって決定することができる。
増殖培地は、例えば、天然に存在しない微生物に炭素源を供給することができる、任意の炭水化物源も含むことができる。そのような供給源は、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、及びデンプンなどのような糖を含む。炭水化物の他の供給源は、例えば、再生可能な供給原料及びバイオマスを含む。本発明の方法において供給原料として使用することができる例示的なタイプのバイオマスは、セルロースバイオマス、ヘミセルロースバイオマス、及びリグニン供給原料又は供給原料の一部を含む。そのようなバイオマス供給原料は、例えば、グルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、及びデンプンなどのような炭素源として有用な炭水化物基質を含有する。本明細書中に提供される教示及び手引きを考慮すれば、当業者は、上記に例示されるもの以外の再生可能な供給原料及びバイオマスが、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、又はレブリン酸の産生のために、本発明の微生物生物体を培養するために使用することができることを理解するであろう。
以上に例示されているものなどの再生可能な供給原料に加えて、本発明の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸微生物生物体をその炭素源としてのシンガスによる成長のために改変することもできる。この特定の実施態様において、1つ若しくは複数のタンパク質又は酵素を6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸産生生物体に発現させて、シンガス又は他の気体炭素源を利用するための代謝経路を提供する。
シンガス又は産生体ガスとしても知られる合成ガスは、石炭、並びに農作物及び残留物を含むバイオマス材料などの炭素質材料のガス化の主たる生成物である。シンガスは、主としてH2とCOとの混合物であり、石炭、石油、天然ガス、バイオマス及び廃棄有機物を含むが、それらに限定されない任意の有機供給原料のガス化から得ることが可能である。ガス化は、一般には、高い燃料対酸素比の下で実施される。
主としてH2及びCOであるが、シンガスは、より少量のCO2及び他のガスを含むこともできる。したがって、合成ガスは、CO及びさらにはCO2などのコスト効率の良い気体状炭素を提供する。
Wood-Ljungdahl経路は、CO及びH2からアセチル-CoA及びアセテートなどの他の生成物への変換を触媒する。CO及びシンガスを利用することが可能な生物体は、一般には、酵素の同じ基本セット、及びWood-Ljungdahl経路によって包含される変換を通じてCO2及びCO2/ H2混合物を利用する能力をも有する。微生物によるCO2からアセテートへのH2依存変換は、同じ生物体によってCOを使用することも可能であること、及び同じ経路を要することが明らかになるはるか前から認識されていた。多くのアセトゲンは、CO2の存在下で成長し、必要な還元等価物を供給するための水素が存在する限りアセテートなどの化合物を産生することが示された(例えば、Drake、酢酸生成(Acetogenesis)、pp.3-60 Chapman and Hall、New York、(1994)を参照されたい)。これを以下の式によって要約することができる。
2CO2 + 4H2 + nADP + nPi→CH3COOH + 2H2O + nATP
したがって、Wood-Ljungdahl経路を持つ天然に存在しない微生物は、アセチル-CoA及び他の所望の生成物を産生するためにCO2とH2の混合物を利用することもできる。
Wood-Ljungdahl経路は、当技術分野においてよく知られており、(1)メチル分岐及び(2)カルボニル分岐の2つの分岐に分類することができる12個の反応からなる。メチル分岐は、シンガスをメチル-テトラヒドロホレート(メチル-THF)に変換するのに対して、カルボニル分岐は、メチル-THFをアセチル-CoAに変換する。メチル分岐における反応は、以下の酵素、即ちフェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロホレートシンセターゼ、メテニルテトラヒドロホレートシクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロホレートデヒドロゲナーゼ及びメチレンテトラヒドロホレートレダクターゼによって順に触媒される。カルボニル分岐における反応は、以下の酵素又はタンパク質、即ちコバルアミドコリノイド/鉄-硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチル-CoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼ及びヒドロゲナーゼによって順に触媒され、これらの酵素は、メチルテトラヒドロホレート:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(例えばAcsE)、コリノイド鉄-硫黄タンパク質、ニッケル-タンパク質集成タンパク質(例えばAcsF)、フェレドキシン、アセチル-CoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ及びニッケル-タンパク質集成タンパク質(例えばCooC)と称することもできる。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸経路を生成するために十分な数のコード化核酸を導入するための本明細書に示されている教示及び手引きにより、当業者は、少なくとも、宿主生物体に存在しないWood-Ljungdahl酵素又はタンパク質をコードする核酸を導入することに関しても同じ技術設計を実施できることを理解するであろう。したがって、改変された生物体が完全なWood-Ljungdahl経路を含むように、1つ以上のコード化核酸を本発明の微生物生物体に導入することは、シンガス利用能力を付与することになる。
また、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ及び/又はヒドロゲナーゼ活性に連関された還元性(逆)トリカルボン酸回路を、CO、CO2及び/又はH2のアセチル-CoA及びアセテートなどの他の生成物への変換に使用することもできる。還元性TCA経路を介して炭素を固定することが可能な生物体は、以下の酵素、即ちATPシトレートリアーゼ、シトレートリアーゼ、アコニターゼ、イソシトレートデヒドロゲナーゼ、アルファ-ケトグルタレート:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、スクシニル-CoAシンセターゼ、スクシニル-CoAトランスフェラーゼ、フマレートレダクターゼ、フマラーゼ、マレートデヒドロゲナーゼ、NAD(P)H:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ及びヒドロゲナーゼの1種以上を利用することができる。具体的には、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ及びヒドロゲナーゼによってCO及び/又はH2から抽出された還元等価物を利用して、還元性TCA回路を介してCO2をアセチル-CoA又はアセテートに固定する。アセテートをアセチル-CoAトランスフェラーゼ、アセテートキナーゼ/ホスホトランスアセチラーゼ及びアセチル-CoAシンセターゼなどの酵素によってアセチル-CoAに変換することができる。アセチル-CoAを、ピルベート:フェレドキシンオキシドレダクターゼ及びグルコース新生の酵素によってp-トルエート、テレフタレート又は(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-オキソブトキシ)ホスホネート前駆体、グリセルアルデヒド-3-ホスフェート、ホスホエノールピルベート及びピルベートに変換することができる。p-トルエート、テレフタレート又は(2-ヒドロキシ-3-メチル-4-オキソブトキシ)ホスホネート経路を生成するのに十分な数のコード化核酸を導入するための本明細書に示されている教示及び手引きにより、当業者は、少なくとも、宿主生物体に存在しない還元性TCA経路酵素又はタンパク質をコードする核酸を導入することに関しても同じ技術設計を実施できることを理解するであろう。したがって、改変された生物体が完全な還元性TCA経路を含むように、1つ以上のコード化核酸を本発明の微生物生物体に導入することは、シンガス利用能力を付与することになる。
本明細書に示されている教示及び指針から、当業者は、炭水化物などの炭素源により成長する場合に本発明の生合成化合物を分泌する天然に存在しない微生物生物体を産生できることを理解するであろう。そのような化合物としては、例えば6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸、及び6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸経路における中間代謝物のいずれかが挙げられる。必要なことは、必要とされる酵素活性の1種以上を操作して、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸生合成経路のいくつか又は全ての含有物を含む所望の化合物又は中間体の生合成を達成することだけである。したがって、本発明は、炭水化物により成長する場合に6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸を産生及び/又は分泌し、炭水化物により成長する場合に6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸経路に示される中間代謝物のいずれかを産生及び/又は分泌する天然に存在しない微生物生物体を提供する。例えば、アジペート産生微生物生物体は、要望に応じて、中間体、例えば、3-オキソアジピル-CoA、3-ヒドロキシアジピル-CoA、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoA又はアジピル-CoAから合成を開始することができる(図2を参照されたい)。加えて、アジペート産生微生物生物体は、中間体、例えば、3-オキソアジピル-CoA、3-オキソアジペート、3-ヒドロキシアジペート又はヘキサ-2-エネジオエートから合成を開始することができる(図3を参照されたい)。本発明の6-アミノカプロン酸産生微生物生物体は、中間体、例えばアジペートセミアルデヒドから合成を開始することができる(図8を参照されたい)。本発明のカプロラクタム産生微生物生物体は、要望に応じて、中間体、例えばアジペートセミアルデヒド又は6-アミノカプロン酸から合成を開始することができる(図8を参照されたい)。
本発明の天然に存在しない微生物生物体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸を産生するのに十分な量で6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸経路酵素をコードする少なくとも1つの核酸を外因的に発現させる、本明細書に例示されている当技術分野においてよく知られている方法を使用して構築される。本発明の微生物生物体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸を産生するのに十分な条件下で培養されることが理解される。本明細書に示されている教示及び手引きにより、本発明の天然に存在しない微生物生物体は、約0.1〜200mM以上の細胞内濃度をもたらす6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の生合成を達成することができる。一般に、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の細胞内濃度は、約3〜150mM、特に約5〜125mM、特に約8〜100mMであり、約10mM、20mM、50mM又は80mM以上を含む。これらの例示的な範囲の各々の間及びそれを超える細胞内濃度も本発明の天然に存在しない微生物生物体から達成することができる。
いくつかの実施態様において、培養条件は、嫌気性又は実質的に嫌気性成長又は維持条件を含む。例示的な嫌気性条件は、既に記載されており、当技術分野においてよく知られている。発酵処理のための例示的な嫌気性条件は、本明細書に記載されており、例えば、2007年8月10日に出願された米国特許公開第2009/0047719号に記載されている。これらの条件、並びに当技術分野においてよく知られている他の嫌気性条件のいずれかを天然に存在しない微生物生物体に対して採用することができる。そのような嫌気性条件下で、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸産生体は、5〜10mM以上の細胞内濃度、並びに本明細書に例示されている全ての他の濃度で6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸を合成することができる。以上の記載は、細胞内濃度に言及しているが、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸産生微生物生物体は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸を細胞内で産生し、且つ/又は生成物を培地に分泌することができる。
培養条件は、例えば、液体培養法、並びに発酵及び他の大規模培養法を含むことができる。本明細書に記載されているように、本発明の特に有用な収量の生合成産生物を嫌気性又は実質的に嫌気性培養条件下で得ることができる。
本明細書に記載されているように、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の生合成を達成するための1つの例示的な成長条件は、嫌気性培養又は発酵条件を含む。ある実施態様において、本発明の天然に存在しない微生物生物体を嫌気性又は実質的に嫌気性条件下で維持するか、培養するか、又は発酵させることができる。手短に述べると、嫌気性条件は、酸素がない環境を指す。実質的に嫌気性の条件は、例えば、培地における溶存酸素濃度が飽和の0%から10%に維持される培養、回分発酵又は連続発酵を含む。実質的に嫌気性の条件は、酸素が1%未満の雰囲気で維持された密閉チャンバ内部の液体培地又は固体寒天中の成長又は静止細胞をも含む。酸素の割合を、例えば、培養物にN2/CO2混合物、又は他の好適な1種以上の非酸素ガスを散布することによって維持することができる。
本明細書に記載の培養条件を、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の製造のためにスケールアップさせ、連続的に成長させることができる。例示的な成長法としては、例えば、供給回分発酵及び回分分離、回分供給発酵及び連続分離、又は連続発酵及び連続分離が挙げられる。これらの方法の全てが当技術分野においてよく知られている。発酵法は、商業的な量の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の生合成産生に特に有用である。一般に、そして非連続培養法と同様に、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の連続的及び/又はほぼ連続的な産生は、対数期で成長を維持及び/又はほぼ維持するのに十分な栄養物及び培地にて本発明の天然に存在しない6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸産生生物体を培養することを含むことになる。そのような条件下での連続培養は、例えば、1日、2、3、4、5、6又は7日以上を含むことが可能である。また、連続培養は、1週間、2、3、4又は5週間以上数ヵ月までの期間を含むことができる。代替的に、特定の用途に好適な場合は、本発明の生物体を数時間にわたって培養することができる。連続的及び/又はほぼ連続的な培養条件は、これらの例示的な期間の間の全ての時間間隔を含むこともできることが理解されるべきである。さらに、本発明の微生物生物体を培養する時間は、所望の目的に対して十分な量の生成物を産生するのに十分な期間に対応することが理解される。
発酵法は、当技術分野においてよく知られている。手短に述べると、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の生合成産生のための発酵を、例えば、供給回分発酵及び回分分離、供給回分発酵及び連続分離、又は連続発酵及び連続分離に利用することができる。回分及び連続発酵法の例は、当技術分野においてよく知られている。
実質的な量の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の連続産生のために本発明の6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸産生体を使用する上記発酵法に加えて、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸産生体に、例えば同時に化学合成処理を施して生成物を他の化合物に変換するか、又は要望に応じて、生成物を発酵培養物から分離し、順次化学変換させて生成物を他の化合物に変換することができる。本明細書に記載されているように、3-オキソアジペートを利用するアジペート経路における中間体、即ちヘキサ-2-エネジオエートを、例えば、プラチナ触媒による化学的な水素化によってアジペートに変換することができる(実施例IIIを参照されたい)。
本明細書に記載されているように、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の生合成を達成するための例示的な成長条件は、培養条件に浸透圧保護剤を加えることを含む。ある実施態様において、本発明の天然に存在しない微生物生物体を、浸透圧保護剤の存在下で上記のように維持、培養又は発酵することができる。手短に述べると、浸透圧保護剤は、浸透圧調節物質として作用し、本明細書に記載されている微生物生物体が浸透圧応力に耐えるのに役立つ化合物を指す。浸透圧保護剤としては、ベタイン、アミノ酸及び糖トレハロースが挙げられるが、それらに限定されない。それらの非限定的な例は、グリシンベタイン、プラリンベタイン、ジメチルテチン、ジメチルスルホニオプロプリオネート、3-ジメチルスルホニオ-2-メチルプロプリオネート、ピペコリン酸、ジメチルスルホニオアセテート、コリン、L-カルニチン及びエクトインである。一態様において、浸透圧保護剤はグリシンベタインである。本明細書に記載の微生物生物体を浸透圧応力から保護するのに好適な浸透圧保護剤の量及びタイプは、使用される微生物生物体に依存することが当業者に理解される。例えば、実施例XXIIに記載されているように、異なる量の6-アミノカプロン酸の存在下での大腸菌は、2mMのグリシンベタインの存在下で好適に成長する。培養条件における浸透圧保護剤の量は、例えば、約0.1mM以下、約0.5mM以下、約1.0mM以下、約1.5mM以下、約2.0mM以下、約2.5mM以下、約3.0mM以下、約5.0mM以下、約7.0mM以下、約10mM以下、約50mM以下、約100mM以下又は約500mM以下であり得る。
より良好な産生体を生成するために、代謝物モデル化を利用して成長条件を最適化することができる。モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計することができる(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝を6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸のより効率的な産生に向けてシフトさせることの細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。
所望の生成物の生合成に有利な代謝変化を特定及び設計するための1つの計算方法は、OptKnock計算フレームワークである(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84:647-657(2003))。OptKnockは、目標生成物を過剰産生する遺伝子的に安定した微生物をもたらす遺伝子欠失戦略を示唆する代謝モデル化及びシミュレーションプログラムである。具体的には、そのフレームワークは、所望の生化学物質を細胞成長の必須の副産物にする遺伝子操作を示唆するために、微生物の完全な代謝及び/又は生化学ネットワークを調査する。戦略的に配置された遺伝子欠失又は他の機能的遺伝子破壊を介して生化学的産生を細胞成長と連関させることによって、バイオリアクタにおいて長時間後に操作された菌株に加えられる成長選択圧力は、強制的な成長連関生化学産生の結果として性能の向上をもたらす。最後に、遺伝子欠失が構築されると、OptKnockによって選択された遺伝子がゲノムから完全に除去されることになるため、設計された菌株がそれらの野生型状態に戻る可能性はごくわずかである。したがって、この計算手法を、所望の生成物の生合成をもたらす代替的経路を特定するために使用するか、又は所望の生成物の生合成のさらなる最適化のために天然に存在しない微生物生物体と併用することができる。
成長連関性生化学的産生の概念を、インシリコモデルを使用して計算された典型的な代謝ネットワークの生化学的産生の範囲の脈絡で視覚化することができる。これらの範囲は、制限基質の取込み率をそれらの実験測定値に固定し、それぞれの達成可能な成長レベルにおける最大及び最小の生化学的産生率を計算することによって求められる。例外は存在するが、典型的には、所望の生化学物質の産生は、細胞内資源をめぐってバイオマス形成と直接競合する。したがって、生化学的産生率の向上は、必然的に、最大下成長率をもたらす。OptKnockによって示唆されるノックアウトは、野生型菌株からの代謝挙動を変化させる許容可能な解境界を制限するように設計される。所定の菌株に対する実際の解境界は、基質取込み率が増加又は減少するに従って膨張又は収縮することになるが、各実験点は、計算された解境界内にあるべきである。これらのようなプロットは、菌株がそれらの性能限界にどの程度近くなっているか、又は換言すれば、改善の余地がどの程度あるかを視覚化することを可能にする。OptKnockフレームワークは、生化学的過剰産生に対する有望な遺伝子欠失戦略を特定することが既に可能であり(Burgardら、Biotechnol Bioeng、84(6):647-657(2003);Pharkyaら、Biotechnol Bioeng、84(7):887-899(2003))、代謝及び調節モデル化フレームワークの将来の改善を必然的に包含する体系的なフレームワークを確立する。
手短に述べると、OptKnockは、本明細書では、細胞代謝をモデル化するための計算方法及びシステムを指すように使用される用語である。OptKnockプログラムは、特定の条件を流動バランス解析(FBA)モデルに組み込むモデル及び方法のフレームワークに関する。これらの条件としては、例えば、定性的動力学的情報、定性的調節情報及び/又はDNAマイクロアレイ実験データが挙げられる。OptKnockは、また、例えば、流動バランスモデルを介して導かれた流動境界を固定し、続いて遺伝子追加又は欠失の存在下で代謝ネットワークの性能限界を探査することによって様々な代謝問題に対する解を計算する。OptKnock計算フレームワークは、代謝ネットワークの性能限界の効果的な質問を可能にするモデル公式の構築を可能にし、生じる混合整数線形プログラミングの問題を解決するための方法を提供する。本明細書ではOptKnockと称する代謝モデル化及びシミュレーション方法は、例えば、2002年1月10日に出願された米国特許公開第2002/0168654号、2002年1月10日に出願された国際特許第PCT/US02/00660号、及び2007年8月10日に出願された米国特許出願第2009/0047719号に記載されている。
生成物の生合成産生に有利な代謝変化を特定及び設計するための別の計算方法は、SimPheny(登録商標)という名称の代謝モデル化及びシミュレーションシステムである。この計算方法及びシステムは、例えば、2002年6月14日に出願された米国特許公開第2003/0233218号、及び2003年6月13日に出願された国際特許出願第PCT/US03/18838号に記載されている。SimPheny(登録商標)は、ネットワークモデルをインシリコで生成し、生体系の化学反応による質量、エネルギー又は電荷の流れをシミュレートして、系における化学反応のあらゆる可能な機能を含む解空間を画定することによって、生体系に対して許容される活性の範囲を求めるために使用できる計算システムである。解空間が、含まれる反応の既知の化学量論組成などの条件、並びに反応を介する最大流動に付随する反応熱力学及び容量条件によって確定されるため、このアプローチは、条件に基づくモデル化と呼ばれる。これらの条件によって画定された空間を調べて、生体系又は生化学構成要素の表現型機能及び挙動を測定することができる。例えば、Schillingら、J. Theor. Biol. 203:229-248(2000);Schillingら、Biotech. Bioeng. 71:286-306(2000)及びSchillingら、Biotech. Prog.15:288-295(1999)に記載されている凸解析、線形プログラミング及び極経路の計算などの解析方法を使用して、そのような表現型機能を測定することができる。
以上に記載されているように、本発明に適用可能な計算プログラムに使用される1つの条件に基づく方法は、流動バランス解析である。流動バランス解析は、定常状態条件での流動均衡化に基づき、例えば、Varma and Palsson、Biotech. Bioeng. 12:994-998(1994)に記載されているように実施され得る。流動バランスアプローチを反応ネットワークに適用して、例えば、Fell and Small, J. Biochem. 138:781-786(1986)に記載されている脂肪細胞代謝、Majewski and Domach, Biotech. Bioeng. 35:732-738(1990)に記載されているATP最大化条件下での大腸菌からのアセテート分泌、又はVanrolleghemら、Biotech. Prog. 12:434-448(1996)に記載されている酵母によるエタノール分泌の全身特性をシミュレート又は予測した。また、このアプローチを使用して、Edwards and Palsson, Proc. Natl. Acad. Sci. 97:5528-5533(2000)、Edwards and Palsson、J.Bio. Chem. 274:17410-17416(1999)及びEdwardsら、Nature Biotech. 19:125-130(2001)に記載されているように、様々な単一炭素源による出芽酵母の成長、並びにインフルエンザ菌の代謝の成長を予測又はシミュレートすることができる。
解空間が確定されると、それを解析して、様々な条件下で可能な解を求めることができる。生体系は柔軟であり、多くの異なる方法で同じ結果に到達できるため、この計算アプローチは生体の現実と一致する。生体系は、全ての生物系が直面しなければならない基本的条件によって制限された進化メカニズムを通じて設計される。したがって、条件に基づくモデル化戦略は、これらの全般的な現実を包含する。さらに、条件を固定することによりネットワークモデルにさらなる制限を連続的に課すことができるため、解空間の大きさが減じられ、それにより生理的性能又は表現型を予測できる精度が向上する。
生体系は柔軟であり、多くの異なる方法で同じ結果に到達できるため、これらの計算アプローチは生体の現実と一致する。生体系は、全ての生物系が直面しなければならない基本的条件によって制限された進化メカニズムを通じて設計される。したがって、条件に基づくモデル化戦略は、これらの全般的な現実を包含する。さらに、条件を固定することによりネットワークモデルにさらなる制限を連続的に課すことができるため、解空間の大きさが減じられ、それにより生理的性能又は表現型を予測できる精度が向上する。
本明細書に示されている教示及び手引きにより、当業者は、代謝モデル化及びシミュレーションに様々な計算フレームワークを適用して、宿主微生物生物体において所望の化合物の生合成を設計及び実施することが可能になる。そのような代謝モデル化及びシミュレーション方法としては、例えば、SimPheny(登録商標)及びOptKnockとして以上に例示されている計算システムが挙げられる。本発明を例示するために、モデル化及びシミュレーションのためのOptKnock計算フレームワークに関していくつかの方法を本明細書に記載する。当業者は、OptKnockを使用する代謝変化の特定、設計及び実施を、当技術分野においてよく知られているそのような他の代謝モデル化及びシミュレーション計算フレームワーク及び方法のいずれかに適用する方法を把握するであろう。
成長を生化学生成物の産生に強制的に連関させる細胞又は生物体の能力を、インシリコモデルを使用して計算された典型的な代謝ネットワークの生化学産生範囲の脈絡で例示することができる。これらの範囲は、制限基質の取込み率をそれらの実験測定値に固定し、それぞれの達成可能な成長レベルにおける最大及び最小の生化学的産生率を計算することによって求められる。所望の生化学物質の産生は、細胞内資源をめぐってバイオマス形成と直接競合する。これらの状況下において、生化学的産生率の向上は、必然的に、最大下成長率をもたらすことになる。OptKnockなどの上記代謝モデル化及びシミュレーションプログラムによって示唆されるノックアウトは、野生型菌株からの代謝挙動を変化させる許容可能な解境界を制限するように設計される。所定の菌株に対する実際の解境界は、基質取込み率が増加又は減少するに従って膨張又は収縮することになるが、各実験点は、計算された解境界内にある。これらのようなプロットは、改善の余地がどの程度あるかということを示唆するものでもある、設計された菌株がそれらの性能限界にどの程度近くなっているかということを正確に予測することを可能にする。
成長連関生化学的産生に至る遺伝子欠失を明確にするためにOptKnock数理フレームワークを本明細書に例示する(実施例XXXを参照されたい)。その方法は、細胞系が、支配的な物理化学的条件を連続的に課すことにより表示できる可能な表現型の範囲を狭める、条件に基づく代謝モデル化をベースにする(Priceら、Nat Rev Microbiol、2:886-97(2004))。以上に記載されているように、条件に基づくモデル及びシミュレーションは、当技術分野においてよく知られており、一般には、ネットワーク化学量論に支配される特定の細胞目標の最適化を促して、推定の流動的分布を示唆する。
手短に述べると、代謝物の集合N={1,…,N}及び代謝反応の集合M={1,…,M}を含む定常状態の代謝ネットワークに対する集合反応流動として定量される細胞目標の最大化は、以下のように数理的に表される。
[式中、S
ijは、反応jにおける代謝物iの化学量論係数であり、ν
jは、反応jの流動であり、ν
substrate _uptakeは、制限基質の予測又は実測取込み率を表し、ν
atp mainは、非成長関連ATP維持要件である。]。ベクトルνは、内部流動及び外部流動の両方を含む。この調査において、細胞目標は、バイオマス形成に必要な比の生合成前駆体のドレインであるとしばしば想定される(Neidhardt, F.C.ら、第2版、1996、Washington, D.C.:ASM Press.2 v.(xx, 2822, lxxvi))。流動は、一般には、バイオマス形成が、gDW・時間又は1/時間毎に産生されるバイオマスの量(g)で表されるように、1gDW・時間(乾燥重量(g)×時間)毎に報告される。
遺伝子欠失及び反応排除のモデル化は、最初に、条件に基づくアプローチフレームワークへの2値変数の挿入を採用する(Burgardら、Biotechnol Bioeng、74:364-375(2001)、Burgardら、Biotechnol Prog、17:791-797(2001))。これらの2値変数、
は、反応jが活性であれば1の値をとり、それが活性でなければ0の値をとる。以下の条件、
は、変数y
jが0に等しい場合にのみ反応流動ν
jが0に設定されることを保証する。代替的に、y
jが1に等しい場合は、ν
jは、下限
と上限
との間の任意の値を自由にとる。ここで、
は、上記ネットワーク条件に支配される全ての反応流動をそれぞれ最小及び最大にすることによって特定される(Mahadevanら、Metab Eng、5:264-76(2003))。
最適な遺伝子/反応ノックアウトは、得られるネットワークに対する最適な成長解が対象の化学物質を過剰産生するように、活性反応の集合(y
j=1)を選択する双レベル最適化問題を解くことによって特定される。概略的に、この双レベル最適化問題を図2に示す。数理的に、この双レベル最適化問題は、以下の双レベル混合整数最適化問題として表される。
[式中、ν
chemicalは、所望の目標生成物、例えば、アジペート、6-ACA及び/又はHMDA、又は他の生化学生成物の産生であり、Kは許容可能なノックアウトの数である。]。Kを0に等しくすると、完全なネットワークの最大バイオマス解が生成され、Kを1に等しくすると、得られるネットワークが、その最大バイオマス収量を考慮した場合に最大過剰産生を伴うように単一の遺伝子/反応ノックアウト(y
j=0)が特定される。最終的な条件は、得られるネットワークが最小限のバイオマス収量を満たすことを保証する。Burgardら、Biotechnol Bioeng、84:647-57(2003)には、モデル公式及び解法のより詳細な説明が示されている。数百の2値変数を含む問題を、IBM RS6000-270ワークステーションで環境をモデル化するGAMS、Brookeら、GAMS Development Corporation(1998)を介してアクセスされるCPLEX 8.0、GAMS:The Solver Manuals.2003:GAMS Development Corporationを使用して、分から時間の順に解くことができる。OptKnockフレームワークは、生化学的過剰産生に対する有望な遺伝子欠失戦略を特定することが既に可能であり(Burgardら、Biotechnol Bioeng、84:647-57(2003)、Pharkyaら、Biotechnol Bioeng、84:887-899(2003))、代謝及び調節モデル化フレームワークの将来の改善を必然的に包含する体系的なフレームワークを確立する。
上記の方法は、代謝反応の1つのセットを破壊させることになる。セット内の各反応の除外又は代謝的改変は、生物体の成長期を通じて必然的な生成物としての所望の生成物をもたらすことができる。反応は既知であるため、双レベルOptKnock問題に対する解も、反応のセット内の各反応を触媒する1つ以上の酵素をコードする1つ以上の関連遺伝子を与えることになる。反応のセット、及び各反応に関与する酵素をコードする、それらの対応する遺伝子の特定は、一般には、反応と、酵素とコード化遺伝子との関係を有する反応データベースとの関連付けを介して達成される自動化プロセスである。
いったん特定されると、所望の生成物の産生を達成するために破壊される反応のセットは、セット内の各代謝反応をコードする少なくとも1つの遺伝子の機能的破壊によって目標細胞又は生物体において実施される。反応セットの機能的破壊を達成するための1つの特定の有用な手段は、各コード化遺伝子の欠失によるものである。しかし、場合によっては、例えば、変位、プロモータ若しくは調節因子に対するシス結合部位などの調節領域の欠失を含む他の遺伝子異常、又は多くの箇所のいずれかにおけるコード化配列の切断によって、反応を破壊させることが有益であり得る。遺伝子セットの完全欠失未満の欠失をもたらすこれらの後者の異常は、例えば、生成物の連関の迅速な評価が所望される場合、又は遺伝子転換が起こりにくい場合に有用であり得る。
さらなる反応のセットの破壊、又は所望の生成物の成長連関生合成を含む生合成をもたらし得る代謝的改変に至る、上記双レベルOptKnock問題に対するさらなる産生性の解を特定するために、整数カットと呼ばれる最適化方法を実施することができる。この方法は、反復毎に整数カットと呼ばれるさらなる条件を導入することにより、以上に例示されているOptKnock問題を反復的に解くことによって行われる。整数カット条件は、解法が、生成物生合成を成長に強制的に連関する任意の先の反復において特定された全く同じ反応のセットを選択することを効果的に防止する。例えば、既に特定された成長連関代謝的改変が破壊のための反応1、2及び3を指定する場合は、次の条件は、同じ反応が次の解において同時に考慮されることを防止する。整数カット法は、当技術分野においてよく知られており、それを、例えば、Burgardら、Biotechnol. Prog. 17:791-797(2001)に見出すことができる。代謝モデル化及びシミュレーションのためのOptKnock計算フレームワークとそれらの併用に関して本明細書に記載されている全ての方法と同様に、反復的計算解析における冗長を低減する整数カット法をも、例えばSimPheny(登録商標)を含む当技術分野においてよく知られている他の計算フレームワークとともに適用することができる。
本明細書に例示されている方法は、目標生化学生成物の産生を、特定された遺伝子変化を保持するように操作された細胞又は生物体の成長に強制的に連関することを含めて、所望の生成物を生合成により産生する細胞及び生物体の構築を可能にする。したがって、本明細書に記載の計算方法は、OptKnock又はSimPheny(登録商品)から選択されるインシリコ法によって特定される代謝的改変の特定及び実施を可能にする。代謝的改変のセットは、例えば、1つ若しくは複数の生合成経路酵素の添加、及び/又は例えば遺伝子欠失による破壊を含む1つ若しくは複数の代謝反応の機能的破壊を含むことができる。
以上に記載されているように、OptKnock手法は、変異微生物ネットワークに長期間の成長選択を施すと、それらを、計算的に予測されたそれらの最大成長表現型に向けて進化させることができることを前提として開発された。換言すれば、そのアプローチは、選択的圧力下で自己最適化する生物体の能力を活用する。OptKnockフレームワークは、ネットワーク化学量論に基づいて生化学産生と細胞成長とを連関させる遺伝子欠失組合せの網羅的な列挙を可能にする。最適な遺伝子/反応ノックアウトの特定には、得られたネットワークに対する最適成長解が、対象となる生化学物質を過剰産生するように活性反応のセットを選択する双レベル最適化問題の解が必要である(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84:647-657(2003))。
既に例示され、例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号、同第2004/0009466号及び米国特許第7,127,379号に記載されている代謝経路のための必須の遺伝子を特定するために、大腸菌代謝のインシリコ化学量論モデルを採用することができる。本明細書に開示されているように、OptKnock数理フレームワークを応用して、所望の生成物の成長連関産生をもたらす遺伝子欠失を明確にすることができる。さらに、双レベルOptKnock問題の解は、欠失の1つのセットのみを与える。全ての有意義な解、即ち成長連関産生形成をもたらすノックアウトの全てのセットを列挙するために、整数カットと呼ばれる最適化技術を実施することができる。これは、以上に記載されているように、反復毎に整数カットと呼ばれるさらなる条件を導入することにより、OptKnock問題を反復的に解くことを必要とする。
本明細書に示されている教示及び手引きにより、当業者は、酵素反応を破壊させるために、反応に関与する1つ以上の酵素の触媒活性が破壊されることを理解するであろう。破壊は、例えば、コード化遺伝子の欠失、又は1種若しくは複数のコード化遺伝子配列における遺伝的変異の導入を含む多種多様な手段によって起こり得る。破壊の標的とされるコード化遺伝子は、触媒活性に関与する酵素をコードする遺伝子の1つ、いくつか又は全てであり得る。例えば、単一の酵素が標的触媒活性に関与する場合は、破壊は、コードされた遺伝子生成物の触媒活性を低下又は破壊させる遺伝的変異によって起こり得る。同様に、単一の酵素が、ヘテロマーを含む多量体である場合は、破壊は、コードされた遺伝子生成物の1つ又は全てのサブユニットの機能を低下又は破壊させる遺伝的変異によって起こり得る。活性複合体を形成するための1つ以上のサブユニットの結合活性の損失、多量体複合体の触媒サブユニットの破壊、又はその両方によって、活性の破壊を達成することができる。本発明の代謝反応を破壊するために、多量体タンパク質会合及び活性の他の機能も標的とすることができる。そのような他の機能は、当業者に周知である。さらに、本発明の反応又は代謝的改変に関与する1つ若しくは複数の酵素の触媒活性を低下又は破壊するために、単一のポリペプチド又は多量体複合体の機能のいくつか又は全てを本発明により破壊させることができる。同様に、標的とする反応が減少又は排除される限り、本発明の反応又は代謝的改変に関与する酵素のいくつか又は全てを破壊させることができる。
本明細書に示されている教示及び手引きにより、当業者は、共通遺伝子によってコードされる反応を減少又は排除すること、及び/又は同様の、若しくはほぼ同じ活性を示す遺伝子の1つ若しくは複数のオルソログによって酵素反応を破壊させることができることも理解するであろう。共通遺伝子及び全てのオルソログの両方を減少させると、標的反応の触媒活性を完全に破壊することができる。しかし、共通遺伝子又は1つ若しくは複数のオルソログのいずれかを破壊させると、成長の生成物生合成への連関を促進させるのに十分な標的反応の触媒活性を低下させることができる。多種多様な代謝的改変のための触媒活性をコードする共通遺伝子、並びにそれらのオルソログの両方が本明細書に例示される。当業者は、標的代謝反応の酵素をコードする遺伝子のいくつか又は全ての破壊を本発明の方法で実施し、成長連関性生成物産生を達成するために本発明の天然に存在しない微生物生物体に組み込むことができることを理解するであろう。アジペート、6-ACA及び/又はHMDAの産生の増大をもたらす例示的な破壊を実施例XXX及び表14〜16に記載する。
以上に例示されている方法を採用すると、本発明の方法は、例えば、特定された遺伝的変異を保持するように操作された細胞又は生物体の成長に、所望の生成物の産生を連関させることによって、所望の生成物の産生を増大させる細胞及び生物体の構築を可能にする。本明細書に開示されているように、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生を生物体の成長に連関させる代謝的変異が特定された。特定された代謝的変異により構築された微生物生物体菌株は、代謝的変異が存在しない場合と比較して、指数増殖期に高レベルの6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸を産生する。これらの菌株を、既に記載されている負の選択的圧力に曝すことなく、連続発酵法での6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の商業的産生に有利に使用することができる。本明細書では、代謝的変異、特に、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の成長連関産生をもたらす1つ以上の遺伝子破壊として例示されているが、要望に応じて、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸を増大させる任意の遺伝子破壊を宿主微生物生物体に導入することができることが理解される。
したがって、本発明の方法は、OptKnockなどのインシリコ法によって特定される代謝的改変のセットを提供する。代謝的改変のセットは、例えば、遺伝子欠失による破壊を含む1つ以上の代謝反応の機能的破壊を含むことができる。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生については、代謝的改変を表14〜16に示される代謝的改変のセットから選択することができる(実施例XXXを参照されたい)。
6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の安定な成長連関産生を有する天然に存在しない微生物生物体を産生する方法も提供される。該方法は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生、例えば、指数増殖時の産生を増大させる代謝的改変のセットをインシリコで特定すること;6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生を増大させる代謝的改変のセットを含むように生物体を遺伝的に改変すること;及び遺伝的に改変された生物体を培養することを含むことができる。要望に応じて、培養は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生を必要とする条件下で、遺伝的に改変された生物体を適応的に進化させることを含むことができる。本発明の方法は、細菌、酵母菌及び真菌、並びに本明細書に開示されている多種多様な他の細胞及び微生物に適用可能である。
したがって、本発明は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生の増大をもたらす1つ以上の遺伝子破壊を含む天然に存在しない微生物生物体を提供する。一実施態様において、1つ以上の遺伝子破壊は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の成長連関産生をもたらし、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の安定な成長連関産生をもたらすことができる。別の実施態様において、そのような1つ以上の遺伝子破壊は、それぞれの1つ以上のコードされた酵素の活性を低下させる。
天然に存在しない微生物生物体は、表14〜16に示される代謝的改変に含まれる1つ以上の遺伝子破壊を有することができる。本明細書に開示されているように、1つ以上の遺伝子破壊は欠失であり得る。本発明のそのような天然に存在しない微生物生物体としては、細菌、酵母菌、真菌、又は本明細書に開示されている発酵法に適用可能な任意の多種多様な他の微生物が挙げられる。
したがって、本発明は、1つ以上の遺伝子破壊を含む天然に存在しない微生物生物体であって、1つ以上の遺伝子破壊が、タンパク質又は酵素をコードする遺伝子に生じ、1つ以上の遺伝子破壊が、生物体における6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生の増大をもたらす天然に存在しない微生物生物体を提供する。6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生は、成長連関又は非成長連関であり得る。特定の実施態様において、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生を、本明細書に開示されているように、生物体の成長に強制的に連関させることができる。
本発明は、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生、例えば、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の成長連関産生を増大させる遺伝子破壊などの遺伝的変異を有する天然に存在しない微生物生物体を提供する。生成物の産生を、例えば、本明細書に開示されているように、細胞の代謝経路を遺伝的に変異させることによって微生物の指数増殖期に強制的に関連付けることができる。遺伝的変異は、所望の生成物の産生を増大させ、又はさらには所望の生成物を成長期の必須生成物にすることができる。産生の増大、及び6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸生合成のレベルの上昇をもたらす代謝的変異又は形質転換のセットを表14〜16に例示する(実施例XXXを参照されたい)。セット内の各変異は、機能的に破壊させられるべき必須の代謝反応に対応する。各セット内の全ての反応の機能的破壊は、成長期を通じて、操作された菌株による6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生の増大をもたらすことができる。掲載されている変異に対応する反応を表14〜16(実施例XXXを参照されたい)に見出すことができ、反応を実施する酵素又はタンパク質をコードする1つ以上の遺伝子が表14〜16に示されている。
例えば、表14〜16に例示される菌株毎に、6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生について生成することができる代謝的変異を各列に示す。これらの変異は、表14〜16に示される反応の機能的破壊を含む。これらの天然に存在しない変異の各々は、適切な培養条件下で、そのような代謝的変異を含まない菌株と比較して、例えば微生物生物体の指数増殖期を通じての産生の増大、及び6-アミノカプロン酸、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン又はレブリン酸の産生のレベルの向上をもたらす。適切な条件としては、例えば、特定の炭素源若しくは反応物質の可用性及び/又は適応性のある進化などの条件を含む、本明細書に開示されている条件が挙げられる。
本発明の様々な実施態様の活性に実質的に影響を与えない改変も本明細書に示される本発明の定義内で提供されることが理解される。したがって、以下の実施例は、本発明を例示することを意図するものであり、限定するものではない。
(実施例I)
(逆アジペート分解経路)
本実施例では、逆アジペート分解経路を介する例示的なアジペート合成経路について記載する。
ペニシリウム・クリソゲナムなどの生物体は、アジペートを自然に分解する能力を有する(Thykaerら、Metab. Eng.4:151-158.(2002))。メカニズムは、脂肪酸の酸化と類似する(図1を参照されたい)。アジペート分解の第1のステップは、CoAでアジペートを活性化させるATP依存性反応である。第2の反応は、アジピル-CoAから5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAを形成するデヒドロゲナーゼによって触媒される。ペルオキシソームアジペート分解を通じて、デヒドロゲナーゼ酵素は、電子を受容し、次いでそれらを酸素に直接輸送するFADを含む。カタラーゼ酵素は、酸素の還元によって形成されたH2O2を放散させる。ミトコンドリア脂肪酸酸化において、デヒドロゲナーゼからのFADは、電子を電子輸送鎖に直接輸送する。出芽酵母及びペニシリウム・クリソゲナムなどの真核生物における多官能性脂肪酸酸化タンパク質は、以下のヒドラターゼ及びデヒドロゲナーゼステップを実施する。最終ステップは、3-オキソアジピルCoAをアセチル-CoA及びスクシニル-CoAに分割するアシルトランスフェラーゼである。
アジペートの産生のための高効率経路は、類似の酵素反応がスクシニル-CoA及びアセチル-CoAからのアジペート合成のために採用されるように、微生物を遺伝的に変異させることにより達成される(図2を参照されたい)。これを成功裡に実施するには、適切な遺伝子を発現し、それらの発現を調整し、高いアセチル-CoA、スクシニル-CoA及び/又はレドックス(例えばNADH/NAD+)比が代謝流動を、この経路を介して、分解でなくアジペート合成の方向に誘導するように培養条件を変化させることが必要である。クロストリジウムにおけるブチレート形成との強い並行性(Kanehisa and Goto、Nucl. Acids Res. 28:27-30(2000))は、アジペート合成経路における各ステップが、関与する代謝物の濃度によって支配される反応指向性により熱力学的に実現可能であることを裏付けている。アジピル-CoAからアジペートを形成する最終ステップは、シンセターゼ、ホスホトランスアジピラーゼ/キナーゼ、トランスフェラーゼ又はヒドロラーゼメカニズムを介して起こり得る。
この経路を使用するアジペートの最大の理論収率を、酸素などの外部電子受容体が存在する場合及び存在しない場合において計算した。これらの計算により、その経路は、グルコースを92%のモル収率でアジペート及びCO
2に嫌気性条件下で効率的に変換できることが示されている(表1)。3-ヒドロキシアジピル-CoA及びアジピル-CoAを形成する2つのヒドロゲナーゼステップでNAD+を再生できるため、この経路を使用するアジペートの産生は、酸素の取込みを必要としない(図2を参照されたい)。さらに、最終変換ステップのためのシンセターゼ、ホスホトランスアジピラーゼ/キナーゼ又はトランスフェラーゼメカニズムを想定すると、アジペートの最大理論収率で消費されるグルコース1モル当たり1.55モルまでのATPが形成されるため、その経路はエネルギー的に有利である。ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PPCK)が、オキサロアセテートの形成に向かってATP生成方向に機能すると仮定すると、ATP収率を、グルコース1モル当たり2.47モルのATPが産生されるレベルまで向上させることができる。次いで、アジピル-CoAからアジペートへの変換が加水分解ステップであると仮定して、最大ATP収率の計算を実施した。これは、PPCKがそれぞれ不可逆的又は可逆的であると仮定すると、最大アジペート産生における最大ATP収率を、消費されるグルコース1モル当たりそれぞれ0.85モル及び1.77モルのATPまで低下させる。しかしながら、これらのATP収率は、細胞成長、維持及び産生に十分なものである。
表1:経路における最終ステップがシンセターゼ、ホスホトランスアジピラーゼ/キナーゼ又はトランスフェラーゼであると仮定して逆分解経路を使用した場合のグルコース1モル当たりのアジペートの最大理論収率及び関連するATP収率
この経路を成功裡に操作することは、十分な活性及び特異性を有する適切な酵素のセットを特定することを必要とする。これは、適切な酵素のセットを特定すること、それらの対応する遺伝子を産生宿主にクローニングすること、発酵条件を最適化すること、及び発酵後の生成物の形成に対してアッセイすることを必要とする。アジペートの産生のために産生宿主を操作するために、1つ以上の外因性のDNA配列を好適な宿主微生物に発現させる。加えて、微生物は、内因性の遺伝子を機能的に削除させることができる。これらの改変は、再生可能な供給原料を使用するアジペートの産生を可能にする。
産生宿主における逆アジペート分解経路の各ステップを触媒する酵素をコードする生化学的に特徴付けられたいくつかの候補遺伝子について以下に記載する。経路を操作するための宿主生物体として大腸菌を用いて記載するが、基本的には任意の好適な宿主生物体を使用することができる。大腸菌に固有の遺伝子、並びに適正にクローニング及び発現されると適切な変換を触媒するのに適用できる他の生物体における遺伝子が具体的に挙げられる。
図2を参照すると、ステップ1は、スクシニルCoA:アセチルCoAアシルトランスフェラーゼ(β-ケトチオラーゼ)を含む。経路における第1のステップは、アセチル-CoAとスクシニル-CoAを組み合わせて、3-オキソアジピル-CoAを形成する。シュードモナス菌株B13のpcaF(Kaschabekら、J. Bacteriol. 184:207-215(2002))、シュードモナス・プチダUのphaD(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6419-6424(1998))、シュードモナス・フルオレッセンスSTのpaaE(Di Gennaroら、Arch. Microbiol. 188:117-125(2007))及び大腸菌のpaaJ(Nogalesら、Microbiol. 153:357-365(2007))によってコードされる遺伝子生成物は、フェニルアセテート及びスチレンなどの芳香族化合物の分解中に、3-オキソアジピル-CoAのスクシニル-CoA及びアセチル-CoAへの変換を触媒する。β-ケトチオラーゼ酵素は可逆変換を触媒するため、これらの酵素を図2に示されるアジペート合成における第1のステップに採用することができる。例えば、ラルストニア・ユートロファからのケトチオラーゼphaAは、アセチル-CoAの2つの分子を組み合わせて、アセトアセチル-CoAを形成する(Satoら、J. Biosci. Bioengineer. 103:38-44(2007))。同様に、β-ケトチオラーゼ(bktB)は、ラルストニア・ユートロファにおいて、β-ケトバレリル-CoAを形成する、アセチル-CoAとプロピオニル-CoAとの縮合を触媒することが報告された(Slaterら、J. Bacteriol. 180:1979-1987(1998))。さらなる候補は、バークホルデリア・アンビファリアAMMDに見出される。上記遺伝子生成物についてのタンパク質配列は、当技術分野においてよく知られており、以下のGI番号及び/又はGenBank識別子を使用してGenBankなどの公的データベースで入手され得る。
これらの例示的な配列を使用して、配列類似性検索(例えば、BLASTp)を通じてジェンバンク又は他のデータベースにおける相同体タンパク質を特定することができる。得られた相同体タンパク質及びそれらの対応する遺伝子配列は、大腸菌又は他の好適な宿主微生物に変換して産生宿主を生成するためのさらなる外因性のDNA配列を提供する。
例えば、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して、大腸菌K12からのpaaJのオルソログを見出すことができる。
以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して、シュードモナス・ナックムッシからのpcaFのオルソログの例を見出すことができる。
