JPH06306173A - 反応性ポリオルガノシロキサン - Google Patents

反応性ポリオルガノシロキサン

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JPH06306173A
JPH06306173A JP9966193A JP9966193A JPH06306173A JP H06306173 A JPH06306173 A JP H06306173A JP 9966193 A JP9966193 A JP 9966193A JP 9966193 A JP9966193 A JP 9966193A JP H06306173 A JPH06306173 A JP H06306173A
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reactive
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polyorganosiloxane
mol
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JP9966193A
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Fumio Matsui
二三雄 松井
Masatoshi Murakami
正敏 村上
Nobuo Uotani
信夫 魚谷
Yuji Ito
裕司 伊藤
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 メチル基と架橋性反応基とを側鎖に有するラ
ダーシリコーンを安定に製造することである。 【構成】 側鎖有機基のうち、50〜99モル%がメチル
基、1〜40モル%が架橋性反応基または架橋性反応基を
置換基として有する有機基、残部が炭素数2〜6個のア
ルキル基、フェニル基、OH基、アルコキシ基であるポ
リメチルシルセスキオキサン構造を主たる構造単位とす
るポリオルガノシロキサンであって、Mnが500〜100,0
00 、且つ側鎖及び末端のOH基及びアルコキシ基が合
計で一分子あたり4〜8個である反応性ポリオルガノシ
ロキサン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は側鎖にメチル基と反応性
基とを有するようなポリメチルシルセスキオキサン構造
を主たる構造単位とするポリオルガノシロキサンに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ラダー構造は耐熱性高分子においては理
想ともいえる分子構造であり、炭素環及び複素環ポリマ
ーではポリアセン、ポリペリナフタレン、BBB ポリマー
などの試みがなされており、またポリイミドにおいても
部分的にラダー構造を分子内に取り入れることで性能向
上が図られていることは公知である。これらの炭素系ポ
リマーではラダー構造化の反応は極めて苛酷な条件下で
のみ実現しうるが、ポリシロキサンにおいては縮合反応
が平衡反応にもとずくことと、環状化合物を経由して縮
合が進行することの理由により、比較的温和な条件で合
成することができ、研究の歴史も古い。
【0003】しかしながら、これまでの主だった研究対
象は側鎖がフェニルタイプのラダーシリコーンに偏して
おり、その理由はこのタイプのラダーシリコーンが規則
性の高いものが合成しやすく、かつ生成物の保存安定性
が優れているためである。例えば、中浜らはフェニル基
とメタクリロキシプロピル基とを側鎖に有するラダーシ
リコーンを合成するとともに、ポリスチレン分子構造へ
の組み入れを行なっている。(Polymer Preprints ,Japa
n vol.29,no.1(1980))
【0004】中浜らはまたこの報告の中で、側鎖にメチ
ル基と反応基とを含有するものはゲル化を起こし、合成
不可能であったことも記述している。一般に側鎖がメチ
ル基のラダーシリコーンは極めて反応性が高く、ゲル化
を回避しながら合成することは困難であるばかりでな
く、よしんば合成できたとしても、冷凍で保存するか、
希薄溶液としてのみ保存するかのいずれかの選択を迫ら
れるなど、安定性のない材料であることは一般によく知
られている。
【0005】しかしながら、硬度、耐熱性、耐候性、耐
光性などといったラダーシリコーンの特徴を最もよく発
現しうるのは、側鎖がメチル基のラダーシリコーンであ
