JP5745802B2 - カリックスアレーン系化合物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、包摂化合物等としての利用が期待でき、官能基の導入による機能化が可能なカリックスアレーン系化合物及びその製造方法に関する。
カリックスアレーン系化合物は、一般には、フェノール、レゾルシノール等のフェノール系化合物とアルデヒド系化合物との縮合反応により得られる環状オリゴマーである。近年、カリックスアレーン系化合物はホスト−ゲスト化学の分野においてクラウンエーテル、シクロデキストリンに次ぐ、第三の包摂化合物として注目されている。
カリックスアレーン系化合物は、通常一分子内に多くの水酸基を有し、熱的安定性に優れ、高いガラス転移温度と高融点を有すること、また構造によっては成膜性を有することから、優れた機能性材料として注目されている。例えば、p−メチルカリックス[6]アレーンヘキサアセテートを用いた電子線ネガ型フォトレジストへの応用(例えば、非特許文献1参照)や、カリックス[4]レゾルシンアレーン、架橋剤、光酸発生剤に基づくアルカリ現像型のネガ型フォトレジストへの応用(例えば、非特許文献2参照)等が報告されている。また、カリックスアレーン系化合物を高性能な光硬化材料へ応用することを目的としたラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基の導入、及び高解像度のレジスト材料への応用を目的とした保護基の導入によるカリックスアレーン系化合物誘導体の合成及びその光反応特性についての評価が報告されている(例えば、非特許文献3、4、及び5参照)。また、種々のカチオン重合性官能基を有するp−アルキルカリックス[n]アレーン誘導体の合成及びその光カチオン重合についての検討が報告されている(例えば、非特許文献6参照)。
また、カリックスアレーン系化合物の中でもレゾルシノール系化合物とアルデヒド系化合物との縮合物であるカリックスレゾルシノールアレーン系化合物については、大きなゲストの包摂を目的とした種々の検討がなされており、レゾルシノール環の化学修飾により空孔をより大きく、深くした誘導体が数多く合成されている。
例えば、隣り合うレゾルシノール環の水酸基対を共有結合で架橋すると、コーン型配座が強固に固定されたかご型のキャビタンドが得られる。このような架橋法として、ジハロメタンを用いるアルキル化(非特許文献7参照)、ジアルキルジクロロシランを用いたシリル化(非特許文献8参照)等が報告されている。また、レゾルシノール系化合物として、CHO(非特許文献9参照)、OH、COR(以上、非特許文献10参照)等の官能基を有する誘導体を用いた例が報告されている。更に、適当な官能基を持つ2種類以上のキャビタントをS2反応により連結するとカプセル型のカルセランドが得られることも報告されている(非特許文献11参照)。しかしながら、これらのキャビタント類には反応性基が残っていないため、更なる化学修飾が困難である。
Y.Ochiai,S.Manako,H.Yamamoto,T.Teshima,J.Fujita,E.Nomura:J.Photopolym.Sci.Technol.,13,413(2000) T.Nakayama,M.Nomura,K.Haga,M.Ueda:Bull.Chem.Soc.Jpn.,71,2979(1998) T.Nishikubo,A.Kameyama,and H.Kudo,K,Tsutsui,:J.Polym.Sci.Part A,Polym.Chem.,40,1293(2002) T.Nishikubo,A.Kameyama,and H.Kudo:Polym.J.,35,213(2003) T.Nishikubo,A.Kameyama,and H.Kudo:ACS Symposium Series 847,363(2003) T.Nishikubo,A.Kameyama,K.Tsutsui,and M.Iyo,J.Polym.Sci.Part A.Polym.Chem.,37,1805(1999) J.R.Moran,S.karbach,and D.J.Cram,J.Am.Chem.Soc.,104,5826(1982) D.J.Cram,K.D.Stewart,I.Goldberg,and K.N.Trueblood,J.Am.Chem.Soc.,107,2574(1985) M.L.C.Quan and D.J.Cram,J.Am.Chem.Soc.,113,2754(1991) J.C.Sherman and D.J.Cram,J.Am.Chem.Soc.,111,4527(1989) P.Timmerman,W.Verboom,F.C.J.M.van Veggel,W.P.van Hoorn,and D.N.Reoinhoudt,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,33,1292(1994)
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、化学修飾が容易であるとともに、特徴的な立体構造を有し、且つ、包摂化合物等としての利用が期待される新規なカリックスアレーン系化合物を提供することにある。
また、本発明の課題とするところは、化学修飾が容易であるとともに、特徴的な立体構造を有し、且つ、包摂化合物等としての利用が期待される新規なカリックスアレーン系化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、芳香族ジオール化合物と芳香族ジアルデヒド化合物を反応させることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すカリックスアレーン系化合物及びその製造方法が提供される。
