JP5766833B2 - 医療用針 - Google Patents
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Description
T<6314.6×D2−7869.3×D+4516.3 …… (3)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の引張強さを1.2〜1.4倍に向上させ、医療用針の使い勝手を向上させるとともに、プレス加工や曲げ加工の際に、クラックが発生しにくく、折り曲げ部分に割れが発生しにくいレニウムタングステン線から成る医療用針を提供することを目的とする。
6314.6×D2−7869.3×D+4791.3≦T≦ 5047.4×D2−7206.4×D+5129.2 ……(1)
で規定された範囲内にあり、レニウムタングステン線の結晶粒径が10〜50μmであることを特徴とする。
本発明の実施形態に係るレニウムタングステン線から成る医療用針は、10〜30重量%のレニウムと残部タングステンとから成り、線径Dが0.10〜0.40mmであり、その引張強さT(N/mm2)が、線径D(mm)との関係式である下記(1)式で規定された範囲内にあることを特徴とする。
6314.6×D2−7869.3×D+4516.3≦T
≦5047.4×D2−7206.4×D+5129.2 ……(1)
ここで、線径Dは0.10mm≦D≦0.40mmである。
具体的には、線径Dが0.10mmのとき、引張強さTは3792.5〜4459.0(N/mm2)であり、線径Dが0.40mmのときは、引張強さTは2378.9〜3054.2(N/mm2)となる。すなわち、本実施形態に係るレニウムタングステン線から成る医療用針の線径Dおよび引張強さTの値は、図1に示す領域Aの範囲内に存在する。
Rd≧(−0.04×D2+2×10−13×D+1)×100 ……(2)
但し、Dは関係式:0.10mm≦D≦0.40mmを満足し、Rdは総減面率(%)であり、Dは線材の直径(mm)である。
例えばDが0.10mmのとき、総減面率Rdは99.96%以上であることが好ましく、一方Dが0.40mmのとき、総減面率Rdは99.36%以上であることが好ましい。この第3の転打工程は、温度1300〜1500℃の加熱下で行い、1パス当りの減面率が12〜18%となるように実施することが好ましい。
ここで減面率とは、工程前後における素材の断面積の減少率を示す。例えば、伸線加工工程前の断面積が100で、伸線加工後の断面積が25の場合、減面率は75%となる。総減面率とは、全ての伸線加工を通しての伸線加工前後における断面積の減少率を示す。
具体的な評価方法は、下記の通りである。すなわち、線径Dが0.10〜0.40mmであるレニウムタングステン線11を、第1チャック部材21および第2チャック部材22で挟み込んで固定し、直線状態から曲率半径0.3mmの曲面部23に沿って、略90度の屈曲角度で屈曲させる第1工程S1と、この屈曲した状態を前記の直線状態に戻す第2工程S2とを交互に繰り返し、第1工程および第2工程から成る1往復の折り曲げ回数を1回と数え、クラックが生じるまでの合計折り曲げ回数をカウントすることにより実施する。
平均粒径D50が20μm、D90が50μmであるタングステン粉末74重量部と、平均粒径D50が20μmのレニウム粉末26重量部とをボールミルで混合して、原料混合粉末を調製した。タングステン粉末の不純物濃度は、Feが50ppm未満であり、Moが20ppm未満であり、Oが0.1重量%未満であり、Kが5ppm以下であった。
次に得られた成形体を、連続水素炉を使用して、処理温度が1350℃であり、送り速度が4.5〜5.0cm/minである条件で、仮焼結処理を実施した。さらに、水素気流中ベルジャー内において、焼結電流3950A、焼結時間75分の条件で通電焼結を行い、密度が19.1g/cm3(相対密度96.86%)のレニウムタングステンインゴットを得た。
この再結晶化処理後のレニウムタングステン棒材に対し、次に温度1400℃で1パス当りの減面率が12〜18%である転打加工を実施して、直径が2.2mmであるレニウムタングステン棒材を得た。
さらに上記電解研磨処理後のレニウムタングステン線について、図2に示すベンディング試験を行ったところ、クラックが発生するまでの折り曲げ回数は平均15.4回、最小13回、最大19回であり、良好な折り曲げ性(耐久性)を示した。
上記突き刺し試験を各10本の針について実施した結果、先端から40mmまでの針の曲がり量が平均で1.8mmであった。
レニウム粉末の混合比率を10重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、図1で示す領域A内にある、従来材より高い引張強さを有し、クラックが低減されたことが確認できた。
レニウム粉末の混合比率を30重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さを有し、クラックが低減されたことが確認できた。
実施例1の製造工程において、レニウム粉末に平均粒径D50が50μmである粉末を用いる以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。本実施例により製造されたレニウムタングステン線は、引張強さは良好であったが、局部的に断線が発生し、加工性に問題があった。