ることを、本発明者らは各種データの解析結果から深く
認識するに至った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
した従来技術の問題点に鑑みて、メチル基と架橋性反応
基とを側鎖に有するラダーシリコーンを安定に製造する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは課題を解決
するため鋭意研究を重ねてきたが、その結果分子構造、
特に側鎖及び末端の水酸基およびアルコキシ基を一定範
囲に限定したラダーシリコーンが初期の目的に合致する
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち本発明は全側鎖有機基のうち50〜99モ
ル%がメチル基であり、1 〜40モル%が架橋性反応基ま
たは架橋性反応基を置換基として有する有機基であり、
残余の基は炭素原子数2 〜6 個を有するアルキル基、置
換もしくは非置換フェニル基、水酸基あるいはアルコキ
シ基であるポリメチルシルセスキオキサン構造を主たる
構造単位とするポリオルガノシロキサンであって、数平
均分子量500 〜100,000 、かつ側鎖及び末端の水酸基お
よびアルコキシ基が合計で一分子あたり4 〜8個である
ことを特徴とする反応性ポリオルガノシロキサンに係わ
る。
【0009】また本発明は前記記載の架橋性反応基がビ
ニル基、アルケニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカ
プト基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、アミド
基、アミドオキシム基、スルホン基、クロルスルホン
基、アルデヒド基、アセチルアセトナート基から選ばれ
た一種、または二種以上であることを特徴とするポリメ
チルシルセスキオキサン構造を主たる構造単位とする反
応性ポリオルガノシロキサンに係わる。
【0010】本発明の反応性ポリオルガノシロキサン
は、例えば、一般式(I),(II),(III)に示すような繰り返
し単位、及び(IV),(V)に示すような側鎖または末端基か
らなるものである。
【0011】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0012】式中、側鎖有機基R1,R2 のうち50〜99モル
%がメチル基であり、1 〜40モル%が架橋性反応基ある
いは架橋性反応基を置換基として有する有機基であり、
残余の基は炭素原子数2 〜6 個を有するアルキル基であ
ることを示す。側鎖または末端基を示すOR2 は水酸基ま
たは炭素原子数1 〜3 個を有するアルコキシ基を示す。
【0013】本発明の反応性ポリオルガノシロキサンは
原料として、トリアルコキシシランまたはトリクロロシ
ランを共加水分解縮合して製造しうる。トリアルコキシ
シランを原料に用いたときは側鎖および末端基は水酸基
及びまたはアルコキシ基であり、トリクロロシランを原
料に用いたときは側鎖および末端基は水酸基となる。
【0014】本発明の反応性ポリオルガノシロキサンを
製造するに用いられる原料メチルトリアルコキシシラン
またはトリクロロシランとしては、次のようなものが例
示しうる。メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリ
クロロシラン。
【0015】本発明の反応性ポリオルガノシロキサンに
おいて、全側鎖有機基中のメチル基が50モル%以下で
は、架橋性反応基の反応性を利用してこの反応性ポリオ
ルガノシロキサンをポリマーに組み込んだとき、このポ
リマーの硬度、耐候性等が不充分となる。また99モル%
以上では架橋性反応基が相対的に少なくなり、架橋性反
応基の反応性を利用してこの反応性ポリオルガノシロキ
サンをポリマーに組み込んだとき、このポリマーの耐久
性等に悪影響が生じることがある。
【0016】本発明の反応性ポリオルガノシロキサンを
製造するに用いられる、原料の架橋性反応基を有するト
リアルコキシシランまたはトリクロロシランとしては、
次のようなものが例示しうる。ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラ
