JP5748677B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略すことがある)は、酸素遮蔽性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れた有用な高分子であり、フィルム、シート、容器等の各種包装材料等として広く用いられている。一般に、EVOH樹脂は、エチレン−酢酸ビニル系重合体をけん化し、けん化して得られたEVOHを造粒し、この粒状物を乾燥することで得られる。ここで、上記粒状物が吸湿している場合は、この粒状物を用いた成形加工時に発泡が起きるなど、成形不良の原因となる。従って、EVOH樹脂の製造の際は、粒状物に対して十分な乾燥を行い、含水率を下げておくことが重要である。
EVOHの粒状物(固形物)の乾燥方法としては、加熱ガスを使用する方法(特公昭46−037665号公報、特開平11−291244号公報参照)が一般的であり、マイクロ波を使用する方法(特開平11−291245号公報参照)も提案されている。しかし、EVOHは水と高い親和性を有するため、加熱ガスを使用する場合は、長時間の乾燥を行う必要がある。また、乾燥時間を短縮するために高温で加熱すると、着色の発生や、成形時のフィッシュアイの原因となるなど、品質の劣化が生じる。これらを解決するために上述のマイクロ波を使用することが提案されているが、この場合、溶融により粒状物同士が膠着しやすくなるなど、有効な解決策とは言い難い。
特公昭46−037665号公報 特開平11−291244号公報 特開平11−291245号公報
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものであり、品質の劣化を抑制しつつ、効率的に乾燥を行うことができるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、エチレン−ビニルアルコール共重合体及び水を含む固形物に赤外線を照射することによって、この固形物を短時間で乾燥することができ、かつ、この乾燥の際の品質の劣化も少ないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記課題を解決するためになされた発明は、
エチレン−ビニルアルコール共重合体及び水を含む固形物に赤外線を照射し、上記固形物を乾燥させる乾燥工程
を含むエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法である。
当該製造方法によれば、EVOHを含む固形物を低い雰囲気温度や短い乾燥時間でも効率的に乾燥させることができる。乾燥時間を短くできることにより、従来技術と同等の処理能力を得るために必要な設備を小型化することができ、設備設置時のコストが低減されるといったメリットがある。また、当該製造方法によれば、品質の劣化が少なく、かつ十分に乾燥されたEVOH樹脂を得ることができる。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が20モル%以上60モル%以下、けん化度が90モル%以上であることが好ましい。このようなEVOHを用いることで、当該製造方法の赤外線照射の効果が顕著に発揮される。
上記乾燥工程における雰囲気温度としては、10℃以上100℃以下が好ましい。上記範囲の雰囲気温度下で乾燥させることで、乾燥効率を高め、かつ、得られる樹脂の品質の劣化をより抑えることができる。
上記乾燥工程における固形物の温度としては、80℃以上160℃以下が好ましい。固形物の温度を上記範囲として乾燥させることで、乾燥効率を高め、かつ、得られる樹脂の品質の劣化をより抑えることができる。
上記乾燥工程に供する固形物の含水率としては、0.5質量%以上200質量%以下が好ましい。当該製造方法においては、上記範囲の含水率の固形物を効率的に乾燥させることができる。
上記乾燥工程を経た固形物の含水率としては、0.5質量%未満が好ましい。当該製造方法において、固形物を上記範囲の含水率まで乾燥させることで、得られた樹脂の成形性等を高めることができる。
上記赤外線の波長としては、0.7μm以上10μm以下が好ましい。このような波長の赤外線を用いることで、乾燥効率を高め、かつ、得られる樹脂の品質の劣化をより低減させることができる。
上記固形物が粒状であることが好ましい。粒状の固形物に対して赤外線照射を行うことで、乾燥効率等をより高めることができる。
上記乾燥工程において、粒状の固形物を撹拌しながら赤外線を照射するとよい。このように粒状の固形物を撹拌しながら赤外線を照射させることで、固形物に対して均一な照射が行われ、乾燥効率を高め、品質劣化を抑えることができる。