[1]下記一般式(1)で表されるカリックスアレーン系化合物。
上記一般式(1)中、X及びYは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは近傍に位置する2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、a、m、及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示す。
[2]下記一般式(2)で表される化合物(A)と、下記一般式(3)で表される化合物(B)と、を反応させることを含むカリックスアレーン系化合物の製造方法。
上記一般式(2)中、Xは、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、mは0又は1の整数を示す。
上記一般式(3)中、Yは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、a及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは、両方のaが1である場合には、近傍に位置する2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。
本発明のカリックスアレーン系化合物は、化学修飾が容易であるとともに、特徴的な立体構造を有し、且つ、包摂化合物等としての利用が期待されるものである。また、本発明のカリックスアレーン系化合物は化学修飾することにより、硬化性組成物やレジスト用組成物への応用、及び包摂化合物としての利用、更には高機能を有するアレーン系化合物誘導体の中間体としての利用等、幅広い分野における利用が期待されるものである。
本発明のカリックスアレーン系化合物の製造方法によれば、化学修飾が容易であるとともに、特徴的な立体構造を有し、且つ、包摂化合物等としての利用が期待されるカリックスアレーン系化合物を提供することができる。
実施例1で得た化合物(i)のプロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例1で得た化合物(i)のゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)による分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)である。 実施例1で得た化合物(i)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例2で得た化合物(ii)の赤外吸収分析(IR)による赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例2で得た化合物(ii)のプロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例3で得た化合物(iii)の赤外吸収分析(IR)による赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例3で得た化合物(iii)のプロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例4で得た化合物(iv)の赤外吸収分析(IR)による赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例4で得た化合物(iv)のプロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例4で得た化合物(iv)のゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)による分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)である。 実施例4で得た化合物(iv)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例5で得た化合物(v)の赤外吸収分析(IR)による赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例5で得た化合物(v)のプロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例5で得た化合物(v)のゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)による分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)である。 実施例5で得た化合物(v)のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例6で得た化合物(B−1)の赤外吸収分析(IR)による赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例6で得た化合物(B−1)のプロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例6で得た化合物(vi)の赤外吸収分析(IR)による赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例6で得た化合物(vi)のプロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)によるスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例6で得た化合物(vi)のゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)による分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)である。 実施例6で得た化合物(vi)のMALDI−TOF MSスペクトルの測定結果を示すチャートである。 実施例6で得た化合物(vi)の熱重量/示差熱同時分析(TG−DTA)による熱安定性測定結果を示すチャートである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.カリックスアレーン系化合物:
本発明のカリックスアレーン系化合物(以下、単に「化合物(I)」とも記載する。)は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物である。以下、その詳細について説明する。
上記一般式(1)中、X及びYは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは近傍に位置する2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、a、m、及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示す。
前記一般式(1)中、複数のRのうちの少なくとも1つは重合性官能基を有する基であることが好ましい。このことにより、化合物(I)を硬化性組成物に利用することができ、また、溶剤への溶解性及び成膜性も向上させることができる。
上記重合性官能基としては、例えば、重合性不飽和結合を有する基、環状エーテル構造を有する基等を挙げることができる。重合性官能基の具体例としては、ビニル基、ビニリデン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、置換又は非置換のグリシジル基、置換又は非置換のオキセタニル基、置換又は非置換のスピロオルトエステル基等を挙げることができる。
前記一般式(1)中の複数のRのうちの少なくとも1つが重合性官能基を有する基であることで、化合物(I)を硬化性組成物に利用することができるが、硬化の速度を高めるという観点から、Rとして示される基のうち更に多くの基が、重合性官能基を有する基であることが好ましい。即ち、1つの芳香環上に存在する2つのRのうち、少なくとも1つが重合性官能基を有する基であることが好ましく、両方ともが重合性官能基を有する基であることが更に好ましい。
前記一般式(1)中、複数のRのうちの少なくとも1つはアルカリ可溶性基を有する基であることも好ましい。このことにより、化合物(I)をレジスト用組成物に好適に利用することができる。例えば、アルカリ可溶性基と多官能ビニルエーテル化合物等の架橋剤とを反応させて架橋した後、光酸発生剤の存在下、特定部分に光を照射することにより、加水分解させてアルカリ可溶性にした後、アルカリ水溶液で露光部分を溶解除去することにより、特定の凹凸パターンを形成することができる。また、Rとして示される基がアルカリ可溶性基を有する基であることで、成膜性も向上させることができる。
上記アルカリ可溶性基の具体例としては、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。
前記一般式(1)中の複数のRのうちの少なくとも1つがアルカリ可溶性基を有する基であることで、化合物(I)をレジスト用組成物に利用することができるが、アルカリ水溶液に対する溶解性を更に高めるという観点から、複数のRのうち更に多くの基が、アルカリ可溶性基を有する基であることが好ましい。即ち、1つの芳香環上に存する2つのRのうち、少なくとも1つがアルカリ可溶性基を有する基であることが好ましく、両方ともがアルカリ可溶性基を有する基であることが更に好ましい。
前記一般式(1)中、複数のRのうちの少なくとも1つが重合性官能基を有する基であり、且つ、残りの複数のRのうちの少なくとも1つがアルカリ可溶性基を有する基であることが、フォトレジスト用組成物等に好適に利用できるため特に好ましい。例えば、重合性官能基を有する基及びアルカリ可溶性基を有する基の両方を有する化合物(I)を含有するフォトレジスト用組成物を用いて膜を形成した後、光を照射する等して特定の部分を硬化させ、アルカリ水溶液によりその他の部分を溶解除去することにより、特定の凹凸パターンを形成することができる。
より多くの重合性官能基及びアルカリ可溶性基を導入することができるという観点から、前記一般式(1)中のRは、重合性官能基及びアルカリ可溶性基の両方を有する基であることも好ましい。
前記一般式(1)中、複数のRのうちの少なくとも1つが主鎖の炭素数が1〜8の置換アルキル基であることが好ましい。これは、例えば、アルキル鎖をスペーサーとして、その先端に上述のような官能基を導入することにより、官能基の自由度が向上し、反応性が向上することが考えられるからである。上述のような官能基を付加又は置換しうる置換基で置換されたアルキル基を有する誘導体は、レジスト用組成物等に使用しうる誘導体を合成するための中間体として好適に用いることができる。更に、上述のような官能基や置換基が保護基により保護された置換アルキル基を有する誘導体も中間体等として好適に用いることができる。
前記一般式(1)中、複数のRのうちの少なくとも1つが酸解離性基を有する基であることも好ましい。このことにより、化合物(I)をレジスト用組成物に好適に利用することができる。例えば、光酸発生剤の存在下、特定部分に光を照射することにより、光酸発生剤から発生した酸の作用によって酸解離性基が脱離して、アルカリ可溶性部位を生じ、その結果、レジストの露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、この露光部がアルカリ水溶液によって溶解除去されることにより、特定の凹凸パターンを形成することができる。
