JP5773131B2 - チオール基含有シルセスキオキサンの製造方法ならびにチオール基含有シルセスキオキサンを含む硬化性樹脂組成物、当該硬化物、およびこれらから誘導される各種物品 - Google Patents
チオール基含有シルセスキオキサンの製造方法ならびにチオール基含有シルセスキオキサンを含む硬化性樹脂組成物、当該硬化物、およびこれらから誘導される各種物品 Download PDFInfo
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Description
硬化性樹脂組成物を所望の基材にコーティングし、熱硬化および/または紫外線硬化させることでコーティング層を得ることができる。基材としては、ガラス、鉄、アルミニウム、銅、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の無機基材、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PSt)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等の有機基材など、各種公知のものを適宜に選択使用できる。また、硬化性樹脂組成物を溶剤希釈することで、コーティング性をある程度向上させることもできる。上述のような熱硬化性樹脂組成物をコーティングし、熱硬化および/または紫外線硬化させることで、導光板、偏光板、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、OHPフィルム、光ファイバー、カラーフィルター、光ディスク基板、レンズ、液晶セル用プラスチック基板、プリズム等にコーティング層を形成させることができる。また、硬化性樹脂組成物から得られるコーティング層の屈折率が基材の屈折率よりも高い場合には、反射防止効果を付与することができる。また、紫外線硬化性樹脂組成物の場合、露光部分が目的の形状となるよう紫外線照射した後、未露光部分を除去することで、パターンを付与することもできる。
所定の基材間に硬化性樹脂組成物を介在させ、ついで該組成物を熱硬化および/または紫外線硬化させることで目的とする接着層を得ることができる。基材としては、前記のコーティング層形成時に用いたものと同様のものを使用できる。ただし、接着層を紫外線硬化させるためには、少なくとも片面が熱または紫外線を透過する必要がある。また、接着層の発泡を防ぐため、前述のように硬化性樹脂組成物中の揮発成分を10%未満、好ましくは5%未満にするか、張り合わせ前に揮発分を除去しておくことが好ましい。上述のような硬化性樹脂組成物で接着することで、接着層が透明な接着物が得られるため、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、カラーフィルター、光ディスク基板等を作製するのに好適である。
硬化性樹脂組成物を厚膜塗布し、または所定の型枠に流し込んだ後、熱硬化および/または紫外線硬化させることで、透明な硬化物で封止された封止物品を得ることができる。このような材料は、発光素子、受光素子、光電変換素子、光伝送関連部品等の光学部品用途に、特に好適である。当該成形硬化物を作製する際には、前述のように、該組成物中に光硬化触媒や光増感剤を適量配合することや、該組成物中の揮発分含有率を10%未満、好ましくは5%未満にすることが好ましい。
硬化性樹脂組成物をガラスクロス(基材)に含浸させ、熱硬化および/または紫外線硬化させることで透明基板を得ることができる。ガラスクロスとしては各種公知のものを適宜に選択使用できる。ガラスクロスとしては、各種公知のガラス繊維(Eガラス、Cガラス、ECRガラスなどから構成されるストランド、ヤーン、ロービングなど)から得られる各種の布帛が使用できるが、Eガラスから作られるガラスクロスが安価であり、入手性に優れるため特に好ましい。硬化性樹脂組成物をガラスクロスに含浸させる方法についても特に限定はされず、各種公知の方法を採用でき、またコーティング法を採用してもよい。また、得られる透明基板を無色透明とするためには、硬化性樹脂組成物から得られる硬化物とガラスクロスとの屈折率の差を0.010以内にすることが好ましく、0.005以内にすることがより好ましく、実質的に同一にすることがさらに好ましい。また、硬化性樹脂組成物を溶剤希釈することで、ガラスクロスへの含浸性をより向上させることもできる。なお、ガラスクロスに対する熱硬化性樹脂組成物の使用割合は、得られる透明基板の用途に応じて適宜に決定でき、通常はガラスクロス100重量部あたり20〜500重量部とされる。また得られる透明基板の厚みも、該用途に応じて適宜に決定でき、通常は20μm〜1mmとされる。上述のような熱硬化性樹脂組成物をガラスクロスに含浸させ、熱硬化させることで得られる透明基板は、透明性、耐熱性に優れるため、導光板、偏光板、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、カラーフィルター、光ディスク基板、液晶セル用プラスチック基板等にコーティング層を作製するのに好適である。