上記乾燥工程において、粒状の固形物をコンベアで搬送させながら赤外線を照射することも好ましい。このように固形物をコンベアで搬送させながら赤外線を照射させること、照射量の制御等が容易になり、樹脂の生産効率も高めることができる。
ここで、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂とは、エチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分として含む固形物をいい、この樹脂には他の成分が含有されていてもよい。ここで主成分とは、質量基準で最も多い成分をいう。また、この樹脂の形状は特に限定されず、粒状、フィルム状、繊維状、その他特定の形に形成されていてもよい。
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む固形物を効率的に乾燥させることができる。また、当該製造方法によれば、品質の劣化が少なく、かつ十分に乾燥されたエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を得ることができる。従って、当該製造方法により得られた樹脂は、外観や溶融成形性等に優れる。
本発明の一実施形態に用いられる乾燥装置の模式的斜視図 図1の乾燥装置の模式的断面図
以下、本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法の実施の形態を詳説する。
当該エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)及び水を含む固形物に赤外線を照射し、固形物を乾燥させる乾燥工程(II)を含む。
なお、この乾燥工程(II)に先駆けて、EVOH及び水を含む粒状物を得る造粒工程(I)を設け、上記乾燥工程(II)に供する固形物として、造粒工程(I)を経て得られた粒状物(粒状の固形物)を用いることが好ましい。粒状物に対して赤外線照射を行うことで、乾燥効率等をより高めることができる。なお、粒状以外の例えば、フィルム状や繊維状の固形物に対して赤外線を照射しても本発明の効果を得ることができる。
以下、EVOH、造粒工程(I)及び乾燥工程(II)について順に詳説する。
<EVOH>
上記EVOHは、主にエチレン単量体単位(−CH−CH−)及びビニルアルコール単量体単位(−CH−CHOH−)からなる。
なお、EVOHは、共重合成分として、例えばビニルシラン化合物を含有することができる。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。これらのなかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。さらに、EVOHは、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の単量体、例えば、プロピレン、ブチレン、あるいは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、若しくは(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸又はそのエステル、及びN−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドンを共重合することもできる。
上記EVOHのけん化度としては、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。けん化度が90モル%未満の場合は、乾燥工程(II)において、固形物が溶融するおそれがある。
上記EVOHのエチレン含有量としては、20モル%以上60モル%以下が好ましく、25モル%以上50モル%以下がさらに好ましい。エチレン含有量が上記下限未満の場合は、乾燥工程(II)において、赤外線を照射した際、EVOHの劣化が進行しやすくなる。逆に、エチレン含有量が上記上限を超える場合は、EVOHの融点が低くなるため、乾燥工程(II)において、固形物が溶融するおそれがある。
上記EVOHの合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。通常、エチレン、ビニルエステル単量体及び必要に応じて他の単量体を重合させ、ビニルエステル系重合体を得て、このビニルエステル系重合体をけん化することで得ることができる。このけん化は、アルコール溶媒中、アルカリ触媒等を用いて行うことができる。
<造粒工程(I)>
この造粒工程(I)は、上記EVOH及び水を含む粒状物を得る工程である。この粒状物は、主として上記EVOH及び水を含むが、これ以外に、通常用いられる他の添加剤等を含んでもよい。上記添加剤としては、アルカリ金属塩、カルボン酸及び/又はカルボン酸イオン、リン酸化合物並びにホウ素化合物等が挙げられる。
上記粒状物を得るための造粒方法としては特に限定されず、例えば、