ン、アリルトリクロロシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリクロロシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリクロロシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリクロ
ロシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン。
【0017】また本発明においては、架橋性反応基を形
成しうる架橋性反応基前駆体を有するポリオルガノシロ
キサンをまず製造し、このポリオルガノシロキサンの架
橋性反応基前駆体を高分子反応により架橋性反応基とす
ることで製造することもできる。
【0018】本発明における反応性ポリオルガノシロキ
サンにおいて、架橋性反応基の反応性を利用してこの反
応性ポリオルガノシロキサンをポリマーに組み込んだと
き、架橋性反応基が40モル%以上では架橋密度が高くな
り、ポリマーの硬度は増すが、脆く変形や衝撃に対する
追随性の面で問題が生じる。また1%以下では架橋性反
応基が相対的に少なくなり、架橋性反応基の反応性を利
用してこの反応性ポリオルガノシロキサンをポリマーに
組み込んだとき、このポリマーの耐久性等に悪影響が生
じることがある。
【0019】本発明における反応性ポリオルガノシロキ
サンにおいて、架橋性反応基の反応性を利用してこの反
応性ポリオルガノシロキサンをポリマーの分子構造の主
鎖及び/または側鎖に組み入れるに際しては、架橋性反
応基が一種類である場合にはその一部分が反応してもよ
いし、全部が反応に用いられてもよい。また架橋性反応
基の一部分が残留している場合、これを使って本発明の
樹脂またはこれを用いる組成物を更に目的、用途に応じ
て三次元硬化させる工程を採ることができる。同様にし
て架橋成反応基が二種以上含有される架橋性反応基を有
するポリメチルシルセスキオキサンにおいてはポリマー
の分子構造の主鎖及び/または側鎖に組み込むについて
は、このうちの一種の架橋性反応基を用い、他の架橋性
反応基はこのポリマーを用いる組成物の三次元硬化の工
程に使用することもできる。
【0020】本発明の反応性ポリオルガノシロキサンに
おいて、全側鎖のうち、メチル基、架橋性反応基または
架橋性反応基を置換基として有する有機基、水酸基、ア
ルコキシ基以外は炭素原子数2 〜6 個を有するアルキル
基あるいは置換もしくは非置換フェニル基であり、これ
らは硬度、耐久性等に対しては好ましくないため、なる
べく少量に留めるほうが望ましい。
【0021】本発明の反応性ポリオルガノシロキサンの
主たる構造であるポリメチルシルセスキオキサンは、目
的組成に対応する原料トリアルコキシシランまたはトリ
クロロシランの総モル数に対して、1.5 〜8 倍モル量の
水と5 ×10-6〜5 ×10-1モル量の酸の共存下に加水分
解、縮合させた後、必要に応じてアルカリによる中和
後、更に5 ×10-6〜5 ×10-1モル量のアルカリを加えて
縮合による高分子量化を進めた後、共存する水と塩とを
除去することにより製造することができる。
【0022】加水分解、縮合に際して水の使用量が1.5
倍モル未満では、加水分解が十分に進行せず、また水の
使用量が8 倍モルを越えると、縮合反応が急速に起こ
り、ゲル化が生じやすくなる。加水分解、縮合に際して
酸またはアルカリの使用量は、原料トリアルコキシシラ
ンまたはトリクロロシランの総モル数に対して5 ×10-6
〜5 ×10-1モル量である。酸またはアルカリの使用量が
5 ×10-6モル量未満では、加水分解、縮合が極めて遅く
なり効率的でない。また酸またはアルカリの使用量が5
×10-1モル量を越える場合は、不規則な三次元的縮合反
応が起こって、本発明の目的とするような規則性の高い
ラダー構造は得られないばかりでなく、ゲル化を生じ
る。
【0023】本発明において使用される酸の例として
は、塩酸、硫酸、酢酸、蟻酸等が挙げられる。またアル
カリとしては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、
p-ジメチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、エチレンジアミン、ジエチルアミン等があ
げられる。
【0024】本発明において、数平均分子量が1000〜30
00の反応性ポリオルガノシロキサンを製造するには、加
水分解、縮合における触媒として酸のみを使用すること
が好ましく、また数平均分子量が3000を越える反応性ポ