攪拌機、冷却管、分水器、温度計、滴下ロート、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名「KBM−803」)300g、イオン交換水162.8g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=2.0)、陽イオン交換樹脂6.0g(三菱化学(株)製:商品名「ダイヤイオンPK228LH」、H型強酸性陽イオン交換樹脂)を仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応中、発熱によって最大28℃温度上昇した。反応後、陽イオン交換樹脂をろ別した後、70℃、20kPaで3時間減圧することで、加水分解物を228g得た。これをエチレングリコールジメチルエーテル82gで希釈し、加水分解物溶液を310g得た。
続いて別の反応容器にエチレングリコールジメチルエーテルを325.9g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液を1.25g仕込み、80℃に加熱した。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドはエチレングリコールジメチルエーテルに溶解せず、やや濁ったようになっている。ここに先の加水分解物溶液300gを、2時間30分かけて滴下した。滴下中にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが溶解し、反応液はクリアになった。滴下後さらに15分間80℃で反応させた後、25℃に冷却した。25℃ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが溶解せず、反応液はやや濁ったようになった。ここに陽イオン交換樹脂6.4g仕込み、室温で4時間撹拌した。撹拌中にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが吸着され、反応液はクリアになった。陽イオン交換樹脂をろ別した後、70℃、20kPaで2時間、さらに70℃、0.7kPaで1時間減圧することで、チオール基含有シルセスキオキサン溶液(A−1)を196g得た。赤外分光法による分析を行ったところ、3500cm−1付近に見られるシラノール基の吸収は全く存在しなかった。また、核磁気共鳴法による分析でも、シラノール基は見られず、[アルコキシ基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0であった。また、濃度は94.7%、チオール当量は、133g/eqであった。
実施例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン100g、メチルトリメトキシシラン48.5g([成分(a2)のモル数]/[成分(a1)と成分(a2)の合計モル数]=0.41)、イオン交換水19.9部([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)、(a2)に含まれるアルコキシ基のモル数の合計](モル比)=0.45)、陽イオン交換樹脂3.0gを仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応中、発熱によって最大12℃温度上昇した。これをエチレングリコールジメチルエーテル74gで希釈し、加水分解物溶液を201g得た。
続いて別の反応容器にエチレングリコールジメチルエーテルを89g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液を0.56g仕込み、80℃に加熱した。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドはエチレングリコールジメチルエーテルに溶解せず、やや濁ったようになっている。ここに先の加水分解物溶液191gを、2時間30分かけて滴下した。滴下中にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが溶解し、反応液はクリアになった。滴下後さらに15分間80℃で反応させた後、25℃に冷却した。25℃ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが溶解せず、反応液はやや濁ったようになった。ここに陽イオン交換樹脂2.9g仕込み、室温で4時間撹拌した。撹拌中にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが吸着され、反応液はクリアになった。陽イオン交換樹脂をろ別することで、チオール基含有シルセスキオキサン溶液(A−2)を280g得た。赤外分光法による分析を行ったところ、3500cm−1付近に見られるシラノール基の吸収は全く存在しなかった。また、核磁気共鳴法による分析でも、シラノール基は見られず、[アルコキシ基のモル数]/[成分(a1)、(a2)に含まれるアルコキシ基のモル数の合計](モル比)は0.1であった。また、濃度は30.2%、チオール当量は、579g/eqであった。