(1)EVOHを、冷却、濃縮等の操作によりブロック状に凝固させた後、カット、粉砕する方法、
(2)EVOHのアルコール/水混合溶液を、メタノールと水との混合液を用いて冷却させることで、ストランド状に凝固させた後、カットする方法、
(3)EVOHを押出機で溶融混練してから吐出してカットする方法
などが挙げられる。
上記粒状物の形状としては、特に限定されず、例えば、ペレット状(円柱状等の柱状又は球状)、チップ状、クラム状、フレーク状、パウダー状等の形状を挙げることができるが、これらの中でもペレット状が好ましい。ペレット状の粒状物を用いることで、各粒状物同士の膠着を抑えることができる。
上記粒状物のサイズとしては、特に限定されず、例えば1mm以上100cm以下であり、3mm以上1cm以下が好ましく、5mm以上200mm以下がより好ましい。上記範囲のサイズの粒状物を用いることで、内部にまで赤外線が照射されやすくなるなど、乾燥効率等を高めることができる。
<乾燥工程(II)>
この乾燥工程(II)は、上記固形物(粒状物等)に赤外線を照射して、この固形物を乾燥する工程である。ここで、赤外線とは、0.7μm以上1,000μm以下の波長を含む電磁波をいう。
この乾燥工程(II)において、赤外線を固形物に照射させると、被加熱物である固形物に、赤外線のエネルギーを直接与えることができる。すなわち、本乾燥工程(II)においては、輻射伝熱乾燥が行われることとなる。このため、当該製造方法によれば、従来の加熱ガスを用いた熱風乾燥(対流伝熱乾燥)よりも効率的に固形物を加熱することが可能となる。また、このような乾燥方法によれば、固形物の表面温度が極端に上昇することを抑えられるので、固形物同士の膠着や、得られる樹脂の劣化を抑えることができる。さらには、この乾燥工程によれば、雰囲気温度を低く保つことが可能なため、被加熱物と外気の温度差が広がることで乾燥速度を速めることが可能となる。
上記赤外線の波長としては、0.7μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましく、1.5μm以上4.5μm以下がさらに好ましい。この波長領域は上述した赤外線の波長範囲の中でも短波長の領域であるため、光線の持つエネルギーが比較的大きく、固形物を乾燥するのに適している。特に、水分子は2〜4μm付近に赤外線吸収を有するため、この領域の赤外線を照射することで効果的に固形物にエネルギーを与えることができる。なお、本発明で言う赤外線の波長とは、赤外線の光源がもつ最大エネルギー波長のことであり、分光放射スペクトルなどで計測することができる。
上記赤外線の線源としては、特に限定されず、ニクロム、タングステン、カーボン等の各種フィラメントを用いた赤外線ランプや、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等の各種赤外線レーザー等を用いることができる。これらの中でも、取扱いの容易性等の点から、赤外線ランプを用いることが好ましい。
上記乾燥工程(II)における雰囲気温度としては、10℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上80℃以下がより好ましく、30℃以上50℃以下がさらに好ましい。ここで、雰囲気温度とは被加熱物である固形物近傍(表面から30cm)の外気の温度を意味する。なお、略均等な温度となる空間内で乾燥を行う場合、例えば、赤外線ランプを挿入した容器内で固形物を乾燥する場合、上記雰囲気温度は、容器内の温度とすることができる。また、この雰囲気温度は、乾燥工程(II)中の平均温度をいう。
上記雰囲気温度が上記上限を超えると、固形物の表面が劣化しやすくなりゲル化、着色などが生じるおそれがある。また、この雰囲気温度が上記上限を超えると、この雰囲気温度(外気の温度)と固形物温度との差が小さくなるため乾燥速度が遅くなる場合がある。逆に、上記雰囲気温度が上記下限未満の場合には、乾燥により発生した蒸気が結露して、乾燥中の固形物に付着することで乾燥効率を低下させたり、固形物の膠着の原因となるおそれがある。
上記乾燥工程(II)における固形物の温度としては、80℃以上160℃以下が好ましく、90℃以上150℃以下がより好ましく、100℃以上140℃以下がさらに好ましい。通常、乾燥に供する固形物の温度が高いほど乾燥速度は速くなる。しかし、含水状態のEVOHは、乾燥状態のEVOHに比べて融点が低い。このため、乾燥工程(II)における固形物の温度が上記上限を超える場合は、溶融により固形物同士が膠着するおそれがある。また、この固形物の温度が上記上限を超える場合は、融点に達していなくても、表面が白色化して透明性が失われたり、固形物内部に気泡ができる等により、外観が低下する場合がある。逆に、この固形物の温度が上記下限未満の場合は、固形物中の水分の蒸発が遅くなり乾燥に時間を要する。なお、この固形物の温度とは、固形物の表面の温度をいい、例えば放射温度センサ等で測定することができる。また、この固形物の温度は、乾燥工程(II)中の平均温度をいう。