上記酸解離性基は、酸の作用によって脱離(解離・脱保護)し、その結果、この脱離した酸解離性基が保護していた酸性基(アルカリ可溶性部位)を露出させる基のことであり、例えば、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換−n−プロピル基、1−分岐アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、環式酸解離性基等が挙げられる。このような酸解離性基の具体例としては、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、トリメチルシリル基、t−ブトキシカルボニル基、アダマンチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基等を挙げることができる。
酸解離性基を有する基としては、上記酸解離性基で保護されたカルボキシ基を有する基等を挙げることができる。酸解離性基を有する基の具体例としては、t−ブトキシカルボニルメチル基、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
2.カリックスアレーン系化合物の製造方法:
本発明のカリックスアレーン系化合物の製造方法は、下記一般式(2)で表される化合物(A)と、下記一般式(3)で表される化合物(B)とを反応させることを含む製造方法である。以下、その詳細について説明する。
2−1.化合物(A):
化合物(A)は下記一般式(2)で表される芳香族ジオール化合物誘導体である。
上記一般式(2)中、Xは、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、mは0又は1の整数を示す。
前記一般式(2)で表される化合物(A)の具体例としては、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、2−メチルレゾルシノール、2−ブチルレゾルシノール等の置換又は非置換のジヒドロキシベンゼン;3−メトキシフェノール、3−エトキシフェノール、3−ブトキシフェノール等のモノアルコキシフェノール;1,3−ジメトキシベンゼン、1,3−ジプロポキシベンゼン、1,3−ジブトキシベンゼン等のジアルコキシベンゼン等を挙げることができる。これらのなかでも、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、3−メトキシフェノール、1,3−ジメトキシベンゼン等が好ましい。尚、これらの化合物(A)は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
2−2.化合物(B):
化合物(B)は下記一般式(3)で表される芳香族ジアルデヒド化合物である。
上記一般式(3)中、Yは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、a及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは、両方のaが1である場合には、近傍に位置する2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。
前記一般式(3)で表される化合物(B)の具体例としては、ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシフェニル)メタン等のホルミル(アルデヒド)基及びヒドロキシル基を有する置換又は非置換のビスフェニルメタンを挙げることができる。これらの化合物(B)は、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
2−3.化合物(A)と化合物(B)との反応:
本発明のカリックスアレーン系化合物は、化合物(A)と化合物(B)とを、例えば、溶媒中、触媒存在下で、0.2時間以上(好ましくは48時間以上)、室温(25℃)〜110℃の温度の条件で脱水縮合反応させることにより製造することができる。
上述の反応において、使用できる溶媒の具体例としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール等のアルコールを挙げることができる。尚、溶媒は、脱水縮合反応の温度に応じて適宜選択することが好ましい。また、上述の反応において、使用できる触媒としては、塩酸等の酸触媒を挙げることができる。
反応に使用する化合物(A)と化合物(B)の使用割合に特に制限はないが、収率の観点から、化合物(B)/化合物(A)の値(mol比)が、0.1〜0.6の範囲であることが好ましく、0.2〜0.5の範囲であることがより好ましく、0.2〜0.3の範囲であることが更に好ましく、0.2〜0.25の範囲であることが特に好ましい。
反応溶液中の基質濃度(化合物(A)と化合物(B)の合計の濃度)に特に制限はないが、収率の観点から、2mol/l以上であることが好ましく、4mol/l以上であることが更に好ましく、4〜10mol/lの範囲であることが特に好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[プロトン核磁気共鳴分析(H−NMR)]:
日本電子社製の商品名「JNM−ECA−600型(600MHz)」を使用してプロトン核磁気共鳴スペクトル(以下、「H−NMRスペクトル」とも記載する。)(600MHz,CDCl,TMS)を測定した。
[ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)による分析]:
以下に示す条件で、ゲルろ過クロマトグラフィー(以下、「GPC」とも記載する。)による分析を行った。
システム:商品名「HLC−8220」(東ソー社製)
