JP2004308827A - ぜんまいの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】組成は重量比で、Ni15〜18%、Co35〜40%、Cr10〜14%、Mo3〜5%、W3〜5%、Fe10〜30%、Mn、Ti、Al、Si、各0.1〜5%、C≦0.05%、及び不可避不純物よりなるCo基合金を用いて、圧延後のぜんまいとしての最終的な断面積の105%〜180%とする範囲で、更に断面減少率で表される最終加工率50〜95%に冷間線引する。その線材をぜんまいの所定の厚さに冷間圧延する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型精密機器例えば腕時計の動力ぜんまいの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のぜんまいの製造方法は、Co基合金を冷間加工によって所定の厚さで、幅寸法が製品寸法以上の幅断ち代のある帯材を用意し、幅断ち加工をして製品幅寸法の帯材を得ていた。(例えば、特許文献1)
【0003】
【特許文献1】
特許第3041585号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
小型精密機器用の動力ぜんまいは、高出力トルクと寸法精度に加え、耐久性を求められる。Co基合金を高い加工率で冷間加工を施し、ヤング率を高くして高出力トルクを得ているが、加工が進行するにつれ、材料の硬度が上昇する為、変形抵抗が大きくなり、最終的な断面形状を得る圧延加工が終了するまでには、帯材の側面には大きなクラックが発生していた。このクラックが発生した部位は破断し易く耐久性が劣る為に、幅断ち加工によりクラック発生部は除去される。よって材料の歩留りが悪く、更に幅断ち加工により発生するエッヂのバリを除去する工程を必要とする為、生産性が悪く、また、廃棄物の処理等の問題もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、圧延に使用する線材の冷間加工率、線径、及び圧延時に材料に加える張力を最適にして、最終的な製品の断面形状を、幅断ち加工をせずに圧延加工で得る。すなわち、本発明のぜんまいの製造方法は、組成重量比が、Ni15〜18%、Co35〜40%、Cr10〜14%、Mo3〜5%、W3〜5%、Fe10〜30%、Mn、Ti、Al、Si、各0.1〜5%、C≦0.05%、及び不可避不純物よりなるCo基合金を用いて線材を形成し、この線材を圧延加工して所定の厚みと幅のぜんまいを形成することとした。
【0006】
さらに、線材を圧延して所定の厚みと幅のぜんまいを形成する工程の前に、断面減少率で表される加工率50〜95%で冷間線引加工することにより線材を形成することとした。
【0007】
また、冷間線引加工により線材を形成する冷間線引加工工程と、線材を圧延加工して所定の厚みと幅のぜんまいを形成する圧延加工工程を備えるとともに、冷間線引加工工程において得られる線材の断面積が、圧延加工工程で得られるぜんまいの断面積の105%〜180%であることとした。また、ここで、冷間線引加工工程において、断面減少率で表される加工率50〜95%で線材が冷間線引加工されることとした。さらに、圧延加工工程において、圧延加工時に前記線材の単位断面積当りに加える張力(張力÷圧延前の断面積)を、圧延前の材料の持つ引張強さの50%以下にするように調整した。これにより、幅方向の寸法を決定した。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明においてぜんまいの材質を次の組成を有するCo基合金とした。即ち、組成は重量比で、Ni15〜18%、Co35〜40%、Cr10〜14%、Mo3〜5%、W3〜5%、Fe10〜30%、Mn、Ti、Al、Si、各0.1〜5%、C≦0.05%、及び不可避不純物よりなるCo基合金である。この合金を真空溶解にて溶製し、鍛造、熱間圧延、熱間線引、溶体化処理、冷間線引、焼鈍の後、最終的に冷間線引加工により線材に仕上げる。この時の線材の断面積は、後に行われる冷間圧延により得られるぜんまいとしての最終的な断面積の105%〜180%の範囲とする。また、この冷間線引加工において、断面減少率で表される冷間加工率は50〜95%とする。この合金は変形抵抗が大きいので引き抜きダイスを用いて逆張力伸線機で線引する。その線材をぜんまいの所定の厚さに冷間圧延する。この冷間圧延加工の際、圧延加工時に材料の単位断面積当りに加える張力(張力÷圧延前の断面積)を、圧延前の材料の持つ引張強さの50%以下で調整し、幅方向の寸法を決定する。
【0009】
ここで線材を圧延するのは、これにより材料の圧延方向が結晶のヤング率の高い方向に揃い、ぜんまいの出力トルクを更に高くすることができるからである。
【0010】
線引最終加工率を50%以上としたのは、材料の圧延方向が結晶のヤング率の高い方向に揃い、ぜんまいの出力トルクを更に高くするという効果が出現する下限値を示しており、線引最終加工率を95%以下としたのは、加工率がこれよりも高くなるとぜんまいの靭性が低下して脆くなるからである。