上記乾燥工程(II)における雰囲気温度と固形物の温度との差(雰囲気温度から固形物の温度を減じた値)としては、10℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。外気(雰囲気)と固形物とにこのような温度差を設けることで、乾燥効率をさらに高め、表面の劣化を抑えることができる。なお、この雰囲気温度と固形物の温度との差は、大きいほど好ましいが、この上限としては、例えば120℃とすることができる。
上記乾燥工程(II)に供する固形物の含水率の上限としては、200質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましく、5質量%が特に好ましい。また、この含水率の下限としては、0.5質量%が好ましい。なお、本発明において、含水率は乾燥質量基準として表され、含水率100質量%とは、乾燥樹脂100質量部に対して水100質量部を含むことを意味する。
この含水率が上記上限を超える場合は、乾燥の際に固形物が発泡したり、膠着しやすくなるおそれがある。なお、従来の加熱ガスを用いた対流伝熱乾燥の場合には、上記固形物の含水率が低い場合(例えば10質量%未満)となると乾燥速度が低下する場合がある。一方、本発明の赤外線を用いた乾燥は、輻射伝熱が主体となるため10質量%未満のような低含水状態においても乾燥速度の低下が起こりにくい。従って、当該製造方法によれば、特に低含水状態において、従来の乾燥方法よりも効率よく乾燥することができる。
上記乾燥工程(II)を経た固形物の含水率としては、0.5質量%未満が好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。このような含水率にまで乾燥させることで、得られる固形物の成形性等を高めることができる。
上記乾燥工程(II)における乾燥時間(赤外線の照射時間)としては、特に限定されないが、固形物が粒状物である場合、0.5時間以上60時間以下が好ましく、1時間以上5時間以下がより好ましい。乾燥時間が上記下限未満の場合は、十分な乾燥が行われない場合がある。逆に、乾燥時間が上記上限を超えると、乾燥速度の向上の面から好ましくない。
上記乾燥工程(II)においては、固形物が粒状である場合、この粒状物を撹拌しながら赤外線を照射することが好ましい。乾燥工程(II)において、粒状物が静置されている場合、赤外線が粒状物の表層で吸収され、粒状物の表層のみが加熱される。この場合、赤外線が照射されない部分が加熱されないため、乾燥効率が低下するとともに、集中的に照射された部分が劣化しやすくなるおそれがある。そこで、このように粒状物を撹拌し、乾燥工程(II)に供された粒状物を均一に加熱することで、効率的に粒状物を乾燥することができる。
粒状物を撹拌しながら赤外線を照射する方法としては、特に限定されないが、回転ドラム内に粒状物を配置し、この回転ドラムを回転させることで、粒状物を撹拌しながら赤外線を照射する方法、スクリューや攪拌翼を備えた容器内で粒状物を攪拌しながら赤外線を照射する方法などが挙げられる。なお、回転ドラム内で粒状物を撹拌しながら赤外線を照射する好ましい乾燥装置については、後に詳述する。
また、上記乾燥工程(II)において、粒状物をコンベアで搬送しながら赤外線を照射することも好ましい。赤外線の照射時間によって、粒状物の含水率は左右される。そのため、このように一定速度のコンベアで一定量の粒状物を輸送しながら赤外線を照射することにより、含水率の安定した粒状物を得ることができる。その結果、EVOH樹脂の生産効率を高めることができる。
一方、乾燥工程(II)において、粒状物を撹拌することなく静置状態で赤外線を照射する場合は、粒状物を多段に積層せずに配置することが好ましい。このように粒状物を配置することで、赤外線が均一に照射される。具体的には、この際、赤外線の照射方向に対する粒状物の集合体の深さを、30mm以下とすることが好適である。粒状物の集合体の深さが30mmを超える場合には、深い部分に位置する粒状物への加熱が不十分となり、乾燥効率等が低下するおそれがある。
乾燥工程(II)は、バッチ方式、連続方式ともに適用可能である。また、乾燥工程(II)をさらに複数の工程に区分して(例えば、第一乾燥工程及び第二乾燥工程等)、バッチ方式及び連続方式を組み合わせることも可能である。乾燥工程(II)を複数の工程に分けることで、異なる出力の赤外線ランプを用いたり、工程毎に用いる赤外線ランプの本数を変えることも可能となる。また、工程毎に粒状物の温度を変更して乾燥することも可能である。