ケトチオラーゼステップのためのさらなる原生候補遺伝子としては、2つのアセチル-CoA分子の可逆縮合を触媒することができるatoB(Satoら、J. Biosci. Bioengineer. 103:38-44(2007))及びその相同体yqeFが挙げられる。非原生遺伝子候補としては、ラルストニア・ユートロファからのphaA(Satoら、前出、2007)及びbktB(Slaterら、J. Bacteriol. 180:1979-1987(1998))、並びにクロストリジウム・アセトブチリカムからの2つのケトチオラーゼ、thiA及びthiB(Winzerら、J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 2:531-541(2000))が挙げられる。以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して、これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を見出すことができる。
この例示的な経路では、大腸菌の脂肪酸分解経路における遺伝子である、チオラーゼコード化遺伝子fadA及びfadBを使用することはあまり望ましくない。これらの遺伝子は、そのほとんどがこの経路に望ましくない複数の活性に対してコードする複合体を形成する。
図2を参照すると、ステップ2は、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼを含む。その経路における第2のステップは、3-オキソアジピル-CoAの3-ヒドロキシアジピル-CoAへの還元を含む。シュードモナス・プチダUのphaC(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6419-6424(1998))及びシュードモナス・フルオレッセンスSTのpaaC(Di Gennaroら、Arch. Microbiol. 188:117-125(2007))によってコードされる遺伝子生成物は、フェニルアセテート又はスチレンの異化を通じて、逆反応、即ち3-オキソアジピル-CoAを形成する3-ヒドロキシアジピル-CoAの酸化を触媒する。そのようなデヒドロゲナーゼによって触媒される反応は、可逆であるため、これらの遺伝子は、図2に示されるアジペート合成の第2のステップを実施するための候補を表す。同様の変換が、クロストリジウム・アセトブチリカムのhbdの遺伝子生成物によっても実施される(Atsumiら、Metab. Eng.(epub Sep. 14, 2007);Boyntonら、J. Bacteriol. 178:3015-3024(1996))。この酵素は、アセトアセチル-CoAを3-ヒドロキシブチリル-CoAに変換する。paaHの大腸菌がフェニルアセテート分解オペロンにおける他の遺伝子に近いこと(Nogalesら、Microbiol. 153:357-365(2007))、及びpaaH変異体がフェニルアセテート上で成長できないこと(Ismailら、Eur. J. Biochem. 270:3047-3054(2003))から、大腸菌paaH遺伝子は、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼをコードすることが推定される。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
図2を参照すると、ステップ3は、3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼを含む。クロストリジウム・アセトブチリカムからのcrtの遺伝子生成物は、3-ヒドロキシブチリル-CoAのクロトニル-CoAへの脱水を触媒する(図2を参照されたい)(Atsumiら、前出、2007;Boyntonら、J. Bacteriol. 178:3015-3024(1996))。この遺伝子の相同体は、図2に例示されるアジペート合成経路における第3のステップを実施するための有力な候補である。加えて、エノイル-CoA化合物における二重結合のヒドロキシル化を触媒することが知られている遺伝子は、そのような酵素変換の可逆性によりさらなる候補になる。例えば、シュードモナス・プチダのエノイル-CoAヒドラターゼphaA及びphaBは、フェニルアセテート異化を通じて二重結合のヒドロキシル化を実施すると見られており(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6419-6424(1998))、したがって大腸菌への導入のためのさらなる候補になる。これらの遺伝子の欠失は、シュードモナス・プチダにおけるフェニルアセテート分解を防止する。シュードモナス・フルオレッセンスからのpaaA及びpaaBは、類似の変換を触媒する(Oliveraら、前出、1998)。最後に、いくつかの大腸菌遺伝子は、maoC(Park and Lee、J. Bacteriol. 185:5391-5397(2003))、paaF(Ismailら、Eur. J. Biochem. 270:3047-3054(2003);Park and Lee、Biotechnol. Bioeng. 86:681-686(2004);Park and Lee、Appl. Biochem. Biotechnol. 113-116:335-346(2004))及びpaaG(Ismailら、前出、2003;Park and Lee、前出、2004;Park and Lee、前出、2004)を含むエノイル-CoAヒドラターゼ機能を示すことが示された。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
代替的に、ベータ-酸化遺伝子は、アジペート合成における最初の3つのステップのための候補である。提案されているアジペート合成経路のための候補遺伝子は、大腸菌の原生脂肪酸酸化遺伝子及び他の生物体におけるそれらの相同体をも含む。大腸菌遺伝子fadA及びfadBは、ケトアシル-CoAチオラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ及びエノイル-CoAヒドラターゼ活性を示す多酵素複合体をコードする(Yangら、Biochem. 30:6788-6795(1991);Yangら、J. Biol. Chem. 265:10424-10429(1990);Yangら、J. Biol. Chem. 266:16255(1991);Nakahigashi and Inokuchi、Nucl. Acids Res. 18:4937(1990))。これらの活性は、機械論的には、図2に示される最初の3つの変換に類似する。fadI及びfadJ遺伝子は、類似の機能をコードし、必然的に嫌気的でのみ発現される(Campbellら、Mol. Microbiol. 47:793-805(2003))。これらの遺伝子生成物は、必然的に、図2に提示されるようにスクシニル-CoA及びアセチル-CoAを5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAに変換するのでなく、短鎖、中鎖及び長鎖脂肪アシル-CoA化合物をアセチル-CoAに分解するように作用する。しかし、ケトアシル-CoAチオラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ及びエノイル-CoAヒドラターゼ酵素は可逆変換を触媒することが周知である。また、指向的進化及び関連アプローチを適用して、大腸菌の原生ベータ-酸化機構の基質特異性を調整することができる。したがって、これらの酵素又はそれらの相同体をアジペート産生に適用することができる。原生遺伝子が作用してアジペート又はその前駆体をインビボで分解する場合は、適切な遺伝的改変を行って、これらの機能を弱めるか、又は除去する。しかし、負の制御因子fadRをノックアウトすることによってfadBを活性化させ、非原生ケトチオラーゼphaAをラルストニア・ユートロファから発現させることを含む、大腸菌にポリ[(R)-3-ヒドロキシブチレート]を産生するための方法が記載されているため、それは必要でない可能性がある(Satoら、J. Biosci. Bioeng. 103:38-44(2007))。この研究は、ベータ-酸化酵素、特に、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ及びエノイル-CoAヒドラターゼ活性の両方をコードするfadBの遺伝子生成物が、より長鎖の分子をアセチル-CoA前駆体から産生するための経路の一部として機能できることを明確に実証した。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
図2を参照すると、ステップ4は、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼを含む。ケトチオラーゼ、デヒドロゲナーゼ及びエノイル-CoAヒドラターゼステップは、一般に可逆的であるのに対して、エノイル-CoAレダクターゼステップは、生理的条件下でほぼ常に酸化性で不可逆的である(Hoffmeisterら、J. Biol. Chem. 280:4329-4338(2005))。FadEは、大腸菌においてこの不可逆的である可能性が高い変換を触媒する(Campbell and Cronan、J. Bacteriol. 184:3759-3764(2002))。その経路は、単にアシル-CoAを2-エノイル-CoA化合物に酸化するFadEなどの酵素でなく、2-エノイル-CoA中間体を減少させることができる酵素を必要とする。また、大腸菌は、エノイル-CoAの還元のための酵素を必然的に保有することが示唆されたが(Mizugakiら、J. Biochem. 92:1649-1654(1982); Nishimakiら、J. Biochem. 95:1315-1321(1984))、この機能を保有する大腸菌遺伝子は、生化学的に特徴付けられていない。
エノイル-CoAレダクターゼステップのための1つの候補遺伝子は、アジペート合成経路における5-カルボキシ-2-ペンタノイル-CoAのアジピル-CoAへの所望の還元にメカニズムが類似する反応であるクロトニル-CoAのブチリル-CoAへの還元を必然的に触媒するクロストリジウム・アセトブチリカムからのbcdの遺伝子生成物である(Atsumiら、前出、2007;Boyntonら、J. Bacteriol. 178:3015-3024(1996))。電子輸送フラビンタンパク質をコードするクロストリジウム・アセトブチリカムetfAB遺伝子の発現とともにbcdを発現させることによって、この酵素の活性を強化することができる。エノイル-CoAレダクターゼステップのためのさらなる候補は、ユーグレナ・グラシリスからのミトコンドリアエノイル-CoAレダクターゼである(Hoffmeisterら、J. Biol. Chem. 280:4329-4338(2005))。そのミトコンドリア標的リーダー配列の除去に続いてこの配列から導かれる構造体を大腸菌にクローニングして、活性酵素を得た(Hoffmeisterら、前出、2005)。真核遺伝子、特に、原核生物体において遺伝子生成物を特定の細胞内区画にターゲティングすることができるリーダー配列を有する遺伝子を発現させるこのアプローチは、当業者に周知である。原核トレポネーマ・デンティコラからのこの遺伝子の近相同体TDE0597は、大腸菌にクローニング及び発現された第3のエノイル-CoAレダクターゼである(Tucci and Martin、FEBS Lett. 581:1561-1566(2007))。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
図2を参照すると、ステップ5は、アジピル-CoAシンセターゼ(アジペート-CoAリガーゼとも称する)、ホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼ、アジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ、又はアジピル-CoAヒドロラーゼを含む。エネルギーの観点から、アジペート合成経路における最終ステップを、アジピル-CoAのチオエステル結合に蓄えられたATP等価物を保護することができる酵素又は酵素対によって触媒することが望ましい。大腸菌のsucC及びsucD遺伝子又はそれらの相同体の生成物は、それらがアジピル-CoAに対する活性を示すのであれば、図2に示される最終的な変換を潜在的に触媒することができる。sucCD遺伝子は、インビボで可逆的な反応である1つのATPの消費と同時にスクシネートからのスクシニル-CoAの形成を触媒するスクシニル-CoAシンセターゼ複合体を自然に形成する(Buckら、Biochem. 24:6245-6252(1985))。スクシネートとアジペートが構造的に類似していること、即ち双方が直鎖状ジカルボン酸であることから、アジピル-CoAに対するsucCD酵素のある程度の活性を予測することが合理的である。アジピル-CoAリガーゼ活性を示す酵素は、図1に示されるように反対の生理的方向に作用する場合に、ここではAMP及びPPiを共因子として使用して、アジピル-CoAからアジペートのATP生成産生を同等に行うことができる。例示的なCoA-リガーゼとしては、その配列がまだ特徴付けられていないラットジカルボキシレートCoAリガーゼ(Vamecqら、Biochem. J. 230:683-693(1985))、ペニシリウム・クリソゲナムからの2つの特徴付けられたフェニルアセテート-CoAリガーゼのいずれか(Lamas-Maceirasら、Biochem. J. 395、147-155(2005);Wangら、Biochem. Biophy. Res. Commun. 360:453-458(2007))、シュードモナス・プチダからのフェニルアセテート-CoAリガーゼ(Martinez-Biancoら、J. Biol. Chem. 265:7084-7090(1990))及び枯草菌からの6-カルボキシヘキサノエート-CoAリガーゼ(Bowerら、J. Bacteriol. 178:4122-4130(1996))が挙げられる。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
ホスホトランスアジピラーゼ/アジペートキナーゼを使用する別の選択肢は、クロストリジウム・アセトブチリカムからのbuk1、buk2及びptbの遺伝子生成物(Walterら、Gene 134:107-111(1993);Huangら、J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 2:33-38(2000))、又はそれらの相同体によって触媒される。ptb遺伝子は、ブチリル-CoAをブチリル-ホスフェートに変換することができる酵素をコードする。次いで、その変換されたブチリル-ホスフェートは、buk遺伝子生成物のいずれかを介してブチレートに変換されると同時に、ATPが生成される。類似の変換のセット、即ちアジピルCoAのアジピル-ホスフェートへの変換、及びそれに続くアジピル-ホスフェートのアジペートへの変換をbuk1、buk2及びptb遺伝子生成物によって実施することができる。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
代替的に、CoA基をアジピル-CoAからアセテートに移すことが可能なアセチルトランスフェラーゼを適用することができる。同様の変換が、それぞれスクシニル-CoA、4-ヒドロキシブチリル-CoA及びブチリル-CoAアセチルトランスフェラーゼ活性を表すことが示されたクロストリジウム・クルイベリのcat1、cat2及びcat3の遺伝子生成物によって触媒される(Sohling and Gottschalk、J. Bacteriol. 178:871-880(1996);Seedorfら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105:2128-2133(2008))。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
最終的に、エネルギーの観点から望ましくないが、アジピル-CoAのアジペートへの変換をアシル-CoAヒドロラーゼ又は同様にチオエステラーゼによって実施することもできる。最上位の大腸菌遺伝子候補は、アジピル-CoAに対する活性を有するジカルボン酸アセチルトランスフェラーゼであるヒトacot8(Westinら、J. Biol. Chem. 280:38125-38132(2005))に対して高い類似性を示すtesB(Naggertら、J. Biol. Chem. 266:11044-11050(1991))である。この活性は、ラット肝臓においても特徴付けられてきた(Deana, Biochem. Int. 26:767-773(1992))。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
他の原生候補遺伝子としては、tesA(Bonner and Bloch、J. Biol. Chem. 247:3123-3133(1972))、ybgC(Kuznetsovaら、FEMS Microbiol. Rev. 29:263-279(2005);Zhuangら、FEBS Lett. 516:161-163(2002))、paal(Songら、J. Biol. Chem. 281:11028-11038(2006))及びybdB(Leducら、 J. Bacteriol. 189:7112-7126(2007))。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
以上の記載は、逆アジペート分解経路を介する例示的なアジペート経路が示されている。
(実施例II)
(逆分解経路を有するアジペート産生微生物生物体の製造)
本実施例では、逆分解経路を使用してアジペートを産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、図2に示される逆アジペート分解経路を操作する。大腸菌は、アジペートを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又はミクロ好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
アジペートを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、逆分解経路で利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれスクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ及び3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、paaH(NP_415913.1)及びmaoC(NP_415905.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、それぞれ5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ及びアジピル-CoAシンセターゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)、etfAB(349315.1及び349316.1)及びsucCD(NP_415256.1及びAAC73823.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。プラスミドの2つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、逆分解経路を介するアジペート合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、逆分解経路遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。アジペートを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的アジペート合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝をアジペートのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的にアジペートのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、アセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体又はアジペート生成物のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連をアジペート産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
アジペートの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記逆分解経路含有生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を使用するHPLC(Shimadzu、メリーランド州Columbia)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
本実施例は、逆分解経路を使用するアジペート産生微生物生物体の製造について記載する。
(実施例III)
(3-オキソアジペートを介するアジペート合成)
本実施例では、3-オキソアジペートを介する例示的なアジペート合成経路について記載する。
アセチル-CoA及びスクシニル-CoAをアジペート形成のための前駆体として使用し、代謝中間体3-オキソアジペートを経る実施例I及びIIに記載の経路からのさらなる経路を図3に示す。この経路における最初の2つの変換は、逆方向に作用する芳香族及びクロロ芳香族化合物のための分解経路の2つの最終ステップである(Kaschabekら、J. Bacteriol. 184:207-215(2002);Nogalesら、Microbiol. 153:357-365(2007);Ismailら、Eur. J. Biochem. 270:3047-3054(2003))。具体的には、第1のステップは、スクシニル-及びアセチル-CoAの縮合によって3-オキソアジピルCoAを形成する。第2のステップは、3-オキソアジペートを形成し、シュードモナス種菌株B13において可逆的であることが報告されている(Kaschabekら、J. Bacteriol. 184:207-215(2002))。
その後のステップは、3-オキソアジペートの3-ヒドロキシアジペートへの還元(ケト基のヒドロキシル基への変換)、ヘキサ-2-エネジオエートを得るための3-ヒドロキシアジペートの脱水、及びアジペートを形成する、ヘキサ-2-エネジオエートの還元を含む。経路のこれらのステップは、還元性TCA回路を介するオキサロアセテートのスクシネートへの変換に類似する(図4を参照されたい)。これは、適切な代謝物濃度の存在を条件として、経路のこれらのステップが熱力学的に有利であることを支持する。生化学的に、又はヘキサ-2-エネジオエートをアジペートに変換するための化学触媒を採用することによって、最終還元ステップを実施することができる。(Niuら、Biotechnol. Prog. 18:201-211(2002))に記載されているように、活性化炭素担持Pt触媒を使用して化学的水素化を実施することができる。
この経路を使用するアジペートの最大理論収率は、消費されるグルコース1モル当たり0.92モルであり、これらの収率を達成するために酸素を必要としない(表2を参照されたい)。関連するエネルギー機構は、逆アジペート経路のそれと同一である。理論的には、この経路を介して利用されるグルコース1モル当たり1.55モルまでのATP形成が確認される。ホスホエノールピルベートキナーゼ(PPCK)がATP生成の方向に作用すると仮定すると、ATP収率が約2.47モルに向上する。興味深いことには、最後のステップに化学的水素化を用い、100%の触媒効率を想定すると、生成物収率を、消費されるグルコース1モル当たりアジペート1モルまで増大させることができる。このシナリオでは、PPCKの逆転機能を想定しなければ、理論的に1.95モルまでのATPが形成される。
表2:3-オキソアジペート経路を使用するグルコース1モル当たりのアジペートの最大理論収率及び関連するATP収率
この経路を成功裡に操作することは、十分な活性及び特異性を有する適切な酵素のセットを特定することを含む。これは、適切な酵素のセットを特定すること、それらの対応する遺伝子を産生宿主にクローニングすること、発酵条件を最適化すること、及び発酵後に生成物形成についてアッセイすることを必要とする。アジペートの産生に向けて産生宿主を操作するために、1つ以上の外因性のDNA配列を宿主微生物に発現させることができる。加えて、宿主微生物は、内因性の遺伝子を機能的に欠失させることができる。これらの改変は、再生可能供給原料を使用するアジペートの産生を可能にする。
アジペート合成のための3-オキソアジペート経路の各ステップを触媒する酵素をコードすることが可能ないくつかの生化学的に特徴付けられた候補遺伝子を以下に記載する。この方法は、大腸菌について記載されているが、当業者は、これらの教示を任意の他の好適な宿主生物体に適用することが可能である。具体的には、大腸菌に固有の遺伝子、並びに適正にクローニング及び発現されると、適切な変換を触媒するために適用することができる他の生物体における遺伝子が以下に挙げられる。
図3を参照すると、ステップ1は、スクシニルCoA:アセチルCoAアシルトランスフェラーゼ(β-ケトチオラーゼ)を含む。この酵素に対する遺伝子候補は以上に示されている(図2、ステップ1)。
図3を参照すると、ステップ2は3-オキソアジピル-CoAトランスフェラーゼを含む。このステップにおいて、CoA基を3-オキソアジピル-CoAからスクシネートに移すことによって3-オキソアジペートを形成する。この活性は、シュードモナスのpcaI及びpcaJによってコードされる2ユニット酵素に報告される(Kaschabekら、J. Bacteriol. 184:207-215(2002))。この酵素は、可逆的変換を触媒する。この複合体のサブユニットAについての例示的な遺伝子生成物のタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
この複合体のサブユニットBについての例示的な遺伝子生成物のタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
図3を参照すると、ステップ3は、3-オキソアジペートレダクターゼを含む。大腸菌は、いくつかの候補アルコールデヒドロゲナーゼを有し、類似の機能を有する2つは、マレートデヒドロゲナーゼ(mdh)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(ldhA)である。これらの2つの酵素は大腸菌において広い基質特異性を有することは示されていないが、ラルストニア・ユートロファからのラクテートデヒドロゲナーゼは、ラクテート、2-オキソブチレート、2-オキソペンタノエート及び2-オキソグルタレートなどの様々な鎖長の基質に対する高い活性を示すことが示された(Steinbuchel and Schlegel、Eur. J. Biochem. 130:329-334(1983))。このステップに対するさらなる非原生酵素候補は、クローニングされ、特徴付けられたヒト心臓からのミトコンドリア3-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ(bdh)である(Marksら、J. Biol. Chem. 267:15459-15463(1992))。この酵素は、3-ヒドロキシ酸に対して作用するデヒドロゲナーゼであることが特に興味深い。デヒドロゲナーゼは、典型的には可逆性であることから、この遺伝子生成物又はその相同体は、3-オキソ酸、例えば3-オキソアジペートを、対応する3-ヒドロキシ酸、例えば3-ヒドロキシアジペートに還元することが可能になると推定される。これらの例示的な遺伝子生成物の各々についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
図3を参照すると、ステップ4は、3-ヒドロキシアジペートデヒドラターゼを含む。この反応において、3-ヒドロキシアジペートが脱水されてヘキサ-2-エネジオエートになる。この酵素変換についての直接的な証拠は特定されていないが、たいていのデヒドラターゼは、水のα、β除去を触媒する。これは、電子求引性カルボニル、カルボキシレート又はCoA-チオールエステル基によるα-水素の活性化、及びβ位からのヒドロキシル基の除去を含む(Martinsら、Proc. Natl. Acad .Sci. USA 101:15645-15649(2004);Buckel and Golding,. FEMS Microbiol. Rev. 22:523-541(1998))。例示的な遺伝子生成物についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
この機能を実行するための他の良好な候補は、セリンデヒドラターゼである。これらの酵素は、この脱水ステップにおいて必要とされるセリンからのアンモニアの除去において極めて類似した変換を触媒する。例示的な遺伝子生成物についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
この変換に対する非原生遺伝子候補も特定された。例えば、ペプトストレプトコッカス・アサッカロリチカスからの多サブユニットL-セリンデヒドラターゼは、L-セリンデヒドラターゼ活性が欠如した大腸菌株を補完することが示された(Hofmeisterら、J. Bacteriol. 179:4937-4941(1997))。さらに、ユーバクテリウム・バーケリの遺伝子hmdによってコードされる推定上の2-(ヒドロキシメチル)グルタレートデヒドラターゼは、[4Fe-4S]含有細菌セリンデヒドラターゼのα-及びβ-サブユニットの両方に対して類似性を示す(Alhapelら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:12341-12346(2006))。例示的な遺伝子生成物についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
図3を参照すると、ステップ5は、2-エノエートレダクターゼを含む。3-オキソアジペート経路における最終ステップは、アジペートを形成する、ヘキサ-3-エネジオエートの二重結合の還元である。生化学的には、多種多様なα,β-不飽和カルボン酸及びアルデヒドのNADH依存性還元を触媒することが知られている2-エノエートレダクターゼ(EC 1.3.1.31)によってこの変換を触媒することができる(Rohdichら、J. Biol. Chem. 276:5779-5787(2001))。この酵素は、クロストリジウム・チロブチリカム及びクロストリジウム・サーモアセチカム(現在はムーレラ・サーモアセチカムと呼ばれる)を含むいくつかのクロストリジウム種のenrによってコードされる(Giesel and Simon、Arch. Microbiol. 135:51-57(1983))。最近公開されたサッカロミセス・クルイベリのゲノム配列において、エノエートレダクターゼについての9つのコード配列が報告され、そのうち1つが特徴付けられた(Seedorfら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105:2128-2133(2008))。クロストリジウム・チロブチリカム及びクロストリジウム・サーモアセチカムの両方からのenr遺伝子がクローニング及び配列され、互いに59%の同一性を示す。前者の遺伝子は、特徴付けられたサッカロミセス・クルイベリの遺伝子に対して約75%の類似性を有することも判明している(Giesel and Simon、Arch. Microbiol. 135:51-57(1983))。これらの配列結果に基づいて、enrは、大腸菌のジエノイルCoAレダクターゼ(fadH)に極めて類似することが報告された(Rohdichら、J. Biol. Chem. 276:5779-5787(2001))。したがって、3-オキソアジペート経路における最後のステップを触媒するためのいくつかの遺伝子候補が存在し、以下に挙げられている。クロストリジウム・サーモアセチカムenr遺伝子は、また、大腸菌に酵素活性形態で発現された(Rohdichら、前出、2001)。例示的な遺伝子生成物についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
以上の記載は、3-オキソアジペート経路を介する例示的なアジペート合成経路が示されている。
(実施例IV)
(3-オキソアジペート経路を有するアジペート産生微生物生物体の製造)
本実施例では、3-オキソアジペート経路を使用してアジペートを産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、図3に示される3-オキソアジペート経路を操作する。大腸菌は、アジペートを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
アジペートを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、3-オキソアジペート経路で利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれスクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-オキソアジピル-CoAトランスフェラーゼ及び3-オキソアジペートレダクターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、pcaIJ(AAN69545.1及びNP_746082.1)及びbdh(AAA58352.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、それぞれ3-ヒドロキシアジペートデヒドラターゼ及び2-エノエートレダクターゼ活性をコードするacnA(P25516.3)及びenr(ACA54153.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。プラスミドの2つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、3-オキソアジペート経路を介するアジペート合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、アジペート合成のための3-オキソアジペート経路遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。アジペートを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的アジペート合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝をアジペートのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的にアジペートのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、アセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体又はアジペート生成物のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連をアジペート産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
アジペートの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、3-オキソアジペート経路含有生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad)を使用するHPLC(Shimadzu)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
本実施例は、3-オキシドアジペート経路を含むアジペート産生微生物生物体の製造について記載する。
(実施例V)
(シス、シス-ムコン酸を介するアジペート合成)
本実施例では、既に記載されているアジペート合成経路について記載する(Niuら、Biotechnol. Prog. 18(2):p. 201-11. 2002; 1996年1月30日に発行されたFrostらの米国特許第5,487,987号を参照されたい)。
統合的生物及び化学変換法を介するアジペート合成は、既に記載されており(Niuら、Biotechnol. Prog. 18:201-211(2002))、図5に示される。この方法は、さらに米国特許第5,487,987号に記載されている。このルートを介するアジペート合成は、デヒドロシキメートをシス、シス-ムコン酸に変換することができる3つの異種遺伝子を大腸菌に導入することを必要とする(Niuら、前出、2002)。最終的な化学的水素化ステップは、アジピン酸を形成させる。このステップにおいて、150mMのシス、シス-ムコネートを含む予め処理された発酵ブロスを活性化炭素担持10%プラチナ(Pt)と混合した。水素化反応を、3400KPaの水素圧で、撹拌しながら250度にて2時間半にわたって実施した。酵素又は化学触媒ステップのいずれかを利用してシス、シス-ムコネートをアジペートに変換することを想定して、計算されたアジペート収率を表3に示す。好気性条件下で、水素化に化学反応を採用するとアジペートの85%モル収率を得ることができ、NADH系ヒドロゲナーゼを使用すると75%モル収率が得られる。
表3:シス、シス-ムコン酸経路を使用するグルコース1モル当たりのアジペートの最大理論収率
これは例示的な方法であるが、この方法には、実施例I〜IVに記載されている方法などの他の方法と比較して欠点がある。例えば、この方法の第1の制約は、逆アジペート分解及び3-オキソアジペート経路と比較して、理論収率が低いことである。第2の制約は、この経路のATP収率が極めて低いことである。この経路の第3の制約は、バイオリアクタへの酸素の供給を必要とし、嫌気性発酵の選択肢を排除するジオキシゲナーゼを含むことである。
以上の記載は、シス、シス-ムコン酸経路を介する例示的なアジペート合成経路を示している。
(実施例VI)
(アルファ-ケトアジペートを介するアジペート合成)
本実施例では、アルファ-ケトアジペート経路を介する例示的なアジペート合成経路について記載する。
アルファ-ケトアジペートは、出芽酵母におけるリジン生合成の既知の中間体であり、この情報を用いて、アジピン酸生合成のためのさらなる経路を特定した(図6を参照されたい)。アルファ-ケトグルタレートのアルファ-ケトアジペートへの変換を、図6の点線矢印で示されるように、ホモシトレートシンターゼ、ホモアコニターゼ及びホモイソシトレートデヒドロゲナーゼによって触媒する。アルファ-ケトアジペートのアルファ-ヒドロキシアジペートへの変換を、ラット及びヒト胎盤に見出されることが報告された酵素である2-ケトアジペートレダクターゼによって触媒することができる(Sudaら、Arch. Biochem. Biophys. 176:610-620(1976);Sudaら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 77:586-591(1977))。その後のステップは、アルファ-ヒドロキシアジペートをヘキサ-2-エネジオエートに変換した後に、それをアジピン酸に還元するためのデヒドラターゼを含む。この最後のステップを酵素によって触媒するか、又は実施例IIにについて記載する。されている化学反応を介して行うことができる。アルファ-ケトアジペート経路に対する酵素をコードする遺伝子を実施例I〜IVに記載されているように特定する。
この経路に付随するアジペート収率を表4に示す。アセチル-CoAのアジペートへの変換を通じて2つのCO
2分子が失われるため、グルコースの67%しかアジペートに変換することができない。これは、好気性条件下でのこの経路についてのモル収率に反映されている。酸素取込みがなければ収率がさらに低下する。また、嫌気性条件下での最大ATP収率は極めて低いため、操作生物体は、そのような条件下で細胞成長及び維持のためのエネルギーを形成するためにさらなる基質を利用しなければならなくなる。
表4:アルファ-ケトアジペート経路を使用するグルコース1モル当たりのアジペートの最大理論収率及び関連ATP収率
以上の記載は、アルファ-ケトアジペート経路を介する例示的なアジペート合成経路を示している。
(実施例VII)
(リジン分解を介するアジペート合成)
本実施例では、リジン分解経路を介する例示的なアジペート合成経路について記載する。
アジペート合成のための2つのさらなる経路は、アジペートを形成するのにリジン分解に依存する。1つの経路(大腸菌に固有のものでなく、出芽酵母に見出される経路)は、リジンを形成するのに、アルファ-ケトグルタレートから開始し、他の経路(大腸菌に固有の経路)は、リジン生合成のための開始点としてアスパルテートを使用する。図7は、リジンからのアジペート形成を示す。大腸菌化学量論モデルを使用する、酸素の存在下及び不在下の両方におけるアジペートについての最大理論収率を、アルファ-ケトグルタレート及びアスパルテートをリジンに対するそれぞれの開始点として表5及び6に示す。これらの理論収率に付随する最大ATP収率をも計算した。それらを同じ表に示す。これらの収率は、実施例I〜IVに記載されている他の経路と比較すると低い。アルファ-ケトアジペート経路についての酵素をコードする遺伝子を実施例I〜IVに記載されているように特定する。
表5:アルファ-ケトグルタレートを開始点とするリジン生合成経路を想定するグルコース1モル当たりのアジペートの最大理論収率、及び付随するATP収率
表6:アスパルテートを開始点とするリジン生合成経路を想定するグルコース1モル当たりのアジペートの最大理論収率、及び付随するATP収率
以上の記載は、リジン分解経路を介する例示的なアジペート合成経路を示している。
(実施例VIII)
(アジピル-CoA経路を介するカプロラクタム及び6-アミノカプロン酸の製造)
本実施例では、アジピル-CoA経路を介する例示的なカプロラクタム及び/又は6-アミノカプロン酸合成経路について記載する。
アジピル-CoAを前駆体として使用してカプロラクタム及び/又は6-アミノカプロン酸を形成するための例示的な経路を図8に示す。その経路は、アジピル-CoAをアジペートセミアルデヒドに還元することができるCoA依存性アルデヒドデヒドロゲナーゼ、及びこの分子を6-アミノカプロン酸に変換することができるトランスアミナーゼ又は6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼを含む。6-アミノカプロエートをカプロラクタムに変換する最終ステップを、アミドヒドロラーゼを介して、又は化学的変換を介して実施することができる(2002年3月7日に発行されたGuit and Buijsらの米国特許第6,353,100号;1997年12月23日に発行されたWoltersらの米国特許第5,700,934号;2003年12月9日に発行されたAgterbergらの米国特許第6,660,857号)。逆アジペート分解経路が図8に示す反応スキームで補完されたと仮定して、カプロラクタムの最大理論収率を計算したところ、消費されたグルコース1モル当たり0.8モルであった(表7を参照されたい)。カプロラクタムの最大理論収率で消費されたグルコース1モル当たり0.78モルまでのATPが形成されるため、その経路はエネルギー的に有利である。ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PPCK)がオキサロアセテートの形成に向かうATP生成方向で機能すると仮定すると、ATP収率を、グルコース1モル毎に1.63モルのATPが産生されるレベルまでさらに向上させることができる。
最終アミドヒドロラーゼステップは、エネルギー的に及び酸化還元的に中性であるため、6-アミノカプロン酸の産生に付随する生成物及びATPモル収率は、カプロラクタムの産生に付随するものと同等である。したがって、代替的に、カプロラクタムの代わりに6-アミノカプロン酸を形成した後にさらなるユニット処理を行って6-アミノカプロン酸をカプロラクタムに脱水/環化する微生物及び付随する発酵法を想定することができる。
表7:逆脂肪酸分解経路が図8の反応スキームで補完されることを想定するグルコース1モル当たりのカプロラクタムの最大理論収率及び付随するATP収率
この経路を成功裡に操作することは、十分な活性及び特異性を有する適切な酵素のセットを特定することを必要とする。これは、適切な酵素のセットを特定すること、それらの対応する遺伝子を産生宿主にクローニングすること、発酵条件を最適化すること、及び発酵後の生成物の形成についてアッセイすることを必要とする。6-アミノカプロン酸又はカプロラクタムの産生のために産生宿主を操作するために、1つ以上の外因性のDNA配列を宿主微生物に発現させることができる。加えて、微生物は、内因性の遺伝子を機能的に削除させることができる。これらの改変は、再生可能な供給原料を使用する6-アミノカプロエート又はカプロラクタムの産生を可能にする。
図8に記載されるカプロラクタム形成経路の各ステップを触媒する酵素をコードすることが可能ないくつかの生化学的に特徴付けられた候補遺伝子を以下に記載する。大腸菌について記載されているが、当業者は、これらの教示を任意の他の好適な宿主生物体に適用することができる。具体的には、示されている遺伝子は、大腸菌に固有であるか、又は適正にクローニング及び発現されると適切な変換を触媒するために適用できる他の生物体における遺伝子である。
図8を参照すると、ステップ1は、CoA依存性アルデヒドデヒドロゲナーゼを含む。アシル-CoAのその対応するアルデヒドへの還元を触媒するための酵素をコードする例示的な遺伝子としては、脂肪アシル-CoAレダクターゼをコードするアシネトバクター・カルコアセティカスacrl(Reiser and Somerville、J. Bacteriol. 179:2969-2975(1997))、アシネトバクター種M-1脂肪アシル-CoAレダクターゼ(Ishigeら、Appl. Environ. Microbiol. 68:1192-1195(2002))、及びスクシニル-CoAをコハク酸セミアルデヒドに変換することができるクロストリジウム・クルイベリからのsucD遺伝子(Sohling and Gottschalk、J. Bacteriol. 178:871-880(1996))が挙げられる。
図8を参照すると、ステップ2はトランスアミナーゼを含む。経路における第2のステップは、6-アルデヒドのアミンへの変換である。アミノ基をグルタミン酸からスクシニルセミアルデヒドの末端アルデヒドへ移すgabTによってコードされる原生酵素であるガンマ-アミノブチレートトランスアミナーゼ(GABAトランスアミナーゼ)によってこの変換を達成できる可能性が高い(Bartchら、J. Bacteriol. 172:7035-7042(1990))。puuEの遺伝子生成物は、大腸菌における別の4-アミノブチレートトランスアミナーゼを触媒する(Kuriharaら、J.Biol.Chem. 280:4602-4608(2005))。マウス、シュードモナス・フルオレッセンス及びイノシシにおけるGABAトランスアミナーゼは、6-アミノカプロン酸と反応することが示された(Cooper、Methods Enzymol. 113:80-82(1985);Scott and Jakoby、J. Biol. Chem. 234:932-936(1959))。例示的な遺伝子生成物についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
図8を参照すると、ステップ2は、代替的に、6-アミノカプロエートを形成する、アジペートセミアルデヒドの還元アミノ化を含む6-アミノカプロエートデヒドロゲナーゼを含むことができる。この変換は、必然的にL-リジンを2-アミノアジペート-6-セミアルデヒドに変換するリジン-6-デヒドロゲナーゼによって達成され得る。例示的な酵素をゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Heydariら、Appl. Environ. Microbiol. 70(2):937-942(2004))、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Hashimotoら、J. Biochem.(Tokyo), 106(1):76-80(1989);Misonoら、J. Biochem.(Tokyo)、105(6):1002-1008(1989))及びアクロモバクター・デニトリフィカンス(Ruldeekulthamrongら、BMB Reports 790-795(2008))に見出すことができる。
図8を参照すると、ステップ3はアミドヒドロラーゼを含む。カプロラクタム合成の最終ステップは、6-アミノカプロン酸の環化である。この変換は、酵素的に特徴付けられていないが、クリプトコッカス・ローレンティからのD-リジンラクタマーゼ(EC 3.5.2.11)によるリジンの環化に極めて類似する(Fukumuraら、FEBS Lett. 89:298-300(1978))。しかし、この酵素のタンパク質及びヌクレオチド配列は、現在知られておらず、これまでは他の生物体においてリジンラクタマーゼ活性が実証されなかった。
土壌から単離されたシュードモナス種のいくつかの菌株に含まれるプラスミドは、唯一の炭素源としてのカプロラクタムで成長する能力を付与する(Boroninら、FEMS Microbiol. Lett. 22:167-170(1984))。しかし、付随する遺伝子又はタンパク質配列は、今日までこの機能と関連付けられなかった。
利用可能な配列情報を有する最も密に関連する候補酵素は、シュードモナス種及びフラボバクテリウム種において特徴付けられた6-アミノヘキサノエート環式二量体ヒドロラーゼである。シュードモナス種NK87からnylB遺伝子生成物をクローニングし、大腸菌に発現させた(Kanagawaら、J. Gen. Microbiol. 139:787-795(1993))。酵素の基質特異性をフラボバクテリウム種K172にて試験したところ、6-アミノヘキサノエートのより高次のオリゴマーと反応するが、カプロラクタムとは反応しないことが示された(Kinoshitaら、Eur. J. Biochem. 116:547-551(1981))。所望の基質と目的の方向に反応する他の生物体における6-アミノヘキサノエート二量体ヒドロラーゼの可逆性及び能力をさらに試験することができる。例示的な遺伝子生成物についてのタンパク質配列を、以下のGI番号及び/又はジェンバンク識別子を使用して見出すことができる。
以上の記載は、アジピル-CoA経路を介してカプロラクタム及び/又は6-アミノカプロン酸を産生するための例示的な経路を示している。
(実施例IX)
(3-オキソアジペート経路を有する6-アミノカプロエート又はカプロラクタム産生微生物生物体の製造)
本実施例では、逆分解経路を使用してアジペートを産生し、細胞内アジペートを6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムに変換することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アジペート、6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタム合成に必要な遺伝子を操作する(図2及び図8を参照されたい)。大腸菌は、アジペート、6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、逆アジペート分解経路及び6-アミノカプロエート又はカプロラクタム合成経路に利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれスクシニル-CoA:アセチル-CoAアシルトランスフェラーゼ、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ及び3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、paaH(NP_415913.1)及びmaoC(NP_415905.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、それぞれ5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ及びアジピル-CoAシンセターゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)、etfAB(349315.1及び349316.1)及びsucCD(NP_415256.1及びAAC73823.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。最後に、CoA依存性アルデヒドデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ及びアミドヒドロラーゼ活性をコードするacrl(YP_047869.1)、gabT(NP_417148.1)及びnylB(AAA24929.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングする。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタム合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、6-アミノカプロエート及びカプロラクタム合成遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムの合成のための機能的経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝を6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的に6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、生成物のアセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連を6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタム産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
6-アミノカプロエート及び/又はカプロラクタムの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad)を使用するHPLC(Shimadzu)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
(実施例X)
(2-ヒドロキシアジピル-CoAを介するアジペート合成)
本実施例では、アルファ-ケトアジペートから開始し、2-ヒドロキシアジピル-CoA中間体を経る2つの例示的なアジペート合成経路について記載する。
実施例VIに記載されているように、アルファ-ケトアジペートは、ホモシトレートシンターゼ、ホモアコニターゼ及びホモイソシトレートデヒドロゲナーゼを介してアルファ-ケトグルタレートから形成することができるリジン生合成における既知の中間体である。アルファ-ケトアジペートを図9に示される2つのルートによって2-ヒドロキシアジピル-CoAに変換することができる。続いて、2-ヒドロキシアジピル-CoAを脱水し、次いで図9に示されるようにアジペートに変換することができるアジピル-CoAに還元することができる。これらの経路を介するグルコースからのアジペートの最大収率は、0.67mol/molである。
アルファ-ケトアジペートの2-ヒドロキシアジペートへの変換を、ラット及びヒト胎盤に見出されることが報告された酵素である2-ケトアジペートレダクターゼによって触媒することができる(Sudaら、Arch. Biochem. Biophys. 176:610-620(1976);Sudaら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 77:586-591(1977))。代替的に、アルファ-ケトグルタレートを2-ヒドロキシグルタレートに還元することが可能な酵素は、炭素原子1つ分だけ長いアルファ-ケトアジペートに対する活性を示すこともできる。アルファ-ケトグルタレートレダクターゼ活性を保有する1つのそのような酵素は、大腸菌のserAである(Zhao and Winkler、J. Bacteriol. 178(1)232-9(1996))。さらなる例示的な酵素をシロイヌナズナ(Hoら、J. Biol. Chem. 274(1):397-402(1999))及びインフルエンザ菌に見出すことができる。
図9を参照すると、2-ヒドロキシアジペートを、実施例Iに記載のシンセターゼ、トランスフェラーゼ、ホスホトランスアジピラーゼ及びキナーゼによって2-ヒドロキシアジピル-CoAに変換することができる可能性が高い。代替的に、2-ヒドロキシグルタレートCoA-トランスフェラーゼ又はグルタコネートCoA-トランスフェラーゼ活性を有する酵素は、CoA部分を2-ヒドロキシアジペートに移すのに好適である可能性が高い。そのような酵素の1つの例は、アシダミノコッカス・ファーメンタンスのgctA及びgctB遺伝子によってコードされる(Buckelら、Eur. J. Biochem. 118(2):315-321(1981);Mackら、Eur. J. Biochem. 226(1):41-51(1994))。同様に、図9に示されるように、アルファ-ケトアジペートをアルファ-ケトアジピル-CoAに変換するのに、シンセターゼ、トランスフェラーゼ又はホスホトランスアジピラーゼ及びキナーゼ活性が必要である。アルファ-ケトアジピル-CoAの2-ヒドロキシアジピル-CoAへの変換を、アルファ-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼ酵素によって実施することができる。その抽出物がラクチル-CoAの酸化を触媒してピルビル-CoAを形成するプロピオネート適応大腸菌細胞に類似の活性が報告された(Megrawら、J. Bacteriol. 90(4): 984-988(1965))。さらなるヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼを実施例Iに記載した。