実施例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン100g、フェニルトリメトキシシラン50.5g(信越化学工業(株)製:商品名「KBM−103」)([成分(a2)のモル数]/[成分(a1)と成分(a2)の合計モル数]=0.33)、イオン交換水81.4部([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)、(a2)に含まれるアルコキシ基のモル数の合計](モル比)=0.45)、陽イオン交換樹脂3.1gを仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応中、発熱によって最大24℃温度上昇した。反応後、70℃、20kPaで3時間減圧することで、加水分解物を115g得た。これをエチレングリコールジメチルエーテル150gで希釈し、加水分解物溶液を265g得た。
続いて別の反応容器にエチレングリコールジメチルエーテルを62g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液を0.62g仕込み、80℃に加熱した。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドはエチレングリコールジメチルエーテルに溶解せず、やや濁ったようになっている。ここに先の加水分解物溶液247gを、2時間30分かけて滴下した。滴下中にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが溶解し、反応液はクリアになった。滴下後さらに15分間80℃で反応させた後、25℃に冷却した。25℃ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが溶解せず、反応液はやや濁ったようになった。ここに陽イオン交換樹脂2.9g仕込み、室温で4時間撹拌した。撹拌中にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが吸着され、反応液はクリアになった。陽イオン交換樹脂をろ別することで、チオール基含有シルセスキオキサン溶液(A−3)を306g得た。赤外分光法による分析を行ったところ、3500cm−1付近に見られるシラノール基の吸収は全く存在しなかった。また、核磁気共鳴法による分析でも、シラノール基は見られず、[アルコキシ基のモル数]/[成分(a1)、(a2)に含まれるアルコキシ基のモル数の合計](モル比)は0であった。また、濃度は30.7%、チオール当量は、632g/eqであった。
実施例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン180g、イオン交換水49.55g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=1.0)、95%ギ酸9.00gを仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応中、発熱によって最大22℃温度上昇した。反応後、トルエン272.23gを仕込み、加熱した。72℃まで昇温したところで、加水分解によって発生したメタノールとトルエンの一部が留去され始めた。20分かけて75℃まで昇温し、縮合反応させて水を留去した。さらに1時間、75℃で反応させた後、70℃、20kPaで減圧して、残存するメタノール、水、ギ酸を留去した。さらに70℃、0.7kPaで減圧して、トルエンを留去することで、ランダム型のシルセスキオキサン(a−1)を124.5g得た。赤外分光法による分析を行ったところ、3500cm−1付近にシラノール基の吸収が弱く見られた。また、核磁気共鳴法による分析では、[シラノール基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.08、[アルコキシ基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.08であった。また、濃度は93.7%、チオール当量は、136g/eqであった。
実施例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン18g、イオン交換水4.79g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=1.0)、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.22gを仕込み、室温で反応させた。反応中、発熱が生じ、徐々に白濁、増粘した。30分後、ゲル化したため、チオール基含有シルセスキオキサンは得られなかった。
実施例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン18g、イオン交換水4.79g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=1.0)、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.22g、エチレングリコールジメチルエーテル30gを仕込み、室温で反応させた。反応中、発熱が生じ、徐々に増粘した。30分後、陽イオン交換樹脂を1.1g仕込み、室温で4時間撹拌してテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを除去した。