例えば、含水率の高い粒状物を乾燥する際には、粒状物の融点以下となるように比較的低い粒状物温度で乾燥を行い、粒状物の含水率が低下することで融点が高くなるにつれて粒状物温度を高くしていくように乾燥工程を行うことができる。このような方法によれば、上述のような粒状物の発泡や白濁の発生を抑え、効率的に粒状物を乾燥することができる。
なお、本乾燥工程(II)においては、赤外線の照射と同時に、例えば送風やマイクロ波の照射等の他の乾燥手段等を加えてもよい。
<乾燥装置>
ここで、乾燥工程(II)に用いられる乾燥装置の一例を、図1及び図2を参照して説明するが、乾燥装置の形態はこれに限定されるものではない。図1は、乾燥装置1の模式的斜視図であり、図2は、乾燥装置1の模式的断面図である。
図1の乾燥装置1は、回転ドラム2、赤外線ランプ3及びモータ4を主に備えている。
回転ドラム2は、円筒形状を有している。回転ドラム2のサイズとしては、特に限定されず、一度に乾燥させる粒状物の量等に応じて適宜設計することができる。この回転ドラム2はベルト5を介してモータ4と連結している。すなわち、回転ドラム2は、モータ4の回転に伴って回転するように構成されている。この回転ドラム2内に粒状物Aが投入される。
回転ドラム2の回転数としては、条件等に応じて適宜設定可能であるが、10rpm以上50rpm以下が好ましい。このような範囲の回転数とすることで、効率的かつ均一な赤外線照射を行うことができ、得られる樹脂の品質を維持しつつ乾燥効率等を高めることができる。
赤外線ランプ3は柱状形状を有し、回転ドラム2内の略中心軸上に配設されている。赤外線ランプ3の一の側面が赤外線を出射する出射面3aとなる。赤外線ランプ3の両端は軸6によって固定されている。出射面3aは出射角度が調整可能に構成されている。赤外線ランプ3は、回転ドラム2内の一部、つまり投入された粒状物Aを照射する。
赤外線ランプ3の出射面3aと粒状物Aとの距離(以下、照射距離Xと記載する)は、5mm以上500mm未満とすることが好ましい。照射距離が5mm未満の場合は粒状物Aの温度が高くなり、焼けや焦げが発生するおそれがある。逆に、照射距離Xが500mm以上の場合には、赤外線のエネルギーが十分に粒状物に与えられず、乾燥速度が遅くなるおそれがある。
赤外線ランプ3の出力としては、粒状物Aの量や回転ドラム2の形態等によって適宜調整されるが、1.0kW以上5.0kW以下が好ましい。
赤外線ランプ3の具体例としては、ウシオ電機社製の各種ハロゲンランプ、ヘレウス社製の短波長赤外線ランプ、中波長赤外線ランプ、トーコー社製ハロゲンランプ等が挙げられる。複数本のランプを同時に用いることも好適である。
乾燥装置1によれば、回転ドラム2がモータ4によって回転するため、粒状物Aが回転ドラム2の回転に伴って撹拌される。なお、この際、図2に示すように、粒状物A全体の表面(流動面)は傾斜している。このため、赤外線ランプ3は、この流動面の傾斜角度に応じて照射角度を変えることで効率的に粒状物Aに赤外線を照射することができる。
なお、乾燥装置には、その他、ランプ出力や回転数の制御手段、送風手段、その他の乾燥手段等が設けられていてもよい。
上述の他の手段としては、例えば、赤外線の照射量や出射量を粒状物の温度で制御する手段が乾燥装置に設けられていることが好ましい。乾燥装置にこのような手段を設けることで、樹脂の劣化をさらに抑えつつ、迅速に乾燥を行うことができる。赤外線照射量又は出射量の制御手段の例としては、(1)赤外線ランプを電力調整器に接続し、計測された粒状物温度を基に赤外線の出力を制御する方法や、(2)計測された粒状物温度に基づいて赤外線の照射をON/OFF制御する方法などが挙げられる。複数本の赤外線ランプを用いて、上述のような制御方法を複合的に用いることもできる。
<その他の工程>
当該製造方法において、乾燥工程(II)を行う前に、造粒工程(I)で得られた粒状物に対して、洗浄、脱水、赤外線照射以外の乾燥など、公知の各種操作をさらに行うことも好ましい。
例えば、酢酸ビニル系重合体をけん化してEVOHを製造する場合、けん化反応に水酸化ナトリウムやナトリウムメトキシドなどのアルカリ化合物が一般的に用いられる。この際、乾燥工程(II)を行う前に、残存するアルカリ化合物を洗浄除去しておけば、乾燥工程(II)においてEVOHの劣化をさらに抑制することができる。
また、造粒工程(I)と乾燥工程(II)との間に、粒状物の含水率を、ある程度(例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下)にまで下げる予備乾燥工程を設けることも好ましい。上述のように乾燥工程(II)は、低含水率状態において特に効果を奏することができる。従って、このような予備乾燥工程を設けることで、乾燥効率をさらに高めることができる。上記予備乾燥工程における乾燥方法としては、加熱ガス(熱風等)を用いる方法や、遠心脱水機を用いる方法等を挙げることができる。この予備乾燥工程における乾燥時間としては、特に限定されないが、例えば1時間以上10時間以下とすることができる。