5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAを形成する、2-ヒドロキシアジピル-CoAの脱水を2-ヒドロキシアシル-CoAデヒドラターゼによって実施することができる。2-ヒドロキシグルタリル-CoAデヒドラターゼ系は、アシダミノコッカス・ファーメンタンスにて特徴付けられており、hgdA及びhgdBサブユニットの両方を、並びに最適な活性のための活性体タンパク質hgdCを必要とする(Dutschoら、Eur. J. Biochem. 181(3):741-746(1989);Locherら、J. Mol. Biol. 307(1):297-308;Muller and Buckel、Eur. J. Biochem. 230(2):698-704(2001);Schweigerら、Eur. J. Biochem. 169(2):441-448(1987))。この酵素系は、メカニズムがクロストリジウム・プロピオニカムからのラクトイル-CoAデヒドラターゼに類似する(Hofmeister and Buckel、Eur. J. Biochem. 206(2):547-552(1992);Kuchta and Abeles, J. Biol. Chem. 260(24):13181-13189(1985))。hgdA、hgdB及びhgdCの相同体がいくつかの生物体に存在する。
5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAのアジペートへの変換を実施例Iに記載の酵素によって実施する。
以上の記載は、2-ヒドロキシアジピル-CoA経路を介する例示的なアジペート合成経路を示している。
(実施例XI)
(2-ヒドロキシアジピル-CoA経路を有するアジペート産生微生物生物体の製造)
本実施例では、2-ヒドロキシアジピル-CoA経路を使用してアジペートを産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アジペート合成に必要な遺伝子を操作する(図9を参照されたい)。大腸菌は、アジペートを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
アジペートを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、2-ヒドロキシアジピル-CoAからアジペートへの経路に利用される酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれ2-ヒドロキシアジペートデヒドロゲナーゼ及び2-ヒドロキシアジピル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼ活性をコードするserA(NP_417388.1)、gctA(Q59111)及びgctB(Q59112)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、それぞれ2-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするhgdA(P11569)、hgdB(P11570)及びhgdC(P11568)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。さらに、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ及びアジピル-CoAシンセターゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)、etfAB(349315.1及び349316.1)、及びsucCD(NP_415256.1及びAAC73823.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングする。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、アジペート合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、アジペート合成のための2-ヒドロキシアジピル-CoA経路遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。アジペートを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的アジペート合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに増強する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝をアジペートのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的にアジペートのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、アルファ-ケトアジペート中間体又はアジペート生成物のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連をアジペート産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
アジペートの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、2-ヒドロキシアジピル-CoA経路含有生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad)を使用するHPLC(Shimadzu)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
本実施例は、2-ヒドロキシアジピル-CoA経路を含むアジペート産生微生物生物体の製造について記載する。
(実施例XII)
(ヘキサメチレンジアミン、カプロラクタム及び6-アミノカプロン酸の産生のための経路)
本実施例では、ヘキサメチレンジアミン、カプロラクタム及び6-アミノカプロン酸の産生のための例示的な経路について記載する。
一般的な中枢性代謝物からのカプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)又は6-アミノカプロエートの産生に至る様々な経路を以下に記載する。第1に記載される経路は、トランスフェラーゼ又はシンターゼ酵素によって6-アミノカプロエートを6-アミノカプロイル-CoAに活性化させ(図10、ステップQ又はR)、続いて6-アミノカプロイル-CoAを自発的に環化させてカプロラクタムを形成する(図10、ステップT)ことを必要とする。第2に記載される経路は、6-アミノカプロエートを6-アミノカプロイル-CoAに活性化させ(図10、ステップQ又はR)、続いて還元(図10、ステップU)及びアミノ化(図10、ステップV又はW)してHMDAを形成することを必要とする。代替的に、6-アミノカプロン酸を、6-アミノカプロイル-CoAの代わりに6-アミノカプロイル-ホスフェートに活性化させることができる。6-アミノカプロイル-ホスフェートを自発的に環化させて、カプロラクタムを形成することができる。代替的に、6-アミノカプロイル-ホスフェートを6-アミノカプロエートセミアルデヒドに還元し、次いでそれを、図10及び11に示されるようにHMDAに変換することができる。このいずれの場合も、6-アミノカプロエートセミアルデヒドの環式イミンの自発的形成を最小限に抑えるために、アミノ化反応が比較的迅速に行われなければならない。参加する酵素を結合させる又は足場で支持することは、6-アミノカプロエートセミアルデヒド中間体をレダクターゼ酵素からアミノ化酵素へ効率的に誘導させるための潜在的に有力な選択肢である。
6-アミノカプロン酸のHMDAへの変換を通じての環式イミン又はカプロラクタムの形成を最小限に抑えるか、又はさらには排除するための別の選択肢は、官能基(例えばアセチル、スクシニル)を6-アミノカプロン酸のアミン基に付加して、それを環化から保護することを要する。これは、大腸菌におけるL-グルタミン酸からのオルニチン形成に類似する。具体的には、最初にグルタミン酸をN-アセチルグルタミン酸シンターゼによってN-アセチル-L-グルタミン酸に変換する。次いで、N-アセチル-L-グルタミン酸をN-アセチルグルタミル-ホスフェートに活性化し、それを還元及びアミノ転移してN-アセチル-L-オルニチンを形成する。次いで、アセチル基をN-アセチル-L-オルニチンデアセチラーゼによってN-アセチル-L-オルニチンから除去して、L-オルニチンを形成する。グルタミン酸-5-ホスフェートをグルタミン酸から形成し、続いてグルタミン酸-5-セミアルデヒドに還元すると、グルタミン酸-5-セミアルデヒドから自発的に形成される環式イミンである(S)-1-ピロリン-5-カルボキシレートが形成されるため、そのようなルートが必要である。HMDAを6-アミノカプロン酸から形成する場合は、ステップは、6-アミノカプロン酸のアセチル-6-アミノカプロン酸へのアセチル化、CoA又はリン酸基によるカルボン酸基の活性化、還元、アミノ化及び脱アセチル化を含むことができる。
6-アミノカプロエートを様々な出発分子から形成できることに留意されたい。例えば、6-アミノカプロエートの炭素主鎖を図10に示され、図2、3及び8にも記載されているように、スクシニル-CoA及びアセチル-CoAから誘導することができる。代替的に、6-アミノカプロエートをアルファ-ケトアジペートから誘導することができ、アルファ-ケトアジペートをアジピル-CoAに変換し(図9を参照されたい)、アジピル-CoAを図10に示されるように6-アミノカプロエートに変換する。
図11は、4-アミノブチリル-CoA及びアセチル-CoAから出発する6-アミノカプロエート又は6-アミノカプロピル-CoAへの2つのさらなる代謝経路を示す。第1のルートは、4-アミノブチリル-CoAとアセチル-CoAとを縮合して3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAを形成し(ステップA)、続いて還元(ステップB)、脱水(ステップC)及び還元(ステップD)して6-アミノカプロイル-CoAを形成することを要する。6-アミノカプロイル-CoAをトランスフェラーゼ(ステップK)、シンターゼ(ステップL)又はヒドロラーゼ(ステップM)酵素によって6-アミノカプロエートに変換することができる。代替的に、6-アミノカプロイル-CoAを、自発的な環化(ステップQ)によってカプロラクタムに変換するか、又はその還元(ステップN)及びアミノ化(ステップO又はP)によりHMDAに変換することができる。図11に記載される第2の経路は、4-アミノブチリル-CoAとアセチル-CoAとを縮合して3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAを形成し(ステップA)、次いでそれをトランスフェラーゼ(ステップE)、シンターゼ(ステップF)又はヒドロラーゼ(ステップG)によって3-オキソ-6-アミノヘキサノエートに変換することを要する。次いで、3-オキソ-6-アミノヘキサノエートを還元(ステップH)、脱水(ステップI)及び還元(ステップJ)して6-アミノカプロエートを形成する。
出発分子4-アミノブチリル-CoAを様々な一般的な中枢性代謝物から形成することができる。例えば、グルタミン酸を4-アミノブチレートに脱カルボキシル化し、次いでそれをCoA-トランスフェラーゼ又はシンターゼによって4-アミノブチリル-CoAに活性化することができる。代替的に、スクシニル-CoAの還元又はアルファ-ケトグルタレートの脱カルボキシル化によって形成されたコハク酸セミアルデヒドを、CoA-トランスフェラーゼ又はシンターゼによる活性化の前に4-アミノブチレートにアミノ転移して4-アミノブチリル-CoAを形成することができる。4-アミノブチリル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAから6-アミノカプロイル-CoAの経路の中間体のいくつかは、自発的に環化してそれらの対応するラクタムになり得ることが注目される。したがって、4-アミノブチリル-CoA及び/又はアミノ-CoA中間体のいくつかの末端アミン基に保護官能基を付加することを用いて、望ましくない環式副産物の形成を最小限に抑えることができる。この場合、図11に示される同じ一般的な変換のセットが適用されるが、2つのさらなるステップ、例えば、アセチラーゼ及びデアセチラーゼを経路に付加することができる。
図10〜11に示される全ての変換は、表8に示される12の一般的な変換のカテゴリーに分類される。各カテゴリーにおけるいくつかの生化学的に特徴付けられた候補遺伝子を以下に記載する。具体的には、クローニング及び発現されると、図10〜11における適切な変換を触媒するために適用することができる遺伝子が挙げられる。
表8.スクシニル-CoA、アセチル-CoA及び/又は4-アミノブチリル-CoAを6-アミノカプロエート、カプロラクタム及び/又はヘキサメチレンジアミンに変換するための酵素タイプ。各ラベルの最初の3つの数字は、基質特異性と無関係の一般的なタイプの変換を表す最初の3つの酵素コミッション番号の数字に対応する。
1.1.1.a オキシドレダクターゼ。図10及び11に示される4つの変換は、ケトン官能基をヒドロキシル基に変換するオキシドレダクターゼを必要とする。図10及び11の両方におけるステップBは、3-オキソアシル-CoAを3-ヒドロキシアシル-CoAに変換することを含む。図1及び2の両方におけるステップHは、3-オキソ酸を3-ヒドロキシ酸に変換することを含む。
3-オキソアジピル-CoA及び3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAなどの3-オキソアシル-CoAをそれぞれ3-ヒドロキシアジピル-CoA及び3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAなどの3-ヒドロキシアシル-CoA分子に変換することができる例示的な酵素としては、その自然の生理的役割が脂肪酸ベータ-酸化又はフェニルアセテート異化作用である酵素が挙げられる。例えば、fadB及びfadJによってコードされる大腸菌における2つの脂肪酸酸化複合体のサブユニットは、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼとして機能する(Binstockら、Methods Enzymol. 71:403-411(1981))。また、シュードモナス・プチダUにおけるphaC(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6419-6424(1998))及びシュードモナス・フルオレッセンスSTにおけるpaaC(Di Gennaroら、Arch. Microbiol. 188:177-125(2007))は、フェニルアセテート又はスチレンの異化作用を通じて、図10におけるステップBの逆反応、即ち3-オキソアジピル-CoAを形成する、3-ヒドロキシアジピル-CoAの酸化を触媒する。そのような酵素によって触媒される反応は可逆的であることに留意されたい。加えて、大腸菌においてpaaHはフェニルアセテート分解オペロンにおける他の遺伝子に近いこと(Nogalesら、Microbiology 153:357-365(2007))及びpaaH変異体はフェニルアセテートで成長できないこと(Ismailら、Eur.J Biochem. 270:3047-3054(2003))から、大腸菌paaH遺伝子は、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼをコードすると推定される。
3-オキソアシル-CoA分子をそれらの対応する3-ヒドロキシアシル-CoA分子に変換することが可能なさらなる例示的なオキシドレダクターゼとしては、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドロゲナーゼが挙げられる。hbdによってコードされるクロストリジウム・アセトブチリカムからの酵素がクローニングされ、大腸菌に機能的に発現された(Younglesonら、J. Bacteriol. 171:6800-6807(1989))。さらなる遺伝子候補としては、クロストリジウム・クルイベリにおけるHbd1(C末端領域)及びHbd2(N末端領域)(Hillmerら、FEBS Lett. 21:351-354(1972))並びにウシにおけるHSD17B10(Wakilら、J. Biol. Chem. 207:631-638(1954))が挙げられる。アセトアセチル-CoAを3-ヒドロキシブチリル-CoAに還元することが実証された他の遺伝子候補は、ズーグレア・ラミゲラからのphbB(Plouxら、Eur. J. Biochem. 174:177-182(1988))及びロドバクター・スフェロイデスからのphaB(Alberら、Mol.Microbiol 61:297-309(2006))である。前者の遺伝子候補は、NADPH依存性であり、そのヌクレオチド配列が決定され(Peoplesら、Mol. Microbiol 3:349-357(1989))、遺伝子が大腸菌に発現された。遺伝子に対する基質特異性試験により、それは、アセトアセチル-CoAの他に基質としての3-オキソプロピオニル-CoAを受容できるという結論が導かれた(Plouxら、前出)。
いくつかの類似の酵素が、他の種のクロストリジウム及びメッタロスパエラ・セドゥラに見出された(Bergら、Science 318:1782-1786(2007))。
様々なアルコールデヒドロゲナーゼは、3-オキソアジペートを3-ヒドロキシアジペートに変換し(ステップH、図10)、又は3-オキソ-6-アミノヘキサノエートを3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエートに変換する(ステップH、図11)ために良好な候補である。オキソ酸をヒドロキシ酸に変換することが可能な2つのそのような酵素を大腸菌におけるマレートデヒドロゲナーゼ(mdh)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(ldhA)遺伝子によってコードする。加えて、ラルストニア・ユートロファからのラクテートデヒドロゲナーゼは、ラクテート、2-オキソブチレート、2-オキソペンタノエート及び2-オキソグルタレートなどの様々な鎖長の基質に対して高い活性を示すことが示された(Steinbuchelら、Eur. J. Biochem. 130:329-334(1983))。アルファ-ケトアジペートのアルファ-ヒドロキシアジペートへの変換を、ラット及びヒト胎盤に見出されることが報告された酵素である2-ケトアジペートレダクターゼによって触媒することができる(Sudaら、Arch. Biochem. Biophys. 176:610-620(1976);Sudaら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 77:586-591(1977))。これらのステップに対するさらなる候補は、クローニングされ、特徴付けられたヒト心臓からのミトコンドリア3-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ(bdh)である(Marksら、J. Biol. Chem. 267:15459-15463(1992))。この酵素は、3-ヒドロキシ酸に対して作用するデヒドロゲナーゼである。別の例示的なアルコールデヒドロゲナーゼは、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Ismaielら、J. Bacteriol. 175:5097-5105(1993)及びサーモアナエロバクター・ブロッキー((Lamedら、Biochem. J. 195:183-190(1981);Peretzら、Biochemistry 28:6549-6555(1989))において示されたようにアセトンをイソプロパノールに変換する。
1.2.1.b オキシドレダクターゼ(アシル-CoAからアルデヒドへ)。アジピル-CoAのアジペートセミアルデヒドへの変換(ステップN、図10)及び6-アミノカプロイル-CoAの6-アミノカプロエートセミアルデヒドへの変換(ステップU、図10;ステップN、図11)は、アシル-CoAをその対応するアルデヒドに還元することが可能なアシル-CoAデヒドロゲナーゼを必要とする。そのような酵素をコードする例示的な遺伝子は、脂肪アシル-CoAレダクターゼをコードするアシネトバクター・カルコアセティカスacr1(Reiserら、J. Bacteriology 179:2969-2975(1997))、アシネトバクター種M-1脂肪アシル-CoAレダクターゼ(Ishigeら、Appl.Environ.Microbiol. 68:1192-1195(2002))、及びクロストリジウム・クルイベリにおけるsucD遺伝子によってコードされるCoA及びNADP依存性コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Sohlingら、J. Bacteriol. 178:871-880(1996))が挙げられる。ポルフィロモナス・ジンジバリスのsucDは、別のコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼである(Takahashiら、J. Bacteriol. 182:4704-4710(2000))。bphGによってコードされるシュードモナス種におけるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼをアシル化する酵素は、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドを酸化及びアシル化することが実証されたため、さらに別の候補である(Powlowskiら、J Bacteriol. 175:377-385(1993))。ロイコノストック・メセンテロイデスにおけるadhEによってコードされる酵素は、アセチル-CoAをエタノールに還元することに加えて、分枝鎖化合物イソブチルアルデヒドをイソブチリル-CoAに酸化することが示された(Kazahayaら、J .Gen. Appl. Microbiol. 18:43-55(1972);Kooら、Biotechnol Lett. 27:505-510(2005))。
アシル-CoAをその対応するアルデヒドに変換するさらなる酵素タイプは、マロニル-CoAをマロン酸セミアルデヒドに変換するマロニル-CoAレダクターゼである。マロニル-CoAレダクターゼは、好熱好酸性古細菌の3-ヒドロキシプロピオネート回路を介する自己栄養性炭素固定における主要酵素である(Bergら、前出;Thauer R.K.、Science 318:1732-1733(2007))。該酵素は、NADPIIを共因子として利用し、メタッロスパエラ及びスルホロブス種にて特徴付けられた(Alberら、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2006);Huglerら、J. Bacteriol. 184:2404-2410(2002))。該酵素は、メタッロスパエラ・セドゥラにおけるMsed_0709によってコードされる(Alberら、前出;Bergら、前出)。スルホロブス・トコダイイからのマロニル-CoAレダクターゼをコードする遺伝子をクローニングし、大腸菌に非相同的に発現させた(Albertら、前出)。この酵素は、メチルマロニル-CoAのその対応するアルデヒドへの変換を触媒することも示された(国際公開第2007/141208号)。これらの酵素のアルデヒドデヒドロゲナーゼ官能基は、緑色非硫黄細菌からの二官能性デヒドロゲナーゼに類似しているが、配列類似性はほとんどない。両マロニル-CoAレダクターゼ酵素候補は、アスパルチル-4-ホスフェートのアスパレートセミアルデヒドへの還元及び同時脱リン酸化を触媒する酵素であるアスパルテート-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼと高い配列類似性を有する。さらなる遺伝子候補は、スルホロブス・ソルファタリカス及びスルホロブス・アシドカルダリウスを含む他の生物体におけるタンパク質との配列相同性によって見出すことが可能であり、以下に示されている。CoA-アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼに対する別の候補は、クロストリジウム・ベイジェリンキからのald遺伝子である(Tothら、Appl Environ Microbiol 65:4973-4980(1999))。この酵素は、アセチル-CoA及びブチリル-CoAをそれらの対応するアルデヒドに還元することが報告された。この遺伝子は、ネズミチフス菌及び大腸菌のアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼををコードするeutEに極めて類似する(Tothら、前出)。
1.3.1.a CH-CH供与体に作用するオキシドレダクターゼ。図10を参照すると、ステップDは、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼによる5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAのアジピル-CoAへの変換を指す。図11を参照すると、ステップDは、6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAの6-アミノカプロイル-CoAへの変換を指す。エノイル-CoAレダクターゼ酵素は、どちらの変換にも好適な酵素である。1つの例示的なエノイル-CoAレダクターゼは、クロトニル-CoAのブチリル-CoAへの還元を必然的に触媒するクロストリジウム・アセトブチリカムからのbcdの遺伝子生成物である(Boyntonら、J Bacteriol. 178:3015-3024(1996);Atsumiら、Metab. Eng. 2008 10(6):305-311(2008)(Epub Sep. 14、2007)。電子輸送フラビンタンパク質をコードするクロストリジウム・アセトブチリカムetfAB遺伝子の発現とともにbcdを発現することによってこの酵素の活性を高めることができる。エノイル-CoAレダクターゼステップのためのさらなる候補は、ユーグレナ・グラシリスからのミトコンドリアエノイル-CoAレダクターゼである(Hoffmeisterら、J. Biol. Chem. 280:4329-4338(2005))。そのミトコンドリア標的リーダー配列の除去後にこの配列から誘導された構造体を大腸菌にクローニングして、活性酵素を得た(Hoffmeisterら、前出)。真核遺伝子、特に、原核生物体において遺伝子生成物を特定の細胞内区画に誘導することができるリーダー配列を有する遺伝子を発現させるこのアプローチは、当業者に周知である。原核トレポネーマ・デンティコラからのこの遺伝子の近相同体TDE0597は、大腸菌にクローニング及び発現された第3のエノイル-CoAレダクターゼである(Tucciら、FEBS Letters 581:1561-1566(2007))。
図10及び11のステップJは、2-エノエートレダクターゼ酵素を必要とする。2-エノエートレダクターゼ(EC 1.3.1.31)は、多種多様なα,β-不飽和カルボン酸及びアルデヒドのNAD(P)H依存性還元を触媒することが知られている(Rohdichら、J. Biol.Chem. 276:5779-5787(2001))。2-エノエートレダクターゼは、クロストリジウム・チロブチリカム及びクロストリジウム・サーモアセチカム(現在はムーレラ・サーモアセチカムと呼ばれる)を含むいくつかの種のクロストリジウムのenr(Gieselら、Arch. Microbiol. 135:51-57(1983))によってコードされる(Rohdichら、前出)。公開されたサッカロミセス・クルイベリのゲノム配列において、エノエートレダクターゼについての9つのコード化配列が報告され、そのうち1つが特徴付けられた(Seedorfら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105:2128-2133(2008))。クロストリジウム・チロブチリカム及びクロストリジウム・サーモアセチカムの両方からのenr遺伝子がクローニング及び配列され、互いに59%の同一性を示す。前者の遺伝子は、特徴付けられたサッカロミセス・クルイベリの遺伝子に対して約75%の類似性を有することも判明している(Gieselら、前出)。これらの配列結果に基づいて、enrは、大腸菌のジエノイルCoAレダクターゼ(fadH)に極めて類似することが報告された(Rohdichら、前出)。クロストリジウム・サーモアセチカムenr遺伝子は、また、大腸菌に酵素活性形態で発現された(Rohdichら、前出)。
1.4.1.a アミノ酸に作用するオキシドレダクターゼ。図10は、2つの還元性アミノ化を示す。具体的には、図10のステップPは、アジペートセミアルデヒドの6-アミノカプロエートへの変換を含み、図10のステップWは、6-アミノカプロエートセミアルデヒドのヘキサメチレンジアミンへの変換を要する。後者の変換は、図11のステップPにも必要とされる。
アミノ酸に作用するたいていのオキシドレダクターゼは、NAD+又はNADP+を受容体とするアルファ-アミノ酸の酸化性脱アミノ化を触媒するが、反応は、典型的には可逆的である。アミノ酸に作用する例示的なオキシドレダクターゼとしては、gdhAによってコードされるグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(脱アミノ化)、ldhによってコードされるロイシンデヒドロゲナーゼ(脱アミノ化)、及びnadXによってコードされるアスパルテートデヒドロゲナーゼ(脱アミノ化)が挙げられる。大腸菌からのgdhA遺伝子生成物(McPhersonら、Nucleic.Acids Res. 11:5257-5266(1983); Korberら、J. Mol. Biol. 234:1270-1273(1993))、サーモトガ・マリティマからのgdh(Kortら、Extremophiles 1:52-60(1997);Lebbinkら、J. Mol. Biol. 280:287-296(1998);Lebbinkら、J. Mol. Biol. 289:357-369(1999))及びハロバクテリウム・サリナルムからのgdhA1(Ingoldsbyら、Gene. 349:237-244(2005))は、グルタミン酸の2-オキソグルタレート及びアンモニアへの可逆的相互変換を触媒し、それぞれNADP(H)、NAD(H)又はその両方に有利に作用する。セレウス菌からのldh遺伝子は、ロイシン、イソロイシン、バリン及び2-アミノブタノエートを含む広範な基質を有するLeuDHタンパク質をコードする(Stoyanら、J.Biotechnol 54:77-80(1997);Ansorgeら、Biotechnol Bioeng. 68:557-562(2000))。アスパルテートデヒドロゲナーゼに対してコードするサーモトガ・マリティマからのnadX遺伝子は、NADの生合成に関与する(Yangら、J.Biol.Chem. 278:8804-8808(2003))。
lysDH遺伝子によってコードされるリジン6-デヒドロゲナーゼ(脱アミン化)は、L-リジンのε-アミノ基の酸化性脱アミノ化を触媒して、2-アミノアジペート-6-セミアルデヒドを形成し、それが次に非酵素的に環化して、Δ
1-ピペリデイン-6-カルボキシレートを形成する(Misonoら、J.Bacteriol. 150:398-401(1982))。例示的酵素をゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Heydariら、Appl Environ. Microbiol 70:937-942(2004))、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Hashimotoら、J Biochem 106:76-80(1989);Misonoら、前出)及びアクロモバクター・デニトリフィカンス(Ruldeekulthamrongら、BMB.Rep. 41:790-795(2008))に見出すことができる。そのような酵素は、アジペートセミアルデヒドと2-アミノアジペート-6-セミアルデヒドとの構造的類似性により、アジペートセミアルデヒドを6-アミノカプロエートに変換するための特に良好な候補である。
2.3.1.b アシルトランスフェラーゼ。図10を参照すると、ステップAは、3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ、又は同様にスクシニルCoA:アセチルCoAアシルトランスフェラーゼ(β-ケトチオラーゼ)を含む。シュードモナス菌株B13におけるpcaF (Kaschabekら、J.Bacteriol. 184:207-215(2002))、シュードモナス・プチダUにおけるphaD(Oliveraら、前出)、シュードモナス・フルオレッセンスSTにおけるpaaE(Di Gennaroら、前出) によってコードされる遺伝子生成物及び大腸菌からのpaaJ(Nogalesら、前出)は、フェニルアセテート又はスチレンなどの芳香族化合物の分解を通じて、3-オキソアジピル-CoAのスクシニル-CoA及びアセチル-CoAへの変換を触媒する。β-ケトチオラーゼ酵素は可逆的変換を触媒するため、これらの酵素を3-オキソアジピル-CoAの合成に採用することができる。例えば、ラルストニア・ユートロファからのケトチオラーゼphaAは、アセチル-CoAの2つの分子を組み合わせて、アセトアセチル-CoAを形成する(Satoら、J Biosci Bioeng 103:38-44(2007))。同様に、β-ケトチオラーゼ(bktB)は、ラルストニア・ユートロファにおいてアセチル-CoAとプロピオニル-CoAとの縮合を触媒してβ-ケトバレリル-CoAを形成することが報告された(Slaterら、J.Bacteriol. 180:1979-1987(1998))。3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ活性を保有する確率に加えて、それらの天然の形で、又は適切に操作されると、全てのそのような酵素は、4-アミノブチリル-CoAとアセチル-CoAとを縮合させて3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAを形成する(ステップA、図11)ための良好な候補である。
2-アミノ-4-オキソペンタノエート(AKP)チオラーゼ又はAKPチオラーゼ(AKPT)酵素は、図10及び11におけるステップAを実施するためのさらなる候補である。AKPTは、クロストリジウム・スティックランディにおけるオルニチン分解に参加するピリドキサルホスフェート依存性酵素である(Jengら、Biochemistry 13:2898-2903(1974);Kenkliesら、Microbiology 145:819-826(1999))。AKPTのアルファ及びベータサブユニット(or-2(ortA)及びor-3(ortB))をコードする遺伝子集団が最近特定され、酵素の生化学的特性が特徴付けられた(Fonknechtenら、J. Bacteriol. In Press(2009))。該酵素は、両方向に作用することが可能であり、アラニンのD-異性体と自然に反応する。クロストリジウム・スティックランディからのAKPTが特徴付けられたが、そのタンパク質配列は、まだ公表されていない。高度な配列相同性を有する酵素が、クロストリジウム・ディフィシル、アルカリフィラス・メタリレジゲンスQYF、サーモアナエロバクター種X514及びサーモアナエロバクター・テングコンゲンシスMB4に見出される(Fonknechtenら、前出)。
2.6.1.a アミノトランスフェラーゼ。図10及び11のステップO並びに図10のステップVは、6-アルデヒドのアミンへのアミノ転移を必要とする。これらの変換をガンマ-アミノブチレートトランスアミナーゼ(GABAトランスアミナーゼ)によって触媒することができる。1つの大腸菌GABAトランスアミナーゼが、gabTによってコードされ、アミノ基をグルタミン酸からスクシニルセミアルデヒドの末端アルデヒドに移す(Bartschら、J. Bacteriol. 172:7035-7042(1990))。puuEの遺伝子生成物は、大腸菌における別の4-アミノブチレートトランスアミナーゼを触媒する(Kuriharaら、J. Biol. Chem. 280:4602-4608(2005))。マウス、シュードモナス・フルオレッセンス及びイノシシにおけるGABAトランスアミナーゼは、6-アミノカプロン酸と反応することが示された(Cooper、Methods Enzymol. 113:80-82(1985);Scottら、J. Biol. Chem. 234:932-936(1959))。
さらなる酵素候補としては、プトレシンアミノトランスフェラーゼ又は他のジアミンアミノトランスフェラーゼが挙げられる。そのような酵素は、6-アミノカプロエートセミアルデヒドのヘキサメチレンジアミンへの変換を実施するのに特によく適する。大腸菌プトレシンアミノトランスフェラーゼは、ygjG遺伝子によってコードされ、精製された酵素は、カダベリン及びスペルミジンをアミノ転移することも可能であった(Samsonovaら、BMC Microbiol 3:2(2003))。加えて、1,7-ジアミノヘプタン及び2-オキソグルタレート以外のアミノ受容体(例えば、ピルベート、2-オキソブタノエート)に対するこの酵素の活性が報告された(Samsonovaら、前出;Kim、K.H.、J Biol Chem 239:783-786(1964))。アミノ受容体としてのピルベートに対する活性がアルファ-ケトグルタレートより高いプトレシンアミノトランスフェラーゼは、緑膿菌のspuC遺伝子である(Luら、J Bacterial 184:3765-3773(2002))。
さらなる候補酵素としては、ベータ-アラニンからマロネートセミアルデヒドを生成するベータ-アラニン/アルファ-ケトグルタレートアミノトランスフェラーゼが挙げられる(国際公開第08027742号)。サッカロミセス・クルイベリにおけるSkPYD4の遺伝子生成物は、アミノ基供与体としてベータ-アラニンを優先的に使用することも示された(Andersenら、FEBSJ. 274:1804-1817(2007))。SkUGA1は、サッカロマイセス・セレビシアエGABAアミノトランスフェラーゼの相同体をコードするのに対して(Ramosら、Eur.J.Biochem.、149:401-404(1985))、SkPYD4は、β-アラニン及びGABAアミノ転移の両方に関与する酵素をコードする(Andersenら、前出)。3-アミノ-2-メチルプロピオネートトランスアミナーゼは、メチルマロネートセミアルデヒドから3-アミノ-2-メチルプロピオネートへの変換を触媒する。この酵素は、ラット及びイノシシにて特徴付けられており、Abatによってコードされる(Tamakiら、Methods Enzymol、324:376-389(2000))。
2.8.3.a 補酵素Aトランスフェラーゼ。CoAトランスフェラーゼは、1つの分子から別の分子へのCoA部分の移動を含む可逆反応を触媒する。例えば、図10のステップEは、3-オキソアジピル-CoAトランスフェラーゼによって触媒される。このステップにおいて、3-オキソアジペートは、3-オキソアジピル-CoAからスクシネート、アセテート又は別のCoA受容体へのCoA基の移動によって形成される。図11のステップEは、別の3-オキソアシル-CoAから3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAへのCoA部分の移動を要する。これらのステップのための1つの候補酵素は、3-オキソアジピル-CoA/スクシネートトランスフェラーゼ活性を有することが示されたシュードモナスにおけるpcaI及びpcaJによってコードされる2単位酵素である(Kaschabekら、前出)。相同性に基づく類似の酵素は、アシネトバクター種ADP1(Kowalchukら、Gene 146:23-30(1994))及びストレプトマイセス・セリカラーに存在する。さらなる例示的なスクシニル-CoA:3:オキソ酸-CoAトランスフェラーゼは、ピロリ菌(Corthesy-Theulazら、J.Biol.Chem. 272:25659-25667(1997))及び枯草菌(Stolsら、Protein. Expr.Purif. 53:396-403(2007))において存在する。
アセテートをCoA受容体として利用することができる3-オキソアシル-CoAトランスフェラーゼは、大腸菌atoA(アルファサブユニット)及びatoD(ベータサブユニット)遺伝子によってコードされるアセトアセチル-CoAトランスフェラーゼである(Vanderwinkelら、Biochem.Biophys.Res Commun. 33:902-908(1968);Korolevら、Acta Crystallogr.D Biol Crystallogr. 58:2116-2121(2002))。この酵素は、イソブチレート(Matthiesら、Appl Environ Microbiol 58:1435-1439(1992))、バレレート(Vanderwinkelら、前出)及びブタノエート(Vanderwinkelら、前出)を含む多種多様な分枝状及び直鎖状アシル-CoA基質からアセテートにCoA部分を移すことが示された。類似の酵素は、コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032(Duncanら、Appl Environ Microbiol 68:5186-5190(2002))、クロストリジウム・アセトブチリカム(Caryら、Appl Environ Microbiol 56:1576-1583(1990))及びクロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム(Kosakaら、Biosci.Biotechnol Biochem. 71:58-68(2007))に存在する。
上記酵素は、また、アジピル-CoA及びアジペート(図10、ステップK)又は6-アミノカプロエート及び6-アミノカプロイル-CoA(図10、ステップQ;図2、ステップK)に対する所望の活性を発揮することができる。しかしながら、さらなる例示的なトランスフェラーゼ候補は、それぞれスクシニル-CoA、4-ヒドロキシブチリル-CoA及びブチリル-CoAトランスフェラーゼ活性を発揮することが示されたクロストリジウム・クルイベリのcat1、cat2及びcat3の遺伝子生成物によって触媒される(Seedorfら、前出;Sohlingら、Eur. J Biochem. 212:121-127(1993);Sohlingら、J Bacteriol. 178:871-880(1996))。
嫌気性細菌アシダミノコッカス・ファーメンタンスからのグルタコネート-CoA-トランスフェラーゼ(EC 2.8.3.12)酵素は、二酸グルタコニル-CoA及び3-ブテノイル-CoAと反応する(Mackら、FEBS Lett. 405:209-212(1997))。この酵素をコードする遺伝子はgctA及びgctBである。この酵素は、グルタリル-CoA、2-ヒドロキシグルタリル-CoA、アジピル-CoA及びアクリリル-CoAを含む他のCoA誘導体に対して小さいが検出可能な活性を有する(Buckelら、Eur. J. Biochem. 118:315-321(1981))。この酵素をクローニングし、大腸菌に発現させた(Mackら、Eur. J. Biochem. 226:41-51(1994))。
3.1.2.a チオールエステルヒドロラーゼ(CoA特異性)。いくつかの真核性アセチル-CoAヒドロラーゼは、広範な基質特異性を有するため、3-オキソアジピル-CoA、アジピル-CoA、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA又は6-アミノカプロイル-CoAを加水分解するための好適な候補酵素である(図10及び11のステップG及びM)。例えば、ラット脳からの酵素(Robinsonら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 71:959-965(1976))は、ブチリル-CoA、ヘキサノイル-CoA及びマロニル-CoAと反応することができる。
さらなるヒドロラーゼ酵素としては、バリン分解中の3-ヒドロキシイソブチリル-CoAの3-ヒドロキシイソブチレートへの変換を効率的に触媒することが示された3-ヒドロキシイソブチリル-CoAヒドロラーゼが挙げられる(Shimomuraら、J Biol Chem. 269:14248-14253(1994))。この酵素をコードする遺伝子としてはラット(Shimomuraら、前出;Shimomuraら、Methods Enzymol. 324:229-240(2000))及びホモ・サピエンス(Shimomuraら、前出)のhibchが挙げられる。配列相同性による候補遺伝子としては、サッカロマイセス・セレビシアエのhibch及びセレウス菌のBC_2292が挙げられる。
さらに別の候補ヒドロラーゼは、グルタリル-CoA、アジピル-CoA、スベリル-CoA、セバシル-CoA及びドデカンジオイル-CoAに対する活性を発揮するヒトジカルボン酸チオエステラーゼacot8(Westinら、J.Biol.Chem. 280:38125-38132(2005))並びに広範なCoAチオールエステルを加水分解することもできる近大腸菌相同体tesB(Naggertら、J Biol Chem 266:11044-11050(1991))である。また、類似の酵素がラット肝臓にて特徴付けられた(Deana R.、Biochem Int 26:767-773(1992))。
見込みのある他の大腸菌チオールエステルヒドロラーゼとしては、tesA(Bonnerら、J Biol Chem 247:3123-3133(1972))、ybgC(Kuznetsovaら、FEMS Microbiol Rev 29:263-279(2005);Zhuangら、FEBS Lett 516:161-163(2002))、paaI(Songら、J Biol Chem 281:11028-11038(2006))及びybdB(Leducら、J Bacteriol 189:7112-7126(2007))の遺伝子生成物が挙げられる。
6.3.1.a/6.3.2.a アミドシンターゼ/ペプチドシンターゼ。6-アミノカプロエートのカプロラクタムへの直接的な変換(ステップS、図10;ステップR、図11)は、分子内ペプチド結合の形成を必要とする。翻訳時にアミノ酸をタンパク質に集成するリボソームは、天然の最も豊富なペプチド結合形成触媒である。非リボソームペプチドシンセターゼは、メッセンジャmRNAを含まないペプチド結合形成触媒である(Schwarzerら、Nat Prod.Rep.20:275-287(2003))。ペプチド結合を形成することが可能なさらなる酵素としては、シュードモナス・クロロラフィスからのアシル-CoAシンセターゼ(Abeら、J Biol Chem 283:11312-11321(2008))、大腸菌からのガンマ-グルタミルプトレシンシンセターゼ(Kuriharaら、J Biol Chem 283:19981-19990(2008))及びストレプトマイセス・クラブリゲラスからのベータ-ラクタムシンセターゼ(Bachmannら、Proc Natl Acad Sci USA 95:9082-9086(1998);Bachmannら、Biochemistry 39:11187-11193(2000);Millerら、Nat Struct.Biol 8:684-689(2001);Millerら、Proc Natl Acad Sci USA 99:14752-14757(2002);Tahlanら、Antimicrob.Agents.Chemother. 48:930-939(2004))が挙げられる。
4.2.1.a ヒドロリアーゼ。たいていのデヒドラターゼは、水のα、β-除去を触媒する。これは、電子求引性カルボニル、カルボキシレート又はCoA-チオールエステル基によるα-水素の活性化及びβ位からのヒドロキシル基の除去を含む。電子求引性カルボキシレート基を有する基質に対する活性を発揮する酵素は、3-ヒドロキシアジペート(図10、ステップI)又は3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエート(図11、ステップI)を脱水するための優れた候補である。
例えば、フマラーゼ酵素は、マレートのフマレートへの可逆的脱水を必然的に触媒する。大腸菌は、成長条件によって調節される3つのフマラーゼ:FumA、FumB及びFumCを有する。FumBは、酸素感応性であり、嫌気性条件下でのみ活性である。FumAは、微好気性条件下で活性であり、FumCは、好気性成長でのみ活性な酵素である(Tsengら、J Bacteriol 183:461-467(2001);Woodsら、Biochim Biophys Acta 954:14-26(1988);Guestら、J Gen Microbiol 131:2971-2984(1985))。さらなる酵素候補が、カンピロバクター・ジェジュニ(Smithら、Int.J Biochem.Cell Biol 31:961-975(1999))、高度好熱菌(Mizobataら、Arch.Biochem.Biophys. 355:49-55(1998))及びラット(Kobayashiら、J Biochem. 89:1923-1931(1981))に見出される。高い配列相同性を有する類似の酵素としては、シロイヌナズナからのfum1及びコリネバクテリウム・グルタミクムからのfumCが挙げられる。ペロトマクルム・サーモプロピオニカムからのMmcBCフマラーゼは、2つのサブユニットを有する別の種類のフマラーゼである(Shimoyamaら、FEMS Microbiol Lett 270:207-213(2007))。
2つのさらなるデヒドラターゼ候補は、ユーバクテリウム・バーケリ(旧クロストリジウム・バーケリ)(Alhapelら、Proc Natl Acad Sci U SA 103:12341-6(2006))のニコチネート異化作用におけるそれらの役割について調査された酵素である2-(ヒドロキシメチル)グルタレートデヒドラターゼ及びジメチルマレートヒドラターゼである。2-(ヒドロキシメチル)グルタレートデヒドラーゼは、2-(ヒドロキシメチル)グルタレートを脱水して2-メチレン-グルタレートにする[4Fe-4S]含有酵素である。この酵素は、ユーバクテリウム・バーケリにおけるhmdによってコードされる(Alhapelら、前出)。高い配列相同性を有する類似の酵素が、バクテロイデス・カピロスス、アナエロツルンカス・コリホミニス及びナトラナエロビウス・サーモフィラスに見出される。これらの酵素は、[4Fe-4S]含有細菌性セリンデヒドラターゼ(例えば、tdcG、sdhB及びsdaAによってコードされる酵素)のアルファ及びベータサブユニットと相同性である。
ジメチルマレートヒドラターゼ(EC 4.2.1.85)は、ジメチルマレエート(dimethylmaeate)を脱水して(2R,3S)-2,3-ジメチルマレートを形成するアコニターゼファミリーにおける可逆性Fe
2+依存性及び酸素感応性酵素である。この酵素は、ユーバクテリウム・バーケリにおけるdmdABによってコードされる(Alhapelら、前出;Kollmann-Kochら、Hoppe Seylers. Z. Physiol Chem. 365:847-857(1984))。
さらなる酵素候補は、シトラマレートからの水のアルファ、ベータ除去を触媒してメサコネートを形成する、可逆性ヒドロリアーゼであるシトラマレートヒドロリアーゼとも呼ばれる2-メチルマレートデヒドラターゼである。この酵素は、精製され、クロストリジウム・テタノモーファムにて特徴付けられた(Wangら、J Biol.Chem. 244:2516-2526(1969))。この酵素の活性は、グルタミン酸分解VI経路の脈絡の中でシトロバクター属及びモーガネラ属におけるいくつかの細菌にも検出された(Katoら、Arch. Microbiol 168:457-463(1997))。この酵素をコードする遺伝子は、今日までどの生物体においても特定されていない。
α-水素に隣接する電子求引性CoA-チオールエステル基を有する基質に対する活性を発揮する酵素は、3-ヒドロキシアジピル-CoA(図10、ステップC)又は3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoA(図11、ステップC)を脱水するための優れた候補である。シュードモナス・プチダのエノイル-CoAヒドラターゼphaA及びphaBは、フェニルアセテート異化作用を通じて二重結合のヒドロキシル化を実施すると考えられる(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6419-6424(1998))。シュードモナス・フルオレッセンスからのpaaA及びpaaBは、類似の変換を触媒する(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6419-6424(1998))。最後に、いくつかの大腸菌遺伝子は、maoC(Parkら、J Bacteriol. 185:5391-5397(2003))、paaF(Ismailら、前出;Parkら、Appl.Biochem.Biotechnol 113-116:335-346(2004);Parkら、Biotechnol Bioeng 86:681-686(2004))及びpaaG(Ismailら、前出;Parkら、Appl.Biochem.Biotechnol 113-116:335-346(2004);Parkら、Biotechnol Bioeng 86:681-686(2004))を含むエノイル-CoAヒドラターゼ機能を示すことが示された。クロトナーゼ酵素は、図10及び11に示される必要な3-ヒドロキシアシル-CoA分子を脱水するためのさらなる候補である。これらの酵素は、いくつかの生物体、特にクロストリジアル種におけるn-ブタノール形成に必要とされ、スルホロブス属、アシディアヌス属及びメタッロスパエラ属の好熱酸性古細菌における3-ヒドロキシプロピオネート/4-ヒドロキシブチレート回路の1つのステップをも含む。クロトナーゼ酵素をコードする例示的な遺伝子をクロストリジウム・アセトブチリカム(Boyntonら、前出)、クロストリジウム・クルイベリ(Hillmerら、FEBS Lett. 21:351-354(1972))及びメタッロスパエラ・セドゥラ(Bergら、前出)に見出すことができるが、後者の遺伝子の配列は知られていない。脂肪酸ベータ酸化及び/又は様々なアミノ酸の代謝に関与するエノイル-CoAヒドラターゼは、3-ヒドロキシブチリル-CoAを形成する、クロトニル-CoAの水化を触媒することもできる(Robertsら、Arch.Microbiol 117:99-108(1978);Agnihotriら、Bioorg.Med.Chem. 11:9-20(2003);Conradら、J Bacteriol. 118:103-111(1974))。
6.2.1.a 酸チオールリガーゼ。図10のステップF、L及びR並びに図11のステップF及びLは、酸-チオールリガーゼ又はシンセターゼ機能を必要とする(リガーゼ、シンセターゼ及びシンターゼは、本明細書では区別なく使用され、同じ酵素類を指す)。これらの変換を実施する可能性が高い酵素をコードする例示的な遺伝子としては、自然にスクシニル-CoAシンセターゼ複合体を形成する大腸菌のsucCD遺伝子が挙げられる。この酵素複合体は、インビボで可逆的な反応である1つのATPの消費と同時にスクシネートからのスクシニル-CoAの形成を自然に触媒する(Buckら、Biochem. 24:6245-6252(1985))。スクシネートとアジペートが構造的に類似していること、即ち双方が直鎖状ジカルボン酸であることから、アジピル-CoAに対するsucCD酵素のある程度の活性を予測することが合理的である。
さらなる例示的なCoA-リガーゼとしては、その配列がまだ特徴付けられていないラットジカルボキシレートCoAリガーゼ(Vamecqら、Biochemical Journal 230:683-693(1985))、ペニシリウム・クリソゲナムからの2つの特徴付けられたフェニルアセテート-CoAリガーゼのいずれか(Lamas-Maceirasら、Biochem. J. 395、147-155(2005);Wangら、Biochem. Biophy. Res. Commun. 360(2):453-458(2007))、シュードモナス・プチダからのフェニルアセテート-CoAリガーゼ(Martinez-Biancoら、J. Biol. Chem. 265:7084-7090(1990))及び枯草菌からの6-カルボキシヘキサノエート-CoAリガーゼ(Bowerら、J. Bacteriol. 178(14):4122-4130(1996))が挙げられる。さらなる候補酵素は、アセトアセテートのアセトアセチル-CoAへのATP依存性変換を自然に触媒するマウス(Hasegawaら、Biochim Biophys Acta 1779:414-419(2008))及びホモ・サピエンス(Ohgamiら、Biochem Pharmacol 65:989-994(2003))からのアセトアセチル-CoAシンセターゼである。