続いて別の反応容器にエチレングリコールジメチルエーテルを32.6g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液を0.13g仕込み、80℃に加熱した。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドはエチレングリコールジメチルエーテルに溶解せず、やや濁ったようになっている。ここに先の加水分解物溶液を滴下したところ、徐々に増粘し、滴下終了前にゲル化したため、チオール基含有シルセスキオキサンは得られなかった。
実施例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン18g、イオン交換水4.79g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=1.0)、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.22g、エチレングリコールジメチルエーテル30gを仕込み、室温で反応させた。反応中、発熱が生じ、徐々に増粘した。30分後、陽イオン交換樹脂を1.1g仕込み、室温で4時間撹拌してテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを除去した。
続いて別の反応容器にトルエンを32.6g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液を0.13g仕込み、80℃に加熱した。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドはトルエンに溶解せず、反応容器中にへばりついたようになっている。ここに先の加水分解物溶液を滴下したところ、白濁し、固体が生じたため、チオール基含有シルセスキオキサンは得られなかった。
実施例1と同様の反応装置に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン18g、イオン交換水4.79g([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=1.0)、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.22g、エチレングリコールジメチルエーテル30gを仕込み、室温で反応させた。反応中、発熱が生じ、徐々に増粘した。30分後、陽イオン交換樹脂を1.1g仕込み、室温で4時間撹拌してテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを除去した。
続いて別の反応容器にトルエンを32.6g、トリエチルアミンを0.10g仕込み、80℃に加熱した。ここに先の加水分解物溶液を2時間30分かけて滴下し、さらに15分80℃で反応させた。赤外分光法による分析を行ったところ、3500cm−1付近に
シラノール基の吸収が強く見られたため、さらに110℃で4時間反応させた。得られたものの赤外分光法による分析を行ったところ、3500cm−1付近にシラノール基の吸収が弱く見られた。また、核磁気共鳴法による分析では、[シラノール基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.03、[アルコキシ基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0であった。GPCを測定したところ(A−1)対比大幅に高分子量化しており、高分子量のランダム型、あるいはラダー型シルセスキオキサンが生成たため、かご型のシルセスキオキサンが得られていないことが分かった。
実施例1〜3、比較例1で得られたチオール基含有シルセスキオキサンをマヨネーズビンに取って50℃に加温し、3ヶ月間保管した保管前後の粘度の変化率より安定性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1で得られたチオール基含有シルセスキオキサン(A−1)10gに対し、トリアリルイソシアヌレート(日本化成(株)製:商品名「タイク」、[成分(B)に含まれる炭素−炭素2重結合のモル数]/[成分(B)のモル数]=3、以下TAICと表わす)2.09g([チオール基含有シルセスキオキサン(A)に含まれるチオール基のモル数]/[成分(B)に含まれる炭素−炭素2重結合のモル数](モル比)=1.0)を配し、紫外線硬化性樹脂組成物(E−1)とした。同様に、実施例1〜3で得られたチオール基含有シルセスキオキサン(A−1〜3)を用い、下表に従って硬化性樹脂組成物(E−2〜E−10)とした。また同様に、比較例1で得られたランダム型のシルセスキオキサン(a−1)を用い、下表に従って硬化性樹脂組成物(e−1〜5)とした。
実施例4、8、11、12、比較例6、7、8、9で得られた硬化性樹脂組成物を褐色ビンに取って室温下で放置し、ゲル化までの時間によって硬化性樹脂組成物の安定性を評価した。結果を表3に示す。