タングステン粉末の総不純物量が500ppm以上であるタングステン粉末を使用して、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。本実施例により製造されたレニウムタングステン線は、引張強さは良好な範囲(図1のA領域)に入ったものの、値にばらつきが生じた。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を7.0mmとして、線径0.1mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を5.1mmとして、線径0.1mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を7.0mmとして、線径0.4mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を5.1mmとして、線径0.4mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを温度2300℃で実施する以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを2600℃で実施する以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。その結果、従来材より高い引張強さ(図1のA領域内)を有し、クラックが低減されることが確認された。
実施例1の製造工程において、レニウム粉末の混合比率を過少に3重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
この比較例1に係るレニウムタングステン線の引張強さは、3070N/mm2であり、図1に示す線径Dと引張強さTとの関係を示すグラフにおいて従来例を示す領域Bに属するものである。
実施例1の製造工程において、レニウム粉末の混合比率を過大に35重量部とした以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
この比較例2に係るレニウムタングステン線では、異常組織が形成されたために断線が生じ、その後の加工が不可能であった。
平均粒径D50が30μmでD90が50μmであるタングステン粉末74重量部と、平均粒径D50が20μmのレニウム粉末26重量部とをボールミルで混合して、混合粉末を調整した。タングステン粉末の不純物濃度は、Fe:50ppm未満、Mo:20ppm未満、O:0.1重量%未満、K:5ppm以下であった。
この混合粉末を、金型プレス成形機を用いて、成形密度が9.3g/cm3の成形体を成形した。
このレニウムタングステンインゴットに対し、1400℃で転打加工(スウェージング)を行い、直径12.0mmの棒材に加工した後、水素雰囲気中で2900A、2分間の条件で通電アニールを行った。さらに、1400℃で圧延加工を行った後、1400℃で転打加工を繰り返して、直径4.0mmのレニウムタングステン棒材を得た。
このレニウムタングステン線を、図2に示すベンディング試験に供し、クラックが発生するまでの折り曲げ回数を測定したところ、平均10.4回、最小7回、最大13回であった。また、針形状での曲がりテスト(突き刺しテスト)では、曲がり量の平均値は5.7mmであった。評価結果を表1に示す。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を4.0mmとすること以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.1mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを実施するレニウムタングステン棒の径を4.0mmとした点以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.4mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の製造工程において、高周波アニールを2700℃で実施する以外は、実施例1と同様の製造工程を経て、線径0.2mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の製造工程と同様の製造工程を経て、最終の線径が0.05mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1の製造工程と同様の製造工程を経て、最終の線径が0.45mmのレニウムタングステン線を製造した。得られたレニウムタングステン線について、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- レニウムを10〜30質量%含有し残部タングステンから成るレニウムタングステン線で構成される医療用針において、線径Dが0.10〜0.40mmであり、上記医療用針の引張強さT(N/mm2)が下記(1)式:
6314.6×D2−7869.3×D+4791.3≦T≦ 5047.4×D2−7206.4×D+5129.2 ……(1)
で規定された範囲内にあり、レニウムタングステン線の結晶粒径が10〜50μmであることを特徴とする医療用針。 - 請求項1記載の医療用針において、不純物としてのFe、Mo、Si、Mg、Al、Caの総含有量が200ppm以下であることを特徴とする医療用針。
- 請求項1または請求項2記載の医療用針において、レニウムタングステン線から成る医療用針を、第1チャック部材および第2チャック部材で挟み込んで固定し、直線状態から曲率半径0.3mmの曲面部に沿って、略90度の屈曲角度で屈曲させる第1工程と、この屈曲した状態を前記の直線状態に戻す第2工程とを交互に繰り返し、上記第1工程および第2工程から成る1往復の折り曲げ回数を1回と数え、クラックが生じるまでの合計折り曲げ回数が8回以上であることを特徴とする医療用針。
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