リオルガノシロキサンを製造するには、最初に加水分
解、縮合における触媒として酸を用いて、低分子量重合
体を製造し、続いて触媒としてアルカリを添加して高分
子量化することにより製造することが好ましい。
【0025】反応温度は、通常20〜100 ℃であり、反応
時間は1 〜24時間である。反応を効率よく行なうため
と、ラダー構造の規則性を高めるために、最初の加水分
解反応を20〜60℃の比較的低温で0.5 〜1 時間行なって
から、引き続き昇温し、60〜100 ℃、好ましくは70〜90
℃で1 〜23時間反応させるのがよい。
【0026】縮合反応の停止は、反応溶液を中和するこ
とにより行ない、その際に生じる塩は、濾過あるいは水
洗等により除去する。場合によっては脱塩に先立ち、完
全に水分を除去するすることが必要であり、高沸点アル
コールやトルエン等を添加して、蒸留操作を行なっても
よい。
【0027】本発明における反応性ポリオルガノシロサ
サンの数平均分子量は500 〜100,000 好ましくは1,000
〜10,000であり、数平均分子量が500 以下ではラダーシ
リコーンの特徴である硬度、耐汚染性などの性質が不十
分となる。また数平均分子量が100,000 以上では、高粘
度のため取り扱いが困難となるとともに、貯蔵安定性が
乏しく、ゲル化を生ずることがある。なお本発明の反応
性ポリオルガノシロササンの数平均分子量は、ジェルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC) を用いて、ポ
リスチレンを標準物質とし簡便に測定しうる。このGPC
により測定される分子量は、蒸気圧測定、浸透圧測定な
どの方法により測定される数平均分子量と極めて良好な
一致を示すことが、本発明者らによって確認されてい
る。
【0028】本発明のポリメチルシルセスキオキサン構
造を主たる構造単位とし、架橋性反応基を側鎖に有する
反応性ポリオルガノシロキサンはエタノール、イソプロ
パノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロ
フラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、エチレング
リコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ
メチルエーテル等のエーテルアルコール類、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類等の有機溶剤に可溶
である。次に本発明の反応性ポリオルガノシロキサンの
側鎖及び末端の水酸基およびアルコキシ基の数である
が、これは実施例に示す様な手順で定量しうるが、一分
子あたり4 〜8 個、好ましくは4 〜6 個であり、4 個以
下は不安定な環状体であって望ましくない。また8 個以
上は貯蔵安定性に乏しく、ゲル化を生じやすい。
【0029】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるもので
はない。なお、実施例及び比較例中の各物性値は下記の
方法に従って測定した。
【0030】(赤外吸収スペクトル)島津製作所製IR-435
を使用し、透過率測定により赤外吸収スペクトルを調べ
た。 (NMR 解析)Bruker社製 AMX-400 を用いてプロトンの解
析を行なった。
【0031】(GPC)島津製作所製CR-3A を使用し、カラ
ムには昭和電工株式会社製ショウデックスKF-801,KF-80
2,KF-803,KF-804 を直列につないで使用し、反応性ポリ
オルガノシルセスキオキサンおよびヘキサメチルジシロ
キサンの定量を行なった。また分子量はポリスチレン換
算により求めた。
【0032】(表面硬度)塗料用鉛筆引っかき試験機を
用いて、JIS K5401 に準じて測定した。 (耐候性)JIS B7753の規定に従い、カーボンアークサ
ンシャインウエザーメーター試験を行なった。2000時間
後の試験体の表面を観察し、試験前の物と比較観察して
評価した。
【0033】実施例 1 [ メタクリル反応性ポリメチルシルセスキオキサンの合
成]温度計、攪拌装置、還流冷却器を取付けた2 リット
ルのフラスコに、γ−メタクリロキシルプロピルトリメ
トキシシラン50g(0.2 モル) 、メチルトリエトキシシラ
ン445g(2.5モル) 、フェニルトリメトキシシラン20g(0.