実施例4〜7、比較例6で得られた紫外線硬化性樹脂組成物をガラス板上に、硬化後膜厚が約15μmとなるようコーティングし、90℃で5分間溶剤乾燥させた。乾燥後、紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製:商品名「UV−152」)を用い、365nmの紫外線検出器で積算光量が250mJ/cm2となるよう紫外線を照射した。同様に、比較例6で得られた紫外線硬化性樹脂組成物についても、硬化後膜厚が約15μmとなるようコーティングし、紫外線照射装置を用い、365nmの紫外線検出器で積算光量が250mJ/cm2となるよう紫外線を照射した。実施例8〜11、比較例7、8で得られた熱硬化性樹脂組成物は、硬化後膜厚が約15μmとなるようコーティングし、90℃で5分間溶剤乾燥させた。続いて、120℃で3時間、150℃で1時間熱硬化させた。実施例12、13、比較例9、10で得られた紫外線および熱硬化性樹脂組成物は、硬化後膜厚が約15μmとなるようコーティングし、90℃で5分間溶剤乾燥させた。続いて、紫外線照射装置を用い、365nmの紫外線検出器で積算光量が250mJ/cm2となるよう紫外線を照射した。さらに、120℃で30分間熱硬化させた。同様に、比較例8で得られた紫外線および熱硬化性樹脂組成物は、硬化後膜厚が約15μmとなるようコーティングし、90℃で5分間溶剤乾燥させた。続いて、紫外線照射装置を用い、365nmの紫外線検出器で積算光量が250mJ/cm2となるよう紫外線を照射した。さらに、120℃で30分間熱硬化させた。得られた硬化物の硬化性は、JIS K−5401の一般試験法による鉛筆硬度試験により評価した。結果を表4に示す。
実施例4〜13、比較例6〜10で得られた硬化性樹脂組成物を、アッベ屈折率計((株)アタゴ製:商品名「多波長アッベ屈折計 DR-M2」)を用いて、589nmでの屈折率を測定した。結果を表5に示す。
紫外線硬化性樹脂組成物(E−1)をガラス基板上に膜厚5μmとなるようコーティングし、80℃で2分乾燥させ、溶剤を揮散させた。本段階ではタックがありコンタクト露光はできなかったため、マスクを浮かせた状態にして紫外線照射装置を用いて365nmの検出器で積算光量が500mJ/cm2となるよう紫外線を照射した。2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学(株)製:商品名「TMAH 2.38%」)を用いて現像することで、パターン付き基板が得られた。また、現像液として2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に代わって1.0%水酸化ナトリウム水溶液を用いても良好に現像することができた。このことより、本発明の硬化性樹脂組成物は、光製版用レジスト、ソルダーレジスト、エッチングレジスト、カラーフィルターレジスト、ホログラム、光造形、UVインクとして好適に用いることができる。
紫外線硬化性樹脂組成物(E−1)をガラス基板上に膜厚5μmとなるようコーティングし、80℃で2分乾燥させ、溶剤を揮散させた。続いて離型処理したガラスモールド(線幅144nm、深さ200nm)を乗せ、60℃に加熱して圧接した。モールドを通して紫外線照射装置を用いて365nmの検出器で積算光量が500mJ/cm2となるよう紫外線を照射した後モールドをはがすことで、表面にパターンが形成された積層体を得ることができた。このことより、実施例1〜3で得られた表面にパターンが形成された積層体は、フラットパネルディスプレイ用の基板、プリズムシート、カラーフィルター、光回路基板、回折型集光フィルム、偏光フィルム、光導波路等の光学デバイスの他、反射板、記録媒体、半導体、電子デバイス、バイオチップ、ケミカルチップなどに好適である。
実施例13で得られた熱および紫外線硬化性樹脂組成物(E−10)を厚み90μmのガラスクロス(日東紡績(株)製:屈折率1.558)に含浸させ、80℃で5分、110℃で12分溶剤乾燥及び熱硬化を行い、透明シートを作製した。さらに本シートの両面に熱および紫外線硬化性樹脂組成物(E−11)を20μmコーティングし、80℃で5分、110℃で12分溶剤乾燥および熱硬化を行い、半硬化物とした。得られた半硬化物を直径15cmの紙管に巻き取り、24時間暗所に室温で保管した。続いて120℃で30秒プレス成形した後、紫外線照射装置を用いて365nmの検出器で積算光量が2000mJ/cm2となるよう紫外線を照射することで、膜厚105マイクロメートルの透明シートを得た。
比較例10で得られた熱および紫外線硬化性樹脂組成物(e−5)を厚み90μmのガラスクロス(日東紡績(株)製:屈折率1.558)に含浸させ、80℃で5分、110℃で12分溶剤乾燥及び熱硬化を行い、透明シートを作製した。さらに本シートの両面に熱および紫外線硬化性樹脂組成物(e−5)を20μmコーティングし、80℃で5分、110℃で12分溶剤乾燥および熱硬化を行い、半硬化物とした。得られた半硬化物を直径15cmの紙管に巻き取り、24時間暗所に室温で保管した。続いて120℃で30秒プレス成形した後、紫外線照射装置を用いて365nmの検出器で積算光量が2000mJ/cm2となるよう紫外線を照射することで、膜厚105マイクロメートルの透明シートを得た。
○・・・24時間以上半硬化状態が維持される。
△・・・24時間以上半硬化状態が維持されるが、タックがあるため巻き取って保管できない。