ADP形成アセチル-CoAシンセターゼ(ACD、EC6.2.1.13)は、アシル-CoAエステルのそれらの対応する酸への変換とATPの同時合成とを連関させる別の候補酵素である。広範な基質特異性を有するいくつかの酵素が文献に記載された。AF1211によってコードされるアーケオグロブス・フルギダスからのACD Iは、アセチル-CoA、プロピオニル-CoA、ブチリル-CoA、アセテート、プロピオネート、ブチレート、イソブチレート、イソバレレート、スクシネート、フマレート、フェニルアセテート、インドールアセテートを含む多種多様な直鎖及び分枝鎖基質に作用することが示された(Musfeldtら、J Bacteriol 184:636-644(2002))。(スクシニル-CoAシンセターゼと注記される)ハロアーキュラ・マリスモルツイからの酵素は、プロピオネート、ブチレート及び分枝鎖酸(イソバレレート及びイソブチレート)を基質として受容し、順方向及び逆方向に作用することが示された(Brasenら、Arch Microbiol 182:277-287(2004))。超好熱性クレンアーキオン、ピロバキュラム・アエロフィラムからのPAE3250によってコードされるACDは、アセチル-CoA、イソブチリル-CoA(好適な基質)及びフェニルアセチル-CoAと反応する、全ての特徴付けられたACDの最も広い基質範囲を示した(Brasenら、前出)。アーケオグロブス・フルギダス、ハロアーキュラ・マリスモルツイ及びピロバキュラム・アエロフィラムからの酵素は、いずれも大腸菌においてクローニングされ、機能的に発現され、特徴付けられた(Musfeldtら、前出;Brasenら、前出)。
さらに別の選択肢は、正味のリガーゼ又はシンセターゼ活性を有する酵素のセットを採用することである。例えば、ホスホトランスアジピラーゼ及びアジペートキナーゼ酵素は、クロストリジウム・アセトブチリカムからのbuk1、buk2及びptbの遺伝子生成物によって触媒される(Walterら、Gene 134:107-111(1993);Huangら、J. Mol. Microbiol. Biotechnol. 2:33-38(2000))。ptb遺伝子は、ブチリル-CoAをブチリル-ホスフェートに変換することができる酵素をコードし、次いで、ブチリル-ホスフェートは、ATPの生成と同時にbuk遺伝子生成物のいずれかを介してブチレートに変換される。
酵素を必要としない自発的環化。6-アミノカプロイル-CoAは、自発的に環化してカプロラクタムになるため、このステップのための専用の酵素を必要としない。類似の自発的な環化が、ピロリジノンを形成する4-アミノブチリル-CoAで観察される(Ohsugiら、J Biol Chem 256:7642-7651(1981))。
(実施例XIII)
(アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAを6-アミノカプロン酸に変換するための経路を有する6-アミノカプロン酸産生微生物生物体の製造)
本実施例では、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAから6-アミノカプロン酸を産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAから出発する、図11に示される6-アミノカプロン酸経路を操作する。大腸菌は、6-アミノカプロン酸を産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
6-アミノカプロン酸を産生するように操作された大腸菌株を生成するために、必要な酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれ3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、paaH(NP_415913.1)及びmaoC(NP_415905.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼ及び6-アミノカプロイル-CoAヒドロラーゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)、etfAB(NP_349315.1及びNP_349316.1)及びacot8(CAA15502)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。最後に、スクシニル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、GABAトランスアミナーゼ及び4-アミノブチリル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ活性をコードするsucD(NP_904963.1)、gabT(NP_417148.1)及びcat2(P38942.2)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングして、4-アミノブチリル-CoAの可用性を高める。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、6-アミノカプロン酸合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、6-アミノカプロン酸合成遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。6-アミノカプロン酸を産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的6-アミノカプロン酸合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝を6-アミノカプロン酸のより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的に6-アミノカプロン酸のより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、6-アミノカプロン酸生成物のアセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連を6-アミノカプロン酸産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
6-アミノカプロン酸の大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を使用するHPLC(Shimadzu、メリーランド州Columbia)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
(実施例XIV)
(アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAを6-アミノカプロン酸に変換するための経路を有する6-アミノカプロン酸産生微生物生物体の製造)
本実施例では、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAから6-アミノカプロン酸を産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAから出発する、図11に示される6-アミノカプロン酸経路を操作する。大腸菌は、6-アミノカプロン酸を産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
6-アミノカプロン酸を産生するように操作された大腸菌株を生成するために、必要な酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノエートレダクターゼ活性をそれぞれコードするpaaJ(NP_415915.1)、pcaIJ(AAN69545.1及びNP_746082.1)及びbdh(AAA58352.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、6-アミノヘキサ-2-エノエートレダクターゼ及び3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノエートデヒドラターゼ活性をコードするenr(CAA76083.1)及びhmd(ABC88407.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。最後に、スクシニル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、GABAトランスアミナーゼ及び4-アミノブチリル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ活性をコードするsucD(NP_904963.1)、gabT(NP_417148.1)及びcat2(P38942.2)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングして、4-アミノブチリル-CoAの可用性を高める。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、6-アミノカプロン酸合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、6-アミノカプロン酸合成遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。6-アミノカプロン酸を産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的6-アミノカプロン酸合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝を6-アミノカプロン酸のより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的に6-アミノカプロン酸のより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、6-アミノカプロン酸生成物のアセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連を6-アミノカプロン酸産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
6-アミノカプロン酸の大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を使用するHPLC(Shimadzu、メリーランド州Columbia)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
(実施例XV)
(アセチル-CoA及びスクシニル-CoAを6-アミノカプロン酸に変換するための経路を有するカプロラクタム産生微生物生物体の製造)
本実施例では、アセチル-CoA及びスクシニル-CoAからカプロラクタムを産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アセチル-CoA及びスクシニル-CoAから出発する、図10に示されるカプロラクタム経路を操作する。大腸菌は、カプロラクタムを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
カプロラクタムを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、必要な酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれ3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ、3-オキソアジピル-CoAレダクターゼ及び3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、paaH(NP_415913.1)及びmaoC(NP_415905.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)及びetfAB(NP_349315.1及びNP_349316.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。最後に、アジピル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、6-アミノカプロン酸トランスアミナーゼ及び6-アミノカプロイル-CoAシンターゼ活性をコードするacrI(YP_047869.1)、gabT(NP_417148.1)及びbioW(NP_390902.2)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングする。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、カプロラクタム合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、カプロラクタム合成遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。カプロラクタムを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的カプロラクタム合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝をカプロラクタムのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的にカプロラクタムのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、カプロラクタム生成物のアセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連をカプロラクタム産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
カプロラクタムの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を使用するHPLC(Shimadzu、メリーランド州Columbia)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
(実施例XVI)
(アセチル-CoA及びスクシニル-CoAを6-アミノカプロン酸に変換するための経路を有するヘキサメチレンジアミン産生微生物生物体の製造)
本実施例では、アセチル-CoA及びスクシニル-CoAからヘキサメチレンジアミンを産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アセチル-CoA及びスクシニル-CoAから出発する、図10に示されるヘキサメチレンジアミン経路を操作する。大腸菌は、ヘキサメチレンジアミンを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
ヘキサメチレンジアミンを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、必要な酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれ3-オキソアジピル-CoAチオラーゼ、3-オキソアジピル-CoAレダクターゼ及び3-ヒドロキシアジピル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、paaH(NP_415913.1)及びmaoC(NP_415905.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、5-カルボキシ-2-ペンテノイル-CoAレダクターゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)及びetfAB(NP_349315.1及びNP_349316.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。最後に、アジピル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、6-アミノカプロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、6-アミノカプロン酸トランスアミナーゼ、6-アミノカプロイル-CoAシンターゼ及びヘキサメチレンジアミン活性をコードするacrI(YP_047869.1)、gabT(NP_417148.1)、bioW(NP_390902.2)及びygjG(NP_417544)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングする。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、ヘキサメチレンジアミン合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、ヘキサメチレンジアミン合成遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。ヘキサメチレンジアミンを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的ヘキサメチレンジアミン合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝をヘキサメチレンジアミンのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的にヘキサメチレンジアミンのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、ヘキサメチレンジアミン生成物のアセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連をヘキサメチレンジアミン産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
ヘキサメチレンジアミンの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を使用するHPLC(Shimadzu、メリーランド州Columbia)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
(実施例XVII)
(アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAを6-アミノカプロイル-CoAに変換するための経路を有するカプロラクタム産生微生物生物体の製造)
本実施例では、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAからカプロラクタムを産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAから出発する、図11に示されるカプロラクタム経路を操作する。大腸菌は、カプロラクタムを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
カプロラクタムを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、必要な酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれ3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、paaH(NP_415913.1)及びmaoC(NP_415905.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)及びetfAB(NP_349315.1及びNP_349316.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。最後に、スクシニル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、GABAトランスアミナーゼ及び4-アミノブチリル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ活性をコードするsucD(NP_904963.1)、gabT(NP_417148.1)及びcat2(P38942.2)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングして、4-アミノブチリル-CoAの可用性を高める。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、カプロラクタム合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、カプロラクタム合成遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。カプロラクタムを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的カプロラクタム合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝をカプロラクタムのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的にカプロラクタムのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、カプロラクタム生成物のアセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連をカプロラクタム産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
カプロラクタムの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を使用するHPLC(Shimadzu、メリーランド州Columbia)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
(実施例XVIII)
(アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAを6-アミノカプロイル-CoAに変換するための経路を有するヘキサメチレンジアミン産生微生物生物体の製造)
本実施例では、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAからヘキサメチレンジアミンを産生することが可能な微生物生物体の生成について記載する。
大腸菌を標的生物体として使用して、アセチル-CoA及び4-アミノブチリル-CoAから出発する、図XVIIに示されるヘキサメチレンジアミン経路を操作する。大腸菌は、ヘキサメチレンジアミンを産生することが可能な天然に存在しない微生物を生成するための良好な宿主を提供する。大腸菌は、遺伝子操作に適しており、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような様々な生成物を嫌気性条件又は微好気性条件下で効果的に産生することが可能であることが知られている。
ヘキサメチレンジアミンを産生するように操作された大腸菌株を生成するために、必要な酵素をコードする核酸を、周知の分子生物技術を用いて大腸菌に発現させる(例えば、Sambrook、前出、2001;Ausubel、前出、1999を参照されたい)。特に、それぞれ3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAチオラーゼ、3-オキソ-6-アミノヘキサノイル-CoAレダクターゼ、3-ヒドロキシ-6-アミノヘキサノイル-CoAデヒドラターゼ活性をコードするpaaJ(NP_415915.1)、paaH(NP_415913.1)及びmaoC(NP_415905.1)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZE13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。加えて、6-アミノヘキサ-2-エノイル-CoAレダクターゼ、6-アミノカプロイル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)ヘキサメチレンジアミントランスアミナーゼ活性をコードするbcd(NP_349317.1)、etfAB(NP_349315.1及びNP_349316.1)、acrI(YP_047869.1)及びygjG(NP_417544)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下でpZA33ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)にクローニングする。最後に、スクシニル-CoAレダクターゼ(アルデヒド形成)、GABAトランスアミナーゼ及び4-アミノブチリル-CoA/アシル-CoAトランスフェラーゼ活性をコードするsucD(NP_904963.1)、gabT(NP_417148.1)及びcat2(P38942.2)遺伝子をPA1/lacOプロモータ下で第3の適合性プラスミドpZS23にクローニングして、4-アミノブチリル-CoAの可用性を高める。pZS13ベクター(Expressys、ドイツRuelzheim)のアンピシリン抵抗モジュールを周知の分子生物技術によってカナマイシン抵抗モジュールで置き換えることによってpZS23を得る。プラスミドの3つのセットを大腸菌株MG1655に変換して、ヘキサメチレンジアミン合成に必要なタンパク質及び酵素を発現させる。
得られた遺伝子操作生物体を、当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、前出、2001を参照されたい)。例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロット等を含む、ポリペプチド発現又は酵素活性を測定するための当技術分野においてよく知られている方法を使用して、ヘキサメチレンジアミン合成遺伝子の発現を確認する。個々の活性に特異的なアッセイを使用して、発現した酵素の酵素活性を確認する。ヘキサメチレンジアミンを産生する操作大腸菌株の能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー・質量分光測定(GCMS)及び/又は液体クロマトグラフィー・質量分光測定(LCMS)を使用して確認する。
機能的ヘキサメチレンジアミン合成経路を有するように操作された微生物菌株を、経路の効率的な利用のための最適化によってさらに強化する。手短に述べると、操作菌株を評価して、外因性の遺伝子のいずれかが律速レベルで発現されるかどうかを判断する。例えば、さらなる遺伝子コピー数の導入によって、経路を介して流動を制限することができる低レベルで発現されるあらゆる酵素について発現を増大させる。
より良好な産生体を生成するために、代謝モデル化を利用して成長条件を最適化する。また、モデル化を使用して、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計する(例えば、米国特許公開第2002/0012939号、同第2003/0224363号、同第2004/0029149号、同第2004/0072723号、同第2003/0059792号、同第2002/0168654号及び同第2004/0009466号並びに米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデル化解析は、代謝をヘキサメチレンジアミンのより効率的な産生の方向にシフトさせることについての細胞成長に対する影響の確実な予測を可能にする。1つのモデル化方法は、集合的にヘキサメチレンジアミンのより良好な産生をもたらす遺伝子ノックアウトを選択するように適用される双レベル最適化アプローチOptKnockである(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))。適応進化を用いて、例えば、ヘキサメチレンジアミン生成物のアセチル-CoA及びスクシニル-CoA中間体のより良好な産生体を生成することもできる。適応進化を実施して、成長特性及び産生特性の両方を向上させる(Fong and Palsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004);Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。それらの結果に基づいて、後続のモデル化、遺伝子操作及び適応進化の一連をヘキサメチレンジアミン産生体に適用して、産生をさらに増大させることができる。
ヘキサメチレンジアミンの大規模産生のために、嫌気性条件下で生物体の成長を支えることが当技術分野において知られている培地を使用して、上記生物体を発酵槽にて培養する。発酵を回分、供給回分又は連続方式で実施する。最初に培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉することによって嫌気性条件を維持する。例えば、フラスコを隔膜及びクリンプキャップで密閉することができる。限定的な通気のために隔膜に小孔を設けることによって微好気性条件を利用することもできる。H2SO4などの酸を添加することによって培地のpHを約7のpHに維持する。分光光度計(600nm)を使用して光学密度を測定することによって成長率を求め、経時的な炭素源消耗を監視することによってグルコース取込み率を求める。望ましくないアルコール、有機酸及び残留グルコースなどの副産物を、グルコース及びアルコールに対する屈折率検出器並びに有機酸に対するUV検出器を使用して、例えば、Aminex(登録商標)シリーズのHPLCカラム(例えば、HPX-87シリーズ)(BioRad、カリフォルニア州Hercules)を使用するHPLC(Shimadzu、メリーランド州Columbia)によって定量することができる(Linら、Biotechnol. Bioeng. 775-779(2005))。
(実施例XIX)
(コハク酸セミアルデヒド及びピルベートからの6-アミノカプロエートの産生経路)
本実施例では、6-アミノカプロエートの例示的な産生経路について記載する。
本明細書では、6-アミノカプロエート(6-ACA)及び関連産生物を産生するための新規の経路が記載されている。これらの経路では、4-ヒドロキシフェニル酢酸の分解経路由来のアルドラーゼ及びヒドラターゼである酵素を利用して、コハク酸セミアルデヒド及びピルベートから6-ACAが合成される。候補酵素、及び実行に付随する危険性を以下の実施例XXIにおいて考察する。
本発明は、一部において、6-ACAの産生を触媒する酵素をコードする遺伝子を発現する、天然に存在しない微生物に関する。これらの経路を首尾よく遺伝子工学で操作するには、十分な活性及び特異性を有する適当な酵素のセットを同定すること、それらの対応する遺伝子を産生宿主にクローニングすること、産生宿主におけるこれらの遺伝子の発現を最適化すること、発酵条件を最適化すること、及び、発酵後の産生物の形成についてアッセイすることが必要とされる。
6-アミノカプロエート及び誘導体は、コハク酸セミアルデヒド及びピルベートから、最低5つの酵素的ステップで産生される。全経路の第1のステップにおいて、ピルベート及びコハク酸セミアルデヒドが4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(HODH)アルドラーゼによって連結される。次いでこの反応の産生物であるHODHが、2-オキソヘプタ-4-エンー1,7-ジオエート(OHED)ヒドラターゼによって脱水されてOHEDが形成される。続くステップにおいて、図12に示される通り、OHEDがアミノ基転移を受ける、脱炭酸される、又は還元される。
1つのルートでは、OHEDのアルケンがOHEDレダクターゼによって還元され、2-ケト酸である2-オキソヘプタン-1,7-ジオエート(2-OHD)が形成される(図12、ステップC)。次いで2-OHDがケト酸デカルボキシラーゼによってアジペートセミアルデヒドに変換される(図12、ステップD)。最終ステップにおいて、アジペートセミアルデヒドのアルデヒドがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってアミンに変換される(図12、ステップE)。
同様のルートにおいて、2-OHDの2-ケト基がアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってアミノ基転移を受けて(図12、ステップH)、2-アミノヘプタン-1,7-ジオエート(2-AHD)が形成される。次いでこの産生物が2-AHDデカルボキシラーゼによって脱炭酸されて6-アミノカプロエートが形成される(図12、ステップI)。
代替的な経路では、OHEDがまずOHEDデカルボキシラーゼによって脱炭酸され(図12、ステップF)、6-オキソ-4-ヘキセン酸(6-OHE)が形成される。6-OHEのアルケナール基がオキシドレダクターゼによってアジペートセミアルデヒドに還元される(図12、ステップG)。次いでアジペートセミアルデヒドがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによって6-アミノカプロエートに変換される(図12、ステップE)。
さらに別のルートでは、OHEDを2-アミノ-4ヘプテン-1,7-ジオエート(2-AHE)に変換するアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼが必要である(図12、ステップJ)。その後、2-AHEのアルケンがアルケンオキシドレダクターゼによって還元される(図12、ステップK)。次いでこの反応の産生物である2-AHDがアミノ酸デカルボキシラーゼによって脱炭酸されて(図12、ステップI)、6-アミノカプロエートが形成される。
さらに別のルートでは、HODHが、HODHデヒドロゲナーゼ又はHODHギ酸リアーゼのいずれかによって3-ヒドロキシアジピル-CoAに変換される(図12、ステップL)。その後、3-ヒドロキシアジピル-CoAが脱水され、還元されてアジピル-CoAが形成される(図12、ステップM、N)。アジピル-CoAが還元され、脱アシルされてアジペートセミアルデヒドが形成され(図12、ステップO)、次いでアジペートセミアルデヒドがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによって6-アミノカプロエートに変換される(図12、ステップE)。
同様のルートでは、まずHODHが上記の通りOHEDに変換される(図12、ステップB)。次いでOHEDがデヒドロゲナーゼ又はOHEDギ酸リアーゼによって2,3-デヒドロアジピル-CoAに変換される(図12、ステップP)。次いで、2,3-ジヒドロアジピル-CoAがアジピル-CoAに還元され(図12、ステップN)、アジピル-CoAが、前述の通りアジペートセミアルデヒドを経由して6-アミノカプロエートに変換される(図12、ステップO、E)。
最後のルートでは、HODHが、前述の通りステップB及びCを経由して2-OHDに変換される。2-OHDギ酸リアーゼ又はデヒドロゲナーゼによって2-OHDがアジピル-CoAに変換され(図12、ステップQ)、次いでアジピル-CoAがCoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼによって還元される(図12、ステップO)。産生物であるアジペートセミアルデヒドがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによって6-アミノカプロエートに変換される(図12、ステップE)。
図12に詳述したルートにより、利用されたグルコース1モル当たり0.8モルの6-ACAという最大の理論上の6-ACA収率を実現することができる。エネルギー収率も都合よく、最大の産生物収率で、利用されたグルコース1モル当たり最大で1.6モルのATPである。以下の仮定を使用して収率を算出した:1)ホスホエノールピルベート(PEP)カルボキシキナーゼはATP生成方向において作動することができる、2)NH4及び6-ACAはプロトン対向輸送によって細胞内に輸送される、且つ3)コハク酸セミアルデヒドはアルファ-ケトグルタル酸及び/又はスクシニル-CoAから形成される。コハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼは、スクシニル-CoAをコハク酸セミアルデヒドに変換するNAD(P)H及びCoAに依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼである。コハク酸セミアルデヒドは、2つの酵素:アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ及び4-アミノブチレートトランスアミラーゼによってアルファ-ケトグルタル酸から形成される。
(実施例XX)
(6-アミノカプロエートからのヘキサメチレンジアミンの産生経路)
本実施例では、ヘキサメチレンジアミンの例示的な産生経路について記載する。
本明細書では、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)及び関連産生物を産生するための新規の経路が記載されている。この経路では、6-アミノカプロエート(6-ACA)からHMDAが合成される。これらの経路は、リン酸化及び/又はアシル化による酸基の活性化を伴う。末端アミノ基をアセチル化することにより、経路の中間体が自然環化から保護される。候補酵素、及び実行に付随する危険性を以下の実施例XXIにおいて考察する。
本発明は、一部において、HMDAの産生を触媒する酵素をコードする遺伝子を発現する、天然に存在しない微生物に関する。これらの経路を首尾よく遺伝子工学で操作するには、十分な活性及び特異性を有する適当な酵素のセットを同定すること、それらの対応する遺伝子を産生宿主にクローニングすること、産生宿主におけるこれらの遺伝子の発現を最適化すること、発酵条件を最適化すること、及び、発酵後の産生物の形成についてアッセイすることが必要とされる。
6-アミノカプロエートからHMDAを産生するためのいくつかの経路を図13に詳述する。全てのルートにおいて、カルボン酸基が活性化され、その後、還元され、アミノ基転移を受けることが必要とされる。3つのルートでは、6-アミノカプロエートが直接活性化されるが、他のルートでは、末端アミン基がN-アセチル化されることによって保護されて自然環化が防がれる。
1つのルートでは、6-アミノカプロエートが6-アミノカプロエートキナーゼによって6-AHOPにリン酸化される(図13、ステップA)。次いで、6-AHOPが6-アミノカプロン酸セミアルデヒドに還元され(図13、ステップB)、その後、アミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってアミノ基転移を受ける(図13、ステップC)。
或いは、6-AHOPがアシルトランスフェラーゼによって6-アミノカプロイル-CoAに変換される(図13、ステップL)。次いで、6-アミノカプロイル-CoAがCoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼによって6-アミノカプロン酸セミアルデヒドに還元される(図13、ステップN)。次いで、アミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによって6-アミノカプロン酸セミアルデヒドのアミノ基転移を受けることにより、HMDAが形成される(図13、ステップC)。
さらに別のルートでは、まず、6-アミノカプロエートがCoAトランスフェラーゼ又はCoAリガーゼによってCoA誘導体に活性化される(図13、ステップM)。産生物である6-アミノカプロイル-CoAは、自然環化し得る、又はアルデヒドを形成するCoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼによって6-アミノカプロン酸セミアルデヒドに変換され得る(図13、ステップN)。6-アミノカプロン酸セミアルデヒドがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってHMDAに変換される(図13、ステップC)。
追加的なルートは、6-アミノカプロエートN-アセチルトランスフェラーゼのアセチル化産生物である6-アセトアミドヘキサン酸から進行する。6-アセトアミドヘキサン酸が、異なるルートによって6-アセトアミドヘキサナールに変換される(以下に記載)。これらのルートの最後の2つのステップにおいて、まず、6-アセトアミドヘキサナールがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによって6-アセトアミドヘキアンアミンに変換される(図13、ステップG)。その後、6-アセトアミドヘキアンアミンがアミドヒドロラーゼ又はN-アセチルトランスフェラーゼによってHMDAに変換される(図13、ステップH)。
1つのルートでは、6-アセトアミドヘキサン酸が6-アセトアミドヘキサノエートキナーゼによってリン酸化される(図13、ステップE)。産生物である6-AAHOPが還元されて6-アセトアミドヘキサナールが形成され(図13、ステップF)、次いで6-アセトアミドヘキサナールが上記の通りHMDAに変換される。
別のルートでは、6-アセトアミドヘキサン酸がCoAトランスフェラーゼ又はCoAリガーゼによって6-アセトアミドヘキサノイル-CoAに活性化される(図13、ステップI)。次いで、CoA誘導体がアルデヒドを形成するCoA依存性のオキシドレダクターゼによって6-アセトアミドヘキサナールに還元される(図13、ステップJ)。次いで、6-アセトアミドヘキサナールが上記の通りHMDAに変換される。
或いは、6-アセトアミドヘキサン酸がリン酸化されて6-AAHOPになり(図13、ステップE)、その後、アシルトランスフェラーゼによって6-アセトアミドヘキサノイル-CoAに変換される(図13、ステップK)。次いで、6-アセトアミドヘキサノイル-CoAが前述の通りHMDAに還元される。
(実施例XXI)
(6-アミノカプロン酸及びヘキサメチレンジアミンを産生するための酵素の分類体系)
本実施例では、6-アミノカプロエート又はヘキサメチレンジアミンを産生するための、実施例XIX及び実施例XXに記載の例示的な経路のための酵素の分類体系について記載する。
図12及び図13に示す全ての変換は、表9に示される、変換の一般的なカテゴリーに分類される。以下に、各カテゴリー内に生化学的に特徴付けられたいくつもの遺伝子を記載する。適切にクローニングされ、発現されたときに、図12〜13の適当な変換を触媒するために適用することができる遺伝子が特に列挙されている。
表9には、共通の中心的な代謝中間体を6-アミノカプロエート及びヘキサメチレンジアミンに変換するために有用な酵素の種類が示されている。各標識の最初の3つの数字は基質特異性に依存しない一般的な種類の変換を示す酵素コミッション番号の最初の3つの数字に対応する。
1.2.1.b オキシドレダクターゼ(アシル-CoAをアルデヒドに)。6-アセトアミドヘキサノイル-CoAの6-アセトアミドヘキサナールへの変換(図13、ステップJ)及び6-アミノカプロイル-CoAの6-アミノカプロン酸セミアルデヒドへの変換(図13、ステップN)は、ECクラス1.2.1のCoA依存性のオキシドレダクターゼである酵素によって触媒される。アジピル-CoAは、同様の機能性を有する酵素であるアジピル-CoAオキシドレダクターゼによってアジペートセミアルデヒドに変換される(図12、ステップO)。図12の前駆体であるコハク酸セミアルデヒドをスクシニル-CoAから形成する酵素であるコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼもCoA依存性のオキシドレダクターゼである。ECクラス1.2.1.-のオキシドレダクターゼは、アシル-CoAをその対応するアルデヒドに還元することができる。そのような酵素をコードする例示的な遺伝子は、脂肪酸アシル-CoAレダクターゼをコードするアシネトバクター・カルコアセティカスのacr1(Reiser及びSomerville、Journal of Bacteriology 179:2969-2975(1997))、アシネトバクター種M-1の脂肪酸アシル-CoAレダクターゼ(Ishigeら、Appl. Environ. Microbiol. 68:1192-1195(2002))、並びにCoA及びNADPに依存性のコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするクロストリジウム・クルイベリのsucD遺伝子(Sohling及びGottschalk、J. Bacteriol. 178:871-880(1996))を含む。P.ジンジバリスのsucDは、別のコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼである(Takahashiら、J. Bacteriol. 182:4704-4710(2000))。シュードモナス種においてbphGにコードされるアシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドを酸化及びアシル化することが実証されているので(Powlowskiら、J. Bacteriol. 175:377-385(1993))、さらに別の候補である。ロイコノストック・メセンテロイデスにおいてadhEにコードされる酵素は、アセチル-CoAをエタノールに還元することに加えて、分岐鎖化合物であるイソブチルアルデヒドを酸化してイソブチリル-CoAにすることが示されている(Kazahayaら、J. Gen. Appl. Microbiol. 18:43-55(1972);及びKooら、Biotechnol Lett. 27:505-510(2005))。
アシル-CoAをその対応するアルデヒドに変換する追加的な酵素は、マロニル-CoAをマロン酸セミアルデヒドに変換するマロニル-CoAレダクターゼである。マロニル-CoAレダクターゼは、好熱好酸古細菌における3-ヒドロキシプロピオン酸回路を経由する独立栄養性の炭素固定において重要な酵素である(Bergら、Science 318:1782-1786(2007);及びThauer、R. K.、Science.318:1732-1733(2007))。この酵素は、補因子としてNADPHを利用し、メタッロスパエラ種及びスルホロブス種において特徴付けられている(Alberら、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2006);及びHuglerら、J. Bacteriol. 184:2404-2410(2002))。この酵素は、メタッロスパエラ・セドゥラのMsed_0709によってコードされる(Alberら、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2006);及びBergら、Science.318:1782-1786(2007))。スルホロブス・トコダイイ由来の、マロニル-CoAレダクターゼをコードする遺伝子が大腸菌にクローニングされ、異種性発現された(Alberら、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2006))。この酵素は、メチルマロニル-CoAの、その対応するアルデヒドへの変換を触媒することも示されている(WIPO特許出願WO/2007/141208 種別コード:A2)。これらの酵素のアルデヒドデヒドロゲナーゼとしての機能性はクロロフレクサス・アウランチアクス(Chloroflexus aurantiacus)由来の二機能性デヒドロゲナーゼと同様であるが、配列類似性はほとんどない。どちらのマロニル-CoAレダクターゼの酵素候補も、アスパルチル-4-リン酸のアスパラギン酸セミアルデヒドへの還元及び同時に起こる脱リン酸化を触媒する酵素であるアスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼに対して高い配列類似性を有する。追加的な遺伝子候補は、スルホロブス・ソルファタリカス及びスルホロブス・アシドカルダリウスを含めた他の生物体のタンパク質に対する配列相同性によって見出すことができ、それらを以下に列挙する。CoA-アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼのさらに別の候補は、クロストリジウム・ベイジェリンキ由来のald遺伝子である(Tothら、Appl Environ Microbiol 65:4973-4980(1999))。この酵素は、アセチル-CoA及びブチリル-CoAをそれらの対応するアルデヒドに還元することが報告されている。この遺伝子は、ネズミチフス菌及び大腸菌のアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするeutEと非常に似ている(Tothら、Appl Environ Microbiol 65:4973-4980(1999))。
1.2.1.c オキシドレダクターゼ(2-ケト酸をアシル-CoAに)。図12のいくつかの変換では、ECクラス1.2.1の酵素によって2-ケト酸がアシル-CoAに変換されることが必要である(ステップL、P及びQ)。そのような反応は、2-ケト酸のアシル化酸化的脱炭酸をもたらす一連の部分反応を触媒する多酵素複合体によって触媒される。例示的な酵素は、1)分岐鎖2-ケト酸デヒドロゲナーゼ、2)アルファ-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ、及び3)ピルベートデヒドロゲナーゼの多酵素複合体(PDHC)を含む。2-ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体のそれぞれは、中間代謝において重要な位置を占め、酵素活性は一般にはしっかりと制御されている(Friesら、Biochemistry 42:6996-7002(2003))。酵素は、複合体を共有するが、共通の構造は3つの触媒成分:アルファ-ケト酸デカルボキシラーゼ(E1)、ジヒドロリポアミドアシルトランスフェラーゼ(E2)及びジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(E3)の多コピーで構成される。E3成分は、生物体の全ての2-ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体の間で共有されるが、E1成分及びE2成分は、異なる遺伝子にコードされる。酵素成分は、複合体において多数のコピーで存在し、多数の補因子を利用して基質チャネリングを介した定方向の一連の反応を触媒する。これらのデヒドロゲナーゼ複合体の全体的なサイズは非常に大きく、分子量は400万Da〜1000万Daである(すなわち、リボソームよりも大きい)。
2-ケト酸デヒドロゲナーゼファミリーの酵素の活性は、大腸菌において、通常嫌気的条件下で低い、又は限られている。NADH(又はNADPH)の産生が増加すると、酸化還元の不均衡につながる可能性があり、NADH自体が酵素機能に対する阻害剤として機能する。遺伝子工学で操作する試みにより、大腸菌のピルベートデヒドロゲナーゼ複合体の嫌気的活性が増加した(Kimら、Appl. Environ. Microbiol. 73:1766-1771(2007); Kimら、J. Bacteriol. 190:3851-3858(2008);及びZhouら、Biotechnol. Lett. 30:335-342(2008))。例えば、NADHの阻害作用は、E3成分においてH322Y突然変異を遺伝子工学で操作することによって克服することができる(Kimら、J. Bacteriol. 190:3851-3858(2008))。個々の成分及びそれらがどのように複合体中で一緒に作動するかの構造研究によって、このファミリーにおける触媒機構及び酵素の構成についての洞察がもたらされる(Aevarssonら、Nat. Struct. Biol. 6:785-792(1999);及びZhouら、Proc. Natl. Acad. sci. U. S. A 98:14802-14807(2001))。デヒドロゲナーゼ複合体の基質特異性は、異なる生物体において変動するが、一般に分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼが最も広範な基質範囲を有する。
アルファ-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ(AKGD)は、アルファ-ケトグルタル酸をスクシニル-CoAに変換し、TCA回路を通じて代謝フラックスを調節する主要な部位である(Hansford、Curr. Top. Bioenerg. 10:217-278(1980))。大腸菌においてsucA遺伝子、sucB遺伝子及びlpd遺伝子にコードされ、AKGD遺伝子の発現は、嫌気的条件下、グルコースでの増殖中、下方制御される(Parkら、Mol. Microbiol. 15:473-482(1995))。AKGDの基質範囲は狭いが、E2成分の触媒コアの構造研究により、基質特異性の原因である特異的残基が正確に指摘される(Knappら、J. Mol. Biol. 280:655-668(1998))。odhAB(E1及びE2)及びpdhD(E3、共有ドメイン)にコードされる枯草菌のAKGDは、転写レベルで制御され、生物体の炭素源及び増殖相に左右される(Resnekovら、Mol. Gen. Genet. 234:285-296(1992))。酵母では、E3成分をコードするLPD1遺伝子は、グルコースによって転写レベルで制御される(Roy及びDawe、J. Gen. Microbiol. 133:925-933(1987))。KGD1にコードされるE1成分も、グルコースによって制御され、産生物のHAP2及びHAP3によって活性化される(Repetto及びTzagoloff、Mol. Cell Biol. 9:2695-2705(1989))。産生物のNADH及びスクシニル-CoAによって阻害されるAKGD酵素複合体は、機能障害がいくつかの神経疾患に関連付けられているように、哺乳動物系においてよく研究されている(Tretter及びdam-Vizi、Philos. Trans. R. Soc. Lond B Biol. Sci. 360:2335-2345(2005))。
分岐鎖2-ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体(BCKAD)は、2-オキソイソ吉草酸デヒドロゲナーゼとしても知られており、バリン、ロイシン及びイソロイシンの2-ケト酸誘導体をそれらのアシル-CoA誘導体とCO
2に変換する分岐鎖アミノ酸分解経路に関与する。この複合体は、枯草菌(Wangら、Eur. J. Biochem. 213:1091-1099(1993))、ラット(Nambaら、J. Biol. Chem. 244:4437-4447(1969))及びシュードモナス・プチダ(Sokatchら、J. Bacteriol. 148:647-652(1981))を含めた多くの生物体において研究されている。枯草菌では、この酵素はpdhD遺伝子(E3成分)、bfmBB遺伝子(E2成分)、bfmBAA遺伝子及びbfmBAB遺伝子(E1成分)にコードされる(Wangら、Eur. J. Biochem. 213:1091-1099(1993))。哺乳動物では、この複合体は特異的なホスファターゼ及びタンパク質キナーゼによるリン酸化によって制御される。この複合体は、ラットの肝細胞において研究されており(Chiccoら、J. Biol. Chem. 269:19427-19434(1994))、Bckdha遺伝子(E1アルファ)、Bckdhb遺伝子(E1ベータ)、Dbt遺伝子(E2)、及びDld遺伝子(Ε3)にコードされる。シュードモナス・プチダのBCKAD複合体のE1成分及びE3成分が結晶化されており(Aevarssonら、Nat. Struct. Biol. 6:785-792(1999);及びMatteviら、Science.255:1544-1550(1992))、酵素複合体が研究されている(Sokatchら、J. Bacteriol. 148:647-652(1981))。P.プチダのBCKAD遺伝子の転写は、bkdRの遺伝子産物によって活性化される(Hesslingerら、Mol. Microbiol 27:477-492(1998))。ラット(Paxtonら、Biochem. J. 234:295-303(1986))及び出芽酵母(Sinclairら、Biochem. Mol. Biol. Int. 31:911-922(1993))を含めた一部の生物体では、この複合体は分岐鎖アミノ酸前駆体に加えて、2-オキソブタノエート及びアルファ-ケトグルタル酸などの直鎖状オキソ酸を含む広範な基質範囲を有することが示されている。ウシのBCKADの活性部位が、代わりの基質であるアセチル-CoAを好むように遺伝子工学で操作された(Meng及びChuang、Biochemistry. 33:12879-12885(1994))。