1 モル) 、アセトン200g、塩酸0.002 モル、水54g(3 モ
ル) を仕込み、フラスコ内の温度を60℃まで昇温し、攪
拌しながら5 時間保持した。続いて70℃に昇温して1 時
間反応させた後、KOH 0.004 モルを滴下し、更に4 時間
反応させた後、中和し水、トルエンを用いて水洗後、ロ
ータリーエバポレーターを使用して溶剤、水等を除去
し、析出した塩を濾別したところ、25℃の粘度が2850cp
s の粘稠な液体が定量的に得られた。
【0034】このもののGPC 曲線は単一のピークとな
り、モノマーに由来する残存ピークは全く見られない。
従って、モノマーは完全に共縮合していると見られ、側
鎖のメチル基、γ−メタクリロキシプロピル基、フェニ
ル基のモル比は原料モル比に由来し、25: 2: 1であっ
た。
【0035】[側鎖及び末端の水酸基およびアルコキシ
基の定量] 上記のメタクリル反応性ポリオルガノシロ
キサンの側鎖及び末端の水酸基およびアルコキシ基の定
量方法について記述する。先ず弱酸酸性下でメタクリル
反応性ポリオルガノシロキサンの溶液にヘキサメチルジ
シロキサンのようなトリメチルシリル化剤を加えて50℃
程度に加熱すれば水酸基とアルコキシ基は完全に反応す
ることが赤外吸収スペクトルおよびNMR 解析から確認さ
れる。
【0036】即ち図1に赤外吸収スペクトルを示すよう
に、トリメチルシリル化の後では水酸基による吸収は全
く認められない。また図2 に示すようにトリメチルシリ
ル化の後ではメトキシ、およびエトキシのプロトンに起
因するピークは極めて微小であり、ほとんど存在しない
程度である。
【0037】それでは次に水酸基とアルコキシ基の定量
であるが、原理的には過剰量のヘキサメチルジシロキサ
ンを加えて反応させ、反応後の残留量を測定し、その消
費量を算出する。この残留量はジェルパーミエーション
クロマトグラフィー(GPC) を用いて図3に示すように定
量することができる。即ち、数点のデータをとり、残留
量がゼロになるヘキサメチルジシロキサンの量を、外挿
により決定して水酸基とアルコキシ基を定量する。
【0038】またこのメタクリル反応性ポリオルガノシ
ロキサンの数平均の絶対分子量を蒸気圧測定により測定
したところ6200であった。。以上の二つのデータからこ
のメタクリル反応性ポリオルガノシロキサン一分子当た
りの水酸基とアルコキシ基との合計量が算出され、6.4
個であった。 またこのメタクリル反応性ポリオルガノ
シロキサンは、30℃で6 週間後も何らの変化も見られ
ず、保存安定性に優れていることも確認された。
【0039】比較例 1 また比較のために実施例1のポリマー合成における原料
アルコキシシランの反応モル比を変更する以外は実施例
1のポリマーと同様な操作、処方によりメチル基、γ−
メタクリロキシプロピル基、フェニル基のモル比が12:
2:14であるようなメタクリル反応性ポリオルガノシロ
キサを得た。このものは25℃における粘度は2400cps で
あり、蒸気圧測定による数平均分子量は5500であった。
また側鎖及び末端の水酸基とアルコキシ基の合計量は一
分子当たり5.7 個であった。
【0040】実施例 2 [ メルカプト反応性ポリメチルシルセスキオキサンの合
成]温度計、攪拌装置、還流冷却器を取付けた2 リット
ルのフラスコに、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン39g(0.2 モル) 、メチルトリエトキシシラン392g
(2.2モル) 、フェニルトリメトキシシラン20 g(0.1モ
ル) 、アセトン200g、塩酸0.002 モル、水54g(3 モル)
を仕込み、フラスコ内の温度を60℃まで昇温し、攪拌し
ながら3 時間保持した。続いて70℃に昇温して3 時間反
応させた後、KOH 0.004 モルを滴下し、更に3 時間反応
させた後、中和し水、トルエンを用いて水洗後、ロータ
リーエバポレーターを使用して溶剤、水等を除去したと
ころ、25℃の粘度が5300cps の粘稠な液体が定量的に得
られた。
【0041】このもののGPC 曲線は単一のピークとな
り、モノマーに由来する残存ピークは全く見られない。
従って、モノマーは完全に共縮合していると見られ、側
鎖のメチル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基
のモル比は原料モル比に由来し、22: 2: 1であった。
【0042】またこのものは蒸気圧測定による分子量
(Mn) は11200 であり、これとシリル化による測定デー
タとから算出すると側鎖及び末端の水酸基とアルコキシ