検出器:商品名「HLC−8200」(東ソー社製)(内蔵RI/UV−8200(280nm))
カラムオーブン温度:40℃
サンプルポンプ流速:0.600ml/min
サンプルポンプ圧力:14.5MPa
レファレンスポンプ流速:0.600ml/min
レファレンスポンプ圧力:2.5MPa
カラム:商品名「Shodex Asahipak GF−510 HQ」、及び「Shodex Asahipak GF−310 HQ」×2(昭和電工社製)
ガードカラム:商品名「Shodex Asahipak GF−1G 7B」(昭和電工社製)
[エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)]:
以下に示す条件で、エレクトロスプレーイオン化質量分析(以下、「ESI−MS」とも記載する。)を行った。
システム:商品名「Accu−TOF」(日本電子社製)
イオン化モード:ネガティブモード
サンプル濃度:500ppb
オリフィス1電圧掃引:−60V
リングレンズ電圧:−34V
溶媒:メタノール
[赤外吸収分析(IR)]:
Thermo ELECTRON社製の型番「NICOLET 380 FT−IR」を使用して、KBr法にて赤外吸収スペクトル(以下、「IRスペクトル」とも記載する。)を測定した。
[マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(飛行時間型)(MALDI−TOF MS)]:
以下に示す条件で、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(飛行時間型)(以下、「MALDI−TOF MS」とも記載する。)を行った。
システム:商品名「AXIMA−CFRplus(shimazu/Kratos)」(島津製作所社製)
マトリックス:2,5−ジヒドロキシ安息香酸
Laser:N(337nm)
Accel voltage:20kV
[熱重量/示差熱同時分析(TG−DTA)]:
Seiko社製の商品名「EXSTAR6000 TG/DTA 6200」を使用し、窒素気流下で昇温速度:10℃/分、温度:80〜600℃の条件下で測定した。
[溶解性]:
2mg/mLの濃度となるように、化合物を各溶媒に添加し、十分に撹拌した後、以下に示す基準に従って溶解性を評価した。
「++(可溶)」:溶液の着色が観察され、室温で化合物が溶解して残存しない状態
「+(可溶)」:溶液の着色が観察され、加熱状況下で化合物が全て溶解して残存していない状態
「+−(一部可溶)」:溶液の着色が観察されるとともに、化合物が溶解せずに一部残存した状態
「−(不溶)」:溶液の着色が観察されず、化合物が残存した状態
但し、溶媒「PGMEA」(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、及び「PGME」(プロピレングリコールモノメチルエーテル)については、濃度が50mg/mLとなるように化合物を各溶媒に添加した。
(実施例1)
回転子を入れた50mlナスフラスコに、レゾルシノール2.2g(20mmol)を量り取り、ビス(3−ホルミル−4−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、「BISA−F」とも記載する。)1.28g(5mmol)を加え、次いでエタノール4.5mlに懸濁させた。その後、濃塩酸1.5mlを滴下し、80℃で48時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、反応溶液をエタノールで希釈した。希釈した反応溶液をジエチルエーテル中に滴下し、沈殿物を生成した。生成した沈殿物を室温で24時間減圧乾燥し、黄色粉末状固体である化合物(i)を得た。収量は2.39gであり、収率は97%であった。得られた化合物(i)のH−NMRスペクトルの測定結果を示すチャートを図1に、GPCによる分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)を図2に、ESI−MSスペクトルの測定結果を示すチャートを図3に、それぞれ示す。
H−NMRスペクトルの測定結果を示すチャート、GPCによる分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)、及びESI−MSスペクトルの測定結果を示すチャートより、得られた化合物(i)は分子式C604614で表され、また、下記式(i)で表される構造を有していることが推定される。
(実施例2)
回転子を入れた50mlナスフラスコに、前記化合物(i)2.97g(3mmol、水酸基当量で42mmol)を量り取り、60℃で減圧乾燥した。乾燥後、イミダゾール17.16g(252mmol、水酸基に対して3当量、塩化水素トラップとして3当量)を加え、テトラヒドロフラン60mlに溶解させた。得られた溶液中に、トリメチルシリルクロライド(以下、テトラメチルシリル基のことを「TMS」とも記載する。)15.9ml(126mmol、水酸基に対して3当量)を滴下し、還流条件下48時間撹拌し、反応させた。反応終了後、反応溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチルとn−ヘキサンの1:4混合溶液)を用いて単離した。展開溶媒を減圧留去後、貧溶媒としてメタノールを用いて再沈殿し、乾燥することにより、化合物(ii)を得た。収量は2.082g、収率は47%であり、TMS導入率は100%であった。また、構造確認をIR及びH−NMRにより行い、IRによる赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートを図4に、H−NMRスペクトルの測定結果を示すチャートを図5に、それぞれ示す。