当該製造方法を経て得られた樹脂に、重合度、エチレン含有量、けん化度等の異なるEVOHをブレンドし溶融成形することも可能である。また、当該製造方法を経て得られた樹脂に、各種可塑剤、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、スリップ剤、帯電防止剤、硼酸等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤、各種繊維などの補強材などを適量添加することも可能である。
当該製造方法を経て得られるEVOH樹脂中に含まれるEVOHの含有量としては、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
当該製造方法を経て得られたEVOH樹脂は、従来のEVOH樹脂に比べて劣化が抑制されているため、品質に優れた樹脂として、各種用途に使用可能である。また、当該樹脂は溶融成形性等にも優れる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
<実施例1>
[造粒工程(I)]
エチレン含有量38モル%、けん化度100モル%、含水率53質量%のEVOHを日本製鋼所社製二軸押出機TEX44αに投入し、吐出口先端部の液体添加部より、酢酸/ホウ酸/酢酸ナトリウム/リン酸からなる水溶液(EVOH1,000質量部に対する添加量は、酢酸:7質量部、ホウ酸:15質量部、酢酸ナトリウム:700質量部、リン酸:0.5質量部)を添加しながらEVOHを吐出した。なお、本押出機は脱水スリットを備えており、水及び水蒸気を除去しながら含水EVOHペレットを吐出した。EVOHの乾燥質量単位の吐出速度は、20kg毎時であった。得られた含水EVOHペレット(固形物)は、直径3.0mmの球状であり、含水率は21質量%であった。用いた上記二軸押出機の仕様を以下に示す。
口径 44mmφ
スクリュー 同方向完全噛合型
スクリュー回転数 220rpm
ヒーター 13分割タイプ、設定温度100〜120℃
脱水口 3箇所
液添加口 1箇所
カット方式 センターホットカッター、2枚刃、2800rpm
ダイス 8穴、3mmφ、設定温度130℃
[工程(II)]
このようにして得られた含水EVOHペレット1.0kgを横置型の円柱ドラム(内径400mm、幅500mm)に投入し、トーコー社製ハロゲンランプ(定格電力1.0kW、照射波長1.5μm、ランプ幅600mm)をドラム内に挿入した。このドラムを回転させ、EVOHペレットを撹拌しながら、上記ハロゲンランプによりEVOHペレットに赤外線を照射した。ハロゲンランプからEVOHペレットまでの照射距離を150mmとして赤外線を照射した。なお、ドラムの回転数は20rpm(住友重機械社製インバータ減速機CNHM01にて駆動)とした。また、デジタルコントローラ(東邦電子社製TTM−204)に接続した放射温度センサ(キーエンス社製FT−H30)で、EVOHペレットの温度を計測し、EVOHペレットの温度が130℃〜131℃となるように、ハロゲンランプの出力をON/OFF制御した。乾燥中のドラム内の雰囲気温度は47℃であった。照射開始から3時間後、赤外線の照射を止めた。得られた乾燥EVOHペレット(樹脂)の含水率を測定したところ、含水率は0.17質量%であった。
[発泡率]
得られた乾燥EVOHペレット(樹脂)100gを肉眼にて選別し、ペレットの発泡率(くぼみ、気泡咬みこみ、発泡などの形状不良が見られるペレットの割合)を求めた。発泡率は1質量%であった。
[透明性]
得られた乾燥EVOHペレット100gを内径50mmの円柱ガラス瓶に入れ、目視にてペレットの透明性を肉眼にて確認し、以下のように判定した。
判定:基準
A:ペレットは透明であり、白濁がない。
B:透明性はあるが、一部に白濁ペレットが見られる。
C:ペレットの透明性が失われ、すりガラス状に曇っている。
D:ペレットが完全に白濁し、透明性が無い。
得られた乾燥EVOHペレットの透明性の評価結果はB判定であった。
得られた乾燥EVOHペレットを以下に示す単層製膜試験に供して耐着色性及び外観特性を評価した。
[単層製膜試験]
乾燥EVOHペレットを東洋精機製作所社製20mm短軸押出機を用いて単層製膜を以下の条件で行い、単層フィルムを得た。
押出温度 :220℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量 :1.2kg/hr
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:2.0m/min.