ピルベートのアセチル-CoAへの変換を触媒するピルベートデヒドロゲナーゼ複合体も、大規模に研究されている。大腸菌の酵素では、E1成分の特異的残基が基質特異性の原因である(Bisswanger、J Biol Chem. 256:815-822(1981); Bremer、Eur. J Biochem. 8:535-540(1969);及びGongら、J Biol Chem. 275:13645-13653(2000))。前述の通り、酵素を遺伝子工学で操作する試みにより、嫌気的条件下での大腸菌のPDHの酵素活性が改善された(Kimら、Appl. Environ. Microbiol. 73:1766-1771(2007); Kimら、J. Bacteriol. 190:3851-3858(2008));及びZhouら、Biotechnol. Lett. 30:335-342(2008))。大腸菌のPDHとは対照的に、枯草菌の複合体は嫌気的条件下で活性であり、増殖に必要とされる(Nakanoら、J. Bacteriol. 179:6749-6755(1997))。グリセロールでの増殖中に特徴付けられた肺炎桿菌のPDHも嫌気的条件下で活性である(Menzelら、J. Biotechnol. 56:135-142(1997))。ウシの腎臓由来の酵素複合体の結晶構造(Zhouら、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 98:14802-14807(2001))及びアゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)由来のE2触媒ドメインの結晶構造(Matteviら、Science.255:1544-1550(1992))が入手可能である。一部の哺乳動物のPDH酵素複合体は、2-オキソブタノエートなどの代わりの基質に対して反応し得るが、ラットのPDH及びBCKADの比較動態により、基質としての2-オキソブタノエートに対してBCKADの方が高い活性を有することが示される(Paxtonら、Biochem. J. 234:295-303(1986))。
上記の大きな多酵素2-ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体の代替として、一部の嫌気的生物体は2-ケト酸オキシドレダクターゼファミリー(OFOR)の酵素を利用して2-ケト酸のアシル化酸化的脱炭酸を触媒する。デヒドロゲナーゼ複合体とは異なり、これらの酵素は鉄硫黄クラスターを含有し、異なる補因子を利用し、電子受容体としてNAD(P)Hの代わりにフェレドキシン又はフラボドキシンを使用する。このファミリーの最多数の酵素は基質としてピルベートに特異的であるが(POR)、一部の2-ケト酸:フェレドキシンオキシドレダクターゼは、アルファ-ケトグルタル酸及び2-オキソブタノエートを含めた広い範囲の2-ケト酸を基質として許容することが示されている(Fukuda及びWakagi、Biochim. Biophys. Acta 1597:74-80(2002);及びZhangら、J. Biochem. 120:587-599(1996))。そのような酵素の1つは、好熱好酸古細菌のスルホロブス・トコダイイ7由来のOFORであり、ST2300遺伝子にコードされるアルファサブユニット及びベータサブユニットを含有する(Fukuda及びWakagi、Biochim. Biophys. Acta 1597:74-80(2002);及びZhangら、J. Biochem. 120:587-599(1996))。このタンパク質を大腸菌において効率的に発現させるために、プラスミドに基づく発現系が開発されており(Fukudaら、Eur. J. Biochem. 268:5639-5646(2001))、基質特異性に関与する残基が決定された(Fukuda及びWakagi、Biochim. Biophys. Acta 1597:74-80(2002))。アエロパイラム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)株K1由来の2種のOFORも、最近大腸菌にクローニングされ、特徴付けられ、広い範囲の2-オキソ酸と反応することが見出された(Nishizawaら、FEBS Lett. 579:2319-2322(2005))。これらのOFOR候補の遺伝子配列は、今まで割り当てられたGenBank識別名は有さないが、入手可能である。全ての古細菌、一部の嫌気性細菌及びミトコンドリアを持たない真核生物において同様の酵素が存在することの生物情報的な証拠がある(Fukuda及びWakagi、Biochim. Biophys. Acta 1597:74-80(2002))。このクラスの酵素も、還元フェレドキシンを使用して、フェレドキシン-NADレダクターゼによってNADHを生成することができるので、エネルギーの観点から興味深い(Petitdemangeら、Biochim. Biophys. Acta 421:334-337(1976))。同様に、酵素の大部分が嫌気的条件下で作動するように設計されるので、2-ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体ファミリーの酵素と比較して、嫌気的環境における活性のために酵素を遺伝子工学で操作する必要性が少なくなり得る。
1.2.1.d オキシドレダクターゼ(ホスホン酸をアルデヒドに)。ホスホン酸の、その対応するアルデヒドへの還元は、ECクラス1.2.1のオキシドレダクターゼによって触媒される。図13のステップB及びステップFでは6-AHOP及び6-AAHOPをそれらの対応するアルデヒドに還元するための酵素が必要である。これらの反応は既知の酵素によって触媒されないが、同様の反応がアスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ASD、EC 1.2.1.11)によって触媒される:4-アスパルチルリン酸のアスパラギン酸-4-セミアルデヒドへのNADPH依存性の還元。ASDはアミノ酸の生合成に関与し、最近、抗菌標的として研究されている(Hadfieldら、Biochemistry 40:14475-14483(2001))。大腸菌のASDの構造が解明されており(Hadfieldら、J Mol. Biol. 289:991-1002(1999))、この酵素が、代替の基質であるベータ-3-メチルアスパルチルリン酸を許容することが示されている(Shamesら、J Biol. Chem. 259:15331-15339(1984))。インフルエンザ菌の酵素が、活性部位の基質結合親和性を変化させるために酵素を遺伝子工学で操作する研究の対象になっている(Blancoら、Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 60:1388-1395(2004);及びBlancoら、Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 60:1808-1815(2004))。他のASD候補は、結核菌(Shafianiら、J Appl Microbiol 98:832-838(2005))、メタノコッカス・ジャナスキイ(Methanococcus jannaschii)(Faehnleら、J Mol. Biol. 353:1055-1068(2005))、及び感染性の微生物であるコレラ菌及びピロリ菌(Mooreら、Protein Expr. Purif. 25:189-194(2002))において見出されている。関連酵素候補は、天然にアセチルグルタミルリン酸をアセチルグルタミン酸-5-セミアルデヒドに還元する酵素であるアセチルグルタミルリン酸レダクターゼ(EC 1.2.1.38)であり、出芽酵母(Pauwelsら、Eur. J Biochem. 270:1014-1024(2003))、枯草菌(O'Reilly及びDevine、Microbiology 140(Pt 5):1023-1025(1994))及び他の生物体において見出された。
1.3.1.a オキシドレダクターゼ(アルケンをアルカンへ)。いくつかの変換は、アルケンをアルカンに還元するオキシドレダクターゼのカテゴリーに分類される(EC 1.3.1.-)。例えば、図12のステップC、G、K及びNは、それぞれ、このカテゴリーに分類されるOHEDレダクターゼ、6-OHEレダクターゼ、2-AHEレダクターゼ及び2,3-デヒドロアジピル-CoAレダクターゼによって触媒される。エノンレダクターゼ、アルケナールレダクターゼ、及びエノエートレダクターゼである酵素が、ステップC、G及びKの変換を触媒するための適切な酵素候補である。エノイル-CoAレダクターゼである酵素は、2,3-デヒドロアジピル-CoAのアジピル-CoAへの変換を触媒する(ステップN)。
エノンレダクターゼ活性を有する酵素は、原核生物、真核生物及び植物において同定されている(Shimodaら、Bulletin of the chemical Society of Japan 77:2269-2(2004);及びWanner及びTressl、Eur. J Biochem. 255:271-278(1998))。出芽酵母の細胞質画分由来の2種のエノンレダクターゼが精製され、特徴付けられ、それらが基質として種々のアルケナール(6-OHEと似ている)及びエノイルケトン(OHEDと似ている)を許容することが見出された(Wanner及びTressl、Eur. J Biochem. 255:271-278(1998))。これらの酵素をコードする遺伝子は今まで同定されていない。ラン藻のシネココッカス(Synechococcus)属PCC7942の細胞抽出物により、種々のエノン基質がそれらの対応するアルキルケトンに還元される(Shimodaら、Bulletin of the chemical Society of Japan 77:2269-2(2004))。この生物体におけるこの活性に遺伝子は関連付けられていない。他の生物体のエノンレダクターゼも、この変換を触媒し得る。
NtRed1にコードされる、タバコ由来の組換えのNADPH依存性のエノンレダクターゼが大腸菌において機能的に発現され、特徴付けられた(Matsushimaら、Bioorganic Chemistry 36:23-28(2008))。このレダクターゼは環外エノイルケトンであるプレゴンに対して機能的である(Matsushimaら、Bioorganic Chemistry 36:23-28(2008))。出芽酵母の遺伝子座YML131Wにおける酵素候補は、NtRed1に対して30%の同一性を持つ(E値=1×10
-26)。NtRed1のアミノ酸配列は、シロイヌナズナ由来の2-アルケナールレダクターゼ、シロイヌナズナ由来のゼータクリスタリン相同体、ペパーミント由来のプレゴンレダクターゼ及びテーダマツ由来のフェニルプロペナールアルケンレダクターゼと有意な相同性を共有する。これらの酵素は、α,β不飽和ケトン及びα,β不飽和アルデヒドのアルケンの還元を触媒することが知られている。
2-アルケナールレダクターゼは、アルデヒド及びケトンのα、β不飽和二重結合の還元を触媒する。オオムギアルケナールヒドロゲナーゼALH1は、トランス-2-ノネナール、2-ヘキセナール、トラウマチン及び1-オクテン-3-オンを含めた様々なα,β不飽和ケトン及びα,β不飽和アルデヒドに対する活性が同定された(Hambraeus及びNyberg、J Agric. Food Chem. 53:8714-8721(2005))。オオムギのALH1のcDNAが大腸菌にクローニングされ、発現された(Hambraeus及びNyberg、J Agric. Food Chem. 53:8714-8721(2005))。
2-エノエートレダクターゼである酵素は、多種多様なα、β不飽和カルボン酸及びα、β不飽和アルデヒドのNAD(P)H依存性の還元を触媒することが知られている(Rohdichら、J. Biol. Chem. 276:5779-5787(2001))。C.クルイベリの最近発表されたゲノム配列において、エノエートレダクターゼの9つのコード配列が報告され、そのうちの1つが特徴付けられている(Seedorfら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 105:2128-2133(2008))。C.チロブチリカム由来のenr遺伝子及びM.サーモアセチカム由来のenr遺伝子の両方がクローニングされ、配列決定され、それらは互いに対して59%の同一性を示す。前者の遺伝子は、C.クルイベリにおいて特徴付けられた遺伝子に対しておよそ75%の類似性を有することも見出された(Giesel及びSimon、Arch. Microbiol 135:51-57(1983))。これらの配列決定の結果に基づいて、enrが大腸菌のジエノイルCoAレダクターゼ(fadH)と非常に似ていることが報告されている(Rohdichら、J. Biol. Chem. 276:5779-5787(2001))。C.サーモアセチカムのenr遺伝子も、大腸菌において触媒として活性な形態で発現されている(Rohdichら、J. Biol. Chem. 276:5779-5787(2001))。
別の候補エノエートレダクターゼは、2-マレイルアセテート(4-オキソヘキサ-2-エンジオエート)の3-オキソアジペートへの還元を触媒する酵素である3-オキソアジペートオキシドレダクターゼ(マレイルアセテートレダクターゼ)である。この酵素活性は、シュードモナス種のB13株において同定され、特徴付けられ(Kaschabek及びReineke、J. Bacteriol 177:320-325(1995);及びKaschabek.及びReineke、J. Bacteriol. 175:6075-6081(1993))、コード遺伝子がクローニングされ、配列決定された(Kasbergら、J. Bacteriol. 179:3801-3803(1997))。3-オキソアジペートオキシドレダクターゼについての候補遺伝子は、シュードモナス種株B13由来のclcE遺伝子(Kasbergら、J. Bacteriol. 179:3801-3803(1997))、ロドコッカス・オパカス由来のmacA遺伝子(Seibertら、J. Bacteriol. 180:3503-3508(1998))、及びラルストニア・ユートロファ(カプリアビダス・ネカトールとしても知られている)由来のmacA遺伝子(Seibertら、Microbiology 150:463-472(2004))を含む。
エノイル-CoAレダクターゼである酵素は、2,3-デヒドロアジピル-CoAのアジピル-CoAへの還元(図12、ステップN)を触媒するために適した酵素である。1つの例示的なエノイル-CoAレダクターゼは、C.アセトブチリカム由来のbcdの遺伝子産物であり(Atsumiら、Metab Eng 10:305-311(2008);及びBoyntonら、J. Bacteriol. 178:3015-3024(1996))、この酵素は、クロトニル-CoAのブチリル-CoAへの還元を天然に触媒する。この酵素の活性は、電子伝達フラボタンパク質をコードするC.アセトブチリカムのetfAB遺伝子の発現と併せてbcdを発現させることによって増大させることができる。エノイル-CoAレダクターゼステップのための追加的な候補は、E.グラシリス由来のミトコンドリアのエノイル-CoAレダクターゼである(Hoffmeisterら、J Biol. Chem. 280:4329-4338(2005))。E.グラシリスのミトコンドリアのターゲティングリーダー配列を除去した後にこの配列に由来する構築物が大腸菌にクローニングされ、その結果、活性な酵素がもたらされた(Hoffmeisterら、J Biol. Chem. 280:4329-4338(2005))。この手法は、真核生物の遺伝子、特に遺伝子産物を原核生物の特異的な細胞内区画にターゲティングすることができるリーダー配列を有する遺伝子を発現させる技術分野の当業者によく知られている。この遺伝子の近接相同体である、原核生物のトレポネーマ・デンティコラ由来のTDE0597は、大腸菌にクローニングされ、発現されている第3のエノイル-CoAレダクターゼを表す(Tucci及びMartin、Febs Letters 581:1561-1566(2007))。
追加的なエノイル-CoAレダクターゼである酵素候補は、芳香族化合物を分解する生物体において見出される。安息香酸の分解についてのモデル生物体であるロドシュードモナス・パルストリスは、ピメロイル-CoAのベータ酸化を介してピメリン酸を分解する酵素としての能力を有する。pimオペロンにおいて隣接する遺伝子であるpimC及びpimDは、C.アセトブチリカムのbcdに対する配列相同性を持ち、フラビン含有ピメロイル-CoAデヒドロゲナーゼをコードすると予想される(Harrison及びHarwood、Microbiology 151:727-736(2005))。窒素固定ダイズ共生生物であるブラディリゾビウム・ジャポニクムのゲノムも、R.パルストリスのpimC及びpimDに対して高い配列類似性を有する遺伝子で構成されるpimオペロンを含有する(Harrison及びHarwood、Microbiology 151:727-736(2005))。
追加的な候補は、立体障害型のトランス-エノイル-CoA基質の還元を触媒する酵素である2-メチル-分岐鎖エノイル-CoAレダクターゼ(EC 1.3.1.52)である。この酵素は、線形動物のブタ回虫における分岐鎖脂肪酸の合成に関与し、2-メチルブタノイル-CoA、2-メチルペンタノイル-CoA、オクタノイル-CoA及びペンタノイル-CoAを含めた種々の直鎖状基質及び分岐鎖基質を還元し得る(Duranら、J Biol. Chem. 268:22391-22396(1993))。acad1遺伝子及びacad遺伝子にコードされるこの酵素の2つのアイソフォームが特徴付けられている。
1.4.1.a オキシドレダクターゼ(ケトン又はアルデヒドをアミノに)。アルデヒド又はケトンをその対応するアミン基に変換するECクラス1.4.1のオキシドレダクターゼは、開示されている経路におけるいくつかの生合成ステップを触媒する。図12において、OHEDの2-AHEへの変換(ステップJ)、2-OHDの2-AHDへの変換(ステップH)及びアジペートセミアルデヒドの6-アミノカプロエートへの変換(ステップE)は、OHEDアミノ化オキシドレダクターゼ、2-OHDアミノ化オキシドレダクターゼ及びアジペートセミアルデヒドアミノ化オキシドレダクターゼによって触媒される。図13において、6-アミノカプロン酸セミアルデヒドのHMDAへの変換(ステップH)及び6-アセトアミドヘキサナールの6-アセトアミドヘキサンアミンへの変換(ステップG)も、アミノ化オキシドレダクターゼによって触媒される。
大多数のアミノ化オキシドレダクターゼは、受容体としてNAD+又はNADP+を用いるアルファ-アミノ酸の可逆的な酸化的脱アミノ化を触媒し、その反応は一般には可逆的である。例示的な酵素は、gdhAにコードされるグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(脱アミノ化)、ldhにコードされるロイシンデヒドロゲナーゼ(脱アミノ化)、及びnadXにコードされるアスパラギン酸デヒドロゲナーゼ(脱アミノ化)を含む。大腸菌由来のgdhA遺伝子産物(Korberら、J Mol. Biol. 234:1270-1273(1993);及びMcPhersonら、Nucleic Acids Res. 11:5257-5266(1983))、サーモトガ・マリティマ由来のgdh(Kortら、Extremophiles. 1:52-60(1997); Lebbinkら、J Mol. Biol. 280:287-296(1998);及びLebbinkら、J Mol. Biol. 289:357-369(1999))、及びハロバクテリウム・サリナルム由来のgdhA1(Ingoldsbyら、Gene 349:237-244(2005))は、それぞれNADP(H)、NAD(H)、又はその両方を好んで、グルタミン酸と2-オキソグルタル酸及びアンモニアとの可逆的な相互変換を触媒する。セレウス菌のldh遺伝子は、ロイシン、イソロイシン、バリン及び2-アミノブタノエートを含めた広い範囲の基質を有するLeuDHタンパク質をコードする(Ansorge及びKula、Biotechnol Bioeng 68:557-562(2000);及びStoyanら、J Biotechnol. 54:77-80(1997))。アスパラギン酸デヒドロゲナーゼをコードするサーモトガ・マリティマ由来のnadX遺伝子は、NADの生合成に関与する(Yangら、J Biol. Chem. 278:8804-8808(2003))。
lysDHにコードされるリジン6-デヒドロゲナーゼ(脱アミノ化)は、2-アミノアジペート-6-セミアルデヒドが形成されるL-リジンの6-アミノ基の酸化的脱アミノ化を触媒し、今度はそれを非酵素的に環化させてΔ
1ピペリデイン-6-カルボキシレートを形成する(Misono及びNagasaki、J. Bacteriol. 150:398-401(1982))。例示的な酵素は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Heydariら、Appl Environ. Microbiol 70:937-942(2004))、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Hashimotoら、J Biochem. 106:76-80(1989);及びMisono及びNagasaki、J. Bacteriol. 150:398-401(1982))、及びアクロモバクター・デニトリフィカンス(Ruldeekulthamrongら、BMB. Rep. 41:790-795(2008))において見出すことができる。そのような酵素は、2-アミノアジペート-6-セミアルデヒドとの間の構造的な類似性を考慮して、アジペートセミアルデヒドを6-アミノカプロエートに変換するための特に優良な候補である。
2.3.1.a アシルトランスフェラーゼ(CoAをホスホに転移させる)。CoA部分をリン酸と交換するアシルトランスフェラーゼは、ECクラス2.3.1である。このカテゴリーにおける変換は、6-AAHOPの6-アセトアミドヘキサノイル-CoAへの変換(図13、ステップK)及び6-AHOPの6-アミノカプロイル-CoAへの変換(図13、ステップL)を含む。例示的なリン酸転移アシルトランスフェラーゼは、ptaにコードされるホスホトランスアセチラーゼ(EC 2.3.1.8)、及びptbにコードされるホスホトランスブチリラーゼ(EC 2.3.1.19)を含む。大腸菌由来のpta遺伝子は、アセチル-CoAをアセチルリン酸に可逆的に変換する酵素をコードする(Suzuki、T.、Biochim. Biophys. Acta 191:559-569(1969))。この酵素は、このプロセスにおいて基質としてプロピオニル-CoAを利用してプロピオン酸を形成することもできる(Hesslingerら、Mol. Microbiol 27:477-492(1998))。同様に、C.アセトブチリカム由来のptb遺伝子は、ブチリル-CoAをブチリルリン酸に可逆的に変換する酵素であるリン酸トランスブチリラーゼをコードする(Walterら、Gene 134:107-111(1993);及びWiesenbornら、Appl Environ. Microbiol 55:317-322(1989))。追加的なptb遺伝子は、酪酸産生細菌L2-50(Louisら、J. Bacteriol. 186:2099-2106(2004))及び巨大菌(Vazquezら、Curr. Microbiol 42:345-349(2001))において見出される。
2.3.1.C アシルトランスフェラーゼ(N-アセチルトランスフェラーゼ)。N-アセチルトランスフェラーゼは、アセチル基をアミンに転移させ、N-アセチル基を形成する。N-アセチル化は、転写制御、核内移行、染色体のセット及びヌクレオソームのリモデリングを含めた生物系において多様な機能を果たす(Kouzarides、EMBO J 19:1176-1179(2000))。アルギニン生合成経路の代謝中間体のN-アセチル化は、反応性の中間体を自然環化から保護することと、経路の中間体を競合経路から隔離することの両方の働きをする(Caldovic及びTuchman、Biochem. J 372:279-290(2003))。6-ACAのアセチル化(図13、ステップD)は、図13の提唱されたHMDAの生合成ルートにおいて同様の役割を果たし、反応性の中間体を自然環化から保護する。
6-ACAをアセチル化するための1つの候補酵素は、アセチル部分をアセチルリン酸からL-リジン、ベータ-L-リジン又はL-オルニチンの末端アミノ基に選択的に転移させる酵素である、リジンN-アセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.32)である。この酵素が6-ACAをアセチル化することは知られていないが、この基質は天然の基質と構造的に似ている。リジンN-アセチルトランスフェラーゼは、ウシ(Paik.及びKim、Arch. Biochem. Biophys. 108:221-229、1964)及びメタノサルシーナ・マゼイ(Pflugerら、Appl Environ. Microbiol 69:6047-6055(2003))において特徴付けられている。メタン産生古細菌のM.マリパルディス、M.アセチボランス(M. acetivorans)、M. バーケリ及びM.ジャナスキイもこの機能性を有する酵素をコードすると予想される(Pflugerら、Appl Environ. Microbiol 69:6047-6055(2003))。
或いは、6-ACAのアセチル化は、N-アセチルトランスフェラーゼのGNATファミリーの酵素によって触媒することができる。そのような酵素は、アセチル基をアセチル-CoAから一級アミンに転移させる。スペルミジンN-アセチルトランスフェラーゼ(SSAT)という酵素は、ジアミンN-アセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.57)としても知られており、種々の小分子基質をアセチル化することができる。ブタ回虫及び回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)から精製された酵素は、HMDAを含む広範な基質範囲を示すが(Davidsら、Mol. Biochem. Parasitol. 64:341-344(1994);及びWittich及びWalter、Mol. Biochem. Parasitol. 38:13-17(1990))、関連遺伝子は今まで同定されていない。この機能性を有する他の酵素が、枯草菌(Forouharら、J Biol. Chem. 280:40328-40336(2005))及びヒト(Casero及びPegg、FASEB J 7:653-661(1993))において見出される。密接に関連する酵素は、リジン、オルニチン、チアリジン及び他のものを含めた様々な基質を許容する酵素である、線虫のチアリジンN-アセチルトランスフェラーゼである(bo-Daloら、Biochem. J 384:129-137(2004))。基質の結合に関与するアミノ酸残基が、森林型熱帯リーシュマニア由来のチアリジンN-アセチルトランスフェラーゼにおいて同定された(Luersen、K.、FEBS Lett. 579:5347-5352(2005))。追加的な候補は、メチロマイクロビウム・アルカリフィラム(Reshetnikovら、Arch. Microbiol 184:286-297(2006))、C.サレキシゲンス(以前はハロモナス・エロンガタ(Halomonas elongata))(Canovasら、Syst. Appl Microbiol 21:487-497(1998))においてエクトインの生合成に関与する酵素である、ジアミノブチレートアセチルトランスフェラーゼ(EC 2.3.1.178)である。
6-ACAをアセチル化する(図13、ステップD)ための及び6-アセトアミドヘキサンアミンを脱アセチル化する(図13、ステップH)ための追加的な酵素候補は、アルギニン生合成の2つのステップを触媒する二機能性酵素である、オルニチンアセチルトランスフェラーゼ(OAT、EC 2.3.1.35及びEC 2.3.1.1)である(図14A)。アルギニン生合成の第1のステップ(図14A、ステップ1)は、アセチル供与体としてアセチル-CoAが用いられ、OATによって触媒されるグルタミン酸のN-アセチル化である(O'Reilly及びDevine、Microbiology 140(Pt 5):1023-1025(1994))。OATは、N-アセチル-L-オルニチンから、アルギニン生合成経路の最初の代謝産物であるL-グルタミン酸にN-アセチル基が転移される、アルギニンの生合成の第5のステップ(図14A、ステップ2)も触媒する。この変換は、アセチル基を再利用し、N-アセチルグルタミン酸を再生する働きをし、エネルギーを保存し、それによって直線的な経路を循環ルートにしている。6-アミノカプロエートからのHMDAの生合成において、6-アミノカプロエートをアセチル化し、6-アセトアミドヘキアンアミンを脱アセチル化してHMDAが形成される単一の酵素を用いて同様の戦略を使用することができる(図14B)。例示的なOAT酵素は、枯草菌のargJ(O'Reilly及びDevine、Microbiology 140(Pt 5):1023-1025(1994);及びSakanyanら、Journal of General Microbiology 138:125-130(1992))及び出芽酵母のECM40(Abadjievaら、J Biol. Chem. 275:11361-11367(2000);及びLiuら、Eur. J Biochem. 228:291-296(1995))にコードされる。酵母由来の酵素の結晶構造(Maesら、Acta Crystallogr. Sect. F. Struct. Biol. Cryst. Commun. 62:1294-1297(2006))及び結核菌由来の酵素の結晶構造(Sankaranarayananら、Acta Crystallogr. Sect. F. Struct. Biol. Cryst. Commun. 65:173-176(2009))が入手可能である。OAT酵素は、単一のオープンリーディングフレームにコードされるが、別個のアルファサブユニットペプチドとベータサブユニットペプチドを有する(Liuら、Eur. J Biochem. 228:291-296(1995))。
2.3.1.d アシルトランスフェラーゼ(ギ酸C-アシルトランスフェラーゼ)。ケト酸であるHODH、OHED及び2-OHDの、それらの対応するCoA誘導体へのアシル化(図12、ステップL、P及びQ)及び同時に起こるギ酸の遊離は、ECクラス2.3.1のギ酸C-アシルトランスフェラーゼである酵素によって触媒される。このクラスの酵素は、ピルビン酸ギ酸リアーゼ及びケト酸ギ酸リアーゼを含む。大腸菌においてpflBにコードされるピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL、EC 2.3.1.54)は、ピルベートをアセチル-CoA及びギ酸に変換する。PFLの活性部位は、pflAにコードされるPFL-活性化酵素(PFL-AE、EC 1.97.1.4)によって嫌気的条件下で翻訳後に活性化される、触媒作用的に必須のグリシルラジカルを含有する(Knappeら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 81:1332-1335(1984);及びWongら、Biochemistry 32:14102-14110(1993))。pflDにコードされるアーケオグロブス・フルギダス由来のピルビン酸ギ酸リアーゼが、大腸菌にクローニングされ、発現され、特徴付けられている(Lehtio、L.及びA. Goldman、Protein Eng Des Sel 17:545-552(2004))。A.フルギダス及び大腸菌の酵素の結晶構造が解明されている(Lehtioら、J Mol. Biol. 357:221-235(2006))。追加的なPFL及びPFL-AE候補は、クロストリジウム・パスツリアヌム(Weidner及びSawers、J. Bacteriol. 178:2AAO-2AAA(1996))及び真核生物の藻類であるコナミドリムシ(Caryら、Appl. Environ. Microbiol 56:1576-1583(1990))において見出される。ケト酸ギ酸リアーゼ(EC 2.3.1.-)は、2-ケトブチレートギ酸リアーゼ(KFL)及びピルビン酸ギ酸リアーゼ4としても知られており、大腸菌のtdcEの遺伝子産物である。この酵素は、嫌気的なトレオニンの分解の間に、2-ケトブチレートのプロピオニル-CoA及びギ酸への変換を触媒し、嫌気的異化反応においてピルビン酸ギ酸リアーゼの代わりをすることもできる(Simanshuら、J Biosci. 32:1195-1206(2007))。この酵素は酸素感受性であり、PflBと同様、活性部位においてグリシルラジカルを活性化するために、PFL-AEによる翻訳後修飾を必要とする(Hesslingerら、Mol. Microbiol 27:477-492(1998))。
2.6.1.a アミノトランスフェラーゼ。図12のステップE、H及びJ並びに図13のステップC及びGでは、アルデヒド又はケトンのアミノ基への変換が必要とされる。この変換は、アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.-)によって実現することができる。アルデヒドの末端アミンへの変換(図12、ステップE;図13、ステップC及びG)は、ガンマ-アミノブチレートトランスアミナーゼ(GABAトランスアミナーゼ)によって触媒することができる。大腸菌のGABAトランスアミナーゼの1つは、gabTにコードされ、グルタミン酸からコハク酸セミアルデヒドの末端アルデヒドにアミノ基を転移させる(Bartschら、J. Bacteriol. 172:7035-7042(1990))。この酵素は、広範な基質範囲を示す(Liuら、Biochemistry 43:10896-10905(2004))。puuEの遺伝子産物は、大腸菌の他の4-アミノブチレートトランスアミナーゼをコードする(Kuriharaら、J. Biol. Chem. 280:4602-4608(2005))。マウス、シュードモナス・フルオレッセンス、及びイノシシのGABAトランスアミナーゼは、6-アミノカプロン酸と反応することが示されている(Cooper、Methods Enzymol. 113:80-82(1985);及びScott及びJakoby、J Biol. Chem. 234:932-936(1959))。
追加的な酵素候補は、プトレシンアミノトランスフェラーゼ又は他のジアミンアミノトランスフェラーゼを含む。そのような酵素は、6-アミノカプロエートセミアルデヒドのHMDAへの変換を行うために特によく適している。大腸菌のプトレシンアミノトランスフェラーゼは、ygjG遺伝子にコードされ、精製された酵素も、カダベリン及びスペルミジンのアミノ基を転移させることができた(Samsonovaら、BMC. Microbiol 3:2(2003))。さらに、この酵素の、2-オキソグルタル酸以外のアミノ受容体(例えば、ピルベート、2-オキソブタノエート)を用いた1,7-ジアミノヘプタンに対する活性が報告されている(Kim、J Biol. Chem. 239:783-786(1964);及びSamsonovaら、BMC. Microbiol 3:2(2003))。アミノ受容体としてアルファ-ケトグルタル酸よりもピルベートに対して活性が高いプトレシンアミノトランスフェラーゼは、緑膿菌のspuC遺伝子である(Luら、J. Bacteriol. 184:3765-3773(2002))。
追加的な候補酵素は、ベータアラニンからマロン酸セミアルデヒドを産生させるベータアラニン/アルファ-ケトグルタル酸アミノトランスフェラーゼを含む(WO08027742)。サッカロマイセス・クルイベリのSkPYD4の遺伝子産物は、アミノ基供与体としてベータアラニンを優先的に使用することが示された(Andersen及びHansen、Gene 124:105-109(1993))。SkUGA1は、出芽酵母のGABAアミノトランスフェラーゼ、UGA1の相同体をコードし(Ramosら、Eur. J. Biochem. 149:401-404(1985))、一方SkPYD4は、βアラニン及びGABAの両方のアミノ基転移に関与する酵素をコードする(Andersen及びHansen、Gene 124:105-109(1993))。3-アミノ-2-メチルプロピオン酸トランスアミナーゼは、メチルマロン酸セミアルデヒドの3-アミノ-2-メチルプロピオン酸への変換を触媒する。この酵素は、ラット及びイノシシにおいて特徴付けられており、Abat 1968にコードされる(Kakimotoら、Biochim. Biophys. Acta 156:374-380(1968);及びTamakiら、Methods Enzymol. 324:376-389(2000))。
図12のステップJ及びHは、アミノ酸をオキソ酸に変換するアミノトランスフェラーゼによって触媒される。ステップJにおいて、OHEDアミノトランスフェラーゼによってOHEDがアミノ基転移を受けて2-AHEが形成される。2-OHDアミノトランスフェラーゼによる2-OHDから2-AHDへのアミノ基転移(ステップH)は、同様の反応である。これらの反応を触媒するための例示的な酵素候補は、天然に、オキサロアセテートからグルタミン酸にオキソ基を転移させ、アルファ-ケトグルタル酸及びアスパラギン酸を形成する酵素である、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである。アスパラギン酸は、OHED及び2-AHDと構造が似ている。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの活性は、例えば、大腸菌由来のaspC(Yagiら、FEBS Lett. 100:81-84、(1979);及びYagiら、Methods Enzymol. 113:83-89(1985))、出芽酵母由来のAAT2(Yagiら、J Biochem. 92:35-43(1982))及びシロイヌナズナ由来のASP5(de la Torreら、Plant J 46:414-425(2006); Kwok及びHanson、J Exp. Bot. 55:595-604(2004);及びWilkie及びWarren、Protein Expr. Purif. 12:381-389(1998))の遺伝子産物によって触媒される。ラット由来の酵素は、2-アミノヘキサン二酸及び2,4-ジアミノブチレートなどの代替の基質のアミノ基を転移することが示されている(Recasensら、Biochemistry 19:4583-4589(1980))。他のアミノ酸基質に働くアミノトランスフェラーゼが、この変換を触媒することができる。バリンアミノトランスフェラーゼは、バリン及びピルベートの2-ケトイソ吉草酸及びアラニンへの変換を触媒する。大腸菌のavtA遺伝子は、そのような酵素の1つをコードする(Whalen及びBerg、C. J. Bacteriol. 150:739-746(1982))。この遺伝子産生物は、α-アミノブチレートを生成するα-ケトブチレートのアミノ基転移も触媒するが、この反応におけるアミン供与体は同定されていない(Whalen及びBerg、J. Bacteriol. 158:571-574(1984))。大腸菌のserCの遺伝子産物は、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ及びホスホヒドロキシトレオニンアミノトランスフェラーゼの2つの反応を触媒し(Lam及びWinkler、J. Bacteriol. 172:6518-6528(1990))、非リン酸化基質に対する活性は検出することができなかった(Drewkeら、FEBS. Lett. 390:179-182(1996))。
2.7.2.a ホスホトランスフェラーゼ(カルボキシ受容体)。ECクラス2.7.2のホスホトランスフェラーゼである酵素は、カルボン酸をホスホン酸に変換し、それと同時に1つのATPの加水分解が起こる。図13のステップA及びEでは、6-ACAのカルボキシル基をその対応するホスホン酸に活性化するため(ステップA)及び6-アセトアミドヘキサン酸のカルボキシル基をその対応するホスホン酸に活性化するため(ステップE)にホスホトランスフェラーゼが必要とされる。ブチレートキナーゼは、C.アセトブチリカムにおいて酸発酵の間にブチリルリン酸のブチレートへの可逆的な変換を行う(Caryら、Appl. Environ. Microbiol 56:1576-1583(1990))。この酵素は、2つのbuk遺伝子産物のいずれかにコードされる(Huangら、J Mol. Microbiol Biotechnol 2:33-38(2000))。関連酵素であるサーモトガ・マリティマ由来のイソブチレートキナーゼも、大腸菌において発現され、結晶化されている(Diaoら、Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 59:1100-1102(2003);及びDiao及びHasson、J. Bacteriol. 191:2521-2529(2009))。アスパルトキナーゼは、アスパラギン酸のATP依存性のリン酸化を触媒し、いくつかのアミノ酸の合成に関与する。大腸菌のアスパルトキナーゼIII酵素は、lysCにコードされ、広範な基質範囲を有し、基質特異性に関与する触媒残基が解明されている(Keng及びViola、Arch. Biochem. Biophys. 335:73-81(1996))。大腸菌の2つの追加的なキナーゼも、優良な候補である:アセテートキナーゼ及びガンマ-グルタミルキナーゼ。大腸菌のアセテートキナーゼは、ackAにコードされ(Skarstedt及びSilverstein、J. Biol. Chem. 251:6775-6783(1976))、アセテートに加えてプロピオン酸をリン酸化する(Hesslingerら、Mol. Microbiol 27:477-492(1998))。大腸菌のガンマ-グルタミルキナーゼは、proBにコードされ(Smithら、J. Bacteriol. 157:545-551(1984))、グルタミン酸のガンマ炭酸基をリン酸化する。
アセチルグルタミン酸キナーゼは、アルギニン生合成の間に、アセチル化されたグルタミン酸をリン酸化し、6-アセトアミドヘキサン酸をリン酸化するための優良な候補である(図13、ステップE)。この酵素は、代替の基質を許容することが分かっていない;しかしながら、部位特異的突然変異誘発によって、基質の結合及びリン酸化に関与する大腸菌の酵素のいくつかの残基が解明されている(Marco-Martinら、J Mol. Biol. 334:459-476(2003);及びRamon-Maiquesら、Structure. 10:329-342(2002))。この酵素は枯草菌及び大腸菌のargB(Parsotら、Gene 68:275-283(1988))、及び出芽酵母のARG5,6(Pauwelsら、Eur. J Biochem. 270:1014-1024(2003))にコードされる。出芽酵母のARG5,6遺伝子は、ミトコンドリアの基質において成熟して、6-AAHOPを還元する(図13、ステップF)ための酵素候補であるアセチルグルタミン酸キナーゼ及びアセチルグルタミルリン酸レダクターゼになるポリタンパク質前駆体をコードする。
2.8.3.a 補酵素Aトランスフェラーゼ。補酵素A(CoA)トランスフェラーゼは、一方の分子から他方へのCoA部分の可逆的な転移を触媒する。図13のステップMにおいて、アセチル-CoA、スクシニル-CoA、又は別のCoA供与体からのCoA基の転移によって3-アミノカプロイル-CoAが形成される。同様の変換が、6-アセトアミドヘキサノエートCoA-トランスフェラーゼによって触媒され、それは図13のステップIに示されている。例示的なCoAトランスフェラーゼ候補は、それぞれスクシニル-CoAトランスフェラーゼ活性、4-ヒドロキシブチリル-CoAトランスフェラーゼ活性及びブチリル-CoAトランスフェラーゼ活性を示すことが示されている、クロストリジウム・クルイベリのcat1遺伝子産物、cat2遺伝子産物、及びcat3遺伝子産物によって触媒される(Seedorfら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 105:2128-2133(2008);及びSohling及びGottschalk、J. Bacteriol. 178:871-880(1996))。同様のCoAトランスフェラーゼ活性が腟トリコモナス(van Grinsvenら、J. Biol. Chem. 283:1411-1418(2008))及びトリパノソーマ・ブルセイ(Riviereら、J. Biol. Chem. 279:45337-45346(2004))においても存在する。
CoA供与体としてアセチル-CoAを利用することができるCoAトランスフェラーゼは、大腸菌のatoA(アルファサブユニット)遺伝子及びatoD(ベータサブユニット)遺伝子にコードされるアセトアセチル-CoAトランスフェラーゼである(Korolevら、Acta Crystallogr. D. Biol. Crystallogr. 58:2116-2121(2002);及びVanderwinkelら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 33:902-908(1968))。この酵素は、広範な基質範囲を有し(Sramek及びFrerman、Arch. Biochem. Biophys. 171:14-26(1975))、イソブチレート(Matthies及びSchink、Appl Environ. Microbiol 58:1435-1439(1992))、吉草酸(Vanderwinkelら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 33:902-908(1968))及びブタノエート(Vanderwinkelら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 33:902-908(1968))を含めた種々の分岐したアシル-CoA基質及び直鎖のアシル-CoA基質から、CoA部分をアセテートに転移させることが示されている。この酵素は、転写レベルでアセトアセテートによって誘発されるので、この酵素を遺伝子工学で操作して経路内に入れるために制御調節の修飾が必要になり得る(Pauli及びOverath、Eur. J Biochem. 29:553-562(1972))。同様の酵素が、コリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032(Duncanら、Appl. Environ. Microbiol 68:5186-5190(2002))、クロストリジウム・アセトブチリカム(Caryら、Appl. Environ. Microbiol 56:1576-1583(1990);及びWiesenbornら、Appl. Environ. Microbiol 55:323-329(1989))、及びクロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム(Kosakaら、Biosci. Biotechnol Biochem. 71:58-68(2007))において存在する。
嫌気的細菌であるアシダミノコッカス・ファーメンタンス由来のグルタコニル-CoA-トランスフェラーゼ(EC 2.8.3.12)酵素は、グルタコニルCoA及び3-ブテノイル-CoAと反応する(Mackら、Eur. J. Biochem. 226:41-51(1994))。この酵素をコードする遺伝子は、gctA及びgctBである。この酵素は、グルタリル-CoA、2-ヒドロキシグルタリル-CoA、アジピル-CoA及びアクリリルCoAを含めた他のCoA誘導体に対して、低下したが検出可能な活性を有する(Buckelら、Eur. J Biochem. 118:315-321(1981))。この酵素は大腸菌にクローニングされ、発現されている(Mackら、Eur. J. Biochem. 226:41-51(1994))。
さらに別のCoAトランスフェラーゼは、シュードモナス・プチダにおいてpcaI及びpcaJにコードされる2ユニットのスクシニル-CoA:3:オキソ酸CoAトランスフェラーゼである(Kaschabekら、J. Bacteriol. 184:207-215(2002))。相同性に基づいて同様の酵素が、アシネトバクター種のADP1に存在する(Kowalchukら、Gene 146:23-30(1994))。追加的な例示的なスクシニル-CoA:3:オキソ酸CoAトランスフェラーゼは、ピロリ菌に存在する(Corthesy-Theulazら、J Biol. Chem. 272:25659-25667(1997))及び枯草菌(Stolsら、Protein Expr. Purif. 53:396-403(2007))。
3.5.1.a ヒドロラーゼ(直鎖状アミドに作用する)。直鎖状アセトアミドの脱アセチル化は、酵素の3.5.1ファミリーのアミドヒドロラーゼによって触媒される。そのような酵素は、6-アセトアミドヘキアンアミンをHMDAに脱アセチル化するために必要とされる(図13、ステップH)。同様の変換を触媒する酵素は、4-アセトアミドブチレートを天然に脱アセチル化する4-アセトアミドブチレートデアセチラーゼ(EC 3.5.1.63)である。この酵素は、カンジダ・ボイジニイにおけるプトレシンの分解におけるその役割について研究され(Gillyonら、Journal of General Microbiology 133:2477-2485(1987))、6-アセトアミドヘキサン酸を含めた種々の基質を脱アセチル化することが示されている(Haywood及びLarge、Journal of General Microbiology 132:7-14(1986))。6-アセトアミドヘキサン酸は所望の基質と構造が似ているが、この化合物の脱アセチル化(図13、ステップD、逆反応)はHMDAの効率的な産生を妨げる可能性がある。6-アセトアミドヘキサンアミンに対する特異性を改善するためには、タンパク質を遺伝子工学で操作すること又は定向進化させることが必要になり得る。この活性に関連する遺伝子は今まで同定されていない。
アセチルポリアミンアミドヒドロラーゼ(EC 3.5.1.62)は、ジアミンであるプトレシン及びカダベリンを、それらのアセチル化前駆体から形成する別の候補酵素である。マイコプラナ・ラモサ由来のアセチルポリアミンデアセチラーゼ(AphA)が、大腸菌にクローニングされ、特徴付けられており(Sakuradaら、J. Bacteriol. 178:5781-5786(1996))、結晶構造が入手可能である(Fujishiroら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 157:1169-1174(1988))。この酵素は、ミクロコッカス・ルテウスにおいても研究されているが、関連遺伝子は今まで同定されていない(Suzukiら、Biochim. Biophys. Acta 882:140-142(1986))。AphAに対して高い配列類似性を有するヒストンデアセチラーゼスーパーファミリーのタンパク質がM.ルテウスのゲノムにおいて同定された(E値=1×10
-18、37%の同一性)。大腸菌由来のN-アセチル-L-オルニチンデアセチラーゼが、アミドヒドロラーゼ(EC 3.5.1.16)の別の候補である。argE遺伝子にコードされる大腸菌の酵素(McGregorら、J Am. Chem. Soc. 127:14100-14107(2005);及びMeinnelら、J. Bacteriol. 174:2323-2331(1992))は、オルニチン、リジン、グルタミン、及び他のアミノ酸を含めた種々の基質からN-アセチル基を除去する(Javid-Majd及びBlanchard、Biochemistry 39:1285-1293(2000))。
4.1.1.a カルボキシリアーゼ。図12のステップD及びFは、OHEDから6-OHE(ステップF)及び2-OHDからアジペートセミアルデヒド(ステップD)を生成する2-ケト酸デカルボキシラーゼである酵素によって触媒される。さらに、アルファ-ケトグルタル酸は、ケト酸デカルボキシラーゼであるアルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼによって脱炭酸されて経路の前駆体であるコハク酸セミアルデヒドが形成される。ケト酸の脱炭酸は、ピルベートデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.1)、ベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.7)、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ及び分岐鎖アルファ-ケト酸デカルボキシラーゼを含めた、様々な基質特異性を有する種々の酵素によって触媒される。ピルベートデカルボキシラーゼ(PDC)は、ケト酸デカルボキシラーゼとも呼ばれ、アルコール発酵において重要な酵素であり、ピルベートのアセトアルデヒドへの脱炭酸を触媒する。出芽酵母由来の酵素は、2-ケトブチレート、2-ケト吉草酸、3-ヒドロキシピルベート及び2-フェニルピルベートを含めた脂肪族2-ケト酸に対して、広範な基質範囲を有する(22)。この酵素は、大腸菌において大規模に研究され、活性を変化させるために遺伝子工学で操作され、機能的に発現されている(Killenberg-Jabsら、Eur. J. Biochem. 268:1698-1704(2001); Li、H.及びF. Jordan、Biochemistry. 38:10004-10012(1999);及びter Schureら、Appl. Environ. Microbiol. 64:1303-1307(1998))。pdcにコードされるザイモモナス・モビルス由来のPDCも、広範な基質範囲を有し、異なる基質に対する親和性を変化させるために直接遺伝子工学で操作する研究の対象になっている(Siegertら、Protein Eng Des Sel 18:345-357(2005))。この酵素の結晶構が入手可能である(Killenberg-Jabsら、Eur. J. Biochem. 268:1698-1704(2001))。他のよく特徴付けられたPDC候補は、アセトバクター・パスツリアンス(Chandraら、Arch. Microbiol. 176:443-451(2001))及びクルイベロマイセス・ラクチス(Kriegerら、Eur. J. Biochem. 269:3256-3263(2002))由来の酵素を含む。
PDCと同様に、ベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.7)は広範な基質範囲を有し、酵素を遺伝子工学で操作する研究の標的となっている。シュードモナス・プチダ由来の酵素が大規模に研究されており、この酵素の結晶構造が入手可能である(Hassonら、Biochemistry 37:9918-9930(1998);及びPolovnikovaら、Biochemistry 42:1820-1830(2003))。シュードモナス・プチダの酵素の活性部位における2つの残基の部位特異的突然変異誘発により、天然に存在する基質及び天然に存在しない基質の親和性(Km)が変化した(Siegertら、Protein Eng Des Sel 18:345-357(2005))。この酵素の性質が、定方向の遺伝子工学による操作によってさらに改変されている(Lingenら、Protein Eng 15:585-593(2002);及びLingenら、ChembioChem. 4:721-726(2003))。mdlCにコードされる緑膿菌由来の酵素も、実験的に特徴付けられている(Barrowmanら、FEMS Microbiology Letters 34:57-60(1986))。シュードモナス・スツッツェリ、シュードモナス・フルオレッセンス及び他の生物体由来の追加的な遺伝子候補を、配列相同性によって同定することができる、又はシュードモナス・プチダにおいて開発された増殖選択系を使用して同定することができる(Henningら、Appl. Environ. Microbiol. 72:7510-7517(2006))。
2-オキソ酸を脱炭酸することができる第3の酵素は、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ(KGD)である。このクラスの酵素の基質範囲は、今まで研究されていない。結核菌由来のKDC(Tianら、Proc Natl Acad Sci U. S. A 102:10670-10675(2005))は、Genomaticaにおける他の内部プロジェクトでクローニングされ、機能的に発現されている。しかしながら、これは大きく(約130kD)、GCリッチであるので、株を遺伝子工学で操作するための理想的な候補ではない。KDCの酵素活性は、ブラディリゾビウム・ジャポニクム及びメソリゾビウム・ロティを含めた根粒菌のいくつかの種において検出されている(Greenら、J. Bacteriol. 182:2838-2844(2000))。KDCをコードする遺伝子(複数可)はこれらの生物体において単離されていないが、ゲノム配列が入手可能であり、各ゲノム内のいくつかの遺伝子が推定KDCとしてアノテートされる。ユーグレナ・グラシリス由来のKDCも特徴付けられているが、この活性に関連する遺伝子は今まで同定されていない(Shigeoka及びNakano、Arch. Biochem. Biophys. 288:22-28(1991))。N末端から始まる最初の20個のアミノ酸が配列決定された
(Shigeoka及びNakano、Arch. Biochem. Biophys. 288:22-28(1991))。このN-末端配列を含有する候補遺伝子をKDC活性について試験することによって、遺伝子を同定することができる。