化合物(ii)のH−NMRより、レゾルシノールの芳香環に由来する芳香族プロトンを示すピークの積分値及び縮合反応により生成したメチンプロトンを示すピークの積分値と、BISA−Fに由来するメチレン基のプロトンを示すピークの積分値との比が7:1となっており、これは実施例1で推定した化合物(i)の構造を支持するものである。
(実施例3)
回転子を入れた50mlナスフラスコに、化合物(i)2.97g(3mmol、水酸基当量42mmol)を量り取り、相間移動触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.677g(2.1mmol、水酸基に対して0.05当量)、塩基として炭酸カリウム(KCO)8.715g(63mmol、水酸基に対して1.5当量)を加え、18mlのN−メチルピロリドン(NMP)に懸濁させた。その後、2−メチル−2−アダマンチルブロモアセテート(AdBAc)17.95g(63mmol、水酸基に対して1.5当量)を加え、80℃で24時間撹拌して、反応させた。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、3質量%シュウ酸水溶液で2回洗浄し、水道水で1回洗浄し、有機層を、無水硫酸マグネシウムを乾燥剤として用いて、乾燥させた。乾燥剤(無水硫酸マグネシウム)をろ別後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)により、目的化合物画分を単離した。この目的化合物画分の展開溶媒を減圧留去した後、良溶媒として酢酸エチル、貧溶媒としてメタノールを用いて、沈殿物を得た。この沈殿物を回収し、室温で24時間減圧乾燥することにより、化合物(iii)を得た。収量は7.39gであり、収率は64%であった。
得られた化合物(iii)の構造確認をIR及びH−NMRにより行い、IRによる赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートを図6に、H−NMRスペクトルの測定結果を示すチャートを図7に、それぞれ示す。IR及びH−NMRの測定結果より、化合物(iii)は、下記式(iii)で表される化合物であり、R置換基の導入率は100%であった。
なお、以下に、図7のH−NMRスペクトルの帰属結果を示す。
H−NMR(600MHz,CDCl,TMS):δ(ppm)
7.14−5.34(m,28.0H,aromaticH)
4.73−3.08(m,32.0H,−CH−)
2.54−0.73(m,238.0H,adamantylH)
上記式(iii)中、Rは、下記式(R)で表される基を示す。
(実施例4)
回転子を入れた50mlナスフラスコに、3−メトキシフェノール2.48g(20mmol、官能基当量で40mmol)、及びBISA−F1.28g(5mmol、官能基当量で20mmol)を量り取り、クロロホルム4.5mlを加え、白色の懸濁液を得た。得られた懸濁液に、触媒としてトリフルオロ酢酸(TFA)を1.5ml滴下した。その後、還流条件下、24時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて沈殿させた。次いで、この沈殿物を酢酸エチルに再溶解させ、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈殿させた。再沈殿により、得られた固体を、室温で24時間減圧乾燥し、更に80℃で30分間減圧乾燥することにより、化合物(iv)を得た。収量は2.37gであり、収率は90%であった。
得られた化合物(iv)のIRによる赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートを図8に、H−NMRスペクトルの測定結果を示すチャートを図9に、GPCによる分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)を図10に、ESI−MSスペクトルの測定結果を示すチャートを図11に、それぞれ示す。
なお、以下に、図9のH−NMRスペクトルの帰属結果を示す。
H−NMR(600MHz,DMSO−d):δ(ppm)
9.20−7.71(m,9H,−OH)
7.07−5.39(m,28H,aromaticH,>CH)
3.94−3.01(m,19H,−OCH,−CH−)
また、図11のESI−MSスペクトルにおいて、[M−H]の計算値が1059.37であったのに対して、[M−H]=1059.34のシグナルが検出された。
これらの測定結果より、化合物(iv)は、下記式(iv)で表される化合物であった。
(実施例5)
回転子を入れた50mlナスフラスコに、1,3−ジメトキシベンゼン2.76g(20mmol、官能基当量で40mmol)、及びBISA−F1.28g(5mmol、官能基当量で20mmol)を量り取り、クロロホルム4.5mlを加え、白色の懸濁液を得た。得られた懸濁液に、触媒としてトリフルオロ酢酸(TFA)を1.5ml滴下した。その後、還流条件下、24時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水で2回、水道水で1回、1N塩酸で1回、水道水で1回洗浄し、有機層を、無水硫酸マグネシウムを乾燥剤として用いて乾燥させた。乾燥剤(無水硫酸マグネシウム)をろ別後、濃縮し、良溶媒として酢酸エチル、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて、沈殿させた。次いで、この沈殿物を酢酸エチルに再溶解させ、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて再沈殿させた。再沈殿により、得られた固体を、室温で24時間減圧乾燥し、褐色固体を得た。この褐色固体を化合物(v)とした。収量は2.41gであり、収率は81%であった。