×・・・24時間までに半硬化状態が失われ、成型加工できない。
実施例16、比較例11で得られた透明シートを5mm×30mmにカットし、粘弾性測定器(セイコーインスツル(株)製、商品名「DMS6100」、測定条件:振動数10Hz、スロープ3℃/分)を用いて動的貯蔵弾性率を測定して、耐熱性を評価した。測定結果を図1に示す。図1から明らかなように、比較例10の透明シートは120℃付近にTgがあり、Tg後の弾性率低下が認められる。一方、実施例15で得られた透明シートは温度にかかわらず弾性率がほぼ一定であり、きわめて耐熱性に優れていることが認められる。
Claims (17)
- 一般式(1):R1Si(OR2)3(式中、R1は少なくとも1つのチオール基を有する炭素数1〜8の炭化水素基、または少なくとも1つのチオール基を有する芳香族炭化水素基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または芳香族炭化水素基を表す。)で示されるチオール基含有アルコキシシラン類(a1)と水とを固体酸触媒を用いて加水分解反応させた後、固体酸触媒を除去し、続いて塩基性触媒を含む極性溶剤中に先の反応生成物を添加して縮合させることによって得た、シラノール基が残存していないことを特徴とする、チオール基含有シルセスキオキサン(A)の製造方法。
- チオール基含有シルセスキオキサンが、その構成成分としてチオール基を有しないアルキルトリアルコキシシラン類(a2)を、[(a2)のモル数]/[(a1)のモル数と(a2)のモル数との合計)](モル比)が0.7以下となるように含むことを特徴とする、請求項1記載のチオール基含有シルセスキオキサン(A)の製造方法。
- 極性溶剤が、グリコールエーテル類であることを特徴とする、請求項1または2に記載のチオール基含有シルセスキオキサン(A)の製造方法。
- 塩基性触媒が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のチオール基含有シルセスキオキサン(A)の製造方法。
- 一般式(1):R1Si(OR2)3(式中、R1は少なくとも1つのチオール基を有する炭素数1〜8の炭化水素基、または少なくとも1つのチオール基を有する芳香族炭化水素基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または芳香族炭化水素基を表す。)で示されるチオール基含有アルコキシシラン類(a1)と水とを固体酸触媒を用いて加水分解反応させた後、固体酸触媒を除去し、続いて塩基性触媒を含む極性溶剤中に先の反応生成物を添加して縮合させることによって得た、シラノール基が残存していないことを特徴とするチオール基含有シルセスキオキサン(A)、ならびに炭素−炭素2重結合を分子内に複数個有する化合物(B)、エポキシ基を分子内に複数個有する化合物(C)およびイソシアネート基を分子内に複数個有する化合物(D)からなる群から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- チオール基含有シルセスキオキサン(A)および炭素−炭素2重結合を分子内に複数個有する化合物(B)、ならびにエポキシ基を分子内に複数個有する化合物(C)およびイソシアネート基を分子内に複数個有する化合物(D)からなる群から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項5記載の硬化性樹脂組成物。
- 化合物(B)がアリル基含有化合物である請求項5または6に記載の硬化性樹脂組成物。
- 化合物(C)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項5〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 化合物(D)が、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート化物である請求項5〜8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項5〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
- 請求項5〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物をガラスクロスに含浸させた後、硬化させて得られることを特徴とする透明基板。
- 光学部材用途に適した請求項11に記載の透明基板。
- 請求項5〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られたコーティング層を基材上に有することを特徴とする物品。
- コーティング層の屈折率が基材の屈折率よりも高い請求項13記載の物品。
- 光学部材用途に適した請求項14記載の物品。
- 請求項5〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を封止材として用い、硬化させて得られることを特徴とする封止物品。
- 光学部材用途に適した請求項16記載の封止物品。
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