このステップを触媒するための第4の候補酵素は、分岐鎖アルファ-ケト酸デカルボキシラーゼ(BCKA)である。このクラスの酵素は、鎖長が炭素数3〜6個で変動する種々の化合物に対して作用することが示されている(Oku及びKaneda、J Biol Chem. 263:18386-18396(1988);及びSmitら、Appl Environ Microbiol. 71:303-311(2005))。ラクトコッカス・ラクチスの酵素は、2-オキソブタノエート、2-オキソヘキサン酸、2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタノエート、4-メチル-2-オキソブタノエート及びイソカプロン酸を含めた種々の分岐した基質及び直鎖状基質に対して特徴付けられている(Smitら、Appl Environ Microbiol. 71:303-311(2005))。この酵素は構造的に特徴付けられている(Bergら、Science.318:1782-1786(2007))。ラクトコッカス・ラクチスの酵素とザイモモナス・モビルスのピルベートデカルボキシラーゼとの間の配列アライメントにより、触媒残基及び基質認識残基がほとんど同一であることが示されているので(Siegertら、Protein Eng Des Sel 18:345-357(2005))、この酵素は定方向の遺伝子工学による操作の有望な候補になる。BCKAによるアルファ-ケトグルタル酸の脱炭酸が枯草菌において検出された;しかしながら、この活性は、他の分岐鎖基質に対する活性と比較して低く(5%)(Oku及びKaneda、J Biol Chem. 263:18386-18396(1988))、この酵素をコードする遺伝子は今まで同定されていない。追加的なBCKA遺伝子候補を、ラクトコッカス・ラクチスのタンパク質配列に対する相同性によって同定することができる。この酵素に対する高スコアのBLASTpヒットの多くが、インドールピルベートデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.74)としてアノテートされる。インドールピルベートデカルボキシラーゼ(IPDA)は、植物及び植物細菌においてインドールピルベートのインドールアセトアルデヒドへの脱炭酸を触媒する酵素である。
ヒト及びウシ由来のミトコンドリアの分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体のE1サブユニットに由来する組換え分岐鎖アルファ-ケト酸デカルボキシラーゼである酵素が、大腸菌にクローニングされ、機能的に発現されている(Davieら、J. Biol. Chem. 267:16601-16606(1992); Wynnら、J. Biol. Chem. 267:1881-1887(1992);及びWynnら、J. Biol. Chem. 267:12400-12403(1992))。これらの研究において、著者らは、シャペロニンであるGroEL及びGroESが同時発現することにより、デカルボキシラーゼの特異的な活性が500倍まで増大することを見出した(Wynnら、J. Biol. Chem. 267:12400-12403(1992))。これらの酵素は、2つのアルファサブユニット及び2つのベータサブユニットで構成される。
2-AHDの6-アミノカプロエートへの脱炭酸(図12、ステップI)は、アスパラギン酸デカルボキシラーゼなどのアミノ酸デカルボキシラーゼによって触媒される。アスパラギン酸デカルボキシラーゼは、パントテン酸の生合成に関与し、大腸菌において遺伝子panDにコードされる(Duschら、Appl. Environ. Microbiol 65:1530-1539(1999); Merke及びNichols、FEMS Microbiol Lett. 143:247-252(1996); Ramjeeら、Biochem. J 323(Pt 3):661-669(1997);及びSchmitzbergerら、EMBO J 22:6193-6204(2003))。結核菌(Chopraら、Protein Expr. Purif. 25:533-540(2002))及びコリネバクテリウム・グルタミクム(Duschら、Appl. Environ. Microbiol 65:1530-1539(1999))由来の同様の酵素が、大腸菌において発現され、特徴付けられている。
4.1.2.a アルデヒドリアーゼ。HOHDアルドラーゼ、は、HHEDアルドラーゼとしても知られており、4-ヒドロキシ-2-オキソ-ヘプタン-1,7-ジオエート(HOHD)のピルベート及びコハク酸セミアルデヒドへの変換を触媒する(図12、ステップA)。この酵素は、二価の金属イオン依存性のクラスIIアルドラーゼであり、大腸菌C、大腸菌W、及び他の生物体における4-ヒドロキシフェニルアセテートの分解の最終ステップを触媒する。本来の状況では、この酵素は分解性の方向に機能する。逆(縮合)反応は熱力学的に好ましくない;しかしながら、HOHDアルドラーゼを、反応産生物に対して効率的に働く下流経路の酵素と連動させることによって、平衡をシフトさせることができる。そのような戦略は、縮合方向にある他のアルドラーゼの平衡をシフトさせるために有効である(Nagataら、Appl Microbiol Biotechnol 44:432-438(1995);及びPollardら、Appl Environ. Microbiol 64:4093-4094(1998))。hpcHにコードされる大腸菌Cの酵素が、大規模に研究されており、最近結晶化された(Reaら、J Mol. Biol. 373:866-876(2007);及びStringfellowら、Gene 166:73-76(1995))。大腸菌Wの酵素は、hpaIにコードされる(Prietoら、J. Bacteriol. 178:111-120(1996))。
4.2.1.a ヒドロリアーゼ。酵素OHEDヒドラターゼは、4-ヒドロキシフェニルアセテートの分解に関与し、補因子としてマグネシウムを使用して2-オキソ-ヘプタ-4-エンー1,7-ジオエート(OHED)を2-オキソ-4-ヒドロキシ-ヘプタ-1,7-ジオエート(HODH)に変換する(Burksら、J. Am. Chem. Soc. 120(1998))(図12、ステップB)。OHEDヒドラターゼである酵素候補が、大腸菌C(Izumiら、J Mol. Biol. 370:899-911(2007);及びRoperら、Gene 156:47-51(1995))及び大腸菌W(Prietoら、J. Bacteriol. 178:111-120(1996))において同定され、特徴付けられている。配列比較により、様々な細菌、植物及び動物の相同体が明らかになる。高度に似ている配列を有する酵素が、とりわけ、肺炎桿菌(91%の同一性、E値=2×10
-138)及びサルモネラ菌(91%の同一性、E値=4×10
-138)に含有されている。
3-ヒドロキシアジピル-CoAの2,3-デヒドロアジピル-CoAへの脱水(図12、ステップM)は、エノイル-CoAヒドラターゼ活性を有する酵素によって触媒される。3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ(EC 4.2.1.55)は、クロトナーゼとも呼ばれ、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAを脱水してクロトノイル-CoAを形成する(図14、ステップ2)。クロトナーゼである酵素は、一部の生物体、特にクロストリジウム種においてn-ブタノールの形成に必要とされ、スルホロブス属、アシディアヌス属、及びメタッロスパエラ属の好熱好酸古細菌においても、3-ヒドロキシプロピオン酸/4-ヒドロキシブチレート回路の1ステップを構成する。クロトナーゼである酵素をコードする例示的な遺伝子は、C.アセトブチリカム(Atsumiら、Metab Eng 10:305-311(2008);及びBoyntonら、J. Bacteriol. 178:3015-3024(1996))、C.クルイベリ(Hillmer及びGottschalk、FEBS Lett. 21:351-354(1972))、及びメタッロスパエラ・セドゥラ(Bergら、Science.318:1782-1786(2007))において見出すことができるが、後者の遺伝子の配列は分かっていない。
エノイル-CoAヒドラターゼ(EC 4.2.1.17)は、3-ヒドロキシアシル-CoA基質の脱水も触媒する(Agnihotri及びLiu.、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2003); Conradら、J. Bacteriol. 118:103-111(1974);及びRobertsら、Arch. Microbiol 117:99-108(1978))。echにコードされるシュードモナス・プチダのエノイル-CoAヒドラターゼは、3-ヒドロキシブチリル-CoAのクロトノイル-CoAへの変換を触媒する(Robertsら、Arch. Microbiol 117:99-108(1978))。追加的なエノイル-CoAヒドラターゼ候補は、P.プチダのphaA及びphaB、並びにP.フルオレッセンス由来のpaaA及びpaaBである(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 95:6419-6424(1998))。ロドシュードモナス・パルストリスにおけるpimFの遺伝子産物は、ピメロイル-CoAの分解に関与するエノイル-CoAヒドラターゼをコードすると予想される(Harrison及びHarwood、Microbiology 151:727-736(2005))。最後に、maoC(Park及びLee、J. Bacteriol. 185:5391-5397(2003))、paaF(Ismailら、J Biochem. 270:3047-3054(2003); Park及びLee、Appl. Biochem. Biotechnol 113-116:335-346(2004);及びPark及びYup、Biotechnol Bioeng 86:681-686(2004))及びpaaG(Ismailら、J Biochem. 270:3047-3054(2003); Park及びLee、Appl. Biochem. Biotechnol 113-116:335-346(2004);及びPark及びYup、Biotechnol Bioeng 86:681-686(2004))を含めたいくつもの大腸菌遺伝子がエノイル-CoAヒドラターゼの機能性を示すことが示されている。
或いは、大腸菌のfadAの遺伝子産物及びfadBの遺伝子産物は、脂肪酸の酸化に関与する、エノイル-CoAヒドラターゼ活性を示す多酵素複合体をコードする(Nakahigashi及びInokuchi、Nucleic Acids Res. 18:4937(1990); Yang、J. Bacteriol. 173:7405-7406(1991);及びYangら、Biochemistry 30:6788-6795(1991))。fadRにコードされる負の制御因子のノックアウトを、fadB遺伝子産物を活性化するために利用することができる(Satoら、J Biosci. Bioeng 103:38-44(2007))。fadI遺伝子及びfadJ遺伝子は、同様の機能をコードし、嫌気的条件下で天然に発現される(Campbellら、Mol. Microbiol 47:793-805(2003))。
6.2.1.a 酸-チオールリガーゼ(CoAシンテターゼとも呼ばれる)。図13のステップI及びMでは、6-ACA及び6-アセトアミドヘキサン酸をそれらの対応するCoA誘導体に変換するために酸-チオールリガーゼ又はCoAシンテターゼの機能性が必要とされる(リガーゼ、シンテターゼ、及びシンターゼという用語は、本明細書では互換的に使用され、同じ酵素クラスを指す)。これらの正確な変換を触媒する酵素は今まで特徴付けられていない;しかしながら、広範な基質特異性を有するいくつかの酵素が、文献に記載されている。ADP形成アセチル-CoAシンテターゼ(ACD、EC 6.2.1.13)は、ATPの合成が付随する、アシル-CoAエステルのそれらの対応する酸への変換を共役する酵素である。AF1211にコードされるアーケオグロブス・フルギダス由来のACD Iは、イソブチレート、イソペンタン酸、及びフマレートを含めた種々の直鎖状基質及び分岐鎖基質に対して作動することが示された(Musfeldt及びSchonheit、J. Bacteriol. 184:636-644(2002))。AF1983にコードされるアーケオグロブス・フルギダスの第2の可逆的なACDも、広範な基質範囲を有し、環状化合物であるフェニルアセテート及びインドールアセテートに対して高い活性を有することが示された(Musfeldt及びSchonheit、J. Bacteriol. 184:636-644(2002))。ハロアーキュラ・マリスモルツイ由来の酵素(スクシニル-CoAシンテターゼとしてアノテートされる)が、プロピオン酸、ブチレート、及び分岐鎖酸(イソ吉草酸及びイソブチレート)を基質として許容し、順方向及び逆方向に作動することが示された(Brasen及びSchonheit、Arch. Microbiol 182:277-287(2004))。超好熱性クレン古細菌門のピロバキュラム・アエロフィラム由来のPAE3250にコードされるACDが、アセチル-CoA、イソブチリル-CoA(好ましい基質)及びフェニルアセチル-CoAと反応し、全ての特徴付けられたACDのうち最も広範な基質範囲を示した(Brasen及びSchonheit、Arch. Microbiol 182:277-287(2004))。定向進化又は定方向の遺伝子工学による操作を使用してこの酵素を宿主生物体の生理的温度で作動するように改変することができる。A.フルギダス、H.マリスモルツイ及びP.アエロフィラム由来の酵素は全て、大腸菌にクローニングされ、機能的に発現され、特徴付けられている(Brasen及びSchonheit、Arch. Microbiol 182:277-287(2004);及びMusfeldt及びSchonheit、J. Bacteriol. 184:636-644(2002))。追加的な候補は、大腸菌においてsucCDにコードされる酵素であり、インビボで可逆的な反応である、ATPを1つ消費することを伴うスクシネートからのスクシニル-CoAの形成を天然に触媒する(Buckら、Biochemistry 24:6245-6252(1985))。
このステップのための別の候補酵素は、ピメロイル-CoAリガーゼ(EC 6.2.1.14)としても知られている6-カルボキシヘキサン酸-CoAリガーゼであり、グラム陽性細菌におけるビオチンの生合成の間、ピメリン酸をピメロイル-CoAに天然に活性化する。大腸菌にクローニングされた、シュードモナス・メンドシナ由来の酵素は、代替の基質であるヘキサンジオエート及びノナンジオエートを許容することが示された(Biniedaら、Biochem. J 340(Pt 3):793-801(1999))。他の候補は、枯草菌(Bowerら、J. Bacteriol. 178:4122-4130(1996))及びリシニバシラス・スフェリカス(以前はバシラス・スフェリカス)(Plouxら、Biochem. J 287(Pt 3):685-690(1992))において見出される。
追加的なCoAリガーゼは、配列が未だ特徴付けられていないラットのジカルボン酸-CoAリガーゼ(Vamecqら、Biochem. J 230:683-693(1985))、P.クリソゲナム由来の2種の特徴付けられたフェニルアセテート-CoAリガーゼのいずれか(Lamas -Maceirasら、Biochem. J 395:147-155(2006);及びWangら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 360:453-458(2007))及びシュードモナス・プチダ由来のフェニルアセテート-CoAリガーゼ(Martinez-Blancoら、J Biol. Chem. 265:7084-7090(1990))を含む。追加的な候補酵素は、アセトアセテートのアセトアセチル-CoAへのATP依存性の変換を天然に触媒する、マウス(Hasegawaら、Biochim. Biophys. Acta 1779:414-419(2008))及びヒト(Ohgamiら、Biochem. Pharmacol. 65:989-994(2003))由来のアセトアセチル-CoAシンテターゼである。
(実施例XXII)
(大腸菌の6-アミノカプロエートに対する耐性の実証)
大腸菌を、種々の濃度の6-アミノカプロエート(6-ACA)に曝露させている間、耐性、代謝活性及び増殖についてアッセイした。好気的に、培養物は最大10%までの6-ACAを有する培地で増殖することができたが、一方嫌気的培養物はおよそ6%の6-ACAを有する培地で増殖することができた(図15)。6-ACAを産生するための経路は嫌気的条件を必要とし得るので、他のさらなる試験は全て嫌気的条件下で実施した。耐性をアッセイするために、培養物を対数増殖期中期(0.3 OD)及び静止期初期(0.6 OD)まで好気的に増殖させ、細胞を遠沈させ、種々の濃度の6-ACAを含有する培地に再懸濁させた。培養物を、蓋をしたマイクロチューブ内で増殖させ、一晩増殖させ、培養物のODをアッセイした(図16)。これらの条件下で、培養物は、最大10%までの6-ACA内で増殖することができた(少なくとも1回倍増する)。追加的な耐性は、培養物を新鮮なM9-グルコース培地に再懸濁させることによる追加的なグルコース、又は蓋をしたマイクロチューブ内に存在した限られた酸素によるものであった可能性がある。6-ACAの存在下で細胞が代謝的に活性であったかを決定するために、試料を取得し、エタノールの産生についてアッセイした(図17)。ODを用いて厳密に追跡したエタノールの産生(したがって、代謝活性)により、細胞は、存在すれば、代謝的に活性である可能性があることが示唆されている。これは、細胞は、産生物が蓄積することによって増殖が抑制される可能性があるにもかかわらず、なお産生物を産生し続けることができることが示唆されているので、理解することに役立つ。
高い濃度(>65g/L)で、6-ACAのモル浸透圧濃度は〜0.5Mであり、これは浸透ストレスを引き起こす可能性がある。6-ACAの増殖抑制の基準として浸透ストレスを決定するために、培養物を、浸透圧保護剤であるグリシンベタインを用いて、及びそれを用いずに、種々の濃度の6-ACA中で増殖させた。図18に見られるように、最大10〜12%までの6-ACAを有する培地における嫌気的増殖は、グリシンベタインが存在する場合に実現できるが、グリシンベタインを用いないと、たったの4〜6%である。したがって、6-ACA毒性の大部分は、浸透ストレスに起因する可能性がある。しかしながら、6-ACAはアミノ酸のリジンと似ており、細胞外に対して細胞質において顕著な毒作用を有し得ることに注目すべきである。
(実施例XXIII)
(スクシニル-CoA及びアセチル-CoAを縮合させてβ-ケトアジピル-CoAを形成するための酵素活性の実証)
いくつかのβ-ケトチオラーゼである酵素は、β-ケトアジピル-CoAをアセチル-CoA及びスクシニル-CoAにわけることが示されている。例えば、シュードモナス株B13のpcaF(Kaschabekら、J. Bacteriol、184(1):207-15(2002))、シュードモナス・プチダUのphaD(Oliveraら、Proc Natl Acad Sci U S A、95(11)、6419-24(1998))、シュードモナス・フルオレッセンスSTのpaaE(Di Gennaroら、Arch Microbiol、188(2)、117-25(2007))、及び大腸菌由来のpaaJ(Nogalesら、Microbiology、153(Pt 2)、357-65(2007))にコードされる遺伝子産物は、フェニルアセテート又はスチレンなどの芳香族化合物の分解の間に、3-オキソアジピル-CoAのスクシニル-CoA及びアセチル-CoAへの変換を触媒する。β-ケトチオラーゼである酵素が縮合活性を示すことを確認するために、いくつかのチオラーゼ(それぞれ表10;配列番号:)をpZE13の誘導体にクローニングし(Lutzら、Nucleic Acids Res、29(18)、3873-81(2001))、カルボキシ末端の6×Hisタグ
(配列番号2)を有するクローンがもたらされた。
遺伝子を大腸菌において発現させ、タンパク質を、Ni-NTA回転カラムを使用して精製し、定量化した。インビトロで酵素活性をアッセイするために、5×CoA:DTNB(Ellman試薬又は5,5'-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸))混合物を調製した。混合物は、100mM Tris緩衝液、pH 7.4中、10mMスクシニル-CoA、5mMアセチル-CoA、30mM DTNBからなった。CoA:DTNB混合物5μLを100mM Tris緩衝液、pH 7.8中の0.5μMの精製されたチオラーゼである酵素に加えて最終容量を50μLにした。反応物を30℃で30分間インキュベートし、次いで10%のギ酸2.5μLで急冷し、LC/MSによる分析の準備ができるまで試料を-20℃で凍結させた。多くのチオラーゼが、2つのアセチル-CoA分子をアセトアセチル-CoAに縮合させることができるので、アセトアセチル-CoAの産生を検査した。図19には、3種のチオラーゼが、アセトアセチル-CoAが形成されるチオラーゼ活性を示したことが示されている。これらはシュードモナス・プチダ由来のfadAx、クロストリジウム・アセトブチリカム由来のthiA及び同じくクロストリジウム・アセトブチリカム由来のthiBであった。酵素アッセイが、スクシニル-CoA及びアセチル-CoAのβ-ケトアジピル-CoAへの縮合についての検査であった場合、いくつかの候補が、所望の活性を示した;大腸菌由来のpaaJ(Nogalesら、Microbiol. 153:357-365(2007))、シュードモナス・プチダ由来のphaD(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6419-6424(1998))、バークホルデリア・アンビファリアAMMD由来のbkt、シュードモナス・プチダKT2440由来のpcaF(Harwoodら、J. Bacteriol. 176:6479-6488(1994))、及び緑膿菌PAO1由来のpcaF。チオラーゼ間には優れた特異性があった。有意な量のβ-ケトアジピル-CoAを生成したチオラーゼは有意な量のアセトアセチル-CoAを産生せず、同様にアセトアセチル-CoAを作り出したチオラーゼは検出可能な量のβ-ケトアジピル-CoAを作り出さなかった。
(実施例XXIV)
(グルタミン酸、グルタリル-CoA又はピルベート及び4-アミノブタナールからのヘキサメチレンジアミンの産生経路)
本実施例では、グルタミン酸、グルタリル-CoA、ピルベート及び4-アミノブタナール、又は2-アミノ-7-オキソサバレートからの、リジンの炭素7個の類似体であるホモリジンを経由するヘキサメチレンジアミン(HMDA)の例示的な産生経路について記載する。ホモリジンは、HMDAの魅力的な前駆体である。ホモリジンは潜在的に価値のある前駆体であるが、いずれの生物体の既知代謝中間体でもない。ホモリジンは、中心的な代謝前駆体であるグルタミン酸、グルタリル-CoA又はピルベート及び4-アミノブタナールから生物触媒的に形成することができる。その後の、リジンデカルボキシラーゼと類似している酵素によるホモリジンの脱炭酸により、HMDAがもたらされる。
本実施例では、2-アミノ-7-オキソサバレート、又はピルベート及び4-アミノブタナールから、中間体の6-アミノヘキサナールを経由して進行する追加的な経路について記載する。6-アミノヘキサナールは、アミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによって容易にHMDAに変換され得る。
HMDAの最大の理論上の収率は、利用されたグルコース1モル当たり0.71モル(0.46g/g)である。図20〜22及び図26に開示されている経路により、0.67モル/モル(0.43g/g)の最大HMDA収率が実現する。
C6H12O6 + 1.41 NH4→0.71 C6H18N2 + 1.76 CO2 + 2.47 H2O
本明細書では、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)及び関連産生物を産生するための新規の経路が記載されている。候補酵素、及び実行に付随する危険性について以下の実施例XXVIにおいて考察する。
本発明は、一部において、HMDAの産生を触媒する酵素をコードする遺伝子を発現する、天然に存在しない微生物に関する。これらの経路を首尾よく遺伝子工学で操作するには、十分な活性及び特異性を有する適当な酵素のセットを同定すること、それらの対応する遺伝子を産生宿主にクローニングすること、産生宿主におけるこれらの遺伝子の発現を最適化すること、発酵条件を最適化すること、及び、発酵後の産生物の形成についてアッセイすることが必要とされる。
HMDAは、グルタミン酸から、グルタリル-CoAを経由して図20に示す8つの酵素的ステップで産生することができる。このルートでは、CoAトランスフェラーゼ又はCoAリガーゼによってグルタミン酸がグルタミル-CoAにアシル化される(図20のステップA)。グルタミルCoA及びアセチル-CoAがベータ-ケトチオラーゼによって連結されてC7化合物である3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAが形成される(図20のステップB)。次いで、この産生物の3-オキソ基が還元され、脱水され、その結果6-アミノ-7-カルボキシ-ヘプタ-2-エノイル-CoAがもたらされる(図20のステップC及びD)。エノイル-CoAレダクターゼにより二重結合が還元され、6-アミノピメロイル-CoAが形成される(図20のステップE)。次いで、6-アミノピメロイル-CoAがCoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼによって2-アミノ-7-オキソヘプタン酸に変換される(ステップF)。アルデヒドがアミノ基転移を受けてアミンになることにより、ホモリジンがもたらされる(図20のステップG)。最後に、ホモリジンの脱炭酸産生物としてHMDAが形成される(図20のステップH)。この経路についての最大の理論上のHMDA収率は、利用されたグルコース1モル当たり0.67モルのHMDAである。収率の算出は、好気的条件及びステップAにおいてCoAトランスフェラーゼが利用されることを仮定する。
HMDAは、いくつかのルートによってグルタリル-CoAから産生することもできる。HMDAを産生するための例示的なルートは、図21に示されている。グルタリル-CoAは、芳香族化合物を代謝する生物体において共通の代謝中間体である。HMDAに対する開示されている経路では、まず、ベータ-ケトチオラーゼによってグルタリル-CoAがアセチル-CoAと縮合して3-オキソピメロイル-CoAが形成される(図21のステップA)。3-オキソピメロイル-CoAのCoA部分がCoAヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ及びリガーゼによって除去される(図21のステップB)。3-オキソピメリン酸がHMDAに変換するためのいくつかの代替のルートが図21で概説されており、本明細書に記載されている。HMDAに対する全てのルートの最終ステップにおいて、ホモリジンの脱炭酸が必要とされる(図21のステップS)。
1つのルートでは、3-オキソピメリン酸の3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールへの変換が必要とされる。この変換は、3-オキソピメレートレダクターゼ活性を有するATP及びNAD(P)Hに依存性の酵素によって触媒され得る(図21のステップC)、或いは、中間体である5-オキソピメロイル-CoAが活性化されること(図21のステップH、I)又は5-オキソピメロイル-ホスホン酸(図21のステップF、G)が活性化されることによって進行し得る。3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールが形成されたら、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールが3位(図21のステップAB)又は7位(図21のステップD)においてアミノ基転移を受ける。その後の3-オキソ-7-アミノヘプタン酸へのアミノ基転移(図21のステップE)又は3-アミノ-7-オキソヘプタン酸へのアミノ基転移(図21のステップZ)により、3,7-ジアミノヘプタン酸がもたらされる。次いで、3,7-ジアミノヘプタノエート2,3-アミノムターゼ活性を有する酵素によりホモリジンが形成され(図21のステップR)、それがHMDAに脱炭酸される(図21のステップS)。
代替的な経路では、3-オキソピメリン酸がアミノ基転移を受けて3-アミノピメリン酸になる(図21のステップJ)。次いで、3-アミノピメリン酸が3-アミノ-7-オキソヘプタン酸に直接変換される(図21のステップO)又はCoA中間体を経由して(図21のステップK、L)若しくはホスホン酸中間体を経由して(図21のステップM、N)変換される。その後、3-アミノ-7-オキソヘプタン酸が2,3-アミノムターゼによって2-アミノ-7-オキソヘプタン酸に変換される(図21のステップP)。2-アミノ-7-オキソヘプタン酸がアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってホモリジンに変換される。或いは、まず3-アミノ-7-オキソヘプタン酸がアミノ基転移を受け(図21のステップZ)、次いでアミノムターゼによってホモリジンに変換される(図21のステップR)。
3-アミノピメリン酸は、2,3-アミノムターゼである酵素によって2-アミノピメリン酸に変換され得る(図21のステップT)。この中間体を伴うHMDA経路では、7-カルボン酸がアルデヒドに還元されることが必要になる。この還元は、二機能性レダクターゼによって触媒される(図21のステップW)、又はCoA中間体を経由して進行する(図21のステップV、Y)若しくはホスホン酸中間体を経由して進行する(図21のステップU、X)2つの酵素によって触媒される。産生物である2-アミノ-7-オキソヘプタン酸は上記の通りHMDAに変換される。
ピルベート及び4-アミノブタナールからHMDAを産生するための2つのルートが、図22に示されている。このルートにより、嫌気的条件下及び好気的条件下で、利用されたグルコース1モル当たり0.67モルのHMDA(0.43g/g)の最大の収率が実現する。4-アミノブタナールは、オルニチンがプトレシンに脱炭酸され、その後アミノ基転移することによって天然に生じる。4-アミノブタナールは、4-アミノブタノエート起源であってもよい。1つの経路では、4-アミノブタナール及びピルベートがアルドール縮合によって連結して2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタン酸が形成される(図22のステップA)。その後、縮合産生物が脱水され(図22のステップB)、還元される(図22のステップC)。2-オキソ-7-アミノヘプタン酸へのアミノ基転移により、ホモリジンがもたらされる(図22のステップD)。HMDAはホモリジンデカルボキシラーゼの脱炭酸産生物である(図22のステップE)。或いは、経路の中間体である2-オキソ-7-アミノヘプタン酸が脱炭酸されて6-アミノヘキサナールが形成される(図22のステップF)。その後、6-アミノヘキサナールがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってHMDAに変換される(図22のステップG)。
2-アミノ-7-オキソサバレートからHMDAを産生するためのいくつかのルートが、図26に示されている。2-アミノ-7-オキソサバレートは、天然に生じる代謝産物であることが分かっていない。2-アミノ-7-オキソサバレートを合成するための例示的なルートが図27に示されている。この経路はオルニチンの生合成の間に天然に形成される代謝産物であるグルタミン酸-5-セミアルデヒドから始まる。次いで、2-アミノ-7-オキソサバレートを3つの酵素的ステップで合成する。第1のステップにおいて、グルタミン酸-5-セミアルデヒドがアルドラーゼによってピルベートと縮合する(図27、ステップA)。その後、産生物である2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートが脱水され、生じたアルケンが還元されて2-アミノ-7-オキソサバレートが形成される(図27、ステップB/C)。2-アミノ-7-オキソサバレートからのHMDAに対する1つの提唱された経路では、まず2-オキソ酸が脱炭酸されて2-アミノ-7-オキソヘプタン酸が形成される(図26のステップA)。この産生物が再度脱炭酸されて、6-アミノヘキサナールが形成される(図26のステップB)。最後に、6-アミノヘキサナールがアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってHMDAに変換される(図26のステップC)。
或いは、はじめに中間体である2-アミノ-7-オキソヘプタン酸がアミノトランスフェラーゼ又はアミノ化オキシドレダクターゼによってホモリジンに変換される(図26のステップM)。ホモリジンは前述の通りHMDAに脱炭酸される(図26のステップH)。
さらに別のルートでは、2-アミノ-7-オキソサバレートの2-アミノ酸基が脱炭酸され、2-オキソ-7-アミノヘプタン酸が得られる(図26のステップI)。次いで、この産生物はさらに脱炭酸されて6-アミノヘキサナールになり得る(図26のステップG)又はアミノ基転移を受けてホモリジンになり得る(図26のステップJ)。次いで、ホモリジン又は6-アミノヘキサナールが前述の通りHMDAに変換される。
さらに別のルートでは、2-アミノ-7-オキソサバレートの2-オキソ基がアミノ基に変換され、2,7-ジアミノサバレートが形成される(図26のステップK)。その後、2つの脱炭酸反応によってHMDAが得られる(図26のステップL、H)。
図22に示される通り(ステップA〜E)、ピルビン酸及び4-アミノブタナールからHMDAを産生するように遺伝子工学で操作された微生物生物体の生成が本明細書に記載されている。本実施例は、HMDAを過剰産生する株を遺伝子工学で操作するための方法も教示する。
大腸菌を、図22に示されるHMDA産生経路を遺伝子工学で操作するための標的生物体として使用する。大腸菌は、HMDAを産生することができる天然に存在しない微生物を生成するための優良な宿主を提供する。大腸菌は遺伝子操作を受けやすく、嫌気的条件下、微好気的条件下又は好気的条件下で、エタノール、酢酸、ギ酸、乳酸及びコハク酸のような種々の産生物を有効に産生することができることが知られている。
大腸菌株を、図22に概説されているルートを経由して4-アミノブタナールからHMDAを産生するように遺伝子工学で操作する。経路を構築する第1段階のために、4-アミノブタナール及びピルベートをホモリジンに変換する(図3、ステップA〜D)ための酵素をコードする遺伝子をベクター上に集める。特に、それぞれ2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートアルドラーゼ、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタノエートデヒドラターゼ、2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートレダクターゼ及び2-オキソ-7-アミノヘプタノエートアミノトランスフェラーゼをコードするhpcH遺伝子(CAA87759)、hpcG遺伝子(CAA57202)、enr遺伝子(YP_430895)及びlysN()遺伝子を、PA1/lacOプロモーターによる調節下でpZE13ベクターにクローニングする(Expressys、Ruelzheim、Germany)。プラスミドを大腸菌の株MG1655中に導入し、形質転換して、4-アミノブタナールからHMDAが合成されるために必要とされるタンパク質及び酵素を発現させる。大腸菌は、2種の、ホモリジンをHMDAに変換されるリジンデカルボキシラーゼである酵素を天然にコードする。
生じた遺伝的に操作された生物体を当技術分野においてよく知られている手順に従ってグルコース含有培地で培養する(例えば、Sambrookら、上記、2001を参照されたい)。HMDA経路の遺伝子を、例えば、ノーザンブロット、mRNAのPCR増幅及び免疫ブロットを含めた、ポリペプチドの発現又は酵素活性を決定するための当技術分野でよく知られている方法を使用して確証する。発現された酵素の酵素活性を、個々の活性に特異的なアッセイを使用して確認する。遺伝子工学で操作された大腸菌株の、この経路を経由してHMDAを産生する能力を、HPLC、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GCMS)又は液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)を使用して確認する。
4-アミノブタナールからの機能的なHMDA合成経路を有するように遺伝子工学で操作された微生物株を、経路の効率的な利用を最適化することによってさらに増強する。簡単に述べると、遺伝子工学で操作された株を、外因性の遺伝子のいずれかが、割合が制限されたレベルで発現されるかどうかを決定するために評価する。経路を通じたフラックスが制限される可能性がある低レベルで発現される任意の酵素について、例えば、追加的な遺伝子のコピー数を導入することによって発現を増加させる。
外因性の酵素の活性によってHMDAの産生が増大することを首尾よく実証した後、これらの酵素をコードする遺伝子を、当技術分野において知られている方法を使用して野生型大腸菌宿主の染色体に挿入する。そのような方法は、例えば、連続的なシングルクロスオーバー(Gayら、J. Bacteriol. 3:153(1983))及びGeneBridgesからのRed/ET法(Zhangら、欧州特許出願第01117号(2001)))を含む。染色体挿入により、プラスミドに基づく系に対して、顕著な安定性及び経路の遺伝子を共存して発現させる能力を含めたいくつかの利点がもたらされる。
良好な産生体を生成するために、代謝モデリングを使用して増殖条件を最適化する。モデリングは、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計するためにも使用する(例えば、米国特許出願公開US 2002/0012939、US 2003/0224363、US 2004/0029149、US 2004/0072723、US 2003/0059792、US 2002/0168654及びUS 2004/0009466、及び米国特許第7,127,379号を参照されたい)。モデリング分析により、代謝をHMDAの効率的な産生にシフトさせることの細胞増殖に対する効果の信頼できる予測が可能になる。1つのモデリング方法は、2層の最適化手法、OptKnock(Burgardら、Biotechnol. Bioengineer. 84:647-657(2003))であり、HMDAの良好な産生を集合的にもたらす遺伝子ノックアウトを選択するために適用される。適応進化も、例えば、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタン酸中間体又はHMDA産生物の良好な産生体を生成するために使用することができる。増殖特性及び産生特性の両方を改善するために適応進化を実施する(Fong及びPalsson、Nat. Genet. 36:1056-1058(2004); Alperら、Science 314:1565-1568(2006))。結果に基づいて、その後の何回かのモデリング、遺伝的操作及び適応進化をHMDAの産生体に適用してさらに産生を増加させることができる。
HMDAを大規模産生するために、上記のHMDA経路を含有する生物体を、嫌気的条件下での生物体の増殖を補助するために当業者に知られている培地を使用して発酵槽中で培養する。発酵を、回分様式、流加様式、又は連続様式のいずれかで実施する。まず、培地に窒素を散布し、次いで培養容器を密閉する(例えば、フラスコを中隔及び圧着キャップで密閉することができる)ことによって嫌気的条件を維持する。微好気的条件も、通気を制限するための小さな穴を用意することによって利用することができる。培地のpHを、H2SO4などの酸を加えることによってpH 7に維持する。増殖速度を、分光光度計を使用して光学密度を測定する(600 nm)ことによって決定し、グルコースの取込み速度を、炭素源の消耗を経時的にモニタリングすることによって決定する。望ましくないアルコール、有機酸及び残留するグルコースなどの副産物を、HPX-087カラム(BioRad)を備えたHPLC(Shimadzu)によって、グルコース及びアルコールに対しては屈折率検出器を使用し、有機酸に対してはUV検出器を使用して定量化することができる。Linら、Biotechnol. Bioeng.、775-779(2005)。
(実施例XXV)
(グルタミン酸、グルタリル-CoA、ホモリジン、又は2-アミノ-7-オキソサバレートからの6-アミノカプロエートの産生経路)
本明細書では、6-アミノカプロエート(6-ACA)及び関連産生物を産生するための新規の経路が記載されている。候補酵素、及び実行に付随する危険性を以下の実施例XXVIにおいて考察する。
本発明は、一部において、6-ACAの産生を触媒する酵素をコードする遺伝子を発現する、天然に存在しない微生物に関する。これらの経路を首尾よく遺伝子工学で操作するには、十分な活性及び特異性を有する適当な酵素のセットを同定すること、それらの対応する遺伝子を産生宿主にクローニングすること、産生宿主におけるこれらの遺伝子の発現を最適化すること、発酵条件を最適化すること、及び、発酵後の産生物の形成についてアッセイすることが必要とされる。
6-ACAは、グルタミン酸を出発分子としてそれから産生することができる。グルタミン酸は前述の通り6-アミノピメロイル-CoAに変換される(図20、ステップA〜E)。CoAヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ又はリガーゼによって6-アミノピメロイル-CoAのCoA部分が除去されることにより、2-アミノピメリン酸が得られる(図20のステップI)。この産生物が脱炭酸されることにより、6-ACAが得られる(図20のステップJ)。
6-ACAは、グルタリル-CoAを出発分子としてそれから産生することもできる。6-ACAについて開示されている経路では、上記のHMDA経路と同様に、まずグルタリル-CoAがベータ-ケトチオラーゼによってアセチル-CoAと縮合して3-オキソピメロイル-CoAが形成される(図21のステップA)。3-オキソピメロイル-CoAのCoA部分がCoAヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ及びリガーゼによって除去される(図21のステップB)。次いで、3-オキソピメリン酸がアミノ基転移を受けて3-アミノピメリン酸になる(図21のステップJ)。3-アミノピメリン酸は、2,3-アミノムターゼである酵素によって2-アミノピメリン酸に変換され得る(図21のステップT)。次いで、アミノピメリン酸が脱炭酸されて6-アミノカプロン酸が形成され得る(図21のステップAA)。
ホモリジンも、6-アミノカプロエート(6-ACA)を産生するために魅力的な前駆体である。ホモリジンは潜在的に価値のある前駆体であるが、いずれの生物体の既知代謝中間体でもない。好気的条件下で、リジン2-モノオキシゲナーゼによってホモリジンを酸化することにより、6-アミノヘキサンアミドが得られ、それは希酸又は塩基性溶液中ですぐに6-ACAに加水分解される(図23)。
6-ACAは、2-アミノ-7-オキソサバレートを出発分子としてそれからから産生することもできる(図26)。2-アミノ-7-オキソサバレートは、天然に生じる代謝産物であることが分かっていない。2-アミノ-7-オキソサバレートを合成するための例示的なルートは図27に示されている。この経路は、オルニチンの生合成の間に天然に形成される代謝産物であるグルタミン酸-5-セミアルデヒドから始まる。次いで、2-アミノ-7-オキソサバレートを3つの酵素的ステップで合成する。第1のステップにおいて、グルタミン酸-5-セミアルデヒドがアルドラーゼによってピルベートと縮合する(図27、ステップA)。その後、産生物である2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートが脱水され、生じたアルケンが還元されて2-アミノ-7-オキソサバレートが形成される(図27、ステップB/C)。1つの提唱されたルートでは、2-アミノ-7-オキソサバレートが脱炭酸されて2-アミノ-7-オキソヘプタン酸が形成される(図26のステップA)。2-アミノ-7-オキソヘプタン酸のアルデヒドがオキシドレダクターゼによって酸化されて2-アミノピメリン酸が形成される(図26のステップD)。6-ACAは2-アミノピメリン酸の脱炭酸産生物である(図26のステップE)。或いは、2-アミノ-7-オキソヘプタン酸中間体が脱炭酸されて6-アミノヘキサナールが形成され(図26のステップB)、それがアミノ基転移を受けて6-ACAになる(図26のステップF)。第3の提唱されたルートでは、2-アミノ-7-オキソサバレートの2-アミノ酸基が脱炭酸され、2-オキソ-7-アミノヘプタン酸が得られる(図26のステップI)。次いで、この産生物はさらに脱炭酸されて6-アミノヘキサナールになり得る(図26のステップG)。最後に、6-アミノヘキサナールがアミノ基転移を受けて6-ACAになる(図26のステップF)。
(実施例XXVI)
(ヘキサメチレンジアミン及び6-アミノカプロン酸を産生するための酵素の分類体系)
本実施例では、実施例XXIV及び実施例XXVにおいて記載したヘキサメチレンジアミン又は6-アミノカプロエートを産生するための例示的な経路のための酵素の分類体系について記載する。
図20〜23及び図26に示されている全ての変換は、表11に示される変換の一般的なカテゴリーに分類される。以下は、各カテゴリーに生化学的に特徴付けられたいくつもの遺伝子を記載している。適切にクローニングされ、発現されたときに、図20〜23及び図26の適当な変換を触媒するために適用することができる遺伝子が特に列挙されている。
表11には、共通の中心的な代謝中間体を6-アミノカプロエート及びヘキサメチレンジアミンに変換するために有用な酵素の種類が示されている。各標識の最初の3つの数字は基質特異性に依存しない一般的な種類の変換を示す酵素コミッション番号の最初の3つの数字に対応する。
1.1.1.a
オキシドレダクターゼ(オキソからアルコール)。3-オキソ-6-アミノピメロイル-CoAの3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAへの還元は、3-オキソアシル-CoAデヒドロゲナーゼによって触媒される(図20、ステップC)。そのような酵素は、3-オキソアシル-CoA分子を3-ヒドロキシアシル-CoA分子に変換し、多くの場合脂肪酸のベータ酸化又はフェニルアセテートの異化反応に関与する。例えば、大腸菌においてfadB及びfadJにコードされる2つの脂肪酸酸化複合体のサブユニットは、3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼとして機能する(Binstockら、Methods Enzymol. 71 Pt C:403-411(1981))。さらに、シュードモナス・プチダUにおいてphaCにコードされる遺伝子産物(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 95:6419-6424(1998))及びシュードモナス・フルオレッセンスSTにおいてpaaCにコードされる遺伝子産物(Di Archら、Microbiol 188:117-125(2007))は、図10のステップBの逆反応、すなわち、フェニルアセテート又はスチレン異化反応の間の、3-オキソアジピル-CoAが形成される3-ヒドロキシアジピル-CoAの酸化を触媒する。そのような酵素によって触媒される反応は可逆的であることに注目されたい。さらに、大腸菌において、フェニルアセテート分解オペロン内でpaaHと他の遺伝子が近接していること(Nogalesら、Microbiology 153:357-365(2007))及びpaaH突然変異体がフェニルアセテートと接して増殖することができないという事実(Ismailら、Eur. J Biochem. 270:3047-3054(2003))を考慮すると、大腸菌のpaaH遺伝子が3-ヒドロキシアシル-CoAデヒドロゲナーゼをコードすることが予想される。
3-オキソアシル-CoA分子をそれらの対応する3-ヒドロキシアシル-CoA分子に変換することができる追加的な例示的なオキシドレダクターゼは、3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドロゲナーゼを含む。hbdにコードされるクロストリジウム・アセトブチリカム由来の酵素が、大腸菌においてクローニングされ、機能的に発現されている(Younglesonら、J Bacteriol. 171:6800-6807(1989))。追加的な遺伝子候補は、クロストリジウム・クルイベリのHbd1(C-末端ドメイン)及びHbd2(N-末端ドメイン)(Hillmerら、FEBS Lett. 21:351-354(1972))及びウシのHSD17B10(Wakilら、J Biol. Chem. 207:631-638(1954))を含む。アセトアセチル-CoAを3-ヒドロキシブチリル-CoAに還元することが実証されたさらに他の遺伝子候補は、ズーグレア・ラミゲラ由来のphbB(Plouxら、Eur. J Biochem. 174:177-182(1988))及びロドバクター・スフェロイデス由来のphaB(Alberら、Mol. Microbiol. 61:297-309(2006)))である。前者の遺伝子候補はNADPH依存性であり、そのヌクレオチド配列が決定されており(Peoplesら、Mol. Microbiol 3:349-357(1989))、また、その遺伝子は大腸菌において発現されている。この遺伝子に対する基質特異性の研究により、代替の基質として3-オキソプロピオニル-CoAを許容し得るという結論が導かれた(Peoplesら、Mol. Microbiol 3:349-357(1989))。
いくつもの同様の酵素が、クロストリジウムの他の種及びメタッロスパエラ・セドゥラにおいて見出されている(Bergら、Science.318:1782-1786(2007)。
1.13.12.a モノオキシゲナーゼ(O
2の組み込み)。ホモリジンを6-アミノヘキサンアミドに変換するためにはO
2を組み込むモノオキシゲナーゼが必要である(図23のステップA)。シュードモナス・フルオレッセンス由来のリジン2-モノオキシゲナーゼ(EC 1.13.12.2)は、ホモリジンを基質としてそれと反応する(Nakazawa ら、J Biol. Chem. 247:3439-3444(1972))。P.プチダ由来の酵素が生化学的に特徴付けられており、その遺伝子が同定されている(Karyakinら、Prikladnaya Biokhimiya i Mikrobiologiya 27:825-832(1991))。P.フルオレッセンス(eval=0.0、90%の同一性)、ストレプトマイセス・セリカラー(eval=0.0、58%の同一性)、ロドコッカス・ジョスティー(eval=0.0、56%の同一性)などにおいてリジン2-モノオキシゲナーゼである酵素をコードする遺伝子が、P.プチダの酵素に対するタンパク質の配列相同性によって同定された。
1.2.1.a オキシドレダクターゼ(アルデヒドを酸に)。図26の2つの変換には、アルデヒドの酸への変換が必要とされる:2-アミノ-7-オキソヘプタン酸の2-アミノピメリン酸への変換(ステップD)及び6-アミノヘキサナールの6-アミノカプロエートへの変換(ステップF)。そのような反応は、アルデヒドを酸に変換する、ECクラス1.2.1のNAD(P)+依存性のオキシドレダクターゼによって触媒される。候補酵素は、NAD+依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.2.1.3)である。ヒトの肝臓において見出された2種のアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ALDH-1及びALDH-2は、種々の脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド及び多環式アルデヒドに対する広範な基質範囲を有する(Klyosovら、Biochemistry 35:4457-4467(1996))。活性なALDH-2は、大腸菌において、シャペロニンとしてGroELタンパク質を使用して効率的に発現されている(Leeら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 298:216-224(2002))。ラットのミトコンドリアのアルデヒドデヒドロゲナーゼも、エノイル-アルデヒドクロトンアルデヒドを含む広範な基質範囲を有する(Siewら、Arch. Biochem. Biophys. 176:638-649(1976))。大腸菌の遺伝子astDも、コハク酸セミアルデヒドをスクシネートに変換するNAD+依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードする(Kuznetsovaら、FEMS Microbiol Rev 29:263-279(2005))。
1.2.1.b オキシドレダクターゼ(アシル-CoAをアルデヒドに)。3-オキソピメロイル-CoA(図21、ステップI)、5-アミノピメロイル-CoA(図21、ステップL)及び6-アミノピメロイル-CoA(図21、ステップY)の、それらの対応するアルデヒドへの還元的脱アシル化は、ECクラス1.2.1の酵素によって触媒される。アシル-CoAをその対応するアルデヒドに還元する例示的なアシル-CoAデヒドロゲナーゼは、アシネトバクター・カルコアセティカス(Reiserら、Journal of Bacteriology 179:2969-2975(1997))及びアシネトバクター種M-1(Ishigeら、Appl. Environ. Microbiol. 68:1192-1195(2002))の、脂肪酸アシル-CoAレダクターゼである酵素、並びにクロストリジウム・クルイベリにおいてsucD遺伝子にコードされるCoA及びNADPに依存性のコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(Sohlingら、J Bacteriol. 178:871-880(1996);及びSohlingら、J Bacteriol 178:871-80(1996))を含む。P.ジンジバリスのsucDは別のコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼである(Takahashiら、J. Bacteriol. 182:4704-4710(2000))。シュードモナス種において、bphGにコードされる酵素のアシル化アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドを酸化及びアシル化することが実証されているので、さらに別の酵素である(Powlowskiら、J Bacteriol. 175:377-385(1993))。アセチル-CoAをエタノールに還元することに加えて、ロイコノストック・メセンテロイデスにおいてadhEにコードされる酵素は、分岐鎖化合物であるイソブチルアルデヒドをイソブチリル-CoAに酸化することが示されている(Kooら、Biotechnol Lett. 27:505-510(2005))。
アシル-CoAをその対応するアルデヒドに変換する追加的な酵素の種類は、マロニル-CoAをマロン酸セミアルデヒドに変換するマロニル-CoAレダクターゼである。マロニル-CoAレダクターゼは、好熱好酸古細菌における3-ヒドロキシプロピオン酸回路を経由する独立栄養性の炭素固定において重要な酵素である(Bergら、Science.318:1782-1786(2007);及びThauerら、Science.318:1732-1733(2007))。この酵素は、補因子としてNADPHを利用し、メタッロスパエラ種及びスルホロブス種において特徴付けられている(Alberら、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2006);及びHuglerら、J. Bacteriol. 184:2404-2410(2002))。この酵素は、メタッロスパエラ・セドゥラにおいてMsed_0709にコードされる(Alberら、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2006);及びBergら、Science.318:1782-1786(2007))。スルホロブス・トコダイイ由来のマロニル-CoAレダクターゼをコードする遺伝子が大腸菌にクローニングされ、異種性発現された(Alberら、J. Bacteriol. 188:8551-8559(2006))。この酵素は、メチルマロニル-CoAの、その対応するアルデヒドへの変換を触媒することも示されている(WO/2007/141208)。これらの酵素のアルデヒドデヒドロゲナーゼの機能性はクロロフレクサス・アウランチアクス(Chloroflexus aurantiacus)由来の二機能性デヒドロゲナーゼと似ているが、配列類似性はほとんどない。どちらのマロニル-CoAレダクターゼの酵素候補も、アスパルチル-4-リン酸のアスパラギン酸セミアルデヒドへの還元及び同時に起こる脱リン酸化を触媒する酵素であるアスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼに対して高い配列類似性を有する。追加的な遺伝子候補は、スルホロブス・ソルファタリカス及びスルホロブス・アシドカルダリウスを含めた他の生物体のタンパク質に対する配列相同性によって見出すことができる。CoA-アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼとしてのさらに別の候補は、クロストリジウム・ベイジェリンキ由来のald遺伝子である(Tothら、Appl Environ. Microbiol 65:4973-4980(1999))。この酵素は、アセチル-CoA及びブチリル-CoAをそれらの対応するアルデヒドに還元されることが報告されている。この遺伝子は、ネズミチフス菌及び大腸菌のアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードするeutEと非常に似ている(Tothら、Appl Environ. Microbiol 65:4973-4980(1999))。