フィルム厚み :30μm
[耐着色性]
上記方法で作製された単層フィルムを紙管に巻き取り、フィルム端面の着色度を肉眼で以下のように判定した。
判定:基準
A:着色なし。
B:若干ながら黄変している。
C:黄変している。
D:著しく黄変している。
[外観特性]
上記方法で作製された単層フィルムのフィッシュアイやストリークを目視で確認し、フィルムの外観を以下のように判定した。
判定:基準
A:外観は美麗で、フィッシュアイやストリークがほとんど無い。
B:外観に問題はないが、フィッシュアイやストリークが若干目立つ。
C:フィッシュアイやストリークが目立ち、外観上に問題がある。
D:フィッシュアイやストリークが著しく、フィルムの透明性にも難がある。
得られた単層フィルムの耐着色性評価結果はA判定であった。また単層フィルムの外観特性はA判定であった。
<実施例2>
[工程(I)]
実施例1記載の方法に従って、含水EVOHペレットを得た後、110℃に設定した熱風乾燥機(アドバンテック社製 FA−620)で3時間予備乾燥した。予備乾燥後の含水EVOHペレットの含水率は、3.2質量%であった。
[工程(II)]
EVOHペレットの樹脂温度を125℃〜126℃で制御としたことを除いては、実施例1と同様にして、予備乾燥後の含水EVOHペレットに赤外線を照射した。乾燥中のドラム内の雰囲気温度は45℃であった。照射開始から2時間後、赤外線の照射を止めた。得られた乾燥EVOHペレットの含水率を測定したところ、含水率は0.20質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は0質量%であり、透明性の評価結果はA判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はA判定であり、外観特性はA判定であった。
<実施例3>
実施例1と同様にして、工程(I)を行った後、工程(II)において、伝熱ヒーターによりドラムを加熱してドラム内の雰囲気温度を110℃とした以外は、実施例1と同様にして乾燥EVOHペレットを得た。赤外線を3時間照射した後の得られた乾燥EVOHペレットの含水率は0.31質量%であった。
実施例に1記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は5質量%であり、透明性の評価結果はB判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はB判定であり、外観特性はB判定であった。
<実施例4>
工程(II)において、樹脂温度を80℃〜81℃で制御したことを除いては、実施例1と同様にして、含水EVOHペレットに赤外線を照射した。乾燥中の雰囲気温度は33℃であった。赤外線を5時間照射した後の含水EVOHペレットの含水率は5.3質量%であり、乾燥不十分な状態であった。さらにこの含水EVOHペレットへの乾燥を続けたところ、赤外線照射開始から50時間後の得られた乾燥EVOHペレットの含水率は0.24質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は0質量%であり、透明性の評価結果はA判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はA判定であり、外観特性はB判定であった。
<実施例5>
工程(II)において、樹脂温度を150℃〜151℃で制御したことを除いては、実施例1と同様にして、含水EVOHペレットに赤外線を照射した。乾燥中の雰囲気温度は53℃であった。赤外線を3時間照射した後の乾燥EVOHペレットの含水率は0.09質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は53質量%であり、透明性の評価結果はC判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はA判定であり、外観特性はB判定であった。
<実施例6>
[工程(I)]
エチレン含有量27モル%、けん化度100モル%のEVOHの水/メタノール混合溶液(EVOH濃度:27質量%、水/メタノール質量比=5/5)を、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=9/1)中に押出してストランド状に析出させた。このストランド状の析出物を切断することで直径約4mm、長さ約5mmの円柱型のペレットを得た。
このようにして得られた含水EVOHペレット5.0kgを搭型の容器に導入し、搭下部から純水(10L毎時)を供給することで10時間洗浄を行った。引き続き、純水に変えて、0.7g/Lの酢酸、0.2g/Lのホウ酸、0.4g/Lの酢酸ナトリウム、0.03g/Lのリン酸を含んだ処理水を供給することで6時間洗浄を行った。得られた含水EVOHペレットの含水率は183質量%であった。
[工程(II)]
このようにして得られた含水EVOHペレット1.5kgを実施例1と同様の設備を用いて赤外線を照射し、EVOHペレットの温度が130℃〜131℃となるように、ハロゲンランプの出力をON/OFF制御した。乾燥中の雰囲気温度は45℃であった。照射開始から8時間後、赤外線の照射を止め、乾燥EVOHペレットの含水率を測定したところ、含水率は0.17質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は71質量%であり、透明性の評価結果はC判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はA判定であり、外観特性はA判定であった。
<実施例7>
[工程(I)]
含水EVOHペレットの洗浄を行うまでは実施例5と同様の操作を行い、引き続き、100℃に設定した熱風乾燥機で5時間予備乾燥した。予備乾燥後の含水EVOHペレットの含水率は、3.8質量%であった。
[工程(II)]
EVOHペレットの樹脂温度を125℃〜126℃で制御としたことを除いては、実施例5と同様にして赤外線を照射した。乾燥中の雰囲気温度は44℃であった。照射開始から2時間後、赤外線の照射を止め、得られた乾燥EVOHペレットの含水率を測定したところ、含水率は0.27質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は0質量%であり、透明性の評価結果はA判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はA判定であり、外観特性はA判定であった。
<比較例1>