【0011】
圧延する前の線材の断面積の範囲を指定したのは、原料ロットの違い等により加工性の違いがある線材を用いても、圧延加工で安定した製品幅寸法を得ることが出来るからである。その範囲の下限値を105%としたのは、線材の加工性の違いを吸収できる下限値である。また、180%を越えるとその分圧延方向へ延ばす割合が大きくなり、側面へクラックが発生し、ぜんまいの性能を害することになる。従って、上限値を180%とした。
【0012】
また、圧延加工時に材料の単位断面積当りに加える張力(張力÷圧延前の断面積)を、圧延前の材料の持つ引張強さの50%以下としたのは、50%を越える張力では圧延毎に側面へ発生するのクラックを成長させ、ぜんまいの性能を害するからである。
【0013】
【実施例】
以下実施例に基づいて詳細に説明する。
【0014】
以下の表1で示す合金を真空溶解にて溶製し、鍛造、熱間圧延、熱間線引、溶体化処理、焼鈍、の各工程を経た後、引き抜きダイスを用いて常温において逆張力伸線機で以下の表2で示した各条件で線引加工を行い、その線材を常温で厚さ0.12mm、幅0.95mmに圧延した。次に、370mmの長さに切断して先端部に角穴を開け、成形加工してぜんまい端部に外掛けを溶接した。その後、2時間真空中で時効処理してぜんまいに仕上げた。このぜんまいを香箱車に挿入し、ぜんまいの特性を調べた。香箱車の内径は10.60mm、巻き芯径は2.80mmである。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
表2に、各ぜんまいの出力トルクT0.5(ぜんまいをいっぱいに巻き上げてから0.5時間ほどけた状態での出力トルク)、出力トルクT24(24時間分ほどけた状態での出力トルク)、持続時間に関係する巻き数N、ぜんまいの(全巻き締め−全巻き戻し)の繰り返しにより破断するまでの繰り返し数を評価した結果を示す。表2から明らかなように、本発明のぜんまいA〜Cは従来方法で製造した比較例と比べ、ほぼ同等の特性を有していることがわかった。また、実施例Dでは、線材と圧延後の断面積比を200%としている為、圧延方向へ延ばす割合が大きく、耐久性が大幅に悪くなっている。実施例のEでは、線材と圧延後の断面積を100%とした結果、目的の厚さ寸法に達するまでに幅寸法が不足してしまっている。実施例のFでは、線材の加工率が40%と不足したために、ぜんまいトルクが劣る結果となった。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載するような効果を奏する。本発明の製造方法で得られたぜんまいは、従来の幅断ちを用いる工程で得られたぜんまいとほぼ同等の品質が得られ、生産効率がよく、廃棄物を排出しないという効果がある。
Claims (5)
- 組成は重量比で、Ni15〜18%、Co35〜40%、Cr10〜14%、Mo3〜5%、W3〜5%、Fe10〜30%、Mn、Ti、Al、Si、各0.1〜5%、C≦0.05%、及び不可避不純物よりなるCo基合金を用いてぜんまいを製造する方法であって、線材を圧延加工して所定の厚みと幅のぜんまいを形成する圧延加工工程を備えること特徴とするぜんまいの製造方法。
- 断面減少率で表される加工率50〜95%で冷間線引加工する工程と、前記冷間線引加工された線材を圧延して所定の厚みと幅のぜんまいを形成する圧延加工工程と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のぜんまいの製造方法。
- 冷間線引加工により線材を形成する冷間線引加工工程と、線材を圧延加工して所定の厚みと幅のぜんまいを形成する圧延加工工程を備えるとともに、前記冷間線引加工工程において得られる線材の断面積が、前記圧延加工工程で得られるぜんまいの断面積の105%〜180%であることを特徴とするぜんまいの製造方法。
- 前記冷間線引加工工程において、断面減少率で表される加工率50〜95%で前記線材が冷間線引加工されることを特徴とする請求項3に記載のぜんまいの製造方法。
- 前記圧延加工工程において、圧延加工時に前記線材の単位断面積当りに加える張力(張力÷圧延前の断面積)を、圧延前の材料の持つ引張強さの50%以下にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のぜんまいの製造方法。
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2003
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EP2447387A1 (fr) * | 2010-10-28 | 2012-05-02 | Générale Ressorts SA | Ressort de barillet de pièce d'horlogerie |
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