1.2.1.d オキシドレダクターゼ(ホスホネートレダクターゼ)。ホスホン酸の、その対応するアルデヒドへの還元は、ECクラス1.2.1のオキシドレダクターゼによって触媒される。図21のステップG、N及びXでは、5-オキソピメロイル-ホスホン酸、5-アミノピメロイルホスホン酸及び6-アミノピメロイルホスホン酸をそれらの対応するアルデヒドに還元するための酵素が必要とされる。これらの反応は、既知の酵素によっては触媒されない。同様の反応が、アスパラギン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ASD、EC 1.2.1.11)によって触媒される:4-アスパルチルリン酸のアスパラギン酸-4-セミアルデヒドへのNADPH依存性の還元。ASDはアミノ酸の生合成に関与し、抗菌標的として最近研究されている(Hadfieldら、Biochemistry 40:14475-14483(2001))。大腸菌のASDの構造が解明されており(Hadfieldら、J Mol. Biol. 289:991-1002(1999))、この酵素は、代替の基質のベータ-3-メチルアスパルチルリン酸を許容することが示されている(Shames,ら、J Biol. Chem. 259:15331-15339(1984))。インフルエンザ菌の酵素は、活性部位における基質の結合親和性を変化させるために酵素を遺伝子工学で操作する研究の対象になっている(Blancoら、Crystallogr. 60:1388-1395(2004))。他のASD候補は、結核菌(Shafianiら、J Appl Microbiol 98:832-838(2005))、メタノコッカス・ジャナスキイ(Faehnleら、J Mol. 353:1055-1068(2005))及び感染性の微生物であるコレラ菌及びピロリ菌(Mooreら、Protein Expr. Purif. 25:189-194(2002))において見出される。アセチルグルタミルリン酸レダクターゼ(EC 1.2.1.38)は、アセチルグルタミルリン酸をアセチルグルタミン酸-5-セミアルデヒドに天然に還元する関連酵素である。この酵素をコードする遺伝子は、出芽酵母(Pauwelsら、Eur. J Biochem. 270:1014-1024(2003))、枯草菌(O'Reillyら、Microbiology 140(Pt 5):1023-1025(1994))及び他の生物体において見出される。
他の例示的なホスホネートレダクターゼである酵素は、グリセルアルデヒド3-リン酸をD-グリセリン酸1,3-ビスリン酸に変換するグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(例えば、大腸菌のgapA(Branlantら、Eur. J. Biochem. 150:61-66(1985)).23))、N-アセチル-L-グルタミン酸-5-セミアルデヒドをN-アセチル-L-グルタミル-5-リン酸に変換するN-アセチル-ガンマ-グルタミル-リン酸レダクターゼ(例えば、大腸菌のargC(Parsotら、Gene. 68:275-283(1988))、及びL-グルタミン酸-5-セミアルデヒドをL-グルタミル-5-リン酸に変換するグルタミン酸-5-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(例えば、大腸菌のproA(Smithら、J. Bacteriol. 157:545-551(1984)))を含む。ネズミチフス菌(Mahanら、J Bacteriol. 156:1249-1262(1983))及びカンピロバクター・ジェジュニ(Louieら、Mol. Gen. Genet. 240:29-35(1993))由来のグルタミン酸-5-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼである酵素をコードする遺伝子が大腸菌においてクローニングされ、発現された。
1.2.1.e 酸レダクターゼ。図21のいくつかの変換には、酸のアルデヒドへの変換が必要とされる(図21、ステップC、O、W)。そのような変換は熱力学的に好ましくなく、一般にはエネルギー豊富な補因子及び多数の酵素的ステップが必要とされる。例えば、ブタノールの生合成では、ブチレートのブチルアルデヒドへの変換は、CoAトランスフェラーゼ又はCoAリガーゼによってブチレートがその対応するアシル-CoAに活性化され、その後CoA依存性のアルデヒドデヒドロゲナーゼによってブチルアルデヒドに還元されることによって触媒される。或いは、酸は、アシルリン酸に活性化され、その後リン酸レダクターゼによって還元され得る。単一の酵素による酸のアルデヒドへの直接的な変換は、1.2.1ファミリーの酵素によって触媒される。これらの変換を触媒する例示的な酵素は、カルボン酸レダクターゼ、アルファ-アミノアジペートレダクターゼ及びレチノイン酸レダクターゼを含む。
ノカルジア・イオウエンシスにおいて見出されるカルボン酸レダクターゼは、カルボン酸の、それらの対応するアルデヒドへのマグネシウム、ATP及びNADPH依存性の還元を触媒する(Venkitasubramanianら、J Biol. Chem. 282:478-485(2007))。carにコードされるこの酵素が、大腸菌においてクローニングされ、機能的に発現された(Venkitasubramanianら、J Biol. Chem. 282:478-485(2007))。npt遺伝子産物の発現により、転写後修飾によって酵素の活性が改善された。npt遺伝子は、不活性なアポ酵素を活性なホロ酵素に変換する特異的なホスホパンテテイントランスフェラーゼ(PPTアーゼ)をコードする。この酵素の天然の基質は、バニリン酸であり、この酵素は芳香族基質及び脂肪族基質への広い許容を示す(Venkitasubramanianら、「カルボン酸の生体触媒的還元:機構及び応用(Biocatalytic Reduction of carboxylic Acids:Mechanism and Applications)」、Chapter 15 in Biocatalysis in the Pharmaceutical and Biotechnology Industires、ed. R.N. Patel、CRC Press LLC、Boca Raton、FL.(2006))。
同様の特性を有する酵素、アルファ-アミノアジペートレダクターゼ(AAR、EC 1.2.1.31)は、一部の真菌種においてリジンの生合成経路に関与する。この酵素は、アルファ-アミノアジペートをアルファ-アミノアジペートセミアルデヒドに天然に還元する。まず、カルボキシル基がアデニル酸のATP依存性の形成によって活性化され、次いでNAD(P)Hによって還元されてアルデヒド及びAMPが得られる。CARと同様に、この酵素は、マグネシウムを利用し、PPTアーゼによる活性化を必要とする。AAR及びその対応するPPTアーゼとしての酵素候補は、出芽酵母(Morrisら、Gene 98:141-145(1991))、カンジダ・アルビカンス(Guoら、Mol. Genet. Genomics 269:271-279(2003))、及び分裂酵母(Fordら、Curr. Genet. 28:131-137(1995))において見出される。分裂酵母由来のAARは、大腸菌において発現させたとき、有意な活性を示した(Guoら、Yeast 21:1279-1288(2004))。ペニシリウム・クリソゲナム由来のAARは、代替の基質としてS-カルボキシメチル-L-システインを許容するが、アジペート、L-グルタミン酸又はジアミノピメリン酸とは反応しなかった(Hijarrubiaら、J Biol. Chem 278:8250-8256(2003))。P.クリソゲナムのPPTアーゼをコードする遺伝子は今まで同定されておらず、配列比較相同性探索によって信頼性が高いヒットは同定されなかった。図21の基質に対する活性を増大させるためには定向進化又は他の酵素を遺伝子工学で操作する方法が必要になり得る。
1.3.1.a オキシドレダクターゼ(アルケンをアルカンに)。アルケンをアルカンに還元する3つの変換はオキシドレダクターゼのカテゴリーに分類される(EC 1.3.1.-)。6-アミノ-7-カルボキシ-ヘプタ-2-エノイル-CoAの6-アミノピメロイル-CoAへの変換(図20、ステップE)、2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-オノエート(onoate)の2-オキソ-7-アミノヘプタン酸への変換(図22、ステップC)及び2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートの2-アミノ-7-オキソサバレートへの変換(図27、ステップC)は、2-エノエートレダクターゼによって触媒される。2-エノエートレダクターゼである酵素は、多種多様なα、β不飽和カルボン酸及びα、β不飽和アルデヒドのNAD(P)H依存性の還元を触媒することが知られている(Rohdich,ら、J Biol. Chem. 276:5779- 5787(2001))。最近発表されたC.クルイベリのゲノム配列において、エノエートレダクターゼに対する9つのコード配列が報告され、そのうちの1つが特徴付けられている(Seedorfら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 105:2128-2133(2008))。C.チロブチリカム由来のenr遺伝子及びM.サーモアセチカム由来のenr遺伝子の両方がクローニングされ、配列決定され、それらは互いに対して59%の同一性を示す。前者の遺伝子は、C.クルイベリにおいて特徴付けられた遺伝子に対しておよそ75%の類似性を有することも見出されている(Gieselら、Arch. Microbiol 135:51-57(1983))。これらの配列決定の結果に基づいて、enrが大腸菌のジエノイル-CoAレダクターゼ(fadH)と非常に似ていることが報告されている(Rohdich,ら、J Biol. Chem. 276:5779-5787(2001))。ムーレラ・サーモアセチカ(以前はC.サーモアセチカム)のenr遺伝子も、大腸菌において触媒として活性な形態で発現されている(Ohdich、ら、J Biol. Chem. 276:5779-5787(2001))。
別の候補2-エノエートレダクターゼは、2-マレイルアセテート(4-オキソヘキサ-2-エンジオエート)の3-オキソアジペートへの還元を触媒する酵素であるマレイルアセテートレダクターゼ(MAR)である。MAR酵素は、天然に芳香族分解経路に関与する(Camaraら、J Bacteriol.(2009); Huangら、Appl Environ. Microbiol 72:7238-7245(2006)); Kaschabekら、J Bacteriol. 177:320-325(1995)及びKaschabekら、J Bacteriol. 175:6075-6081(1993))。この酵素活性が、シュードモナス種株B13において同定され、特徴付けられ(Kaschabekら、J Bacteriol 177:320-325(1995);及びKaschabekら、J Bacteriol 175:6075-6081(1993))、コード遺伝子がクローニングされ、配列決定された(Kasbergら、J Bacteriol. 179:3801-3803(1997))。追加的なMAR遺伝子候補は、シュードモナス種株B13由来のclcE遺伝子(Kasbergら、J Bacteriol. 179:3801-3803(1997))、ロドコッカス・オパカス由来のmacA遺伝子(Seibertら、J Bacteriol 180:3503-3508(1998))、ラルストニア・ユートロファ(カプリアビダス・ネカトールとしても知られている)由来のmacA遺伝子(Seibertら、Microbiology 150:463-472(2004))、ラルストニア・ユートロファ由来のtfdFII(Seibertら、J Bacteriol. 175:6745-6754(1993))及びコリネバクテリウム・グルタミクムのNCgl1112(Huangら、Appl Environ. Microbiol 72:7238-7245(2006))を含む。シュードモナス・レイネケイMT1においてccaDにコードされるMARが最近同定され、そのヌクレオチド配列がDBJ/EMBL ジェンバンク受入番号EF159980の下で入手可能である(Camaraら、J Bacteriol.(2009))。
エノイル-CoAレダクターゼである酵素は、6-アミノ-7-カルボキシ-ヘプタ-2-エノイル-CoAの6-アミノピメロイル-CoAへの還元(図20、ステップE)を触媒するために適した酵素である。1つの例示的なエノイル-CoAレダクターゼは、C.アセトブチリカム由来のbcdの遺伝子産物であり(Atsumiら、Metab Eng. 10:305-311(2008));及びBoyntonら、J Bacteriol. 178:3015-3024(1996))、クロトニル-CoAのブチリル-CoAへの還元を天然に触媒する。この酵素の活性は、電子伝達フラボタンパク質をコードするC.アセトブチリカムのetfAB遺伝子の発現と併せてbcdを発現させることによって増大させることができる。エノイル-CoAレダクターゼステップのための追加的な候補は、E.グラシリス由来のミトコンドリアのエノイル-CoAレダクターゼである(Hoffmeisterら、J Biol. Chem. 280:4329-4338(2005))。この配列のミトコンドリアのターゲティングリーダー配列を除去した後にこの配列から得られた構築物が大腸菌にクローニングされ、活性な酵素がもたらされた(Hoffmeisterら、J Biol. Chem. 280:4329-4338(2005))。この手法は、真核生物の遺伝子、特に遺伝子産物を原核生物の特異的な細胞内区画にターゲティングすることができるリーダー配列を有する遺伝子を発現させる技術分野の当業者によく知られている。この遺伝子の近接相同体である、原核生物のトレポネーマ・デンティコラ由来のTDE0597は、大腸菌にクローニングされ、発現されている第3のエノイル-CoAレダクターゼを表す(Tucciら、Febs Letters 581:1561-1566(2007))。
追加的なエノイル-CoAレダクターゼの酵素候補は、芳香族化合物を分解する生物体において見出される。安息香酸の分解についてのモデル生物体であるロドシュードモナス・パルストリスは、ピメロイル-CoAのベータ酸化を介してピメリン酸を分解する酵素としての能力を有する。pimオペロンにおいて隣接する遺伝子であるpimC及びpimDは、C.アセトブチリカムのbcdに対する配列相同性を持ち、フラビン含有ピメロイル-CoAデヒドロゲナーゼをコードすると予想される(Harrisonら、Microbiology 151:727-736(2005))。窒素固定ダイズ共生生物であるブラディリゾビウム・ジャポニクムのゲノムも、R.パルストリスのpimC及びpimDに対して高い配列類似性を有する遺伝子で構成されるpimオペロンを含有する(Harrisonら、Microbiology 151:727-736(2005))。
追加的な候補は、立体障害型のトランス-エノイル-CoA基質の還元を触媒する酵素である、2-メチル-分岐鎖エノイル-CoAレダクターゼ(EC 1.3.1.52)である。この酵素は、線形動物のブタ回虫における分岐鎖脂肪酸の合成に関与し、2-メチルブタノイル-CoA、2-メチルペンタノイル-CoA、オクタノイル-CoA及びペンタノイル-CoAを含めた種々の直鎖状基質及び分岐鎖基質を還元することができる(Duranら、J Biol. Chem. 268:22391-22396(1993)))。acad1遺伝子及びacad遺伝子にコードされるこの酵素の2つのアイソフォームが特徴付けられている。
1.4.1.a オキシドレダクターゼ(アミノ化)。図20〜23のいくつかの反応には、ケトン又はアルデヒドのアミン基への変換が必要とされる。そのような変換は、ECクラス1.4.1のアミノ化オキシドレダクターゼによって実現することができる。このECクラスの酵素は、受容体としてNAD+又はNADP+を用いるアミノ基の酸化的脱アミノ化を触媒し、その反応は一般には可逆的である。
図22のステップDにおいて、2-オキソ酸である2-オキソ-7-アミノヘプタン酸が、アミノ酸と似通った分子であるホモリジンに変換される(図22、ステップD;図26、ステップJ)。2-アミノ-7-オキソサバレートの2,7-ジアミノサバレートへの変換(図26のステップK)も同様の変換である。これらの反応を触媒するための例示的な酵素は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.2)、ロイシンデヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.9)、及びアスパラギン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.21)を含む。大腸菌由来のgdhA遺伝子産物(Korberら.、J Mol. Biol. 234:1270-1273。(1993))、サーモトガ・マリティマ由来のgdh(Kortら、Extremophiles 1:52-60。1997); Lebbinkら、J Mol. Biol. 280:287-296(1998)及びLebbinkら、J Mol. Biol. 289:357-369(1999)))、及びハロバクテリウム・サリナルム由来のgdhA1(Ingoldsbyら、Gene 349:237-244(2005))は、それぞれNADP(H)、NAD(H)、又はその両方を好んで、グルタミン酸の2-オキソグルタル酸及びアンモニアへの可逆的な変換を触媒する。セレウス菌のldh遺伝子は、ロイシン、イソロイシン、バリン、及び2-アミノブタノエートを含めた広範な基質範囲を有するLeuDHタンパク質をコードする(Ansorgeら、Biotechnol Bioeng. 68:557-562(2000));及びStoyanら、J Biotechnol 54:77-80(1997))。アスパラギン酸デヒドロゲナーゼをコードするサーモトガ・マリティマ由来のnadX遺伝子は、NADの生合成に関与する(Yangら、J Biol. Chem. 278:8804-8808(2003))。
2つの反応に、3-オキソ酸の3-アミノ酸への変換が必要とされる:3-オキソ-7-アミノヘプタン酸から3,7-ジアミノヘプタン酸へ(図21、ステップE)、3-オキソピメリン酸から3-アミノピメリン酸へ(図21、ステップJ)及び3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールから3-アミノ-7-オキソヘプタン酸へ(図21、ステップAB)。3-オキソ酸と反応する酵素は、リジンを発酵させる生物体において見出される酵素である、3,5-ジアミノヘキサノエートデヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.11)である。この酵素をコードする遺伝子であるkddが、フソバクテリウム・ヌクレアタムにおいて最近同定された(Kreimeyerら、J Biol. Chem. 282:7191-7197(2007))。この酵素は他の生物体において精製され、特徴付けられているが(Bakerら、Chem. 247:7724-7734(1972));及びBakerら、Biochemistr.13:292-299(1974))、これらの酵素に関連する遺伝子は分かっていない。ミキソコッカス・ザンサス、ポルフィロモナス・ジンジバリスW83及び他の配列決定された生物体における候補を、配列相同性によって推論することができる。
2-アミノ-7-オキソヘプタン酸のホモリジンへの変換(図20、ステップG;図21、ステップQ;図26、ステップM)、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールの3-オキソ-7-アミノヘプタン酸への変換(図21、ステップD)3-アミノ-7-オキソヘプタン酸の3,7-ジアミノヘプタン酸への変換(図21、ステップZ)及び6-アミノヘキサナールのHMDAへの変換(図26、ステップC;図22、ステップG)は、アルデヒドをそれらの対応する一級アミンに変換するアミノ化オキシドレダクターゼによって触媒される。同様の反応を触媒する酵素は、lysDH遺伝子にコードされるリジン6-デヒドロゲナーゼ(EC 1.4.1.18)である。この酵素は、2-アミノアジペート-6-セミアルデヒドが形成されるL-リジンの6-アミノ基の可逆的な酸化的脱アミノ化を触媒する(Misonoら、J Bacteriol. 150:398-401(1982))。例示的な酵素候補は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Heydariら、Appl Environ. Microbiol 70:937-942(2004))、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Hashimotoら、J Biochem 106:76-80(1989);及びMisonoら、J Bacteriol. 150:398-401(1982))、及びアクロモバクター・デニトリフィカンス(Ruldeekulthamrongら、BMP Rep. 41:790-795(2008))において見出される。
2.3.1.b アシルトランスフェラーゼ(ベータ-ケトチオラーゼ)。図21のステップAにおいて、ベータ-ケトチオラーゼ(EC 2.3.1.16)であるオキソピメロイル-CoA:グルタリル-CoAアシルトランスフェラーゼによってグルタリル-CoA及びアセチル-CoAが縮合して3-オキソピメロイル-CoAが形成される。この変換を触媒する酵素は、ラルストニア・ユートロファにおいて見出され(以前はアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)として知られていた)、bktB遺伝子及びbktC遺伝子にコードされる(Haywoodら、FEMS Microbiology Letters 52:91-96(1988);及びSlaterら、J. Bacteriol. 180:1979-1987(1998))。BktBタンパク質の配列は既知である;しかしながら、BktCタンパク質の配列は報告されていない。ロドシュードモナス・パルストリスのpimオペロンも、pimBにコードされるベータ-ケトチオラーゼをコードし、ベンゾイル-CoAの分解の間にこの変換を分解性の方向に触媒することが予想される(Harrisonら、Microbiology 151:727-736(2005))。S.アシディトロフィカスにおけるベータ-ケトチオラーゼである酵素候補が、bktBに対する配列相同性によって同定された(43%の同一性、E値=1×10
-93)。
アセチル-CoA及びプロピオニル-CoAからのベータ-ケト吉草酸の形成を触媒するベータ-ケトチオラーゼである酵素は、3-オキソピメロイル-CoAの形成を触媒することもでき得る。ズーグレア・ラミゲラは、プロピオニル-CoA及びアセチル-CoAからβ-ケトバレリルCoAを形成することができる2種のケトチオラーゼを保有し、R.ユーロトファは、同様にこの変換を触媒することができるβ酸化-ケトチオラーゼを有する(Gruysら、米国特許第5,958,745号(1999))。これらの遺伝子又はそれらの翻訳されたタンパク質の配列は報告されていないが、R.ユーロトファ、Z.ラミゲラ、又は他の生物体におけるいくつかの候補を、R.ユーロトファ由来のbktBに対する配列相同性に基づいて同定することができる。これらは以下を含む:
追加的な候補は、2分子のアセチル-CoAをアセトアセチル-CoAに変換することが知られているベータ-ケトチオラーゼ(EC 2.1.3.9)を含む。例示的なアセトアセチル-CoAチオラーゼである酵素は、大腸菌由来のatoBの遺伝子産物(Martinら、Nat. Biotechnol 21:796-802(2003))、C.アセトブチリカム由来のthlAの遺伝子産物及びthlBの遺伝子産物(Hanaiら、Appl Environ Microbiol 73:7814-7818(2007));及びWinzerら、J. Mol. Microbiol Biotechnol 2:531-541(2000))、並びに出芽酵母由来のERG10の遺伝子産物(Hiserら、J. Biol. Chem. 269:31383-31389(1994))を含む。
ベータ-ケトアジピル-CoAチオラーゼ(EC 2.3.1.174)は、3-オキソアジピル-CoAチオラーゼとも呼ばれ、ベータ-ケトアジピル-CoAをスクシニル-CoA及びアセチル-CoAに変換し、芳香族化合物を分解するためのベータ-ケトアジペート経路の重要な酵素である。この酵素は、シュードモナス・プチダ(Harwoodら、J Bacteriol 176:6479-6488(1994))及びアシネトバクター・カルコアセティカス(Dotenら、J Bacteriol. 169:3168-3174(1987))を含めた土壌細菌及び土壌真菌において広範にわたる。シュードモナス株B13のpcaF(Kaschabekら、J Bacteriol. 184:207-215(2002))、シュードモナス・プチダUのphaD(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 95:6419-6424(1998))、シュードモナス・フルオレッセンスSTのpaaE(Di Archら、Microbiol 188:117-125(2007))、及び大腸菌由来のpaaJ(Nogalesら、Microbiology 153:357-365(2007))にコードされる遺伝子産物も、この変換を触媒する。シュードモナス・プチダ由来のbkt、緑膿菌PA01由来のpcaF及びbkt、バークホルデリア・アンビファリアAMMD由来のbkt、大腸菌由来のpaaJ、P.プチダ由来のphaDを含めたいくつかのベータ-ケトチオラーゼが、オキソアジピル-CoAが形成される方向で有意且つ選択的な活性を示す。これらの酵素も、3-オキソアジピル-CoAと構造的に似ている化合物である3-オキソピメロイル-CoAが合成するために使用することができる。
ベータ-ケトチオラーゼも、グルタミルCoA及びアセチル-CoAを縮合させるために必要とされる(図20、ステップB)。この変換は、天然に起こることが分かっていない。上記のベータ-ケトチオラーゼ候補も、この変換を触媒するための例示的な候補である。
2.6.1.a アミノトランスフェラーゼ。図20〜26のいくつかの反応は、ECクラス2.6.1のアミノトランスフェラーゼによって触媒される。そのような酵素は、アミノ化された供与体からピルベート及びアルファ-ケトグルタル酸などの受容体にアミノ基を可逆的に転移させる。
アルデヒドに対して選択的なアミノトランスフェラーゼが、2-アミノ-7-オキソヘプタン酸へのアミノ基転移(図20、ステップG;図21、ステップQ;図26、ステップM)、3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールへのアミノ基転移(図21、ステップD)3-アミノ-7-オキソヘプタン酸のへアミノ基転移(図21、ステップZ)及び6-アミノヘキサナールへのアミノ基転移(図26、ステップC;図22、ステップG)に必要とされる。アルデヒドを一級アミンに変換するための例示的な酵素は、リジン-6-アミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.36)である。リジンをアルファ-アミノアジペートセミアルデヒドに変換するこの酵素機能は、酵母及び細菌において実証されている。トルラ酵母(Candida utilis)(Hammerら、J Basic Microbiol 32:21-27(1992))、フラボバクテリウム・ルテセンス(Fujiiら、J Biochem. 128:391-397(2000))及びストレプトマイセス・クラブリゲナス(Streptomyces clavuligenus)(Romeroら、Microbiol Biotechnol 18:241-246(1997))由来の候補が特徴付けられている。S.クラブリゲナス(S. clavuligenus)由来の組換えリジン-6-アミノトランスフェラーゼが大腸菌において機能的に発現された(Tobinら、J Bacteriol. 173:6223-6229(1991))。F.ルテセンスの酵素は、アミノ受容体としてアルファ-ケトグルタル酸に特異的である(Sodaら、Biochemistry 7:4110-4119(1968))。アルデヒドを末端アミンに変換する他の酵素は、アシネトバクター・バウマニにおいて2,4-ジアミノブタノエート:2-ケトグルタル酸4-トランスアミナーゼをコードするdat遺伝子産物を含む(Ikaiら、J Bacteriol. 179:5118-5125(1997))。その天然の基質である2,4-ジアミノブチレートに加えて、DATは、リジン、4-アミノブチレート及びオルニチンの末端アミンをアミノ基転移する。
追加的な酵素候補は、プトレシンアミノトランスフェラーゼ又は他のジアミンアミノトランスフェラーゼを含む。大腸菌のプトレシンアミノトランスフェラーゼは、ygjG遺伝子にコードされ、精製された酵素もカダベリン及びスペルミジンのアミノ基を転移させることができる(Samsonovaら、Microbiol 3:2(2003))。さらに、2-オキソグルタル酸以外のアミノ受容体(例えば、ピルベート、2-オキソブタノエート)を用いた、1,7-ジアミノヘプタンに対するこの酵素の活性が報告されている(Kimら、J Biol. Chem. 239:783-786(1964);及びSamsonovaら、Microbiol 3:2(2003))。緑膿菌のspuC遺伝子は、アミノ受容体としてアルファ-ケトグルタル酸よりもピルベートに対して活性が高いプトレシンアミノトランスフェラーゼをコードする(Luら、J Bacteriol. 184:3765-3773(2002))。
アルデヒドの末端アミンへの変換は、ガンマ-アミノブチレートトランスアミナーゼ(GABAトランスアミナーゼ)によっても触媒され得る。この酵素は、コハク酸セミアルデヒド及びグルタミン酸と4-アミノブチレート及びアルファ-ケトグルタル酸とを天然に相互変換し、広範な基質範囲を有することが知られている(Liuら、Biochemistry 43:10896-10905(2004);及びSchulzら、Appl Environ Microbiol 56:1-6(1990))。大腸菌の2種のGABAトランスアミナーゼはgabT(Bartschら、J Bacteriol. 172:7035-7042(1990))及びpuuE(Kuriharaら、J. Biol. Chem. 280:4602-4608(2005))にコードされる。マウス、シュードモナス・フルオレッセンス及びイノシシのGABAトランスアミナーゼは、6-アミノカプロン酸を含めた様々な代替の基質と反応することが示されている(Cooper、Methods Enzymol. 113:80-82(1985));及びScottら、J Biol. Chem. 234:932-936(1959))。
3-オキソ酸にアミノ基を転移させる酵素が、3-オキソ-7-アミノヘプタン酸の3,7-ジアミノヘプタン酸への変換(図21、ステップE)、3-オキソピメリン酸の3-アミノピメリン酸への変換(図21、ステップJ)及び3-オキソ-1-カルボキシヘプタナールの3-アミノ-7-オキソヘプタン酸への変換(図21、ステップAB)に必要とされる。これらの正確な変換を触媒する酵素は今まで同定されていない。ベータアラニン/アルファ-ケトグルタル酸アミノトランスフェラーゼ(WO08027742)は、ベータアラニンと反応して3-オキソ酸であるマロン酸セミアルデヒドを形成する。サッカロマイセス・クルイベリのSkPYD4の遺伝子産物はアミノ基供与体としてベータアラニンを優先的に使用することが示された(Andersenら、Gene. 124:105-109(1993))。SkUGA1は出芽酵母のGABAアミノトランスフェラーゼ、UGA1の相同体をコードし(Ramosら、Eur. J. Biochem. 149:401-404(1985))、一方SkPYD4はベータアラニン及びGABAの両方のアミノ基転移に関与する酵素をコードする(Andersenら、Gene. 124:105-109(1993))。3-アミノ-2-メチルプロピオン酸トランスアミナーゼは、メチルマロン酸セミアルデヒドから3-アミノ-2-メチルプロピオン酸への変換を触媒する。この酵素は、ラット及びイノシシにおいて特徴付けられており、Abatにコードされる(Kakimotoら、Biochim. Biophys. Acta 156:374-380(1968);及びTamakiら、Methods Enzymol. 324:376-389(2000))。
いくつかのアミノトランスフェラーゼは、2-オキソ酸のアミノ基をアミノ基転移してアミノ酸を形成する。そのような酵素は、2-オキソ-7-アミノヘプタン酸がアミノ基転移を受けてホモリジンになるため(図22、ステップD;図26、ステップM)及び2-アミノ-7-オキソサバレートがアミノ基転移を受けて2,7-ジアミノサバレートになるため(図26、ステップK)に必要とされる。有望な酵素候補は、一部の生物体においてリジンの生合成及び分解に関与する酵素である、アルファ-アミノアジペートアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1.39)である。この酵素は、アミノ受容体としてアルファ-ケトグルタル酸を使用して、2-アミノアジペートと2-オキソアジペートとを相互変換する。遺伝子候補は、ヒト(Okunoら、Enzyme Protein 47:136-148(1993))及び高度好熱菌(Miyazakiら、Microbiology 150:2327-2334(2004))において見出される。lysNにコードされる高度好熱菌の酵素は、オキサロアセテート、2-オキソイソカプロン酸、2-オキソイソ吉草酸、及び2-オキソ-3-メチル吉草酸を含めたいくつかの代替の基質に対して活性である。
別の候補は、オキサロアセテートからグルタミン酸にオキソ基を天然に転移させて、アルファ-ケトグルタル酸及びアスパラギン酸を形成する酵素である、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼである。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの活性は、例えば、大腸菌由来のaspCの遺伝子産物(Yagiら、FEBS Lett. 100:81-84(1979);及びYagiら、Methods Enzymol. 113:83-89(1985))、出芽酵母由来のAAT2の遺伝子産物(Yagiら、J Biochem. 92:35-43(1982))及びシロイヌナズナ由来のASP5の遺伝子産物(de laら、Plant J 46:414-425(2006); Kwokら、J Exp. Bot. 55:595-604(2004)及びWilkieら、Protein Expr. Purif. 12:381-389(1998))によって触媒される。ラット由来の酵素は、2-アミノヘキサン二酸及び2,4-ジアミノブチレートなどの代替の基質のアミノ基を転移させることが示されている(Recasensら、Biochemistry 19:4583-4589(1980))。他のアミノ酸基質に働くアミノトランスフェラーゼもこの変換を触媒することができ得る。バリンアミノトランスフェラーゼは、バリン及びピルベートの2-ケトイソ吉草酸及びアラニンへの変換を触媒する。大腸菌のavtA遺伝子は、そのような酵素の1つをコードする(Whalenら、J. Bacteriol. 150:739-746(1982))。この遺伝子産生物は、α-アミノブチレートが生成するα-ケトブチレートへのアミノ基転移も触媒するが、この反応におけるアミン供与体は同定されていない(Whalenら、J. Bacteriol. 158:571-574(1984))。大腸菌のserCの遺伝子産物は、ホスホセリンアミノトランスフェラーゼ及びホスホヒドロキシトレオニンアミノトランスフェラーゼの2つの反応を触媒し(Lam、J.ら、Bacteriol. 172:6518-6528(1990))、非リン酸化基質に対する活性は検出することができなかった(Drewkeら、FEBS. Lett. 390:179-182(1996))。
2.7.2.a ホスホトランスフェラーゼ(カルボキシ受容体)。ECクラス2.7.2のホスホトランスフェラーゼである酵素は、カルボン酸をホスホン酸に変換し、それと同時に1つのATPの加水分解が起こる。図21のステップF、M及びUでは、3-オキソピメリン酸(ステップF)、3-アミノピメリン酸(ステップM)及び2-アミノピメリン酸(ステップU)のカルボキシル基のそれらの対応するホスホン酸への活性化のために、ホスホトランスフェラーゼが必要とされる。ブチレートキナーゼ(EC 2.7.2.7)は、C.アセトブチリカムにおける酸発酵の間に、ブチリルリン酸のブチレートへの可逆的な変換を行う(Caryら、Appl. Environ. Microbiol 56:1576-1583(1990))。この酵素は、2つのbuk遺伝子産物のいずれかにコードされる(Huangら、J Mol. Microbiol Biotechnol 2:33-38(2000))。他のブチレートキナーゼである酵素は、酪酸菌(C. butyricum)及び破傷風様菌 (C. tetanomorphum)において見出される(Twarogら、J Bacteriol. 86:112-117(1963))。サーモトガ・マリティマ由来の関連酵素であるイソブチレートキナーゼも大腸菌において発現され、結晶化されている(Diaoら、E. Biol. Crystallogr. 59:1100-1102(2003);及びDiaoら、J Bacteriol. 191:2521-2529(2009))。アスパルトキナーゼは、アスパラギン酸のATP依存性のリン酸化を触媒し、いくつかのアミノ酸の合成に関与する。大腸菌においてlysCにコードされるアスパルトキナーゼIII酵素は、広範な基質範囲を有し、基質特異性に関与する触媒残基が解明されている(Kengら、Arch. Biochem. Biophys. 335:73-81(1996))。大腸菌の2種の追加的なキナーゼも優良な候補である:アセテートキナーゼ及びガンマ-グルタミルキナーゼ。ackAにコードされる大腸菌のアセテートキナーゼは(Skarstedtら、J. Biol. Chem. 251:6775-6783(1976))、アセテートに加えてプロピオン酸をリン酸化する(Hesslingerら、Mol. Microbiol 27:477-492(1998))。proBにコードされる大腸菌のガンマ-グルタミルキナーゼ(Smithら、J. Bacteriol. 157:545-551(1984))は、グルタミン酸のガンマ炭酸基をリン酸化する。
2.8.3.a 補酵素Aトランスフェラーゼ。CoAトランスフェラーゼは、一方の分子から他方へのCoA部分の可逆的な転移を触媒する。図20及び図21のいくつかの変換では、カルボン酸のそれらの対応するアシル-CoA誘導体への活性化にCoAトランスフェラーゼが必要とされる(図20、ステップA及びI;図21、ステップH、J、V)。これらの変換を触媒するための候補酵素は、それぞれスクシニル-CoAトランスフェラーゼ活性、4-ヒドロキシブチリル-CoAトランスフェラーゼ活性、及びブチリル-CoAトランスフェラーゼ活性を示すことが示されている、クロストリジウム・クルイベリのcat1の遺伝子産物、cat2の遺伝子産物、及びcat3の遺伝子産物を含む(Seedorfら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 105:2128-2133(2008);及びSohlingら、J Bacteriol. 178:871-880(1996))。同様のCoAトランスフェラーゼ活性が腟トリコモナス(van Grinsvenら、J. Biol. Chem. 283:1411-1418(2008))及びトリパノソーマ・ブルセイ(Riviereら、J. Biol. Chem. 279:45337-45346(2004))においても存在する。
嫌気的細菌であるアシダミノコッカス・ファーメンタンス由来のグルタコニル-CoA-トランスフェラーゼ(EC 2.8.3.12)酵素は、2,3-デヒドロアジピル-CoAと構造が似ている基質であるグルタコニル-CoA及び3-ブテノイル-CoAと反応する(Mackら、Eur. J. Biochem. 226:41-51(1994))。この酵素をコードする遺伝子はgctA及びgctBである。この酵素は、グルタリル-CoA、2-ヒドロキシグルタリル-CoA、アジピル-CoA、クロトニル-CoA及びアクリリル-CoAを含めた他のCoA誘導体に対して、低下したが検出可能な活性を有する(Buckelら、Eur. J Biochem. 118:315-321(1981))。この酵素は大腸菌にクローニングされ、発現されている(Mackら、Eur. J. Biochem. 226:41-51(1994))。
CoA供与体としてアセチル-CoAを利用することができるCoAトランスフェラーゼは、大腸菌のatoA遺伝子(アルファサブユニット)及びatoD(ベータサブユニット)遺伝子にコードされるアセトアセチル-CoAトランスフェラーゼである(Korolevら、Biol. Crystallogr. 58:2116-2121(2002);及びVanderwinkelら、Biophys. Res. Commun. 33:902-908(1968))。この酵素は、広範な基質範囲を有し(Sramekら、Arch. Biochem. Biophys. 171:14-26(1975))、イソブチレート(Matthiesら、Appl Environ. Microbiol 58:1435-1439(1992))、吉草酸(Vanderwinkelら、Biophys. Res. Commun. 33:902-908(1968))及びブタノエート(Vanderwinkelら、Biophys. Res. Commun. 33:902-908(1968))を含めた種々の分岐したアシル-CoA基質及び直鎖のアシル-CoA基質から、CoA部分をアセテートに転移させることが示されている。この酵素は、転写レベルでアセトアセテートによって誘発されるので、この酵素を遺伝子工学で操作して経路内に入れるために制御調節の修飾が必要になり得る(Pauliら、Eur. J Biochem. 29:553-562(1972))。同様の酵素がコリネバクテリウム・グルタミクムATCC 13032(Duncanら、Appl. Environ. Microbiol 68:5186-5190(2002))、クロストリジウム・アセトブチリカム(Caryら、Appl. Environ. Microbiol 56:1576-1583(1990);及びWiesenbornら、Appl. Environ. Microbiol 55:323-329(1989))、及びクロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカム(Kosakaら、Biosci. Biotechnol Biochem 71:58-68(2007))に存在する。
3-オキソピメロイル-CoAの3-オキソピメリン酸への脱アシル化(図21、ステップB)は、3-オキソ酸-CoAトランスフェラーゼ(EC 2.8.3.6)によって触媒される。スクシニル-CoA:3-オキソ酸-CoAトランスフェラーゼは、ベータ-ケトアジピル-CoAトランスフェラーゼとしても知られており、シュードモナス・プチダにおいてpcaI及びpcaJにコードされる(Kaschabekら、J Bacteriol. 184:207-215(2002))。タンパク質の配列相同性に基づいて似ている酵素がアシネトバクター種ADP1に存在する(Kowalchukら、Gene 146:23-30(1994))。追加的な例示的なスクシニル-CoA:3:オキソ酸-CoAトランスフェラーゼはピロリ菌(Corthesy-Theulazら、J Biol. Chem. 272:25659-25667(1997))及び枯草菌(Stolsら、Protein Expr. Purif. 53:396-403(2007))に存在する。
3.1.2.a CoAヒドロラーゼ。6-アミノピメロイル-CoAの6-アミノピメリン酸への加水分解(図20、ステップI)は、3.1.2ファミリーのアシル-CoAヒドロラーゼである酵素によって行われる。この変換を触媒する酵素は今まで実証されていない。いくつかの真核生物のアセチル-CoAヒドロラーゼ(EC 3.1.2.1)は、広範な基質特異性を有し、したがって6-アミノピメリン酸を加水分解するための適切な候補酵素になる。例えば、ラットの脳由来の酵素(Robinsonら、Res. Commun. 71:959-965(1976))は、ブチリル-CoA、ヘキサノイル-CoA及びマロニル-CoAと反応することができる。その配列は報告されていないが、エンドウマメの葉のミトコンドリア由来の酵素も広範な基質特異性を有し、アセチル-CoA、プロピオニル-CoA、ブチリル-CoA、パルミトイル-CoA、オレオイル-CoA、スクシニル-CoA、及びクロトニル-CoAに対する活性が実証されている(Zeiherら、Plant. Physiol. 94:20-27(1990))。出芽酵母由来のアセチル-CoAヒドロラーゼであるACH1が別の候補ヒドロラーゼになる(Buuら、J. Biol. Chem. 278:17203-17209(2003))。
別の候補ヒドロラーゼは、グルタリル-CoA、アジピル-CoA、スベリル-CoA、セバシル-CoA、及びドデカンジオイル-CoAに対する活性を示すヒトのジカルボン酸チオエステラーゼ、acot8(Westinら、J Biol. Chem. 280:38125-38132(2005))、及び、同様に広い範囲のCoAチオエステルを加水分解することができる最近接の大腸菌相同体、tesB(Naggertら、J Biol. Chem. 266:11044-11050(1991))である。同様の酵素がラットの肝臓においても特徴付けられている(Deanaら、Biochem. Int. 26:767-773(1992))。他の潜在的な大腸菌のチオエステルヒドロラーゼは、tesAの遺伝子産物(Bonnerら、Chem. 247:3123-3133(1972))、ybgCの遺伝子産物(Kuznetsovaら、FEMS Microbiol Rev 29:263-279(2005);及び(Zhuangら、FEBS Lett. 516:161-163(2002))、paaIの遺伝子産物(Songら、J Biol. Chem. 281:11028-11038(2006))、及びybdB遺伝子産物(Leducら、J Bacteriol.189:7112-7126(2007))を含む。
さらに別の候補ヒドロラーゼは、アシダミノコッカス・ファーメンタンス由来のグルタコン酸CoA-トランスフェラーゼである。この酵素は、グルタリル-CoA、アセチル-CoA及び3-ブテノイル-CoAに対する活性を有するアシル-CoAヒドロラーゼを、部位特異的突然変異を誘発することによって形質転換したものである(Mackら、FEBS. Lett. 405:209-212(1997))。このことは、スクシニル-CoA:3-ケト酸-CoAトランスフェラーゼ及びアセトアセチル-CoA:アセチル-CoAトランスフェラーゼをコードする酵素も、この反応ステップの候補として機能し得るが、それらの機能を変えるためにある特定の突然変異が必要になることを示唆している。
4.1.1.a カルボキシリアーゼ。ホモリジンのHMDAへの脱炭酸反応(図20、ステップH;図21、ステップS;図22、ステップE;図26、ステップH)、2-アミノピメリン酸の6-ACAへの脱炭酸反応(図20、ステップJ、図21、ステップAA及び図26、ステップE)、2,7-ジアミノサバレートのホモリジンへの脱炭酸反応(図26、ステップL)、2-アミノ-7-オキソヘプタン酸の6-アミノヘキサナールへの脱炭酸反応(図26、ステップB;図22、ステップF)及び2-アミノ-7-オキソサバレートの2-オキソ-7-アミノヘプタン酸への脱炭酸反応(図26、ステップI)は、アミノ酸デカルボキシラーゼである酵素によって触媒される。リジンデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.18)は、同様の変換を触媒する:リジンを脱炭酸してカダベリンを形成する。この酵素の2つのアイソザイムは、大腸菌のゲノムにおいてcadA遺伝子及びldcC遺伝子にコードされる。cadAは酸耐性に関与し、cadC遺伝子産物による正の制御を受ける(Lemonnierら、Microbiology 144(Pt 3):751-760(1998))。cadCは代替の基質としてヒドロキシリジン及びS-アミノエチルシステインを許容するが、2-アミノピメリン酸及び6-ACAはこの酵素に対して競合的な阻害剤として作用する(Saboら、Biochemistry 13:662-670(1974))。この酵素で2-アミノピメリン酸を脱炭酸するためには、定向進化又は他の酵素を遺伝子工学で操作する方法が必要になり得る。構成的に発現されたldc遺伝子産物は、CadAよりも活性が低い(Lemonnierら、Microbiology 144(Pt 3):751-760(1998))。CadAと類似しているリジンデカルボキシラーゼが、腸炎ビブリオにおいて最近同定された(Tanakaら、J Appl Microbiol 104:1283-1293(2008))。ldcにコードされるセレノモナス・ルミナチウム由来のリジンデカルボキシラーゼは、真核生物のオルニチンデカルボキシラーゼに対して配列類似性を持ち、L-リジン及びL-オルニチンの両方を基質として許容する(Takatsukaら、Biosci. Biotechnol Biochem. 63:1843-1846(1999))。酵素の基質特異性を変化させるために、活性部位の残基が同定され、遺伝子工学で操作された(Takatsukaら、J Bacteriol. 182:6732-6741(2000))。
オルニチンデカルボキシラーゼであるいくつかの酵素(EC 4.1.1.17)は、リジン及び他の同様の化合物に対する活性を示す。そのような酵素は、ニコチアナ・グルチノーサ(Leeら、Biochem. J 360:657-665(2001))、ラクトバチルス種30a(Guirardら、J Biol. Chem. 255:5960-5964(1980))及びビブリオ・バルニフィカス(Leeら、J Biol. Chem. 282:27115-27125(2007))において見出される。ラクトバチルス種30a(Momanyら、J Mol. Biol. 252:643-655(1995))及びV.バルニフィカス由来の酵素が結晶化されている。V.バルニフィカスの酵素は、リジンの脱炭酸を効率的に触媒し、基質特異性に関与する残基が解明されている(Leeら、J Biol. Chem. 282:27115-27125(2007))。同様の酵素が、腟トリコモナスおいて特徴付けられているが、この酵素をコードする遺伝子は分かっていない(Yarlettら、Biochem. J 293(Pt 2):487-493(1993))。
ケト酸デカルボキシラーゼである酵素が、2-オキソ-7-アミノヘプタン酸の6-アミノヘキサナールへの変換(図22のステップF;図26のステップG)及び2-アミノ-7-オキソサバレートの2-アミノ-7-オキソヘプタン酸への変換(図26のステップA)に必要とされる。ケト酸の脱炭酸は、ピルベートデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.1)、ベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.7)、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ及び分岐鎖アルファ-ケト酸デカルボキシラーゼを含めた、様々な基質特異性を有する種々の酵素によって触媒される。ピルベートデカルボキシラーゼ(PDC)は、ケト酸デカルボキシラーゼとも呼ばれ、アルコール発酵において重要な酵素であり、ピルベートのアセトアルデヒドへの脱炭酸を触媒する。出芽酵母由来の酵素は、2-ケトブチレート、2-ケト吉草酸、3-ヒドロキシピルベート及び2-フェニルピルベートを含めた脂肪族2-ケト酸に対して広範な基質範囲を有する(Henningら、Appl. Environ. Microbiol. 72:7510-7517(2006))。この酵素は、大規模に研究され、活性を変化させるために遺伝子工学で操作され、大腸菌において機能的に発現されている(Killenberg-Jabsら、Eur. J. Biochem. 268:1698-1704(2001); Li、H.及びF. Jordan、Biochemistry. 38:10004-10012(1999);及びter Schureら、Appl. Environ. Microbiol. 64:1303-1307(1998))。pdcにコードされるザイモモナス・モビルス由来のPDCも、広範な基質範囲を有し、異なる基質に対する親和性を変化させるための定方向の遺伝子工学による操作の研究の対象になっている(Siegertら、Protein Eng Des Sel 18:345-357(2005))。この酵素の結晶構造が入手可能である(Killenberg-Jabsら、Eur. J. Biochem. 268:1698-1704(2001))。他のよく特徴付けられたPDC候補は、アセトバクター・パスツリアンス(Chandraら、Arch. Microbiol. 176:443-451(2001))及びクルイベロマイセス・ラクチス(Kriegerら、Eur. J. Biochem. 269:3256-3263(2002))由来の酵素を含む。
PDCと同様に、ベンゾイルギ酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.7)は広範な基質範囲を有し、酵素を遺伝子工学で操作する研究の標的となっている。シュードモナス・プチダ由来の酵素が大規模に研究されており、この酵素の結晶構造が入手可能である(Hassonら、Biochemistry 37:9918-9930(1998);及びPolovnikovaら、Biochemistry 42:1820-1830(2003))。シュードモナス・プチダの酵素の活性部位における2つの残基の部位特異的突然変異誘発により、天然に存在する基質及び天然に存在しない基質の親和性(Km)が変化した(Siegertら、Protein Eng Des Sel 18:345-357(2005))。この酵素の性質が、定方向の遺伝子工学による操作によってさらに改変されている(Lingenら、Protein Eng 15:585-593(2002);及びLingenら、ChembioChem. 4:721-726(2003))。mdlCにコードされる緑膿菌由来の酵素も、実験的に特徴付けられている(Barrowmanら、FEMS Microbiology Letters 34:57-60(1986))。シュードモナス・スツッツェリ、シュードモナス・フルオレッセンス及び他の生物体由来の追加的な遺伝子候補を、配列相同性によって推論することができる、又はシュードモナス・プチダにおいて開発された増殖選択系を使用して同定することができる(Henningら、Appl. Environ. Microbiol. 72:7510-7517(2006))。
2-オキソ酸を脱炭酸することができる第3の酵素は、アルファ-ケトグルタル酸デカルボキシラーゼ(KGD)である。このクラスの酵素の基質範囲は今まで研究されていない。結核菌由来のKDC(Tianら、Proc Natl Acad Sci U S. A 102:10670-10675(2005))がGenomaticaにおける他の内部プロジェクトでクローニングされ、機能的に発現されている。しかしながら、これは大きく(約130kD)、GCリッチであるので、株を遺伝子工学で操作するための理想的な候補ではない。KDCの酵素活性は、ブラディリゾビウム・ジャポニクム及びメソリゾビウム・ロティを含めた根粒菌のいくつかの種において検出されている(Greenら、J. Bacteriol. 182:2838-2844(2000))。KDCをコードする遺伝子(複数可)はこれらの生物体において単離されていないが、ゲノム配列が入手可能であり、各ゲノム内のいくつかの遺伝子が推定KDCとしてアノテートされる。ユーグレナ・グラシリス由来のKDCも特徴付けられているが、この活性に関連する遺伝子は今まで同定されていない(Shigeoka及びNakano、Arch. Biochem. Biophys. 288:22-28(1991))。N末端から始まる最初の20個のアミノ酸が配列決定された
(Shigeoka及びNakano、Arch. Biochem. Biophys. 288:22-28(1991))。この遺伝子は、このN-末端配列を含有する候補遺伝子をKDC活性について試験することによって同定することができた。