基の合計量は一分子当たり7.3 個であった。
【0043】比較例 2 比較のために実施例2のポリマー合成におけるアルカリ
添加量を0.6 モルとする以外は実施例2と同様な操作、
処方により、蒸気圧測定による分子量 (Mn) は125000の
ポリマーを得た、これとシリル化による測定データとか
ら算出すると側鎖及び末端の水酸基とアルコキシ基の合
計量は一分子当たり8.8 個であった。またこのメルカプ
ト反応性ポリオルガノシロキサンは、30℃で1 週間後に
ゲル化した。
【0044】実施例 3 [ ポリオール反応性ポリメチルシルセスキオキサンの合
成]温度計、攪拌装置、還流冷却器を取付けた2 リット
ルのフラスコに、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシ
シラン 72g(0.4 モル) 、メチルトリエトキシシラン
392g(2.2モル) 、アセトン200g、塩酸0.002 モル、水54
g(3 モル) を仕込み、フラスコ内の温度を60℃まで昇温
し、攪拌しながら3 時間保持した。続いて70℃に昇温し
て1 時間反応させた後、KOH 0.004 モルを滴下し、更に
2 時間反応させた後、中和し水、トルエンを用いて水洗
後、ロータリーエバポレーターを使用して溶剤、水等を
除去したところ、25℃の粘度が900cpsの粘稠な液体が定
量的に得られた。
【0045】このもののGPC 曲線は単一のピークとな
り、モノマーに由来する残存ピークは全く見られない。
従って、モノマーは完全に共縮合していると見られ、側
鎖のメチル基、γ−ヒドロキシプロピル基のモル比は原
料モル比に由来し、22: 4であった。
【0046】またこのものは蒸気圧測定による分子量
(Mn) は2400であり、これとシリル化による測定データ
とから算出すると側鎖及び末端の水酸基とアルコキシ基
の合計量は一分子当たり5.5 個であった。
【0047】比較例 3 比較のために実施例3のポリマー合成においてアルカリ
を添加しての縮合操作を省略する以外は実施例3のポリ
マーと同様な操作、処方により蒸気圧測定による分子量
(Mn) は480 のポリマーを得た、これとシリル化による
測定データとから算出すると側鎖及び末端の水酸基とア
ルコキシ基の合計量は一分子当たり3.4個であった。
またこのメルカプト反応性ポリオルガノシロキサンは、
30℃で3 日後にゲル化した。
【0048】実施例 4 温度計、攪拌装置、還流冷却器を取付けた2 リットルの
フラスコに、以下の組成物を入れ、窒素気流中、還流し
ながら(85℃)5時間反応せしめたところ、GPCによ
る反応率は97%となった。
【0049】 実施例1のポリマー 20重量部 メタクリル酸メチル 20重量部 メタクリル酸ブチル 10重量部 アクリル酸2−エチルヘキシル 10重量部 メタクリル酸ヒドロキシエチル 15重量部 t−ブチルドデカンチオール 2重量部 アゾビスイソブチロニトリル 1重量部 酢酸エチル 15重量部 酢酸ブチル 65重量部
【0050】こうして数平均分子量24000、重量平
均分子量93000のポリマーが得られた。次に下記の
成分を均一に混合し、スレート板上に水ガラス複層模様
吹き付け材を塗布し、焼き付けた下地基板上に50μ厚
みに塗装後、室温で一夜放置し、さらに50℃、2時間
の加熱硬化を行なった。
【0051】 実施例4のポリマー 48重量部 多官能脂肪族イソシアネート 17重量部 (住友バイエル(株)スミジュールN) ジブチル錫ジラウレート 0.3重量部 酢酸ブチル 20重量部 キシレン 15重量部
【0052】この硬化被膜の膜厚、表面鉛筆硬度及び耐
候性のデータを表1に示す。
【0053】比較例 4 比較のために実施例4のポリマー合成における実施例1
のポリマーを比較例1のポリマーとする以外は実施例4
と同様な操作、処方により、数平均分子量21000、
重量平均分子量88000のポリマーが得られた。次に
下記の成分を均一に混合し、スレート板上に水ガラス複
層模様吹き付け材を塗布し、焼き付けた下地基板上に5
0μ厚みに塗装後、室温で一夜放置し、さらに50℃、
2時間の加熱硬化を行なった。
【0054】 比較例4のポリマー 48重量部 多官能脂肪族イソシアネート 17重量部 (住友バイエル(株)スミジュールN) ジブチル錫ジラウレート 0.3重量部 酢酸ブチル 20重量部 キシレン 15重量部
【0055】この硬化被膜の膜厚、表面鉛筆硬度及び耐
候性のデータを表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】本発明の反応性ポリオルガノシロキサン