得られた化合物(v)のIRによる赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートを図12に、H−NMRスペクトルの測定結果を示すチャートを図13に、GPCによる分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)を図14に、ESI−MSスペクトルの測定結果を示すチャートを図15に、それぞれ示す。
なお、以下に、図13のH−NMRスペクトルの帰属結果を示す。
H−NMR(600MHz,DMSO−d):δ(ppm)
8.84−8.24(m,4H,−OH)
7.28−5.19(m,28H,aromaticH,>CH)
3.89−3.07(m,34H,−OCH,−CH−)
また、図15のESI−MSスペクトルにおいて、[M−H]の計算値が1129.45であったのに対して、[M−H]=1129.40のシグナルが検出された。
これらの測定結果より、化合物(v)は、下記式(v)で表される化合物であった。
(実施例6)
回転子を入れた100mlナスフラスコに、BISA−F5.12g(20mmol、官能基当量で40mmol)、塩基として炭酸カリウム6.63g(48mmol、官能基当量で48mmol)、相関移動触媒としてテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)0.66g(2mmol、官能基当量で2mmol)を量り取り、NMP10mlに添加し、懸濁させた。その後、t−ブチルブロモアセテート(t−BBAc)7.0ml(48mmol、官能基当量で48mmol)を滴下し、次いで80℃で24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液をクロロホルムで希釈し、1N塩酸で1回、水道水で2回洗浄した。有機層を、無水硫酸マグネシウムを乾燥剤として用いて乾燥させた。乾燥剤(無水硫酸マグネシウム)をろ別後、濃縮した。室温で静置し、結晶を析出させた。得られた結晶を回収し、室温で24時間減圧乾燥した。減圧乾燥して得られた化合物を化合物(B−1)とした。化合物(B−1)の収量は8.11gであり、収率は84%であった。
化合物(B−1)のIRによる赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートを図16に、H−NMRスペクトルの測定結果を示すチャートを図17に、それぞれ示す。
なお、以下に、図17のH−NMRスペクトルの帰属結果を示す。
H−NMR(600MHz,DMSO−d):δ(ppm)
10.394(s,2H,CHO)
7.553and7.548(d,2H,Jbd=3Hz,aromaticH
7.518−7.500(dd,2H,Jdb=3Hz,Jde=8.4Hz,aromaticH
7.09−7.08(d,2H,Jed=8.4Hz,aromaticH
4.83(s,4H,−CH −)
3.94(s,2H,−CH −)
1.41(s,18H,C(CH
これらの測定結果より、化合物(B−1)は、下記式(B−1)で表される化合物であった。
次に、回転子を入れた50mlナスフラスコに、レゾルシノール2.2g(20mmol、官能基当量で40mmol)、上記化合物(B−1)2.42g(5mmol、官能基当量で10mmol)を量り取り、エタノール4.5mlに溶解させた。その後、触媒として、濃塩酸1.5mlを滴下し、次いで80℃で60時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、ジエチルエーテルを加えて沈殿物を得た。得られた沈殿物を回収し、良溶媒としてTHF、貧溶媒としてn−ヘキサンを用いて沈殿物を精製した。沈殿物を回収し、室温で24時間減圧乾燥し化合物を得た。得られた化合物を化合物(vi)とした。収量は1.81gであり、収量は56%であった。
化合物(vi)のIRによる赤外吸収スペクトルの測定結果を示すチャートを図18に、H−NMRスペクトルの測定結果を示すチャートを図19に、GPCによる分析結果を示すクロマトグラム(溶出チャート)を図20に、MALDI−TOF MSスペクトルの測定結果を示すチャートを図21に、それぞれ示す。
なお、以下に、図19のH−NMRスペクトルの帰属結果を示す。
H−NMR(600MHz,DMSO−d):δ(ppm)
9.07−7.77(m,10H,−OH)
7.24−5.15(m,28H,aromaticH,>CH)
4.61−3.21(m,12H,−CH−)
1.36−0.98(m,12H,−C(CH
上記H−NMRスペクトルの帰属から、t−ブチル基(−C(CH)の残存率(カルボキシル基の総数に対する保護基の数の百分率)は33%であった。
図20の溶出チャートから、溶出時間34分付近に化合物(vi)のピークが確認できた。GPCによる分析から測定される、ポリスチレンを基準とした数平均分子量(Mn)は1579であり、ポリスチレンを基準とした重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)の値は1.02であった。なお、図20中、溶出時間39分付近のピークと、溶出時間41分付近のピークは、それぞれ、未反応の化合物(B−1)と、未反応のレゾルシノールのピークである。
図21のMALDI−TOF MSスペクトルにおいて、化合物(vi)の分子式をC848622と推定した場合(推定分子量1447.57)、m/zが1259.11の位置に現れるピークは、例えば下記式(vi−1)で表される化合物であり、m/zが1288.16の位置に現れるピークは、例えば下記式(vi−2)で表される化合物であり、m/zが1315.15の位置に現れるピークは、例えば下記式(vi−3)で表される化合物であり、m/zが1344.20の位置に現れるピークは、例えば下記式(vi−4)で表される化合物であり、m/zが1371.22の位置に現れるピークは、例えば下記式(vi−5)で表される化合物であると同定することができた。従って、化合物(vi)は、下記式(vi)で表される化合物(分子式C848622)であることが確認できた。