この反応を触媒するための第4の候補酵素は、分岐鎖アルファ-ケト酸デカルボキシラーゼ(BCKA)である。このクラスの酵素は、鎖長が炭素数3〜6個で変動する種々の化合物に対して作用することが示されている(Oku及びKaneda、J Biol Chem. 263:18386-18396(1988);及びSmitら、Appl Environ Microbiol. 71:303-311(2005))。ラクトコッカス・ラクチスの酵素は、2-オキソブタノエート、2-オキソヘキサン酸、2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタノエート、4-メチル-2-オキソブタノエート及びイソカプロン酸を含めた種々の分岐した基質及び直鎖状基質に対して特徴付けられている(Smitら、Appl Environ Microbiol. 71:303-311(2005))。この酵素は構造的に特徴付けられている(Bergら、Science.318:1782-1786(2007))。ラクトコッカス・ラクチスの酵素とザイモモナス・モビルスのピルベートデカルボキシラーゼとの間の配列アライメントにより、触媒残基及び基質認識残基がほとんど同一であることが示されているので(Siegertら、Protein Eng Des Sel 18:345-357(2005))、この酵素は定方向の遺伝子工学による操作の有望な候補になる。BCKAによるアルファ-ケトグルタル酸の脱炭酸が枯草菌において検出された;しかしながら、この活性は、他の分岐鎖基質に対する活性と比較して低く(5%)(Oku及びKaneda、J Biol Chem. 263:18386-18396(1988))、この酵素をコードする遺伝子は今まで同定されていない。追加的なBCKA遺伝子候補を、ラクトコッカス・ラクチスのタンパク質配列に対する相同性によって同定することができる。この酵素に対する高スコアのBLASTpヒットの多くが、インドールピルベートデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.74)としてアノテートされる。インドールピルベートデカルボキシラーゼ(IPDA)は、植物及び植物細菌においてインドールピルベートのインドールアセトアルデヒドへの脱炭酸を触媒する酵素である。
ヒト及びウシ由来のミトコンドリアの分岐鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ複合体のE1サブユニットに由来する組換え分岐鎖アルファ-ケト酸デカルボキシラーゼである酵素が、大腸菌にクローニングされ、機能的に発現されている(Davieら、J. Biol. Chem. 267:16601-16606(1992); Wynnら、J. Biol. Chem. 267:1881-1887(1992);及びWynnら、J. Biol. Chem. 267:12400-12403(1992))。これらの研究において、著者らは、シャペロニンであるGroEL及びGroESが同時発現することにより、デカルボキシラーゼの特異的な活性が500倍まで増大することを見出した(Wynnら、J. Biol. Chem. 267:12400-12403(1992))。これらの酵素は、2つのアルファサブユニット及び2つのベータサブユニットで構成される。
4.1.2.a ピルベートと、4-アミノブタナールとの縮合(図22、ステップA)又はグルタミン酸-5-セミアルデヒドとの縮合(図27、ステップA)は、ECクラス4.1.2のアルデヒドリアーゼによって触媒される。種々のアルデヒドリアーゼである酵素は、受容体としてピルベートを利用する;しかしながら、供与体として4-アミノブタナール又はグルタミン酸-5-セミアルデヒドを利用することが実証された酵素はない。酵素の4-ヒドロキシ-2-オキソピメリン酸(HODH)アルドラーゼ(EC 4.1.2.-)は、コハク酸セミアルデヒド及びピルベートを縮合して4-ヒドロキシ-2-オキソピメリン酸の形成を触媒する。この酵素は二価の金属イオン依存性のクラスIIアルドラーゼであり、大腸菌C、大腸菌W、及び他の生物体における4-ヒドロキシフェニルアセテートの分解の最終ステップを触媒する。本来の状況では、この酵素は分解性の方向に機能する。逆(縮合)反応は熱力学的に好ましくない;しかしながら、HOHDアルドラーゼを、反応産生物に対して効率的に働く下流経路の酵素と連動させることによって、平衡をシフトさせることができる。そのような戦略は、縮合方向にある他のアルドラーゼの平衡をシフトさせるために有効である(Nagataら、Appl Microbiol Biotechnol 44:432-438(1995);及びPollardら、Appl Environ. Microbiol 64:4093-4094(1998))。hpcHにコードされる大腸菌Cの酵素は、様々なアルデヒド受容体をピルベートと縮合させることができ、最近結晶化された(Reaら、J Mol. Biol. 373:866-876(2007);及びStringfellowら、Gene 166:73-76(1995))。大腸菌Wの酵素は、hpaIにコードされる(Prietoら、J Bacteriol. 178:111-120(1996))。
別のピルベートを利用するアルデヒドリアーゼは、大腸菌においてD-グルカル酸/ガラクタル酸を利用する異化経路に関与するII型アルドラーゼである、2-デヒドロ-3-デオキシグルカル酸アルドラーゼ(DDGA、EC 4.1.2.20)である。この酵素の天然供与体はタルトロン酸セミアルデヒドであるが、この酵素は広範な基質特異性を有し、広範囲のアルデヒドをピルベートと可逆的に縮合させることが示されている(Fishら、Methods Enzymol. 9:529-534(1966))。この酵素の結晶構造が決定されており、触媒機構が提唱されている(Izardら、EMBO J 19:3849-3856(2000))。追加的な候補DDGA酵素は、レプトスピラ・インターロガンス(118)及びスルホロブス・ソルファタリカス(Buchananら、Biochem. J 343 Pt 3:563-570(1999))において見出される。S.ソルファタリカスの酵素は高度に耐熱性であり、大腸菌においてクローニングされ、発現された(Buchananら、Biochem. J 343 Pt 3:563-570(1999))。
4.2.1.a ヒドロリアーゼ。図20及び図22の2つの反応では、デヒドラターゼクラス(EC4.1.2)の酵素が使用される。3-ヒドロキシ-6-アミノピメロイル-CoAの脱水(図20、ステップD)は、エノイル-CoAヒドラターゼによって触媒される。この反応は、天然に起こることが分かっていない;しかしながら、3-ヒドロキシアシル-CoA誘導体を脱水する能力は広範にわたる。エノイル-CoAヒドラターゼ(EC 4.2.1.17)は、様々な3-ヒドロキシアシル-CoA基質の脱水を触媒する(Agnihotriら、Bioorg. Med. Chem. 11:9-20(2003; Conradら、J Bacteriol. 118:103-111(1974)及びRobertsら、Arch. Microbiol 117:99-108(1978))。echにコードされるシュードモナス・プチダのエノイル-CoAヒドラターゼは、3-ヒドロキシブチリル-CoAのクロトニル-CoAへの変換を触媒する(Robertsら、Arch. Microbiol 117:99-108(1978))。追加的なエノイル-CoAヒドラターゼ候補は、P.プチダのphaA及びphaB、並びにP.フルオレッセンス由来のpaaA及びpaaBである(Oliveraら、Proc. Natl. Acad. Sci U. S. A 95:6419-6424(1998))。ロドシュードモナス・パルストリスのpimFの遺伝子産物は、ピメロイル-CoAの分解に関与するエノイル-CoAヒドラターゼをコードすると予想される(Harrisonら、Microbiology 151:727-736(2005))。最後に、maoC(Parkら、J Bacteriol. 185:5391-5397。2003)、paaF(Ismailら、Eur. J Biochem. 270:3047-3054(2003); Parkら、Appl. Biochem. Biotechnol 113-116:335-346(2004)及び(Parkら、Biotechnol Bioeng 86:681-686(2004))及びpaaG(Parkら、J Bacteriol. 185:5391-5397。2003)、paaF(Ismailら、Eur. J Biochem. 270:3047-3054(2003); Parkら、Appl. Biochem. Biotechnol 113-116:335-346(2004)及び(Parkら、Biotechnol Bioeng 86:681-686(2004))を含めたいくつもの大腸菌遺伝子がエノイル-CoAヒドラターゼの機能性を示すことが示されている。
3-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ(EC 4.2.1.55)は、クロトナーゼとも呼ばれ、3-ヒドロキシイソブチリル-CoAを脱水してクロトニル-CoAを形成するエノイル-CoAヒドラターゼである。クロトナーゼである酵素は、一部の生物体、特にクロストリジウム種においてn-ブタノールの形成に必要とされ、スルホロブス属、アシディアヌス属、及びメタッロスパエラ属の好熱好酸古細菌においても、3-ヒドロキシプロピオン酸/4-ヒドロキシブチレート回路の1ステップを構成する。クロトナーゼである酵素をコードする例示的な遺伝子は、C.アセトブチリカム(Atsumiら、Metab Eng. 10:305-311(2008);及びBoyntonら、J Bacteriol. 178:3015-3024(1996))、C.クルイベリ(Hillmerら、FEBS Lett. 21:351-354. 1972))、及びメタッロスパエラ・セドゥラ(Bergら、Science.318:1782-1786(2007))において見出すことができるが、後者の遺伝子の配列は分かっていない。
或いは、大腸菌のfadAの遺伝子産物及びfadBの遺伝子産物は、脂肪酸の酸化に関与する、エノイル-CoAヒドラターゼ活性を示す多酵素複合体をコードする(Nakahigashiら、Nucleic Acids Res. 18:4937(1990); Yangら、J Bacteriol. 173:7405-7406(1991)及びYangら、Biochemistry 30:6788-6795(1991))。fadRにコードされる負の制御因子のノックアウトを、fadB遺伝子産物を活性化するために利用することができる(Satoら、J Biosci.Bioeng 103:38-44(2007))。fadI遺伝子及びfadJ遺伝子は、同様の機能をコードし、嫌気的条件下で天然に発現される(Campbellら、Mol. Microbiol 47:793-805(2003))。
2-オキソ-7-アミノヘプタ-3-エノエートは、2-オキソ-4-ヒドロキシ-7-アミノヘプタン酸の脱水で形成される(図22、ステップB)。2-アミノ-5-ヒドロキシ-7-オキソサバレートの2-アミノ-5-エン-7-オキソサバレートへの脱水(図27、ステップB)は、同様の変換である。これらの正確な反応を触媒する酵素は天然に存在することが分かっていない。同様の反応を触媒する候補酵素は、2-オキソ-4-ヒドロキシ-ヘプタ-1,7-ジオエート(HODH)を2-オキソヘプタ-4-エン-1,7-ジオエート(OHED)に天然に脱水するOHEDヒドラターゼである。HODHは、所望の基質と構造が似ている。この酵素は、補因子としてマグネシウムを必要とする(Burksら、J. Am. Chem. Soc. 120(1998))。OHEDヒドラターゼである酵素候補が、大腸菌C(Izumiら、J Mol. Biol. 370:899-911(2007;及びRoperら、Gene 156:47-51(1995))及び大腸菌W(Prietoら、J Bacteriol. 178:111-120(1996))において同定され、特徴付けられている。配列比較により、様々な細菌、植物及び動物の相同体が明らかになる。高度に似ている配列を有する酵素が、とりわけ、肺炎桿菌(91%の同一性、E値=2×10
-138)及びサルモネラ菌(91%の同一性、E値=4×10
-138)に含有されている。
この反応を触媒するための代替の酵素候補は、フマレートヒドラターゼ(EC 4.2.1.2)としても知られているフマラーゼである。大腸菌は増殖条件によって制御される3つのフマラーゼ:FumA、FumB及びFumCを有する。FumBは、酸素感受性であり、嫌気的条件下でのみ活性である。FumAは微嫌気的条件下で活性であり、FumCは好気的増殖においてのみ活性な酵素である(Guestら、J Gen Microbiol. 131:2971-2984(1985); Tsengら、J Bacteriol 183:461-467(2001)及びWoodsら、Biochim Biophys Acta 954:14-26(1988))。FumCは、酒石酸及びトレオ-ヒドロキシアスパラギン酸を含めた代替の基質を脱水することが示されている(Teipelら、J Biol. Chem. 243:5684-5694(1968))。FumCについての豊富な構造情報が入手可能であり、研究者はこの酵素を首尾よく遺伝子工学で操作して活性、阻害及び局在性を変化させている(Weaverら、D Biol Crystallogr. 61:1395-1401(2005))。追加的なフマレートヒドラターゼである酵素は、大腸菌(Estevezら、Protein Sci 11:1552-1557(2002); Hongら、Biotechnol. BioprocessEng. 9:252-255(2005))及びRoseら、Proc Natl Acad Sci U S. A 101:3393-3397(2004))、コリネバクテリウム・グルタミクム(Gendaら、Biotechnol Biochem. 70:1102-1109(2006))、カンピロバクター・ジェジュニ(Smithら、Cell Biol 31:961-975(1999))、高度好熱菌(Mizobataら、Arch. Biochem. Biophys. 355:49-55(1998))、及びラット(Kobayashiら、J Biochem. 89:1923-1931(1981))において見出される。ペロトマクルム・サーモプロピオニカム由来のMmcBCフマラーゼは、2つのサブユニットを有する別のクラスのフマラーゼである(Shimoyamaら、FEMS Microbiol Lett 270:207-213(2007))。
別の酵素候補は、2-メチルマレートをメサコン酸に天然に脱水する酵素である、シトラマル酸ヒドロリアーゼ(EC 4.2.1.34)である。この酵素は、メタノカルドコッカス・ジャナスキイにおいて、2-オキソブタノエートへのピルビン酸経路との関連で研究されており、広範な基質特異性を有することが示されている(Drevlandら、J Bacteriol. 189:4391-4400(2007))。この酵素活性は、グルタミン酸の分解に関与すると考えられている破傷風様菌(Clostridium tetanomorphum)、モルガン菌(Morganella morganii)、シトロバクター・アマロナチクス(Citrobacter amalonaticus)においても検出された(Katoら、Arch. Microbiol 168:457-463 1997))。M.ジャナスキイのタンパク質配列は、これらの生物体の遺伝子に対して有意な相同性を有さない。
5.4.3.a アミノムターゼ。図21のいくつかの反応には、3位から2位への二級アミンの移動が伴う(図21、ステップP、R、T)。これらの変換を触媒するための有望な酵素候補は、リジンのアミン基を2位から3位に可逆的に移動させ、(3S)-3,6-ジアミノヘキサン酸に天然に変換する酵素である、リジン2,3-アミノムターゼ(EC 5.4.3.2)である。この酵素は、フソバクテリウム・ヌクレアタム(kamA)(Barkerら、J. Bacteriol. 152:201-207(1982))及びクロストリジウム・サブターミナレ(kamA)(Chirpichら、J. Biol. Chem. 245:1778-1789(1970))を含めた、リジンをアセテート及びブチレートに発酵させる細菌において見出される。クロストリジウム・サブターミナレ由来の酵素は結晶化されている(117)。この機能をコードする酵素は、枯草菌のyodOにもコードされる(Chenら、Biochem. J. 348 Pt 3:539-549(2000))。この酵素は、補因子としてピリドキサール5'-リン酸を利用し、S-アデノシルメチオニンによって活性化されることを必要とし、L-リジンに対して立体選択的である。この酵素は、代替の基質と反応することが示されていないので、この酵素を非天然の基質である3-アミノ-7-オキソヘキサン酸、3,7-ジアミノヘプタン酸及び3-アミノピメリン酸と反応させるためには、定向進化又は他の遺伝子工学によって操作する方法が必要とされ得る。例えば、Cargillが、L-アラニンをβアラニンに変換するリジン-2,3-アミノムターゼに由来する新規の2,3-アミノムターゼである酵素を開発した(Liaoら、United States Patent 20050221466(2005))。
2,3-アミノムターゼ活性を有する他の酵素は、チロシン2,3-アミノムターゼ(EC 5.4.3.6)及びロイシン2,3-アミノムターゼ(EC 5.4.3.7)を含む。チロシン2,3-アミノムターゼは、チロシン生合成に関与し、アミンを2位から3位に移動させることによってチロシンを3-アミノ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸に可逆的に変換する。ストレプトマイセス・グロビスポルス(Streptomyces globisporus)では、この酵素がチロシン誘導体とも反応することも示されている(Christensonら、Biochemistry 42:12708-12718(2003));しかしながら、この酵素の配列は未だ入手でできない。ロイシン2,3-アミノムターゼは、ロイシンの生合成及び分解の間にL-ロイシンをベータ-ロイシンに変換する。ロイシン2,3-アミノムターゼに特異的なアッセイにより、多くの生物体において酵素活性が検出されたが(Postonら、Methods Enzymol. 166:130-135(1988))、この酵素をコードする遺伝子は今まで同定されていない。
6.2.1.a 酸-チオールリガーゼ。カルボン酸のアシル-CoA誘導体への活性化は、ECクラス6.2.1のCoA酸-チオールリガーゼ又はCoAシンテターゼによって触媒される(リガーゼ、シンテターゼ、及びシンターゼという用語は、本明細書では互換的に使用され、同じ酵素クラスを指す)。そのような酵素は、チオエステル結合が形成されるエネルギーのコストをATPのADP又はAMPへの加水分解と共役する。いくつかのADP形成CoAリガーゼは、逆方向に反応し、アシル-CoA分子からCoA部分を除去し、同時にATPを形成することが実証されている。可逆的なCoAリガーゼは、6-アミノピメロイル-CoAを脱アシル化するため(図20、ステップI)及び3-オキソピメロイル-CoAを脱アシル化するため(図21、ステップB)に必要とされ、一方で、AMP又はADPを形成するリガーゼにより、3-オキソピメリン酸をアシル化すること(図21、ステップH)、3-アミノピメリン酸をアシル化すること(図21、ステップK)及び2-アミノピメリン酸をアシル化すること(図21、ステップV)ができる。これらの正確な変換を触媒する酵素は今まで特徴付けられていない;しかしながら、広範な基質特異性を有するいくつかの酵素が、文献に記載されている。
ADPを形成するアセチル-CoAシンテターゼ(ACD、EC 6.2.1.13)は、ATPの合成が付随する、アシル-CoAエステルのそれらの対応する酸への変換を共役する酵素である。アーケオグロブス・フルギダス由来のACD Iは、AF1211にコードされ、イソブチレート、イソペンタン酸、及びフマレートを含めた種々の直鎖状基質及び分岐鎖基質に対して作動することが示された(Musfeldtら、J Bacteriol 184:636-644(2002))。アーケオグロブス・フルギダスにおいてAF1983にコードされる第2の可逆的なACDも、広範な基質範囲を有し、環状化合物であるフェニルアセテート及びインドールアセテートに対して高い活性を有することが示された(Musfeldtら、J Bacteriol. 184:636-644(2002))。ハロアーキュラ・マリスモルツイ由来の酵素(スクシニル-CoAシンテターゼとしてアノテートされる)が、プロピオン酸、ブチレート、及び分岐鎖酸(イソ吉草酸及びイソブチレート)を基質として許容し、順方向及び逆方向に作動することが示された(Brasenら、Arch. Microbiol 182:277-287(2004))。超好熱性クレン古細菌門のピロバキュラム・アエロフィラム由来のPAE3250にコードされるACDが、アセチル-CoA、イソブチリル-CoA(好ましい基質)及びフェニルアセチル-CoAと反応し、全ての特徴付けられたACDのうち最も広範な基質範囲を示した(Brasenら、Arch. Microbiol 182:277-287(2004))。定向進化又は定方向の遺伝子工学による操作を使用してこの酵素を宿主生物体の生理的温度で作動するように改変することができる。A.フルギダス、H.マリスモルツイ及びP.アエロフィラム由来の酵素は全て、大腸菌にクローニングされ、機能的に発現され、特徴付けられている(Brasenら、Arch. Microbiol 182:277-287(2004);及びMusfeldtら、J Bacteriol. 184:636-644(2002))。追加的な候補は、大腸菌においてsucCDにコードされる酵素であり、インビボで可逆的な反応である、ATPを1つ消費することを伴うスクシネートからのスクシニル-CoAの形成を天然に触媒する(Buckら、Biochemistry 24:6245-6252(1985))。
別の候補酵素は、グラム陽性細菌におけるビオチンの生合成の間、ピメリン酸をピメロイル-CoAに天然に活性化する、AMPを形成するピメロイル-CoAリガーゼ(EC 6.2.1.14)である。大腸菌にクローニングされた、シュードモナス・メンドシナ由来の酵素は、代替の基質であるヘキサンジオエート及びノナンジオエートを許容することが示された(Biniedaら、Biochem. J 340(Pt 3):793-801(1999))。他のピメロイル-CoAリガーゼ候補は、枯草菌(Bowerら、J Bacteriol. 178:4122-4130(1996))及びリシニバシラス・スフェリカス(以前はバシラス・スフェリカス)(Plouxら、Biochem. J 287(Pt 3):685-690(1992))において見出される。
追加的なCoAリガーゼは、配列が未だ特徴付けられていないラットのジカルボン酸-CoAリガーゼ(Vamecqら、Biochem J 230:683-693(1985))、P.クリソゲナム由来の2種の特徴付けられたフェニル酢酸-CoAリガーゼのいずれか(Lamas-et al.、Maceiras、J 395:147-155(2006);及びWangら、Biophys. Res. Commun. 360:453-458(2007))及びシュードモナス・プチダ由来のフェニルアセテートCoAリガーゼ(Martinez-Blancoら、J Biol. Chem. 265:7084-7090(1990))を含む。マウス(Hasegawaら、Biochim. Biophys. Acta 1779:414-419(2008))及びヒト(Ohgamiら、Biochem. Pharmacol. 65:989-994(2003))由来のアセトアセチル-CoAシンテターゼは、アセトアセテートのアセトアセチル-CoAへのATP依存性の変換を天然に触媒する。
(実施例XXVII)
(6-アミノカプロエートからのヘキサメチレンジアミンの追加的な産生経路)
図24は、HMDAを産生するため追加的な経路を提供し、図13及び上記の実施例XXに付け加えるものである。ステップO及びPの矢印は、それぞれ、6-アミノカプロエートの6-アミノカプロン酸セミアルデヒドへの直接的な変換、及び6-アセトアミドヘキサン酸の6-アセトアミドヘキサナールへの直接的な変換を示す。これらの反応は、ECクラス1.2.1.eのレダクターゼによって触媒される。酵素候補の詳細については、実施例XXVI(EC 1.2.1.e)を参照されたい。
(実施例XXVIII)
(アジペートからの6-アミノカプロエートの産生経路)
図25は、6-ACAを産生するための追加的な経路を提供し、図10及び上記の実施例XVIに付け加えるものである。アジペートのアジペートセミアルデヒドへの変換(図25、ステップX)は、アジペートレダクターゼ機能性を有する酵素によって触媒される。アジペートキナーゼは、アジペートからのアジピルリン酸の形成を触媒する(図25、ステップY)。アジペートセミアルデヒドは、アジピルホスフェートレダクターゼによってアジピルリン酸から形成される(図25、ステップZ)。これらの変換を触媒するための酵素候補は実施例XXVIに記載されている。
(実施例XXIX)
(レブリン酸の産生経路)
レブリン酸(LA)は、4-オキソペンタン酸及び4-ケト吉草酸としても知られており、ナイロン様のポリマー、合成ゴム及びプラスチックの前駆体である。レブリン酸は、メチルテトラヒドロフラン、バレロラクトン及びレブリン酸エチルなどの他の汎用化学製品の前駆体でもある。他の潜在的な適用は、燃料増量剤及び生物分解性の除草剤/殺虫剤としての使用を含む。レブリン酸は、伝統的にセルロース系バイオマスを塩酸及び硫酸などの強酸で処理することによって製造される。このプロセスは、低LA収率及び多数の副産物という不都合を有する。つい最近、セルロース系バイオマスをLA、ギ酸及びフルフラールに理論上の最大の収率70%で変換される、バイオファインプロセス(Biofine Process)が開発された(Hayesら、「biofineプロセス-リグノセルロース系原材料からのレブリン酸、フルフラール及びギ酸の産生(The biofine process-production of levulinic acid, furfural and formic acid from lignocellulosic feedstock)」、p. 139-164. In Biorefineries:Industrial Processes and Products. Wiley、Weinheim、Germany(2006))。本明細書には、微生物生物体を使用して糖又はシンガス原材料からLAを選択的に産生するためのプロセスが記載されている。
グルコースからのLAの最大の理論上の収率は、以下の方程式に従って、利用されたグルコース1モル当たり1.45モルのLA(0.938g/g)である:
グルコース(C6H12O2)+1.27 CO2→1.45 LA(C5H8O3)+0.18 H2O
LAは、中心的な代謝産物であるスクシニル-CoA及びアセチル-CoAから、3つの酵素的ステップで産生される。第1のステップにおいて、アセチル-CoA及びスクシニル-CoAがベータ-ケトチオラーゼによって縮合して3-オキソアジピル-CoAが形成される(図25のステップA)。その後、CoA部分がCoAヒドロラーゼ、トランスフェラーゼ又はリガーゼによって除去される(図25のステップE/F/G)。この経路の最終ステップにおいて、3-オキソアジペートがLAに脱炭酸される(図25のステップAA)。
3-オキソアジペートのLAへの脱炭酸は、酵素的に又は自然発生的に起こり得る。大腸菌では、アミノ酸の生合成の間に産生するいくつかの3-オキソ酸が、自然脱炭酸反応を受けることが示されている(Boylanら、Biochem. Biophys. Res Commun. 85:190-197(1978))。3-オキソアジペートのLAへの脱炭酸を触媒する酵素は、我々の知る限りでは実証されていない。同様の反応を触媒する例示的な酵素候補は、アセトアセテートデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.4)である。adcにコードされる、クロストリジウム・アセトブチリカム由来のアセトアセテートデカルボキシラーゼは、広範な基質特異性を有し、3-オキソペンタン酸、2-オキソ-3-フェニルプロピオン酸及び2-メチル-3-オキソブチレートを脱炭酸することが示されている(Bennerら、J. Am. Chem. Soc. 103:993-994(1981)及びRozzelら、J. Am. Chem. Soc. 106:4937-4941(1984))。アセトアセテートデカルボキシラーゼは、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Ravagnaniら、Mol. Microbiol 37:1172-1185(2000))においても特徴付けられている。無細胞抽出液において特徴付けられたバチルス‐ポリミキサ(Bacillus polymyxa)由来のアセトアセテートデカルボキシラーゼも同様に、3-ケト酸に対して広範な基質特異性を有し、3-オキソペンタン酸を脱炭酸することができる(Matiasekら、Curr. Microbiol 42:276-281(2001))。この酵素をコードする遺伝子は今まで同定されておらず、ポリミキサ菌のゲノム配列は、未だ入手することができない。別のadcは、クロストリジウム・サッカロパーブチルアセトニカムにおいて見出される(Kosaka,ら、Biosci.Biotechnol Biochem. 71:58-68(2007))。
(実施例XXX)
(アジペート、6-ACA及びHMDAを産生するためのインシリコノックアウト戦略)
本実施例では、アジペート6-アミノカプロエート(6-ACA)及びヘキサメチレンジアミン(HMDA)を産生するための遺伝子破壊戦略について記載する。
以下に、アジペート、6-アミノカプロエート(6-ACA)及びヘキサメチレンジアミン(HMDA)産生経路、例えば、前駆体としてスクシニル-CoA及びアセチル-CoAを使用する経路を含有するように遺伝子工学で操作された産生宿主において、適当な遺伝子の破壊又は欠失によって低下させることができる酵素活性のセットを詳細に説明する。
OptKnockは、遺伝的に安定な過剰産生微生物を開発するという全体的な目的で策定された2層の計算枠組みである。詳細には、この枠組みにより、所望の生化学物質が細胞増殖に必須の副産物になるようになる遺伝子操作を提案するために、微生物の完全なネットワークを検査する。戦略的に置かれた遺伝子の破壊又は欠失によって生化学物質の産生と細胞増殖とを連動させることにより、バイオリアクター内での長期間後、遺伝子工学で操作された株に課される増殖の淘汰圧により、強制的な、増殖と共役した生化学物質の産生の結果として性能が改善される。最後に、遺伝子欠失の場合、OptKnockによって選択された遺伝子はゲノムから完全に除去されるので、設計された株がそれらの野生型の状態に戻る可能性は無視できる。
増殖と共役した生化学物質の産生は、インシリコモデルを使用して算出した例示的な代謝ネットワークの生化学物質の産生の限度との関連で視覚化することができる。これらの限界は、制限的な基質(複数可)の取込みの速度(複数可)を、それらの実験的な測定値(複数可)に対して確定し、到達可能な増殖のレベルのそれぞれにおける生化学物質の産生の最高速度及び最低速度を算出することによって得られる。例外は存在するが、一般には所望の生化学物質の産生は、細胞内の資源についてバイオマス形成と直接競合する。したがって、生化学物質の産生の速度を増大させることにより、一般に増殖の速度が最大下になる。OptKnockによって提案されたノックアウトを設計して、野生株から代謝挙動を変化させる許容できる解の範囲を制限する。所与の株についての実際の解の範囲は、基質取込み速度(複数可)が上昇又は低下するにつれて拡大又は収縮するが、各実験点は、それについて算出された解の範囲内にあるべきである。このようなプロットにより、株がそれらの性能限界にどれだけ近いか、言い換えれば、改善する余地がどれだけあるかを視覚化することが可能になる。OptKnock枠組みは、生化学物質の過剰産生のための有望な遺伝子欠失戦略を同定し、天然に代謝及び制御のモデリング枠組みにおける将来の改善をもたらす体系的な枠組みを確立するために使用されている。
スクシニル-CoA及びアセチル-CoAを経由して進行する生合成経路を加えると、増殖と共役したアジペート、6-ACA又はHMDAの産生が実現される宿主生物体を創出するために、存在しないべきである、薄められるべきである、又は排除されるべきである酵素活性のセットを以下に説明する。全ての潜在的な戦略を数え上げるために、各反復時に整数カットと呼ばれる追加的な制約を組み込むことでOptKnockの問題を反復的に解決することを必要とする整数カットと呼ばれる最適化技法を実行する。
OptKnockアルゴリズムを使用して大腸菌の代謝の化学量論モデルに基づいて設計を同定した。仮定は、(i)グルコースの取込み速度が10mmol/gdw/時間であること;(ii)嫌気的条件又は微好気的条件であること;及び(iii)増殖に関連しない維持の最低必要条件が4mmol/gdw/時間であることを含む。表12では、全ての反応化学量論及びこの戦略における欠失のために同定された反応に関連することが知られている関連遺伝子の一覧が提供される。表13では、表12に列挙された反応に関与する全ての代謝産物の略称、対応する名称及び位置が提供される。アジピン酸、6ACA及びHMDAについての増殖と共役した産生の設計が表14〜16に提供されている。表14〜16に示されている産生物の形成速度はmmol/gDCW時間である。基本のグルコースの取込み速度は10mmol/gDCW時間であり、バイオマス形成速度は1/hrのユニットで示されている。これらの表には、特定の戦略でノックアウトされる反応、予測される産生物の収率及びバイオマス収率が列挙されている。設計は、代謝モデルである大腸菌の代謝を使用して同定され、列挙された遺伝子の名称は大腸菌に特異的であるが、代謝を遺伝子工学で操作する戦略を選択する方法及び設計自体は、HMDA、6-ACA又はアジペートを産生する生物体のいずれに対しても適用可能である。したがって、設計は、本質的に、増殖に共役したアジペート、6ACA及びHMDAの産生をもたらすために微生物において活性が排除されるべき、薄められるべき、又は存在しないべきである酵素変換の一覧である。
設計の最終的な選択に優先順位をつけるための重要な判断基準は、産生物のそれぞれの増殖と共役した収率であった。これを検査するために、各戦略について、上記の通り、異なるバイオマス形成速度における産生物の収率をまず最大化し、その後最小化することによって産生についての円錐を構築した。突然変異体ネットワークの全ての可能性のある表現型の一番右の境界が単一の点であれば、それは、産生物の唯一の最適収率が、ネットワークにおいて可能性のある最大のバイオマス形成速度におけることを意味する。他の場合では、ありそうな表現型の一番右の境界が垂直線であり、これはバイオマスが最大の時点でネットワークにおいて、垂直線の一番下の点における最低量を含めた、算出された範囲内のあらゆる量の産生物が生産され得ることを示している。そのような設計には低い優先度が与えられた。
下記の代謝を遺伝子工学で操作する戦略では、生物体が、スクシニル-CoA及びアセチル-CoAを使用する経路を経由してアジペート、6-ACA又はHMDAを産生することができると仮定する。これらの産生物をその経路を経由して産生することができる組換え宿主生物体の構築が本明細書に記載されている。
株の構築:本報告において提唱された計算による予測を検証するために、株を構築し、進化させ、試験した。スクシニル-CoA-アセチル-CoA経路を収容する大腸菌K-12 MG1655が、欠失を導入する株として役立つ。この株を、Datsenko及びWannerのλRedリコンビナーゼシステム(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97(12):6640-6645 2000))による相同組換えを使用してインフレームの欠失を組み込むことによって構築する。この手法は、染色体の配列、すなわち、除去の標的遺伝子を、それ自体は後で除去される選択可能な抗生物質耐性遺伝子と置き換えることを含む。ノックアウトを、レシピエント株に1つずつ組み入れる。各欠失後に抗生物質耐性マーカーは残存せず、各標的株に多数の突然変異が蓄積可能になる。構築された突然変異体が野生型に戻る可能性が実質的に減少するように、欠失技術によって除去の標的遺伝子を完全に除去する。
振とうフラスコでの特徴付け:中間体株が構築されたら、株の性能を振とうフラスコ発酵を実施することによって定量化する。フラスコをゴムの中隔で密閉し、次いで培地に窒素を散布することによって嫌気的条件を得る。厳密な嫌気的条件下で増殖が観察されない株については、フラスコをホイルで覆い、通気を制限するための小さな穴をつついて開けることによって微好気的条件を適用することができる。全ての実験を、別段の指定のない限り、グルコースを補充したM9最小培地を使用して実施した。前培養物を一晩増殖させ、指数関数的な増殖の間に測定値を取る新鮮な回分培養の種菌として使用する。増殖速度を、分光光度計を使用して光学密度を測定することによって決定し(600nm)、グルコースの取込み速度を、炭素源の消耗を経時的にモニタリングすることによって決定する。産生物、エタノール及び有機酸を、ルーチン的な手順を使用したGC-MS又はHPLCによって分析する。各株について3連の培養物を増殖させた。
回分発酵槽試験:選択株の性能を、嫌気性であり、pH調節した回分発酵において試験した。これにより、全ての産生物の増殖速度、グルコースの取込み速度及び形成速度の信頼できる定量化が可能になるだけでなく、酸性の発酵産生物の蓄積によって細胞増殖が制限されないことが確実になる。さらに、ベンチマーキングの株性能において最も重要なパラメータのうちの2つである、産生物の形成の容積測定的な生産性及び収率を正確に決定することが可能になる。発酵は、温度調節及びpH調節を備えた、可動容積が600 mLである1Lのバイオリアクターにおいて行う。リアクターにN2をおよそ0.5 L/分で継続的に散布して、溶存酸素(DO)レベルが検出レベルを下回ったままになることを確実にする。培地は、発酵容器において実現可能な高い細胞密度に応じてグルコース濃度を増加させる以外は上記と同じである。
ケモスタット試験:ケモスタット実験を行って、発酵の様式を回分から連続に切り換えたことが、産生物の収率及び容積測定的な生産性にどのように影響するかを直接測定した。回分様式を使用する上記のバイオリアクターを、培地を連続的に供給し、消費された培養物を除去することによりケモスタット様式で作動させた。入口の流速を、バッチ内の各株について観察される最大の増殖速度の80%の一定の希釈率が維持されるように設定し、レベルを維持するように出口の流れを調節する。グルコースは培地中の制限栄養素であり、容器内で所望の光学密度が実現されるように設定する。
適応進化:ノックアウト株は、最初、それらの代謝ネットワークが、それらが欠損している機能について調整されるまで最適以下の増殖速度を示すと予想される。この調整が可能となるように、株を適応的に進化させる。株を適応進化に供することにより、細胞増殖速度が第1の淘汰圧になり、突然変異体の細胞は、それらの増殖速度を増大させるためにそれらの代謝フラックスを再配置することを余儀なくされる。この代謝の再プログラミングが、インシリコモデルによって先験的に予測された増殖速度に達するように種々の基質に対して適応的に進化させたいくつかの大腸菌突然変異体について最近実証された(Fong及びPalsson、Nat. Genet. 36(10):1056-1058(2004)。OptKnockにより生成した株は、以前大腸菌において、潜在的に一方の株が他方の株に対して優れた産生の質を有するようになり得る異なる進化パターンが立証されたので、3連で適応的に進化させる(並行して実行する)(Fong及びPalsson、Nat Genet. 36(10):1056-1058(2004); Fongら、J. Bacteriol. 185(21):6400-6408(2003); Ibarraら、Nature 420(6912):186-189(2002))。進化は、達成される増殖速度の改善に応じて、2〜6週間実行する。一般に、安定した表現型が得られたら進化を停止させる。OptKnock手法の背後にある増殖と共役した生化学物質の産生の概念により、遺伝的に安定な過剰産生体の生成がもたらされる。
欠失セットとして記載したが、本明細書に開示されているように、遺伝子セットを、それがコードする遺伝子産物の活性が減少する又は排除されるように欠失させる又は破壊することができることが理解される。したがって、表14〜16の遺伝子の欠失セットを使用して、6-ACA、アジペート及び/又はHMDAの産生を増加させることが望ましい宿主生物体における遺伝子セットを欠失させる又は破壊することができる。開示されている遺伝子欠失セットのいずれも、6-ACA、アジペート及び/又はHMDAの産生の増加を付与する、遺伝子が破壊された又は欠失したノックアウト株を生成するために使用することができることが理解される。
表12:表1及び2に列挙されている戦略において欠失が同定された反応と関連することが知られている全ての反応化学量論及び関連遺伝子の一覧
表13: 表12に列挙されている反応に関与する全ての代謝産物の略称、対応する名称及び位置の一覧
表14. 6-ACAの産生を増加させるためのノックアウト株の設計であり、6-ACAの収率及びバイオマスの収率が示されている。
表15. アジペートの産生を増加させるためのノックアウト株の設計であり、アジペートの収率及びバイオマスの収率が示されている。
表16. HMDAの産生を増加させるためノックアウト株の設計であり、HMDAの収率及びバイオマスの収率が示されている。
6-ACAの産生を増大させるための最小の遺伝子欠失セット。アセチル-CoA及びスクシニル-CoAを経由する6-ACA経路を有する微生物における6-アミノカプロエート(6-ACA)産生を改善するための株の設計戦略を上記した。表14に記載の6-ACAを産生するための株の設計の広範囲にわたる分析に基づいて、増殖と共役した6-ACAの産生に必要とされる欠失の最小セットが同定されている。ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PPCK)は可逆的であると仮定したことに注意されたい。
簡単に述べると、競合副産物である、エタノール及びラクテートの形成を妨げるために、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)における欠失が必要とされる。したがって、最小の欠失セットは、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)の欠失を含む。追加的な欠失株は、ADHEr及びLDH_Dに加えて、以下の活性の少なくとも1つを欠く株を含む:マレートデヒドロゲナーゼ(MDH)、アスパルターゼ(ASPT)、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)。そのような追加的な欠失により、産生と細胞増殖との密接な連動がもたらされる。図28〜31に、少なくともADHEr及びLDH_Dが欠失している欠失突然変異体についての算出された6-ACA収率対増殖収率を示す(図28)。追加的な欠失を有する株についての算出された収率は、図29〜31に示されている。
追加的な欠失の最小セットは、ホスホグルコイソメラーゼ(PGI)を含む。この設計は、ペントースリン酸経路を経由する還元等価物を生成することに焦点を当てている。追加的な有利な欠失は:アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)、ヘキソキナーゼ(HEX1)、2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコン酸アルドラーゼ(EDA)及びホスホグルコン酸デヒドラターゼ(PGDHy)のいずれかを含む。図32〜34に、少なくともPGIを欠失している欠失突然変異体についての算出された6-ACA収率対増殖収率が示され、追加的な例示的な突然変異体を図32〜34に示す。
予測される株の設計により産生物の形成とバイオマス形成とが十分に連動しないことが決定された場合、又は産生物の形成とバイオマスの形成との連動の効率を上昇させるために、これらの株のそれぞれに追加的な欠失を補充することができる。或いは、増殖条件下で有意な活性を有することが知られていない他の一部の酵素が、適応進化又はランダム突然変異誘発によって活性になる可能性がある。そのような酵素活性も、ノックアウトすることができる。例えば、スクシネートをフマレートに酸化し、好気的条件下でのみ活性であることが知られているスクシネートデヒドロゲナーゼは、嫌気的条件下でさえ有意な活性を仮定することができ、したがって、そのような活性をノックアウトすることができる。しかしながら、本明細書で提供される遺伝子欠失セットの一覧は、高収率の、増殖と共役した6-ACA産生株を構築するための優良な出発点として役立つ。
アジペートの産生を増大させるための最小の遺伝子欠失セット。アセチル-CoA及びスクシニル-CoAを経由するアジペート経路を有する微生物におけるアジペート産生を改善するための株の設計戦略を上記した。表15に記載のアジペートを産生するための株の設計の広範囲にわたる分析に基づいて、ネットワークにおける増殖と共役したアジペートの産生に必要とされる欠失の最小セットが同定されている。ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PPCK)はネットワークにおいて可逆的であると仮定したことに注意されたい。
簡単に述べると、競合副産物である、エタノール及びラクテートの形成を妨げるために、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)における欠失が必要とされる。したがって、最小の欠失セットは、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)の欠失を含む。追加的な欠失株は、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)に加えて、以下の活性の少なくとも1つを欠く株を含む:フマラーゼ(FUM)、ホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)、PEPカルボキシキナーゼ(PPCK)、ヘキソキナーゼ(HEX1)、マレートデヒドロゲナーゼ(MDH)及びNADHデヒドロゲナーゼ(NADH6)。
増殖と共役したアジペートの形成を改善するために、OptKnock枠組みによって追加的な欠失が同定されている。これらは、以下の1以上を含む:リンゴ酸酵素(ME2)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASPT)、アセテートキナーゼ(ACKr)、ホスホトランスアセチラーゼ(PTAr)、ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)、トランスヒドロゲナーゼ(THD2)、及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)、並びにグルコースの取込みのPTS系(GLCpts)。収率のさらなる改善は、以下の酵素のいずれかの追加的な欠失によって実現することができる:ATPシンターゼ(ATPS4r)、ホスホグルコン酸デヒドラターゼ(PGDHY)、2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコン酸アルドラーゼ(EDA)、6-ホスホグルコノラクトナーゼ(PGL)、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDHY)、及びホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(PGDH)。
予測される株の設計により産生物の形成とバイオマス形成とが十分に連動しないことが決定された場合、又は産生物の形成とバイオマスの形成との連動の効率を上昇させるために、これらの株のそれぞれに追加的な欠失を補充することができる。或いは、増殖条件下で有意な活性を有することが知られていない他の一部の酵素が、適応進化又はランダム突然変異誘発によって活性になる可能性がある。そのような酵素活性も、ノックアウトすることができる。しかしながら、本明細書で提供される遺伝子欠失セットの一覧は、高収率の、増殖と共役したアジペート産生株を構築するための優良な出発点として役立つ。
HMDAの産生を増大させるための最小の遺伝子欠失セット。アセチル-CoA及びスクシニル-CoAを経由するヘキサメチレンジアミン(HMDA)経路を有する微生物におけるHMDA産生を改善するための株の設計戦略を上記した。表16に記載のHMDAを産生するための株の設計の広範囲にわたる分析に基づいて、ネットワークにおける増殖と共役したHMDAの産生に必要とされる欠失の最小セットが同定されている。ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PPCK)はネットワークにおいて可逆的であると仮定したことに注意されたい。
簡単に述べると、競合副産物である、エタノール及びラクテートの形成を妨げるために、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)における欠失が必要とされる。したがって、最小の欠失セットは、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)の欠失を含む。追加的な欠失株は、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ADHEr)及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)に加えて、以下の活性の少なくとも1つを欠く株を含む:フマレートレダクターゼ(FRD2)、フマラーゼ(FUM)、ホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)、又はPEPカルボキシキナーゼ(PPCK)。
増殖と共役したHMDAの形成を改善するために、OptKnock枠組みによって追加的な欠失が同定されている。これらは、以下の1以上を含む:ヘキソキナーゼ(HEX1)、リンゴ酸酵素(ME2)、マレートデヒドロゲナーゼ(MDH)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(ASPT)、アセテートキナーゼ(ACKr)、ホスホトランスアセチラーゼ(PTAr)、ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)、及びピルベートキナーゼ(PYK)。HMDAの収率は、1以上の以下の酵素をさらに欠失させることによってさらに改善することができる:トランスヒドロゲナーゼ(THD2)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLUDy)、ATPシンターゼ(ATPS4r)、GLCpts(グルコースの取込みのPTS系)、PGDHY(ホスホグルコン酸デヒドラターゼ)及びEDA(2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコン酸アルドラーゼ)。
予測される株の設計により産生物の形成とバイオマス形成とが十分に連動しないことが決定された場合、又は産生物の形成とバイオマスの形成との連動の効率を上昇させるために、これらの株のそれぞれに追加的な欠失を補充することができる。或いは、増殖条件下で有意な活性を有することが知られていない他の一部の酵素が、適応進化又はランダム突然変異誘発によって活性になる可能性がある。そのような酵素活性も、ノックアウトすることができる。例えば、スクシネートをフマレートに酸化し、好気的条件下でのみ活性であることが知られているスクシネートデヒドロゲナーゼは、嫌気的条件下でさえ有意な活性を仮定することができ、したがって、そのような活性をノックアウトすることができる。しかしながら、本明細書で提供される遺伝子欠失セットの一覧は、高収率の、増殖と共役したHMDA産生株を構築するための優良な出発点として役立つ。
増殖に共役したアジペートの産生のためのOptknock株の設計。株を、スクシニル-CoA経路を使用してアジペートが合成されるように遺伝子工学で操作するための欠失戦略のさらなる例証を以下に記載する。アジペートを合成するための優先度が高い増殖と共役した設計は全て、上記の通り、発酵副産物の形成を妨げるために、アセチルアルデヒドCoAデヒドロゲナーゼ(ADHEr)活性及びラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH_D)活性を欠く株に基づく。マレートデヒドロゲナーゼ(MDH)のさらなる欠失によっても、副産物の産生が減少する。図35に、野生型大腸菌(黒色)の増殖と共役したアジペート産生の特性と比較した、優先度が高い株設計(灰色)の増殖と共役したアジペート産生の特性を示す。グルコースの取込み速度は10mmol/gDW/時間と仮定する。ADHEr活性、LDH_D活性及びMDH活性を欠乏した株(図35の設計1)により、バイオマス収率が最大時に、利用されたグルコース1グラム当たりアジペート0.51グラム(g/g)のアジペート収率が実現されることが予想される。
設計2〜4は、設計1を基本設計としてそれに基づく。設計2は、ホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ(PPCK)の除去を必要とする。この設計により、バイオマス収率が最大時のアジペート収率が3.6g/gに改善される。設計3におけるピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFLi)活性の追加的な欠失により、副産物としてのギ酸の分泌が妨げられることによって収率がさらに改善される。この設計の予測されるアジペート収率は5.8g/gである。設計4は、ADHEr、LDH_D、MDH、PPCK及びPFLiに加えて、NAD(P)トランスヒドロゲナーゼ(THD2)の欠失を特徴とする。これにより、増殖速度が0.117 1/時間の時、6.8g/gのアジペート収率がもたらされる。設計4は、アジペート産生を細胞増殖としっかりと連動させる働きをし、理論上の最大の収率91%を実現する。
(実施例XXXI)
(アジペートからのアジペートセミアルデヒドの生合成及び6-アミノカプロエートからの6-アミノカプロン酸セミアルデヒドの生合成)
本実施例では、アジペートからのアジペートセミアルデヒドの生合成的な産生及び6-アミノカプロエートからの6-アミノカプロン酸セミアルデヒドの生合成的な産生について記載する。
アジペートからアジペートセミアルデヒドへの変換(図25、ステップX)は、カルボン酸レダクターゼ(CAR)によって触媒することができる。これは、以下の結果によって実証された。F'pKLJ33sを有する大腸菌株ECKh-422の化学的にコンピテントな細胞(ΔadhE、ΔldhA、ΔpflB、ΔlpdA、肺炎桿菌::Ε354K、Δmdh、ΔarcA、gltA-R163Lから組み入れられたlpdA)を、種々のCAR遺伝子(表17)を有するpZs*13sプラスミド、又はいずれのCAR遺伝子も有さない対照プラスミドで形質転換した。形質転換体の単一コロニーを選択し、LB中、37℃で100μg/mlのカルベネシリン(carbenecillin)及び10μg/mlのクロラムフェニコールと一緒に一晩増殖させた。細胞を1:50の比率で継代培養し、200μMのIPTGと一緒に、0.6のOD600でインキュベートした。細胞を回収する前に5時間、37℃でインキュベートした。細胞培養物を15mlの試料に分注し、ペレット化した。細胞ペレットを、アッセイに使用するまで-80℃で保管した。
表17. 本実施例で使用したCAR遺伝子
細胞ペレットを、500μlのB-PERを0.5μlのリゾチーム及びベンゾナーゼと一緒に加えることによって溶解させた。粗溶解物2μlを、総容量250μlの96ウェル形式のマイクロプレート中、50mM Tris(pH 7.2)、1mM EDTA、10mM MgCl2、1mM DTT、10%(v/v)グリセロール、1mM ATP、0.5mM NADPH及び20mMアジペート又は50mM 6-アミノカプロエートのアッセイ溶液に加えることによってCAR活性を測定した。NADPHのNADP+への酸化を、室温で30分間、340nmの吸光度でモニターした。NADPH枯渇速度を用いて種々のCARタンパク質の活性を算出した。Bradfordによって各溶解物の総タンパク質濃度を決定し、活性を総タンパク質濃度に対して正規化した(ユニット/mg)。
アジペートからアジペートセミアルデヒドへの変換(図24、ステップ)。図36に示されるように、基質としてアジペートを使用する有意なCAR活性がCAR遺伝子の889及び891の両方で観察されたが、一方対照の溶解物はCAR活性を示さなかった。
さらに、500μlの50mM Tris(pH 7.2)、1mM EDTA、10mM MgCl2、1mM DTT、10%(v/v)グリセロール、5mM ATP、3mM NADPH及び20mMアジペートからなる反応を設定した。反応を室温で30分間インキュベートし、1%のギ酸を加えることによって停止させた。次いで試料を遠心分離し、上清をLC-MSによって分析した。低mMレベルのアジペートセミアルデヒドが検出され、それによりアジペートからアジペートセミアルデヒドへの変換が確認された。
6-アミノカプロエートから6-アミノカプロン酸セミアルデヒドへの変換。図37に示されるように、基質として6-アミノカプロエートを使用する有意なCAR活性が、いくつかのCAR遺伝子、720、889、890、891及び892で観察されたが、一方対照の溶解物はCAR活性を示さなかった。これらの結果は、6-アミノカプロエートから6-アミノカプロン酸セミアルデヒドへの変換を示唆している。
本出願全体を通して、種々の刊行物を参照してきた。これらの刊行物の開示は、本発明が関する技術分野の現状を十分に説明するために、これによってそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれる。本発明は上に提供した実施例を参照して記載してきたが、種々の改変が、本発明の主旨から逸脱することなく行われてよいことが理解されるべきである。