は、側鎖の架橋性反応基の反応性を利用して各種ポリマ
ーに組み込み、その性能を高めたり、従来知られていな
かった新しい性能を付与したりするのに用いることがで
きる。ラダーシリコーンにあっても、特に無機的な性質
が期待されるポリメチルシルセスキオキサン構造を主た
る構造単位とするため、ポリマー変性の可能性の幅を拡
大しうる材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるトリメチルシリル化前後の赤
外吸収スペクトルである。
【図2】実施例1におけるトリメチルシリル化後のNM
Rを解析したスペクトルである。
【図3】実施例1におけるGPCを用いるシリル化剤の
分離と定量を示した図である。
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】本発明における反応性ポリオルガノシロキ
サンにおいて、架橋性反応基の反応性を利用してこの反
応性ポリオルガノシロキサンをポリマーの分子構造の主
鎖及び/または側鎖に組み入れるに際しては、架橋性反
応基が一種類である場合にはその一部分が反応してもよ
いし、全部が反応に用いられてもよい。また架橋性反応
基の一部分が残留している場合、これを使って本発明の
樹脂またはこれを用いる組成物を更に目的、用途に応じ
て三次元硬化させる工程を採ることができる。同様にし
て架橋性反応基が二種以上含有される架橋性反応基を有
するポリメチルシルセスキオキサンにおいてはポリマー
の分子構造の主鎖及び/または側鎖に組み込むについて
は、このうちの一種の架橋性反応基を用い、他の架橋性
反応基はこのポリマーを用いる組成物の三次元硬化の工
程に使用することもできる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】本発明において使用される酸の例として
は、塩酸、硫酸、酢酸、蟻酸等が挙げられる。またアル
カリとしては、n-ブチルアミン、トリエチルアミン、ジ
メチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、エチレンジアミン、ジエチルアミン等があげら
れる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】比較例 1 また比較のために実施例1のポリマー合成における原料
アルコキシシランの反応モル比を変更する以外は実施例
1のポリマーと同様な操作、処方によりメチル基、γ−
メタクリロキシプロピル基、フェニル基のモル比が1
2: 2:14であるようなメタクリル反応性ポリオルガノ
シロキサンを得た。このものは25℃における粘度は2400
cps であり、蒸気圧測定による数平均分子量は5500であ
った。また側鎖及び末端の水酸基とアルコキシ基の合計
量は一分子当たり5.7 個であった。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 裕司 神奈川県川崎市川崎区大川町5番1号 昭 和電工株式会社化学品研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全側鎖有機基のうち50〜99モル%がメチ
    ル基であり、1 〜40モル%が架橋性反応基または架橋性
    反応基を置換基として有する有機基であり、残余の基は
    炭素原子数2 〜6 個を有するアルキル基、置換もしくは
    非置換フェニル基、水酸基あるいはアルコキシ基である
    ポリメチルシルセスキオキサン構造を主たる構造単位と
    するポリオルガノシロキサンであって、数平均分子量50
    0 〜100,000 、かつ側鎖及び末端の水酸基およびアルコ
    キシ基が合計で一分子あたり4〜8 個であることを特徴
    とする反応性ポリオルガノシロキサン。
  2. 【請求項2】 架橋性反応基がビニル基、アルケニル
    基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アルコール
    性水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミドオキシム
    基、スルホン基、クロルスルホン基、アルデヒド基、ア
    セチルアセトナート基から選ばれた一種、または二種以
    上である請求項1記載の反応性ポリオルガノシロキサ
    ン。
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