また、化合物(vi)について、熱重量/示差熱同時分析により熱安定性を測定した。図22に、化合物(vi)の熱安定性測定結果を示す。図22の結果から、化合物(vi)の分解開始温度は129.6℃であり、5%重量減少温度は191.9℃であった。
更に、化合物(vi)について、各種溶媒に対する溶解度を測定した。評価結果を表1に示す。なお、塗布溶媒としてPGMEを用いた、化合物(vi)を含む組成物は、シリコン基板上で厚さ60nmの被膜(レジスト層)を形成することが可能であった。即ち、化合物(vi)と塗布溶媒としてのPGMEとを含む組成物は、レジスト被膜形成用の組成物(レジスト組成物)として用いることが可能なものであった。
本発明のカリックスアレーン系化合物は、化学修飾が容易であるとともに、特徴的な立体構造を有し、且つ、包摂化合物等としての利用が期待されるものである。また、本発明のカリックスアレーン系化合物は化学修飾することにより、硬化性組成物やレジスト用組成物への応用、及び包摂化合物としての利用、更には高機能を有するアレーン系化合物誘導体の中間体としての利用等、幅広い分野における利用が期待されるものである。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表されるカリックスアレーン系化合物。
    (上記一般式(1)中、X及びYは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは近傍に位置する2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、a、m、及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示す。
    前記重合性官能基は、重合性不飽和結合を有する基、又は環状エーテル構造を有する基であり、前記アルカリ可溶性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基、又はリン酸基であり、前記酸解離性基を有する基は、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、トリメチルシリル基、t−ブトキシカルボニル基、アダマンチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、又はテトラヒドロチオフラニル基で保護された酸性基であり、前記酸性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基、又はリン酸基である。
  2. 下記一般式(2)で表される化合物(A)と、下記一般式(3)で表される化合物(B)と、を反応させることを含むカリックスアレーン系化合物の製造方法。
    (上記一般式(2)中、Xは、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、mは0又は1の整数を示す。
    前記重合性官能基は、重合性不飽和結合を有する基、又は環状エーテル構造を有する基であり、前記アルカリ可溶性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基、又はリン酸基であり、前記酸解離性基を有する基は、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、トリメチルシリル基、t−ブトキシカルボニル基、アダマンチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、又はテトラヒドロチオフラニル基で保護された酸性基であり、前記酸性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基、又はリン酸基である。
    (上記一般式(3)中、Yは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、a及びnは、それぞれ独立に、0又は1の整数を示す。Rは、それぞれ独立に、水素原子、重合性官能基を有する基、アルカリ可溶性基を有する基、炭素数1〜8の置換若しくは非置換のアルキル基、酸解離性基を有する基、又は炭素数3〜12のトリアルキルシリル基を示すか、或いは、両方のaが1である場合には、近傍に位置する2つのRが相互に結合して形成する炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示す。
    前記重合性官能基は、重合性不飽和結合を有する基、又は環状エーテル構造を有する基であり、前記アルカリ可溶性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基、又はリン酸基であり、前記酸解離性基を有する基は、ベンジル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、トリメチルシリル基、t−ブトキシカルボニル基、アダマンチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、又はテトラヒドロチオフラニル基で保護された酸性基であり、前記酸性基は、カルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基、スルホン酸基、又はリン酸基である。
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