実施例1の工程(I)と同様にして得られたエチレン含有量38モル%、けん化度100モル%、含水率21質量%のEVOHペレット1.0kgを、熱風乾燥機(アドバンテック社製 FA−620)に投入し、熱風乾燥機の設定温度を134℃として乾燥した。乾燥中、デジタル温度計(アズワン社製 TM−300)にて、EVOHペレットの樹脂温度を測定したところ、130〜131℃の範囲で安定していた。乾燥開始から3時間後、EVOHペレットを取り出し、含水率を測定したところ、含水率は0.65質量%であり、EVOHの乾燥は不十分であった。さらに乾燥を継続し、乾燥開始から6時間後の乾燥EVOHペレットの水分率は0.15質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は12質量%であり、透明性の評価結果はB判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はC判定であり、外観特性はB判定であった。
<比較例2>
実施例2の工程(I)と同様にして得られたエチレン含有量38モル%、けん化度100モル%、含水率3.2質量%の含水EVOHペレット1.0kgを、熱風乾燥機(アドバンテック社製 FA−620)に投入し、熱風乾燥機の設定温度を129℃として乾燥した。乾燥中、デジタル温度計(アズワン社製 TM−300)にて、EVOHペレットの温度を測定したところ、125〜126℃の範囲で安定していた。乾燥開始から3時間後、EVOHペレットを取り出し、含水率を測定したところ、含水率は0.75質量%であり、EVOHペレットの乾燥は不十分であった。さらに乾燥を継続し、乾燥開始から9時間後の乾燥EVOHペレットの水分率は0.22質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は0質量%であり、透明性の評価結果はA判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はB判定であり、外観特性はA判定であった。
<比較例3>
実施例6の工程(I)と同様にして得られたエチレン含有量27モル%、けん化度100モル%、含水率183質量%のEVOHペレット1.0kgを熱風乾燥機(アドバンテック社製 FA−620)に投入し、熱風乾燥機の設定温度を134℃として乾燥した。乾燥中、デジタル温度計(アズワン社製 TM−300)にて、EVOHペレットの温度を測定したところ、130〜131℃の範囲で安定していた。乾燥開始から8時間後、EVOHペレットを取り出し、含水率を測定したところ、含水率は1.8質量%であり、乾燥は不十分であった。さらに乾燥を継続し、乾燥開始から10時間後の得られた乾燥EVOHペレットの水分率は0.34質量%であった。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は82質量%であり、透明性の評価結果はC判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はC判定であり、外観特性はC判定であった。
<比較例4>
実施例6の工程(I)と同様にして得られたエチレン含有量27モル%、けん化度100モル%、含水率183質量%のEVOHペレット1.0kgを熱風乾燥機(アドバンテック社製 FA−620)に投入し、熱風乾燥機の設定温度を134℃として乾燥した。乾燥中、デジタル温度計(アズワン社製 TM−300)にて、EVOHペレットの温度を測定したところ、130〜131℃の範囲で安定していた。乾燥開始から8時間後、EVOHペレットを取り出し、含水率を測定したところ、含水率は1.8質量%であった。乾燥途中の本EVOHペレット0.5kgをテフロン(登録商標)製のトレイに入れて、500Wの出力にてマイクロ波を照射した。樹脂温度を130〜131℃に調整するためにマイクロ波の出力を調整したが、樹脂温度は110℃〜156℃の範囲で変動した。乾燥中の雰囲気温度は45℃であった。1時間後、マイクロ波の照射を停止し、EVOHペレットの含水率を測定したところ、含水率は0.09%であった。得られた乾燥EVOHペレットは、ペレット同士が一部膠着していた。
実施例1に記載の方法に従って、本乾燥EVOHペレットの発泡率及び透明性を評価したところ、発泡率は93質量%であり、透明性の評価結果はD判定であった。
実施例1に記載の方法に従って、単層製膜試験及び評価を行ったところ、耐着色性はB判定であり、外観特性はB判定であった。
上述した実施例及び比較例における乾燥条件等及び評価結果を再度表1に示す。
Figure 0005748677
上記表1に示されるように、実施例1〜7の製造方法によれば、乾燥効率に優れ、外観に優れる乾燥EVOHペレット(EVOH樹脂)を得ることができる。
1 乾燥装置
2 回転ドラム
3 赤外線ランプ
3a 出射面
4 モータ
5 ベルト
6 軸
A 粒状物

Claims (10)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体及び水を含む固形物に赤外線を照射し、上記固形物を乾燥させる乾燥工程
    を含むエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  2. 上記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有量が20モル%以上60モル%以下、けん化度が90モル%以上である請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  3. 上記乾燥工程における雰囲気温度が10℃以上100℃以下である請求項1又は請求項2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  4. 上記乾燥工程における固形物の温度が80℃以上160℃以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  5. 上記乾燥工程に供する固形物の含水率が0.5質量%以上200質量%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  6. 上記乾燥工程を経た固形物の含水率が0.5質量%未満である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  7. 上記赤外線の波長が0.7μm以上10μm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  8. 上記固形物が粒状である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  9. 上記乾燥工程において、粒状の固形物を撹拌しながら赤外線を照射する請求項8に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
  10. 上記乾燥工程において、粒状の固形物をコンベアで搬送させながら赤外線を照射する請求項8に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の製造方法。
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